間葉系幹細胞の神経細胞への分化法と神経変性疾患用の神経細胞含有薬剤成分
本発明は間葉系幹細胞を集密培養後、上皮細胞成長因子と肝細胞成長因子含有培地で培養して間葉系幹細胞を神経細胞に分化増殖する方法を提供する。本発明は間葉系幹細胞又は間葉系幹細胞含有単核細胞をニューロンと星状細胞を持つ神経細胞に分化増殖する場合在来法に比し時間、効率及び成熟性に関しより効果的な方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は間葉系幹細胞を神経細胞に分化する方法と、本法で調整した神経変性疾患用の神経細胞含有薬剤成分に関する。とりわけ本発明は間葉系幹細胞を一日間集密培養後、上皮細胞成長因子と肝細胞成長因子含有培地で培養により調整して間葉系幹細胞を神経細胞に分化する方法と、本法か代替え法で調整した神経細胞を含有する神経変性疾患用の神経細胞含有薬剤成分に関する。
【背景技術】
【0002】
間葉系幹細胞は最近ヒトから成功裏に単離されて以来、この間葉系幹細胞の臨床への応用が関心の的になった。特に間葉系幹細胞細胞を補充療法用の細胞ドナーとして臨床応用に利用する。細胞補充療法は難病として知られるパーキンソン病やアルツハイマー病のような神経変性疾患で起こる細胞欠損、虚血性脳卒中及び出血性脳卒中、組織構成細胞の破壊と永久機能障害により起こる外傷性疾患及び脊椎損傷の効果的治療を提供する。
【0003】
しかし細胞補充療法の実用化には制限がある。即ちドナー組織へ完全分化した細胞を患者に移植するのに在来法では患者に与えるに十分量の細胞を得るのが困難である。
【0004】
上記問題を解決するため間葉系幹細胞を組織特異的細胞に分化するか、組織特異的幹細胞を単離増殖後分化誘発することを細胞補充療法に使用できるであろう。
【0005】
しかしある人の間葉系幹細胞から分化した神経細胞を他人に移植するのは実際には困難で、男性と女性細胞ドナー間での神経細胞移植では免疫反応が起こる。
【0006】
現在までラットの間葉系幹細胞の造血細胞、心筋細胞、ランゲルハンス島及び神経細胞への分化は培養フラスコでは実証されている。オリゴデンドロサイトをラットに移植し、間葉系幹細胞からミエリンを作り出す細胞としてオリゴデンドロサイトへの分化を誘発後、ミエリン作成を増加する研究(ブラッスル等(Brustle et al.)、サイエンス(Science)、285巻:754−756頁)、間葉系幹細胞から分化したインシュリン分泌細胞を糖尿病ラットに移植し、血糖レベルを制御する研究(ソリア等(Soria et al.)、ダイアビテーズ(Diabetes)、49巻、11157−162頁、2000年)、間葉系幹細胞から分化した神経細胞を脊髄損傷ラットに移植し、損傷脊髄の運動障害改善を確認した研究(マクドナルド等(McDonald et al.)、ネーチャーメディシン(Nat. Med.)、5巻(12号)、1410−1412頁、1999年)などの研究が細胞欠損で起こる疾患の効果的治療への間葉系幹細胞分化細胞移植の代用的方法がある。
【0007】
しかし間葉系幹細胞の単離はごく最近達成され、培養フラスコ中神経細胞以外の他細胞への間葉系幹細胞分化は更に報告されたばかりで、間葉系幹細胞を分化した組織特異的細胞の細胞補充療法への臨床的応用は可能ではあるが実用的ではない。
【0008】
今まで間葉系幹細胞の細胞分化法が細胞補充療法に最も有効な方法と考えられているが、患者移植に際し免疫反応以外に間葉系幹細胞の組織特異的細胞への分化効率が低いことにより他細胞との混合の危険性があり、安全な臨床的応用には精巧な分化に関する研究が必要である。
【0009】
組織特異的幹細胞の細胞補充療法への使用法については、又組織特異的幹細胞を長時間培養すると細胞増殖速度が減少し分化潜在能力が変化して望まない細胞に分化するという問題がある。更にパーキンソン病のような神経変性疾患治療には神経細胞を移植せねばならない。神経細胞は患者から直接得るのは困難なため、神経細胞は主として胎児脳の神経幹細胞を分化増殖により得られることを考えると、神経細胞移植は不利である。上記のような場合には一人の患者の治療におおよそ二個の胎児脳が必要である。神経細胞移植は神経細胞の供給が不十分で且つ非倫理的行為であり、神経細胞以外のアストロサイトへの神経幹細胞の分化や免疫反応の創生のような問題がある。
【0010】
従って間葉系幹細胞を分化した神経細胞を用いる治療法が可能になると、十分量の細胞確保や免疫反応創生の難しさのような問題が解決される。間葉系幹細胞を中胚葉として神経細胞に分化できるか否かはまだ疑問であるが、分化転換が最近報告され間葉系幹細胞分化の可能性が増加した。
【0011】
以前肝細胞は特定種の組織細胞にのみ分化することが知られている。間葉系幹細胞が塩基性線維芽細胞成長因子、形質転換増殖因子や上皮細胞成長因子のような成長因子含有培地の生体外コロニーで形成されることが報告された。(クズネツォフ等(Kuznetsov et al.)、ブリティッシュジャーナルオブヘマトロジー(Br. J. Haematol.)、97巻、561頁、1997年;バンデンボス、シー等(Van den Bos C et al.)、ヒューマンセル(Human Cell)、10巻、45頁、1997年)。更に多分化潜在能力をもつ最初に固定した細胞のおおよそ三分の一が骨芽細胞、軟骨芽細胞や脂肪細胞などのような線維形成細胞に分化され(プテンガー、エムエフ等(Pttenger MF et a.)、サイエンス(Science)、279巻、1528頁、1998年)且つ骨髄は新規筋肉形成用の筋前駆細胞資源である。(フェラーリ、ジー等(Ferrai G et al.)、サイエンス(Science)、279巻、1528頁、1998年)。
【0012】
しかし最近の連続研究によると間質系幹細胞は線維形成細胞だけでなく神経細胞にも分化できることが報告された。例えば間質系幹細胞はレチノイン酸とBDNF(脳由来神経栄養細胞)含有培地での培養により神経細胞とアストロサイト(サンチェスーラモス等()、エクスペリメンタルニューロロジー(Exp. Neurology)、164巻、247−256頁、2000年)へ分化し、メルカプトエタノールとDMSO(ジメチルスルホキシド)のような抗酸化物質含有培地での培養により神経細胞に分化することが報告された。(デール、ウードバリー等(Dale Woodbury et al.)、ジャーナルオブニューロサイエンスリサーチ(J. Neuro. Res.)、61巻、364−370頁、2000年)。
【0013】
しかしDMSOのような化学試薬を用いて分化を誘発すると、DMSOの毒性により間質系幹細胞が変化するのでより安全な方法が必要になる。
【0014】
本発明の発明者は間質系幹細胞を神経細胞に分化する安全且つ効率的方法を研究し、韓国特許2001−21064に“間質系幹細胞の神経細胞への分化法”という特許を出願した。本特許は間葉系幹細胞を上皮細胞成長因子と肝細胞増殖因子含有培地で培養して神経細胞に分化増殖する方法に関する。
【0015】
間葉系幹細胞を神経細胞に分化増殖する方法は分化速度が遅いだけでなく、分化効率が約80%であるという問題がある。更に分化増殖中細胞を形態変化が起こるように培養すると、分化速度が低いため4週間の培養が必要である。従って試薬による汚染やその大量消費、器具や時間のような問題が起こる。
【0016】
韓国特許2001−21064の方法では間葉系幹細胞を分化した神経細胞は、パーキンソン病、アルツハイマー病、ピック病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症や虚血性脳疾患と出血性脳疾患のような神経変性疾患治療に有効な可能性を提案したが、生体外試験、動物試験や臨床試験をまだ実施せねばならず、神経細胞の薬理効果を確認する必要がある。
【0017】
これらの問題を解決するため本発明者は分化速度と効率の向上法と薬理効果試験を研究して本発明を完成した。
【発明の開示】
【技術的問題】
【0018】
従って本発明の目的は間葉系幹細胞を集密培養した後、間葉系幹細胞をその培地で培養する時、間葉系幹細胞を上皮細胞成長因子と肝細胞増殖因子含有培地で培養し神経細胞に分化増殖する方法を提供することである。
【0019】
他の目的はパーキンソン病、アルツハイマー病、ピック病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症や虚血性脳疾患と出血性脳疾患のような神経変性疾患及び脊髄損傷のような外傷性中枢神経性疾患の治療用神経細胞含有薬剤成分を提供することである。
【技術的解決】
【0020】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0021】
本発明は間葉系幹細胞を上皮細胞成長因子と肝細胞増殖因子含有培地で集密培養して神経細胞に分化する方法を提供する。
【0022】
間葉系幹細胞は通常培地表面を占める細胞比率が連続増殖数の約70%で維持される状態で培養する。しかし本発明の間葉系幹細胞は増殖よりむしろ分化を誘発する目的の培地表面を細胞が完全占拠した後集密培養を続ける。従って本発明により集密培養後分化を刺激すると、分化は迅速に且つ効果的に実施できる。
