説明

防災頭巾兼用枕。

【課題】 従来の防災頭巾兼用枕は、頭巾を被ると同時にマスクが形成されるものはなかった。これは頭巾の脱落防止作用とマスク作用を得ることができるものである。
【解決手段】 頭巾の上端縁をスライドファスナーで開閉可能にし、頭巾の左右いずれかの一方前部のマスク相当位置に帯状体の一端を取り付け、この帯状体の取り付け近傍に係止部材を設けて帯状体を頭巾の側周に一周させて帯状体他端を前記係止部材に係止させたたことを特徴とし、付加的に、スライドファスナーの摘み部に鈴を取り付けたことを特徴とする防災頭巾兼用枕。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害時にマスクつきの防災頭巾として使用できる防災頭巾兼用枕に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の防災頭巾を兼ねた枕には、内側の下辺部にポケットを設けて小型懐中電灯、印鑑、現金等を収納できるようにし、チャック付き出入り口と両側に手さげ紐を取り付けた枕カバーを組み合わせたものがある(例えば、実用新案文献1参照。)
また、頭巾の内面に複数のポケットを設け、頭巾の前端と下端をスライドファスナーで開閉可能にしたものもある(例えば、実用新案文献2参照。)
【0003】
以下、図4に示す防災頭巾とそばがら入り袋を組み合わせた枕(文献1)及び図5、図6に示す防災用品も入れられる防災枕(文献2)について説明する。
【0004】
図4は、防災頭巾の内側下辺部にポケット6を設けて小型懐中電灯、印鑑、現金等を収納できるようにし、この頭巾の上にそばがら入り袋を載せて就寝中にそばがら入り袋がずれないように紐1で結ぶようにし、チャック付き出入り口と両端に手さげ紐を設けた枕カバーをセットにしたものである。(そばがら入り袋と枕カバーは図示しない)
図5、図6は、防災頭巾の前端と裾をスライドファスナーEで開閉可能にし、頭巾として使用する場合はスライドファスナーEを開けて被り、頭巾の内面には図6のようにポケットCを設けて必需品を収納し、スライドファスナーEを閉じると四方が閉じられて枕になるものである。
【実用新案文献1】
実開昭57−120374号公報
【実用新案文献2】
実開昭62−100071号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上に述べた従来の防災頭巾兼用の枕は、いずれも頭巾を被ると同時にマスクの作用をも得られるものはない。また、実用新案文献2は、頭巾の顔と肩にかかる開口部をスライドファスナーで閉じて袋状の枕にしているので、スライドファスナーを開いて頭巾として被ると、災害時に予想されるさまざまな状況、例えば地震で倒壊した家具や建材に挟まれたり狭い隙間を潜り抜けたりする場合にスライドファスナーが顔に当たって傷つけやすい。
【0006】
本発明は、上記の不都合を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の目的を達成するために頭巾の上端縁をスライドファスナーで開閉可能にし、頭巾の左右いずれかの一方前部の鼻や口を覆う位置に帯状体の一端を取り付け、この帯状体取り付け部近傍に係止部材を設け、帯状体を頭巾の側周に一周させて帯状体他端を前記係止部材に適合する係止部材でとめつける。係止部材としては相互に係止する面ファスナー、スナップ、ボタンと穴かがり、またはボタンとループ紐等適宜手段を用いる。
【0008】
また第2の解決手段は、スライドファスナーの摘みに鈴を取り付けたものである。
【0009】
上記の第1の解決手段による作用は、帯状体がマスクの作用を成すとともに頭巾の脱落防止用紐の作用を成す。
【0010】
第2の解決手段による作用は、枕として使用する場合にはスライドファスナーを開いて用いるので、鈴を取り付けたことにより就寝時の暗闇でもスライドファスナーの摘みが音で確認されるため瞬時にスライドファスナーを閉じて防災頭巾として使用できる。
【発明の効果】
【0011】
上述したように本発明の防災頭巾兼用枕は、頭巾の上端縁のスライドファスナーを開けば枕、閉じれば頭巾になり、頭に被って帯状体をひと巻きすると煙や埃の吸引を防止するマスクが形成されると同時に頭巾の脱落防止の作用も得られる。またスライドファスナーは頭の上方に位置し、枕や頭巾として使用するいずれの場合も肌に触れて痛みや不快感を与えることがない。
特に、地震災害時で予想される家具や建材の倒壊によって身動きできない場合でも、頭巾の前方にスライドファスナーを用いていないので顔面をスライドファスナーで傷つけるおそれもない。
