説明

長尺電極基板とその製造方法および電極基板

【課題】従来の正方形あるいは正方形に近い長方形の電極基板では、大面積化した場合、透明導電膜の抵抗率が中心から遠ざかるに従って高くなる。そのため、電位が均一な透明導電膜を得るために、補助電極と導電路を密に形成する必要があり、これに由来する不良が発生しやすい。また、基板としてガラス板を用いた場合、面積を大きくすると、曲面に沿って電極基板を設置することが難しくなる。
【解決手段】長尺基板14と、長尺基板14のオモテ面14aに形成された透明導電膜13と、長尺基板14の裏面14bの長辺縁部14cに形成された、透明導電膜13より抵抗率の低い補助電極15と、長尺基板14を貫通し、透明導電膜13と補助電極15とを接続する導電路16とを備えた長尺電極基板10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オモテ面に透明導電膜が形成され、裏面の長辺縁部に補助電極が形成され、透明導電膜と補助電極との間が導電路で接続された長尺電極基板に関する。本発明は、前記の長尺電極基板の製造方法に関する。
【0002】
また本発明は、前記の長尺電極基板を並列に並べて形成された電極基板に関する。
【0003】
このような長尺電極基板は、有機エレクトロルミネッセンス素子を形成するための基板として、好適に用いられる。
【背景技術】
【0004】
透明導電膜を備えた基板に、複数の線状の補助電極を設け、透明導電膜と補助電極を、導電路を介して電気的に接続した電極基板が知られている(例えば特許文献1)。
【0005】
このような電極基板を有機エレクトロルミネッセンス素子に用いた場合、給電部に近い透明導電膜の電位と、給電部から遠い透明導電膜の電位の差を小さくすることができるため、発光ムラを少なくすることができる。
【0006】
図6に従来の電極基板50の一例を示す。従来の電極基板50は、正方形、あるいは正方形に近い長方形の基板51の、オモテ面51aに透明導電膜52が形成され、裏面51bに複数の線状の補助電極53が形成される。透明導電膜52と補助電極53は、基板51を貫通する導電路54で接続される。
【0007】
透明導電膜52は一般にスパッタ法により形成される。しかし被スパッタリング物質(例えばITO)のターゲット中心の直下から、40mm程度以上離れた位置では、形成された透明導電膜52の抵抗率が急に高くなる。
【0008】
例えば、ターゲット中心直下の透明導電膜の抵抗率が、3×10[−4]Ω・cmであるとき、ターゲット中心直下から40mmを超えて離れた位置の透明導電膜の抵抗率は、6×10[−4]Ω・cm以上となる(本明細書では10を10[n]と表現する)。
【0009】
このため、従来の正方形(あるいは正方形に近い長方形)の電極基板50では、電極基板50の対角サイズを80mmより大きくすることが難しい。このため大型の電極基板が作成しにくい。
【0010】
大面積の電極基板が必要な場合、従来は正方形、あるいは正方形に近い長方形の電極基板を、碁盤目に並べていた。その場合、各電極基板に給電する給電線が複雑な網状となり、配線が難しくなる。また、そのような給電線は複雑な多層配線となるため、コストが高くなる。
【0011】
更に、従来の電極基板50においては、透明導電膜52の電位を均一にするため、電極基板50内に多数の補助電極53と導電路54を形成する必要がある。しかしそのようにすると、補助電極53や導電路54の形成過程で、異物混入などの不良が発生しやすい。
【0012】
また、基板51としてガラス板を用いた場合、基板面積を大きくすると、曲面に沿って電極基板50を設置することが難しくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2004−152699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従来の正方形、あるいは正方形に近い長方形の電極基板50では、大面積化をした場合、透明導電膜52の抵抗率が中心から遠ざかるに従って高くなる。そのため、電位が均一な透明導電膜52を得るためには、補助電極53と導電路54を密に形成する必要があり、これに起因する不良が発生しやすい。
【0015】
大面積の電極基板が必要な場合、従来は正方形、あるいは正方形に近い長方形の電極基板50を、碁盤目に並べる必要があった。しかしその場合、各電極基板50に給電する給電線が複雑な網状となり、配線が難しい。また、そのような給電線は複雑な多層配線となるため、コストが高い。
【0016】
