間欠発振モード付きDC電源装置
【課題】 機器が待機時において負荷が軽くなりかつスイッチング電源装置の出力電圧を低下させることができる系において、スイッチング電源装置の変換効率を向上させ、消費電力を削減する。
【解決手段】 スイッチング素子と、前記スイッチング素子のスイッチングタイミングを制御するスイッチング制御手段と、二次側出力電圧と基準電圧とを比較し比較結果に応じた誤差電圧を出力する誤差検出手段と、出力負荷を検知する負荷検知手段を有する自励式スイッチング電源において、前記出力負荷に応じて、前記スイッチング制御手段もしくは、前記誤差検出手段の出力を、前記スイッチング素子の動作が停止するのに充分な時間だけ停止させる構成を持つ。
【解決手段】 スイッチング素子と、前記スイッチング素子のスイッチングタイミングを制御するスイッチング制御手段と、二次側出力電圧と基準電圧とを比較し比較結果に応じた誤差電圧を出力する誤差検出手段と、出力負荷を検知する負荷検知手段を有する自励式スイッチング電源において、前記出力負荷に応じて、前記スイッチング制御手段もしくは、前記誤差検出手段の出力を、前記スイッチング素子の動作が停止するのに充分な時間だけ停止させる構成を持つ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自励式スイッチング電源の消費電力を削減するための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に自励式スイッチング電源は、熱設計の観点から自励式スイッチング電源が搭載される機器に求められる最大負荷の状態において効率が最大となるように設計される。そのため、機器休止時すなわち負荷が軽くなればなるほど効率が低下する。この効率低下を回避するための方法が特許文献1ならびに特許文献2において提案されている。この方法は、機器休止時に自励式スイッチング電源の誤差検出回路の出力を一定の周波数及びデューティーで電源のスイッチング停止に充分な時間だけ低下させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−284340号公報
【特許文献2】特開2007−236087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図3は、従来の自励型フライバックコンバータ電源(RCC:リンギングチョークコンバータ)の基本回路である。
【0005】
101はAC商用電源、102はヒューズ、103はラインフィルタ、104はブリッジダイオード、105は1次平滑コンデンサ、106、109、111、113、114、120、121、122、124、126は抵抗、107は主スイッチング素子、108は絶縁トランス、110はNPNトランジスタ、112、116、118、123はコンデンサ、115はフォトカプラのフォトトランジスタ側、117はダイオード、119はフォトカプラの発光側、125は差動増幅器、127はツェナーダイオード、128は負荷、129は出力電圧である。また、絶縁トランス108は、1次側巻線Np、2次巻線Ns、補助巻線Nbといった構成である。また、負荷128はこの自励型フライバックコンバータ電源が搭載される機器の状態によって負荷が変化するものとする。
【0006】
次に、動作の概要を以下に述べる。
【0007】
AC商用電源電圧101は、ヒューズ102、ラインフィルタ103を介し、ブリッジダイオード104で整流し、1次平滑コンデンサ105にDC電圧がチャージされる。
【0008】
1次平滑コンデンサ105にチャージされたDC電圧は、抵抗106と抵抗109で分圧され、主スイッチング素子107が導通状態となるのに充分な電圧となった時に、回路動作が開始する。主スイッチング素子107が導通状態になると1次巻線Npに1次平滑コンデンサ105のDC電圧が印加され、補助巻線Nbに1次巻線Npと同極側を正とする電圧が誘起される。このとき2次巻線Nsにも電圧が誘起されるが、整流ダイオード117のアノード側を負とする電圧であるため2次側には電圧は伝達されない。従って1次巻線Npを流れる電流は絶縁トランス108の励磁電流だけで、絶縁トランス108には励磁電流の2乗に比例したエネルギが蓄積される。この励磁電流は時間に比例して増大する。また、補助巻線Nbに誘起された電圧により抵抗113、コンデンサ112を介して主スイッチング素子107の制御端子が充電され、さらに導通状態が継続される。ただし、時定数回路を構成するコンデンサ116が抵抗114を介し補助巻線Nbからの電圧で充電され、コンデンサ116の両端の電圧がNPNトランジスタ110の閾値より高くなるとNPNトランジスタ110が導通状態となり、主スイッチング素子107の制御端子電圧が低下する。このため、主スイッチング素子107は非導通状態となる。
【0009】
このとき絶縁トランス108の各巻線には起動時と逆極性の電圧が誘起され、2次巻線Nsには整流ダイオード117のアノード側を正とする電圧が誘起される。そして、絶縁トランス108に蓄積されたエネルギが、ダイオード117と電解コンデンサ118で整流、平滑され、出力電圧129となり、負荷128に供給される。
【0010】
次に、補助巻線Nb間に誘起される電圧は、主スイッチング素子107が非導通状態になった直後は主スイッチング素子107の制御端子が負にバイアスされているものの、2次側へのエネルギの伝達が終了すると負のバイアスが徐々に低下し、正にバイアスされ始める。このため、再び主スイッチング素子107の制御端子が、抵抗113、コンデンサ112を介し、正方向にバイアスされ、主スイッチング素子107は再び導通状態となる。
【0011】
また、出力電圧129が高いときには、差動増幅器125はフォトカプラの発光側119をコントロールして、フォトカプラのフォトトランジスタ側115の電流を増やすように働く。このため、NPNトランジスタ110を導通状態とするためのコンデンサ116の充電時間が短くなり、主スイッチング素子107の導通時間が短くなる。このことにより、絶縁トランス108に蓄積されるエネルギが減少することで出力電圧129が下がる。
【0012】
逆に、出力電圧129が低い時には、差動増幅器125はフォトカプラの発光側119をコントロールして、フォトカプラのフォトトランジスタ側115の電流を絞るようになる。このため、NPNトランジスタ110が導通状態となるまでのコンデンサ116の充電時間は長くなり、主スイッチング素子107の導通時間が長くなる。このことにより、絶縁トランス108に蓄積されるエネルギが増加することで出力電圧129が上がる。このようにして、定電圧動作を行う事が可能となる。
【0013】
なお、上記以外に回路を構成する部品として、抵抗111はフォトカプラのフォトトランジスタ側115に流れる電流を制限する役目をする。また、抵抗120と抵抗121は、出力電圧129を抵抗120と抵抗121とで分圧した電圧を差動増幅器125の(−)端子に供給し、出力電圧129のコントロールを行なう役目をする。また、抵抗126とツェナーダイオード127は、差動増幅器125の(+)端子に供給される基準電圧を生成している。また、コンデンサ123と抵抗124は、閉ループの利得・位相を調整するためのものである。また、抵抗122は、フォトカプラの発光側119へ流す電流を制限している。
【0014】
次に、上記で示した、自励型フライバックコンバータの概要動作波形の図を、図4に示す。この図では、例として軽負荷から通常負荷へ戻る切り替わりの動作を示した。
【0015】
図4に示したのは、主スイッチング素子107のVds(電流流入端子と電流流出端子間の電圧)、主スイッチング素子107のId(主スイッチング素子107に流れる電流)、整流ダイオード117の電流Is、絶縁トランス108のVNs(絶縁トランス108の2次側の出力電圧)である。以下に、それぞれのフェーズにおける各部の動作波形の説明を行なう。
【0016】
『主スイッチング素子107が導通状態の時』
主スイッチング素子107が導通状態の時、主スイッチング素子107のVdsはほぼゼロである。また、主スイッチング素子107のIdは時間とともに正の傾きで直線的に増加する。また、絶縁トランス108のVNsは、ダイオード117を逆バイアスする電位であるため、整流ダイオード117の電流Isは流れない。この結果、主スイッチング素子107のIdにより、絶縁トランス108にエネルギが蓄積される。
【0017】
『主スイッチング素子107が非導通状態の時』
主スイッチング素子107のIdはゼロになる。また、整流ダイオード117の電流Isが流れている期間は、
Vds=((2次側の出力電圧129)+(ダイオード117のVf))×Npns
Np:絶縁トランス108の1次側巻数
Ns:絶縁トランス108の2次側巻数
となる。(ただし、ターンOFFの瞬間には、サージ電圧が、上記電圧に重畳される。)
このとき2次側の整流ダイオード117は導通状態となり、絶縁トランス108に蓄積されたエネルギが整流ダイオード117の電流Isとなって2次側に伝達される。また、電流Isは、絶縁トランス108に蓄積されたエネルギを放出するにつれて負の傾きで直線的に減少する。
【0018】
上記のように、基本的な自励型フライバックコンバータ電源の動作概要について示したが、以下に、図5を使用して、特許文献としてあげた特開2003−284340号公報と特開2007−236087号公報の特徴を抜粋してこれら特許で示される動作の概要を示す。
【0019】
基本的な動作は、上記で示した自励型フライバックコンバータ電源の動作である。
【0020】
付加機能として、フォトカプラの発光側119のカソード側に接続された抵抗130、NPNトランジスタ131、マイクロコンピュータ132、抵抗134、ダイオード135からなる回路による機能が付加されている。
【0021】
マイクロコンピュータ132は、NPNトランジスタ131の制御端子にパルス状の信号を断続的に与えることができ、これにより、NPNトランジスタ131は、導通/非導通を断続的に繰り返す状態と定常的にオフ状態との2つの状態を取ることができる。
【0022】
ここで、例えば本自励式スイッチング電源が取り付けられている機器が、通常負荷で動作する、通常動作モードの場合と、軽負荷で動作する、待機時動作モードの場合に分けてそれぞれの動作の説明を行なう。
【0023】
『通常動作モードの場合』
通常動作モードで動作している場合、マイクロコンピュータ132は通常動作モードであることを認識して動作を行ない、NPNトランジスタ131の制御端子をLOWとする。このため、NPNトランジスタ131は、非導通状態となり、自励型フライバックコンバータ電源はこれまで従来の技術の項で説明してきたような動作を連続して行う。
【0024】
『待機時動作モードの場合』
