説明

降水異常検知方法、降水異常検知システム及びマンホール用蓋

【課題】局地的な集中豪雨の時に合流式下水道内に流れ込む降水量の異常な増加を迅速に検知する降水異常検知方法及び降水異常検知システムを提供する。
【解決手段】合流式下水道の所定区間の本流ラインに連通するマンホール内において気体の状態量の単位時間当たりの変化を随時計測し、その計測結果に基づいて雨天時に前記本流ラインを流れる流量の単位時間当たりの増加量を推定し、その推定値が所定の閾値を超えたときに降水量が異常であると判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生活排水、工場排水及び雨水等の合流式下水処理に関する技術であり、降雨時に雨水が流入する合流式下水道管内の増加する汚水流量とその到達時間を推定する降水異常検知方法及び降水異常検知システム、およびそれらの方法及びシステムに使用されるマンホール用蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
合流式下水道には雨天時の雨水が流入するため、下水管内の汚水流量が急激に増加することがある。とくにゲリラ豪雨のような集中的な大雨が局地に集中して降ると、時間単位が「時」ではなく「分」レベルで短時間のうちに汚水流量が急増するので、その急激な流量変化の影響を受けて以下のような種々の事故やトラブルを生じることがある。
【0003】
1)増加する汚水流量にポンプの追加起動が間に合わず、ポンプ場が浸水する。
【0004】
2)下水管内作業員が避難に間に合わず事故(死亡事故等)が発生する。
【0005】
3)増加する汚水流量に処理場の処理能力を超え、かつ簡易放流が間に合わずに処理場が浸水する。
【0006】
これらの事故やトラブルを未然に防止するために種々の対策が講じられている。例えば特許文献1には、大雨時の合流式下水道の浸水対策として、雨量計観測データから将来の降雨状況を予測し、予測した将来降雨状況に基づいて降雨が下水道に流入する量を予測し、予測した流入量に基いて下水道の下流に到達する水量を予測し、予測した下流到達水量に基いて可動式堰を開ける時刻を算出し、算出した時刻に堰を開けることによりポンプ場や処理場の浸水を防止する技術が記載されている。
【0007】
ところで、上記の事故やトラブルは「増加する汚水流量」と「到達時間」を事前に把握または推定できれば、回避することは十分可能である。
【0008】
[増加する汚水流量を推定する方法]
合流式下水道において増加する汚水流量を推定するための従来の方法としては、流量計を下水道に設置し、下水道を流れる汚水流量を直接計測する方法がある。
【0009】
しかしながら、下水管は主要道路の地下部に埋設された閉渠であるため、流量計のような計測装置を設置することは、メンテナンス、信頼性、コストなど解決しなければならない問題が多く、非常に困難であり、現実的ではない。
【0010】
合流式下水道において流量計を比較的容易に設置できる場所はマンホール内であり、PBフリュームのような流量計の設置が可能である。しかしながら、天候に左右される降雨は年間を通じて不定期であり、流量計は長期間の設置が必要となるため、以下のような問題がある。
【0011】
1)し渣などが流量計に堆積するため、頻繁に定期的なメンテナンスが必要である。
【0012】
2)設置場所であるマンホールは道路上にあるため、電源を確保することが難しく、流量計に容易に電気を供給することができない。
【0013】
3)電池が流量計の電源として有効であるが、定期交換が必要であり、ランニングコストがかかる。
【0014】
[光ファイバーケーブルを利用する流量計測方法]
流量計の設置には上記の問題点があるため、その改善方法として次のような従来方法が行われている。
【0015】
下水管は常に非満水状態であるため、管内上部の有効利用として、例えば特許文献2に記載されているように光ファイバーケーブルを敷設することが大都市で実施されている。その用途は主にデータ通信用であるが、光ファイバーは水位計にも使用できることから、管内に光ファイバー式水位計を設置することにより、汚水流量を計測することが可能となる。光ファイバー式水位計の有効性は次の通りである。
【0016】
1)電源を必要としないため、電源設備が不要である。
【0017】
2)もともとデータ通信用として設置されたインフラを有効利用するため、イニシャルコストが少ない。
【0018】
3)し渣などの堆積物の影響が無いため、メンテナンスの必要は無い。
【0019】
[到達時間を推定する方法]
