説明

間接押出プレス用ダイスのハンドリング装置

【課題】コンテナシェルの収容部を備えたダイス又はシールリングの効率的な交換を行う。
【解決手段】コンテナ内壁面のコンテナシェルを掻き取るシールリング22を着脱自在に備えたフィックスダイス24をダイステム20に固定して押出成形を行った後、シールリング22をプレス機外に取り出して交換する間接押出プレス用ダイスのハンドリング装置10である。本装置は押出プレスの押出軸心Sと交差する方向に進退移動し、シールリング22をダイステム20から取外し機外に取り出す第1のスライド60Aと、第1のスライド60Aと並列に配置し、新たなシールリング14をダイステム20に装着する第2のスライド60Bとを押出プレス内外に移動自在に備え、使用済のシールリング22をフィックスダイスから取り外した後、新たなシールリングをフィックスダイス24に取り付けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、間接押出プレス用ダイスのハンドリング装置に係り、特にコンテナシェルの収容部を備えたダイスを用いた間接押出プレスのダイス交換を行うハンドリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
間接押出プレスによる成形方法は、コンテナ内にビレットを装填してメインラムによりその一端部を押え、ダイステムの先端部にフリーダイスを密接又はフィックスダイスを螺着してビレットをコンテナとともにステムで押圧移動させることにより所定の押出成形品を製造する。このような間接押出プレスでは、成形後にコンテナ内壁面に素材の残渣としてコンテナシェルが残る。このコンテナシェルは間接押出特有のメタルフローに起因して発生し製品表面に欠陥が生じる原因となる。このため1成形サイクル毎にコンテナ内壁面に付着したコンテナシェルを除去するようにしている。
【0003】
次に例えばフリーダイスを用いた従来の一般的なコンテナシェルの除去処理方法を説明する。図6に従来の間接押出プレス用ダイスのハンドリング装置の工程を示す。除去処理は以下の工程によって行われる。押出工程が完了した後、コンテナの内部にビレットの押し残しであるディスカードがフリーダイスに密接した状態にあり、また製品もこれに連接された状態にある。
【0004】
そこでまず図6(1)に示すように、加圧ステム100を後退させるとともに、コンテナ102の後端にコンテナストッパ104を挟み込み、コンテナ102をディスカード106の厚み相当分だけ前進させてコンテナ102とフリーダイス108の端面を揃えてフリーダイス108に付着したディスカード106をコンテナ102の端面から突出させる。ついで図示しないコンテナホルダに取り付けたディスカードシャー110を下降して、フリーダイス108をコンテナ102に内挿させた状態でディスカード106を切断し製品112と分離する。
【0005】
ディスカード106の切断分離が完了した後、図6(2)に示すように、ディスカードシャー110を所定位置に上昇(矢印a)させて、コンテナ102の後端に固定したコンテナストッパ104を解除する(矢印b)。これによりコンテナ102は前方移動が可能となる。
【0006】
図6(3)に示すように、フリーダイス108に密接した製品112を図示しないプラー等の手段によって矢印c方向へ強制的に抜き出すとともに、コンテナ102を矢印d方向へ前進させフリーダイス108をコンテナ102の前端面より引き出す。このときダイスローダ114を準備しておき、抜き出されたコンテナシェル116が付着したフリーダイス108をダイスローダ114に移載してプレス機外に搬出する。機外に搬出されたフリーダイス108は図示しない回収装置によってダイスローダ114から回収され、後段のコンテナシェル除去作業を行う。
【0007】
次いで図6(4)に示すように図示しない供給装置によりコンテナシェル除去後の新たなフリーダイス108がダイスローダ114へ移載され、コンテナ102内にビレット118とともに装填される。このようなダイス交換用のハンドリング装置を用いてコンテナシェルを除去するためのダイスの交換方法は、例えば特許文献1に開示されている。