一方、待機時動作モードで動作している場合、マイクロコンピュータ132は待機時動作モードであることを認識して動作を行ない、NPNトランジスタ131の制御端子にHI/LOWを繰り返すパルス状の信号を与える。通常、パルス状の信号のHIの期間は、自励式スイッチング電源のスイッチング周波数の例えば2〜20倍位でよい。また、パルスの周期は、HI期間のデューティを例えば1〜50%程度の間で効率を見ながら選ぶとよい。このように、上記マイクロコンピュータ132は、NPNトランジスタ131の制御端子にパルス状の信号を断続的に与え、NPNトランジスタ131は、導通/非導通を断続的に繰り返す状態となる。
【0025】
NPNトランジスタ131が導通状態の時、フォトカプラの発光側119には、差動増幅器125の出力端子の出力とは関係なく抵抗130で制限される電流が流れる。そして、この電流は通常制御時に比べて充分大きく、フォトカプラのフォトトランジスタ側115に伝えられると、瞬時にコンデンサ116の電圧を上昇させ、NPNトランジスタ110の制御端子の閾値電圧を越えると、NPNトランジスタ110を導通状態にする。こうして、主スイッチング素子107を非導通状態にする。
【0026】
次に、NPNトランジスタ131が非導通状態に戻ると、フォトカプラの発光側119の電流はすぐさま元の状態に戻る。そのため、フォトカプラのフォトトランジスタ側115の電流もほぼ以前の状態に回復する。ただし、コンデンサ116には、継続して電流が流入しつづけるため、すぐには、NPNトランジスタ110が非導通状態にはならない。
【0027】
この状態のまま次第に、電源電圧129の電圧が低下してゆき、フォトカプラの発光側119の電流が流れなくなり、フォトカプラのフォトトランジスタ側115を介して、コンデンサ116への充電経路が途絶える。そして、抵抗133だけではなく抵抗134とダイオード135により、コンデンサ116の放電が促進されるため、NPNトランジスタ110の制御端子の閾値電圧よりも低くなると、NPNトランジスタ110が非導通状態になる。
【0028】
このため、抵抗106よりコンデンサ112に充電が行なわれ、主スイッチング素子107が導通状態となり、スイッチング動作を再開する。また、この際、抵抗134の抵抗値の設定により、コンデンサ116の放電をコントロールできるため、主スイッチング素子107のスイッチング再開時間の設定はある程度自由度を持たせる事が可能となる。
【0029】
なお、この自励式スイッチング電源の出力電圧129の下限値は、回路定数で調整が可能であるため、出力電圧129は許容電圧範囲を越えることはない。また、フォトカプラの発光側119の電流が、流れていないような下限値に近い出力電圧129電圧の場合に、マイクロコンピュータ132から、NPNトランジスタ131の制御端子にパルス状の信号を与えたとき、主スイッチング素子107はオフする。しかしながら、フォトカプラの発光側119の電流が流れていないためコンデンサ116の電圧は直ちに低下し、2次巻線Nsに電流が流れ絶縁トランス108に蓄積されたエネルギが放出され終わると、補助巻線Nbに発生したリンギングにより主スイッチング素子107は再びオンし、スイッチング動作を継続する。このことからも、出力電圧129の下限を下回ることはない。
【0030】
次に、上記で示してきた待機時動作(軽負荷時動作)に対する概要動作波形の図を図6に示すこととする。
【0031】
図6は、主スイッチング素子107のVds(電流流入端子と電流流出端子間の電圧)、マイクロコンピュータ132の出力、出力電圧129である。
【0032】
『マイクロコンピュータ132の出力がLOWの時』
マイクロコンピュータ132の出力がLOWの時は、主スイッチング素子107はスイッチング動作を行なっている。
【0033】
『マイクロコンピュータ132の出力がHIの時』
マイクロコンピュータ132の出力がHIの時は、主スイッチング素子107はスイッチング動作を停止している。
【0034】
『マイクロコンピュータ132の出力が、HI⇒LOWに変化した時』
マイクロコンピュータ132の出力が、HI⇒LOWに変化した時は、コンデンサ116が放電し、NPNトランジスタ110が非道通状態になるまでの遅延時間を経て主スイッチング素子107がスイッチングを再開する。スイッチングが再開した時には、出力電圧129の電圧が低いため、主スイッチング素子107のON幅が広くなり、スイッチング回数を重ねるたびに、主スイッチング素子107のON幅は安定し、また、出力電圧129も安定してくる。
【0035】
『マイクロコンピュータ132の出力が、LOW⇒HIに変化した時』
更に再びマイクロコンピュータ132の出力が、LOW⇒HIに変化した瞬間には、主スイッチング素子107のVdsは、スイッチングを停止する際に、共振振動を発生した後にスイッチングを停止する。その後、出力電圧129は、軽負荷ではあるものの、徐々に下がってゆく。ただし、次回の主スイッチング素子107のスイッチングの再開により、再び、出力電圧129は上昇に転じることとなる。
【0036】
なお、これらのように、出力電圧129が、電源を使用する機器に対する許容電圧範囲内にとどまるためには、マイクロコンピュータのスイッチング周波数は、負荷128の状況と出力電圧129をみながら調整すると良い。このように、軽負荷時に主スイッチング素子107の動作を、スイッチング⇒停止⇒スイッチングと繰り返す事で、全体的なスイッチング回数を減らすことで、スイッチング損失を抑えることができ、その結果、軽負荷時の消費電力を軽減させることが可能となる。
【0037】
これまで説明してきたように、特許文献1ならびに特許文献2では、マイクロコンピュータにより、通常モードと、軽負荷モードの切り替えを行なってきたわけだが、この方法では、電源装置を動作させるためにはマイクロコンピュータなど、モードの切り替えを指示する手段が必要となり、電源装置のシステムがシンプルな構成では成り立たない。また、軽負荷モードの際にも、マイクロコンピュータなど、モードを切り替える手段を動作させておく必要が生じ、その部分の電力消費により、更なる省エネルギー化をはかることが困難となる。
【課題を解決するための手段】
【0038】
上記課題を解決するための手段をもつ電源装置を以下に示す。
(1)一次巻線ならびに、二次巻き線ならびに、少なくとも1つの補助巻線を有するトランスにより電気的に絶縁された一次側と二次側を有し、AC電源を入力とし、第一の整流素子と、コンデンサからなる平滑回路および、前記コンデンサを供給源として前記コンデンサから、前記トランスの前記一次巻線を介し、スイッチング素子により電流スイッチングし、前記二次巻線に誘起される電圧を整流平滑して出力する平滑整流手段を有し、前記平滑整流手段の出力電圧と基準電圧とを比較し比較結果に応じた誤差電圧を出力する誤差検出手段を有し、前記二次側で発生した前記誤差電圧を、前記一次側へ伝達する伝達手段を有し、前記伝達手段の伝達により、前記スイッチング素子のスイッチングタイミングを制御するスイッチング制御手段を有する電源装置において、前記スイッチング制御手段乃至前記誤差検出手段の出力を、前記スイッチング素子の動作が停止するのに充分な時間だけ停止させる動作停止手段を有し、出力負荷を検知する負荷検知手段を有し、検知された前記出力負荷に応じて、前記動作停止手段を動作させることを特徴とした電源装置。
(2)前記負荷検知手段は、前記補助巻線から出力される電圧を平滑化した電圧レベルで負荷を検知することを特徴とした(1)の電源装置。
(3)前記負荷検知手段は、前記スイッチング素子に直列に接続された抵抗の両端電圧を平滑化した電圧レベルで負荷を検知することを特徴とした(1)の電源装置。
(4)前記負荷検知手段は、前記二次側における電源電圧出力部に直列に接続した抵抗の両端電圧を比較することで負荷を検知することを特徴とした(1)の電源装置。
(5)前記動作停止手段は、三角波発生回路並びに、タイマーICを使用して作られることを特徴とした(1)の電源装置。
【発明の効果】
【0039】
このようにすることで、電源装置内で、負荷を検知し、負荷に応じた動作モードに切り替えることが可能となる。このため、電源装置内でシステムが完結し、また、省エネルギ−化を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】実施例1の模式的回路図。
【図2】実施例1の概要動作波形の図。
【図3】従来の自励型フライバックコンバータ電源の模式的回路図。
【図4】従来の自励型フライバックコンバータ電源の概要動作波形の図。
【図5】特許文献で挙げた電源の模式的回路図。
【図6】特許文献で挙げた電源の概要動作波形の図。
【図7】実施例2の模式的回路図。
【図8】実施例2の概要動作波形の図。
【図9】実施例3の模式的回路図。
【図10】実施例3の概要動作波形の図。
【図11】実施例1のタイマーIC回路701の動作の図。
【図12】実施例3のタイマーIC回路901の動作の図。
【発明を実施するための形態】
【0041】
[実施例1]
図1は実施例1の特徴をもっともよく表したものである。
【0042】
従来の技術の項の図5で示した電源回路に対し、抵抗130、トランジスタ131、マイクロコンピュータ132が削除されている。また、NPNトランジスタ201、コンデンサ202、抵抗203、ダイオード204、コンデンサ205、抵抗206、ダイオード207、タイマーIC回路701、負荷検出回路601が追加となっている。さらに、絶縁トランスは第1の補助巻線Nb1と第2の補助巻線Nb2を持つ絶縁トランス180に変更している。
【0043】
また、基本的な自励型フライバックコンバータの動作は、従来の技術の項で示したものと同様である。なお、図1の回路図中で、A、B、C、D、Eで示すポイントは、同じポイントどうしを接続するという意味である。
【0044】
実施例1で示す回路動作の概要を、下記に説明する。
【0045】
まず、前提として、絶縁トランス180の補助巻線Nb2から出力され、ダイオード204を介し、抵抗203とコンデンサ202で平滑されるポイントBの電圧VBは、負荷128が上がる高くなり、負荷128が下がると低くなる。これは、負荷128の状況によって絶縁トランス180のリーケージインダクタンスに蓄えられたエネルギが変化するためである。なお、負荷128の状況によって、ポイントBの電圧VBが変化しやすくするためにはリーケージインダクタンスで生じたサージ波形のピークを、コンデンサ202に充電するように抵抗203の抵抗値を設定することが重要である。また、ポイントAの電圧VAは、負荷128による電圧変動を受けないようにするために1次巻線Npと同じ巻方向である、補助巻線Nb1から出力される電源を使用する。
【0046】
次に、負荷検出回路601の説明をする。
【0047】
上記のVNb1からなるポイントAの電圧VAと、VNb2からなるポイントBの電圧VBとを602差動増幅器で比較し、比較結果に基づいた信号をポイントCから出力する。
【0048】
VA>VBの場合、LOWが出力され、VA<VBの場合、HIが出力される。
【0049】
