説明

除去可能な防曇性コーティング、物品、コーティング組成物及び方法

コーティングされた基材に防曇特性を付与するコーティング組成物である。コーティング組成物は除去可能であって、エポキシ基で官能化されたナノ粒子を用いる。この除去可能なコーティング組成物は、フェイスマスク、シールド、及び保護眼鏡などの人身保護具に特に有用である。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
光学的に透明な物品が、物品の表面に曇りが生じることによって物品が遮られる傾向を減らすことができれば、改良されることが多々ある。例えば、目の保護具(ゴーグル、フェイスシールド、ヘルメット等)、眼科用レンズ、建築用グレージング、装飾的ガラスフレーム、自動車の窓及びフロントガラスは、物品の表面に水蒸気曇りが生じることによって不利な影響を受け得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
一般に、曇りが生じるのは、高湿高温の状況下又は大きな温度差及び湿度差がある境界面で起こる。界面活性剤を包含するものを含み、表面の「曇り」の傾向を減らすと報じられているコーティング(すなわち、防曇性コーティング)は既知であるが、しかし、コーティングされた基材に防曇特性を付与するコーティング組成物、特に除去可能なものの必要性がまだ存在する。
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、コーティングされた基材に防曇特性(すなわち、防曇特性)を付与するコーティング組成物、並びにコーティングする方法及びコーティングされた物品に関する。コーティング組成物は除去可能であり、エポキシ基で官能化されたナノ粒子(好ましくはシリカナノ粒子)を用いる。除去可能なコーティング組成物はフェイスマスク、シールド、及び保護眼鏡などの人身保護具に特に有用である。
【0004】
有意に、本発明の乾燥したコーティングは、除去可能であっても、耐久性のあるものが好ましい。すなわち、本発明の好ましい乾燥コーティングは、例えば、ただ乾いた又は濡れた布で拭くだけで除去することができるにもかかわらず、基材に少なくとも10時間防曇特性を提供する。
【0005】
1つの実施形態では、本発明は、基材に防曇特性を提供する方法を提供する。この方法は、コーティング組成物を基材に塗布し、乾燥(すなわち、例えば、蒸発によって液体キャリアが実質的に完全に除去される)させることを含む。コーティング組成物は6以下のpHに調整される(すなわち、6以下のpHでエポキシ基で官能化されるが、塗布するときには7〜8のpHであり得る)。コーティング組成物は、60nm以下の粒径を有し、共有結合により表面に結合されている官能基を有するシリカ表面を含むナノ粒子と、任意の界面活性剤と、(かつ所望であれば、その他の任意の添加剤と)、水と、を含む。官能基は、エポキシ基と任意の水分散性基を含む。コーティング組成物は、コーティングされて乾燥させられた基材に防曇特性を提供し、乾燥後は除去可能である。
【0006】
別の実施形態では、本発明は60nm以下の粒径を有し、共有結合により表面に結合されている官能基を有するシリカ表面を含むナノ粒子と、任意の界面活性剤と、(かつ所望であれば、その他の任意の添加剤と)、水と、を含む防曇性コーティング組成物を提供する。この実施形態では、官能基はエポキシ基と任意の水分散性基を含み、コーティング組成物は6以下のpHに調整され、かつコーティング組成物はコーティングされて乾燥させられた基質に防曇特性を提供し、乾燥後は除去可能である。
【0007】
別の実施形態では、本発明は、防曇性コーティングでコーティングされた表面を有する基質を含み、そのコーティングが60nm以下の粒径を有し、共有結合により表面に結合されている官能基を有するシリカ表面を含むナノ粒子を含み、その官能基はエポキシ基と任意の水分散性基を含む、人身保護物品を提供する。コーティングはまた、所望であれば、任意の界面活性剤及び他の任意の添加剤を含み得る。コーティングは、基材に防曇特性を提供し、除去可能であり、6以下のpHに調整されたコーティング組成物が乾燥したときに形成される。
【0008】
本発明のある実施形態では、水分散性基が存在し、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、それらの塩、又はそれらの組み合わせを含む。
【0009】
ある実施形態では、ナノ粒子は、20nm以下の粒径を有する。ある実施形態では、ナノ粒子は4〜5nmの粒径を有する。
【0010】
ある実施形態では、エポキシ基は、粒子表面の総モル官能基の少なくとも3モル%の当量でコーティング組成物内に存在する。好ましくは、エポキシ基は、超過量で存在する。
【0011】
ある実施形態では、コーティング組成物は1〜3のpHに調整される。
【0012】
ある実施形態では、コーティング組成物はコーティング組成物の総重量の少なくとも0.2重量%のナノ粒子を含む。ある実施形態では、コーティング組成物はコーティング組成物の総重量の20重量%以下のナノ粒子を含む。
【0013】
ある実施形態では、コーティング組成物はコーティング組成物の総重量の少なくとも0.1重量%の界面活性剤を含む。
【0014】
ある実施形態では、コーティング組成物は更に抗菌剤を含む。
【0015】
ある実施形態では、乾燥したコーティングは基材に少なくとも10時間防曇特性を提供する。
【0016】
ある実施形態では、コーティング組成物はアプリケータ基材(例えば、ワイプ又はパッド)に浸透される。ある実施形態では、アプリケータ基材は紙ワイプである。
【0017】
好ましい実施形態では、本発明はシリコーン表面並びにシリコーン表面上に防曇性コーティングを有する基材を含むフェイスシールドを提供し、その防曇性コーティングは4〜5nmの粒径を有し、共有結合により表面に結合されている官能基を有するシリカ表面を含むナノ粒子と、シリコーン界面活性剤と、水と、を含む。官能基は、エポキシ基と、任意の水分散性基とを含む。この実施形態では、コーティングは基質に防曇特性を提供し、除去可能であり、かつコーティングは1〜3のpHに調整されたコーティング組成物が乾燥するときに形成される。
【0018】
別の好ましい実施形態では、本発明はアプリケータ基材に浸透した防曇性コーティング組成物を含む防曇アプリケータを提供する。コーティング組成物は4〜5nmの粒径を有し、共有結合により表面に結合されている官能基を有するシリカ表面を含むナノ粒子と、シリコーン界面活性剤と、水と、を含む。官能基はエポキシ基と、任意の水分散性基とを含む。この実施形態では、コーティング組成物は1〜3のpHに調整され、かつコーティング組成物はコーティングされて乾燥させられた基材に防曇特性を提供し、乾燥後は除去可能である。
【0019】
定義
本明細書において、「ナノ粒子」は、ナノメートルサイズの粒子として定義され、好ましくは平均粒径が60ナノメートル(nm)以下である。本明細書で使用するとき、「粒径」及び「粒子直径」は同一の意味を有し、粒子(又はその凝集体)の最大寸法を指すのに使用される。この文脈において、「アグロメレーション」は、電荷又は極性によってまとまることができ、またより小さな構成要素に分解することができる、粒子間の弱い会合を指す。
【0020】
「水分散性基」は、水中でナノ粒子の過剰な凝集及び沈殿を低減、及び好ましくは防止する親水性の表面を提供することができる1価の基である。
【0021】
本明細書では、「除去可能な」乾燥したコーティングは、手で軽い圧力をかけて表面を濡れた又は乾いた布又はペーパータオルで拭く、若しくは水洗いすることによって表面から除去する(好ましくは残基を残さず完全に除去する)ことができるものである。
【0022】
「乾燥した」コーティングはコーティング組成物から与えられ、液体のキャリア(すなわち、液状媒質)を含み、液体キャリアが実質的に、例えば、蒸発などで、完全に除去されたコーティングである。
【0023】
用語「含む」及びこの変形は、これらの用語が明細書及び特許請求の範囲中に現れる場合、制限する意味を有さない。
【0024】
用語「好ましい」及び「好ましくは」は、特定の状況下で、特定の利点をもたらし得る本発明の実施形態を指す。しかしながら、同じ又は他の状況下において、他の実施形態もまた好ましい可能性がある。更に、1つ以上の好ましい実施形態の詳細説明は、他の実施形態が有用でないことを示すものではなく、本発明の範囲内から他の実施形態を排除することを意図するものではない。
【0025】
本明細書で使用するとき、「a」、「an」、「the」、「少なくとも1つの」及び「1つ以上の」は、同じ意味で使用される。それゆえに、例えば、「1つの」官能基を備えるナノ粒子とは、ナノ粒子が「1つ以上の」官能基を備えることを意味すると解釈することができる。
【0026】
用語「及び/又は」は、列記されている要素の1つ若しくはすべて、又は列記されている要素の2つ以上の組み合わせを意味する。
【0027】
本明細書で使用するとき、用語「又は」は、その内容に別段の明確な指示がなされていない場合は、一般に「及び/又は」を含む意味で用いられている。
【0028】
また本明細書において、端点による数の範囲の列挙には、その範囲内に包含される全ての数(例えば、1〜5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5等)が包含される。
【0029】
本発明の上記の「課題を解決するための手段」は、本発明が開示するそれぞれの実施形態又は全ての実施例を説明することを意図したものではない。以下の説明により、例示的な実施形態をより具体的に例示する。本明細書にわたっていくつかの箇所で、実施例の一覧を通してガイダンスを提供するが、実施例は様々な組み合わせにおいて使用できる。それぞれの事例において、列挙された一覧は、代表的な群としてのみ役目を果たすのであって、排他的な一覧として解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の防曇コーティングを塗布された透明な基材を含むフェイスシールドを備える呼吸用マスクを図示。
【図2】防曇コーティングを塗布された透明な基材を有するフェイスシールドを含む呼吸用マスクの別の実施形態を図示。
【図3】透明な基材の外面に防曇コーティングが塗布された透明な基材を有する眼鏡を図示。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は、官能化されたナノ粒子、特にシリカナノ粒子を含むコーティング組成物に関する。有意に、コーティング組成物は除去可能である。したがって、これらは永続的な防曇特性が望ましくない又は必要ではない状況において、フェイスマスク、シールド及び保護眼鏡などの人身保護具に使用され得る。コーティング組成物は更に、例えば、ヘッドライトや窓などの自動車用の利用にも有用であり得る。
【0032】
本発明のコーティング組成物は、コーティングされて乾燥させられた基材に防曇特性を提供する。乾燥したコーティングは、物品が直接、人の呼吸に繰り返しさらされた及び/又は「蒸気」ジェットの上に物品を保持した後に、十分に透視することができないほど、コーティングされた基材の透明性を著しく低下させるに十分な密度の凝縮された小さな水滴が生じるのに、コーティングされた基材が抵抗するのであれば、防曇であると見なされる。コーティング組成物は、コーティングされた基材の透明性が、容易に透視することができないほど著しく低下していなければ、コーティングされた基材に均一の水膜又は少数の大きな水滴が生じても、防曇であると見なされ得る。多くの場合、基材が「蒸気」ジェットにさらされた後に、基材の透明性を著しく低下させない水膜が残る。
【0033】
本発明の乾燥したコーティング組成物は除去可能であるが、十分な耐久性のあるものであり、少なくとも10時間、好ましくは少なくとも20時間、多くの場合60時間もの間、高湿度条件で防曇特性を提供する。乾燥したコーティング組成物は一般的に、塗布された(及び乾燥させられた)基材から(好ましくは、残基を残さず)除去可能である。本明細書では、「除去可能な」乾燥したコーティングは、手で軽い圧力をかけて表面を濡れた又は乾いた布又はペーパータオルで拭く、若しくは水洗いすることによって表面から除去する(好ましくは、残基を残さず完全に除去する)ことができるものである。除去可能性は、使用された安価なコーティングを新しいコーティングの層で塗布し直す前に、呼吸用マスクのフェイスシールドなどの比較的高価な物品から、表面を傷つけずに除去することを可能とする。
【0034】
本発明のコーティング組成物に使用されているナノ粒子は、エポキシ基で官能化される。一般的に、これは、好ましくは6以下のpH、より好ましくは5以下のpH、更により好ましくは3以下のpH、更により好ましくは1〜3のpHの酸性条件で、ナノ粒子をエポキシ官能基化合物により官能化させることによって達成される。この低いpHでの官能化は、組成物の防曇特性に貢献する。組成物がこのような酸性条件に調整されたら、所望であれば、基材に塗布するためにpHを7〜8の範囲まで上げることができる。
【0035】
本発明の好ましい組成物は、液状で又はアプリケータ基材に浸透した状態で密閉した容器内に周囲条件(例えば、室温)で貯蔵されても、比較的に長い、好ましくは2年までの、貯蔵寿命を有し得る。ほとんどの従来のナノ粒子系組成物は(ナノ粒子の沈殿及び/又は凝集のため)そこまで安定ではなく、貯蔵寿命が数日、高温などの極端な条件下の場合によっては数時間であり得るため、これは驚くべきことである。本発明のコーティング組成物では、低いモル分率のエポキシ基で変性された粒子と比較すると、コーティング組成物の作製に使用されたエポキシ基のモル当量が高ければ高いほど安定性が高くなる。
【0036】
ナノ粒子
本発明による表面改質されたナノ粒子は、ナノメートルサイズの粒子を含む。用語「ナノメートルサイズ」は、好ましくは(表面改質、すなわち、官能化前に)60ナノメートル(nm)以下の、ナノメートル範囲の平均粒度(又は球状の粒子の平均粒子直径)が特徴である粒子に言及するものである。平均粒径は、より好ましくは(表面改質前に)45nm以下、更に好ましくは(表面改質前に)20nm以下、更により好ましくは(表面改質前に)10nm以下、更により好ましくは(表面改質前に)5nm以下である。好ましくは、表面改質前に、シリカナノ粒子の平均粒度は、少なくとも1nm、より好ましくは少なくとも2nm、更により好ましくは少なくとも3nm、更により好ましくは少なくとも4nm、更により好ましくは少なくとも5nmである。特に好ましい粒径は4nm〜5nmである。
【0037】
