説明

防火ドア

【課題】極めて簡単な機構で非常時に確実にドアを開く。
【解決手段】防火ドアは、ドア枠1と、ドア2と、ドア2に固定されてドア2を閉位置に係止するラッチボルト6を内蔵するシリンダーケース5と、ドア表面に配置されて、ラッチボルト6の係止状態を解除する室内側ハンドル10及び屋外側ハンドル20と、ドア2を弾性的に閉じるクローザー8とを備える。屋外側ハンドル20は、ドア表面に対して傾動自在に連結してなるレバー21であって、ラッチボルト6の係止状態を解除するロック解除機構23を介してラッチボルト6に連結している。室内側ハンドル10は、ドア表面に対して出入り自在に連結してなる押し部11で、ラッチボルト6の係止状態を解除するロック解除機構13を介してラッチボルト6に連結している。防火ドアは、屋外側ハンドル20のレバー21を引っ張り、あるいは室内側ハンドル10の押し部11を押してドア2を開くようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防火ドアに関し、とくに、非常時に脱出しやすい防火ドアに関する。
【背景技術】
【0002】
防火ドアは、非常時に安全に脱出できることが大切である。このことを実現する防火ドアは開発されている。(特許文献1参照)
【特許文献1】特開昭61−207775号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1の防火ドアは、非常時にストッパーを解除して、バネの弾性力でドアを強制的に押し出す強制開き機構をドアの上縁に沿って固定している。この構造の防火ドアは、ドアを押し出す専用の機構を設けるので、構造が複雑になる欠点がある。とくに、ストッパを解除する機構を操作しやすい位置に配置することから、ストッパの解除レバーなどをドアの上縁に配置する強制開き機構に連結する必要があり取り付けにも手間がかかる欠点がある。また、非常時にしか使用されないストッパを解除するためのレバーなどを設けるので、建物のデザイン的にも好ましくない欠点がある。さらに、非常時にストッパを解除して、バネの弾性力でドアを押し出して開くので、地震などの非常時に、建物の歪みでバネがドア枠に当たって、バネがドアを開くよりも強くドアが固定されると、ストッパを解除してもドアを開くことができなくなる欠点がある。
【0004】
本発明は、さらにこの欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、非常時に開くための専用の機構を設けることなく、極めて簡単な機構で非常時には確実にドアを開くことができる防火ドアを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の防火ドアは、前述の目的を達成するために以下の構成を備える。
防火ドアは、建物に固定されるドア枠1と、このドア枠1に建物の屋外側に開くことができるように、側縁を蝶番3で連結しているドア2と、このドア2に固定されてドア2からドア枠1の係止孔7に向かって突出して、ドア2を閉位置に係止するラッチボルト6を内蔵するシリンダーケース5と、ドア表面に配置されて、シリンダーケース5のラッチボルト6の係止状態を解除する室内側ハンドル10及び屋外側ハンドル20と、ドア2を弾性的に閉じる方向に付勢するクローザー8とを備える。屋外側ハンドル20は、左右の片側を垂直な回転軸22を中心としてドア表面に対して傾動自在に連結してなる水平方向に伸びるレバー21であって、このレバー21の片側がドア2から引き出し方向に移動されて、ラッチボルト6の係止状態を解除するロック解除機構23を介してラッチボルト6に連結している。室内側ハンドル10は、全体又は片側がドア表面に対して出入り自在に連結してなる押し部11で、この押し部11が押し込まれてラッチボルト6の係止状態を解除するロック解除機構13を介してラッチボルト6に連結している。防火ドアは、屋外側ハンドル20のレバー21を引っ張り、あるいは室内側ハンドル10の押し部11を押して、ドア2を開くようにしている。
【0006】
本発明の請求項2の防火ドアは、屋外側ハンドル20が、レバー21を、ラッチボルト突出側面2Aに近い端部を中心に傾動できるようにドア2に連結している。
【0007】
本発明の請求項3の防火ドアは、屋外側ハンドル20が、レバー21を、ラッチボルト突出側面2Aから遠い端部を中心に傾動できるようにドア2に連結している。
