説明

除電装置

【課題】放電用パルスの周波数を上げた場合であっても放電に係る電流を好適に検出できる除電装置を提供すること。
【解決手段】除電装置は、高電圧パルス(PL1,PL2)を放電電極に印加する高圧生成部と、高電圧パルスの放電電極への印加によって生じる電流(Ii,It)を所定の検出周期で検出する電流検出部と、高圧生成部を制御する制御部とを備える。制御部は、電流が検出される際に、通常パルス幅(PW1,PW2)より広いパルス幅である検出パルス幅(PW3,PW4)の高電圧パルスを生成するように高圧生成部を制御する。検出パルス幅(PW3,PW4)は、電流が検出パルス幅の高電圧パルスの印加による過渡期間K1後の定常期間K2を有するようなパルス幅であり、定常期間K2において電流(Ii,It)が検出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は除電装置に関し、詳しくは、放電によるイオンを対象物に向けて放出して対象物を除電する除電装置において、放電に係る電流を検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上記除電装置において放電に係る電流の検出する技術として、例えば、特許文献1には、放電に係るイオン電流を検出する検出抵抗を、電源制御装置と接地線との間に設ける技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−53422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来技術文献に開示された除電装置では、検出抵抗によってプラスおよびマイナスイオンの発生量を検出し、除電装置のイオンバランスをとることができる。しかしながら、除電装置によるワーク(対象物)の除電時間を短縮するために、放電用パルスの周波数を上げようとすると、放電用パルスの電圧の変化、および放電用パルスの印加経路に形成される寄生容量等に起因してイオン電流等に過渡的な状態が生じ、好適に電流を検出できない不都合があった。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、放電用パルスの周波数を上げた場合であっても放電に係る電流を好適に検出することができる除電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための手段として、第1の発明に係る除電装置は、イオンを対象物に向けて放出して対象物を除電する除電装置であって、放電によって前記イオンを放出する放電電極と、前記イオンを発生するための高電圧パルスを生成し、前記高電圧パルスを前記放電電極に印加する高圧生成部と、前記高電圧パルスの前記放電電極への印加によって生じる電流を所定の検出周期で検出する電流検出部と、前記高圧生成部による前記高電圧パルスの生成を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記電流が検出される際に、通常除電時の前記高電圧パルスのパルス幅である通常パルス幅より広いパルス幅である検出パルス幅の高電圧パルスを生成するように前記高圧生成部を制御し、前記検出パルス幅は、前記電流が前記検出パルス幅の高電圧パルスの印加による過渡期間後の定常期間を有するようなパルス幅に設定されたものであり、前記電流検出部は、前記電流の定常期間において前記電流を検出する。
【0007】
本構成によれば、高電圧パルスの放電電極への印加によって生じる電流の検出時には、通常パルス幅より広いパルス幅である検出パルス幅の高電圧パルスが放電電極への印加される。また、検出パルス幅は、電流が検出パルス幅の高電圧パルスの印加による過渡期間後の定常期間を有するようなパルス幅に設定されたものであり、電流の定常期間において電流が検出される。そのため、通常除電時の高電圧パルス(放電用パルス)の周波数を上げた場合であっても放電に係る電流を好適に検出することができる。
【0008】
第2の発明は、第1の発明の除電装置において、前記高圧生成部は、プラスイオンを発生するためのプラス高電圧パルスを生成するプラス高圧生成部と、マイナスイオンを発生するためのマイナス高電圧パルスを生成するマイナス高圧生成部とを含み、前記制御部は、前記プラス高電圧パルスおよび前記マイナス高電圧パルスが交互に前記放電電極に印加されるように、前記プラス高圧生成部およびマイナス高圧生成部を切替え制御し、前記電流検出部によって前記電流を検出する際に、前記検出パルス幅の前記プラス高電圧パルスおよび前記マイナス高電圧パルスを生成するように各高圧生成部を制御する。