ナノ粒子の平均粒径は、透過電子顕微鏡を使用して測定することができる。本発明の実践において、粒径はいずれかの好適な技術を用いて決定することができる。好ましくは、粒径は数平均粒径を表し、透過電子顕微鏡又は走査電子顕微鏡を使用する機器を用いて測定される。粒径を測定する別の方法は、重量平均粒径を測定する動的光散乱である。好適であることがわかったそのような機器の1つの例は、カリフォルニア州フラートン(Fullerton)のベックマン・コールター社(Beckman Coulter Inc.)から入手可能なN4プラスサブミクロン粒子分析器(N4 PLUS SUB-MICRON PARTICLE ANALYZER)である。
【0038】
ナノ粒子がサイズにおいて比較的均一であることも好ましい。均一なサイズのナノ粒子は、一般に、より再現可能な結果を提供する。好ましくは、ナノ粒子のサイズの変動性は、平均粒径の25%未満である。
【0039】
本明細書では、ナノ粒子は(官能化前に)、水性環境での粒子の過剰な凝集及び沈殿を低減、及び好ましくは防止するために、水分散性である。必要であれば、ナノ粒子を水分散性基で官能化することによって水分散性を高めることができる。ナノ粒子凝結は、望ましくない沈殿、ゲル化、又は粘度の劇的な増加となる恐れがあるが、ナノ粒子が水性環境にある場合、凝集体(すなわち、凝集した粒子)の平均サイズが60nm以下である限り、少量の凝集は許容することができる。それゆえに、ナノ粒子は、個々の粒子又はこれらの小さな凝集体であることができるため、本明細書において好ましくはコロイド状ナノ粒子であると見なされる。
【0040】
ナノ粒子は、好ましくは少なくとも10m/グラム、より好ましくは少なくとも20m/グラム、更に好ましくは少なくとも25m/グラムの表面積を有する。ナノ粒子は、好ましくは750m/グラムを超える表面積を有する。
【0041】
本発明のナノ粒子は、多孔質又は無孔質であり得る。本質的にシリカのみを含み得る(しかし、コロイド状のジルコニアZrO、コロイド状のアルミナAl、コロイド状のセリアCeO、コロイド状のスズ(第二スズ)酸化物SnO、コロイド状の二酸化チタンTiOなどの他の酸化物も使用し得る)が、コアシェルナノ粒子などの合成体ナノ粒子でもあり得る。コアシェルナノ粒子は、1種類の酸化物(例えば、酸化鉄)又は金属(例えば、金又は銀)のコア及びコアに堆積されたシリカ(若しくはジルコニア、アルミナ、セリア、酸化スズ、又は二酸化チタン)のシェルを含み得る。シリカは最も好ましいナノ粒子であり、特にケイ酸塩から誘導されるシリカナノ粒子、例えばアルカリ金属ケイ酸塩又はケイ酸アンモニウムがそうである。本明細書では、「シリカナノ粒子」はシリカのみを含むナノ粒子、並びに表面にシリカを含むコアシェルナノ粒子を指す。
【0042】
非改質ナノ粒子は、粉末としてよりもゾルとして提供され得る。好ましいゾルは一般に、流体媒体に分散された15重量%〜50重量%のコロイド状粒子を含有する。コロイド状粒子に好適な流体媒体の代表的な例には、水、水性アルコール溶液、低級脂肪族アルコール、エチレングリコール、N,N−ジメチルアセトアミド、ホルムアミド、又はこれらの組み合わせが挙げられる。好ましい流体媒体は水性であり、例えば、水及び所望により1種以上のアルコールである。コロイド状粒子が水性流体中に分散されると、粒子はそれぞれの粒子の表面上に発生する共通電荷のために安定化し得る。共通電荷はアグロメレーション又は凝集よりむしろ分散を促進する傾向があるが、これは同様に荷電した粒子が互いに反発するためである。
【0043】
水性媒質中の無機シリカゾルは、当該技術分野において周知であり、市販されている。水又は水−アルコール溶液中のシリカゾルは、「ルドックス(LUDOX)」(米国デラウェア州ウィルミントン(Wilmington)のE.I.デュポンデヌムール社(E. I. duPont de Nemours and Co., Inc.)製造)、「ニアコール(NYACOL)」(マサチューセッツ州アシュランド(Ashland)のニアコール社(Nyacol Co.)より入手可能)又は「ナルコ(NALCO)」(米国イリノイ州オークブルック(Oak Brook)のナルコケミカル社(Nalco Chemical Co.)製造)などの商標名で市販されている。1つの有用なシリカゾルは、平均粒子サイズが20ナノメートルのシリカゾルとして入手可能なナルコ1050である。別の有用なシリカゾルは、平均粒子サイズが20ナノメートルのシリカゾルとして入手可能なナルコ1034aである。別の有用なシリカゾルは、平均粒子サイズが5ナノメートルのシリカゾルとして入手可能なナルコ2326である。好適なコロイド状シリカの更なる例が、米国特許番号第5,126,394号に記載されている。
【0044】
本発明で使用されるゾルは、一般に、コロイドの表面電荷を中和するために対イオンを含み得る。用いられるコロイドのpH及び種類に応じて、コロイド上の表面電荷は、負であっても正であってもよい。したがって、カチオン又はアニオンのいずれかが、対イオンとして用いられる。負に帯電したコロイドに対する対イオンとして用いるために好適なカチオンの例には、Na、K、Li、NR(ここで、それぞれのRは、任意の1価部分であり得るが、好ましくはHか又は−CHなどのより低級のアルキル基か、これらの組み合わせなどである)のような第4級アンモニウムカチオンが挙げられる。
【0045】
本発明のコーティング組成物内のナノ粒子の濃度は、コーティング組成物の総重量の好ましくは少なくとも0.05重量パーセント%(重量%)、より好ましくは少なくとも0.2重量%、更により好ましくは少なくとも2重量%である。ナノ粒子の濃度は、コーティング組成物の総重量の好ましくは20重量%以下であり、より好ましくは10重量%以下である。約20重量パーセントを超えると、コーティング組成物は望ましい厚さの範囲内で塗布することが困難になり、約0.05重量パーセントを下回ると、基材に塗布した後にコーティングが乾燥するのに法外な時間が必要となる。本明細書で使用されるとき、用語「組成物」及び「溶液」は、液状媒体中に分散又は懸濁されたナノ粒子を含む。
【0046】
エポキシ官能基
本発明のナノ粒子はエポキシ基で官能化され、通常はエポキシシラン性質を使用する。エポキシ基は個々のナノ粒子のシリカ表面に共有結合され、好ましくはSi−O−Si結合により結合する。ジルコニア、アルミナ、セリア、酸化スズ、又は二酸化チタンを含む他のナノ粒子は同じように、Zr−O−Si、Al−O−Si、Ce−O−Si、Sn−O−Si、及びTi−O−Siのそれぞれの化学結合でエポキシシランに結合され得る。これらの化学結合はSi−O−Siのシロキサン結合ほど強くないが、これらの結合強さは本発明の除去可能な防曇性コーティングの応用のためには十分であり得る。
【0047】
本明細書では、ナノ粒子の被覆のレベルは、コーティング組成物内のエポキシ基の量の100%がシリカ粒子の表面に共有結合されると想定して、コーティング組成物内のエポキシ基の濃度において報告される。好ましくは、エポキシ基はコーティング組成物内に、粒子表面上の総モル官能基の少なくとも3モル%に相当する量で存在する。より好ましくは、エポキシ基はコーティング組成物内に、粒子表面上の総モル官能基の少なくとも5モル%、更により好ましくは少なくとも10モル%、更により好ましくは少なくとも25モル%に相当する量で存在する。より高いエポキシ基のモル当量は、コーティング組成物の貯蔵寿命の向上(すなわち、過度な沈殿及び/又は凝集作用なしに分散の安定性の向上)に寄与し得る。
