説明

開閉機構、現像剤搬送装置および画像形成装置

【課題】開閉部材による開口部の開閉動作による不具合を抑制する。
【解決手段】コイルバネ90の両端が相手側部材に接する部分の座捲部91,92を1捲未満(例えば、3/4捲き)とする。これにより、このコイルバネ90が圧縮した際に、座捲部91,92が圧縮するコイル部分に潜り込まない、或いは潜り込んだとしても圧縮を解いた状態で潜り込みが解消される。このコイルバネ90を採用した開閉機構70においては、コイルバネ90のバネ力の低下を抑制し、開閉部材80による外側開口部73の開閉動作による不具合をなくす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉機構、現像剤搬送装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置の筐体内では、様々な目的で現像剤が搬送されおり、その搬送経路を必要に応じて開閉機構が設けられている。例えば特許文献1には、廃棄する現像剤(廃トナー)を排出する排出口の開閉を行う開閉部材の誤開閉を防止する機構が開示されており、特許文献2には、開閉部材の装着を容易に行うための開閉機構が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−189523号公報
【特許文献3】特開2001−228769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、コイルバネを用いた開閉機構において、コイルバネの端部である座捲部が、圧縮されたコイル部分に潜り込み、その圧縮を解いた状態でも元に戻らないという事態の発生を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するため、本発明の請求項1記載の開閉機構は、周面に開口部が形成された円筒状の空間を形成する外筒と、前記空間において前記外筒の軸線方向に沿って移動し、前記開口部を開閉する開閉部材と、前記空間に収容され、両端が相手側部材に接する部分の座捲部がそれぞれ1捲未満となったコイルバネであって、一方の当該座捲部が前記開閉部材に接し、当該開閉部材が前記開口部を塞ぐ方向に当該開閉部材を押すコイルバネと、を備えたことを特徴とする。
【0006】
本発明の請求項2記載の開閉機構は、周面に開口部が形成された円筒状の空間を形成する外筒と、前記空間において前記外筒の軸線方向に沿って移動し、前記開口部を開閉する開閉部材と、前記空間に収容され、前記開閉部材に接して前記開口部を塞ぐ方向に当該開閉部材を押すコイルバネであって、前記開閉部材の移動に伴って圧縮されたときに、端部から数えて1捲き目の部分と2捲き目の部分とは接触し、3捲き目の部分は前記1捲き目の部分及び前記2捲き目の部分の両方には接触しないコイルバネと、を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の開閉機構は、請求項1または2に記載の開閉機構において、前記空間は、被搬送物を前記軸線方向に搬送するための螺旋状の搬送具を有する搬送空間であり、前記搬送具は、前記コイルバネの内周側に挿入されており、前記コイルバネの捲方向と前記搬送具の螺旋の捲方向とが逆向きとなることを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の現像剤搬送装置は、現像剤が収容される収容容器と、前記収容容器内に設けられ、前記現像剤を搬送する搬送具と、前記収容容器に設けられ、当該収容空間内の現像剤が通過する開口部を開閉する請求項1ないし3のいずれかの請求項に記載の開閉機構と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項5記載の画像形成装置は、像を形成する像形成手段と、前記像形成手段に対して現像剤の供給または排出を行うために当該現像剤を搬送する請求項4記載の現像剤搬送装置と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の開閉機構によれば、コイルバネの端部である座捲部が、圧縮されたコイル部分に潜り込み、その圧縮を解いた状態でも元に戻らないという事態の発生を抑制することができる。
【0011】
請求項2記載の開閉機構によれば、3捲き目の部分が1捲き目の部分及び2捲き目の部分に潜り込み、その圧縮を解いた状態でも元に戻らないという事態の発生を抑制することができる。
【0012】
請求項3記載の開閉機構によれば、螺旋状の搬送具とコイルバネとが絡むのを抑制して、前記コイルバネのバネ力を維持することができる。
【0013】
請求項4記載の現像剤搬送装置によれば、コイルバネを用いた開閉機構においてコイルバネの端部である座捲部が、圧縮されたコイル部分に潜り込み、その圧縮を解いた状態でも元に戻らないという事態の発生を抑制することができる。
【0014】
