説明

隠蔽カードおよびその製造方法

【課題】簡単な構成を有する隠蔽カードであって、隠蔽層表面からの紫外線照射によって確実に識別でき、かつ太陽光や室内光によっては視認できない鮮明な蛍光絵柄を有する隠蔽カード、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】蛍光絵柄7を隠蔽層6を積層する前のカード状基材側2に予め形成しておき、隠蔽層を積層するときに、蛍光絵柄の蛍光材を隠蔽層を通って隠蔽カードの表面方向に拡散させ、隠蔽層表面からの紫外線照射による蛍光絵柄の識別を可能とさせる。自然光では絵柄が識別出来ないので偽造防止に適し、また磁気再生出力を変動させることも少ない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレジットカード、銀行カードなどのカード状磁気記録媒体であって、カード用基材上の磁気記録層を隠蔽する隠蔽層を有した隠蔽カード及びその製造方法に関する。さらに該隠蔽層表面への紫外線照射により識別可能な蛍光絵柄を印刷した隠蔽カード及び該隠蔽カードの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
クレジットカード、銀行カードなど高い意匠性を要求される磁気カードにおいては、磁気ストライプと呼ばれるストライプ状の磁気記録層部分を含む基材上全体に隠蔽層を設け、磁気記録層が元来持つ磁性粉由来の黒色、茶色を完全に隠蔽した隠蔽層を形成し、該隠蔽層の上に図柄を印刷し意匠性を付与した隠蔽カードが従来より知られている。
【0003】
一方、クレジットカード、銀行カードなどセキュリティ性を重要視される隠蔽カードにおいては、偽造防止の手段として磁気記録層とともに蛍光絵柄が設けられているものが知られている。この蛍光絵柄は、太陽光や室内光に含まれる程度の紫外線では視認できず、紫外線照射により初めて蛍光絵柄として視認できることが必要であり、これによりカードの真偽を判断することが行われている。
上記の真偽判断に使用される磁気カードとしては、磁気記録層と磁気記録層の色相を隠蔽する隠蔽層の間に蛍光絵柄層を設ける方法が開示されている。(特許文献1)。
また、蛍光絵柄を有する磁気カードとして、磁気記録層上の構成層を転写用基材上に剥離層、オーバーコート保護層、絵柄印刷層、隠蔽層、蛍光絵柄領域を順次形成し、これを磁気記録層を形成したカードに転写させたカードおよびその製造方法が開示されている。(特許文献2)
更に、紫外線を照射した場合に十分な強さの蛍光を得られるようにした別の方法による隠蔽カードおよびその製造方法として、カード基材上の磁気記録層上に第1隠蔽層、蛍光インキ印刷層、第2隠蔽層、プロセスインキ印刷層、表面保護層を順次形成する方法が開示されている。(特許文献3)
【0004】
しかし、このようなカードにおいては、太陽光、室内光に含まれる紫外線では視認できないように隠蔽層により蛍光絵柄を隠蔽しているものの(特許文献1参照)、蛍光絵柄が照射紫外線で明瞭に識別でき、同時に太陽光や室内光では全く視認できないように隠蔽層の膜厚を調整することは必ずしも容易ではない。磁気記録層のみを隠蔽する隠蔽層を第1隠蔽層として設け、該隠蔽層上に形成した蛍光インキ印刷層を専用の第2隠蔽層で隠蔽するような構成を用いても(特許文献3参照)、厚い隠蔽層によって蛍光絵柄が紫外線照射時に識別出来なくなる可能性はなくなるものの、依然、日光や室内光の紫外線で視認されることを防ぐ視認性調節のための膜厚調整は必要である。また層構成が複雑になるため磁気記録層の再生出力の低下が避けられない。一方特許文献2に記載された隠蔽カードにおいては、転写用基材上にオーバーコート層、絵柄印刷層、隠蔽層と蛍光絵柄領域を予め形成し、隠蔽層に蛍光インクを浸透させて太陽光や室内光による視認を防ぎつつ、紫外線照射による識別性を確保している。しかし蛍光インクの浸透の段階で絵柄の鮮明度が失われる可能性があり、適度な浸透性を確保するためには蛍光インクと隠蔽層の組成の組み合わせを考慮し選択する必要があり、設計の自由度が限られている。
【特許文献1】実開平3−40615号公報
【特許文献2】特開平9−309287号公報