【0048】
ある場合、過度のエポキシ基(すなわち、100%を超える)が望ましくなり得るが、しかし、コーティング組成物内のエポキシ基の濃度は通常、粒子表面上の総モル官能基の150モル%以下である。エポキシシランの多機能性のため、コーティング組成物が100モル%を超えるエポキシ基を含むとき、単層膜を上回るエポキシシランが粒子表面に形成される。余分な加水分解されたエポキシシランは、存在するならば、基材の表面上のプライマーとしても機能し得る。
【0049】
通常、ナノ粒子の官能化は、ナノ粒子をエポキシ基と酸性条件で官能化することによって達成される。通常、これは、エポキシ官能基化合物を使用して、酸性条件、好ましくは6以下のpHで、より好ましくは5以下のpHで、更により好ましくは3以下のpHで、更により好ましくは1〜3のpHでナノ粒子を官能化することによって達成される。このようなpHは、少なくとも3時間、好ましくは少なくとも8時間、より好ましくは少なくとも12時間維持される。所望のpH及び反応の時間は、官能化を改良し、組成物の安定性を改良し(例えば、粒子の沈殿及び/又は凝集の低下)、かつ結果として得られたコーティングの防曇特性を改良する。通常、反応の時間が長ければ長いほど、結果として得られたコーティングの防曇特性が優れる。4〜5nmのナノ粒子において、官能化反応の好ましいpHの範囲は1〜3である。所望のレベルまで(好ましくは完全に)官能化反応が行われた後、コーティング溶液のpHは7〜8の範囲にすることができる。
【0050】
官能基はナノ粒子への結合を可能にする様々な化学基を含む。このような化学基は通常、A−L−Fの化学式で示される官能基化合物で提供される。官能基Fはエポキシ基を含む。ここでは、基Aはナノ粒子表面結合基であり、Lは結合又は様々な有機リンカーのうちのいずれでもあり得る。有機リンカーLは、直鎖若しくは分枝アルキレン、アリーレン、又はアルキレンとアリーレン基との組み合わせであることができ、所望によりヘテロ原子を含む。
【0051】
代表的なエポキシ官能基化合物は次のものを含む。
【0052】
【化1】

【0053】
種々の方法が、ナノ粒子の表面を改質するために利用可能であり、例えば、ナノ粒子に表面改質剤を添加すること(例えば、粉末又はコロイド状分散液の形態で)及び表面改質剤がナノ粒子と反応するのを可能にすることを含む。エポキシ官能基化合物A−L−Fにおいて、表面結合基Aは通常シラノール、アルコキシシラン、又はクロロシランであり、1官能性、2官能性、又は3官能性であり得る。例えば、シリカナノ粒子の表面のシラノール基が、官能基化合物の少なくとも1つのシラノール基、アルコキシシラン基、又はクロロシラン基と反応させられ、官能化されたナノ粒子を形成する。シリカナノ粒子で官能化合物を反応させる例示的な条件は、実施例の部分に記載されている。
【0054】
任意の水分散性基
所望ならば、本発明のエポキシ官能化されたナノ粒子の水分散性を改良するために、個々の粒子に更なる水分散性基を共有結合させ得る。水分散性基は、ナノ粒子表面に親水特性を提供することができる1価の基であり、これにより、水性環境のナノ粒子の過度な凝集及び/又は沈殿を低下、及び好ましくは防止する(しかしながら、ナノ粒子が水性環境にある場合、凝集体の平均サイズが好ましくは60nm以下である限り、少量の凝集は許容し得る)。1価とは、水分散性基が反応する末端基を有さないことを意味する。
【0055】
本明細書で使用するとき、「水分散性化合物」は、ナノ粒子の表面と反応して水分散性基で改質することができる化合物を表す。これは、式A−L−WDにより表すことができ、式中、Aは表面結合基であり、これは本明細書に記載されている他の表面結合基と同一であっても異なっていてもよく、WDは水分散性基を表し、Lは有機リンカー又は結合を表す。有機リンカーLは、直鎖若しくは分枝アルキレン、アリーレン、又はアルキレンとアリーレン基との組み合わせであることができ、所望によりヘテロ原子を含む。
【0056】
水分散性基は、親水基又は水様基である。これらは典型的には、例えば、アニオン性基、カチオン性基、水に分散されるとアニオン性基又はカチオン性基を形成することができる基(例えば、塩又は酸)、あるいはこれらの混合物を含む。
【0057】
アニオン性基又はアニオン形成基は、表面のアニオン性イオン化に寄与する任意の好適な基であることができる。例えば、好適な基にはカルボン酸塩基(ポリカルボキシレートを含む−CO基)、硫酸塩基(ポリ硫酸を含む−SO基)、スルホン酸塩基(ポリスルホン酸塩を含む−SO基)、リン酸塩基(ポリリン酸塩を含む−PO基)、ホスホン酸塩(ポリホスホネートを含む−PO基)、並びに類似の基、及びそれらの酸を含む。
【0058】
カチオン性基又はカチオン形成基は、表面のカチオン性イオン化に寄与する任意の好適な基であることができる。例えば、好適な基は、第4級アンモニウム、ホスホニウム、及びスルホニウム塩を含む。
【0059】
特定の実施形態では、好ましい水分散性基は、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、又はこれらの組み合わせを含む。
【0060】
ある実施形態では、ナノ粒子の表面上での水分散性基の結合は。重要なことに、これらの分散が安定性のために界面活性剤などの外部の乳化剤を必要としないことを意味する。しかしながら、所望される場合には、アニオン性水分散性化合物及びカチオン性水分散性化合物もまた、外部の乳化剤として機能してナノ粒子の分散を助ける官能化ナノ粒子を含む組成物中で使用することができる。
【0061】
水分散性基は、式A−L−WDの水分散性化合物を使用して提供することができる。エポキシ官能基化合物においての水分散性化合物の好適な表面結合基Aが本明細書に示されている。実施例は、シラノール、アルコキシシラン、又はクロロシランを含む。
【0062】
いくつかの好ましい水分散性化合物は以下のものを含む:
【0063】
【化2】

【0064】
並びに他の既知の化合物。
【0065】
非常に多様な他の水分散性化合物が、外部の乳化剤として、又は水分散性基でナノ粒子を改質するために使用できる化合物として、本発明に有用であることを当業者であれば、理解するであろう。
【0066】
好ましくは、本発明の組成物の防曇特性を妨げないで所望のレベルの水分散性を提供するために十分な量の水分散性化合物がナノ粒子と反応させられる。
【0067】
本明細書では、水分散性基によるナノ粒子の被覆のレベルは、コーティング組成物内の水分散性基の量の100%が粒子の表面に共有結合されると想定して、コーティング組成物内の水分散性基の濃度において報告される。使用されるのであれば、水分散性基は好ましくは、粒子面上の総モル官能基の少なくとも1モル%、より好ましくは少なくとも10モル%に相当する量でコーティング組成物内に存在する。使用されるのであれば、水分散性基は好ましくは、粒子面上の総モル官能基の60モル%以下、より好ましくは50モル%以下、より好ましくは20モル%以下、更により好ましくは10モル%以下に相当する量でコーティング組成物内に存在する。
【0068】
好ましくは、水分散性の所望される濃度は、貯蔵安定的な分散液を調製するために外部の乳化剤が必要でない程度である。
【0069】
任意の添加剤
