説明

除草装置

【課題】紫外線及びオゾンを利用して、労力をかけずに除草できる安全な除草装置を提供する。
【解決手段】安定台(12)と、安定台上に配置された紫外線灯(16)と、紫外線灯の上に配置されるとともに紫外線灯に電力を供給するソーラーパネル(20)と、ソーラーパネルの下面に設けられた上部反射鏡(22)とを備える。紫外線灯から放射された紫外線と、空気の紫外線照射で発生させたオゾンによって、雑草を成長させず枯らして、労力をかけずに除草できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線及びオゾンを利用した除草装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線は、生物に対して有害であるので、殺菌等に用いられている。オゾンも、生物に対して有害であるので、殺菌等に用いられている。また、出願人は、紫外線を空気に照射して発生させたオゾンを用いて殺菌と防虫を行うことによって、消毒と農薬散布等の作業を軽減する植物の生育促進装置に関する出願をしている(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−169183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在、庭園や農地の除草には除草剤を撒くか、人手による除草を行っている。しかし、除草剤は人畜や地球環境に悪影響があり、人手による除草は労力が大き過ぎるという問題があった。そこで、発明者は、多量の紫外線又はオゾンを利用すれば雑草を枯らすことができるのではないかと考えた。
【0005】
本発明は、前記問題に鑑みてなされたものであって、紫外線及びオゾンを利用して、労力をかけずに安全に除草できる除草装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、請求項1に係る発明の除草装置は、安定台と、該安定台上に配置された紫外線源と、該紫外線源の上に配置された上部反射鏡とを備えた。
【0007】
請求項2に係る発明の除草装置は、請求項1に係る発明において、前記紫外線源の上に配置されるとともに前記紫外線源に電力を供給するソーラーパネルを備え、該ソーラーパネルの下面に前記上部反射鏡が設けられた。
【0008】
請求項3に係る発明の除草装置は、フロートと、該フロート上に配置された紫外線源と、該紫外線源の上に配置された上部反射鏡とを備えた。
【0009】
請求項4に係る発明の除草措置は、請求項3に係る発明において、前記紫外線源の上に配置されるとともに前記紫外線源に電力を供給するソーラーパネルを備えと、該ソーラーパネルの下面に前記上部反射鏡が設けられた。
【0010】
請求項5に係る発明の除草措置は、請求項4に係る発明において、前記ソーラーパネルの周囲には前記除草装置を回転させる風受け椀が取り付けられ、前記フロート上には前記紫外線源から放射された紫外線を水平方向に反射する側部反射鏡が配置された。
【0011】
請求項6に係る発明の除草装置は、フロートと、該フロートの下方の水中に配置された紫外線源と、該紫外線源を覆う保護管とを備えた。
【0012】
請求項7に係る発明の除草措置は、請求項6に係る発明において、前記フロートの上に配置されるとともに前記紫外線源に電力を供給するソーラーパネルを備えた。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明の除草装置によれば、紫外線灯から放射された紫外線と、該紫外線が空気を照射して発生したオゾンを用いて、除草剤を用いることなく、周囲の雑草を成長させずに枯らすことができるので、労力をかけずに除草でき、さらに虫を寄せ付けないと除草防虫効果がある。また、紫外線源の上に配置された上部反射鏡によって地上へ紫外線を反射するので、いっそう除草防虫効果を高めるとともに、人の目に紫外線が入ることを防止できる。さらに、紫外線は空気中では到達距離が短く、オゾンは短時間で分解して遠方まで拡散しないので、この除草装置は人畜に対して安全である。
【0014】
請求項2に係る発明によれば、さらに、ソーラーパネルを備えるので、太陽光で発生させた電力でもって紫外線を発生させることができる。このため、二酸化炭素を排出しないので地球環境に優しい。
【0015】
請求項3に係る発明によれば、水上において紫外線及びオゾンを発生させて請求項1に係る発明と同じ効果を奏する。
【0016】
請求項4に係る発明によれば、さらに、ソーラーパネルを備えるので、請求項2に係る発明と同様に地球環境に優しい。
【0017】