そして、これらのHI、LOWの結果で、タイマーIC回路701の電源供給を行なうか行なわないかを決定する。HIの場合、つまり、負荷128が通常負荷の場合タイマーIC回路701は電源が供給されないため動作せず、LOWの場合、つまり、負荷128が軽負荷の場合タイマーIC回路701は電源供給を受け動作する。なお、このように、通常負荷、軽負荷の切り換えは、おもに、抵抗203、抵抗206の定数、Nb1、Nb2の補助巻線数の決定で調整する必要がある。ちなみに、抵抗603とコンデンサ604は、誤動作防止の目的でつけたものであるため状況によっては、不要である。
【0050】
次に、タイマーIC回路701について説明する。本回路では、無安定発振動作を行なう。
【0051】
701はタイマーIC回路、702はタイマーIC、703と706はコンデンサ、704、705は抵抗である。なお、本例の説明で使用する一般的なタイマーICは以下のピン配置である。
1PIN:GND端子
2PIN:トリガ端子
3PIN:出力端子
4PIN:リセット端子
5PIN:コントロール端子
6PIN:スレッシュホールド端子
7PIN:ディスチャージ端子
8PIN:VDD
次に、図11にタイマーIC回路701の動作を示す。タイマーIC702の8PINに電源電圧VDDが印加されると、抵抗704と抵抗705を通じて、コンデンサ703に充電電流が流れ、コンデンサ703は充電されてゆく。充電電圧が、VDDの2/3の電圧に達した時に、タイマーIC702の3PINは、HIレベルからLOWレベルに変わる。これと同時に、コンデンサ703に充電された電圧は、抵抗704を通じタイマーIC702の7PIN端子から放電を開始する。そして、コンデンサ703の電圧が、VDDの1/3の電圧に達した時に、タイマーIC702の3PINは、LOWレベルからHIレベルに変わる。タイマーIC702の3PINのHIとLOWの周波数ならびにデューティーは、コンデンサ703、抵抗704、抵抗705の定数設定で行なうことが出来る。
【0052】
以上説明したように、本実施例において、負荷128が通常負荷時には、タイマーIC回路701は動作しないため、主スイッチング素子107は通常のスイッチング動作を行なう。
【0053】
一方、負荷128は軽負荷になると、タイマーIC回路701が動作する。そして、タイマーIC回路701がHI/LOWの出力を繰り返すと、NPNトランジスタ201を導通状態/非導通状態を繰り返すこととなる。NPNトランジスタ201が導通状態になると、瞬時にコンデンサ116の電圧を上昇させ、NPNトランジスタ110の制御端子の閾値電圧を越えると、NPNトランジスタ110を導通状態にする。こうして、主スイッチング素子107を非導通状態にする。
【0054】
NPNトランジスタ201が非導通状態に戻ると、フォトカプラのフォトトランジスタ側115の電流もほぼ以前の状態に回復する。ただし、コンデンサ116には、継続して電流が流入しつづけるため、すぐには、NPNトランジスタ110が非導通状態にはならない。この状態のまま次第に、電源電圧129の電圧が低下してゆき、フォトカプラの発光側119の電流が流れなくなり、フォトカプラのフォトトランジスタ側115を介して、コンデンサ116への充電経路が途絶える。そして、抵抗133だけではなく抵抗134とダイオード135により、コンデンサ116の放電が促進されるため、NPNトランジスタ110の制御端子の閾値電圧よりも低くなると、NPNトランジスタ110が非導通状態になる。
【0055】
このため、抵抗106よりコンデンサ112に充電が行なわれ、主スイッチング素子107が導通状態となり、スイッチング動作を再開する。また、この際、抵抗134の抵抗値の設定により、コンデンサ116の放電をコントロールできるため、主スイッチング素子107のスイッチング再開時間の設定はある程度自由度を持たせる事が可能となる。
【0056】
なお、この自励式スイッチング電源の出力電圧129の下限値は、回路定数で調整が可能であるため、出力電圧129は許容電圧範囲を越えることはない。また、フォトカプラの発光側119の電流が、流れていないような下限値に近い出力電圧129電圧の場合に、NPNトランジスタ201の制御端子にタイマーIC回路701からパルス状の信号を与えたとき、主スイッチング素子107はオフする。しかしながら、フォトカプラの発光側119の電流が流れていないためコンデンサ116の電圧は直ちに低下し、2次巻線Nsに電流が流れ絶縁トランス180に蓄積されたエネルギが放出され終わると、補助巻線Nb1に発生したリンギングにより主スイッチング素子107は再びオンし、スイッチング動作を継続する。このことからも、出力電圧129の下限を下回ることはない。
【0057】
次に、上記で示した、概要動作波形の図を図2に示す。この図では、例として通常負荷⇒軽負荷⇒通常負荷へと切り替わる動作を示した。図2に示したのは、負荷検出回路601の出力、ポイントEの出力、主スイッチング素子107のVds、出力電圧129である。
【0058】
『通常負荷から軽負荷へ切り替わり軽負荷時動作を行なう時』
負荷検出回路601の出力は、HI⇒LOWへ切り替わると、タイマーIC回路701が起動する。タイマーIC回路701から、HIの信号が出力されるまでの遅延時間1を経て、主スイッチング素子107は、スイッチング動作を停止する。出力電圧129の電圧が下がり、
レギュレート電圧を下回り、コンデンサ116の放電が促進し、NPNトランジスタの閾値電圧より低くなるまでの遅延時間2を経て、主スイッチング素子107は、スイッチング動作を再開する。
【0059】
『軽負荷から通常負荷へ切り替わり通常負荷時動作を行なう時』
負荷検出回路601の出力は、LOW⇒HIへ切り替わる。また、出力電圧129の電圧が下がり、コンデンサ116の放電がなされ、NPNトランジスタの閾値電圧より低くなるまでの遅延時間2を経て、主スイッチング素子107は、スイッチング動作を再開する。ただし、この際、負荷128が通常負荷に戻るため、電源電圧129は、電圧低下を招いてしまうので、この電圧低下でも許容電圧範囲を越えないように、遅延時間2を設定する必要がある。
【0060】
このように、本実施例は、従来の技術の項で示した動作と同様の動作で、主スイッチング素子107の動作を、スイッチング⇒停止⇒スイッチングと繰り返す事ができる。このため、全体的なスイッチング回数を減らすこととなり、スイッチング損失を抑えることができ、その結果、軽負荷時の消費電力を軽減させることが可能となる。このようにして、従来の技術の項で示した回路動作に加え、負荷128の検知を行なうことで、電源装置内で完結したシステムで通常動作、軽負荷動作をおこなうことができる。
【0061】
なお、実施例1では、タイマーICを使用した回路例であったが、当然のことながら、同様の機能を持つ回路を使用しても実施可能である。
【0062】
[実施例2]
図7は実施例2の特徴をもっともよく表したものである。
【0063】
実施例1との大きな違いは、電源の負荷変動を2次側に設けた抵抗401の電圧降下により生じる、抵抗401の前後の電圧変化を利用して検知するところである。
【0064】
なお、図7の回路図中で、A、B、Cで示すポイントは、同じポイントどうしを接続するという意味である。以下に、図7の回路動作の概要を示す。
【0065】
抵抗120と抵抗121で分圧された電圧を差動増幅器404の(+)端子に、抵抗402と抵抗403で分圧された電圧を差動増幅器404の(−)端子に入力する。軽負荷の際には、差動増幅器404の(+)端子よりも(−)端子の方が、高い電圧となるように、抵抗401、抵抗120、抵抗121、抵抗402、抵抗403の抵抗値を設定しておく。このようにすることで、軽負荷時には、差動増幅器404は差動増幅器404の出力端子をLOWレベルにすることとなり、PNPトランジスタ707を導通状態にする。PNPトランジスタ707は、タイマーIC回路701の電源の供給源となっているため、軽負荷の場合には、タイマーIC回路701に電源供給され、通常負荷の場合には、タイマーIC回路701に電源供給されない。タイマーIC回路701に電源が供給されると、タイマーIC回路701からは、パルス状の波形が、抵抗711を介し出力し、NPNトランジスタ710に入力される。パルス状の波形がHIの時は、NPNトランジスタ710は通電状態となり、パルス状の波形が、LOWの時は、NPNトランジスタ710は非通電状態となる。このようにして、NPNトランジスタ710に対し導通状態、非導通状態を作り出すことで、フォトカプラの発光側119は、発光、発光停止を繰り返すようになる。このようにして、フォトカプラのフォトトランジスタ側115は導通状態、非導通状態を作り出し、NPNトランジスタ110を導通状態、非導通状態にさせることが可能となる。このようにすることで、実施例1と同様に、主スイッチング素子107はスイッチング⇒停止⇒スイッチングといった動作を繰り返すことが出来る。
【0066】
一方、軽負荷から通常負荷に負荷が変動した際には、作動増幅器404の(−)端子の電圧が(+)端子の電圧よりも低くなり、その結果、差動増幅器404の出力端子は、差動増幅器404の電源レベルとなり、PNPトランジスタ707が非導通となることから、タイマーIC回路701に電源供給が行なわれない。そのため、フォトカプラの発光側119をコントロールすることができなくなり、通常負荷の際には、連続スイッチング動作状態となる。
【0067】
次に、上記で示した、概要動作波形の図を図8に示す。この図では、例として通常負荷⇒軽負荷⇒通常負荷へと切り替わる動作を示した。図8に示したのは、差動増幅器404の出力部分のポイントCの出力、ポイントBの出力、主スイッチング素子107のVds、出力電圧129である。
【0068】
『通常負荷から軽負荷へ切り替わり軽負荷時動作を行なう時』
差動増幅器404の出力部分のポイントCの出力は、HI⇒LOWへ切り替わると、タイマーIC回路701が起動する。タイマーIC回路701から、HIの信号が出力されるまでの遅延時間1を経て、主スイッチング素子107は、スイッチング動作を停止する。出力電圧129の電圧、レギュレーションを行なっている抵抗401の手前部分の電圧が下がり、コンデンサ116の放電がなされ、NPNトランジスタの閾値電圧より低くなるまでの遅延時間2を経て、主スイッチング素子107は、スイッチング動作を再開する。
【0069】
『軽負荷から通常負荷へ切り替わり通常負荷時動作を行なう時』
差動増幅器404の出力部分のポイントCの出力は、LOW⇒HIへ切り替わる。また、出力電圧129の電圧、レギュレーションを行なっている抵抗401の手前部分の電圧が下がり、コンデンサ116の放電がなされ、NPNトランジスタの閾値電圧より低くなるまでの遅延時間2を経て、主スイッチング素子107は、スイッチング動作を再開する。ただし、この際、負荷128が通常負荷に戻るため、電源電圧129は、電圧低下を招いてしまうので、この電圧低下でも許容電圧範囲を越えないように、遅延時間2を設定する必要がある。
【0070】
