説明

長期装着化粧料組成物

(A)i)少なくとも1つの粘着性皮膜形成ポリマー粒子の水性分散物;およびii)構造化水性ポリマー粘着性相を、粘弾性的に増粘するが固結しないために有効な量の少なくとも1つの構造剤を含む少なくとも1つの構造化水性ポリマー粘着性相と、(B)少なくとも1つの脂質構成要素を含む少なくとも1つの脂肪相とを含む化粧組成物であって、(A)は(B)と組み合わされるときに相溶性であって、長期装着化粧料組成物の粘度が(B)単独の粘度よりも高く、長期装着化粧料組成物のtanδ値が(B)単独のtanδ値未満であるように長期装着化粧料組成物を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの構造化水性ポリマー粘着性相と、少なくとも1つの脂肪相とを含み(これらは、組み合わされるときに長期装着化粧料組成物を形成する)、皮膚、唇、睫毛、眉毛、および爪を含む、哺乳類のケラチン組織への適用に好適な長期装着化粧料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
人の皮膚(例えば、ファンデーション、コンシーラー、アイシャドウ、日焼け止め製品および/またはまたは日焼け製品など)、唇(例えば、リップスティック、リップカラー、リップライナー、およびリップグロスなど)、並びに毛髪(例えば、マスカラなど)への使用を目的とする化粧品および他のパーソナルケア製品は、多くの場合、油性、脂肪質、またはワックス様の性質の1種または複数種の物質から構成される少なくとも1つの脂肪相を含有する。目的とする製品の用途に応じて、この脂肪相は、例えば皮膚、唇、毛髪、または爪への軟化、塗り広げやすさ、輝き(gloss)、調湿、および/または保護特性などの所望の機能を供給するために主に採用される。さらにこの脂肪相は、一般的に、他の望ましい成分をこれらの組成物内に分散するおよび/または可溶化するために便利なまたは有効な媒質としての役目を果たす。他の望ましい成分としては、例えば、顔料、染料、および/または粒子状充填剤が含まれてもよく、製品中、並びに皮膚、唇、毛髪、および/または爪上の両方において望ましい色あるいは光散乱および/または反射効果を作り出す。これらの色および/または光学的効果は、消費者への化粧品の視覚的魅力およびアピールを増強することが可能なため、一般的に、製品中において、並びに皮膚、唇、毛髪、および/または爪上の両方において望ましい。製品を皮膚、唇、毛髪、および/または爪上に塗布した後、小じわ/しわまたは皮膚の欠点の出現をカバーするまたは低減する、並びに/もしくはより均一な皮膚の色調を提供する、並びに/もしくは消費者の顔、唇、眼、睫毛、および/または爪の外見を強調するための色を提供するためのこれらの能力にとって、これらの色および/または光学的効果は大変望ましい。これらの所望の効果のために、芳香剤、ビタミン、日焼け止め剤、並びに他の化粧用または皮膚科学的活性剤のような望ましい追加成分も、これらの組成物中に分散および/または可溶化させてもよい。このような製品は、水のない脂肪相(一般的に無水と称される)から構成されてもよく、あるいは水相と組み合わされた脂肪相から構成され、分散物または油中水型(W/O)または水中油型(O/W)エマルションを形成してもよい。このような製品は、固形またはスティック、ジェル、ペースト、クリーム、およびローションなどの様々な形状を取る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような製品を使用する消費者が頻繁に経験する共通の不都合は、適用後、初期のまたは塗布したばかりの外観を維持できないことである。消費者は、所望の外観を回復させるまたはリフレッシュさせるために製品を再適用しなくてはならないという不便さなしに、初期のまたは塗布したての外観を数時間以上維持する(または、少なくともこのような期間、損失を最小限に抑える)ことを好むであろう。残念なことに、製品の塗布膜は頻繁に、液体様でありすぎる、または可動性のままであるために、皮膚、唇、および/または毛髪から、接触する物品(例えば、ガラス製品、カップ、布地、または他の皮膚等)上へと、容易に付着する傾向がある。様々な物品とのこのような接触は、飲食のような多くの生活活動に加えて、製品被膜が事前に塗布された皮膚、唇、および/または毛髪の不慮の接触または摩擦においてよく起こり、避けることが困難である。さらに、塗布膜の可動性により、しばしば製品を皮膚および/または唇の小じわ、しわ、ひだ、および/または毛穴の中に容易に移動および/または集中させ、望ましくない不均一な外観を引き起こす。
【0004】
無水組成物(すなわち、水相が欠けているもの)については、長時間持続特性または転写耐性特性を有する化粧料製品を提供すると主張する、数多くの取り組みが開示されてきた。これら多くの取り組みは、高濃度または高割合の揮発性脂肪相液体成分(例えば、揮発性シリコーンまたは炭化水素)を組成物中へ含むことに依存してきた。揮発性脂肪相成分は、初期の適用または薄く塗ることを可能にするが、その一方塗布後には製品から蒸発し、可動性の低い、またはより固体様の被膜を残してしまう。耐水性で堅いまたは固体様被膜を付着させるために、シリコーン樹脂のような1種または複数種の疎水性樹脂、および/または高濃度の1種または複数種の高融点ワックス成分に依存することも、このような組成物に共通していた。樹脂および/またはワックスは、発汗/汗をかくこと、洗浄、飲むこと、および水泳をするなどの条件下にて、より大きな恒久性および耐水性を塗布膜に付与する。しかし、これら組成物の塗布、および揮発性脂肪成分の蒸発後に得られる被膜は、一般的には乾燥しすぎる感触および/または外観(すなわち、非常につやのない、全く輝きのない)があるという不都合を有する。
【0005】
またW/OおよびO/W分散物またはエマルション組成物の場合は、長時間持続特性または転写耐性特性を有する化粧料製品を提供すると主張するこれまでの取り組みも、当該技術分野において開示されてきた。これらいくらかの取り組みは、適用後により硬いまたはより堅い被膜を供給するために、水溶性皮膜形成剤またはゲル化剤を水相へ含むことを対象としてきた。しかし、これらの組成物の塗布後、および水の蒸発後に得られる被膜は、もろいまたはこわばる、皮膚、唇、および/または毛髪の動きに最も望まれる柔軟度および快適性の欠如という不都合を頻繁に有する。さらに、このような皮膜形成剤またはゲル化剤の水溶性は、製品の塗布膜の耐水性(water-resistant)またはウォータープルーフ(waterproof)を低くさせるというさらなる不都合を有するので、製品の塗布膜は、発汗/汗をかくこと、洗浄、飲むこと、および水泳をすることのような条件下において、容易に擦れ落ち過ぎるまたは除去され過ぎてしまう。
【0006】
他の取り組みは、O/WおよびW/O組成物の水相中に、ラテックスまたは皮膜形成ポリマーの水性分散物を含むことを対象としてきた。これらの皮膜形成ポリマーの種類は、耐水性/ウォータープルーフ被膜を形成し、しばしば皮膚、唇、および/または毛髪上で良好な柔軟性を有する。しかし、これまでのいくらかの取り組みは、それらの目的とする皮膜形成効果を得るために、高濃度の揮発性有機化合物(例えば、低級アルコール)および/または可塑剤をポリマーの水性分散物中に必要としてきた。このような成分は、皮膚、唇、毛髪、および/または爪への乾燥、および/または刺激性、および/または損傷という不都合を頻繁に有する。さらに、高濃度のこれらの成分は、一般的に悪臭および/または不快な風味を製品に付与し、製品の可燃性を高くする。脂肪相を含有する化粧料組成物中に、これらの皮膜形成ポリマーを効果的に含むためのこれまでの取り組みにおいて見られた他の制限は、1種または複数種の界面活性剤/乳化剤の必要性であった。乳化剤の種類および/または使用濃度に依存して、乳化剤は、皮膜形成ポリマーの接着特性または皮膜形成特性を妨げる、および/または皮膚、唇、または眼に刺激または感作応答を発出するという不都合を有し得る。少なくともいくつかの皮膜形成ポリマーの水性分散物の使用に直面するさらなる制限は、加熱の際、または加熱された脂肪相(一般的に40℃超過)への添加の際、迅速な凝固が起き易くまたはポリマー不安定化の影響を受けやすいことである。
【0007】
長時間持続性および/または転写耐性化粧料組成物を提供するためのこれまでの取り組みに直面する制限および不都合を慎重に考慮し、1つ以上のこれらの制限および不都合を克服する改善された新規の長期装着化粧料組成物が今見出された。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の化粧品組成物は、
(A)i)少なくとも1つの、粘着性皮膜形成ポリマー粒子の水性分散物;および
ii)構造化水性ポリマー粘着性相を、粘弾性的に増粘するが固結しないために有効な量の少なくとも1つの構造剤
を含む少なくとも1つの構造化水性ポリマー粘着性相と、
(B)少なくとも1つの脂質構成要素を含む少なくとも1つの脂肪相と
を含む化粧料組成物であって、
(A)は(B)と組み合わされるときに相溶性であって、長期装着化粧料組成物の粘度が(B)単独の粘度よりも高く、長期装着化粧料組成物のtanδ値が(B)単独のtanδ値未満である。
【0009】
本発明の方法としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:
哺乳類のケラチン組織に長時間持続する色および長時間持続する光沢を同時に提供する方法であり、
(A)i)少なくとも1つの、粘着性皮膜形成ポリマー粒子の水性分散物;および
ii)構造化水性ポリマー粘着性相を、粘弾性的に増粘するが固結しないために有効な量の少なくとも1つの構造剤
を含む少なくとも1つの構造化水性ポリマー粘着性相と、
(B)少なくとも1つの脂質構成要素を含む少なくとも1つの脂肪相
((A)は(B)と組み合わされるときに相溶性であって、長期装着化粧料組成物の粘度が(B)単独の粘度よりも高く、長期装着化粧料組成物のtanδ値が(B)単独のtanδ値未満であるように長期装着化化粧品組成物を形成する)と、
(C)少なくとも1つの着色剤と
を含む化粧料組成物を前記哺乳類のケラチン組織に適用する工程を含む方法。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本明細書は、本発明を特別に指摘し明確に請求する特許請求の範囲で要約されているが、本発明は以下の説明からより良く理解されると考えられる。
【0011】
本明細書で使用する時、「含む」とは、他の工程および成分を追加できることを意味する。この用語は、「から成る」および「から本質的に成る」という用語を含む。「から本質的に成る」という語句は、組成物が追加成分を含んでもよいが、その追加成分が、特許請求する組成物または方法の基本的および新規の特徴を実質的に変化させないものに限られることを意味する。
【0012】
特に指定しない限り、すべての百分率、割合、および比率は、本発明の局所用組成物の全重量に基づいており、すべての測定は25℃で行われる。特に指定しない限り、列挙する成分に関連するこのようなすべての重量は、活性レベルに基づくので、市販の物質に含まれる可能性があるキャリアや副生成物を含まない。
【0013】
本明細書で使用する時、用語「哺乳類のケラチン組織」とは、哺乳類対象(特に人)の皮膚、唇、毛髪(睫毛および眉毛を含む)、並びに爪を指す。
【0014】
本明細書で使用する時、「粘着性皮膜形成ポリマー粒子の水性分散物」とは、水相または媒質中に粒子として分散したおよびけん濁したポリマーを指し、水相の蒸発または吸収の際、これらの粒子は、凝集し、皮膚、毛髪、または爪上に、粘着性皮膜を形成することが可能である。水性媒質中のこれらのポリマー粒子分散物の形成および安定化は、(1)水の存在下で合成されたポリマー(例えば、エマルション重合);および(2)バルク中または有機溶媒の溶液中で合成され、その後水中に分散されたポリマー、を特徴とする合成手順などの方法を用いて達成されてもよい。好ましい実施形態では、水相または媒質は、水、あるいは水と不揮発性水混和性溶媒との混合物から本質的に成る。不揮発性水混和性溶媒は、本発明の水性ポリマー粘着性相の性能に著しく支障をきたさない範囲で含まれてよい。本明細書で使用する時、「不揮発性水混和性溶媒」とは、水と分離せずに混合でき、室温および相対湿度(25℃,R.H.50%)および大気圧(0.10MPa(760mmHg))において、水よりもより遅い蒸発速度を有するあらゆる非水性溶媒を指す。
【0015】
本明細書で使用する時、用語「構造剤」とは、粘着性皮膜形成ポリマー粒子の水性分散物と有効量で組み合わされるときに、揺変性または擬塑性構造体をもたらす粘弾性的な増粘応答を実現させるあらゆる天然または合成由来の材料を指す。「粘弾性的」とは、材料が粘性(液体様)特性および弾性(固体様)特性の組み合わせを有し、変形応力に対する応答が、完全に粘性でも完全に弾性でもない状態を指す。本明細書で使用する時、用語「揺変性」とは、構造が剪断速度の上昇を受けたとき、粘度が減少し、続いて剪断速度が低下または除去されたとき、時間依存性の部分的または完全な初期粘度の回復が生じることを意味する。本明細書で使用する時、用語「擬塑性」とは、構造体が剪断速度の上昇を受けたとき、粘度が減少するが、剪断速度が低下または除去されたとき、時間非依存性のまたは瞬時の完全な初期粘度の回復が生じることを意味する。分子レベルにおける毛管抵抗力および/または物理化学的相互作用によって、構造剤は、容易に皮膜形成ポリマー粒子の水性分散物の水相およびポリマー粒子を吸収する、それらに溶解する、それらにより湿潤する、および/または他の方法で相互作用して構造化水性ポリマー接着剤相に粘度および粘弾性的な構造の著しい向上を付与することが可能である。
【0016】
本明細書で使用する時、用語「しかし固結しない」とは、構造化水性ポリマー粘着性相が、本質的に堅いまたは固体である点まで構造化されないことを意味する。本明細書で使用する時、「本質的に堅いまたは固体」である、とは、線形粘弾性領域(発明を実施するための最良の形態および試験方法において、後にさらに十分に開示される)における、動的振動レオメータ測定(dynamic oscillatory rheometry measurement)により、1Hz以下のあらゆる振動数において弾性率(G’)が粘性率(G”)よりも大きいという状態として定義される。
【0017】
「相溶する」とは、構造化水性ポリマー粘着性相が、脂肪相との好ましい組み合わせにおいて、粘着性相として存在および機能できる、並びに/もしくは均質組成物を形成でき、組み合わされた後、構造化水性ポリマー粘着性相と脂肪相が互いに容易に分離しないことを意味する。
【0018】