【0023】
好ましくは間葉系幹細胞を約1乃至約50時間集密培養し、次いでそれぞれ上皮細胞成長因子約1乃至10,000 ng/mlと肝細胞増殖因子約1乃至10,000 ng/ml含有培地で一週間以上培養する。
【0024】
より好ましくは間葉系幹細胞を約24時間培養し、次いで上皮細胞成長因子約10 ng/mlと肝細胞増殖因子約10 ng/mlの含有培地でそれぞれ培養する。
【0025】
間葉系幹細胞を上記条件で培養すると、少数の間葉系幹細胞が約4日後に神経細胞コロニーを形成し、神経細胞コロニーは約1週間後大量の神経細胞を形成できるよう増殖し続ける。
【0026】
特に上皮細胞成長因子と肝細胞増殖因子含有培地で約2週間完全分化増殖した神経細胞は、神経細胞特性を変えることなしに上皮細胞成長因子単独含有培地で増殖し続ける。
【0027】
しかし約2週間完全分化した神経細胞は、肝細胞成長因子単独含有培地で培養分化すると、神経細胞分化のみが進行し神経細胞数が減少する。それ故完全分化神経細胞を上皮細胞成長因子単独含有培地で約二週間培養するのが好ましい。
【0028】
本発明の間葉系幹細胞はヒト骨髄から単離取得できる。単核細胞を骨髄から単離する場合、造血幹細胞を血液細胞に分化し、残留する無制限な増殖細胞として幹細胞のみを単離する方法で間葉系幹細胞を取得する。
【0029】
しかし上記の方法で単核細胞から間葉系幹細胞を単離することなしに骨髄から単離した単核細胞全てを培養すると、大量の神経細胞生成、間葉系幹細胞単独使用が不必要であるという同じ結論となる。
【0030】
上記のように間葉系幹細胞を上皮細胞成長因子と肝細胞増殖因子含有培地で培養すると、間葉系幹細胞数の約90%が神経細胞に分化し、神経細胞数の約70%がニューロンであり、約30%の数が星状細胞であり、小膠細胞は全くない。
【0031】
本発明で神経細胞としてはニューロン、星状細胞及び小膠細胞を含む。
【0032】
本発明の上記方法により間葉系幹細胞を分化した神経細胞は細胞補充療法の神経変性疾患治療用薬剤成分として使用できる。従って本発明はパーキンソン病、アルツハイマー病、ピック病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症や虚血性脳疾患と出血性脳疾患、外傷性中枢神経性疾患のような神経変性疾患及び脊髄損傷による運動障害治療用に本発明の方法で調整した神経細胞含有薬剤成分を提供する。
【0033】
神経変性疾患治療用の神経細胞含有薬剤成分は薬剤分野の在来法でヒト投与に適した単位用量処方で投与できる。
【0034】
薬剤成分中の神経細胞以外に上記処方には薬剤的に許容な一つ以上の不活性担体を含有できる。不活性担体の例としては注入使用での防腐剤、鎮痛制御剤、可溶化剤、安定化剤などや、局所使用でのガス化剤、膨張性薬剤、潤滑剤、安定化剤などがある。
【0035】
薬剤処方は非経口投与、例えば静脈投与、皮下投与、腹膜内投与や局所使用で使用できる。
【0036】
例えばダグラスコンジオルカ(Douglas Kondziolka)(ピッツバーグ、1998年)(Pittsburgh, 1998)により知られる臨床法が使用できる。本法は患者頭蓋を直径約1cmの豆粒大にカットし、ハンクス平衡塩類液(HBBS)混合の神経細胞溶液を三個所に注入する。神経細胞溶液注入法は長針定位枠付き注射器を注入に使用する。神経細胞を直接か静脈と動脈から注入できる。
【0037】
好ましくは神経細胞用量は約1x106乃至1x109個の細胞であり、疾患の種類、疾患の重症度、投与法、患者の体重、年齢や性別により変る。
【0038】
上述のように先行特許で間葉系幹細胞は上皮細胞成長因子と肝細胞増殖因子含有培地で培養して神経細胞に分化することが知られている。しかし前処置として集密培養後、上皮細胞成長因子と肝細胞増殖因子含有培地で培養すると、本発明による神経細胞の一週間内分化速度、分化比率と成熟度を改善できることが先ず分かる。
【0039】
本発明では集密培養約24時間後に上皮細胞成長因子と肝細胞増殖因子含有培地で培養した場合と、集密培養なしで上皮細胞成長因子か肝細胞増殖因子の一つ含有の培地で培養した場合とでの、骨髄から単離の単核細胞の神経細胞への分化増殖する量を比較した。その結果、集密培養約24時間後に上皮細胞成長因子と肝細胞増殖因子含有培地で培養した場合には、神経細胞コロニーは約一週間後に形成し始め、約二週間後でも増殖し続ける。上皮細胞成長因子単独含有培地で培養した場合には、単核細胞は神経細胞に分化せず、肝細胞増殖因子単独含有培地で培養した場合には初期に分化増殖した。
【0040】
従って間葉系幹細胞か骨髄由来の単核細胞が神経細胞に分化増殖する場合には、増殖誘発上皮細胞成長因子、分化誘発肝細胞増殖因子及び約24時間培養により成長因子への絶食効果を刺激する。
【0041】
本発明では間葉系幹細胞か骨髄由来単核細胞を集密培養約24時間後約二週間上皮細胞成長因子と肝細胞増殖因子含有培地で培養し、次いで分化増殖細胞を単細胞として分離し光学顕微鏡で観察した。その結果長軸索と短樹状突起付きニューロンと短樹状突起だけのニューロンが観察できる。
【0042】
本発明による分化増殖細胞に免疫細胞化学による染色を行うと、ニューロン核、ニューロン特異エノラーゼや微小管結合タンパク質2のようなニューロンマーカーとグロリア線維酸性プロテインのような星状細胞マーカーに陽性染色し、分化増殖細胞がニューロンと星状細胞からなることが確認できる。OX-42のような小膠細胞マーカには陰性染色で、細胞が小膠細胞に分化しないことが確認できる。
【0043】
間葉系幹細胞か骨髄由来単核細胞を約24時間上皮細胞成長因子と肝細胞増殖因子含有培地で集密培養すると、約二週間後に細胞数の約90%が神経細胞に分化し、神経細胞の約70%がニューロンで、数の約30%が星状細胞である。間葉系幹細胞か単核細胞を二週間後に、完全に分化増殖後には、間葉系幹細胞か単核細胞は神経細胞形状を保持し、上皮細胞成長因子単独含有培地でのみ増殖し続ける。幹細胞成長因子単独含有培地では間葉系幹細胞か単核細胞は分化するのみで、間葉系幹細胞か単核細胞は増殖を継続しない。
【0044】
間葉系幹細胞は単核細胞からのみ単離できるから、骨髄の単核細胞を上皮細胞成長因子と肝細胞増殖因子含有培地で培養することに由来する神経細胞が、間葉系幹細胞由来か否かの区別が確認できる。幹細胞は造血幹細胞と骨髄の単核細胞由来の間葉系幹細胞に分類される。約一乃至二週間後に増殖し続ける幹細胞は間葉系幹細胞であるように、通常の培養条件で造血幹細胞は容易に血液細胞に分化する。20回以上継代培養できる間葉系幹細胞のみを単離後、実験により間葉系幹細胞が種々の結合組織細胞への分化能力を持つことが確認できるように種々の結合組織細胞への分化実験を行う。その実験の結果間葉系幹細胞が種々の結合組織細胞に分化することを確認した。
【0045】
更に間葉系幹細胞が神経細胞と星状細胞に分化し、且つ上皮細胞成長因子と肝細胞増殖因子含有培地で増殖することが、骨髄由来単核細胞として神経細胞への分化増殖、光学顕微鏡、免疫細胞化学類似実験で確認された。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下に本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。しかしこれらの実施例は本発明を説明するためにだけに提供し、本発明をいかなる形でも制限すること意図するものではない。
【実施例1】
【0047】
骨髄単核細胞の単離
【0048】
骨髄約10mlを健康応募者骨盤から採取し、ヘパリン含有ガラス管に保存した。リン酸緩衝食塩水(PBS)約30mlを骨髄約10mlに加え、この混合液約20mlをフィコルーパックTM(Ficoll-PaqueTM)プラス(1.077g/ml、アマシャムファルマシアバイオテク社(Amersham Pharmacia Biotech))溶液約10mlに徐々に流し、約20分間密度勾配2000rpmで遠心分離した。単核細胞層を上層とフィコルーパックTM (Ficoll-PaqueTM)プラス層間に収集し、5分間1800rpmで遠心分離した。その結果単核細胞のみが得られた。
【実施例2】
【0049】
単核細胞の培養
【0050】
実施例1で調整した単核細胞を約1x106個の細胞/cm2付き培養フラスコに接種し、約4時間後未固定細胞を新規基本培地で洗浄して除去した。新規基本培地としては3.5Mヒドロコルチゾン(シグマ社(Sigma))、無脂肪酸ウシ血清アルブミン(ギブコ社(Gibco BRL))、リノール酸(シグマ社(Sigma))50ng/ml、0.1M硫酸銅5水和物(シグマ社(Sigma))、50pM硫酸亜鉛7水和物(シグマ社(Sigma))、亜セレン酸(シグマ社)(Sigma))3ng/ml、炭酸水素ナトリウム(シグマ社(Sigma))1.05g/ml、HEPES(シグマ社(Sigma))緩衝液1.19mg/ml、ペニシリン100U/ml(ギブコ社(Gibco BRL))、ストレプトマイシン(ギブコ社(Gibco BRL))10mg/ml及びアンホテリシン(ギブコ社(Gibco BRL))からなるウイリアムE(William's E)培養液(ギブコ社(Gibco BRL)を用いた。