請求項5記載の画像形成装置によれば、コイルバネを用いた開閉機構においてコイルバネの端部である座捲部が、圧縮されたコイル部分に潜り込み、その圧縮を解いた状態でも元に戻らないという事態の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態による画像形成装置の構成を模式的に示す図である。
【図2】筐体の構成を示す斜視図である。
【図3】筐体に設けられる画像形成ユニットの取付状態を示す斜視図である。
【図4】開閉機構を拡大して示す断面図である。
【図5】図4中の矢視V方向から見た開閉機構を示す分解斜視図である。
【図6】開閉機構の開口部を開いた状態を示す、図3と同じ位置から見た断面図である。
【図7】図6中の矢視VII−VII方向から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<1.実施形態1>
例えばプリンタやコピー機などの画像形成装置においては、構成部品のメンテナンスや交換、或いは記録用紙の詰まりなどの不具合を解消する作業を行うために、その筐体の正面や側面などに開閉カバーが設けられている。本実施形態では、このような画像形成装置を例に挙げて説明する。
図1は本実施形態に係る画像形成装置の構造を模式的に示す図である。以下、利用者が画像形成装置1を正面から見たときの左右の右方向をX(+)・左方向をX(−)、前後の奥方向をY(+)・手前方向をY(−)、高さの上方向をZ(+)・下方向をZ(−)として説明する。なお、特に定義する場合を除き、内側とは、後述するフレーム43,44から見て、露光装置が収容される空間に向かう側であり、外側とはフレーム43,44から見て、露光装置が収容される空間に向かう方向とは逆側である。
【0017】
<画像形成装置の構成>
画像形成装置1はタンデム型のフルカラープリンターを構成するものであり、この内部には、図示しないスキャナーやパーソナルコンピュータ、或いは電話回線等から送られてくる画像データに対して画像処理を行う画像処理装置(図示せず)が設けられている。この画像形成装置1の内部には、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),黒(K)の4つの画像形成ユニット(画像形成部)2Y,2M,2C,2Kが設けられる。画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kは、第1色目のイエロー(Y)の画像形成ユニット2Yが相対的に高く、最終色の黒(K)の画像形成ユニット2Kが相対的に低くなるように、水平方向に対してある角度(例えば、10度)だけ傾斜した状態である間隔を隔てて並列的に配置されている。このように、4つの画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kを、ある角度だけ傾斜した状態で配置することにより、これら4つの画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kを水平に配置した場合に比較して、幅方向の距離が短くなる。
【0018】
これらの4つの画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kは、基本的に同様に構成されており、後述する駆動ユニットによってある速度で回転駆動され、像保持体としての感光体ドラム3と、この感光体ドラム3の表面を帯電する一次帯電用の帯電ロール4と、後述する画像露光装置5による画像露光によって感光体ドラム3上に形成された静電潜像をトナーで現像する現像器6と、感光体ドラム3の表面を清掃するクリーニング装置7と、を具備している。クリーニング装置7は、感光体ドラム3を清掃した際に発生する廃トナーを外部に排出するための廃トナー搬送路60(図4参照)が設けられ、さらにこの廃トナー搬送路7AのY(−)側の端部には後述する開閉機構70が設けられる。
感光体ドラム3は、例えば、直径30mmのドラム状に形成され、表面にオーバーコート層を有する有機感光体であり、回転軸3A(図3に図示)を回転させることによって回転駆動される。帯電ロール4は、例えば、芯金の表面に合成樹脂やゴムからなり電気抵抗を調整した導電層を被覆したロール状の帯電器であり、この帯電ロール4の芯金には、帯電バイアスが印加されるものが用いられている。さらに、この帯電ロール4の表面には、この帯電ロール4の表面に付着したトナー等の異物を除去するためのクリーニングロールが接触するように配置されている。
以下、画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kは、特に識別して説明する必要のない場合には画像形成ユニット2として記載して説明する。
【0019】
