開閉駆動装置
【課題】モータの出力軸とロッド部材の軸との同軸度が高く、ロッド部材が安定して回転することができ、異音の発生を抑制することができる開閉駆動装置を提供する。
【解決手段】モータを含む駆動源と、第1接続部と第2接続部とを有し、第1接続部が駆動源の出力軸に接続されるジョイントと、第2接続部に接続されるジョイント接続部と、外表面に第1雄ねじ部とが形成されたロッド部材と、ロッド部材の第1雄ねじ部と螺合する第1雌ねじ部を有し、ロッド部材の回転により直線移動するナット部材と、ナット部材の直線移動により車両の開閉体を開閉作動させる連結部材とを備え、第2接続部とジョイント接続部との一方には第2雄ねじ部が形成され、他方には第2雌ねじ部が形成されており、第2接続部とジョイント接続部とは、その外周側から加圧することで固定される。
【解決手段】モータを含む駆動源と、第1接続部と第2接続部とを有し、第1接続部が駆動源の出力軸に接続されるジョイントと、第2接続部に接続されるジョイント接続部と、外表面に第1雄ねじ部とが形成されたロッド部材と、ロッド部材の第1雄ねじ部と螺合する第1雌ねじ部を有し、ロッド部材の回転により直線移動するナット部材と、ナット部材の直線移動により車両の開閉体を開閉作動させる連結部材とを備え、第2接続部とジョイント接続部との一方には第2雄ねじ部が形成され、他方には第2雌ねじ部が形成されており、第2接続部とジョイント接続部とは、その外周側から加圧することで固定される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両開口部に配置された開閉体の開閉駆動装置に関するものであり、さらに詳しくは自動車等の車両のバックドア又はトランクドア(トランクリッド)の開閉駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両の多くには、後開口に跳ね上げ方向に開くバックドア又はトランクドア(トランクリッド)や、車両前後方向にスライドして開くスライドドア等の開閉体が備えられている。最近、利便性及び(又は)安全性を高める等の目的で、開閉体を電動で行う開閉装置を備えた車両が増えてきている。
【0003】
例えば、特開2004−175211号公報、特開2007−10146号公報に、電力を用いた開閉装置が提案されている。特開2004−175211号公報に記載のドア開閉システムには、モータで送りねじを回転させ、送りねじと螺合して移動するスライダを用いたドア開閉システムが開示されている。
【0004】
また、特開2007−10146号公報に記載の駆動装置では、ねじスピンドルとスピンドルナットを利用して、自動車の跳ね上げフラップを開閉する駆動装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−175211号公報
【特許文献2】特開2007−10146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特開2004−175211号公報の図4や特開2007−10146号公報の図4に記載されているような、車両の後部ドア等の開閉体を電動で開閉するボルト・ナット式の開閉駆動装置では、モータを含む駆動源の出力軸と前記ボルト(以下、ロッド部材という)の軸とが同軸でないと、回転軸がぶれて回転が安定せず、異音が発生するおそれがある。
【0007】
そこで本発明は、モータの出力軸とロッド部材の軸との同軸度が高く、ロッド部材が安定して回転することができ、異音の発生を抑制することができる開閉駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、モータを含む駆動源と、第1接続部と第2接続部とを有し、前記第1接続部が前記駆動源の出力軸に接続されるジョイントと、前記第2接続部に接続されるジョイント接続部と、外表面に第1雄ねじ部とが形成されたロッド部材と、前記ロッド部材の第1雄ねじ部と螺合する第1雌ねじ部を有し、前記ロッド部材の回転により直線移動するナット部材と、前記ナット部材の直線移動により車両の開閉体を開閉作動させる連結部材とを備え、前記第2接続部と前記ジョイント接続部との一方には第2雄ねじ部が形成され、他方には第2雌ねじ部が形成されており、前記第2接続部と前記ジョイント接続部とは、その外周側から加圧することで固定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
(1)本発明によると、第2接続部とジョイント接続部とを固定するのに、同軸度の高い嵌合が可能なねじによる螺合と圧接を組み合わせているので、出力軸とロッド部材の同軸度が高く、ロッド部材が安定して回転することができ、異音の発生を抑制することができる。
【0010】
(2)本発明の前記第2接続部と前記ジョイント接続部とがスウェージング加締めで固定される場合、圧接の力を軸方向へ逃がすので、出力軸とロッド部材の同軸度をより高くすることができる。また、加工時の軸のブレを抑えることも可能である。
【0011】
(3)本発明の前記モータと前記出力軸との間には、クラッチが介在された構成となっている場合、前記ロッド部材が外力により回転させられたときに、ジョイントに負荷がかかって変形し同軸度が低くなることを抑制し、前記ロッド部材をより安定して回転させることができる。
【0012】
(4)本発明の前記第1接続部と前記出力軸はスプライン嵌合されている場合、出力軸とロッド部材の同軸度を一層高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明にかかる開閉駆動装置を用いた車両の後部を示す概略図である。
【図2】本発明にかかる開閉駆動装置の正面図である。
【図3A】駆動源を示す図である。
【図3B】出力軸を軸方向から見た拡大図である。
【図4A】ジョイントを軸に沿って切断した断面図である。
【図4B】図4Aに示すジョイントを駆動源側から見た図である。
【図4C】図4Aに示すジョイントをロッド部材側から見た図である。
【図5A】ロッド部材の中間部分を省略した図である。
【図5B】図5Aに示すロッド部材の円Bで囲んだ部分を拡大した図である。
【図6】ジョイント接続部と第2接続部の手順を示す概略図である。
