説明

防災情報処理装置および防災情報表示システム

【課題】 ワンセグ放送で防災情報が放送されていることを、ユーザが認識し易い状態で提示する防災情報処理装置および防災情報表示システムを提供する。
【解決手段】 災害情報の発信地域情報ごとの、該当する地域のワンセグ放送受信可能エリア内に設置されたディスプレイを識別するディスプレイ識別情報を記憶する表示設備情報DB記憶部51と、防災情報を管理する防災放送管理装置10から発信された、防災情報放送通知および発信地域情報を受信する通知情報受信部52と、受信された発信地域情報に該当するディスプレイ識別情報を、記憶された中から抽出する通知情報表示設備判断部53と、受信された防災情報放送通知を、抽出されたディスプレイ識別情報で示されるディスプレイに表示させるために送信する通知情報送信部54とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害発生時に発信される防災情報をユーザに提供するための防災情報処理装置および防災情報表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
災害発生時には、被災地の各避難所等に避難することを勧告する非難情報や、災害に関する現在の状態を通知する災害情報等を含む防災情報が所定機関から配信される。
【0003】
この防災情報をユーザに通知する方法として、ワンセグ放送を利用し、ワンセグ受信可能エリアにあるワンセグ対応端末に対して情報を送信することが考えられる。
【0004】
この方法でワンセグ放送により防災情報が送信された場合に、ユーザがワンセグ受信可能エリア内にいたとしてもワンセグ対応端末の電源をオン状態にしていないときや他のワンセグ放送を視聴しているときにはこの防災情報を受信し視聴することができないが、特許文献1に記載の技術を利用することにより、これらの場合にも自動的に防災情報を受信して再生することができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−243936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、この特許文献1の技術などを利用してワンセグ対応端末で自動的に防災情報を受信したとしても、ユーザがこの端末を一時的に手放した状態のときなどには、端末が防災情報を受信したことに対する音、振動、光、ディスプレイ表示などによる通知にユーザが気付かない場合もあり、ユーザが防災行動をとるまでに時間がかかることがあるという問題があった。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、ワンセグ放送で防災情報が放送されていることを、ユーザが認識し易い状態で提示する防災情報処理装置および防災情報表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明の防災情報処理装置は、災害発生時に当該災害に関する防災情報がワンセグ放送で放送されたときに、前記防災情報が放送されていることを通知するための防災情報放送通知および前記防災情報を発信すべき地域の情報である発信地域情報を発信する防災放送管理装置と、ワンセグ放送受信可能エリア内に設置されたディスプレイとに接続された防災情報処理装置において、発信地域情報ごとの、該当する地域のワンセグ放送受信可能エリア内に設置されたディスプレイを識別するディスプレイ識別情報を記憶する表示設備情報記憶部と、前記防災放送管理装置から発信された、前記防災情報放送通知および発信地域情報を受信する通知情報受信部と、前記通知情報受信部で受信された発信地域情報に該当するディスプレイ識別情報を、前記表示設備情報記憶部に記憶された中から抽出する通知情報表示設備判断部と、前記通知情報受信部で受信された防災情報放送通知を、前記通知情報表示設備判断部で抽出されたディスプレイ識別情報で示されるディスプレイに表示させるために送信する通知情報送信部とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の防災情報表示システムは、災害発生時に発信する防災情報を管理する防災放送管理装置と、ワンセグ放送受信可能エリア内に設置されたディスプレイと、前記防災放送管理装置および前記ディスプレイに接続された防災情報処理装置とを備えた防災情報表示システムにであり、前記防災放送管理装置は、災害発生時に当該災害に関する防災情報がワンセグ放送で放送されているときに、前記防災情報を放送していることを通知するための防災情報放送通知および前記防災情報を発信すべき地域の情報である発信地域情報を前記防災情報処理装置に送信する通知情報送信部