説明

除草剤の標的としての2−メチル−6−ソラニルベンゾキノン・メチルトランスフェラーゼ

本発明は、除草剤の標的としての2−メチル−6−ソラニルベンゾキノン・メチルトランスフェラーゼ(それが存在しない場合は、成長低下及び退緑葉をもたらす)の使用に関する。本発明においては、配列番号5及び配列番号7、並びに対応する機能的等価物を含む新規核酸配列が提供される。さらに、本発明は、除草剤活性又は成長調節活性を有する化合物の同定方法における2−メチル−6−ソラニルベンゾキノン・メチルトランスフェラーゼ及びその機能的等価物の使用、並びに上記方法により同定された化合物の除草剤又は成長調節剤としての使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除草剤の標的としての2−メチル−6−ソラニルベンゾキノン・メチルトランスフェラーゼ(それが存在しない場合には成長低下や退緑葉をもたらす)の使用に関する。本発明においては、配列番号5及び配列番号7及び対応する機能的等価物を含む新規核酸配列を提供する。さらに、本発明は、除草剤活性又は成長調節活性を有する化合物の同定方法における、上記2−メチル−6−ソラニルベンゾキノン・メチルトランスフェラーゼ及びその機能的等価物の使用、並びに上記方法により同定された化合物の除草剤又は成長調節剤としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
特定の標的を阻害することにより除草剤を同定する基本的な原理は公知である(例えば米国特許第5,187,071号、WO98/33925号、WO00/77185号)。一般に、除草剤の新規標的となる可能性のある酵素を検出することが非常に望まれている。その理由は、既知の標的に作用する除草剤のために生じる耐性の問題があるためであり、作用スペクトルができる限り広く、環境保護に寄与し、また毒性学的に容認性があり、且つ適用率が低いことにより特徴づけられる新規な除草剤有効成分を同定するための努力が常になされている。
【0003】
実際には、新規な標的の検出は常に非常に困難である。なぜなら、代謝経路の一部である酵素の阻害は、植物の成長に対してさらなる影響を及ぼさないからである。これは、植物が存在の知られていない他の代謝経路に切り替えるか、あるいは阻害された酵素が代謝経路にとって制限的でないという事実によるかもしれない。さらに、植物ゲノムは広範囲に及ぶ機能的冗長性により特徴付けられる。シロイヌナズナにおいては、昆虫又は哺乳動物の場合と比較して、機能的に等価な酵素が多くの遺伝子ファミリーに見出される(Nature, 2000, 408(6814):796-815)。この説は、T−DNA又はトランスポゾンの挿入によるシロイヌナズナにおける網羅的な遺伝子ノックアウト計画が、今までに期待されたよりも少ない表現型しか生じなかったという事実により実験的に確認されている(Curr. Op. Plant Biol. 4, 2001, pp.111-117)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明の目的は、植物の成長に必須の新規標的、及び/又はその阻害によって植物成長が低減する新規標的を同定すること、並びに、除草剤活性及び/又は成長調節活性を有する化合物の同定に好適な方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記目的が、除草剤の同定方法における2−メチル−6−ソラニルベンゾキノン・メチルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドの使用により達成されることを見出した。
【0006】
本明細書で使用される幾つかの用語を以下に定義する。
「アフィニティタグ」:
これは、そのコード核酸配列を、通常のクローニング手法を用いて、直接又はリンカーを介して本発明に係る核酸配列と融合させうるペプチド又はポリペプチドを指す。アフィニティタグは、全細胞抽出物からのアフィニティクロマトグラフィーによる組換え標的タンパク質の単離、濃縮及び/又は選択的精製に役立つ。上記リンカーは、プロテアーゼ切断部位(例えば、トロンビン又は第Xa因子の切断部位)を含むことが有利であり、それによりアフィニティタグは必要な場合に標的タンパク質から切り出すことができる。一般的なアフィニティタグの例は、例えばQuiagen(Hilden)製の「Hisタグ」、「Strepタグ」、「Mycタグ」(Invitrogen, Carlsberg)、キチン結合ドメイン及びインテインからなるNew England Biolabs製のタグ、New England Biolabs製のマルトース結合タンパク質(pMal)、及びNovagen製のCBDタグとして知られるタグがある。アフィニティタグは、標的タンパク質をコードする配列を有するコード核酸配列の5’末端又は3’末端に結合させうる。
【0007】
「活性」:
酵素活性という用語は、酵素が基質をある産物に変換する能力をいう。この活性は、産物の増加、基質(若しくは出発物質)の減少、又は特定の補因子の低減、あるいは上記パラメータの少なくとも2つの組み合わせにより、所定の時間の関数として測定することができる。
【0008】
「発現カセット」:
発現カセットは、少なくとも1つの遺伝子制御エレメント(プロモーターなど)及び有利にはさらなる制御エレメント(ターミネーターなど)と機能的に連結した本発明に係る核酸配列、を含むものである。発現カセットの核酸配列は、例えばゲノムDNA配列若しくは相補的DNA配列、又はRNA配列とすることができ、それらの半合成又は完全合成類似体であってもよい。これらの配列は、直鎖状又は環状で、染色体とは別に又はゲノム中に組み込まれて存在することができる。対象の核酸配列は、合成してもよいし若しくは天然から得てもよく、又は合成DNA成分と天然DNA成分との混合物であってもよい。あるいは、種々の生物に由来する種々の異種遺伝子断片から構成されるものであってもよい。
【0009】
本発明においては、人工核酸配列もまた、それらが細胞又は生物において本発明に係る核酸配列によりコードされる、2−メチル−6−ソラニルベンゾキノン・メチルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドの発現を可能にする限り、好適である。例えば、合成ヌクレオチド配列は、形質転換しようとする生物のコドン使用頻度に関して最適化されるように作製することができる。
【0010】
上記ヌクレオチド配列は全て、公知の方法での化学合成により、例えば二重らせんの個々の重複する相補的ヌクレオチド単位の断片縮合などにより、ヌクレオチド単位から作製することができる。オリゴヌクレオチドは、化学的に、例えばホスホアミダイト法(Voet, Voet, 2nd Edition, Wiley Press New York, pp. 896-897)を用いる公知の方法により合成することができる。発現カセットを作製する場合には、種々のDNA断片を、適切な読み取り方向および正しい読み枠を有するヌクレオチド配列が得られるように操作することができる。核酸断片は、例えば、T. Maniatis, E.F. Fritsch及びJ. Sambrook, “Molecular Cloning: A Laboratory Manual”, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY (1989);T.J. Silhavy, M.L. Berman及びL.W. Enquist, Experiments with Gene Fusions, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY (1984);及びAusubel, F.M.ら, “Current Protocols in Molecular Biology”, Greene Publishing Assoc. and Wiley-Interscience (1994)に記載されているような一般的なクローニング手法により互いに連結することができる。
【0011】
「機能的連結」:
機能的(operable又はfunctional)連結は、コード配列を発現させる場合に、調節配列の各々又は遺伝子制御エレメントの各々が、その目的の機能を果たすような、調節配列又は遺伝子制御エレメントの連続的配置を意味するものと理解される。
【0012】
「機能的等価物」:
これは、本明細書においては、標準的な条件下で核酸配列又は核酸配列の一部とハイブリダイズし、かつ、細胞又は生物において、2−メチル−6−ソラニルベンゾキノン・メチルトランスフェラーゼの発現をもたらすことができる核酸配列を意味する。
【0013】
ハイブリダイゼーションを実施するためには、例えば、保存領域又はその他の領域の短いオリゴヌクレオチド、約10〜50bp長、好ましくは15〜40bp長のオリゴヌクレオチドを用いるのが有利である。このようなオリゴヌクレオチドは、他の関連遺伝子との比較により、当業者に公知の方法で決定することができる。しかし、本発明に係る核酸のこれより長い100〜500bpの断片、又は完全配列をハイブリダイゼーションに用いてもよい。用いた核酸/オリゴヌクレオチドのより長い断片又は完全配列に応じて、あるいは、ハイブリダイゼーションにどのタイプの核酸(すなわち、DNA又はRNA)を用いるかに応じて、これらの標準的条件は変わってくる。こうして、例えば、DNA:DNAハイブリッドの融解温度は、同じ長さのDNA:RNAハイブリッドの融解温度より約10℃低くなる。
【0014】
標準的ハイブリダイゼーション条件とは、核酸に応じて、例えば、濃度0.1〜5×SSC(1×SSC=0.15M NaCl、15mMクエン酸ナトリウム、pH7.2)のバッファー水溶液中での42〜58℃の温度、さらに、50%ホルムアミドの存在下では、例えば、5×SSC、50%ホルムアミド中での42℃の温度、を意味するものと理解すべきである。DNA:DNAハイブリッドのハイブリダイゼーション条件は0.1×SSC及び約20〜65℃、好ましくは約30〜45℃の温度が有利である。また、DNA:RNAハイブリッドの場合には、ハイブリダイゼーション条件は0.1×SSC及び約30〜65℃、好ましくは約45〜55℃の温度が有利である。ここに記載したこれらのハイブリダイゼーション温度は、例示のため、長さが約100ヌクレオチドで、G+C含量が50%で、ホルムアミドが存在しない核酸について計算した融解温度である。DNAハイブリダイゼーションの実験条件は、例えば、Sambrookら,"Molecular Cloning", Cold Spring Harbor Laboratory, 1989のような遺伝学の専門書に記載されており、当業者が熟知している式を用いて、例えば、核酸の長さ、ハイブリッドのタイプ、又はG+C含量の関数として、計算することができる。当業者は、以下の文献からハイブリダイゼーションについてのさらに詳しい情報を得ることができる:Ausubelら(編)、1985, "Current Protocols in Molecular Biology"、John Wiley & Sons, New York;Hames及びHiggins(編)、1985、"Nucleic Acids Hybridization:A Practical Approach", IRL Press at Oxford University Press, Oxford;Brown(編)、1991、Essential Molecular Biology:A Practical Approach, IRL Press at Oxford University Press, Oxford。
【0015】
さらにまた機能的等価物は、特定の核酸配列(「元の核酸配列」)に対して特定の相同性%又は同一性%を有し、この元の核酸配列と同一の活性を有する核酸配列、また特に、これらの核酸配列の天然又は人工の突然変異体を意味すると理解される。対応する定義は、本明細書の好適な箇所に見出しうる。
【0016】
用語「機能的等価物」はさらにまた、本発明により、配列番号1、配列番号3又は配列番号5又は配列番号7の核酸配列の改変によって得られるヌクレオチド配列を含む。例えば、そのような改変は、当業者に周知の技術、例えば「部位特異的突然変異誘発」「エラープローンPCR」「DNAシャフリング」(Nature 370, 1994, pp.389-391)又は「付着伸長法(Staggered Extension Process)」(Nature Biotechnol. 16, 1998, pp.258-261)などにより行いうる。かかる改変の目的は、例えば、制限酵素の切断部位のさらなる挿入、配列を末端切断するためのDNAの除去、コドン最適化のための塩基の置換、又は別の配列の付加でありうる。改変型核酸配列によりコードされるタンパク質は、核酸配列の変更にもかかわらず、所望の機能を保持する必要がある。
【0017】
従って、機能的等価物は、本明細書に記載する配列の天然に存在する変異体、及び例えば化学合成により得られるコドン使用頻度を最適化した人工の核酸配列、並びにそれらから誘導されるアミノ酸配列を含む。
【0018】
「遺伝子制御配列」:
用語「遺伝子制御配列」は、真核生物又は原核生物における、本発明に係る核酸の転写、及び適当であれば翻訳に影響を及ぼす配列である。その例としては、プロモーター、ターミネーター、又は「エンハンサー」配列として知られる配列がある。これらの制御配列に加えて、又はこれらの配列の代わりに、これらの配列の天然の調節が、実際の構造遺伝子の前に依然として存在していてもよく、適当な場合には、天然の調節のスイッチが切られ、標的遺伝子の発現が改変(すなわち増大又は低減)されるように遺伝的に改変してもよい。制御配列の選択は、宿主生物又は出発生物に応じて異なる。遺伝子制御配列は、さらに遺伝子の5’非翻訳領域、イントロン又は非コード3’領域を含みうる。制御配列は、さらに、相同組換え又は宿主生物ゲノムへの挿入を可能とする配列、あるいはゲノムからの除去を可能とする配列を意味するものと理解される。遺伝子制御配列は、さらなるプロモーター、プロモーターエレメント又は最小プロモーター、発現を制御する性質を改変することが可能な、クロマチン構造に影響を及ぼす配列(例えばマトリックス付着領域(MAR))を含みうる。従って、遺伝子制御配列によって、組織特異的発現はさらに、例えば特定のストレス因子の関数として起こりうる。このようなエレメントは、例えば、水ストレス、アブシジン酸(Lam E及びChua NH, J Biol Chem 1991; 266(26): 17131-17135)、寒冷及び乾燥ストレス(Plant Cell 1994, (6): 251-264)、並びに熱ストレス(Molecular & General Genetics, 1989, 217(2-3): 246-53)について記載される。
【0019】
「相同性」:
2つの核酸配列又はポリペプチド配列間の「相同性」は、各々のケースで、配列全長にわたる核酸配列/ポリペプチド配列の同一性によって規定され、この同一性は、BESTFITアラインメント(Needleman及びWunsch 1970, J. Mol. Biol. 48; 443-453)を用いたアラインメントにより、アミノ酸については下記のパラメーター:
ギャップ重み:8 長さ重み:2
平均マッチ:2,912 平均ミスマッチ:−2,003
核酸については下記のパラメーター:
ギャップ重み:50 長さ重み:3
平均マッチ:10,000 平均ミスマッチ:0,000
を設定して、計算する。
【0020】
以下本明細書において、用語「同一性」は、「相同」又は「相同性」という用語と同義に使用される。
【0021】
「突然変異」:
核酸配列又はアミノ酸配列の「突然変異」は、1個以上のヌクレオチド残基の置換、付加、欠失、逆転又は挿入を含み、これはまた1個以上のアミノ酸の置換、挿入又は欠失により標的タンパク質の対応するアミノ酸配列の変化をもたらすが、標的遺伝子の機能的特性は、全体として本質的に保持されているものである。
【0022】
「天然の遺伝的環境」:
これは、起源生物における天然の染色体遺伝子座を意味する。ゲノムライブラリの場合には、核酸配列の天然の遺伝的環境は、少なくとも一部が保持されることが好ましい。この環境は、少なくとも5’又は3’側で核酸配列と隣接し、少なくとも50bp、好ましくは少なくとも100bp、特に好ましくは少なくとも500bp、非常に特に好ましくは少なくとも1000bp、最も好ましくは少なくとも5000bpの配列の長さである。
【0023】
「植物」:
本発明の目的において、「植物」は、植物細胞、植物組織、植物器官、又は完全な植物体、例えば種子、塊茎、花、花粉、果実、苗木、根、葉、茎、又は他の植物部分である。「植物」はさらに、繁殖材料、例えば種子、果実、苗木、挿木、塊茎、切枝又は根塊を意味するものと理解される。
【0024】
本明細書において、「2−メチル−6−ソラニルベンゾキノン」は、2−メチル−6−(4,8,12,16,20,24,28,32,36−ノナメチル−ヘプタトリアコンタ−3,7,11,15,19,23,27,31,35−ノナエニル)ベンゼン-1,4−ジオールと同義語である。
【0025】
本明細書において、「2−メチル−6−ソラニルベンゾキノール」は、2−メチル−6−(4,8,12,16,20,24,28,32,36−ノナメチル−ヘプタトリアコンタ−3,7,11,15,19,23,27,31,35−ノナエニル)−[1,4]ベンゾキノンと同義語である。
【0026】
本明細書において、「プラストキノン」は,2,3−ジメチル−5−(4,8,12,16,20,24,28,32,36−ノナメチル−ヘプタトリアコンタ−3,7,11,15,19,23,27,31,35−ノナエニル)−ベンゼン−[1,4]−ベンゾキノンと同義語である。
【0027】