【図7】図2に示す開閉駆動装置をVII-VII線で切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は本発明にかかる開閉駆動装置を用いた車両の後部を示す概略図であり、図2は本発明にかかる開閉駆動装置の正面図である。なお、図2に示す開閉駆動装置Aでは、理解を容易にするためモータMの一部の角度を変え、断面で表示している。
【0015】
図1に示すように、開閉駆動装置Aは、車両Crの内部に配置され、車両Crの後部開口部の上端に備えられた支点Fcに回動自在に連結されたドアなどの開閉体Drを開閉する装置である。なお、車両Crでは、開閉体Drの開閉を開閉駆動装置Aだけを用いるものとしているが、これに限定されるものではなく、開閉駆動装置Aと開閉体Drの移動を補助するダンパーを用いる構成としてもよい。以下に、本発明にかかる開閉駆動装置Aの詳細について図面を参照して説明する。
【0016】
図2に示すように、本発明にかかる開閉駆動装置Aは、モータMを含む駆動源1と、ロッド部材2と、ナット部材3と、連結部材4と、ジョイント5とを有している。駆動源1には、出力軸11が備えられており、出力軸11とモータMとの間にはクラッチ13が介在している。ジョイント5は駆動源1の出力軸11とロッド部材2とを連結しており、駆動源1の回転力がジョイント5を介してロッド部材2に伝達される。そして、ロッド部材2に形成されている第1雄ねじ部23とナット部材3とが螺合しており、ロッド部材2の回転によってナット部材3が直線移動する。さらにナット部材3には連結部材4が回動可能に取り付けられており、ナット部材3が直線移動することで連結部材4が開閉体Drを押しあるいは引き、開閉体Drが開閉する。
【0017】
以下に本発明にかかる開閉駆動装置Aの各部の詳細について図面を参照しつつ説明する。
【0018】
駆動源1について、図面を参照して説明する。図3Aは駆動源を示す図であり、図3Bは出力軸を軸方向から見た拡大図である。図2に示しているように、駆動源1はモータMの一部と出力軸を除いてハウジングHgの内部に配置されている。
【0019】
図3Aに示しているように、駆動源1は、出力軸11と、出力軸11と同軸に配置される伝達軸12と、出力軸11と伝達軸12の間に配置されたクラッチ13と、伝達軸12に取り付けられ、モータMの回転軸Spに固定されたウォームギアWgと歯合するウォームホイール14とを備えている。
【0020】
出力軸11は、円柱状の外表面より径方向に突出し、軸方向に平行に伸びる15個の凸条111が周方向に等間隔に並んで形成されている。伝達軸12は回転軸が出力軸11の回転軸と同軸になるように並んで配置されている。伝達軸12は円柱状の形状を有しており、ウォームホイール14が取り付け固定されている。上述しているように、ウォームホイール14はモータMの回転軸Spに固定されたウォームギアWgと歯号しているので、モータMの回転軸に発生する回転力がウォームギアWg及びウォームホイール14を介して伝達軸12に伝達される。なお、モータMの回転軸Spから伝達軸12に回転力を伝達するときの減速比は、ウォームギアWg及びウォームホイール14によって決定される。
【0021】
クラッチ13は、電磁式クラッチである。クラッチ13は従来よく知られた構成であり、図2に示すように、出力軸11と、モータMに接続された伝達軸12との間に配置されている。クラッチ13は内部にコイル(不図示)を備えており、コイルに電力が供給されることで、出力軸11と伝達軸12とが連結され回転力(トルク)が伝達される。また、コイルに電流が供給されていないとき、伝達軸12と出力軸11とが分離され、回転力(トルク)の伝達が停止される。
【0022】
ジョイント5について新たな図面を参照して説明する。図4Aはジョイント5を軸に沿って切断した断面図であり、図4Bは図4Aに示すジョイント5を駆動源側から見た図であり、図4Cは図4Aに示すジョイント5をロッド部材側から見た図である。なお、ジョイント5はロッド部材2と接続された後、加工されるものであるが、図4A〜図4Bに示すジョイント5は、出力軸11及び(又は)ロッド部材2と接続する前の形状を示している。
【0023】
図4A〜図4Cに示すように、ジョイント5は、出力軸11と接続される筒状の第1接続部51と、ロッド部材2が接続される筒状の第2接続部52とを備えている。第1接続部51と第2接続部52とは、中心軸が一致するように連結されている。
【0024】
図4A、図4Bに示すように、第1接続部51は、筒形状の部材であり、出力軸11が挿入可能なように、内周面には、凸条111が遊嵌可能な形状の凹溝511を備えている。詳しく説明すると、凹溝511は凸条111が軸方向に移動できるように、凸条111よりも若干大きく形成されている。また、出力軸11が回転すると、直ちに凸条111と凹溝511とが係合する程度の隙間でもある。
【0025】
出力軸11とジョイント5の第1接続部51とを凸条111及び凹溝511とでスプライン嵌合することで、出力軸11とジョイント5とは、軸方向の移動が可能なように接続される。これにより、出力軸11が回転すると凸条111と凹溝511とが係合し、出力軸11の回転力がジョイント5に伝達される。また、ジョイント1と出力軸11とは軸方向に着脱可能な関係になっており、開閉駆動装置Aの組み付けが容易になる。
【0026】
なお、出力軸11と第1接続部51とは15個の凸条111と凹溝511との係合によって接続されているが、個数は15個以上であっても、以下であっても構わない。少なすぎると大きな回転力が作用したとき、1個の凸条あるいは凹溝に作用する力が大きくなりすぎる。また、数が多すぎると1個の凸条が小さくなり、組み付けが煩雑になるとともに、加工が困難になるので、15個程度であることが好ましい。また、出力軸11と第1接続部51との接続は、凸条と凹溝によるもの以外にも、例えば、一方を多角形、楕円形等の断面円形状以外の形状とし、他方をその形状と嵌合できる形状としてもよい。
【0027】
図4Cに示すように、第2接続部52は、円筒形状を有しており、外表面が断面円形状の曲面で形成されている。また、内周面には第2雌ねじ部521が形成されており、後述するロッド部材2のジョイント接続部21の先端部分に形成された第2雄ねじ部212と螺合する。第2雌ねじ部521及び第2雄ねじ部212の詳細については後述する。
【0028】