【特許文献3】特開2002−2160号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、隠蔽層表面からの紫外線照射によって確実に識別でき、かつ太陽光や室内光によっては視認できない鮮明な蛍光絵柄を有する隠蔽カード、及びその簡便な製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、カード用基材上の少なくとも一部に磁気記録層を有し、該磁気記録層を有する側のカード用基材全面を隠蔽して積層された隠蔽層を有し、かつ前記隠蔽層表面への紫外線照射により識別可能な蛍光絵柄を有する隠蔽カードの製造方法であって、前記蛍光絵柄は前記隠蔽層を積層前のカード用基材側に予め形成され、該蛍光絵柄の蛍光剤を該隠蔽カード形成時の表面となる方向に拡散させて、該蛍光絵柄を識別可能にすることを特徴とする隠蔽カードの製造方法を提供する。
また本発明は、カード用基材上の少なくとも一部に磁気記録層を有し、該磁気記録層を有する側のカード用基材全面を隠蔽して積層された隠蔽層を有し、かつ該隠蔽層表面への紫外線の照射によって識別可能な蛍光絵柄を有する隠蔽カードであって、前記蛍光絵柄を形成する蛍光剤は前記蛍光絵柄に対応する位置の少なくとも前記隠蔽層の膜厚方向全幅にわたって分布していることを特徴とする隠蔽カードを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の隠蔽カード製造方法によれば、蛍光絵柄は隠蔽層を積層する前のカード用基材側に予め形成され、該蛍光絵柄の蛍光剤を該隠蔽カード形成時の表面となる方向に拡散させるため、蛍光剤は隠蔽層の膜厚方向全幅にわたって分布する。このため照射紫外線が隠蔽層の各深さ部分で蛍光を発光させ、必ずしも全膜厚を透過しなくても蛍光発光を識別することができる。
したがって、蛍光剤が隠蔽層の下方の蛍光絵柄の形成領域に局在していたのでは識別できないほど隠蔽層の膜厚が厚いときでも、蛍光絵柄を識別することが可能で、隠蔽層の膜厚調整を細かく行う必要がない。一方太陽光や室内光に含まれる紫外線成分は弱く、これによる蛍光発光強度が低い上、隠蔽層表面における反射光の反射も高いため蛍光絵柄を視認レベル以下に抑えることができる。このため偽造防止の手段としても有効に用いることができる。さらに蛍光絵柄は隠蔽層を積層する前のカード用基材側に予め形成されるため、蛍光絵柄形成時に蛍光インクの溶剤で隠蔽層が侵されることがない。
また隠蔽層の表面、隠蔽層内部、もしくは隠蔽層と磁気層の間には絵柄に対応した蛍光剤が層状に局在化せず、膜厚方向に拡散して分布している。このため蛍光絵柄の形成領域が原因となって、絵柄部と非絵柄部とで、記録再生時の磁気ヘッドと磁気記録層との間の距離であるスペーシングが異なる事が無く一定に維持される。したがって蛍光絵柄による磁気出力の変動を全く発生させなくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明による隠蔽カードおよびその製造方法を詳細に説明する。
本発明の隠蔽カード製造方法においては、蛍光絵柄は隠蔽層を積層する前のカード用基材側に予め形成され、蛍光絵柄の蛍光剤が前記隠蔽層、または前記磁気記録層及び前記隠蔽層等を通って該隠蔽カード形成時の表面となる方向に拡散される。
図1に本発明による隠蔽カードの一実施形態の断面図を示す。隠蔽カードは、センターコア2、3の、両端に各種機能層が塗布、転写されたオーバーシート1、4を熱圧着で一体化してなる。表側のオーバーシートには磁気記録層5が転写されており磁気記録層5とオーバーシート全面を隠蔽層6が被覆している。隠蔽層6または隠蔽層と磁気記録層の膜厚方向には蛍光剤領域9が分布しており、隠蔽層6の上には蛍光剤拡散防止層8があってもよく、該蛍光剤拡散防止層は保護層を兼ねていても良い。なお隠蔽層上であって磁気記録層の上部以外の箇所または裏面のセンターコア表面には、印刷によって通常の絵柄7を形成することができる。
【0009】
本発明の隠蔽カードの製造方法においては、蛍光絵柄は隠蔽層を積層する前のカード用基材側に予め形成され、蛍光絵柄の蛍光剤が前記隠蔽層等を通って該隠蔽カードの表面方向に拡散されるが、蛍光絵柄を形成する位置と方法、蛍光剤を拡散させる方法及び隠蔽層、蛍光剤拡散防止層等を形成する方法の点でいくつかの選択肢がある。
図2に転写基材からオーバーシートとセンターコアとを熱圧プレスで一体化するに際し蛍光絵柄を形成し、隠蔽層を形成する前の隠蔽カード用基材までを作製する工程図が記載されている。工程図には3通りの蛍光絵柄形成工程、(CI)、(CII)、(CIII)が記載されているが、これらは3つのうちから唯一の選択肢であって、いずれか一つの工程による絵柄形成を選択した場合には、他の2つの絵柄形成工程を行う必要は無い。
また点線で囲った転写材加熱工程(エージング工程)(CI)−2は(CI)の絵柄形成工程を行うときに必ずしも必須ではない。