【特許文献1】実開平6−19913号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記従来のダイス交換方法は、押出終了後にディスカードを切断し、予め製品をダイスから強制的に抜き出したフリーダイスをコンテナからダイスローダで搬出して機外に取り出し、その後、押出中にフリーダイスをクリーニングして準備して待機したフリーダイスと交換する時間が必要であり押出のプレスアイドリング時間が余計にかかり、全稼働時間に対する押出成形の加工時間が減少し、生産効率が非効率的となっていた。
【0009】
そこで本発明は、上記従来の問題点に着目し、コンテナ内壁面に付着したコンテナシェルを除去する収容部を備えたダイス又はシールリングを用いた間接押出プレスにおいて、ダイスを効率的に交換することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の間接押出プレス用ダイスのハンドリング装置は、コンテナ内壁面のコンテナシェルを掻き取るシールリングを着脱自在に備えたフィックスダイスをダイステムに固定して押出成形を行った後、前記シールリングをプレス機外に取り出して交換する間接押出プレス用ダイスのハンドリング装置であって、押出プレスの押出軸心と交差する方向に進退移動し、前記シールリングをダイステムから取り外して機外に取り出す第1のダイスローダと、前記第1のダイスローダと並列に配置し、新たなシールリングをダイステムに装着する第2のダイスローダとを備え、前記第1のダイスローダと前記第2のダイスローダはそれぞれ前記押出プレス内外に移動自在に設けられ、使用済のシールリングを前記フィックスダイスから取り外した後、新たなシールリングを前記フィックスダイスに取り付けることを特徴としている。
【0011】
また本発明の間接押出プレス用ダイスのハンドリング装置は、コンテナ内壁面のコンテナシェルを掻き取るシールリングを着脱自在に備えたフィックスダイスをダイステムに固定して押出成形を行った後、前記シールリングをプレス機外に取り出して交換する間接押出プレス用ダイスのハンドリング装置であって、押出プレスの押出軸心と交差する方向に進退移動し、前記シールリングをダイステムから取り外して機外に取り出す第1のダイスローダと、前記第1のダイスローダと並列に配置し、新たなシールリングをダイステムに装着する第2のダイスローダと、前記第1のダイスローダと前記第2のダイスローダに接続し、前記第1のダイスローダで取り外す前記シールリングの後方であって前記押出プレスの押出軸心上に、前記第2のダイスローダで把持した新たなシールリング中心を配置させる制御手段と、を備えたことを特徴としている。
【0012】
本発明の間接押出プレス用ダイスのハンドリング装置は、コンテナ内壁面のコンテナシェルを掻き取るシェル収容部を備えたフリーダイスをダイステムに密接して押出成形を行った後、前記フリーダイスをプレス機外に取り出して交換する間接押出プレス用ダイスのハンドリング装置であって、押出プレスの押出軸心と交差する方向に進退移動し、前記フリーダイスをダイステムから取り外して機外に取り出す第1のダイスローダと、前記第1のダイスローダと並列に配置し、新たなフリーダイスをダイステムに装着する第2のダイスローダとを備え、前記第1のダイスローダと前記第2のダイスローダはそれぞれ前記押出しプレス内外に移動自在に設けられ、使用済みの前記フリーダイスをコンテナから抜き出した後、新たなフリーダイスを前記ダイステムとビレットの間に供給することを特徴としている。
【0013】
また本発明の間接押出プレス用ダイスのハンドリング装置は、コンテナ内壁面のコンテナシェルを掻き取るシェル収容部を備えたフリーダイスをダイステムに密接して押出成形を行った後、前記フリーダイスをプレス機外に取り出して交換する間接押出プレス用ダイスのハンドリング装置であって、押出プレスの押出軸心と交差する方向に進退移動し、前記フリーダイスをダイステムから取り外して機外に取り出す第1のダイスローダと、前記第1のダイスローダと並列に配置し、新たなフリーダイスをダイステムに装着する第2のダイスローダと、前記第1のダイスローダと前記第2のダイスローダに接続し、前記第1のダイスローダで取り外す前記フリーダイスの後方であって前記押出プレスの押出軸心上に、前記第2のダイスローダで把持した新たなフリーダイス中心を配置させる制御手段と、を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