画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kの下部には、画像露光装置5が設けられる。この画像露光装置5は、画像データに応じて変調されたレーザービームを射出する半導体レーザー(いずれも図示せず)を4つ備えている。これらの半導体レーザーから射出された4本のレーザービームは、ポリゴンミラーによって偏向走査されるとともに、レンズやミラー(いずれも図示せず)を介して、画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kの感光体ドラム3上に走査露光される。
この実施の形態では、画像露光装置5が4つの画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kの下部に沿って配設されており、これら4つの画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kは、水平方向に対して傾斜した状態で設けられている。このため、画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kの感光体ドラム3上に走査露光する各レーザービームの光路長は、画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kで等しくなる。
【0020】
画像形成装置1からは、画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kに共通して設けられた画像露光装置5に、各色の画像データが順次出力される。この画像露光装置5から画像データに応じて射出されたレーザービームは、対応する感光体ドラム3の表面に走査露光させ、静電潜像を形成させる。上記感光体ドラム3上に形成された静電潜像は、現像器6Y,6M,6C,6Kによって、各色のトナー像として現像される。上記画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kの感光体ドラム3上に順次形成された各色のトナー像は、各画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kの上方にわたって傾斜した状態で配置された中間転写体としての中間転写ベルト10上に、一次転写ロール11によって多重に転写される。
【0021】
この中間転写ベルト10は、複数のロールによって張架されたベルト状部材であって、このベルト状部材の下辺走行領域が、その走行方向に沿った下流側が低く、且つ上流側が高くなるように、水平方向に対して傾斜した状態で配置されている。即ち、中間転写ベルト10は、ドライブロール12、バックアップロール13、テンションロール14およびアイドラーロール15間にテンションで掛け回されており、定速性に優れた専用の駆動モーター(図示せず)によって回転駆動されるドライブロール12により、矢印方向に循環駆動されるようになっている。上記中間転写ベルト10としては、例えば、可撓性を有するポリイミド等の合成樹脂フイルムを帯状に形成し、この帯状に形成された合成樹脂フイルムの両端を溶着等の手段によって接続することにより、無端ベルト状に形成したものが用いられる。上記中間転写ベルト10は、その下辺走行領域において、画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kの感光体ドラム3Y,3M,3C,3Kに接触するように配置されている。
なお、上記中間転写ベルト10、各一次転写ロール11、ドライブロール12、バックアップロール13、テンションロール14、アイドラーロール15等は、1つの中間転写ユニット9として構成される。
【0022】
記録媒体としての記録用紙18は、画像形成装置1の内部に配置された用紙収容部24から規定のサイズおよび材質のものが、各ローラ対によって経路が形成された搬送路21に沿って搬送される。この搬送路21では、用紙収容部24内の記録用紙18が、給紙ローラ25および用紙分離搬送用のローラ対26により1枚ずつ分離された状態でレジストロール28まで一旦搬送され、停止される。上記用紙収容部24から給紙された記録用紙18は、予め決まったタイミングで回転駆動されるレジストロール28によって中間転写ベルト10の二次転写位置へ送出される。さらに、二次転写位置を経て、各色のトナー像が転写された記録用紙18は、定着器19によって熱および圧力で定着処理を受けた後、定着器19の出口ロール20等を介して排出ロール22によって画像形成装置1の上部に設けられた用紙受部23上に排出される。
【0023】
中間転写ベルト10を挟んでバックアップロール13と対向する位置には、中間転写ベルト10の表面に突き当たった状態で接触するように回転体となる二次転写ロール17が、搬送路21に沿った位置に配置される。中間転写ベルト10上に多重に転写されたイエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),黒(K)のトナー像は、バックアップロール13に圧接する二次転写ロール17によって、圧接力および静電気力で記録媒体としての記録用紙18上に二次転写される。この中間転写ベルト10を挟んでバックアップロール13と二次転写ロール17とが対向する位置が、上記の二次転写位置となる。