【0010】
本発明の隠蔽カード製造方法において当該蛍光絵柄を磁気記録層部分のみに設けるときは、オーバーシートに磁気記録層11を形成するための転写用積層体14(図3)を用いて磁気記録層11と同時にオーバーシート4上に形成することができる。蛍光絵柄形成領域を前記転写用積層体に形成する位置としては該転写用積層体14の転写用基材10と磁気記録層11との間、磁気記録層11と感熱接着剤層12との間、感熱接着剤層12の表面等が可能であるが、少なくとも蛍光絵柄決定から転写用積層体を迅速に製造できること、さらに蛍光絵柄変更に迅速に対応できることのためには、蛍光絵柄形成は転写用積層体作製の最終工程に近いことが好ましく、蛍光絵柄形成領域は感熱接着剤層上に形成されることが好ましい。図2の(CII)においても蛍光絵柄形成領域が感熱接着剤層上に形成される場合を示してある。
これらの位置に形成された蛍光絵柄形成部分は、転写工程によって磁気記録層とともにオーバーシート上へ転写され、センターコアやセンターコア反対面のオーバーシートとともに熱圧プレスで一体化されるときに、前記転写用積層体に形成された蛍光絵柄形成部分の蛍光剤が転写材の表面方向へと拡散する。なお転写材の蛍光剤は前記熱圧プレスをする前、転写用積層体をエージングするときに、転写材を通って転写後の表面方向となる転写用基材側に予め拡散させることができ、このように、転写用積層体に対しエージング(CI)−2と熱圧プレスEを併用する事も可能である。
【0011】
本発明における蛍光絵柄形成方法で形成される隠蔽カードにおいては、蛍光剤は蛍光絵柄形成領域に局在化せず、拡散によって対応する位置の膜厚方向に分布する。しかし蛍光絵柄形成による磁気再生出力の変動をより小さく抑えるためには、蛍光絵柄は転写用積層体中で磁気記録層よりも上側に形成され、転写によって磁気記録層とオーバーシートとの間に転写され、熱圧プレスによって蛍光剤が磁気記録層の対応する位置の膜厚方向に拡散することが好ましい。このように蛍光絵柄を磁気記録層より下側に形成することにより、蛍光剤は磁気記録層、隠蔽層中に拡散浸透しそれぞれの全幅にわたって分布し存在するようにできるため、磁気記録層上部の特定部分のみに蛍光剤が局在することを防ぐことができる。このため、磁気再生出力への影響を全く起こす事がない。
【0012】
このようにして形成された隠蔽カード用基材上に、隠蔽層と、必要に応じて蛍光剤拡散防止層を塗布工程(FI)(図4)または転写工程(FII)(図5)で形成する。これら新たに基材上に設けられた層は熱圧プレス(G)されることによって隠蔽カード用基材と密着し、またこのときに蛍光剤が隠蔽層を通ってさらに表面方向へと拡散する。
図2、図4、図5においては隠蔽層と蛍光剤拡散防止層は、隠蔽カード用基材を熱圧プレス(E)によって一体化したのちに、さらにその表面に再度熱圧プレス(G)をして形成されるが、隠蔽層とこれら蛍光剤拡散防止層をあらかじめ磁気記録層を転写したオーバーシートの基材上に転写しておき、センターコア、反対面のオーバーシートとともに一度に熱圧プレスして一体化してもよい。
【0013】
蛍光絵柄を磁気記録層部分に形成する別の方法として、磁気記録層を転写する前に該磁気記録層を転写工程で形成する位置のオーバーシート側に形成してもよい(図3、図2(CII))。このように形成された絵柄形成領域はその上に感熱接着剤層12を介して磁気記録層11が転写され、蛍光絵柄形成領域の蛍光剤は、センターコア等と一体化される熱圧プレス時に感熱接着剤層12と磁気記録層11を通って隠蔽カード表面方向へと拡散する。その後さらにその上に隠蔽層6、蛍光剤拡散防止層8が形成されてさらに熱圧プレスが行われ、蛍光剤は、隠蔽層を通ってさらに隠蔽カードの表面方向へと拡散する。
このときの熱圧プレスは、隠蔽層と拡散防止層のない隠蔽カード用基材を熱圧プレス(E)で形成し、さらに隠蔽層等を熱圧プレス(G)で積層するものであってもよいが、隠蔽層と、必要に応じて隠蔽層上に形成される蛍光剤拡散防止層等を予め、磁気記録層等が形成されたオーバーシート上に転写しておき、センターコア、他のオーバーシートとともに熱圧プレスで一度に一体化するものであっても良い。
【0014】
オーバーシート基材上に予め蛍光絵柄を形成するときに基材全面に蛍光絵柄を形成してもよい。このようにするとその後の工程で、蛍光剤等の一部は磁気記録層と隠蔽層を通って隠蔽カード形成後の表面方向に拡散し、他の一部は隠蔽層を通って隠蔽カード形成時の表面方向に拡散する。このようにして、カード全面にわたって識別可能な蛍光絵柄が形成される。