請求項5に係る発明によれば、さらに、ソーラーパネルの周囲には除草装置を回転させる風受け椀が取り付けられ、フロート上には紫外線源から放射された紫外線を水平方向に反射する側部反射鏡が設けられたので、除草装置は、回転しながら強い紫外線を周囲の水面付近に照射して、いっそう強力な水上での除草防虫効果が得られる。
【0018】
請求項6に係る発明によれば、水中において紫外線及びオゾンを発生させて請求項1に係る発明と同じ効果を奏する。また、紫外線源を保護管で覆うことによって、水中の紫外線源に酸化膜が生じて紫外線源が短時間で機能を失うことを防止できる。
【0019】
請求項7に係る発明によれば、さらに、ソーラーパネルを備えるので、請求項2に係る発明と同様に地球環境に優しい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施例に係る除草装置の正面図である。
【図2】前記第1実施例に係る除草装置の平面図である。
【図3】本発明の第2実施例に係る除草装置の正面図である。
【図4】前記第2実施例に係る除草装置の平面図である。
【図5】本発明の第3実施例に係る除草装置の正面図である。
【図6】前記第3実施例に係る除草装置の平面図である。
【図7】本発明の第4実施例に係る除草装置の断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
まず、図1及び図2に基づいて、本発明の第1実施例に係る除草装置について説明する。この除草装置10は、地上Gの果樹園や庭園等で使用するものである。
【0022】
この除草装置10は、安定台12と、安定台12の上に固定されたソケットボックス14と、ソケットボックス14の上に直立させて固定した紫外線源である紫外線灯16と、紫外線灯16の上方で安定台12に立設された4本の支柱18で支持されたソーラーパネル20とから構成される。紫外線灯16とは、特に紫外線を多く放射する放電管である。紫外線灯16を直立させた理由は、なるべく安定台12の影になる部分を減らすためである。安定台12は、除草装置10が倒れないように安定を保つため、ある程度の重量を有するが、除草装置10の安定を保てる範囲で、地上Gを照射する紫外線のじゃまにならないようになるべく小さく小形化する。
【0023】
ソーラーパネル20は太陽光が略垂直に入射するように傾けることが望ましいが、本実施例では、コスト低減のため、4本の支柱18を同じものとして、ソーラーパネル20を水平にした。雑草が特に繁茂するのは夏であるが、夏にはソーラーパネル20を水平にしても、ソーラーパネル20には太陽光が垂直に近い角度で入射するからである。
【0024】
ソーラーパネル20の下面にはアルミ製の上部反射鏡22が固定されていて、紫外線灯16から放射された紫外線がなるべく無駄なく地上Gを照射するようにしている。
【0025】
ソケットボックス14の上部には、ソケットボックス14内に雨水が浸入することを防止するため、紫外線灯16を突出させる孔を設けた防水カバー24が被されている。ソケットボックス14内には、図示しないインバータと二次電池が収容されている。ソーラーパネル20によって発電された電気は、インバータによって昇圧されて、紫外線灯16に供給される。余った電力は、二次電池を充電して、夜間は二次電池から供給される電力で紫外線灯16を点灯できるようにしている。ただし、コスト低減のためには、二次電池は省略してもよい。また、本実施例では、電灯線からも電力が得られるように電灯線接続部26も備える。
【0026】
4本の支柱18には、紫外線灯16を保護するためにリング状のフープ28が固定されている。ただし、コスト低減のためには、フープ28は省略してもよい。また、紫外線灯16を交換できるようにするため、フープ28は支柱18から着脱可能にしてある。
【0027】
本実施例の除草装置10によれば、紫外線灯16から放射される紫外線と、空気を紫外線照射することによって発生したオゾンによって、周囲の雑草を成長させずに枯らすことができる。この除草装置10は、果樹園や庭園において所定間隔で多数配置することによって、ほとんど労力をかけずに果樹園や庭園全体の除草をすることができる。また、この除草装置は、虫を寄せ付けない防虫効果もある。さらに、この除草装置10から放射された紫外線は、上部反射鏡22によって地上Gへ反射されるので、人の目に入る恐れが小さい。さらに、紫外線は空気中では到達距離が短く、オゾンは短時間で分解して遠方まで拡散しないので、この除草装置10は人畜にはほとんど無害で安全である。しかも、ソーラーパネル20により太陽光で発生させた電力でもって紫外線を発生させるので、二酸化炭素を排出せず、地球環境に優しい。
【0028】
