説明

防食管理装置と防食管理方法及びその処理プログラムを記憶した記憶媒体

【課題】地中に埋設された被覆鋼管の各測定位置における管対地電位を、各測定位置に行かずに連続的に推定して電気防食の状態を短時間で確実に評価する。
【解決手段】外部防食電源4に対して最近接の測定点P1から最遠方にある測定点Pnの間に設定された測定点Pi毎の管対地電位を一定時間測定して記憶し、測定点Pnで測定した管対地電位Vpnと同時に測定した測定点Pi毎の管対地電位Vpiとの回帰分析を行い、測定した管対地電位Vpnを基準にした管対地電位Vpiの回帰式を作成する。作成した各回帰式と、測定点P1における初期管対地電位Vp1及び測定点P1,Pnで測定する管対地電位Vsp1、Vspnとにより各測定点Piの管対地電位Vspiの演算式を作成し、一定期間毎に測定点P1,Pnで測定した管対地電位Vsp1、Vspnにより、測定点Pi毎の管対地電位Vspiを推定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、地中に埋設された被覆鋼管の電気防食を管理する防食管理装置と防食管理方法及びその処理プログラムを記憶した記憶媒体、特に管対地電位の検出の容易化に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地中に埋設された被覆鋼管の腐食を防止するため、外部防食電源の負側を被覆鋼管の管本体に接続し、外部防食電源の正側を地中に埋設した防食電極に接続し、防食電極から電流を送って管本体の電位を下げる電気防食法が採用されている。この電気防食状況を評価するため、例えば特許文献1に示すように、管本体の大地に設置した照合電極間の電位差である管対地電位を測定する電位判定法が広く採用されている。
【0003】
特許文献1に示された防食管理方法は、地中に埋設された被覆鋼管に間隔を置いて、地表面で開閉可能な防食電位測定用のターミナルボックスを埋め込んで設置し、被覆鋼管の管本体に接続した電線と被覆鋼管近傍に埋め込まれた照合電極に接続した電線を各ターミナルボックス内に立ち上げて管対地電位の計測に使用している。
そして管対地電位を測定するとき、あらかじめ各ターミナルボックスの設置場所を特定した端末装置の地図情報を参考にして、電圧測定器と端末装置を各ターミナルボックスの設置位置に移動し、ターミナルボックス毎に電圧測定器で管対地電位を測定し、測定したデータを端末装置に取り込み、端末装置から通信網を介して管理者のサーバーに転送して、サーバーにデータベースとして保存している。
【特許文献1】特開2003−147558号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示された防食管理方法は、各ターミナルボックスの設置位置に電圧測定器と端末装置を移動し、ターミナルボックス毎に管対地電位を測定しているため、測定時間が限定され、例えば24時間の電気防食状況を把握することは困難であった。
また、各ターミナルボックスの設置位置に電圧測定器と端末装置を移動して管対地電位の測定を繰り返すため、管対地電位の測定の多くの時間を要する。
さらに、交通量の多い道路に各ターミナルボックスが設置されている場合、ターミナルボックスのマンホールを開放することができず、管対地電位の測定ができなくなってしまうという短所もある。
【0005】
この発明は、このような短所を解消し、地中に埋設された被覆鋼管の各測定位置における管対地電位を、各測定位置に行かずに連続的に推定することができる防食管理装置と防食管理方法及びその処理プログラムを記憶した記憶媒体を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の防食管理装置は、管対地電位推定装置と、外部防食電源に対して最近接の測定点P1と最遠方の測定点Pnで管対地電位を測定する電位検出手段及び記録装置とを有し、記録装置は、外部防食電源に対して最近接の測定点P1から最遠方にある測定点Pnの間に設定された測定点Pi{i=2〜(n−1)}毎の管対地電位をあらかじめ定めた一定時間測定して記憶し、管対地電位推定装置は、外部防食電源に対して最近接の測定点P1と最遠方の測定点Pnで測定した管対地電位により、各測定点Piの管対地電位を推定するものであり、装置全体の処理を制御するデータ入力部とデータ記憶部と回帰分析部と演算式作成部と演算式記憶部及び管対地電位演算部を有し、データ入力部は、記録装置に記憶した測定点Pi毎の管対地電位Vpiを入力するとともに、電位検出部で測定した外部防食電源に対して最近接の測定点P1と最遠方の測定点Pnにおける管対地電位を入力し、データ記憶部は入力した管対地電位を測定点毎に記憶するとともに各種データを記憶し、回帰分析部は最遠方の測定点Pnで測定した管対地電位Vpnと同時に記録装置で測定した測定点Pi毎の管対地電位Vpiとの回帰分析を行い、測定した管対地電位Vpnを基準にした管対地電位Vpiの回帰式を作成し、演算式作成部は回帰分析部で作成した各回帰式と、測定点P1における基準電位である管対地電位Vp1と、測定点P1と測定点Pnで測定する管対地電位Vsp1、Vspnにより各測定点Piの管対地電位Vspiの演算式を作成し、演算式記憶部は作成した測定点Pi毎の管対地電位Vspiの演算式を記憶し、管対地電位演算部は記憶した管対地電位Vspiの演算式と、電気防食状況を評価するときに、測定点P1と測定点Pnで測定した管対地電位Vsp1、Vspnにより、測定点Pi毎の管対地電位Vspiを演算することを特徴とする。
【0007】
この発明の防食管理方法は、外部防食電源に対して最近接の測定点P1から最遠方にある測定点Pnの間に設定された測定点Pi{i=2〜(n−1)}毎の管対地電位をあらかじめ定めた一定時間測定して記憶する工程と、最遠方の測定点Pnで測定した管対地電位Vpnと同時に測定した測定点Pi毎の管対地電位Vpiとの回帰分析を行い、測定した管対地電位Vpnを基準にした管対地電位Vpiの回帰式を作成する工程と、作成した各回帰式と、測定点P1における基準電位である管対地電位Vp1と、測定点P1と測定点Pnで測定する管対地電位Vsp1、Vspnとにより各測定点Piの管対地電位Vspiの演算式を作成する工程と、作成した管対地電位Vspiの演算式と、電気防食状況を評価するときに、測定点P1と測定点Pnで測定した管対地電位Vsp1、Vspnにより、測定点Pi毎の管対地電位Vspiを演算する工程とを有することを特徴とする。
【0008】
この発明の記憶媒体は、コンピュータで読み取り可能であり、前記防食管理方法の処理プログラムを格納したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明は、外部防食電源に対して最近接の測定点P1から最遠方にある測定点Pnの間に設定された測定点Pi{i=2〜(n−1)}毎の管対地電位をあらかじめ定めた一定時間測定して記憶し、最遠方の測定点Pnで測定した管対地電位Vpnと同時に測定した測定点Pi毎の管対地電位Vpiとの回帰分析を行い、測定した管対地電位Vpnを基準にした管対地電位Vpiの回帰式を作成し、作成した各回帰式と、測定点P1における初期管対地電位Vp1と、測定点P1と測定点Pnで測定する管対地電位Vsp1、Vspnとにより各測定点Piの管対地電位Vspiの演算式を作成し、作成した管対地電位Vspiの演算式と、一定期間毎に測定点P1と測定点Pnで測定した管対地電位Vsp1、Vspnにより、測定点Pi毎の管対地電位Vspiを演算するから、地中に埋設した被覆鋼管の電気防食状況を評価するときに、外部防食電源に対して最近接の測定点P1と最遠方にある測定点Pnの管対地電位を測定するだけで外部防食電源に対して最近接の測定点P1と最遠方にある測定点Pnの間にある複数の計測点における管対地電位を推定することができ、電気防食の状態を短時間で確実に評価することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1はこの発明の防食管理装置の構成を示すブロック図である。防食管理装置1は、地中2に埋設された被覆鋼管3の腐食を防止するため、外部防食電源4の負側を被覆鋼管3の管本体に接続し、外部防食電源4の正側を地中2に埋設した防食電極5に接続し、外部防食電源4から防食電極5を介して電流を送って管本体の電位を下げる電気防食の状況を評価するものである。この電気防食の状況を評価するため、地中2に埋設された被覆鋼管3の配管ラインの外部防食電源4に対して最近接の位置P1と最遠方の位置Pnに測定点が設けられ、最近接の測定点P1と最遠方の測定点Pnの間に間隔を置いて複数の測定点P2〜測定点P(n−1)が設けられている。