本構成によれば、プラスイオンおよびマイナスイオンを発生して対象物を除電する装置において高電圧パルスの周波数を上げた場合おいても、好適に高電圧パルス(放電用パルス)の放電電流を好適に検出することができる。
【0009】
第3の発明は、第1または第2の発明の除電装置において、前記電流は、前記イオンの放出によってグランドを介して高圧生成部に戻るイオン電流であり、前記電流検出部は、前記対象物を除電する際のイオンバランスを調整する際に、前記イオン電流を検出するイオン電流検出抵抗を含み、前記制御部は前記イオン電流検出抵抗によって検出されたイオン電流に基づいて、前記高圧生成部による前記高電圧パルスの生成を制御する。
本構成によれば、イオンバランスを調整する際に、イオン電流が適切に検出されるため、イオンバランスの調整を正確に行える。
【0010】
第4の発明は、第2または第3の発明の除電装置において、前記制御部は、前記制御部は、前記プラス高電圧パルスの検出パルス幅と、前記マイナス高電圧パルスの検出パルス幅とが等しくなるように各高圧生成部を制御する。
本構成によれば、プラス高電圧パルスおよびマイナス高電圧パルスに対応して各電流を検出する際に、高電圧パルスとして同一条件のもとに各電流を検出することができる。
【0011】
第5の発明は、第3または第4の発明の除電装置において、前記放電電極と対向する対向電極をさらに備え、前記電流検出部は、前記放電電極の劣化度を検出するために、前記高電圧パルスの前記放電電極への印加の際に対向電極を介して流れる対向電極電流と前記イオン電流との和である放電電流を検出する放電電流検出抵抗をさらに含み、前記放電電流を検出する周期は、前記イオン電流を検出する周期以上の周期とされる。
本構成によれば、放電電極の劣化度を検出するための放電電流の検出頻度が適正化されるため、電流検出による除電時間の遅延が抑制される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の除電装置によれば、放電用パルスの周波数を上げた場合であっても放電に係る電流を好適に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】一実施形態に係る除電装置の電気的構成を概略的に示す構成図
【図2】電流検出に係る各信号の概略的に示すタイムチャート
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図1および図2を参照して説明する。
本実施形態の除電装置は、放電電極に、プラスイオンを発生するためのプラス高電圧パルスと、マイナスイオンを発生するためのマイナス高電圧パルスを交互に所定の周期で印加するものである。
【0015】
1.除電装置の電気的構成および動作
図1は、除電装置10の電気的構成を概略的に示す構成図であり、図2は本実施形態に係る信号の概略的なタイムチャートである。
【0016】
図1に示されるように、除電装置10は、放電針2、対向電極3、無効電流帰還用シールド4、制御回路5、電流検出回路6、および高圧生成部20等を含む。なお、その他に、除電装置10は、高圧生成部20に供給するプラスの直流電圧(+DC)を生成する整流回路等を含むが、図1には省略されている。
【0017】
放電針(放電電極の一例)2は、高電圧パルスPLの印加による対向電極3への放電によってプラスイオンあるいはマオナスイオンを発生し、イオンをワーク(除電対象物)に対して放出する。
【0018】
電流検出回路(電流検出部の一例)6は、イオンバランスを調整するために、イオン電流Ipi,Iniを検出するためのイオン電流検出抵抗6Aと、放電針2の劣化度を検出するために、放電電流Ihを検出するための放電電流検出抵抗6Bとを含む。ここで放電電流Ihは、高電圧パルスPLの放電針2への印加の際に対向電極3を介して流れる対向電極電流Itとイオン電流Iiとの和である。また、ここで、イオン電流Ipi,Iniは、高電圧パルスPLの印加による放電針2からのイオンの放出に起因してグランドを介して高圧生成部20に戻る電流である。
【0019】
