説明

防犯機器

【課題】鍵を収納する保管庫等の防犯のために設置される防犯機器において、特に、側面からの不正な引き剥がしに対しての防犯性を向上させる。
【解決手段】鍵を収納する保管庫等の防犯のために設置される防犯機器において、防犯機器1には、壁面21等に設置されるベース2と、ベース2の正面に設置され、ベースに固定される上ケース4とが具備され、ベース2と上ケース4の間に、ベース2の内側に沿うように金属等の補強部材3が配置されている構成を採用した。また、補強部材3はベース2と共にスイッチボックス用カバー15に共締めされており、ベース2に、補強部材3と上ケース4とを固定するための柱2bが配置されており、補強部材3と上ケース4とが柱2bにねじで共締めされている。さらに、補強部材3は柱2bの外側にまで配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鍵を収納する保管庫等の防犯のために設置される防犯機器に関し、特に、不正な引き剥がしに対する防犯性を向上させることのできる防犯機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鍵や貴重品を収納する保管庫等には様々な防犯機器が設けられている。その防犯機器の多くは、機器が破壊されたり、扉(カバー)が不正に開けられたりした場合に、検出スイッチが働いたり、他の機器との通信が出来なくなったりする事で異常を検出できる様になっている。
【0003】
また、例えば、特許文献1に示されているように、保管庫の正面に扉を設け、その裏側にロック機構を配置し、正面からバーナーやハンマーで不正に解錠しようとした場合に備える方法もある。
【特許文献1】特開2004−011344号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これらの方法は、機器正面からの不正行為に対する防犯性は高いものの、防犯機器の側面からドリルで穴を開けたり鉄パイプで殴ったりして不正な引き剥がしを行い、内部の配線に細工を施し、あたかも正常にセキュリティー解除を行った如くに装うという方法に対しては非力だった。また、鍵等が防犯機器内に収納されている場合には、側面からの不正な引き剥がしにより、そのまま持ち出されてしまうこともある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、鍵を収納する保管庫等に設置される防犯機器において、特に、樹脂などの比較的破壊に弱い材質の筐体について、組み立て工程を複雑にせず、簡単な方法で、破壊・引き剥がしに対しての防犯性を向上させることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
係る目的を達成すべく、本発明のうち請求項1に記載の発明は、鍵を収納する保管庫等の防犯のために設置される防犯機器において、該防犯機器には、壁面等に設置されるベースと、該ベースの正面に設置され、該ベースに固定されるケースとが具備され、前記ベースと前記ケースの間に、前記ベースの内側に沿うように金属等の補強部材が配置されている構成を採用した。
【0007】
このように、ベースの内側に金属等の補強部材を配置することで、筐体が樹脂などの比較的破壊に弱い材質でできていても、簡単に不正な引き剥がしに対しての防犯性を向上させることができる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明のように、前記補強部材と前記ベースとが前記壁面等にねじ等で共締めされていることが好ましい。
【0009】
共締めすることにより、補強部材を強固に壁面等に固定することができ、防犯性を向上させることができる。また、共締めすることにより組み立て工程を容易にできる。
【0010】
また、請求項3に記載の発明のように、前記ベースに、前記補強部材と前記ケースとを固定するための固定手段が配置されており、前記補強部材と前記ケースとが前記固定手段にねじ等で共締めされていることが好ましい。
【0011】
共締めすることにより、補強部材をさらに強固にベースに固定することができ、防犯性を向上させることができる。また、共締めすることにより組み立て工程を容易にできる。
【0012】
さらに、請求項4に記載の発明のように、前記ベースに、前記補強部材と前記ケースとを固定するための固定手段が配置されており、前記補強部材が前記固定手段を覆うように配置されていることが好ましい。
【0013】