上記構成による本発明の間接押出プレス用ダイスのハンドリング装置によれば、第1のダイスローダと第2のダイスローダがそれぞれ押出プレス内外に移動自在に設けられ、使用済のシールリングをフィックスダイスから取り外した後、新たなシールリングをフィックスダイスに取り付けるようにしている。このためシールリングの交換時間が短縮され、シールリングの交換作業を効率的に行うことができるとともに、アイドリング時間を短縮して間接押出プレスのサイクルタイムをすることができる。
【0015】
またコンテナシェルを掻き落とした使用済みのシールリングをフィックスダイスから取り出す際に、新たなシールリングを押出中心軸上の使用済みシールリングと対向する位置、すなわち押出中心軸と同一軸線上であって使用済みシールリングの後方に新たなシールリングを配置させる制御手段を備えているので、使用済のシールリングの取り出し後、直ちに新規のシールリングをフィックスダイスに挿入することができる。このため、シールリングの交換時間が短縮され、シールリングの交換作業を効率的に行うことができるとともに、アイドリング時間を短縮して間接押出プレスのサイクルタイムを短縮することができる。またフィックスダイスはダイステムに螺着して同一製品押出中はプレス機外に取り出すことがないので、同一のフィックスダイスを連続して再利用することができ、シールリングの交換後に次の押出を行っても押出製品の外周部に段差や管状品の肉厚にばらつきが発生することがない。
【0016】
前記フィックスダイスの代わりにフリーダイスを用いた場合であっても、第1のダイスローダと第2のダイスローダはそれぞれ押出しプレス内外に移動自在に設けられ、使用済みのフリーダイスをコンテナから抜き出した後、新たなフリーダイスをダイステムとビレットの間に供給するようにしている。このためフリーダイスの交換時間が短縮され、フリーダイスの交換作業を効率的に行うことができるとともに、プレスのアイドリング時間を短縮して間接押出プレスのサイクルタイムをすることができる。
【0017】
またコンテナシェルを掻き落した使用済みのフリーダイスをプレス機外に取り出す際に、押出中心軸上の使用済みフリーダイスと対向する位置、すなわち押出中心軸と同一軸線上に新たなフリーダイスを配置させる制御手段を備えているため、使用済のフリーダイスの取り出し後、直ちに新たなフリーダイスをプレス機内に供給することができる。このため、フリーダイスの交換時間が短縮され、フリーダイスの交換作業を効率的に行うことができるとともに、プレスのアイドリング時間を短縮して間接押出プレスのサイクルタイムを短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明に係る間接押出プレス用ダイスのハンドリング装置の実施形態を、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。なお図6と同一の構成には同一符号を付して説明する。
【0019】
まず実施形態に係るハンドリング装置の操作対象となっている間接押出プレス用のフィックスダイスとフリーダイスについて説明する。図4は間接押出プレス用のフィックスダイスの断面図を、図5は間接押出プレス用のフリーダイスの断面図をそれぞれ示している。
【0020】
フィックスダイス24は、図4に示すようにダイステム20aの先端に固定(一例として螺着、嵌合)され押出時にコンテナ102の内壁面からコンテナシェル116を掻き取るシールリング22を備えている。シールリング22は押出製品112の形状を特定するフィックスダイス24の外周面にプレス軸線方向に着脱自在に嵌装している。シールリング22はダイス外周面を略6角形状に形成してシェル収容溝28aを設けている。コンテナシェルの収容部となるシェル収容溝28aは、溝後縁22aでコンテナ内壁面から掻き取ったコンテナシェル116を溜める所定のスペースを備えている。
【0021】