また、スライドファスナーの摘みに鈴を取り付けたことによりスライドファスナーの摘み位置が音によって確認できるので、暗闇でもスライドファスナーの開閉が容易である。
【発明の実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1は頭巾1の上端縁をスライドファスナー2で開閉可能にし、後部3を二つ折りして輪状に形成するか或いは縫製などによって閉じており、頭巾1の左右いずれかの一方前部のマスク相当位置に帯状体4の一端5を取り付け、この帯状体4の取り付け部近傍の表面に係止部材としてファスナー6を設けている。
帯状体4の他端裏面に面ファスナー6に係止する面ファスナー6aを設け、頭巾の側周を一周させて前記面ファスナー6に係止させるものである。図中、7はスライドファスナーの摘みに取り付けた鈴、8は頭巾の肩にかかる部分である。頭巾に使用する素材は例えばキルティング材や発泡材、或いは空気封入材等クッション性を有するものが好ましく、かつ、防燃材で覆ってあることが好ましい。
【0014】
上記のように帯状体4は頭巾の側周を一周して頭巾脱落防止の紐の作用とマスクの作用を成すものであるから、その効果を有する寸法に面ファスナー6及び面ファスナー6aを設ける。マスク効果と頭巾の脱落防止効果をより高めるために、頭巾1の他端前部表面のマスク相当位置にも面ファスナー6bを設け、帯状体4の裏面のマスク端相当位置に面ファスナー6cを設けて係止させてもよい。このように面ファスナー6と面ファスナー6a、面ファスナー6bと面ファスナー6cに係止するようにするとマスクの寸法や位置もより安定するとともに頭巾の脱落防止効果も高められる。係止部材として面ファスナーを図示したが、その他のものを使用してもよい。
【0015】
図2は頭巾上端縁のスライドファスナー2を開いて枕として使用する場合を示す。就寝時は帯状体4を図のように枕の下に敷いておけばよい。
【0016】
暗闇の災害時でも、また寝たままの姿勢でも鈴7の音でスライドファスナー2の摘みの位置が確認されるので素早くスライドファスナー2を閉じて頭を覆い、枕の下の帯状体4をぐるりと巻きつけるとマスクつきの防災頭巾となる。
【0017】
図3は防災頭巾を形成した場合を示す。例示したようにマスクの位置に笛を収納するポケット9を設けておくと、家具や家屋の下敷きになった場合に収納場所を探すことなく口元のポケットから笛を取り出して救助を求めることが出来るので好ましい。この場合、ポケット内部と笛を紐で連結しておくことが好ましく、マスク位置の口に当たる部分はガーゼや通気性のクッション材を設けるのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態を示す防災頭巾兼用枕の頭巾にした斜視図。
【図2】同防災頭巾兼用枕を枕として使用している場合を示す平面図。
【図3】同防災頭巾兼用枕の帯状体を巻きつけた斜視図。
【図4】従来文献を示す。
【図5】従来文献を示す。
【図6】従来文献を示す。
【符号の説明】
1 頭巾
2 スライドファスナー
3 頭巾の後部
4 帯状体
5 帯状体4の一端
6、6a、6b、6c 面ファスナー
7 スライドファスナーの摘みに取り付けた鈴
8 頭巾の肩にかかる部分
9 マスク位置のポケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭巾の上端縁をスライドファスナーで開閉可能にし、頭巾の左右いずれかの一方前部の鼻や口を覆う位置に帯状体の一端を取り付け、この帯状体取り付け部近傍に係止部材を設け、帯状体を頭巾の側周を一周させて帯状体他端を前記係止部材に適合する係止部材でとめつけたことを特徴とする防災頭巾兼用枕。
【請求項2】
スライドファスナーの摘み部に鈴を取り付けたことを特徴とする請求項1記載の防災頭巾兼用枕。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−312004(P2006−312004A)
【公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−170082(P2005−170082)
【出願日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 平成16年11月12日から11月14日 社団法人全国発明婦人協会主催の「第21回 関西暮らしの発明展」に出品
【出願人】(505216874)
【Fターム(参考)】