増加した下水の到達時間は、下水道内を流れる下水の流速から算出することが理論的に可能である。
【0020】
しかしながら、到達時間を推定する方法には以下の問題点がある。
【0021】
1)主要汚水管に枝のように接続されている多数の副管から流入する汚水量は、降雨場所、地域の降雨時間差等の影響により不規則であり、単一管のように単純に流速から算出することは非常に困難である。
【0022】
2)過去の降雨実績の分析パターンから、ある程度推定することは可能であるが、ゲリラ豪雨のように大量の降雨が短時間のうちに局地的に集中する過去に例を見ないような記録的なパターンには対応できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】特開平11−190056号公報
【特許文献2】特開平7−62719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
光ファイバーを利用する流量計測方法は、問題解決のために有効な手段であるが、次のような課題がある。
【0025】
1)光ファイバーケーブルの下水管敷設事例は大都市のみに限定されている。
【0026】
2)光ファイバーケーブルの敷設にはイニシャルコストがかかるため、地方の中小規模都市での敷設は困難である。
【0027】
3)地方の中小規模都市では下水管の径が小さく、物理的に光ファイバーケーブルの敷設は難しい。
【0028】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、建設コスト(イニシャルコスト)及び適用制限を解消するため、簡素(イニシャルコスト安価)で、かつ設置が簡単な装置で、局地的な集中豪雨の時に合流式下水道内に流れ込む降水量の異常な増加を迅速に検知する降水異常検知方法及び降水異常検知システム、およびそれらに使用されるマンホール用蓋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明に係る降水異常検知方法は、合流式下水道の所定区間の本流ラインに連通するマンホール内において気体の状態量の単位時間当たりの変化を随時計測し、その計測結果に基づいて雨天時に前記本流ラインを流れる流量の単位時間当たりの増加量を推定し、その推定値が所定の閾値を超えたときに降水量が異常であると判定することを特徴とする。
【0030】
本発明に係る降水異常検知システムは、合流式下水道の本流ラインに連通するマンホールの開口に被せられたマンホール用蓋と、前記マンホール用蓋の裏面側に取り付けられ、マンホール内に存在する気体の状態量の単位時間当たりの変化を計測する手段と、前記計測手段からの計測信号に基づいて雨天時に前記本流ラインを流れる流量の単位時間当たりの増加量を推定し、その推定値と所定の閾値とを比較し、前記推定値が前記閾値を超えているときに降水量が異常であると判定する手段と、を具備することを特徴とする。
【0031】
本発明に係るマンホール用蓋は、合流式下水道の本流ラインに連通するマンホールの開口に被せられ、マンホール内に存在する気体の状態量の単位時間当たりの変化を計測し、その計測データを通信手段を介して降水異常判定手段に送る計測手段を裏面側に有することを特徴とする。
【0032】
本明細書中の用語を以下に定義する。
【0033】
「下水道」とは、下水を流すために地下に埋設された下水管または下水管に準ずる流路構造物により規定される流路をいう。下水道の終点は下水処理場である。下水道を流れる下水の温度は年間を通じてほぼ一定である。
【0034】
「合流式下水道」とは、雨天時の降水を集めて下水道に合流させる流入流路を各所に設けて、降水を下水とともに下水処理場まで流す流路の全体をいう。合流式下水道は、下水処理場ごとにある一定の広さの地域をカバーするように敷設されている。合流式下水道を流れる下水の温度は、晴天時においてほぼ一定であるが、雨天時には降水の流入により低下する傾向がある。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、設置するマンホールの数が多いほど、推定の信頼度は高くなる。一方、設置場所を絞ってイニシャルコストを抑えることも可能である。
【0036】
また、本発明で使用する計測装置は圧力計と温度計であり、これらは流量計に比べて低価格であり、メンテナンスも特に必要としないという利点がある。特に本発明では、これらの計測手段をマンホール用蓋の裏面側に取り付けているので、し渣などの堆積物の影響が無く、計測手段を定期的にメンテナンスする必要が無い。
【0037】
