関節軟骨損傷治癒促進剤及び腱損傷治癒促進剤、並びにそれらを含有する飲食品
【課題】 安全性の高い魚類由来のコラーゲンペプチドを有効成分として含有する関節軟骨損傷治癒促進剤及び腱損傷治癒促進剤、並びにそれらを含有する飲食品を提供する。
【解決手段】 関節軟骨損傷治癒促進剤及び腱損傷治癒促進剤の有効成分として、魚類由来のコラーゲンペプチドを含有させる。上記関節軟骨損傷治癒促進剤及び腱損傷治癒促進剤は、魚類由来のコラーゲンペプチドとN−アセチルグルコサミンとを有効成分として含有することもできる。また、魚類由来のコラーゲンペプチドを有効成分として含有させることにより、関節軟骨損傷治癒促進あるいは腱損傷治癒促進のために用いられる旨の表示を付した飲食品を得る。上記飲食品は、魚類由来のコラーゲンペプチドとN−アセチルグルコサミンとを有効成分として含有することもできる。
【解決手段】 関節軟骨損傷治癒促進剤及び腱損傷治癒促進剤の有効成分として、魚類由来のコラーゲンペプチドを含有させる。上記関節軟骨損傷治癒促進剤及び腱損傷治癒促進剤は、魚類由来のコラーゲンペプチドとN−アセチルグルコサミンとを有効成分として含有することもできる。また、魚類由来のコラーゲンペプチドを有効成分として含有させることにより、関節軟骨損傷治癒促進あるいは腱損傷治癒促進のために用いられる旨の表示を付した飲食品を得る。上記飲食品は、魚類由来のコラーゲンペプチドとN−アセチルグルコサミンとを有効成分として含有することもできる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚類由来のコラーゲンペプチドを有効成分として含有する関節軟骨損傷治癒促進剤及び腱損傷治癒促進剤、並びにそれらを含有する飲食品に関する。
【背景技術】
【0002】
関節、筋肉、腱等は、動物が運動を行う上で重要な役割を果している。例えば、骨と骨の接合部である関節は自由な角度に折れ曲がることができ、筋肉の先は腱となって骨に付着し、骨格や関節に対して運動性と支持性を与えている。
【0003】
関節の骨と骨とが接する面には粘弾性に富んだ関節軟骨が存在しており、関節を保護すると共に関節面を滑らかにして関節の動きを円滑にしている。
【0004】
しかしながら、激しい運動や怪我等によって関節軟骨が欠損したり損傷を受けると、関節軟骨は自然治癒力に乏しいため、悪化して変形性関節症に移行しやすいことが知られている。従来、関節軟骨の再生方法として、i)損傷を受けていないところの軟骨を損傷したところに移植する方法(モザイクプラスティ)、ii)関節鏡を使って、自分の関節軟骨を取り出し、取り出した関節軟骨の中の軟骨細胞を損傷した軟骨に移植する方法(カーティセル)等が知られている。
【0005】
また、同様に激しい運動や怪我等によって腱の損傷が起こる場合もあるが、腱損傷に対する治療法としては、断裂した腱を縫合し、患部をギプス固定して腱を癒合させ、リハビリを行って患部を正常な状態に再建する方法が主流となっている。
【0006】
しかしながら、縫合された腱の癒合速度は極めて遅く、また癒合が完了した後、腱の強さは実質的に低下する上、運動性の損失をもたらす傾向がある。
【0007】
そのため、近年、上記のような外科的治療だけでなく、軟骨や腱の損傷の治癒を促進するために、コラーゲンやN−アセチルグルコサミンを経口投与することも試みられており、例えば、下記特許文献1には、コラーゲンペプチドとグルコサミン塩を含み、そのpHが2〜5のものであることを特徴とする関節強化飲料が開示されている。
【0008】
下記特許文献2には、コラーゲン及びコラーゲンペプチドから選ばれた1種と、アミノ糖と、ムコ多糖類及びウロン酸から選ばれた少なくとも1種を含有することを特徴とする経口関節傷害治療剤又は機能性食品が開示されている。
【0009】
下記特許文献3には、必須成分として、分子量1−300キロダルトンを有する加水分解コラーゲンタンパク質;およびグルコサミンまたはその医薬として許容される塩の少なくとも1つを含む組成物が開示されている。
【0010】
下記特許文献4には、キャッツクローの抽出物、グルコサミン、コンドロイチン硫酸、およびコラーゲンを含有することを特徴とする経口組成物が開示されている。
【特許文献1】特開2002−125638号公報
【特許文献2】特開2003−48850号公報
【特許文献3】特表2001−524080号公報
【特許文献4】特開2003−155250号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記従来の軟骨や腱の損傷の治癒促進を目的とした製品においては、牛や豚等の家畜由来のコラーゲンやコラーゲンペプチドが用いられており、近年の狂牛病や豚口蹄疫、鳥インフルエンザ等の家畜疫病の発生により安全性の面で問題があった。
【0012】
一方、魚類由来のコラーゲンやコラーゲンペプチドは、安全性は高いものの、上記家畜由来のコラーゲンやコラーゲンペプチドと同様の生理活性効果を有しているかどうかはほとんど知られていなかった。
【0013】
したがって、本発明の目的は、安全性の高い魚類由来のコラーゲンペプチドを有効成分として含有する関節軟骨損傷治癒促進剤及び腱損傷治癒促進剤、並びにそれらを含有する飲食品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明の一つは、魚類由来のコラーゲンペプチドを有効成分として含有することを特徴とする関節軟骨損傷治癒促進剤を提供するものである。
【0015】
また、本発明のもう一つは、魚類由来のコラーゲンペプチドと、N−アセチルグルコサミンとを有効成分として含有することを特徴とする関節軟骨損傷治癒促進剤を提供するものである。
【0016】
本発明の関節軟骨損傷治癒促進剤は、魚類由来のコラーゲンペプチドを有効成分として含有するのでより安全性が高い。また、消化吸収性に優れた魚類由来のコラーゲンペプチドと、N−アセチルグルコサミンとを有効成分として含有することにより、これらの成分の相乗効果によって、より優れた関節軟骨損傷の治癒促進が期待できる。
【0017】
また、本発明のもう一つは、魚類由来のコラーゲンペプチドを有効成分として含有することを特徴とする腱損傷治癒促進剤を提供するものである。
【0018】
また、本発明のもう一つは、魚類由来のコラーゲンペプチドと、N−アセチルグルコサミンとを有効成分として含有することを特徴とする腱損傷治癒促進剤を提供するものである。
【0019】
本発明の腱損傷治癒促進剤は、魚類由来のコラーゲンペプチドを有効成分として含有するのでより安全性が高い。また、消化吸収性に優れた魚類由来のコラーゲンペプチドと、N−アセチルグルコサミンとを有効成分として含有することにより、これらの成分の相乗効果によって、より優れた腱損傷の治癒促進が期待できる。
【0020】
また、本発明のもう一つは、魚類由来のコラーゲンペプチドを有効成分として含有することを特徴とする関節軟骨損傷治癒促進のために用いられる旨の表示を付した飲食品を提供するものである。
【0021】
また、本発明のもう一つは、魚類由来のコラーゲンペプチドと、N−アセチルグルコサミンとを有効成分として含有することを特徴とする関節軟骨損傷治癒促進のために用いられる旨の表示を付した飲食品を提供するものである。
【0022】
また、本発明のもう一つは、魚類由来のコラーゲンペプチドを有効成分として含有することを特徴とする腱損傷治癒促進のために用いられる旨の表示を付した飲食品を提供するものである。
【0023】
また、本発明のもう一つは、魚類由来のコラーゲンペプチドと、N−アセチルグルコサミンとを有効成分として含有することを特徴とする腱損傷治癒促進のために用いられる旨の表示を付した飲食品を提供するものである。
【0024】
本発明の飲食品は、魚類由来のコラーゲンペプチドを有効成分として含有するので安全性が高く、喫食することにより関節軟骨損傷や腱損傷の治癒促進が期待できる。また、消化吸収性に優れた魚類由来のコラーゲンペプチドと、N−アセチルグルコサミンとを有効成分として含有することにより、これらの成分の相乗効果によって、より優れたより関節軟骨損傷や腱損傷の治癒促進が期待できる。なお、本発明において、「表示を付した」とは、製品の容器、袋、箱等の包装材料等に直接表示されたものだけでなく、製品の袋や箱等に同封された印刷物、製品パンフレット、代理店等に対する販促資料、更にはインターネットのホームページ等に記載された製品情報等に表示されたものを含む意味である。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、魚類由来のコラーゲンペプチドを有効成分として含有させることにより、より安全性の高い関節軟骨損傷治癒促進剤及び腱損傷治癒促進剤を提供できる。また、これらを飲食品に配合することにより、関節軟骨損傷治癒促進及び腱損傷治癒促進等の生理機能を付与した飲食品を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明で用いられる魚類由来のコラーゲンペプチドは、食品素材として市販されているものを用いることができるが、特開2003−238597号公報に記載された下記方法により製造されたものが好ましく用いられる。
【0027】
(1)魚類原料からコラーゲンを含む抽出物を調製する工程