ついてフリーダイス108は、図5に示すようにダイステム20bの先端に配設され押出時にコンテナ102の内壁面からコンテナシェル116を掻き取るクリーニング用のシェル収容溝28bが設けられている。シェル収容溝28bは、フリーダイス108の外周面を略六角形状に形成され、溝後縁108aにてコンテナ102の内壁面からコンテナシェル116を掻き取り溝内に溜める所定のスペースを備えている。また、このフリーダイス108はビレット118の押出時にはダイステム20bの先端部に押圧されて密接し、押出方向への移動が係止される構成となっている。
【0022】
次に、フィックスダイス24のシールリング22またはフリーダイス108を交換するハンドリング装置10を図1により説明する。図1は間接押出プレス用ダイスのハンドリング装置の構成概略図であり、より具体的には間接押出プレスの押出中心軸(S)の断面図であってハンドリング装置の側面を表している。図中の30は押出プレスのメインタイロッド組み立て品を示している。本発明のハンドリング装置10は2台のダイスローダ50A,50Bと制御手段40とからなる。ダイスローダ50A,50Bは、プレス機のマシンベース51の側部に取り付けられた水平支軸52に押出プレスの押出軸心Sと交差する方向に並列に設けている。またダイスローダ50A,50Bはいずれも押出プレスの押出中心Sと交差する平面上を揺動および進退可能に取り付けている。ダイスローダ50は、主に揺動移動部と、進退移動部と、フィックスダイスまたはフリーダイスのクランプ65とから構成してある。
【0023】
ダイスローダ50の揺動移動部は、マシンベース51の側部に取り付けられた水平支軸52に枢着された移動台53に取り付けている。移動台53は押出プレスの押出中心軸線と平行して移動する後述の水平移動シリンダ69に取り付けている。揺動移動部は主に揺動フレーム54と揺動シリンダ56から構成されている。揺動フレーム54はダイスローダ50を支持するフレームであって、移動台53の上端の水平支軸52に連結している。移動台53の下端には揺動シリンダ56の下端が連結されている。そして揺動シリンダ56の上端は揺動フレーム54に連結している。これによりダイスローダ50は揺動シリンダ56の伸縮作用によって押出プレスの押出中心軸と直交する平面上を揺動可能としている。
【0024】
次にダイスローダ50の進退移動部は、主にスライドガイド58とスライド60とスライドシリンダ62から構成されている。スライドガイド58は、揺動フレーム54の先端に形成した筒状のガイドであり、これにスライド60を摺動可能に挿入してある。スライドシリンダ62は、一端をスライド60の先端に固定し、他端をスライドガイド58の上端に固定してある。スライドシリンダ62の伸縮作用によってスライド60の先端を押出プレスの押出中心軸と直交する平面上を押出プレスの中心部に向けて水平方向に進退移動可能としている。
【0025】
またダイスローダ50のクランプ65は、押出プレス中心側のスライド60先端に取り付けてある。クランプ65は主に一対のクランプアーム66とクランプシリンダ68から構成されている。クランプ本体63はスライド60の先端に取り付けてあり、クランプ本体63の押出プレス中心側の両端には一対のクランプアーム66が連結してある。クランプアーム66の先端には、フリーダイスまたはシールリングの外周面の一部を支持する受け座64を備えている。受け座64はクランプ本体63の先端中央にも複数取り付けている。また一対のクランプアーム66にはそれぞれクランプシリンダ68が連結してある。クランプシリンダ68は一端をクランプアーム66に連結し、他端をクランプ本体63の後端に連結してある。
【0026】
上記構成の2基のダイスローダ50A、50Bは、プレス機マシンベース51の側部に取り付けられた水平支軸52に押出プレス中心軸線と交差する方向に2基並べて設けており、コンテナ102側の第1のダイスローダ50Aは使用済ダイスの取り出しを行い、加圧ステム100側の第2のダイスローダ50Bは、新規ダイスの取り付けを行う構成となっている。
【0027】
ここでダイスローダ50A,50Bを取り付けた移動台53は、水平移動シリンダ69に取り付けてある。水平移動シリンダ69は、押出プレスの押出中心Sと平行する方向(図1紙面と交差方向)に水平支軸52で支持した移動台53を水平移動可能としている。