また、基板51としてガラス板を用いた場合、基板面積を大きくすると、曲面に沿って電極基板50を設置することが難しい。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)本発明の長尺電極基板は、長尺基板と、透明導電膜と、補助電極と、導電路を備える。透明導電膜は、長尺基板のオモテ面に形成される。補助電極は、長尺基板の裏面の長辺縁部に形成される。補助電極は、透明導電膜より抵抗率が低い。導電路は、透明導電膜と補助電極を接続する。
(2)本発明の長尺電極基板においては、長尺基板の長辺の長さが短辺の長さ(幅)の10倍以上である。
(3)本発明の長尺電極基板においては、透明導電膜がインジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、または導電性高分子からなり、補助電極および導電路がクロム、ニッケル、アルミニウム、金、銀、銅、またはそれらの合金からなる。
(4)本発明の長尺電極基板においては、長尺基板が、透光性高分子フィルムまたは薄板ガラスからなる。
(5)本発明の長尺電極基板においては、透明導電膜の幅が、幅方向の透明導電膜の抵抗率のばらつきが40%以下となる幅である。
(6)本発明の長尺電極基板においては、長尺電極基板の端部には透明導電膜が無く、長尺基板のオモテ面が露出している。
(7)本発明の長尺電極基板においては、長尺電極基板の端部には補助電極が無く、長尺基板の裏面が露出している。長尺基板の裏面露出部に対応して、基板オモテ面の透明導電膜の表面に絶縁層が設けられている。
(8)本発明の電極基板は、上記に記載の長尺電極基板を、簾状に平行にならべてなる。
(9)本発明の電極基板においては、電極基板が曲面状である。
(10)本発明の長尺電極基板の製造方法においては、長尺電極基板の透明導電膜を、連続スパッタ法を用いて形成する。連続スパッタ法とは、幅方向に均一なスパッタリングの可能な領域内を、長尺基板を長辺方向に連続的に移動させながら、スパッタリング膜(透明導電膜)を形成する方法である。スパッタリング領域を通過する際に、長尺基板に透明導電膜が形成される。長尺基板を連続的に移動させることにより、透明導電膜の形成される部分が連続的に移動する。これにより、長尺基板に、抵抗率の均一な透明導電膜が連続的に形成される。
(11)本発明の長尺電極基板の製造方法においては、長尺電極基板の補助電極を、印刷法を用いて形成する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の長尺電極基板においては、抵抗率が低く、ばらつきの少ない長尺の透明導電膜が得られる。本発明の長尺電極基板は補助電極や導電路の数が少ないため、補助電極や導電路に起因する不良が生じにくい。本発明の長尺電極基板は短冊型であるため、簾状に平行にならべることにより、大面積の電極基板が形成できる。その場合、給電線の配線が単純で容易である。また、同様にして、曲面形状の大面積の電極基板が容易に形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の長尺電極基板の模式図
【図2】本発明の長尺電極基板を並べた円筒形電極基板の模式図
【図3】本発明の長尺電極基板の模式図
【図4】本発明の長尺電極基板の他の実施形態の模式図
【図5】本発明の長尺電極基板の他の実施形態の模式図
【図6】従来の電極基板の模式図
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1に本発明の長尺電極基板10の一例を示す。本発明の長尺電極基板10は非常に細長い長方形である。すなわち長尺電極基板10の短辺11の幅W1は、長辺12の長さL1に比べて非常に短い。本発明の長尺電極基板10は、長辺12の長さL1が、短辺11の幅W1の少なくとも2倍以上であり、好ましくは10倍以上であり、さらに好ましくは100倍以上である。
【0021】
長尺電極基板10の短辺11の幅W1は、抵抗率が均一な透明導電膜13を一度に形成することが可能な幅(例えば80mm以下)に設定される。「抵抗率が均一な」とは、抵抗率のばらつきが40%以下であることをいう。抵抗率のばらつき(%)は、{(最大抵抗率−最小抵抗率)/最小抵抗率}×100とする。
【0022】
本発明の長尺電極基板10においては、長尺基板14のオモテ面14aの透明導電膜13を、幅W1方向には一括して形成し、長さL1方向には分割して順次に、あるいは移動しながら連続的に形成する。それにより、抵抗率が均一な透明導電膜13を、長尺にわたって形成することができる。
【0023】
スパッタ法により透明導電膜13を形成する場合、均一なスパッタリングの可能な領域内を、長尺基板14を長辺12方向に連続的に移動させながら、スパッタリング膜(透明導電膜13)を形成する。
【0024】
長尺基板14のオモテ面14aには、スパッタリング領域を通過する際に、透明導電膜13が形成される。長尺基板14を連続的に移動させることにより、透明導電膜13の形成される部分が連続的に移動する。このようにして、長尺基板14のオモテ面14aに、長辺12方向について抵抗率の均一な透明導電膜13を形成することが可能である。