コラーゲンの原料となる魚種に制限はないが、例えば、タラ類、カレイ類、サケ類、マス類、サメ類、エイ類、ティラピア類、アジ類、サバ類、カワハギ類、ハタ類、カツオ、マグロ類、カジキ類、フグ類、カサゴ類、タイ類、ウナギ類、イワシ類、ニシン、サンマ、メバル、ブリ等が挙げられ、中でも大量かつ安定的な調達が可能であるクロマグロ、ミナミマグロ、キハダ、ビンチョウマグロ、メバチマグロ等のマグロ類、タラ、コマイ、スケソウダラ等のタラ類、カレイ、ソウハチ、オヒョウ、ヒラメ等のカレイ類の魚皮、若しくはタイ類の魚鱗等が好ましく用いられる。
【0028】
上記魚類原料からコラーゲンを抽出する方法は公知の方法を採用できるが、水を加えて加熱抽出又は加圧加熱抽出する方法が好ましく用いられる。この抽出方法によれば、水難溶性であるエラスチン等の不溶性タンパク質が溶出せず、効率よくコラーゲンを抽出できる。なお、魚類原料は抽出効率を上げるために、適当な手段により切断、細断、粉砕、あるいはミンチしてから用いることが好ましく、魚骨や魚鱗は予め塩酸等により脱灰してから用いることが好ましい。
【0029】
例えば、魚類原料100質量部に対して、100〜500質量部の水を加えて60〜100℃で0.5〜3時間加熱抽出すればよい。また、加圧加熱抽出する場合は110〜120℃で0.5〜3時間抽出すればよい。
【0030】
(2)コラーゲンを含む抽出物を酵素分解する工程
上記の工程で得られたコラーゲンを含む抽出物を、タンパク加水分解酵素で処理してコラーゲンをペプチド化する。
【0031】
上記タンパク加水分解酵素は特に制限されず、中性プロテアーゼ、アルカリ性プロテアーゼ、酸性プロテアーゼ、あるいはそれらを含有する酵素製剤等を用いることができる。市販のタンパク加水分解酵素製剤としては、一般に食品製造に用いられるタンパク加水分解酵素を用いることができ、例えば、商品名「プロテアーゼN」(アマノエンザイム製、中性プロテアーゼ)、商品名「プロテアーゼP−3」(アマノエンザイム製、アルカリ性プロテアーゼ)、商品名「スミチームAP」(新日本化学工業製、酸性プロテアーゼ)等を用いることができる。
【0032】
酵素の添加量、反応時間及び処理温度は適宜設定できるが、通常、酵素の添加量は処理液の固形分に対して0.2〜5質量%が好ましく、1〜2質量%がより好ましい。反応時間は0.5〜5時間が好ましく、1〜3時間がより好ましい。また、反応温度は30〜70℃が好ましく、45〜65℃がより好ましい。酵素反応条件が上記範囲外であると、コラーゲンを十分に加水分解できなかったり、逆に加水分解が進みすぎて、収率が低下する場合がある。なお、酵素反応終了後は、加熱するなどして酵素を失活させることが好ましい。
【0033】
(3)前記抽出物の酵素分解物を逆浸透膜を用いて濃縮、精製する工程
上記の工程で得られた酵素分解物を逆浸透膜処理して濃縮液を回収する。逆浸透膜を用いて、濃縮・精製することにより、魚特有の味や臭い成分(例えば、アミノ酸、オリゴペプチド、核酸、有機酸、ミネラル、揮発含性硫化合物、脂肪酸、窒素化合物、カルボニル化合物等)やヒ素を1ステップで簡単に除去することができる。また、分子量の小さなコラーゲンペプチドを損失することなく回収することができる。回収した濃縮液は、そのまま、あるいは適宜乾燥して粉末化して用いることができる。
【0034】
ここで用いられる逆浸透膜としては、食塩阻止率が10〜50%のものが好ましく用いられる。このような逆浸透膜としては、例えば、商品名「NTR−7410」、商品名「NTR−7430」、商品名「NTR−7450」(いずれも日東電工製)等が挙げられる。
【0035】
逆浸透膜の食塩阻止率が上記範囲外であると、呈味成分や臭い成分、ヒ素等の不純物の除去が不十分になったり、コラーゲンペプチドの損失が大きくなるため好ましくない。
【0036】
なお、逆浸透膜処理の条件は適宜設定できるが、通常、処理液を固形分濃度15質量%以下になるように調整し、pH4〜7、液温60℃以下で循環しながら、固形分濃度25質量%以上になるまで濃縮を行うことが好ましい。また、この際、適宜加水しながら原液量の1〜10倍量、好ましくは3〜5倍量の水を加えて液を透過させることが好ましい。加水操作を繰り返すことにより、不純物を効率よく除去することができる。
【0037】
なお、上記(1)〜(3)のいずれかの工程中において、脱色、脱臭処理を行うことが好ましく、特に、上記(3)よりも前の工程において、前記コラーゲンを含む抽出物又はその酵素分解物を脱色、脱臭処理することが好ましい。上記(3)よりも前の工程で脱色、脱臭処理することにより、抽出や酵素分解によって生じた着色や臭いを除去しやすく、また、逆浸透膜の目詰まりを防止できるので膜処理の効率を向上することができる。
【0038】
脱色、脱臭の方法は、作業性の点から固体吸着剤を用いることが好ましい。固体吸着剤としては、活性炭、アルミナ、シリカゲル、活性白土等を適宜組み合わせて用いることができ、中でも活性炭が特に好ましく用いられる。
【0039】
例えば、コラーゲンを含む抽出液又はその酵素分解液に、0.5〜30質量%の活性炭を加えて、50〜90℃で15分〜3時間撹拌した後、濾過して液部を回収すればよい。また、活性炭等を充填したカラムに通液することによって行うこともできる。
【0040】
上記製造方法で得られた魚類由来のコラーゲンペプチドは、固形分中の遊離アミノ酸含量が1.0質量%以下、ヒ素含量が2ppm以下であることが好ましい。このようなコラーゲンペプチドはアミノ酸含量が低いので、飲食品に高濃度で含有させても加熱時の変色や味への悪影響が起こることがない。また、ヒ素含量が低いので飲食品に高濃度で配合しても安全性が非常に高い。このような魚類由来のコラーゲンペプチドとして、例えば、商品名「マリンマトリックス」(焼津水産化学工業製)を用いることができる。
【0041】
本発明においては、平均分子量(数平均分子量)1,000〜10,000の魚類由来コラーゲンペプチドがより好ましく用いられる。上記範囲内の平均分子量のコラーゲンペプチドは低粘度であり、飲食品等に添加するのに適している。また、上記分子量範囲の魚類由来のコラーゲンペプチドは消化性に優れ、生理機能の面でもN−アセチルグルコサミンとのより高い相乗効果が期待できる。
【0042】
なお、本発明においては、粉末化前のコラーゲンペプチド溶液を用いてもよく、スプレードライ等によって乾燥粉末化したものを用いてもよい。
【0043】
本発明の関節軟骨損傷治癒促進剤及び腱損傷治癒促進剤が有効成分として上記魚類由来のコラーゲンペプチドを単独で含有する場合は、その有効摂取量は、成人1日当り魚類由来のコラーゲンペプチド換算で0.1〜10gが好ましく、0.5〜5gがより好ましい。
【0044】
また、本発明の関節軟骨損傷治癒促進剤及び腱損傷治癒促進剤は、上記魚類由来のコラーゲンペプチドとN−アセチルグルコサミンとを有効成分として含有することもできる。
【0045】
本発明で用いられるN−アセチルグルコサミンの起源は特に限定されるものではなく、例えば、キチンを原料として酸や酵素を用いた分解法やグルコース等の糖類を原料とした発酵法(特開2003−034568号公報)等により得ることができるが、生産効率の面からキチンを酸により部分加水分解して得られたものであることが好ましく、キチンを塩酸により部分加水分解し、この分解液を中和後、イオン交換膜電気透析法によって脱塩処理した後、共存するグルコサミン塩酸塩をイオン交換樹脂によって吸着除去し、酵素分解によりN−アセチルグルコサミンを遊離させることにより得られるものであることがより好ましい。
【0046】
原料として用いられるキチンは、エビ、カニ、オキアミ等、甲殻類の甲皮を塩酸処理してカルシウム分を除去し、更に水酸化ナトリウム処理により蛋白質を除去することなどにより調製されるが、その他の入手経路、調製手段などで得られるキチンを用いることもできる。
【0047】
キチンの塩酸による部分加水分解は、キチン質量の2〜20倍量の塩酸を添加して、撹拌しながら30〜60℃、2〜8時間反応させることにより行われる。より好ましくはキチン質量の3〜10倍量の濃塩酸を添加して、撹拌しながら40〜50℃、3〜5時間反応させる。塩酸の添加量が上記範囲外であると、分解効率が悪くなったり、中和塩の量が多くなり脱塩に時間がかかるため好ましくない。また、反応温度及び反応時間が上記範囲外であると、分解効率が悪くなったり、グルコサミン塩酸塩の生成量が多くなるため好ましくない。
【0048】
次に、加水分解反応を終了させるために、部分加水分解溶液と同容量程度の水で希釈し、さらに温度が上昇しないように、例えば25〜50%水酸化ナトリウム溶液等のアルカリ剤を用いてpH3〜7になるように中和を行う。
【0049】
中和した部分加水分解溶液には、N−アセチルグルコサミン、キチンオリゴ糖、グルコサミン塩酸等の他、未分解の不溶性キチンも含まれており、糖の分解により多少褐色みを呈しているが、未分解の不溶性キチンや着色は少量の活性炭及びフィルターを用いて濾過することにより除去することができる。
【0050】
そして、中和した部分加水分解溶液を、特許第2134244号(特公平5−86399号)に記載された方法(イオン交換膜電気透析法)で脱塩処理を行う。イオン交換膜電気透析に用いられるイオン交換膜は特に限定されないが、例えば、ネオセプタCL−25T、CM−1〜2、AM−1〜3(いずれも商品名、徳山曹達株式会社製)、セレミオンCMV/AMV(商品名、旭硝子株式会社製)等が挙げられる。
【0051】
次に、脱塩処理した部分加水分解溶液をイオン交換樹脂で処理し、溶液中のグルコサミン塩酸塩を吸着除去する。イオン交換樹脂処理は、強酸性イオン交換樹脂と弱塩基性イオン交換樹脂の組み合わせによって行われる。これにより、N−アセチルグルコサミンやキチンオリゴ糖と比べて味が悪く、スプレードライ工程において粉末の褐変化の原因となるグルコサミン塩酸塩を非常に効率よく除去することができる。