オーバーシート基材全面に蛍光絵柄形成領域を形成するときは、磁気記録層がすでに形成されたオーバーシートとセンターコアとが貼りあわされて作製された隠蔽カード用基材に対して、一部を基材上に、一部を磁気記録層上にかかるように形成してもよい(図2(cIII))。これら絵柄形成部分の蛍光剤は、前記したような隠蔽層や蛍光剤拡散防止層形成の熱圧プレスによって隠蔽層を通って隠蔽カード表面方向へと拡散する。
均一な蛍光絵柄をカード全面に形成するためには、磁気記録層をオーバーシート上に形成し、隠蔽カード用基材を形成してから一度に絵柄を形成したほうが、拡散距離が等しいため好ましい。しかし磁気再生出力の変動を低下させることを優先するとき、あるいは日光や室内光によって蛍光絵柄が視認されることをより完全に防ぐためには、磁気記録層の転写前のオーバーシート上に予め蛍光絵柄を形成しておいた方が、蛍光剤等が磁気記録層上に局在化しないため好ましい。
【0015】
以下、本発明の隠蔽カードの製造方法において、隠蔽カードを構成する各層についてさらに詳細を述べる。
オーバーシート、センターコアシートに用いるカード用基材としては、目的とする使用に耐えうる機械特性、耐水性、耐薬品性等が必要でありポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート(PC)、非結晶コポリエステル(PET−G)等の合成樹脂シートが使用される。厚みはオーバーシートが50〜100μm程度であり、センターコアシートは1枚使用する場合は540〜640μmであり、2枚使用する場合はそれぞれ270〜320μmである。
【0016】
本発明の隠蔽カードの製造方法において、基材の少なくとも一部を被覆する磁気記録層は転写工程または塗布工程によって形成することができる。塗布工程によって形成するときは下記の磁性粉末及び結着剤樹脂を含有する磁性塗料を基材上に塗布するが、転写工程によって形成するときは下記の磁気記録層用転写テープを用いる。
磁気記録層用転写テープは転写用基材上に磁気記録層と感熱接着剤層を積層してなり、該感熱接着剤層上に蛍光絵柄形成領域を形成することができる。
【0017】
該磁気記録層を転写工程によって形成するときに用いる磁気記録層用転写テープに用いる転写基材フィルムとしては公知慣用のフィルムがいずれも使用できる。例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル類、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、セルローストリアセテート等のセルロース誘導体、ポリアミド等のプラスチック等を挙げることができる。中でも抗張力や耐熱性を兼ね備えたポリエチレンテレフタレートが好ましい。また、転写基材フィルムの厚さには特に制限はないが、通常3〜100μm、好ましくは5〜50μmである。
【0018】
転写用基材上の磁気記録層は、例えば磁性粉末、結着樹脂および結着樹脂を溶解する溶剤を含有した磁性塗料を転写用基材上に塗布、乾燥することによって形成することができる。
磁性粉末としては、γ−酸化鉄、マグネタイト、コバルト被着酸化鉄、2酸化クロム、鉄系メタル磁性粉、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト等の公知の磁性粉末を用いることができ、保磁力が20〜320kA/mの範囲のものが好ましい。
磁気記録層に用いる結着樹脂としては、公知慣用の結着樹脂が使用できる。例えば、セルロース系樹脂、ブチラール樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニルと酢酸ビニルの共重合体、あるいは、さらにビニルアルコール、無水マレイン酸あるいはアクリル酸などを加えた共重合体等の塩化ビニル系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、およびこれらの樹脂の混合物を挙げることができる。また、イソシアネート化合物を用いて熱硬化することもできる。
蛍光絵柄形成領域の蛍光剤は磁気記録層を通って転写材表面へと拡散させることができる。拡散の速度、難易度は樹脂の種類によって異なるが、転写材に加えられる温度と磁気記録層に用いる樹脂を適宜選択して調整することができる。着色剤の拡散を容易にするためには磁気記録層に用いる結着剤樹脂のTgが転写材に加えられる温度より低いことが好ましい。
【0019】