次にロッド部材2について図面を参照して説明する。図5Aはロッド部材の中間部分を省略した図であり、図5Bは図5Aに示すロッド部材の円Bで囲んだ部分を拡大した図である。図2に示すように、ロッド部材2は、ガイドレール20の内部に回転可能に配置されている。ロッド部材2は、円柱状の部材であり、一方の端部に形成され、第2接続部52に接続される円柱状のジョイント接続部21と、ジョイント接続部21と反対側の端部に形成された被支持部22と、ジョイント接続部21と被支持部22との間の外表面に形成された第1雄ねじ部23とを備えている。
【0029】
ガイドレール20は、金属板を断面コの字状に曲げて成形した部材である。図2等に示すように、ガイドレール20には長手方向に連続する開口202が形成されている。また、ガイドレール20の長手方向先端にはセットプレート201が取り付けられているとともに、反対側の端部にハウジングHgに取り付けるためのブラケット203が固定されている。
【0030】
すなわち、ロッド部材2はジョイント接続部21がベアリングBrgを介してブラケット203に回転可能に支持されているとともに、被支持部22がセットプレート201に回転可能に支持されている。ロッド部材2は、両端部(ジョイント接続部21及び被支持部22)がガイドレール20の端部に配置されたブラケット203及びセットプレート201にそれぞれ回転可能に支持されているので、ロッド部材2はガイドレール20の内部で回動可能に支持されている。そして、ブラケット203はハウジングHgにねじ止めされている。
【0031】
ジョイント接続部21には、ベアリングBrgが取り付けられるベアリング取付け部211と、第2接続部52の内周面に形成された第2雌ねじ部521と螺合する第2雄ねじ部212が形成されている。図5Bに示しているように、ベアリング取付け部211より第2雄ねじ部212が先端側に形成されているので、ベアリングBrgの取り付けを容易にするため、ベアリング取付け部211の外径は第2雄ねじ部212の外径よりも大きく形成されている。
【0032】
ジョイント接続部21と第2接続部52との接続について詳しく説明する。図6はジョイント接続部と第2接続部の接続手順を示す概略図である。ジョイント5の第2接続部52とロッド部材2のジョイント接続部21の接続は次のとおりである。
【0033】
まず、第2雌ねじ部521と第2雄ねじ部212とを螺合する。このようにねじを利用してジョイント5とロッド部材2とを連結することで、特殊な機器を用いることなく、ジョイント5とロッド部材2とを回転軸を一致させて接続することが可能である。ジョイント5の回転力をロッド部材2に伝達する構成であるので、ねじ嵌合だけでは回転力を伝達するときにねじが緩む場合がある。そこで、ジョイント5の第2接続部52の外周側から複数個所同時に加圧し、第2接続部52とジョイント接続部21とを加締めて固定する。
【0034】
ここで、スウェージング加締めを用いると、図6に示すように、第2雌ねじ部521と第2雄ねじ部212とを螺合した状態で、第2接続部52の外周側から8個の治具Prで加圧する。このとき、すべての治具Prを同じタイミング及び同じ強さで加圧することで、加圧の力を軸方向へ逃がすので、加圧力の偏りによって第2接続部52又はジョイント接続部21が傾いてしまったり、第2接続部52とジョイント接続部21との回転軸がずれてしまったりするのを抑制することができる。また、加締めにより固定するので、第2雌ねじ部521と第2雄ねじ部212が容易に外れることがない。
【0035】
すなわち、第2接続部52とジョイント接続部21とを高い同軸度を保った状態でしっかり接続固定することが可能となっている。このことより、ジョイント5とロッド部材2とは、同軸度が高く強固に固定されるので、ジョイント5からロッド部材2に回転力を伝達するときに、ロッド部材2が安定して回転し、軸のブレによる異音の発生を抑制することができる。
【0036】
本実施形態では、ジョイント5とロッド部材2との接続を、8か所から押圧するスウェージング加締めを例に説明しているが、8か所に限定されるものではなく、中心軸がずれたり、曲がったりしないのであればさらに少ない数であってもよいし、周方向に配置することが可能であれば8か所よりも多くてもよい。また、ジョイント5の第2接続部52とロッド部材2のジョイント接続部21とを螺合したのち、スウェージング加締めを行っているが、これに限定されるものではなく、軸が傾いたり軸がずれたりしないように加圧し、ジョイント5とロッド部材2とをしっかり固定できる方法を広く採用することができる。
【0037】
被支持部22はガイドレール20の先端に取り付けられたセットプレート201に形成された凹穴に回動可能に挿入されるものである。被支持部22がセットプレート201に支持されていることで、ロッド部材2の先端側がふらつくのを抑制し、ロッド部材2のたわみを抑制している。なお、図2に示す開閉駆動装置Aでは、被支持部22は凹穴に挿入されているだけであるが、軸受を介して取り付けられるようにしてもよい。
【0038】
なお、図2に示す開閉駆動装置Aにおいて、ジョイント接続部21及び被支持部22は第1雄ねじ部23の外径よりも小さな外径の円柱状としているが、これに限定されるものではなく、少なくとも一方が第1雄ねじ部23の外径よりも大きな外径の円柱であってもよい。なお、ロッド部材2を円柱状の金属棒を切削加工で製造する場合、ジョイント接続部21及び被支持部22の外径が第1雄ねじ部23の外径よりも小さい方が、製造が容易であるため、開閉駆動装置Aでは、ジョイント接続部21及び被支持部22の外径を第1雄ねじ部23の外径よりも小さくしている。第1雄ねじ部23の外表面には、雄ねじが形成されており、ナット部材3の後述する第1雌ねじ部31が螺合している。
【0039】
次にナット部材3について新たな図面を参照して説明する。図7は図2に示す開閉駆動装置をVII-VII線で切断した断面図である。図7において、ナット部材3は半分を断面で示している。図7に示すように、ナット部材3は第1雄ねじ部23と螺合する第1雌ねじ部31と、ガイドレール20の内部と接触するライニング32と、ガイドレール20に形成されている開口202より突出し、連結部材4を回動可能に支持するスタッド部33とを備えている。
【0040】
