説明

除袋機

【課題】廃棄物を収納する袋体が破袋機にて破られた後に、廃棄物の中から袋体の残骸を効率良く除去することができる除袋機を提供する。
【解決手段】廃棄物Qを収納している袋体Pが破袋機にて破られた後に投入されるホッパー10を設ける。該ホッパー10の下方に設置され、廃棄物Qが落下する間隔に平行に配置された複数本の受け材20を設ける。ホッパー10と受け材20との間に回転自在に配置され、ホッパー10から落下する袋体Pをかき上げる複数の除袋羽根30を設ける。除袋羽根30でかき上げた袋体Pを一方向に吹き飛ばすエアー供給装置40を設ける。該エアー供給装置40のエアーで飛ばされた袋体Pを排出する排出口50を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物を収納している袋体が破袋機にて破られた後の工程で、袋体のみを選別して分離抽出することができる除袋機に関する。
【背景技術】
【0002】
当出願人は、先に、廃棄物を収納している袋体を破り、この袋体から廃棄物を取り出すことができる破袋装置を提案している(特許文献1)。この装置は、破袋用回転カッターや袋押え等を備えたもので、袋内の廃棄物を選別する際に、多量の廃棄物が入った袋体を能率的に破けるように工夫したものである。この破袋装置で袋体を破った後は、破られた袋体の残骸が廃棄物と共に残されることになる。
【0003】
このような廃棄物の中から袋体の残骸を除去する除袋機が、特許文献2及び特許文献3に記載されている。
【0004】
特許文献2の除袋機は、袋体の残骸を搬送する穴明回転円筒の内がわに、ブロアーによる空気排出口と空気供給口とを利用した負圧室と正圧室とを設けたもので、袋体の残骸が負圧室がわにあるときはこの袋体の残骸を穴明回転円筒に吸着した状態となり、穴明回転円筒が回転して正圧室まで移動すると、正圧室からのブロアーの空気で袋体の残骸が穴明回転円筒から離脱する構成になっている。
【0005】
また、特許文献3の除袋機は、破られた袋体の残骸を廃棄物と共に搬送するコンベアの表面に、袋体の残骸を絡め取る集袋板を多数立設したもので、廃棄物搬送時にこの集袋板に袋体を絡みつけて廃棄物から分離する構成を採用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−247925号公報
【特許文献2】特開平8−309288号公報
【特許文献3】特開平10−1122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが従来の除袋機では、いずれも袋体の残骸を除去できる割合が少なく、これら除袋機で除去できなかった袋体の残骸が廃棄物の中に多く残ってしまうおそれがあった。
【0008】
例えば特許文献2に記載の除袋機によると、ブロアーによる空気を利用して袋体の残骸を吸着し、あるいは離脱させようとするものである。そのため、袋体の残骸を吸着する吸着口に廃棄物が吸着されると袋体の残骸まで吸着することは不可能になる。したがって、吸着口に吸着されなかった多くの袋体の残骸は、他の廃棄物と共に搬送されてしまうものであった。
【0009】
また、特許文献3に記載の除袋機は、コンベアの表面に、袋体の残骸のみを絡め取る集袋板を多数立設したものであるが、廃棄物搬送時にこの集袋板に接触した袋体の残骸を絡めることは可能であるとしても、この集袋板に接触できない袋体は除去することはできない。そこで、特許文献3では、集袋板に接触できない袋体を引っ掛けるために、コンベアの出口がわ上部に、かぎ針形傾斜キャッチャーなるものを吊下げ、集袋板で除去できない袋体の残骸を吊り上げようとしている。
【0010】
ところが、このようなかぎ針形のキャッチャーによっても、袋体の残骸がこのキャッチャーに接触しなければ吊り上げることはできないので、全ての袋体の残骸を除去することは困難である。この結果、廃棄物と共に搬送されてしまう袋体の残骸が多く残され、廃棄物の選択作業等を困難にするものであった。
【0011】
そこで本発明は、上述の課題を解消すべく創出されたもので、廃棄物を収納する袋体が破袋機にて破られた後に、廃棄物の中から袋体の残骸を効率良く除去することができる除袋機の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の目的を達成すべく本発明における第1の手段は、廃棄物Qを収納している袋体Pが破袋機にて破られた後に廃棄物Qと共に投入されるホッパー10と、該ホッパー10の下方に設置され、廃棄物Qが落下する間隔に平行に配置された複数本の受け材20と、ホッパー10と受け材20との間に回転自在に配置された回転軸31に植設され、ホッパー10から落下する袋体Pをかき上げる複数の除袋羽根30と、該除袋羽根30でかき上げた袋体Pに吹き付けて除袋羽根30の先端部から袋体Pを一方向に吹き飛ばすエアー供給装置40と、該エアー供給装置40のエアーで飛ばされた袋体Pを排出する排出口50とを備えたことにある。
