説明

阻止棒

【課題】 破損した阻止棒の補修を行う際の無駄を少なくすること。
【解決手段】 軸方向に沿って伸びる基体軸(6)と、前記基体軸(6)の軸方向長さよりも短く形成され且つ前記基体軸(6)の外周を囲むように支持される保護部材(8)と、を有し、複数の前記保護部材(8)が前記基体軸(6)に着脱可能に装着されたことを特徴とする阻止棒(3)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ETC(Electronic Toll Collection、自動料金収受システム)や踏切、駐車場等で使用される阻止棒に関し、特に、阻止棒に接触した車両や歩行者等の安全を確保するための保護部材を有する阻止棒に関する。
【背景技術】
【0002】
図7は従来の阻止棒の説明図であり、図7Aは側面図、図7Bは図7AのVIIB−VIIB線断面図である。
図7において、ETCや踏切、駐車場のゲート等で使用されている従来の阻止棒01は、軸方向に長く形成されており、CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics、炭素繊維強化樹脂)等の硬質材料により構成された軸方向に延びる基体軸02を有する。前記基体軸02の周囲にはポリエチレン等の軟質材料により構成された保護部材03が接着等で一体的に被覆されており、保護部材03の表面は塩化ビニル等で被覆されている。
前記構成を備えた従来の阻止棒01では、車両や歩行者等が阻止棒01に接触、衝突しても軟らかい保護部材03が衝撃を吸収することにより、車両等を保護している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
(前記従来技術の問題点)
前記従来技術の阻止棒01において、前記車両等が阻止棒01に衝突すると、保護部材03が破損するため、補修時には阻止棒01全体を交換している。しかし、破損した阻止棒01の内部の基体軸02は、剛性が高いので、損傷すること(折れたり、亀裂が入ったりすること)はほとんど無く、基体軸02のみを見ると、交換する必要がないことが多い。また、保護部材03についても、保護部材03の全体が破損することは少ない。しかし、従来の阻止棒01は、基体軸02および保護部材03が一体的に構成されているので、保護部材03の一部分が損傷しただけで、阻止棒01全体を交換する必要があり、環境面、コスト面からみて無駄が多いという問題があった。
【0004】
本発明は、前述の事情に鑑み、次の記載内容(O01)を技術的課題とする。
(O01)破損した阻止棒の補修を行う際の無駄を少なくすること。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(本発明)
次に、前記課題を解決した本発明を説明するが、本発明の要素には、後述の実施の形態の具体例(実施例)の要素との対応を容易にするため、実施例の要素の符号をカッコで囲んだものを付記する。また、本発明を後述の実施例の符号と対応させて説明する理由は、本発明の理解を容易にするためであり、本発明の範囲を実施例に限定するためではない。
【0006】
(第1発明)
前記技術的課題を解決するために、第1発明の阻止棒(3,3′,13,23)は、
軸方向に延びる基体軸(6)と、
前記基体軸(6)の軸方向長さよりも短く形成され且つ前記基体軸(6)の外周を囲むように支持される保護部材(8,8′,18,28)と、
を有し、複数の前記保護部材(8,8′,18,28)が前記基体軸(6)に着脱可能に装着されたことを特徴とする。
【0007】
(第1発明の作用)
前記構成要件を備えた第1発明の阻止棒(3,3′,13,23)では、保護部材(8,8′,18,28)は、軸方向に延びる基体軸(6)の軸方向長さよりも短く形成されている。前記保護部材(8,8′,18,28)は、基体軸(6)の外周を囲むように着脱可能に装着される。したがって、第1発明の阻止棒(3,3′,13,23)では、保護部材(8,8′,18,28)が基体軸(6)に対して着脱可能に支持されているので、破損した阻止棒(3,3′,13,23)の補修を行う際に損傷した部材のみを交換し、損傷していない部材をそのまま使用することができる。この結果、補修時の無駄を少なくすることができる。
【0008】
(第1発明の形態1)
第1発明の形態1の阻止棒(3,3′)は、前記第1発明において、
強化樹脂により構成された前記基体軸(6)と、
軟質材料により構成された前記保護部材(8,8′)と、
を備えたことを特徴とする。
(第1発明の形態1の作用)
