説明

除塵装置

【課題】給気の際に、空気に含まれる塵埃を捕集・除去する除塵装置に使用されるフィルタにおいて、フィルタに塵埃が詰まるのを抑制することを目的とする。
【解決手段】外気を室内21へ導く吸気ダクト2と、室内21の空気を室外20へ導く排気ダクト4と吸気ダクト2を通る空気に含まれる塵埃を捕集すると同時に排気ダクト4を覆う円盤状のブラシフィルタ6と、ブラシフィルタ6を回転可動にするモータ8と、ブラシフィルタ6の外周縁と摺接するように設けた突起部7をブラシフィルタ6の外周縁と摺接するように排気ダクト4に配設した構成にしたことにより、捕集した塵埃をブラシフィルタ6と突起部7との摺接による反発力により飛散させ、排気動圧により塵埃を室外へと除去することで、塵埃が室内21へ侵入せず、またブラシフィルタ6を繰り返し掃除して塵埃が詰まり換気風量が低下するのを抑制した除塵装置を得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内に外気を取り入れて換気する際に、大気中に含まれる塵埃を捕集し、除去するのに使用される除塵装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の除塵装置は、吸気の際に塵埃を捕集するためにフィルタを用いるが、このフィルタに塵埃が溜まると圧力損失が大きくなり、換気風量が低下するため定期的にフィルタの交換、あるいは掃除が必要であった。そこで、手間をかけずに塵埃を除去する手段として、ブラシを用いた除塵装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以下、その除塵装置について図8を参照しながら説明する。
【0004】
図8に示すように、除塵装置101はフィルタ102の内周側に、外径がフィルタ102と摺接するように設けられたブラシ103とモータ104が接続し、吸込口105と吐出口106を備えており、ブラシ103は回転自在である。大気、もしくは気体中の塵埃を捕集する際は、吸込口105から流入した塵埃を含んだ気体をフィルタ102の内側から外側へ貫流させることで、フィルタ102の内周面で塵埃は捕集され、浄化された気体は吐出口106から流出される。そしてフィルタ102に付着した塵埃を除去する際は、ブラシ103を回転させてフィルタ102に摺接させ、掻き出し力を利用することでフィルタ102の内周面に付着した塵埃を払い落とすものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−114225号公報(第4頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような従来の除塵装置においては、フィルタに押し当てたブラシにより塵埃を掻き出すことで除去するが、ブラシの掻き出し力により塵埃の一部がフィルタの線材の間を通り奥へと入り込み、ブラシの掻き出しでは奥に入り込んだ塵埃を除去できなくなる。このため、繰り返しブラシでフィルタの掃除を行うと、ブラシの掻き出しでは除去できない塵埃がフィルタに溜まり、フィルタが塵埃で詰まるという課題を有していた。
【0007】
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、フィルタを繰り返し掃除することで塵埃が詰まり、換気風量が低下するのを抑制する除塵装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そして、この目的を達成するために、本発明は、フィルタをブラシ状に構成し、塵埃除去手段をフィルタと摺接するように排気経路に設けたものであり、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、フィルタをブラシ状に構成し、塵埃除去手段をフィルタと摺接するように排気経路に設けたことで、摺接する塵埃除去手段との間に発生する反発力を衝撃力に変えて捕集した塵埃を排気経路に飛散させ、同時に排気動圧により室外へと除去できるので、室内に塵埃が侵入せず、またフィルタを繰り返し掃除して塵埃が詰まることで換気風量が低下するのを抑制する効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1の除塵装置の側断面を示す構成図
【図2】本発明の実施の形態1のA−A’断面を示す構成図
【図3】本発明の実施の形態1の制御部の詳細図
【図4】本発明の実施の形態1のフローチャート
【図5】本発明の実施の形態2の除塵装置の側断面を示す構成図
【図6】本発明の実施の形態2のB−B’断面を示す構成図
【図7】本発明の実施の形態2のフローチャート
【図8】従来の除塵装置の側断面を示す構成図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の請求項1記載の除塵装置は、外気を室内へ吸気する吸気送風機と、前記吸気送風機により空気を室内へ導く吸気経路と、室内の空気を排気する排気送風機と、前記排気送風機により空気を室外へ導く排気経路と前記吸気経路を通る空気に含まれる塵埃を捕集すると同時に前記排気経路を覆うフィルタと、前記フィルタを回転可動にするモータと、前記フィルタに捕集した塵埃を除去する塵埃除去手段を備え、前記フィルタをブラシ状に構成し、前記塵埃除去手段を前記フィルタと摺接するように前記排気経路に設けたという構成を有する。これにより、前記塵埃除去手段との摺接による反発力を利用してブラシ状のフィルタを振動させることで捕集した塵埃を排気経路に飛散させ、同時に排気動圧により除去するので、塵埃が室内へ侵入せず、また前記フィルタを繰り返し掃除して塵埃が詰まり換気風量が低下するのを抑制するという効果を奏する。