を有し、前記防災情報処理装置は、発信地域情報ごとの、該当する地域のワンセグ放送受信可能エリア内に設置されたディスプレイを識別するディスプレイ識別情報を記憶する表示設備情報記憶部と、前記防災放送管理装置から発信された、前記防災情報放送通知および発信地域情報を受信する通知情報受信部と、前記通知情報受信部で受信された発信地域情報に該当するディスプレイ識別情報を、前記表示設備情報記憶部に記憶された中から抽出する通知情報表示設備判断部と、前記通知情報受信部で受信された防災情報放送通知を、前記通知情報表示設備判断部で抽出されたディスプレイ識別情報で示されるディスプレイに送信する通知情報送信部とを有し、前記ディスプレイは、前記防災放送管理装置から送信された防災情報放送通知を表示する表示部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の防災情報処理装置および防災情報表示システムによれば、ワンセグ放送で防災情報が放送されていることを、ユーザが認識し易い状態で提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態による防災情報処理装置を利用した防災情報表示システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態による防災情報処理装置をユーザが利用する場合の説明図である。
【図3】本発明の一実施形態による防災情報処理装置を利用した防災情報表示システムの動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〈一実施形態による防災情報表示システムの構成〉
本発明の一実施形態による防災情報処理装置を利用した防災情報表示システムの構成について、図1を参照して説明する。
【0013】
本実施形態による防災情報表示システム1は、防災放送管理装置10と、ユーザが携帯するワンセグ対応端末20と、道路、河川敷、トンネル等に設置された大型ディスプレイである情報表示板30と、店頭、店舗内、街中などに設置された大型ディスプレイであるデジタルサイネージディスプレイ40と、防災放送管理装置10に接続された防災情報処理装置50と、防災情報処理装置50および情報表示板30に接続された情報表示板管理システム60と、防災情報処理装置50およびデジタルサイネージディスプレイ40に接続されたデジタルサイネージ管理システム70とを有する。このワンセグ対応端末20、情報表示板30、およびデジタルサイネージディスプレイ40は、ワンセグ放送受信可能エリア内にあるものとする。
【0014】
防災放送管理装置10は、災害発生時に、被災地の各避難所等に避難することを勧告する非難情報や災害に関する現在の状態を通知する災害情報等を含む防災情報を、発信すべき地域の情報である発信地域情報とともに記憶し、必要に応じてワンセグ放送を利用して放送する。また、防災情報を放送しているときには、当該防災情報を放送していることを通知するための防災情報放送通知を、該当する発信地域情報で示される地域内のワンセグ放送受信可能エリアにあるワンセグ対応端末に発信するとともに、当該防災情報放送通知、防災情報を放送しているワンセグ放送のチャンネル情報、および発信地域情報を防災情報処理装置50に送信する。さらに、防災情報放送通知を発信したことによりワンセグ放送受信可能エリア内にあるワンセグ対応端末で当該防災情報を放送しているチャンネルが選択されると、このワンセグ対応端末に当該防災情報を送信する。
【0015】
ワンセグ対応端末20は、ワンセグ放送を受信する機能を有するとともに、ワンセグ放送受信可能エリアにあるときに防災放送管理装置10から発信された防災情報放送通知を受信すると、音、振動、光、ディスプレイ表示等を出力してユーザに通知する。
【0016】
防災情報処理装置50は、表示設備情報DB記憶部51と、通知情報受信部52と、通知情報表示設備判断部53と、通知情報送信部54とを有する。
【0017】
表示設備情報DB記憶部51は、発信地域情報ごとに、ワンセグ放送受信可能エリア内にある大型ディスプレイを識別するディスプレイ識別情報を格納した、表示設備情報データベース(DB)を記憶する。
【0018】
通知情報受信部52は、防災放送管理装置10から送信された、防災情報放送通知、防災情報が放送されているワンセグ放送のチャンネル情報、および発信地域情報を受信する。
【0019】
通知情報表示設備判断部53は、通知情報受信部52で受信した発信地域情報に該当するディスプレイ識別情報を、表示設備情報DBから抽出する。
【0020】