【0011】
この防食管理装置1の構成を説明するにあたり、まず、外部防食電源4に対して最近接の測定点P1と最遠方の測定点Pnで測定した管対地電位により測定点P2〜測定点P(n−1)の管対地電位を推定する動作原理を説明する。
【0012】
外部防食電源4の出力が変化しない場合、外部防食電源4に対して最近接の測定点P1における管対地電位Vp1は一定であるが、外部防食電源4に対して最遠方の測定点Pnにおける管対地電位Vpnは最も大きく変動する。この最遠方の測定点Pnにおける管対地電位Vpnと測定点P(n−1)の管対地電位Vp(n−1)を同時に測定し、測定した管対地電位Vpnと管対地電位Vp(n−1)の分散図は、例えば図3に示すように相関がある。そこで外部防食電源4に対して最遠方の測定点Pnの管対地電位Vpnと各測定点Pi{i=2〜(n−1)}における管対地電位Vpiを同時に測定し、測定した管対地電位Vpnを基準にした管対地電位Vpiの回帰式を下記(1)式とする。
Vpi=Ai×Vpn+Bi (1)
ここでAiは回帰直線の傾き、Biは回帰直線の切片である。
【0013】
外部防食電源4の出力が変化して、外部防食電源4に対して最近接の測定点P1における管対地電位Vp1がΔVだけ変化してVsp1になったとき、外部防食電源4に対して最遠方の測定点Pnの管対地電位VpnがVspnとなり、各測定点Piの管対地電位VpiがVspi、回帰直線の傾きがAsi、回帰直線の切片がBsiになったとしたときの回帰式を下記(2)式とする。
Vspi=Asi×Vspn+Bsi (2)
ここで回帰直線の傾きは変わらず、測定点Pnと測定点Piにおける管対地電位も測定点1と同様にΔVだけシフトしたとすると、回帰式(2)は下記(3)式で表せる。
{Vpi+ΔV}=Ai×(Vpn+ΔV)+Bsi (3)
この(3)式と(1)式から下記(4)式が得られる。
{Ai×Vpn+Bi+ΔV}=Ai×(Vpn+ΔV)+Bsi (4)
(4)式より、測定点P1における管対地電位Vp1がΔVだけ変化したときの回帰直線の切片Baiは下記(5)式で表せる。
Bsi=Bi+ΔV(1−Ai)
=Bi+(Vsp1−Vp1)(1−Ai) (5)
そこで最近接の測定点P1における管対地電位Vp1がVsp1に変化したときの各測定点Piの管対地電位Vspiは下記(6)式で表せる。
Vspi=Ai×Vspn+Bi+(Vsp1−Vp1)(1−Ai) (6)
【0014】
したがって測定点P1における管対地電位Vp1が所定の基準電位であるとき、外部防食電源4に対して最遠方の測定点Pnの管対地電位Vpnと各測定点Piにおける管対地電位Vpiを同時に測定し、測定点Pnの管対地電位Vpnを基準にして測定点Pi毎に回帰式を求め、各回帰式の傾きAiと切片Biと測定点P1における管対地電位Vp1をあらかじめ記憶しておくことにより測定点P1と測定点Pnで管対地電位Vsp1、Vspnを測定して測定点P2〜測定点P(n−1)の管対地電位Vspiを推定することができる。
【0015】
この防食管理装置1は、管対地電位推定装置6と、外部防食電源4に対して最近接の測定点P1で被覆鋼管3の管本体と地中2に埋設した照合電極7に接続され、測定点P1の管対地電位を測定する電位検出部8aと、外部防食電源4に対して最遠方の測定点Pnで管本体と地中2に埋設した照合電極7に接続され、測定点Pnの管対地電位を測定する電位検出部8bと、各電位検出部8a,8bで測定した管対地電位を管対地電位推定装置6に転送する送信部9a,9bと、電位検出部10と例えばパソコン等の端末装置11からなる記録装置12を有する。