イオンバランスの調整は、プラス高電圧パルスPL1が印加される時のイオン電流Ipiとマイナス高電圧パルスPL2が印加される時のイオン電流Iniとを比較し、その差がゼロのなるようにプラス高電圧パルスPL1のパルス幅PW1とマイナス高電圧パルスPL2のパルス幅PW2とを調節することによって行われる(図2参照)。
【0020】
一方、放電針2の劣化度(摩耗・劣化)の検出は、例えば、プラス高電圧パルスPL1あるいはマイナス高電圧パルスPL2の印加時の、放電電流Ihの初期検出値を記憶し、初期検出値と現在値の差が所定レベル以上となったことによって行われる。
【0021】
ここで、放電針2の劣化度を検出するために放電電流Ihを検出する周期Thは、ワークを除電する際のイオンバランスを調整するためにイオン電流Iiを検出する際の周期Ti以上の周期とされる。これは、イオンバランスの調整間隔に比べ、放電針2の劣化には時間を要するため、放電電流Ihの検出頻度はイオン電流Iiの検出頻度以下でもよいからである。なお、ここでは、検出の便宜を優先して、例えば、放電電流検出周期Thおよびイオン電流検出周期Tiは、共に1s(秒)とされる(図2参照)。
【0022】
イオン電流検出抵抗6Aは、高電圧パルスPL1,PL2の放電針2への印加によって生じるイオン電流Ipi,Iniを検出するための抵抗であり、検出値(電圧値)は制御回路(電流検出部の一例)5に供給される。制御回路5は、検出値に基づいて、上記所定の検出周期Ti(1s)でイオン電流Ipi,Iniを検出する。
【0023】
放電電流検出抵抗6Bは、上記放電電流Ihを検出するための抵抗であり、検出値(電圧値)は制御回路5に供給される。制御回路5は、検出値に基づいて、上記所定の検出周期Thで放電電流Ihを検出する。
【0024】
高圧生成部20は、プラスイオンあるいはマイナスイオンを発生するための高電圧パルスPL1,PL2を生成し、高電圧パルスPL1,PL2を放電針2に印加する。詳しくは、高圧生成部20は、プラスイオンを発生するためのプラス高電圧パルスPL1を生成するプラス高圧生成部20Aと、マイナスイオンを発生するためのマイナス高電圧パルスPL2を生成するマイナス高圧生成部20Bとを含む。
【0025】
プラス高圧生成部20Aの構成は、ほぼ周知の高電圧発生回路の構成であり、切替スイッチ21A、プラス側発振回路22A、昇圧用トランス23A、倍電圧発生回路24Aおよび出力抵抗25Aを含む。同様に、マイナス高圧生成部20Bは、切替スイッチ21B、マイナス側発振回路22B、昇圧用トランス23B、倍電圧発生回路24Bおよび出力抵抗25Bを含む。プラス高圧生成部20Aおよびマイナス高圧生成部20Bは、ここでは、制御回路5による切替スイッチ21Aおよび切替スイッチ21Bの切替え時間の制御によって、所定のパルス幅PW1,PW2を有するプラス高電圧パルスPL1およびマイナス高電圧パルスPL2を発生する。ここでは、プラス高電圧パルスPL1の電圧は、例えば、+7kVであり、マイナス高電圧パルスPL2の電圧は、例えば、−7kVである。なお、プラス高電圧パルスPL1,PL2を生成する構成は、各プラス高圧生成部20A,20Bの構成に限られない。
【0026】
また、無効電流帰還用シールド4は、プラス高圧生成部20Aの昇圧用トランス23Aの二次側コイルの低圧側端子に接続され、寄生容量を介して流れる電流を昇圧用トランス23Aの二次側コイルに戻す。
【0027】
制御回路(制御部の一例)5は、電流検出回路6によって検出された電流に基づいて、高圧生成部20による高電圧パルスPLの生成を制御する。
詳しくは、制御回路5は、プラス高電圧パルスPL1およびマイナス高電圧パルスPL2が交互に放電針2に印加されるように、プラス高圧生成部20Aおよびマイナス高圧生成部20Bを切替え制御する。詳しくは、上記したように、制御回路5は、切替スイッチ21Aおよび切替スイッチ21Bの切替え時間の制御によって、プラス高電圧パルスPL1およびマイナス高電圧パルスPL2の各パルス幅PW1,PW2を制御する。
【0028】
イオンバランスを調整する際に、制御回路5は、プラス高電圧パルスPL1が印加される時のイオン電流Ipiおよびマイナス高電圧パルスPL2が印加される時のイオン電流Iniを検出し、トータルでゼロとなるように、各パルス幅PW1,PW2を制御することによって、除電装置のイオンバランスをとる。
【0029】