【0008】
本発明の請求項4の防火ドアは、室内側ハンドル10が、ラッチボルト突出側面2Aから遠い端部を中心に傾動できるようにドア2に連結している押し部11である。
【0009】
本発明の請求項5の防火ドアは、ドア2が屋外側に凹部29を有し、この凹部29の開口部に屋外側ハンドル20のレバー21を配設している。
【発明の効果】
【0010】
本発明の防火ドアは、非常時に開くための専用の機構を設けることなく、極めて簡単な機構で非常時には確実にドアを開くことができる特徴がある。それは、本発明の防火ドアが、室内側ハンドルを押し部とし、この押し部をロック解除機構を介してラッチボルトに連結しており、この押し部を押して、ラッチボルトの係止状態を解除してドアを開くからである。すなわち、本発明の防火ドアは、押し部をドアの開く方向に押してドアを開くので、ドアを開く方向に押される力を利用してラッチボルトの係止状態が解除される。すなわち、係止状態を解除するために余分な力を必要とせず、全ての力をドアを開く方向に押して、ラッチボルトの係止状態を解除できる。ただ、押し部の室内側ハンドルは、ドアを押し開くことはできるが、ドアを閉める方向に引っ張ることができない。本発明の防火ドアは、クローザーでドアを閉める方向に付勢しているので、押す程度を調整してドアの開き具合をコントロールできる。すなわち、クローザーと押し部とでバランスして、ドアの開度をコントロールできるからである。この構造は、たとえば両手で荷物を持ってドアを開くときにも極めて便利である。それは、押し部の室内側ハンドルを押してドアを開くことができるからである。
【0011】
さらに、本発明は、室内側ハンドルを特別な構造とすることに加えて、屋外側ハンドルを傾動できるレバーとし、さらにこのレバーは、左右の片側を垂直な回転軸を中心としてドア表面に対して傾動自在にドアに連結し、さらに、ロック解除機構を介してラッチボルトに連結している。このレバーは、片側をドアから引き出し方向に移動して、ラッチボルトの係止状態を解除するようにしている。すなわち、屋外側ハンドルのレバーと、室内側ハンドルの押し部の両方が、ドアに対して垂直方向に移動して、ラッチボルトの係止状態を解除する。このため、屋外側ハンドルと室内側ハンドルがラッチボルトの係止状態を解除する機構を極めて簡単な機構としながら、非常時にはドアを確実に開くことができる特徴が実現する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための防火ドアを例示するものであって、本発明は防火ドアを以下のものに特定しない。
【0013】
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0014】
図1ないし図6、図9及び図10に示す防火ドアは、建物に固定されるドア枠1と、このドア枠1に蝶番3を介して連結しているドア2とを備える。図のドア枠1は、所定の幅の袖部4を片側の縦枠に設けている。ドア枠1は、袖部4と反対側の側縁にドア2を蝶番3で連結している。袖部4には、ドア2との対向面にラッチボルト6を挿入してドア2を開かない閉位置に停止する係止孔7を設けている。さらに、図1のドア枠1は、インターホン40と新聞受け41を袖部4に設けている。
【0015】
ドア2は、図4ないし図6、図9及び図10に示すように、ドア枠1の係止孔7に向かって突出して、ドア2を閉位置に係止するラッチボルト6を内蔵するシリンダーケース5と、このシリンダーケース5のラッチボルト6の係止状態を解除する室内側ハンドル10及び屋外側ハンドル20とを備えている。室内側ハンドル10は、ドア2の室内側に配置しており、屋外側ハンドル20は、ドア2の屋外側に配置している。さらに、ドア2には、弾性的に閉じる方向に付勢するクローザー8を連結している。
【0016】