また、磁気記録層用塗料に用いる溶剤としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、エタノール等のアルコール類、ヘキサン、トルエン、キシレン等の炭化水素類を挙げることができ、これらの溶剤は、2種類以上を混合して使用することもできる。
磁気記録層用塗料には、必要に応じて界面活性剤、シランカップリング剤、可塑剤、ワックス、シリコーンオイル等の助剤類、さらにはカーボンブラックその他のフィラー類を添加することもできる。
【0020】
磁気記録層用塗料は、例えば上記磁性粉末、結着樹脂、溶剤を公知慣用の方法により、混練分散する事によって得られる。混練分散機としては、例えば二本ロールミル、三本ロールミル、ボールミル、ヘンシェルミキサー、コボルミル、サンドミル、ディスパー、ホモジナイザー、ニーダー、等が使用できる。
磁気記録層用塗料の塗布方法においては、特に制限はなく、公知慣用の塗布方式を使用して良く、磁気塗料を所定量塗布後、磁性粉末の磁化容易方向が磁気記録層の塗布長手方向になるように配向処理を行って乾燥を行う。塗布方式としては、例えばグラビア方式、リバース方式、トランスファロールコーター方式、キスコーター方式、ダイコーター方式等が使用でき、これら塗布方法によって転写用基材上に形成した乾燥前の磁気記録層塗膜中の磁性粉末の配向処理後、該塗膜乾燥することにより磁気記録層を形成することができる。
また、磁場配向処理は上記塗布方式により塗布後、塗膜が乾燥しないうちに行うことが記録再生特性の点で好ましく。磁場配向方法は、公知の方式、例えば反発対向永久磁石、ソレノイド型電磁石等を用いることができる。磁場強度としては1000〜6000Gの範囲が好ましい。
磁気記録層の乾燥膜厚は、好ましくは2〜50μmの範囲であり、さらに好ましくは5〜20μmの範囲である。
【0021】
また、転写基材フィルムと磁気記録層との間には必要に応じて、転写時において転写基材フィルムから磁気記録層の剥離を容易とする離型層を設けても良く、また、特開2002−293067号に示す中間層を形成しても良い。
【0022】
本発明の絵柄形成方法及び転写用積層体には、感熱接着剤層を用いることが出来る。感熱接着剤層は、一般的には、感熱接着性を示す樹脂を含む。
感熱接着性を示す樹脂としては、例えば、塩化ビニルと酢酸ビニルとの共重合体、あるいは、さらにビニルアルコール、無水マレイン酸あるいはアクリル酸などを加えた共重合体等の塩化ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂等を挙げることができる。
蛍光絵柄形成領域の蛍光剤は感熱接着剤層を通って転写材の表面方向に拡散させることができる。拡散の速度、難易度は感熱接着剤層に用いている樹脂の種類によって異なるが、転写材に加えられる温度と磁気記録層に用いる樹脂を適宜選択して調整することができる。蛍光剤の拡散を容易にするためには感熱接着剤層に用いる結着剤樹脂のTgが転写材に加えられる温度より低いことが好ましい。
また、感熱接着剤層に用いる溶剤としては、例えば磁気記録層のところで述べた溶剤を使用することができる。感熱接着性を示す樹脂を溶剤に溶解させ、混合攪拌して接着剤塗料を調整し、この接着剤塗料を磁気記録層上にリバース方式、グラビア方式、ダイコート方式などの公知の方式により塗布、乾燥することによって得られる。
接着剤層の膜厚は0.5〜15μmが好ましく、特に0.5〜5μmが好ましい。
【0023】
本発明の蛍光絵柄形成方法における蛍光絵柄形成領域の形成は以下の蛍光絵柄形成用インクの印刷によって行うことができる。
【0024】
紫外線の照射によって識別される蛍光絵柄を形成するときは、蛍光印刷用インクを用いることが出来る。蛍光絵柄印刷用インクは、結着剤樹脂、蛍光剤及び溶剤を含んでいる。 蛍光印刷用インクの蛍光剤としては有機系の蛍光物質を用いることができる。具体的な有機蛍光物質としては、ベンゾオキサゾールチオフィン系、ジアミノスチルベン系、イミダゾール系、クマリン系、ナフタルイミド系、希土類錯体系等の蛍光染料が挙げられる。また、市販されている蛍光物質としては、Chiba Special Chemicals社製の商品名UVITEX OB、日本化薬社製の商品名Kayalight OS、BASF社製の商品名Thermoplastシリーズ、商品名Fluorolシリーズ、 商品名Lumogenシリーズ、記録素材総合研究所社製 商品名ルミカラー等を用いることができる。
【0025】