また、本発明によれば、振動力発電システムを利用することにより、電気のランニングコストはかからない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の雨天時増加汚水到達時間推定装置を模式的に示すブロック平面図。
【図2】本発明の雨天時増加汚水到達時間推定装置を模式的に示すブロック断面図。
【図3】本発明の雨天時増加汚水到達時間推定装置のブロック回路図。
【図4】(a)は圧力センサを取り付けたマンホールの平面図、(b)は圧力センサを取り付けたマンホールの側面図。
【図5】水位計設置場所と汚水到達時間との関係を説明するための模式図。
【図6】合流式下水道の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、添付の図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0040】
図1は地下に合流式下水道が敷設されている都市部の主要道路の平面図であり、図2は合流式下水道のマンホール部分を示す断面図である。
【0041】
地下の合流式下水道の本管7に連通するマンホール3には蓋31が被せられ、マンホール用蓋31が道路2の路面上に見えている。このマンホール用蓋31の裏面側には測温抵抗体42、圧力センサ43および警報ブザー44がそれぞれ取り付けられている。これらの測温抵抗体42、圧力センサ43、警報ブザー44には電源となる振動力発電モジュール41がそれぞれリード線L2,L3,L4により接続されている。振動力発電モジュール41は、道路2を通過する車両の振動力を利用して発電する機能を備えている。合流式下水道の本管7に連通するマンホール3は市街地の主要道路2に設置されているため、交通量が多く、通過する車の振動力を利用して振動力発電モジュール41により発電することが可能である。振動力発電モジュール41は道路2の路面上であればどこに設置してもよいが、容易に動かないように路面上に固定または半固定することが望ましい。また、リード線L2,L3,L4は路面上に露出しないように保護カバーを被せるか、または道路2の地下に埋設することが望ましい。なお、夜間の交通量の少ない時間帯には昼間充電したバッテリー電源を利用することができる。
【0042】
図1に示すように、歩道側の電柱6には収納ボックス5が設置されている。この収納ボックス5はリード線L1により路面上の振動力発電モジュール41に電気的に接続されている。上述のように振動力発電モジュール41はリード線L2,L3により測温抵抗体42および圧力センサ43にそれぞれ接続されているので、マンホール3内の気体(空気)の温度計測信号と圧力計測信号が収納ボックス5の入力部にそれぞれ送られるようになっている。なお、本実施形態では温度計測手段42として測温抵抗体を用いるようにしたが、本発明はこれのみに限定されるものではなく、他の非接触式温度計を用いることも可能である。また、圧力センサ43にはブルドン型圧力計などを用いることができる。
【0043】
図4の(a)に示すように、マンホール用蓋31の適所において複数個(例えば2〜6個)の開口穴32が貫通している。これらのうちの1つの開口穴32に圧力センサ43が挿入され、マンホール内外の圧力差が計測されるようになっている。一方、測温抵抗体42は、図4の(b)に示すように、マンホール用蓋31の裏面側にワイヤ等により吊り下げ支持されている。さらに、警報ブザー44がマンホール用蓋31の裏面に接着剤などを用いて接着されている。
【0044】
図3に示すように、収納ボックス5内には電力変換器51、蓄電池(二次電池)52、計装変換器53,54、および通信装置55が収納されている。電力変換器51はリード線L1により上記の振動力発電モジュール41に接続されている。振動力発電モジュール41で発電された電力は、電力変換器51を介してリチウム二次電池からなる蓄電池52に随時蓄電されるようになっている。この蓄電池52には計装変換器53,54、通信装置55および警報ブザー44がそれぞれ接続されている。第1の計装変換器53には測温抵抗体42が接続され、第2の計装変換器54には圧力センサ43が接続されている。また、通信装置55には下水処理場の集中監視制御部10が接続されている。さらに、下水処理場の集中監視制御部10には表示ユニット11および警報ユニット12がそれぞれ接続されている。さらに、警報ユニット12には警報機13が接続されている。警報機13は、広域に警報音を発するサイレン及び/又は地域の防災広報室の放送用マイクである。
【0045】
