説明

防火シャッターと交差する間仕切りの構造

【課題】本発明は、防火シャッターと交差する間仕切りの構造に関し、従来の防火シャッターと交差する間仕切りの構造において、工事のコストを低減させ、工事範囲も狭くするようにして間仕切りを交差させることが課題であって、それを解決することである。
【解決手段】防火シャッターと交差する間仕切りを設置する際に、間隙を有する左右の前記間仕切り2,4の端面間に、該間仕切りの対向する端面のそれぞれに、基部を固定すると共に先端部のそれぞれを互いに重ね合わせてゴム板5,5を対向させて配設するようにした防火シャッターと交差する間仕切りの構造1とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防火シャッターと交差する間仕切りの構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、間仕切りの一例としては特許文献1に示すような間仕切りの施工方法が知られている。この間仕切りにおいて、室内の区画変更により防火シャッターを跨いで間仕切りを設置する必要がある場合には、防火シャッターの閉鎖に支障をきたさないように、例えば、従来例1として図5に示すように、防火シャッターを2分割にするか、若しくは、従来例2としてパーテーションにスリットを設けるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−288152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の防火シャッターと交差する間仕切りの構造では、例えば、上述の従来例1では、図5に示すように、防火シャッターを分割するので既存のシャッターを撤去し、新設のシャッター21,21を設けると共に、既存の間仕切り22の他に新設の間仕切り23が必要であり、シャッター間の隙間には、シャッターガイドレール方立24も設けなければならない。このように、作業工程や製造コストが増大し、工事範囲も拡大する。また、従来例2では、スリット部の隙間の処理において、ブラシのような素材で隙間処理する場合があるが、ブラシが劣化してその毛が抜けやすいと言う問題がある。特に、食品工場等のように清潔な状態を維持しなければならないエリアでは、前記抜け毛による異物混入に繋がるおそれがある。
【0005】
また、ブラシのような素材では、小さな隙間処理に難がある。更に、ブラシで隙間を無くすように密なブラシにすると、却って防火シャッターの閉鎖に支障をきたすおそれがある。本発明に係る防火シャッターと交差する間仕切りの構造は、このような課題を解決するために提案されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る防火シャッターと交差する間仕切りの構造の上記課題を解決して目的を達成するための要旨は、防火シャッターと交差する間仕切りを設置する際に、間隙を有する左右の前記間仕切りの端面間に、該間仕切りの対向する端面のそれぞれに基部を固定すると共に先端部のそれぞれを互いに重ね合わせて、可撓板を対向させて配設したことである。
更に、前記一方の可撓板の基部は、当該可撓板の先端部が他方の可撓板の先端部に押しつけられるように、前後方向に台座部材でオフセットされ固定されている間仕切りの構造とする事を含むものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の防火シャッターと交差する間仕切りの構造によれば、既存の防火シャッターを2分割することなくそのままにして使用でき、間仕切りをシャッターの両側に配設して行うので、コスト的にも改装費用が嵩むことなく、工程を少なくして工事範囲も縮小させることができる。
また、シャッターを挟む間仕切り間の隙間を、ゴム板等の可撓板を使用して塞ぐことで、劣化による異物混入を防止できる。
本発明に係る防火シャッターと交差する間仕切り構造は、特に、衛生管理や良質環境レベルの維持が要求される、例えば、食品工場,冷蔵・冷凍倉庫,特殊物保管用倉庫等において、区画室の移動・変更に伴う間仕切り変更に適した間仕切り構造となる。
前記隙間を塞ぐ可撓板の先端部を重ねることで、空気圧により開かないようにして空調バランスを維持すると共に、防火シャッターの閉鎖に支障をきたすことがない。
前記可撓板の一方をオフセットさせて浮かせることで、この可撓板が開くことへの抵抗を減らすようにしたので、防火シャッターの閉鎖時の負荷が軽減され閉鎖しやすくなるものである、等数々の優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1−A】本発明に係る防火シャッターと交差する間仕切りの構造に改装する様子を示す説明用概略平面図(A),(B)である。
【図1−B】同本発明に係る防火シャッターと交差する間仕切りの構造の、シャッターが巻き上げられた通常の状態の一部拡大平面図である。
【図2】同本発明の防火シャッターと交差する間仕切りの構造における間仕切りの隙間の一部拡大正面図である。
【図3】同本発明の防火シャッターと交差する間仕切りの構造における、シャッターを降ろした状態の間仕切りの隙間の拡大平面図である。
【図4】本発明の第2実施例と第3実施例とを示す一部拡大平面図(A),(B)である。
【図5】従来例において、防火シャッターを2分割して間仕切りして区画する場合の平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る防火シャッターと交差する間仕切りの構造1は、図1−A(A)に示すように、清潔エリアを有するような食品工場において、既存のパーテーション2が防火シャッター3の手前に配置された区画となっている。これを、図1−A(B)に示すように、前記防火シャッター3を跨いで、直交した状態に前記既存のパーテーション2と新設のパーテーション4を配置して、区画変更するものである。防火シャッター3は、通常は上方に巻き上げられているが、火災等の非常時には降ろして閉鎖する必要があるので、前記パーテーション2,4の間には隙間があり、空調等を施行するので当該隙間を、可撓板である塞ぎゴムシート(以下、ゴム板と称する)によって塞ぐものである。