第1雌ねじ部31は、ナット部材3の本体と別体で形成されており、ナット部材3の本体の中央部を貫通して固定されている。第1雌ねじ部31が第1雄ねじ部23と螺合していることから、ロッド部材2の回転によって第1雌ねじ部31はロッド部材2の軸に沿う方向に移動する。これにより、第1雌ねじ部31が備えられたナット部材3は、ロッド部材2及びガイドレール20にガイドされ、ロッド部材2の軸に沿う方向に移動する。なお、第1雌ねじ部31はナット部材3の本体と一体形成された雌ねじであってもよい。
【0041】
第1雌ねじ部31と第1雄ねじ部23とは接触しているので、第1雌ねじ部31と第1雄ねじ部23との摩擦を低減するため、グリースが塗布されている。これにより第1雌ねじ部31及び(又は)第1雄ねじ部23の摩耗、発熱を減らすことができる。また、摩擦によるロスが少ないので、モータMの駆動に要する電力も低減することが可能である。
【0042】
なお、グリース以外の潤滑剤が塗布されていてもよく、第1雌ねじ部31及び(又は)第1雄ねじ部23が摩擦の小さい材料で形成されている場合、潤滑剤を塗布しなくてもよい。また、ライニング32はガイドレール20と接触することで、ナット部材3の摺動時のがたつきやねじれを抑制している。ライニング32とガイドレール20との間にもグリースが塗布され、ライニング32とガイドレール20との摩擦を低減し、ライニング32及び(又は)ガイドレール20の摩耗を低減している。
【0043】
なお、ライニング32はフッ素樹脂等の摺動性の高い材料で形成することで、グリースのような潤滑剤の塗布を省略することが可能である。なお、ライニング32を容易に着脱できるように形成しておくことで、ライニング32が摩耗したときに交換できる。これにより、ナット部材3ががたついたりねじれたりするようになっても、ライニング32を取り換えるだけでよいので無駄を省くことができる。
【0044】
連結部材4は長尺棒状部材であり、一方の端部がスタッド部33に、他方の端部が開閉体Drにそれぞれ回動可能に支持されている。開閉体Drと開閉駆動装置Aとがリンク機構を構成しており、ナット部材3がガイドレール20に沿って摺動することで、連結部材4を介して開閉体Drが押され(引かれ)、開閉体Drは支点Fcを中心に回動される。
【0045】
上記実施形態において、ジョイント5の第2接続部52に第2雌ねじ部521が形成され、ロッド部材2のジョイント接続部21に第2雄ねじ部212が形成されているものとしているが、これに限定されるものではない。つまり、ジョイント5の第2接続部52を小径の円柱状に形成し、その外表面に第2雄ねじ部を形成し、ロッド部材2のジョイント接続部を円筒状に形成し、その内周面に第2雌ねじ部を形成した形状であってもよい。この場合、第2雄ねじ部と第2雌ねじ部とを螺合したのち、ロッド部材2のジョイント接続部の外周側よりスウェージング加締めを行うことで、固定することが可能である。
【0046】
上記実施形態において、駆動源1の出力軸11と伝達軸12の間にクラッチ13が介在しているが、なくてもよい。クラッチ13がないと出力軸11と伝達軸12とを直結とすることができるので、伝達ロスを低減することが可能である。
【0047】
本発明の開閉駆動装置Aでは、ジョイント5の第2接続部52とロッド部材2のジョイント接続部21との固定が、ねじによる螺合と加圧を組み合わせているので同軸度が高い。これにより、出力軸11とロッド部材2の同軸度が高く、ロッド部材2が安定して回転し、異音の発生を抑制することができる。
【0048】
なお、開閉駆動装置Aの第2接続部52とジョイント接続部21とはスウェージング加締めで固定しているので、出力軸11とロッド部材2の同軸度をより高くすることができる。また、加工時の軸のブレを抑えることも可能である。
【0049】
また、開閉駆動装置Aでは、出力軸11と伝達軸12(モータM)との間に、クラッチ13が介在されているので、ロッド部材2が外力等により回転させられた場合でも、クラッチ13を切断することで、モータMからジョイント5に作用する回転力を切断することができるのでジョイント5に負荷がかかるのを抑制することができる。これにより、出力軸11、ロッド部材2、ジョイント5等が変形し同軸度が低くなることを抑制することができ、前記ロッド部材をより安定して回転させることができる。
【0050】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこの内容に限定されるものではない。また本発明の実施形態は、発明の趣旨を逸脱しない限り、種々の改変を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明はバックドア又はトランクドア(トランクリッド)等の跳ね上げ式の開閉体や、スライドドア等の車両前後方向にスライドして開く開閉体を電動で開閉する開閉装置として利用することが可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 駆動源
11 出力軸
111 凸条
12 伝達軸
13 クラッチ
14 ウォームホイール
2 ロッド部材
20 ガイドレール
200 貫通孔
201 セットプレート
202 開口
203 ブラケット
21 ジョイント接続部
211 ベアリング取付け部
212 第2雄ねじ部
22 被支持部
23 第1雄ねじ部
3 ナット部材
31 第1雌ねじ部
32 ライニング
33 スタッド部
4 連結部材
5 ジョイント
51 第1接続部
511 凹溝
52 第2接続部
521 第2雌ねじ部
19 ワイヤガイド部
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両開口部に配置された開閉体の開閉駆動装置に関するものであり、さらに詳しくは自動車等の車両のバックドア又はトランクドア(トランクリッド)の開閉駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両の多くには、後開口に跳ね上げ方向に開くバックドア又はトランクドア(トランクリッド)や、車両前後方向にスライドして開くスライドドア等の開閉体が備えられている。最近、利便性及び(又は)安全性を高める等の目的で、開閉体を電動で行う開閉装置を備えた車両が増えてきている。
【0003】
例えば、特開2004−175211号公報、特開2007−10146号公報に、電力を用いた開閉装置が提案されている。特開2004−175211号公報に記載のドア開閉システムには、モータで送りねじを回転させ、送りねじと螺合して移動するスライダを用いたドア開閉システムが開示されている。