蛍光絵柄印刷用インクに使用する結着剤樹脂としては、公知慣用の結着剤樹脂が使用できる。例えば、磁気記録層、感熱接着剤層で用いる樹脂が挙げられるが、蛍光絵柄を、磁気記録層形成用の転写用積層体の感熱接着剤層上に形成するときは、蛍光絵柄印刷を施す感熱性接着剤、およびカード用オーバーシート基材への付着性が良好で、転写用積層体上の転写材をカード用オーバーシート基材へ転写するときの接着性を阻害しない結着剤樹脂が好ましく、前記感熱接着剤用の結着剤樹脂が好適に使用できる。
蛍光絵柄印刷用インクに使用する溶剤としては、公知慣用の溶剤が使用でき、例えば、既に着色剤、磁気記録層、感熱接着剤層のところで述べた溶剤等が使用できる。
【0026】
蛍光絵柄印刷用インクは、蛍光剤を結着剤樹脂、および結着剤樹脂を溶解する溶剤中に単独、もしくは2種類以上混合し、二本ロールミル、三本ロールミル、ボールミル、サンドミル、ディスパー等の公知慣用の方法で分散させて、蛍光絵柄印刷用インクを作成する。
蛍光絵柄の印刷には、グラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、インクジェット等の公知の印刷方法を用いることが出来るが、特に印刷品質、生産性の点から、特にグラビア印刷が適している。
蛍光絵柄印刷領域の膜厚は、特に制限はないが転写用積層体中に形成するときは膜厚が厚すぎると、一般的に磁気記録層形成用の転写用積層体はリール状に巻き上げているため、非印刷領域と印刷領域との膜厚差による段差が大きいと転写用積層体上の転写材を変形させ、該転写材とカード用基材との接着性を悪化させる可能性があり、その膜厚は0.5〜5μmが好ましく、特に0.5〜2.0μmが望ましい。
【0027】
こうして蛍光絵柄印刷用インクを使用して例えば磁気記録層形成用の転写用積層体の感熱接着剤面、またはカード用オーバーシート基材の磁気記録層が転写される部分、または磁気記録層形成後のカード用基材上または磁気記録層上に蛍光絵柄を形成する。
なお蛍光絵柄を形成するときに、蛍光剤と着色顔料を混合したインクで絵柄を形成することもできる。このようにすると蛍光絵柄の有無を紫外線照射装置を用いずに目視で確認できるため、製造工程においては極めて有用である。さらにこのような絵柄においては蛍光剤と着色顔料の拡散速度の差が極めて大きいため、蛍光剤のみを拡散させて蛍光絵柄だけを顕在化させることが可能である。
【0028】
隠蔽カード用基材形成前に形成された蛍光絵柄の蛍光剤を、磁気記録層、感熱接着剤層等よりなる転写材を通って表面方向に拡散させるには、転写材をカード基材のオーバーシートに転写した後、センターコアと反対面のオーバーシートと共にプレス用鏡面板に挟み込み100〜160℃の温度をかけ数十分から数時間の熱プレス加工を行って、蛍光剤を転写後の転写材表面側に拡散させる。さらに転写用積層体中形成された絵柄を転写材内に拡散させる方法としては、転写工程前に転写用積層体を40〜80℃の高温環境下に数時間〜数日間放置させ、この熱により蛍光剤を拡散させて、転写後の転写材の表面側となる転写用基体側に予め拡散させることもできる。
【0029】
図4に前記隠蔽カード基材を使用した第一の隠蔽カード製造方法のフローチャートを示す。前述の隠蔽カード用基材上に隠蔽層、必要に応じて形成される絵柄領域、または蛍光剤拡散防止層を順に塗布し形成する。その後に、熱圧プレスを行うことで蛍光絵柄の蛍光剤が隠蔽層中を隠蔽カード形成時の表面方向に拡散することで紫外線照射により識別可能な蛍光絵柄が形成され、カード形状に打ち抜き本発明の隠蔽カードが得られる。
【0030】
本発明の隠蔽層は、結着樹脂、着色剤、顔料を成分として含有する。
着色剤に用いる顔料は、無機顔料としては、アルミナ、酸化チタン、酸化クロム、酸化鉄、酸化亜鉛、硫酸バリウムなど、有機顔料としては、アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ペリレン系、アントラキノン系、チオインジゴ系、インダンスレン系など多々あるが特に限定されるものではない。また、上記顔料に代え、あるいは併用してフタロシアニン染料、アゾ染料、ニトロ染料、キノリン染料、メチン染料、アジン染料、ファタレイン染料等の染料を用いることもできる。
【0031】
磁気層色を効果的に隠蔽可能な顔料として、リン片状金属粉も使用でき、金属としては、アルミニウム、金、銀、銅、真鍮、チタン、クロム、ニッケル、ニッケルクロム、ステンレス等を使用することができる。リン片状金属粉は板状形状にボールミル等で調整されるが、これらの形状は、面方向の大きさは、5〜25μmが好ましく、さらに好ましくは10〜15μmである。厚みは0.1〜1μm程度である。