前記構成要件を備えた第1発明の形態1の阻止棒(3,3′)では、前記基体軸(6)は、強化樹脂により構成され、前記保護部材(8,8′)は、軟質材料により構成されている。したがって、基体軸(6)は損傷しにくくでき、保護部材(8,8′)は衝撃を吸収して車両等を保護することができる。
【0009】
(第1発明の形態2)
第1発明の形態2の阻止棒(3′)は、前記第1発明または第1発明の形態2において、
前記軸方向一端部に形成された突出部(8d′)と、軸方向他端部に形成された嵌合凹部(8c′)とを有する前記保護部材(8′)であって、前記突出部(8d′)が隣接する前記保護部材(8′)の前記嵌合凹部(8c′)に嵌合して装着されることを特徴とする。
(第1発明の形態2の作用)
前記構成要件を備えた第1発明の形態2の阻止棒(3′)では、保護部材(8′)は、前記軸方向一端部に形成された突出部(8d′)と、軸方向他端部に形成された嵌合凹部(8c′)とを有する。前記保護部材(8′)は、前記突出部(8d′)が、隣接する前記保護部材(8′)の前記嵌合凹部(8c′)に嵌合して装着される。したがって、複数の保護部材(8′)が一体的に連結されるので、保護部材(8′)が基体軸(6)に対してがたつくことを低減できる。
【0010】
(第1発明の形態3)
第1発明の形態3の阻止棒(3′)は、前記第1発明の形態2において、
前記突出部(8d′)に形成されたオスネジ部(8f′)と、前記嵌合凹部(8c′)に形成されたメスネジ部(8e′)と、を有する前記保護部材(8′)、
を備えたことを特徴とする。
(第1発明の形態3の作用)
前記構成要件を備えた第1発明の形態3の阻止棒(3′)では、前記保護部材(8′)の突出部(8d′)にはオスネジ部(8f′)が形成され、前記嵌合凹部(8c′)にはメスネジ部(8e′)が形成されている。したがって、オスネジ部(8f′)とメスネジ部(8e′)との螺合により保護部材(8′)を一体的に連結することができる。
【0011】
(第1発明の形態4)
第1発明の形態4の阻止棒(13,23)は、前記第1発明において、
内周部材(18a、28a)と、外周部材(18b,28b)と、前記内周部材(18a、28a)および外周部材(18b,28b)を接続する側面部材(18c,28c,28d)と、前記内周部材(18a、28a)、外周部材(18b,28b)および側面部材(18c,28c,28d)により囲まれた空気室(18d,28f)と、前記空気室(18d,28f)に空気を出入させる空気孔(18e,28g)と、を有し、柔軟材料により構成された前記保護部材(18,28)、
を備えたことを特徴とする。
(第1発明の形態4の作用)
前記構成要件を備えた第1発明の形態4の阻止棒(13,23)では、前記保護部材(18,28)は、柔軟材料により構成されており、前記内周部材(18a、28a)、外周部材(18b,28b)および側面部材(18c,28c,28d)により囲まれた空気室(18d,28f)を有する。前記空気室(18d,28f)には空気孔(18e,28g)を介して空気が出入される。したがって、第1発明の形態4の阻止棒(13,23)では、保護部材(18,28)の空気室(18d,28f)のエアクッションにより衝撃が吸収され、車両等を保護することができる。また、保護部材(18,28)の保管時や運搬時には空気を抜いて省スペース化することができるので、保管コストや運搬コストを低減できる。
【0012】
(第2発明)
前記技術的課題を解決するために、第2発明の阻止棒(3,3′,13,23)は、
軸方向に延びる基体軸(6)と、
前記基体軸(6)の外周を囲むように支持されると共に、前記基体軸(6)に着脱可能に装着される保護部材(8,8′,18,28)と、
を備えたことを特徴とする。
【0013】
(第2発明の作用)
前記構成要件を備えた第2発明の阻止棒(3,3′,13,23)では、保護部材(8,8′,18,28)は、軸方向に延びる基体軸(6)の外周を囲むように支持されると共に、前記基体軸(6)に着脱可能に装着される。したがって、第2発明の阻止棒(3,3′,13,23)では、保護部材(8,8′,18,28)が基体軸(6)に対して着脱可能に支持されているので、破損した阻止棒(3,3′,13,23)の補修を行う際に、保護部材(8,8′,18,28)のみが破損し、基体軸(6)の交換が必要ない場合には、保護部材(8,8′,18,28)のみを交換できる。この結果、補修時の無駄を少なくすることができる。
【発明の効果】
【0014】
前述の本発明は、下記の効果(E01)を奏する。