【0016】
記録装置12は、外部防食電源4に対して最近接の測定点P1から最遠方にある測定点Pnの間の路面等に設定され、管対地電位を常時測定する計測装置を設置するのに困難な測定点Pi{i=2〜(n−1)}毎の管対地電位をあらかじめ定めた一定時間、例えば10分間測定し、測定した管対地電位を記憶する。
【0017】
管対地電位推定装置6は、外部防食電源4に対して最近接の測定点P1と最遠方の測定点Pnで測定した管対地電位により、各測定点Piの管対地電位を推定するものであり、図2のブロック図に示すように、装置全体の処理を制御する中央処理装置13と操作表示部14とデータ入力部15とデータ記憶部16と回帰分析部17と演算式作成部18と演算式記憶部19と管対地電位演算部20及び出力部21を有する。データ入力部15は、記録装置12に記憶した測定点Pi毎の管対地電位Vpiを入力するとともに、各電位検出部8a,8bで測定して送信部9a,9bから送られる外部防食電源4に対して最近接の測定点P1と最遠方の測定点Pnにおける管対地電位を入力する。データ記憶部16は入力した管対地電位を測定点毎に記憶するとともに各種データを記憶する。回帰分析部17は、最遠方の測定点Pnで測定した管対地電位Vpnと同時に記録装置12で測定した測定点Pi毎の管対地電位Vpiとの回帰分析を行い、測定した管対地電位Vpnを基準にした管対地電位Vpiの式(1)に示す回帰式を作成する。演算式作成部18は、回帰分析部17で作成した各回帰式の傾きAiと切片Biと、測定点P1における基準電位である管対地電位Vp1と、測定点P1と測定点Pnで測定する管対地電位Vsp1、Vspnにより各測定点Piの管対地電位Vspiを演算する式(6)を作成する。演算式記憶部19は、演算式作成部18で作成した測定点Pi毎の管対地電位Vspiの演算式を記憶する。管対地電位演算部20は、演算式記憶部19に記憶した管対地電位Vspiの演算式と、測定点P1と測定点Pnで測定した管対地電位Vsp1、Vspnにより、測定点Pi毎の管対地電位Vspiを演算する。中央処理装置13は、測定点P1と測定点Pnで測定した管対地電位Vsp1、Vspnと演算した測定点Pi毎の管対地電位Vspiを操作表示部14に表示し、出力部21から印字出力する。
【0018】
この防食管理装置1で外部防食電源4に対して最近接の測定点P1と最遠方の測定点Pnにおける管対地電位Vsp1、Vspnを測定し、測定した管対地電位Vsp1、Vspnにより、路面等に設定され、管対地電位を常時測定する計測装置を設置するのに困難な測定点Pi{i=2〜(n−1)}毎の管対地電位Vspiを推定するときの処理を図4と図5のフローチャートを参照して説明する。
【0019】
防食管理装置1の管対地電位推定装置6を初期設定するとき、図4のフローチャートに示すように、まず、外部防食電源4に対して最近接の測定点P1における管対地電位を電位検出部8aで一定時間連続的に測定し、送信部9aを介して管対地電位推定装置6に送るとともに、外部防食電源4に対して最遠方の測定点Pnにおける管対地電位Vpnを電位検出部8bで連続的に測定し、送信部9bを介して管対地電位推定装置6に送る(ステップS1)。管対地電位推定装置6の中央処理装置13は送られた測定点P1の管対地電位が基準電位に安定しているときの電位を測定点P1の初期管対地電位Vp1としてデータ記憶部16に記憶させ、変動する測定点Pnの管対地電位Vpnを、測定時間を基準としてデータ記憶部16に記憶させる(ステップS2)。この測定点P1と測定点Pnの管対地電位を測定しているとき、記録装置12で最近接の測定点P1と最遠方の測定点Pnの間に間隔を置いて複数の測定点Pi毎の管対地電位を一定時間、例えば10分間ずつ測定して各測定点Piと測定時間毎に記録する(ステップS3)。この測定点P1と測定点Pn及び各測定点Piの管対地電位の測定が終了した後、記録装置12に記憶した各測定点Piの管対地電位と測定時間を管対地電位推定装置6に入力してデータ記憶部16に記憶させる(ステップS4)。
