説明

防水型電子機器、及び防水機能の検出報知方法

【課題】防水機能が発揮できない状況の場合に、ユーザに報知することが可能であって、かつ、小型化を実現可能な防水型電子機器を提供すること。
【解決手段】本発明に係る防水型電子機器1は、筐体3に対して着脱自在に構成されたカバー7と、カバー7の筐体7と対向する側に設けられた閉ループを成す導電性防水パッキン25と、筐体3に設けられ、導電性防水パッキン部材25が係合することにより電子部品13が水と接触するのを防止する係合部21と、導電性防水パッキン部材25と係合部21が係合した際に、導電性防水パッキン部材25との電気的接続が実現する筐体に設けられた電極31〜34と、電極31〜34と導電性防水パッキン部材25との電気的接続の有無を検知する検出手段41と、検出手段41により、少なくとも防水機能を発揮できないと検知された場合にユーザに報知する報知手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水機能が要求される携帯電話機,PHS(Personal Handyphon System),その他の情報携帯端末等を含む防水型電子機器に関する。また、防水機能の検出報知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
防水型携帯電話機が防水機能を発揮するためには、各カバー類を正しく装着する必要がある。万一、カバーが緩んでいたり、外れたりしている場合には、防水機能が発揮できず、データ破損・本体破損などの故障の原因となる。これらの理由による故障は、ユーザ責によるため、多大な修理費用がユーザに発生してしまう。そこで、カバー類が正しく装着されていないことをユーザに知らせる方法が特許文献1に提案されている。
【0003】
図10に、特許文献1に開示されたVTR一体型カメラ100の外観斜視図を示す。防水型の外装ケース102に設けられた蓋103、104、105は、それぞれ閉塞位置に保持するためのロックメカニズムを有し、閉塞状態では外装ケース102の内部に対して気密(水密)構造を取るように構成されている。VTR一体型カメラ100には、蓋103、104、105が完全に閉じられた状態にあるか否かを検出する検出スイッチ(不図示)が設けられている。検出スイッチは、蓋103、104、105側に設けられた弾性のある導電性接触片(不図示)と、導電性接触片に対応してケース側に設けられた端子部を備える。
【0004】
蓋103、104、105が完全に閉じられた状態では、蓋側の弾性の導電性接触片がケース側の端子部と接触して導通する。導通の有無を判定することにより各蓋103,104、105それぞれが完全に閉じられているか否かを判別する。そして、防水態勢が不完全な場合には、主要部の電源が入らないようにしたり、主操作ができないようにしたりして使用前にユーザに認知させる。
【0005】
図11に、特許文献1に開示された別のVTR一体型カメラの蓋部近傍の要部断面図を示す。図11は、蓋が完全に閉じ切っていないアンロックの状態を示したものである。
【0006】
図11において、134は回動支軸(ヒンジ)で、蓋(カバー)133はこの回動支軸134を回転中心として外装ケース132に回動可能に保持されている。135は蓋133にスライド可能に保持されたロックレバーで、バネ136によって図示右行方向への偏倚力を付与されている。ロックレバー135の一方端にはロック用係合部135aが形成されており、ロック状態においては、ロック用係合部135aが外装ケース132に形成された係止用凹部137と係合している。138は蓋133の背面側に取り付けられた閉ループを成す防水パッキング部材で、防水性と弾性がある材料で形成されている。139はスイッチ等の電子部品140を搭載した回路基板で、外装ケース132の内部に位置しており、蓋133を開放した際には、外装ケース132の外部へ頭部を露呈させた電子部品140が操作可能なように構成されている。また、132a,133aは外装ケース132と蓋133の外側の表面にそれぞれ施された外装色、133bは蓋133の自由端側の端面及び両側の側端面に施された外装色であり、外装色132a,133aは略同色に、また、外装色133bは、外装色132a,133aに対して対照的な色に設定されている。
【0007】
ロック状態においては、防水パッキング部材138は押圧力によって弾性変形して、蓋133と外装ケース132に密着して水密性を発揮し、耐水性の低い回路基板139,電子部品140等へ水が浸入することを防止している。この際には、蓋133の端面の外装色133bは隠れ、外観上見えないようになっている。
【0008】