【実施例3】
【0051】
集密培養なしでの単核細胞の神経細胞への分化
【0052】
実施例3では実施例2で培養の単核細胞が集密培養なしで上皮細胞成長因子(ギブコ社(Gibco BRL))約10ng/mlと肝細胞増殖因子(アールアンドデシステム社(R&D System))約20ng/ml含有培地に分化できるかどうかを確認した。次いで分化培地を一週間に二度変えた。
【0053】
単核細胞を分化培地で培養すると約1週間後には単核細胞の形態変化は検出できなかった。神経細胞コロニーが約4週間後に現れ、増殖を続けた。長軸索と短樹状突起付きニューロンと短樹状突起だけの星状細胞が約8週間後に観察された。更に約8週間以後でも実施例3で上皮細胞成長因子単独含有培地でも同じ形態を維持しながら増殖するのが確認された。
【0054】
上皮細胞成長因子と肝細胞増殖因子含有培地での培養と対照的に、単核細胞は肝細胞増殖因子単独含有培地の神経細胞に分化せず、初期に分化し単核細胞は肝細胞増殖因子単独含有培地では増殖しなかった。
【0055】
以下の表1に単核細胞を集密培養なしで上皮細胞成長因子と肝細胞増殖因子含有培地で約4週間培養後の増殖細胞数を示し、表2に表1で前処理した細胞を上皮細胞成長因子か肝細胞増殖因子のみ含有の培地でそれぞれ約4週間と8週間培養後の細胞増殖の遂行を示す。(初期接種細胞数は約1x105である。)
【実施例4】
【0056】
集密培養後の単核細胞の神経細胞への分化
実施例4では実施例2で培養の単核細胞が集密培養約24時間後上皮細胞成長因子(ギブコ社(Gibco BRL))約10ng/mlと肝細胞増殖因子(アールアンドディシステム社(R&D System))約20ng/ml含有培地に分化するのを確認した。次いで分化培地を一週間に二度変えた。
【0057】
単核細胞を分化培地で培養すると神経細胞コロニーが約1週間後に現れ始め、増殖を継続した。(図1参照。)単核細胞を分化培地で培養すると、長軸索と短樹状突起付きニューロンと短樹状突起だけの星状細胞が約2週間後に観察された(図2と3参照)。更に約2週間後も実施例4で上皮細胞成長因子単独含有培地でも同じ形態を維持しながら増殖するのが確認された。
【0058】
上皮細胞成長因子と肝細胞増殖因子の含有培地での培養と対照的に、単核細胞は肝細胞増殖因子単独含有培地では神経細胞に分化せず、初期に分化し肝細胞増殖因子単独含有培地では増殖しなかった。
【0059】
表1に単核細胞を集密培養約24時間後上皮細胞成長因子と肝細胞増殖因子含有培地で約2週間培養後の増殖細胞数を示し、表2に表1で前処理した上皮細胞成長因子か肝細胞増殖因子のみを含有の培地でそれぞれ約4週間及び8週間培養後の細胞増殖の遂行を示す。(初期接種細胞数は約1x105である。)
表1
表2
【実施例5】
【0060】
免疫細胞化学I
【0061】
実施例3と4の分化細胞を約1x104個の細胞/cm2だけカバーガラス表面に付着した。次いで細胞を0.1Mリン酸緩衝液で約5分間洗浄し、4重量%パラフォルムアルデヒド含有の0.1Mリン酸緩衝液で約15分間固定し、0.1MPBS(リン酸緩衝食塩水)で約15分間二回洗浄した。次いで固定細胞を0.1重量%ウシ血清アルブミン(BSA)と0.2重量%トリトンX-100含有の0.1MPBSで約5分を処理し、第一抗体を固定細胞に加え、固定細胞と第一抗体を約16時間反応した。第一抗体としては抗ヒトニューロン特異エノラーゼ(NSE、ケミコン社(Chemicon))、抗ヒトニューロン核(ケミコン社(Chemicon))、抗ヒトチュブリンIII(シグマ社(Sigma))、抗ヒトグリア繊維酸性タンパク質(GFAP、シグマ社(Sigma))及び抗ヒトMAP-2(微小管結合タンパク質2)抗体を用いた。第一抗体と反応後第一抗体に未結合の第一抗体を除き、第一抗体と反応した細胞を0.5%重量%BSA含有の0.1MPBSで二回約5分間洗浄した。第二抗体を第一抗体と反応した細胞に加え、第二抗体を加えた細胞を約30分間温置した。温置細胞を次いで0.5%重量%BSA含有の0.1MPBSで二回約15分間洗浄した。アビジンービオチン含有ベクスタインエリートエービーシー(Vectatain Elite ABC)キット(ベクターラボラトリー社(Vector Laboratory Inc.))を用いて温置細胞と約30分間反応した。反応した細胞を0.1MPBSで二回約5分間洗浄し、発色剤としてディエイビー(DAB)(3,3‘―ジアミノベンジジン4塩酸塩無水物(シグマ社(Sigma))と反応した。反応停止のために0.1PBAをDABと反応した細胞に約5分間加え、反応消滅した細胞を0.1MPBSで二回約5分間洗浄した。反応物質を乾燥し蒸留水で洗浄した。次いで乾燥反応物質を蒸留水、70%エタノール、80%エタノール、95%エタノール、100%エタノールの順で脱水固定した。
【0062】
免疫細胞化学の結果、図4に示すように分化細胞はニューロン核,NSE、MAP-2やチュブリンIIIのようなニューロンマーカーでは陽性染色であるが、OX-42のような小膠細胞マーカーでは陰性染色であった。この結果により上皮細胞成長因子と肝細胞増殖因子含有培地では単核細胞は形態的だけでなく生化学的にもニューロンと星状細胞に分化するが、単核細胞は小膠細胞には分化しないことが示された。
【0063】
単核細胞を上皮細胞成長因子単独含有培地、上皮細胞成長因子と肝細胞増殖因子含有培地及び24時間集密培養後の上皮細胞成長因子と肝細胞増殖因子含有培地でそれぞれ培養した。次いで分化細胞を免疫細胞化学により染色しニューロン(ニューロン核、NSE、MAP-2とチュブリンIIIで陽性染色)と星状細胞(GFAPで陽性染色)の比を観察した。結果を表3に示した。
表3
表3に示されるように単核細胞を24時間集密培養後、約二週間上皮細胞成長因子と肝細胞増殖因子含有培地で分化した場合、細胞数の約80%が神経細胞に分化され、神経細胞数の約70%がニューロンであり、数の約30%が星状細胞である。
【実施例6】
【0064】
間葉系幹細胞の単離と培養
【0065】
間葉系細胞が神経細胞に分化されるか否かを確認するため、間葉系細胞を骨髄由来単核細胞から単離し分化潜在能力の実験を行った。
【0066】
実施例2で培養の単核細胞を約1x106個の細胞/cm2付き培養フラスコに温置し、約37℃で二酸化炭素ガスインキュベーターに温置した。媒地としては約10重量%ウシ胎児血清添加の低濃度ブドウ糖のギブコ社(Gibco BRL)ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)を培地に添加した。単核細胞を約1乃至2週間培養後、単核細胞は継代培養用に完全に増殖し、単核細胞は20回継代培養後も増殖し続けた。
【0067】
骨髄由来の単核細胞としては白血球、リンパ球、骨芽細胞、軟骨芽細胞、筋肉細胞、線維芽細胞、脂肪細胞及び幹細胞がある。幹細胞は白血球、リンパ球、骨芽細胞、軟骨芽細胞、筋肉細胞、線維芽細胞、脂肪細胞などに分化できる。幹細胞は造血幹細胞と間葉系幹細胞を指す。赤血球、白血球やリンパ球のような血液細胞を形成する造血幹細胞は通常の培地では継続的に増殖せず、継続増殖細胞が間葉系幹細胞であるように成熟細胞に分化する。
【0068】
確認のために実施例6で上記取得細胞の間葉系幹細胞への分化潜在能力をサイトカイン類の添加により調べた。
【0069】
骨芽細胞に分化するためサイトカイン類添加の上記取得細胞を、100mMデキサメサゾン、10mMグリセリンリン酸、50nMアスコルビン酸―2−リン酸エステル及び10重量%ウシ胎児血清(FBS)で温置した。軟骨芽細胞に分化するため温置細胞がペレット形状に整うように温置ペレットを1500rpmで約10分間遠心分離し、次いでペレットに100nMデキサメサゾンと無血清状態のトランスフォーミング増殖因子―3(TGF-3)10ng/mlを加えた。
【0070】
脂肪細胞に分化するためサイトカイン類添加の上記取得細胞を0.5mM1−メチルー3−イソブチルキサンチン、1mMデキサメサゾン、10g/mlインスリン及び10nMインドメタシンで温置した。(ピッテンガー等(Pittenger et al.)、サイエンス(Science)、284巻、147−149頁、1999年。)各細胞への分化を骨芽細胞のアルカリホスファターゼ染色(ジェイスワル等(Jaiswal et al.)、ジャーナルオブセルバイオケミストリー(J. Cell Biochem.)、64巻(2号)、143−147頁、1999年)、軟骨芽細胞のトルイジンブルーによるII型コラーゲン逆転写ポリメラーゼ連鎖反応法染色(マッケイ等(Mackay et al.)、ティシューエンジニアリング(Tissue Eng.)、4巻(4号)、415−428頁、1998年)及び脂肪細胞のオイルレッド染色でそれぞれ確認した。
【0071】
図5、5b及び5cに示すように全てが陽性染色であった。生体外培養の間葉系幹細胞は骨芽細胞、軟骨芽細胞や脂肪細胞のような結合組織への分化潜在能力があった。
【実施例7】
【0072】