【0028】
制御手段40は、使用済みのダイスを取り外す第1のダイスローダ50Aと、新たなダイスを導入する第2のダイスローダ50Bに接続している。制御手段40はダイスローダ50の揺動移動、進退移動、ダイスの把持を制御している。また制御手段40は、押出プレスの押出軸心S上であって第1のダイスローダ50Aで取り外すダイスの後方に、第2のダイスローダ50Bで把持した新たなダイス中心を配置させるように制御している。
【0029】
このように構成されたダイスのハンドリング装置は以下のように作用する。まずフィックスダイスを用いたハンドリング装置の処理について説明する。図2はフィックスダイスを用いたハンドリング装置の工程図である。
【0030】
図6に示すように押出プレスの押出工程の終了後、ディスカード106を切断してコンテナストッパ104を解放する。そして第1のスライド60Aのクランプ65Aはクランプシリンダ68Aの縮小により開放し、第2のスライド60Bのクランプ65Bはクランプシリンダ68Bの伸長により新規のシールリング14bを把持した状態でシールリング交換の待機態勢となる(図2(1))。
【0031】
図1に示すダイスローダ50A,50Bのそれぞれの揺動フレーム54A,54Bは揺動シリンダ56A,56Bの伸長により時計方向に揺動する。ついでスライド60A,60Bが水平になった状態でスライドシリンダ62A,62Bの伸長によりスライド60A,60Bを押出プレスの中心側に前進させて第1のクランプ65Aの把持中心および第2のクランプ65Bのシーリング14b中心がプレス機内の押出軸心Sと重なるまで移動させる。このときコンテナ102を前進させ使用中のフィックスダイス24をコンテナ102の端面より突出させる(図2(2))。
【0032】
図1に示す水平移動シリンダ69をコンテナ102側に作動させて第1のクランプ65Aがフィックスダイス24の使用済みシールリング14aの把持位置となるまでダイスローダ50A、50Bともに前進させる(図2(3))。
【0033】
そして第1のダイスローダ50Aがシールリング14aのクランプ位置に前進すると第1のクランプ65Aのクランプシリンダ68Aを伸長してフィックスダイス24の外周部に嵌装されコンテナシェルを掻き出した使用済のシールリング14aを把持する(図2(4))。
【0034】
使用済のシールリング14aを第1のクランプ65Aが把持した状態で水平移動シリンダ69を加圧ステム100側に作動させてダイスローダ50A,50Bをともに後退させ、把持したシールリング14aをフィックスダイス24から抜き出す。そしてコンテナ102を水平移動シリンダ69の作動に同調させてフィックスダイス24の端面に一致するまで後退(矢印e)させる(図2(5))。
【0035】
シールリング14aをフィックスダイス24から抜き出した後、コンテナ102を再び前進させてフィックスダイス24をコンテナ102の端面より突出させるとともに、水平移動シリンダ69を作動させシールリング14aがフィックスダイス24を所定の離間した位置までダイスローダ50A,50Bを後退させる(図2(6))。
【0036】
次いで、第1のダイスローダ50Aのスライド60Aをスライドシリンダ62Aの縮小によりコンテナ102から離間する方向に後退させ、更に後退位置で揺動フレーム54Aを揺動シリンダ56Aの縮小により反時計方向に揺動して、第1のダイスローダ50Aをプレス機外に移動させる(図2(7))。
【0037】
水平移動シリンダ69をコンテナ側に水平移動させ第2のクランプ65Bの把持するシールリング14bがフィックスダイス24と嵌合するまでダイスローダ50A、50Bをともにコンテナ102側に前進させる(矢印f)。これによりフィックスダイス24の外周面に新規のシールリング14bが装着される(図2(8))。
【0038】
フィックスダイス24の外周面に新規のシールリング14bを装着すると、クランプシリンダ68Bを縮小して第2のクランプ65Bを開放し(図2(9))、続いて水平移動シリンダ69を作動させ第2のクランプ65Bがフィックスダイス24から所定の離間した位置までダイスローダ50A、50Bともに後退させる(図2(10))。
【0039】