本明細書において、「プラストキノール」は、2,3−ジメチル−5−(4,8,12,16,20,24,28,32,36−ノナメチル−ヘプタトリアコンタ−3,7,11,15,19,23,27,31,35−ノナエニル)ベンゼン−1,4−ジオールと同義語である。
【0028】
本明細書において、「2−メチル−6−ソラニルベンゾキノン・メチルトランスフェラーゼの活性を有するポリペプチド」又は2−メチル−6−ソラニルベンゾキノールメチルトランスフェラーゼは、2−メチル−6−ソラニルベンゾキノールをプラストキノールへとメチル化するか、又は2−メチル−6−ソラニルベンゾキノンをプラストキノンへとメチル化することができる酵素をいう。
【0029】
「反応時間」:
これは、有意な知見が得られるまで酵素活性のアッセイを行うのに必要な時間を意味し、アッセイで使用するタンパク質の比活性、及び採用する方法、及び使用する機器の感度に応じて異なる。当業者は反応時間の決定に精通している。測光法に基づいて除草剤活性を有する化合物を同定する方法の場合には、反応時間は一般的には>0から720分である。
【0030】
「組換えDNA」:
これは、組換えDNA技術により作製されうるDNA配列の組み合わせを意味する。
【0031】
「組換えDNA技術」:
これは、DNA配列を融合するための一般的に知られている技術をいう(例えばSambrookら, 1989, Cold Spring Harbor, NY, Cold Spring Harbor Laboratory Pressに記載されている)。
【0032】
「複製起点」:
これは、微生物及び酵母における本発明に係る発現カセット又はベクターの複製を保証するものであり、例えば、大腸菌のpBR322 ori又はP15A ori(Sambrookら: “Molecular Cloning. A Laboratory Manual”, 2nd ed. Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989)、及び酵母のARS1 ori(Nucleic Acids Research, 2000, 28(10): 2060-2068)がある。
【0033】
「リポーター遺伝子」:
これは、容易に定量可能なタンパク質をコードする。形質転換効率又は発現の部位若しくは時期の評価は、これらの遺伝子を用いて、増殖アッセイ、蛍光アッセイ、化学発光アッセイ、生物発光アッセイ又は耐性アッセイにより、あるいは、光度測定(固有の色)又は酵素活性によって、実施することができる。これに関しては、以下に挙げるようなリポータータンパク質が特に好ましい(Schenborn E, Groskreutz D. Mol Biotechnol. 1999;13(1):29-44)。「緑色蛍光タンパク質」(GFP)(Gerdes HH及びKaether C, FEBS Lett. 1996;389(1):44-47;Chui WLら, Curr Biol 1996, 6:325-330;Leffel SMら, Biotechniques. 23(5):912-8, 1997)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、ルシフェラーゼ(Giacomin, Plant Sci 1996, 116:59-72;Scikantha, J Bact 1996, 178:121;Millarら, Plant Mol Biol Rep 1992 10:324-414)、及びルシフェラーゼ遺伝子、一般的にはβガラクトシダーゼ遺伝子若しくはβグルクロニダーゼ遺伝子(Jeffersonら, EMBO J. 1987, 6, 3901-3907)、又はUra3遺伝子など。
【0034】
「選択マーカー」:
これは抗生物質に対する耐性を付与する。これに関する例として、下記のものを挙げることができる:アミノグリコシド系の抗生物質であるネオマイシン(G418)、カナマイシン、及びパロマイシンに対する耐性を付与するネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子(Deshayes Aら, EMBO J. 4(1985)2731-2737);変異型ジヒドロプテロイン酸合成酵素をコードするsul遺伝子(Guerineau Fら, Plant Mol Biol. 1990;15(1):127-136)、ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ遺伝子(GenBankアクセッション番号K01193)及びブレオマイシン抗生物質(ゼオシンなど)に対する耐性を付与する、shble耐性遺伝子。選択マーカー遺伝子のさらに別の例として、2−デオキシグルコース−6−リン酸(WO98/45456号)又はホスフィノトリシンなどに対する耐性を付与する遺伝子、あるいは、代謝拮抗物質に対する耐性を付与するもの、例えば、dhfr遺伝子(Reiss, Plant Physiol.(Life Sci. Adv.)13(1994)142-149)が挙げられる。その他の好適な遺伝子として、trpB又はhisD(Hartman SC及びMulligan RC, Proc Natl Acad Sci USA. 85(1988)8047-8051)のような遺伝子がある。これら以外の好適な遺伝子としては、下記のものが挙げられる:マンノースリン酸イソメラーゼ遺伝子(WO94/20627号)、ODC(オルニチンデカルボキシラーゼ)遺伝子(McConlogue, 1987:Current Communications in Molecular Biology, Cold Spring Harbor Laboratory編)又はアスペルギルス・テレウス・デアミナーゼ(Tamura K.ら, Biosci Biotechnol Biochem. 59(1995)2336-2338)。
【0035】
「形質転換」:
これは、異種DNAを原核細胞又は真核細胞に導入する方法を意味する。形質転換細胞は、形質転換方法自体の産物のみならず、形質転換により作製されたトランスジェニック生物のトランスジェニック子孫の全てを意味する。
【0036】
「標的/標的タンパク質」:
これは、本発明に係る核酸配列によりコードされるポリペプチドであって、典型的には酵素の形態、構造タンパク質、発生過程に関連するタンパク質、調節タンパク質(例:転写因子)、キナーゼ、ホスファターゼ、受容体、チャネルのサブユニット、輸送タンパク質、酵素複合体に対して基質若しくは活性調節を付与する調節サブユニットなどの形態でありうる。標的又は作用部位の全ては、標的タンパク質の機能的な存在が生存又は正常な発生及び成長に必須であるという特徴を有する。
【0037】
「トランスジェニック」:
これは、本発明に係る核酸配列、核酸配列を含む発現カセット若しくはベクター、又は本発明に係る核酸配列、発現カセット若しくはベクターで形質転換された生物を指し、「トランスジェニック」という用語は、標的タンパク質の核酸配列若しくは標的タンパク質の核酸配列と機能的に連結された遺伝的制御配列、又はこれらの可能な組み合わせのいずれかが天然の遺伝的環境にはないか又は組換え手法により改変されている、遺伝子操作方法により作製された構築物のすべてを意味する。これに関し、改変は、例えば、対象の核酸配列の1以上のヌクレオチド残基を変異させることにより達成しうる。
【0038】
本出願においては、以下の配列を参照する:

【0039】
プラストキノンは植物の光合成において必須の補因子である。二電子酸化還元のパートナーとして、プラストキノンは電子が光化学系IIからシトクロムb6/f複合体へと移動することを確実にし、さらにカロテノイド生合成の補因子として作用する。プラストキノン生合成は、芳香族アミノ酸の生合成から分岐する。ホモゲンチジン酸ソラニルトランスフェラーゼは、ソラニル残基をホモゲンチジン酸へと転移させる。その後、結果として生じた2−メチル−6−ソラニルベンゾキノール(MSBQ)は2−メチル−6−ソラニルベンゾキノン・メチルトランスフェラーゼ(MSBQ−MT)によってメチル化されてプラストキノールとなる。MSBQ−MTは、メチル基供与体としてS−アデノシルメチオニンを必要とする。さらに、MSBQ−MTは、MSBQのみならず2−メチル−6−フィチルベンゾキノン(MPBQ)もまた基質として受容するため、トコフェロール生合成にも関与している。いずれの酵素も葉緑体中に位置する。ホモゲンチジン酸は、ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ(HPPD)の、p−ヒドロキシフェニルピルビン酸に対する作用によって細胞質中に形成される。今までに、プラストキノン生合成の全ての酵素が高等植物からクローン化されている。
【0040】
進化の過程において、MSBQ−MT酵素は、恐らくラン藻類(シアノバクテリア)と高等植物とでは別々に進化してきたであろう。ラン藻類及び高等植物に由来するこれらの酵素の間には機能的相同性が存在するが、配列相同性は存在しないからである(Chengら 2003 Plant Cell 15, pp. 2343-2356)。
【0041】
植物の適応性のためにはプラストキノン生合成が重要であることが、記載されたノックアウト変異体に関して示されている。シロイヌナズナHPPDノックアウト変異体(pds1)及びホモゲンチジン酸ソラニルトランスフェラーゼノックアウト変異体(pds2)は、光独立栄養条件下で苗木致死性であり、プラストキノンを含まない(Norrisら 1998, Plant Cell 7, pp. 2139-2149)。MSBQ−MTノックアウト変異体(vte3-2、Chengら, 2003 Plant Cell 15, pp. 2343-2356 及びapg1、Motohashiら, 2003 The Plant Journal 34, pp. 719-731)は非常に類似した表現型を示し、土壌中では生存せず、淡緑色であり、且つスクロース含有寒天培地上で成長が遅れる。
【0042】
さらに、HPPDはトリケトン型除草剤の作用部位である。これらのデータは、植物のホモゲンチジン酸ソラニルトランスフェラーゼ及びMSBQ−MTが除草剤の標的として好適であるかも知れないことを示唆する。現在まで、除草剤として好適な、これらの酵素の阻害剤は開示されていない。
【0043】
Chengら, 2003 Plant Cell 15, pp. 2343-2356にはさらに、弱いvte3-1対立遺伝子が記載されている。シロイヌナズナMSBQ−MT遺伝子中の点変異は、野生型と比較して、17%ほどのプラストキノン量のわずかな減少をもたらす。しかし、vte3-1変異体の成長及び適応性は実質的に悪影響を受けない。
【0044】
驚くべきことに、本発明において、ゼロ変異体vte3-1及びapg1におけるような、MSBQ−MT活性の全損失のみならず、部分的損失が生存能に負の影響をもたらすことを実証することができた。MSBQ−MTアンチセンス遺伝子を含み、部分的に低減したMSBQ−MT活性を示すにすぎないトランスジェニックタバコ植物において、MSBQ活性のわずかな減少ですらも、生存能の劇的な低下をもたらすことが実証された。このことは、MSBQ−MTが除草剤の標的として特に好適であることを示している。
【0045】
効率的なハイスループットスクリーニング法でのMSBQ−MTの使用に関する欠点は、大腸菌によるシロイヌナズナMSBQ−MTの発現が原理的には可能であるが(Cheng ら, 2003 Plant Cell 15, pp. 2343-2356)、ごくわずかなMSBQ−MT活性しか得られず、効率的なスループットスクリーニングを行うには不十分であることである。
【0046】
驚くべきことに、本発明の範囲内において、N末端及びC末端で切断されたMSBQ−MTのアミノ酸配列は、対応する全長配列と対照的に、特に良く発現させることが可能であり、したがって除草剤を同定するためのアッセイ系における使用に特に好適であることが見出された。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
本発明は、除草剤の同定方法における2−メチル−6−ソラニルベンゾキノン・メチルトランスフェラーゼの使用であって、好ましくは、以下:
i)配列番号1若しくは配列番号3に示される核酸配列を有する核酸配列;又は
ii)遺伝暗号の縮重に基づいて、配列番号2若しくは配列番号4に示されるアミノ酸配列から逆翻訳により誘導される核酸配列;又は
iii)配列番号4に対して少なくとも59%の同一性を有するアミノ酸配列から逆翻訳により誘導される、配列番号3の核酸配列の機能的等価物、
を含む核酸配列によりコードされる2−メチル−6−ソラニルベンゾキノン・メチルトランスフェラーゼの使用に関する。ここで、上記iii)の機能的等価物は同じ機能性により特徴づけられ、すなわち、それは2−メチル−6−ソラニルベンゾキノン・メチルトランスフェラーゼの活性を有するポリペプチドをコードする。
【0048】
核酸配列に関して、「含んでいる」又は「含む」という用語は、本発明に係る核酸配列が、3’末端及び/又は5’末端に付加的な核酸配列を含みうることを意味する。ここで、付加的な核酸配列の長さは、本発明に係る核酸配列の5’末端で18bpを超えずかつ3’末端で18bpを超えず、好ましくは5’末端で6bp、3’末端で6bpを超えず、特に好ましくは5’末端で0bp、3’末端で0bpである。
【0049】
iii)に記載される本発明に係る配列番号3の機能的等価物は、配列番号4に対して少なくとも59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%又は66%、好ましくは少なくとも67%、68%、69%、70%、71%、72%又は73%、好ましくは少なくとも74%、75%、76%、77%、78%、79%又は80%、好ましくは少なくとも81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%又は93%、特に好ましくは少なくとも94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性を有するアミノ酸配列から逆翻訳によって誘導される。
【0050】
上記iii)の好適な機能的等価物の例としてはまた、ホウレンソウ2−メチル−6−ソラニルベンゾキノン・メチルトランスフェラーゼをコードする植物核酸配列(GenBankアクセッション番号X56963)がある。
【0051】
上記配列は同様に本発明の主題となる。
【0052】
さらに好ましくは、上記i)、ii)又はiii)に記載される核酸配列によりコードされ、C末端において少なくとも20アミノ酸、好ましくは少なくとも21〜32アミノ酸、特に好ましくは少なくとも33〜48アミノ酸、最も好ましくは少なくとも49、50又は51アミノ酸だけ切断され、且つN末端において少なくとも20アミノ酸、好ましくは少なくとも21〜26アミノ酸、特に好ましくは少なくとも27〜28アミノ酸、最も好ましくは少なくとも29、30又は31アミノ酸だけ切断されているアミノ酸配列を有する2−メチル−6−ソラニルベンゾキノン・メチルトランスフェラーゼの使用である。
【0053】
本発明において、特に好ましくは、2−メチル−6−ソラニルベンゾキノン・メチルトランスフェラーゼの使用であって、このアミノ酸配列が、以下:
iv)配列番号5若しくは配列番号7に示される核酸配列を有する核酸配列;又は
v)遺伝暗号の縮重に基づいて、配列番号6若しくは配列番号8に示されるアミノ酸配列から逆翻訳により誘導される核酸配列、
を含む核酸配列によりコードされる2−メチル−6−ソラニルベンゾキノン・メチルトランスフェラーゼの使用である。
【0054】
上記核酸配列の全ては、好ましくは植物に由来するものである。
【0055】
本明細書の範囲内においてさらに、以下:
i)配列番号5若しくは配列番号7に示される核酸配列を有する核酸配列;又は
ii)遺伝暗号の縮重に基づいて、配列番号6若しくは配列番号8に示されるアミノ酸配列から逆翻訳により誘導される核酸配列;又は
iii)C末端において少なくとも20アミノ酸、好ましくは少なくとも21〜32アミノ酸、特に好ましくは少なくとも33〜48アミノ酸、最も好ましくは少なくとも49、50又は51アミノ酸だけ切断され、且つN末端において少なくとも20アミノ酸、好ましくは少なくとも21〜26アミノ酸、特に好ましくは少なくとも27〜28アミノ酸、最も好ましくは少なくとも29、30又は31アミノ酸だけ切断されている、配列番号1、配列番号3、若しくは配列番号4に対して少なくとも59%の同一性を有するアミノ酸配列から逆翻訳により誘導される配列番号3の核酸配列の機能的等価物、
を含む、2−メチル−6−ソラニルベンゾキノン・メチルトランスフェラーゼの活性を有するポリペプチドをコードする植物核酸配列、及び上記核酸配列によりコードされるポリペプチドを包含する。
【0056】
本明細書中以下で使用する「本発明に係る核酸配列」という用語は、2−メチル−6−ソラニルベンゾキノン・メチルトランスフェラーゼの活性を有するポリペプチドをコードする核酸を表し、該核酸は、以下:
i)配列番号1若しくは配列番号3に示される核酸配列を有する核酸配列;又は
ii)遺伝暗号の縮重に基づいて、配列番号2若しくは配列番号4に示されるアミノ酸配列から逆翻訳により誘導される核酸配列;又は
iii)配列番号4に対して少なくとも59%の同一性を有するアミノ酸配列から逆翻訳により誘導される配列番号3の核酸配列の機能的等価物、
を含み、
iv)好ましくは、以下:
a)配列番号1、配列番号3、若しくは配列番号4に対して少なくとも59%の同一性を有するアミノ酸配列から逆翻訳により誘導される配列番号3の核酸配列の機能的等価物に示される配列を有し;且つ
b)C末端において少なくとも20アミノ酸、N末端において少なくとも20アミノ酸だけ切断されている、上記核酸配列、
を含む。
【0057】
2−メチル−6−ソラニルベンゾキノン・メチルトランスフェラーゼの活性を有するポリペプチドをコードする、切断されたアミノ酸配列は、特に好ましくは、以下:
v)配列番号5若しくは配列番号7に示される核酸配列を有する核酸配列;又は
vi)遺伝暗号の縮重に基づいて、配列番号6若しくは配列番号8に示されるアミノ酸配列から逆翻訳により誘導される核酸配列、
によってコードされる。
【0058】
簡素化のため、2−メチル−6−ソラニルベンゾキノン・メチルトランスフェラーゼの活性を有するポリペプチドであって、本発明に係る核酸配列i)、ii)又はiii)によりコードされるポリペプチドを以後「MSM」という。本発明に係る核酸配列iv)、v)又はvi)によりコードされる切断されたポリペプチドを以後「VMSM」という。本発明に係る核酸配列iv)、v)又はvi)を以後「VMSM配列」という。
【0059】
本発明に係る核酸の遺伝子産物は、除草剤及び成長調節剤、好ましくは除草剤、の新規な標的となり、望ましくない植物を防除するための新規な除草剤の提供を可能とする。
【0060】
望ましくない植物は、最も広い意味で、望ましくない場所で成長する植物すべてを意味するものと理解され、例えば以下のものである:
下記属に属する双子葉植物の雑草:
カラシ(Sinapis)、マメグンバイナズナ(Lepidium)、ヤエムグラ(Galium)、ハコベ(Stellaria)、マトリカリア(Matricaria)、アンセミス(Anthemis)、ハキダメギク(Galinsoga)、アカザ(Chenopodium)、イラクサ(Urtica)、セネシオ(Senecio)、ヒユ(Amaranthus)、スベリヒユ(Portulaca)、オナモミ(Xanthium)、サンシキヒルガオ(Convolvulus)、サツマイモ(Ipomoea)、タデ(Polygonum)、セスバニア(Sesbania)、ブタクサ(Ambrosia)、キルシウム(Cirsium)、ヒレアザミ(Carduus)、ノゲシ(Sonchus)、ナス(Solanum)、イヌガラシ(Rorippa)、ロタラ(Rotala)、アゼトウガラシ(Lindernia)、オドリコソウ(Lamium)、クワガタソウ(Veronica)、イチビ(Abutilon)、イメックス(Emex)、チョウセンアサガオ(Datura)、スミレ(Viola)、チシマオドリコソウ(Galeopsis)、ケシ(Papaver)、ヤグルマギク(Centaurea)、シャジクソウ(Trifolium)、キンポウゲ(Ranunculus)、タンポポ(Taraxacum)
下記属に属する単子葉植物の雑草:
ヒエ(Echinochloa)、エノコログサ(Setaria)、キビ(Panicum)、ヒメシバ(Digitaria)、アワガエリ(Phleum)、イチゴツナギ(Poa)、ウシノケグサ(Festuca)、オヒシバ(Eleusine)、ビロードキビ(Brachiaria)、ライグラス(Lolium)、イヌムギ(Bromus)、カラスムギ(Avena)、カヤツリグサ(Cyperus)、モロコシ(Sorghum)、カモジグサ(Agropyron)、ギョウギシバ(Cynodon)、ミズアオイ(Monochoria)、テンツキ(Fimbristyslis)、オモダカ(Sagittaria)、ハリイ(Eleocharis)、フトイ(Scirpus)、スズメノヒエ(Paspalum)、カモノハシ(Ischaemum)、ナガボノウルシ(Sphenoclea)、タツノツメガヤ(Dactyloctenium)、コヌカグサ(Agrostis)、スズメノテッポウ(Alopecurus)、セイヨウヌカボ(Apera)。
【0061】
配列番号1、配列番号3、配列番号5若しくは配列番号7又は上記核酸配列の一部は、ハイブリダイゼーションプローブの作製に用いることができる。これらのプローブの作製及び実験手順は公知である。例えば、PCRにより放射性又は非放射性のプローブを選択的に作製し、好適に標識されたオリゴヌクレオチドを使用し、続いてハイブリダイゼーション実験を行うことにより実施することができる 。この目的に必要な技術は、例えば、T. Maniatis, E.F. Fritsch および J. Sambrook, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY (1989)に詳細に記載されている。対象のプローブは、標準的な技法により修飾することができ(Lit.SDM又はランダム突然変異誘発法)、さらに別の目的で、例えば他の生物における対応する配列の分析のために、mRNA及び対応するコード配列と特異的にハイブリダイズするプローブとして用いることができる。
【0062】
上記プローブは、配列同一性に基づいて、他の植物種に由来する機能的等価物(上記の定義を参照)の検出及び単離にも使用することができる。この目的のため、例えば対象の核酸配列の一部又は全部の配列を、対象の植物種のゲノム又はcDNAライブラリにおけるスクリーニングのためのプローブとして、あるいは電子データベースの機能的等価物の配列のコンピュータ検索において使用することができる。
【0063】
本発明における好ましい植物種は、上述した望ましくない植物である。
【0064】
本発明はさらに、以下:
a)VMSM配列と機能的に連結させた遺伝子制御配列;
b)さらなる機能的エレメント;又は
c)上記a)及びb)の組み合わせ、
を含む発現カセット、並びに、以下:
a)本発明に係る核酸配列と機能的に連結させた遺伝子制御配列;
b)さらなる機能的エレメント;又は
c)上記a)及びb)の組み合わせ、
を含む発現カセットの、in vitroアッセイ系において使用するための、MSM又はVMSM、好ましくはVMSMの発現を伴う使用に関する。上記発現カセットのいずれの使用形態も、以後、本発明に係る発現カセットと呼ばれる。
【0065】
好ましい実施形態において、本発明に係る発現カセットは、コード配列の5’末端にプロモーターを、3’末端に転写終止シグナルを含み、必要であれば、挿入された本発明に係る核酸配列と機能的に連結した別の遺伝子制御配列をさらに含む。
【0066】
本発明に係る発現カセットはまた、例えば1つのポリヌクレオチド上の個々の核酸配列の組み合わせ(複数の構築物)、細胞内における複数のポリヌクレオチド上の個々の核酸配列の組み合わせ(共形質転換)、あるいは連続的な形質転換によってもたらされ得る類似体をも意味するものとして理解される。
【0067】
本発明に係る発現カセット又はこれらを含むベクターのための上記構成要素a)の有利な遺伝子制御配列の例は、例えば、cos、tac、trp、tet、lpp、lac、lacIq、T7、T5、T3、gal、trc、ara、SP6、λ−PR、若しくはλ−PLプロモーターなどであり、これらはすべて、グラム陰性細菌株においてMSM又はVMSM、好ましくはVMSMを発現させるのに用いることができる。
【0068】
さらに有利な遺伝子制御配列の例は、例えば、プロモーターamy及びSPO2(これらはいずれもグラム陽性菌株においてMSM又はVMSM、好ましくはVMSMを発現させるために用いることができる)中に存在し、また酵母若しくは真菌由来プロモーターAUG1、GPD−1、PX6、TEF、CUP1、PGK、GAP1、TPI、PHO5、AOX1、GAL10/CYC1、CYC1、OliC、ADH、TDH、Kex2、MFa若しくはNMT、又は上記プロモーターの組み合わせ(Degryseら, Yeast 1995 June 15; 11(7):629-40;Romanosら Yeast 1992 June;8(6):423-88;Benitoら Eur. J. Plant Pathol. 104, 207-220 (1998);Creggら Biotechnology (N Y) 1993 Aug;11(8):905-10;Luo X., Gene 1995 Sep 22;163(1):127-31;Nackenら, Gene 1996 Oct 10;175(1-2): 253-60;Turgeonら, Mol Cell Biol 1987 Sep;7(9):3297-305)、又は転写ターミネーターNMT、Gcy1、TrpC、AOX1、nos、PGK若しくはCYC1(Degryseら, Yeast 1995 June 15; 11(7):629-40;Brunelliら Yeast 1993 (Dec9(12): 1309-18;Frischら, Plant Mol. Biol. 27(2), 405-409 (1995);Scorerら, Biotechnology (N.Y. 12 (2), 181-184 (1994), Genbankアクセッション番号Z46232;Zhaoら アクセッション番号AF049064;Puntら, (1987) Gene 56 (1), 117-124)に存在する(これらはすべて酵母菌株においてMSM又はVMSM、好ましくはVMSMを発現させるために用いることができる)。
【0069】
昆虫細胞における発現に好適な遺伝子制御配列の例は、ポリヘドリンプロモーター及びp10プロモーターである(Luckow, V.A. および Summers, M.D. (1988) Bio/Techn. 6, 47-55)。
【0070】
細胞培養物においてMSM又はVMSM、好ましくはVMSMを発現するための有利な遺伝子制御配列は、ポリアデニル化配列に加えて、例えばウイルス起源のシミアンウイルス40に由来する真核性プロモーター、例えばポリオーマウイルス、アデノウイルス2、サイトメガロウイルス又はシミアンウイルス40のプロモーターなどがある。
【0071】
植物においてMSM又はVMSM、好ましくはVMSMを発現するための別の有利な遺伝子制御配列は、植物プロモーターCaMV/35S[Franckら, Cell 21(1980) 285-294]、PRP1[Wardら, Plant. Mol. Biol. 22 (1993)]、SSU、OCS、LEB4、USP、STLS1、B33、NOS;FBPaseP(WO98/18940号)、又はユビキチン若しくはファセオリンプロモーターであり、好ましくは、特に植物プロモーター若しくは植物ウイルス由来のプロモーターが用いられる。カリフラワーモザイクウイルス35S転写産物のプロモーターなどのウイルス起源のプロモータが特に好ましい(Franckら, Cell 21 (1980), 285-294;Odellら, Nature 313 (1985), 810-812)。構成的プロモーター、例えばアグロバクテリウム由来のノパリンシンターゼプロモーター、TR二重プロモーター、アグロバクテリウム由来のOCS(オクトピンシンターゼ)プロモーター、ユビキチンプロモーター(Holtorf Sら, Plant Mol Biol 1995, 29:637-649)、液胞ATPaseサブユニットのプロモーター、又はコムギ由来のプロリンリッチタンパク質のプロモーター(WO91/13991号)がさらに好ましい。
【0072】
発現カセットは、遺伝子制御配列として化学的に誘導可能なプロモーターを含んでいてもよく、かかるプロモーターを用いると、植物において外因性遺伝子の発現を特定の時点に制御することができる。このようなプロモーター、例えば、PRP1プロモーター(Wardら, Plant. Mol. Biol. 22, 361-366(1993))、サリチル酸誘導プロモーター(WO95/19443号)、ベンゼンスルホンアミド誘導プロモーター(EP−A−0388186号)、テトラサイクリン誘導プロモーター(Gatzら, Plant J. 2, 397-404(1992))、アブシジン酸誘導プロモーター(EP−A−0335528号)、又はエタノール若しくはシクロヘキサノン誘導プロモーター(WO93/21334号)を同様に用いることができる。
【0073】
さらに、好適なプロモーターは、組織特異的又は器官特異的発現をもたらすものであり、例えば、葯、子房、花及び花器官、葉、気孔、トリコーム、茎、維管束組織、根及び種子における発現をもたらすプロモーターである。上記構成的プロモーターの他の好適なプロモーターとしては、特に葉特異的発現を確実にするプロモーターである。特に例示すべきプロモーターは、ジャガイモ細胞質FBPaseプロモーター(WO97/05900号)、ルビスコ(リブロース−1,5−二リン酸カルボキシラーゼ)SSU(小サブユニット)プロモーター又はジャガイモ由来のST−LSIプロモーター(Stockhausら, EMBO J. 8 (1989), 2445-245)である。さらに好ましいプロモーターは、種子及び植物胚における発現を制御するものである。種子特異的プロモーターの例は、ファセオリンプロモーター(米国特許第5,504,200号;Bustos MMら, Plant Cell. 1989;1(9):839-53)、2Sアルブミン遺伝子のプロモーター(Joseffson LGら, J Biol Chem 1987, 262:12196-12201)、レグミンプロモーター(Shirsat Aら, Mol Gen Genet. 1989;215(2):326-331)、USP(未知の種子タンパク質)プロモーター(Baumlein Hら, Molecular & General Genetics 1991, 225(3):459-67)、ナピン遺伝子プロモーター(Stalberg Kら, L. Planta 1996, 199:515-519)、スクロース結合タンパク質プロモーター(WO00/26388号)又はLeB4プロモーター(Baumlein Hら, Mol Gen Genet 1991, 225: 121-128;Fiedler, Uら, Biotechnology (NY) (1995), 13 (10) 1090)である。
【0074】
遺伝子制御配列として好適な別のプロモーターは、例えば、塊茎、貯蔵根又は根に特異的なプロモーター、例えばクラスIパタチンプロモーター(B33)、ジャガイモカテプシンDインヒビタープロモーター、デンプン合成酵素(GBSS1)プロモーター、又はスポラミンプロモーターなど、果実特異的プロモーター、例えばトマト由来の果実成熟特異的プロモーター(EP−A409625号)など、果実成熟特異的プロモーター、例えばトマト由来の果実成熟特異的プロモーター(WO94/21794号)など、花特異的プロモーター、例えばフィトエンシンターゼプロモーター(WO92/16635号)又はP−rr遺伝子のプロモーター(WO98/22593号)、又は色素体若しくは有色体特異的プロモーター、例えばRNAポリメラーゼプロモーター(WO97/06250号)、又はダイズホスホリボシル−ピロリン酸アミドトランスフェラーゼプロモーター(Genbankアクセッション番号U87999も参照のこと)が挙げられ、あるいは別の結節特異的プロモーター(EP−A249676号に記載)が有利に用いられ得る。
【0075】
さらなる機能的エレメントb)は、限定するものではないが、例えば、MSM又はVMSM、好ましくはVMSMと直接又はリンカー(場合によりプロテアーゼ切断部位を含んでもよい)を介して融合させた、リポーター遺伝子、複製起点、選択マーカー及びアフィニティタグとして知られるもの、を意味するものと理解される。別の好適なさらなる機能的エレメントは、産物がアポプラスト、色素体、液胞、ミトコンドリア、ペルオキシソーム、小胞体(ER)に標的化されるようにする配列、あるいは、そのような機能しうる配列がないために産物が形成されたコンパートメント(例えば細胞質)に維持されるようにする配列である(Kermode, Crit. Rev. Plant Sci. 15, 4 (1996), 285-423)。
【0076】
本発明に係る核酸配列及び/又は本発明に係る発現カセットを少なくとも1コピー含むベクターも本発明に含まれる。
【0077】
プラスミド以外にも、ベクターは、当業者が熟知しているその他のあらゆるベクターを包含すると理解すべきであり、例えば、ファージや、SV40、CMB、バキュロウイルス、アデノウイルスなどのウイルス、トランスポゾン、ISエレメント、ファスミド、ファージミド、コスミド、又は線状若しくは環状DNAを挙げることができる。これらのベクターは、宿主生物における自律複製又は染色体上での複製が可能であり、染色体上での複製が好ましい。
【0078】
ベクターの別の実施形態では、本発明に係る核酸構築物を線状DNAの形態で生物に導入し、非相同又は相同的組換えにより宿主生物のゲノムに組み込むこともできる。この線状DNAは、線状化されたプラスミド、又はベクターとしての核酸構築物のみ、あるいは用いる核酸配列からなるものであってもよい。
【0079】
さらに、原核生物又は真核生物発現系については、Sambrookら, “Molecular Cloning: A Laboratory Manual.” 2nd, ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989の第16章及び第17章に記載されている。別の有利なベクターはHellensら(Trends in plant science, 5, 2000)に記載されている。
【0080】
さらに、本発明に係る発現カセット及びそれから誘導されるベクターを用いて、MSM又はVMSM、好ましくはVMSMを組換えにより産生する目的で、細菌、シアノバクテリア(例えば、シネコシスティス属、アナバエナ属、カロスリックス属、シトネマ属(Scytonema)、オスシラトリア属、プレクトネマ属(Plectonema)及びノストック属)、プロテオバクテリア(例えば、マグネトコッカスsp MC1)、酵母、糸状菌及び藻類、並びに非ヒト真核細胞(例えば昆虫細胞)を形質転換することができ、好適な発現カセットの作製はそれを発現させようとする生物により異なる。
【0081】
以下を含む発現カセットを含有するベクターもまた本発明の主題の一部を構成する:
a)VMSM配列と機能的に連結させた遺伝子制御配列;
b)さらなる機能的エレメント;又は
c)上記a)及びb)の組み合わせ。
【0082】
さらに有利な実施形態では、本発明に係る方法で用いる核酸配列をそれらだけで生物に導入することも可能である。
【0083】