【実施例1】
【0010】
本発明に係る間仕切り構造1は、前記防火シャッター3と交差する間仕切り2,4を設置する際に、図1−B乃至図2に示すように、間隙を有する左右の前記間仕切りのパーテーション2,4の端面間に、該間仕切りの対向する端面のそれぞれに、基部5aを固定すると共に先端部5bのそれぞれを互いに重ね合わせて、可撓板であるゴム板5を対向させて配設する構造である。
【0011】
前記既存のパーテーション2の金属製(例えばアルミニウム製)方立2aの片側側面に、前記ゴム板5の基部5aをフラットバー6で押さえて、セルフタッピングネジ7で固定する。前記ゴム板5は、厚さが約1mmで、この一例では幅が約55mm程度、長さ(縦方向)が1.8m〜2m程度である。前記フラットバー6は、厚さが2〜3mmで、幅が約10mm、長さ(縦方向)が1m〜2mで適宜である。
【0012】
前記既存のパーテーション2側のゴム板5に対向して、新規のパーテーション4の方立4aの片側側面に、同じ大きさのゴム板5を固定する。そして、この新規パーテーション4側のゴム板5の基部5aが当該ゴム板5の先端部5bが他方のゴム板5の先端部5bに押しつけられるように前後方向に台座部材8でオフセットされ固定されている。
【0013】
前記台座部材8は、一例として厚さが5mmで、幅が約20mm、長さ(縦方向)が1m〜2m程度の適宜長さのアルミニウム製板である。この台座部材8の板厚は、パーテーション2,4間の隙間の程度と、ゴム板5,5同士の重ね具合により、設定されるものである。
【0014】
このように、既存の防火シャッター3をそのままにして、既存のパーテーション2に新規のパーテーション4を設置し、ゴム板5,5をその先端部5a,5aを重ねて隙間を塞ぐようにしたものである。図2において、防火シャッター3における符号3aはシャッタースラットを示し、符号3bはシャッター座板を示す。また、符号9は天井ボード、符号10はシャッター上枠を示し、符号5cがゴム板5の重ね部分(一例として約25mm)を示している。
【0015】
なお、台座部材8によってゴム板5を前後方向にオフセットさせる場合、新規のパーテーション4側に設ける場合だけでなく、既存のパーテーション2側に台座部材8を設けてゴム板5をオフセットさせるようにしても良い。
【0016】
本発明に係る間仕切りの構造1によれば、図3に示すように、防火シャッター3が非常時に降ろされた場合、前記対向配置のゴム板5,5が、シャッターの閉鎖性を損なうことなく屈曲して逃げ、隙間を塞いでいるものである。
【実施例2】
【0017】
本発明の第2実施例の間仕切りの構造1aは、図4(A)に示すように、パーテーション2,4の隙間の間に対向配置のゴム板5,5を、前後方向で方立2a,4aの両側の側面に設けるようにするものである。このようにすることで、空調用空気などの漏れが少なくなって、区画室の閉鎖がより確実なものになるものである。
【0018】
本発明の第3実施例の間仕切り構造1bは、図4(B)に示すように、一方の方立4bにおいて、前記ゴム板5をオフセットさせるように形状を、段差が着くように変形させたものである。このような段差を設けた方立4bによる方法でも、一方のゴム板5をオフセットさせることができる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明に係る間仕切り構造は、特に清潔性が要請される区画室等に適しているが、これに限らずクリーンルームや一般の事務室などにも広く適用できるものである。
【符号の説明】
【0020】
1 間仕切り構造、
1a,1b 第2実施例と第3実施例の間仕切り構造、
2 既存のパーテーション、
3 防火シャッター、
4 新設のパーテーション、 4a 方立、
4b 段差を設けた方立、
5 可撓板であるゴム板、 5a 基部、
5b 先端部、 5c 重ね部分、
6 フラットバー、
7 セルフタッピングネジ、
8 台座部材、
9 天井ボード、
10 シャッター上枠、
21 新設のシャッター、
22 既存の間仕切り、
23 新設の間仕切り、
24 シャッターガイドレール方立。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
防火シャッターと交差する間仕切りを設置する際に、
間隙を有する左右の前記間仕切りの端面間に、該間仕切りの対向する端面のそれぞれに基部を固定すると共に先端部のそれぞれを互いに重ね合わせて、可撓板を対向させて配設したこと、
を特徴とする防火シャッターと交差する間仕切りの構造。
【請求項2】
一方の可撓板の基部は、当該可撓板の先端部が他方の可撓板の先端部に押しつけられるように、前後方向に台座部材でオフセットされ固定されていること、
を特徴とする請求項1に記載の防火シャッターと交差する間仕切りの構造。

【図1−A】
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【図1−B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−202365(P2011−202365A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−68082(P2010−68082)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000166432)戸田建設株式会社 (328)
【Fターム(参考)】