さらに、第2のダイスローダ50Bのスライド60Bをスライドシリンダ62Bの縮小によりコンテナ102から離間する方向に後退させ、更に後退位置で揺動フレーム54Bを揺動シリンダ56Bの縮小により反時計方向に揺動し、第2のダイスローダ50Bをプレス機外に移動させる(図2(11))。
【0040】
次いで、押出プレスの成形作業中に第1のクランプ65Aを開放して使用済のシールリング14aを取外しクリーニングするとともに、クリーニングされた新規なシールリング14bを第2のクランプ65Bに把持させることで、次サイクルのシールリング交換の待機位置(図2(1))に復帰する(図2(12))。
【0041】
以降、同様の操作を繰り返すことにより、プレス機内でのシールリングの交換時において、使用済のシールリングの取り出し後、引き続いて新規のシールリングをフィックスダイスに嵌挿することができる。
【0042】
以上説明したように、制御手段40により第1のダイスローダ50Aは、第1のクランプ65Aを開いた状態で水平移動シリンダ69を作動させて水平支軸52に沿ってシールリング14aの把持位置に水平移動させ、クランプシリンダ68Aを操作してシールリング14aを把持し、シールリング14aを把持した状態で再度水平移動シリンダ69を作動させて水平支軸52に沿ってシールリング14aがフィックスダイス24をかわす位置まで移動させ、その後スライド60Aを後退させ、揺動フレーム54を反時計方向に回動させることによって、使用済みシールリング14a又をプレス機外に取り出すことができる。
【0043】
また制御手段40により第2のダイスローダ50Bは、第2のクランプ65Bで新規のシールリング14bを把持した状態で、且つ第1のダイスローダ50Aが既使用のシールリング14aを機外に取り出した状態にあるときに、水平移動シリンダ69を作動させて水平支軸52に沿ってシールリング14bの把持位置に水平移動させ、フィックスダイス24の外周面に新たなシールリング14bを装着し、クランプアーム66Bを開いてシールリング14bを開放した状態で再度水平移動シリンダ69を作動させて水平支軸52に沿ってクランプアーム66Bがフィックスダイス24をかわす位置まで移動させる。その後スライド60Bを後退させ揺動フレーム54Bを反時計方向に回動させることによって、フィックスダイス24への新たなシールリング14bの取り付けが完了し、シールリング14bの交換を完了させることができる。そして、取り出された使用済のシールリング14aは第1のクランプ65Aから取り外されて押出サイクル中にクリーニングされ、クリーニング完了後に第2のクランプ65Bに把持されて次の交換のための新規なシールリング14bとして待機することとなる。
【0044】
これによりシールリングの交換時間が短縮され、コンテナシェルの除去作業を効率的に行うことができることからアイドリング時間が短縮でき、間接押出プレスのサイクルタイムを短縮することができる。
【0045】
なお、上述した実施形態ではダイステムの先端に螺着したフィックスダイスのプレス機内におけるシールリングの交換作業について説明したが、例えばダイスがダイステムに密接して使用されるフリーダイスであっても、シールリングが挿脱自在にダイス外周面に嵌装された態様であればプレス機内において同様の手順で交換することが可能である。
【0046】
次に、フリーダイスを用いたハンドリング装置の処理につい説明する。図3はフリーダイスを用いたハンドリング装置の工程図である。
図6に示すように押出プレスの押出工程終了の後、ディスカード106を切断してコンテナストッパ104を解放する。そして第1のスライド60Aのクランプ65Aはクランプシリンダ68Aを縮小して開放し、第2のスライド60Bのクランプ65Bはクランプシリンダ68Bを伸長して新規のフリーダイス108bを把持した状態でダイス交換の待機態勢となる。このとき製品112をプラーなどによってフリーダイス108aから引き抜いている(図3(1))。
【0047】
図1に示すダイスローダ50A,50Bのそれぞれの揺動フレーム54A,54Bは揺動シリンダ56A,56Bの伸長により時計方向に揺動する。ついてスライド60A、60Bが水平になった状態でスライドシリンダ62A,62Bの伸長によりスライド60A,60Bを押出プレスの中心側に前進させて第1のクランプ65Aの把持中心および第2のクランプ65Bのフリーダイス108b中心がプレス機内の押出中心Sと重なるまで移動させる(図3(2))。