本実施例の効果を確認するため、10Wの紫外線灯16を用いて、果樹園で実験してみた。ただし、ソーラーパネル20からではなく、電灯線から紫外線灯16へ給電した。この実験によれば、3日で半径約1m以内の草が枯れ、7日で半径約1.5〜2m以内の草が枯れた。また、太陽定数(地球の1mに降り注ぐ太陽光のエネルギー)は約1370W/mであるから、発電効率10%、40cm四方のソーラーパネルでも、紫外線灯16を充分点灯させることが可能である。したがって、本実施例は、充分な除草効果があることが確認できた。
【0029】
次に、図3及び図4に基づいて、本発明の第2実施例に係る除草装置について説明する。この除草装置30は、前記第1実施例に係る除草装置10のソーラーパネル20の傾斜角を変更できるように改造したものである。
【0030】
このため、4本の支柱32、34とソーラーパネル20は、両者のなす角度を変更できるように、ねじ36で連結されている。2本の支柱34と安定台12も、両者のなす角度を変更できるようにねじ36で連結されている。この2本の支柱34は、入れ子式の下筒34aと上筒34bとから構成されていて伸縮可能である。残り2本の支柱32は安定台12に傾斜不能に立設されている。
【0031】
伸縮可能な2本の支柱34を伸縮させ、適当な位置で固定ねじ38によって長さを固定することによって、ソーラーパネル20の傾斜角を季節及び緯度に応じて最適な傾斜角に変更することができる。紫外線灯16を保護するためのフープは、ソーラーパネル20の傾斜角変更を妨げないようにするため省略した。
【0032】
この他は、前記第1実施例と略同じであるので、図面において、前記第1実施例と同じ部分には同じ符号を付した。本実施例によれば、いっそう効率的に太陽光発電ができるので、除草防虫効果が増す。
【0033】
次に、図5及び図6に基づいて、本発明の第3実施例に係る除草装置について説明する。この除草装置40は、前記第1実施例に係る除草装置10を河川や湖や池等の水面Sに浮かんでいる特定外来生物に指定された水草、例えば、ウォターレタスなどを枯らして除草できるように改造したものである。
【0034】
このため、第1実施例の交換台12をフロート42に交換している。フロート42は、円盤形が望ましいが、四角形でもよいし、安定性さえ確保できれば任意の形状でよい。また、水上の除草装置40には人畜が不用意に接近することが少ないため、紫外線灯16を保護するフープは省略してもよい。
【0035】
本実施例では、フロート42が第1実施例の安定台12に比べて大きく、水面Sへの紫外線照射をじゃまする。そこで、ソーラーパネル20の下面に上部反射鏡22を設ける他、紫外線を側方へ反射するように、アルミ製の側部反射鏡44がフロート42に立設されている。この側部反射鏡44は、単純な平面鏡でもよいが、本実施例では、上面視で紫外線灯16を焦点とする放物面として、紫外線を略平行光線として反射し、水面Sをいっそう強力に紫外線照射している。ただし、安価にするためには、上部反射鏡22又は側部反射鏡44は省略してもよい。
【0036】
太陽電池パネル20の外周縁付近には、椀を半分にした風受け椀46が、ロビンソン風速計のように配置されている。風受け椀46が風を受けると、この除草装置40は風力で鉛直軸回りに回転し、側部反射鏡44で反射した紫外線が除草装置40の周囲をくまなく強力に照射するようになっている。風受け椀46は、できるだけ風力によるトルクを大きくするとともに、ソーラーパネル20に影を落とさないようにするため、ソーラーパネル20の下面の四隅に配置した。ただし、側部反射鏡44を省略したときは、この風受け椀46は不要である。
【0037】
フロート42の下部からは錨48が垂下されていて、除草装置が流されることを防止している。錨48を連結したロープ50は、フロート42の下面に設けられたボールジョイント52に連結されていて、除草装置40が回転することを妨げないようになっている。
【0038】
錨48を備える代わりに、舫い綱で除草装置を岸に繋留するようにしてもよい。この場合は、除草装置が自転することを妨げないようにしなければならない。このため、例えば、フロート42の周囲にカーテンレールのようなレールをリング状に周回させ、レールにスライド自在な舫い綱固定具を取り付ければよい。家庭用の小さな池で使用する場合は、除草措置40が流される恐れがないので、錨48又は舫い綱は不要である。
【0039】
この他は、前記第1実施例と略同じであるので、図面において、前記第1実施例と同じ部分には同じ符号を付した。本実施例も、前記第1実施例と同様に除草防虫効果を奏する。
【0040】
次に、図7に基づいて、本発明の第4実施例に係る除草装置について説明する。この除草装置60は、前記第1実施例に係る除草装置10を水中の藻や水草を除草できるように改造したものである。
【0041】