(E01)破損した阻止棒の補修を行う際の無駄を少なくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例(実施例)を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0016】
図1は本発明の実施例1の阻止棒が使用されるETCゲートの説明図である。
図2は実施例1の阻止棒の説明図であり、図2Aは側面図、図2Bは図2Aの矢印IIB方向から見た図、図2Cは図2Bの矢印IIC方向から見た図、図2Dは図2AのIID−IID線断面図である。
図3は実施例1の阻止棒の説明図であり、図3Aは阻止棒の分解説明図、図3Bは図3AのIIIB−IIIB線断面図、図3Cは図3AのIIIC−IIIC線断面図である。
【0017】
図1において、高速道路等の有料道路の料金所に設置されたETCゲート1には、料金の収受を行う度に開閉されて車両2の通行を可能、不能にする阻止棒3が、ゲート開閉装置4に支持されている。
図2、図3において、本発明の実施例1の阻止棒3は、CFRP(硬質材料)により構成された基体軸6を有する。図3Aにおいて、前記基体軸6の基端部(前記ゲート開閉装置4に支持される側)には、一端部位置決め部材支持部としてのストッパ装着部6aが形成されており、先端部には、他端部位置決め部材支持部としてのキャップ螺合ネジ(オスネジ)6bが形成されている。
図2,図3において、前記ストッパ装着部6aには、一端部位置決め部材としての長方形状のストッパ7が装着される。
【0018】
図2,図3Bにおいて、前記基体軸6には、ポリエチレン(軟質材料)により構成された外形長方形状の保護部材8が軸方向に3つ装着されている。前記各保護部材8は、同様に形成されており、前記基体軸6が挿通される軸貫通孔8aを有しており、外表面には斜めの縞模様8bが塗装されている。
図2,図3Cにおいて、前記基体軸6の先端部には、他端部位置決め部材としてのキャップ9が螺合(ネジ嵌合)している。前記キャップ9の外形は、前記保護部材8と同様の長方形状の外形に形成されており、内部には基体軸6のキャップ螺合ネジ6bが螺合するメスネジ9aが形成されている。
【0019】
(実施例1の作用)
前記構成を備えた実施例1の阻止棒3では、複数の保護部材8が基体軸6に対して、挿入された状態で支持されている。前記基体軸6に挿通された保護部材8の基端側はストッパ7により位置決めされた状態で抜け止めされ、先端側はキャップ9により位置決めされた状態で抜け止めされている。
また、前記キャップ9は、キャップ9を基体軸6に対して回転させることにより、キャップ螺合ネジ6bとメスネジ9aとの螺合が解除され、キャップ9を基体軸6から取り外せる。キャップ9が取り外されると、基体軸6に挿通されていた保護部材8を取外し、交換することができる。
【0020】
したがって、実施例1の阻止棒3では、保護部材8が基体軸6に対して挿通、取外し可能(着脱可能)に構成されているので、車両や落下した荷物等が阻止棒に衝突して保護部材8の一部が破損した場合に、キャップ9を取外し、破損した部分の保護部材8のみを取外し、交換することができる。また、基体軸6も交換しなければならない時でも、損傷していない保護部材8があれば、損傷していない保護部材8を新たな基体軸6に装着して使用することもできる。
この結果、実施例1の阻止棒3では、破損しておらず交換する必要がない部材はそのまま使用し、交換が必要な部材のみを交換することができるので、無駄を少なくすることができる。また、キャップ9を回転させることにより、保護部材8の取り外しを行ったり、保護部材8の位置決め(抜け止め)を行うことができるので、保護部材8の交換、取り付け作業を容易に行うことができる。さらに、実施例1の阻止棒3では、基体軸6の長さが複数種類ある場合でも、保護部材8の個数を調整することにより、基体軸6の長さに対応した阻止棒3を構成することができる。したがって、保護部材8を共通化することができ、コストを低減することもできる。
【実施例2】
【0021】
図4は実施例2の阻止棒の説明図であり、図4Aは実施例1の図3Bに対応する実施例2の保護部材の断面説明図、図4Bは実施例1の図3Cに対応する実施例2のキャップの断面説明図である。
なお、この実施例2の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例2は、下記の点で前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成されている。