ある実施形態では、本発明の組成物は1つ以上の界面活性剤を含む。本明細書で使用するとき、用語「界面活性剤」は、コーティング組成物の表面張力を低下し、コーティング組成物でコーティングされた基材又は物品に防曇特性を付与するコーティングを提供する分子を指す。本発明の有用な界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、非イオン性、又は両性の界面活性剤を含む。例としては、次のものが挙げられる。
【0070】
【表1】

【0071】
【表2】

【0072】
界面活性剤は、有機シリコーン界面活性剤(例えば、ポリエーテル変性されたジメチルポリシロキサン)、ラウリルジメチルアミンオキシド、及びフッ素性化学物質界面活性剤が好ましい。シリコーン表面を含む製品(例えば、シリコーンハードコートなどのシリコーン基材又はシリコーンコーティング)の場合、有機シリコーン界面活性剤がより好ましい界面活性剤である。
【0073】
使用されるのであれば、本発明のコーティング組成物中の界面活性剤の濃度は、好ましくはコーティング組成物の少なくとも0.1重量パーセント(重量%)であり、より好ましくは少なくとも0.4重量%であり、更により好ましくは少なくとも1重量%である。使用されるのであれば、界面活性剤の濃度は、好ましくはコーティング組成物の5重量%以下であり、より好ましくはコーティング組成物の2重量%以下である。
【0074】
他の任意であるが好ましい添加剤は、抗菌剤である。例としては、(水とエポキシ基との適合性に関する情報と共に)次のものが挙げられる。
【0075】
【表3】

【0076】
使用されるのであれば、本発明のコーティング組成物中の抗菌剤の濃度は、好ましくはコーティング組成物の総重量の少なくとも0.0005重量パーセント(重量%)であり、より好ましくは少なくとも0.001重量%であり、更により好ましくは少なくとも0.002重量%である。使用されるのであれば、抗菌剤の濃度は、コーティング組成物の総重量の好ましくは1重量%以下であり、より好ましくは0.1重量%以下である。
【0077】
通常、本発明のコーティング組成物は液体キャリア(すなわち、流体媒体)として水を含むが、しかし、水に加えて有機溶媒を使用し得る。本発明の好適な有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、プロピレングリコール及びそのモノメチルエーテル、エチレングリコール及びそのモノメチルエーテル、アセトン及びメチルエチルケトンなどのケトン、並びにテトラヒドロフラン(THF)、N,N−ジメチルアセトアミド、ホルムアミド又はそれらの組み合わせなどのエーテル、が挙げられる。コーティング組成物中の有機溶媒の量は通常、防曇性コーティング組成物の総重量の30重量%以下である。好ましい流体媒体は水性であり、例えば、水及び所望により1種以上のアルコールである。
【0078】
物品
本発明のコーティング組成物を塗布し得る基材は、好ましくは可視光に透明又は半透明である。それらは、有機物質及び無機物質の両方を含む。代表的な基材は、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタル酸)、ポリカーボネート(PC)、アリルジグリコールカーボネート、ポリメチルメタクリレートなどのポリアクリレート、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリエテルスルホン、酢酸酪酸セルロース、ガラス、及び同類のものから作製され、それらのブレンド及びラミネートを含む。基材は通常、フィルム状、シート状、パネル状又は物質の枠状であり、目の保護具、フェイスマスク、フェイスシールド、外科手術用マスク、及びその他の(特に目用の)様々な人身保護具、並びに鏡、自動車の窓及びフロントガラスなどの物品の一部である。所望であれば、コーティングは、物品の一部のみを覆い得、例えば、フェイスシールドの目に直接近接する部分のみにコーティングし得る。基材は平面、曲線又は成形され得る。コーティングされる物品は、吹錬、鋳造、押出し成形、又は射出成形で製造し得る。
【0079】
本発明の組成物は、組成物をパッド、布等に含ませ若しくは基材面の表面に塗布し、パッド、布、ペーパータオル、又は他の塗布装置/物質で基材の表面を単に拭くことによって基材にコーティングし得る。別の方法としては、本発明の組成物は、バー、ロール、カーテン、輪転グラビア、スプレー、又はディップコーティング技術などの、他の従来の技術を用いて基材にコーティングされ得る。
【0080】
本発明のコーティングは、好ましくは、基材の両側にコーティングされる。別の方法としては、本発明のコーティングは、基材の片側にコーティングされ得る。基材の反対側は、コーティングされていなくても、多様な従来の防曇組成物でコーティングされてもよい。好ましくは、コーティング面は、より湿度が高い方向を向くべきであり、例えば、フェイスシールドでは、防曇コーティングを有する側が着用者に向くべきである。
【0081】
本発明のコーティング組成物では、特別な乾燥条件は必要とされない。コーティングされた表面は、15分間かけて室温で乾燥させ得、所望であれば、より速く乾燥させるために(例えば5分以内)高温で乾燥させ得る。
【0082】
本発明のコーティング組成物を組み込んだフェイスシールド及びメガネの例が図1〜3に示されている。図1は、透明な基材12を、着用者の目や顔を保護するために使用されるフェイスシールドとして含む呼吸用マスク10を図示する。本発明のコーティング組成物は、フェイスシールドの片側、又は透明な基材12の内側14及び外側16の両側に塗布され得る。図2は、透明な基材22の内側の表面24に防曇コーティングされた透明な基材22をフェイスシールドとして有する、呼吸用マスク20の別の実施形態を図示する。図3は、透明な基材32の外側の表面34に防曇コーティングされた透明な基材32を有するメガネ30を図示する。本発明の防曇コーティングは、防曇特性が所望される、任意の従来のフェイスシールド、マスク、バイザ、又は類似のものに使用され得る。
【0083】
本発明のコーティング組成物は、液状で(例えば、注ぎ可能な形状又はスプレー状)又はアプリケータ基材に浸透させて(例えば、アプリケータパッド又はワイプを成形して)供給され得る。好適なアプリケータ基材は、例えば、スポンジ状、フォーム状、織布、不織布、又はニット物質であり得る。用語「不織布ウェブ」又は「不織布」は、不規則な様式でインターレイされた個々の繊維の構造を有するウェブ又は布を言及する。対照的に、ニット又は織布は規則的な様式でインターレイされた繊維を有する。アプリケータ基材(例えば、アプリケータパッド又はワイプ)の原料は、合成又は天然繊維、長繊維、若しくは糸を含み得る。好適な原料としては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド(例えば、ナイロン)、ポリウレタン、ハロゲン化ポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリ尿素、ポリアクリロニトリル、セルロース、綿、レーヨン、麻、麻布、並びにれらの共重合体及びポリマーブレンドが挙げられるが、これらに限定されない。所望であれば、アプリケータ基材には、様々な形状の様々な原料の組み合わせが使用され得る。最も典型的な基材は、コーティング組成物を含んだ紙ワイプ(ワイプに染み込ませ又は浸透させた)である。