【0052】
具体的には、脱塩処理した部分加水分解溶液を強酸性イオン交換樹脂で処理した後、続いて弱塩基性イオン交換樹脂で処理する。処理の方法は、カラム式でもよく、バッチ式でもよい。上記強酸性イオン交換樹脂としては、例えば、商品名「ダイヤイオンSK1−B」(三菱化学製)等が使用でき、上記弱塩基性イオン交換樹脂としては商品名「ダイヤイオンWA−30」(三菱化学製)等が使用できる。
【0053】
次に、上記イオン交換樹脂処理した部分加水分解溶液中に含まれるキチンオリゴ糖を分解してN−アセチル−グルコサミンを更に遊離させるために、キチンオリゴ糖に対して加水分解能を有する酵素を作用させる。このような酵素としては、キチンオリゴ糖を単糖のN−アセチルグルコサミンにまで分解してしまう酵素であればいずれの酵素を用いてもよく、例えば、リゾチーム、キチナーゼ、キトビアーゼ(β−N−アセチルヘキソサミニダーゼ)等が挙げられる。なお、リゾチームやキチナーゼの中にはキチンオリゴ糖の二糖や三糖に対して加水分解能が低いものがあるため、キトビアーゼ等の低分子オリゴ糖に対して高い加水分解能を有する酵素を併用することが好ましい。
【0054】
上記酵素は、市販の酵素を利用することができ、例えば、リゾチームは、ニワトリの卵白リゾチームが一般的である。キチナーゼは、ストレプトマイセス・グリセウス、セラチア・マルツセンス(シグマ社)、アエロモナス・ハイドロフイラ(合同酒精)、ストレプトマイセス・アンティビオテイカス(カルビオケム社)等の微生物起源の酵素が挙げられる。なお、キチナーゼやキトビアーゼ等のキチンあるいはキチンオリゴ糖分解酵素を産生する微生物を培養し、この培養物から酵素を抽出した粗酵素を使用することもできる。また、市販の酵素製剤(セルラーゼ製剤、ペクチナーゼ製剤、アミラーゼ製剤、プロテアーゼ製剤等)の中にはキチナーゼやキトビアーゼ等を含む製剤が多く、これらの市販酵素製剤を使用することもできる。
【0055】
上記イオン交換樹脂処理した部分加水分解溶液中に含まれるキチンオリゴ糖の酵素分解反応の条件は、酵素の種類や酵素量に応じて適宜設定することができるが、最終的に得られる糖組成物が、N−アセチルグルコサミン80〜99質量%、キチンオリゴ糖1〜20質量%含有するように酵素分解反応の条件を設定することが好ましい。キチンオリゴ糖の比率が上記範囲より高くなると糖組成物の水への溶解性が低下し、飲食品等への使用に支障をきたすため好ましくない。なお、反応終了後は、反応液を加熱するなどして酵素を失活させればよく、更に活性炭等の吸着剤を用いて適宜脱色処理を行ってもよい。
【0056】
本発明においては、上記のような糖組成物をそのまま、あるいは上記酵素反応前及び/又は酵素反応後に、特開2000−281696号公報に記載された方法で、分離膜によってN−アセチルグルコサミンを選択的に取り出し、N−アセチルグルコサミンの純度を高めて用いることもできる。
【0057】
本発明の関節軟骨損傷治癒促進剤及び腱損傷治癒促進剤が有効成分として上記魚類由来のコラーゲンペプチドとN−アセチルグルコサミンを含有する場合は、その有効摂取量は、成人1日当り魚類由来のコラーゲンペプチド換算で0.1〜10g、N−アセチルグルコサミン換算で0.1〜15gが好ましく、より好ましくは魚類由来のコラーゲンペプチド換算で0.5〜5g、N−アセチルグルコサミン換算で0.5〜1gである。
【0058】
本発明の関節軟骨損傷治癒促進剤及び腱損傷治癒促進剤は、上記の有効成分の他に、サメ軟骨抽出物、ビタミンB群、MSM(メチル・スルフォニル・メタン)、ショウガエキス、賦形剤、安定剤、防腐剤、保存剤、光沢剤、増粘剤、着色剤、ミネラル類、ビタミン類、糖類、香料、油脂、アミノ酸等の添加剤を適宜含むことができる。例えば、サメ軟骨抽出物を含むことにより、生体内でのムコ多糖の生合成が促進され、魚類由来のコラーゲンペプチド及びN−アセチルグルコサミンとの相乗効果が期待できる。
【0059】
本発明の関節軟骨損傷治癒促進剤及び腱損傷治癒促進剤の製品形態は、経口投与に適した形であれば特に制限されず、例えば、錠剤、粉末、顆粒、溶液、カプセル剤等が挙げられる。
【0060】
更に、本発明の関節軟骨損傷治癒促進剤及び腱損傷治癒促進剤は、様々な飲食品に配合することができ、例えば、(1)清涼飲料、炭酸飲料、果実飲料、野菜ジュース、乳酸菌飲料、乳飲料、豆乳、ミネラルウォーター、茶系飲料、コーヒー飲料、スポーツ飲料、アルコール飲料、ゼリー飲料等の飲料類、(2)トマトピューレ、キノコ缶詰、乾燥野菜、漬物等の野菜加工品、(3)乾燥果実、ジャム、フルーツピューレ、果実缶詰等の果実加工品、(4)カレー粉、わさび、ショウガ、スパイスブレンド、シーズニング粉等の香辛料、(5)パスタ、うどん、そば、ラーメン、マカロニ等の麺類(生麺、乾燥麺含む)、(6)食パン、菓子パン、調理パン、ドーナツ等のパン類、(7)アルファー化米、オートミール、麩、バッター粉等、(8)焼菓子、ビスケット、米菓子、キャンデー、チョコレート、チューイングガム、スナック菓子、冷菓、砂糖漬け菓子、和生菓子、洋生菓子、半生菓子、プリン、アイスクリーム等の菓子類、(9)小豆、豆腐、納豆、きな粉、湯葉、煮豆、ピーナッツ等の豆類製品、(10)蜂蜜、ローヤルゼリー加工食品、(11)ハム、ソーセージ、ベーコン等の肉製品、(12)ヨーグルト、プリン、練乳、チーズ、発酵乳、バター、アイスクリーム等の酪農製品、(13)加工卵製品、(14)干物、蒲鉾、ちくわ、魚肉ソーセージ等の加工魚や、乾燥わかめ、昆布、佃煮等の加工海藻や、タラコ、数の子、イクラ、からすみ等の加工魚卵、(15)だしの素、醤油、酢、みりん、コンソメベース、中華ベース、濃縮出汁、ドレッシング、マヨネーズ、ケチャップ、味噌等の調味料や、サラダ油、ゴマ油、リノール油、ジアシルグリセロール、べにばな油等の食用油脂、(16)スープ(粉末、液体含む)等の調理、半調理食品や、惣菜、レトルト食品、チルド食品、半調理食品(例えば、炊き込みご飯の素、カニ玉の素)等が挙げられる。
【0061】
上記飲食品における関節軟骨損傷治癒促進剤又は腱損傷治癒促進剤の配合量は、飲食品の種類及び上述した有効摂取量に基いて適宜設定すればよい。例えば、飲料類に配合する場合は、通常、0.01〜30質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましい。関節軟骨損傷治癒促進剤又は腱損傷治癒促進剤の配合量が少な過ぎると、生理活性が期待できる量の魚類由来のコラーゲンペプチドやN−アセチルグルコサミンを摂取するために1回当りの摂取量を大幅に増やす必要があるため、継続的に摂取することが困難となり、多すぎると製品中での結晶化による沈殿発生や過剰摂取による軟便等の症状がでる可能性がある。
【実施例1】
【0062】
魚類由来のコラーゲンペプチドとN−アセチルグルコサミンの経口投与による軟骨損傷に対する治癒促進効果について、以下の方法で試験を行った。
【0063】
1)実験材料
ウサギ:日本白色種、メス、12週齢、体重2.0〜3.0kgのものを9羽用い、実験に際しては1週間の馴化期間を置いた。
被験物質:表1に示すアミノ酸組成を有する平均分子量3,000の魚類由来コラーゲンペプチド(以下、「FCP」と略記する)と、キチン由来のN−アセチルグルコサミン(以下、「GlcNAc」と略記する)を用いた。
【0064】
【表1】
【0065】
2)実験方法
軟骨損傷モデルの作製:軟骨の損傷は外科的に膝蓋大腿関節部を完全に露出した後、大腿骨遠位部の内側縦稜、大腿滑車溝の上・下の計3ヶ所に直径2mm、深さ4mmの孔を整形外科用電動ドリルで作製した。これらのウサギを、コントロール群、FCP投与群(試験群1)、FCP+GlcNAc投与群(試験群2)の3群(1群3羽)に分けた。
【0066】
そして、試験期間中(14日間)、コントロール群には水道水、試験群1には1.2g/head/dayのFCPを、試験群2には1.2g/head・dayのFCPと1.0g/head/dayのGlcNAcを水道水に混ぜて投与した。
【0067】
試験期間終了後、剖検時に大腿骨遠位部に作製した各欠損孔(内側縦稜、大腿滑車溝の上・下)の修復度について肉眼的に観察し、その修復程度を点数化して評価した(判定基準:50%未満:0点、60%未満:1点、80%未満:2点、80%以上:3点)。
【0068】
また、左側大腿骨を採材し、10%中性緩衝ホルマリン水溶液(ホルムアルデヒド液)で固定した後、5%ギ酸溶液によって振盪下で脱灰した。脱灰の完了した組織片を修復部位が縦断面になるように切り出しを行い、その後、定法にしたがってパラフィン包埋を実施し、ミクロトームによって5μmに薄切りした。
【0069】
得られた組織片を用いて、ヘマトキシリン・エオジン(HE)重染色、プロテオグリカンの染色を目的としてサフラニンO染色、グルコサミノグリカンの染色を目的としてアルシアンブルー染色(pH2.5)を実施し、顕微鏡観察した。
【0070】
また、顕微鏡下でマイクロメーターを用いて損傷孔の深さを測定し、当初の4mmの深さに対する修復度を百分率(%)で求めた。
【0071】
3)結果
損傷部位の肉眼所見を図1に示す。図1から、損傷部位は、試験群2>試験群1>コントロール群の順でより修復が進んでいることが分かる。
【0072】