シリンダーケース5は、ドア2内に水平姿勢に内蔵されて、ラッチボルト6を水平方向に突出させる。ラッチボルト6は、バネなどの弾性体(図示せず)で弾性的に突出する方向に付勢されている。弾性的に突出されるラッチボルト6は、ドア2を閉める状態で、ドア枠1の係止孔7に挿入されて、ドア2を開かない係止状態とする。ラッチボルト6は、ドア2の室内側に設けている室内側ハンドル10、又はドア2の屋外側に設けている屋外側ハンドル20を操作して、ドア2の係止状態が解除される。図6ないし図8に示すシリンダーケース5は、ラッチボルト6をドア2内に引き込んで、ドア2の係止状態を解除する構造としている。このシリンダーケース5は、ロッド状のラッチボルト6を引き込み方向に移動させて、係止孔7とラッチボルト6との係止状態を解除する。図10ないし図12に示すシリンダーケース5は、ラッチボルト6を、図の矢印Xで示すように、シリンダーケース5の外側開口部で回動させて、係止孔7との係止状態を解除する構造としている。このシリンダーケース5は、ラッチボルト6のロック機構(図示せず)を内蔵しており、このロック機構がラッチボルト6をロックする状態において、ラッチボルト6を図の実線で示すロック位置に保持してドア2を開かない係止状態とする。また、このシリンダーケース5は、ロック機構がラッチボルト6のロックを解除する状態において、ラッチボルト6を図の鎖線で示す非ロック位置に回動できる状態としてドア2の係止状態を解除する。このシリンダーケース5は、ドア2を閉める状態で、ドア枠1の係止孔7に挿入されるラッチボルト6がロック機構でロックされて、ドア2を開かない係止状態に保持する。また、このシリンダーケース5は、室内側ハンドル10、又は屋外側ハンドル20を操作して、ロック機構がラッチボルト6のロックを解除する状態において、ドア枠1の係止孔7に挿入されるラッチボルト6が非ロック位置に回動できる状態となって、ドア2の係止状態を解除する。ラッチボルト6は、ドアを開ける時には、図10の鎖線で示す非ロック位置に回動されると共に、先端の傾斜面6Aに沿って係止孔7の開口縁を移動させながら、シリンダーケース5内に弾性的に引き込まれて、この状態でドア2が開かれる。
【0017】
屋外側ハンドル20は、ドア2の外側に設けているレバーである。図4の正面図と図6の断面図、及び図10の断面図に示すドア2は、屋外側に凹部29を設け、この凹部29の開口部に屋外側ハンドル20のレバー21を配設している。この構造は、レバー21のドア表面からの突出量を少なくして、レバー21の内側に指を入れてドア2をスムーズに開くことができる。図6と図10のドア2は、ドア2の表面プレートを開口して、この開口部の表面側を凹部29とする形状の凹部プレート28で閉塞して、凹部プレート28に傾動できるようにレバー21を連結している。屋外側ハンドル20は、水平方向に伸びるレバー21で、このレバー21は、左右の片側を垂直な回転軸22を中心としてドア表面に対して傾動自在に連結している。図6において、レバー21は右端を回転軸22でドア2に連結している。さらに、図6のレバー21は、ラッチボルト突出側面2Aから遠い端部、図6において右端を中心に傾動できるようにドア2に連結している。また、図10において、レバー21は左端を回転軸22でドア2に連結している。したがって、図10のレバー21は、ラッチボルト突出側面2Aに近い端部、図10において左端を中心に傾動できるようにドア2に連結している。
【0018】
さらに、屋外側ハンドル20のレバー21は、ロック解除機構23を介してラッチボルト6に連結している。図7に示すロック解除機構23は、レバー21の片側、図において左側がドア2から引き出すように引っ張られると、ラッチボルト6をドア2内に引き込んで、ラッチボルト6の係止状態を解除する。図11に示すロック解除機構23は、レバー21の片側、図において右側がドア2から引き出すように引っ張られると、シリンダーケース5のロック機構を解除して、ラッチボルト6を回動できる状態として、ラッチボルト6の係止状態を解除する。
【0019】
図6と図7のロック解除機構23は、レバー21の内側に連結している直動カム24と、ラッチボルト6に設けている滑り面25とで構成される。ラッチボルト6の滑り面25は、直動カム24に接触して駆動されて、ラッチボルト6をドア2の内側に移動させる。直動カム24は、レバー21が引っ張られると、ラッチボルト6をドア2の内側に引き込む方向に傾斜する傾斜面24Aを有する。このロック解除機構23は、レバー21が引っ張られると、傾斜面24Aが滑り面25を滑って、ラッチボルト6をドア2内に引き込んでドア2の係止状態を解除する。
【0020】