本明細書で使用する時、用語「耐熱性」とは、少なくとも約15℃未満および室温(25℃)を超えるの温度への短時間(数分間〜数時間)の曝露、および/または長期間(数時間〜数日間)の曝露に耐える能力を有し、依然として組成物内で相溶するおよび効果的に機能するままであることを意味する。耐熱性の程度は、皮膜形成ポリマーと構造剤の特徴や量のような要因に依存するであろうが、本発明の好ましい組成物は、約90℃もの高温、および約−5℃もの低温への曝露に耐える能力を実証した。
【0019】
用語「脂質構成要素」とは、あらゆる親油性溶媒、油、脂、ワックス、脂肪酸エステル、脂肪族アルコール、脂肪酸、シリコーン、ラノリンまたはラノリン誘導体、並びに水不溶性または水不混和性の主に脂質様特性を有するあらゆる親油性高分子または樹脂性物質を指す。このような物質は、例えば、鉱物、海洋生物、動物、植物、および/または合成品などの供給源から誘導されてもよく、極性および非極性、揮発性および不揮発性の性質、およびこれらの混合物から選択することができる。この「脂質構成要素」は、室温(25℃)および大気圧(0.10MPa(760mmHg))において、液状であってもよい。あるいは、ペースト、半固体または固体状態(室温および大気圧において)であってもよく、構造化水性ポリマー粘着性相(A)と脂肪相(B)とを組み合わせるために、その融点温度(一般的に100℃未満)を超えて加熱したとき、液状に変換し得る。
【0020】
本明細書で使用する時、用語「乳化剤」とは、その主要な機能として、2つの不混和性の液体間の界面張力の低下を有し、エマルションの形成および安定化ができるあらゆる表面活性剤(surface-active agent)(一般に、界面活性剤(surfactant)と称される)を指す。界面活性剤は、一般的に、親水性(水を好む)および親油性(油を好む)の部分を有し、不混和性の液体間の境界面に移動するおよび配向する分子から成る。この定義のために、このような薬剤は、いわゆる補助乳化剤(すなわち、CTFA国際化粧品成分便覧(International Cosmetic Ingredient Handbook)第10版(米国化粧品工業会、2004)にて定義された「乳化安定剤」および「粘度向上剤」)とは相異なるおよび別個であると考えられる。
【0021】
本明細書で使用する時、「光沢(shine)」とは、明るさ(brightness)、艶(luster)、または表面における光の反射からの放射輝度(radiance)の性質を作り出すまたは有する能力を指す。「光沢」は、微妙な艶(luster)または輝き(sheen)から、きらきら光る(glistening)またはつやつやした(glossy)濡れたような外観までに及ぶ状態を網羅する。
【0022】
本発明の組成物は、少なくとも1つの構造化水性ポリマー粘着性相および少なくとも1つの脂肪相の少なくとも2つの相を含み、この少なくとも2つの相が組み合わされると、長期装着化粧料組成物が形成される。本発明における相の得られる組み合わせは、皮膚、唇、毛髪、および/または爪への塗布後、長期に渡り、劣化、移動および/または除去に耐える、耐久性のある組成物を提供する。
【0023】
構造化水性ポリマー粘着性相
本発明の組成物は、少なくとも1つの構造化水性ポリマー粘着性相を含み、少なくとも1つの粘着性皮膜形成ポリマー粒子の水性分散物は、有効量の少なくとも1つの構造剤と組み合わされる。
【0024】
本発明では、少なくとも1つの構造化水性ポリマー粘着性相は、少なくとも1つの脂肪相と組み合わされると相溶して長期装着化粧料組成物を形成する。対照的に構造剤が、存在しないか、または有効な構造化濃度未満で組み合わされる粘着性皮膜形成ポリマー粒子の水性分散物を用いる化粧料組成物は、脂肪相と組み合わされるときに、1種または複数種の有効な乳化剤も同様に含まれない限り、一般的に相溶しないであろう。しかし、本発明は、脂肪相および粘着性皮膜形成ポリマー粒子の水性分散物の間の相溶性を得るための手段としては乳化剤を必要としない。これは、いくつかの種類の乳化剤に起こる可能性がある皮膚刺激または感作という潜在的な問題を回避するという利点がある。さらに本発明は、ポリマー粒子の不安定化、または粘着性および/または皮膜形成能の妨害という乳化剤の潜在的問題を回避する。
【0025】
本発明の組成物の、少なくとも1つの構造化水性ポリマー粘着性相の主要な目的は、組成物の少なくとも1つの脂肪相と共に、粘弾性的構造化、相溶性、耐熱性、および粘着性皮膜形成性を同時に実現することである。粘弾性的構造化および粘着性皮膜形成能の組み合わせは、脂肪相と組み合わされるかまたは脂肪相内に分散されるとき、得られる長期装着組成物が、目的とする適用領域からの移動により良く耐えること、並びに一般的に皮膚、毛髪、または爪からの塗布膜の除去を引き起こすであろう物理的および化学的な傷害の原因(例えば、摩擦、洗浄、飲食等)により良く耐えることを可能にする。またこの組み合わせは、長期装着化粧料組成物の粘度にも影響し、長期装着化粧料組成物の粘度は、脂肪相単独の粘度よりも高い。しかし水性媒質は、水性媒質と相溶する望ましい任意成分、例えば、水溶性保湿剤、ビタミン、皮膚活性剤、スキンケア成分、着色剤、防腐剤、等をより容易に組み込む手段をも提供する。前記物質は、一旦組成物が適用され、そこで皮膚、唇、毛髪、または爪上に被膜が形成されたら、それらの包含が、組成物の相溶性または長期装着特性に著しく支障をきたさないという条件で、使用されてもよい。
【0026】
本発明の構造化水性ポリマー粘着性相の全濃度は、全組成物の少なくとも約1重量%から、好ましくは少なくとも約3重量%から、より好ましくは少なくとも約5重量%から、さらにより好ましくは少なくとも約7重量%から、および約80重量%以下、好ましくは約70重量%以下、より好ましくは約60重量%以下、さらにより好ましくは約50重量%以下であってもよい。
【0027】
構造剤と粘着性皮膜形成ポリマー粒子の水性分散物との組み合わせは、構造剤が、構造化水性ポリマー粘着性相全体にわたって均一に分配および分散され、目的とする増粘効果または構造効果を作り出すように、当業者に既知のあらゆる手段により達成されてもよい。ほとんどの場合、連続的な混合の影響下にて、構造剤を粘着性皮膜形成ポリマー粒子の水性分散物中に一定期間、徐々に導入することは、より効率的または効果的である。あらゆる好適な添加・混合手段、または温度状態は、ポリマーの接着力または皮膜形成性に著しく支障をきたさない、あるいは構造剤の目的とする性能に著しく支障をきたさないという条件で、特定成分の組み合わせを容易にするため、並びに製造の必要物を満足するために使用されてもよい。この相の完全状態への到達は、選択された特定成分の組み合わせのために当業者に既知のあらゆる適切な手段により決定されてもよい。粘度計、またはより好ましくはレオメーターは、完全状態の決定に非常に適している。
【0028】
構造化水性ポリマー粘着性相は、脂肪相に粘着性皮膜形成能力を付与することに加えて、粘着性皮膜形成ポリマー粒子の水性分散物を単独で使用するときには、完全にまたは効果的に達成できない有益な構造化、相溶性、および耐熱性を組成物に付与する。これは、構造化水性ポリマー粘着性相が脂肪相中に分散されるとき、とりわけ達成される。構造剤が、存在しないか、または有効な構造化濃度未満で組み合わされる粘着性皮膜形成ポリマー粒子の水性分散物を使用する組成物は、塗布後、目的とする塗布領域からの移動、除去力、および他の傷害の原因に対して、一般的により影響を受けやすい。これらの場合において、適用された組成物は、水性媒質の蒸発/吸収が最終ポリマー皮膜形成工程の発生を効果的に可能にするような時点までの、移動および/または悪化に耐えるための十分な構造的一体性にしばしば欠ける。この間に、適用された組成物の部分は、しばしば傷害の原因により移動および/または除去され得、皮膚、毛髪、および/または爪へ目的とする効果を提供するための残存部分の利用可能性および有効性をさらに低減させる。これは、特に脂肪相が、全体にまたは主に、不揮発性液体、特に低粘度不揮発性液体から構成されるところで観察される状況である。しかし本発明の組成物では、構造化水性ポリマー粘着性相と脂肪相の相境界間の物理化学的相互作用力に加えて、粘度および構造化水性ポリマー粘着性相内に形成される揺変性/擬塑性構造体により、移動および変形への所望の抵抗性の増大が得られる。これらの効果は、粘着性皮膜形成ポリマーの水性分散物の長期装着能力の著しい強化に関与する。
【0029】
最終的に、本発明において、構造化水性ポリマー粘着性相の有効な構造化は、高温および低温両方への耐性改善をも提供することが見出された。耐熱性は、より広範囲の脂質構成要素(すなわち、液体化するための熱を必要とするもの)を本発明の脂肪相中に含むことを許容する。さらに耐熱性は、本発明の組成物を加工温度および保存温度に、より有効に耐えることを可能とする。理論によって制限されないが、この耐熱性の改善の理由は、構造剤による、粘着性皮膜形成ポリマー粒子のコロイド安定化の結果であると考えられ、ここで粘度の増大および/または皮膜形成ポリマー粒子間の構造剤の取り成す存在は、一般的に高温(40℃超過)および/または低温(0℃未満)にて生じるポリマー凝固の容易さまたは速度を有効に抑制する。耐熱性の程度は、皮膜形成ポリマーおよび構造剤の特徴および量のような要因に依存するであろうが、本発明の好ましい実施形態は、90℃という高い温度、および5℃という低い温度への曝露に耐える能力を実証した。
【0030】
先立って述べたように、構造化水性ポリマー粘着性相は、極めて擬塑性または揺変性の性質である粘弾性的構造を有する。この粘弾性的構造は、剪断誘起減粘挙動(shear-induced thinning behavior)および強い粘度回復機構の両方を組成物に提供する。本発明の好ましい実施形態では、剪断速度がゼロに低下するまたは除去されるときに組成物は、その初期粘度が少なくとも約20%まで、好ましくは少なくとも約25%まで、より好ましくは少なくとも約30%まで、さらにより好ましくは少なくとも約35%まで、最も好ましくは少なくとも約40%まで回復する。
【0031】
本発明の好ましい実施形態では、構造化水性ポリマー粘着性相は、組成物への粘度回復機構の付与の原因である擬塑性またはほぼ擬塑性体構造を有する。特に好ましい実施形態では、剪断速度がゼロに低下するまたは除去されるとき、構造化水性ポリマー粘着性相は、その初期粘度が少なくとも約70%まで、好ましくは少なくとも約80%まで、より好ましくは少なくとも約90%まで、さらにより好ましくは少なくとも約95%まで、最も好ましくは約100%まで回復する。
【0032】
本発明において、ずり減粘および粘度回復特性は、組成物の適用および長期装着特性に著しく影響することが見出された。低剪断速度(例えば、10s-1未満)では、構造化水性ポリマー粘着性相は、高剪断速度(例えば、200s-1超過)におけるその粘度と比較して、より高い粘度を有するだけでなく、高剪断速度を受けた後、高粘度を急速に回復する能力も有する。したがって、低剪断速度または応力では、組成物は、構造的一体性の向上、並びに低応力(例えば、重力)により引き起こされる変形または移動への抵抗に役立つ。これは、低応力または剪断力条件(例えば、保存)において、皮膚、唇、毛髪、および/または爪への組成物の適用後、塗布膜が移動するあるいは容易に支障をきたすまたは除去される傾向を減らすだけでなく、組成物安定性を強化するために、特に都合がよい。好ましい実施形態では、本発明の少なくとも1つの構造化水性ポリマー粘着性は、低剪断速度(すなわち、1s-1〜10s-1の範囲)において、少なくとも約2Pa・s(2,000cP)から、好ましくは少なくとも約4Pa・s(4,000cP)から、より好ましくは少なくとも約5Pa・s(5,000cP)から、さらにより好ましくは少なくとも約6Pa・s(6,000cP)から、最も好ましくは少なくとも約7Pa・s(7,000cP)から、および約60Pa・s(60,000cP)以下、好ましくは約50Pa・s(50,000cP)以下、より好ましくは約45Pa・s(45,000cP)以下、さらにより好ましくは約40Pa・s(40,000cP)以下、最も好ましくは約35Pa・s(35,000cP)以下の粘度(25℃)を有する。
【0033】
反対に、高剪断速度(例えば、200s-1超過)では、構造化水性ポリマー粘着性相は、低剪断速度におけるその粘度よりも、著しくより低い粘度を有する。したがって、高剪断速度または応力においては、組成物は、変形および流動へのより低い抵抗を得る。また、これは、例えば、塗り広げ(spreading)、摩擦(rubbing)、または刷毛塗り(brushing)のような製品適用状況中だけではなく、例えば、分与および充填作業のような高剪断力状況において、特に都合がよい。好ましい実施形態では、本発明の少なくとも1つの構造化水性ポリマー粘着性は、高剪断速度(すなわち、400s-1〜500s-1の範囲)において、少なくとも約0.5Pa・s(500cP)から、好ましくは少なくとも約1Pa・s(1,000cP)から、より好ましくは少なくとも約1.5Pa・s(1,500cP)から、および約5Pa・s(5,000cP)以下、好ましくは約4Pa・s(4,000cP)以下、より好ましくは約3Pa・s(3,000cP)以下の粘度(25℃)を有する。
【0034】
構造化水性ポリマー粘着性相のために剪断力を向上する機能として、この粘度応答を特徴付けるために、当該技術分野において既知である定常剪断レオメータ測定が実行され得る。これらの粘度応答は、以下に出てくる表題「試験方法」の節に記載された器具類および方法を使用して、制御速度回転傾斜を実行することにより、決定され得る。
【0035】
構造化水性ポリマー粘着性相に要求される粘弾性的特性をより十分に定義するおよび記載するために、当該技術分野において既知である共通の技術である動的振動レオメータ測定が実行され、構造化水性ポリマー粘着性相の弾性率(G’)(固体様応答)および粘性率(G”)(液体様応答)を特徴付けることができる。「線形粘弾性領域(Linear Viscoelastic Region)」(LVR)は、応力とひずみの間に直線関係がある負荷振動剪断応力の領域として定義され、この負荷剪断応力領域内で一定またはほぼ一定の係数をもたらす。これらの係数応答性は、以降の表題「試験方法」の節に記載された器具類および方法を使用して、動的振動応力走査(dynamic oscillatory stress sweeps)を実行することにより、決定され得る。本明細書で使用する時、用語「降伏応力」は、流動を開始するのに必要な応力として定義され、LVRを超えるところの限界応力として動的振動応力スウィープから特定され得る。
【0036】
