説明

閾値算出装置及び閾値算出プログラム

【課題】無線通信における適切な閾値を算出することができる閾値算出装置及び閾値算出プログラムを提供する。
【解決手段】閾値算出装置100aは、上りリンクにおける干渉電力値の推定値である推定干渉電力値、上りリンク所要通信品質値、ユーザ端末の送信電力の最大値、及び下りリンクにおける基地局の送信電力値を取得し、下りリンクにおける基地局の送信電力値の対数値から、ユーザ端末の送信電力の最大値の対数値を減算し、該減算結果に、所要通信品質値の対数値と推定干渉電力値の対数値とを加算した値を、ユーザ端末における受信電力の対数値とする受信電力算出部130aと、ユーザ端末における受信電力値の対数値と、予め定められた条件とに基づいて閾値を算出する閾値算出部140aと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信における閾値算出装置及び閾値算出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
通信規格のひとつであるLTE(Long Term Evolution)を用いる無線通信システムにおいて、ユーザ端末は、下りリンクにおけるパイロット信号を基地局から受信し、このパイロット信号の受信電力値又は通信品質値を表す測定(Measurement Report,MR)情報を、基地局に送信する。ここで、ユーザ端末は、測定情報と所定閾値とを比較した結果に基づいて、測定情報を基地局に送信するか否かを判定している(非特許文献1、2及び3参照)。
【0003】
また、この判定に用いられる所定閾値は、基地局により算出され、基地局からユーザ端末に送信される。ここで、基地局は、ユーザ端末から事前に受信した測定情報に基づいて、又は事前に定められた値に基づいて、閾値を算出している。
【0004】
このように、下りリンクにおけるパイロット信号に基づいて閾値が算出される理由は、下りリンクにおけるパイロット信号が基地局からブロードキャスト送信されるからである。つまり、上りリンクにおいて基地局と同期が取れていないユーザ端末でも、下りリンクにおけるパイロット信号を受信することができるので、各ユーザ端末における受信電力値及び通信品質値を算出するのに、下りリンクにおけるパイロット信号は好都合だからである。
【0005】
このような背景から、測定情報を基地局に送信するか否かをユーザ端末が判定するための閾値は、下りリンクにおけるパイロット信号に基づいて算出されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】3GPP TS26.214,v9.2.0,2010年6月
【非特許文献2】3GPP TS26.331,v9.3.0,2010年6月
【非特許文献3】3GPP TS26.304,v9.3.0,2010年6月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、下りリンクにおけるパイロット信号に基づいて算出された閾値は、周囲に存在する無線局からの干渉電力によっては、適切な値とならない場合があるという問題がある。閾値が適切でない場合、送信されるべき測定情報がユーザ端末から基地局に送信されないため、又は、送信されるべきでない測定情報がユーザ端末から基地局に送信されてしまうため、測定情報に基づく処理も適切に実行されないので、通信断が発生してしまうという問題がある。
【0008】
本発明は、前記の点に鑑みてなされたものであり、適切な閾値を算出することができる閾値算出装置及び閾値算出プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、端末から基地局への通信リンクである上りリンクにおける干渉電力値の推定値である推定干渉電力値、上りリンクに必要とされる予め定められた通信品質値、端末の送信電力の最大値、及び基地局から端末への通信リンクである下りリンクにおける基地局の送信電力値を取得し、前記下りリンクにおける基地局の送信電力値の対数値から、前記端末の送信電力の最大値の対数値を減算し、該減算結果に、前記通信品質値の対数値と前記推定干渉電力値の対数値とを加算した値を、端末における受信電力値の対数値とする受信電力算出部と、前記端末における受信電力値の対数値と、予め定められた条件とに基づいて閾値を算出する閾値算出部と、を備えることを特徴とする閾値算出装置である。
【0010】
また、本発明は、前記閾値算出部が、ハンドオーバ処理を実行させるか否かの判定に必要な情報を端末が基地局に送信するか否かの判定に用いられる閾値を、通信装置を介して端末に送信することを特徴とする閾値算出装置である。
【0011】
また、本発明は、前記閾値算出部が、接続する基地局を端末が選択するか否かの判定に用いられる閾値を、通信装置を介して端末に送信することを特徴とする請求項1に記載の閾値算出装置である。
【0012】
また、本発明は、前記閾値算出部が、異なるシステム又は異なる周波数帯を端末にサーチさせるか否かの判定に使用する情報を端末が基地局に送信するか否かの判定に用いられる閾値を、通信装置を介して端末に送信することを特徴とする閾値算出装置である。
【0013】
また、本発明は、コンピュータに、端末から基地局への通信リンクである上りリンクにおける干渉電力値の推定値である推定干渉電力値、上りリンクに必要とされる予め定められた通信品質値、端末の送信電力の最大値、及び基地局から端末への通信リンクである下りリンクにおける基地局の送信電力値を取得し、前記下りリンクにおける基地局の送信電力値の対数値から、前記端末の送信電力の最大値の対数値を減算し、該減算結果に、前記通信品質値の対数値と前記推定干渉電力値の対数値とを加算した値を、端末における受信電力値の対数値とする手順と、前記端末における受信電力値の対数値と、予め定められた条件とに基づいて閾値を算出する手順と、を実行させるための閾値算出プログラムである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、上りリンクに必要とされる通信品質値(受信電力値)に基づいて、下りリンクにおける端末の受信電力値を算出するので、これにより、閾値算出装置は、適切な閾値を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態における、無線通信システムの構成を表す図である。
【図2】本発明の一実施形態における、閾値算出装置の構成を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態について図面を参照して詳細に説明する。第1実施形態では、ハンドオーバ処理を基地局が端末に実行させるか否かの判定に関連する閾値について説明する。また、以下では、無線通信システムに、通信規格のひとつであるLTEが用いられているものとして説明する。
【0017】
まず、無線通信システムの動作の概要を説明する。
図1には、無線通信システムの構成が表されている。無線通信システムは、基地局300aと、基地局300bと、基地局300cとを備える。なお、これら基地局の数は、一例である。
【0018】
基地局300aは、閾値算出装置100aと、通信装置200aとを備える。基地局300aは、通信装置200aにより通信可能な範囲であるセル310aを形成する。
基地局300bは、閾値算出装置100bと、通信装置200bとを備える。基地局300aは、通信装置200bにより通信可能な範囲であるセル310bを形成する。
基地局300cは、閾値算出装置100cと、通信装置200cとを備える。基地局300aは、通信装置200cにより通信可能な範囲であるセル310cを形成する。
【0019】
ここで、ユーザ端末400は、セル310a内に在り、セル310bに向けて移動しながら、基地局300aと通信接続(同期)しているとする。すなわち、ユーザ端末400は、セル310bに向けて移動しながら、自端末から基地局300aへの通信リンクである上りリンクにより、所定のデータを基地局300aに送信しているとする。また、ユーザ端末400は、基地局300aから自端末への通信リンクである下りリンクにより、所定のデータを基地局300aから受信しているとする。
【0020】
閾値算出装置100aは、ユーザ端末400が送信した所定のデータを、通信装置200aを介して受信し、受信した所定のデータに基づいて、上りリンクにおける瞬時の干渉電力値を測定する。また、閾値算出装置100aは、測定した瞬時の干渉電力値に基づいて、ハンドオーバ処理を実行するか否かの判定に関連する閾値を算出し、算出した閾値をユーザ端末400に通信装置200aを介して送信する。
【0021】
ユーザ端末400は、閾値算出装置100aが算出した閾値を受信する。ユーザ端末400は、閾値算出装置100aから受信した閾値に基づいて判定を実行し、測定(MR)情報を基地局300aに送信すると判定した場合のみ、測定情報を基地局300aに送信する。
【0022】
また、基地局300aは、測定情報をユーザ端末400から受信した場合のみ、ユーザ端末400をハンドオーバして良いか否かを問い合わせる信号を、基地局300bに送信する。ユーザ端末400をハンドオーバして良いと基地局300bが許可した場合、基地局300aは、基地局300bへのハンドオーバ処理を許可することを表す情報を、ユーザ端末400に送信する。ユーザ端末400は、ハンドオーバ処理が許可された場合のみ、ハンドオーバ処理を実行する。
【0023】
したがって、閾値が適切でない場合、ユーザ端末400は、測定情報を適切なタイミングで基地局300aに送信することができない。測定情報が適切なタイミングで基地局300aに送信されなければ、基地局300aは、ハンドオーバ処理を適切なタイミングで許可することができない。また、基地局300aがハンドオーバ処理を適切なタイミングで許可することができなければ、ユーザ端末400は、ハンドオーバ処理を適切なタイミングで実行することができないので、通信断が発生してしまうことになる。
【0024】
次に、下りリンクにおける受信電力値又は通信品質値を表す測定情報を、ユーザ端末が基地局に送信するか否かの判定について説明する。
【0025】
LTEを用いた無線通信システムでは、下りリンクにおけるパイロット信号の受信電力値(RSRP:Reference Signal Received Power)又は通信品質値(RSRQ:Reference Signal Recceived Quality)に基づいてユーザ端末が送信する測定情報を、基地局が受信することを契機として、ハンドオーバ処理が実行される。
【0026】
具体的には、ユーザ端末は、基地局が下りリンクを介して送信するパイロット信号(Cell−Specific Reference Signal,CRS)に基づいて、そのパイロット信号の受信電力値及び通信品質値を測定する。ここで、ユーザ端末は、これら受信電力値及び通信品質値のうち、少なくとも一方を測定する。
【0027】
ユーザ端末は、この測定値が所定の条件を満たした場合、測定情報を基地局に送信する。ここで、所定の条件とは、例えば、測定値が一定閾値より大きい若しくは一定閾値より小さいという条件である。また、例えば、自端末が通信接続する基地局(以下、「接続基地局」という)における測定値と、接続基地局に隣接する他の基地局(以下、「隣接基地局」という)における測定値との差が一定より小さいという条件である。
【0028】
また、これらの条件は、測定情報の種類毎に異なる。また、測定情報の種類には、例えば、A1MRと、A2MRと、A4MRと、A5MRと、B1MRと、B2MRとがある。これらの測定情報を送信するか否かを判定するためにユーザ端末が判定する条件の一例を、以下に示す。
【0029】
・A1MR
Ms−Hys > a1_Threshold …(1)
【0030】
・A2MR
Ms+Hys < a2_Threshold …(2)
【0031】
・A4MR
Mn+Ofn+Ocn−Hys > a4_Threshold …(3)
【0032】
・A5MR
Ms+Hys < a5_Threshold1 …(4)
Mn+Ofn+Ocn−Hys > a5_Threshold2 …(5)
【0033】
・B1MR
Mn+Ofn−Hys > b1_Threshold …(6)
【0034】
・B2MR
Ms+Hys < b2_Threshold1 …(7)
Mn+Ofn−Hys > b2_Threshold2 …(8)
【0035】
ここで、Msは、接続基地局における受信電力値又は通信品質値である。また、Hysは、ヒステリシス値である。また、Mnは、隣接基地局における受信電力値又は通信品質値である。また、Ofnは、周波数に応じたオフセット値である。また、Ocnは、特定の隣接基地局に対して接続基地局により用いられるオフセット値である。Ms及びMnは、ユーザ端末により測定される。また、Ofn及びOcnは、基地局からユーザ端末に送信される。
【0036】
また、a1_Thresholdは、測定情報であるA1MRを送信するか否かを判定するために、ユーザ端末により比較される閾値である。また、a2_Thredholdは、測定情報であるA2MRを送信するか否かを判定するために、ユーザ端末により比較される閾値である。また、a4_Thredholdは、測定情報であるA4MRを送信するか否かを判定するために、ユーザ端末により比較される閾値である。また、a5_Threshold1及びa5_Threshold2は、測定情報であるA5MRを送信するか否かを判定するために、ユーザ端末により比較される閾値である。
【0037】
また、b1_Thredholdは、測定情報であるB1MRを送信するか否かを判定するために、ユーザ端末により比較される閾値である。また、b2_Threshold1及びb2_Threshold2は、測定情報であるB2MRを送信するか否かを判定するために、ユーザ端末により比較される閾値である。
【0038】
これらの閾値(下りリンクにおける受信電力値又は通信品質値の閾値)は、基地局からユーザ端末に送信される。
【0039】
次に、閾値算出装置の構成について説明する。
図2には、閾値算出装置の構成がブロック図により表されている。閾値算出装置100aは、推定部110aと、記憶部120aと、受信電力算出部130aと、閾値算出部140aと、通信設定部150aとを備える。閾値算出装置100aは、通信装置200aと通信可能に接続されている。
【0040】
通信装置200aは、ユーザ端末400から自装置への通信リンクである上りリンクにより、ユーザ端末400から所定信号を受信する。ここで、所定信号とは、例えば、上りリンクにおけるパイロット信号であるDM−RS(Demodulation Reference Signal)である。
【0041】
通信装置200aは、受信した所定信号に基づいて、上りリンクにおける瞬時の干渉電力値(以下、「測定干渉電力値」という)を測定する。通信装置200aは、測定干渉電力値を表す情報を、推定部110aに出力する。
【0042】
また、通信装置200aには、ユーザ端末400に送信する所定情報が、通信設定部150aから入力される。ここで、所定情報とは、例えば、閾値算出部140aが算出した閾値を含む情報である。通信装置200aは、通信設定部150aから入力された所定情報を、自装置からユーザ端末400への通信リンクである下りリンクにより、ユーザ端末400に送信する。
【0043】
また、通信装置200aには、他の基地局に送信する所定情報が、通信設定部150aから入力される。ここで、所定情報とは、例えば、受信電力算出部130aが算出した受信電力値を表す情報である。通信装置200aは、通信設定部150aから入力された所定情報を、他の基地局に送信する。
【0044】
また、通信装置200aは、ユーザ端末400から測定(MR)情報を受信した場合、受信した測定情報に予め対応付けられた動作を実行する。例えば、通信装置200aは、測定情報であるA2MRを受信し、且つ、ハンドオーバ先の基地局からハンドオーバの許可が下りた場合、ハンドオーバ処理を許可することを表す情報をそのA2MRを送信したユーザ端末に送信する。
【0045】
推定部110aには、測定干渉電力値を表す情報が、通信装置200aから入力される。推定部110aは、測定干渉電力値を表す情報に基づいて、上りリンクにおける干渉電力を推定する。以下、推定された干渉電力値を「推定干渉電力値」という。推定干渉電力値には、例えば、同じ無線リソースを使用している他のユーザ端末による、上りリンクに対する干渉電力値がある。
【0046】
ここで、推定部110aは、予め定められた統計的手法により、推定干渉電力を算出する。この統計的手法では、例えば、統計区間における単純平均、統計区間における累積分布のx%値などが、予め定められている。
【0047】
推定部110aは、式(9)により、推定干渉電力値Pを算出してもよい。ここで、tは、測定干渉電力値を表す情報が推定部110aに入力されたタイミングである。また、αは、重み係数である。
推定干渉電力値(t)[dBm]=α×測定干渉電力値(t)+(1−α)×推定干渉電力値(t‐1) …(9)
ここで、式(9)の各電力値は、対数値であっても真値であってよい。
なお、推定干渉電力値Pを推定するための式(9)は、一例である。例えば、推定干渉電力値は、統計区間における測定干渉電力の平均値、最大値、又は累積分布のx%値でもよい。
【0048】
また、推定部110aは、推定干渉電力値Pを表す情報を、予め定められた周期(タイミング)で受信電力算出部130aに出力する。
【0049】
記憶部120aは、上りリンクに必要とされる所要通信品質値(所要受信電力値)を、予め記憶する。ここで、上りリンクに必要とされる所要通信品質値とは、例えば、信号対干渉雑音比(Signal−to−Interference‐plus−noise Ratio,SINR)、信号対干渉比(Signal−to−Interference Ratio,SIR)、又は信号品質値(Reference Signal Received Quality,RSRQ)などである。
【0050】
上りリンクに必要とされる所要通信品質値は、通信断が発生する通信品質以上の値に、予め定められることが望ましい。ここで、通信断が発生する通信品質とは、例えば、最低の符号化率と変調方式との組を表すMCS(Modulation and Cording Scheme)により1RB(リソース・ブロック)を送信した際に、上りリンクに必要とされる所要誤り率と等しくなる通信品質である。
【0051】
記憶部120aは、ユーザ端末の送信電力の最大値PTX_UL[dBm]を予め記憶する。この最大値PTX_ULは、例えば、基地局に接続する複数のユーザ端末の送信電力値の各最大値PTX_ULのうち、その最大値、最小値、平均値、又は累積分布のy%値であってもよいし、予め定められた値としてもよい。
【0052】
記憶部120aは、閾値算出装置を備えた基地局の下りリンクにおける送信電力値PTX_DL[dBm]を予め記憶する。この送信電力値は、例えば、基地局がパイロット信号(CRS)を送信する際のパイロット信号あたりの送信電力値である。
【0053】
なお、記憶部120aは、閾値算出装置を備えた基地局における雑音電力[dBm]を予め記憶してもよい。
【0054】
受信電力算出部130aには、推定干渉電力値Pを表す情報が、推定部110aから入力される。また、受信電力算出部130aは、上りリンクに必要とされる所要通信品質値(例えば、SINR)と、ユーザ端末の送信電力の最大値PTX_ULと、閾値算出装置を備えた基地局の下りリンクにおける送信電力値PTX_DLとを、記憶部120aから取得する。
【0055】
信号対干渉雑音比SINR(対数値)と、受信電力値PRX(対数値)と、干渉電力値P(真値)と、雑音電力値P(真値)とには、次のような関係がある。
【0056】
SINR[dB]=PRX−10log10(P+P) …(10)
【0057】
式(10)より、上りリンクに必要とされる所要通信品質値SINRULを満たす上りリンクに必要とされる所要受信電力PRX_UL(対数値)は、推定干渉電力値PI_UL(真値)と、雑音電力PN_UL(真値)とを用いて、以下で表される。
【0058】
RX_UL=SINRUL+10log10(PI_UL+PN_UL) …(11)
【0059】
また、受信電力値PRX(対数値)と、送信電力値PTX(対数値)と、パスロス(対数値)とには、次のような関係がある。
【0060】
RX=PTX−PL …(12)
【0061】
式(11)より、ユーザ端末の送信電力の最大値PTX_ULで送信した場合における、上りリンクに必要とされる所要受信電力PRX_UL(対数値)を満たすパスロス(伝搬損失)PL’(対数値)は、以下で表される。
【0062】
PL’=PTX_UL−PRX_UL …(13)
【0063】
上りリンク及び下りリンクの周波数帯が同一又は近い場合、上りリンクにおけるパスロスと、下りリンクのパスロスとは、ほぼ同一となる。ここで、上りリンクのパスロスと、下りリンクのパスロスとが同一であると仮定した場合、式(12)より、ユーザ端末における上りリンクに必要とされる所要通信品質値を満たす下りリンクの受信電力値PRX_DL(対数値)は、上りリンクに必要とされる所要受信電力を満たすパスロス(伝搬損失)PL’(対数値)と、閾値算出装置を備えた基地局の下りリンクにおける送信電力値PTX_DL(対数値)とを用いて、以下で表される。
【0064】
RX_DL=PTX_DL−PL’ …(14)
【0065】
受信電力算出部130aは、式(12)と式(13)と式(14)とに基づいて、ユーザ端末における受信電力値PRX_DLを算出し、算出した受信電力値PRX_DLを表す情報を閾値算出部140aに出力する。
【0066】
ここで、
RX_DL=(PTX_DL−PTX_UL)+PRX_UL
=(PTX_DL−PTX_UL)+SINRUL+10log10(PI_UL+PN_UL) …(15)
である。
【0067】
なお、受信電力算出部130aは、推定干渉電力に雑音電力が含まれているとして、推定干渉電力値Pと雑音電力値Pとを一体として扱ってもよい。また、受信電力算出部130は、雑音電力値Pを考慮せず、SINRの代わりにSIRに基づいて、ユーザ端末400における受信電力値を算出してもよい。
【0068】
閾値算出部140aには、ユーザ端末における受信電力値PRX_DLを表す情報が、受信電力算出部130から入力される。閾値算出部140aは、ユーザ端末における受信電力値PRX_DLを表す情報に基づいて閾値を算出し、算出した閾値を表す情報を通信設定部150aに出力する。
【0069】
以下では、受信電力閾値を算出する基地局をsと、その隣接基地局をnと表記する。なお、以下に示す閾値の算出方法は、一例である。
【0070】
閾値算出部140aは、A1測定(A1MR)情報の閾値であるa1_Thresholdを、式(16)のように算出する。
a1_Threshold=「基地局sの下りリンクにおける所要受信電力値(受信電力値PRX_DLを表す情報)」−「基地局sの下りリンクにおけるHys」 …(16)
【0071】
閾値算出部140aは、下りリンクにおける受信電力値の閾値、すなわち、A1MRを送信するか否かを判定するためにユーザ端末400により比較される閾値として、a1_Thresholdを、通信設定部150aに出力する。
【0072】
また、閾値算出部140aは、A2測定(A2MR)情報の閾値であるa2_Thresholdを、式(17)のように算出する。
a2_Threshold=「基地局sの下りリンクにおける所要受信電力値(受信電力値PRX_DLを表す情報)」+「基地局sの下りリンクにおけるHys」 …(17)
【0073】
閾値算出部140aは、下りリンクにおける受信電力値の閾値、すなわち、A2MRを送信するか否かを判定するためにユーザ端末400により比較される閾値として、a2_Thresholdを、通信設定部150aに出力する。
【0074】
また、閾値算出部140aは、隣接基地局の閾値算出装置が算出した「ユーザ端末における受信電力値PRX_DLを表す情報」を隣接基地局から受信し、受信した「ユーザ端末における受信電力値PRX_DLを表す情報」に基づいて、閾値を算出してもよい。
【0075】
閾値算出部140aは、A4測定(A4MR)情報の閾値であるa4_Thresholdを、式(18)のように算出する。以下、max_nは、複数の隣接基地局nに関する引数として渡された値から最大値を出力する関数である。
a4_Threshold=max_n(「隣接基地局nの下りリンクにおける所要受信電力値(受信電力値PRX_DLを表す情報)」+「隣接基地局nに対する基地局sのOcn」+「基地局sのOfn」−「基地局sのHys」) …(18)
閾値算出部140aは、下りリンクにおける受信電力値の閾値、すなわち、A4MRを送信するか否かを判定するためにユーザ端末400により比較される閾値として、a4_Thresholdを、通信設定部150aに出力する。
【0076】
閾値算出部140aは、A5測定(A5MR)情報の閾値であるa5_Threshold1及びa5_Threshold2を、式(19)及び式(20)のように算出する。
a5_Threshold1=「基地局sの下りリンクにおける所要受信電力値(受信電力値PRX_DLを表す情報)」+「基地局sにおけるHys」 …(19)
a5_Threshold2=max_n(「隣接基地局nの下りリンクにおける所要受信電力値(受信電力値PRX_DLを表す情報)」+「隣接基地局nに対する基地局sのOcn」+「基地局sのOfn」−「基地局sのHys」) …(20)
閾値算出部140aは、下りリンクにおける受信電力値の閾値、すなわち、A5MRを送信するか否かを判定するためにユーザ端末400により比較される閾値として、a5_Threshold1及びa5_Threshold2を、通信設定部150aに出力する。
【0077】
閾値算出部140aは、B1測定(B1MR)情報の閾値であるb1_Thresholdを、次のように算出する。
b1_Threshold=max_n(隣接基地局nの下りリンクにおける所要受信電力値(受信電力値PRX_DLを表す情報)」+「基地局sのOfn」−「基地局sのHys」) …(21)
閾値算出部140aは、下りリンクにおける受信電力値の閾値、すなわち、B1MRを送信するか否かを判定するためにユーザ端末400により比較される閾値として、b1_Threshold1を、通信設定部150aに出力する。
【0078】
閾値算出部140aは、B2測定(B2MR)情報の閾値であるb2_Threshold1及びb2_Threshold2を、式(22)及び式(23)のように算出する。
b2_Threshold1=「基地局sの下りリンクにおける所要受信電力値(受信電力値PRX_DLを表す情報)」+「基地局sのHys」 …(22)
b2_Threshold2=max_n(「隣接基地局nの下りリンクにおける所要受信電力値(受信電力値PRX_DLを表す情報)」+「基地局sのOfn」−「基地局sのHys」) …(23)
閾値算出部140aは、下りリンクにおける受信電力値の閾値、すなわち、B1MRを送信するか否かを判定するためにユーザ端末400により比較される閾値として、b1_Threshold1及びb2_Threshold2を、通信設定部150aに出力する。
【0079】
通信設定部150aには、下りリンクにおける受信電力値の閾値が、通信設定部150aから入力される。通信設定部150aは、予め定められた通信手順、及び通信フォーマット(例えば、LTEの通信フォーマット)に従い、下りリンクにおける受信電力値の閾値を含む所定情報を、通信装置200aに出力する。
【0080】
以上のように、閾値算出装置100aは、ユーザ端末400から基地局300aへの通信リンクである上りリンクにおける干渉電力値の推定値である推定干渉電力値P(及び雑音電力値P)、上りリンクに必要とされる予め定められた通信品質値SINRUL、ユーザ端末400の送信電力の最大値PTX_UL、及び基地局300aからユーザ端末400への通信リンクである下りリンクにおける基地局300aの送信電力値を取得し、前記下りリンクにおける基地局300aの送信電力値PTX_DLの対数値から、ユーザ端末400の送信電力の最大値PTX_ULの対数値を減算し、該減算結果に、前記通信品質値SINRの対数値と前記推定干渉電力値P(及び雑音電力値P)の対数値とを加算した値を、ユーザ端末400における受信電力値PRX_DLの対数値とする受信電力算出部と、ユーザ端末400における受信電力値PRX_DLの対数値と、予め定められた条件とに基づいて閾値(Threshold)を算出する閾値算出部140aと、を備える。(雑音電力値P
この構成により、上りリンクに必要とされる通信品質値に基づいて、下りリンクにおける端末の受信電力値を算出するので、これにより、閾値算出装置は、適切な閾値を算出することができる。また、閾値算出装置は、適切な閾値を算出することにより、通信断の発生を低減させることができる。
【0081】
また、閾値算出部140aは、ハンドオーバ処理を実行させるか否かの判定に必要な情報をユーザ端末400が基地局300aに送信するか否かの判定に用いられる閾値を、通信設定部150a及び通信装置200aを介してユーザ端末400に送信する。
これにより、閾値算出装置は、ハンドオーバ処理の失敗による通信断の発生を低減させる閾値を算出することができる。
【0082】
また、コンピュータは、ユーザ端末400から基地局300aへの通信リンクである上りリンクにおける干渉電力値の推定値である推定干渉電力値P(及び雑音電力値P)、上りリンクに必要とされる予め定められた通信品質値SINRUL、端末の送信電力の最大値PTX_UL、及び基地局300aからユーザ端末400への通信リンクである下りリンクにおける基地局300aの送信電力値を取得し、前記下りリンクにおける基地局300aの送信電力値PTX_DLの対数値から、ユーザ端末400の送信電力の最大値PTX_ULの対数値を減算し、該減算結果に、前記通信品質値SINRULの対数値と前記推定干渉電力値P(及び雑音電力値P)の対数値とを加算した値を、ユーザ端末400における受信電力値PRX_DLの対数値とする手順と、ユーザ端末400における受信電力値PRX_DLの対数値と、予め定められた条件とに基づいて閾値(Threshold)を算出する手順と、を実行する。
この構成により、上りリンクに必要とされる通信品質値に基づいて、下りリンクにおける端末の受信電力値を算出するので、これにより、コンピュータは、適切な閾値を算出することができる。また、コンピュータは、適切な閾値を算出することにより、通信断の発生を低減させることができる。
【0083】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態について図面を参照して詳細に説明する。第2実施形態では、通信接続すべき基地局を選択(セル選択)する際にユーザ端末が用いる閾値について説明する。以下では、第1実施形態との相違点についてのみ説明する。
【0084】
LTEを用いた無線通信システムでは、ハンドオーバに失敗した場合、又は、下りリンクにおけるパイロット信号の受信電力値若しくは通信品質値が低下した場合、ユーザ端末により、セル選択が実行される。
【0085】
以下に、ユーザ端末が基地局を選択(セル選択)する際に判定される条件の一例を示す。ユーザ端末は、この条件を満たす基地局を選択する。
【0086】
(Srxlev > 0) and (Squal > 0) …(24)
【0087】
ここで、
Srxlev = Qrxlevmeas−(Qrxlevmin+Qrxlevminoffset)−Pcompensation …(25)
Squal = Qqualmeas−(Qqualmin+Qqualminoffset) …(26)
である。
【0088】
また、Qrxlevmeasは、下りリンクにおけるパイロット信号の受信電力値(RSRP)である。また、Qrxlevminは、下りリンクにおける最低限必要な受信電力値である。また、Qrxlevminoffestは、Qrxlevminに対するオフセット値である。
【0089】
また、Pcompensationは、補正値であり、式(27)で表される。
Pcompensation=max(P_EMAX_H−P_PowerClass, 0) …(27)
ここで、P_EMAX_Hは、上位レイヤから通知されるユーザ端末の送信電力の最大値である。また、P_PowerClassは、ユーザ端末の無線区間における帯域に基づく送信電力の最大値である。
【0090】
また、Qqualmeasは、下りリンクにおけるパイロット信号の通信品質値(RSRQ)である。また、Qqualminは、下りリンクにおける最低限必要な通信品質値である。また、Qqualminoffsetは、Qqualminに対するオフセット値である。
【0091】
Qrxlevmeas、Qqualmeasは、ユーザ端末により測定される。また、Pcompensationは、ユーザ端末により算出される。また、Qrxlevmin、Qrxlevminoffest、Qqualmin、及びQqualminoffsetは、基地局からユーザ端末に送信される。
【0092】
閾値Srxlevの構成要素である「Qrxlevmin+Qrxlevminoffset」は、式(28)を用いて算出される。
Qrxlevmin+Qrxlevminoffset=基地局sにおける下りリンクに必要とされる所要受信電力値 …(28)
【0093】
閾値算出部140aは、下りリンクに必要とされる所要受信電力値、すなわち、セル選択するためにユーザ端末400により比較される閾値の構成要素である「Qrxlevmin+Qrxlevminoffset」を、通信設定部150aに出力する。
【0094】
以上のように、閾値算出部140aは、接続する基地局300bをユーザ端末400に選択させるか否かの判定に用いられる閾値の構成要素である「Qrxlevmin+Qrxlevminoffset」を、通信設定部150a及び通信装置200aを介してユーザ端末400に送信する。
この構成により、上りリンクに必要とされる所要通信品質値(所要受信電力値)を満たす基地局をユーザ端末が選択することができるので、これにより、閾値算出装置は、セル選択の失敗による通信断の発生を低減させる閾値を算出することができる。
【0095】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態について図面を参照して詳細に説明する。第3実施形態では、異バンドサーチ又は異システムサーチをユーザ端末に実行させるか否かの判定に関連する閾値について説明する。ここで、異バンドサーチとは、接続基地局が使用している周波数帯(バンド)とは異なるバンドの存在をユーザ端末がサーチすることである。また、異システムサーチとは、接続基地局の通信方式(例えば、LTE)とは異なる方式による通信が周囲に存在するか否かを、ユーザ端末がサーチすることである。以下では、第1実施形態及び第2実施形態との相違点についてのみ説明する。
【0096】
LTEを用いた無線通信システムでは、基地局は、異バンドサーチ又は異システムサーチを実行する指示を、ユーザ端末に送信する。ユーザ端末は、この指示を受信した場合、異バンド若しくは異システムによる受信電力値及び通信品質値を測定し、測定した結果である測定情報をその基地局に送信する。
【0097】
異バンドサーチ又は異システムサーチを常に実施することは、ユーザ端末の消費電力の観点から、好ましくない。そこで、接続基地局との受信電力値(RSRP)又は受信品質値(RSRQ)が一定値より小さくなったことを表す測定情報であるA2MRをユーザ端末から受信した場合、通信装置200aは、異バンドサーチ又は異システムサーチを実行する指示を、そのユーザ端末に送信する。また、A1MRをユーザ端末から受信した場合、通信装置200aは、異バンドサーチ又は異システムサーチをやめる指示を、そのユーザ端末に送信してもよい。
【0098】