隠蔽層用塗料に使用する結着樹脂としては、公知慣用の結着樹脂が使用できる。例えば、磁気記録層のところで述べた結着樹脂に加え、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ポリスチレン樹脂、セラック、アルキッド樹脂等が挙げられる。また、イソシアネート化合物を用いて熱硬化することもできる。
蛍光剤の拡散の速度、難易度は樹脂の種類によって異なるが、熱圧プレス時に加えられる温度と隠蔽層に用いる樹脂を適宜選択して調整することができる。着色剤の拡散を容易にするためには隠蔽層に用いる結着剤樹脂のTgが熱圧プレス時に加えられる温度より低いことが好ましい。
【0032】
隠蔽層用塗料に使用する溶剤としては、公知慣用の溶剤が使用でき、例えば、既に磁気記録層のところで述べた溶剤等が使用できる。
着色剤、顔料を結着樹脂、および結着樹脂を溶解する溶剤中に単独、もしくは2種類以上混合し、二本ロールミル、三本ロールミル、ボールミル、サンドミル、ディスパー等の公知慣用の方法で分散させて、着色層用塗料を作成し、これをリバース方式、グラビア塗布方式、ダイコート方式等の公知慣用の方式で塗布、乾燥することにより、隠蔽層を得る。
また、隠蔽層は前記リン片状金属粉を隠蔽カード用基材に塗布し、その後に着色剤を含有させた塗料を塗布することにより、効果的に磁気記録層の色相を隠蔽しリン片状金属粉が元来持つ色相以外の色相をもつ隠蔽カードを作成でき、このように複数の層を塗り重ねることもできる。
【0033】
隠蔽層の膜厚は、磁気記録層の茶色または黒色を隠蔽するには厚いことが好ましい。しかしながら、カード化した際に磁気記録層よりもカードの表層側に位置することになるため、隠蔽層の膜厚を大きくしすぎると、スペーシングが大きくなり、再生出力特性が低下し、情報読み取り時のエラー発生の可能性が増大する。また本発明の蛍光絵柄形成方法は、蛍光絵柄形成領域の蛍光剤を転写材の表面方向に拡散させて識別可能な蛍光絵柄を形成するため、蛍光絵柄形成領域上に着色剤が拡散して識別可能に保持される領域が必要である。該領域の膜厚は薄すぎると蛍光絵柄形成が十分に行われず、また蛍光剤が横方向に拡散して図柄が不鮮明になりやすい。これに対して該領域の膜厚が厚すぎるとやはり拡散領域が広がり過ぎて蛍光絵柄が不鮮明となる可能性がある。
そのため隠蔽層の膜厚は、隠蔽層の材質に応じて磁気記録層の色相を十分に隠蔽する厚さが必要であるが、上記拡散領域の観点から2μmを超えていることが好ましく3μm以上であることがさらに好ましい。また膜厚の上限としては、磁気記録層の再生出力を低減させすぎないように、15μm以下であることが好ましく10μm以下であることがさらに好ましい。
隠蔽層、感熱接着剤層、磁気記録層等、蛍光絵柄形成領域の上に位置しうる拡散領域の層厚としては、絵柄が不鮮明にならないためには50μm以下が好ましく、20μm以下がさらに好ましい。
また蛍光絵柄をより鮮明にするために蛍光剤を拡散させ、保持するためにのみ形成される蛍光剤拡散層を蛍光絵柄形成領域の上方、例えば隠蔽層のさらに上方で蛍光剤拡散防止層との間に形成することも出来る。
【0034】
蛍光剤拡散防止層は、熱により感熱接着剤層、磁気記録層、隠蔽層等を通して拡散した絵柄の蛍光剤が、蛍光剤拡散防止層を超えて更に外部に拡散することを防止する特性を有し、さらにカード製造工程において、前記蛍光絵柄形成領域の蛍光剤が熱プレス用金属板に付着するのを防止する。また、これら蛍光剤拡散防止層は、蛍光剤拡散防止層より下の積層体の保護層としての機能を果たす。なおこれら蛍光剤拡散防止層はその直下まで拡散してきた蛍光剤の絵柄を容易に識別できるように実質的に透明であることが好ましい。
また併せて照射紫外線を良く透過するものであることがさらに好ましい。
蛍光剤拡散防止層を構成する結着樹脂としては、結着剤樹脂、例えば、セルロース系樹脂、ブチラール樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニルと酢酸ビニルの共重合体、あるいは、さらにビニルアルコール、無水マレイン酸あるいはアクリル酸などを加えた共重合体等の塩化ビニル系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、およびこれらの樹脂の混合物を挙げることができる。
蛍光剤を効果的に防止するためには前記樹脂のうちでTgが、蛍光剤が拡散するときの熱圧プレス温度より高いものを使用することが好ましい。