【0024】
また、用紙受部23と中間転写ベルト10と間には、トナーカートリッジ29Y,29M,29C,29Kが設けられ、このトナーカートリッジ29Y,29M,29C,29Kは、現像器6Y,6M,6C,6Kにトナーを供給する。
【0025】
<筐体の構成>
次に、画像形成装置1の基台をなす筐体40の構造について、図1および図2を参照しつつ説明する。図2は筐体の構成を示す斜視図である。
【0026】
図2に示すように、筐体40は、Z軸方向に沿って延びる4本の支柱41と、各支柱41の間に設けられた複数本の梁部42とを有している。後側(Y(+)側)に位置した支柱41,41間のZ(+)方向には一方の基部となる後側フレーム43が設けられ、前側(Y(−)側)に位置した支柱41,41間のZ(+)側には、他方の基部となる前側フレーム44が設けられる。フレーム43,44には、矩形状の貫通孔45(後側フレーム43のみ図示)が形成される。前側フレーム44には、矢印a方向に動作可能に設けられ、画像形成ユニット2(感光体ドラム3)を収容する空間を外部に対して開放または遮蔽する前側扉46が設けられる。この空間には、画像形成ユニット2が挿入方向(Y軸方向)に沿って着脱自在に収容される。画像形成ユニット2は、手前側(Y(−)側)から奥側(Y(+)側)に向けて挿入して空間に収容され、奥側(Y(+)側)から手前側(Y(−)側)に引き出して空間から離脱される。
【0027】
後側フレーム43の内側(Y(−)側)面には、第1支持板47が設けられ、前側フレーム44に設けられる前側扉46の内側(Y(+)側)には第2支持板50が設けられる。この第2支持板50は、前側扉46の内側に一体に形成される。また、筐体40には、図1に示すように、画像露光装置5を収容するために、この画像露光装置5の上側(Z(+)側)に位置する上側規制板49が、当該筐体40のフレーム43,44に亘って溶着等の手段によって固定されている。
第1支持板47および第2支持板50には、感光体ドラム3の回転軸3Aがそれぞれ挿入される回転軸挿入孔48,48…および51,51…が形成される。さらに、第2支持板50には、開閉機構70が貫通して突出する開閉挿入孔52,52…が形成される。
【0028】
<開閉機構の構成>
次に、図4ないし図7を参照しつつ、開閉機構70の構成および動作について説明する。図4は、開閉機構70を拡大して示す断面図、図5は、開閉機構70を示す分解斜視図、図6は、開閉機構70の開口部を開いた状態を示す断面図、図7は、図6中の矢視VII−VII方向から見た断面図である。なお、図6は、開口部を図示するために、図4中の矢視V方向から見た斜視図となる。以下、廃トナー搬送路60および開閉機構70の説明においては、Y軸方向を、筒状の開閉機構70の軸線方向として説明する。
開閉機構70は、クリーニング装置7の廃トナー搬送路60の一方(Y(−)側)の端部に設けられる。この廃トナー搬送路60は、感光体ドラム3の長手方向(Y軸方向)に延びて設けられた筒状体からなり、内部が廃トナーを搬送する搬送空間を備えた現像剤搬送装置となる。開閉機構70は、搬送空間内の廃トナーを外部に向けて供給、遮断する動作を行う。
廃トナー搬送路60の搬送空間には、その長手方向に沿って、感光体ドラム3を清掃した際に発生する廃トナーを搬送するための螺旋状の搬送具61が収容される。廃トナー搬送路60の端面のうち内側にはバネ受け段部62が形成され、外側には外筒71が取り付けられるネジ穴63が設けられている。
【0029】
開閉機構70は、図5に示すように、外筒71内に開閉部材80を軸線方向の他方(Y(+))側から挿入した上で、コイルバネ90が収容される構成となる。
外筒71は有底筒状に形成されており、その開口する部分には、径方向に延びる一対のフランジ部72,72が形成されている。このフランジ部72には、ネジが挿入されるネジ挿入孔72Aがそれぞれ設けられる。外筒71の周面のうち、一方(Y(−))側には、外側開口部73が底面から軸線方向に寸法L1だけ離間した位置に形成される。底面には、前側扉46に取り付けられる廃トナーボトル100の押付棒101(図6参照)が挿入される棒挿入孔74が設けられている。また、内周面には、図7に示すように、軸線(Y軸)方向に延びる凹部75が開口から一方に向けて形成される。
【0030】
開閉部材80は、図5に示すように、外筒71よりも小径で軸線方向の長さも短い有底筒状に形成されている。開閉部材80の開口部の端面がバネ受け部81(図4参照)となり、その底面には円板状の軸受け部82が形成される。開閉部材80の周面のうち、一方(Y(−))側には軸線(Y軸)方向の長さがL2(L2<L1)となる内側開口部83が形成される。外周面には、図7に示すように、軸線(Y軸)方向に延びる凸部85が、軸線(Y軸)方向において開口部の位置と重ならないように形成される。