好ましい実施形態において、本発明の少なくとも1つの構造化水性ポリマー粘着性は、1Hzの固定振動数における線形粘弾性領域(LVR)にて、少なくとも約5Paから、好ましくは少なくとも約7Paから、より好ましくは少なくとも約9Paから、さらにより好ましくは少なくとも約10Paから、約100Pa以下、好ましくは約80Pa以下、より好ましくは約60Pa以下、さらにより好ましくは約50Pa以下の弾性率(G’)(25℃)を有する。
【0037】
好ましい実施形態では、本発明の少なくとも1つの構造化水性ポリマー粘着性は、1Hzの固定振動数における線形粘弾性領域(LVR)にて、少なくとも約15Paから、好ましくは少なくとも約20Paから、より好ましくは少なくとも約30Paから、さらにより好ましくは少なくとも約35Paから、約300Pa以下、好ましくは約250Pa以下、より好ましくは約200Pa以下、さらにより好ましくは約180Pa以下の粘性率(G”)(25℃)を有する。
【0038】
好ましい実施形態では、少なくとも1つの構造化水性ポリマー粘着性相のための1Hzの固定振動数におけるLVRにて、G”/G’比(またはtanδ)は、少なくとも約1.5から、好ましくは少なくとも約2.0から、より好ましくは少なくとも約2.5から、約5.5以下、好ましくは約5以下、より好ましくは約4.5以下である。
【0039】
好ましい実施形態では、少なくとも1つの構造化水性ポリマー粘着性相のための1Hzの固定振動数における降伏応力は、少なくとも約10Paから、好ましくは少なくとも約15Paから、より好ましくは少なくとも約20Paから、約400Pa以下、好ましくは約350Pa以下、より好ましくは約300Pa以下である。
【0040】
(i)粘着性皮膜形成ポリマー粒子の水性分散物
本発明の組成物は、必然的に少なくとも1つの粘着性皮膜形成ポリマー粒子の水性分散物を含む。
【0041】
具体的には、粘着性皮膜形成ポリマー粒子の濃度は、全組成物の少なくとも約0.5重量%から、好ましくは少なくとも約1重量%から、より好ましくは少なくとも約3重量%から、約30重量%以下、好ましくは約20重量%以下、より好ましくは約15重量%以下である。
【0042】
本発明の好ましい実施形態では、構造化水性ポリマー粘着性相および/または粘着性皮膜形成ポリマー粒子の水性分散物は、実質的に揮発性有機構成要素を含まない。用語「実質的に揮発性有機構成要素を含まない」とは、例えば米国環境保護局(40CFR、パート51、セクション51.100、定義、2000年8月現在)により定義された低沸点アルコールまたは他の揮発性有機化合物(VOC)のような揮発性有機化合物を、殆ど含有しないかまたは含有しない水相を意味する。好ましくは、揮発性有機化合物の存在は、組成物の約10重量%以下、好ましくは約5重量%以下、より好ましくは約1重量%以下、最も好ましくは約0重量%以下(トレース/不純物レベル)である。
【0043】
本発明のポリマーは、連鎖(フリーラジカル)重合プロセス(いわゆる付加重合体)、および/または逐次重合プロセス(いわゆる縮合重合体)により、形成されてもよい。水性媒質中のこれらのポリマー粒子分散物の形成および安定化は、(1)水の存在下で合成されたポリマー(例えば、エマルション重合);および(2)バルク中または有機溶媒の溶液中で合成され、その後水中に分散されたポリマー、を特徴とする合成手順といった手段を使用して達成され得る。これらの重合プロセスのより詳細な検討および記載は、例えば、水性塗料(Waterborne Coatings):エマルションおよび水溶性塗料(Emulsion and Water-Soluble paints),チャールズR.マーティン(Charles R. Martens),ヴァン・ノストランド・ラインホールド社(Van Nostrand Reinhold Company),1981;ポリウレタン便覧(Polyurethane Handbook),第2版,ガンター・エルテル編集(Gunter Oertel, Ed.),ハンサー・ガードナー出版(Hanser Gardner Publications),1994;および水性塗料の技術(Technology for Waterborne Coatings),J.エドワード・グラス編集(J. Edward Glass, Ed.),アメリカン・ケミカル・ソサエティ(American Chemical Society),1997などの出版文献に見ることができる。
【0044】
アニオン性、カチオン性、または非イオン性安定化水性ポリマー分散物が、本発明の組成物にて使用できる。一般にアニオン性分散物は、より広範に使用され、アニオン性分散物のより大きい安定性、および得られる非常に小さい粒子サイズに起因して、カチオン性分散物よりも好ましい。イオン化カルボン酸またはスルホン酸基だけによって安定化されるアニオン性ポリマー分散物の限定特性は、それらが低pH(すなわち、安定化酸性基のpKa未満)において、不安定になることである。一方で、非イオン的に安定化した分散物は、凍結、pH変化、および電解質の添加に対して、より安定であるが、小さい粒子サイズを得るために、最終被膜に望ましくない感水性を導入し得る高濃度のポリエチレンオキシド系コモノマーが必要である。従って、相乗効果を得るために、アニオン性および非イオン性安定化の組み合わせが使用でき、それによって、過剰の濃度のポリエチレンオキシドコモノマーの必要性なしに、小さい粒子サイズ、並びに凍結、pH変化、および電解質に対する立体的安定性の組み合わせを得ることができる。この種類の安定化を使用したポリマー分散物は、例えば、酸を含有するアクリルコポリマーと低pHで混合し得る。
【0045】
具体的な粘着性皮膜形成ポリマーは、組成物の目的とする用途に要求される特定の性質および要件に基づいて選択される。このような性質および要件としては、被膜柔軟性または硬度、接着性、靱性または耐久性、および耐水性、あるいは他の化学的傷害への耐性が挙げられるが、これらに限定されない。ホモポリマーの代わりに、ブロックコポリマー(2つ以上の別個のポリマーブロック部分から構成されるポリマー)、グラフトコポリマー(ホモポリマーまたはコポリマー主鎖上にグラフトしたペンダントポリマー側鎖を有するポリマー)、またはヘテロポリマー(2つ以上の異なるモノマーから構成されるポリマー)にて達成できる、より多能な性質を活用することも可能であり、および多くの場合好ましい。ブロック型コポリマーでは、「ソフト」および「ハード」部分の種類および量は、性能特性に著しい影響力を有する。
【0046】
さらに本発明の組成物では、2つ以上の異なる粘着性皮膜形成ポリマー粒子の水性分散物が共に組み合わされて、混和したまたは相乗的なポリマー特性の効果を得ることが可能である。異なる組み合わせの例としては、ポリウレタンとポリアクリレート;およびポリウレタンとポリエステルが挙げられるが、必ずしもこれらに限定されない。
【0047】
理論によって制限されないが、本発明の組成物において使用される粘着性皮膜形成ポリマーは、直鎖状、分枝状、または部分的に架橋したポリマー鎖を有してもよく、ホモポリマー、ヘテロポリマー、コポリマーおよびこれらの混合物から成る群から選択されてもよい。ポリマーは、アニオン性、カチオン性、非イオン性、または両性の性質であってもよい。特に好ましいのは、アニオン性および/または非イオン性ヘテロポリマーおよび/またはコポリマーである。
【0048】
連鎖(chain-growth)またはフリーラジカル部類のポリマーの中では、粘着性皮膜形成ポリマーは、アクリルポリマーおよびコポリマー、ビニルポリマーおよびコポリマー、ビニル−アクリルコポリマー、スチレン−アクリルコポリマー、シリコーン−アクリル、およびこれらの混合物から成る群から選択されてもよい。アニオン性フリーラジカルポリマーが特に好ましい。ビニルおよび/またはアクリルポリマーは、少なくとも1つの酸性基を有するエチレン不飽和を有するモノマー、および/または酸性モノマーのエステル、および/または酸性モノマーのアミドから得られる。少なくとも1つの酸性基を有するエチレン不飽和を有するモノマーの中で特に好ましいのは、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、およびマレイン酸から選択されるものである。酸性モノマーのエステルの中で好ましいのは、(メタ)アクリレート、特にアルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート、およびヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートから選択されるものである。アルキル(メタ)アクリレートに含まれるのは、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、およびラウリルメタクリレートである。アリール(メタ)アクリレートに含まれるのは、例えば、ベンジルアクリレートおよびフェニルアクリレートである。ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに含まれるのは、例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、および2−ヒドロキシプロピルメタクリレートである。酸性モノマーのアミドの中で好ましいのは、(メタ)アクリルアミド、特にN−アルキル(メタ)アクリルアミドから選択されるものである。N−アルキル(メタ)アクリルアミドに含まれるのは、例えば、N−エチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、およびN−t−オクチルアクリルアミドである。
【0049】
またビニルおよび/またはアクリルポリマーは、ビニルエステルおよびスチレンモノマーから得ることもできる。これらのモノマーは、上述のもののような酸性モノマー、および/または酸性モノマーのエステル、および/または酸性モノマーのアミドと共に重合させることができる。ビニルエステルの中で好ましいのは、酢酸ビニル、ネオデカン酸ビニル、ピバル酸ビニル、安息香酸ビニル、およびt−ブチル安息香酸ビニルである。上記のモノマーの一覧は、限定を目的とせず、これらの連鎖ポリマーを調製する当業者に既知の他のモノマーを利用してもよい。
【0050】
逐次(step-growth)部類のポリマーの中では、粘着性皮膜形成ポリマーは、ポリウレタン、ポリウレア、ポリウレア−ポリウレタン、ポリエステル−ポリウレタン、ポリエーテル−ポリウレタン、ポリビニルピロリドン−ポリウレタン、アクリル−ポリウレタン、シリコーン−ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエステルアミド、エポキシエステル樹脂、およびこれらの混合物から成る群から選択されてもよい。ポリウレタンのうち、「ソフト」ブロック部分は、一般的に低分子量から高分子量に及ぶことができるポリエーテルまたはポリエステルであるポリオールから構成される。ポリエーテルおよびポリエステルは、事実上、直鎖状および/または分枝状脂肪族、および/または脂環式、および/または芳香族であってもよい。「ハード」ブロック部分は、ジイソシアネート(芳香族、脂肪族、および/または脂環式であり得る)、および鎖延長アミン(脂肪族または芳香族性のジアミンまたはポリアミンであり得る)から構成される。これらの中で好ましいのは、上述のポリウレタンおよびポリウレタンハイブリッドコポリマー部類のアニオン性および/または非イオン性バージョンである。ポリエーテル−ポリウレタンおよびポリエステル−ポリウレタンが特に好ましい。
【0051】
本発明の皮膜形成ポリマー粒子の水性分散物中に分散された粘着性皮膜形成ポリマー粒子の濃度は、粘着性皮膜形成ポリマー粒子の水性分散物の全重量の少なくとも約10重量%から、好ましくは少なくとも約20重量%から、より好ましくは少なくとも約30重量%から、約50重量%以下、好ましくは約45重量%以下、より好ましくは約40重量%以下である。
【0052】
皮膜形成ポリマー粒子の水性分散物中に分散された粘着性皮膜形成ポリマー粒子の平均サイズ(当該技術分野において既知の動的光散乱方法により確定される)は、少なくとも約5nm、好ましくは少なくとも約10nmから、約800nm以下、好ましくは約500nm以下、より好ましくは約300nm以下、さらにより好ましくは約100nm以下である。
【0053】
皮膜形成ポリマー粒子の水性分散物中に分散したポリマーの重量平均分子量(ゲル浸透クロマトグラフィーにより確定される)は、好ましくは少なくとも約10,000から、より好ましくは少なくとも約15,000から、さらにより好ましくは少なくとも約20,000から、好ましくは約200,000以下、より好ましくは約100,000以下、さらにより好ましくは約50,000以下である。
【0054】
(ii)構造剤
本発明の組成物は、必然的に少なくとも1つの構造剤を含む。具体的には、構造剤は、全組成物の少なくとも約0.01重量%から、好ましくは少なくとも約0.03重量%から、より好ましくは少なくとも約0.05重量%から、約5重量%以下、好ましくは約3重量%以下、より好ましくは約2重量%以下、存在する。
【0055】
構造剤は、粘着性皮膜形成ポリマー粒子の水性分散物と組み合わされると、いくつかの必須機能を遂行する。第一に、構造剤の親水性および/または水起因性の増粘応答は、本発明の構造化水性ポリマー粘着性相中の「遊離」水または可動水の量を減らす。構造剤のための水和物水または溶媒和として、水を結合し、および増粘構造内で水を固定化することにより、これを達成する。有効量の構造剤の使用は、水の分離を防止する、および/または構造化水性ポリマー粘着性相から本発明の組成物の脂肪相への水の移動を抑制する。第二に、水、構造剤、および粘着性皮膜形成ポリマー粒子間に構築された相互作用力は、構造化水性ポリマー粘着性相の粘度の向上および粘弾性に関与する。したがって、通常、皮膜形成ポリマー粒子の水性分散物中で生じるポリマー粒子の自由な動きまたは再配列は、構造化水性ポリマー粘着性相中で抑制される。明らかな擬塑性または揺変性の特性が引き起こされ、ずり減粘挙動および強い粘度回復の両方を可能にするが、この利点は過去に議論された。第三に、構造化挙動は、脂肪相と組み合わされた粘着性皮膜形成ポリマー粒子の水性分散物に、耐熱性の改善を付与する。これらの機能は脂肪相と組み合わされたとき、本発明の長期装着特性を得ることだけでなく、構造化水性ポリマー粘着性相の所望の相溶性をも可能にする。実際、必須の構造を得るために乳化剤が使用されず、有効量未満の構造剤が使用されるとき、得られる相の組み合わせは、完全に相溶しないか、あるいは非常に制限された相溶性を有することが観察された。さらに、有効量未満の構造剤が使用されるとき、生じた相は、本発明の脂肪相に、必須の長期装着物理的耐久性および接着性を付与するための能力を有さないか、あるいはさらに多く制限された能力を有する。