圧力センサ43で計測した圧力計測データおよび測温抵抗体42で計測した温度計測データは、収納ボックス5の通信装置55から下水処理場の集中監視制御部10へ送られ、集中監視制御部10のメモリ部に記録収集されるとともに、その状況は図6に示すように表示ユニット11の画面上にリアルタイムで表示されるようになっている。
【0046】
次に、本実施形態の作用を、圧力データに基づく方法と温度データに基づく方法とに分けてそれぞれ説明する。
【0047】
[圧力データに基づいて増加する汚水流量を推定する方法]
下水管内に汚水や降水が流れると、管内の空気も汚水の流体圧力を受けて空気の流れが発生する。管内に水が占める割合が多いほど、押し出される管内空気量も多くなり、流体圧力と並行して管内空気の流速と圧力も大きくなる。これは地下鉄駅の構内で電車がプラットホームに到着する前に空気が流動して気流が発生するものと同じ現象と言える。ゲリラ豪雨のように短時間で多量の降水があるときには一刻も早く異常増水が発生することを報知する必要があるが、圧力データに基づいて増加する汚水流量を推定する方法によれば早期の危険予測が可能であり、緊急性を要する降水異常検知に適した方法ということができる。
【0048】
管内の汚水量の増加によって加圧された空気はマンホール用蓋の開口穴32から外方に放出されることから圧力センサ43によってマンホール内外の圧力差を計測することができる。このマンホール用蓋の開口穴32に生じる圧力変化(圧力差)を計測し、その圧力計測データを用いて例えば次のようにして下水管内の流量を推定することが可能である。
【0049】
ゲリラ豪雨のように短時間で多量の降水があるときに増水した水流が合流式下水道内で巻き起こす圧力変化を予め所定の閾値として設定し、集中監視制御部10のメモリに保存しておく。集中監視制御部10は、圧力センサ43で計測した圧力計測信号を計装変換器54および通信装置55を経由して受けると、この圧力計測値と上述の設定圧力閾値とを比較し、前者が後者を超えたときに警報システム12に指令信号を送り、警報システム12に警報機13を作動させることにより、対象地域に警報を発して住人や通行人を緊急非難させることが可能になる。このとき同時に、マンホール用蓋31に取り付けてある警報ブザー44も鳴るので、近くの通行人に対して注意を喚起させることができる。
【0050】
本実施形態の効果を説明する。
【0051】
本実施形態によれば、振動力発電モジュール41を有しているため、電源を必要せず、電源設備が不要である。このため低コストで設置することができる。また、もともとデータ通信用として設置されたものの有効利用なのでイニシャルコストが少ない。さらに、マンホール用蓋の裏面側に設置するため、し渣などの堆積物の影響が無く、メンテナンスする必要がほとんど無い。
【0052】
[温度データに基づいて増加する汚水流量を推定する方法]
増加する汚水流量の把握は、汚水量の急増による事故の回避が目的あるため、精度のある実流量計測は特に必要では無い。流量が増加している現象を把握することが重要である。
【0053】
合流式下水道の下水管の流量が急激に増加する現象は、雨水が下水管内に流入する時であり、雨水が下水管に流入していることを把握することができれば、汚水量が雨水の混入により増加していると推測できる。
【0054】
汚水に含まれる下水汚泥は発酵物質であるため、発酵によって汚水は若干温度が高く、下水管内の温度も地表の気温に比べて比較的高い。そのため、雨水が混入すると汚水の温度は低下し、かつ下水管内の温度も低下するため、その温度変化によって雨水の流入を把握することができる。
【0055】
下水道は人々の生活に左右されることから、汚水量は季節や一日の時間帯によって汚水量に変化はあるものの、その変化率は下水処理区域の人口増減等が無い限り比較的一定である。よって基準となる下水管内の温度変化も汚水量の変化とともに過去の実績データ、もしくは1年間の計測データから推定することができる。
【0056】
ちなみに、従来技術では増加する汚水流量と到達時間を推定するため以下の様な手段を用いていた。
【0057】
流量値を求めるために、流量計、水位計の計測装置を用いた。
【0058】
計測装置を設置した場所の流量変化もしくは水位変化と設置場所の距離から到達時間を推定した(図5、図6)。
【0059】
以上のことから、下水管内の汚水流量の増加は雨水の流入によって推定することが可能であり、雨水の流入は下水管内の温度低下で推定することが可能である。
【0060】
[到達時間を推定する方法]
圧力は、実際に汚水が流れている位置よりも先の位置でも変化する。
【0061】
温度は、雨水が流入し増加した汚水が流れている位置で変化する。
【0062】
2つの計測地点間での変化時間と距離によって汚水の流速を算出することが可能である。