【0013】
第2の手段において、前記除袋羽根30は帯板状を成し、回転軸31の長手方向に対して板面が直交する方向に配置され、該除袋羽根30先端部の回転方向がわ側縁部を切り欠いて袋体Pをかき上げる係止凹部32を形成したものとする。
【0014】
第3の手段は、前記除袋羽根30を回転軸31の周囲に放射状に植設して回転羽根群30Aが構成され、該回転羽根群30Aの除袋羽根30が、前記受け材20の間で回転するように回転羽根群30Aを回転軸31の長手方向に沿って平行に連設している。
【0015】
第4の手段において、前記エアー供給装置40は、ブロアー60から送風される空気を前記除袋羽根30の先端から前記排出口50の方向に吹き付けるエアー吹付口41を備え、該エアー吹付口41は、水平位置調整及び角度調整が自在になるように構成されたものである。
【0016】
第5の手段において、前記排出口50は、エアーを分離導入せしめるエアー導入部51を備えると共に、該エアー導入部51から排出口50の内部に送風する送風孔52を設け、該送風孔52から送風するエアーにより排出口50の内部に貼り付こうとする袋体Pを剥がすように構成したことにある。
【発明の効果】
【0017】
本発明の請求項1によると、ホッパー10と受け材20との間に、ホッパーから落下する袋体をかき上げる複数の除袋羽根30と、該除袋羽根30にてかき上げた袋体Pを除袋羽根30の先端部から離脱させて一方向に吹き飛ばすエアー供給装置40とを備えているので、廃棄物Qを収納する袋体Pが破袋機にて破られた後の工程において、廃棄物Qの中から袋体Pの残骸を効率良く除去することができる。
【0018】
請求項2の如く、除袋羽根30先端部の回転方向がわ側縁部を切り欠いて袋体Pをかき上げる係止凹部32を形成したことにより、除袋羽根30の先端部に接触した袋体Pを効率良くすくい取ることができる。しかも、袋体Pをすくい取った除袋羽根30の先端部にエアーを吹き付けると、袋体Pが除袋羽根30に巻き付いたりせずにスムーズに離脱させることが可能になった。この結果、除袋羽根30の係止凹部32により、すくい取った袋体Pを一方向に離脱させるといった袋体Pの残骸をかき上げる作業を効率良く続けることができる。
【0019】
請求項3により、除袋羽根30を回転軸31の周囲に放射状に植設して回転羽根群30Aが構成され、該回転羽根群30Aの除袋羽根30が、前記受け材20の間で回転するように回転羽根群30Aを回転軸31の長手方向に沿って平行に連設したことで、廃棄物Qと共に落下する袋体Pを、連続回転する多数の除袋羽根30が効率良くかき上げることが可能になった。したがって、ブロアーによる空気を利用して袋体を吸着せしめる除袋機や、コンベアの表面に袋体の残骸を絡め取る集袋板を多数立設した除袋機のように、袋体Pを取り残す確立は極めて少なくなり、ほぼ完璧に袋体Pの残骸のみを取り除くことが可能になった。
【0020】
請求項4の如く、エアー供給装置40は、ブロアー60から送風される空気を前記除袋羽根30の先端から前記排出口50の方向に吹き付けるエアー吹付口41を備え、該エアー吹付口41は、水平位置調整及び角度調整が自在になるように構成されたものなので、ホッパー10から落下する袋体Pの材質や量の変化、あるいは廃棄物Qの種類などに対応して、除袋羽根30の先端に最適な位置や角度でエアーを吹き付けることができる。
【0021】
請求項5により、排出口50は、エアー導入部51を備えると共に、該エアー導入部51から排出口50の内部に送風する送風孔52を設け、該送風孔52から送風するエアーにより排出口50の内部に貼り付こうとする袋体Pを剥がすように構成しているので、袋体Pの残骸が静電気や水分などで張り付き易くなっている状態でも、排出口50からスムーズに排出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施例を示す側面図である。
【図2】本発明の一実施例を示す正面図である。
【図3】本発明の一実施例を示す平面図である。
【図4】本発明の除袋羽根の一実施例を示す側面図である。
【図5】本発明の除袋羽根の係止凹部の一実施例を示す側面図である。