【0048】
次いでコンテナ102を前進させ使用済のフリーダイス108aをコンテナ102の端面より突出させる。そして図1に示す水平移動シリンダ69をコンテナ102側に作動させて第1のクランプ65Aが使用済みフリーダイス108aの把持位置となるまでダイスローダ50A、50Bともに前進させる(図3(3))。
【0049】
そして第1のダイスローダ50Aがフリーダイス108aのクランプ位置に前進すると第1のクランプ65Aのクランプシリンダ68Aを伸長してコンテナシェルを掻き出して収容部に収容した使用済のフリーダイス108aを把持する(図3(4))。
【0050】
使用済のフリーダイス108aを第1のクランプ65Aが把持した状態で第1のダイスローダ50Aのスライド60Aをスライドシリンダ62Aの縮小によりコンテナ102から離間する方向に後退させ、更に後退位置で揺動フレーム54Aを反時計方向に揺動して、第1のダイスローダ50Aをプレス機外に移動させる(図3(5))。
【0051】
水平移動シリンダ69をコンテナ側に水平移動させ第2のクランプ65Bが把持するフリーダイス108bがダイステム20bと密着する位置までダイスローダ50A、50Bをともにコンテナ102側に前進させる(矢印f)。そしてビレット118が載置されたビレットローダを作動させコンテナ102の軸心にビレット118の押出軸心が一致する位置まで上昇させて待機する(図3(6))。
【0052】
先端に閉止板101を備えた加圧ステム100をコンテナ102側に前進させ、ビレット118及びフリーダイス108bをダイステム20bとの間で挟持する。そして、クランプ65Bを開放するとともに、ビレットローダを下降させる(図3(7))。
【0053】
続いて、第2のダイスローダ50Bのスライド60Bをスライドシリンダ62Bの縮小によりコンテナ102から離間する方向へ後退させ、更に後退位置で揺動フレーム54Bを反時計方向に揺動し、第2のダイスローダ50Bをプレス機外に移動させる(図3(8))。
【0054】
プレスの押出し作業はコンテナ102を後退させてフリーダイス108とビレット118をコンテナ102内に挿入する。この間に第1のクランプ65Aを開放して使用済のフリーダイス108aを取り外してクリーニングするとともに、クリーニングによりコンテナシェルが除去された新規なフリーダイス108bを第2のクランプ65Bに把持させることで、次サイクルのフリーダイス108交換の待機位置(図3(1))に復帰する(図3(9))。
【0055】
以降、同様の操作を繰り返すことにより、プレス機内での交換時において、使用済のフリーダイスの取り出し後、引き続いて新規のフリーダイスをプレス機内に供給することができる。フリーダイスの交換作業においてもフィクスダイスと同様の装置構成を適用することにより、押出プレスの押出軸心上であって第1のダイスローダで取り外すフリーダイスの後方に、第2のダイスローダで把持した新たなフリーダイス中心を配置させている。これによりフリーダイスの交換時間が短縮され、コンテナシェルの除去作業を効率的に行うことができることからアイドリング時間が短縮でき、間接押出プレスのサイクルタイムを短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】間接押出プレス用ダイスのハンドリング装置の構成概略図である。
【図2】フィックスダイスを用いたハンドリング装置の工程図である。
【図3】フリーダイスを用いたハンドリング装置の工程図である。
【図4】間接押出プレス用のフィックスダイスの断面図である。
【図5】間接押出プレス用のフリーダイスの断面図である。
【図6】従来の間接押出プレス用ダイスのハンドリング装置の工程図である。
【符号の説明】
【0057】