【0056】
特定の組成物に最も良く適応する構造剤の種類を選択するのに、いくつかの要因を考慮しなくてはならない。このような要因としては、特定の粘着性皮膜形成ポリマー粒子のイオン性との相溶性、組成物を加工する際の温度条件、pH値または変化に対する感受性、および電解質または溶解された塩に対する感受性が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されない。当業者は、上述の本質的な機能を満足するために、適切な構造剤を選択するという、これらのおよび他のこのような要因の相対的な重要性を理解するであろう。重要なことに、当業者は、最終組成物に目的とされる適用、感触、耐久性、外観、および安定性の特性の所望のレベルおよび/または質を満足させるために、構造剤の種類と品質を適切に選択することにより、構造化および擬塑性または揺変性の程度を調節できることに気付くであろう。
【0057】
好ましい実施形態では、構造剤は、pHが約4から、好ましくは約5から、より好ましくは約6から、および約10以下、好ましくは約9以下であるときその構造効果を付与できる。
【0058】
さらなる好ましい実施形態では、構造剤は、約40℃を超える、好ましくは約50℃を超える、より好ましくは約60℃を超える、さらにより好ましくは約70℃を超える、最も好ましくは約80℃を超える温度への曝露後に、その構造化効果を維持および/または回復することが可能である。
【0059】
特に、本発明の構造剤(単数または複数)は、天然ゴムおよび抽出物、変性(半合成)ゴムおよび抽出物、親水性天然および合成ケイ酸塩および粘土鉱物剤、疎水性シリカ、無機および高分子多孔質微粒子吸着剤、合成ポリマー(例えば、アクリルポリマー)、およびこれらの混合物から成る群から選択される。
【0060】
本発明の天然ゴムおよび抽出物は、例えば、アラビアゴム、トラガカントゴム、カラヤゴム、およびガティゴム等の植物排出物;例えば、ペクチン等の植物抽出物;例えば、イナゴマメゴム、グアーガム、オオバコ種子ガム、およびマルメロ種子ガム等の植物種子粉末または抽出物;例えば,寒天、アルギン酸塩、およびカラギーナン等の海草抽出物;例えば、コーンスターチ、小麦デンプン、米デンプン、およびサトウモロコシデンプン等の種子デンプン;タピオカデンプンおよびジャガイモデンプン等の塊茎デンプン;例えば、ゼラチンおよびカゼイン塩等の動物抽出物;およびこれらの混合物から成る群から選択されるが、これらに限定されない。
【0061】
本発明の変性(半合成)ゴムおよび抽出物は、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース誘導体、加えて例えば、セチルヒドロキシエチルセルロースなどのアルキル変性セルロース誘導体;例えば、ヒドロキシプロピルグアーなどの変性植物抽出物;例えば、キサンタンガム、スクレロチウムガム、ジェランガム、デキストランおよびその誘導体などの微生物または生合成ガム;例えば、ジャガイモデンプン変性、コーンスターチ変性ヒドロキシプロピルデンプン、デキストリンおよびその誘導体などの加工デンプンおよびデンプン誘導体;例えば、キチンまたはキトサン、およびこれらの誘導体、コラーゲン誘導体などの変性動物誘導体;並びにそれらの混合物から成る群から選択されるが、これらに限定されない。
【0062】
本発明の親水性天然および合成粘土鉱物剤は、例えば、ベントン(BENTONE)(登録商標)(エレメンティーズ・スペシャリティーズ(Elementis Specialties))の商標名で販売されているものなどのヘクトライト;例えば、オプティゲル(OPTIGEL)(登録商標)(ズード・ケミー(Sud-Chemie))、ゲルホワイト(GELWHITE)(登録商標)およびミネラルコロイド(MINERAL COLLOID)(登録商標)(共にサザン・クレイ・プロダクツ(Southern Clay Products))、並びにポーラーゲル(POLARGEL)(登録商標)(アムコールヘルス&ビューティソルーションズ(AMCOL Health & Beauty Solutions))の商標名で販売されているものなどのベントナイトおよびモンモリロナイト;例えば、ビーガム(VEEGUM)(登録商標)(R.T.ヴァンダービルト社(Vanderbilt Company))、マグナブライト(MAGNABRITE)(登録商標)(アムコールヘルス&ビューティソルーションズ)、並びにゲルホワイト(GELWHITE)(登録商標)MAS(サザン・クレイ・プロダクト)の商標名で販売されているものなどのケイ酸アルミニウムマグネシウム;例えば、オプティゲル(OPTIGEL)(登録商標)SH(ズード・ケミー(Sud-Chemie))並びにラポナイト(LAPONITE)(登録商標)(サザン・クレイ・プロダクト)の商標名で販売されているものなどのケイ酸ナトリウムマグネシウム;例えば、ルセンタイト(LUCENTITE)(登録商標)SWN(コボ・プロダクツ(Kobo Products)などのケイ酸ナトリウムマグネシウムリチウム;例えば、ルセンタイト(LUCENTITE)(登録商標)SAN(コボ・プロダクツ)などケイ酸マグネシウムリチウム;およびこれらの混合物から成る群から選択されるが、これらに限定されない。
【0063】
本発明の疎水性シリカは、例えば、ワッカー(WACKER)HDK(登録商標)H15、H20、およびH30(ワッカー・ケミー(Wacker-Chemie)の疎水変性ヒュームドシリカ、および商標名アエロジル(AEROSIL)(登録商標)(デグサ(Degussa)AG)およびCAB−O−SIL(登録商標)(カボット社(Cabot Corporation))の疎水性グレード;およびこれらの混合物から成る群から選択されるが、これらに限定されない。
【0064】
本発明の無機および高分子多孔質微粒子吸着剤は、例えば、MSS−5003Hおよびシリカシェル(Silica Shells)(両方ともコボ・プロダクツにより販売されている)などの高多孔率/空隙容量ヒュームドシリカ、例えば、商標名ヒューバーダーム(HUBERDERM)(商標)(J.M.ヒューバー(Huber)社)として販売されているケイ酸カルシウムのような高多孔率/空隙容量ケイ酸塩;ポリ−ポア(POLY-PORE)(登録商標)E−200(アムコールヘルス&ビューティソルーションズ(AMCOL Health & Beauty Solutions))として販売されているアリルメタクリレートコポリマーのようなメタクリレートポリマーを含む高多孔率/空隙容量高分子粒子吸着剤、およびポリトラップ(POLYTRAP)(登録商標)6603(エンハンスド・ダーム・テクノロジーズ(Enhanced Derm Technologies))として販売されているラウリルメタクリレート/グリコールジメタクリレートクロスポリマーのような架橋ジメタクリレートコポリマー;セルロビーズ(Cellulobeads)(登録商標)(コボ・プロダクツ(Kobo Products))のような高多孔率セルロースビーズ;およびこれらの混合物から成る群より選択されるが、これらに限定されない。
【0065】
本発明の合成ポリマーとしては、例えば、ポリアクリレートおよびポリメタクリレートなどのアクリルポリマー、および、例えばカルボマーまたはアクリレート/C10−C30アルキルアクリレートクロスポリマー(商標名カーボポール(CARBOPOL)(登録商標)(ノベオン(Noveon))として販売されているアクリルコポリマーおよびクロスポリマー、および、商標名ラピチックス(RAPITHIX)(商標)A−100(インターナショナル・スペシャリティ・プロダクツ(International Specialty Products))として販売されているポリアクリル酸ナトリウム;例えば、商標名アキュリン(ACULYN)(商標)(ローム・アンド・ハース社(Rohm and Haas Company))およびストラクチャー(STRUCTURE)(登録商標)(ナショナルスターチ・アンド・ケミカル社(National Starch and Chemical Company))として販売されているアルカリ可溶性/膨潤性エマルション(ASE)ポリマー、疎水変性アルカリ可溶性/膨潤性エマルション(HASE)ポリマー、および疎水変性エトキシ化ウレタン(HEUR)ポリマー;例えば、商標名ユーケア(UCAR)(登録商標)ポリフォーブ(POLYPHOBE)(登録商標)(ユニオンカーバイド社(Union Carbide Corporation))として販売されている疎水変性エトキシレートウレタンアルカリ可溶性/膨潤性エマルション(HUERASE)ポリマー;例えば、PVM/MAデカジエンクロスポリマー(商標名スタビリーズ(STABILEEZE)(登録商標)(インターナショナル・スペシャリティ・プロダクツ(International Specialty Products))として販売されているメチルビニルエーテルと無水マレイン酸のコポリマー;例えば、商標名ピュア−チックス(PURE-THIX)(登録商標)(スード・ケミー(Sud-Chemie))として販売されている疎水変性非イオン性会合性増粘剤;およびこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0066】
本発明の好ましい構造剤は、温度条件だけでなく、pH範囲および/または電解質条件を通じて、最も一貫性がある構造化および相溶性性能が得られるおよび維持できるものである。特に好ましいのは、変性(半合成)ゴムおよび抽出物、特にセルロース誘導体、親水性天然および合成粘土鉱物剤、並びに合成ポリマーの群からのものである。
【0067】
本発明の組成物は、本発明の少なくとも一つの構造化水性ポリマー粘着性相を粘弾性的に増粘するが固結しないために有効な量の少なくとも1つの構造剤を含み、本発明の少なくとも1つの脂肪相と相溶する。しかし本発明の組成物において、粘度、相溶性、耐熱性、または安定性に対する調和した特性または相乗的特性という利点を得るために、構造化水性ポリマー粘着性相内に2つ以上の構造剤を共に使用することが可能であり、およびいくらかの状況において、より好ましい可能性がある。
【0068】
脂肪相
本発明の組成物は、少なくとも1つの脂肪相を含む。少なくとも1つの脂肪相は、皮膚、唇、毛髪、および/または爪に適用したとき、塗布、感触、外観、およびコンディショニング特性のような分野において、望ましい特性を有する様々な脂質構成要素を供給できる媒質を有する組成物を提供する。目的とする製品用途に応じて、これらの特性としては、塗り広げやすさ、潤滑性、皮膚の軟化、保湿、および光沢(gloss)が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されない。少なくとも1つの脂肪相が欠如した化粧料組成物においては、水および/または多くの水相溶性成分は、一般にこのような特性を製品に付与するために必要な化学的および/または物理的特性が欠如しているので、このような特性は、一般に全く得られないかまたは効果的には得られない。さらに、脂肪相のための適した成分の選択は、例えば、液体、クリーム、ペースト、または固形などの獲得すべき様々な所望の最終製品形態をも可能にする。また脂肪相は、一般的に例えば、親油性保湿剤、ビタミン、皮膚活性剤、スキンケア成分、着色剤、増粘剤、日焼け止め剤、芳香剤、着香剤、防腐剤等の脂質構成要素と相溶する他の望ましい任意成分を分散および/または可溶化するために、都合がよく有効な媒質として役立つ。
【0069】
本発明の少なくとも1つの脂肪相は、全組成物の少なくとも約20重量%から、好ましくは少なくとも約30重量%から、より好ましくは少なくとも約40重量%から、さらにより好ましくは少なくとも約50重量%から、約99重量%以下、好ましくは約97重量%以下、より好ましくは約95重量%以下、さらにより好ましくは約93重量%以下、存在する。
【0070】
脂質構成要素
本発明の少なくとも1つの脂肪相は、少なくとも1つの脂質構成要素を含む。用語「脂質構成要素」とは、あらゆる親油性溶媒、油、脂、ワックス、脂肪酸エステル、脂肪族アルコール、脂肪酸、シリコーン、ラノリンまたはラノリン誘導体、並びに水不溶性または水不混和性の主に脂質様特性を有するあらゆる親油性高分子あるいは樹脂性材料を指す。このような物質は、鉱物、海洋生物、動物、植物、および/または合成品などの供給源から誘導されてもよく、極性および非極性、揮発性および不揮発性特性、およびこれらの混合物から選択することができる。この「脂質構成要素」は、室温(25℃)および大気圧(0.10MPa(760mmHg))において液状であってもよい。あるいは、ペースト、半固体または固体状態(室温および大気圧にて)であってもよく、構造化水性ポリマー粘着性相(A)と脂肪相(B)を組み合わせる目的で、その融点温度(一般的に100℃未満)を超えて加熱したとき、液状に変換し得る。
【0071】
本発明の組成物において、脂肪相の少なくとも1つの脂質構成要素は、室温(25℃)またはおよそ室温において、液状であってもよい。このような材料は、鉱物、海洋生物、動物、植物、および/または合成品などの供給源から誘導されてもよく、極性および非極性、揮発性および不揮発性特性、およびこれらの混合物から選択することができる。本明細書で使用する時、用語「揮発性親油性液体」とは、約0mmHgを超える、好ましくは約0.0001MPa(1mmHg)を超える、より好ましくは約0.0003MPa(2mmHg)を超える、最も好ましくは約0.0007MPa(5mmHg)を超える測定可能な蒸気圧を有し、室温(25℃)および大気圧(0.10MPa(760mmHg))にて液状であるあらゆる親油性(または脂質様)物質を指す。
【0072】
本発明において、揮発性親油性液体は、特に皮膚、毛髪、および/または爪上の塗布膜の適用およびセット(setting)特性を増強するように選択されてもよい。しかし、これまで言及されたように、高濃度の揮発性油/液体を使用する組成物は、一般的に、消費者が乾燥したおよび/またはピンと張ったように感じる、および消費者に乾燥した(艶消し/くすんだ)ように見える被膜を作る。ある製品使用において、とりわけリップカラーおよび/またはリップグロスの場合、これは、特に望ましくないまたは好ましくない。したがって、目的とする製品特性または要求される用途に依存して、全脂質構成要素の約50重量%未満、好ましくは全脂質構成要素の約30重量%未満、より好ましくは全脂質構成要素の約20重量%未満、さらにより好ましくは全脂質構成要素の約10重量%未満、最も好ましくは全脂質構成要素の0重量%に、揮発性親油性液体の使用を制限することが好ましい可能性がある。