これに対し、図11に示したように、蓋133が完全に閉まりきっていない場合には、防水パッキング部材138は外装ケースに密着せず、水密性が損なわれている。この際には、蓋133の端面の外装色133bは外観上に現れる。外装色133bは、他の外装色132a,133aに対して目立つ色とされているので、蓋133がアンロック状態であることをユーザが容易に認知することができる。
【0009】
特許文献2には、電池蓋の開閉を検出可能な構造が提案されている。具体的には、電池カバーを開く方向に付勢する跳上げ機構、跳上げ機構と連動するスイッチSWにより、電池カバーの開閉を検出する構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平8−153977号公報
【特許文献2】特開2007−109535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記図11の例においては、蓋が大きく開いていた場合には有効な方法である。しかしながら、図11の例においては、見た目には殆ど閉じられているものの、防水機能を発揮するには不十分な僅かな蓋の開きがあった場合には、見落とされやすいという問題点があった。
【0012】
上記図10や特許文献2の例においては、見た目には殆ど閉じられているものの、防水機能を発揮するには不十分な僅かな蓋の開きがあった場合にも有効な方法である。しかしながら、図10や特許文献2の例においては、検出スイッチを配設する領域を確保する必要があった。
【0013】
昨今においては、各種電子機器における軽薄短小化の要求は極めて強い。とりわけ、携帯電話機等の情報携帯端末においては、多機能化と小型化の両者を同時に実現する技術が強く求められている。小型化と防水機能が要求される各種電子機器全般においても同様の課題が生じ得る。
【0014】
本発明は、上記背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、防水機能が発揮できない状況の場合にユーザに報知することが可能であって、かつ、小型化を実現可能な防水型電子機器、及び防水機能の検出報知方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る防水型電子機器は、電子部品が搭載された筺体と、前記筐体に対して着脱自在に構成されたカバーと、前記カバーの前記筐体と対向する側に設けられた閉ループを成す導電性防水パッキン部材と、前記筐体に設けられ、前記導電性防水パッキン部材が係合することにより前記電子部品が水と接触するのを防止する係合部と、前記導電性防水パッキン部材と前記係合部が係合した際に、前記導電性防水パッキン部材との電気的接続が実現する前記筐体に設けられた電極と、前記電極と前記導電性防水パッキン部材との電気的接続の有無を検知する検出手段と、前記検出手段により、少なくとも防水機能を発揮できないと検知された場合にユーザに報知する報知手段とを備えるものである。
【0016】
本発明に係る防水機能の検出報知方法は、筐体に着脱自在なカバーに設けられた閉ループを成す導電性防水パッキン部材が、筐体内の係合部に防水機能を発揮するように係合されているか否かを判定し、前記判定結果が、少なくとも前記導電性防水パッキン部材が係合されていないと判定された場合には、ユーザに報知するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、防水機能が発揮できない状況の場合に、ユーザに報知することが可能であって、かつ、小型化を実現可能な防水型電子機器、及び防水機能の検出報知方法を提供することができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態1に係る折り畳み式携帯電話機の正面外観図。
【図2】本実施形態1に係る折り畳み式携帯電話機の入力部側筺体の背面側の平面図。
【図3A】本実施形態1に係る折り畳み式携帯電話機の入力部側筺体の電池カバーを取り外した際の背面側の平面図。
【図3B】本実施形態1に係る電池カバーの入力部側筺体と対向する側の平面図。
【図4A】図3AのIVA−IVA切断部の一部拡大端面図。
【図4B】図3AのIVB−IVB切断部の一部拡大端面図。
【図4C】図3AのIVC−IVC切断部の一部拡大端面図。
【図4D】図3BのIVD−IVD切断部端面図。
【図5】本実施形態1に係る折り畳み式携帯電話機の内部構成を説明するためのブロック図。
【図6】本実施形態1に係る検出回路の回路構成を説明するための説明図。
【図7A】本実施形態1に係る防水機能の検出報知方法を説明するためのフローチャート図。
【図7B】本実施形態1に係る防水機能の検出報知方法を説明するためのフローチャート図。
【図8A】本実施形態2に係る折り畳み式携帯電話機の入力部側筺体の電池カバーを取り外した際の背面側の平面図。
【図8B】本実施形態2に係る電池カバーの入力部側筺体と対向する側の平面図。
【図9A】図8AのIXA−IXA切断部の一部拡大端面図。
【図9B】図8AのIXB−IXB切断部の一部拡大端面図。
【図9C】図8AのIXC−IXC切断部の一部拡大端面図。
【図9D】図8BのIXD−IXD切断部端面図。
【図10】特許文献1に開示された防水機能付きVTR一体型カメラの外観を示す斜視図。
【図11】特許文献1に開示された防水機能付きVTR一体型カメラの蓋部近傍要部拡大断面図(アンロック時)。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を適用した実施形態の一例について説明する。なお、以降の図における各部材のサイズや比率は、説明の便宜上のものであり、実際のものとは必ずしも一致しない。
【0020】
[実施形態1]
図1は、本実施形態1に係る防水型電子機器たるカメラ機能付の折り畳み式携帯電話機1の正面外観図である。図1は、表示部側筐体2の面と入力部側筐体3の面を開いた状態のディスプレイ側の外観図である。図1に示すように、折り畳み式携帯電話機1は、表示部側筐体2、入力部側筐体3、ヒンジ4、表示部5,キー操作部6、電池カバー7、受話スピーカ8、音声等を集音するためのマイク9等を備えている。
【0021】
表示部側筐体2と入力部側筐体3とは、ヒンジ4により回動可能に連結された構造となっており,ヒンジ4を回動させることにより,表示部側筐体2が入力部側筐体3に対して開閉されるようになっている。
【0022】
表示部側筐体2には,表示部5,受話スピーカ8等が備えられている。表示部5は,画像,電話番号等のデータ,各種メニュー,操作説明等の情報を表示する役割を担い,例えば,LCD(Liquid Crystal Display)等により構成される。受話スピーカ8は,受話音声を鳴動する役割を担う。
【0023】
入力部側筐体3の正面側には,文字や数字,記号を入力するボタン,電源のON/OFFボタン等のキー操作部6、マイク9等が備えられている。入力部側筺体3の内部には、回路基板やバッテリーが搭載されている。
【0024】
図2に、本実施形態1に係る折り畳み式携帯電話機1の入力部側筺体3の背面側の平面図を示す。同図に示すように、入力部側筺体3の背面側には、電池カバー7、LED10、着信メロディー等を鳴動するスピーカ11、カメラ部12等を備えている。カメラ部12は,撮像素子(CCD等)と作動時に入力される光学系の画像信号を画像データとしてデジタル信号に変換する回路を備えている。
【0025】
電池カバー7は、バッテリーを交換する際に、バッテリーを取り出し可能とするための蓋として機能するカバーであり、入力部側筺体3の背面側において着脱自在に取り付けられている。完全に電池カバーが閉じられている状態では、入力部側筺体3の内部に対して、気密(水密)構造をとるように構成されている。
【0026】
図3Aに、本実施形態1に係る入力部側筺体3の電池カバー7を取り外した際の背面側の正面図を、図3Bに、電池カバー7のうち、入力部側筐体3と対向する側の正面図を示す。また、図4Aに図3AのIVA−IVA切断部の一部拡大端面図を、図4Bに図3AのIVB−IVB切断部の一部拡大端面図を、図4Cに図3AのIVC−IVCの切断部の一部拡大端面図を示す。また、図4Dに図3BのIVD−IVD切断部端面図を示す。
【0027】
バッテリー13は、図3A,図4B及び図4Cに示すように、入力部側筐体3の背面側に設けられた筺体23により構成された凹部22に収容されている。入力部側筐体3の背面側には、電池カバー7の導電性ゴム25を係合させるための係合部として機能するスリット21が設けられている。
【0028】
スリット21は、バッテリー13を収容する凹部22を取り囲むように枠体状に設けられている。本実施形態1においては、矩形状の4辺からなるスリット21の各辺の略中央部に4つの窪み部26が設けられている(図3A参照)。そして、これらの窪み部26に、第1電極31、第2電極32、第3電極33、第4電極34が埋設されている。第1電極31、第2電極32、第3電極33、第4電極34の表面は、スリット21の底面よりも低い位置となるように配置されている(図4A参照)。第1電極31〜第4電極34の表面の高さについては、後述する。
【0029】
電池カバー7は、図3B、図4Dに示すように、板状部材24、閉ループを成す導電性防水パッキン部材として機能する導電性ゴム25を備える。導電性ゴム25は、板状部材24のうちの入力部側筐体3と対向する側の主面上に、板状部材24の周部近傍に沿うように配設されている。換言すると、スリット21と係合する位置に導電性ゴム25が配置されている。なお、電池カバー7の入力部側筺体3への閉塞状態を保持するためのロック機構、電池カバー7の着脱を容易化するための着脱機構などは、公知の技術を適宜用いてもよい。
【0030】
導電性ゴム25は、押圧力によって弾性変形して、スリット21に密着して水密性を発揮し、耐水性の低いバッテリー13、内部回路等の電子部品に水が浸入することを防止している。なお、閉ループを成す導電性防水パッキン部材として、本実施形態1においては、導電性ゴムを用いる例を説明するが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において他の部材を用いてもよい。また、閉ループを成す防水パッキン部材の少なくとも電極と電気的接続をとる面(本実施形態1においては、スリット21の底面部と当接する面)において、閉ループを成す導電材をコーティングしたもの、閉ループを成す導電材を接合したもの等を用いてもよい。すなわち、導電性は、少なくとも電極と当接する面において閉ループを成すように付与されていれば良く、他の部分は、必ずしも導電性が付与されていなくてもよい。但し、防水性、製造工程の短縮等の観点からは、一種類の材料により導電性防水パッキン部材を構成することが好ましい。
【0031】
第1電極31、第2電極32、第3電極33、第4電極34の表面の位置は、電池カバー7の導電性ゴム25がスリット21に確実に係合した場合に、導電性ゴム25と接触する位置とする。すなわち、導電性ゴム25がスリット21に確実に係合して圧縮された場合のみ、第1電極31、第2電極32、第3電極33、第4電極34と導電性ゴム25が電気的に接続されるように第1電極31〜第4電極34を配置する。
【0032】
なお、本実施形態1においては、電極として第1電極31〜第4電極34の4つを設ける例を述べたが、カバーの大きさ等に応じて電極の配設個数は任意である。また、各電極の配置位置や形状も任意である。各電極を配設する窪み部の形状、配置位置についても同様である。また、導電性ゴム25及びスリット21の形状も任意である。
【0033】
図5に、本実施形態1に係る折り畳み式携帯電話機の内部ブロック図を示す。折り畳み式携帯電話機1は、各動作を制御する制御部40、上述した電池カバー7が防水機能を発揮するために十分な状態で入力部側筐体3に装着されているか否かを検知する検出回路41、検出結果等を記憶するメモリ42等が内蔵されている。同図に示すように、第1電極31、第2電極32、第3電極33、第4電極34は、検出回路41に接続されている。また、制御部40は,表示部55、キー操作部6、LED10、バッテリー13、メモリ42に接続されている。
【0034】
図6は、本実施形態1に係る検出回路41の回路構成を示した説明図である。説明の便宜上、検出回路41に接続される制御部40、報知手段45、第1電極31〜第4電極34、導電性ゴム25も図示する。
【0035】
検出回路41は、第1ゲート51、第2ゲート52、第3ゲート53を備える。また、検出回路41は、第1ゲート51に接続される第1電源54、第2ゲート52に接続される第2電源55、第3ゲート53に接続される第3電源56を備える。
【0036】
第1ゲート51の第1の入力部61は、第1電極31に接続され、第1ゲート51の第2の入力部62は、第2電極32に接続される。また、Pull−UP抵抗80が、第1の入力部61と第1電極31間のノードa、及び第1電源54と第1ゲート51間のノードb間に配設されている。第1Pull−DOWN抵抗81の一端は、第2の入力部62と第2電極32の間に設けられたノードcに接続され、他端部は、接地されている。第1ゲート51の出力部71は、第3ゲート53の第1の入力部65に入力される。
【0037】
第2ゲート52の第1の入力部63は、第3電極33に接続され、第2ゲート52の第2の入力部64は、第4電極34に接続される。第2Pull−DOWN抵抗82の一端は、第2ゲート52の第1の入力部63と第3電極33の間に設けられたノードdに接続され、他端部は、接地されている。同様にして、第3Pull−DOWN抵抗83の一端は、第2ゲート52の第2の入力部64と第4電極34の間に設けられたノードeに接続され、他端部は接地されている。第2ゲート52の出力部72は、第3ゲート53の第2の入力部66に入力される。第3ゲート53の出力部73は、制御部40に入力される。そして、制御部40は、報知手段45に検知結果を報知するように指示する。
【0038】
導電性ゴム25と第1電極31及び第2電極32が電気的に接続された場合には、第1ゲート51の第1の入力部61、第2の入力部62にHighが入力されるようになっている。第1の入力部61、第2の入力部62にHighが入力された場合には、第1ゲート51の出力部71は、High出力となるようになっている。すなわち、第1電極31及び第2電極32と、導電性ゴム25とが電気的に接続された場合には、第1ゲート51の出力部71は、High出力となるように設定されている。
【0039】
第2ゲート52においては、第1電極31と導電性ゴム25が接続された状態において、第3電極33及び第4電極34と、導電性ゴム25とが電気的に接続された場合に、第1の入力部63、第2の入力部64にHighが入力されるようになっている。第1の入力部63、第2の入力部64にHighが入力された場合には、第2ゲート52の出力部72は、High出力となるように設定されている。
【0040】
第1ゲート51の出力部71、第2ゲート52の出力部72からHighが出力された場合には、第3ゲート53の出力部73からHighが出力されるようになっている。すなわち、電池カバー7における防水機能が十分発揮できる状態になっている場合に,第3ゲート53の出力部73からHighが出力される。換言すると、導電性ゴム25がスリット21にしっかりと係合し、導電性ゴム25が圧縮されて第1電極31〜第4電極34と電気的に接続した場合に、第3ゲート53の出力部73からHighが出力される。第3ゲート53の出力部73の出力は、制御部40に入力される。
【0041】
ここで、第1電極31〜第3電極34のいずれか1つでも導電性ゴム25と接続されない箇所があった場合には、第3ゲート53の出力部73からHighが出力されない。第1電極31と導電性ゴム25が接続されていない場合、第1電極31と導電性ゴム25が接続されているが、他の第2電極32、第3電極33、第4電極34のいずれかと導電性ゴム25が接続されていない場合には、第3ゲート53の出力部73からLowが出力される。
【0042】
制御部40は、第3ゲート53の出力部73からの出力結果を受け、その結果を報知手段45によりユーザに報知する。報知手段45は、例えば、ユーザに視覚的に知らせる表示部5、ユーザに聴覚的に知らせるスピーカ11などを利用することができる。また、主電源が入らないようにしたり、主操作ができないようにしたりする方法を採用したり、これらを組み合わせたりすることができる。また、制御部40は、第3ゲート53の出力部73からの出力結果をメモリ42に保存する。
【0043】
図7Aに、本実施形態1に係る折り畳み式携帯電話機において、電源が入っている場合の電池カバーのセット状態の防水機能の検出報知方法を説明するためのフローチャート図を示す。
【0044】
まず、制御部40の指令により、検出回路41を用いて導電性ゴム25と第1電極31〜第4電極34との接続状態の検出を開始する(Step11)。そして、導電性ゴム25と第1電極31〜第4電極34との接続状態について判定する(Step12)。Step12において、検出回路41から制御部40への入力がHighであった場合には、電池カバー7が正しい位置にセットされており、防水機能として問題ないことを制御部40を介して表示部5にアイコンなどで表示し、エンドユーザに報知する(Step13)。また、その報知情報は、メモリ42の不揮発エリアに保存する(Step13)。
【0045】
一方、Step12において、導電性ゴム25と第1電極31〜第4電極34との接続状態について判定した結果、検出回路41における制御部40への入力がLowであった場合には、電池カバー7が正しくセットされておらず防水機能として問題があることを表示部5にアイコンなどで表示し、エンドユーザに報知する(Step14)。また、その報知情報はメモリ42の不揮発エリアに保存する(Step14)。
【0046】
図7Bに、本実施形態1に係る折り畳み式携帯電話機において、電源が入っていない場合の電池カバーのセット状態の防水機能の検出報知方法を説明するためのフローチャート図を示す。
【0047】
まず、制御部40の指令により、検出回路41を用いて導電性ゴム25と第1電極31〜第4電極34との接続状態の検出を開始する(Step21)。制御部40、検出回路41等の電源は、バッテリー13から直接給電するようにする。まず、検出回路41を用いて、導電性ゴム25と第1電極31〜第4電極34との接続状態について判定し(Step22)、検出回路41における制御部40への入力がHighであった場合には、電池カバー7が正しい位置にセットされており、表示部5に防水機能として問題ないことをアイコンなどで表示し、エンドユーザに報知する(Step22)。また、その報知情報は、メモリ42の不揮発エリアに保存する(Step23)。
【0048】
一方、Step21において、検出回路41における制御部40への入力がLowであった場合には、電池カバー7が正しくセットされていないことを、表示部5に防水機能として問題があることをアイコンなどで表示し、エンドユーザに報知する(Step24)。また、その報知情報はメモリ42の不揮発エリアに保存する(Step24)。なお、電流消費を最小に抑えるため、防水機能として問題ない場合には、LED11を消灯状態とし、防水機能に問題がある場合にのみLED11を点灯するようにしてもよい。
【0049】
本実施形態1によれば、防水型携帯電話機において、防水機能が発揮できない状況の場合に、ユーザに報知することが可能であるという優れた効果を有する。また、閉ループを成す防水パッキン部材に導電性を付与した部材を用いることにより、上記特許文献1のように、ユーザに報知するための検出スイッチを配設する領域や部材を別途確保する必要がない。このため、小型化を実現することができる。
【0050】
また、カバーの検出結果をメモリに保存するようにすることにより、エンドユーザ責任による水の侵入であるか、製品不具合による水の侵入であるかを判別することが可能となる。これにより、故障後のカスタマーサービスへのフィードバックを行うことができる。
【0051】
また、バッテリーにより直接給電するシステムを適用することにより、電源が入っていない場合にも、カバーの状態を検知することが可能となるとうい優れた効果を有する。さらに、導電性ゴム25と、第1電極31〜第4電極34との接続状況を、それぞれ個別に判断するのではなく、全ての電極と導電性ゴムとが接続されているか否かを判定する構成としたので、検出回路の小型化を実現することができる。
【0052】
なお、本実施形態1においては、カバーとして電池カバーの例を説明したが、カバー全般に対して本発明を適用することができる。また、検出回路41の構成は、一例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。
【0053】
また、本実施形態1においては、電池カバー7が完全に閉まっており、防水機能に問題がない場合においても、表示部5にその旨を表示する例を説明したが、少なくとも防水機能に問題がある場合にのみ、ユーザに報知するようにしてもよい。
【0054】
また、上記実施形態1においては、記憶手段としてメモリ42を設ける構成を説明したが、検知結果を保存する機能まで必要ないと判断した場合には、検知結果を保存する機能を設けなくてもよい。また、主電源を落としている場合に防水機能が不要等の場合には、上述した図7Bのフローチャートで示す報知機能を付与しなくてもよい。内部にバッテリー等の給電源を内蔵していない電子機器についても同様である。
【0055】
[実施形態2]
次に、上記実施形態1とは異なる折り畳み式携帯電話機の例について説明する。なお、以降の説明において、上記実施形態1と同一の要素部材には同一の符号を付し、適宜その説明を省略する。
【0056】
本実施形態2に係る折り畳み式携帯電話機1aは、以下の点を除く基本的な構造は上記実施形態1と同様である。すなわち、上記実施形態1においては、導電性ゴム25と係合させる箇所として、スリット21を設けていたが、本実施形態2においては、導電性ゴム25と係合させる係合部として筐体側−壁部20を具備している点において相違する。また、本実施形態2においては、電池カバー7aの構成として、板状部材24の導電性ゴム25が設けられている側の最外周に、カバー側−壁部30を設けている点が相違する。カバー側−壁部30と導電性ゴム25は、当接するように配設されていてもよいし、離間していてもよい。
【0057】
図8Aに、本実施形態2に係る入力部側筺体3aの電池カバー7aを取り外した際の背面側の正面図を、図8Bに、電池カバー7aのうち、入力部側筐体3aと対向する側の正面図を示す。また、図9Aに図8AのIXA−IXA切断部の一部拡大端面図を、図9Bに図8AのIXB−IXB切断部の一部拡大端面図を、図9Cに図8AのIXC−IXCの切断部の一部拡大端面図を示す。また、図9Dに図8BのIXD−IXD切断部端面図を示す。
【0058】
電池カバー7aは、バッテリー13を交換する際に、バッテリー13を取り出し可能とするための蓋として機能するカバーであり、入力部側筺体3aの背面側において着脱自在に取り付けられている。完全に電池カバーが閉じられている状態では、入力部側筺体3aの内部に対して、気密(水密)構造をとるように構成されている。
【0059】
バッテリー13は、図8A,図9B及び図9Cに示すように、入力部側筐体3aの背面側に設けられた筺体23により構成された凹部22に収容されている。入力部側筐体3aの背面側には、電池カバー7aの導電性ゴム25を係合させるための係合部として機能する筐体側−壁部20が設けられている。
【0060】
筐体側−壁部20は、バッテリー13を収容する凹部22を形成する役割も担う。本実施形態2においては、筐体側−壁部20より外側に設けられた枠状の各辺の略中央部に窪み部26が設けられている。そして、これらの窪み部26に、第1電極31、第2電極32、第3電極33、第4電極34が埋設されている。第1電極31、第2電極32、第3電極33、第4電極34の表面は、筐体側−壁部20の外側に配置された筺体の底面よりも低い位置となるように配置されている。第1電極31〜第4電極34の表面の高さについては、上記実施形態1で述べたとおりである
【0061】
電池カバー7aは、図8B、図9Dに示すように、板状部材24、閉ループを成す導電性防水パッキン部材として機能する導電性ゴム25、カバー側−壁部30を備える。導電性ゴム25は、板状部材24のうちの入力部側筐体3と対向する側の主面上に、板状部材24の周部近傍に沿うように配設されている。そして、導電性ゴム25の外側には、閉ループを成すカバー側−壁部30が設けられている。換言すると、筐体側−壁部20の外周部側と係合する位置に導電性ゴム25が配置されている。
【0062】
導電性ゴム25は、押圧力によって弾性変形して、筐体側−壁部20に密着して水密性を発揮し、耐水性の低いバッテリー13、内部回路等に水が浸入することを防止している。
【0063】
本実施形態2によれば、上記実施形態1と同様の効果を得ることができる。
【0064】
なお、上記実施形態1及び2においては、電子機器の例として、携帯電話機を例にとり説明したが、防水機能が要求される電子機器全般に対して、本発明を適用することが可能である。また、本発明の趣旨に合致する限り、他の実施形態も本発明の範疇に属し得ることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0065】
1 折り畳み式携帯電話機
2 表示部側筐体
3 入力部側筐体
4 ヒンジ
5 表示部
6 キー操作部
7 電池カバー
8 受話スピーカ
9 マイク
10 LED
11 スピーカ
12 カメラ部
13 バッテリー
20 筐体側−壁部
21 スリット
22 凹部
23 筺体
24 板状部材
25 導電性ゴム
26 窪み部
30 カバー側−壁部
31 第1電極
32 第2電極
33 第3電極
34 第4電極
40 制御部
41 検出回路
42 メモリ
51 第1ゲート
52 第2ゲート
53 第3ゲート
54 第1電源
55 第2電源
56 第3電源
71、72、73 出力部
80 Pull−UP抵抗
81 第1Pull−DOWN抵抗
82 第2Pull−DOWN抵抗
83 第3Pull−DOWN抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が搭載された筐体と、
前記筺体に対して着脱自在に構成されたカバーと、
前記カバーの前記筐体と対向する側に設けられた閉ループを成す導電性防水パッキン部材と、
前記筐体に設けられ、前記導電性防水パッキン部材が係合することにより前記電子部品が水と接触するのを防止する係合部と、
前記導電性防水パッキン部材と前記係合部が係合した際に、前記導電性防水パッキン部材との電気的接続が実現する前記筐体に設けられた電極と、
前記電極と前記導電性防水パッキン部材との電気的接続の有無を検知する検出手段と、
前記検出手段により、少なくとも防水機能を発揮できないと検知された場合にユーザに報知する報知手段と
を備える防水型電子機器。
【請求項2】
前記導電性防水パッキン部材は、導電性ゴムであることを特徴とする請求項1に記載の防水型電子機器。
【請求項3】
前記電極は、前記スリットの底部に設けられた窪み部に、当該底部よりも深部にその表面が配設されるように埋設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の防水型電子機器。
【請求項4】
前記係合部は、環状のスリットであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の防水型電子機器。
【請求項5】
前記検出手段による検知結果は、記憶手段により保存されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の防水型電子機器。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の防水型電子機器は、情報携帯端末であることを特徴とする防水型電子機器。
【請求項7】
筐体に着脱自在なカバーに設けられた閉ループを成す導電性防水パッキン部材が、筐体内の係合部に防水機能を発揮するように係合されているか否かを判定し、
前記判定結果が、少なくとも前記導電性防水パッキン部材が係合されていないと判定された場合には、ユーザに報知する防水機能の検出報知方法。
【請求項8】
前記判定結果は、記憶手段により保存することを特徴とする請求項7に記載の防水機能の検出報知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−166668(P2011−166668A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−30144(P2010−30144)
【出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】