上記の核酸配列のほかに、別の遺伝子を生物に導入する場合には、単一のベクターでそれらすべてを一緒に生物に導入するか、あるいは、個々の遺伝子をそれぞれ1つのベクターで生物に導入することができ、各種ベクターは同時に導入しても、順次導入してもよい。
【0084】
本発明において、本発明に係る核酸、発現カセット若しくはベクターの対象生物への導入(形質転換)は、基本的に、当業者に公知のあらゆる方法により行うことができる。
【0085】
微生物の場合、当業者であれば、Sambrook, J.ら, (1989) "Molecular cloning: A laboratory manual", Cold Spring Harbor Laboratory Press;F.M. Ausubelら, (1994) "Current protocols in molecular biology", John Wiley and Sons;D.M. Gloverら, DNA Cloning Vol.1, (1995), IRL Press (ISBN 019963476-9);Kaiserら, (1994) Methods in Yeast Genetics, Cold Spring Harbor Laboratory Press;又はGuthrieら, "Guide to Yeast Genetics and Molecular Biology", Methods in Enzymology, 1994, Academic Pressの教科書に好適な方法を見出すことができる。糸状菌の形質転換においては、最初にプロトプラストを作製し、PEGを用いて形質転換を行う方法(Wiebeら (1997) Mycol. Res. 101 (7): 971-877;Proctorら (1997) Microbiol. 143, 2538-2591)を最初に選択し、次にアグロバクテリウム・ツメファシエンスを用いて形質転換を行う方法(de Grootら (1998) Nat. Biotech. 16, 839-842)を選択する。
【0086】
双子葉植物の場合には、植物の形質転換と植物組織又は植物細胞からの植物体の再生について記載されている方法を一過性の又は安定な形質転換に用いることができる。好適な方法は、バイオリスティック法(微粒子銃)又はプロトプラストの形質転換(例えば、Willmitzer, L., 1993 Transgenic Plants.: Biotechnology, A Multi-Volume Comprehensive Treatise(H.J. Rehm, G. Reed, A. Puehler, P.Stadler編), Vol. 2, 627-659, VCH Weinheim-New York-Basel-Cambridge参照)、エレクトロポレーション、DNA含有溶液中での乾燥胚のインキュベーション、マイクロインジェクション、及びアグロバクテリウム媒介遺伝子導入がある。上記の方法は、例えばB. Jenesら, Techniques for Gene Transfer: Transgenic Plants, Vol. 1, Engineering and Utilization, S.D. Kung及びR. Wu編, Academic Press (1993)-143;及びPotrykus, Annu. Rev. Plant Physiol. Plant. Biol. 42 (1991) 205-225)に記載されている。
【0087】
アグロバクテリウムを用いる形質転換及び形質転換に使用するベクターは当業者に公知であり、文献に多く記載されている(Bevanら, Nucl. Acids Res. 12 (1984) 8711)。媒介ベクターは、T−DNA中の配列に相同な配列による相同組換えを用いてアグロバクテリウムのTi又はRiプラスミドに組み込むことができる。このプラスミドはさらに、T−DNAを導入するために必要なvir領域を含む。媒介ベクターはアグロバクテリウム内では複製することができない。媒介ベクターは、ヘルパープラスミドを用いてアグロバクテリウム・ツメファシエンスに導入することができる(共役)。バイナリーベクターは大腸菌及びアグロバクテリウムの両方において複製することができる。これらは、T−DNAの右側及び左側境界領域により囲まれる選択マーカー遺伝子並びにリンカー又はポリリンカーを含む。これらは、直接アグロバクテリウムに形質転換することができる(Holstersら Mol. Gen. Genet. 163 (1978), 181-187);EPA0120516号;Hoekema, The Binary Plant Vector System Offsetdrukkerij Kanters B.V., Alblasserdam (1985), Chapter V;Fraleyら, Crit. Rev. Plant. Sci., 4: 1-46;及びAnら EMBO J. 4 (1985), 277-287)。
【0088】
アグロバクテリウムに基づくベクターを用いた単子葉植物の形質転換もまた記載されている(Chanら, Plant Mol. Biol. 22(1993), 491-506;Hieiら, Plant J. 6 (1994)-282;Dengら, Science in China 33 (1990), 28-34; Wilminkら, Plant Cell Reports 11,(1992) 76-80;Mayら, Biotechnology 13 (1995) 486-492;Conner及びDomisse, Int. J. Plant Sci. 153 (1992) 550-555;Ritchieら, Transgenic Res. (1993) 252-265)。単子葉植物の形質転換のための別の系は、バイオリスティック法(微粒子銃)を用いた形質転換(Wan及びLemaux; Plant Physiol. 104 (1994), 37-48;Vasilら, Biotechnology 11 (1992), 667-674;Ritalaら, Plant Mol. Biol 24, (1994) 317-325;Spencerら, Theor. Appl. Genet. 79 (1990), 625-631)、プロトプラスト形質転換、部分的に透過性とした細胞のエレクトロポレーション、及びグラスファイバーを用いたDNAの導入である。特に、トウモロコシの形質転換については文献に再三記載されている(例えば、WO95/06128号;EP0513849A1号;EP0465875A1号;EP0292435A1号;Frommら, Biotechnology 8 (1990), 833-844;Gordon-Kammら, Plant Cell 2 (1990), 603-618;Kozielら, Biotechnology 11(1993) 194-200;Morocら, Theor Applied Genetics 80 (190) 721-726参照)。
【0089】
他の穀類種、例えばオオムギ(Wan及びLemaux、上記参照;Ritalaら、上記参照)及びコムギ(Nehraら, Plant J. 5(1994) 285-297)の形質転換もまたその成功例が記載されている。
【0090】
本発明に係るベクターで形質転換したアグロバクテリウムは、植物、特に、シロイヌナズナなどの実験植物、又は、穀類、トウモロコシ、オートムギ、ライムギ、オオムギ、コムギ、ダイズ、イネ、ワタ、テンサイ、キャノーラ、ヒマワリ、アマ、アサ、ジャガイモ、タバコ、トマト、ニンジン、トウガラシ、ナタネ、タピオカ、キャッサバ、クズ、マンジュギク、アルファルファ、レタス及び各種樹木、堅果及びブドウなどの作物植物を形質転換する公知の方法、例えば、傷つけた葉又は葉切片をアグロバクテリウム溶液に浸けた後、適当な培地中で培養する方法に用いることができる。
【0091】
遺伝子改変した植物細胞は、当業者に公知のあらゆる方法により再生させることができる。かかる方法は、S.D. Kung及びR. Wu、Potrykus、又はHofgen及びWillmitzerによる上記で引用した刊行物に見ることができる。
【0092】
本発明に係る核酸配列を含む発現カセット又は上記発現カセットを含むベクターの上記実施形態の1つを用いた形質転換により作出したトランスジェニック生物、及び発現によりトランスジェニック生物から得ることができる組換えVMSMもまた本発明の範囲内である。本発明に係る発現カセットを含むトランスジェニック生物の、例えば組換えタンパク質を得るための使用、及び/又は当該生物のin vivoアッセイ系における使用は、同様に本発明の範囲内である。
【0093】
組換え発現のために好ましい生物は、細菌、酵母、コケ、藻類及び真菌のみならず、真核細胞系も含まれる。
【0094】
好ましいコケは、ヒメツリガネゴケ(Physcomitrella patens)、及びKryptogamen [Cryptogamia], Vol.2, Moose, Farne [Mosses, Ferns], 1991, Springer Verlag (ISBN 3540536515)に記載される他のコケである。
【0095】
好ましい細菌は、例えば、エッシュリヒア属、アーウィニア属、フラボバクテリウム属、アルカリゲネス属に由来する細菌、又はシアノバクテリア、例えばシネコシスティス属、アナベナ属、カロスリックス属、シトネマ属、オスシラトリア属、プレトネマ属及びノストック属、特に好ましくはシネコシスティス属又はアナベナ属に由来する細菌である。
【0096】
好ましい酵母は、カンジダ、サッカロミセス、シゾサッカロミセス、ハンセヌラ又はピキアである。
【0097】
好ましい真菌は、アスペルギルス(Aspergillus)、トリコデルマ(Trichoderma)、アシュビア(Ashbya)、ノイロスポラ(Neurospora)、フサリウム(Fusarium)、ボーベリア(Beauveria)、モルティエレラ(Mortierella)、サポロレグニア(Saprolegnia)、ピチウム(Pythium)、又はIndian Chem Engr. Section B. Vol 37, No 1,2 (1995)に記載される他の真菌である。
【0098】
好ましい植物は、特に単子葉作物植物、例えば、穀類種(コムギ、オオムギ、アワ、ライムギ、ライコムギ、トウモロコシ、イネ又はオートムギ、及びサトウキビ)から選択される。本発明に係るトランスジェニック植物はさらに、特に、双子葉作物植物、例えば、アブラナ科(Brassicaceae)(アブラナ、クレソン、シロイヌナズナ、キャベツ若しくはキャノーラなど)、マメ科(Leguminosae)(ダイズ、アルファルファ、エンドウ、ビーン若しくはラッカセイなど)、ナス科(Solanaceae)(ジャガイモ、タバコ、トマト、ナスビ若しくはトウガラシなど)、キク科(Asteraceae)(ヒマワリ、マンジュギク、レタス若しくはキンセンカなど)、ウリ科(Cucurbitaceae)(メロン、カボチャ、若しくはズッキーニなど)、又はアマニ、綿、麻、アマ、アカトウガラシ、ニンジン、サトウダイコン、あるいは種々の樹木、果実及びブドウの木から選択される。
【0099】
原則として、トランスジェニック動物、例えば線虫(C. elegans)もまた好適な宿主生物である。
【0100】
また、公衆に入手可能な又は市販されている発現系及びベクターを使用することも好ましい。
【0101】
大腸菌において使用するために記載すべきベクターは、典型的な、有利な、市販の融合及び発現ベクターpGEX[Pharmacia Biotech Inc; Smith, D.B.及びJohnson, K.S.(1988)Gene 67:31-40]、pMAL(New England Biolabs、マサチューセッツ州ベヴァリー)、並びに、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)、マルトース結合タンパク質、又はプロテインAを含むpRIT5(Pharmacia、ニュージャージー州ピスカタウェイ)、pTrcベクター(Amannら(1988)Gene 69:301-315)、CLONTECH社(カリフォルニア州パロアルト)製の「pKK233−2」、並びに、Storatagene社(La Jolla)製の「pET」及び「pBAD」ベクター系列である。
【0102】
酵母に使用するためのベクターは、下記のものがある:pYepSec1(Baldariら(1987)Embo J. 6:229-234)、pMFa(Kurjan及びHerskowitz,(1982)Cell 30:933-943)、pJRY88(Schultzら(1987)Gene 54:113-123)、並びに、pYES誘導体、pGAPZ誘導体、pPICZ誘導体、並びに、「ピキア発現キット」のベクター(Invitrogen Corporation(カリフォルニア州サンジエゴ)製)。糸状菌に使用するためのベクターは、van den Hondel, C.A.M.J.J. & Punt, P.J.(1991) "Gene transfer systems and vector development for filamentous fungi, Applied Molecular Genetics of Fungi, J.F.Pberdyら編, p.1-28, Cambridge University Press: Cambridgeに記載されている。
【0103】
あるいは、昆虫細胞発現ベクターも有利に用いることができ、例えば、組換えバキュロウイルスにより感染されるSf9、Sf21又はHi5細胞において発現させることができる。これらの例としては、pAc系列のベクター(Smithら (1983) Mol. Cell Biol. 3:2156-2165)及びpVL系列のベクター(Lucklow及びSummers (1989) Virology 170:31-39)がある。使用可能な他のものとして、バキュロウイルス発現系「MaxBac 2.0 Kit」及び「Insect Select System」(Invitrogen製、Carlsbad)又は「BacPAK Baculovirus Expression System」(CLONTECH製、Palo Alto, CA)がある。昆虫細胞は、真核性タンパク質を過剰発現させるために特に好適である。なぜなら、昆虫細胞は細菌や酵母においては不可能なタンパク質の翻訳後修飾を行うことができるためである。当業者であれば、昆虫細胞の培養操作、及びタンパク質発現のための感染方法を、公知の方法と同様に実施しうることを理解しうる(LuckowおよびSummers, Bio/Tech. 6, 1988, pp.47-55;GloverおよびHames (編) DNA Cloning 2, A practical Approach, Expression Systems, 第2版, Oxford University Press, 1995, 205-244)。
【0104】
植物細胞又は藻類細胞は、遺伝子を有利に発現させるために用いることができる別の細胞である。植物発現ベクターの例は、Becker, D.ら(1992) "New plant binary vectors with selectable markers located proximal to the left border", Plant Mol. Biol. 20:1195-1197、又はBevan, M.W.(1984) "Binary Agrobacterium vectors for plant transformation", Nucl. Acid. Res. 12:8711-8721に報告されている。
【0105】
さらに、本発明に係る核酸配列は哺乳動物細胞において発現させることができる。好適な発現ベクターの例は、pCDM8及びpMT2PCであり、これについては、Seed, B.(1987)Nature 329:840又はKaufmanら(1987)EMBO J. 6:187-195に記載されている。本発明において好ましく用いられるプロモーターは、例えば、ポリオーマウイルス、アデノウイルス2、サイトメガロウイルス又はシミアンウイルス40のプロモーターなどのウイルス由来のものである。これ以外にも、原核又は真核生物発現系について、Sambrookら, Molecular Cloning:A laboratory Manual. 2nd ed.、Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989の第16章及び第17章に記載されている。また、別の有利なベクターが、Hellensら(Trends in plant science, 5, 2000)に記載されている。
【0106】
VMSM配列を含むトランスジェニック生物は本発明の範囲内に含まれる。
【0107】
MSM又はVMSM、好ましくはVMSMを含むトランスジェニック生物の上記実施形態は全て、「本発明に係るトランスジェニック生物」という用語の範疇に入る。
【0108】
本発明はさらに、除草剤活性を有する試験化合物の同定方法における、MSM又はVMSM、好ましくはVMSMの使用に関する。
【0109】
本発明に係る、除草剤活性を有する化合物の同定方法は、好ましくは以下のステップを含む:
i)MSM又はVMSM、好ましくはVMSMを、1以上の試験化合物と、該試験化合物がMSM又はVMSM、好ましくはVMSMと結合するような条件下で接触させるステップ;
ii)上記試験化合物が、上記i)のMSM又はVMSM、好ましくはVMSMと結合するか否かを検出するステップ;又は
iii)上記試験化合物が、上記i)のMSM又はVMSM、好ましくはVMSMの活性を低減又は遮断するか否かを検出するステップ;又は
iv)上記試験化合物が、上記i)のMSM又はVMSM、好ましくはVMSMの転写、翻訳又は発現を低減又は遮断するか否かを検出するステップ。
【0110】