【0020】
この状態で管対地電位推定装置6の中央処理装置13は、回帰分析部17の処理を開始させる。回帰分析部17は、測定点Pi毎の管対地電位と、各管対地電位の測定時間に対応した測定点Pnにおける管対地電位Vpnをデータ記憶部16から読み出し、例えば図3に示すように、測定点Pnの管対地電位Vpnと各測定点Piの管対地電位Vpiの分散図を作成し(ステップS5)、作成した分散図から、(1)式に示す測定点Pnの管対地電位Vpnを基準にした各測定点Piの管対地電位Vpiの回帰式を作成する(ステップS6)。この各測定点Piの回帰式が作成されると、演算式作成部18は、作成した回帰式から、式(6)に示す外部防食電源4の出力が変動したときの各測定点Piにおける管対地電位Vspiの演算式を作成し、測定点Pi毎に演算式記憶部19に記憶させる(ステップS7)。この処理が終了すると、管対地電位推定装置6の初期設定が終了する。
【0021】
管対地電位推定装置6の初期設定が終了すると、地中2に埋設された被覆鋼管3の電気防食を評価するとき、各測定点P1〜Pnの管対地電位を検出する。この各測定点P1〜Pnの管対地電位を検出するとき、図5のフローチャートに示すように、そのときの測定点P1における管対地電位Vsp1と測定点Pnの管対地電位Vspnを電位検出部8a,8bでそれぞれ測定し、管対地電位推定装置6のデータ記憶部16に記憶する(ステップS11)。この状態で管対地電位推定装置6の中央処理装置13は管対地電位演算部20の処理を開始させる。管対地電位演算部20は測定した管対地電位Vsp1と管対地電位Vspnとデータ記憶部16に記憶した測定点P1の初期管対地電位Vp1及び演算式記憶部19に記憶した各計測点Piの演算式により、各測定点Piにおけるそのときの管対地電位Vspiを順次演算してデータ記憶部16に記憶する(ステップS12)。この処理を各測定点Piの全てに対して行い(ステップS13,S12)、全ての測定点Piにおける演算処理が終了すると(ステップS13)、中央処理装置13は測定点P1と測定点Pn及び各測定点Piの管対地電位を操作表示部14に表示し、出力部21から記録紙等に出力する(ステップS14)。防食管理装置1の管理者はこの表示を確認することにより、地中2に埋設された被覆鋼管3の各測定点の管対地電位が適切な範囲にあるかどうかを判定して、地中2に埋設された被覆鋼管3の防食状態を管理する。
【0022】
前記説明では管対地電位推定装置6で測定点P1の管対地電位Vsp1と測定点Pnの管対地電位Vspnから測定点Piの管対地電位Vspiを推定する場合について説明したが、図6のブロック図に示すように、コンピュータで読み取り可能な外部記憶媒体30に、図4と図5のフローチャートに示す処理プログラムをあらかじめ記憶させておいても良い。この外部記憶媒体30を、入力装置32とCPU33とROM34とRAM35と表示装置36及び外部インタフェース37を有するコンピュータ31に接続し、外部記憶媒体30に記憶した処理プログラムをインストールすることにより、他の設備を導入することなしに、測定点Piの管対地電位Vspiを推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明の防食管理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】管対地電位推定装置の構成を示すブロック図である。
【図3】測定点Pnの管対地電位Vpnと測定点P(n−1)の管対地電位Vp(n−1)の分散図である。
【図4】管対地電位推定装置の初期設定処理を示すフローチャートである。
【図5】管対地電位の推定処理を示すフローチャートである。
【図6】他の管対地電位推定装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0024】
1;防食管理装置、2;地中、3;被覆鋼管、4;外部防食電源、5;防食電極、
6;管対地電位推定装置、7;照合電極、8;電位検出部、9;送信部、