通知情報送信部54は、通知情報受信部52で受信した防災情報放送通知および防災情報が放送されているワンセグ放送のチャンネル情報を、通知情報表示設備判断部53で抽出されたディスプレイ識別情報で示される大型ディスプレイの表示を管理する管理システムに送信する。
【0021】
情報表示板管理システム60は、情報表示板30に表示させる情報を管理しており、防災情報処理装置50から送信された防災情報放送通知および防災情報が放送されているワンセグ放送のチャンネル情報を、情報表示板30に表示させる。
【0022】
デジタルサイネージ管理システム70は、デジタルサイネージディスプレイ40に表示させる情報を管理しており、防災情報処理装置50から送信された防災情報およびワンセグ放送のチャンネル情報を、デジタルサイネージディスプレイ40に表示させる。
【0023】
〈一実施形態による防災情報表示システムの動作〉
次に、本実施形態による防災情報表示システムの動作について、図2の説明図および図3のシーケンス図を参照して説明する。
【0024】
本実施形態において、防災放送管理装置10には、災害発生時に、被災地の各避難所等に避難することを勧告する非難情報や災害に関する現在の状態を通知する災害情報等を含む防災情報が、発信すべき地域の情報である発信地域情報とともに記憶され、ワンセグ放送を利用して放送されているものとする(S1)。
【0025】
また、防災情報処理装置50の表示設備情報DB記憶部51には、発信地域情報ごとに、ワンセグ放送受信可能エリア内にある大型ディスプレイを識別するディスプレイ識別情報を格納した表示設備情報データベース(DB)が記憶され、本実施形態においては発信地域情報Aのワンセグ放送受信可能エリア内にある大型ディスプレイとしての情報表示板30およびデジタルサイネージディスプレイ40を識別するディスプレイ識別情報が、表示設備情報DBに格納されているものとする。
【0026】
これらが記憶されまた放送されている状態で、図2に示すようにワンセグ対応端末20を携帯するユーザが移動してワンセグ放送受信可能エリアに入るとワンセグ対応端末20で当該エリアに入ったことが検知される。そして、ワンセグ対応端末20が当該エリアに入っているときに防災放送管理装置10から防災情報の放送が開始されると、当該防災情報を放送していることを通知するための防災情報放送通知が、該当する発信地域情報Aで示される地域のワンセグ放送受信可能エリア内にあるワンセグ対応端末20に発信される(S2)。
【0027】
ステップS2により防災情報放送通知が発信されると、このエリア内にあるワンセグ対応端末20でこの防災情報放送通知が受信されて防災情報が放送されていることが検知され、音、振動、光、ディスプレイ表示等が出力されることによりユーザに通知される(S3)。
【0028】
また、ステップS2により防災情報放送通知が発信されると、当該防災情報の防災通知情報、防災情報が放送されているワンセグ放送のチャンネル情報、および発信地域情報が、防災放送管理装置10から防災情報処理装置50に送信される(S4)。
【0029】
防災情報処理装置50では、防災放送管理装置10から送信された防災通知情報、防災情報が放送されているワンセグ放送のチャンネル情報、および発信地域情報が通知情報受信部52で受信され(S5)、受信された発信地域情報に該当するディスプレイ識別情報が、通知情報表示設備判断部53において表示設備情報DBから抽出される(S6)。ここでは、発信地域情報Aに該当するディスプレイ識別情報として、情報表示板30およびデジタルサイネージディスプレイ40の識別情報が抽出される。
【0030】
次に、通知情報送信部54において、通知情報受信部52で受信された防災情報放送通知および防災情報が放送されているワンセグ放送のチャンネル情報が、通知情報表示設備判断部53で抽出されたディスプレイ識別情報で示される情報表示板30およびデジタルサイネージディスプレイ40の表示を管理する情報表示板管理システム60およびデジタルサイネージ管理システム70にそれぞれ送信される(S7)、
情報表示板管理システム60およびデジタルサイネージ管理システム70では、防災情報放送通知および防災情報が放送されているワンセグ放送のチャンネル情報が受信されると(S8)、管理対象の情報表示板30およびデジタルサイネージディスプレイ40にこれらの情報をそれぞれ表示させるための制御が行われ(S9)、情報表示板30およびデジタルサイネージディスプレイ40に表示される。この表示によっても、防災情報が放送されていることがユーザに通知される。
【0031】