【実施例】
【0084】
別段に示されない限り、化学試薬及び溶媒は、ウィスコンシン州、ミルウォーキー(Milwaukee)のアルドリッチ・ケミカル社(Aldrich Chemical Co.)から入手したか又は入手可能なものである。特に指示がない限り、実施例に記載される部、百分率又は比率はすべて、重量による。
【0085】
シリカナノ粒子、分散1034a(20−nm)、2327(20−nm)、1050(20−nm)、1115(4−nm)及び2326(5−nm)は、イリノイ州、ネーパービル(Naperville)のナルコ社(Nalco Company)から入手された。
【0086】
3−(グリシドオキシプロピル)トリメトキシシラン(GPS、97%)は、ペンシルベニア州、モリスビル(Morrisville)のゲレスト社(Gelest Inc.)又は中国、浙江省杭州(Hangzhou, Zhejiang Province)の浙江化工科学グループ(Zhejiang Chem-Tech Group Co.)から入手された。水性有機シラノール−スルホン酸は、米国特許第4,338,377号(実施例1)に開示されている手順に従って調製された。別の方法としては、シラノールスルホン酸はゲレスト社から入手可能であり、カルボキシルシラン(水中25%カルボキシエチルシラントリオールナトリウム塩)及びPEG−シラン(2−[メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]トリメトキシシラン)はペンシルベニア州、モリスビルのゲレスト社から入手された。
【0087】
FC−4430はミネソタ州、セントポール(St. Paul)の3M社から入手された。BYK−333はドイツ、ウェーゼル(Wesel)のBYK化学薬品(BYK Chemie)から入手された。Q2−5211は、ミシガン州、ミッドランド(Midland)のダウ・コーニング社(Dow Corning Company)から入手された。
【0088】
LVBAOブランドSO3H−タイプ7320イオン交換樹脂は、中国、上海の上海合成樹脂社(Shanghai Synthetic Resin Inc.)から入手された。
【0089】
プレーパゲン4317、プレーパゲン3345及びドジゲン226は中国、青島の株式会社クラリアント化学薬品(中国)から入手可能であり、バルダック208Mはニュージャージー州、アレンデール(Allendale)のロンザ社(Lonza Inc.)から入手可能である。
【0090】
防曇性能試験方式
コーティングされた試料の表面を様々な状況で水蒸気にさらすことによって防曇性能が評価された。PCマスク(3Mフルフェイスピース6800、又は7800)、及びPETフェイスシールド(3MフードH−600シリーズ、又はH−400)、ミネソタ州、セントポールの3M社より入手可能)、又はPCフィルム(LEXAN 8010(0.381mm)、8010SHC(1.0mm)及びOQ92の商標名でメリーランド州、ピッツフィールド(Pittsfield)のGE先端材料特性フィルム&シート社(GE Advanced Materials Specialty Film and Sheet)より入手可能)などの試験片の表面が、所望の表面に2〜3滴のコーティング溶液を塗布し、薄く透明な均一の層が形成されるまで軽い圧力を用いて軽くこすること、又は不織布のパッドでコーティング溶液を塗布し、薄く透明な層が形成されるようにコーティングされた表面を拭くことによってコーティングされた。
【0091】
コーティングされた試料の表面の試験は、あらかじめコーティングされた表面を水蒸気にさらすことによって行われた。コーティングされた表面は、室温(T2)に保たれ、T1(T2+15〜20℃)の温度に保たれた水が入った容器の上の水蒸気にさらされた。コーティングは、水の容器の上に保持された直後に、コーティングされた試料面に、はっきりと透視することができないほど試料の透明性を有意に低下させるに十分な数の、小さな凝縮した水滴が推積しなければ、防曇であると見なされる。コーティング組成物は、たとえ均一の水膜又は少数の大きな水滴がコーティングされた基材に形成しても、容易に透視できなくなるほどコーティングされた試料の透明性が有意に低下しなければ、防曇であると見なされ得る。
【0092】
塗布されて乾燥させられたコーティングは、適切なときに、コーティングされた表面を水洗いする又は濡らしたペーパータオルで拭くことによって、簡単に除去された。次いで、除去された表面部位は、空気乾燥された。コーティングが除去された後、試料の表面部位は、疎水性になり、未処理の表面と同様に曇った。
【0093】
表面改質ナノ粒子(SMN)試料1
ナルコ1050シリカナノ粒子(48g、50%)及び脱イオン水(150グラム(g))がガラスのジャーの中で15分間(分)一緒に攪拌された。この混合物のpHは、7320型イオン交換樹脂を使用して、エポキシ基の開環とヒドロキシル基の形成を促進するために、5〜6の範囲内になるように調節された。イオン交換樹脂は、濾過により除去され、分散溶液の固形分は水分を120℃で30分間蒸発させることによって測定された。GPS(4.63g)が、1〜1.5時間の期間中攪拌しながら滴下により加えられ、得られた混合物が室温で更に72時間連続的に攪拌された。通常は、反応時間が長いほど、エポキシ機能化及びヒドロキシル基形成の量が多い。次いで、全ての有機揮発物が反応混合物から除去され、防曇性コーティング試料の調製に使用された溶液が得られた。
【0094】
SMN試料2
ナルコ1050シリカナノ粒子(10g、50%)が脱イオン水(90g)で薄められた。溶液は15分間攪拌され、溶液のpHは濃硝酸で1〜2の範囲内に調節された。次いでGPS(0.18g)が攪拌しながら(4分間)滴下により加えられ、得られた混合物が室温で更に60時間連続的に攪拌された。次いで、全ての有機揮発物が反応混合物から除去され、防曇性コーティング試料の調製に使用された溶液が得られた。
【0095】
SMN試料3
試料3は、SMN試料2に記載されているものと同じ手順に従って調製されたが、ナルコ1050シリカナノ粒子(10g、50%)、脱イオン水(90g)及びGPS(0.72g)を使用して調製された。
【0096】
SMN試料4
ナルコ2326シリカナノ粒子(167g、15%)及び脱イオン水(333g)が15分間ガラスのジャーの中で一緒に攪拌された。この混合物のpHは、濃硝酸を用いて約1.4〜1.5になるように調節された。GPS(21.2g、150当量)が、1〜1.5時間の期間中攪拌されながら滴下により加えられ、得られた混合物は室温で更に30分連続的に攪拌され、次いで80℃のオーブンに16時間入れられた。次いで、全ての有機揮発物が反応混合物から除去され、防曇性コーティング試料の調製に使用された溶液が得られた。
【0097】
SMN試料5
ナルコ1034aシリカナノ粒子(71g、34%)及び脱イオン水(209g)が15分間ガラスのジャーの中で一緒に攪拌された。GPS(5.30g)が1〜1.5時間の期間中攪拌しながら滴下により加えられ、得られた混合物は室温で更に72時間連続的に攪拌された。分散物はすでに酸性であったため、pHを調製する必要はなかった。次いで、全ての有機揮発物が反応混合物から除去され、防曇性コーティング試料の調製に使用された溶液が得られた。