補強部材を固定手段の外側にまで配置することにより、側面から固定手段を破壊する事が容易ではなくなり、防犯性を向上できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る防犯機器は、樹脂などの比較的破壊に弱い材質の筐体について、組み立て工程を複雑にせず、簡単な方法で、破壊・引き剥がしに対しての防犯性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基いて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る防犯機器の設置例を示す図である。図1には、壁面21に設置されたドア22が示されている。ドア22の側方には、本発明に係る防犯機器1と保管庫20が壁面21に並べて設置されている。この実施の形態では、保管庫20に、ドア22の鍵が収納されており、保管庫20の扉は、防犯機器1によって厳重管理されている。
【0016】
図2は、本発明に係る防犯機器と保管庫を示す図である。図2には、防犯機器1と保管庫20が並べて設置されている様子が示されている。防犯機器1は、壁面21に取り付けられるベース2と、ベース2にマウントされている上ケース4と、上ケース4にマウントされているカバー7とからなる。カバー7の上面には、カードを通してロックを解除するカードリーダー7e等のセキュリティー手段が設けられている。
【0017】
保管庫20は、壁面21に取り付けられ、鍵等を収納する箱状筐体のベース23と、扉24とからなる。カードリーダー7eで正確なカード情報が読み取られると、扉24を開くことができる。
【0018】
図3は、本発明に係る防犯機器の実施形態を示す断面図である。図4は、同機器のベースと補強部材の正面図である。なお、図3において、図の横方向を右から左にX軸とし、図の奥行き方向を奥から手前にY軸とし、図の縦方向を上から下にZ軸とする。
【0019】
図3の右側には、YZ平面に延びる壁面21が存在する。壁面21には、X軸の負方向に向けて穴21aが空けられている。穴21aの内部には、一般的な建築物の工事に使用される断面L字型に加工されたスイッチボックス13が固定されている。スイッチボックス13の正面には、同じく一般的な建築物の工事に使用される断面Z型に加工されたスイッチボックス用カバー15が配置され、ねじ14でスイッチボックス13に固定されている。スイッチボックス用カバー15の正面には、本発明に係る防犯機器1の筐体がマウントされている。スイッチボックス用カバー15の防犯機器1の筐体と接する部分には、図示せぬねじ溝が4箇所設けられている(図4参照)。
【0020】
防犯機器1の筐体は、壁面21に接するように配置された樹脂製のベース2と、ベース2の内面に沿うように配置された金属製の補強部材3と、ベース2と補強部材3に固定される樹脂製の上ケース4と、上ケース4の内部に配置されるプリント基板5と、上ケース4に固定される樹脂製の下ケース6と、上ケース4を覆うように配置された樹脂製のカバー7等からなる。
【0021】
ベース2は、YZ平面に延びる板状をしており(図4参照)、端面2aは、X軸の正方向に延びるように成型されている。ベース2の端面2aの内側付近には、X軸の正方向に伸びる柱2b等の固定手段が4箇所成型されている(図4参照)。柱2bの内部には図示せぬねじ溝が掘られている。また、ベース2のスイッチボックス用カバー15のねじ溝に対応する部分には、ベース2をスイッチボックス用カバー15に固定するため4箇所の孔が空けられている。さらに、ベース2の下方には、配線16を壁面21の方に通すための横長の孔2cが空けられている。
【0022】
補強部材3は、YZ平面に延びる板状をしており(図4参照)、その上下の段付部3aは、X軸の正方向に延びるように加工されている。段付部3aの先の段付部3bは、さらにZ軸方向に上下に広がるように加工されている。段付部3bの先の折り返し部3cはさらにX軸の負方向に折り曲げて加工されており、柱2bを覆うような構造になっている。この折り返し部3cがあることで防犯機器1の側面からの攻撃から柱2bの損傷を防止することができる。このように、補強部材3を必要に応じて折り曲げ、外郭を破壊されても容易に内部に到達できないようにすれば、より防犯性を高めることができる。
【0023】
補強部材3のベース2の孔に対応する部分には4箇所の図示せぬ孔が設けられている。この孔とベース2の孔には、ねじ9が通され、スイッチボックス用カバー15のねじ溝にねじ込まれることで、補強部材3はベース2と共にスイッチボックス用カバー15に共締めされる(図4参照)。このように、補強部材3をベース2と共締めすることにより、さらに破壊・引き剥がしに強くなる。
【0024】
また、段付部3bの柱2bと接する部分には孔3eが設けられている(図4参照)。さらに、補強部材3の下方には、配線16を壁面21の方に通すための横長の孔3dが空けられている。
【0025】
上ケース4は、YZ平面に延びる板状をしており、その上下左右の段付部4aは(上下のみ図示)、X軸の負方向に延びるように成型されている。段付部4aの先の段付部4bは、さらにYZ軸方向に上下左右に広がるように成型されており、さらにその先の段付部4cはX軸の負方向に伸びるように成型されている。段付部4aの内側付近には、X軸の負方向に伸びる柱4dが数箇所成型されている。柱4dの内部には図示せぬねじ溝が掘られている。