また、修復程度を点数化した結果を図2〜5に示す。図2は滑車溝(上)の評価、図3は滑車溝(下)の評価、図4は内側縦稜の評価、図5は総合点による評価である。図2〜5から、各損傷箇所及び総合点において、試験群2はコントロール群に対して有意に高い点であることが分かる。また、試験群1も総合点においてコントロール群に対して有意に高い点であることが分かる。
【0073】
また、染色した組織片を顕微鏡観察した組織像を図6〜8に示す。組織学的にコントロール群には軟骨の再生は認められなかったが(図6参照)、試験群1(図7参照)、試験群2(図8参照)では明瞭な軟骨の再生が見られた。特に試験群2において、軟骨下骨の再生、プロテオグリカン、グルコサミノグルカンの増加が顕著であることが分かった。
【0074】
また、実際にマイクロメーターを用いて損傷孔の深さを測定し、当初の4mmの深さに対する修復度(%)を求めた。その結果を図9、表2に示す。
【0075】
【表2】
【0076】
図9及び表2から、試験群1、2の修復度はコントロール群に比べて高く、特に試験群2は有意に高いことが分かる。
【0077】
以上の結果から、FCPは鳥由来コラーゲンペプチドと同等、あるいはそれ以上の軟骨修復効果を有し、GlcNAcの同時投与で相乗効果を示すことが明らかとなった。
【実施例2】
【0078】
魚類由来のコラーゲンペプチドの経口投与による腱損傷に対する治癒促進効果について、以下の方法で試験を行った。
【0079】
1)実験材料
ウサギ:日本白色種、体重約2.0〜3.0kg、メス、8週齢のものを8羽用い、実験に際しては1週間の順化期間をおいた。
被験物質:実施例1と同様のFCPを用いた。
【0080】
2)実験方法
腱損傷モデルの作成:腱の損傷は外科的にアキレス腱を露出した後に、腱の踵骨付着部位から1cmの部位を特定し、その部位に23G注射針を10ヶ所無作為に貫通させることで作製した。これらのウサギを、コントロール群1、FCP投与群(試験群1)の2群(1群3羽)に分けた。また、残りの2羽のウサギには、上記と同部位に23G注射針を20ヶ所無作為に貫通させ、それぞれコントロール群2、FCP投与群(試験群2)に分けた。
【0081】
そして、試験期間中(14日間)、コントロール群1、2には水道水、試験群1、2にはFCP2.4g/head/day(コラーゲン量として2.4g)を投与した。
【0082】
試験期間終了後、剖検時にアキレス腱に作製した損傷部位の修復度について肉眼的に観察した。また、損傷部位の腱傍組織及びアキレス腱の組織片を作製してHE染色を行い、顕微鏡で観察した。
【0083】
3)結果
損傷部位の肉眼所見を図10、11示す。また、染色した腱組織の顕微鏡観察像(×100)を図12に示す。図10〜12から、コントロール群1は、試験群1に比べて著しい血管新生、腱傍組織の癒着・肥厚が見られることが分かる。また、コントロール群2は、コントロール群1、試験群2に比べて、より顕著な血管新生が見られることが分かる。更に、FCP投与群(試験群1、2)においては、損傷程度を高度にしても同様な治癒過程が観察できることが分かる。なお、コントロール群と試験群における治癒の差は、10回穿刺したコントロール群1と試験群1よりも、20回穿刺したコントロール群2と試験群2の方が明瞭であった。
【0084】
また、アキレス腱及びアキレス腱表層部の組織像(×200)を図13、14に示す。図13、14から、コントロール群では大きな瘢痕が多数形成されていたのに対して(図13(a)、図14(a)参照)、試験群1では、損傷部位の小さな瘢痕形成が少数認められるに過ぎなかった(図13(b)、図14(b)参照)。
【0085】
また、視野全体(12000ピクセル)に占める細胞核の割合を、画像解析ソフト(NIH Image/IPLab/Openlab2/Media Juicer)を用いて計算した。その結果を図15に示す。図15から、コントロール群と試験群の間に差が見られることが分かる。ここで、腱のコラーゲンは修復時には線維芽細胞から形成されるが、損傷の修復が遅れると線維芽細胞はいつまでも活性化しており、活性化線維芽細胞は核の大きさが大きく、組織学的には損傷組織内に占める核の面積は大きくなるが、修復が順調な腱組織では線維芽細胞は成熟したものが多くなり、細胞質面積に対する核面積が小さくなる。したがって、核面積(核を青とした時の核のピクセル数)の割合が、試験群1、2の方が小さいという結果は、試験群1、2の方がコントロール群1、2に比べて、より腱の修復が完了していることを意味し、FCPの投与による腱修復促進効果を証明することができた。
【実施例3】
【0086】
魚類由来のコラーゲンペプチドとN−アセチルグルコサミンの経口投与による腱損傷に対する治癒促進効果について、以下の方法で試験を行った。
【0087】
1)実験材料
ウサギ:日本白色種、体重約2.0〜3.0kg、メス、12週齢のものを20羽用い、実験に際しては1週間の順化期間をおいた。
被験物質:実施例1と同様のFCP及びGlcNAcを用いた。
【0088】
2)実験方法
腱損傷モデルの作成:腱の損傷は外科的にアキレス腱を露出した後に、腱の踵骨付着部位から1cmの部位を特定し、その部位に23G注射針を20ヶ所無作為に貫通させることで作製した。これらのウサギを、コントロール群、FCP投与群(試験群1)、GlcNAc投与群(比較群)、GlcNAc+FCP投与群(試験群2)の4群(1群4羽)に分けた。また、残りの4羽のウサギには外科的処置を施さなかった(ノーマル群)。
【0089】
そして、試験期間中(14日間)、コントロール群には水道水、試験群1にはFCP 2.4g/head/day(コラーゲン量として2.4g)、比較群にはGlcNAc 1g/head/day、試験群2にはFCP 2.4g/head/day(コラーゲン量として2.4g)とGlcNAc 1g/head/dayを投与した。
【0090】
試験期間終了後、剖検時にアキレス腱に作製した損傷部位の修復度について組織学的に観察するとともに、各群の400倍画像において、10視野(無作為に抽出)のi)線維の状態、ii)核の状態を、表3、4に示す基準に従い5段階で評価した。
【0091】
【表3】
【0092】
【表4】
【0093】
3)結果
損傷部位の組織学的観察結果を表5に示す。表5から、試験群2は、試験群1及び比較群に比べて、コラーゲン線維の状態、核の状態共にノーマル群(正常細胞)に最も近い結果となっていることが分かる。組織学的には、コントロール群では大きな痕跡が多数形成されていたが、試験群1では小さな痕跡形成が少数認められる程度であった。また、比較群は試験群1と比較して、好中球の湿潤が若干多くみられた。
【0094】
【表5】
【0095】
以上の結果から、FCPは鳥由来コラーゲンペプチドと同等、あるいはそれ以上の腱修復効果を有し、GlcNAcと同時投与することで相乗効果を示すことが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明の関節軟骨損傷治癒促進剤及び腱損傷治癒促進剤は、スポーツや事故等により、軟骨や腱を損傷した際に、その修復を助け、より早い治癒を促す機能性食品素材として好適である。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】コントロール群、試験群1、2における各損傷部位の肉眼所見を示す図である。
【図2】滑車溝(上)の修復程度について点数化して評価した結果を示す図である。
【図3】滑車溝(下)の修復程度について点数化して評価した結果を示す図である。
【図4】内側縦稜の修復程度について点数化して評価した結果を示す図である。
【図5】総合的な修復程度について点数化して評価した結果を示す図である。
【図6】コントロール群の組織像を示す図である。
【図7】試験群1の組織像を示す図である。
【図8】試験群2の組織像を示す図である。
【図9】修復率を示す図である。
【図10】コントロール群1及び試験群1における損傷部位の肉眼所見を示す図である。
【図11】コントロール群2及び試験群2における損傷部位の肉眼所見を示す図である。
【図12】コントロール群1及び試験群1における腱傍組織の組織像を示す図である。
【図13】コントロール群1及び試験群1におけるアキレス腱の組織像を示す図である。
【図14】コントロール群1及び試験群1におけるアキレス腱表層部の組織像を示す図である。
【図15】視野全体に占める細胞核の割合を測定した結果を示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚類由来のコラーゲンペプチドを有効成分として含有する関節軟骨損傷治癒促進剤及び腱損傷治癒促進剤、並びにそれらを含有する飲食品に関する。
【背景技術】
【0002】
関節、筋肉、腱等は、動物が運動を行う上で重要な役割を果している。例えば、骨と骨の接合部である関節は自由な角度に折れ曲がることができ、筋肉の先は腱となって骨に付着し、骨格や関節に対して運動性と支持性を与えている。
【0003】
関節の骨と骨とが接する面には粘弾性に富んだ関節軟骨が存在しており、関節を保護すると共に関節面を滑らかにして関節の動きを円滑にしている。
【0004】
しかしながら、激しい運動や怪我等によって関節軟骨が欠損したり損傷を受けると、関節軟骨は自然治癒力に乏しいため、悪化して変形性関節症に移行しやすいことが知られている。従来、関節軟骨の再生方法として、i)損傷を受けていないところの軟骨を損傷したところに移植する方法(モザイクプラスティ)、ii)関節鏡を使って、自分の関節軟骨を取り出し、取り出した関節軟骨の中の軟骨細胞を損傷した軟骨に移植する方法(カーティセル)等が知られている。