【0073】
揮発性親油性液体は、揮発性炭化水素液体、揮発性シリコーン液体、揮発性フッ素化液体、およびこれらの混合物から成る群から選択されてもよい。これらの液体は、飽和および不飽和、直鎖および分枝鎖、脂肪族、脂環式、および芳香族構造、並びにそれらの組み合わせから選択されてもよい。
【0074】
揮発性炭化水素液体の非限定例としては、C8〜C16のイソアルカン(またはイソパラフィン)および、例えばイソドデカン、イソデカン、イソヘキサデカン、イソヘキシルネオペンタノエートなどの分枝状C8〜C16エステル、並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0075】
揮発性シリコーン液体の例としては、例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)、およびこれらの組み合わせなどの揮発性環状シリコーン液体;並びに例えば、オクタメチルトリシロキサン、ヘプタメチルトリシロキサン、ヘプタメチル−オクチルトリシロキサン、ヘプタメチル−ヘキシルトリシロキサン、およびこれらの混合物などの揮発性直鎖状シリコーン液体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0076】
揮発性フッ素化液体の例としては、ノナフルオロメトキシブタンおよびペルフルオロメチルシクロペンタンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0077】
本発明において、不揮発性親油性液体は、特に、皮膚、毛髪、および/または爪上の潤滑性、調湿、および塗布膜のつや(gloss)/光沢(shine)特性を増強するために、選択されてもよい。前述の揮発性油/液体と対照的に、高濃度の不揮発性油/液体を使用した組成物は、一般的に、消費者が湿ったおよび/または柔らかい、およびしなやかに感じる、並びに消費者が光沢のあるまたはつやつやした(shiny)/(glossy)ように見える被膜を作り出す。ある製品使用において、とりわけリップカラーおよび/またはリップグロスの場合、これは特に望ましいまたは好ましい。したがって、目的とする製品特性または要求される用途に応じて、不揮発性親油性液体の使用を最大にして、全脂質構成要素の約50重量%超過、好ましくは全脂質構成要素の約70重量%超過、より好ましくは全脂質構成要素の約80重量%超過、さらにより好ましくは全脂質構成要素の約90重量%超過、最も好ましくは全脂質構成要素の100重量%にすることが好ましい可能性がある。
【0078】
好ましい実施形態では、全脂質構成要素は、少なくとも約10重量%、好ましくは少なくとも約30重量%、より好ましくは少なくとも約60重量%、さらにより好ましくは少なくとも約80重量%、最も好ましくは100重量%の、少なくとも約1.450、好ましくは少なくとも約1.460、より好ましくは少なくとも約1.470、さらにより好ましくは少なくとも約1.480、最も好ましくは少なくとも約1.490の屈折率(20℃にて)を有する1種または複数種の不揮発性親油性液体から構成される。
【0079】
本明細書で使用する時、材料の「屈折率」は、空気中の光速と材料中の光速との比として定義される。一般的に、文献での屈折率の値は、ナトリウムのD線(589.0nmおよび589.6nmにおいて二重)でのものである。屈折率を測定するために、アッベ(Abbe)屈折計、または精密度が等しいまたはより高い他の屈折計を使用してもよい。
【0080】
不揮発性親油性液体は、不揮発性炭化水素液体、不揮発性シリコーン液体、不揮発性フッ素化液体、およびこれらの混合物から成る群から選択されてもよい。これらの液体は、飽和および不飽和、直鎖および分枝鎖、脂肪族、脂環式、および芳香族構造体、並びにそれらの組み合わせから選択されてもよい。
【0081】
不揮発性炭化水素液体の非限定例としては、例えば、ラノリン油などの動物由来のもの;例えば、ヘプタン酸のトリグリセリド、オクタン酸のトリグリセリド、小麦胚芽油、コーン油、ヒマワリ油、シアバター油、ヒマシ油、スイートアーモンド油、マカデミア油、アプリコット油、大豆油、菜種油、綿実油、アルファルファ油、ケシ油、カボチャ油、ゴマ油、マロー油、アボカド油、ハシバミの実油、ブドウの種油、クロフサスグリの種油、マツヨイグサ油、キビ油、大麦油、キヌア油、オリーブ油、ライ麦油、ベニバナ油、ククイノキ油、トケイソウ油、ムスクばら油、およびカプリル酸/カプリン酸のトリグリセリドを含む脂肪酸の液状トリグリセリドなどのような植物/野菜由来のもの;例えば、流動パラフィン、ポリデセン、および水素添加ポリブテン/ポリイソブテンなどの鉱物および合成品由来のもの;合成エステルおよびエーテル、例えば、式R1COOR2(ここで、R1は6〜29個の炭素原子を含む高級脂肪酸の残基から選択され、R2は3〜30個の炭素原子を含む炭化水素鎖から選択される)の油、例えば、セトステアリルオクタノエート、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、ブチルステアレート、ヘキシルラウレート、ジイソプロピルアジパート、イソノニルイソノナノエート、2−エチルヘキシルパルミテート、2−ヘキシルデシルラウレート、2−オクチルデシルパルミテート、2−オクチルドデシルミリステート、2−オクチルドデシルラクテートなど、およびポリオールエステル、例えば、プロピレングリコールジオクタノエート、ネオペンチルグリコールジヘプタノエート、ジエチレングリコールジイソノナノエート、およびペンタエリスリトールエステルなど;12〜26個の炭素原子の少なくとも1つの炭素鎖を含む液状脂肪族アルコール、例えば、オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、2−ヘキシルデカノール、2−ブチルオクタノール、および2−ウンデシルペンタデカノールなど;高級脂肪酸(例えば、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、およびイソステアリン酸など;およびこれらの混合物が挙げられる。
【0082】
不揮発性シリコーン液体の例としては、側枝および/またはシリコーン鎖の末端にアルキル基、アルコキシ基、およびフェニル基から選択される基を含み、2〜24個の炭素原子を含有するポリジメチルシロキサン(PDMSs);フェニルシリコーン、例えば、フェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン、2−フェニルエチルトリメチルシロキシシリケート、トリメチルペンタフェニルトリシロキサンなど;およびこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0083】
不揮発性フッ素化液体の例としては、ペルフルオロノニルジメチコンのようなフッ素化シリコーンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0084】
より閉塞性で、粘稠な、および/または構造化された製品(半固体および固体製品形態を含む)を調製するために、本発明の脂肪相は、組成物を所望の製品形態へと増粘するおよび/または固結するのに十分な量の1種または複数種の脂質固体形成材料から構成されてもよい。これらの脂質固体形成剤は、それらが、構造化水性ポリマー粘着性相の粘着性皮膜形成性に著しい影響を与えない濃度にて使用されるという条件で、本発明において使用されてもよい。前記脂質固体形成剤は、固体ポリオール脂肪酸ポリエステル、ワックス、固体油、およびこれらの混合物から成る群から選択される。
【0085】
本発明の脂肪相にて使用するのに適した固体ポリオール脂肪酸ポリエステルとしては、米国特許第6,555,097号(レーブ(Rabe)ら,2003年4月29日発行)に記載された固体ポリオール脂肪酸ポリエステル材料が挙げられる。
【0086】
ワックスは、室温(25℃)にて固体であり、一般に組成物中において、グリセリドを含有しないことを除いて、脂肪および油に類似している高分子量の有機混合物または化合物として定義される。高分子量炭化水素、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪族アルコール、およびこれらの混合物が挙げられる。本発明にて有用なワックスは、一般に当該技術分野において既知であるものから選択される。
【0087】
好適な高分子量脂肪酸は、約10〜約40個の炭素原子を有する。例としては、12−ヒドロキシステアリン酸、12−ヒドロキシラウリン酸、16−ヒドロキシヘキサデカン酸、ベヘン酸、ステアリン酸、カプリル酸、ラウリン酸、およびこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの好適な脂肪酸のさらなる例は、米国特許第5,429,816号(ホフリッチャ−(Hofrichter)ら、1995年7月4日発行);および米国特許第5,552,136号(モトリー(Motley)、1996年9月3日発行)に記載されている。
【0088】
好適な高分子量脂肪酸エステルとしては、エステルワックス、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、およびこれらの混合物が挙げられる。好適なエステルワックスの非限定例としては、ステアリルステアレート、ステアリルベヘネート、パルミチルステアレート、セテアリルベヘネート、およびベヘニルベヘネートが挙げられるが、これらに限定されない。これらの具体例としては、クローダ(Croda)からのクローダモール(CRODAMOL)SS、およびコスター・クーネン(Koster Keunen)からのケスターワックス(KESTER WAXES)が挙げられる。
【0089】
好適な高分子量脂肪族アルコールとしては、ニューフェーズ・テクノロジーズ(New Phase Technologies)からのパフォーマコール(PERFORMACOLS)(商標)のような約20〜約40個の炭素原子を有する一価アルコールが挙げられ、主要な乳化剤として機能しない。
【0090】
本発明の脂肪相にて有用な他のワックスは、動物ワックス、植物ワックス、鉱物ワックス、天然ワックスの様々な画分、合成ワックス、石油ワックス、エチレンポリマー、フィッシャー・トロプシュワックスのような炭化水素型、シリコーンワックス、およびこれらの混合物から成る群から選択される。ここで、ワックスは約30℃超過の融点を有する。本明細書で最も有用なワックスは、約30℃〜約115℃の融点を有する。
【0091】
使用するのに適したワックスとしては、蜜蝋、ラノリンワックス、セラックワックス(動物ワックス);カルナウバ、キャンデリラ、ヤマモモ(植物ワックス);オゾケライト、セレシン(鉱物ワックス);パラフィン、マイクロクリスタリンワックス(石油ワックス);ポリエチレン(エチレンポリマー)およびポリエチレンホモポリマー(フィッシャー・トロプシュワックス);ダウ・コーニング(Dow Corning)およびゼネラル・エレクトリック(General Electric)からのC30−45アルキルメチコン/ジメチコン、信越シリコーン(Shin-Etsu Silicones)からのアクリルシリコーンコポリマーのKP−560Pシリーズ(シリコーンワックス);およびこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0092】
本発明で有用な他のワックスは、例えば、フローラテク・アメリカ(Floratech Americas)から販売されているフローラエステルズ(FLORAESTERS)(登録商標)のようなホホバエステル;ニューフェーズ・テクノロジーズ(New Phase Technologies)から販売されているパフォーマレン(PERFORMALENE)(商標)ポリエチレンおよびパフォーマ(PERFORMA)V(商標)合成ポリマー;インターナショナル・スペシャリティ・プロダクツ(International Specialty Products)から商標名ガネックス(GANEX)(登録商標)として販売されているアルキル化ポリビニルピロリジン;クローダ(Croda)から販売されているシンクロワックス(SYNCROWAXES)(登録商標))、C22〜C50の脂肪族アルコール、およびこれらの混合物から成る群から選択される。合成ワックスとしては、ワースによるワックスの化学と技術(Warth, Chemistry and Technology of Waxes),パート2,1956,ラインホールド出版(Reinhold Publishing)に開示されているものが挙げられる。本明細書で有用なワックスは、C8〜C50の炭化水素ワックスから選択される。こうしたワックスとしては、二価アルコールと組み合わされたエチレンオキシドの長鎖ポリマー類、すなわちポリオキシエチレングリコールが挙げられる。このようなワックスとしては、カーバイド・アンド・カーボン・ケミカルズ社(Carbide and Carbon Chemicals Company)から入手可能なカーボワックス(CARBOWAX)(商標)が挙げられる。その他の合成ワックスとしては、鎖の末端部にOHまたは他の終了長基(stop length grouping)を有するエチレンの長鎖ポリマーが挙げられる。このようなワックスとしては、上記テキスト465〜469頁にて開示されたフィッシャー・トロプシュワックスが挙げられ、ロス社(Ross company)から入手可能なロスワックス(ROSSWAX)(商標)、およびアストー・ワックス社(Astor Wax Company)から入手可能なPT−0602が挙げられる。
【0093】
本明細書で有用な固体油は、約30℃超過から、好ましくは約37℃超過から、および約250℃未満まで、好ましくは約100℃未満まで、さらにより好ましくは約80℃未満までの融点を有するものである。本明細書で使用する時、用語「固体油」とは、約20℃〜約25℃の温度にて固体または半固体であり、25℃における水への溶解度が一般に約1重量%未満であるあらゆる油または油様物質を指す。好適な固体油の例としては、ペトロラタム、高級分枝状炭化水素、脂肪族アルコール、脂肪酸エステル、植物油、硬化植物油、ポリプロピレングリコール、α−ヒドロキシ脂肪酸、約10〜約40個の炭素原子を有する脂肪酸、ジ−および/またはトリ−塩基性カルボン酸のアルキルアミド、n−アシルアミノ酸誘導体、およびこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の脂肪相において有用な固体油は、さらに米国特許第4,919,934号(デックナー(Deckner)ら,1990年4月24日発行)に記載されている。