【0004】
また、特開2007−10146号公報に記載の駆動装置では、ねじスピンドルとスピンドルナットを利用して、自動車の跳ね上げフラップを開閉する駆動装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−175211号公報
【特許文献2】特開2007−10146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特開2004−175211号公報の図4や特開2007−10146号公報の図4に記載されているような、車両の後部ドア等の開閉体を電動で開閉するボルト・ナット式の開閉駆動装置では、モータを含む駆動源の出力軸と前記ボルト(以下、ロッド部材という)の軸とが同軸でないと、回転軸がぶれて回転が安定せず、異音が発生するおそれがある。
【0007】
そこで本発明は、モータの出力軸とロッド部材の軸との同軸度が高く、ロッド部材が安定して回転することができ、異音の発生を抑制することができる開閉駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、モータを含む駆動源と、第1接続部と第2接続部とを有し、前記第1接続部が前記駆動源の出力軸に接続されるジョイントと、前記第2接続部に接続されるジョイント接続部と、外表面に第1雄ねじ部とが形成されたロッド部材と、前記ロッド部材の第1雄ねじ部と螺合する第1雌ねじ部を有し、前記ロッド部材の回転により直線移動するナット部材と、前記ナット部材の直線移動により車両の開閉体を開閉作動させる連結部材とを備え、前記第2接続部と前記ジョイント接続部との一方には第2雄ねじ部が形成され、他方には第2雌ねじ部が形成されており、前記第2接続部と前記ジョイント接続部とは、その外周側から加圧することで固定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
(1)本発明によると、第2接続部とジョイント接続部とを固定するのに、同軸度の高い嵌合が可能なねじによる螺合と圧接を組み合わせているので、出力軸とロッド部材の同軸度が高く、ロッド部材が安定して回転することができ、異音の発生を抑制することができる。
【0010】
(2)本発明の前記第2接続部と前記ジョイント接続部とがスウェージング加締めで固定される場合、圧接の力を軸方向へ逃がすので、出力軸とロッド部材の同軸度をより高くすることができる。また、加工時の軸のブレを抑えることも可能である。
【0011】
(3)本発明の前記モータと前記出力軸との間には、クラッチが介在された構成となっている場合、前記ロッド部材が外力により回転させられたときに、ジョイントに負荷がかかって変形し同軸度が低くなることを抑制し、前記ロッド部材をより安定して回転させることができる。
【0012】
(4)本発明の前記第1接続部と前記出力軸はスプライン嵌合されている場合、出力軸とロッド部材の同軸度を一層高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明にかかる開閉駆動装置を用いた車両の後部を示す概略図である。
【図2】本発明にかかる開閉駆動装置の正面図である。
【図3A】駆動源を示す図である。
【図3B】出力軸を軸方向から見た拡大図である。
【図4A】ジョイントを軸に沿って切断した断面図である。
【図4B】図4Aに示すジョイントを駆動源側から見た図である。
【図4C】図4Aに示すジョイントをロッド部材側から見た図である。
【図5A】ロッド部材の中間部分を省略した図である。
【図5B】図5Aに示すロッド部材の円Bで囲んだ部分を拡大した図である。
【図6】ジョイント接続部と第2接続部の手順を示す概略図である。
【図7】図2に示す開閉駆動装置をVII-VII線で切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は本発明にかかる開閉駆動装置を用いた車両の後部を示す概略図であり、図2は本発明にかかる開閉駆動装置の正面図である。なお、図2に示す開閉駆動装置Aでは、理解を容易にするためモータMの一部の角度を変え、断面で表示している。
【0015】
図1に示すように、開閉駆動装置Aは、車両Crの内部に配置され、車両Crの後部開口部の上端に備えられた支点Fcに回動自在に連結されたドアなどの開閉体Drを開閉する装置である。なお、車両Crでは、開閉体Drの開閉を開閉駆動装置Aだけを用いるものとしているが、これに限定されるものではなく、開閉駆動装置Aと開閉体Drの移動を補助するダンパーを用いる構成としてもよい。以下に、本発明にかかる開閉駆動装置Aの詳細について図面を参照して説明する。
【0016】
図2に示すように、本発明にかかる開閉駆動装置Aは、モータMを含む駆動源1と、ロッド部材2と、ナット部材3と、連結部材4と、ジョイント5とを有している。駆動源1には、出力軸11が備えられており、出力軸11とモータMとの間にはクラッチ13が介在している。ジョイント5は駆動源1の出力軸11とロッド部材2とを連結しており、駆動源1の回転力がジョイント5を介してロッド部材2に伝達される。そして、ロッド部材2に形成されている第1雄ねじ部23とナット部材3とが螺合しており、ロッド部材2の回転によってナット部材3が直線移動する。さらにナット部材3には連結部材4が回動可能に取り付けられており、ナット部材3が直線移動することで連結部材4が開閉体Drを押しあるいは引き、開閉体Drが開閉する。
【0017】
以下に本発明にかかる開閉駆動装置Aの各部の詳細について図面を参照しつつ説明する。
【0018】
駆動源1について、図面を参照して説明する。図3Aは駆動源を示す図であり、図3Bは出力軸を軸方向から見た拡大図である。図2に示しているように、駆動源1はモータMの一部と出力軸を除いてハウジングHgの内部に配置されている。
【0019】
図3Aに示しているように、駆動源1は、出力軸11と、出力軸11と同軸に配置される伝達軸12と、出力軸11と伝達軸12の間に配置されたクラッチ13と、伝達軸12に取り付けられ、モータMの回転軸Spに固定されたウォームギアWgと歯合するウォームホイール14とを備えている。
【0020】