図4Aにおいて、実施例2の阻止棒3では、保護部材8′の軸貫通孔8a′の一端部側に嵌合凹部8c′が形成され、他端部側には嵌合凹部8c′に対応する突出部8d′が形成されている。前記嵌合凹部8c′にはメスネジ部8e′が形成され、突出部8d′にはオスネジ部8f′が形成されている。図4Bにおいて、実施例2のキャップ9′は、前記突出部8d′に対応する嵌合凹部9b′が形成されている。
【0022】
(実施例2の作用)
前記構成を備えた実施例2の阻止棒3では、保護部材8′を基体軸6に挿通して装着する際に、まず、隣接する保護部材8′の突出部8d′を嵌合凹部8c′に嵌合させる。この状態で保護部材8′どうしを相対的に回転させることにより、メスネジ部8e′とオスネジ部8f′とを螺合し、保護部材8′どうしが着脱可能に連結される。
したがって、実施例2の阻止棒3では、前記突出部8d′および嵌合凹部8c′における螺合により、複数の保護部材8′を一体的に連結でき、螺合を解除することで取り外すことができる。実施例1の阻止棒3では、保護部材8どうしの間に微小な隙間ができる可能性があり、がたつく可能性があったが、実施例2の阻止棒3では、螺合により保護部材8′どうしが一体的に連結されるので、保護部材8′の両端をストッパ7およびキャップ9′により位置決めすることによりがたつきを低減することができる。
【実施例3】
【0023】
図5は実施例3の阻止棒の説明図であり、図5Aは実施例1の図2Aに対応する側面図、図5Bは実施例3の保護部材の斜視図、図5Cは保護部材の空気を抜いた状態の説明図、図5Dは図5BのVD−VD線断面図である。
なお、この実施例3の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例3は、下記の点で前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成されている。
【0024】
図5において、実施例3の阻止棒13は、円筒状の保護部材18を有する。前記保護部材18は、円筒状の内周シート(内周部材)18aと、前記内周シート18aよりも半径の大きな円筒状の外周シート(外周部材)18bと、前記内周シート18aおよび外周シートの円筒軸方向両端部を接続する側面シート(側面部材)18cとを有する。実施例3の内周シート18a、外周シート18bおよび側面シート18cはポリ塩化ビニル(柔軟材料)により構成されており、内部は密閉されている。
したがって、前記内周シート18a、外周シート18bおよび側面シート18cにより内部に空気室18dが形成されており、空気室18dのエアクッションにより衝撃を緩衝するように構成されている。前記外周シート18bには、前記空気室18dに空気を出入させる空気出入孔(空気孔)18eが形成されている。なお、前記空気孔18eは従来公知の種々の構成を採用可能であり、例えば、海水浴で使用される浮き輪で使用されている逆止弁付きの空気出入孔や自転車のタイヤの空気出入孔等の構成を採用することができるので、詳細な説明は省略する。
なお、図5Aにおいて、実施例3の阻止棒13では、保護部材18の両端部は、ストッパ7により位置決めされている。
【0025】
(実施例3の作用)
前記構成を備えた実施例3の阻止棒13では、保護部材18は、空気を注入することにより膨らませることができ(図5B参照)、空気を抜くことによりしぼませることができる(図5C参照)。したがって、保護部材18を保管したり、阻止棒13が設置されている場所まで保護部材18を搬送する際には、保護部材18の空気を抜いてしぼませておき、基体軸6に取り付ける際に空気を注入して膨らませて、基体軸6に挿通することができる。この結果、空気を抜いた状態では省スペース化できるので、保管コスト、運搬コストを低減することができる。また、実施例3の保護部材18は、内周シート18a、外周シート18b、側面シート18cにより構成されているため、材料が少なくて済むので、製造コストも低減できる。さらに、保護部材18は空気室18dを有するので、従来に比べ著しく軽量化できる。この結果、ゲート開閉装置4の駆動力を低減することもでき、駆動用のモータを出力の小さいものにすることができ、コスト(ランニングコスト等)も低減できる。
【実施例4】
【0026】
図6は実施例4の阻止棒の説明図であり、図6Aは実施例1の図2Aに対応する側面図、図6Bは図6AのVIB−VIB線断面図、図6Cは保護部材の斜視説明図である。
なお、この実施例4の説明において、前記実施例1、3の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例4は、下記の点で前記実施例1、3と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成されている。