【0098】
SMN試料6
ナルコ1050シリカナノ粒子(2g、50%)及び脱イオン水(17.6g)が15分間ガラスのジャーの中で一緒に攪拌された。CNaSiの化学式を有するカルボキシシラン(0.12g、25%)が3分の期間中攪拌しながら滴下により加えられ、次いで90℃のオーブンに1時間保たれた。この混合物のpHは、濃硝酸を用いて約1.8に調節された。GPS(0.11g)が3分の期間中攪拌しながら滴下により加えられ、得られた混合物は室温で更に21時間連続的に攪拌された。溶液は防曇性コーティング試料の調製に使用された。
【0099】
SMN試料7
この試料はSMN試料6に記載されているものと同じ手順で調製されたが、ナルコ2326シリカナノ粒子(6.7g、15%)、脱イオン水(12.4g)、CNaSiの化学式を有するカルボキシシラン(0.48g、25%)及びGPS(0.42g)が使用された。
【0100】
SMN試料8
SMN試料4(4%)の一部に、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム又はラウリルジメチルアミンオキシド(表1に指定されているとおり)の界面活性剤が水中で追加され、使用前に十分に混ぜられた。
【0101】
SMN試料9
GPS(5g)が、1.5のpH(濃硝酸を用いて調節された)で水(95g)に1〜1.5時間の期間中攪拌しながら滴下により加えられることによって、加水分解された。得られた混合物は室温で更に30分、次いで60℃で6時間連続的に攪拌された。加水分解されたGPS(pH1.5の水中で5重量%)を含むこの混合物に、15分間十分に混ぜた後に、Q2−5211(全混合物の0.4%)及びBYK−333(全混合物の0.4%)が追加された。
【0102】
SMN試料10
ナルコ2326シリカナノ粒子(167g、15%)が脱イオン水(333g)で薄められた。溶液は15分間攪拌され、濃硝酸で溶液のpHが1〜2の範囲内に調節された。次いでGPS(3.55g、25当量)が攪拌されながら(4分間)滴下により加えられ、得られた混合物が室温で更に60時間連続的に攪拌された。次いで、全ての有機揮発物が反応混合物から除去され、防曇性コーティング試料の調製に使用された溶液が得られた。
【0103】
(実施例1〜27)
表1に示されているように、溶液のpHを6〜8に調節するために、SMN試料の一部にNaOH(1N)が加えられた。特定の実施例では、表1に示されているように、界面活性剤又は界面活性剤の混合物が抗菌剤(10ppm、カトン(Kathon)CG、ペンシルベニア州、フィラデルフィア(Philadelphia)のローム・アンド・ハース社(Rohm and Hass Company))と共にそれぞれの混合物に追加され、得られた混合物を30分間攪拌することによって溶液を得、その溶液が次いで防曇性能試験方式に従って測定された。選択された試料のコーティング溶液の貯蔵寿命は、85℃で保管することによって測定された。実施例4のコーティング溶液のいくつかの成分は約4日で沈殿したが、実施例5のコーティング溶液は、類似の条件で保管されて8日経過した後も、顕著な沈殿物もなく、透明に保たれた。
【0104】
比較例1〜3:
これらの測定に使用された試料は、SMN試料が混合物に含まれなかったことを除いて、実施例1〜16に記載の手順を用いて調製された。
【0105】
【表4】

【0106】
(実施例28)
PQ社より入手可能の20重量%のZrOナノ粒子の水性分散5〜10nm(10g)が脱イオン水(30g)で薄められる。溶液は15分間攪拌され、溶液のpHは濃硝酸で1〜2の範囲内に調節される。次いで、GPS(0.35g)が、攪拌されながら滴下により(4分)加えられ、得られた混合物は室温で更に60時間連続的に攪拌される。次いで、全ての有機揮発物が反応混合物から除去され、防曇性コーティング試料の調製に使用される溶液が得られる。
【0107】
(実施例29)
PQ社より入手可能の20重量%のアルミニウム水酸化オキシドナノ粒子の水性分散(商品番号AL−20)AL−20DW(10g)が脱イオン水(30g)で薄められる。溶液は15分間攪拌され、溶液のpHは濃硝酸で1〜2の範囲内に調節される。次いで、GPS(0.40g)が、攪拌されながら滴下により(4分間)加えられ、得られた混合物は室温で更に60時間連続的に攪拌される。次いで、全ての有機揮発物が反応混合物から除去され、防曇性コーティング試料の調製に使用される溶液が得られる。
【0108】
本明細書中に引用される特許、特許文献、及び刊行物の完全な開示は、それぞれが個々に組み込まれたかのように、その全体が参照により組み込まれる。本発明の範囲及び趣旨から逸脱しない本発明の様々な変更や改変は、当業者には明らかとなるであろう。本発明は、本明細書で述べる例示的な実施形態及び実施例によって不当に限定されるものではないこと、また、こうした実施例及び実施形態は、本明細書において以下に記述する特許請求の範囲によってのみ限定されると意図する本発明の範囲に関する例示のためにのみ、提示されることを理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材に防曇特性を提供する方法であって、該方法が、コーティング組成物を基材に塗布して乾燥させる工程を含み、前記コーティング組成物が、6以下のpHに調整され、
60nm以下の粒径を有し、共有結合により表面に官能基が結合されているシリカ表面を含むナノ粒子と、
任意の界面活性剤と、
水と、を含み、
前記官能基がエポキシ基と任意の水分散性基を含み、
前記コーティング組成物が、コーティングされて乾燥させた基材に防曇特性を提供し、前記コーティング組成物が、乾燥後は除去可能である、基材に防曇特性を提供する方法。
【請求項2】
前記水分散性基が存在し、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、これらの塩、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ナノ粒子が、20nm以下の粒径を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ナノ粒子が、4〜5nmの粒径を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記エポキシ基が、前記コーティング組成物内に、粒子面上の総モル官能基の少なくとも3モル%に相当する量で存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記エポキシ基が、過量に存在する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記コーティング組成物が、1〜3のpHに調整される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記コーティング組成物が、該コーティング組成物の総重量の少なくとも0.2重量%のナノ粒子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記コーティング組成物が、該コーティング組成物の総重量の20重量%以下のナノ粒子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記コーティング組成物が、該コーティング組成物の総重量の少なくとも0.1重量%の界面活性剤を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記コーティング組成物が、抗菌剤を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