各イオン電流Ipi、Iniを検出する際に、制御回路5は、図2に示されるように、各イオン電流Ipi、Iniが検出される際の各高電圧パルスPL1,PL2のパルス幅である検出パルス幅PW3,PW4を、通常除電時の各高電圧パルスPL1,PL2のパルス幅である通常パルス幅PW1,PW2より広いパルス幅とする。すなわち、検出パルス幅PW3,PW4が通常パルス幅PW1,PW2より広いパルス幅となるように、各切替スイッチ21Aおよび切替スイッチ21Bを制御する。
【0030】
ここで、検出パルス幅PW3,PW4は、検出される各イオン電流Ipi、Iniが高電圧パルスPL1,PL2の印加による過渡期間K1後の定常状態期間K2を有するようなパルス幅とされる。そして制御回路(電流検出部の一例)5は、定常期間K2のタイミングにおいて各イオン電流Ipi、Iniを検出する。
なお、ここで「定常期間」とは、例えば、1ms当たりの電流の変化量が、最大電流値(過渡電流の最大値)の1%以下である期間のことをいう。具体的な過渡期間K1および定常期間K2は、事前に、実験等によって決定される。
【0031】
本実施形態では、検出パルス幅PW3,PW4は、例えば、通常パルス幅PW1,PW2を10msとすると、検出パルス幅PW3,PW4は、例えば、その5倍の50msに設定される。すなわち、プラス高電圧パルスPL1およびマイナス高電圧パルスPL2が50Hz(周期T1=20ms)の高い周波数で切替えられる場合であっても、電流検出時には、各検出パルス幅PW3,PW4が50msとされることによって、制御回路(電流検出部の一例)5は、各イオン電流Ipi、Iniの定常状態期間K2において、電流を検出することができる。そのため、放電用パルスPL1、PL2の周波数を、例えば、10Hzから50Hzに上げた場合であっても各イオン電流Ipi、Iniを正確に検出することができる。
【0032】
なお、ここで各検出パルス幅PW3,PW4を、50msとしたのは、過渡期間K1(過渡電流の影響)および上記定常期間K2を考慮して実験等で確認された一例であり、これに限定されない。
また、ここで、イオン電流検出周期Tiは、除電動作に対する電流検出の影響を抑制するために、例えば、各検出パルス幅PW3,PW4を加算した時間の10倍以上であることが好ましい。ここでは、検出パルス幅PW3,PW4を加算した時間が100msであるため、イオン電流検出周期Tiは、上記したように、1sとされる。
【0033】
また、本実施形態では、制御回路5は、プラス高電圧パルスPL1の検出パルス幅PW3と、マイナス高電圧パルスPL2の検出パルス幅PW4とが等しくなるように各切替スイッチ21Aおよび切替スイッチ21Bの切替えタイミングを制御する。そのため、印加パルスとして同一条件のもとに各イオン電流Ipi,Iniを検出することができる。なお、必ずしも検出パルス幅PW3と検出パルス幅PW4を等しくしなくてもよい。要は、各検出パルス幅PW3,PW4は、電流を検出する定常期間K2が確保できる、パルス幅であればよい。
【0034】
また、放電針2の劣化度(摩耗・劣化)を検出する際に放電電流Ihを検出する場合においても、図2に示されるように、制御回路5は、上記各イオン電流Ipi、Iniの検出と同様に、放電電流Ihが検出される際の各高電圧パルスPL1,PL2のパルス幅である検出パルス幅PW3,PW4を、通常除電時の各高電圧パルスPL1,PL2のパルス幅である通常パルス幅PW1,PW2より広いパルス幅とする。
なお、イオン電流Iiと放電電流Ihとは、その大きさは異なるものの、電流Iiの波形と放電電流Ihの波形とは、ほぼ同様の波形となる(図2参照)。
【0035】
2.実施形態の効果
イオンバランス調整、あるいは放電針2の劣化度検出ために、各イオン電流Ipi,Iniあるいは放電電流Ihの検出時には、通常パルス幅PW1,PW2より広いパルス幅である検出パルス幅PW3,PW4の高電圧パルスPL1,PL2が放電針2に印加される。その際、検出パルス幅PW3,PW4は、各電流Ipi,Ini,Ihが検出パルス幅PW3,PW4の高電圧パルスPL1,PL2の印加による過渡期間K1後の定常期間K2を有するようなパルス幅に設定されたものであり、そのの定常期間K2において各電流Ipi,Ini,Ihが検出される。そのため、通常除電時の高電圧パルス(放電用パルス)の周波数を上げた場合であっても放電に係る各電流Ipi,Ini,Ihを好適に検出することができる。特に、イオンバランスを調整する際に、イオン電流Ipi,Iniが適切に検出されるため、イオンバランスの調整を正確に行える。