10;電位検出部、11;端末装置、12;記録装置、13;中央処理装置、
14;操作表示部、15;データ入力部、16;データ記憶部、17;回帰分析部、
18;演算式作成部、19;演算式記憶部、20;管対地電位演算部、
21;出力部、30;外部記憶媒体、31;コンピュータ、32;入力装置、
33;CPU、34;ROM、35;RAM、36;表示装置、
37;外部インタフェース、P1〜Pn;測定点。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管対地電位推定装置と、外部防食電源に対して最近接の測定点P1と最遠方の測定点Pnで管対地電位を測定する電位検出手段及び記録装置とを有し、
前記記録装置は、外部防食電源に対して最近接の測定点P1から最遠方にある測定点Pnの間に設定された測定点Pi{i=2〜(n−1)}毎の管対地電位をあらかじめ定めた一定時間測定して記憶し、
前記管対地電位推定装置は、外部防食電源に対して最近接の測定点P1と最遠方の測定点Pnで測定した管対地電位により、各測定点Piの管対地電位を推定するものであり、装置全体の処理を制御するデータ入力部とデータ記憶部と回帰分析部と演算式作成部と演算式記憶部及び管対地電位演算部を有し、
データ入力部は、記録装置に記憶した測定点Pi毎の管対地電位Vpiを入力するとともに、電位検出部で測定した外部防食電源に対して最近接の測定点P1と最遠方の測定点Pnにおける管対地電位を入力し、
データ記憶部は入力した管対地電位を測定点毎に記憶するとともに各種データを記憶し、
回帰分析部は、最遠方の測定点Pnで測定した管対地電位Vpnと同時に記録装置で測定した測定点Pi毎の管対地電位Vpiとの回帰分析を行い、測定した管対地電位Vpnを基準にした管対地電位Vpiの回帰式を作成し、
演算式作成部は、回帰分析部で作成した各回帰式と、測定点P1における基準電位である管対地電位Vp1と、測定点P1と測定点Pnで測定する管対地電位Vsp1、Vspnにより各測定点Piの管対地電位Vspiの演算式を作成し、
演算式記憶部は、作成した測定点Pi毎の管対地電位Vspiの演算式を記憶し、
管対地電位演算部は、記憶した管対地電位Vspiの演算式と、電気防食状況を評価するときに、測定点P1と測定点Pnで測定した管対地電位Vsp1、Vspnにより、測定点Pi毎の管対地電位Vspiを演算することを特徴とする防食管理装置。
【請求項2】
外部防食電源に対して最近接の測定点P1から最遠方にある測定点Pnの間に設定された測定点Pi{i=2〜(n−1)}毎の管対地電位をあらかじめ定めた一定時間測定して記憶する工程と、
最遠方の測定点Pnで測定した管対地電位Vpnと同時に測定した測定点Pi毎の管対地電位Vpiとの回帰分析を行い、測定した管対地電位Vpnを基準にした管対地電位Vpiの回帰式を作成する工程と、
作成した各回帰式と、測定点P1における基準電位である管対地電位Vp1と、測定点P1と測定点Pnで測定する管対地電位Vsp1、Vspnにより各測定点Piの管対地電位Vspiの演算式を作成する工程と、
作成した管対地電位Vspiの演算式と、電気防食状況を評価するときに、測定点P1と測定点Pnで測定した管対地電位Vsp1、Vspnにより、測定点Pi毎の管対地電位Vspiを演算する工程とを有することを特徴とする防食管理方法。
【請求項3】
請求項2に記載の防食管理方法の処理プログラムを格納したコンピュータで読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−249474(P2006−249474A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−65186(P2005−65186)
【出願日】平成17年3月9日(2005.3.9)
【出願人】(000221834)東邦瓦斯株式会社 (440)
【出願人】(000004123)JFEエンジニアリング株式会社 (1,044)
【出願人】(000231132)JFE工建株式会社 (54)
【Fターム(参考)】