【0012】
また、前記フィルタを円盤形状とした構成にしてもよい。これにより、フィルタが回転に要する面積が最小となるので、前記除塵装置の寸法を小さくするという効果を奏する。
【0013】
また、前記フィルタの外周縁を摺接するように前記塵埃除去手段を設けた構成にしてもよい。これにより、容易な構成でブラシに反発力を蓄積できるという効果を奏する。
【0014】
また、前記吸気経路において、前記フィルタの上流側に対する下流側の圧力損失を測定し、前記フィルタ表面に付着する塵埃による圧力損失の増加を検知する汚れ検出手段を設けた構成にしてもよい。これにより、塵埃の捕集によるフィルタの汚れ具合を検知するという効果を奏する。
【0015】
また、前記フィルタを一定の角度で回転させる構成にしてもよい。これにより、前記フィルタの掃除が必要なときだけ、塵埃を前記排気経路へ容易に移動できるので、前記モータの消費電力を抑えるという効果を奏する。
【0016】
また、前記フィルタを連続して回転させる構成にしてもよい。これにより、フィルタを連続して掃除することで、塵埃の捕集性能の低下を抑制できるという効果を奏する。
【0017】
また、前記排気経路において、前記フィルタの上流に複数の孔が略一様に開いた抵抗板を設けた構成にしてもよい。これにより、前記フィルタを通過する風速を略一様に早くでき、塵埃の除去を促進させるという効果を奏する。
【0018】
また、前記フィルタの面積を分割して衝撃吸収材を設けた構成にしてもよい。これにより、ブラシの振動が吸気経路に伝わり、捕集した塵埃が飛散するのを抑制できるという効果を奏する。
【0019】
また、前記汚れ検知手段による圧力損失の増加量が任意の値より大きくなると、前記モータを回転させて前記フィルタを前記排気経路へ移動させる制御部を設けた構成にしてもよい。これにより、自動的にフィルタの掃除を行う構成を容易に実現できるという効果を奏する。
【0020】
また、前記汚れ検出手段による圧力損失の増加が大きい場合に、前記モータの出力を上げて前記フィルタの回転速度を増加させる制御部を設けた構成にしてもよい。これにより、フィルタの汚れ具合が激しいとき、フィルタの掃除を促すことができるという効果を奏する。
【0021】
また、前記排気経路は、前記吸気経路に対して重力方向に下側に配設した構成にしてもよい。これにより、塵埃は重力により排気経路に落ちるため、吸気経路へ塵埃が侵入するのを抑制できるという効果を奏する。
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0023】
(実施の形態1)
図1に示すように除塵装置1は、室外20の空気を取り入れる吸気ダクト2と、空気を取り入れるための吸気送風機3と、室内21の空気を排出する排気ダクト4と、空気を排気するための排気送風機5と、吸気ダクト2を通る空気に含まれる塵埃を捕集する円盤状のブラシフィルタ6と、ブラシフィルタ6の外周縁を略一様に摺接するように排気ダクト4に設けられた突起部7と、ブラシフィルタ6を連続的に一定の回転数(例えば、10rpm)で回転させるモータ8と、排気ダクト4においてブラシフィルタ6の上流側に複数の孔が略一様に設けられた抵抗板19と、ブラシフィルタ6の上流および下流に設けられたピトー管9と、ピトー管9から差圧を計測する差圧計10と、モータ8の出力を調節する制御部11を備えた構成となっており、実際に除塵装置1を施工する場合には、建物壁22に空洞を空け、除塵装置1を埋め込むように取り付ける。
【0024】
また、図2に示すように、ブラシフィルタ6はリング12から長さが略均一な刺毛13が放射状に植毛されたもので、モータ8の中心軸14とリング12が接続し、リング12は金属部材15と防振ゴム16から構成されている。
【0025】
また、図3に示すように、制御部11は差圧計10の信号を受けて、モータ8の出力を調節するマイコン17と、モータ8を駆動するためのモータ駆動ドライバ18を備えた構成となっている。
【0026】
このような構成によれば、吸気ダクト2を通る室外20の空気は、塵埃をブラシフィルタ6で捕集させ、浄化された状態で室内へと給気され、同時に室内21の空気は排気ダクト4を通過して室外20へと排気されるので、この給気と排気を繰り返すことで室内21の空気は換気されることになる。
【0027】
連続的に回転するブラシフィルタ6は摺接する突起部7により蓄積された反発力を衝撃力に変えて刺毛13を振動させ、捕集した塵埃を排気ダクト4の中に飛散させ、抵抗板19により風速が上昇した空気がブラシフィルタ6を略一様に通過することで、塵埃をより効果的に除去することができる。
【0028】
ここで、従来の線材が複雑に絡み合ったフィルタと比べて、本発明のブラシフィルタ6を構成する刺毛13がリング12から放射状に規則的に植毛されているため衝撃力が刺毛13の全体に伝わりやすく、突起部7はブラシフィルタ6と略等しい幅があるので、突起部7と摺接する刺毛13すべてに衝撃力が伝わり、捕集した塵埃を容易に再飛散させることができる。
【0029】
さらに、リング12は金属部材15と防振ゴム16で構成されているので、一方の部材に植毛されている刺毛13に衝撃力が与えられているとき、他方の部材に植毛されている刺毛13に伝わる衝撃力を抑制できるので、吸気ダクト2において、捕集した塵埃が再飛散し、室内21へ侵入することを抑制できる。
【0030】