集密培養なしでの間葉系幹細胞の神経細胞への分化
【0073】
実施例6で単離の間葉系幹細胞が神経細胞に分化するか否かを確認するため、10重量%FBS含有DMEMの低ブドウ糖濃度DMEMにおいて体外培養間葉系幹細胞を上皮細胞成長因子約10ng/mlと肝細胞増殖因子約20ng/ml含有の分化培地で集密培養無しに培養した。
【0074】
結果は骨髄由来単核幹細胞から分化の神経細胞と同じであった。形態変化は約一週間後には検出されず、神経細胞コロニーが約4週間後に出現し、約5週間後も増殖し続けた。約8週間後実施例7により上皮成長因子単独含有培地で培養した場合でさえ同じ形態で増殖することが確認された。
【実施例8】
【0075】
集密培養後の間葉系幹細胞の神経細胞への分化
【0076】
実施例6で単離の間葉系幹細胞が神経細胞に分化するか否かを確認するため、10重量%FBS含有DMEMの低ブドウ糖濃度DMEMにおいて体外培養の間葉系幹細胞を上皮細胞成長因子約10ng/mlと肝細胞増殖因子約20ng/ml含有の分化培地で約24時間集密培養後約二週間実施例4の方法で培養した。
【0077】
結果は骨髄由来単核幹細胞から分化の神経細胞と同じであった。形態変化は約一週間後には検出されず、約2週間後も増殖し続けた(図6と7参照)。約2週間後実施例8により上皮成長因子単独含有培地で培養した場合でさえ同じ形態で増殖することが確認された。
【実施例9】
【0078】
免疫細胞化学II
【0079】
実施例7と8で分化した細胞を実施例5の方法のように免疫細胞化学により染色した。結果は骨髄由来単核幹細胞から分化の神経細胞と同じであった。間葉系幹細胞の分化神経細胞はニューロン核、NSE、MAP-2とチュブリンIIIのようなニューロンマーカーやGFAPのような星状細胞では陽性に染色した(図8a、8b、8cおよび8d)。前処置として密集培養を実施した場合の結果は間葉系幹細胞がニューロンと星状細胞に分化し、前処置として集密培養を実施しない場合に比し分化速度で二倍速く、分化効率は80乃至90%増加することが示された。
【実施例10】
【0080】
間葉系幹細胞を分化した神経細胞の機能がヒト神経細胞と同じか否かを確認するため、実施例10で神経細胞を動物の損傷部に移植した場合の損傷部への到達と修復を実施した。
【0081】
ヒトの普通の神経変性疾患として知られる虚血性脳疾患を誘発するため、実験ラット脳が大脳皮質に局所的虚血性疾患が起こるように、実験ラット脳を中大脳動脈で切断し、一時間締め付け再度ゆるめた。次いで実施例8で調整の神経細胞約3x105個を静脈注入した。次いで注入神経細胞を他細胞と区別するため大腸菌β―ガラクシトダーゼ(LacZ)で染色した。
【0082】
静脈注入一週間後実験ラット脳を切開し光学顕微鏡で観察した。結果を図9に示す。図9aに局所的虚血症疾患誘発以前のラット脳写真を示す。図9bに局所的虚血症疾患誘発後で神経細胞を静脈注入後二週間でのラット脳写真を示し、図9cに図9bの局所虚血部の拡大写真を示す。
【0083】
図9aと9bに示すように正常脳と虚血脳間の違いが明白に確認できた。特に細胞がLacZにより図9bでは弱い染色が、図9cでは強い染色が検出された。従って神経細胞は損傷部に選択的に到達する。即ち間葉系幹細胞は正常に神経細胞に分化し、神経細胞は適切部に位置する。それ故本発明の分化神経細胞は神経変性疾患に有用である。
【産業上の利用可能性】
【0084】
上記のように本発明は間葉系幹細胞又は単核細胞をニューロンと星状細胞からなる神経細胞へ分化増殖する場合、時間、効率及び成熟性に関しより効果的な方法と、神経変性疾患治療用の薬剤成分を産生する十分量の神経細胞を提供する。この方法は細胞中の天然化合物を用いているので、安全且つ臨床応用で殆ど問題がない。本法は大量の神経細胞を患者骨髄か取得するので免疫反応の影響は殆どなく、大量の神経細胞を提供できる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】骨髄由来単核細胞をそれぞれ上皮細胞成長因子約10ng/mlと肝細胞増殖因子約20ng/ml含有培地で24時間集密培養後約一週間培養した錨細胞の光学顕微鏡(100倍)写真を示す。
【0086】
【図2】骨髄由来単核細胞をそれぞれ上皮細胞成長因子約10ng/mlと肝細胞増殖因子約20ng/ml含有培地で24時間集密培養後約二週間増殖した神経細胞の光学顕微鏡(100倍倍率)写真を示す。
【0087】
【図3a】図2の骨髄由来単核細胞から分化単離した神経細胞のニューロンの光学顕微鏡写真を示す。
【0088】
【図3b】図2の骨髄由来単核細胞から分化単離した神経細胞の星状細胞の光学顕微鏡写真を示す。
【0089】
【図4a】図2の骨髄由来単核細胞から分化した神経細胞の免疫細胞化学によるニューロン特異エノラーゼで陽性染色な細胞の写真を示す。
【0090】
【図4b】図2の骨髄由来単核細胞から分化した神経細胞の免疫細胞化学によるニューロン核で陽性染色な細胞の写真を示す。
【0091】
【図4c】図2の骨髄由来単核細胞から分化した神経細胞の免疫細胞化学によるグロリア線維酸性プロテインで陽性染色な細胞の写真を示す。
【0092】
【図4d】図2の骨髄由来単核細胞から分化した神経細胞の免疫細胞化学による微小管結合タンパク質2で陽性染色な細胞の写真を示す。
【0093】
【図5a】骨髄由来単核細胞を低濃度ブドウ糖培地で培養し、間葉系幹細胞を単離し骨芽細胞に分化した細胞の光学顕微鏡写真を示す。
【0094】
【図5b】骨髄由来単核細胞を低濃度ブドウ糖培地で培養し、間葉系幹細胞を単離し軟骨芽細胞に分化した細胞の光学顕微鏡写真を示す。
【0095】
【図5c】骨髄由来単核細胞を低濃度ブドウ糖培地で培養し、間葉系幹細胞を単離し脂肪細胞に分化した細胞の光学顕微鏡写真を示す。
【0096】
【図6】間葉系幹細胞をそれぞれ上皮細胞成長因子約10ng/mlと肝細胞増殖因子約20ng/ml含有培地で約一週間培養した間葉系幹細胞の光学顕微鏡写真を示す。
【0097】
【図7】間葉系幹細胞をそれぞれ上皮細胞成長因子約10ng/mlと肝細胞増殖因子約20ng/ml含有培地で約二週間培養した増殖分化細胞の光学顕微鏡写真を示す。
【0098】
【図8】
【0099】
【図8a】図6の分化神経細胞の免疫細胞化学によりニューロン特異エノラーゼ染色で陽性染色の細胞写真を示す。
【0100】
【図8b】図6の分化神経細胞の免疫細胞化学によりニューロン核で陽性染色の細胞写真を示す。
【0101】
【図8c】図6の分化神経細胞の免疫細胞化学によりグロリア線維酸性プロテインニューロン特異エノラーゼで陽性染色の細胞写真を示す。
【0102】
【図8d】図6の分化神経細胞の免疫細胞化学により微小管結合タンパク質2で陽性染色の細胞写真を示す。
【0103】
【図9a】ラットに局所虚血性疾患誘発前に間葉系幹細胞の神経細胞約3x105個を静脈注入二週間後のラット脳の顕微鏡写真を示す。局所虚血性疾患誘発以前のラット脳写真を示す。
【0104】
【図9b】ラットに局所虚血性疾患誘発後に間葉系幹細胞の神経細胞約3x105個を静脈注入二週間後のラット脳の顕微鏡写真を示す。
【0105】
【図9c】図9bの局所虚血性部分の拡大写真を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は間葉系幹細胞を神経細胞に分化する方法と、本法で調整した神経変性疾患用の神経細胞含有薬剤成分に関する。とりわけ本発明は間葉系幹細胞を一日間集密培養後、上皮細胞成長因子と肝細胞成長因子含有培地で培養により調整して間葉系幹細胞を神経細胞に分化する方法と、本法か代替え法で調整した神経細胞を含有する神経変性疾患用の神経細胞含有薬剤成分に関する。
【背景技術】
【0002】
間葉系幹細胞は最近ヒトから成功裏に単離されて以来、この間葉系幹細胞の臨床への応用が関心の的になった。特に間葉系幹細胞細胞を補充療法用の細胞ドナーとして臨床応用に利用する。細胞補充療法は難病として知られるパーキンソン病やアルツハイマー病のような神経変性疾患で起こる細胞欠損、虚血性脳卒中及び出血性脳卒中、組織構成細胞の破壊と永久機能障害により起こる外傷性疾患及び脊椎損傷の効果的治療を提供する。
【0003】
しかし細胞補充療法の実用化には制限がある。即ちドナー組織へ完全分化した細胞を患者に移植するのに在来法では患者に与えるに十分量の細胞を得るのが困難である。
【0004】
上記問題を解決するため間葉系幹細胞を組織特異的細胞に分化するか、組織特異的幹細胞を単離増殖後分化誘発することを細胞補充療法に使用できるであろう。
【0005】
しかしある人の間葉系幹細胞から分化した神経細胞を他人に移植するのは実際には困難で、男性と女性細胞ドナー間での神経細胞移植では免疫反応が起こる。
【0006】
