説明

閉鎖型チューブ容器

【課題】通路閉鎖体の閉鎖面部がバリア性を有する状態で易突き破り性を備えている閉鎖型チューブ容器を提供する。
【解決手段】閉鎖型チューブ容器1は、チューブ容器本体10と、チューブ容器本体10に固着された樹脂製の口頭部20と、口頭部に固着された通路閉鎖体30とを備えてなる。通路閉鎖体30は、中間層がバリア層である積層材を用いてカップ状に深絞り成形されてなる。通路閉鎖体30の口部開口に対応する部分である閉鎖面部31の外面、内面又は両面に、バリア層を切断しないハーフカットK1が刻設されていることにより、閉鎖面部31が易突き破り性を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工食品、医薬品等の容器として利用される閉鎖型チューブ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加工食品、医薬品、医薬部外品、化粧品、工業用品、染毛料等の容器としてチューブ容器が利用されている。チューブ容器にはアルミチューブ、ラミネートチューブ、その他がある。アルミチューブはアルミ単体から成形される。アルミチューブは、バリア性に優れるが、反面可撓性に劣り皺ができると元に戻らず使い難く、また破れ易いため、使用性、携帯性に劣る。さらに、円筒外形状を作り上げてから印刷する関係上、ドライオフセット印刷によるものが大半を占め、美しい細かい印刷が出来難いといった欠点を有する(特許文献4の〔0002〕参照)。ラミネートチューブは、内容物を押し出した後はもとの形態に弾性復帰するので、ラミネートチューブへの転換が図られている。
【0003】
ラミネートチューブには、口頭部の通路を塞ぐアルミ箔を貼着しているタイプがある。このアルミ箔を一度剥離して開封し、アルミ箔を再貼着することが可能である。そこで、不正開放・改ざん防止、安全性の点から破壊開封型の封緘構造である閉鎖型ラミネートチューブが採用されている。
【0004】
かかる閉鎖型ラミネートチューブは、チューブ容器本体と口頭部と口頭部の通路を閉鎖する通路閉鎖体とを備えてなる。通路閉鎖体は、積層シートを打ち抜き・絞り加工によりカップ状に成形され、コンプレッション法によりチューブ容器の口頭部の口先部から肩部の内側に装着される。この構造の閉鎖型ラミネートチューブが特許文献1に記載されている。
【0005】
通路閉鎖体は、深絞り成形への適性を含む製造工程上の理由及び耐内容物性を含んだ機能上の理由から、アルミ箔又はバリア性を有する樹脂層とプラスチックを貼り合わせた積層材が用いられている。この積層材は、過酷な深絞り成形に耐える安定性を有し、アルミチューブの閉鎖膜と比べて破断応力が高く、開封し難い性質を有している。特許文献1に記載された閉鎖型ラミネートチューブは、口頭部と該口頭部の内面に備えた通路閉鎖体との密着力が弱い。このため、キャップに付設された開封用突起によって通路閉鎖体を突き破り通路を開封しようとすると、通路閉鎖体を突き破れないで、該通路閉鎖体の上部が開封用突起から受ける力に負けて口頭部から剥離し内方へ脱落する虞がある。
【0006】
このような開封時の問題に対しては、従来二つの解決方法が開示されている。
一つの解決方法は、通路閉鎖体の上部と口頭部との結合力を高めることである。特許文献2は、通路閉鎖体の凸部先端外周部に環状角部が形成され、該環状角部が口頭部の内面に埋め込まれており、当該環状角部の突出高さが0.1〜1.5mm、かつ厚みが閉鎖材用原反厚の2倍〜3倍である構成を開示している。
【0007】
他の一つの解決方法は、キャップに付設する開封用突起を鋭利にすることである。特許文献3によれば、口頭部に通路閉鎖体を設けたチューブのキャップにおいて、チューブに嵌合するねじ部の反対側に、3ないし4本の縦方向の稜線部によって仕切られた曲面部があり、各曲面部は先端部が凹曲面で、基端部が凸曲面に形成されている錐状突起を設けた構成とすることで、通路閉鎖体を脱落させることなく容易に突き破ることができるとしている。さらに特許文献4によれば、特許文献3の錐状突起では、Φ13mm未満の閉鎖型ラミネートチューブの通路閉鎖体については突き破りが確実に且つ容易に行われない虞があるとして、さらに鋭利な錐状突起を設けることを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実用新案登録2542186号公報
【特許文献2】WO2007−043198号公報
【特許文献3】実公平03−54049号公報