【0026】
段付部4bの柱2bのX軸の延長上には、図示せぬ孔が設けられており、この孔と孔3eとにねじ10が通され、柱2bの内部の図示せぬねじ溝にねじ込まれることで、上ケース4は補強部材3と共にベース2の柱2bに共締めされる。このように、補強部材3を上ケース4と共締めすることにより、さらに破壊・引き剥がしに強くなる。
【0027】
上ケース4の内部には、YZ平面に延びる板状のプリント基板5が配置されている。プリント基板5の柱4dに対応する部分には、図示せぬ孔が設けられており、その孔に柱4dが嵌合されて、プリント基板5が固定されている。プリント基板5の左側面には、検出スイッチ5a等の防犯機能を実現する電子機器が配置されている。プリント基板5の裏面から壁面21の方には、配線16が這わされている。
【0028】
柱4dの先には、YZ平面に延びる板状の下ケース6が配置されている。下ケース6の端面付近の柱4dのX軸の負方向の延長上には、図示せぬ孔が設けられており、この孔にねじ11が通され、柱4dの内部の図示せぬねじ溝にねじ込まれることで、下ケース6は上ケース4の柱4dに固定される。下ケース6の上方には、孔6aが空けられており、配線16が通されている。
【0029】
段付部4bの外側付近には、X軸の正方向に伸びる柱4eが数箇所成型されている。柱4eの内部には図示せぬねじ溝が掘られている。また、上ケース4の下方には、検出スイッチ5aの検出棒7dを通すための孔4fが空けられている。
【0030】
カバー7は、YZ平面に延びる板状をしており、その上下左右の段付部7a(上下のみ図示)は、X軸の負方向に延びるように成型されている。段付部7aの先の段付部7bは、さらにYZ軸方向に上下左右に広がるように成型されており、さらにその先の段付部7cはX軸の負方向に伸びるように成型されている。また、段付部7bの柱4eのX軸の正方向の延長上には、図示せぬ孔が設けられており、この孔にねじ12が通され、柱4eの内部の図示せぬねじ溝にねじ込まれることで、カバー7は上ケース4の柱4eに固定される。
【0031】
カバー7の内側の下方には、不正にカバーを開けられた時に検出スイッチ5aを起動させるための検出棒7dがX軸の負方向に向けて突設されている。図の状態では、検出棒7dが検出スイッチ5aを押しており、カバー7が不正な手段で開けられると、検出棒7dが検出スイッチ5aから離れ、警報が鳴る等の防犯対策が施されている。
【0032】
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明に係る防犯機器は、鍵を収納する保管庫等の防犯のために設置される防犯機器に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る防犯機器の設置例を示す図である。
【図2】本発明に係る防犯機器と保管庫を示す図である。
【図3】本発明に係る防犯機器の実施形態を示す断面図である。
【図4】同機器のベースと補強部材の正面図である。
【符号の説明】
【0035】
1・・・防犯機器
2・・・ベース
2b・・柱
3・・・補強部材
4・・・上ケース
5・・・プリント基板
6・・・下ケース
7・・・カバー
16・・配線
21・・壁面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍵を収納する保管庫等の防犯のために設置される防犯機器において、
該防犯機器には、壁面等に設置されるベースと、該ベースの正面に設置され、該ベースに固定されるケースとが具備され、
前記ベースと前記ケースの間に、前記ベースの内側に沿うように金属等の補強部材が配置されている筐体を有することを特徴とする防犯機器。
【請求項2】
前記補強部材と前記ベースとが前記壁面等にねじ等で共締めされていることを特徴とする請求項1記載の防犯機器。
【請求項3】
前記ベースに、前記補強部材と前記ケースとを固定するための固定手段が配置されており、前記補強部材と前記ケースとが前記固定手段にねじ等で共締めされていることを特徴とする請求項1又は2記載の防犯機器。
【請求項4】
前記ベースに、前記補強部材と前記ケースとを固定するための固定手段が配置されており、前記補強部材が前記固定手段を覆うように配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の防犯機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2007−224631(P2007−224631A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−47816(P2006−47816)
【出願日】平成18年2月24日(2006.2.24)
【出願人】(000101400)アツミ電氣株式会社 (69)
【Fターム(参考)】