図6において、実施例4の阻止棒23では、保護部材28は、円弧状の内周シート(内周部材)28aと、円弧状の外周シート(外周部材)28bとを有する。内周シート28aおよび外周シート28bの軸方向両端は側面シート(側面部材)28cにより接続されており、内周シート28aおよび外周シート28bの周方向両端は周側面シート(側面部材)28dにより接続されている。
【0027】
図6B,図6Cにおいて、前記外周シート28bの周方向端部には、外周シート28bの周方向長さより長い一対の固定ベルト28eの一端部が固着されている。前記固定ベルト28eの基端部にはスナップボタン受け部28e1が支持され、固定ベルト28eの先端部にはスナップボタン突出部28e2が支持されている。前記スナップボタン受け部28e1およびスナップボタン突出部28e2とによりスナップボタン28e1,28e2が構成されている。なお、前記スナップボタン28e1,28e2は、従来公知であり(例えば、意匠登録第1062937号公報や意匠登録第1062938号公報等参照)、従来公知の種々の構成を採用可能であるため、詳細な説明は省略する。
【0028】
図6Bにおいて、実施例3の保護部材28では、前記内周シート28a、外周シート28b、側面シート28c、周側面シート28dにより密閉された空間により空気室28fが形成されており、前記空気室28fには、空気出入孔(空気孔)28gから空気が出入される。
なお、実施例4の阻止棒23では、前記固定ベルト28eが外周シートとは別の色に着色されており、固定ベルト28eを外周シート28bの外周に巻き付けることにより、縞模様を形成している。
【0029】
(実施例4の作用)
前記構成を備えた実施例4の阻止棒23では、保護部材28は、基体軸6に対して巻き付けられて装着され、固定ベルト28eが外周シート28bの外周を1周以上被覆してスナップボタン28e1,28e2により巻き付けられた状態で保持される。したがって、実施例4の阻止棒23では、前記複数の保護部材28は阻止棒23に挿通されず巻き付けられているので、各保護部材28を個別に基体軸6に対して着脱できる。前記実施例1〜3の保護部材8,8′,18では、基体軸6の基端部側や中央部の保護部材8,8′,18を取り外す際に、キャップ9やストッパ7を取外し、先端側の保護部材8,8′,18を取り外さなければ交換できなかったが、実施例4の保護部材28は、キャップ9や先端側の保護部材28を取り外さなくても着脱できる。この結果、実施例4の保護部材28は、基体軸6の軸方向中央部や基端部の保護部材28が損傷して交換する場合に、損傷した保護部材28のみを交換することができ、作業効率を高めることができる。
【0030】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)〜(H08)を下記に例示する。
(H01)前記実施例において、基体軸6として、CFRPにより構成された円柱状の部材を例示したが、材料はCFRPに限定されず、樹脂、金属等任意の材料を使用可能であり、形状も円柱状に限定されず、角柱状やパイプ(中空円筒)とすることも可能である。なお、前記材料として、剛性の高い軽量の材料を使用することが望ましく、前記CFRPやGFRP(Glass Fiber Reinforced Plastics、ガラス繊維強化樹脂)やKFRP(Kevlar Fiber Reinforced Plastics、ケブラー(登録商標)繊維強化樹脂)等のFRP(繊維強化樹脂)を使用することが望ましい。
【0031】
(H02)前記実施例において、前記保護部材の構成材料としてポリエチレンやポリ塩化ビニルを例示したが、これに限定されず、例えば、発泡ウレタンやゴム等の衝撃の吸収、緩衝が可能な任意の材料を使用可能である。
(H03)前記実施例において、縞模様の色や形状は任意に変更可能であり、縞模様を省略することも可能である。
(H04)前記実施例において、ETCゲート1で使用される阻止棒を例示したが、これに限定されず、鉄道の踏切や有料駐車場の料金所等の阻止棒として使用可能である。
(H05)前記実施例2において、保護部材8′どうしを螺合させたが、ネジ8e′、8f′を省略して、着脱可能に嵌合させるだけの構成とすることも可能である。他に、前記ネジ8e′、8f′に替えて、摩擦係数の大きな材料を突出部や嵌合凹部に貼付け、保護部材8′どうしが一体的に連結されるように構成することも可能である。
【0032】
(H06)前記実施例において、キャップやストッパは前記構成に限定されず、保護部材の軸方向の抜け止めや位置決めが可能な任意の構成を採用可能である。また、保護部材どうしの間にストッパ等を配置することも可能である。