10………ハンドリング装置、14………シールリング、20………ダイステム、22………シールリング、24………フィックスダイス、28………シェル収容溝、40………制御手段、50………ダイスローダ、51………マシンベース、52………水平支軸、53………移動台、54………揺動フレーム、56………揺動シリンダ、58………スライドガイド、60………スライド、62………スライドシリンダ、64………受け座、65………クランプ本体、66………クランプアーム、68………クランプシリンダ、69………水平移動シリンダ、100………加圧ステム、102………コンテナ、104………コンテナストッパ、106………ディスカード、108………フリーダイス、110………ディスカードシャー、112………製品、114………ダイスローダ、116………コンテナシェル、118………ビレット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナ内壁面のコンテナシェルを掻き取るシールリングを着脱自在に備えたフィックスダイスをダイステムに固定して押出成形を行った後、前記シールリングをプレス機外に取り出して交換する間接押出プレス用ダイスのハンドリング装置であって、
押出プレスの押出軸心と交差する方向に進退移動し、前記シールリングをダイステムから取り外して機外に取り出す第1のダイスローダと、
前記第1のダイスローダと並列に配置し、新たなシールリングをダイステムに装着する第2のダイスローダとを備え、
前記第1のダイスローダと前記第2のダイスローダはそれぞれ前記押出プレス内外に移動自在に設けられ、使用済のシールリングを前記フィックスダイスから取り外した後、新たなシールリングを前記フィックスダイスに取り付けることを特徴とする間接押出プレス用ダイスのハンドリング装置。
【請求項2】
コンテナ内壁面のコンテナシェルを掻き取るシールリングを着脱自在に備えたフィックスダイスをダイステムに固定して押出成形を行った後、前記シールリングをプレス機外に取り出して交換する間接押出プレス用ダイスのハンドリング装置であって、
押出プレスの押出軸心と交差する方向に進退移動し、前記シールリングをダイステムから取り外して機外に取り出す第1のダイスローダと、
前記第1のダイスローダと並列に配置し、新たなシールリングをダイステムに装着する第2のダイスローダと、
前記第1のダイスローダと前記第2のダイスローダに接続し、前記第1のダイスローダで取り外す前記シールリングの後方であって前記押出プレスの押出軸心上に、前記第2のダイスローダで把持した新たなシールリング中心を配置させる制御手段と、
を備えたことを特徴とする間接押出プレス用ダイスのハンドリング装置。
【請求項3】
コンテナ内壁面のコンテナシェルを掻き取るシェル収容部を備えたフリーダイスをダイステムに密接して押出成形を行った後、前記フリーダイスをプレス機外に取り出して交換する間接押出プレス用ダイスのハンドリング装置であって、
押出プレスの押出軸心と交差する方向に進退移動し、前記フリーダイスをダイステムから取り外して機外に取り出す第1のダイスローダと、
前記第1のダイスローダと並列に配置し、新たなフリーダイスをダイステムに装着する第2のダイスローダとを備え、
前記第1のダイスローダと前記第2のダイスローダはそれぞれ前記押出しプレス内外に移動自在に設けられ、使用済みの前記フリーダイスをコンテナから抜き出した後、新たなフリーダイスを前記ダイステムとビレットの間に供給することを特徴とする間接押出プレス用ダイスのハンドリング装置。
【請求項4】
コンテナ内壁面のコンテナシェルを掻き取るシェル収容部を備えたフリーダイスをダイステムに密接して押出成形を行った後、前記フリーダイスをプレス機外に取り出して交換する間接押出プレス用ダイスのハンドリング装置であって、
押出プレスの押出軸心と交差する方向に進退移動し、前記フリーダイスをダイステムから取り外して機外に取り出す第1のダイスローダと、
前記第1のダイスローダと並列に配置し、新たなフリーダイスをダイステムに装着する第2のダイスローダと、
前記第1のダイスローダと前記第2のダイスローダに接続し、前記第1のダイスローダで取り外す前記フリーダイスの後方であって前記押出プレスの押出軸心上に、前記第2のダイスローダで把持した新たなフリーダイス中心を配置させる制御手段と、
を備えたことを特徴とする間接押出プレス用ダイスのハンドリング装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate