説明

防塵マスク用フィルタケース及び防塵マスク

【課題】本考案は、フィルタの交換時期を適切に判断でき、また、気密性を十分に保つ防塵マスク用フィルタケース及びそれを有する防塵マスクを提供することを目的とする。
【解決手段】本考案は、防塵マスク用フィルタケースのカバーを透明にすることによって、フィルタの色の変化からフィルタ交換時期を判断することを可能にし、また、視認により適切にフィルタが装着されているか第3者が確認することを可能とするものである。すなわち、本考案は、外気取入れ孔(2)を有するカバー(1)と、面体に連結する吸気孔(11)を有するベース(10)との間に、シート状の静電フィルタ(6)を収容することができる防塵マスク用フィルタケースにおいて、カバー(1)が透明であることを特徴とする防塵マスク用フィルタケース及びそれを有する防塵マスクを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電フィルタを交換可能な防塵マスク用フィルタケース、及び、該フィルタケースを有する防塵マスクに関する。
【背景技術】
【0002】
防塵マスクは、塵芥等の微粒子状物質が浮遊する環境下で、これらの有害物質を濾過又は吸着することにより、人体を保護する器具である。防塵マスクは、フィルタが取り替え可能な防塵マスクと、使い捨て型の防塵マスクの2種類に大別することができる。フィルタが取り替え可能な防塵マスクは、通常、顔面に装着する面体と、フィルタを内部に収容して空気を濾過するフィルタケースからなる。フィルタケースは表蓋、裏蓋及びその間に挟持されたフィルタからなる。フィルタとしては、メカニカルフィルタ及び静電フィルタが知られており、メカニカルフィルタはその微細構造により微粒子物質を濾過するものであるのに対し、静電フィルタはフィルタ構成繊維の周面を帯電させることにより微粒子物質を吸着して空気を清浄化するものである。
【0003】
近年、性能の高い静電フィルタが開発されているが、フィルタが取り替え可能な防塵マスクにおいては、気密性を保つようにフィルタを適切に装着しなければ、その性能を十分に発揮することができなかった。また、従来、フィルタの交換時期は、フィルタの目詰まりによる吸気抵抗の増加から判断している。しかし、吸気抵抗での判断では装着者による個人差やフィルタのズレ等により気密性の差などにより、フィルタの交換時期を誤る恐れがあった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで本発明は、ズレ等が生じないようにフィルタを装着することができ、かつ管理者などの第3者もフィルタの交換時期を適切に判断できる防塵マスク用フィルタケース及び該ケースを取り付けた防塵マスクを開発することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決する最適な手段を模索した結果、防塵マスク用フィルタケースの前面の表蓋を透明にすれば、フィルタの装着状態を視認することができ、しかも、フィルタの色等の変化からフィルタ交換時期を適確に判断することができ、さらには、現場の監督者などが防塵マスクの使用状態を容易に把握して、作業員に対する適切な安全指導ができることを見出した。また、これに加えて、裏蓋の両側にそれぞれ一本以上のボス及び一個以上の差し込み突起を設けること、表蓋と裏蓋を連結するヒンジの接合部分に連結孔を設けること、及び、前後に移動して表蓋を固定するスライダーを設けることにより、フィルタケースの気密性が十分に確保できることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0006】
すなわち、本発明は、
1.外気取入れ孔を有する表蓋と、面体に連結する吸気孔を有する裏蓋との間に、シート状の静電フィルタを取り替え可能に狭圧することができる防塵マスク用フィルタケースにおいて、表蓋が透明であることを特徴とする防塵マスク用フィルタケース、
2.表蓋が、静電フィルタの外面周縁への当接部を有し、裏蓋が、静電フィルタの外面周縁への当接部、静電フィルタを固定する両側にそれぞれ一本以上のボス、及び、静電フィルタを固定する両側にそれぞれ一個以上の差し込み突起を有することを特徴とする、上記1に記載のフィルタケース。
3.両側の下角で表蓋と裏蓋がヒンジで連結され、上下に表蓋が開閉できるようにし、且つ、ヒンジの接合部分に、表蓋が裏蓋に対して前後にわずかにスライドできるようにした連結孔を設けた上記2に記載のフィルタケース。
4.裏蓋の両側に取り付けられた前後に移動可能なスライダーで、表蓋を挟んで固定できるようにした、上記3に記載のフィルタケース。
5.上記1〜4のいずれか一項に記載のフィルタケースを有する防塵マスク、
6.(a)請求項1〜4のいずれか一項に記載のフィルタケース及び、(b)平板の中に、お互いに外側に向かって広くなるように、斜めの2本の切り込みを入れ、該2本の切れ込みの途中に2本の切れ込みをつなぐ、別の切れ込みを入れたバンド用留め具及び面体の吸気口突起に差し込める連結口を有し、下部が面体支持部に嵌合できるようになっている面体カバー及び吸気口突起に隣接して楕円形の排気口を設けた面体本体とからなり,該排気口を面体カバー内に収納するように嵌合した面体とからなることを特徴とする請求項5に記載の防塵マスク、
を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、フィルタ前面の表蓋を透明にすることによって、フィルタ全体の装着状態を視認できるため、気密性を保つよう適切にフィルタを装着することができる。また、フィルタの色等の変化からフィルタ交換時期を適確に判断することも可能となる。さらには、現場の監督者などが防塵マスクの使用状態を容易に把握することができるため、作業員に対する適切な安全指導をすることができ、安全意識を高める効果や、フィルタ交換を促す効果も奏するものである。また、該フィルターケースを用いた防塵マスクにおける面体を、脱着が容易な留め具を有する面体カバー及び吸気口突起に隣接して楕円形の排気口を設けた面体本体とからなる面体とすることにより、脱着が容易で、面体における排気口汚染のおそれの少ない防塵マスクとすることが出来るものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の防塵マスク用フィルタケースは表蓋が全面若しくはその1部が透明となっており、外部から内部フィルタの汚れの程度が確認できるようになっていればどのようなフィルタケースであっても支障はないが、下記の実施例で示すように、裏蓋の両側に静電フィルターの両端をずれないように固定するそれぞれ一本以上、好ましくはそれぞれ2〜3本のボス(突起)を有するものが好ましい。該ボスの高さ、太さ等は該ケースに収まり、かつフィルターを固定できるものであれば、特に問わないが、通常は太さ1〜2mm程度、高さ4〜8mm程度である。更には、裏蓋の両側に、該ボスより外側に、静電フィルターがまくれたりしないように、静電フィルターの両端を差し込めるようにした差し込み突起を有するものが好ましい。該差し込み突起は両側にそれぞれ1つ以上あればよいが、通常4角にそれぞれ1個有するのが好ましい。該差し込み突起はフィルタを差し込める高さを有すればよく、フィルタの厚さにもよるが通常は裏蓋面からの隙間が2〜8mm程度、好ましくは3〜5mm程度になるようにすればよい。また、表蓋の開閉はどのような方式であってもよいが、フィルタ面積の大きい実施例に示すような丘型のフィルタケースにおいては、下記実施例に示す下に開閉する方式は好ましい方式の一つである。
【0009】
また、本発明のフィルターケースは通常プラスチック、例えば、ポリプロピレンなどで常法により、各部品を成型し、それらを適宜組み合わせることにより得ることができる。
本発明にかかるフィルタケースはどのような防塵マスクにも適用することが出来る。
【0010】
次に該フィルタケースを用いたより好ましい防塵マスクの1例について説明する。
好ましい防塵マスクの一例は、(a)該フィルタケース及び、(b)脱着容易なバンド用留め具と面体の吸気口突起に差し込める連結口を有し、下部が面体支持部に嵌合できるようになっている面体カバー及び吸気口突起に隣接して楕円形の排気口を設けた面体本体とからなり,該排気口を面体カバー内に収納するように嵌合した面体とからなる防塵マスクを挙げることが出来る。
上記の脱着容易なバンド用留め具としては、平板の中に、お互いに外側に向かって広くなるように、斜めの2本の切り込みを入れ、該2本の切れ込みの途中に2本の切れ込みをつなぐ、別の切れ込みを入れた留め具を挙げることが出来る。
該留め具は本発明における面体カバーの留め具として適しているが、該面体カバーに限らず、その他の脱着容易に固定したいものに応用することが出来る。
また、上記の該留め具を有する面体カバーと吸気口突起に隣接して楕円形の排気口を設けた面体本体とからなり,該排気口を面体カバー内に収納するように嵌合した面体は、本発明にかかる防塵マスクだけでなく、その他の防塵マスク及び防毒マスクなどにおける面体としても使用可能である。
【0011】
上記の留め具によれば、平たい締めバンド等を極めて容易に取り付けが可能であり、該留め具を使用した面体カバーにより、面体への締めバンドの取り付けが容易になる。また、面体に設けられた排気口を、吸気口突起に隣接して設け、かつその形を楕円形とすることにより、該カバー内に、該排気口が入るようにすることができ、面体をコンパクト化できるとと共に、排気口の外気での汚染を少なくすることができるものである。また、面体における面本体と接顔部を二重成型することにより、確実に気密性を保持することができる。
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0012】
以下、本発明の一実施例について添付図面を基に説明する。
図1は、本発明の防塵マスク用フィルタケースの一例を示す分解図である。図2は表蓋の背面図、図3は裏蓋の正面図、図4はフィルタケースの側面図である。図5は、表蓋と裏蓋を嵌合させたときの、側面断面図を示す。図6は、フィルタケースを面体に装着した使用状態を示す図である。
図1に示すように、防塵マスク用フィルタケースは、外気取り入れ孔(2)を有する表蓋(1)、及び、面体に連結する吸気孔(11)を有する裏蓋(10)からなり、表蓋(1)と裏蓋(10)の間に静電フィルタ(6)を収容できる構造となっている。表蓋(1)と裏蓋(10)は両側の下角のヒンジ(5)で連結され、表蓋(1)が上下に開閉できるようになっており、静電(6)フィルタを取り出して交換することができる。連結リング(8)は、裏蓋(10)と面体を連結するために使用するものである。表蓋を透明にすることが本発明の特徴の一つである。裏蓋は透明であっても、不透明であってもよい。本実施例においては、便宜上表蓋及び裏蓋は透明なポリプロピレン材料で成型されている。
【0013】
図2に示すように、表蓋(1)は、外気を取り入れる外気取り入れ孔(2)、静電フィルタの外面周縁を狭圧する当接部(3)、静電フィルタを押さえる複数の小突起(4)、及び、裏蓋(10)と結合させるヒンジ(5)からなる。該小突起(4)は静電フィルタを外気取り入れ孔(2)から適度、例えば2〜8mm、好ましくは3〜5mm程度離して、取り入れられた外気がフィルタ全面から吸引されるようにするもので、通常は取り入れ孔(2)周辺に取り付けられるが、必要に応じてそれ以外の場所にも設けることができる。ヒンジ(5)には裏蓋(10)と結合させる連結孔(18)が設けられている。この連結孔(18)は表蓋(1)の開閉の際、該表蓋がわずか上下に移動できるように細長い孔となっており、開きがスムースになるよう外側がやや太くかつ内側に少しくの字型に曲げられているのが好ましい。この連結孔の大きさは適宜決めればよいが、幅2〜4mm程度、長さ5〜15mm程度である。
図3に示すように、裏蓋(10)は、面体と連結する吸気孔(11)、静電フィルタの外面周縁を狭圧する当接部(12)、静電フィルタを固定する4本のボス(13)、静電フィルタを固定する4個の差し込み突起(14)、表蓋(1)のヒンジ(5)に嵌るヒンジボス(15)、表蓋を挟みこんで固定するスライダー(16)、及び、静電フィルタを支える複数の小突起(17)からなる。該小突起(17)は裏蓋と該静電フィルタの間に隙間を隙間を作り、該静電フィルタ全面から吸気がなされるようにするもので、該目的が達成されるように適宜、配置すればよく、その突起の長さも該目的目的に合わせて適宜決めればよい。通常は3〜8mm程度である。
【0014】
図4に示すように、表蓋(1)と裏蓋(10)は、ヒンジ(5)を介して結合しており、ヒンジ(5)を支点にして表蓋(1)が上下に開閉できるようになっている。そして、ヒンジ(5)の接合部分には、連結孔(18)が設けられており、この連結孔(18)の中でヒンジボス(15)が前後にわずかにスライドできるようになっている。このため、表蓋(1)は裏蓋(10)に対して前後にわずかにスライドでき、表蓋(1)を閉じた後にスライドさせて、表蓋(1)と裏蓋(10)を嵌合させることが可能である。