(H07)前記実施例において、複数の保護部材を基体軸に着脱する構成としたが、これに限定されず、基体軸6とほぼ同じ長さの保護部材を基体軸に対して着脱可能とすることも可能である。これにより、阻止棒破損時に、基体軸が損傷していない場合、保護部材のみを交換できるので、従来に比べて無駄を少なくすることができる。。
(H08)前記実施例4において、ベルトの固定方法としてスナップボタンを使用したが、従来公知の任意の連結構造を採用可能である。例えば、紳士服等のズボン用ベルトやサスペンダーの連結構造等任意の構成を採用可能である。また、ベルトに替えて、無端状のゴムバンドで固定する構成等、円弧状の保護部材を固定可能な任意の固定方法を採用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は本発明の実施例1の阻止棒が使用されるETCゲートの説明図である。
【図2】図2は実施例1の阻止棒の説明図であり、図2Aは側面図、図2Bは図2Aの矢印IIB方向から見た図、図2Cは図2Bの矢印IIC方向から見た図、図2Dは図2AのIID−IID線断面図である。
【図3】図3は実施例1の阻止棒の説明図であり、図3Aは阻止棒の分解説明図、図3Bは図3AのIIIB−IIIB線断面図、図3Cは図3AのIIIC−IIIC線断面図である。
【図4】図4は実施例2の阻止棒の説明図であり、図4Aは実施例1の図3Bに対応する実施例2の保護部材の断面説明図、図4Bは実施例1の図3Cに対応する実施例2のキャップの断面説明図である。
【図5】図5は実施例3の阻止棒の説明図であり、図5Aは実施例1の図2Aに対応する側面図、図5Bは実施例3の保護部材の斜視図、図5Cは保護部材の空気を抜いた状態の説明図、図5Dは図5BのVD−VD線断面図である。
【図6】図6は実施例4の阻止棒の説明図であり、図6Aは実施例1の図2Aに対応する側面図、図6Bは図6AのVIB−VIB線断面図、図6Cは保護部材の斜視説明図である。
【図7】図7は従来の阻止棒の説明図であり、図7Aは側面図、図7Bは図7AのVIIB−VIIB線断面図である。
【符号の説明】
【0034】
3,3′,13,23…阻止棒、
6…基体軸、
8,8′,18,28…保護部材、
8c′…嵌合凹部、
8d′…突出部、
8e′…メスネジ部、
8f′…オスネジ部、
18a、28a…内周部材、
18b,28b…外周部材、
18c,28c,28d…側面部材、
18d,28f…空気室、
18e,28g…空気孔。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びる基体軸と、
前記基体軸の軸方向長さよりも短く形成され且つ前記基体軸の外周を囲むように支持される保護部材と、
を有し、複数の前記保護部材が前記基体軸に着脱可能に装着されたことを特徴とする阻止棒。
【請求項2】
強化樹脂により構成された前記基体軸と、
軟質材料により構成された前記保護部材と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の阻止棒。
【請求項3】
前記軸方向一端部に形成された突出部と、軸方向他端部に形成された嵌合凹部とを有する前記保護部材であって、前記突出部が隣接する前記保護部材の前記嵌合凹部に嵌合して装着されることを特徴とする請求項1または2に記載の阻止棒。
【請求項4】
前記突出部に形成されたオスネジ部と、前記嵌合凹部に形成されたメスネジ部と、を有する前記保護部材、
を備えたことを特徴とする請求項3に記載の阻止棒。
【請求項5】
内周部材と、外周部材と、前記内周部材および外周部材を接続する側面部材と、前記内周部材、外周部材および側面部材により囲まれた空気室と、前記空気室に空気を出入させる空気孔と、を有し、柔軟材料により構成された前記保護部材、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の阻止棒。
【請求項6】
軸方向に延びる基体軸と、
前記基体軸の外周を囲むように支持されると共に、前記基体軸に着脱可能に装着される前記保護部材と、
を備えたことを特徴とする阻止棒。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−56624(P2007−56624A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−246238(P2005−246238)
【出願日】平成17年8月26日(2005.8.26)
【出願人】(390021669)椿本興業株式会社 (20)
【Fターム(参考)】