なお、実施例2では、タイマーICを使用した回路例であったが、当然のことながら、同様の機能を持つ回路を使用しても実施可能である。
【0071】
このように、本実施例は、実施例1で示した動作と同様の動作で、主スイッチング素子107の動作を、スイッチング⇒停止⇒スイッチングと繰り返す事ができる。このため、全体的なスイッチング回数を減らすこととなり、スイッチング損失を抑えることができ、その結果、軽負荷時の消費電力を軽減させることが可能となる。このようにして、実施例1で示した回路動作に加え、負荷128の検知を行なうことで、電源装置内で完結したシステムで通常動作、軽負荷動作をおこなうことができる。
【0072】
なお、実施例2では、タイマーICを使用した回路例であったが、当然のことながら、同様の機能を持つ回路を使用しても実施可能である。
【0073】
[実施例3]
図9は実施例3の特徴をもっともよく表したものである。
【0074】
実施例3では、電源の負荷変動を主スイッチング素子107の電流流出端子と1次平滑コンデンサ105の(−)端子との間に、電流検出抵抗301を追加し、この抵抗間の電圧変動を負荷変動の検出として使用している。
【0075】
また、本実施例では、これまでの実施例1、実施例2にも応用可能である負荷変動にリニアに対応するスイッチング回数調整回路を使用している。
【0076】
なお、図9の回路図中で、A〜Gで示すポイントは、同じポイントどうしを接続するという意味である。以下に、図9の回路動作の概要を示す。
【0077】
電流検出抵抗301には、主スイッチング素子107のスイッチング時の電流が流れ、電流に応じた電圧が生じる。そしてこの電圧を、電流検出回路1001により平滑化し、ポイントEの電圧として出力することで、出力電圧129への負荷に応じた電圧を得ることが出来る。さらに、この電圧と、三角波発生回路501で発生した電圧とパルス発生回路801で比較し、三角波発生回路501で発生した電圧が、ポイントEの電圧よりも高い場合には、パルス発生回路801のポイントCにはパルス状の波形が出力される。このパルスは、負荷128の状態によって、パルス幅と周波数が異なる波形である。なお、負荷128が大きくなるにつれて、パルス幅が広くなり、周波数が低くなる波形である。
【0078】
そして、この出力パルスを、タイマーIC回路901のトリガ入力端子であるポイントGに入力することで、HIレベルのパルス幅が均一で、LOWレベルの時間が調整された、周波数が異なるパルスが出力される。なお、負荷128が大きくなるにつれて、パルス周波数は低くなる。
【0079】
また、通常負荷では、パルスは発生しないように三角波の波高、電流検出抵抗間の電圧などを調整しておくことが肝要である。つまり、軽負荷領域での負荷変動にのみパルスが出力するような回路調整としておくべきである。
【0080】
このタイマーIC回路901から出力されるポイントCのパルスをNPNトランジスタ201の制御端子に入力し、主スイッチング素子107を制御する。
【0081】
次に、三角波発生回路501の動作を説明する。
【0082】
まず、ポイントAの電圧をVAとし、このVAを、抵抗512と抵抗513で分圧した電圧をV0とする。このV0をNPNトランジスタ509のベース端子に入力し、また、NPNトランジスタ509のエミッタ端子の電圧をV1とし、NPNトランジスタ509のベース、エミッタ間電圧をVbe1とした場合、
V1=V0−Vbe1 となる。
【0083】
更に、PNPトランジスタ507のエミッタ端子電圧をV2とし、PNPトランジスタ507のベース、エミッタ間電圧をVbe2とした場合、
V2=V1+Vbe2 となる。
【0084】
つまり、Vbe1≒Vbe2となるトランジスタを選定した場合、V0≒V2となる。
【0085】
このように、抵抗506の間には定電圧となる、VA−V2の電圧が発生しており、抵抗506の間には、
I506=(VA−V2)/R506 の定電流が流れている。
【0086】
この定電流を、コンデンサ508に充電することで、一定の傾きで増える電圧波形を生成することが出来る。この電圧をV508として、差動増幅器502の(+)端子に入力する。一方、抵抗503と、ツェナーダイオード504で生成する、定電圧を基準電圧V504とし、(−)端子に入力する。V508とV504を比較した結果、V508 > V504となった際に、差動増幅器502から、抵抗505を介し、トランジスタ511を導通状態にするような出力が生じ、コンデンサ508の電圧V508は、抵抗510を介して放電する。このようにして、三角波を作り出すことが可能となる。
【0087】
ちなみに、三角波のピーク電圧は、ツェナーダイオード504のツェナー電圧で決めることができ、三角波の周期は、コンデンサ508の容量とコンデンサ508に流れ込む電流とツェナーダイオード504のツェナー電圧で概ね決めることが出来る。
【0088】
t=(C508×V504)/I506
t:三角波の周期
C508:コンデンサ508の容量
V504:ツェナーダイオード504のツェナー電圧
I506:コンデンサ508に流れ込む充電電流
次に、パルス発生回路801の動作説明を行なう。上記のように生成した三角波を差動増幅器802の(−)端子に入力し、差動増幅器802の(+)端子には、負荷128によって変動するポイントBの電圧VBを入力する。このようにして、比較結果に応じたパルス幅のパルスを生成するのがパルス発生回路801である。つまり、負荷128の負荷レベルに応じたパルス幅のパルスをパルス発生回路801のポイントCから出力する。
【0089】
次に、タイマーIC902の動作を示す。また、この動作波形概要を、図12に示す。
【0090】
2PINのトリガ端子に外部よりHIレベル⇒LOWレベルのエッジが入力されると、コンデンサ903への充電が開始されると同時に、3PINがLOWレベルからHIレベルに変わる。コンデンサ903が、8PINのVDDの2/3の電圧に達した時に、3PINは、HIレベルからLOWレベルに変わる。2PINのトリガ端子がHIの時は、3PINは、LOWレベルを出力する。なお、タイマーの設定時間は以下の式で表せる。
【0091】
t=1.1×C×R
C:コンデンサ903の容量、R:抵抗904の抵抗値
次に、上記で示した、概要動作波形の図を図10に示す。この図では、例として軽負荷から通常負荷へ戻る切り替わりの動作を示した。図10に示したのは、出力電圧129にかかる負荷128、ポイントEの電圧VE、三角波発生回路501で生成した三角波、パルス発生回路801の出力であるポイントGの出力、タイマーIC回路901の出力であるポイントCの出力、主スイッチング素子107のVds、電流制限抵抗301にかかる電圧、出力電圧129である。
【0092】
出力電圧129にかかる負荷が、上昇すると、ポイントEの電圧VEも上昇する。また、三角波発生回路501で生成した三角波と、VEとを比較し、パルス発生回路801の出力波形の波幅と周波数が決定される。そして、このパルスを、タイマーIC回路901に入力することで、タイマーIC901の出力であるポイントCには、HIレベルの波幅が均一で、負荷128によって周波数が変化するパルスが発生する。このポイントCの出力の周波数に基づき、主スイッチング素子107のスイッチング動作はスイッチング⇒停止⇒スイッチングといった動作を繰り返す。さらに負荷が上昇し、三角波発生回路501の電圧をポイントEの電圧VEが超えてしまうと、パルス発生回路801の出力であるポイントGは、HIレベルになるので、タイマーIC901の出力であるポイントCもLOWレベルとなり、主スイッチング素子107の動作は、連続動作となる。これら一連の動作の結果、出力電圧129が図のような動作となる。なお、スイッチング素子107のスイッチング動作を開始するまでには、出力電圧129の電圧が下がり、コンデンサ116の放電がなされ、NPNトランジスタの閾値電圧より低くなるまでの遅延時間が生じる。
【0093】
以上述べたような方法で、軽負荷時には、主スイッチング素子107のスイッチング回数を負荷に応じてリニアに変動することで負荷変動にも対応しつつ、主スイッチング素子107のスイッチング損失を削減し、消費電力を抑えることが可能となる。これらを電源装置内で完結した形で実現している。
【0094】
なお、実施例3では、タイマーICを使用した回路例であったが、当然のことながら、同様の機能を持つ回路を使用しても実施可能である。
【符号の説明】
【0095】
107:主スイッチング素子
108、180:絶縁トランス
110、201、131、707、710:NPNトランジスタ
116、202、205、703、903:コンデンサ
115:フォトカプラのフォトトランジスタ側
119:フォトカプラの発光側
125、404、602、502、802:差動増幅器
128:負荷
129:出力電圧
120、121、130、134、203、206、401、402、403、704、705、904:抵抗
132:マイクロコンピュータ
135、204、207:ダイオード
501:三角波発生回路
601:負荷検出回路
701:マルチバイブレータ動作のタイマーIC回路
702:タイマーIC
801:パルス発生回路
901:トリガー動作のタイマーIC回路
1001:電流検出回路
Np:絶縁トランス108、180の1次側巻線
Ns:絶縁トランス108、180の2次側巻線
Nb:絶縁トランス108の補助巻線
Nb1:絶縁トランス180の第1の補助巻線
Nb2:絶縁トランス180の第2の補助巻線
【技術分野】
【0001】
本発明は、自励式スイッチング電源の消費電力を削減するための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に自励式スイッチング電源は、熱設計の観点から自励式スイッチング電源が搭載される機器に求められる最大負荷の状態において効率が最大となるように設計される。そのため、機器休止時すなわち負荷が軽くなればなるほど効率が低下する。この効率低下を回避するための方法が特許文献1ならびに特許文献2において提案されている。この方法は、機器休止時に自励式スイッチング電源の誤差検出回路の出力を一定の周波数及びデューティーで電源のスイッチング停止に充分な時間だけ低下させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−284340号公報
【特許文献2】特開2007−236087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図3は、従来の自励型フライバックコンバータ電源(RCC:リンギングチョークコンバータ)の基本回路である。
【0005】