表蓋(1)と裏蓋(10)を嵌合させた状態のフィルタケースの側面断面図を図5に示す。静電フィルタ(6)は、表蓋側の当接部(3)と裏蓋側の当接部(12)に狭圧され気密が保たれており、静電フィルタ(6)は複数の小突起(4,9,17)で支えられていることから、通気空間(19)が確保され、フィルタの全面で外気を濾過できるようになっている。
【0015】
静電フィルタ(6)を交換する際には、まず、表蓋(1)を開いて使用済みのフィルタを取り出し、次に、新しい静電フィルタ(6)の穴(7)にボス(13)に引っかけて4点を固定し、さらに、静電フィルタ(6)の四隅を差し込み突起(14)に挟ませることにより、フィルタがズレないように十分に固定する。その上で、表蓋(1)を閉じて、スライドさせることにより表蓋(1)と裏蓋(10)を嵌合させ、表蓋(1)に設けられた当接部(3)と裏蓋(10)に設けられた当接部(12)で静電フィルタ(6)を狭圧し、気密かつ完全に固定する。最後に、裏蓋に設けられた前後に移動可能なスライダー(16)で表蓋(1)を挟んで固定することによりフィルタ交換が完了する。本発明を利用したこの構造により、静電フィルタ(6)を狭圧する前にズレが生じる恐れが無くなり、また、静電フィルタ(6)を狭圧した後も、スライダー(16)によって強く固定されるため、気密性を十分に保つことが可能である。また、万一静電フィルタ(6)にズレ等が生じた場合でも、ケース(1)が透明であることから、視認することができる。
図6に示すように、フィルタケース(20)は、顔面に密着するように設計された面体(21)に吸気孔を連結して防塵マスクとして使用するものである。
【0016】
図7は本発明の防塵マスクに用いた留め具の一例である。
1aは留め具の1例であり、平板な留め具用突起の中に切り込み2a及び3aを入れて、本発明の留め具とした例であり、2aはお互いに外側に向かって広くなるように配置された、斜めの2本の切り込みであり、3aは斜めの2本の切り込みをつなげる別の切り込みであり、4aは他の留め具を取り付けられるようにした取り付け穴である。該留め具は留めるべき物品に一体となって付いていてもよいし、また留めるべき物品に連結可能な形にしてあってもいずれでもよい。
1aの留め具の外形は留め具に必要な、お互いに外側に向かって広くなるように配置された、斜めの2本の切り込み2aが入れられる形態であれば特に限定はない。通常は前記切り込みが入る台形や四角などの形態が好ましい。その大きさ、厚さ、形等は使用目的、留め具が形成される場所等に応じて適宜変えることができる。該突起はバンドを挿入する際に、切れ目部分、特に斜めの2本の切り込みをつなげる別の切れ込み3aの内側の部分は、多少持ち上がるように弾力のある材料でできているのが好ましい。該留め具の材料は特に限定されないが、通常はプラスチック、例えばポリプロピレン等の材料が使用される。防塵若しくは防毒マスク用に該留め具を使用する場合、面体と一体成形した張り出し部分に設けてもよいし、また、該面体に装着する面体カバーに該留め具を使用してもよい。その場合の該留め具の大きさは、特に限定はないが、通常最外部の幅が3〜9cm、該留め具の根本から最先端までの長さが3〜5cm程度で、付け根部分の幅は3〜5cm程度、厚さはあまり厚いと取り付けにくくなるので、通常0.5〜3mm程度である。
【0017】
2aのお互いに外側に向かって広くなるように配置された、斜めの2本の切り込みは締めバンドなどのバンドが掛かる部分であり、その斬り込みの長さ、幅、両切り込みの間の角度等は、留めるバンドの幅及び厚さより長くかつ幅広になって該バンドが留めることができれば特に制限はなく、使用目的、使用するバンドの幅、厚さなどに応じて適宜変えることができる。例えば、防塵若しくは防毒マスク用面体カバー用等の場合は、取り付けるバンドの幅が1.5cm前後であれば、切り込みの長さは2〜3cm程度が好ましく、0.5〜3mm程度であれば切り込みの幅が1.5〜4mm程度の範囲内が普通で、両切り込みにおける角度は80〜160度程度、好ましくは90〜130度程度の範囲で適宜決めるのが好ましい。また、該斜めの2本の切り込み部分は力がかかるので、必要に応じてその切り込みの周辺を厚く構成する等の方法で補強するのが好ましい。