直動カム24は、傾斜面24Aの後端、図6と図7において傾斜面24Aの上端に引き止めストッパ24Bを設けている。引き止めストッパ24Bは、ラッチボルト6の側面に当たって、レバー21の引き出し位置を特定する。すなわち、引き止めストッパ24Bがラッチボルト6に当たるまでレバー21が引き出される。引き止めストッパ24Bがラッチボルト6に当たる位置で、ラッチボルト6はドア2の側面から内側に引き込まれて、ドア2の係止状態を解除する。さらに、屋外側ハンドル20のレバー21は、バネ26に弾性的に押し出されて、図6で示す位置に復帰する。レバー21は、ストッパ27が凹部プレート28に当たって、図6で示す位置に停止される。
【0021】
この屋外側ハンドル20のレバー21は、内側に手をかけて引き出されると、直動カム24がラッチボルト6を引き込み方向に移動して、ラッチボルト6の係止状態を解除してドア2が開かれる。
【0022】
図10と図11のロック解除機構23は、レバー21の内側に連結している駆動アーム34と、シリンダーケース5に内蔵されるロック機構の操作部35とで構成される。駆動アーム34は、レバー21の回転軸22側の端部に、レバー21の内側に突出して設けている。このロック解除機構23は、レバー21が引っ張られて、このレバー21が回動軸22を中心として、図11の矢印Aで示す方向に傾動すると、レバー21の一端に連結している駆動アーム34が、図11の矢印Bで示す方向(図において右側方向)に傾動する。傾動する駆動アーム34は、その先端部で、シリンダーケース5に内蔵されるロック機構の操作部35を押圧して、図において右側方向に移動させる。シリンダーケース5に内蔵されるロック機構は、操作部35が操作されてラッチボルト6のロック状態を解除する。この状態で、ラッチボルト6と係止孔7との係止状態が解除されて、ドア2を開くことができる状態となる。
【0023】
さらに、図11に示すレバー21は、回転軸22と反対側の端部に、引き止めストッパ36を設けている。引き止めストッパ36は、表面プレート37の内面に当たって、レバー21の引き出し位置を特定する。すなわち、引き止めストッパ36が表面プレート37に当たるまでレバー21が引き出される。引き止めストッパ36が表面プレート37に当たる位置で、傾動アーム34がロック機構の操作部35を駆動して、ラッチボルト6のロック状態を解除する。さらに、屋外側ハンドル20のレバー21は、バネ26に弾性的に押し出されて、図10で示す位置に復帰する。レバー21は、ストッパ27が凹部プレート28に当たって、図10で示す位置に停止される。
【0024】
この屋外側ハンドル20のレバー21は、内側に手をかけて引き出されると、駆動アーム34がシリンダーケース5のロック機構を解除して、ラッチボルト6を回動できる状態として、ラッチボルト6の係止状態を解除してドア2が開かれる。
【0025】
室内側ハンドル10は、ドア表面に対して出入り自在に連結している押し部11である。押し部は、全体が平行移動して、ドア表面に対して出入り自在に移動することもできるが、図6と図10の押し部11は、片側(図において左端)がドア表面に対して出入りできるようにドア2に連結している。図6と図10に示す室内側ハンドル10の押し部11は、図の右端部を回転軸12を介してドア表面に傾動できるように連結している。回転軸12は、垂直姿勢、図6と図10において紙面に直交する姿勢にあって、押し部11を図において右端を中心に傾動できるようにドア2に連結する。さらに、図6と図10の押し部11は、ラッチボルト突出側面2Aから遠い端部、図において右端を中心に傾動できるようにドア2に連結している。図示しないが、押し部は、図と反対の端部を中心として傾動できるようにドアに連結することもでき、また、ドア表面に対して平行移動してドア表面に出入りする構造とすることもできる。図6に示す室内側ハンドル10の押し部11は、全体を楕円形として、ドア2の表面から室内側に突出して配設している押しボタンである。押しボタンである押し部11は、ドア表面から突出する部分を確実に押圧してドア2の係止状態を解除できる。図10に示す室内側ハンドル10の押し部11は、全体を方形状として、ドア2の表面とほぼ同一平面に配設している押しプレートである。押しプレートである押し部11は、ドアの表面をすっきりとした外観にできる。
【0026】