凹部75および凸部85は、図7に示すように、外側開口部73および内側開口部83のY平面で切ったときの断面中心から角度α(例えば、α=130度)の位置に形成されている。凹部75に凸部85を挿入することで、外筒71に対して開閉部材80の回り止めをしている。
【0031】
コイルバネ90は圧縮コイルバネとして作用し、図5に示しように、その両端にある、相手側部材に接する部分の座捲部91,92が、1周未満(例えば3/4捲き)である。ここで、座捲部91,92とは、コイルバネ90のうちバネ力を発生しない部分であり、コイルバネ90に外力が与えられていない状態で1つの平面に接する部分のことである。また、Y(−)側から見た場合、コイルバネ90は、時計方向に捲かれ、搬送具61は反時計方向に捲かれ、両者の捲き方向は正反対となっている。
このコイルバネ90は、図4に示すように、廃トナー搬送路60のバネ受け段部62と開閉部材80のバネ受け部81との間に圧縮した状態で設けられ、そのバネ力で開閉部材80を軸線の一方(Y(−))側に押しつける。また、搬送具61の一方の端部は、コイルバネ90内を通過して外筒71の外側開口部73まで延びている。これにより、搬送具61は、廃トナーを外側開口部73まで搬送する。
【0032】
図4に示すように、コイルバネ90のバネ力によって開閉部材80は軸線方向の一方に押されているため、開閉部材80の側面が外側開口部73を塞ぐことにより、この外側開口部73が閉まった状態となる。一方、図6に示すように、廃トナーボトル100の押付棒101で軸受け部82が軸線の他方(Y(+))側にコイルバネ90のバネ力に抗して押されると、外側開口部73と内側開口部83とが合わさって開いた状態となり、廃トナー搬送路60の内部が廃トナーボトル100に対して開口した状態となる。これにより、外側開口部73まで延びる搬送具61で軸線方向の一方に向けて搬送されてくる廃トナーは、廃トナーボトル100内に供給される。
【0033】
一般に、コイルバネの両端の座捲部分は、その座捲部分を支持する部材に安定した状態で当たるために、各々1捲以上で捲かれるのが通常である。しかしながら、このような構造のコイルバネを本実施形態の開閉機構70に用いた場合には、コイルバネが座屈した際に、座捲部が、圧縮されたコイル部分に潜り込んでしまい、圧縮を解いた状態でも元に戻らずに、コイルバネ本来のバネ力が発生できなくなるという不具合が生じることがある。
より具体的には、コイルバネを圧縮してゆくと、このコイルバネの端部から数えて1捲き目の部分と2捲き目の部分との間に3捲き目の部分が挟み込まれて絡まってしまう。そして、この状態で圧縮を解くと、1捲き目と2捲き目との間に挟まった3捲き目が絡まったままとなって、コイルバネ本来のバネ力が復元できなくなっていた。
そこで、本発明者達は、鋭意実験を行った結果、コイルバネ90の座捲部91,92をいずれも1捲未満(望ましくは3/4捲き)とすることで、コイルバネ90が圧縮されたとしても、座捲部91,92が圧縮されたコイル部分に潜り込まない、或いは潜り込んだとしても圧縮を解いた状態で潜り込みが解消されるという事実を見出した。
【0034】
このように、コイルバネ90を採用した開閉機構70によれば、開閉部材80による外側開口部73の開閉動作において、コイルバネ90の座捲部91,92が、圧縮されたコイル部分に潜り込み、その圧縮を解いた状態でも元に戻らないという事態の発生が抑制される。
また、コイルバネ90の捲き方向と搬送具61の捲き方向とは逆向きとなっているため、コイルバネ90が圧縮した状態で座屈した場合であっても、コイルバネ90が搬送具61の螺旋部分に入り込まなくなる。つまり、搬送具61の螺旋状をなす羽根の傾きとコイルバネ90の傾きとは異なった方向への傾斜となり、コイルバネ90が圧縮によって座屈して搬送具61に接触したとしても、その接触は点接触となる。よって、コイルバネ90の圧縮されたコイル部分が搬送具61の羽根に入り込むのが抑制される。
【0035】
<2.実施形態2>
実施形態2におけるコイルバネの特徴は、圧縮されたときに、端部から数えて1捲き目の部分と2捲き目の部分とは接触し、3捲き目の部分は1捲き目の部分及び2捲き目の部分の両方には接触しない形状とした点にある。より具体的には、開閉部材80の移動に伴ってこのコイルバネを圧縮すると、まず、1捲き目の部分と2捲き目の部分とが接するが、開閉部材80が移動範囲の限界に到達しても、1捲き目の部分及び2捲き目の部分の両方には3捲き目の部分が接しない。つまり、3捲き目の部分は、圧縮されることで、2捲き目の部分に接したとしても、1捲き目の部分には接しないようになっている。
このコイルバネの具体的な形状は、例えば、端部から数えて1捲き目の部分から2捲き目の部分に亘る巻線のピッチを他のコイル部分(3捲き目以降の部分)よりも小さくするとか、1捲き目の部分および2捲き目の部分の径寸法を他のコイル部分の径寸法と異ならせるとか、コイルバネを形成する巻き線の太さを1捲き目および2捲き目の部分を他の部分よりも細くする等がある。