乾燥したコーティングが、前記基材に防曇特性を少なくとも10時間提供する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
防曇性コーティング組成物であって、
60nm以下の粒径を有し、共有結合により表面に官能基が結合されているシリカ表面を含むナノ粒子と、
任意の界面活性剤と、
水と、を含み、
前記官能基がエポキシ基と任意の水分散性基を含み、
前記コーティング組成物が、6以下のpHに調整され、
前記コーティング組成物が、コーティングされて乾燥させられた基材に防曇特性を提供し、乾燥後は除去可能である、防曇性コーティング組成物。
【請求項14】
前記水分散性基が存在し、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、これらの塩、又はこれらの組み合わせを含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記ナノ粒子が、20nm以下の粒径を有する、請求項13に記載の組成物。
【請求項16】
前記ナノ粒子が、4〜5nmの粒径を有する、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記エポキシ基が、前記コーティング組成物内に、粒子面上の総モル官能基の少なくとも3モル%に相当する量で存在する、請求項13に記載の組成物。
【請求項18】
前記エポキシ基が、過量に存在する、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記コーティング組成物が、1〜3のpHに調整される、請求項13に記載の組成物。
【請求項20】
前記コーティング組成物が、該コーティング組成物の総重量の少なくとも0.2重量%のナノ粒子を含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項21】
前記コーティング組成物が、該コーティング組成物の総重量の20重量%以下のナノ粒子を含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項22】
前記コーティング組成物が、該コーティング組成物の総重量の少なくとも0.1重量%の界面活性剤を有する、請求項13に記載の組成物。
【請求項23】
前記コーティング組成物が、抗菌剤を更に含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項24】
アプリケータ基材に浸透した、請求項13に記載の組成物。
【請求項25】
前記アプリケータ基材が、紙ワイプを含む、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
乾燥したコーティングが、コーティングされて乾燥させられた前記基材に防曇特性を少なくとも10時間提供する、請求項13に記載の組成物。
【請求項27】
防曇性コーティングでコーティングされた表面を有する基材を含む人身保護物品であって、前記コーティングが、
60nm以下の粒径を有し、共有結合により表面に官能基が結合されているシリカ表面を含むナノ粒子と、
任意の界面活性剤と、を含み、
前記官能基がエポキシ基と任意の水分散性基を含み、
前記コーティングが、基材に防曇特性を提供し、除去可能であって、
6以下のpHに調整されたコーティング組成物を乾燥させることによって前記コーティングが形成される、物品。
【請求項28】
前記コーティングを調製するのに使用される前記コーティング組成物が、1〜3のpHに調整される、請求項27に記載の物品。
【請求項29】
前記水分散性基が存在し、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、これらの塩、又はこれらの組み合わせを含む、請求項27に記載の物品。
【請求項30】
前記ナノ粒子が、20nm以下の粒径を有する、請求項27に記載の物品。
【請求項31】
前記ナノ粒子が、4〜5nmの粒径を有する、請求項30に記載の物品。
【請求項32】
前記エポキシ基が、前記コーティング組成物内に前記コーティングを調製するのに使用するために、粒子面上の総モル官能基の少なくとも3モル%に相当する量で存在する、請求項27に記載の物品。
【請求項33】
前記コーティングを調製するのに使用される前記コーティング組成物が、該コーティング組成物の総重量の少なくとも0.2重量%のナノ粒子を含む、請求項27に記載の物品。
【請求項34】
前記コーティングを調製するために使用される前記コーティング組成物が、該コーティング組成物の総重量の20重量%以下のナノ粒子を含む、請求項33に記載の物品。
【請求項35】
前記コーティングを調製するのに使用される前記コーティング組成物が、該コーティング組成物の総重量の少なくとも0.1重量%の界面活性剤を有する、請求項27に記載の物品。
【請求項36】
前記コーティングが、抗菌剤を更に含む、請求項27に記載の物品。
【請求項37】
乾燥したコーティングが、コーティングされて乾燥させられた前記基材に防曇特性を少なくとも10時間提供する、請求項27に記載の物品。
【請求項38】
シリコーン表面を有する基材及び防曇性コーティングが、前記シリコーン表面を含むフェイスシールドであって、前記防曇性コーティングが、
4〜5nmの粒径を有し、共有結合により表面に官能基が結合されているシリカ表面を含むナノ粒子と、
有機シリコーン界面活性剤と、
水と、を含み、
前記官能基がエポキシ基と任意の水分散性基を含み、
前記コーティングが、前記基材に防曇特性を提供し、除去可能であって、
前記コーティングが、1〜3のpHに調整されたコーティング組成物を乾燥させることによって形成される、フェイスシールド。
【請求項39】
防曇性コーティング組成物を浸透したアプリケータ基材を含む防曇アプリケータであって、前記コーティング組成物が、
4〜5nmの粒径を有し、共有結合により表面に官能基が結合されているシリカ表面を含むナノ粒子と、
有機シリコーン界面活性剤と、
水と、を含み、
前記官能基がエポキシ基と任意の水分散性基を含み、
前記コーティング組成物が、1〜3のpHに調整され、
前記コーティング組成物が、コーティングされて乾燥させた基材に防曇特性を提供し、前記コーティング組成物が、乾燥後は除去可能である、防曇アプリケータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−508809(P2011−508809A)
【公表日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−540769(P2010−540769)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【国際出願番号】PCT/US2008/086760
【国際公開番号】WO2009/085680
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】