【0025】
長尺基板14の幅W1を、抵抗率が均一な透明導電膜13を一度に形成することが可能な幅(例えば80mm)以下とすることにより、非常に長尺(例えば1,000m以上)にわたって、抵抗率が低く(例えば抵抗率が6×10[−4]Ω・cm未満の)、均一な透明導電膜13を形成することができる。
【0026】
本発明の長尺電極基板10においては、長尺基板14の裏面14bの長辺縁部14cに、帯状の補助電極15が形成される。補助電極15の長辺12方向の長さL2は、長尺電極基板10の長さL1とほぼ等しい。補助電極15の幅W2は、長尺電極基板10の幅W1よりずっと狭く、例えば、幅W1の1/100程度である。
【0027】
補助電極15は金属製で、その抵抗率は透明導電膜13の抵抗率に比べて桁違いに低い。そのため、補助電極15の幅W2は狭くてもよい。
【0028】
また長尺電極基板10の表面に有機エレクトロルミネッセンス素子(図示しない)を形成し、その発光を長尺電極基板10の裏面側から取り出す場合は、補助電極15が光の取り出しの妨げとなる。光の取り出しの観点からは、補助電極15の幅W2が狭いほどよい。
【0029】
透明導電膜13と補助電極15は、長尺基板14を貫通した導電路16により、電気的に接続される。通常、導電路16は1本の補助電極15に複数個設けられる。
【0030】
大面積の電極基板を得ようとする場合、従来の正方形、あるいは正方形に近い長方形の電極基板を碁盤目に並べるよりも、本発明の長尺電極基板10を簾状に平行にならべる方が、透明導電膜の抵抗率がはるかに均一な電極基板を得ることができるため、有利である。
【0031】
従来の正方形、あるいは正方形に近い長方形の電極基板を碁盤目に並べて大面積の電極基板を作製した場合、各電極基板に給電する給電線が複雑な網状となり、その配線が難しい。通常そのような給電線は複雑な多層配線となるため、コストが高くなる。
【0032】
一方、本発明の長尺電極基板10を簾状に平行にならべて大面積の電極基板を作製した場合、各長尺電極基板10に給電する給電線(図示しない)は、各長尺電極基板10の端部を通るだけであるから配線が単純であり、コストが低い。
【0033】
また本発明の長尺電極基板10においては、補助電極15と導電路16を長辺縁部14cだけに形成すればよく、長尺基板14の内側に形成する必要が無い。そのため、補助電極15と導電路16の形成に伴う異物混入などの不良の発生が抑えられる。
【0034】
本発明の長尺電極基板10は、簾状に平行にならべることで、曲面設置が可能になる。例えば、長尺電極基板10上に有機エレクトロルミネッセンス素子(図示しない)を形成し、これを簾状に平行にならべることにより、図2に示すような、メートル単位の大型円筒ディスプレイが容易に作製できる。
【0035】
図2は本発明の長尺電極基板10を簾状に平行にならべて、全体を円筒形に構成したものである。長尺電極基板10のオモテ面14aには、例えば有機エレクトロルミネッセンス素子(図示しない)が形成され、大型円筒ディスプレイ20を構成する。この大型円筒ディスプレイ20の大きさは、例えば縦2m、直径1m程度である。
【0036】
[長尺電極基板]
図3に示すように、本発明の長尺電極基板10は、長尺基板14と、補助電極15と、導電路16を備える。補助電極15は、長尺基板14の裏面14bの長辺縁部14cに形成される。導電路16は、透明導電膜13と補助電極15を電気的に接続する。補助電極15は透明導電膜13より抵抗率が低い。導電路16は長尺基板14を貫通している。
【0037】
このような長尺電極基板10においては、補助電極15から導電路16を介して透明導電膜13に電圧あるいは電流を供給する。これにより、給電部(図示せず)から近い透明導電膜13の電位と、給電部(図示せず)から遠い透明導電膜13の電位の差を小さくすることができる。
【0038】
図4、図5に、本発明の長尺電極基板の他の実施形態を示す。
【0039】
図4の実施形態の長尺電極基板30においては、長尺電極基板30の端部31近傍に透明導電膜13が無く、長尺基板14のオモテ面14aが露出している。
【0040】
図5の実施形態の長尺電極基板40では、長尺電極基板40の端部41近傍に補助電極15が無く、長尺基板14の裏面14bが露出している。裏面14bの露出部14dに対応して、長尺基板14のオモテ面14aでは、透明導電膜13の表面に絶縁層42が設けられている。この絶縁層42は、例えば、絶縁性金属酸化物や絶縁ポリマーを用いて形成される。
【0041】
図4、図5の実施形態の長尺電極基板30、40は、電子機器用素子に用いる際、端子を形成しやすいという長所がある。上記の端子は、長尺電極基板を外部電源と接続するために設けられ、通常、クロム、ニッケル、アルミニウム、金、銀、銅などで形成される。