【0036】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0037】
(1)上記実施形態では、除電装置10としては、放電針(放電電極)2に、プラスイオンを発生するためのプラス高電圧パルスPL1と、マイナスイオンを発生するためのマイナス高電圧パルスPL2を交互に所定の周期で印加する例を示したがこれに限られない。本発明は、例えば、プラス高電圧パルスPL1のみ、あるいはマイナス高電圧パルスPL2のみを発生し、プラス高電圧パルスPL2のみ、あるいはマイナス高電圧パルスPL2のみを放電電極2に印加するタイプの除電装置にも適用できる。
【符号の説明】
【0038】
2…放電針(放電電極)
3…対向電極
5…制御回路(制御部、電流検出部)
6…電流検出回路(電流検出部)
6A…イオン電流検出抵抗
6B…放電電流検出抵抗
10…除電装置
20…高圧生成部
20A…プラス高圧生成部
20B…マイナス高圧生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオンを対象物に向けて放出して対象物を除電する除電装置であって、
放電によって前記イオンを放出する放電電極と、
前記イオンを発生するための高電圧パルスを生成し、前記高電圧パルスを前記放電電極に印加する高圧生成部と、
前記高電圧パルスの前記放電電極への印加によって生じる電流を所定の検出周期で検出する電流検出部と、
前記高圧生成部による前記高電圧パルスの生成を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記電流が検出される際に、通常除電時の前記高電圧パルスのパルス幅である通常パルス幅より広いパルス幅である検出パルス幅の高電圧パルスを生成するように前記高圧生成部を制御し、
前記検出パルス幅は、前記電流が前記検出パルス幅の高電圧パルスの印加による過渡期間後の定常期間を有するようなパルス幅に設定されたものであり、
前記電流検出部は、前記電流の定常期間において前記電流を検出する、除電装置。
【請求項2】
前記高圧生成部は、
プラスイオンを発生するためのプラス高電圧パルスを生成するプラス高圧生成部と、マイナスイオンを発生するためのマイナス高電圧パルスを生成するマイナス高圧生成部とを含み、
前記制御部は、
前記プラス高電圧パルスおよび前記マイナス高電圧パルスが交互に前記放電電極に印加されるように、前記プラス高圧生成部およびマイナス高圧生成部を切替え制御し、
前記電流検出部によって前記電流を検出する際に、前記検出パルス幅の前記プラス高電圧パルスおよび前記マイナス高電圧パルスを生成するように各高圧生成部を制御する、請求項1に記載の除電装置。
【請求項3】
前記電流は、前記イオンの放出によってグランドを介して高圧生成部に戻るイオン電流であり、
前記電流検出部は、前記対象物を除電する際のイオンバランスを調整する際に、前記イオン電流を検出するイオン電流検出抵抗を含み、
前記制御部は前記イオン電流検出抵抗によって検出されたイオン電流に基づいて、前記高圧生成部による前記高電圧パルスの生成を制御する、請求項1または請求項2に記載の除電装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記プラス高電圧パルスの検出パルス幅と、前記マイナス高電圧パルスの検出パルス幅とが等しくなるように各高圧生成部を制御する、請求項2または請求項3に記載の除電装置。
【請求項5】
前記放電電極と対向する対向電極をさらに備え、
前記電流検出部は、前記放電電極の劣化度を検出するために、前記高電圧パルスの前記放電電極への印加の際に対向電極を介して流れる対向電極電流と前記イオン電流との和である放電電流を検出する放電電流検出抵抗をさらに含み、
前記放電電流を検出する周期は、前記イオン電流を検出する周期以上の周期とされる、請求項3または請求項4に記載の除電装置。

【図1】
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【図2】
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