さらに、室内側ハンドル10の押し部11も、ロック解除機構13を介してラッチボルト6に連結している。図8に示すロック解除機構13は、押し部11の片側、図において左側がドア2に押し込まれると、ラッチボルト6をドア2内に引き込んで、ラッチボルト6の係止状態を解除する。図12に示すロック解除機構13は、押し部11の片側、図において左側がドア2に押し込まれると、シリンダーケース5のロック機構を解除して、ラッチボルト6を回動できる状態として、ラッチボルト6の係止状態を解除する。
【0027】
図6と図8のロック解除機構13は、押し部11の内側に連結している直動カム14と、この直動カム14に接触して直動カム14でラッチボルト6をドア2の内側に移動させるラッチボルト6に設けている滑り面15とで構成される。直動カム14は、押し部11が押し込まれると、ラッチボルト6をドア2の内側に引き込む方向に傾斜する傾斜面14Aを有する。このロック解除機構13は、押し部11が押し込まれると、傾斜面14Aが滑り面15を滑って、ラッチボルト6をドア2内に引き込んでドア2の係止状態を解除する。
【0028】
直動カム14は、傾斜面14Aの後端、図8において傾斜面14Aの付け根部に押し止めストッパ14Bを設けている。押し止めストッパ14Bは、ラッチボルト6の側面に当たって、押し部11の押し込み位置を特定する。すなわち、押し止めストッパ14Bがラッチボルト6に当たるまで押し部11が押し込まれる。押し止めストッパ14Bがラッチボルト6に当たる位置で、ラッチボルト6はドア2の側面から内側に引き込まれて、ドア2の係止状態を解除する。さらに、室内側ハンドル10の押し部11は、バネ(図示せず)に弾性的に押し出されて、図6で示す位置に停止される。さらに、直動カム14は、先端に係止ストッパ14Cを設けており、この係止ストッパ14Cがラッチボルト6の側面に係止されて、押し部11の押出位置を特定している。
【0029】
この室内側ハンドル10の押し部11が手で押し込まれると、直動カム14がラッチボルト6をドア2内に引き込んで係止状態が解除され、さらにドア2が押されて開かれる。
【0030】
図10と図12のロック解除機構13は、押し部11の内側に連結している駆動アーム16と、シリンダーケース5に内蔵されるロック機構の操作部35とで構成される。駆動アーム16は、押し部11の回転軸12と反対側の端部に、押し部11の内側に突出して設けている。このロック解除機構13は、押し部11が押し込まれて、この押し部11が回動軸12を中心として、図12の矢印Cで示す方向に傾動すると、押し部11の一端に連結している駆動アーム16の先端部が、シリンダーケース5に内蔵されるロック機構の操作部35を押圧して、図において右側方向に移動させる。シリンダーケース5に内蔵されるロック機構は、操作部35が操作されてラッチボルト6のロック状態を解除する。この状態で、ラッチボルト6と係止孔7との係止状態が解除されて、ドア2を開くことができる状態となる。
【0031】
さらに、図12に示す室内側ハンドル10の押し部11は、バネ(図示せず)に弾性的に押し出されて、図10で示す位置に復帰する。押し部11は、回転軸22と反対側の先端に係止ストッパ17を設けており、この係止ストッパ17を表面プレート18の内面に当接させて、図10で示す位置に停止される。
【0032】
この室内側ハンドル10の押し部11が手で押し込まれると、駆動アーム16がシリンダーケース5のロック機構を解除して、ラッチボルト6を回動できる状態として、ラッチボルト6の係止状態が解除され、さらにドア2が押されて開かれる。
【0033】
クローザー8は、バネや流体圧による弾性閉機構(図示せず)を内蔵する本体30と、この本体30から突出され、かつ弾性閉機構に連結されてドア2を弾性的に閉位置に移動させる弾性アーム31とを備える。クローザー8は、本体30と弾性アーム31をドア2とドア枠1に連結して、ドア2を弾性的に閉方向に付勢する。このクローザー8には、既に市販され、またこれから開発される機構であって、開かれたドア2を閉方向に付勢する全てのものを使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施例にかかる防火ドアを屋外側から見た正面図である。
【図2】図1に示す防火ドアを室内側から見た正面図である。
【図3】図1に示す防火ドアの水平断面図である。
【図4】ドアに設けた屋外側ハンドルの拡大正面図である。
【図5】ドアに設けた室内側ハンドルの拡大正面図である。
【図6】図4に示すドアのA−A線断面図である。
【図7】図6に示すドアの屋外側ハンドルを引いた状態を示す断面図である。