【0005】
また、同様に激しい運動や怪我等によって腱の損傷が起こる場合もあるが、腱損傷に対する治療法としては、断裂した腱を縫合し、患部をギプス固定して腱を癒合させ、リハビリを行って患部を正常な状態に再建する方法が主流となっている。
【0006】
しかしながら、縫合された腱の癒合速度は極めて遅く、また癒合が完了した後、腱の強さは実質的に低下する上、運動性の損失をもたらす傾向がある。
【0007】
そのため、近年、上記のような外科的治療だけでなく、軟骨や腱の損傷の治癒を促進するために、コラーゲンやN−アセチルグルコサミンを経口投与することも試みられており、例えば、下記特許文献1には、コラーゲンペプチドとグルコサミン塩を含み、そのpHが2〜5のものであることを特徴とする関節強化飲料が開示されている。
【0008】
下記特許文献2には、コラーゲン及びコラーゲンペプチドから選ばれた1種と、アミノ糖と、ムコ多糖類及びウロン酸から選ばれた少なくとも1種を含有することを特徴とする経口関節傷害治療剤又は機能性食品が開示されている。
【0009】
下記特許文献3には、必須成分として、分子量1−300キロダルトンを有する加水分解コラーゲンタンパク質;およびグルコサミンまたはその医薬として許容される塩の少なくとも1つを含む組成物が開示されている。
【0010】
下記特許文献4には、キャッツクローの抽出物、グルコサミン、コンドロイチン硫酸、およびコラーゲンを含有することを特徴とする経口組成物が開示されている。
【特許文献1】特開2002−125638号公報
【特許文献2】特開2003−48850号公報
【特許文献3】特表2001−524080号公報
【特許文献4】特開2003−155250号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記従来の軟骨や腱の損傷の治癒促進を目的とした製品においては、牛や豚等の家畜由来のコラーゲンやコラーゲンペプチドが用いられており、近年の狂牛病や豚口蹄疫、鳥インフルエンザ等の家畜疫病の発生により安全性の面で問題があった。
【0012】
一方、魚類由来のコラーゲンやコラーゲンペプチドは、安全性は高いものの、上記家畜由来のコラーゲンやコラーゲンペプチドと同様の生理活性効果を有しているかどうかはほとんど知られていなかった。
【0013】
したがって、本発明の目的は、安全性の高い魚類由来のコラーゲンペプチドを有効成分として含有する関節軟骨損傷治癒促進剤及び腱損傷治癒促進剤、並びにそれらを含有する飲食品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明の一つは、魚類由来のコラーゲンペプチドを有効成分として含有することを特徴とする関節軟骨損傷治癒促進剤を提供するものである。
【0015】
また、本発明のもう一つは、魚類由来のコラーゲンペプチドと、N−アセチルグルコサミンとを有効成分として含有することを特徴とする関節軟骨損傷治癒促進剤を提供するものである。
【0016】
本発明の関節軟骨損傷治癒促進剤は、魚類由来のコラーゲンペプチドを有効成分として含有するのでより安全性が高い。また、消化吸収性に優れた魚類由来のコラーゲンペプチドと、N−アセチルグルコサミンとを有効成分として含有することにより、これらの成分の相乗効果によって、より優れた関節軟骨損傷の治癒促進が期待できる。
【0017】
また、本発明のもう一つは、魚類由来のコラーゲンペプチドを有効成分として含有することを特徴とする腱損傷治癒促進剤を提供するものである。
【0018】
また、本発明のもう一つは、魚類由来のコラーゲンペプチドと、N−アセチルグルコサミンとを有効成分として含有することを特徴とする腱損傷治癒促進剤を提供するものである。
【0019】
本発明の腱損傷治癒促進剤は、魚類由来のコラーゲンペプチドを有効成分として含有するのでより安全性が高い。また、消化吸収性に優れた魚類由来のコラーゲンペプチドと、N−アセチルグルコサミンとを有効成分として含有することにより、これらの成分の相乗効果によって、より優れた腱損傷の治癒促進が期待できる。
【0020】
また、本発明のもう一つは、魚類由来のコラーゲンペプチドを有効成分として含有することを特徴とする関節軟骨損傷治癒促進のために用いられる旨の表示を付した飲食品を提供するものである。
【0021】
また、本発明のもう一つは、魚類由来のコラーゲンペプチドと、N−アセチルグルコサミンとを有効成分として含有することを特徴とする関節軟骨損傷治癒促進のために用いられる旨の表示を付した飲食品を提供するものである。
【0022】
また、本発明のもう一つは、魚類由来のコラーゲンペプチドを有効成分として含有することを特徴とする腱損傷治癒促進のために用いられる旨の表示を付した飲食品を提供するものである。
【0023】
また、本発明のもう一つは、魚類由来のコラーゲンペプチドと、N−アセチルグルコサミンとを有効成分として含有することを特徴とする腱損傷治癒促進のために用いられる旨の表示を付した飲食品を提供するものである。
【0024】
本発明の飲食品は、魚類由来のコラーゲンペプチドを有効成分として含有するので安全性が高く、喫食することにより関節軟骨損傷や腱損傷の治癒促進が期待できる。また、消化吸収性に優れた魚類由来のコラーゲンペプチドと、N−アセチルグルコサミンとを有効成分として含有することにより、これらの成分の相乗効果によって、より優れたより関節軟骨損傷や腱損傷の治癒促進が期待できる。なお、本発明において、「表示を付した」とは、製品の容器、袋、箱等の包装材料等に直接表示されたものだけでなく、製品の袋や箱等に同封された印刷物、製品パンフレット、代理店等に対する販促資料、更にはインターネットのホームページ等に記載された製品情報等に表示されたものを含む意味である。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、魚類由来のコラーゲンペプチドを有効成分として含有させることにより、より安全性の高い関節軟骨損傷治癒促進剤及び腱損傷治癒促進剤を提供できる。また、これらを飲食品に配合することにより、関節軟骨損傷治癒促進及び腱損傷治癒促進等の生理機能を付与した飲食品を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明で用いられる魚類由来のコラーゲンペプチドは、食品素材として市販されているものを用いることができるが、特開2003−238597号公報に記載された下記方法により製造されたものが好ましく用いられる。
【0027】
(1)魚類原料からコラーゲンを含む抽出物を調製する工程
コラーゲンの原料となる魚種に制限はないが、例えば、タラ類、カレイ類、サケ類、マス類、サメ類、エイ類、ティラピア類、アジ類、サバ類、カワハギ類、ハタ類、カツオ、マグロ類、カジキ類、フグ類、カサゴ類、タイ類、ウナギ類、イワシ類、ニシン、サンマ、メバル、ブリ等が挙げられ、中でも大量かつ安定的な調達が可能であるクロマグロ、ミナミマグロ、キハダ、ビンチョウマグロ、メバチマグロ等のマグロ類、タラ、コマイ、スケソウダラ等のタラ類、カレイ、ソウハチ、オヒョウ、ヒラメ等のカレイ類の魚皮、若しくはタイ類の魚鱗等が好ましく用いられる。
【0028】
上記魚類原料からコラーゲンを抽出する方法は公知の方法を採用できるが、水を加えて加熱抽出又は加圧加熱抽出する方法が好ましく用いられる。この抽出方法によれば、水難溶性であるエラスチン等の不溶性タンパク質が溶出せず、効率よくコラーゲンを抽出できる。なお、魚類原料は抽出効率を上げるために、適当な手段により切断、細断、粉砕、あるいはミンチしてから用いることが好ましく、魚骨や魚鱗は予め塩酸等により脱灰してから用いることが好ましい。
【0029】
例えば、魚類原料100質量部に対して、100〜500質量部の水を加えて60〜100℃で0.5〜3時間加熱抽出すればよい。また、加圧加熱抽出する場合は110〜120℃で0.5〜3時間抽出すればよい。
【0030】
(2)コラーゲンを含む抽出物を酵素分解する工程
上記の工程で得られたコラーゲンを含む抽出物を、タンパク加水分解酵素で処理してコラーゲンをペプチド化する。
【0031】
上記タンパク加水分解酵素は特に制限されず、中性プロテアーゼ、アルカリ性プロテアーゼ、酸性プロテアーゼ、あるいはそれらを含有する酵素製剤等を用いることができる。市販のタンパク加水分解酵素製剤としては、一般に食品製造に用いられるタンパク加水分解酵素を用いることができ、例えば、商品名「プロテアーゼN」(アマノエンザイム製、中性プロテアーゼ)、商品名「プロテアーゼP−3」(アマノエンザイム製、アルカリ性プロテアーゼ)、商品名「スミチームAP」(新日本化学工業製、酸性プロテアーゼ)等を用いることができる。
【0032】
酵素の添加量、反応時間及び処理温度は適宜設定できるが、通常、酵素の添加量は処理液の固形分に対して0.2〜5質量%が好ましく、1〜2質量%がより好ましい。反応時間は0.5〜5時間が好ましく、1〜3時間がより好ましい。また、反応温度は30〜70℃が好ましく、45〜65℃がより好ましい。酵素反応条件が上記範囲外であると、コラーゲンを十分に加水分解できなかったり、逆に加水分解が進みすぎて、収率が低下する場合がある。なお、酵素反応終了後は、加熱するなどして酵素を失活させることが好ましい。
【0033】
(3)前記抽出物の酵素分解物を逆浸透膜を用いて濃縮、精製する工程