【図6】本発明の除袋羽根の一実施例を示す正面図である。
【図7】本発明の回転羽根群の一実施例を示す正面図である。
【図8】本発明のエアー導入部の一実施例を示す側断面図である。
【図9】本発明のエアー導入部の他の実施例を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明によると、構造が簡単で廃棄物から袋体の残骸を除去できる割合が極めて高く、しかも袋体の残骸の分離が早く、更には安価な提供ができる除袋機を提供することに成功したものである。
【実施例】
【0024】
以下、本発明の実施例を説明する。本発明の基本構成は、ホッパー10、受け材20、除袋羽根30、エアー供給装置40、排出口50にて構成される。
【0025】
ホッパー10は、廃棄物Qを収納している袋体Pが破袋機(図示せず)にて破られた後に廃棄物Qと共に投入されるものである(図1参照)。このホッパー10は、破袋機の直下に設置する。また、破袋機から排出された袋体Pと廃棄物Qとをベルトコンベヤ(図示せず)で運んでホッパー10に投入するように構成してもよい。
【0026】
受け材20は、ホッパー10の下方に設置され、廃棄物Qが落下する間隔に平行に配置された複数本の部材である(図3参照)。図示の受け材20は、ホッパー10の外側面から下方に延長された側面略J字状を成しており(図1、図2参照)、基台70上に受け材20とホッパー10とが設置されている。そして、除袋羽根30が各受け材20の間で回転し、袋体Pの残骸をかき上げるように構成している(図1参照)。
【0027】
この除袋羽根30は、ホッパー10と受け材20との間に回転自在に配置され、モーター等の駆動力で回転する回転軸31に植設された部材である(図3参照)。そして、この除袋羽根30が、ホッパー10から落下する袋体Pや廃棄物Qから袋体Pのみをかき上げる(図1参照)。図示例の除袋羽根30は帯板状を成し、回転軸31の長手方向に対して板面が直交する方向に配置されている(図3参照)。
【0028】
更に、除袋羽根30の先端部の回転方向がわ側縁部を切り欠いて係止凹部32を形成している(図5参照)。この係止凹部32により、袋体Pをかき上げる動作、すなわち、廃棄物Qの中から袋体Pをすくい取ると共に、すくい取った袋体Pを一方向に離脱させるといった動作を正確にすることができる。実験では、この係止凹部32を形成していない除袋羽根30を使用すると、除袋羽根30の先端に触れた袋体Pは、回転軸31の真下に落下したり除袋羽根30に巻きついて離れなくなったりすることが明らかになっている。
【0029】
これに対して、除袋羽根30先端に係止凹部32を形成すると、この係止凹部32に係止した袋体Pが回転軸31の真下に落下することがなく、一定の方向に離脱させ易くなることが実験から明らかになっている。また、袋体Pの離脱時に除袋羽根30の先端部に僅かな突起があっても袋体Pが離れなくなり易い。そこで、除袋羽根30の周囲縁に略パイプ状の保護部材33を嵌合させることで、除袋羽根30の周囲縁を滑らかに形成することで、袋体Pの離脱を更に容易にしている(図6参照)。また、除袋羽根30は図示例に限られるものではなく、この他、除袋羽根30として鉄板を使用し、この鉄板の周囲縁を研磨などで丸く加工したものでもよい。
【0030】
また、この除袋羽根30を回転軸31の周囲に放射状に植設して回転羽根群30Aを構成している(図7参照)。図示例では、4枚の除袋羽根30を放射状に植設し、隣接する回転羽根群30Aの除袋羽根30の位置を少しずつずらして配置している(図4参照)。尤も、この除袋羽根30の数は任意に設定することができる。更に、回転羽根群30Aを回転軸31の長手方向に沿って平行に連設し、各回転羽根群30Aの除袋羽根30が、受け材20の間で回転するように構成している。図示例では、7群の回転羽根群30Aを装着しているので、合計28枚の除袋羽根30が常に袋体Pの残骸をかき上げていることになる(図3参照)。
【0031】
エアー供給装置40は、除袋羽根30でかき上げた袋体Pを排出口50の方向に吹き飛ばす装置である(図1参照)。このエアー供給装置40は、ブロアー60から送風される空気を前記除袋羽根30の先端から前記排出口50の方向に吹き付けるエアー吹付口41を備えたもので、このエアー吹付口41から送風される空気の圧力で袋体Pを吹き飛ばすものである。図示例では、エアー吹付口41を水平にスライド移動可能な筒体の先端に設けてあり、水平位置調整を自在にしている。また、この先端部にエアー吹付口41を揺動自在に連結することで、エアー吹付口41の角度も調整自在とすることで、的確な角度で袋体Pを吹き飛ばすことができるようにしている。