現在までラットの間葉系幹細胞の造血細胞、心筋細胞、ランゲルハンス島及び神経細胞への分化は培養フラスコでは実証されている。オリゴデンドロサイトをラットに移植し、間葉系幹細胞からミエリンを作り出す細胞としてオリゴデンドロサイトへの分化を誘発後、ミエリン作成を増加する研究(ブラッスル等(Brustle et al.)、サイエンス(Science)、285巻:754−756頁)、間葉系幹細胞から分化したインシュリン分泌細胞を糖尿病ラットに移植し、血糖レベルを制御する研究(ソリア等(Soria et al.)、ダイアビテーズ(Diabetes)、49巻、11157−162頁、2000年)、間葉系幹細胞から分化した神経細胞を脊髄損傷ラットに移植し、損傷脊髄の運動障害改善を確認した研究(マクドナルド等(McDonald et al.)、ネーチャーメディシン(Nat. Med.)、5巻(12号)、1410−1412頁、1999年)などの研究が細胞欠損で起こる疾患の効果的治療への間葉系幹細胞分化細胞移植の代用的方法がある。
【0007】
しかし間葉系幹細胞の単離はごく最近達成され、培養フラスコ中神経細胞以外の他細胞への間葉系幹細胞分化は更に報告されたばかりで、間葉系幹細胞を分化した組織特異的細胞の細胞補充療法への臨床的応用は可能ではあるが実用的ではない。
【0008】
今まで間葉系幹細胞の細胞分化法が細胞補充療法に最も有効な方法と考えられているが、患者移植に際し免疫反応以外に間葉系幹細胞の組織特異的細胞への分化効率が低いことにより他細胞との混合の危険性があり、安全な臨床的応用には精巧な分化に関する研究が必要である。
【0009】
組織特異的幹細胞の細胞補充療法への使用法については、又組織特異的幹細胞を長時間培養すると細胞増殖速度が減少し分化潜在能力が変化して望まない細胞に分化するという問題がある。更にパーキンソン病のような神経変性疾患治療には神経細胞を移植せねばならない。神経細胞は患者から直接得るのは困難なため、神経細胞は主として胎児脳の神経幹細胞を分化増殖により得られることを考えると、神経細胞移植は不利である。上記のような場合には一人の患者の治療におおよそ二個の胎児脳が必要である。神経細胞移植は神経細胞の供給が不十分で且つ非倫理的行為であり、神経細胞以外のアストロサイトへの神経幹細胞の分化や免疫反応の創生のような問題がある。
【0010】
従って間葉系幹細胞を分化した神経細胞を用いる治療法が可能になると、十分量の細胞確保や免疫反応創生の難しさのような問題が解決される。間葉系幹細胞を中胚葉として神経細胞に分化できるか否かはまだ疑問であるが、分化転換が最近報告され間葉系幹細胞分化の可能性が増加した。
【0011】
以前肝細胞は特定種の組織細胞にのみ分化することが知られている。間葉系幹細胞が塩基性線維芽細胞成長因子、形質転換増殖因子や上皮細胞成長因子のような成長因子含有培地の生体外コロニーで形成されることが報告された。(クズネツォフ等(Kuznetsov et al.)、ブリティッシュジャーナルオブヘマトロジー(Br. J. Haematol.)、97巻、561頁、1997年;バンデンボス、シー等(Van den Bos C et al.)、ヒューマンセル(Human Cell)、10巻、45頁、1997年)。更に多分化潜在能力をもつ最初に固定した細胞のおおよそ三分の一が骨芽細胞、軟骨芽細胞や脂肪細胞などのような線維形成細胞に分化され(プテンガー、エムエフ等(Pttenger MF et a.)、サイエンス(Science)、279巻、1528頁、1998年)且つ骨髄は新規筋肉形成用の筋前駆細胞資源である。(フェラーリ、ジー等(Ferrai G et al.)、サイエンス(Science)、279巻、1528頁、1998年)。
【0012】
しかし最近の連続研究によると間質系幹細胞は線維形成細胞だけでなく神経細胞にも分化できることが報告された。例えば間質系幹細胞はレチノイン酸とBDNF(脳由来神経栄養細胞)含有培地での培養により神経細胞とアストロサイト(サンチェスーラモス等()、エクスペリメンタルニューロロジー(Exp. Neurology)、164巻、247−256頁、2000年)へ分化し、メルカプトエタノールとDMSO(ジメチルスルホキシド)のような抗酸化物質含有培地での培養により神経細胞に分化することが報告された。(デール、ウードバリー等(Dale Woodbury et al.)、ジャーナルオブニューロサイエンスリサーチ(J. Neuro. Res.)、61巻、364−370頁、2000年)。
【0013】
しかしDMSOのような化学試薬を用いて分化を誘発すると、DMSOの毒性により間質系幹細胞が変化するのでより安全な方法が必要になる。
【0014】
本発明の発明者は間質系幹細胞を神経細胞に分化する安全且つ効率的方法を研究し、韓国特許2001−21064に“間質系幹細胞の神経細胞への分化法”という特許を出願した。本特許は間葉系幹細胞を上皮細胞成長因子と肝細胞増殖因子含有培地で培養して神経細胞に分化増殖する方法に関する。
【0015】
間葉系幹細胞を神経細胞に分化増殖する方法は分化速度が遅いだけでなく、分化効率が約80%であるという問題がある。更に分化増殖中細胞を形態変化が起こるように培養すると、分化速度が低いため4週間の培養が必要である。従って試薬による汚染やその大量消費、器具や時間のような問題が起こる。
【0016】
韓国特許2001−21064の方法では間葉系幹細胞を分化した神経細胞は、パーキンソン病、アルツハイマー病、ピック病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症や虚血性脳疾患と出血性脳疾患のような神経変性疾患治療に有効な可能性を提案したが、生体外試験、動物試験や臨床試験をまだ実施せねばならず、神経細胞の薬理効果を確認する必要がある。
【0017】
これらの問題を解決するため本発明者は分化速度と効率の向上法と薬理効果試験を研究して本発明を完成した。
【発明の開示】
【技術的問題】
【0018】
従って本発明の目的は間葉系幹細胞を集密培養した後、間葉系幹細胞をその培地で培養する時、間葉系幹細胞を上皮細胞成長因子と肝細胞増殖因子含有培地で培養し神経細胞に分化増殖する方法を提供することである。
【0019】
他の目的はパーキンソン病、アルツハイマー病、ピック病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症や虚血性脳疾患と出血性脳疾患のような神経変性疾患及び脊髄損傷のような外傷性中枢神経性疾患の治療用神経細胞含有薬剤成分を提供することである。
【技術的解決】
【0020】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0021】
本発明は間葉系幹細胞を上皮細胞成長因子と肝細胞増殖因子含有培地で集密培養して神経細胞に分化する方法を提供する。
【0022】
間葉系幹細胞は通常培地表面を占める細胞比率が連続増殖数の約70%で維持される状態で培養する。しかし本発明の間葉系幹細胞は増殖よりむしろ分化を誘発する目的の培地表面を細胞が完全占拠した後集密培養を続ける。従って本発明により集密培養後分化を刺激すると、分化は迅速に且つ効果的に実施できる。
【0023】
好ましくは間葉系幹細胞を約1乃至約50時間集密培養し、次いでそれぞれ上皮細胞成長因子約1乃至10,000 ng/mlと肝細胞増殖因子約1乃至10,000 ng/ml含有培地で一週間以上培養する。
【0024】
より好ましくは間葉系幹細胞を約24時間培養し、次いで上皮細胞成長因子約10 ng/mlと肝細胞増殖因子約10 ng/mlの含有培地でそれぞれ培養する。
【0025】
間葉系幹細胞を上記条件で培養すると、少数の間葉系幹細胞が約4日後に神経細胞コロニーを形成し、神経細胞コロニーは約1週間後大量の神経細胞を形成できるよう増殖し続ける。
【0026】
特に上皮細胞成長因子と肝細胞増殖因子含有培地で約2週間完全分化増殖した神経細胞は、神経細胞特性を変えることなしに上皮細胞成長因子単独含有培地で増殖し続ける。
【0027】
しかし約2週間完全分化した神経細胞は、肝細胞成長因子単独含有培地で培養分化すると、神経細胞分化のみが進行し神経細胞数が減少する。それ故完全分化神経細胞を上皮細胞成長因子単独含有培地で約二週間培養するのが好ましい。
【0028】
本発明の間葉系幹細胞はヒト骨髄から単離取得できる。単核細胞を骨髄から単離する場合、造血幹細胞を血液細胞に分化し、残留する無制限な増殖細胞として幹細胞のみを単離する方法で間葉系幹細胞を取得する。
【0029】
しかし上記の方法で単核細胞から間葉系幹細胞を単離することなしに骨髄から単離した単核細胞全てを培養すると、大量の神経細胞生成、間葉系幹細胞単独使用が不必要であるという同じ結論となる。
【0030】
上記のように間葉系幹細胞を上皮細胞成長因子と肝細胞増殖因子含有培地で培養すると、間葉系幹細胞数の約90%が神経細胞に分化し、神経細胞数の約70%がニューロンであり、約30%の数が星状細胞であり、小膠細胞は全くない。
【0031】
本発明で神経細胞としてはニューロン、星状細胞及び小膠細胞を含む。
【0032】
本発明の上記方法により間葉系幹細胞を分化した神経細胞は細胞補充療法の神経変性疾患治療用薬剤成分として使用できる。従って本発明はパーキンソン病、アルツハイマー病、ピック病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症や虚血性脳疾患と出血性脳疾患、外傷性中枢神経性疾患のような神経変性疾患及び脊髄損傷による運動障害治療用に本発明の方法で調整した神経細胞含有薬剤成分を提供する。