用語「低減する」は、試験化合物と接触させられていないMSM又はVMSM、好ましくはVMSMの活性と比べて少なくとも10%、有利には少なくとも20%、好ましくは少なくとも50%、特に好ましくは少なくとも70%、極めて特に好ましくは少なくとも80%、90%又は95%の活性の低減を意味すると理解され、用語「遮断する」は、完全な、すなわち100%の、活性の遮断を意味すると理解され、この場合上記の低減パーセントは、阻害剤濃度10−4M未満、好ましくは10−5M未満、特に好ましくは10−6M未満及び極めて特に好ましくは10−7M未満において達成される。
【0111】
上記方法のステップ(ii)において行う検出は、タンパク質とリガンドとの相互作用を同定する技法を用いて実施することができる。これに関して、試験化合物又は酵素のいずれかは、検出可能な標識、例えば、蛍光標識、放射性同位体標識、化学発光標識又は酵素標識などを含みうる。酵素標識の例としては、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、又はルシフェラーゼが挙げられる。その後に行う検出は標識により異なり、当業者には周知である。
【0112】
この点に関して、5つの好ましい実施形態(本発明に関連したハイスループット法(HTS)にも適している)を特に記載する必要がある。すなわち、
1.質量の関数としての蛍光分子の平均拡散速度を、蛍光相関分光学(FCS)(Proc. Natl. Acad. Sci. USA(1994)11753-11575)により少量のサンプルで測定することができる。FCSを用いて、MSM又はVMSM、好ましくはVMSMと結合したときの試験化合物の質量変化、若しくはそれに伴う拡散速度の変化を測定することにより、タンパク質/リガンド相互作用を測定することができる。本発明に係る方法は、蛍光分子で標識した試験化合物の結合を直接測定するために設計することができる。あるいは、本発明に係る方法は、蛍光分子により標識された参照化合物が別の試験化合物と置き換わるように設計することもできる(置換アッセイ)。
【0113】
2.蛍光偏光は、偏光を発するように偏光で励起された静止蛍光団の特徴を利用する。しかしながら、蛍光団が励起状態で回転させられると、放射された蛍光の偏光がいくらか消失する。その他の点(例えば、温度、粘度、溶媒)で同一の条件下では、回転は分子サイズの関数であり、それにより読取り値から蛍光団結合残基のサイズに関する知見を得ることができる(Methods in Enzymology 246 (1995), pp. 283-300)。本発明に係る方法は、蛍光分子で標識した試験化合物の、MSM又はVMSM、好ましくはVMSMへの結合を直接測定することにより設計することができる。あるいは、本発明に係る方法はまた、1に記載したような「置換アッセイ」の形をとることもできる。
【0114】
3.蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)は、好適な条件下における空間的に隣接した2つの蛍光分子の間の放射フリーのエネルギー転移に基づくものである。その必要条件は、供与体分子の発光スペクトルが受容体分子の励起スペクトルと重複することである。MSM又はVMSM、好ましくはVMSMの蛍光標識及び結合する試験化合物を用いて、その結合をFRETにより測定することができる(Cytometry 34, 1998, pp. 159-179)。あるいは、本発明に係る方法はまた、1に記載したような「置換アッセイ」の形をとることもできる。FRET技術の特に好適な実施形態は「均一系時間分解蛍光」(HTRF)であり、Packard BioScienceにより入手することができる。
【0115】
4.飛行時間型質量分析計(MALDI−TOF)と組み合わせた表面増強レーザー脱離イオン化(SELDI)により、支持体上の分子の高速分析が可能であり、これを用いて、タンパク質−リガンド相互作用を分析することができる(Worralら(1998) Anal. Biochem. 70:750-756)。好ましい実施形態では、MSM又はVMSM、好ましくはVMSMを好適な支持体に固定化し、次いでこれを試験化合物と一緒にインキュベートする。1回以上の好適な洗浄ステップの後、MSM又はVMSM、好ましくはVMSMとさらに結合した試験化合物の分子を前記方法により検出することができ、したがってMSM又はVMSM、好ましくはVMSMに結合した試験化合物を選択することができる。
【0116】
5.表面プラズモン共鳴の測定は、試験化合物が表面に固定化されたタンパク質と結合する際の、該表面での屈折率の変化に基づくものである。屈折率の変化は、表面での質量濃度の定められた変化に対して、実質的にすべてのタンパク質及びポリペプチドについて同じであるため、この方法は、原則として、あらゆるタンパク質に適用することができる(Lindbergら, Sensor Actuators 4(1983)299-304;Malmquist Nature 361(1993)186-187)。この測定は、例えばBiacore(Freiburg)より入手可能な表面プラズモン共鳴に基づく自動分析装置を用いて、現在1日当たり最大384サンプルの処理能力で実施され得る。本発明に係る方法は、試験化合物の、MSM又はVMSM、好ましくはVMSMへの結合を直接測定するために設計することもできるし、あるいは本発明に係る方法はまた、1に記載したような「置換アッセイ」の形をとることもできる。
【0117】
上記方法1〜5により同定される化合物は阻害剤として好適でありうる。上記方法により同定される物質はすべて、その後、本発明に係る方法の別の実施形態において、その除草剤活性について試験することができる。
【0118】
さらに、除草剤活性成分のさらなる候補物質を、X線構造解析によるMSM又はVMSM、好ましくはVMSMの三次元構造の解明による分子モデリングによって検出することも可能である。X線構造解析に必要なタンパク質結晶の調製、並びに、関連する測定と、それに続くこれらの測定の評価、タンパク質での結合部位の検出、そして可能性のある阻害剤構造の予測は、当業者には公知である。原則として、前記方法により同定された化合物の最適化もまた、分子モデリングによって可能である。
【0119】
本発明に係る方法の特に好ましい実施形態であって、ステップi)及びii)に基づくものは、MSM又はVMSM、好ましくはVMSMの酵素活性を低減又は遮断する試験化合物を選択することからなり、試験化合物とインキュベートしたMSM又はVMSM、好ましくはVMSMの活性を、試験化合物とインキュベートしていないMSM又はVMSM、好ましくはVMSMの活性と比較する。
【0120】
ステップi)及びii)に基づいて行う本発明に係る方法の好ましい実施形態は、以下からなる:
i)本発明に係るトランスジェニック生物においてMSM又はVMSM、好ましくはVMSMを発現させるか、又はもともとMSM又はVMSM、好ましくはVMSMを含む生物を成長させるステップ;
ii)ステップi)のMSM又はVMSM、好ましくはVMSMを、トランスジェニック生物又は非トランスジェニック生物の細胞消化物として、部分的に精製された形で又は均質に精製された形で、試験化合物と接触させるステップ;並びに
iii)MSM又はVMSM、好ましくはVMSMの活性を低減又は遮断する化合物を選択するステップ。
【0121】
ステップiiiにおいては、ここで試験化合物とインキュベートしたMSM又はVMSM、好ましくはVMSMの活性を測定するために、試験化合物とインキュベートしていないMSM又はVMSM、好ましくはVMSMの活性と比較する。
【0122】
MSM又はVMSM、好ましくはVMSMを含む溶液は、その起源生物の溶解液から構成されてもよい。あるいは、MSM又はVMSM、好ましくはVMSMを含む溶液は、本発明にかかる発現カセットで形質転換させたトランスジェニック生物の溶解液から構成されてもよい。
【0123】
必要であれば、MSM又はVMSM、好ましくはVMSMは、慣用法により部分的に精製してもよいし、又は完全に精製してもよい。現在の慣用的なタンパク質精製技術に関する一般的な概説は、例えばAusubel, F.M.ら, Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Assoc. and Wiley-Interscience (1994); ISBN 0-87969-309-6に記載されている。組換え生産の場合には、アフィニティタグと融合させたタンパク質の精製を、当業者が熟知しているアフィニティクロマトグラフィーによって行うことができる。
【0124】
in vitro法に必要なMSM又はVMSM、好ましくはVMSMは、このようにして、本発明に係るトランスジェニック生物から異種発現により、又はMSM又はVMSM、好ましくはVMSMを含む生物から、例えば植物の葉緑体から単離することができる。
【0125】
除草性化合物を同定するために、MSM又はVMSM、好ましくはVMSMを試験化合物とインキュベートする。反応時間後、試験化合物とインキュベートしたMSM又はVMSM、好ましくはVMSMの酵素活性を、試験化合物とインキュベートしていないMSM又はVMSM、好ましくはVMSMと比較して測定する。MSM又はVMSM、好ましくはVMSMが阻害される場合には、本発明に係る非阻害ポリペプチドの活性と比較して活性の有意な低減が観察される。その低減の結果は、少なくとも10%、有利には少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、特に好ましくは少なくとも50%、最大100%の低減(遮断)である。マイクロモル範囲の酵素濃度に基づいて、10−4M、好ましくは10−5M、特に好ましくは10−6M、極めて特に好ましくは10−7Mの試験化合物濃度において少なくとも50%の阻害が好ましい。
【0126】
MSM又はVMSM、好ましくはVMSMの活性は、例えば、産物の増加、基質(若しくは出発物質)の減少、又は補因子の減少若しくは増加を測定する活性アッセイにより、あるいは上記パラメータの少なくとも2つの組み合わせにより、所定の時間の関数として、測定することができる。
【0127】
活性アッセイに使用される基質の量は、1〜100μg/mlのMSM酵素又はVMSM酵素に基づいて、0.1〜10mMであってよく、補因子の量は、0.1〜10mMであってよい。
【0128】
MSM又はVMSMの活性を測定するために好適な基質の例は、例えば、2−メチル−6−ソラニルベンゾキノール、2−メチル−6−フィチルベンゾキノール、2−メチル−6−ゲラニルゲラニルベンゾキノール、及び6位に短縮されたプレニル鎖を有する2−メチルベンゾキノール誘導体である。
【0129】
好適な補因子の例は、S−アデノシルメチオニンである。
【0130】
適切な場合には、検出可能な標識、例えば蛍光標識、放射性同位体標識(例えば[14C−メチル]S−アデノシルメチオニン)又は化学発光標識を含有する上記化合物の誘導体もまた、用いることができる。
【0131】
従って、上記の方法のステップiii)におけるMSM又はVMSMの活性は、Peddibhotlaら(2003 Tetrahedron Letters 44, pp. 237-239)の方法によって測光的に測定することができる。
【0132】
別の方法は、HPLCによる分離後の反応生成物の検出である。反応生成物は、放射測光的検出又は電気化学的検出によって検出することができる。
【0133】
別の可能性は、キノイド基質及び生成物に特徴的な色素体の性質に基づいた、反応の測光的モニタリングである。
【0134】
ステップi)及びiii)に基づく本発明に係る方法の好ましい実施形態は、以下のステップからなる:
i)MSM又はVMSM、好ましくはVMSMをコードする核酸配列を少なくとも1つ含み、MSM又はVMSM、好ましくはVMSMを過剰発現するトランスジェニック生物を作出するステップ;
ii)試験化合物をi)のトランスジェニック生物及び同遺伝子型の非トランスジェニック生物に適用するステップ;
iii)該試験物質の適用後にトランスジェニック生物及び非トランスジェニック生物の成長又は生存を判定するステップ;
iv)トランスジェニック生物の成長と比較して非トランスジェニック生物の成長の低下又は生存の制限をもたらす試験化合物を選択するステップ。
【0135】
本実施形態において、除草剤活性を有する阻害剤の選択のためのステップiv)における成長の違いは、少なくとも10%以上、好ましくは20%以上、好ましくは30%以上、特に好ましくは40%以上、極めて特に好ましくは50%以上である。
【0136】
用語「トランスジェニック生物」は、本発明に係る上記のトランスジェニック生物を意味すると理解される。
【0137】
別法として、MSM又はVMSM、好ましくはVMSMを過剰発現する、上記の方法に好適なトランスジェニック生物はまた、該生物中にもともと存在するプロモーター配列の操作によってMSM又はVMSM、好ましくはVMSMの過剰発現を引き起こすことによっても作出することができる。当業者はこのような方法を熟知している。
【0138】
本実施形態におけるトランスジェニック生物は、本発明に係るポリペプチドをコードする配列を形質転換により組み込んだ、好ましくは植物、藻類、シアノバクテリア(例えば、シネコシスティス属)、又はプロテオバクテリア(例えば、マグネトコッカスsp.MC1)、好ましくは慣用技術により形質転換可能な植物、例えばシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)、ジャガイモ(Solanum tuberosum)、タバコ(Nicotiana tabacum)、又は容易に形質転換可能なシアノバクテリア(シネコシスティス属など)である。従って、これらのトランスジェニック生物は、本発明に係るポリペプチドを阻害する化合物に対する耐性が増大している。この生物に天然に存在する類似のMSM又はVMSM、好ましくはVMSMの遺伝子が選択的に破壊されている「ノックアウト」変異体もまた用いることができる。
【0139】
しかしながら、本発明に係る上記方法の実施形態はまた、成長調節活性を有する物質の同定にも用いることができる。本実施形態において、使用するトランスジェニック生物は植物である。従って、成長調節活性を有する物質を同定する方法は以下のステップを含む:
i)過剰発現されているMSM又はVMSM、好ましくはVMSMをコードする核酸配列を含むトランスジェニック植物を作出するステップ、
ii)試験物質をi)のトランスジェニック植物及び同種の非トランスジェニック植物に適用するステップ、
iii)試験化合物の適用後、上記トランスジェニック植物及び非トランスジェニック植物の成長又は生存を判定するステップ、並びに
iv)上記トランスジェニック植物の成長と比較して非トランスジェニック植物の成長の変化をもたらす試験物質を選択するステップ、
を含む。
【0140】
ここで、ステップiv)は、トランスジェニック生物の成長と比較して非トランスジェニック生物の成長の変化をもたらす試験化合物の選択を含む。成長の変化とは、植物の栄養成長の阻害を意味するものと理解され、それは特に長軸方向の成長の低減として現れる。従って、処理された植物は成長不良を示し、さらにこれらの葉は暗色となる。また、成長の変化は、成熟過程の経時的な変化、植物の側方分枝の成長の阻害又は促進、発達段階の短縮又は延長、立っている能力の増大、多量の芽、花、葉、果実、種子、根及び塊茎の成長、植物(例えばテンサイ、サトウキビ及び柑橘類の果実など)中の糖度の増加、植物(例えば穀類又はダイズなど)中のタンパク質含量の増加、あるいはゴムの木におけるラテックス流量の促進を意味するものと理解される。
【0141】
また、代替方法として、MSM又はVMSM、好ましくはVMSMを過剰発現するトランスジェニック植物は、その生物中にもともと存在するプロモーター配列の操作によってMSM又はVMSM、好ましくはVMSMの過剰発現を引き出すことにより作出することができる。当業者はこのような方法を熟知している。
【0142】
また、本発明に係る方法においては、1つの本発明の方法に複数の試験化合物を用いることも可能である。試験化合物のグループが標的に影響を及ぼす場合には、その後、個々の試験化合物を直接単離することもできるし、又は、例えば試験化合物が複数の異なる成分から構成される場合には、本発明に係る方法における異なる試験化合物の数を減少させるために、試験化合物を種々のサブグループに分類することもできる。続いて、本発明に係る方法を個々の試験化合物又は試験化合物の関連するサブグループを用いて反復実施する。サンプルの複雑度に応じて、上述したステップは、好ましくは本発明に係る方法に従って同定したサブグループが少数の試験化合物のみを、又は実際にはただ1つの試験化合物のみを含むようになるまで反復して行うことができる。
【0143】
除草剤活性又は成長調節活性を有する阻害剤を同定するための上記方法は全て、本明細書では以後「本発明に係る方法」という。ここでは、「本発明に係る方法」は、好ましくは除草剤活性を有する阻害剤を同定するための上記方法をいう。
【0144】
その後、本発明に係る方法により同定された化合物はいずれも、除草剤活性及び成長調節活性についてin vivoで試験することができる。除草剤活性について化合物を試験する方法の1つは、マイクロタイタープレートにおいてウキクサ(Lemna minor)を使用することである。測定しうるパラメータはクロロフィル含量及び光合成速度の変化である。また、化合物を直接望ましくない植物に適用することも可能であり、例えば成長の制限により除草剤活性を同定することも可能である。
【0145】
本発明に係る方法はまた、HTSとして知られるハイスループット法において有利に実施することができ、それは多数の異なる化合物の同時検査を可能にする。
【0146】