【0063】
汚水流量を計測する方法で述べた光ファイバー式水位計を用いて改善することができる。
【0064】
複数設置された光ファイバー式水位計から、「下水管内の水位上昇変化」と、水位計を設置した場所の距離から流速が算出でき、全体の到達時間を推定することができる。
【0065】
図5はその例であり、合流式下水道の本流ラインにおいてA地点からB地点を経由してC地点に向かって汚水が毎分1kmの速度で移動していることが推定できる。
【0066】
図6は、それを表示ユニット11に画面表示した模式図である。合流式下水道の流入ライン7a,7b,7c,7dから本流ライン7に各地点a,b,cに合流する様子が色分けランプで表示され、A地点,B地点,C地点への異常水流の到達予定時刻がリアルタイムで表示される。
【0067】
ところで、温度変化で雨水の流入を推定しようとすると、雨水の流入量に比例して温度変化は小さくなり、一定量に到達すると温度変化は無くなるため、それ以上の雨水の流入量は把握できなくなる。
【0068】
定常時の汚水流量が少ない場所では、すぐに温度変化がなくなってしまい、どれくらい増加しているかが把握しくい状況となる。
【0069】
そのため上記のように圧力データを用いて早期に推定することができる。
【符号の説明】
【0070】
2…道路、3…マンホール、31…マンホール用蓋、32…開口穴(貫通孔)、
41…振動力発電モジュール、42…温度計(測温抵抗体)、43…圧力計(圧力センサ)、44…警報ブザー、
5…収納ボックス、51…電力変換器、52…蓄電池(二次電池)、53,54…計装変換器、55…通信装置、6…電柱、
7…合流式下水道の本流ライン(下水道の本管)、
7a,7b,7c,7d…合流式下水道の流入ライン(流入管)、
8…下水処理場、10…集中監視制御部、11…表示ユニット、12…警報ユニット、13…警報機、
L1〜L4…リード線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合流式下水道の所定区間の本流ラインに連通するマンホール内において気体の状態量の単位時間当たりの変化を随時計測し、その計測結果に基づいて雨天時に前記本流ラインを流れる流量の単位時間当たりの増加量を推定し、その推定値が所定の閾値を超えたときに降水量が異常であると判定することを特徴とする降水異常検知方法。
【請求項2】
前記気体の状態量の変化として、気体の圧力の変化および気体の温度の変化のうち少なくとも1つを計測することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記本流ラインの上流側の第1計測点において流量を計測するとともに、同時に前記第1計測点よりも下流側の第2計測点において流量を計測し、これら第1及び第2の流量計測結果に基づいて雨天時の増加水流が前記本流ラインの上流側の第1計測点から下流側の第2計測点までに到達する時間を推定することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
合流式下水道の本流ラインに連通するマンホールの開口に被せられたマンホール用蓋と、
前記マンホール用蓋の裏面側に取り付けられ、マンホール内に存在する気体の状態量の単位時間当たりの変化を計測する手段と、
前記計測手段からの計測信号に基づいて雨天時に前記本流ラインを流れる流量の単位時間当たりの増加量を推定し、その推定値と所定の閾値とを比較し、前記推定値が前記閾値を超えているときに降水量が異常であると判定する手段と、
を具備することを特徴とする降水異常検知システム。
【請求項5】
前記計測手段は、マンホール用蓋の開口穴に取り付けられた圧力センサであることを特徴とする請求項5記載の降水異常検知システム。
【請求項6】
前記計測手段は、マンホール用蓋の裏面側に取り付けられた温度センサであることを特徴とする請求項5記載の降水異常検知システム。
【請求項7】
合流式下水道の本流ラインに連通するマンホールの開口に被せられ、マンホール内に存在する気体の状態量の単位時間当たりの変化を計測し、その計測データを通信手段を介して降水異常判定手段に送る計測手段を裏面側に有することを特徴とするマンホール用蓋。
【請求項8】
前記計測手段の電源として振動力発電モジュールをさらに有することを特徴とする請求項7記載のマンホール用蓋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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