【0033】
神経変性疾患治療用の神経細胞含有薬剤成分は薬剤分野の在来法でヒト投与に適した単位用量処方で投与できる。
【0034】
薬剤成分中の神経細胞以外に上記処方には薬剤的に許容な一つ以上の不活性担体を含有できる。不活性担体の例としては注入使用での防腐剤、鎮痛制御剤、可溶化剤、安定化剤などや、局所使用でのガス化剤、膨張性薬剤、潤滑剤、安定化剤などがある。
【0035】
薬剤処方は非経口投与、例えば静脈投与、皮下投与、腹膜内投与や局所使用で使用できる。
【0036】
例えばダグラスコンジオルカ(Douglas Kondziolka)(ピッツバーグ、1998年)(Pittsburgh, 1998)により知られる臨床法が使用できる。本法は患者頭蓋を直径約1cmの豆粒大にカットし、ハンクス平衡塩類液(HBBS)混合の神経細胞溶液を三個所に注入する。神経細胞溶液注入法は長針定位枠付き注射器を注入に使用する。神経細胞を直接か静脈と動脈から注入できる。
【0037】
好ましくは神経細胞用量は約1x106乃至1x109個の細胞であり、疾患の種類、疾患の重症度、投与法、患者の体重、年齢や性別により変る。
【0038】
上述のように先行特許で間葉系幹細胞は上皮細胞成長因子と肝細胞増殖因子含有培地で培養して神経細胞に分化することが知られている。しかし前処置として集密培養後、上皮細胞成長因子と肝細胞増殖因子含有培地で培養すると、本発明による神経細胞の一週間内分化速度、分化比率と成熟度を改善できることが先ず分かる。
【0039】
本発明では集密培養約24時間後に上皮細胞成長因子と肝細胞増殖因子含有培地で培養した場合と、集密培養なしで上皮細胞成長因子か肝細胞増殖因子の一つ含有の培地で培養した場合とでの、骨髄から単離の単核細胞の神経細胞への分化増殖する量を比較した。その結果、集密培養約24時間後に上皮細胞成長因子と肝細胞増殖因子含有培地で培養した場合には、神経細胞コロニーは約一週間後に形成し始め、約二週間後でも増殖し続ける。上皮細胞成長因子単独含有培地で培養した場合には、単核細胞は神経細胞に分化せず、肝細胞増殖因子単独含有培地で培養した場合には初期に分化増殖した。
【0040】
従って間葉系幹細胞か骨髄由来の単核細胞が神経細胞に分化増殖する場合には、増殖誘発上皮細胞成長因子、分化誘発肝細胞増殖因子及び約24時間培養により成長因子への絶食効果を刺激する。
【0041】
本発明では間葉系幹細胞か骨髄由来単核細胞を集密培養約24時間後約二週間上皮細胞成長因子と肝細胞増殖因子含有培地で培養し、次いで分化増殖細胞を単細胞として分離し光学顕微鏡で観察した。その結果長軸索と短樹状突起付きニューロンと短樹状突起だけのニューロンが観察できる。
【0042】
本発明による分化増殖細胞に免疫細胞化学による染色を行うと、ニューロン核、ニューロン特異エノラーゼや微小管結合タンパク質2のようなニューロンマーカーとグロリア線維酸性プロテインのような星状細胞マーカーに陽性染色し、分化増殖細胞がニューロンと星状細胞からなることが確認できる。OX-42のような小膠細胞マーカには陰性染色で、細胞が小膠細胞に分化しないことが確認できる。
【0043】
間葉系幹細胞か骨髄由来単核細胞を約24時間上皮細胞成長因子と肝細胞増殖因子含有培地で集密培養すると、約二週間後に細胞数の約90%が神経細胞に分化し、神経細胞の約70%がニューロンで、数の約30%が星状細胞である。間葉系幹細胞か単核細胞を二週間後に、完全に分化増殖後には、間葉系幹細胞か単核細胞は神経細胞形状を保持し、上皮細胞成長因子単独含有培地でのみ増殖し続ける。幹細胞成長因子単独含有培地では間葉系幹細胞か単核細胞は分化するのみで、間葉系幹細胞か単核細胞は増殖を継続しない。
【0044】
間葉系幹細胞は単核細胞からのみ単離できるから、骨髄の単核細胞を上皮細胞成長因子と肝細胞増殖因子含有培地で培養することに由来する神経細胞が、間葉系幹細胞由来か否かの区別が確認できる。幹細胞は造血幹細胞と骨髄の単核細胞由来の間葉系幹細胞に分類される。約一乃至二週間後に増殖し続ける幹細胞は間葉系幹細胞であるように、通常の培養条件で造血幹細胞は容易に血液細胞に分化する。20回以上継代培養できる間葉系幹細胞のみを単離後、実験により間葉系幹細胞が種々の結合組織細胞への分化能力を持つことが確認できるように種々の結合組織細胞への分化実験を行う。その実験の結果間葉系幹細胞が種々の結合組織細胞に分化することを確認した。
【0045】
更に間葉系幹細胞が神経細胞と星状細胞に分化し、且つ上皮細胞成長因子と肝細胞増殖因子含有培地で増殖することが、骨髄由来単核細胞として神経細胞への分化増殖、光学顕微鏡、免疫細胞化学類似実験で確認された。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下に本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。しかしこれらの実施例は本発明を説明するためにだけに提供し、本発明をいかなる形でも制限すること意図するものではない。
【実施例1】
【0047】
骨髄単核細胞の単離
【0048】
骨髄約10mlを健康応募者骨盤から採取し、ヘパリン含有ガラス管に保存した。リン酸緩衝食塩水(PBS)約30mlを骨髄約10mlに加え、この混合液約20mlをフィコルーパックTM(Ficoll-PaqueTM)プラス(1.077g/ml、アマシャムファルマシアバイオテク社(Amersham Pharmacia Biotech))溶液約10mlに徐々に流し、約20分間密度勾配2000rpmで遠心分離した。単核細胞層を上層とフィコルーパックTM (Ficoll-PaqueTM)プラス層間に収集し、5分間1800rpmで遠心分離した。その結果単核細胞のみが得られた。
【実施例2】
【0049】
単核細胞の培養
【0050】
実施例1で調整した単核細胞を約1x106個の細胞/cm2付き培養フラスコに接種し、約4時間後未固定細胞を新規基本培地で洗浄して除去した。新規基本培地としては3.5Mヒドロコルチゾン(シグマ社(Sigma))、無脂肪酸ウシ血清アルブミン(ギブコ社(Gibco BRL))、リノール酸(シグマ社(Sigma))50ng/ml、0.1M硫酸銅5水和物(シグマ社(Sigma))、50pM硫酸亜鉛7水和物(シグマ社(Sigma))、亜セレン酸(シグマ社)(Sigma))3ng/ml、炭酸水素ナトリウム(シグマ社(Sigma))1.05g/ml、HEPES(シグマ社(Sigma))緩衝液1.19mg/ml、ペニシリン100U/ml(ギブコ社(Gibco BRL))、ストレプトマイシン(ギブコ社(Gibco BRL))10mg/ml及びアンホテリシン(ギブコ社(Gibco BRL))からなるウイリアムE(William's E)培養液(ギブコ社(Gibco BRL)を用いた。
【実施例3】
【0051】
集密培養なしでの単核細胞の神経細胞への分化
【0052】
実施例3では実施例2で培養の単核細胞が集密培養なしで上皮細胞成長因子(ギブコ社(Gibco BRL))約10ng/mlと肝細胞増殖因子(アールアンドデシステム社(R&D System))約20ng/ml含有培地に分化できるかどうかを確認した。次いで分化培地を一週間に二度変えた。
【0053】
単核細胞を分化培地で培養すると約1週間後には単核細胞の形態変化は検出できなかった。神経細胞コロニーが約4週間後に現れ、増殖を続けた。長軸索と短樹状突起付きニューロンと短樹状突起だけの星状細胞が約8週間後に観察された。更に約8週間以後でも実施例3で上皮細胞成長因子単独含有培地でも同じ形態を維持しながら増殖するのが確認された。
【0054】
上皮細胞成長因子と肝細胞増殖因子含有培地での培養と対照的に、単核細胞は肝細胞増殖因子単独含有培地の神経細胞に分化せず、初期に分化し単核細胞は肝細胞増殖因子単独含有培地では増殖しなかった。
【0055】
以下の表1に単核細胞を集密培養なしで上皮細胞成長因子と肝細胞増殖因子含有培地で約4週間培養後の増殖細胞数を示し、表2に表1で前処理した細胞を上皮細胞成長因子か肝細胞増殖因子のみ含有の培地でそれぞれ約4週間と8週間培養後の細胞増殖の遂行を示す。(初期接種細胞数は約1x105である。)
【実施例4】
【0056】
集密培養後の単核細胞の神経細胞への分化
実施例4では実施例2で培養の単核細胞が集密培養約24時間後上皮細胞成長因子(ギブコ社(Gibco BRL))約10ng/mlと肝細胞増殖因子(アールアンドディシステム社(R&D System))約20ng/ml含有培地に分化するのを確認した。次いで分化培地を一週間に二度変えた。
【0057】
単核細胞を分化培地で培養すると神経細胞コロニーが約1週間後に現れ始め、増殖を継続した。(図1参照。)単核細胞を分化培地で培養すると、長軸索と短樹状突起付きニューロンと短樹状突起だけの星状細胞が約2週間後に観察された(図2と3参照)。更に約2週間後も実施例4で上皮細胞成長因子単独含有培地でも同じ形態を維持しながら増殖するのが確認された。
【0058】