出力軸11は、円柱状の外表面より径方向に突出し、軸方向に平行に伸びる15個の凸条111が周方向に等間隔に並んで形成されている。伝達軸12は回転軸が出力軸11の回転軸と同軸になるように並んで配置されている。伝達軸12は円柱状の形状を有しており、ウォームホイール14が取り付け固定されている。上述しているように、ウォームホイール14はモータMの回転軸Spに固定されたウォームギアWgと歯号しているので、モータMの回転軸に発生する回転力がウォームギアWg及びウォームホイール14を介して伝達軸12に伝達される。なお、モータMの回転軸Spから伝達軸12に回転力を伝達するときの減速比は、ウォームギアWg及びウォームホイール14によって決定される。
【0021】
クラッチ13は、電磁式クラッチである。クラッチ13は従来よく知られた構成であり、図2に示すように、出力軸11と、モータMに接続された伝達軸12との間に配置されている。クラッチ13は内部にコイル(不図示)を備えており、コイルに電力が供給されることで、出力軸11と伝達軸12とが連結され回転力(トルク)が伝達される。また、コイルに電流が供給されていないとき、伝達軸12と出力軸11とが分離され、回転力(トルク)の伝達が停止される。
【0022】
ジョイント5について新たな図面を参照して説明する。図4Aはジョイント5を軸に沿って切断した断面図であり、図4Bは図4Aに示すジョイント5を駆動源側から見た図であり、図4Cは図4Aに示すジョイント5をロッド部材側から見た図である。なお、ジョイント5はロッド部材2と接続された後、加工されるものであるが、図4A〜図4Bに示すジョイント5は、出力軸11及び(又は)ロッド部材2と接続する前の形状を示している。
【0023】
図4A〜図4Cに示すように、ジョイント5は、出力軸11と接続される筒状の第1接続部51と、ロッド部材2が接続される筒状の第2接続部52とを備えている。第1接続部51と第2接続部52とは、中心軸が一致するように連結されている。
【0024】
図4A、図4Bに示すように、第1接続部51は、筒形状の部材であり、出力軸11が挿入可能なように、内周面には、凸条111が遊嵌可能な形状の凹溝511を備えている。詳しく説明すると、凹溝511は凸条111が軸方向に移動できるように、凸条111よりも若干大きく形成されている。また、出力軸11が回転すると、直ちに凸条111と凹溝511とが係合する程度の隙間でもある。
【0025】
出力軸11とジョイント5の第1接続部51とを凸条111及び凹溝511とでスプライン嵌合することで、出力軸11とジョイント5とは、軸方向の移動が可能なように接続される。これにより、出力軸11が回転すると凸条111と凹溝511とが係合し、出力軸11の回転力がジョイント5に伝達される。また、ジョイント1と出力軸11とは軸方向に着脱可能な関係になっており、開閉駆動装置Aの組み付けが容易になる。
【0026】
なお、出力軸11と第1接続部51とは15個の凸条111と凹溝511との係合によって接続されているが、個数は15個以上であっても、以下であっても構わない。少なすぎると大きな回転力が作用したとき、1個の凸条あるいは凹溝に作用する力が大きくなりすぎる。また、数が多すぎると1個の凸条が小さくなり、組み付けが煩雑になるとともに、加工が困難になるので、15個程度であることが好ましい。また、出力軸11と第1接続部51との接続は、凸条と凹溝によるもの以外にも、例えば、一方を多角形、楕円形等の断面円形状以外の形状とし、他方をその形状と嵌合できる形状としてもよい。
【0027】
図4Cに示すように、第2接続部52は、円筒形状を有しており、外表面が断面円形状の曲面で形成されている。また、内周面には第2雌ねじ部521が形成されており、後述するロッド部材2のジョイント接続部21の先端部分に形成された第2雄ねじ部212と螺合する。第2雌ねじ部521及び第2雄ねじ部212の詳細については後述する。
【0028】
次にロッド部材2について図面を参照して説明する。図5Aはロッド部材の中間部分を省略した図であり、図5Bは図5Aに示すロッド部材の円Bで囲んだ部分を拡大した図である。図2に示すように、ロッド部材2は、ガイドレール20の内部に回転可能に配置されている。ロッド部材2は、円柱状の部材であり、一方の端部に形成され、第2接続部52に接続される円柱状のジョイント接続部21と、ジョイント接続部21と反対側の端部に形成された被支持部22と、ジョイント接続部21と被支持部22との間の外表面に形成された第1雄ねじ部23とを備えている。
【0029】
ガイドレール20は、金属板を断面コの字状に曲げて成形した部材である。図2等に示すように、ガイドレール20には長手方向に連続する開口202が形成されている。また、ガイドレール20の長手方向先端にはセットプレート201が取り付けられているとともに、反対側の端部にハウジングHgに取り付けるためのブラケット203が固定されている。
【0030】
すなわち、ロッド部材2はジョイント接続部21がベアリングBrgを介してブラケット203に回転可能に支持されているとともに、被支持部22がセットプレート201に回転可能に支持されている。ロッド部材2は、両端部(ジョイント接続部21及び被支持部22)がガイドレール20の端部に配置されたブラケット203及びセットプレート201にそれぞれ回転可能に支持されているので、ロッド部材2はガイドレール20の内部で回動可能に支持されている。そして、ブラケット203はハウジングHgにねじ止めされている。
【0031】
ジョイント接続部21には、ベアリングBrgが取り付けられるベアリング取付け部211と、第2接続部52の内周面に形成された第2雌ねじ部521と螺合する第2雄ねじ部212が形成されている。図5Bに示しているように、ベアリング取付け部211より第2雄ねじ部212が先端側に形成されているので、ベアリングBrgの取り付けを容易にするため、ベアリング取付け部211の外径は第2雄ねじ部212の外径よりも大きく形成されている。
【0032】
ジョイント接続部21と第2接続部52との接続について詳しく説明する。図6はジョイント接続部と第2接続部の接続手順を示す概略図である。ジョイント5の第2接続部52とロッド部材2のジョイント接続部21の接続は次のとおりである。
【0033】