【0094】
本明細書に用いるのに適した高級分枝状炭化水素としては、約17〜約40個の炭素原子を有する炭化水素化合物が挙げられる。これらの炭化水素化合物の非限定例としては、スクアラン、コレステロール、ラノリン、ドコサン(すなわち、C22炭化水素)、およびイソパラフィンが挙げられる。
【0095】
また、約20℃〜約25℃の温度にて固体または半固体である植物油および硬化植物油も、本明細書で有用である。好適な植物油および硬化植物油の例としては、ババス油、カカオバター、ココヤシ油、パーム油、パーム核油、硬化ベニバナ油、硬化ヒマシ油、硬化ココヤシ油、硬化綿実油、硬化メンハーデン油、硬化パーム核油、硬化パーム油、硬化ピーナッツオイル、硬化大豆油、硬化菜種油、硬化亜麻仁油、硬化米糠油、硬化胡麻油、硬化ヒマワリ種子油、硬化マカデミアオイル、およびこれらの誘導体、並びにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0096】
本明細書に用いるのに適したポリプロピレングリコールとしては、ポリプロピレングリコールのC4−C16アルキルエーテル、およびポリプロピレングリコールのC1−C16カルボン酸エステルが挙げられる。これらの物質の非限定例としては、PPG−14ブチルエーテル、PPG−15ステアリルエーテル、PPG−9、PPG−12、PPG−15、PPG−17、PPG−20、PPG−26、PPG−30、PPG−34、およびこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0097】
本明細書にて用いるのに適したジ−および/またはトリ−塩基性カルボン酸のアルキルアミドとしては、二置換または分枝状モノアミド、単一置換または分枝状ジアミド、トリアミド、およびこれらの混合物が挙げられる。ジ−およびトリ−塩基性カルボン酸のアルキルアミドのいくつかの特定の例としては、クエン酸、トリカルバリル酸、アコニット酸、ニトリロ三酢酸、およびイタコン酸のアルキルアミド、例えば、1,2,3−プロパントリブチルアミド、2−ヒドロキシ−1,2,3−プロパントリブチルアミド、1−プロペン−1,2,3−トリオクチルアミド、N,N’,N”−トリ(メチルデシルアミド)アミン、2−ドデシル−N,N’−ジブチルサクシンアミド、並びにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。他の好適なアミドとしては、米国特許第5,429,816号(ホフリッチャ−(Hofrichter)ら,1995年7月4日発行)に記載されたn−アシルアミノ酸誘導体が挙げられる。
【0098】
任意成分
また本発明の組成物は、増粘剤、脂肪可溶性/脂肪分散性皮膜形成剤、着色剤、充填剤(fillers)/増量剤(bulking agents)、活性剤およびこれらの混合物を含む1種または複数種の下記の任意成分を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0099】
増粘剤
また本発明の化粧料組成物は、少なくとも1つの脂肪相中に、顔料をけん濁できるおよび/または粘度を構築できる少なくとも1つの増粘剤または構造ビルダーを含んでもよい。本発明にて有用な増粘剤および/または構造ビルダーとしては、有機変性粘土、ヒュームドシリカ、トリヒドロキシステアリン、シリコーンゲルまたはシリコーンエラストマー、およびこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0100】
本発明にて有用な有機変性粘土としては、ヘクトライト、ベントナイト、スメクタイトおよびモンモリロナイト粘土の有機変性バージョン(例えば、エレメンティーズ・スペシャリティーズ(Elementis Specialties)からベントン(BENTONE)(登録商標)、ズード・ケミー(Sud-Chemie)からチキソゲル(TIXO-GEL)(登録商標)、およびサザン・クレイ・プロダクツ(Southern Clay Products)からクレイトーン(CLAYTONE)(登録商標)の商標名で販売されているもの)が挙げられるが、これらに限定されない。親水性変性ヒュームドシリカとしては、ワッカー(WACKER)HDK(登録商標)N20およびT30グレード(ワッカーケミー(Wacker-Chemie))、および商標名アエロジル(AEROSIL)(登録商標)(デグサ(Degussa)AG)の親水性グレード)が挙げられるが、これらに限定されない。シリコーンゲルまたはシリコーンエラストマーとしては、信越シリコーン(Shin-Etsu Silicones)からの「KSG」増粘シリーズ(KSG−15、KSG−16、KSG−18、KSG−41、KSG−42、KSG−43、KSG−44);ダウ・コーニング(DOW CORNING)からのダウ・コーニング(DOW CORNING)(登録商標)9040、9041、9045、および9546シリコーンエラストマーブレンド;GEシリコーン(Silicones)からのSFE839(商標)、SFE818(商標)、およびベルベジル(Velvesil)(商標)シリコーンゲル;並びにワッカーケミー(Wacker-Chemie)からのワッカーベルジル(WACKER-BELSIL)(登録商標)RG−100が挙げられるが、これらに限定されない。
【0101】
脂肪可溶性/脂肪分散性皮膜形成剤
また本発明の化粧料組成物は、少なくとも1つの脂肪相中に可溶性および/または分散性である少なくとも1つの皮膜形成剤を含んでもよい。これらの脂肪可溶性/脂肪分散性皮膜形成剤は、本発明の長期装着および/または光沢(gloss)特性をさらに増強するために、少なくとも1つの脂肪相内に包含されてもよい。
【0102】
本明細書にて使用するのに適した脂肪可溶性/脂肪分散性皮膜形成剤としては、有機シリコーン樹脂(例えば、GEシリコーン(Silicones)からのSR1000のようなトリメチルシロキシシリケート)および有機シリコーン樹脂のコポリマー(例えば、GEシリコーン(Silicones)からのSF1318のようなジイソステアリルトリメチロールプロパンシロキシケイ酸塩);フッ素化シリコーン樹脂;シリコーンおよび/またはフッ素化バージョンを含むアクリルおよび/またはビニル系ポリマーまたはコポリマー(例えば、信越シリコーン(Shin-Etsu Silicones)からのシリコーンアクリレートの「KP」シリーズ)、および3M(商標)シリコーン「プラス(Plus)」ポリマーVS70およびSA70);ポリウレタン(例えば、アルゾ・インターナショナル(Alzo International)からのヒドロキシエステルトリグリセリド誘導ポリダーム(Polyderm)(登録商標)シリーズ);ポリエステル(例えば、イノレックス・ケミカル社(Inolex Chemical Company)からのポリマーポリエステルのレキソレズ(Lexorez)(登録商標)シリーズ);およびこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0103】
着色剤
本明細書にて使用するのに適した着色剤としては、化粧料組成物にて使用するのに適した鉱物顔料またはパール顔料を含む全ての無機および有機色素/顔料が挙げられる。このような着色剤としては、表面コーティングまたは処理がされているものかまたはされていないものが挙げられる。
【0104】
本発明の組成物は、特定の製品に対してユーザーが要求する着色の種類および強度、および/または光散乱効果、および/または光反射効果を提供するのに十分な量の少なくとも1つの着色剤を含有してもよい。理論によって制限されないが、本明細書において着色剤は、全組成物に対して最高で約20重量%までの濃度で使用され、好ましくは少なくとも本発明の1つの脂肪相中に含まれる。
【0105】
好ましい無機顔料としては、二酸化チタン(アナターゼ型またはルチル型)、酸化亜鉛、酸化鉄、フェロシアン化鉄アンモニウム、マンガンバイオレット、群青、および酸化クロムグリーンが挙げられる。
【0106】
有機色素/顔料は、通常、アルミニウム、バリウム、カルシウム、またはストロンチウム塩またはレーキである。レーキは、固形希釈剤で伸ばされる若しくは薄められる顔料、または、通常はアルミニウム水和物である吸着性の表面上に水溶性染料を沈着させることによって調製される有機顔料のいずれかである。酸性染料または塩基性染料からの不溶性塩の沈着によってもレーキが形成される。本明細書ではカルシウムレーキおよびバリウムレーキも使用される。食品、医薬品および化粧品用および/または医薬品および化粧品用指定に基づいて、アメリカの米国食品医薬品局に認定されたものが特に好ましい。
【0107】
本発明の好ましいレーキは、赤色3号アルミニウムレーキ、赤色21号アルミニウムレーキ、赤色27号アルミニウムレーキ、赤色28号アルミニウムレーキ、赤色33号アルミニウムレーキ、黄色5号アルミニウムレーキ、黄色6号アルミニウムレーキ、黄色10号アルミニウムレーキ、橙色5号アルミニウムレーキおよび青色1号アルミニウムレーキ、赤色6号バリウムレーキ、赤色7号カルシウムレーキ、赤色30号タルクレーキ、並びに赤色30号アルミニウムレーキである。
【0108】
赤色6号、赤色21号、赤色27号、青色1号、橙色5号、および緑色5号染料を含む、食品、医薬品および化粧品用および/または医薬品および化粧品用指定関連染料などの他の着色剤も同様に、組成物中に含むことができる。好ましい鉱物顔料およびパール顔料としては、白色顔料および有色顔料の両方が挙げられる。白色鉱物顔料および白色パール顔料の例としては、雲母チタン(二酸化チタン被覆雲母)、およびオキシ塩化ビスマスが挙げられる。有色鉱物顔料および有色パール顔料の例としては、酸化鉄含有雲母チタン、有機色素含有雲母チタン、酸化クロムまたは酸化アルミニウム含有雲母チタン、フェロシアン化鉄アンモニウム含有雲母チタン、並びにカルミン含有雲母チタンが挙げられる。
【0109】
充填剤(Fillers)/増量剤(Bulking Agents)
脂肪相中に使用するのに適した充填剤は、無機または有機であってもよく、より一定の着色および/または性能特性を維持するのを助けるための補足成分として、組成物中に組み込まれてもよい。このような充填剤/増量剤の例としては、タルク、雲母、シリカ、窒化ホウ素、ナイロン(登録商標)で作られたもののような高分子粉体、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)のようなアクリレートポリマー/コポリマー、並びにポリメチルシルセスキオサン(例えば、GEシリコーン(Silicones)から商標名トスパール(TOSPEARL)(登録商標)として販売されている)およびシルセスキオキサンクロスポリマー(例えば、信越シリコーン(Shin-Etsu Silicones)により販売されている「KSP」シリーズ)のようなシリコーン粉末、並びにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0110】
活性剤
本明細書にて使用するのに適した活性剤としては、皮膚、唇、毛髪、および/または爪の手入れおよび/または処理を提供できるものが挙げられる。このような成分の例としては、UVA/UVB日焼け止め剤、美白剤/漂白剤、日焼け剤/着色剤、ビタミン、制汗剤/防臭剤、抗ニキビ剤、抗老化剤、抗しわ剤、抗炎症剤、酸化防止剤、抗菌剤、抗真菌剤、およびこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0111】
本発明の組成物に使用してもよい、化粧品分野での使用が認可された数多くの他の成分がある。このような成分は、化粧品中での使用が認可されたものであり、CTFA国際化粧品成分便覧(International Cosmetic Ingredient Handbook)、第10版(米国化粧品工業会、2004)のような参考図書内に列記されて見られる。前記物質は、それが一旦塗布され、皮膚、毛髪、および/または爪上に被膜が形成されたら、それらを含むことが組成物に著しく支障をきたさないという条件で使用されてもよい。前記成分としては、防腐剤、芳香剤、着香油、等が挙げられる。低アレルゲン性組成物が、芳香剤、着香油、ラノリン、日焼け止め剤(特にPABA)、または他の感覚剤および刺激剤を含有しない場合には、前記の組成物を本発明内に取り込むことができる。
【0112】
組成物レオロジー
本発明の好ましい実施形態では、最終組成物は、塗布/塗り広げ、耐久性/長期装着、および/または安定性に関する最も望ましい一連の特性を得るために、特定の範囲のレオロジー的特性を有する。
【0113】
好ましい実施形態では、本発明の組成物は、低剪断速度(すなわち、1s-1〜10s-1の範囲)において、少なくとも約4Pa・s(4,000cP)から、好ましくは少なくとも約6Pa・s(6,000cP)から、より好ましくは少なくとも約8Pa・s(8,000cP)から、さらにより好ましくは少なくとも約10Pa・s(10,000cP)から、最も好ましくは少なくとも約12Pa・s(12,000cP)から、約2,000Pa・s(2,000,000cP)以下、好ましくは約1,000Pa・s(1,000,000cP)以下、より好ましくは約600Pa・s(600,000cP)以下、さらにより好ましくは約400Pa・s(400,000cP)以下、最も好ましくは約200Pa・s(200,000cP)以下の粘度(25℃)を有する。
【0114】
好ましい実施形態では、本発明の組成物は、高剪断速度(すなわち、400s-1〜500s-1の範囲)において、少なくとも約0.5Pa・s(500cP)から、好ましくは少なくとも約1Pa・s(1,000cP)から、より好ましくは少なくとも約1.5Pa・s(1,500cP)から、約15Pa・s(15,000cP)以下、好ましくは約10Pa・s(10,000cP)以下、より好ましくは約7Pa・s(7,000cP)以下、最も好ましくは約5Pa・s(5,000cP)以下の粘度(25℃)を有する。
【0115】
好ましい実施形態では、本発明の組成物は、1Hzの固定振動数における線形粘弾性領域(LVR)にて、少なくとも約100Paから、好ましくは少なくとも約200Paから、より好ましくは少なくとも約400Paから、さらにより好ましくは少なくとも約600Paから、約500×103Pa以下、好ましくは約400×103Pa以下、より好ましくは約300×103Pa以下、さらにより好ましくは約200×103Pa以下の弾性率(G’)(25℃)を有する。
【0116】