【0018】
3aの、斜めの2本の切り込み2をつなげる別の切り込みは該2本の切り込みを切り込みで連結するように切り込まれていれば特に問題はないが、バンドの差し込み易さなどから、外側に向かってふくらんだ円周の一部のような形が好ましい。該別の切り込み3aが切り込み2aと接続する場所は特に限定されないが切り込み2aの中央部よりやや外側寄りに設けるのが好ましく、2aの切り込みにおける内側の最初の部分から該接続部までの距離が取り付けるバンドの幅より大きい方が取り付けやすので好ましい。
4aの、他の留め具を取り付けられるようにした取り付け穴は他の留め具を取り付けられるようになった穴であれば形、大きさ等は特に特に問わないが、通常図に示されるように、内側を留め具の頭を差し込める大きさのややおおき目の円若しくは楕円等の型にし、外側向かって留め具の頭が引っかかり留めることができるようにしたやや細長い穴をつなげた形が一般的である。この取り付け穴の位置は特に限定されないが通常は2つの2aの切り込みの間が好ましい。
【0019】
図8は上記の留め具用いた面体カバーの1例であり、該面体カバーの両側に上記の留め具が用いられている。
5aは面体カバーの本体部であり、6aは面体本体の吸気口に差し込めるようにした連結口であり、7aは該カバーにおける排気口である。
5aの面体カバーの本体部は前部が飛び出した台形をしており、下側は面体本体の上部と嵌合できるようになっており、両側に上記の留め具1aを有し、後部に排気口7aを備えている。排気口7aの位置は特に限定されないが、面体の排気弁の汚染を少なくする意味では該排気弁からできるだけ離れた場所が好ましい。留め具1aは防塵若しくは防毒マスクを装着し易くするようにその留め具の根本で面体に沿って折り曲げられて付けられる。面体に合体させたときできるだけコンパクトとなるよう面体側面に沿って折り曲げられるのが好ましい。その折り曲げの角度は面体側面の角度などによりことなるので一概には言えないが通常は90〜140度、好ましくは95〜120度程度の範囲が好ましい。
【0020】
図9は上記の留め具に取り付けられる締めバンドの一例であり、8aは本発明の留め具に備えられた別の留め具用の取り付け穴に留められる留め具であり、9aは締めバンドであり、10aは締めバンドにおける連結具である。
【0021】
図10は上記の留め具を有する面体カバーを装着できる好ましいマスク面体の本体の一例である。マスク面体の本体は接願部11aとその支持体部12aからなる。支持体部12aには吸気口用突起17aに隣接して設けられた平面部に楕円形の排気口13a、排気口のほぼ中央部に設けられた排気弁留め用凸部14a、吸気口用突起17aの上に設けられたガス吸着缶若しくは防塵フィルターと接続するためのねじが刻まれた筒状の螺嵌部18a、吸気口19a、面体カバーを嵌合できるように階段状の嵌合部20aが設けられている。排気弁留め用凸部14aには、排気弁15aの中央に設けられた排気弁留め用凹部16aが差し込まれ、排気弁15aが固定される。排気弁留め用凸部14aは、排気弁がずれたりしないように、楕円方向に長方形の凸部が設けられるのが好ましく、それに対応して排気弁の留め部凹部も楕円方向に長方形が好ましい。該面体本体における排気口を楕円形とすることにより、吸気口突起に隣接する平面部に設けることが可能となり、面体カバー内に入れることができると共に、面体をコンパクトにすることができる。
【0022】
該マスク面体の本体の接顔部11aとその支持体部12aは2重成形により一体として成形され、気密性が保持される。また、接顔部11aは願面における鼻及び口部を覆い、顔面に密着して気密性が保たれるようになっていればよく、通常顔面の皮膚に密着するような柔らかで表面の滑らかな樹脂等で形成されているのが好ましい。一方、支持体部12aは面体の型を保持できる固さの樹脂が好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明の防塵マスク用フィルタケース、及び該フィルタケースを使用した防塵マスクは、フィルタの装着状態を視認でき、また、フィルタの色等の変化からフィルタ交換時期を適確に判断することが可能であるため、安全性の高い保護具として有用である。また前記の留め具を有する面体カバーと前記の面体本体からなる面体はコンパクトで、かつ面体における排気弁が汚染されにくく、安全性の面より優れている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】フィルタケースの各部品を示す分解図である。