このような形状とすることにより、1捲き目の部分と2捲き目の部分の圧縮力が、3捲き目の部分(他の部分)の圧縮力よりも小さくなる。これにより、1捲き目の部分と2捲き目の部分とが接触し、3捲き目の部分が1捲き目の部分及び2捲き目の部分の両方に接触しない形状が実現される。 なお、本実施形態の形状は、座捲き部が形成されているコイルバネにも適用される。この場合、1捲き目は座捲き部から離れていく巻き線の1周目のことになる。
また、実施形態2においても、実施形態1で述べた各種機構を採用することができる。
【0036】
<3.変形例>
上記実施形態を次のように変形してもよい。
<3−1>
実施形態においては、外側開口部73を開閉動作を開閉部材80の内側開口部83を合わせるか否かで行うようにしたが、外側開口部73を開閉する構造であれば、開閉部材80は有底筒状に限らず、他の形状であってもよい。
【0037】
<3−2>
実施形態1によるコイルバネ90の座捲部91,92においては、線が捲かれていない部分が、コイルバネ90の伸張方向から見た場合に、同じ位置或いは180度異なった位置となるように形成すれば、コイルバネ90が座屈した場合に曲がる方向が決まるため、座捲部91,92が圧縮するコイル部分に対する不具合がさらに解消される。
【0038】
<3−3>
実施形態においては、開閉部材80を画像形成ユニット2のクリーニング装置7に用いた場合を例示したが、この開閉機構70は、容器本体内に収容した現像剤(トナー)を画像形成ユニット2に供給するためのトナーカートリッジ等の開閉部分に用いてもよいことは勿論である。
【0039】
<3−4>
実施形態においては、外筒71に対して開閉部材80を回り止めするのに、凹部75と凸部85を用いたが、外筒71および開閉部材80の断面形状を円形以外の形状としてもよい。例えば、楕円にすればこの回り止めは必要なくなる。
【符号の説明】
【0040】
1…画像形成装置、2…画像形成ユニット、3…感光体ドラム(像保持体)、7…クリーニング装置、7A…廃トナー搬送路、60…廃トナー搬送路(現像剤搬送装置)、61…搬送具、62…バネ受け段部、70…開閉機構、71…外筒、73…外側開口部、75…凹部、80…開閉部材、81…バネ受け部、83…内側開口部、85…凸部、90…コイルバネ、91,92…座捲部、100…廃トナーボトル、101…押付棒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周面に開口部が形成された円筒状の空間を形成する外筒と、
前記空間において前記外筒の軸線方向に沿って移動し、前記開口部を開閉する開閉部材と、
前記空間に収容され、両端が相手側部材に接する部分の座捲部がそれぞれ1捲未満となったコイルバネであって、一方の当該座捲部が前記開閉部材に接し、当該開閉部材が前記開口部を塞ぐ方向に当該開閉部材を押すコイルバネと、を備えた
ことを特徴とする開閉機構。
【請求項2】
周面に開口部が形成された円筒状の空間を形成する外筒と、
前記空間において前記外筒の軸線方向に沿って移動し、前記開口部を開閉する開閉部材と、
前記空間に収容され、前記開閉部材に接して前記開口部を塞ぐ方向に当該開閉部材を押すコイルバネであって、前記開閉部材の移動に伴って圧縮されたときに、端部から数えて1捲き目の部分と2捲き目の部分とは接触し、3捲き目の部分は前記1捲き目の部分及び前記2捲き目の部分の両方には接触しないコイルバネと、を備えた
ことを特徴とする開閉機構。
【請求項3】
請求項1または2に記載の開閉機構において、
前記空間は、被搬送物を前記軸線方向に搬送するための螺旋状の搬送具を有する搬送空間であり、
前記搬送具は、前記コイルバネの内周側に挿入されており、
前記コイルバネの捲方向と前記搬送具の螺旋の捲方向とが逆向きとなる
ことを特徴とする開閉機構。
【請求項4】
現像剤が収容される収容容器と、
前記収容容器内に設けられ、前記現像剤を搬送する搬送具と、
前記収容容器に設けられ、当該収容空間内の現像剤が通過する開口部を開閉する請求項1ないし3のいずれかの請求項に記載の開閉機構と、を備えた
ことを特徴とする現像剤搬送装置。
【請求項5】
像を形成する像形成手段と、
前記像形成手段に対して現像剤の供給または排出を行うために当該現像剤を搬送する請求項4に記載の現像剤搬送装置と、を備えた
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−107637(P2011−107637A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−265444(P2009−265444)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】