上記の工程で得られた酵素分解物を逆浸透膜処理して濃縮液を回収する。逆浸透膜を用いて、濃縮・精製することにより、魚特有の味や臭い成分(例えば、アミノ酸、オリゴペプチド、核酸、有機酸、ミネラル、揮発含性硫化合物、脂肪酸、窒素化合物、カルボニル化合物等)やヒ素を1ステップで簡単に除去することができる。また、分子量の小さなコラーゲンペプチドを損失することなく回収することができる。回収した濃縮液は、そのまま、あるいは適宜乾燥して粉末化して用いることができる。
【0034】
ここで用いられる逆浸透膜としては、食塩阻止率が10〜50%のものが好ましく用いられる。このような逆浸透膜としては、例えば、商品名「NTR−7410」、商品名「NTR−7430」、商品名「NTR−7450」(いずれも日東電工製)等が挙げられる。
【0035】
逆浸透膜の食塩阻止率が上記範囲外であると、呈味成分や臭い成分、ヒ素等の不純物の除去が不十分になったり、コラーゲンペプチドの損失が大きくなるため好ましくない。
【0036】
なお、逆浸透膜処理の条件は適宜設定できるが、通常、処理液を固形分濃度15質量%以下になるように調整し、pH4〜7、液温60℃以下で循環しながら、固形分濃度25質量%以上になるまで濃縮を行うことが好ましい。また、この際、適宜加水しながら原液量の1〜10倍量、好ましくは3〜5倍量の水を加えて液を透過させることが好ましい。加水操作を繰り返すことにより、不純物を効率よく除去することができる。
【0037】
なお、上記(1)〜(3)のいずれかの工程中において、脱色、脱臭処理を行うことが好ましく、特に、上記(3)よりも前の工程において、前記コラーゲンを含む抽出物又はその酵素分解物を脱色、脱臭処理することが好ましい。上記(3)よりも前の工程で脱色、脱臭処理することにより、抽出や酵素分解によって生じた着色や臭いを除去しやすく、また、逆浸透膜の目詰まりを防止できるので膜処理の効率を向上することができる。
【0038】
脱色、脱臭の方法は、作業性の点から固体吸着剤を用いることが好ましい。固体吸着剤としては、活性炭、アルミナ、シリカゲル、活性白土等を適宜組み合わせて用いることができ、中でも活性炭が特に好ましく用いられる。
【0039】
例えば、コラーゲンを含む抽出液又はその酵素分解液に、0.5〜30質量%の活性炭を加えて、50〜90℃で15分〜3時間撹拌した後、濾過して液部を回収すればよい。また、活性炭等を充填したカラムに通液することによって行うこともできる。
【0040】
上記製造方法で得られた魚類由来のコラーゲンペプチドは、固形分中の遊離アミノ酸含量が1.0質量%以下、ヒ素含量が2ppm以下であることが好ましい。このようなコラーゲンペプチドはアミノ酸含量が低いので、飲食品に高濃度で含有させても加熱時の変色や味への悪影響が起こることがない。また、ヒ素含量が低いので飲食品に高濃度で配合しても安全性が非常に高い。このような魚類由来のコラーゲンペプチドとして、例えば、商品名「マリンマトリックス」(焼津水産化学工業製)を用いることができる。
【0041】
本発明においては、平均分子量(数平均分子量)1,000〜10,000の魚類由来コラーゲンペプチドがより好ましく用いられる。上記範囲内の平均分子量のコラーゲンペプチドは低粘度であり、飲食品等に添加するのに適している。また、上記分子量範囲の魚類由来のコラーゲンペプチドは消化性に優れ、生理機能の面でもN−アセチルグルコサミンとのより高い相乗効果が期待できる。
【0042】
なお、本発明においては、粉末化前のコラーゲンペプチド溶液を用いてもよく、スプレードライ等によって乾燥粉末化したものを用いてもよい。
【0043】
本発明の関節軟骨損傷治癒促進剤及び腱損傷治癒促進剤が有効成分として上記魚類由来のコラーゲンペプチドを単独で含有する場合は、その有効摂取量は、成人1日当り魚類由来のコラーゲンペプチド換算で0.1〜10gが好ましく、0.5〜5gがより好ましい。
【0044】
また、本発明の関節軟骨損傷治癒促進剤及び腱損傷治癒促進剤は、上記魚類由来のコラーゲンペプチドとN−アセチルグルコサミンとを有効成分として含有することもできる。
【0045】
本発明で用いられるN−アセチルグルコサミンの起源は特に限定されるものではなく、例えば、キチンを原料として酸や酵素を用いた分解法やグルコース等の糖類を原料とした発酵法(特開2003−034568号公報)等により得ることができるが、生産効率の面からキチンを酸により部分加水分解して得られたものであることが好ましく、キチンを塩酸により部分加水分解し、この分解液を中和後、イオン交換膜電気透析法によって脱塩処理した後、共存するグルコサミン塩酸塩をイオン交換樹脂によって吸着除去し、酵素分解によりN−アセチルグルコサミンを遊離させることにより得られるものであることがより好ましい。
【0046】
原料として用いられるキチンは、エビ、カニ、オキアミ等、甲殻類の甲皮を塩酸処理してカルシウム分を除去し、更に水酸化ナトリウム処理により蛋白質を除去することなどにより調製されるが、その他の入手経路、調製手段などで得られるキチンを用いることもできる。
【0047】
キチンの塩酸による部分加水分解は、キチン質量の2〜20倍量の塩酸を添加して、撹拌しながら30〜60℃、2〜8時間反応させることにより行われる。より好ましくはキチン質量の3〜10倍量の濃塩酸を添加して、撹拌しながら40〜50℃、3〜5時間反応させる。塩酸の添加量が上記範囲外であると、分解効率が悪くなったり、中和塩の量が多くなり脱塩に時間がかかるため好ましくない。また、反応温度及び反応時間が上記範囲外であると、分解効率が悪くなったり、グルコサミン塩酸塩の生成量が多くなるため好ましくない。
【0048】
次に、加水分解反応を終了させるために、部分加水分解溶液と同容量程度の水で希釈し、さらに温度が上昇しないように、例えば25〜50%水酸化ナトリウム溶液等のアルカリ剤を用いてpH3〜7になるように中和を行う。
【0049】
中和した部分加水分解溶液には、N−アセチルグルコサミン、キチンオリゴ糖、グルコサミン塩酸等の他、未分解の不溶性キチンも含まれており、糖の分解により多少褐色みを呈しているが、未分解の不溶性キチンや着色は少量の活性炭及びフィルターを用いて濾過することにより除去することができる。
【0050】
そして、中和した部分加水分解溶液を、特許第2134244号(特公平5−86399号)に記載された方法(イオン交換膜電気透析法)で脱塩処理を行う。イオン交換膜電気透析に用いられるイオン交換膜は特に限定されないが、例えば、ネオセプタCL−25T、CM−1〜2、AM−1〜3(いずれも商品名、徳山曹達株式会社製)、セレミオンCMV/AMV(商品名、旭硝子株式会社製)等が挙げられる。
【0051】
次に、脱塩処理した部分加水分解溶液をイオン交換樹脂で処理し、溶液中のグルコサミン塩酸塩を吸着除去する。イオン交換樹脂処理は、強酸性イオン交換樹脂と弱塩基性イオン交換樹脂の組み合わせによって行われる。これにより、N−アセチルグルコサミンやキチンオリゴ糖と比べて味が悪く、スプレードライ工程において粉末の褐変化の原因となるグルコサミン塩酸塩を非常に効率よく除去することができる。
【0052】
具体的には、脱塩処理した部分加水分解溶液を強酸性イオン交換樹脂で処理した後、続いて弱塩基性イオン交換樹脂で処理する。処理の方法は、カラム式でもよく、バッチ式でもよい。上記強酸性イオン交換樹脂としては、例えば、商品名「ダイヤイオンSK1−B」(三菱化学製)等が使用でき、上記弱塩基性イオン交換樹脂としては商品名「ダイヤイオンWA−30」(三菱化学製)等が使用できる。
【0053】
次に、上記イオン交換樹脂処理した部分加水分解溶液中に含まれるキチンオリゴ糖を分解してN−アセチル−グルコサミンを更に遊離させるために、キチンオリゴ糖に対して加水分解能を有する酵素を作用させる。このような酵素としては、キチンオリゴ糖を単糖のN−アセチルグルコサミンにまで分解してしまう酵素であればいずれの酵素を用いてもよく、例えば、リゾチーム、キチナーゼ、キトビアーゼ(β−N−アセチルヘキソサミニダーゼ)等が挙げられる。なお、リゾチームやキチナーゼの中にはキチンオリゴ糖の二糖や三糖に対して加水分解能が低いものがあるため、キトビアーゼ等の低分子オリゴ糖に対して高い加水分解能を有する酵素を併用することが好ましい。
【0054】
上記酵素は、市販の酵素を利用することができ、例えば、リゾチームは、ニワトリの卵白リゾチームが一般的である。キチナーゼは、ストレプトマイセス・グリセウス、セラチア・マルツセンス(シグマ社)、アエロモナス・ハイドロフイラ(合同酒精)、ストレプトマイセス・アンティビオテイカス(カルビオケム社)等の微生物起源の酵素が挙げられる。なお、キチナーゼやキトビアーゼ等のキチンあるいはキチンオリゴ糖分解酵素を産生する微生物を培養し、この培養物から酵素を抽出した粗酵素を使用することもできる。また、市販の酵素製剤(セルラーゼ製剤、ペクチナーゼ製剤、アミラーゼ製剤、プロテアーゼ製剤等)の中にはキチナーゼやキトビアーゼ等を含む製剤が多く、これらの市販酵素製剤を使用することもできる。
【0055】
上記イオン交換樹脂処理した部分加水分解溶液中に含まれるキチンオリゴ糖の酵素分解反応の条件は、酵素の種類や酵素量に応じて適宜設定することができるが、最終的に得られる糖組成物が、N−アセチルグルコサミン80〜99質量%、キチンオリゴ糖1〜20質量%含有するように酵素分解反応の条件を設定することが好ましい。キチンオリゴ糖の比率が上記範囲より高くなると糖組成物の水への溶解性が低下し、飲食品等への使用に支障をきたすため好ましくない。なお、反応終了後は、反応液を加熱するなどして酵素を失活させればよく、更に活性炭等の吸着剤を用いて適宜脱色処理を行ってもよい。