【特許文献4】特開2006−123918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献2に記載された解決方法によれば、環状角部の成形は、マンドレル先端の突起状の繋止部に、凸部を有するカップ状に成形された閉鎖材を、該閉鎖材の凸部先端面の裏側とマンドレルの繋止部先端との間に空間を設けて嵌着した後、成形型のキャビティ内に溶融樹脂を配置すると共に、当該閉鎖材の凸部先端面の外周より小なる先端外周部を有するホールピンを閉鎖材の凸部先端面に圧接して閉鎖材の凸部先端面を襞折りすることによって形成している。そして、マンドレルを成形型のキャビティ内に圧入し溶融樹脂をキャビティ内に押圧充填しつつ環状角部を包囲することによって、閉鎖材が取り付けられた口頭部を形成している。しかしながら、このような環状角部の成形は、設備が複雑高価になると共に、安定した成形が難しく、バリア層に破壊が生じる虞がある。
【0010】
また、特許文献3,4に記載された解決方法は、キャップに極めて鋭利な錐状突起を備えなければならず安全性に欠ける、という問題がある。
【0011】
本発明は、上述した点に鑑み案出されたもので、通路閉鎖体の閉鎖面部がバリア性を備えた状態で易突き破り性を備えている閉鎖型チューブ容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の閉鎖型チューブ容器は、チューブ容器本体と、チューブ容器本体に固着された樹脂製の口頭部と、口頭部に固着された通路閉鎖体とを備え、通路閉鎖体は、中間層がバリア層である積層材を用いてカップ状に深絞り成形されてなり、上記通路閉鎖体の口部開口に対応する部分である閉鎖面部の外面、内面又は両面に、バリア層を切断せず積層材の外面、内面又は両面にのみにハーフカットが刻設されていることにより、上記閉鎖面部が易突き破り性を備えていることを特徴とする。
【0013】
上記構成において、通路閉鎖体は、中間層がバリア層である積層材を深絞り成形されてなり、バリア層は、アルミ箔、金属蒸着膜、シリカ蒸着膜、EVOH(エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂)、MXD6(ポリメタキシリレンアジパミド)などのナイロン系樹脂などを使用できる。
【0014】
上記構成において、バリア層を切断しないで、通路閉鎖体に刻設するハーフカットは、炭酸ガスレーザ、YAGレーザ、ダイカットプレス、ロータリダイカッター、ナイフ等のいずれによっても刻設することができる。ハーフカットを刻設する際には、バリア層をカバーする樹脂膜のみをハーフカットする深さにコントロールする。また、ハーフカットが刻設されるときは、ハーフカットされた部分が、抜け落ちない種々の形状、例えば「*」形、「+」形、「C」形、「∈」形などが選択される。更に、レーザ加工の場合には、ハーフカットを入れる工程を適宜の製造段階に設定できるので、ダイカットプレスにより刻設される場合よりも有利である。
【0015】
通路閉鎖体にハーフカットを刻設する時点は、
(1)積層材の原反を通路閉鎖体に対応する形状に切り出した時点、
(2)深絞りをした時点、
(3)容器として組み付けた時点、
(4)キャップを装着する時点、
のいずれであっても良い。
特に、レーザ加工によれば、容器として組み付けた後でも、通路閉鎖体の内面にハーフカットを刻設できる。
【0016】
上記構成によれば、口頭部の口部開口に対応する部分にハーフカットが刻設されているから、先端が鋭利でない開封用突起で容易に突き破ることができる。キャップの外面側に先端が鋭利でない開封用突起を備えることができるので、キャップの開封用突起のある凹部に指を入れて開封用突起で干渉することを未然に防止でき、安全性の高い閉鎖型チューブ容器を提供できる。
【0017】
上記構成によれば、口頭部の口部開口に対応する部分にハーフカットが刻設されるから、先端が鋭利でない開封用突起で通路閉鎖体を容易に突き破れる易突き破れ性を有しているので、閉鎖型チューブ容器が、通路閉鎖体をカップ状に成形し口頭部の内面に固着されたタイプの構成でも、通路閉鎖体が突き破れないで容器内方へ陥没するという不具合を解消できる。
【0018】
本発明の閉鎖型チューブ容器は、例えば練り歯磨きや化粧品、練り辛子やわさび等の粘性食品、靴墨、コーキング剤、ワックス剤、練り状薬品等、多種多様の揮発性成分・拡散成分を含む流動物・粘性物の包装に好適なチューブ容器に適用して好適である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、バリア性を有する通路閉鎖体が通路に対応する部分にバリア性を破壊しないハーフカットを有し、易突き破り性を備えているので、通路閉鎖体の開封用突起の先端を、指で強く触っても安全な鈍角先端形状にしても、小さな突き破り力で通路閉鎖体を突き破ることができ、キャップに鈍角先端形状の開封用突起を備えることができ、安全性が高い閉鎖型チューブ容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】(a)は本発明の第1実施形態に係る閉鎖型チューブ容器の要部縦断面図、(b)は閉鎖型チューブ容器の構成要素である通路閉鎖体の斜視図、(c)は通路閉鎖体の模式的要部縦断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態及び実施例1に係り、閉鎖型チューブ容器の通路閉鎖体を構成するための積層材の一例に係る模式的断面図を示す。