【図8】図6に示すドアの室内側ハンドルを押した状態を示す断面図である。
【図9】本発明の他の実施例にかかる防火ドアを室内側から見た正面図である。
【図10】図9に示すドアの水平断面図である。
【図11】図10に示すドアの屋外側ハンドルを引いた状態を示す断面図である。
【図12】図10に示すドアの室内側ハンドルを押した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0035】
1…ドア枠
2…ドア 2A…ラッチボルト突出側面
3…蝶番
4…袖部
5…シリンダーケース
6…ラッチボルト 6A…傾斜面
7…係止孔
8…クローザー
10…室内側ハンドル
11…押し部
12…回転軸
13…ロック解除機構
14…直動カム 14A…傾斜面
14C…押し止めストッパ
14B…係止ストッパ
15…滑り面
16…駆動アーム
17…係止ストッパ
18…表面プレート
20…屋外側ハンドル
21…レバー
22…回転軸
23…ロック解除機構
24…直動カム 24A…傾斜面
24B…引き止めストッパ
25…滑り面
26…バネ
27…ストッパ
28…凹部プレート
29…凹部
30…本体
31…弾性アーム
34…駆動アーム
35…操作部
36…引き止めストッパ
37…表面プレート
40…インターホン
41…新聞受け

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に固定されるドア枠(1)と、このドア枠(1)に建物の屋外側に開くことができるように、側縁を蝶番(3)で連結しているドア(2)と、このドア(2)に固定されてドア(2)からドア枠(1)の係止孔(7)に向かって突出して、ドア(2)を閉位置に係止するラッチボルト(6)を内蔵するシリンダーケース(5)と、ドア表面に配置されて、シリンダーケース(5)のラッチボルト(6)の係止状態を解除する室内側ハンドル(10)及び屋外側ハンドル(20)と、前記ドア(2)を弾性的に閉じる方向に付勢するクローザー(8)とを備える防火ドアであって、
前記屋外側ハンドル(20)が、左右の片側を垂直な回転軸(22)を中心としてドア表面に対して傾動自在に連結してなる水平方向に伸びるレバー(21)であって、このレバー(21)の片側がドア(2)から引き出し方向に移動されて、ラッチボルト(6)の係止状態を解除するロック解除機構(23)を介してラッチボルト(6)に連結しており、
前記室内側ハンドル(10)は、全体又は片側がドア表面に対して出入り自在に連結してなる押し部(11)で、この押し部(11)が押し込まれてラッチボルト(6)の係止状態を解除するロック解除機構(13)を介してラッチボルト(6)に連結しており、
前記屋外側ハンドル(20)のレバー(21)を引っ張り、あるいは室内側ハンドル(10)の押し部(11)を押して、ドア(2)を開くようにしてなる防火ドア。
【請求項2】
前記屋外側ハンドル(20)が、レバー(21)を、ラッチボルト突出側面(2A)に近い端部を中心に傾動できるようにドア(2)に連結している請求項1に記載される防火ドア。
【請求項3】
前記屋外側ハンドル(20)が、レバー(21)を、ラッチボルト突出側面(2A)から遠い端部を中心に傾動できるようにドア(2)に連結している請求項1に記載される防火ドア。
【請求項4】
前記室内側ハンドル(10)が、ラッチボルト突出側面(2A)から遠い端部を中心に傾動できるようにドア(2)に連結している押し部(11)である請求項1ないし3のいずれかに記載される防火ドア。
【請求項5】
前記ドア(2)が屋外側に凹部(29)を有し、この凹部(29)の開口部に屋外側ハンドル(20)のレバー(21)を配設している請求項1に記載される防火ドア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−197492(P2009−197492A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−40674(P2008−40674)
【出願日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(391016886)日本フネン株式会社 (30)
【出願人】(000108708)タキゲン製造株式会社 (256)
【Fターム(参考)】