101はAC商用電源、102はヒューズ、103はラインフィルタ、104はブリッジダイオード、105は1次平滑コンデンサ、106、109、111、113、114、120、121、122、124、126は抵抗、107は主スイッチング素子、108は絶縁トランス、110はNPNトランジスタ、112、116、118、123はコンデンサ、115はフォトカプラのフォトトランジスタ側、117はダイオード、119はフォトカプラの発光側、125は差動増幅器、127はツェナーダイオード、128は負荷、129は出力電圧である。また、絶縁トランス108は、1次側巻線Np、2次巻線Ns、補助巻線Nbといった構成である。また、負荷128はこの自励型フライバックコンバータ電源が搭載される機器の状態によって負荷が変化するものとする。
【0006】
次に、動作の概要を以下に述べる。
【0007】
AC商用電源電圧101は、ヒューズ102、ラインフィルタ103を介し、ブリッジダイオード104で整流し、1次平滑コンデンサ105にDC電圧がチャージされる。
【0008】
1次平滑コンデンサ105にチャージされたDC電圧は、抵抗106と抵抗109で分圧され、主スイッチング素子107が導通状態となるのに充分な電圧となった時に、回路動作が開始する。主スイッチング素子107が導通状態になると1次巻線Npに1次平滑コンデンサ105のDC電圧が印加され、補助巻線Nbに1次巻線Npと同極側を正とする電圧が誘起される。このとき2次巻線Nsにも電圧が誘起されるが、整流ダイオード117のアノード側を負とする電圧であるため2次側には電圧は伝達されない。従って1次巻線Npを流れる電流は絶縁トランス108の励磁電流だけで、絶縁トランス108には励磁電流の2乗に比例したエネルギが蓄積される。この励磁電流は時間に比例して増大する。また、補助巻線Nbに誘起された電圧により抵抗113、コンデンサ112を介して主スイッチング素子107の制御端子が充電され、さらに導通状態が継続される。ただし、時定数回路を構成するコンデンサ116が抵抗114を介し補助巻線Nbからの電圧で充電され、コンデンサ116の両端の電圧がNPNトランジスタ110の閾値より高くなるとNPNトランジスタ110が導通状態となり、主スイッチング素子107の制御端子電圧が低下する。このため、主スイッチング素子107は非導通状態となる。
【0009】
このとき絶縁トランス108の各巻線には起動時と逆極性の電圧が誘起され、2次巻線Nsには整流ダイオード117のアノード側を正とする電圧が誘起される。そして、絶縁トランス108に蓄積されたエネルギが、ダイオード117と電解コンデンサ118で整流、平滑され、出力電圧129となり、負荷128に供給される。
【0010】
次に、補助巻線Nb間に誘起される電圧は、主スイッチング素子107が非導通状態になった直後は主スイッチング素子107の制御端子が負にバイアスされているものの、2次側へのエネルギの伝達が終了すると負のバイアスが徐々に低下し、正にバイアスされ始める。このため、再び主スイッチング素子107の制御端子が、抵抗113、コンデンサ112を介し、正方向にバイアスされ、主スイッチング素子107は再び導通状態となる。
【0011】
また、出力電圧129が高いときには、差動増幅器125はフォトカプラの発光側119をコントロールして、フォトカプラのフォトトランジスタ側115の電流を増やすように働く。このため、NPNトランジスタ110を導通状態とするためのコンデンサ116の充電時間が短くなり、主スイッチング素子107の導通時間が短くなる。このことにより、絶縁トランス108に蓄積されるエネルギが減少することで出力電圧129が下がる。
【0012】
逆に、出力電圧129が低い時には、差動増幅器125はフォトカプラの発光側119をコントロールして、フォトカプラのフォトトランジスタ側115の電流を絞るようになる。このため、NPNトランジスタ110が導通状態となるまでのコンデンサ116の充電時間は長くなり、主スイッチング素子107の導通時間が長くなる。このことにより、絶縁トランス108に蓄積されるエネルギが増加することで出力電圧129が上がる。このようにして、定電圧動作を行う事が可能となる。
【0013】
なお、上記以外に回路を構成する部品として、抵抗111はフォトカプラのフォトトランジスタ側115に流れる電流を制限する役目をする。また、抵抗120と抵抗121は、出力電圧129を抵抗120と抵抗121とで分圧した電圧を差動増幅器125の(−)端子に供給し、出力電圧129のコントロールを行なう役目をする。また、抵抗126とツェナーダイオード127は、差動増幅器125の(+)端子に供給される基準電圧を生成している。また、コンデンサ123と抵抗124は、閉ループの利得・位相を調整するためのものである。また、抵抗122は、フォトカプラの発光側119へ流す電流を制限している。
【0014】
次に、上記で示した、自励型フライバックコンバータの概要動作波形の図を、図4に示す。この図では、例として軽負荷から通常負荷へ戻る切り替わりの動作を示した。
【0015】
図4に示したのは、主スイッチング素子107のVds(電流流入端子と電流流出端子間の電圧)、主スイッチング素子107のId(主スイッチング素子107に流れる電流)、整流ダイオード117の電流Is、絶縁トランス108のVNs(絶縁トランス108の2次側の出力電圧)である。以下に、それぞれのフェーズにおける各部の動作波形の説明を行なう。
【0016】
『主スイッチング素子107が導通状態の時』
主スイッチング素子107が導通状態の時、主スイッチング素子107のVdsはほぼゼロである。また、主スイッチング素子107のIdは時間とともに正の傾きで直線的に増加する。また、絶縁トランス108のVNsは、ダイオード117を逆バイアスする電位であるため、整流ダイオード117の電流Isは流れない。この結果、主スイッチング素子107のIdにより、絶縁トランス108にエネルギが蓄積される。
【0017】
『主スイッチング素子107が非導通状態の時』
主スイッチング素子107のIdはゼロになる。また、整流ダイオード117の電流Isが流れている期間は、
Vds=((2次側の出力電圧129)+(ダイオード117のVf))×Npns
Np:絶縁トランス108の1次側巻数
Ns:絶縁トランス108の2次側巻数
となる。(ただし、ターンOFFの瞬間には、サージ電圧が、上記電圧に重畳される。)
このとき2次側の整流ダイオード117は導通状態となり、絶縁トランス108に蓄積されたエネルギが整流ダイオード117の電流Isとなって2次側に伝達される。また、電流Isは、絶縁トランス108に蓄積されたエネルギを放出するにつれて負の傾きで直線的に減少する。
【0018】
上記のように、基本的な自励型フライバックコンバータ電源の動作概要について示したが、以下に、図5を使用して、特許文献としてあげた特開2003−284340号公報と特開2007−236087号公報の特徴を抜粋してこれら特許で示される動作の概要を示す。
【0019】
基本的な動作は、上記で示した自励型フライバックコンバータ電源の動作である。
【0020】
付加機能として、フォトカプラの発光側119のカソード側に接続された抵抗130、NPNトランジスタ131、マイクロコンピュータ132、抵抗134、ダイオード135からなる回路による機能が付加されている。
【0021】
マイクロコンピュータ132は、NPNトランジスタ131の制御端子にパルス状の信号を断続的に与えることができ、これにより、NPNトランジスタ131は、導通/非導通を断続的に繰り返す状態と定常的にオフ状態との2つの状態を取ることができる。
【0022】
ここで、例えば本自励式スイッチング電源が取り付けられている機器が、通常負荷で動作する、通常動作モードの場合と、軽負荷で動作する、待機時動作モードの場合に分けてそれぞれの動作の説明を行なう。
【0023】
『通常動作モードの場合』
通常動作モードで動作している場合、マイクロコンピュータ132は通常動作モードであることを認識して動作を行ない、NPNトランジスタ131の制御端子をLOWとする。このため、NPNトランジスタ131は、非導通状態となり、自励型フライバックコンバータ電源はこれまで従来の技術の項で説明してきたような動作を連続して行う。
【0024】
『待機時動作モードの場合』
一方、待機時動作モードで動作している場合、マイクロコンピュータ132は待機時動作モードであることを認識して動作を行ない、NPNトランジスタ131の制御端子にHI/LOWを繰り返すパルス状の信号を与える。通常、パルス状の信号のHIの期間は、自励式スイッチング電源のスイッチング周波数の例えば2〜20倍位でよい。また、パルスの周期は、HI期間のデューティを例えば1〜50%程度の間で効率を見ながら選ぶとよい。このように、上記マイクロコンピュータ132は、NPNトランジスタ131の制御端子にパルス状の信号を断続的に与え、NPNトランジスタ131は、導通/非導通を断続的に繰り返す状態となる。
【0025】
NPNトランジスタ131が導通状態の時、フォトカプラの発光側119には、差動増幅器125の出力端子の出力とは関係なく抵抗130で制限される電流が流れる。そして、この電流は通常制御時に比べて充分大きく、フォトカプラのフォトトランジスタ側115に伝えられると、瞬時にコンデンサ116の電圧を上昇させ、NPNトランジスタ110の制御端子の閾値電圧を越えると、NPNトランジスタ110を導通状態にする。こうして、主スイッチング素子107を非導通状態にする。
【0026】
次に、NPNトランジスタ131が非導通状態に戻ると、フォトカプラの発光側119の電流はすぐさま元の状態に戻る。そのため、フォトカプラのフォトトランジスタ側115の電流もほぼ以前の状態に回復する。ただし、コンデンサ116には、継続して電流が流入しつづけるため、すぐには、NPNトランジスタ110が非導通状態にはならない。
【0027】
この状態のまま次第に、電源電圧129の電圧が低下してゆき、フォトカプラの発光側119の電流が流れなくなり、フォトカプラのフォトトランジスタ側115を介して、コンデンサ116への充電経路が途絶える。そして、抵抗133だけではなく抵抗134とダイオード135により、コンデンサ116の放電が促進されるため、NPNトランジスタ110の制御端子の閾値電圧よりも低くなると、NPNトランジスタ110が非導通状態になる。
【0028】
このため、抵抗106よりコンデンサ112に充電が行なわれ、主スイッチング素子107が導通状態となり、スイッチング動作を再開する。また、この際、抵抗134の抵抗値の設定により、コンデンサ116の放電をコントロールできるため、主スイッチング素子107のスイッチング再開時間の設定はある程度自由度を持たせる事が可能となる。
【0029】
なお、この自励式スイッチング電源の出力電圧129の下限値は、回路定数で調整が可能であるため、出力電圧129は許容電圧範囲を越えることはない。また、フォトカプラの発光側119の電流が、流れていないような下限値に近い出力電圧129電圧の場合に、マイクロコンピュータ132から、NPNトランジスタ131の制御端子にパルス状の信号を与えたとき、主スイッチング素子107はオフする。しかしながら、フォトカプラの発光側119の電流が流れていないためコンデンサ116の電圧は直ちに低下し、2次巻線Nsに電流が流れ絶縁トランス108に蓄積されたエネルギが放出され終わると、補助巻線Nbに発生したリンギングにより主スイッチング素子107は再びオンし、スイッチング動作を継続する。このことからも、出力電圧129の下限を下回ることはない。