【図3】第2実施形態に係る閉鎖型チューブ容器の通路閉鎖体の模式的要部縦断面図である。
【図4】(a)は実施例1に係る通路閉鎖体の斜視図、(b)は比較例に係る通路閉鎖体の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態に係る閉鎖型チューブ容器について図面を参照して説明する。
〔第1実施形態〕
図1(a)に示すように、この実施形態の閉鎖型チューブ容器1は、チューブ容器本体10と、口頭部20と、この口頭部20の通路閉鎖体30と、キャップ40とを備えてなる閉鎖型メンブランチューブ容器である。チューブ容器本体10の下端開口より、揮発性成分・拡散成分を含む被包装物を充填し、チューブ容器本体10の下端にカシメをして閉じると閉鎖型チューブ包装体となる。
【0022】
口頭部20は、コンプレッション法により成形され、内面に設置される通路閉鎖体30を固着しかつチューブ容器本体10の上端部の内面と一体に接続される。
【0023】
通路閉鎖体30を構成するための積層材の原反は、図1(c)、図2に示すように、外層側から内層側へ順番に、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)(f1)と、PET(ポリエステル)(f2)と、バリア層としてのアルミ箔(f3)と、PET(f4)と、複数層補強フィルム(f5)と、を積層し、かつ、各密着面を接着剤で接着してなる。複数層補強フィルム(f5)は、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)(f5a)と、O−Ny(延伸ナイロン)(f5b)と、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)(f5c)と、からなる積層構造であり、三層共押しフィルムを用いることができる。ただし、この積層構造に限定する趣旨ではない。
【0024】
通路閉鎖体30は、図2に示す積層材の原反を所要直径を有する円形に切り出して、この円形材を、図1(b)に示すように、カップ状に深絞り成形されてなる。図1(b)に示す通路閉鎖体30は、上端が閉鎖している閉鎖面部31と、円筒部32と、円筒部32の下側に広がる円錐部33と、円錐部33より伸びる鍔部34とからなる。ただし、形状を限定する趣旨ではない。
【0025】
この実施形態の通路閉鎖体30は、口頭部20がコンプレッション成形される際にこの口頭部20の肩部内に鍔部34の外周部がモールドされ、円錐部33と円筒部32が口頭部20の肩部から口部内面に溶着され、閉鎖面部31が口頭部20の口部開口を閉鎖する。
【0026】
閉鎖型チューブ容器1は、図1(c)に示すように、通路閉鎖体30の口部開口に対応する部分、すなわち閉鎖面部31の外面にバリア層f3を切断しないハーフカットK1が刻設されていることにより、通路閉鎖体30が易突き破り性を備えている。この実施形態では、外層側のフィルムf1が厚さ30μmのLLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)であるので、ハーフカットK1は、外層側のフィルムf1の表面から30μmの深さとなるように十字形に形成されている。
【0027】
以下に、その他の構成についてさらに説明する。
チューブ容器本体10をラミネートチューブで構成する場合の具体例としては、積層シートの原反を裁断したシートをサイドシームにより筒状として形成される。例えば、中間層としてのバリア層と、バリア層の外面側に最外層がシーラントとなるように設けられる1層又は複数層と、バリア層の内面側に最内層がシーラントとなるように設けられる1層又は複数層と、を有する積層シートを製造する。バリア層には、アルミ箔、金属蒸着膜、シリカ蒸着膜、EVOH(エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂)、MXD6(ポリメタキシリレンアジパミド)などのナイロン系樹脂などを使用できる。また、シーラントフィルムには、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、あるいはLDPE(低密度ポリエチレン)を使用できる。
