説明

防汚塗料組成物及び防汚方法

【課題】海中構造物の基材に塗布、硬化させることにより、これらの表面への水生生物の付着を防止することができ、しかも環境汚染、安全衛生面からも問題を生じない防汚塗料組成物、及びこれを用いた海洋汚染環境中の上記基材の汚染を防止する防汚方法を提供する。
【解決手段】(A)分子鎖の両末端が水酸基で封鎖されたジオルガノポリシロキサン、(B)1分子中にケイ素原子に結合した加水分解性基を少なくとも3個有する有機ケイ素化合物、及び(C)下記一般式
Rf−X−SiR1n3-n
(式中、Rfは数平均分子量400〜10,000のパーフルオロポリエーテル基、Xは2価の有機基、R1は炭素数1〜6の1価炭化水素基、又は炭素数6〜12のアリール基であり、nは0〜2の整数、Zは加水分解性基である。)
で示されるパーフルオロポリエーテル化合物を含有してなる防汚塗料組成物、及び該防汚塗料組成物を基材に塗布し硬化させる防汚方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶、橋梁、海上タンク、港湾施設、海底基地、海底油田掘削設備、発電所の導水路管、養殖網、定置網などの海中構造物の基材に塗布、硬化させることにより、これらの表面への水生生物の付着を防止することができ、しかも環境汚染、安全衛生面からも問題を生じない防汚塗料組成物、及びこれを用いた海洋汚染環境中の上記基材の汚染を防止する防汚方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、船舶、橋梁、海上タンク、港湾施設、海底基地、海底油田掘削設備、発電所の導水路管、養殖網、定置網などの海中構造物にはフジツボ、カキ、ホヤ、フサコケムシ、アオサ、アオノリなどの水生生物が多数付着し、構造物体の腐食や船舶航行速度の低下を引き起こすため、一般に、海中構造物に毒性防汚剤やブリードオイルを配合した防汚塗料を塗布する防汚方法が採られている。
特許第2865518号公報(特許文献1)には、従来より、シリコーンゴムのコーティングが水生生物の付着防止に有効なことが知られているが、それだけでは効果が不十分なので、シリコーンゴムにフッ素系の界面活性剤を添加する方法が開示されている。しかし、このようなコーティングは初期には汚染防止効果が見られるが、界面活性剤が徐々に放出されるので時間とともに汚染防止効果が低下するという問題があった。
特表2003−535938号公報(特許文献2)には、両末端にアルコキシシリル基を有するパーフルオロポリエーテルを主体とする塗料組成物が開示されている。しかし、この塗料組成物は、高価なポリマーを主成分とするためコスト的に高く、広範な用途に適用しにくいという問題があった。
特表2004−531600号公報(特許文献3)には、硬化性のポリマーに液状のフッ素化アルキル又はアルコキシ含有ポリマー又はオリゴマーを添加する組成物が開示されている。しかし、これも主成分とは反応しないポリマー又はオリゴマーが徐々にブリードアウトするものなので、長期間経つと汚染防止効果が低下したり、毒性は低いとはいえ環境中に難分解性の物質を放出するという問題があった。
特許第2819371号公報(特許文献4)には、分子鎖の両末端が水酸基で封鎖されたジオルガノポリシロキサンとその架橋剤を主成分とした室温硬化性シリコーンに対して、両末端にアルコシキシリル基を有するフッ素化合物を添加した組成物が、建築用シーラントの汚染防止に有効なものとして開示されている。しかし、両末端に官能基を持つために反応性が高く、表面にブリードアウトする前にシロキサンの架橋構造に取り込まれやすく、また、表面に出ても両末端が拘束されフッ素セグメントが有効に働かないので、海洋環境中の厳しい汚染に対しては十分な汚染防止効果が発揮されないという問題があった。
また、海中構造物への水生生物の付着、繁殖を防止するために、有機すず化合物や亜酸化銅などの毒性防汚剤を塗布する方法も採られている。しかし、このような毒性防汚剤を用いる方法や、あるいは上述したような無官能性のブリード成分を配合した防汚塗料を用いる方法は、いずれもこれらの防汚剤が海水に溶解あるいは分散、沈降して魚介類や人体にまで悪影響を及ぼすため、環境汚染、安全衛生の面からも社会問題になってきているという実情がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2865518号公報
【特許文献2】特表2003−535938号公報
【特許文献3】特表2004−531600号公報