【0030】
次に、上記で示してきた待機時動作(軽負荷時動作)に対する概要動作波形の図を図6に示すこととする。
【0031】
図6は、主スイッチング素子107のVds(電流流入端子と電流流出端子間の電圧)、マイクロコンピュータ132の出力、出力電圧129である。
【0032】
『マイクロコンピュータ132の出力がLOWの時』
マイクロコンピュータ132の出力がLOWの時は、主スイッチング素子107はスイッチング動作を行なっている。
【0033】
『マイクロコンピュータ132の出力がHIの時』
マイクロコンピュータ132の出力がHIの時は、主スイッチング素子107はスイッチング動作を停止している。
【0034】
『マイクロコンピュータ132の出力が、HI⇒LOWに変化した時』
マイクロコンピュータ132の出力が、HI⇒LOWに変化した時は、コンデンサ116が放電し、NPNトランジスタ110が非道通状態になるまでの遅延時間を経て主スイッチング素子107がスイッチングを再開する。スイッチングが再開した時には、出力電圧129の電圧が低いため、主スイッチング素子107のON幅が広くなり、スイッチング回数を重ねるたびに、主スイッチング素子107のON幅は安定し、また、出力電圧129も安定してくる。
【0035】
『マイクロコンピュータ132の出力が、LOW⇒HIに変化した時』
更に再びマイクロコンピュータ132の出力が、LOW⇒HIに変化した瞬間には、主スイッチング素子107のVdsは、スイッチングを停止する際に、共振振動を発生した後にスイッチングを停止する。その後、出力電圧129は、軽負荷ではあるものの、徐々に下がってゆく。ただし、次回の主スイッチング素子107のスイッチングの再開により、再び、出力電圧129は上昇に転じることとなる。
【0036】
なお、これらのように、出力電圧129が、電源を使用する機器に対する許容電圧範囲内にとどまるためには、マイクロコンピュータのスイッチング周波数は、負荷128の状況と出力電圧129をみながら調整すると良い。このように、軽負荷時に主スイッチング素子107の動作を、スイッチング⇒停止⇒スイッチングと繰り返す事で、全体的なスイッチング回数を減らすことで、スイッチング損失を抑えることができ、その結果、軽負荷時の消費電力を軽減させることが可能となる。
【0037】
これまで説明してきたように、特許文献1ならびに特許文献2では、マイクロコンピュータにより、通常モードと、軽負荷モードの切り替えを行なってきたわけだが、この方法では、電源装置を動作させるためにはマイクロコンピュータなど、モードの切り替えを指示する手段が必要となり、電源装置のシステムがシンプルな構成では成り立たない。また、軽負荷モードの際にも、マイクロコンピュータなど、モードを切り替える手段を動作させておく必要が生じ、その部分の電力消費により、更なる省エネルギー化をはかることが困難となる。
【課題を解決するための手段】
【0038】
上記課題を解決するための手段をもつ電源装置を以下に示す。
(1)一次巻線ならびに、二次巻き線ならびに、少なくとも1つの補助巻線を有するトランスにより電気的に絶縁された一次側と二次側を有し、AC電源を入力とし、第一の整流素子と、コンデンサからなる平滑回路および、前記コンデンサを供給源として前記コンデンサから、前記トランスの前記一次巻線を介し、スイッチング素子により電流スイッチングし、前記二次巻線に誘起される電圧を整流平滑して出力する平滑整流手段を有し、前記平滑整流手段の出力電圧と基準電圧とを比較し比較結果に応じた誤差電圧を出力する誤差検出手段を有し、前記二次側で発生した前記誤差電圧を、前記一次側へ伝達する伝達手段を有し、前記伝達手段の伝達により、前記スイッチング素子のスイッチングタイミングを制御するスイッチング制御手段を有する電源装置において、前記スイッチング制御手段乃至前記誤差検出手段の出力を、前記スイッチング素子の動作が停止するのに充分な時間だけ停止させる動作停止手段を有し、出力負荷を検知する負荷検知手段を有し、検知された前記出力負荷に応じて、前記動作停止手段を動作させることを特徴とした電源装置。
(2)前記負荷検知手段は、前記補助巻線から出力される電圧を平滑化した電圧レベルで負荷を検知することを特徴とした(1)の電源装置。
(3)前記負荷検知手段は、前記スイッチング素子に直列に接続された抵抗の両端電圧を平滑化した電圧レベルで負荷を検知することを特徴とした(1)の電源装置。
(4)前記負荷検知手段は、前記二次側における電源電圧出力部に直列に接続した抵抗の両端電圧を比較することで負荷を検知することを特徴とした(1)の電源装置。
(5)前記動作停止手段は、三角波発生回路並びに、タイマーICを使用して作られることを特徴とした(1)の電源装置。
【発明の効果】
【0039】
このようにすることで、電源装置内で、負荷を検知し、負荷に応じた動作モードに切り替えることが可能となる。このため、電源装置内でシステムが完結し、また、省エネルギ−化を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】実施例1の模式的回路図。
【図2】実施例1の概要動作波形の図。
【図3】従来の自励型フライバックコンバータ電源の模式的回路図。
【図4】従来の自励型フライバックコンバータ電源の概要動作波形の図。
【図5】特許文献で挙げた電源の模式的回路図。
【図6】特許文献で挙げた電源の概要動作波形の図。
【図7】実施例2の模式的回路図。
【図8】実施例2の概要動作波形の図。
【図9】実施例3の模式的回路図。
【図10】実施例3の概要動作波形の図。
【図11】実施例1のタイマーIC回路701の動作の図。
【図12】実施例3のタイマーIC回路901の動作の図。
【発明を実施するための形態】
【0041】
[実施例1]
図1は実施例1の特徴をもっともよく表したものである。
【0042】
従来の技術の項の図5で示した電源回路に対し、抵抗130、トランジスタ131、マイクロコンピュータ132が削除されている。また、NPNトランジスタ201、コンデンサ202、抵抗203、ダイオード204、コンデンサ205、抵抗206、ダイオード207、タイマーIC回路701、負荷検出回路601が追加となっている。さらに、絶縁トランスは第1の補助巻線Nb1と第2の補助巻線Nb2を持つ絶縁トランス180に変更している。
【0043】
また、基本的な自励型フライバックコンバータの動作は、従来の技術の項で示したものと同様である。なお、図1の回路図中で、A、B、C、D、Eで示すポイントは、同じポイントどうしを接続するという意味である。
【0044】
実施例1で示す回路動作の概要を、下記に説明する。
【0045】
まず、前提として、絶縁トランス180の補助巻線Nb2から出力され、ダイオード204を介し、抵抗203とコンデンサ202で平滑されるポイントBの電圧VBは、負荷128が上がる高くなり、負荷128が下がると低くなる。これは、負荷128の状況によって絶縁トランス180のリーケージインダクタンスに蓄えられたエネルギが変化するためである。なお、負荷128の状況によって、ポイントBの電圧VBが変化しやすくするためにはリーケージインダクタンスで生じたサージ波形のピークを、コンデンサ202に充電するように抵抗203の抵抗値を設定することが重要である。また、ポイントAの電圧VAは、負荷128による電圧変動を受けないようにするために1次巻線Npと同じ巻方向である、補助巻線Nb1から出力される電源を使用する。
【0046】
次に、負荷検出回路601の説明をする。
【0047】
上記のVNb1からなるポイントAの電圧VAと、VNb2からなるポイントBの電圧VBとを602差動増幅器で比較し、比較結果に基づいた信号をポイントCから出力する。
【0048】
VA>VBの場合、LOWが出力され、VA<VBの場合、HIが出力される。
【0049】
そして、これらのHI、LOWの結果で、タイマーIC回路701の電源供給を行なうか行なわないかを決定する。HIの場合、つまり、負荷128が通常負荷の場合タイマーIC回路701は電源が供給されないため動作せず、LOWの場合、つまり、負荷128が軽負荷の場合タイマーIC回路701は電源供給を受け動作する。なお、このように、通常負荷、軽負荷の切り換えは、おもに、抵抗203、抵抗206の定数、Nb1、Nb2の補助巻線数の決定で調整する必要がある。ちなみに、抵抗603とコンデンサ604は、誤動作防止の目的でつけたものであるため状況によっては、不要である。
【0050】
次に、タイマーIC回路701について説明する。本回路では、無安定発振動作を行なう。
【0051】
701はタイマーIC回路、702はタイマーIC、703と706はコンデンサ、704、705は抵抗である。なお、本例の説明で使用する一般的なタイマーICは以下のピン配置である。
1PIN:GND端子
2PIN:トリガ端子
3PIN:出力端子
4PIN:リセット端子
5PIN:コントロール端子
6PIN:スレッシュホールド端子
7PIN:ディスチャージ端子
8PIN:VDD
次に、図11にタイマーIC回路701の動作を示す。タイマーIC702の8PINに電源電圧VDDが印加されると、抵抗704と抵抗705を通じて、コンデンサ703に充電電流が流れ、コンデンサ703は充電されてゆく。充電電圧が、VDDの2/3の電圧に達した時に、タイマーIC702の3PINは、HIレベルからLOWレベルに変わる。これと同時に、コンデンサ703に充電された電圧は、抵抗704を通じタイマーIC702の7PIN端子から放電を開始する。そして、コンデンサ703の電圧が、VDDの1/3の電圧に達した時に、タイマーIC702の3PINは、LOWレベルからHIレベルに変わる。タイマーIC702の3PINのHIとLOWの周波数ならびにデューティーは、コンデンサ703、抵抗704、抵抗705の定数設定で行なうことが出来る。
【0052】
以上説明したように、本実施例において、負荷128が通常負荷時には、タイマーIC回路701は動作しないため、主スイッチング素子107は通常のスイッチング動作を行なう。
【0053】
一方、負荷128は軽負荷になると、タイマーIC回路701が動作する。そして、タイマーIC回路701がHI/LOWの出力を繰り返すと、NPNトランジスタ201を導通状態/非導通状態を繰り返すこととなる。NPNトランジスタ201が導通状態になると、瞬時にコンデンサ116の電圧を上昇させ、NPNトランジスタ110の制御端子の閾値電圧を越えると、NPNトランジスタ110を導通状態にする。こうして、主スイッチング素子107を非導通状態にする。
【0054】
NPNトランジスタ201が非導通状態に戻ると、フォトカプラのフォトトランジスタ側115の電流もほぼ以前の状態に回復する。ただし、コンデンサ116には、継続して電流が流入しつづけるため、すぐには、NPNトランジスタ110が非導通状態にはならない。この状態のまま次第に、電源電圧129の電圧が低下してゆき、フォトカプラの発光側119の電流が流れなくなり、フォトカプラのフォトトランジスタ側115を介して、コンデンサ116への充電経路が途絶える。そして、抵抗133だけではなく抵抗134とダイオード135により、コンデンサ116の放電が促進されるため、NPNトランジスタ110の制御端子の閾値電圧よりも低くなると、NPNトランジスタ110が非導通状態になる。
【0055】
このため、抵抗106よりコンデンサ112に充電が行なわれ、主スイッチング素子107が導通状態となり、スイッチング動作を再開する。また、この際、抵抗134の抵抗値の設定により、コンデンサ116の放電をコントロールできるため、主スイッチング素子107のスイッチング再開時間の設定はある程度自由度を持たせる事が可能となる。
【0056】
なお、この自励式スイッチング電源の出力電圧129の下限値は、回路定数で調整が可能であるため、出力電圧129は許容電圧範囲を越えることはない。また、フォトカプラの発光側119の電流が、流れていないような下限値に近い出力電圧129電圧の場合に、NPNトランジスタ201の制御端子にタイマーIC回路701からパルス状の信号を与えたとき、主スイッチング素子107はオフする。しかしながら、フォトカプラの発光側119の電流が流れていないためコンデンサ116の電圧は直ちに低下し、2次巻線Nsに電流が流れ絶縁トランス180に蓄積されたエネルギが放出され終わると、補助巻線Nb1に発生したリンギングにより主スイッチング素子107は再びオンし、スイッチング動作を継続する。このことからも、出力電圧129の下限を下回ることはない。
【0057】
次に、上記で示した、概要動作波形の図を図2に示す。この図では、例として通常負荷⇒軽負荷⇒通常負荷へと切り替わる動作を示した。図2に示したのは、負荷検出回路601の出力、ポイントEの出力、主スイッチング素子107のVds、出力電圧129である。
【0058】
『通常負荷から軽負荷へ切り替わり軽負荷時動作を行なう時』
負荷検出回路601の出力は、HI⇒LOWへ切り替わると、タイマーIC回路701が起動する。タイマーIC回路701から、HIの信号が出力されるまでの遅延時間1を経て、主スイッチング素子107は、スイッチング動作を停止する。出力電圧129の電圧が下がり、
レギュレート電圧を下回り、コンデンサ116の放電が促進し、NPNトランジスタの閾値電圧より低くなるまでの遅延時間2を経て、主スイッチング素子107は、スイッチング動作を再開する。
【0059】
『軽負荷から通常負荷へ切り替わり通常負荷時動作を行なう時』
負荷検出回路601の出力は、LOW⇒HIへ切り替わる。また、出力電圧129の電圧が下がり、コンデンサ116の放電がなされ、NPNトランジスタの閾値電圧より低くなるまでの遅延時間2を経て、主スイッチング素子107は、スイッチング動作を再開する。ただし、この際、負荷128が通常負荷に戻るため、電源電圧129は、電圧低下を招いてしまうので、この電圧低下でも許容電圧範囲を越えないように、遅延時間2を設定する必要がある。
【0060】
このように、本実施例は、従来の技術の項で示した動作と同様の動作で、主スイッチング素子107の動作を、スイッチング⇒停止⇒スイッチングと繰り返す事ができる。このため、全体的なスイッチング回数を減らすこととなり、スイッチング損失を抑えることができ、その結果、軽負荷時の消費電力を軽減させることが可能となる。このようにして、従来の技術の項で示した回路動作に加え、負荷128の検知を行なうことで、電源装置内で完結したシステムで通常動作、軽負荷動作をおこなうことができる。
【0061】
なお、実施例1では、タイマーICを使用した回路例であったが、当然のことながら、同様の機能を持つ回路を使用しても実施可能である。
【0062】
[実施例2]
図7は実施例2の特徴をもっともよく表したものである。
【0063】
実施例1との大きな違いは、電源の負荷変動を2次側に設けた抵抗401の電圧降下により生じる、抵抗401の前後の電圧変化を利用して検知するところである。
【0064】
なお、図7の回路図中で、A、B、Cで示すポイントは、同じポイントどうしを接続するという意味である。以下に、図7の回路動作の概要を示す。
【0065】
抵抗120と抵抗121で分圧された電圧を差動増幅器404の(+)端子に、抵抗402と抵抗403で分圧された電圧を差動増幅器404の(−)端子に入力する。軽負荷の際には、差動増幅器404の(+)端子よりも(−)端子の方が、高い電圧となるように、抵抗401、抵抗120、抵抗121、抵抗402、抵抗403の抵抗値を設定しておく。このようにすることで、軽負荷時には、差動増幅器404は差動増幅器404の出力端子をLOWレベルにすることとなり、PNPトランジスタ707を導通状態にする。PNPトランジスタ707は、タイマーIC回路701の電源の供給源となっているため、軽負荷の場合には、タイマーIC回路701に電源供給され、通常負荷の場合には、タイマーIC回路701に電源供給されない。タイマーIC回路701に電源が供給されると、タイマーIC回路701からは、パルス状の波形が、抵抗711を介し出力し、NPNトランジスタ710に入力される。パルス状の波形がHIの時は、NPNトランジスタ710は通電状態となり、パルス状の波形が、LOWの時は、NPNトランジスタ710は非通電状態となる。このようにして、NPNトランジスタ710に対し導通状態、非導通状態を作り出すことで、フォトカプラの発光側119は、発光、発光停止を繰り返すようになる。このようにして、フォトカプラのフォトトランジスタ側115は導通状態、非導通状態を作り出し、NPNトランジスタ110を導通状態、非導通状態にさせることが可能となる。このようにすることで、実施例1と同様に、主スイッチング素子107はスイッチング⇒停止⇒スイッチングといった動作を繰り返すことが出来る。
【0066】
一方、軽負荷から通常負荷に負荷が変動した際には、作動増幅器404の(−)端子の電圧が(+)端子の電圧よりも低くなり、その結果、差動増幅器404の出力端子は、差動増幅器404の電源レベルとなり、PNPトランジスタ707が非導通となることから、タイマーIC回路701に電源供給が行なわれない。そのため、フォトカプラの発光側119をコントロールすることができなくなり、通常負荷の際には、連続スイッチング動作状態となる。
【0067】
次に、上記で示した、概要動作波形の図を図8に示す。この図では、例として通常負荷⇒軽負荷⇒通常負荷へと切り替わる動作を示した。図8に示したのは、差動増幅器404の出力部分のポイントCの出力、ポイントBの出力、主スイッチング素子107のVds、出力電圧129である。
【0068】
『通常負荷から軽負荷へ切り替わり軽負荷時動作を行なう時』
差動増幅器404の出力部分のポイントCの出力は、HI⇒LOWへ切り替わると、タイマーIC回路701が起動する。タイマーIC回路701から、HIの信号が出力されるまでの遅延時間1を経て、主スイッチング素子107は、スイッチング動作を停止する。出力電圧129の電圧、レギュレーションを行なっている抵抗401の手前部分の電圧が下がり、コンデンサ116の放電がなされ、NPNトランジスタの閾値電圧より低くなるまでの遅延時間2を経て、主スイッチング素子107は、スイッチング動作を再開する。
【0069】
『軽負荷から通常負荷へ切り替わり通常負荷時動作を行なう時』
差動増幅器404の出力部分のポイントCの出力は、LOW⇒HIへ切り替わる。また、出力電圧129の電圧、レギュレーションを行なっている抵抗401の手前部分の電圧が下がり、コンデンサ116の放電がなされ、NPNトランジスタの閾値電圧より低くなるまでの遅延時間2を経て、主スイッチング素子107は、スイッチング動作を再開する。ただし、この際、負荷128が通常負荷に戻るため、電源電圧129は、電圧低下を招いてしまうので、この電圧低下でも許容電圧範囲を越えないように、遅延時間2を設定する必要がある。
【0070】
なお、実施例2では、タイマーICを使用した回路例であったが、当然のことながら、同様の機能を持つ回路を使用しても実施可能である。
【0071】
このように、本実施例は、実施例1で示した動作と同様の動作で、主スイッチング素子107の動作を、スイッチング⇒停止⇒スイッチングと繰り返す事ができる。このため、全体的なスイッチング回数を減らすこととなり、スイッチング損失を抑えることができ、その結果、軽負荷時の消費電力を軽減させることが可能となる。このようにして、実施例1で示した回路動作に加え、負荷128の検知を行なうことで、電源装置内で完結したシステムで通常動作、軽負荷動作をおこなうことができる。
【0072】
なお、実施例2では、タイマーICを使用した回路例であったが、当然のことながら、同様の機能を持つ回路を使用しても実施可能である。
【0073】
[実施例3]
図9は実施例3の特徴をもっともよく表したものである。
【0074】
実施例3では、電源の負荷変動を主スイッチング素子107の電流流出端子と1次平滑コンデンサ105の(−)端子との間に、電流検出抵抗301を追加し、この抵抗間の電圧変動を負荷変動の検出として使用している。
【0075】
また、本実施例では、これまでの実施例1、実施例2にも応用可能である負荷変動にリニアに対応するスイッチング回数調整回路を使用している。
【0076】
なお、図9の回路図中で、A〜Gで示すポイントは、同じポイントどうしを接続するという意味である。以下に、図9の回路動作の概要を示す。
【0077】
電流検出抵抗301には、主スイッチング素子107のスイッチング時の電流が流れ、電流に応じた電圧が生じる。そしてこの電圧を、電流検出回路1001により平滑化し、ポイントEの電圧として出力することで、出力電圧129への負荷に応じた電圧を得ることが出来る。さらに、この電圧と、三角波発生回路501で発生した電圧とパルス発生回路801で比較し、三角波発生回路501で発生した電圧が、ポイントEの電圧よりも高い場合には、パルス発生回路801のポイントCにはパルス状の波形が出力される。このパルスは、負荷128の状態によって、パルス幅と周波数が異なる波形である。なお、負荷128が大きくなるにつれて、パルス幅が広くなり、周波数が低くなる波形である。
【0078】
そして、この出力パルスを、タイマーIC回路901のトリガ入力端子であるポイントGに入力することで、HIレベルのパルス幅が均一で、LOWレベルの時間が調整された、周波数が異なるパルスが出力される。なお、負荷128が大きくなるにつれて、パルス周波数は低くなる。
【0079】
また、通常負荷では、パルスは発生しないように三角波の波高、電流検出抵抗間の電圧などを調整しておくことが肝要である。つまり、軽負荷領域での負荷変動にのみパルスが出力するような回路調整としておくべきである。
【0080】
このタイマーIC回路901から出力されるポイントCのパルスをNPNトランジスタ201の制御端子に入力し、主スイッチング素子107を制御する。
【0081】
次に、三角波発生回路501の動作を説明する。
【0082】
まず、ポイントAの電圧をVAとし、このVAを、抵抗512と抵抗513で分圧した電圧をV0とする。このV0をNPNトランジスタ509のベース端子に入力し、また、NPNトランジスタ509のエミッタ端子の電圧をV1とし、NPNトランジスタ509のベース、エミッタ間電圧をVbe1とした場合、
V1=V0−Vbe1 となる。
【0083】
更に、PNPトランジスタ507のエミッタ端子電圧をV2とし、PNPトランジスタ507のベース、エミッタ間電圧をVbe2とした場合、
V2=V1+Vbe2 となる。
【0084】
つまり、Vbe1≒Vbe2となるトランジスタを選定した場合、V0≒V2となる。
【0085】
このように、抵抗506の間には定電圧となる、VA−V2の電圧が発生しており、抵抗506の間には、
I506=(VA−V2)/R506 の定電流が流れている。
【0086】
この定電流を、コンデンサ508に充電することで、一定の傾きで増える電圧波形を生成することが出来る。この電圧をV508として、差動増幅器502の(+)端子に入力する。一方、抵抗503と、ツェナーダイオード504で生成する、定電圧を基準電圧V504とし、(−)端子に入力する。V508とV504を比較した結果、V508 > V504となった際に、差動増幅器502から、抵抗505を介し、トランジスタ511を導通状態にするような出力が生じ、コンデンサ508の電圧V508は、抵抗510を介して放電する。このようにして、三角波を作り出すことが可能となる。
【0087】
ちなみに、三角波のピーク電圧は、ツェナーダイオード504のツェナー電圧で決めることができ、三角波の周期は、コンデンサ508の容量とコンデンサ508に流れ込む電流とツェナーダイオード504のツェナー電圧で概ね決めることが出来る。
【0088】
t=(C508×V504)/I506
t:三角波の周期
C508:コンデンサ508の容量
V504:ツェナーダイオード504のツェナー電圧
I506:コンデンサ508に流れ込む充電電流
次に、パルス発生回路801の動作説明を行なう。上記のように生成した三角波を差動増幅器802の(−)端子に入力し、差動増幅器802の(+)端子には、負荷128によって変動するポイントBの電圧VBを入力する。このようにして、比較結果に応じたパルス幅のパルスを生成するのがパルス発生回路801である。つまり、負荷128の負荷レベルに応じたパルス幅のパルスをパルス発生回路801のポイントCから出力する。
【0089】
次に、タイマーIC902の動作を示す。また、この動作波形概要を、図12に示す。
【0090】
2PINのトリガ端子に外部よりHIレベル⇒LOWレベルのエッジが入力されると、コンデンサ903への充電が開始されると同時に、3PINがLOWレベルからHIレベルに変わる。コンデンサ903が、8PINのVDDの2/3の電圧に達した時に、3PINは、HIレベルからLOWレベルに変わる。2PINのトリガ端子がHIの時は、3PINは、LOWレベルを出力する。なお、タイマーの設定時間は以下の式で表せる。
【0091】
t=1.1×C×R
C:コンデンサ903の容量、R:抵抗904の抵抗値
次に、上記で示した、概要動作波形の図を図10に示す。この図では、例として軽負荷から通常負荷へ戻る切り替わりの動作を示した。図10に示したのは、出力電圧129にかかる負荷128、ポイントEの電圧VE、三角波発生回路501で生成した三角波、パルス発生回路801の出力であるポイントGの出力、タイマーIC回路901の出力であるポイントCの出力、主スイッチング素子107のVds、電流制限抵抗301にかかる電圧、出力電圧129である。
【0092】
出力電圧129にかかる負荷が、上昇すると、ポイントEの電圧VEも上昇する。また、三角波発生回路501で生成した三角波と、VEとを比較し、パルス発生回路801の出力波形の波幅と周波数が決定される。そして、このパルスを、タイマーIC回路901に入力することで、タイマーIC901の出力であるポイントCには、HIレベルの波幅が均一で、負荷128によって周波数が変化するパルスが発生する。このポイントCの出力の周波数に基づき、主スイッチング素子107のスイッチング動作はスイッチング⇒停止⇒スイッチングといった動作を繰り返す。さらに負荷が上昇し、三角波発生回路501の電圧をポイントEの電圧VEが超えてしまうと、パルス発生回路801の出力であるポイントGは、HIレベルになるので、タイマーIC901の出力であるポイントCもLOWレベルとなり、主スイッチング素子107の動作は、連続動作となる。これら一連の動作の結果、出力電圧129が図のような動作となる。なお、スイッチング素子107のスイッチング動作を開始するまでには、出力電圧129の電圧が下がり、コンデンサ116の放電がなされ、NPNトランジスタの閾値電圧より低くなるまでの遅延時間が生じる。
【0093】
以上述べたような方法で、軽負荷時には、主スイッチング素子107のスイッチング回数を負荷に応じてリニアに変動することで負荷変動にも対応しつつ、主スイッチング素子107のスイッチング損失を削減し、消費電力を抑えることが可能となる。これらを電源装置内で完結した形で実現している。
【0094】
なお、実施例3では、タイマーICを使用した回路例であったが、当然のことながら、同様の機能を持つ回路を使用しても実施可能である。
【符号の説明】
【0095】
107:主スイッチング素子
108、180:絶縁トランス
110、201、131、707、710:NPNトランジスタ
116、202、205、703、903:コンデンサ
115:フォトカプラのフォトトランジスタ側
119:フォトカプラの発光側
125、404、602、502、802:差動増幅器
128:負荷
129:出力電圧
120、121、130、134、203、206、401、402、403、704、705、904:抵抗
132:マイクロコンピュータ
135、204、207:ダイオード
501:三角波発生回路
601:負荷検出回路
701:マルチバイブレータ動作のタイマーIC回路
702:タイマーIC
801:パルス発生回路
901:トリガー動作のタイマーIC回路
1001:電流検出回路
Np:絶縁トランス108、180の1次側巻線
Ns:絶縁トランス108、180の2次側巻線
Nb:絶縁トランス108の補助巻線
Nb1:絶縁トランス180の第1の補助巻線
Nb2:絶縁トランス180の第2の補助巻線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次巻線ならびに、二次巻き線ならびに、少なくとも1つの補助巻線を有するトランスにより電気的に絶縁された一次側と二次側を有し、AC電源を入力とし、第一の整流素子と、コンデンサからなる平滑回路および、前記コンデンサを供給源として前記コンデンサから、前記トランスの前記一次巻線を介し、スイッチング素子により電流スイッチングし、前記二次巻線に誘起される電圧を整流平滑して出力する平滑整流手段を有し、前記平滑整流手段の出力電圧と基準電圧とを比較し比較結果に応じた誤差電圧を出力する誤差検出手段を有し、前記二次側で発生した前記誤差電圧を、前記一次側へ伝達する伝達手段を有し、前記伝達手段の伝達により、前記スイッチング素子のスイッチングタイミングを制御するスイッチング制御手段を有する電源装置において、前記スイッチング制御手段乃至前記誤差検出手段の出力を、前記スイッチング素子の動作が停止するのに充分な時間だけ停止させる動作停止手段を有し、出力負荷を検知する負荷検知手段を有し、検知された前記出力負荷に応じて、前記動作停止手段を動作させることを特徴とした電源装置。
【請求項2】
前記負荷検知手段は、前記補助巻線から出力される電圧を平滑化した電圧レベルで負荷を検知することを特徴とした請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記負荷検知手段は、前記スイッチング素子に直列に接続された抵抗の両端電圧を平滑化した電圧レベルで負荷を検知することを特徴とした請求項1に記載の電源装置。
【請求項4】
前記負荷検知手段は、前記二次側における電源電圧出力部に直列に接続した抵抗の両端電圧を比較することで負荷を検知することを特徴とした請求項1に記載の電源装置。
【請求項5】
前記動作停止手段は、三角波発生回路並びに、タイマーICを使用して作られることを特徴とした請求項1に記載の電源装置。
【請求項1】
一次巻線ならびに、二次巻き線ならびに、少なくとも1つの補助巻線を有するトランスにより電気的に絶縁された一次側と二次側を有し、AC電源を入力とし、第一の整流素子と、コンデンサからなる平滑回路および、前記コンデンサを供給源として前記コンデンサから、前記トランスの前記一次巻線を介し、スイッチング素子により電流スイッチングし、前記二次巻線に誘起される電圧を整流平滑して出力する平滑整流手段を有し、前記平滑整流手段の出力電圧と基準電圧とを比較し比較結果に応じた誤差電圧を出力する誤差検出手段を有し、前記二次側で発生した前記誤差電圧を、前記一次側へ伝達する伝達手段を有し、前記伝達手段の伝達により、前記スイッチング素子のスイッチングタイミングを制御するスイッチング制御手段を有する電源装置において、前記スイッチング制御手段乃至前記誤差検出手段の出力を、前記スイッチング素子の動作が停止するのに充分な時間だけ停止させる動作停止手段を有し、出力負荷を検知する負荷検知手段を有し、検知された前記出力負荷に応じて、前記動作停止手段を動作させることを特徴とした電源装置。
【請求項2】
前記負荷検知手段は、前記補助巻線から出力される電圧を平滑化した電圧レベルで負荷を検知することを特徴とした請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記負荷検知手段は、前記スイッチング素子に直列に接続された抵抗の両端電圧を平滑化した電圧レベルで負荷を検知することを特徴とした請求項1に記載の電源装置。
【請求項4】
前記負荷検知手段は、前記二次側における電源電圧出力部に直列に接続した抵抗の両端電圧を比較することで負荷を検知することを特徴とした請求項1に記載の電源装置。
【請求項5】
前記動作停止手段は、三角波発生回路並びに、タイマーICを使用して作られることを特徴とした請求項1に記載の電源装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−139024(P2012−139024A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−289429(P2010−289429)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]