このため、ソーラーパネル20の下側にソケットボックス14が固定され、このソケットボックス14がフロート42の中心に設けた貫通孔62内に収容されるようになっている。フロート42の上面とソーラーパネル20の下面とは気密に接合される。このため、この除草装置60を水面Sに浮かしたとき、貫通孔62下部には空気が閉じ込められて、ソケットボックス42内には水が浸入しないようになっている。
【0042】
紫外線灯16をソケットボックス14に固定すると、紫外線灯16がフロート42の下から突出するようになっている。ソケットボックス14の下面には、紫外線灯16を覆う保護管64が水密に接続されている。保護管64は、紫外線灯16を保護する他、紫外線灯16表面に水が触れて酸化膜が発生して、紫外線灯16が短時間に機能を失うことを防止するもので、波長185nmの紫外線をカットし、波長245nmの紫外線を透過させる石英ガラスから作ることが望ましい。また、保護管64には空気流入管64aと空気吹出管64bを形成し、空気流入管64aにはエアポンプ65を介してソーラーパネル20上に突出した空気吸込管68が接続される。空気吹出管64bの出口には、水が保護管64内へ流入することを防止する逆止弁66を取り付ける。空気吸込管68の上端には、雨水やごみが侵入するのを防止する傘70を設ける。
【0043】
この除草装置60も、必要に応じて錨又は舫い綱72で流されないようにする。フロート42の下面には、除草装置60が風で流されて水中の岩石等に衝突したとき、紫外線灯16及び保護管64を保護するため、複数個の半円形のアーチ74が紫外線灯16を覆うように下面視所定角度間隔で取り付けられる。
【0044】
本実施例によれば、紫外線灯16が点灯すると、水中において紫外線及びオゾンを発生させて水中の除草防虫効果を発揮する。また、エアポンプ65によって保護管64内に空気を送り込んで紫外線灯16を冷却することができ、過熱による故障等を防止できる。さらに、保護管64内の空気が紫外線を受けてオゾンを発生して、空気吹出管64bからオゾンを含んだ空気が吐出されるので、保護管64の表面に酸化膜が発生した後でも、オゾンによる除草効果を発揮する。
【0045】
ところで、本発明は、前記実施例に限るものではなく、種々の変形が可能である。例えば、前記第1実施例において、ソーラーパネル20を取り除いて、支柱18の上端に上部反射鏡22を取り付けるだけにしてもよい。この場合、電灯線を電灯線接続部26に接続して使用するか、電灯線から供給される電力で二次電池を充電して使用することになるが、極めて安価な除草装置が得られる。
【0046】
同様に、前記第3実施例においても、ソーラーパネル20を取り除いて、支柱18の上端に上部反射鏡22を取り付けるだけにしてもよく、前記第4実施例においても、ソーラーパネル20を取り除いてもよい。また、前記第4実施例においては、保護管64は、空気流入管64aと空気吹出管64bを設けず、単に紫外線灯16に水が触れないようにするだけのものにしてもよい。
【符号の説明】
【0047】
10、30、40、60 除草装置
12 安定台
16 紫外線灯(紫外線源)
20 ソーラーパネル
22 上部反射鏡
42 フロート
44 側部反射鏡
46 風受け椀

【特許請求の範囲】
【請求項1】
安定台と、該安定台上に配置された紫外線源と、該紫外線源の上に配置された上部反射鏡とを備えた除草装置。
【請求項2】
前記紫外線源の上に配置されるとともに前記紫外線源に電力を供給するソーラーパネルを備え、該ソーラーパネルの下面に前記上部反射鏡が設けられた請求項1に記載の除草装置。
【請求項3】
フロートと、該フロート上に配置された紫外線源と、該紫外線源の上に配置された上部反射鏡とを備えた除草装置。
【請求項4】
前記紫外線源の上に配置されるとともに前記紫外線源に電力を供給するソーラーパネルを備えと、該ソーラーパネルの下面に前記上部反射鏡が設けられた請求項3に記載の除草装置。
【請求項5】
前記ソーラーパネルの周囲には前記除草装置を回転させる風受け椀が取り付けられ、前記フロート上には前記紫外線源から放射された紫外線を水平方向に反射する側部反射鏡が配置された請求項4に記載の除草装置。
【請求項6】
フロートと、該フロートの下方の水中に配置された紫外線源と、該紫外線源を覆う保護管とを備えた除草装置。
【請求項7】
前記フロートの上に配置されるとともに前記紫外線源に電力を供給するソーラーパネルを備えた請求項6に記載の除草装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−148753(P2011−148753A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−13060(P2010−13060)
【出願日】平成22年1月25日(2010.1.25)
【出願人】(597117514)
【出願人】(301043236)
【出願人】(510022783)
【Fターム(参考)】