【特許文献4】特許第2819371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、船舶、橋梁、海上タンク、港湾施設、海底基地、海底油田掘削設備、発電所の導水路管、養殖網、定置網などの海中構造物の基材に塗布、硬化させることにより、これらの表面への水生生物の付着を防止することができ、しかも環境汚染、安全衛生面からも問題を生じない防汚塗料組成物、及びこれを用いた海洋汚染環境中の上記基材の汚染を防止する防汚方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は、上記目的を達成するため種々検討した結果、(A)基本的に安価で安全で防汚性のある分子鎖の両末端が水酸基で封鎖されたジオルガノポリシロキサン、(B)1分子中にケイ素原子に結合した加水分解性基を少なくとも3個有する有機ケイ素化合物、及び(C)後述する式(1)で示されるパーフルオロポリエーテル化合物を含有してなる防汚塗料組成物、及び該防汚塗料組成物を基材に塗布し硬化させることにより、海洋汚染環境中の基材の汚染を防止する防汚方法が、基材表面への水生生物の付着防止に有効であり、しかも環境汚染、安全衛生面からも問題を生じないことを見出し、本発明をなすに至った。
つまり、本発明においては、成分(C)のパーフルオロポリエーテル化合物は、主成分である成分(A)のシロキサンとの相溶性が低いため、シロキサンの硬化過程で塗料の表面に偏析しながら、その片末端のアルコキシシリル基などの加水分解性基を介して、シロキサンの架橋構造に組み込まれていく。従って、組成物硬化後も成分(C)のパーフルオロポリエーテル化合物のパーフルオロポリエーテル基が自由に動き、効果的に塗料表面に配向して高い防汚性を発揮することができ、しかも、上述の通り、成分(C)の片末端の加水分解性基が、シロキサンの架橋構造にしっかり組み込まれて捕捉されているので、高い防汚性を持った成分が環境中に放出されることがなく、長期に亘って高い防汚効果を発揮して、海中構造物の腐食や船舶航行速度の低下を防止し、また、環境汚染、安全衛生面からも問題を生じない。
【0006】
即ち、本発明は、下記防汚塗料組成物及び防汚方法を提供する。
請求項1:
(A)分子鎖の両末端が水酸基で封鎖されたジオルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)1分子中にケイ素原子に結合した加水分解性基を少なくとも3個有する有機ケイ素化合物:0.5〜30質量部、及び
(C)下記一般式(1)
Rf−X−SiR1n3-n (1)
(式中、Rfは数平均分子量400〜10,000のパーフルオロポリエーテル基、Xは2価の有機基、R1は炭素数1〜6の1価炭化水素基、又は炭素数6〜12のアリール基であり、nは0〜2の整数、Zは加水分解性基である。)
で示されるパーフルオロポリエーテル化合物:0.1〜30質量部
を含有することを特徴とする海洋汚染環境中の基材の汚染を防止する防汚塗料組成物。
請求項2:
成分(C)が下記一般式(2)
Rf−X−SiR1n(OR23-n (2)
(式中、Rf、X、R1は上記と同様、R2は独立して炭素数1〜6の1価炭化水素基、又は炭素数6〜12のアリール基である。)
で示されることを特徴とする請求項1記載の海洋汚染環境中の基材の汚染を防止する防汚塗料組成物。
請求項3:
Rfが下記構造式(3)
F(CF2O)l(CFXCF2O)m(CF2CF2CF2O)nCFX(CF2a− (3)
(式中、XはF又はCF3であり、l,m,n,aは400〜10,000の数平均分子量を与える整数である。)
を有することを特徴とする請求項1又は2記載の海洋汚染環境中の基材の汚染を防止する防汚塗料組成物。
請求項4:
請求項1〜3のいずれか1項に記載の防汚塗料組成物を基材に塗布し硬化させることを特徴とする海洋汚染環境中の基材の汚染を防止する防汚方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、船舶、橋梁、海上タンク、港湾施設、海底基地、海底油田掘削設備、発電所の導水路管、養殖網、定置網などの海中構造物の基材表面への水生生物の付着を防止することができ、しかも環境汚染、安全衛生面からも問題を生じない防汚塗料組成物、及びこれを用いた海洋汚染環境中の上記基材の汚染を防止する防汚方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
[成分(A)]
成分(A)は、分子鎖の両末端が水酸基で封鎖されたジオルガノポリシロキサンであり、下記一般式(4)で示される。
【化1】

(式中、Rは同一又は異種の炭素数1〜8のアルキル基、シクロヘキシル基、アルケニル基、アリール基で、好ましくはメチル基である。nは10以上の整数であり、好ましくはこのジオルガノポリシロキサンの25℃における粘度が100〜100,000mm2/sの範囲となる整数である。)
粘度が100mm2/sよりも少ないと、硬化した塗料がもろくなり、塗料として傷がつきやすくなることがあり、100,000mm2/sより多いと、塗料の粘度が高くなりすぎて、塗布が難しくなることがあるため好ましくない。
【0009】
[成分(B)]
成分(B)は、1分子中にケイ素原子に結合した加水分解性基を少なくとも3個有する有機ケイ素化合物である。このような有機ケイ素化合物は、1分子中にケイ素原子に結合した加水分解性基が少なくとも3個有すればよく、該加水分解性基が部分的に加水分解していてもよい。
【0010】
加水分解基としては、例えばアルコキシ基、ケトオキシム基、アシルオキシ基、アミノ基、アミド基、アルケニルオキシ基などが挙げられる。
【0011】
このような有機ケイ素化合物としては、例えばメチルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリス(ジメチルケトオキシム)シラン、ビニルトリアセトキシシラン、フェニルトリス(N−メチルアセトアミド)、ビニルトリス(N,N−ジエチルアミノ)シラン、及びこれらの部分加水分解物、テトラエチルシリケートなどが挙げられる。
【0012】
このような成分(B)の配合量は、成分(A)100質量に対して0.5〜30質量部の範囲であることが好ましく、より好ましくは2.0〜15質量部の範囲である。0.5質量部より少ないと、保存安定性が悪くなったり、硬化物が所定の硬さまで硬化しないなど目的とする物性が発現しないことがあり、30質量部より多いと、硬化時の収縮率が過大となり、硬化物の弾性も低下することがあるため好ましくない。
【0013】
[成分(C)]
成分(C)は、下記一般式(1)
Rf−X−SiR1n3-n (1)
(式中、Rfは数平均分子量400〜10,000のパーフルオロポリエーテル基、Xは2価の有機基、R1は炭素数1〜6の1価炭化水素基、又は炭素数6〜12のアリール基であり、nは0〜2の整数、Zは加水分解性基である。)
で示されるパーフルオロポリエーテル化合物である。
【0014】
ここで、Rfとしては、さらに下記構造式(3)
F(CF2O)l(CFXCF2O)m(CF2CF2CF2O)nCFX(CF2a− (3)
(式中、XはF又はCF3であり、l,m,n,aは400〜10,000の数平均分子量を与える整数である。)
で示されるパーフルオロポリエーテル基であることが好ましく、具体的には下記構造式(5)〜(7)で示されるパーフルオロポリエーテル基が好ましい。
【化2】


(式中、m、p、qはRfが数平均分子量400〜10,000となる整数である。)
ここで、数平均分子量が400よりも少ないと、防汚効果が十分には発揮されないことがあり、10,000より多いと、主成分であるジオルガノポリシロキサンへの相溶性が悪くなり、塗料中に均一に分散させにくくなることがあるため好ましくない。
【0015】
Xとしては、アルキレン基、アリーレン基若しくはそれらの組合せ、又はこれらの基にエーテル結合、アミド結合、カルボニル結合などを介在させた2価の有機基であってもいい。
このような2価の有機基としては、−CH2CH2−,−CH2CH2CH2OCH2−,−CH2CH2CH2NH−CO−,−CH2CH2CH2O−CO−などが好適に挙げられる。
【0016】
Zとしては、アルコキシ基、ケトオキシム基、アシルオキシ基、アミノ基、アミド基、アルケニルオキシ基などの加水分解性基が挙げられる。
中でも、酸素原子を含む加水分解性基が好ましく、この場合、上記一般式(1)は、下記一般式(2)のように示すことができる。
Rf−X−SiR1n(OR23-n (2)
(式中、Rf,Xは上記と同じであり、R1,R2は独立して炭素数1〜6の1価炭化水素基、又は炭素数6〜12のアリール基である。)
【0017】
一般式(1),(2)中のR1及びR2としては、例えば、メチル基、エチル基、フェニル基などが挙げられる。
【0018】
このような成分(C)の配合量は、成分(A)100質量部に対して0.1〜30質量部の範囲であることが好ましく、より好ましくは1〜20質量部の範囲である。0.1より少ないと、十分な防汚効果が出にくいことがあり、30質量部より多くても防汚効果に差を生じないことがあるため経済的に好ましくない。
【0019】
[その他の成分]
本発明の組成物には、成分(A)〜(C)の他に本発明の効果を損なわない範囲で従来公知の各種の添加剤を配合することができる。
例えば、本発明の組成物は空気中に暴露すると空気中の水分によって架橋反応が進行し、ゴム状弾性体に硬化するが、これにはこの種の反応を促進する公知の触媒、具体的には、アミン化合物、第4級アンモニウム塩類、有機金属化合物、チタンキレート化合物、グアニジル基含有化合物などを添加してもよい。
また、本発明の組成物を海中構造物に塗布する時に、このものの流動性を改質するための流動改質剤、硬化物の硬度、引張り強度、伸びなどの物性を制御するための無機充填材、外観を整えるための顔料、さらには有機溶剤などを添加してもよい。
これらはいずれも公知のものを所要量添加すればよい。
【0020】
[組成物の調製方法]
本発明の組成物の調製方法は、特に限定されず、例えば、上記成分(A)〜(C)、及びその他の任意成分をロスミキサー、プラネタリーミキサー、ホバートミキサー、2本ロール、3本ロール等の混合装置を単独又は組み合せることにより均一に混合し得ることができる。
【0021】
[基材への防汚性の付与方法]
本発明の組成物を用い、海洋汚染環境中の海中構造物の基材に防汚性を付与させるには、該組成物を該基材に塗布し硬化させるだけでよい。
なお、ここでいう基材とは、橋梁、海上タンク、港湾施設、海底基地、海底油田掘削設備等の構造物;発電所の導水路管等のパーツ;船舶;養殖網、定置網等の道具などの海洋環境中に直接晒される面をなす一部、部品又は材料を指す。
この場合、塗布方法は特に限定されず、例えば、スプレー塗布、ディッピング塗布等公知の方法を使用することができる。その際の塗布厚は海洋汚染環境や海中構造物の種類にもよるが、通常10〜2000μmの範囲が好ましい。
また、硬化方法は、空気中に放置することにより空気中の水分によって容易に硬化させることができるが、通常、20〜100RH%、室温(例えば0〜30℃)〜50℃、120分〜7日の範囲で硬化させるのが好ましく、このような硬化により、優れた防汚性を付与させることができる。
【実施例】
【0022】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0023】
[組成物A]
25℃での粘度が20,000mm2/sである分子鎖両末端が水酸基で封鎖されたジメチルポリシロキサン100質量部に、表面をヘキサメチルジシラザンで処理した比面積が150m2/gのフュームドシリカ12質量部及び二酸化チタン 1.5質量部を混合した。得られた混合物を3本ロールに1回通した後、該混合物にメチルトリブタノオキシムシラン7質量部及びジブチルスズジオクトエート0.1質量部を脱泡混合し、これを組成物Aとした。
【0024】
[組成物B]
25℃での粘度が5,000mm2/sである分子鎖両末端が水酸基で封鎖されたジメチルポリシロキサン100質量部に、表面をヘキサメチルジシラザンで処理した比表面積が200m2/gのフュームドシリカ10質量部および二酸化チタン1.5質量部を混合した。得られた混合物を3本ロールに1回通して、I成分を調製した。
エチルポリシリケート8質量部、ジブチルスズジラウレート2質量部を混合し、II成分を調製した。
このようにして得られたI成分100質量部とII成分10質量部を混合し、これを組成物Bとした。
【0025】
次に、上記の組成物Aには、下記構造式(8)〜(12)の添加剤1〜5を表1に基づき所定量配合し、後述する塗膜性能試験に基づき基材に塗布して硬化させ、防汚特性を試験した。
また、組成物Bには、I成分100質量部、II成分10質量部を混合する際に下記構造式(8)〜(10)の添加剤1〜3を表1に基づき所定量配合し、後述する塗膜性能試験に基づき基材に塗布して硬化させ、防汚特性を試験した。
[添加剤1]
【化3】

[添加剤2]
【化4】

[添加剤3]
【化5】

[添加剤4]
【化6】

[添加剤5]
【化7】

【0026】
【表1】

【0027】
塗膜性能試験
上記試験塗料について大きさ100×200×2mmのサンドブラスト処理鋼板にエポキシ系防食塗料を用いて予め塗装した(膜厚200μm)被塗板上に、これに上記試験塗料を乾燥膜厚が100μmになるように塗装して、23℃,50%RHの条件で7日間硬化させて試験塗板とした。これらの試験塗板を神奈川県の海岸に1.5mの深さで12ヶ月にわたって懸垂試験を行った。
【0028】
試験結果
試験塗板を海中より引き上げて、塗板表面のフジツボ等の貝類、海藻類の付着状況を観察して、その状況により下記の記号でランク分けした。
○:全く付着無し、△:わずかに付着、×:多量に付着
評価した結果を表2及び表3に示した。
【0029】
【表2】

【0030】
【表3】

【0031】
表2,3より明らかなように、本発明による防汚塗料は十分な性能を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)分子鎖の両末端が水酸基で封鎖されたジオルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)1分子中にケイ素原子に結合した加水分解性基を少なくとも3個有する有機ケイ素化合物:0.5〜30質量部、及び
(C)下記一般式(1)
Rf−X−SiR1n3-n (1)
(式中、Rfは数平均分子量400〜10,000のパーフルオロポリエーテル基、Xは2価の有機基、R1は炭素数1〜6の1価炭化水素基、又は炭素数6〜12のアリール基であり、nは0〜2の整数、Zは加水分解性基である。)
で示されるパーフルオロポリエーテル化合物:0.1〜30質量部
を含有することを特徴とする海洋汚染環境中の基材の汚染を防止する防汚塗料組成物。
【請求項2】
成分(C)が下記一般式(2)
Rf−X−SiR1n(OR23-n (2)
(式中、Rf、X、R1は上記と同様、R2は独立して炭素数1〜6の1価炭化水素基、又は炭素数6〜12のアリール基である。)
で示されることを特徴とする請求項1記載の海洋汚染環境中の基材の汚染を防止する防汚塗料組成物。
【請求項3】
Rfが下記構造式(3)
F(CF2O)l(CFXCF2O)m(CF2CF2CF2O)nCFX(CF2a− (3)
(式中、XはF又はCF3であり、l,m,n,aは400〜10,000の数平均分子量を与える整数である。)
を有することを特徴とする請求項1又は2記載の海洋汚染環境中の基材の汚染を防止する防汚塗料組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の防汚塗料組成物を基材に塗布し硬化させることを特徴とする海洋汚染環境中の基材の汚染を防止する防汚方法。

【公開番号】特開2010−254832(P2010−254832A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−107509(P2009−107509)
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】