【0032】
排出口50は、除袋羽根30でかき上げた袋体Pの残骸を排出する部位である(図1、図3参照)。図示例では、回転羽根群30Aを配置した幅にあわせて直線状に形成しているが、排出口50の上下左右の向きや形状等は任意に変更することができる。また、排出口50の除袋羽根30がわの上下に曲線状の導入部53を一対形成している(図1参照)。この導入部53により、エアーにて飛ばされた袋体Pの残骸が排出口50付近で滞ることなく、スムーズに排出することができる。
【0033】
更に、この排出口50にエアー導入部51を備えている(図8、図9参照)。このエアー導入部51は、外部からエアーを導入せしめる部位であり、図示例では、エアー供給装置40からのエアーを分離導入するように構成しており、排出口50の除袋羽根30がわ下側面に沿って形成している。そして、このエアー導入部51から排出口50の内部に送風する送風孔52を設けている。この送風孔52から排出口50の内部に送風されたエアーは、排出口50の内部に貼り付こうとする袋体Pを剥がすことができる。図8に示す送風孔52は、スリット状を成している。また、図9に示す送風孔52はパンチング孔状を成している。このように送風孔52の形状等は任意に変更することができる。また、排出口50のエアーは、エアー供給装置40以外から導入させることも可能である。
【0034】
尚、本発明の各構成は図示例に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で構成を任意に変更することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、除袋機として単独の装置として説明しているが、この例に限られず、破袋機や選別機などと組み合わせて廃棄物処理用のシステムの一部として構成することも可能である。
【符号の説明】
【0036】
P 袋体
Q 廃棄物
10 ホッパー
20 受け材
30 除袋羽根
30A 回転羽根群
31 回転軸
32 係止凹部
33 保護部材
40 エアー供給装置
41 エアー吹付口
50 排出口
51 エアー導入部
52 送風孔
60 ブロアー
70 基台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物を収納している袋体が破袋機にて破られた後に廃棄物と共に投入されるホッパーと、該ホッパーの下方に設置され、廃棄物が落下する間隔に平行に配置された複数本の受け材と、ホッパーと受け材との間に回転自在に配置された回転軸に植設され、ホッパーから落下する袋体をかき上げる複数の除袋羽根と、該除袋羽根でかき上げた袋体Pに吹き付けて除袋羽根の先端部から袋体を一方向に吹き飛ばすエアー供給装置と、該エアー供給装置のエアーで飛ばされた袋体を排出する排出口とを備えたことを特徴とする除袋機。
【請求項2】
前記除袋羽根は帯板状を成し、回転軸の長手方向に対して板面が直交する方向に配置され、該除袋羽根先端部の回転方向がわ側縁部を切り欠いて袋体をかき上げる係止凹部を形成した請求項1記載の除袋機。
【請求項3】
前記除袋羽根を回転軸の周囲に放射状に植設して回転羽根群が構成され、該回転羽根群の除袋羽根が、前記受け材の間で回転するように回転羽根群を回転軸の長手方向に沿って平行に連設した請求項1又は2記載の除袋機。
【請求項4】
前記エアー供給装置は、ブロアーから送風される空気を前記除袋羽根の先端から前記排出口の方向に吹き付けるエアー吹付口を備え、該エアー吹付口は、水平位置調整及び角度調整が自在になるように構成された請求項1記載の除袋機。
【請求項5】
前記排出口は、エアーを導入せしめるエアー導入部を備えると共に、該エアー導入部から排出口の内部に送風する送風孔を設け、該送風孔から送風するエアーにより排出口の内部に貼り付こうとする袋体を剥がすように構成した請求項1記載の除袋機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−176333(P2012−176333A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39212(P2011−39212)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000177483)三和産業株式会社 (14)
【Fターム(参考)】