好ましい実施形態では、本発明の組成物は、1Hzの固定振動数における線形粘弾性領域(LVR)にて、少なくとも約30Paから、好ましくは少なくとも約100Paから、より好ましくは少なくとも約150Paから、さらにより好ましくは少なくとも約200Paから、約200×103Pa以下、好ましくは約150×103Pa以下、より好ましくは約100×103Pa以下、さらにより好ましくは約80×103Pa以下の粘性率(G”)(25℃)を有する。
【0117】
好ましい実施形態では、1Hzの固定振動数におけるLVRにて、本発明の組成物のG”/G’比(またはtanδ)は、少なくとも約0.1から、好ましくは少なくとも約0.2から、より好ましくは少なくとも約0.25から、約1.0以下、好ましくは約0.9以下、より好ましくは約0.8以下である。
【0118】
本明細書にて述べたように、脂肪相と組み合わされるまたは脂肪相中に分散されると、粘弾性的構造化および粘着性皮膜形成性の組み合わせは、目的とする適用領域からの移動に耐えることができ、一般に皮膚、毛髪、または爪からの塗布膜の除去を引き起こすであろう物理的および化学的傷害の原因(例えば、摩擦、洗浄、飲用、および食事など)に耐えることができる長期装着化粧料組成物を形成する。この組み合わせは、1Hzの固定振動数におけるLVRにて、本発明の組成物のG”/G’(またはtanδ)に影響を与えるので、長期装着化粧料組成物のtanδは脂肪相単独のtanδ未満である。
【0119】
使用方法/適用方法
少なくとも1つの構造化水性ポリマー粘着性相と、少なくとも1つの脂肪相とを組み合わせると、本発明の長期装着化粧料組成物が得られる。
【0120】
1つの容認可能な実施形態では、脂肪相および構造化水性ポリマー粘着性相は、組み合わされ、均質に混合され、長期に渡り安定な複合組成物のままである単一複合組成物になる。「均質」とは、構造体および組成物において、巨視的に均一であることを意味する。「安定な」とは、室温(25℃)および大気圧(0.10MPa(760mmHg))にて保存されたとき、数ヶ月間から数年間、分離なし(または、非常にわずかな分離のみ)で、均質および機能的なままであり得ることを意味する。この特定の実施形態では、複合組成物は、液状であるだけでなく、様々な異なる製品形態(例えば、クリーム、ペースト、および固体)をとってもよい。液化するのに十分に加熱されたとき、室温でペースト様および/または固体である脂質構成要素は、有意濃度で構造化水性ポリマー粘着性相と均質に混合でき、続いて、組成物が冷却されるとき、ペースト様および/または固形製品形態が製造され得る。この特定の実施形態において、単一の複合組成物は、このように製造可能であり、いかなるさらなる混合または製品均一性の維持をもなしに、長期に渡り消費者に繰り返し使用され得る。選択された製品形態を供給するのに適した、皮膚、毛髪、および/または爪へのあらゆる製品適用手段が利用可能である。このような手段としては、スティック、ポマード、ブラシ、剛毛棒(bristled wands)、鹿脚棒(doe foot wands)、スポンジ、パッド、スクイーズ・チューブ、液体分注ポンプ、および液体分注ペンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0121】
もう一つの容認可能な実施形態では、脂肪相および構造化水性ポリマー粘着性相は、組み合わされ、長期に渡り安定なままではないが、消費者による使用/適用の時点で再び容易に再混合され得る単一複合組成物になるまで均一に混合される。しかし、この実施形態自体は固体製品形態を取るために役立たない。この特定の実施形態では、単一複合組成物は、依然としてこのようにして製造され得るが、消費者による使用/適用の時点で、組成物の再混合のための適切な手段が必要である。このような手段としては、ブラシ、剛毛棒(bristled wands)、および鹿脚棒(doe foot wands)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0122】
さらにもう一つの容認可能な実施形態では、脂肪相および構造化水性ポリマー粘着性相は、分離したままであるが、消費者による使用/適用の時点で、相が組み合わされ、単一複合組成物になるまで均一に混合されるというシステムまたはキットとして使用される。しかし、この実施形態自体は固体製品形態を取るために役立たない。この特定の実施形態では、相は互いに独立して製造された後、不透過性膜、固体物理的障壁、または格納容器のような方法により分離された相を維持するように包装される。消費者による使用/適用の時点で、各相の必要な部分は、独立してまたは同時に、消費者の動作(例えば、絞り、加圧、ねじり)により供給され、皮膚、毛髪、および/または爪への適用の直前にまたは適用の時点で、もう一方と直接接触および混合(例えば、押出、攪拌による)される。
【0123】
試験方法
以下の章は、本発明の好ましい実施形態のために記載された関連のある特徴を決定するために使用される器具類および試験方法の詳述を提供する。
【0124】
特に明記しない限り、全てのレオロジー試験は、温度制御のためにサーモハッケ(ThermoHaake)DC30サーモコントローラー(Thermocontroller)およびK20循環水浴(Circulating Water Bath)と組み合わせて、レオウィン・プロ・ジョブ・マネージャー・ソフトウェア(Rheowin Pro Job Manager software)(バージョン2.93)を操作しながらサーモハッケ(ThermoHaake)RS300モデル・レオメーターを使用して実行される。
【0125】
また、本発明の構造化水性ポリマー粘着性相を評価する過程で、非常に低い相対湿度(すなわち、40%未満、特に30%未満)は、試験期間中に、しばしばプレートエッジ周辺の材料の急速な蒸発および乾燥を引き起こすであろうことが観察されたことに留意することも重要である。工程が、器具類周辺で適正な相対湿度(すなわち、35%〜60%、好ましくは40%〜60%)を構築しないならば、試験中、エッジ効果が増し、および材料のレオロジー的特性の明らかな変化を引き起こした。
【0126】
粘度曲線(定常剪断レオメータ − 制御速度回転)
構造化水性ポリマー粘着性相のために、変化する剪断速度の関数としての粘度応答が、以下の方法および条件により決定される:
1.「PP20Ti」センサー(チタン平行プレート、直径20mm)を、20mm以上のベース測定プレートと組み合わせて使用する。測定プロセスの全体に渡って、プレート間のギャップ内の製品の最も一貫した接触を維持するために、一般的に35mmのベース測定プレートを使用する。
2.一定の25℃±0.2℃を維持するようプログラムされた温度制御装置を用い、「ゼロポジション」ギャップを規定するためにプレートを該ギャップに接触させた後、試料を充填できるように移動させ離す。
3.小さなステンレス鋼スパチュラを使用して試料をベース測定プレート上に充填し、ベース測定プレートを上げ、PP20Tiセンサーとの0.100mmギャップを得る。
4.ギャップを得たら、センサー位置に支障をきたさないように、スパチュラの真直な端部を使用して、センサープレートのエッジから余剰材料を注意深く除去する(直定規スパチュラをセンサーエッジおよびベース測定プレートに接触させて置き、センサー周辺の連続的なストロークで半径方向に外向きにゆっくり引き出し、エッジ周辺から余剰材料を除去する)。
5.余剰材料を除去したら、60秒間で0s-1から500s-1まで、線形(または対数)制御速度走査を実行し、最低90個のデータポイントを収集し、続いて直ちに60秒間で500s-1から0s-1まで、線形(または対数)制御速度走査を実行し、最低90個のデータポイントを収集する。剪断速度の関数としての粘度応答のための得られたデータは、線状−線状またはログ−ログ目盛基準の図として見る。
6.試料測定が完了したら、プレートを移動させて離して材料を完全に取り除き(イソプロピルアルコール/水混合物を使用)乾燥する。精密で再現可能な一連の結果を得るために、必要に応じて各試料について、別の材料でプロセスを再び繰り返す(一般的に少なくとも2〜3回)。
【0127】
全組成物のために、変化する剪断速度の関数としての粘度応答が、以下の方法および条件により決定される:
1.「PP20Ti」センサー(チタン平行プレート、直径20mm)を、20mm以上のベース測定プレートと組み合わせて使用する。測定プロセスの全体に渡って、プレート間のギャップ内の製品の最も一貫した接触を維持するために、一般的に35mmのベース測定プレートを使用する。
2.一定の25℃±0.2℃を維持するようプログラムされた温度制御装置を用い、「ゼロポジション」ギャップを規定するために、プレートを該ギャップに接触させた後、試料を充填できるように移動させ離す。
3.小さなステンレス鋼スパチュラを使用して試料をベース測定プレート上に充填し、ベース測定プレートを上げ、PP20Tiセンサーとの0.100mmギャップを得る。
4.一連のギャップにて、センサー位置に支障をきたさないように、スパチュラの真直な端部を使用して、センサープレートのエッジから余剰材料を注意深く除去する(直定規スパチュラをセンサーエッジおよびベース測定プレートに接触させて置き、センサー周辺の連続的なストロークで半径方向に外向きにゆっくり引き出し、エッジ周辺から余剰材料を除去する)。
5.余剰材料を除去したら、120秒間で0s-1から500s-1まで、線形(または対数)制御速度走査を実行し、最低90個のデータポイントを収集し、続いて直ちに120秒間で500s-1から0s-1まで、線形(または対数)制御速度走査を実行し、最低90個のデータポイントを収集する。剪断速度の関数としての粘度応答のための得られたデータは、線状−線状またはログ−ログ目盛基準の図として見る。
6.試料測定が完了したら、プレートを移動させて離して材料を完全に取り除き(イソプロピルアルコール/水混合物を使用)乾燥する。精密で再現可能な一連の結果を得るために、必要に応じて各試料について、別の材料でプロセスを再び繰り返す(一般的に少なくとも2〜3回)。
【0128】
動的振動応力走査
構造化水性ポリマー粘着性相のために、固定振動数での増加する応力の関数としての弾性率(G’)および粘性率(G”)応答が、以下の方法および条件に従って、振動モードでの増加剪断応力により決定される:
1.「PP20Ti」センサー(チタン平行プレート、直径20mm)を、20mm以上のベース測定プレートと組み合わせて使用する。この場合、プレート間のギャップ内の製品の一貫した接触が維持されることが分かったので、測定プロセスの全体に渡って、20mmのベース測定プレートを一般的に使用する。
2.一定の25℃±0.2℃を維持するようプログラムされた温度制御装置を用い、「ゼロポジション」ギャップを規定するために、プレートを該ギャップに接触させた後、試料を充填できるように移動させ離す。
3.小さなステンレス鋼スパチュラを使用して試料をベース測定プレート上に充填し、ベース測定プレートを上げ、PP20Tiセンサーとの0.100mmギャップを得る。
4.一連のギャップにて、センサー位置に支障をきたさないように、スパチュラの真直な端部を使用して、センサープレートのエッジから余剰材料を注意深く除去する(直定規スパチュラを、ベース測定プレートに接触させて置き、センサー周辺の連続的なストロークでゆっくり引き出し、エッジ周辺から余剰材料を除去する)。
5.余剰材料を除去したら、1Hzの振動数で0.10Paまたは1.00Paから(与えられた試料固有の粘度に依存して)、1000Paまで、「最適化(optimized)」繰り返しを使用して、制御応力スウィープを実行し、対数ステップで最低20個のデータポイントを収集する。与えられた応力の関数としてのG’、G”応答のための得られたデータは、ログ−ログスケーリング目盛基準の図として見る。
6.試料測定が完了したら、プレートを移動させて離して材料を完全に取り除き(イソプロピルアルコール/水混合物を使用)乾燥する。精密で再現可能な一連の結果を得るために、必要に応じて各試料について別の材料でプロセスを再び繰り返す(一般的に少なくとも2〜3回)。
【0129】
全組成物のために、固定振動数での増加する応力の関数としての弾性率(G’)および粘性率(G”)応答が、以下の方法および条件に従って、振動モードでの増加する剪断応力により決定される:
1.「PP20Ti」センサー(チタン平行プレート、直径20mm)を、20mm以上のベース測定プレートと組み合わせて使用する。この場合、プレート間のギャップ内の製品の一貫した接触が維持されることが分かったので、測定プロセスの全体に渡って、20mmのベース測定プレートを一般的に使用する。
2.一定の25℃±0.2℃を維持するようプログラムされた温度制御装置を用いて、「ゼロポジション」ギャップを規定するために、プレートを該ギャップに接触させた後、試料を充填できるように移動させ離す。
3.小さなステンレス鋼スパチュラを使用して試料をベース測定プレート上に充填し、ベース測定プレートを上げ、PP20Tiセンサーとの0.100mmギャップを得る。
4.一連のギャップにて、センサー位置に支障をきたさないように、スパチュラの真直な端部を使用して、センサープレートのエッジから余剰材料を注意深く除去する(真直な端部スパチュラを、ベース測定プレートに接触させて置き、センサー周辺の連続的なストロークでゆっくり引き出し、エッジ周辺から余剰材料を除去する)。
5.余剰材料を除去したら、1Hzの振動数で0.10Paまたは1.00Paから(与えられた試料固有の粘度に依存して)、2000Paまで、「最適化(optimized)」繰り返しを使用して、制御応力走査を実行し、対数ステップで最低30個のデータポイントを収集する。与えられた応力の関数としてのG’、G”応答のための得られたデータは、ログ−ログ目盛基準の図として見る。
6.試料測定が完了したら、プレートを移動させて離して材料を完全に取り除き(イソプロピルアルコール/水混合物を使用)乾燥する。精密で再現可能な一連の結果を得るために、必要に応じ各試料について別の材料でプロセスを再び繰り返す(一般的に少なくとも2〜3回)。
【実施例】
【0130】
次の実施例は、本発明の特許請求される化粧品組成物を例示するが、これらに限定されるものではない。
【0131】
構造化水性ポリマー粘着性相の実施例
以下の実施例は、構造剤と本発明の粘着性皮膜形成ポリマー粒子の水性分散物とを組み合わせることにより調製される構造化水性ポリマー粘着性相の代表例である。十分な分散およびこの相の構造化が生じるまで、従来のミキサーにて連続的に混合しながら、構造剤を徐々に添加する:
【0132】
【表1】

1ポリダーム(Polyderm)PE−PA(アルゾ・インターナショナル社(Alzo International, Inc.))