本発明に係る1以上の核酸分子、本発明に係る核酸配列を含む1以上のベクター、本発明に係る核酸配列の少なくとも1つを含む1以上のトランスジェニック生物、又は本発明に係る核酸配列によりコードされる1以上の(ポリ)ペプチドを含む支持体の使用により、実際にHTSを実施することができる。使用する支持体は、固体又は液体とすることができ,好ましくは固体、特に好ましくはマイクロタイタープレートである。上記支持体はまた、本発明の対象の一部を構成する。最も広く用いられている技術に従って、一般に200μlまでの容量を含むことができる96ウエル、384ウエル及び1536ウエルのマイクロタイタープレートを用いる。マイクロタイタープレートに加えて、対応するマイクロタイタープレートと適合するHTSシステムの更なる構成要素、例えば多数の装置、材料、自動分注装置、ロボット、自動プレートリーダー及びプレート洗浄機などが市販されている。
【0147】
マイクロタイタープレートに基づくHTSシステムに加えて、「フリーフォーマットアッセイ」として知られるもの、すなわちサンプル間に物理的障壁のないアッセイ系を使用することもでき、これらは、例えばJayaickremeら, Proc. Natl. Acad. Sci U.S.A. 19 (1994) 161418;Chelsky, “Strategies for Screening Combinatorial Libraries, First Annual Conference of The Society for Biomolecular Screening in Philadelphia, Pa. (Nov. 710, 1995);Salmonら, Molecular Diversity 2 (1996), 5763;及び米国特許第5,976,813号に記載されている。
【0148】
本発明はさらに、本発明に係る方法により同定される除草剤活性を有する化合物に関する。これらの化合物は、以後「選択化合物」という。該化合物は、1000g/mol未満、有利には500g/mol未満、好ましくは400g/mol未満、特に好ましくは300g/mol未満の分子量を有する。除草剤活性を有する化合物は、1mM未満、好ましくは1μM未満、特に好ましくは0.1μM、非常に特に好ましくは0.01μM未満のKi値を有する。
【0149】
本発明はさらに、本発明に係る方法により同定される成長調節活性を有する化合物に関する。これらの化合物もまた本明細書では以後「選択化合物」という。しかし、用語「選択化合物」は、好ましくは除草剤活性を有する化合物を意味する。
【0150】
通常、本発明に係る方法により同定される選択化合物はまた、その農業上有用な塩の形態で存在してもよい。好適な農業上有用な塩は、主に、陽イオン又は陰イオンが本発明に係る方法により同定された除草剤活性を有する化合物の除草剤作用に有害な影響を及ぼさない、そうした陽イオンの塩又はそうした酸の酸付加塩である。
【0151】
選択化合物が非対称的に置換されたα炭素原子を含む場合、これらはさらに、ラセミ体、エナンチオマー混合物、純粋なエナンチオマーの形態で存在してもよく、あるいは、これらがキラルな置換基を有する場合には、ジアステレオマー混合物の形態であってもよい。
【0152】
選択化合物は、化学的に合成された物質であってもよいし又は微生物により産生される物質であってもよく、例えば植物、動物又は微生物などの細胞抽出物に見出すことができる。反応混合物は無細胞抽出液であってもよいし、細胞又は細胞培養物を含んでもよい。好適な方法は当業者に公知であり、一般的には、例えばAlberts, Molecular Biology the cell, 第3版 (1994)の例えば第17章に記載されている。選択化合物はまた、包括的な物質ライブラリを起源とするものであってもよい。
【0153】
候補試験化合物は、発現ライブラリ、例えばcDNA発現ライブラリ、ペプチド、タンパク質、核酸、抗体、低分子の有機物質、ホルモン、PNAなどであってもよい(Milner, Nature Medicin 1 (1995), 879-880; Hupp, Cell. 83 (1995), 237-245; Gibbs, Cell. 79 (1994), 193-198及びそこに引用された参考文献)。
【0154】
選択化合物は、望ましくない植物の防除に及び/又は成長調節剤として用いることができる。選択化合物を含む除草剤組成物は、非農耕地において植物の非常に良好な防除をもたらす。コムギ、イネ、トウモロコシ、ダイズ及びワタなどの作物においては、これらは、作物植物に顕著な被害を与えることなく、広葉雑草及びイネ科雑草に対して作用する。この作用は、特に低い散布量において観察される。選択化合物は、すでに上述した有害植物の防除に用いることができる。
【0155】
対象の適用方法に応じて、選択化合物、若しくはそれらを含む除草剤組成物をさらに多種の作物植物に用いて、望ましくない植物を除去することもできる。好適な作物としては、例えば、下記のものが挙げられる:
タマネギ(Allium cepa)、パイナップル(Ananas comosus)、落花生(Arachis hypogaea)、アスパラガス(Asparagus officinalis)、テンサイ(Beta vulgaris spec. altissima)、ビート(Beta vulgaris spec. rapa)、セイヨウアブラナ(Brassica napus var. napus)、センダイカブ(Brassica napus var. napobrassica)、アブラナ(Brassica rapa var. silvestris)、チャノキ(Camellia sinensis)、ベニバナ(Carthamus tinctorius)、ペカン(Carya illinoinensis)、レモン(Citrus limon)、オレンジ(Citrus sinensis)、コーヒーノキ(Coffea arabica)(ロブスタ種(Coffea canephora)、リベリカ種(Coffea liberica))、キュウリ(Cucumis sativus)、ギョウギシバ(Cynodon dactylon)、ニンジン(Daucus carota)、アブラヤシ(Elaeis guineensis)、ワイルドストロベリー(Fragaria vesca)、ダイズ(Glycine max)、ワタ(Gossypium hirsutum)、(キワタ(Gossypium arboreum)、アジアワタ(Gossypium herbaceum)、ワタビチホリウム(Gossypium vitifolium))、ヒマワリ(Helianthus annuus)、パラゴムノキ(Hevea brasiliensis)、オオムギ(Hordeum vulgare)、ホップ(Humulus lupulus)、サツマイモ(Ipomoea batatas)、カシグルミ(Juglans regia)、レンズマメ(Lens culinaris)、アマ(Linum usitatissimum)、トマト(Lycopersicon lycopersicum)、リンゴ種(Malus spec.)、キャッサバ(Manihot esculenta)、アルファルファ(Medicago sativa)、バショウ種(Musa spec.)、タバコ(Nicotiana tabacum (N. rustica))、オリーブ(Olea europaea)、イネ(Oryza sativa)、ライマメ(Phaseolus lunatus)、サヤインゲン(Phaseolus vulgaris)、ヨーロッパトウヒ(Picea abies)、マツ種(Pinus spec.)、エンドウ(Pisum sativum)、サクランボ(Prunus avium)、モモ(Prunus persica)、セイヨウナシ(Pyrus communis)、スグリ(Ribes sylvestre)、トウゴマ(Ricinus communis)、サトウキビ(Saccharum officinarum)、ライムギ(Secale cereale)、ジャガイモ(Solanum tuberosum)、モロコシ(Sorghum bicolor (s. vulgare))、カカオノキ(Theobroma cacao)、アカツメクサ(Trifolium pratense)、コムギ(Triticum aestivum)、マカロニコムギ(Triticum durum)、ソラマメ(Vicia faba)、ブドウ(Vitis vinifera)、トウモロコシ(Zea mays)。
【0156】
さらに、選択化合物はまた、育種(組換え法など)のために除草剤の作用に耐性を有する作物において用いることもできる。かかる作物の作出は本明細書において後述する。
【0157】
本発明はさらに、既に上述した除草剤組成物又は成長調節組成物の調製方法に関し、該方法は、作物保護製品を得るために選択化合物を好適な補助剤と共に製剤化することを含むものである。
【0158】
選択化合物は、例えば、直接スプレー可能な水溶液、粉末、懸濁液、また高濃縮された水性、油性若しくはその他の懸濁液又はサスポエマルジョン、又は分散液、乳濁可能な濃縮物、乳液、油性分散液、ペースト、倍散剤、散布用材料、又は顆粒の形態で製剤化することができ、スプレー、噴霧、散布、塗布又は浴びせるといった手段により施用することができる。この使用形態は、使用目的及び選択化合物の性質に依存するが、いずれの場合にも、それらは選択化合物の最も微細な分布を確実にしなければならない。除草剤組成物は、除草剤として有効な量の少なくとも1つの選択化合物、及び除草剤組成物の製剤化において一般に使用される補助剤を含む。
【0159】
乳剤、ペースト又は水性若しくは油性製剤及び分散可能な濃縮物(DC)の調製については、選択化合物を油又は溶媒中に溶解又は分散させることができ、さらに、均質にする目的で別の補助剤を添加することも可能である。しかしながら、選択化合物、適宜に溶媒又は油と、場合によってはさらなる補助剤、から液体又は固体の濃縮物を調製することも可能であり、これらの濃縮物は水での希釈に適している。以下のものを挙げることができ、すなわち、乳化性濃縮物(EC、EW)、懸濁液(SC)、可溶性濃縮物(SL)、分散性濃縮物(DC)、ペースト、錠剤、湿潤性粉末又は顆粒であり、固体の製剤については水に溶解可能又は分散可能(湿潤可能)とすることができる。さらに、好適な粉末又は顆粒又は錠剤は、有効成分の摩耗又は早期放出を防止する固体コーティングを施してもよい。
【0160】
原則として、用語「補助剤」は、以下のクラスの化合物を意味するものと理解される:消泡剤、増粘剤、湿潤剤、粘着付与剤、分散剤、乳化剤、殺菌剤及び/又はチキソトロープ剤。当業者であれば、上記薬剤の意味に精通している。
【0161】
SL、EW及びECは、対象の成分を単に混合することで調製することができる。粉剤は、特殊なミル(例えばハンマーミル)で混合又は粉砕することによって調製される。DC、SC及びSEは、通常、湿式粉砕により調製することができ、さらに補助剤又は選択化合物を含み得る有機相を添加することによりSCからSEを調製することも可能である。この調製は公知である。粉剤、散布用材料及び倍散剤は、有効成分と固形担体とを一緒に混合するか又は同時に粉砕することにより調製することが有利でありうる。顆粒は、例えばコーティング顆粒、含浸顆粒及び均質顆粒があり、これらは選択化合物と固形担体とを結合させることにより調製することができる。当業者であれば、例えば以下の文献に記載されている、これらの調製についてのさらなる詳細を理解することができる:米国特許第3,060,084号、EP−A707445号(液体濃縮物に関して);Browning, "Agglomeration", Chemical Engineering, Dec. 4, 1967, 147-48;Perry’s Chemical Engineer’s Handbook, 第4版, McGraw-Hill, New York, 1963, pp. 8-57及びこれ以下参照;WO91/13546号、米国特許第4,172,714号、米国特許第4,144,050号、米国特許第3,920,442号、米国特許第5,180,587号、米国特許第5,232,701号、米国特許第5,208,030号、GB2,095,558号、米国特許第3,299,566;Klingman, Weed Control as a Science, John Wiley and Sons, Inc., New York, 1961;Hanceら, Weed Control Handbook, 第8版, Blackwell Scientific Publications, Oxford, 1989;並びにMollet, H., Grubemann, A., Formulation technology, Wiley VCH Verlag GmbH, Weinheim(ドイツ連邦共和国), 2001)。
【0162】
本発明に係る製剤に好適な不活性液体及び/又は固形担体は、当業者に周知であり、例えば、液体添加剤、例えば灯油又はディーゼル油などの中〜高沸点の鉱油留分、さらには、コールタール油及び植物又は動物由来の油、脂肪族、環状及び芳香族炭化水素、例えばパラフィン、テトラヒドロナフタレン、アルキル化ナフタレン若しくはそれらの誘導体、アルキル化ベンゼン若しくはそれらの誘導体、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール及びシクロヘキサノールのようなアルコール、シクロヘキサノンのようなケトン、又は強い極性溶媒、例えば、N-メチルピロリドンのようなアミン又は水などである。
【0163】
固形担体の例としては、鉱物土類、例えばシリカ、シリカゲル、ケイ酸塩、タルク、カオリン、石灰石、石灰、チョーク、粘土、黄土、クレー、ドロマイト、珪藻土、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム、地面合成材料、肥料、例えば硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、尿素、並びに植物由来の製品、例えば穀粉、樹皮粉、木粉及び堅果殻の粉、セルロース粉末又は他の固形担体が挙げられる。
【0164】
当業者であれば、本発明に係る製剤に好適な多数の界面活性物質(界面活性剤)について理解でき、こうした物質として以下を挙げることができる:芳香族スルホン酸(例:リグノスルホン酸、フェノールスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ジブチルナフタレンスルホン酸)の、脂肪酸の、アルキル−及びアルキルアリールスルホン酸の、アルキル硫酸の、ラウリルエーテル硫酸の、及び脂肪アルコール硫酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩又はアンモニウム塩;並びに、硫酸化ヘキサ−、ヘプタ−及びオクタデカノールの塩、脂肪アルコールグリコールエーテルの塩;スルホン化ナフタレン及びその誘導体とホルムアルデヒドとの縮合物、ナフタレン又はナフタレンスルホン酸とフェノール及びホルムアルデヒドとの縮合物、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、エトキシル化イソオクチル−、オクチル−又はノニルフェノール、アルキルフェニルポリグリコールエーテル、トリブチルフェニルポリグリコールエーテル、アルキルアリールポリエーテルアルコール、イソトリデシルアルコール、脂肪アルコール/酸化エチレン縮合物、エトキシル化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ラウリルアルコールポリグリコールエーテルアセテート、ソルビトールエステル、リグニン亜硫酸パルプ廃液又はメチルセルロース。
【0165】
除草剤組成物又は選択化合物は、出芽前又は出芽後に適用しうる。特定の作物が選択化合物を十分には許容しない場合には、選択化合物を噴霧装置で噴霧する適用手法を用いて、選択化合物と感受性作物の葉との接触があるにしても可能な限り少なくしつつ、その下に生育している望ましくない植物の葉又はむきだしの土壌表面に選択化合物が到達するようにしてもよい(後指定(post-directed)、レイバイ(lay-by))。
【0166】
防除対策の意図された目的、季節、標的植物及び成長段階に応じて、選択化合物の散布量は0.001〜3.0kg/ha、好ましくは0.01〜1.0kg/haである。
【0167】
除草剤標的を提供することはさらに、作用部位としてMSMを有する除草剤(例えば除草剤活性を有する選択化合物)により阻害されない又は限定的な程度にしか阻害されない、MSM又はVMSMの同定方法を可能にする。こうして、MSM又はVMSM、好ましくはVMSMと異なるタンパク質は、本明細書では以後MSM変異体と呼ばれ、好ましくは、以下の核酸配列によってコードされる:
i)配列番号4に対して少なくとも59%の同一性を有するアミノ酸配列から逆翻訳により誘導される配列番号3の核酸配列の機能的等価物;又は
ii)配列番号4に対して少なくとも59%の同一性を有するアミノ酸配列から逆翻訳により誘導される配列番号3の核酸配列の機能的等価物であって、C末端において少なくとも20アミノ酸、N末端において少なくとも20アミノ酸切断されている、該機能的等価物。
【0168】
配列番号3の機能的等価物は、配列番号4に対して少なくとも59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%又は66%、好ましくは少なくとも67%、68%、69%、70%、71%、72%又は73%、好ましくは少なくとも74%、75%、76%、77%、78%、79%又は80%、好ましくは少なくとも81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%又は93%、特に好ましくは少なくとも94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。
【0169】
上記の核酸配列は全て、好ましくは植物に由来するものである。
【0170】