以上のように、閾値算出部140aは、異なるシステム又は異なる周波数帯を端末にサーチさせるか否かの判定に使用する情報をユーザ端末400が基地局300aに送信するか否かの判定に用いられる閾値を、通信設定部150a及び通信装置200aを介してユーザ端末400に送信する。
【0099】
同一周波数帯又は同一システムを使用している他の基地局が周辺に多く存在することで、上りリンクの通信品質のみが悪化し、下りリンクの通信品質が良好となった場合でも、異バンドサーチ又は異システムサーチさせるか否かの判定に使用する情報(例えば、A2MR)を、上りリンクの通信品質に応じた閾値に基づいて、ユーザ端末400が基地局300aに送信するので、これにより、閾値算出装置は、異バンドサーチ又は異システムサーチを実行する前に、通信断が発生する事象を低減させる閾値を算出することができる。
【0100】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0101】
例えば、本発明の無線通信システムは、LTEを用いるシステムに限らなくてもよい。
【0102】
また、例えば、閾値には、マージンとして、固定オフセット値がさらに加算されてもよい。
【0103】
また、例えば、閾値算出装置は、基地局よりも上位の基地局管理サーバに備えられてもよい。この場合、基地局とその上位の基地局管理サーバとは、通信回線(ネットワーク)を介して通信可能に接続されるものとする。
【0104】
また、例えば、閾値算出装置は、基地局とその上位の基地局管理サーバとに機能ブロックが分けられて、それぞれに備えられてもよい。例えば、基地局は、上記の推定部及び通信設定部を備え、基地局管理サーバは、上記の記憶部、受信電力算出部、及び閾値算出部を備える。また、基地局とその上位の基地局管理サーバとは、通信回線(ネットワーク)を介して通信可能に接続されるものとする。
【0105】
なお、以上に説明した閾値算出装置を実現するためのプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、そのプログラムをコンピュータシステムに読み込ませて実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0106】
100a…閾値算出装置、110a…推定部、120a…統計情報指示部、130a…記憶部、140a…受信電力算出部、150a…閾値算出部、160a…通信設定部、200a…通信装置、300a,300b,300c…基地局、310a,310b,310c…セル、400…ユーザ端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末から基地局への通信リンクである上りリンクにおける干渉電力値の推定値である推定干渉電力値、上りリンクに必要とされる予め定められた通信品質値、端末の送信電力の最大値、及び基地局から端末への通信リンクである下りリンクにおける基地局の送信電力値を取得し、前記下りリンクにおける基地局の送信電力値の対数値から、前記端末の送信電力の最大値の対数値を減算し、該減算結果に、前記通信品質値の対数値と前記推定干渉電力値の対数値とを加算した値を、端末における受信電力値の対数値とする受信電力算出部と、
前記端末における受信電力値の対数値と、予め定められた条件とに基づいて閾値を算出する閾値算出部と、
を備えることを特徴とする閾値算出装置。
【請求項2】
前記閾値算出部は、ハンドオーバ処理を実行させるか否かの判定に必要な情報を端末が基地局に送信するか否かの判定に用いられる閾値を、通信装置を介して端末に送信することを特徴とする請求項1に記載の閾値算出装置。
【請求項3】
前記閾値算出部は、接続する基地局を端末が選択するか否かの判定に用いられる閾値を、通信装置を介して端末に送信することを特徴とする請求項1に記載の閾値算出装置。
【請求項4】
前記閾値算出部は、異なるシステム又は異なる周波数帯を端末にサーチさせるか否かの判定に使用する情報を端末が基地局に送信するか否かの判定に用いられる閾値を、通信装置を介して端末に送信することを特徴とする請求項1に記載の閾値算出装置。
【請求項5】
コンピュータに、
端末から基地局への通信リンクである上りリンクにおける干渉電力値の推定値である推定干渉電力値、上りリンクに必要とされる予め定められた通信品質値、端末の送信電力の最大値、及び基地局から端末への通信リンクである下りリンクにおける基地局の送信電力値を取得し、前記下りリンクにおける基地局の送信電力値の対数値から、前記端末の送信電力の最大値の対数値を減算し、該減算結果に、前記通信品質値の対数値と前記推定干渉電力値の対数値とを加算した値を、端末における受信電力値の対数値とする手順と、
前記端末における受信電力値の対数値と、予め定められた条件とに基づいて閾値を算出する手順と、
を実行させるための閾値算出プログラム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−175619(P2012−175619A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−38202(P2011−38202)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】