2セコール(Cekol)30,000(ノヴィアント社(Noviant, Inc.))
3ポリポア(POLYPORE)(登録商標)E−200(アムコール・ヘルス&ビューティ・ソルーションズ社(AMCOL Health & Beauty Solutions, Inc.)
4シリカシェル(Silica Shells)(コボ・プロダクツ社(Kobo Products, Inc.))
5ラポナイト(LAPONITE)(登録商標)XLG(サザン・クレイ・プロダクツ社(Southern Clay Products, Inc.))
【0133】
実施例5および実施例6−長期装着リップカラーまたはリップグロス
長期装着リップカラーまたはリップグロスは、以下のように、構造化水性ポリマー粘着性相(A部)および脂肪相(B部)を組み合わせることにより調製される:
【0134】
【表2】

【0135】
A部
適当な大きさの容器内において、実施例1の構造化水性ポリマー粘着性相を調製する。十分な分散およびこの相の構造化が生じるまで、従来のミキサーにて連続的に混合しながら、容器中でポリエーテル−ポリウレタンの水性分散物から始め、カルボキシメチルセルロースナトリウムを徐々に添加する。
【0136】
B部
ヒマシ油を含有する適当な大きさの容器中にて、十分な濡れおよび/または分散が生じるまで、従来のミキサーにて混合しながら、着色剤を徐々に添加する。必要であれば、この混合物に従来の湿式粉砕または製粉技術(例えば、3ロールミル、媒体ミル)を使用することにより、着色剤のさらなる粒子サイズ減少がなされてもよい。
【0137】
実施例5の組成物は、適当な大きさの容器中にて、完成したA部と完成したB部とを組み合わせ、均質になるまで混合することにより、調製される。
【0138】
実施例6の組成物は、適当な大きさの容器中にて、混合した(または粉砕した)着色剤/ヒマシ油の混合物を、キャンデリラワックスおよび防腐剤とまず初めに組み合わせることにより、調製される。これらの成分を、ワックスが完全に融解し、B部が均質になるまで、攪拌しながら80℃〜85℃に加熱する。その後、完成したA部を完成したB部と組み合わせ、均質になるまで混合する。その後、実施例6の組成物を、コンテナまたはパッケージに充填し、それから、急速に冷却(chilled)/冷却(cooled)する、または室温に戻るまで緩やかに冷却する。
【0139】
「発明を実施するための最良の形態」で引用したすべての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、どの文献の引用も、それが本発明に関する先行技術であるとの容認と解釈されるべきではない。この文書における用語のあらゆる意味または定義が、本明細書に参照として組み込まれる文献における用語のあらゆる意味または定義と対立する範囲内においては、本文書における用語に与えられた意味または定義が適用されるものとする。
【0140】
本発明の特定の実施形態が説明および記載されてきたが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく他の様々な変更および修飾を行えることが当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更および修飾を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)i)少なくとも1つの、粘着性皮膜形成ポリマー粒子の水性分散物;および
ii)構造化水性ポリマー粘着性相を、粘弾性的に増粘するが固結しないために有効な量の少なくとも1つの構造剤
を含む少なくとも1つの構造化水性ポリマー粘着性相と、
(B)少なくとも1つの脂質構成要素を含む少なくとも1つの脂肪相と
を含む化粧料組成物であって、
(A)は(B)と組み合わされるときに相溶性であって、長期装着化粧料組成物の粘度が(B)単独の粘度よりも高く、長期装着化粧料組成物のtanδ値が(B)単独のtanδ値未満であるように長期装着化粧料組成物を形成することを特徴とする化粧料組成物。
【請求項2】
構造化水性ポリマー粘着性相(A)が、脂肪相(B)中に分散しており、耐熱性であることを特徴とする請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項3】
化粧料組成物に、乳化剤が存在しないことを特徴とする請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項4】
構造化水性ポリマー粘着性相(A)が、組成物の1重量%〜80重量%であることを特徴とする請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項5】
構造化水性ポリマー粘着性相(A)が、低剪断速度にて2Pa・s〜60Pa・s、および高剪断速度にて0.5Pa・s〜5Pa・sの粘度を有することを特徴とする請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項6】
構造化水性ポリマー粘着性相が、25℃および1Hzの固定振動数における線形粘弾性領域にて、5Pa〜100Paの弾性率(G’)、および15Pa〜300Paの粘性率(G”)を有することを特徴とする請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項7】
構造化水性ポリマー粘着性相が、25℃および1Hzの固定振動数における線形粘弾性領域にて、1.5〜5.5のG”/G’比(tanδ)を有することを特徴とする請求項6に記載の化粧料組成物。
【請求項8】
粘着性皮膜形成ポリマー粒子の水性分散物が、組成物の0.5重量%〜30重量%の粘着性皮膜形成ポリマー粒子を含むことを特徴とする請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項9】
粘着性皮膜形成ポリマー粒子の水性分散物が、組成物の10重量%以下の揮発性有機化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項10】
粘着性皮膜形成ポリマー粒子の水性分散物が、ホモポリマー、ヘテロポリマー、コポリマー、およびそれらの混合物から成る群から選択される粘着性皮膜形成ポリマー粒子を含むことを特徴とする請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項11】
粘着性皮膜形成ポリマー粒子が、アクリルポリマーおよびコポリマー、ビニルポリマーおよびコポリマー、ビニル−アクリルコポリマー、スチレン−アクリルコポリマー、シリコーン−アクリル、並びにそれらの混合物から成る群から選択されることを特徴とする請求項10に記載の化粧料組成物。
【請求項12】
粘着性皮膜形成ポリマー粒子が、ポリウレタン、ポリウレア、ポリウレア−ポリウレタン、ポリエステル−ポリウレタン、ポリエーテル−ポリウレタン、ポリビニルピロリドン−ポリウレタン、アクリル−ポリウレタン、シリコーン−ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエステルアミド、エポキシエステル樹脂、およびそれらの混合物から成る群から選択されることを特徴とする請求項10に記載の化粧料組成物。
【請求項13】
粘着性皮膜形成ポリマー粒子が、粘着性皮膜形成ポリマー粒子の水性分散物の10重量%〜50重量%であることを特徴とする請求項10に記載の化粧料組成物。
【請求項14】
構造剤が、組成物の0.01重量%〜5重量%を構成し、天然ゴムおよび抽出物、変性ゴムおよび抽出物、親水性の天然および合成ケイ酸塩粘土、疎水性シリカ、無機及び高分子多孔質微粒子吸着剤、合成ポリマー、並びにそれらの混合物から成る群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項15】
脂肪相(B)が、組成物の20重量%〜99重量%であることを特徴とする請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項16】
脂肪相(B)の脂質構成要素が、極性液体、非極性液体、揮発性液体、不揮発性液体、およびそれらの混合物から成る群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項17】
脂質構成要素が、揮発性液体およびそれらの混合物から成る群から選択され、脂質構成要素の50重量%未満の揮発性液体を含むことを特徴とする請求項16に記載の化粧料組成物。
【請求項18】
脂質構成要素が、不揮発性液体およびそれらの混合物から成る群から選択され、脂質構成要素の50重量%超過の不揮発性液体を含むことを特徴とする請求項16に記載の化粧料組成物。
【請求項19】
不揮発性液体が、20℃において少なくとも約1.450の屈折率を有し、脂質構成要素の少なくとも約10重量%の不揮発性液体を含むことを特徴とする請求項16に記載の化粧料組成物。
【請求項20】
脂肪相(B)が、固体ポリオール脂肪酸ポリエステル、ワックス、固体油、およびそれらの混合物から成る群から選択される1種または複数種の脂質固体形成材料から構成されることを特徴とする請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項21】
増粘剤、脂肪可溶性/脂肪分散性皮膜形成剤、着色剤、充填剤/増量剤、活性剤、防腐剤、芳香剤、着香剤、およびそれらの混合物から成る群から選択される追加薬剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項22】
長期装着化粧料組成物が、低剪断速度にて4Pa・s〜2000Pa・s、高剪断速度にて0.5Pa・s〜15Pa・sの粘度を有することを特徴とする請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項23】
剪断速度がゼロに低下した時に、長期装着化粧料組成物が、その初期粘度の少なくとも20%まで回復することを特徴とする請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項24】
長期装着化粧料組成物が、25℃および1Hzの固定振動数における線形粘弾性領域にて、100Pa〜500×103Paの弾性率(G’)、および30Pa〜200×103Paの粘性率(G”)を有することを特徴とする請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項25】
長期装着化粧料組成物が、25℃および1Hzの固定振動数における線形粘弾性領域にて、約0.1〜約1.0のG”/G’比(tanδ)を有することを特徴とする請求項24に記載の化粧料組成物。
【請求項26】
構造化水性ポリマー粘着性相(A)と脂肪相(B)とが組み合わされ、長期に渡り安定な複合組成物のままである単一複合組成物になるまで均一に混合されることを特徴とする請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項27】
構造化水性ポリマー粘着性相(A)と脂肪相(B)とが組み合わされ、長期に渡り安定なままではないが、消費者による使用/適用の時点で再び容易に再混合され得る単一複合組成物になるまで均一に混合されることを特徴とする請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項28】
構造化水性ポリマー粘着性相(A)と脂肪相(B)とが分離したままであり、消費者による使用/適用の時点で、前記両相が単一の複合組成物になるまで均質に混合されるように、消費者の行為により、もう一方の相と直接接触させられることを特徴とする請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項29】
両相が、不透過性膜、固体の物理的障壁、および格納容器から成る群から選択される手段により分離されることを特徴とする請求項28に記載の化粧料組成物。
【請求項30】
哺乳類のケラチン組織に長時間持続する色及び長時間持続する光沢を同時に提供する方法であって:
(A)i)少なくとも1つの、粘着性皮膜形成ポリマー粒子の水性分散物;および
ii)構造化水性ポリマー粘着性相を、粘弾性的に増粘するが固結しないために有効な量の少なくとも1つの構造剤
を含む少なくとも1つの構造化水性ポリマー粘着性相と、
(B)少なくとも1つの脂質構成要素を含む少なくとも1つの脂肪相
((A)は(B)と組み合わされるときに相溶性であって、長期装着化粧料組成物の粘度が(B)単独の粘度よりも高く、長期装着化粧料組成物のtanδ値が(B)単独のtanδ値未満であるように長期装着化粧料組成物を形成する)と、
(C)少なくとも1つの着色剤と
を含む化粧料組成物を前記哺乳類のケラチン組織に適用する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項31】
脂質構成要素の少なくとも10重量%が、20℃において少なくとも1.450の屈折率を有する不揮発性液体およびその混合物から成る群から選択されることを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項32】
化粧料組成物中の粘着性皮膜形成ポリマー粒子の水性分散物の有効性を拡張する方法であって、
(A)i)少なくとも1つの、粘着性皮膜形成ポリマー粒子の水性分散物;および
ii)構造化水性ポリマー粘着性相を、粘弾性的に増粘するが固結しないために有効な量の少なくとも1つの構造剤
を含む少なくとも1つの構造化水性ポリマー粘着性相を準備する工程と、
(B)少なくとも1つの脂質構成要素を含む少なくとも1つの脂肪相を準備する工程と
を含み、
(A)と(B)とは相溶性であり、組み合わされて、長期装着化粧料組成物の粘度が(B)単独の粘度より高く、長期装着化粧料組成物のtanδ値が(B)単独のtanδ値未満であるように、相溶性ならびに耐熱性である長期装着化粧料組成物を形成することを特徴とする方法。

【公表番号】特表2007−534774(P2007−534774A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−511084(P2007−511084)
【出願日】平成17年4月29日(2005.4.29)
【国際出願番号】PCT/US2005/015138
【国際公開番号】WO2005/107683
【国際公開日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】