好ましい実施形態では、核酸配列のMSM変異体をコードする核酸配列を作製する方法は、以下のステップ:
a)異種系又は無細胞系において上記核酸によりコードされるタンパク質を発現させるステップ;
b)核酸の改変によるタンパク質のランダム突然変異誘発又は部位特異的突然変異誘発を行うステップ;
c)改変された遺伝子産物と除草剤との相互作用を測定するステップ;
d)相互作用をあまり示さないタンパク質の誘導体を同定するステップ;
e)除草剤を適用した後のタンパク質の生物学的活性を試験するステップ;
f)除草剤に対して改変された生物学的活性を示す核酸配列を選択するステップ、
を含む。
【0171】
上記方法により選択された配列は、生物に有利に導入することができる。従って、本発明はさらに、上記方法によって作製された生物に関する。当該生物は、好ましくは植物であり、上記の作物の1つが好ましい。
【0172】
次に、完全な植物体を再生させ、選択化合物に対する耐性を完全な植物体で確認する。
【0173】
植物において、選択化合物に対する耐性を付与することができる改変タンパク質及び/又は核酸は、部位特異的突然変異誘発として知られる方法によって、上記核酸配列から作製することができる。このような突然変異誘発を用いて、例えば標的タンパク質の安定性及び/又は活性、あるいは本発明の前記阻害剤の結合などの特性は、きわめて特異的に改善又は改変することができる。
【0174】
有利に用いることができる植物における部位特異的突然変異誘発法は、例えば、Zhuらにより記載されている(Nature Biotech., 第18巻、2000, 5月:555-558)。
【0175】
加えて、改変は、ランダム突然変異誘発にdITPを用いるSpeeら(Nucleic Acids Research, 第21巻、第3号、1993:777-78)により記載されたPCR法、あるいは、Rellosら(Protein Expr. Purif., 5, 1994:270-277)によるさらに改善された方法によって、行うことができる。
【0176】
また、これらの改変型タンパク質及び/又は核酸の作製は、Stemmerら(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 第91巻、1994:10747-10751)により記載された分子進化のためのin vitro組換え法、あるいは、Mooreら(Nature Biotechnology 第14巻, 1996:458-467)により記載されたPCRと組換え法の組合せによっても、実施可能である。
【0177】
タンパク質の突然変異誘発のための別の手法がGreenerらによりMethods in Molecular Biology(第57巻、1996:375-385)に記載されている。EP−A−0909821号には、微生物大腸菌XL−1 Redを用いて、タンパク質を改変する方法が記載されている。この微生物は、複製の間に、導入された核酸に突然変異を発生させ、これによって、遺伝情報の改変を引き起こす。有利な核酸及びこれらによりコードされるタンパク質は、改変型核酸又は改変型タンパク質を単離し、耐性試験を実施することにより、容易に同定することができる。これらの核酸又はタンパク質を植物に導入すると、これらは、そこで耐性を発現することができ、従って、除草剤に対する耐性をもたらす。
【0178】
別の突然変異誘発及び選択方法は、例えば、種子又は花粉をin vivo突然変異誘発させ、本発明の阻害剤の存在下で耐性対立遺伝子を選択した後、改変された耐性対立遺伝子の遺伝的及び分子的同定を行なうことからなるもの;さらには、濃度が連続的に増加する本発明の阻害剤の存在下で培養物を増殖させることにより、細胞培養下での突然変異誘発及び耐性の選択を実施することからなるものなどの方法がある。ここでは、化学/物理的突然変異誘発処理による自然突然変異率の増加を利用することができる。前述したように、本発明の方法で用いられる核酸によりコードされるタンパク質の内因性活性又は組換え活性を有し、かつ本発明に従って同定された阻害剤に感受性を示す微生物を用いて、改変型遺伝子を単離することも可能である。次第に増加させた濃度の本発明の阻害剤を含む培地で微生物を増殖させると、本発明の標的の耐性変異体の選択及び進化が可能になる。ひいては、突然変異頻度を突然変異誘発処理によって高めることができる。
【0179】
さらに、核酸の特異的改変方法も利用可能である(Zhuら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 第96巻、8768-8773及びBeethemら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 第96巻、8774-8778)。これらの方法により、タンパク質において、阻害剤との結合に重要なアミノ酸を、機能的に同等であるが阻害剤の結合を妨げるアミノ酸によって置換することが可能となる。
【0180】
本発明はさらに、生物学的活性が改変された遺伝子産物をコードする核酸配列を作製する方法に関するが、その際、生物学的活性は、それが増大するように改変される。「活性の増大」とは、出発生物又は出発遺伝子産物の活性と比較して、少なくとも10%高い、好ましくは少なくとも30%高い、特に好ましくは少なくとも50%高い、非常に特に好ましくは少なくとも100%高い活性を意味するものとして理解される。さらに、本発明の物質及び/又は組成物が、核酸配列及び/又はそれらによってコードされた遺伝子産物と、もはや結合しない、あるいは、もはや正しく結合しないように、生物学的活性を改変することもできる。本発明が意図する「もはや結合しない」、又は「もはや正しく結合しない」とは、上記物質が、出発遺伝子産物又は出発核酸と比較して、改変型の核酸及び/又は遺伝子産物と、少なくとも30%低く、好ましくは少なくとも50%低く、特に好ましくは少なくとも70%低く、非常に特に好ましくは少なくとも80%低く結合するか、あるいは、まったく結合しないことを意味するものとして理解される。
【0181】
従って本発明のさらに別の態様は、生物学的活性が改変された遺伝子産物をコードする核酸配列、又はMSM変異体又はVMSM変異体をコードする核酸配列で形質転換されたトランスジェニック植物に関する。形質転換方法は当業者に公知であり、例えば上記に詳細されている。
【0182】
本発明に係る方法により見出される物質及び/又はこれら物質を含む組成物に対して耐性のある遺伝的に改変されたトランスジェニック植物は、形質転換と、その後の本発明に係る核酸配列の過剰発現により作出することができる。本発明は従って、本発明の方法によって見出される物質に耐性のあるトランスジェニック植物を作出する方法に関し、ここでは、これらの植物において、MSM又はVMSMをコードする本発明に係る核酸が過剰発現される。同様の方法は、例えばLermantovaら, Plant Physiol., 122, 2000: 75-83に記載されている。
【0183】
耐性植物を作出するための本発明に係る前記方法は、可能なかぎり包括的で植物種に非依存的な作用を有する新規除草剤(非選択的除草剤として知られている)の開発と併せて、そのような非選択的除草剤に耐性のある有用植物の開発を可能にする。非選択的除草剤に耐性のある有用植物は、いくつかの場合においてすでに記載されている。本明細書においては、耐性を生み出す原理を次のように区別しうる:
a)突然変異方法又は組換え方法により、除草剤の標的として作用するタンパク質を顕著に過剰産生させることにより、また、除草剤の標的として作用するタンパク質の大過剰ゆえに除草剤の適用後さえも該細胞内でこのタンパク質の果たす機能が維持されることによる、植物における耐性の発現;
b)除草剤の標的として作用するタンパク質の改変型を導入し、新しく導入した改変型タンパク質の機能が除草剤の悪影響を受けないような、植物の改変;
c)新規なタンパク質/新規なRNAを導入するが、その際、該タンパク質又は核酸(RNA又はDNAなど)の化学構造(低分子量物質の除草剤作用に関与する)を改変し、これにより、改変された構造のため、除草剤作用がもはや発現され得ない、すなわち、除草剤と標的との相互作用がもはや起こり得ないようにする、植物の改変;
d)植物に導入される新規な遺伝子による標的の機能の置換、ひいては代替経路として知られるものの創出;
e)標的の機能を、植物に存在する別の遺伝子若しくはその遺伝子産物によって引き継がせる。
【0184】
当業者は、相同な核酸を、例えば類似の配列を有する他の植物において、同定するための、例えばトランスポゾンを使用するなどの、代替方法に精通している。従って、本発明はまた、他の植物における本発明に係る核酸配列に外来核酸を挿入するための、代替的な挿入突然変異誘発法の使用に関する。
【0185】
トランスジェニック植物は、本発明に係る発現カセットの上記実施形態の1つを用いて、同様に上述されている通常の形質転換方法により作製される。
【0186】
組換えにより発現させたMSM変異体の発現効率は、例えば、in vitroで、シュート分裂組織の増殖又は発芽試験により測定することができる。
【0187】
さらに、性質及びレベルに関して改変されたMSM遺伝子の発現、並びに、MSM又はVMSMの阻害剤への耐性に及ぼす影響は、温室実験において試験植物を用いて調べることができる。
【0188】
以下の実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、これは限定するものと解釈されるべきではない。
【0189】
一般的なDNA操作及びクローニングの方法:
クローニング方法、例えば、制限酵素切断、アガロースゲル電気泳動、DNA断片の精製、ニトロセルロース膜及びナイロン膜への核酸の移行、DNA断片の連結、大腸菌細胞の形質転換、細菌の増殖、及び組換えDNAの配列解析は、Sambrookら(1989) (Cold Spring Harbor Laboratory Press: ISBN 0-87969-309-6)及びAusubel, F.M.ら, Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Assoc. and Wiley-Interscience (1994); ISBN 0-87969-309-6に記載されたとおりに行った。
【0190】
植物及び植物形質転換法のための分子生物学的標準方法は、Schultzら, Plant Molecular Biology Manual, Kluwer Academic Publishers (1998), Reitherら, Methods in Arabidopsis Research, World scientific press (1992)及びArabidopsis: A Laboratory Manual (2001), ISBN 0-87969-573-0に記載されている。
【0191】
以下に用いた細菌株(大腸菌DH5α、XL-1 blue、BL21DE(3))は、Stratagene、BRL Gibco 又はInvitrogen(Carlsberg, CA)から得た。クローニングに用いたベクターは、Invitrogen から得られるpCR T7CT TOPO、pCR T7/NT TOPO及びpCR 2.1 TOPO、並びにAmersham Pharmacia (Freiburg)から得られるpUC 19、並びにベクターpBinAR (Hoefgen及びWillmitzer, Plant Science 66, 1990, 221-230)であった。
【実施例】
【0192】
実施例1:植物形質転換ベクター中のcDNAライブラリの作製
植物の形質転換に直接使用することができるベクター中にcDNAライブラリ(以下、「バイナリーcDNAライブラリ」と称する)を作製するため、種々の植物組織からmRNAを単離し、TimeSaver cDNA合成キット(Amersham Pharmacia Biotech, Freiburg)を用いて二本鎖cDNAに転写した。cDNAの第一鎖の合成は、T12−18オリゴヌクレオチドを製造業者の説明書に従って用いて行った。サイズ分画を行った後、EcoRI−NotIアダプターを製造業者の説明書に従って連結し、Pfu DNAポリメラーゼ(Stratagene)で突出部分をフィルインし、cDNA集団を平均化した。Kohciら, 1995, Plant Journal 8, 771-776の方法に従って、表1に示す条件下でオリゴヌクレオチドN1を用いたPCRによりcDNAを増幅した。
【表1】

【0193】
得られたPCR産物をPCR精製キット(Qiagen, Hilden)のカラムマトリクスに結合させ、300mM NaPバッファー、pH7.0、0.5mM EDTA、0.04%SDSで溶出した。DNAを沸騰水浴中で5分かけて変性し、続いて60℃にて24時間かけて再生させた。50μlのDNAをヒドロキシアパタイトカラムにアプライし、カラムを1mlの10mM NaPバッファー、pH6.8で3回洗浄した。結合した一本鎖DNAを130mM NaPバッファー、pH6.8で溶出させ、エタノールで沈殿させ、40μlの水に溶解させた。その20μlを上記のようなさらなるPCR増幅に使用した。さらなるssDNA濃縮の後、3回目のPCR増幅を上記の通りに行った。
【0194】
上記の通りに作製したcDNA集団を導入するための植物形質転換ベクターは、ベクターpUC18をSbfI及びBamHIを用いて制限酵素切断し、ベクター断片を精製した後、Pfu DNAポリメラーゼを用いて突出部分をフィルインし、T4 DNAリガーゼ(Stratagene)で再度連結することにより作製した。得られた構築物を以下pUC18SbfI−と称する。
【0195】
最初に、ベクターpBinARをNotIで切断し、その両末端をフィルインしてベクターを再度連結した後、そのベクターをSbfIで切断し、その両末端をフィルインしてベクターを再度連結した後、EcoRI及びHindIIIで切断した。得られた断片を、アグロバクテリウムによる植物の形質転換が可能であり、トランスジェニック植物にカナマイシン耐性を付与する植物形質転換用バイナリーベクターpPZP(Hajdukiewicz,P, Svab, Z, Maliga, P., (1994) Plant Mol Biol 25:989-994)の誘導体に連結した。このように作製した構築物は以下pSun12/35Sと称する。
【0196】
オリゴヌクレオチドV1及びV2(表2参照)、並びにPfu DNAポリメラーゼを使用して、pUC18SbfI−を鋳型として用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行った。得られた断片をSmaIで切断したpSun12/35Sに連結し、pSunblues2を得た。NotIで切断後、エビ由来アルカリホスファターゼ(Roche Diagnostics, Mannheim)で脱リン酸化し、ベクター断片を精製した後、pSunblues2を、平均化し同様にNotI切断したcDNA集団と連結した。大腸菌Xl−1blue(Stratagene)に形質転換した後、得られたクローンをマイクロタイタープレートに播いた。バイナリーcDNAライブラリは、カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーターの制御下にて「センス」及び「アンチセンス」配向でcDNAを含むため、タバコ植物への形質転換後、これらのcDNAは「共抑制」効果及び「アンチセンス」効果を発揮し得る。
【表2】

【0197】
実施例2:タバコ植物の形質転換及び解析
バイナリーcDNAライブラリの選択されたクローンをアグロバクテリウム・ツメファシエンスC58C1:pGV2260(Deblaereら, Nucl. Acids. Res. 13(1984), 4777-4788)に形質転換し、ストレプトマイシン/スペクチノマイシン選択によって培養した。バイナリークローンNT006075002rによるタバコ植物(Nicotiana tabacum cv. Samsun NN)の形質転換に用いられる材料は、YEB培地によってOD600=0.8〜1.6に希釈された陽性形質転換アグロバクテリウムコロニーの一晩培養物であった。滅菌した植物のリーフディスク(それぞれ約1cm)をペトリ皿においてアグロバクテリウム希釈液と共に5〜10分間インキュベートした。この後、2%スクロース(2MS培地)及び0.8%バクトアガーを添加したムラシゲ・スクーグ培地(Physiol. Plant. 15(1962), 473)において25℃にて2日間暗所でインキュベートした。2日後、明期16時間/暗期8時間の光周期で培養を続け、500mg/lのクラホラン(セフォタキシムナトリウム)、50mg/lのカナマイシン、1mg/lのベンジルアミノプリン(BAP)、0.2mg/lのナフチル酢酸及び1.6g/lのグルコースを添加したMS培地で週1回の周期にて培養を続けた。再生したシュートを、カナマイシン及びクラホランを添加した2MS培地に移した。E_0000018240系統のトランスジェニック植物をこのようにして作出した。
【0198】
シュートを土壌に移した後、温室において、1〜20週間にわたり表現型の発現について植物を観察した。E_0000018240系統のトランスジェニック植物は表現型が類似していることが明らかになった。これらの植物は、対照植物と比較して成長の顕著な遅延を示し、葉には顕著な退緑及び壊死を示し、その一部は2,3日で枯れた。
【0199】
トランスジェニック系統のゲノムへのクローンcDNAの組み込みは、オリゴヌクレオチドG1及びG2(実施例1中の表1参照)及び対象のトランスジェニック系統から調製したゲノムDNAを用いたPCRにより検出した。この目的のため、TAKARA Taq DNAポリメラーゼを製造業者(MoBiTec, Gottingen)の説明書に従って使用した。バイナリーcDNAライブラリのcDNAクローン(そのクローンは形質転換に使用された)は、陽性対照としてのPCR反応の鋳型として使用した。同一サイズ、又は適切であれば種々の制限酵素による切断後に得られる同一の制限パターンを有するPCR産物は、対応するcDNAが組み込まれていることの証拠とした。このようにして、上記表現型を有するトランスジェニック植物において、クローンNT006075002rの挿入物が検出された。