【0042】
[長尺基板]
本発明に用いられる長尺基板14は、長辺12の長さL1が、短辺11の幅W1の2倍以上であり、好ましくは10倍以上であり、さらに好ましくは100倍以上である。
【0043】
長尺基板14の短辺11の幅W1は、均一な透明導電膜13を形成するため、好ましくは80mm以下であり、さらに好ましくは10mm〜60mmである。
【0044】
長尺基板14の短辺11の幅W1が上記の範囲であれば、透明導電膜13の抵抗率の最大値を6×10[−4]Ω・cm未満とすることができる。
【0045】
長尺基板14の長辺12の長さL1は、特に制限はないが、好ましくは100m以上であり、さらに好ましくは500m〜1000mである。長尺基板14の長辺12の長さL1が長いほど、長尺電極基板10の生産性が高くなる。
【0046】
長尺基板14の厚みは、特に制限はないが、例えば25μm〜200μmである。
【0047】
長尺基板14の材料は、特に制限はないが、例えば透光性高分子フィルムや薄板ガラスなどが用いられる。
【0048】
[透明導電膜]
本発明に用いられる透明導電膜13は、可視光領域で透過率が高く、電気伝導度が高い薄膜である。可視光領域の透過率は、例えば、可視光領域のいずれかで80%以上である。
【0049】
透明導電膜13の電気伝導度は、抵抗率で表わすと、例えば1×10[−3]Ω・cm以下であり、好ましくは1×10[−4]Ω・cm以上、6×10[−4]Ω・cm未満であり、さらに好ましくは2×10[−4]Ω・cm〜5×10[−4]Ω・cmである。
【0050】
透明導電膜13を形成する材料としては、代表的には、インジウム錫酸化物(ITO)や、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、導電性高分子などが用いられる。
【0051】
透明導電膜13は、スパッタ法や化学気相合成法(CVD)、溶液塗布法などにより作製される。
【0052】
透明導電膜13は、長尺基板14のオモテ面14aに形成される。透明導電膜13の厚みは、好ましくは20nm〜200nmである。
【0053】
[補助電極]
本発明に用いられる補助電極15は、通常、長尺基板14の裏面14bの長辺縁部14cに、線状に形成される。補助電極15は、少なくとも、長尺基板14の裏面14bの長辺縁部14cに形成されていればよい。
【0054】
補助電極15は透明導電膜13よりも電気抵抗の低い材料から形成される。補助電極15の抵抗率は、好ましくは1.6×10[−6]Ω・cm〜10×10[−6]Ω・cmである。
【0055】
補助電極15を形成する材料としては、例えば、クロム、ニッケル、アルミニウム、金、銀、銅、およびそれらの合金などが用いられる。
【0056】
補助電極15の作製には、導電性ペーストを印刷する方法や、スパッタ法などが用いられる。
【0057】
補助電極15の幅W2は、好ましくは50μm〜1000μmであり、高さHは、好ましくは100μm〜500μmである。
【0058】
[導電路]
本発明に用いられる導電路16は、長尺基板14を貫通して、透明導電膜13と補助電極15を電気的に接続する。通常、導電路16は1本の補助電極15に複数個設けられる。
【0059】
導電路16は、例えば、長尺基板14に直径20μm〜100μm程度の孔を設け、孔の内部に導電処理を施したり、孔に導電材を充填したりして形成される。
【0060】
孔の内部の導電処理としては、例えば、電気めっき処理やインクジェット処理が挙げられる。導電処理や充填に用いる導電材としては、例えば、クロム、ニッケル、アルミニウム、金、銀、銅、およびそれらの合金が挙げられる。
【0061】
長辺方向に隣り合う導電路16の間隔L3は、好ましくは、2mm〜20mmである。隣り合う導電路16の間隔L3は、透明導電膜13の電位を均一にするという観点から定められる。
【実施例】
【0062】
幅20mm、厚み125μm、長さ500mのポリエチレンナフタレートフィルム(帝人社製テオネックス(登録商標))からなる長尺基板14のオモテ面14aに、巻き取り式連続スパッタ装置を用いて、厚み100nmのインジウム亜鉛酸化物(IZO)の透明導電膜13を形成した。
【0063】
透明導電膜13の抵抗率の最小値は3×10[−4]Ω・cmであり、最大値は4×10[−4]Ω・cmであった。したがって透明導電膜13の場所による抵抗率のばらつきは、
(4×10[−4]−3×10[−4])/3×10[−4]×100≒33.3%
である。このように透明導電膜13の抵抗率の最小値と最大値との差は少なく、均一性が優れている。
【0064】
次に、レーザーを用いて、長尺基板14の両長辺縁部14cに直径50μmの貫通孔を5mm間隔で複数形成した。