また、図4の制御部11のフローチャートに従い、空気に含まれる塵埃の量が多く、ブラシフィルタ6の上流と下流での圧力損失の値が規定値(たとえば、80Pa)を超えたとき、制御部11はモータ8の出力を変えることでブラシフィルタ6の回転数を変化させ(たとえば、20rpm)、掃除を促す。そして、圧力損失が規定値より下がれば、再びモータ8の出力を変えてブラシフィルタ6の回転数を戻す。
【0031】
これにより、塵埃の室内21への侵入を防ぎつつブラシフィルタ6は自動的に掃除され、また繰り返しブラシフィルタ6を掃除して塵埃が詰まり換気風量が低下することを抑制できる。
【0032】
(実施の形態2)
図5および図6において、図1および図2と同様の構成要素については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0033】
図5および図6において、モータ8はブラシフィルタ6を一定の角度(たとえば、実施の形態2では180度とする)で回転させ、また突起部7を吸気ダクト2と排気ダクト4が接する壁面のうち、紙面に対して左側に、ブラシフィルタ6の厚みと略同一な幅で設ける構成とした。
【0034】
このような構成によれば、図7のフローチャートに従い、塵埃がブラシフィルタ6に捕集されることで、差圧計10の値が規定値(たとえば80Pa)を超えると制御部11はモータ8を180度回転させることで、ブラシフィルタ6の塵埃を捕集した部分を排気ダクト4へ移動させることができる。このとき、刺毛13と突起部7が摺接すると、刺毛13に反発力が蓄積され、そのエネルギーが解放されるとき捕集した塵埃を飛散させるが、実施の形態2に示すように突起部7を設けると、エネルギーが解放されるとき刺毛13は排気ダクト4の方向に動くため、塵埃が吸気ダクト2へ侵入することなく除去できる。
【0035】
これにより、除塵装置1はブラシフィルタ6の汚れ具合に応じて必要なときに掃除を行うことで実施の形態1と比べてモータの回転に要する電力が少なく省エネであり、また掃除を繰り返して塵埃が詰まり、換気風量が低下するのを抑制できる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明にかかる除塵装置は、給気の際に空気に含まれる塵埃を捕集するフィルタの詰まりを抑制するものであるので、室外の空気を取り入れ、室内の空気を排気するのに使用される給排気装置等として有用である。
【符号の説明】
【0037】
1 除塵装置
2 吸気ダクト
3 吸気送風機
4 排気ダクト
5 排気送風機
6 ブラシフィルタ
7 突起部
8 モータ
9 ピトー管
10 差圧計
11 制御部
12 リング
13 刺毛
14 中心軸
15 金属部材
16 防振ゴム
17 マイコン
18 モータ駆動ドライバ
19 抵抗板
20 室外
21 室内
22 建物壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外気を室内へ吸気する吸気送風機と、
前記吸気送風機により空気を室内へ導く吸気経路と、
室内の空気を排気する排気送風機と、
前記排気送風機により空気を室外へ導く排気経路と
前記吸気経路を通る空気に含まれる塵埃を捕集すると同時に前記排気経路を覆うフィルタと、
前記フィルタを回転可動にするモータと、
前記フィルタに捕集した塵埃を除去する塵埃除去手段を備え、
前記フィルタをブラシ状に構成し、前記塵埃除去手段を前記フィルタと摺接するように前記排気経路に設けた除塵装置。
【請求項2】
前記フィルタを円盤形状とした請求項1に記載の除塵装置。
【請求項3】
前記回転するフィルタの外周縁を摺接するように前記塵埃除去手段を設けた請求項2に記載の除塵装置。
【請求項4】
前記吸気経路において、前記フィルタの上流側に対する下流側の圧力損失を測定し、前記フィルタに捕集する塵埃による圧力損失の増加を検知する汚れ検出手段を設けた請求項1から3のいずれか1項に記載の除塵装置。
【請求項5】
前記フィルタを一定の回転角度で回転させる請求項1から4のいずれか1項に記載の除塵装置。
【請求項6】
前記フィルタを連続して回転させる請求項1から4のいずれかに記載の除塵装置。
【請求項7】
前記排気経路において、前記フィルタの上流側に複数の孔が略一様に開いた抵抗板を設けたことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の除塵装置。
【請求項8】
前記フィルタを分割して衝撃吸収材を設けた請求項1から7のいずれか1項に記載の除塵装置。
【請求項9】
前記汚れ検知手段による圧力損失の増加量が任意の値より大きくなると、前記モータを180度回転させて前記フィルタを前記排気経路へ移動させる制御部を設けた請求項5記載の除塵装置。
【請求項10】
前記汚れ検出手段による圧力損失の増加が大きい場合に、前記モータの出力を上げて前記フィルタの回転速度を増加させる制御部を設けた請求項6に記載の除塵装置。
【請求項11】
前記排気経路は、前記吸気経路に対して重力方向に下側に配設した請求項1から10のいずれか1項に記載の除塵装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−166182(P2012−166182A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−31598(P2011−31598)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】