まず、第2雌ねじ部521と第2雄ねじ部212とを螺合する。このようにねじを利用してジョイント5とロッド部材2とを連結することで、特殊な機器を用いることなく、ジョイント5とロッド部材2とを回転軸を一致させて接続することが可能である。ジョイント5の回転力をロッド部材2に伝達する構成であるので、ねじ嵌合だけでは回転力を伝達するときにねじが緩む場合がある。そこで、ジョイント5の第2接続部52の外周側から複数個所同時に加圧し、第2接続部52とジョイント接続部21とを加締めて固定する。
【0034】
ここで、スウェージング加締めを用いると、図6に示すように、第2雌ねじ部521と第2雄ねじ部212とを螺合した状態で、第2接続部52の外周側から8個の治具Prで加圧する。このとき、すべての治具Prを同じタイミング及び同じ強さで加圧することで、加圧の力を軸方向へ逃がすので、加圧力の偏りによって第2接続部52又はジョイント接続部21が傾いてしまったり、第2接続部52とジョイント接続部21との回転軸がずれてしまったりするのを抑制することができる。また、加締めにより固定するので、第2雌ねじ部521と第2雄ねじ部212が容易に外れることがない。
【0035】
すなわち、第2接続部52とジョイント接続部21とを高い同軸度を保った状態でしっかり接続固定することが可能となっている。このことより、ジョイント5とロッド部材2とは、同軸度が高く強固に固定されるので、ジョイント5からロッド部材2に回転力を伝達するときに、ロッド部材2が安定して回転し、軸のブレによる異音の発生を抑制することができる。
【0036】
本実施形態では、ジョイント5とロッド部材2との接続を、8か所から押圧するスウェージング加締めを例に説明しているが、8か所に限定されるものではなく、中心軸がずれたり、曲がったりしないのであればさらに少ない数であってもよいし、周方向に配置することが可能であれば8か所よりも多くてもよい。また、ジョイント5の第2接続部52とロッド部材2のジョイント接続部21とを螺合したのち、スウェージング加締めを行っているが、これに限定されるものではなく、軸が傾いたり軸がずれたりしないように加圧し、ジョイント5とロッド部材2とをしっかり固定できる方法を広く採用することができる。
【0037】
被支持部22はガイドレール20の先端に取り付けられたセットプレート201に形成された凹穴に回動可能に挿入されるものである。被支持部22がセットプレート201に支持されていることで、ロッド部材2の先端側がふらつくのを抑制し、ロッド部材2のたわみを抑制している。なお、図2に示す開閉駆動装置Aでは、被支持部22は凹穴に挿入されているだけであるが、軸受を介して取り付けられるようにしてもよい。
【0038】
なお、図2に示す開閉駆動装置Aにおいて、ジョイント接続部21及び被支持部22は第1雄ねじ部23の外径よりも小さな外径の円柱状としているが、これに限定されるものではなく、少なくとも一方が第1雄ねじ部23の外径よりも大きな外径の円柱であってもよい。なお、ロッド部材2を円柱状の金属棒を切削加工で製造する場合、ジョイント接続部21及び被支持部22の外径が第1雄ねじ部23の外径よりも小さい方が、製造が容易であるため、開閉駆動装置Aでは、ジョイント接続部21及び被支持部22の外径を第1雄ねじ部23の外径よりも小さくしている。第1雄ねじ部23の外表面には、雄ねじが形成されており、ナット部材3の後述する第1雌ねじ部31が螺合している。
【0039】
次にナット部材3について新たな図面を参照して説明する。図7は図2に示す開閉駆動装置をVII-VII線で切断した断面図である。図7において、ナット部材3は半分を断面で示している。図7に示すように、ナット部材3は第1雄ねじ部23と螺合する第1雌ねじ部31と、ガイドレール20の内部と接触するライニング32と、ガイドレール20に形成されている開口202より突出し、連結部材4を回動可能に支持するスタッド部33とを備えている。
【0040】
第1雌ねじ部31は、ナット部材3の本体と別体で形成されており、ナット部材3の本体の中央部を貫通して固定されている。第1雌ねじ部31が第1雄ねじ部23と螺合していることから、ロッド部材2の回転によって第1雌ねじ部31はロッド部材2の軸に沿う方向に移動する。これにより、第1雌ねじ部31が備えられたナット部材3は、ロッド部材2及びガイドレール20にガイドされ、ロッド部材2の軸に沿う方向に移動する。なお、第1雌ねじ部31はナット部材3の本体と一体形成された雌ねじであってもよい。
【0041】
第1雌ねじ部31と第1雄ねじ部23とは接触しているので、第1雌ねじ部31と第1雄ねじ部23との摩擦を低減するため、グリースが塗布されている。これにより第1雌ねじ部31及び(又は)第1雄ねじ部23の摩耗、発熱を減らすことができる。また、摩擦によるロスが少ないので、モータMの駆動に要する電力も低減することが可能である。
【0042】
なお、グリース以外の潤滑剤が塗布されていてもよく、第1雌ねじ部31及び(又は)第1雄ねじ部23が摩擦の小さい材料で形成されている場合、潤滑剤を塗布しなくてもよい。また、ライニング32はガイドレール20と接触することで、ナット部材3の摺動時のがたつきやねじれを抑制している。ライニング32とガイドレール20との間にもグリースが塗布され、ライニング32とガイドレール20との摩擦を低減し、ライニング32及び(又は)ガイドレール20の摩耗を低減している。
【0043】
なお、ライニング32はフッ素樹脂等の摺動性の高い材料で形成することで、グリースのような潤滑剤の塗布を省略することが可能である。なお、ライニング32を容易に着脱できるように形成しておくことで、ライニング32が摩耗したときに交換できる。これにより、ナット部材3ががたついたりねじれたりするようになっても、ライニング32を取り換えるだけでよいので無駄を省くことができる。
【0044】
連結部材4は長尺棒状部材であり、一方の端部がスタッド部33に、他方の端部が開閉体Drにそれぞれ回動可能に支持されている。開閉体Drと開閉駆動装置Aとがリンク機構を構成しており、ナット部材3がガイドレール20に沿って摺動することで、連結部材4を介して開閉体Drが押され(引かれ)、開閉体Drは支点Fcを中心に回動される。
【0045】