【0200】
実施例3:クローンの配列解析
タバコ植物へ形質転換することによって上記の表現型をもたらしたクローンNT006075002rのcDNA挿入物を配列決定した。
【0201】
NT006075002rのcDNA(配列番号9)は、長さ910bpを有し、200アミノ酸のポリペプチド(配列番号10)をコードする600bpのオープンリーディングフレームを含む。対応する全長クローンを配列番号9により同定した(配列番号1;Genbankアクセッション番号X94968)。
【0202】
さらに、配列番号1は、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)由来の「apg1」(配列番号3)と顕著な同一性を有し、これによって、コードされているタンパク質は同一の機能を有することが想定される。
【0203】
従って、NT006075002rは、シロイヌナズナの2−メチル−6−ソラニルベンゾキノン・メチルトランスフェラーゼに相同な、タバコ由来の酵素のC末端部分をコードする部分cDNAクローンである。
【0204】
こうして、驚くべきことに、2−メチル−6−ソラニルベンゾキノン・メチルトランスフェラーゼは植物にとって必須であり、発現の僅かな低減でさえも、上記の被害をもたらすということが初めて実証された。
【0205】
実施例4:大腸菌における発現
配列番号1によってコードされる酵素のMSBQ−MT酵素活性を検証し、かつHTS用途のために十分な2−メチル−6−ソラニルベンゾキノン・メチルトランスフェラーゼ酵素活性を生み出すため、配列番号1及び配列番号3の2−メチル−6−ソラニルベンゾキノン・メチルトランスフェラーゼcDNAの断片をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増幅し、発現ベクターをクローン化した。この目的のため、タバコ(Nicotiana tabacum)及びシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)のcDNA及びcDNAライブラリを、Pfu又はPfu−ultraポリメラーゼ(Stratagene, Heidelberg, Germany)を用いたPCRのための鋳型として使用した。表1は、使用したオリゴヌクレオチド及びこれにより生成された断片を示す。得られたcDNA断片を、pCRT7/CT TOPO TAベクター(Invitrogen, Karlsruhe, Germany)中にクローン化し、確認のために所望の配列同一性を求めて配列決定した。得られた発現プラスミドを、大腸菌BL−21(DE3)RIL(Stratagene)株中に形質転換した。形質転換株を、100μg/mlのアンピシリン及び50μg/mlのクロラムフェニコールを添加した液体LB培地中で、37℃で振盪しながら一晩増殖させた。多くの日数の培養物をOD600=0.1に植菌し、OD600が0.4〜0.7に達するまで増殖させた。この時点で、培養物を1mMのIPTGで誘導し、さらに2.5時間増殖させた。SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動を用いた発現培養物の細胞抽出物の分析によって、特に全長2−メチル−6−ソラニルベンゾキノン・メチルトランスフェラーゼは少量しか発現し得ないが、N末端及びC末端切断型は著しくより多量に発現することが示された。C末端に予測される膜貫通領域の除去は、特に有利である。
【0206】
精製は、金属キレートマトリクス、例えばHi-Trapカラム(Pharmacia, Uppsala, Sweden)を用いて、融合ヒスチジンタグ(His tag)によって可能である。
【0207】

【0208】
実施例5:in vitroアッセイ系
実施例4の、大腸菌中で発現された、場合により精製された2−メチル−6−ソラニルベンゾキノン・メチルトランスフェラーゼの、2−メチル−6−ソラニルベンゾキノン・メチルトランスフェラーゼ活性は、放射性標識したS−アデノシルメチオニン及び薄層クロマトグラフィーによる検出を用いて、記載されたとおりに測定することが可能であり(Peddibhotlaら, 2003 Tetrahedron Letters 44, pp. 237-239と同様)、以下の基質を使用することができる:2−メチル−6−ソラニルベンゾキノール、2−メチル−6−フィチルベンゾキノール、2−メチル−6−ゲラニルゲラニル−ベンゾキノール及び6位に切断されたプレニル鎖を有する2−メチルベンゾキノール誘導体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
除草剤の同定方法における2−メチル−6−ソラニルベンゾキノン・メチルトランスフェラーゼの使用。
【請求項2】
2−メチル−6−ソラニルベンゾキノン・メチルトランスフェラーゼが、
i)配列番号1若しくは配列番号3に示される核酸配列を有する核酸配列;又は
ii)遺伝暗号の縮重に基づいて、配列番号2若しくは配列番号4に示されるアミノ酸配列から逆翻訳により誘導される核酸配列;又は
iii)配列番号4に対して少なくとも59%の同一性を有するアミノ酸配列から逆翻訳により誘導される配列番号3の核酸配列の機能的等価物、
を含む核酸配列によりコードされる、請求項1記載の使用。
【請求項3】
i)配列番号1若しくは配列番号3に示される核酸配列を有する核酸配列;又は
ii)遺伝暗号の縮重に基づいて、配列番号2若しくは配列番号4に示されるアミノ酸配列から逆翻訳により誘導される核酸配列;又は
iii)配列番号4に対して少なくとも59%の同一性を有するアミノ酸配列から逆翻訳により誘導される配列番号3の核酸配列の機能的等価物、
を含む核酸配列によりコードされる2−メチル−6−ソラニルベンゾキノン・メチルトランスフェラーゼのアミノ酸配列が、C末端において少なくとも20アミノ酸及びN末端において少なくとも20アミノ酸切断されている、請求項2記載の使用。
【請求項4】
切断された2−メチル−6−ソラニルベンゾキノン・メチルトランスフェラーゼのアミノ酸配列が、
i)配列番号5若しくは配列番号7に示される核酸配列を有する核酸配列;又は
ii)遺伝暗号の縮重に基づいて、配列番号6若しくは配列番号8に示されるアミノ酸配列から逆翻訳により誘導される核酸配列、
を含む核酸配列によりコードされる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
2−メチル−6−ソラニルベンゾキノン・メチルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする核酸配列であって、
i)配列番号5若しくは配列番号7に示される核酸配列を有する核酸配列;又は
ii)遺伝暗号の縮重に基づいて、配列番号6若しくは配列番号8に示されるアミノ酸配列から逆翻訳により誘導される核酸配列;又は
iii)C末端において少なくとも20アミノ酸及びN末端において少なくとも20アミノ酸切断されている配列番号1、配列番号3、若しくは配列番号4に対して少なくとも59%の同一性を有するアミノ酸配列から逆翻訳により誘導される配列番号3の核酸配列の機能的等価物、
を含む、上記核酸配列。
【請求項6】
請求項5記載の核酸分子によりコードされる、2−メチル−6−ソラニルベンゾキノン・メチルトランスフェラーゼの活性を有するポリペプチド。
【請求項7】
a)請求項5記載の核酸配列と機能的に連結された遺伝子制御配列;又は
b)さらなる機能的エレメント;又は
c)上記a)及びb)の組み合わせ、
を含む、発現カセット。
【請求項8】
請求項7記載の発現カセットを含むベクター。
【請求項9】
請求項5記載の少なくとも1つの核酸配列、請求項7記載の発現カセット、又は請求項8記載のベクターを含み、細菌、酵母、真菌、動物細胞又は植物細胞から選択される、非ヒトトランスジェニック生物。
【請求項10】
除草剤活性を有する物質の同定方法であって、以下のステップ:
i)2−メチル−6−ソラニルベンゾキノン・メチルトランスフェラーゼの活性を有するポリペプチドを、試験化合物と2−メチル−6−ソラニルベンゾキノン・メチルトランスフェラーゼの活性を有するポリペプチドとの結合を可能にする条件下で1種以上の試験化合物と接触させるステップ;並びに
ii)試験化合物が、2−メチル−6−ソラニルベンゾキノン・メチルトランスフェラーゼの活性を有するポリペプチドと結合するか否かを試験するステップ;あるいは
iii)試験化合物が、i)の2−メチル−6−ソラニルベンゾキノン・メチルトランスフェラーゼの活性を有するポリペプチドの活性を低減又は遮断するか否かを検出するステップ;あるいは
iv)試験化合物が、i)の2−メチル−6−ソラニルベンゾキノン・メチルトランスフェラーゼの活性を有するポリペプチドの転写、翻訳又は発現を低減又は遮断するか否かを検出するステップ、
を含む、上記方法。
【請求項11】
2−メチル−6−ソラニルベンゾキノン・メチルトランスフェラーゼの活性を有するポリペプチドが、
i)配列番号5若しくは配列番号7に示される核酸配列を有する核酸配列;又は
ii)遺伝暗号の縮重に基づいて、配列番号6若しくは配列番号8に示されるアミノ酸配列から逆翻訳により誘導される核酸配列;又は
iii)C末端において少なくとも20アミノ酸及びN末端において少なくとも20アミノ酸切断されている配列番号1、配列番号3、若しくは配列番号4に対して少なくとも59%の同一性を有するアミノ酸配列から逆翻訳により誘導される配列番号3の核酸配列の機能的等価物、
を含む核酸配列によりコードされる、請求項10記載の方法。
【請求項12】
i)配列番号1若しくは配列番号3に示される核酸配列を有する核酸配列;又は
ii)遺伝暗号の縮重に基づいて、配列番号2若しくは配列番号4に示されるアミノ酸配列から逆翻訳により誘導される核酸配列;又は
iii)配列番号4に対して少なくとも59%の同一性を有するアミノ酸配列から逆翻訳により誘導される配列番号3の核酸配列の機能的等価物、
を含む核酸配列によりコードされる2−メチル−6−ソラニルベンゾキノン・メチルトランスフェラーゼのアミノ酸配列が、C末端において少なくとも20アミノ酸及びN末端において少なくとも20アミノ酸切断されている、請求項10記載の方法。
【請求項13】
2−メチル−6−ソラニルベンゾキノン・メチルトランスフェラーゼが、
i)配列番号5若しくは配列番号7に示される核酸配列を有する核酸配列;又は
ii)遺伝暗号の縮重に基づいて、配列番号6若しくは配列番号8に示されるアミノ酸配列から逆翻訳により誘導される核酸配列、
を含む核酸配列によりコードされる、請求項10記載の方法。
【請求項14】
2−メチル−6−ソラニルベンゾキノン・メチルトランスフェラーゼの活性を低減又は遮断する試験化合物を選択する、請求項10、11、12又は13記載の方法。
【請求項15】
i)トランスジェニック生物において2−メチル−6−ソラニルベンゾキノン・メチルトランスフェラーゼを発現させるか、又は2−メチル−6−ソラニルベンゾキノン・メチルトランスフェラーゼをもともと含む生物を培養するステップ;
ii)ステップi)の2−メチル−6−ソラニルベンゾキノン・メチルトランスフェラーゼを、トランスジェニック生物又は非トランスジェニック生物の細胞消化物として、部分的に精製された形態で、又は均質に精製された形態で、試験化合物と接触させるステップ;並びに
iii)ステップii)の2−メチル−6−ソラニルベンゾキノン・メチルトランスフェラーゼの活性を低減又は遮断する試験化合物を選択するステップ、
を含む、請求項14記載の方法。
【請求項16】
以下のステップ:
i)2−メチル−6−ソラニルベンゾキノン・メチルトランスフェラーゼをコードする核酸配列を少なくとも1つ含有し、2−メチル−6−ソラニルベンゾキノン・メチルトランスフェラーゼを過剰発現するトランスジェニック生物を作出するステップ;
ii)試験物質を、ステップi)のトランスジェニック生物及び同種の非トランスジェニック生物に適用するステップ;
iii)試験物質の適用後にトランスジェニック生物及び非トランスジェニック生物の成長又は生存を判定するステップ;
iv)トランスジェニック生物の成長と比較して非トランスジェニック生物の成長の低下又は生存の低減をもたらす試験物質を選択するステップ、
を含む、請求項14記載の方法。
【請求項17】
成長調節活性を有する物質を同定する方法であって、以下のステップ:
i)2−メチル−6−ソラニルベンゾキノン・メチルトランスフェラーゼをコードする核酸配列を含み、2−メチル−6−ソラニルベンゾキノン・メチルトランスフェラーゼを過剰発現するトランスジェニック植物を作出するステップ;
ii)試験物質を、ステップi)のトランスジェニック植物及び同種の非トランスジェニック植物に適用するステップ;
iii)試験物質の適用後にトランスジェニック植物及び非トランスジェニック植物の成長又は生存を判定するステップ;並びに
iv)トランスジェニック植物の成長と比較して、非トランスジェニック植物の成長の改変をもたらす試験物質を選択するステップ、
を含む、上記方法。
【請求項18】
前記物質をハイスループットスクリーニング法で同定する、請求項10〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
請求項5記載の1以上の核酸分子、請求項7記載の1以上の発現カセット、請求項8記載の1以上のベクター、請求項9記載の1以上の生物、又は請求項6記載の1以上の(ポリ)ペプチドを有する支持体。
【請求項20】
前記物質を、請求項19記載の支持体を用いたハイスループットスクリーニング法で同定する、請求項10〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
請求項10〜16、18及び20のいずれか1項に記載の方法により同定される、除草剤活性を有する化合物。
【請求項22】
請求項17、18又は20記載の方法により同定される、成長調節活性を有する化合物。
【請求項23】
農薬組成物の製造方法であって、
a)請求項21記載の除草剤活性を有する化合物を、又は請求項22記載の成長調節活性を有する化合物を同定するステップ;並びに
b)上記化合物を好適な補助剤と共に製剤化し、除草剤活性又は成長調節活性を有する作物保護組成物を得るステップ、
を含む方法。
【請求項24】
望ましくない植物を防除する及び/又は植物の成長を調節するための方法であって、請求項21若しくは22記載の少なくとも1つの化合物、又は請求項21若しくは22記載の化合物を含む農薬組成物を、植物、その環境及び/又は種子に作用させることを含む方法。
【請求項25】
請求項21又は22記載の物質により阻害されない2−メチル−6−ソラニルベンゾキノン・メチルトランスフェラーゼをコードする核酸配列の作製方法であって、該核酸配列は、
i)配列番号4に対して少なくとも59%の同一性を有するアミノ酸配列から逆翻訳により誘導される配列番号3の核酸配列の機能的等価物;又は
ii)配列番号4に対して少なくとも59%の同一性を有するアミノ酸配列から逆翻訳により誘導され、かつC末端において少なくとも20アミノ酸及びN末端において少なくとも20アミノ酸切断されている、配列番号3の核酸配列の機能的等価物、
を含み、
以下の工程ステップ:
a)異種系又は無細胞系において上記i)に記載の核酸配列によりコードされるタンパク質を発現させるステップ;
b)核酸の改変により該タンパク質のランダム突然変異誘発又は部位特異的突然変異誘発を行うステップ;
c)改変された遺伝子産物と除草剤との相互作用を測定するステップ;
d)より少ない相互作用を示す該タンパク質の誘導体を同定するステップ;
e)除草剤の適用後に該タンパク質の生物学的活性を試験するステップ;並びに
f)除草剤に対して改変された生物学的活性を示す核酸配列を選択するステップ、
を含む方法。
【請求項26】
請求項25のステップf)に従って選択された配列を生物に導入する、請求項25記載の方法。
【請求項27】
請求項20記載の物質に対する耐性を有するトランスジェニック植物の作出方法であって、これらの植物において、2−メチル−6−ソラニルベンゾキノン・メチルトランスフェラーゼをコードする少なくとも1つの核酸配列を過剰発現させるステップを含み、ここで該核酸配列は、
i)配列番号1若しくは配列番号3に示される核酸配列を有する核酸配列;又は
ii)遺伝暗号の縮重に基づいて、配列番号2若しくは配列番号4に示されるアミノ酸配列から逆翻訳により誘導される核酸配列;又は
iii)配列番号4に対して少なくとも59%の同一性を有するアミノ酸配列から逆翻訳により誘導される配列番号3の核酸配列の機能的等価物;又は
iv)C末端において少なくとも20アミノ酸及びN末端において少なくとも20アミノ酸切断されている上記i)、ii)若しくはiii)の核酸配列;又は
v)配列番号5若しくは配列番号7に示される核酸配列を有する核酸配列;又は
vi)遺伝暗号の縮重に基づいて、配列番号6若しくは配列番号8に示されるアミノ酸配列から逆翻訳により誘導される核酸配列、
を含む、前記方法。
【請求項28】
請求項27記載の方法によって作出されるトランスジェニック植物。

【公表番号】特表2007−516704(P2007−516704A)
【公表日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541860(P2006−541860)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【国際出願番号】PCT/EP2004/013560
【国際公開番号】WO2005/054453
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】