【0028】
ラミネートチューブを構成するための積層材の具体例としては、例えば、外層側から内層側へ順番に、乳白LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)層/接着剤層/EMAA(エチレン−メタクリル酸共重合樹脂)又はEAA(エチレン−アクリル酸共重合樹脂)層/接着剤層/ポリエステルポリオール系のアンカーコート層/接着剤層/表面側に無機化合物蒸着層が形成された基体フィルム層/接着剤層/EMAA(エチレン−メタクリル酸共重合樹脂)層/接着剤層/LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)層、とした積層材を使用できる(特開2000−281095号公報)。
【0029】
口頭部20は、チューブ容器本体10と溶着性を有する樹脂、例えば、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)樹脂が使用され、コンプレッション法により成形される際に、チューブ容器本体10の上端部の内面と溶着されると共に通路閉鎖体30の外面と溶着される。
【0030】
通路閉鎖体30を構成するための積層材は、ラミネートチューブを構成するための積層材と同様に、例えば内層及び外層のシーラントフィルムと、中間層としてのバリア層とを有してなる複数層構造の積層シートにより原反を製造し、かかる原反を円形にくり抜いてなる。上記のように、口頭部20がLLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)樹脂で構成されバリア性を有していないので、通路閉鎖体30がバリア性を担持されている。通路閉鎖体30のバリア層には、チューブ容器本体10と同様に、アルミ箔、金属蒸着膜、シリカ蒸着膜、EVOH(エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂)、MXD6(ポリメタキシリレンアジパミド)などのナイロン系樹脂などを使用できる。
【0031】
上記構成の閉鎖型チューブ容器1によれば、バリア性を有する通路閉鎖体30が通路に対応する閉鎖面部31にバリア性を破壊しないハーフカットK1を有し、易突き破り性を備えているので、通路閉鎖体の開封用突起の先端を、指先で触るだけで負傷しやすい鋭角形状から、指で強く触っても負傷しにくい丸みを持つ先端形状にしても小さな突き破り力で閉鎖面部31を突き破ることができる。
【0032】
〔第2実施形態〕
図3に示すように、第2実施形態に係る閉鎖型チューブ容器は、通路閉鎖体の口部開口に対応する部分である閉鎖面部31の外面と内面の中央に、バリア層f3を切断しないハーフカットK1,K2が刻設されていることにより、通路閉鎖体が易突き破り性を備えている。この実施形態のように、閉鎖面部31の両面にハーフカットK1,K2を設ける場合には、炭酸ガスレーザ、YAGレーザによって刻設する。
なお、原反の段階で両面にハーフカットを設ける場合には、ダイカットプレス、ロータリダイカッター、ナイフ等のいずれによっても刻設することができる。
【実施例1】
【0033】
〔メンブラン原反の構成〕
通路閉鎖体を構成するためのメンブラン原反を図2に示す積層構造に構成した。
外層側から内層側へ順番に、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)(厚さ30μm)/PET(厚さ12μm)/アルミ箔(厚さ50μm)/PET(厚さ12μm)/三層共押出しフィルム(厚さ20μm;LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)/O−Ny(延伸ナイロン)/LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン);グンゼ株式会社のヘプタックス(登録商標)を使用)、として重ねかつ各密着面同士を接着剤で接着し、1日以上エージングした。
【0034】
〔メンブラン原反の突き刺し強度の測定〕
上記メンブラン原反を、100mm角に切断し、直径50mmの孔が開いた2枚の100mm角の金属板で挟み、四方を万力で締め付け、メンブラン原反の中央部に対して、突き刺し強度の測定をJIS−Z−1707に準拠して行った。この強度測定は、先端半径0.5mmで直径1mmのニードルを50mm/分の速さでメンブラン原反に突き刺し、突き抜けるまでの最大応力を測定した。