上皮細胞成長因子と肝細胞増殖因子の含有培地での培養と対照的に、単核細胞は肝細胞増殖因子単独含有培地では神経細胞に分化せず、初期に分化し肝細胞増殖因子単独含有培地では増殖しなかった。
【0059】
表1に単核細胞を集密培養約24時間後上皮細胞成長因子と肝細胞増殖因子含有培地で約2週間培養後の増殖細胞数を示し、表2に表1で前処理した上皮細胞成長因子か肝細胞増殖因子のみを含有の培地でそれぞれ約4週間及び8週間培養後の細胞増殖の遂行を示す。(初期接種細胞数は約1x105である。)
表1
表2
【実施例5】
【0060】
免疫細胞化学I
【0061】
実施例3と4の分化細胞を約1x104個の細胞/cm2だけカバーガラス表面に付着した。次いで細胞を0.1Mリン酸緩衝液で約5分間洗浄し、4重量%パラフォルムアルデヒド含有の0.1Mリン酸緩衝液で約15分間固定し、0.1MPBS(リン酸緩衝食塩水)で約15分間二回洗浄した。次いで固定細胞を0.1重量%ウシ血清アルブミン(BSA)と0.2重量%トリトンX-100含有の0.1MPBSで約5分を処理し、第一抗体を固定細胞に加え、固定細胞と第一抗体を約16時間反応した。第一抗体としては抗ヒトニューロン特異エノラーゼ(NSE、ケミコン社(Chemicon))、抗ヒトニューロン核(ケミコン社(Chemicon))、抗ヒトチュブリンIII(シグマ社(Sigma))、抗ヒトグリア繊維酸性タンパク質(GFAP、シグマ社(Sigma))及び抗ヒトMAP-2(微小管結合タンパク質2)抗体を用いた。第一抗体と反応後第一抗体に未結合の第一抗体を除き、第一抗体と反応した細胞を0.5%重量%BSA含有の0.1MPBSで二回約5分間洗浄した。第二抗体を第一抗体と反応した細胞に加え、第二抗体を加えた細胞を約30分間温置した。温置細胞を次いで0.5%重量%BSA含有の0.1MPBSで二回約15分間洗浄した。アビジンービオチン含有ベクスタインエリートエービーシー(Vectatain Elite ABC)キット(ベクターラボラトリー社(Vector Laboratory Inc.))を用いて温置細胞と約30分間反応した。反応した細胞を0.1MPBSで二回約5分間洗浄し、発色剤としてディエイビー(DAB)(3,3‘―ジアミノベンジジン4塩酸塩無水物(シグマ社(Sigma))と反応した。反応停止のために0.1PBAをDABと反応した細胞に約5分間加え、反応消滅した細胞を0.1MPBSで二回約5分間洗浄した。反応物質を乾燥し蒸留水で洗浄した。次いで乾燥反応物質を蒸留水、70%エタノール、80%エタノール、95%エタノール、100%エタノールの順で脱水固定した。
【0062】
免疫細胞化学の結果、図4に示すように分化細胞はニューロン核,NSE、MAP-2やチュブリンIIIのようなニューロンマーカーでは陽性染色であるが、OX-42のような小膠細胞マーカーでは陰性染色であった。この結果により上皮細胞成長因子と肝細胞増殖因子含有培地では単核細胞は形態的だけでなく生化学的にもニューロンと星状細胞に分化するが、単核細胞は小膠細胞には分化しないことが示された。
【0063】
単核細胞を上皮細胞成長因子単独含有培地、上皮細胞成長因子と肝細胞増殖因子含有培地及び24時間集密培養後の上皮細胞成長因子と肝細胞増殖因子含有培地でそれぞれ培養した。次いで分化細胞を免疫細胞化学により染色しニューロン(ニューロン核、NSE、MAP-2とチュブリンIIIで陽性染色)と星状細胞(GFAPで陽性染色)の比を観察した。結果を表3に示した。
表3
表3に示されるように単核細胞を24時間集密培養後、約二週間上皮細胞成長因子と肝細胞増殖因子含有培地で分化した場合、細胞数の約80%が神経細胞に分化され、神経細胞数の約70%がニューロンであり、数の約30%が星状細胞である。
【実施例6】
【0064】
間葉系幹細胞の単離と培養
【0065】
間葉系細胞が神経細胞に分化されるか否かを確認するため、間葉系細胞を骨髄由来単核細胞から単離し分化潜在能力の実験を行った。
【0066】
実施例2で培養の単核細胞を約1x106個の細胞/cm2付き培養フラスコに温置し、約37℃で二酸化炭素ガスインキュベーターに温置した。媒地としては約10重量%ウシ胎児血清添加の低濃度ブドウ糖のギブコ社(Gibco BRL)ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)を培地に添加した。単核細胞を約1乃至2週間培養後、単核細胞は継代培養用に完全に増殖し、単核細胞は20回継代培養後も増殖し続けた。
【0067】
骨髄由来の単核細胞としては白血球、リンパ球、骨芽細胞、軟骨芽細胞、筋肉細胞、線維芽細胞、脂肪細胞及び幹細胞がある。幹細胞は白血球、リンパ球、骨芽細胞、軟骨芽細胞、筋肉細胞、線維芽細胞、脂肪細胞などに分化できる。幹細胞は造血幹細胞と間葉系幹細胞を指す。赤血球、白血球やリンパ球のような血液細胞を形成する造血幹細胞は通常の培地では継続的に増殖せず、継続増殖細胞が間葉系幹細胞であるように成熟細胞に分化する。
【0068】
確認のために実施例6で上記取得細胞の間葉系幹細胞への分化潜在能力をサイトカイン類の添加により調べた。
【0069】
骨芽細胞に分化するためサイトカイン類添加の上記取得細胞を、100mMデキサメサゾン、10mMグリセリンリン酸、50nMアスコルビン酸―2−リン酸エステル及び10重量%ウシ胎児血清(FBS)で温置した。軟骨芽細胞に分化するため温置細胞がペレット形状に整うように温置ペレットを1500rpmで約10分間遠心分離し、次いでペレットに100nMデキサメサゾンと無血清状態のトランスフォーミング増殖因子―3(TGF-3)10ng/mlを加えた。
【0070】
脂肪細胞に分化するためサイトカイン類添加の上記取得細胞を0.5mM1−メチルー3−イソブチルキサンチン、1mMデキサメサゾン、10g/mlインスリン及び10nMインドメタシンで温置した。(ピッテンガー等(Pittenger et al.)、サイエンス(Science)、284巻、147−149頁、1999年。)各細胞への分化を骨芽細胞のアルカリホスファターゼ染色(ジェイスワル等(Jaiswal et al.)、ジャーナルオブセルバイオケミストリー(J. Cell Biochem.)、64巻(2号)、143−147頁、1999年)、軟骨芽細胞のトルイジンブルーによるII型コラーゲン逆転写ポリメラーゼ連鎖反応法染色(マッケイ等(Mackay et al.)、ティシューエンジニアリング(Tissue Eng.)、4巻(4号)、415−428頁、1998年)及び脂肪細胞のオイルレッド染色でそれぞれ確認した。
【0071】
図5、5b及び5cに示すように全てが陽性染色であった。生体外培養の間葉系幹細胞は骨芽細胞、軟骨芽細胞や脂肪細胞のような結合組織への分化潜在能力があった。
【実施例7】
【0072】
集密培養なしでの間葉系幹細胞の神経細胞への分化
【0073】
実施例6で単離の間葉系幹細胞が神経細胞に分化するか否かを確認するため、10重量%FBS含有DMEMの低ブドウ糖濃度DMEMにおいて体外培養間葉系幹細胞を上皮細胞成長因子約10ng/mlと肝細胞増殖因子約20ng/ml含有の分化培地で集密培養無しに培養した。
【0074】
結果は骨髄由来単核幹細胞から分化の神経細胞と同じであった。形態変化は約一週間後には検出されず、神経細胞コロニーが約4週間後に出現し、約5週間後も増殖し続けた。約8週間後実施例7により上皮成長因子単独含有培地で培養した場合でさえ同じ形態で増殖することが確認された。
【実施例8】
【0075】
集密培養後の間葉系幹細胞の神経細胞への分化
【0076】
実施例6で単離の間葉系幹細胞が神経細胞に分化するか否かを確認するため、10重量%FBS含有DMEMの低ブドウ糖濃度DMEMにおいて体外培養の間葉系幹細胞を上皮細胞成長因子約10ng/mlと肝細胞増殖因子約20ng/ml含有の分化培地で約24時間集密培養後約二週間実施例4の方法で培養した。
【0077】
結果は骨髄由来単核幹細胞から分化の神経細胞と同じであった。形態変化は約一週間後には検出されず、約2週間後も増殖し続けた(図6と7参照)。約2週間後実施例8により上皮成長因子単独含有培地で培養した場合でさえ同じ形態で増殖することが確認された。
【実施例9】
【0078】
免疫細胞化学II
【0079】
実施例7と8で分化した細胞を実施例5の方法のように免疫細胞化学により染色した。結果は骨髄由来単核幹細胞から分化の神経細胞と同じであった。間葉系幹細胞の分化神経細胞はニューロン核、NSE、MAP-2とチュブリンIIIのようなニューロンマーカーやGFAPのような星状細胞では陽性に染色した(図8a、8b、8cおよび8d)。前処置として密集培養を実施した場合の結果は間葉系幹細胞がニューロンと星状細胞に分化し、前処置として集密培養を実施しない場合に比し分化速度で二倍速く、分化効率は80乃至90%増加することが示された。
【実施例10】
【0080】
間葉系幹細胞を分化した神経細胞の機能がヒト神経細胞と同じか否かを確認するため、実施例10で神経細胞を動物の損傷部に移植した場合の損傷部への到達と修復を実施した。
【0081】