情報表示板30およびデジタルサイネージディスプレイ40に防災情報放送通知および防災情報が放送されているワンセグ放送のチャンネル情報が表示されたことにより、ワンセグ対応端末20を携帯するユーザにより防災情報がワンセグ放送で放送されていることが認識され、表示されたチャンネルのワンセグ放送が受信状態に設定されると(S10)、防災放送管理装置10から放送されている該当する防災情報が防災情報がワンセグ対応端末20で受信され、音声やディスプレイ表示等で出力される(S11)。
【0032】
以上の本実施形態によれば、防災情報の発信対象地域のワンセグ放送受信可能エリア内で、ユーザが携帯しているワンセグ対応端末で音、振動、光、ディスプレイ表示等により防災情報が放送されていることが通知されたがユーザが気付けない状況にあるときにも、当該エリア内の大型ディスプレイに防災情報が放送されていることが表示されるため、ユーザが防災情報を認識し易くなり、防災行動をとるまでの時間が短縮される可能性が高くなるという効果がある。
【符号の説明】
【0033】
1…防災情報表示システム
10…防災放送管理装置
20…ワンセグ対応端末
30…情報表示板
40…デジタルサイネージディスプレイ
50…防災情報処理装置
51…表示設備情報DB記憶部
52…通知情報受信部
53…通知情報表示設備判断部
54…通知情報送信部
60…情報表示板管理システム
70…デジタルサイネージ管理システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
災害発生時に当該災害に関する防災情報がワンセグ放送で放送されたときに、前記防災情報が放送されていることを通知するための防災情報放送通知および前記防災情報を発信すべき地域の情報である発信地域情報を発信する防災放送管理装置と、ワンセグ放送受信可能エリア内に設置されたディスプレイとに接続された防災情報処理装置において、
発信地域情報ごとの、該当する地域のワンセグ放送受信可能エリア内に設置されたディスプレイを識別するディスプレイ識別情報を記憶する表示設備情報記憶部と、
前記防災放送管理装置から発信された、前記防災情報放送通知および発信地域情報を受信する通知情報受信部と、
前記通知情報受信部で受信された発信地域情報に該当するディスプレイ識別情報を、前記表示設備情報記憶部に記憶された中から抽出する通知情報表示設備判断部と、
前記通知情報受信部で受信された防災情報放送通知を、前記通知情報表示設備判断部で抽出されたディスプレイ識別情報で示されるディスプレイに表示させるために送信する通知情報送信部と
を備えることを特徴とする防災情報処理装置。
【請求項2】
前記ディスプレイは、道路、河川敷、またはトンネルに設置された情報表示板、または、店頭、店舗内、街中に設置されたデジタルサイネージディスプレイである
ことを特徴とする請求項1に記載の防災情報処理装置。
【請求項3】
前記防災情報放送通知は、当該ワンセグ放送のチャンネル情報を含む
ことを特徴とする請求項1または2に記載の防災情報処理装置。
【請求項4】
災害発生時に発信する防災情報を管理する防災放送管理装置と、ワンセグ放送受信可能エリア内に設置されたディスプレイと、前記防災放送管理装置および前記ディスプレイに接続された防災情報処理装置とを備えた防災情報表示システムにおいて、
前記防災放送管理装置は、
災害発生時に当該災害に関する防災情報がワンセグ放送で放送されているときに、前記防災情報を放送していることを通知するための防災情報放送通知および前記防災情報を発信すべき地域の情報である発信地域情報を前記防災情報処理装置に送信する通知情報送信部を有し、
前記防災情報処理装置は、
発信地域情報ごとの、該当する地域のワンセグ放送受信可能エリア内に設置されたディスプレイを識別するディスプレイ識別情報を記憶する表示設備情報記憶部と、
前記防災放送管理装置から発信された、前記防災情報放送通知および発信地域情報を受信する通知情報受信部と、
前記通知情報受信部で受信された発信地域情報に該当するディスプレイ識別情報を、前記表示設備情報記憶部に記憶された中から抽出する通知情報表示設備判断部と、
前記通知情報受信部で受信された防災情報放送通知を、前記通知情報表示設備判断部で抽出されたディスプレイ識別情報で示されるディスプレイに送信する通知情報送信部とを有し
前記ディスプレイは、
前記防災放送管理装置から送信された防災情報放送通知を表示する表示部を有する
ことを特徴とする防災情報表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−29754(P2011−29754A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−171096(P2009−171096)
【出願日】平成21年7月22日(2009.7.22)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】