【0056】
本発明においては、上記のような糖組成物をそのまま、あるいは上記酵素反応前及び/又は酵素反応後に、特開2000−281696号公報に記載された方法で、分離膜によってN−アセチルグルコサミンを選択的に取り出し、N−アセチルグルコサミンの純度を高めて用いることもできる。
【0057】
本発明の関節軟骨損傷治癒促進剤及び腱損傷治癒促進剤が有効成分として上記魚類由来のコラーゲンペプチドとN−アセチルグルコサミンを含有する場合は、その有効摂取量は、成人1日当り魚類由来のコラーゲンペプチド換算で0.1〜10g、N−アセチルグルコサミン換算で0.1〜15gが好ましく、より好ましくは魚類由来のコラーゲンペプチド換算で0.5〜5g、N−アセチルグルコサミン換算で0.5〜1gである。
【0058】
本発明の関節軟骨損傷治癒促進剤及び腱損傷治癒促進剤は、上記の有効成分の他に、サメ軟骨抽出物、ビタミンB群、MSM(メチル・スルフォニル・メタン)、ショウガエキス、賦形剤、安定剤、防腐剤、保存剤、光沢剤、増粘剤、着色剤、ミネラル類、ビタミン類、糖類、香料、油脂、アミノ酸等の添加剤を適宜含むことができる。例えば、サメ軟骨抽出物を含むことにより、生体内でのムコ多糖の生合成が促進され、魚類由来のコラーゲンペプチド及びN−アセチルグルコサミンとの相乗効果が期待できる。
【0059】
本発明の関節軟骨損傷治癒促進剤及び腱損傷治癒促進剤の製品形態は、経口投与に適した形であれば特に制限されず、例えば、錠剤、粉末、顆粒、溶液、カプセル剤等が挙げられる。
【0060】
更に、本発明の関節軟骨損傷治癒促進剤及び腱損傷治癒促進剤は、様々な飲食品に配合することができ、例えば、(1)清涼飲料、炭酸飲料、果実飲料、野菜ジュース、乳酸菌飲料、乳飲料、豆乳、ミネラルウォーター、茶系飲料、コーヒー飲料、スポーツ飲料、アルコール飲料、ゼリー飲料等の飲料類、(2)トマトピューレ、キノコ缶詰、乾燥野菜、漬物等の野菜加工品、(3)乾燥果実、ジャム、フルーツピューレ、果実缶詰等の果実加工品、(4)カレー粉、わさび、ショウガ、スパイスブレンド、シーズニング粉等の香辛料、(5)パスタ、うどん、そば、ラーメン、マカロニ等の麺類(生麺、乾燥麺含む)、(6)食パン、菓子パン、調理パン、ドーナツ等のパン類、(7)アルファー化米、オートミール、麩、バッター粉等、(8)焼菓子、ビスケット、米菓子、キャンデー、チョコレート、チューイングガム、スナック菓子、冷菓、砂糖漬け菓子、和生菓子、洋生菓子、半生菓子、プリン、アイスクリーム等の菓子類、(9)小豆、豆腐、納豆、きな粉、湯葉、煮豆、ピーナッツ等の豆類製品、(10)蜂蜜、ローヤルゼリー加工食品、(11)ハム、ソーセージ、ベーコン等の肉製品、(12)ヨーグルト、プリン、練乳、チーズ、発酵乳、バター、アイスクリーム等の酪農製品、(13)加工卵製品、(14)干物、蒲鉾、ちくわ、魚肉ソーセージ等の加工魚や、乾燥わかめ、昆布、佃煮等の加工海藻や、タラコ、数の子、イクラ、からすみ等の加工魚卵、(15)だしの素、醤油、酢、みりん、コンソメベース、中華ベース、濃縮出汁、ドレッシング、マヨネーズ、ケチャップ、味噌等の調味料や、サラダ油、ゴマ油、リノール油、ジアシルグリセロール、べにばな油等の食用油脂、(16)スープ(粉末、液体含む)等の調理、半調理食品や、惣菜、レトルト食品、チルド食品、半調理食品(例えば、炊き込みご飯の素、カニ玉の素)等が挙げられる。
【0061】
上記飲食品における関節軟骨損傷治癒促進剤又は腱損傷治癒促進剤の配合量は、飲食品の種類及び上述した有効摂取量に基いて適宜設定すればよい。例えば、飲料類に配合する場合は、通常、0.01〜30質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましい。関節軟骨損傷治癒促進剤又は腱損傷治癒促進剤の配合量が少な過ぎると、生理活性が期待できる量の魚類由来のコラーゲンペプチドやN−アセチルグルコサミンを摂取するために1回当りの摂取量を大幅に増やす必要があるため、継続的に摂取することが困難となり、多すぎると製品中での結晶化による沈殿発生や過剰摂取による軟便等の症状がでる可能性がある。
【実施例1】
【0062】
魚類由来のコラーゲンペプチドとN−アセチルグルコサミンの経口投与による軟骨損傷に対する治癒促進効果について、以下の方法で試験を行った。
【0063】
1)実験材料
ウサギ:日本白色種、メス、12週齢、体重2.0〜3.0kgのものを9羽用い、実験に際しては1週間の馴化期間を置いた。
被験物質:表1に示すアミノ酸組成を有する平均分子量3,000の魚類由来コラーゲンペプチド(以下、「FCP」と略記する)と、キチン由来のN−アセチルグルコサミン(以下、「GlcNAc」と略記する)を用いた。
【0064】
【表1】
【0065】
2)実験方法
軟骨損傷モデルの作製:軟骨の損傷は外科的に膝蓋大腿関節部を完全に露出した後、大腿骨遠位部の内側縦稜、大腿滑車溝の上・下の計3ヶ所に直径2mm、深さ4mmの孔を整形外科用電動ドリルで作製した。これらのウサギを、コントロール群、FCP投与群(試験群1)、FCP+GlcNAc投与群(試験群2)の3群(1群3羽)に分けた。
【0066】
そして、試験期間中(14日間)、コントロール群には水道水、試験群1には1.2g/head/dayのFCPを、試験群2には1.2g/head・dayのFCPと1.0g/head/dayのGlcNAcを水道水に混ぜて投与した。
【0067】
試験期間終了後、剖検時に大腿骨遠位部に作製した各欠損孔(内側縦稜、大腿滑車溝の上・下)の修復度について肉眼的に観察し、その修復程度を点数化して評価した(判定基準:50%未満:0点、60%未満:1点、80%未満:2点、80%以上:3点)。
【0068】
また、左側大腿骨を採材し、10%中性緩衝ホルマリン水溶液(ホルムアルデヒド液)で固定した後、5%ギ酸溶液によって振盪下で脱灰した。脱灰の完了した組織片を修復部位が縦断面になるように切り出しを行い、その後、定法にしたがってパラフィン包埋を実施し、ミクロトームによって5μmに薄切りした。
【0069】
得られた組織片を用いて、ヘマトキシリン・エオジン(HE)重染色、プロテオグリカンの染色を目的としてサフラニンO染色、グルコサミノグリカンの染色を目的としてアルシアンブルー染色(pH2.5)を実施し、顕微鏡観察した。
【0070】
また、顕微鏡下でマイクロメーターを用いて損傷孔の深さを測定し、当初の4mmの深さに対する修復度を百分率(%)で求めた。
【0071】
3)結果
損傷部位の肉眼所見を図1に示す。図1から、損傷部位は、試験群2>試験群1>コントロール群の順でより修復が進んでいることが分かる。
【0072】
また、修復程度を点数化した結果を図2〜5に示す。図2は滑車溝(上)の評価、図3は滑車溝(下)の評価、図4は内側縦稜の評価、図5は総合点による評価である。図2〜5から、各損傷箇所及び総合点において、試験群2はコントロール群に対して有意に高い点であることが分かる。また、試験群1も総合点においてコントロール群に対して有意に高い点であることが分かる。
【0073】
また、染色した組織片を顕微鏡観察した組織像を図6〜8に示す。組織学的にコントロール群には軟骨の再生は認められなかったが(図6参照)、試験群1(図7参照)、試験群2(図8参照)では明瞭な軟骨の再生が見られた。特に試験群2において、軟骨下骨の再生、プロテオグリカン、グルコサミノグルカンの増加が顕著であることが分かった。
【0074】
また、実際にマイクロメーターを用いて損傷孔の深さを測定し、当初の4mmの深さに対する修復度(%)を求めた。その結果を図9、表2に示す。
【0075】
【表2】
【0076】
図9及び表2から、試験群1、2の修復度はコントロール群に比べて高く、特に試験群2は有意に高いことが分かる。
【0077】
以上の結果から、FCPは鳥由来コラーゲンペプチドと同等、あるいはそれ以上の軟骨修復効果を有し、GlcNAcの同時投与で相乗効果を示すことが明らかとなった。
【実施例2】
【0078】
魚類由来のコラーゲンペプチドの経口投与による腱損傷に対する治癒促進効果について、以下の方法で試験を行った。
【0079】
1)実験材料
ウサギ:日本白色種、体重約2.0〜3.0kg、メス、8週齢のものを8羽用い、実験に際しては1週間の順化期間をおいた。
被験物質:実施例1と同様のFCPを用いた。
【0080】
2)実験方法
腱損傷モデルの作成:腱の損傷は外科的にアキレス腱を露出した後に、腱の踵骨付着部位から1cmの部位を特定し、その部位に23G注射針を10ヶ所無作為に貫通させることで作製した。これらのウサギを、コントロール群1、FCP投与群(試験群1)の2群(1群3羽)に分けた。また、残りの2羽のウサギには、上記と同部位に23G注射針を20ヶ所無作為に貫通させ、それぞれコントロール群2、FCP投与群(試験群2)に分けた。
【0081】
そして、試験期間中(14日間)、コントロール群1、2には水道水、試験群1、2にはFCP2.4g/head/day(コラーゲン量として2.4g)を投与した。
【0082】
試験期間終了後、剖検時にアキレス腱に作製した損傷部位の修復度について肉眼的に観察した。また、損傷部位の腱傍組織及びアキレス腱の組織片を作製してHE染色を行い、顕微鏡で観察した。
【0083】
3)結果