【図2】表蓋の背面図である。
【図3】裏蓋の正面図である。
【図4】フィルタケースの側面図である。
【図5】表蓋と裏蓋を嵌合させたときの、フィルタケースの側面断面図である。
【図6】フィルタケースを面体に装着した使用状態を示す図である。
【図7】留め具の1例を示す。
【図8】該留め具を用いた面体カバーの1例を示す。
【図9】該留め具に取り付けるバンドの1例を示す。
【図10】該留め具を用いた面体カバーを取り付ける面体本体の1例を示す。
【符号の説明】
【0025】
1 :表蓋
2 :外気取り入れ孔
3 :当接部(表蓋側)
4 :小突起(表蓋側)
5 :ヒンジ
6 :静電フィルタ
7 :穴
8 :結合リング
9 :結合リングの小突起
10:裏蓋
11:吸気孔
12:当接部(裏蓋側)
13:ボス
14:差し込み突起
15:ヒンジボス
16:スライダー
17:小突起(裏蓋側)
18:連結孔
19:通気空間
20:フィルタケース
21:面体
1a 留め具
2a 留め具用斜めの切り込み
3a 斜めの2本の切り込みをつなげる別の切り込み
4a 他の留め具を取り付けられるようにした取り付け穴
5a 面体カバーの本体部
6a 面体本体の吸気口に差し込めるようにした連結口
7a 該カバーにおける排気口で
8a 上記留め具に備えられた別の留め具用の取り付け穴に留められる留め具
9a 上記留め具に取り付ける締めバンド
10a 締めバンドにおける連結具
11a 接顔部
12a 支持体部
13a 楕円形の排気口
14a 排気弁留め用凸部
15a 排気弁
16a 排気弁留め用凹部
17a 吸気口用突起
18a ねじが刻まれた筒状の螺嵌部
19a 吸気口
20a 面体カバーを嵌合できるように階段状の嵌合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外気取入れ孔を有する表蓋と、面体に連結する吸気孔を有する裏蓋との間に、シート状の静電フィルタを取り替え可能に狭圧することができる防塵マスク用フィルタケースにおいて、表蓋が透明であることを特徴とする防塵マスク用フィルタケース。
【請求項2】
表蓋が、静電フィルタの外面周縁への当接部を有し、裏蓋が、静電フィルタの外面周縁への当接部、静電フィルタを固定する両側にそれぞれ一本以上のボス、及び、静電フィルタを固定する両側にそれぞれ一個以上の差し込み突起を有することを特徴とする請求項1に記載のフィルタケース。
【請求項3】
両側の下角で表蓋と裏蓋がヒンジで連結され、上下に表蓋が開閉できるようにし、且つ、ヒンジの接合部分に、表蓋が裏蓋に対して前後にわずかにスライドできるようにした連結孔を設けた請求項2に記載のフィルタケース。
【請求項4】
裏蓋の両側に取り付けられた前後に移動可能なスライダーで、表蓋を挟んで固定できるようにした請求項3に記載のフィルタケース。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のフィルタケースを有する防塵マスク。
【請求項6】
(a)請求項1〜4のいずれか一項に記載のフィルタケース及び、(b)平板の中に、お互いに外側に向かって広くなるように、斜めの2本の切り込みを入れ、該2本の切れ込みの途中に2本の切れ込みをつなぐ、別の切れ込みを入れたバンド用留め具及び面体の吸気口突起に差し込める連結口を有し、下部が面体支持部に嵌合できるようになっている面体カバー及び吸気口突起に隣接して楕円形の排気口を設けた面体本体とからなり,該排気口を面体カバー内に収納するように嵌合した面体とからなることを特徴とする請求項5に記載の防塵マスク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−122146(P2006−122146A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−311469(P2004−311469)
【出願日】平成16年10月26日(2004.10.26)
【出願人】(390036881)三光化学工業株式会社 (7)
【Fターム(参考)】