外層側から内層側へ突き刺す突き刺し強度測定を5回行い、30.09Nの平均値を得た。また、内層側から外層側へ突き刺す突き刺し強度測定を5回行い、27.01Nの平均値を得た。このことから、初期に突き抜ける層の抵抗により突き刺し強度が影響されることが判った。外層側のLLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)(30μm)の突き刺し抵抗が高いので、この層にハーフカットを施すことが、内層にハーフカットを施すよりも効果があることが分かった。
【0035】
〔通路閉鎖体の突き刺し強度の測定〕
次いで、上記メンブラン原反を所定の大きさの円形にくり貫き、該円形シートを深絞り成形することで、図4(b)に示す通路閉鎖体30Bを10個製作した。そのうちの5個については、閉鎖面部31に深さ30μmの十字形のハーフカットK1を入れて実施例とし(図4(a)に示す通路閉鎖体30A)、ハーフカットを入れない5個の通路閉鎖体30Bを比較例とした。
そこで、図4(a)に示す、ハーフカットK1を入れた5個の通路閉鎖体30A(図4(b)に示すもの)と、図4(b)に示す、閉鎖面部31にハーフカットを入れない5個の通路閉鎖体30Bと、についてそれぞれ外層側から内層側へ突き刺す突き刺し強度の測定をJIS−Z−1707に準拠して行った。
通路閉鎖体30Aの5個の突き刺し強度の平均値は20.87N、通路閉鎖体30Bの突き刺し強度の平均値は29.69Nであった。
これによって、実施例1に係るハーフカットを入れた通路閉鎖体30Aの閉鎖面部31が、比較例のハーフカットを入れない通路閉鎖体30Bの閉鎖面部31よりも易突き破り性を備えていることを確認できた。
【0036】
上記実施例1の結果から、図3に示す第2実施形態に係る通路閉鎖体Bは、閉鎖面部31の両面にハーフカットK1,K2を備える構成であるので、閉鎖面部31の外面にハーフカットK1を備える構成に比べて、更に良好な易突き刺し強度を有することが推察される。
【0037】
〔その他の実施形態・実施例〕
本発明は、上記の実施形態・実施例に限定されるものでなく、特許請求の範囲の技術的範囲には、発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々、設計変更した形態が含まれる。
【0038】
本発明の閉鎖型チューブ容器は、特許文献2に示す、環状角部を有する閉鎖型チューブ容器について、閉鎖面部にハーフカットを設けた場合も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0039】
上記実施形態では、チューブ容器本体10がラミネートチューブで構成される場合について説明したが、チューブ容器本体10がポリチューブで構成されても良い。ポリチューブとしては、多層ポリチューブが用いられる。例えば、内層を押し出し成形法によりシーラント樹脂で形成し、外層も、バリア性を有するプラスチック材料、例えばエチレン−ビニルアルコール、或いはナイロン系樹脂を使用し押し出し成形法により内層に積層して形成する。閉鎖面部31の内面のみに、バリア層を切断しないハーフカットが刻設されていることにより、通路閉鎖体が易突き破り性を備えていても良い。
【符号の説明】
【0040】
1…閉鎖型チューブ容器、
10…チューブ容器本体、
20…口頭部、
30,30A,30B,30C…通路閉鎖体、
31…閉鎖面部、
32…円筒部、
33…円錐部、
34…鍔部口、
40…キャップ、
41…開封用突起、
K1,K2…ハーフカット、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューブ容器本体と、該チューブ容器本体に固着された樹脂製の口頭部と、該口頭部に固着された通路閉鎖体とを備え、該通路閉鎖体が、中間層にバリア層を含む積層材を用いてカップ状に深絞り成形されてなる閉鎖型チューブ容器において、
上記通路閉鎖体の口部開口に対応する部分である閉鎖面部における積層材の外面、内面又は両面に、バリア層を切断せずにハーフカットが刻設されていることを特徴とする、閉鎖型チューブ容器。
【請求項2】
前記ハーフカットが、レーザ加工により刻設されていることを特徴とする、請求項1に記載の閉鎖型チューブ容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−148512(P2011−148512A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−9526(P2010−9526)
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【出願人】(000162113)共同印刷株式会社 (488)
【Fターム(参考)】