ヒトの普通の神経変性疾患として知られる虚血性脳疾患を誘発するため、実験ラット脳が大脳皮質に局所的虚血性疾患が起こるように、実験ラット脳を中大脳動脈で切断し、一時間締め付け再度ゆるめた。次いで実施例8で調整の神経細胞約3x105個を静脈注入した。次いで注入神経細胞を他細胞と区別するため大腸菌β―ガラクシトダーゼ(LacZ)で染色した。
【0082】
静脈注入一週間後実験ラット脳を切開し光学顕微鏡で観察した。結果を図9に示す。図9aに局所的虚血症疾患誘発以前のラット脳写真を示す。図9bに局所的虚血症疾患誘発後で神経細胞を静脈注入後二週間でのラット脳写真を示し、図9cに図9bの局所虚血部の拡大写真を示す。
【0083】
図9aと9bに示すように正常脳と虚血脳間の違いが明白に確認できた。特に細胞がLacZにより図9bでは弱い染色が、図9cでは強い染色が検出された。従って神経細胞は損傷部に選択的に到達する。即ち間葉系幹細胞は正常に神経細胞に分化し、神経細胞は適切部に位置する。それ故本発明の分化神経細胞は神経変性疾患に有用である。
【産業上の利用可能性】
【0084】
上記のように本発明は間葉系幹細胞又は単核細胞をニューロンと星状細胞からなる神経細胞へ分化増殖する場合、時間、効率及び成熟性に関しより効果的な方法と、神経変性疾患治療用の薬剤成分を産生する十分量の神経細胞を提供する。この方法は細胞中の天然化合物を用いているので、安全且つ臨床応用で殆ど問題がない。本法は大量の神経細胞を患者骨髄か取得するので免疫反応の影響は殆どなく、大量の神経細胞を提供できる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】骨髄由来単核細胞をそれぞれ上皮細胞成長因子約10ng/mlと肝細胞増殖因子約20ng/ml含有培地で24時間集密培養後約一週間培養した錨細胞の光学顕微鏡(100倍)写真を示す。
【0086】
【図2】骨髄由来単核細胞をそれぞれ上皮細胞成長因子約10ng/mlと肝細胞増殖因子約20ng/ml含有培地で24時間集密培養後約二週間増殖した神経細胞の光学顕微鏡(100倍倍率)写真を示す。
【0087】
【図3a】図2の骨髄由来単核細胞から分化単離した神経細胞のニューロンの光学顕微鏡写真を示す。
【0088】
【図3b】図2の骨髄由来単核細胞から分化単離した神経細胞の星状細胞の光学顕微鏡写真を示す。
【0089】
【図4a】図2の骨髄由来単核細胞から分化した神経細胞の免疫細胞化学によるニューロン特異エノラーゼで陽性染色な細胞の写真を示す。
【0090】
【図4b】図2の骨髄由来単核細胞から分化した神経細胞の免疫細胞化学によるニューロン核で陽性染色な細胞の写真を示す。
【0091】
【図4c】図2の骨髄由来単核細胞から分化した神経細胞の免疫細胞化学によるグロリア線維酸性プロテインで陽性染色な細胞の写真を示す。
【0092】
【図4d】図2の骨髄由来単核細胞から分化した神経細胞の免疫細胞化学による微小管結合タンパク質2で陽性染色な細胞の写真を示す。
【0093】
【図5a】骨髄由来単核細胞を低濃度ブドウ糖培地で培養し、間葉系幹細胞を単離し骨芽細胞に分化した細胞の光学顕微鏡写真を示す。
【0094】
【図5b】骨髄由来単核細胞を低濃度ブドウ糖培地で培養し、間葉系幹細胞を単離し軟骨芽細胞に分化した細胞の光学顕微鏡写真を示す。
【0095】
【図5c】骨髄由来単核細胞を低濃度ブドウ糖培地で培養し、間葉系幹細胞を単離し脂肪細胞に分化した細胞の光学顕微鏡写真を示す。
【0096】
【図6】間葉系幹細胞をそれぞれ上皮細胞成長因子約10ng/mlと肝細胞増殖因子約20ng/ml含有培地で約一週間培養した間葉系幹細胞の光学顕微鏡写真を示す。
【0097】
【図7】間葉系幹細胞をそれぞれ上皮細胞成長因子約10ng/mlと肝細胞増殖因子約20ng/ml含有培地で約二週間培養した増殖分化細胞の光学顕微鏡写真を示す。
【0098】
【図8】
【0099】
【図8a】図6の分化神経細胞の免疫細胞化学によりニューロン特異エノラーゼ染色で陽性染色の細胞写真を示す。
【0100】
【図8b】図6の分化神経細胞の免疫細胞化学によりニューロン核で陽性染色の細胞写真を示す。
【0101】
【図8c】図6の分化神経細胞の免疫細胞化学によりグロリア線維酸性プロテインニューロン特異エノラーゼで陽性染色の細胞写真を示す。
【0102】
【図8d】図6の分化神経細胞の免疫細胞化学により微小管結合タンパク質2で陽性染色の細胞写真を示す。
【0103】
【図9a】ラットに局所虚血性疾患誘発前に間葉系幹細胞の神経細胞約3x105個を静脈注入二週間後のラット脳の顕微鏡写真を示す。局所虚血性疾患誘発以前のラット脳写真を示す。
【0104】
【図9b】ラットに局所虚血性疾患誘発後に間葉系幹細胞の神経細胞約3x105個を静脈注入二週間後のラット脳の顕微鏡写真を示す。
【0105】
【図9c】図9bの局所虚血性部分の拡大写真を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
間葉系幹細胞を集密培養後、上皮細胞成長因子と肝細胞成長因子含有培地で間葉系幹細胞を培養して間葉系幹細胞を神経細胞に分化増殖する方法。
【請求項2】
間葉系幹細胞を約1乃至50時間集密培養後、濃度約1乃至約10,000ng/mlの上皮細胞成長因子と濃度約1乃至約10,000ng/mlの肝細胞成長因子含有培地で間葉系幹細胞を一週間以上培養する請求項1の方法。
【請求項3】
間葉系幹細胞を約24時間集密培養後、濃度約10ng/mlの上皮細胞成長因子と約20ng/mlの肝細胞成長因子濃度含有培地で間葉系幹細胞を一週間以上培養する請求項1の方法。
【請求項4】
間葉系幹細胞を上皮細胞成長因子と肝細胞成長因子含有培地で約二週間以上培養し、次いで上皮細胞成長因子と肝細胞成長因子含有培地を上皮細胞成長因子単独含有培地に変える請求項1乃至3のいずれか一つの方法。
【請求項5】
間葉系幹細胞をヒト骨髄から取得する請求項4の方法。
【請求項6】
間葉系幹細胞がヒト骨髄から取得の間葉系幹細胞含有単核細胞である請求項4の方法。
【請求項7】
外傷中枢神経系疾患か脊髄損傷治療のために請求項1乃至6のいずれか一つの方法で分化した神経細胞の使用。
【請求項8】
ヒトを含む哺乳動物に請求項1乃至6のいずれか一つの方法で分化した神経細胞投与を含む外傷中枢神経系疾患又は脊髄損傷の治療法。
【請求項1】
間葉系幹細胞を集密培養後、上皮細胞成長因子と肝細胞成長因子含有培地で間葉系幹細胞を培養して間葉系幹細胞を神経細胞に分化増殖する方法。
【請求項2】
間葉系幹細胞を約1乃至50時間集密培養後、濃度約1乃至約10,000ng/mlの上皮細胞成長因子と濃度約1乃至約10,000ng/mlの肝細胞成長因子含有培地で間葉系幹細胞を一週間以上培養する請求項1の方法。
【請求項3】
間葉系幹細胞を約24時間集密培養後、濃度約10ng/mlの上皮細胞成長因子と約20ng/mlの肝細胞成長因子濃度含有培地で間葉系幹細胞を一週間以上培養する請求項1の方法。
【請求項4】
間葉系幹細胞を上皮細胞成長因子と肝細胞成長因子含有培地で約二週間以上培養し、次いで上皮細胞成長因子と肝細胞成長因子含有培地を上皮細胞成長因子単独含有培地に変える請求項1乃至3のいずれか一つの方法。
【請求項5】
間葉系幹細胞をヒト骨髄から取得する請求項4の方法。
【請求項6】
間葉系幹細胞がヒト骨髄から取得の間葉系幹細胞含有単核細胞である請求項4の方法。
【請求項7】
外傷中枢神経系疾患か脊髄損傷治療のために請求項1乃至6のいずれか一つの方法で分化した神経細胞の使用。
【請求項8】
ヒトを含む哺乳動物に請求項1乃至6のいずれか一つの方法で分化した神経細胞投与を含む外傷中枢神経系疾患又は脊髄損傷の治療法。
【図1】
【図2】
【図6】
【図7】
【図2】
【図6】
【図7】
【公表番号】特表2007−528196(P2007−528196A)
【公表日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−509875(P2005−509875)
【出願日】平成15年10月29日(2003.10.29)
【国際出願番号】PCT/KR2003/002302
【国際公開番号】WO2005/040362
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(506134559)エフシービー ファーミセル カンパニー,リミテッド (1)
【出願人】(506133806)
【出願人】(501486132)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年10月29日(2003.10.29)
【国際出願番号】PCT/KR2003/002302
【国際公開番号】WO2005/040362
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(506134559)エフシービー ファーミセル カンパニー,リミテッド (1)
【出願人】(506133806)
【出願人】(501486132)
【Fターム(参考)】
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