【0065】
次に、貫通孔の内部に銀を充填して、導電路16を形成した。
【0066】
次に、長尺基板14の裏面14bの両長辺縁部14cに、導電性銀ペーストを直線状に印刷し、補助電極15を形成した。補助電極15の幅W2は200μm、高さHは150μm、抵抗率は3.2×10[−6]Ω・cmであった。補助電極15は、導電路16により透明導電膜13と電気的に接続された。
【0067】
このようにして得られた長尺電極基板10を適当な長さに切断して、例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子の基板として用いると、透明導電膜13の抵抗率が均一であるため、均一な発光特性が得られる。
【0068】
[測定方法]
[抵抗率の測定]
透明導電膜13および補助電極15の抵抗率は、JIS R 1637「ファインセラミックス薄膜の抵抗率試験方法−4深針法による測定方法」に準じて、測定した。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明の長尺電極基板10は、有機エレクトロルミネッセンス素子や太陽電池素子などの電子機器用電極基板として、好ましく用いられる。
【0070】
長尺電極基板10が有機エレクトロルミネッセンス素子に用いられる場合、長尺電極基板10の透明導電膜13の上部には、例えば、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、表面電極などが配置される。
【0071】
長尺電極基板10が太陽電池素子に用いられる場合、長尺電極基板10の透明導電膜13の上部には、例えば、p型半導体、n型半導体、反射防止膜、表面電極などが配置される。
【符号の説明】
【0072】
11 短辺
12 長辺
13 透明導電膜
14 長尺基板
14a オモテ面
14b 裏面
14c 長辺縁部
14d 露出部
15 補助電極
16 導電路
20 大型円筒ディスプレイ
30 長尺電極基板
31 端部
40 長尺電極基板
41 端部
42 絶縁層
50 電極基板
51 基板
51a オモテ面
51b 裏面
52 透明導電膜
53 補助電極
54 導電路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺基板と、
前記長尺基板のオモテ面に形成された透明導電膜と、
前記長尺基板の裏面の長辺縁部に形成された、前記透明導電膜より抵抗率の低い補助電極と、
前記長尺基板を貫通し、前記透明導電膜と前記補助電極とを接続する導電路とを備えた長尺電極基板。
【請求項2】
前記長尺基板の長辺の長さが短辺の長さ(幅)の10倍以上である長尺電極基板。
【請求項3】
前記透明導電膜がインジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、または導電性高分子からなり、
前記補助電極および導電路がクロム、ニッケル、アルミニウム、金、銀、銅、またはそれらの合金からなる、請求項1または2に記載の長尺電極基板。
【請求項4】
前記長尺基板が、透光性高分子フィルムまたは薄板ガラスからなる、請求項1から3のいずれかに記載の長尺電極基板。
【請求項5】
前記透明導電膜の幅が、幅方向の透明導電膜の抵抗率のばらつきが40%以下となる幅である、請求項1から4のいずれかに記載の長尺電極基板。
【請求項6】
前記長尺電極基板の端部には前記透明導電膜が無く、前記長尺基板のオモテ面が露出している、請求項1から5のいずれかに記載の長尺電極基板。
【請求項7】
前記長尺電極基板の端部には前記補助電極が無く、前記長尺基板の裏面が露出し、
前記長尺基板の裏面露出部に対応して、基板オモテ面の透明導電膜の表面に絶縁層が設けられている、請求項1から6のいずれかに記載の長尺電極基板。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の長尺電極基板を、簾状に平行にならべた電極基板。
【請求項9】
前記電極基板が曲面状である、請求項8に記載の電極基板。
【請求項10】
請求項1から7のいずれかに記載の長尺電極基板の透明導電膜を、連続スパッタ法を用いて形成する、長尺電極基板の製造方法。
【請求項11】
請求項1から7のいずれかに記載の長尺電極基板の前記補助電極を、印刷法を用いて形成する、長尺電極基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−124218(P2011−124218A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−236361(P2010−236361)
【出願日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】