上記実施形態において、ジョイント5の第2接続部52に第2雌ねじ部521が形成され、ロッド部材2のジョイント接続部21に第2雄ねじ部212が形成されているものとしているが、これに限定されるものではない。つまり、ジョイント5の第2接続部52を小径の円柱状に形成し、その外表面に第2雄ねじ部を形成し、ロッド部材2のジョイント接続部を円筒状に形成し、その内周面に第2雌ねじ部を形成した形状であってもよい。この場合、第2雄ねじ部と第2雌ねじ部とを螺合したのち、ロッド部材2のジョイント接続部の外周側よりスウェージング加締めを行うことで、固定することが可能である。
【0046】
上記実施形態において、駆動源1の出力軸11と伝達軸12の間にクラッチ13が介在しているが、なくてもよい。クラッチ13がないと出力軸11と伝達軸12とを直結とすることができるので、伝達ロスを低減することが可能である。
【0047】
本発明の開閉駆動装置Aでは、ジョイント5の第2接続部52とロッド部材2のジョイント接続部21との固定が、ねじによる螺合と加圧を組み合わせているので同軸度が高い。これにより、出力軸11とロッド部材2の同軸度が高く、ロッド部材2が安定して回転し、異音の発生を抑制することができる。
【0048】
なお、開閉駆動装置Aの第2接続部52とジョイント接続部21とはスウェージング加締めで固定しているので、出力軸11とロッド部材2の同軸度をより高くすることができる。また、加工時の軸のブレを抑えることも可能である。
【0049】
また、開閉駆動装置Aでは、出力軸11と伝達軸12(モータM)との間に、クラッチ13が介在されているので、ロッド部材2が外力等により回転させられた場合でも、クラッチ13を切断することで、モータMからジョイント5に作用する回転力を切断することができるのでジョイント5に負荷がかかるのを抑制することができる。これにより、出力軸11、ロッド部材2、ジョイント5等が変形し同軸度が低くなることを抑制することができ、前記ロッド部材をより安定して回転させることができる。
【0050】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこの内容に限定されるものではない。また本発明の実施形態は、発明の趣旨を逸脱しない限り、種々の改変を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明はバックドア又はトランクドア(トランクリッド)等の跳ね上げ式の開閉体や、スライドドア等の車両前後方向にスライドして開く開閉体を電動で開閉する開閉装置として利用することが可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 駆動源
11 出力軸
111 凸条
12 伝達軸
13 クラッチ
14 ウォームホイール
2 ロッド部材
20 ガイドレール
200 貫通孔
201 セットプレート
202 開口
203 ブラケット
21 ジョイント接続部
211 ベアリング取付け部
212 第2雄ねじ部
22 被支持部
23 第1雄ねじ部
3 ナット部材
31 第1雌ねじ部
32 ライニング
33 スタッド部
4 連結部材
5 ジョイント
51 第1接続部
511 凹溝
52 第2接続部
521 第2雌ねじ部
19 ワイヤガイド部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータを含む駆動源と、
第1接続部と第2接続部とを有し、前記第1接続部が前記駆動源の出力軸に接続されるジョイントと、
前記第2接続部に接続されるジョイント接続部と、外表面に第1雄ねじ部とが形成されたロッド部材と、
前記ロッド部材の第1雄ねじ部と螺合する第1雌ねじ部を有し、前記ロッド部材の回転により直線移動するナット部材と、
前記ナット部材の直線移動により車両の開閉体を開閉作動させる連結部材とを備え、
前記第2接続部と前記ジョイント接続部との一方には第2雄ねじ部が形成され、他方には第2雌ねじ部が形成されており、前記第2接続部と前記ジョイント接続部とは、その外周側から加圧することで固定されることを特徴とする開閉駆動装置。
【請求項2】
前記第2接続部と前記ジョイント接続部とは、スウェージング加締めで固定されることを特徴とする請求項1記載の開閉駆動装置。
【請求項3】
前記モータと前記出力軸との間には、クラッチが介在されていることを特徴とする請求項1または2に記載の開閉駆動装置。
【請求項4】
前記第1接続部と前記出力軸はスプライン嵌合されていることを特徴とする請求項1、2または3に記載の開閉駆動装置。
【請求項1】
モータを含む駆動源と、
第1接続部と第2接続部とを有し、前記第1接続部が前記駆動源の出力軸に接続されるジョイントと、
前記第2接続部に接続されるジョイント接続部と、外表面に第1雄ねじ部とが形成されたロッド部材と、
前記ロッド部材の第1雄ねじ部と螺合する第1雌ねじ部を有し、前記ロッド部材の回転により直線移動するナット部材と、
前記ナット部材の直線移動により車両の開閉体を開閉作動させる連結部材とを備え、
前記第2接続部と前記ジョイント接続部との一方には第2雄ねじ部が形成され、他方には第2雌ねじ部が形成されており、前記第2接続部と前記ジョイント接続部とは、その外周側から加圧することで固定されることを特徴とする開閉駆動装置。
【請求項2】
前記第2接続部と前記ジョイント接続部とは、スウェージング加締めで固定されることを特徴とする請求項1記載の開閉駆動装置。
【請求項3】
前記モータと前記出力軸との間には、クラッチが介在されていることを特徴とする請求項1または2に記載の開閉駆動装置。
【請求項4】
前記第1接続部と前記出力軸はスプライン嵌合されていることを特徴とする請求項1、2または3に記載の開閉駆動装置。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2013−11146(P2013−11146A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145882(P2011−145882)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(390000996)株式会社ハイレックスコーポレーション (362)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(390000996)株式会社ハイレックスコーポレーション (362)
【Fターム(参考)】
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