損傷部位の肉眼所見を図10、11示す。また、染色した腱組織の顕微鏡観察像(×100)を図12に示す。図10〜12から、コントロール群1は、試験群1に比べて著しい血管新生、腱傍組織の癒着・肥厚が見られることが分かる。また、コントロール群2は、コントロール群1、試験群2に比べて、より顕著な血管新生が見られることが分かる。更に、FCP投与群(試験群1、2)においては、損傷程度を高度にしても同様な治癒過程が観察できることが分かる。なお、コントロール群と試験群における治癒の差は、10回穿刺したコントロール群1と試験群1よりも、20回穿刺したコントロール群2と試験群2の方が明瞭であった。
【0084】
また、アキレス腱及びアキレス腱表層部の組織像(×200)を図13、14に示す。図13、14から、コントロール群では大きな瘢痕が多数形成されていたのに対して(図13(a)、図14(a)参照)、試験群1では、損傷部位の小さな瘢痕形成が少数認められるに過ぎなかった(図13(b)、図14(b)参照)。
【0085】
また、視野全体(12000ピクセル)に占める細胞核の割合を、画像解析ソフト(NIH Image/IPLab/Openlab2/Media Juicer)を用いて計算した。その結果を図15に示す。図15から、コントロール群と試験群の間に差が見られることが分かる。ここで、腱のコラーゲンは修復時には線維芽細胞から形成されるが、損傷の修復が遅れると線維芽細胞はいつまでも活性化しており、活性化線維芽細胞は核の大きさが大きく、組織学的には損傷組織内に占める核の面積は大きくなるが、修復が順調な腱組織では線維芽細胞は成熟したものが多くなり、細胞質面積に対する核面積が小さくなる。したがって、核面積(核を青とした時の核のピクセル数)の割合が、試験群1、2の方が小さいという結果は、試験群1、2の方がコントロール群1、2に比べて、より腱の修復が完了していることを意味し、FCPの投与による腱修復促進効果を証明することができた。
【実施例3】
【0086】
魚類由来のコラーゲンペプチドとN−アセチルグルコサミンの経口投与による腱損傷に対する治癒促進効果について、以下の方法で試験を行った。
【0087】
1)実験材料
ウサギ:日本白色種、体重約2.0〜3.0kg、メス、12週齢のものを20羽用い、実験に際しては1週間の順化期間をおいた。
被験物質:実施例1と同様のFCP及びGlcNAcを用いた。
【0088】
2)実験方法
腱損傷モデルの作成:腱の損傷は外科的にアキレス腱を露出した後に、腱の踵骨付着部位から1cmの部位を特定し、その部位に23G注射針を20ヶ所無作為に貫通させることで作製した。これらのウサギを、コントロール群、FCP投与群(試験群1)、GlcNAc投与群(比較群)、GlcNAc+FCP投与群(試験群2)の4群(1群4羽)に分けた。また、残りの4羽のウサギには外科的処置を施さなかった(ノーマル群)。
【0089】
そして、試験期間中(14日間)、コントロール群には水道水、試験群1にはFCP 2.4g/head/day(コラーゲン量として2.4g)、比較群にはGlcNAc 1g/head/day、試験群2にはFCP 2.4g/head/day(コラーゲン量として2.4g)とGlcNAc 1g/head/dayを投与した。
【0090】
試験期間終了後、剖検時にアキレス腱に作製した損傷部位の修復度について組織学的に観察するとともに、各群の400倍画像において、10視野(無作為に抽出)のi)線維の状態、ii)核の状態を、表3、4に示す基準に従い5段階で評価した。
【0091】
【表3】
【0092】
【表4】
【0093】
3)結果
損傷部位の組織学的観察結果を表5に示す。表5から、試験群2は、試験群1及び比較群に比べて、コラーゲン線維の状態、核の状態共にノーマル群(正常細胞)に最も近い結果となっていることが分かる。組織学的には、コントロール群では大きな痕跡が多数形成されていたが、試験群1では小さな痕跡形成が少数認められる程度であった。また、比較群は試験群1と比較して、好中球の湿潤が若干多くみられた。
【0094】
【表5】
【0095】
以上の結果から、FCPは鳥由来コラーゲンペプチドと同等、あるいはそれ以上の腱修復効果を有し、GlcNAcと同時投与することで相乗効果を示すことが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明の関節軟骨損傷治癒促進剤及び腱損傷治癒促進剤は、スポーツや事故等により、軟骨や腱を損傷した際に、その修復を助け、より早い治癒を促す機能性食品素材として好適である。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】コントロール群、試験群1、2における各損傷部位の肉眼所見を示す図である。
【図2】滑車溝(上)の修復程度について点数化して評価した結果を示す図である。
【図3】滑車溝(下)の修復程度について点数化して評価した結果を示す図である。
【図4】内側縦稜の修復程度について点数化して評価した結果を示す図である。
【図5】総合的な修復程度について点数化して評価した結果を示す図である。
【図6】コントロール群の組織像を示す図である。
【図7】試験群1の組織像を示す図である。
【図8】試験群2の組織像を示す図である。
【図9】修復率を示す図である。
【図10】コントロール群1及び試験群1における損傷部位の肉眼所見を示す図である。
【図11】コントロール群2及び試験群2における損傷部位の肉眼所見を示す図である。
【図12】コントロール群1及び試験群1における腱傍組織の組織像を示す図である。
【図13】コントロール群1及び試験群1におけるアキレス腱の組織像を示す図である。
【図14】コントロール群1及び試験群1におけるアキレス腱表層部の組織像を示す図である。
【図15】視野全体に占める細胞核の割合を測定した結果を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚類由来のコラーゲンペプチドを有効成分として含有することを特徴とする関節軟骨損傷治癒促進剤。
【請求項2】
魚類由来のコラーゲンペプチドと、N−アセチルグルコサミンとを有効成分として含有することを特徴とする関節軟骨損傷治癒促進剤。
【請求項3】
魚類由来のコラーゲンペプチドを有効成分として含有することを特徴とする腱損傷治癒促進剤。
【請求項4】
魚類由来のコラーゲンペプチドと、N−アセチルグルコサミンとを有効成分として含有することを特徴とする腱損傷治癒促進剤。
【請求項5】
魚類由来のコラーゲンペプチドを有効成分として含有することを特徴とする関節軟骨損傷治癒促進のために用いられる旨の表示を付した飲食品。
【請求項6】
魚類由来のコラーゲンペプチドと、N−アセチルグルコサミンとを有効成分として含有することを特徴とする関節軟骨損傷治癒促進のために用いられる旨の表示を付した飲食品。
【請求項7】
魚類由来のコラーゲンペプチドを有効成分として含有することを特徴とする腱損傷治癒促進のために用いられる旨の表示を付した飲食品。
【請求項8】
魚類由来のコラーゲンペプチドと、N−アセチルグルコサミンとを有効成分として含有することを特徴とする腱損傷治癒促進のために用いられる旨の表示を付した飲食品。
【請求項1】
魚類由来のコラーゲンペプチドを有効成分として含有することを特徴とする関節軟骨損傷治癒促進剤。
【請求項2】
魚類由来のコラーゲンペプチドと、N−アセチルグルコサミンとを有効成分として含有することを特徴とする関節軟骨損傷治癒促進剤。
【請求項3】
魚類由来のコラーゲンペプチドを有効成分として含有することを特徴とする腱損傷治癒促進剤。
【請求項4】
魚類由来のコラーゲンペプチドと、N−アセチルグルコサミンとを有効成分として含有することを特徴とする腱損傷治癒促進剤。
【請求項5】
魚類由来のコラーゲンペプチドを有効成分として含有することを特徴とする関節軟骨損傷治癒促進のために用いられる旨の表示を付した飲食品。
【請求項6】
魚類由来のコラーゲンペプチドと、N−アセチルグルコサミンとを有効成分として含有することを特徴とする関節軟骨損傷治癒促進のために用いられる旨の表示を付した飲食品。
【請求項7】
魚類由来のコラーゲンペプチドを有効成分として含有することを特徴とする腱損傷治癒促進のために用いられる旨の表示を付した飲食品。
【請求項8】
魚類由来のコラーゲンペプチドと、N−アセチルグルコサミンとを有効成分として含有することを特徴とする腱損傷治癒促進のために用いられる旨の表示を付した飲食品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2006−327979(P2006−327979A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−153013(P2005−153013)
【出願日】平成17年5月25日(2005.5.25)
【出願人】(390033145)焼津水産化学工業株式会社 (80)
【出願人】(504150461)国立大学法人鳥取大学 (271)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月25日(2005.5.25)
【出願人】(390033145)焼津水産化学工業株式会社 (80)
【出願人】(504150461)国立大学法人鳥取大学 (271)
【Fターム(参考)】
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