蛍光剤拡散防止層は上記の樹脂を含有する蛍光剤拡散防止層用塗料を塗布、乾燥することによって形成される。
【0035】
蛍光剤拡散防止層用塗料に使用する溶剤としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、エタノール等のアルコール類、ヘキサン、トルエン、キシレン等の炭化水素類を挙げることができ、これらの溶剤は、2種類以上を混合して使用することもできる。
さらに、これら蛍光剤拡散防止層中には、必要に応じて、皮膜改質剤として大豆レシチン、マイクロシリカ、あるいはワックス等を添加することができる。また、ポリイソシアネート化合物などの硬化剤を添加して、樹脂バインダー分子間を架橋することは、蛍光剤拡散防止層の耐久性を向上させるために好ましい。
蛍光剤拡散防止層は、上記のように調整した蛍光剤拡散防止層用塗料をリバース方式、グラビア方式、ダイコート方式等の公知慣用の方式で仮支持体フィルム上に塗布することにより得られる。
これら蛍光剤拡散防止層の乾燥塗膜厚は、記録再生特性からいえば薄いほど良いが、強度、耐久性等とのバランスを考慮すると0.1〜5μmが好ましく、0.3〜2μmがさらに好ましい。
また、隠蔽層とこれら蛍光剤拡散防止層の間に必要に応じて通常用いられる着色インキを使用して通常の印刷方法により、絵柄を形成することもできる。
【0036】
このようにして、隠蔽カード用基材上に隠蔽層、蛍光剤拡散防止層を設けた後に
例えば温度100〜130℃、圧力10〜20kg/cm、時間5〜30分の条件により熱圧プレスすることにより蛍光剤が隠蔽層中を表面方向へと拡散し、さらにカード表面も平滑化され同時に隠蔽カードの耐久性も向上する。このように隠蔽層を積層された隠蔽カード用基材は、その後にカード形状に打ち抜き本発明の隠蔽カードが得られる。
【0037】
次に図5に第二の隠蔽カード製造方法のフローチャートを示す。第二の方法は、隠蔽層と蛍光剤拡散防止層を転写工程によって形成するものであって、転写用基材上に蛍光剤拡散防止層8、隠蔽層6、必要に応じて感熱接着剤層を塗布形成して転写用積層体とし、これにすでに磁気記録層と蛍光絵柄形成領域が形成されている前記隠蔽カード用基材の磁気記録層側に、転写用積層体の感熱接着剤層側を重ね、熱圧プレスして転写材を隠蔽カード基材上に転写させるとともに、蛍光絵柄形成領域の蛍光剤が、蛍光絵柄形成領域が当初形成されていた位置に応じて感熱接着剤や隠蔽層、あるいは磁気記録層を通って隠蔽カード形成時の表面方向へと拡散することで、紫外線照射により視認可能な蛍光絵柄が形成され。隠蔽層の形成された隠蔽カード用基材は、その後にカード形状に打ち抜き隠蔽カードが得られる。
【0038】
隠蔽層等を転写工程で積層するための隠蔽カード用転写シートに用いる転写用基材としては、磁気記録層用の転写テープに用いた転写用基材と同じ材質のものを用いることができる。また、該転写用基材の厚さには特に制限はないが、通常3〜300μm、好ましくは50〜200μmである。
本発明の転写シートを使用する隠蔽カード製造方法に使用する蛍光剤拡散防止層は、基本的には第一の隠蔽カード製造方法の説明で示した蛍光剤拡散防止層と同じ機能が要求されるため、同様な塗料を使用できるが、本製造方法では転写基材からの離型性が必要なため、蛍光剤拡散防止層に離型性が無い場合は、転写基材フィルム上にシリコーン樹脂などの離型層を塗布後に蛍光剤拡散防止層を塗布形成する。また、蛍光剤拡散防止層塗布方法も同様であり、蛍光剤拡散防止層用塗料をリバース方式、グラビア方式、ダイコート方式等の公知慣用の方式で転写基材フィルム上に塗布することにより得られる。蛍光剤拡散防止層の乾燥塗膜厚は、記録再生特性からいえば薄いほど良いが、強度、耐久性等とのバランスを考慮すると0.1〜5μmが好ましく、0.3〜2μmがさらに好ましい。
【0039】
隠蔽層は、第一の隠蔽カード製造方法の説明で示した隠蔽層用塗料、塗布方法が同様に使用でき、隠蔽層の膜厚も同様に、2〜15μm、特に3〜10μmであることが好ましい。また、蛍光剤拡散防止層と隠蔽層の間に必要に応じて通常用いられる着色インキを使用して通常の印刷方法により、絵柄を形成することもできる。
感熱接着剤は、前記隠蔽カード用基材と隠蔽カード用転写シートを熱プレスにより接着させる機能が要求され、磁気記録層を転写形成する工程で説明で示した感熱接着剤用塗料、塗布方法が同様に使用でき、感熱接着剤層の膜厚は、転写シートの感熱接着剤層が隠蔽カードにおいて磁気記録層よりもカードの表層側に位置することになり出力特性に影響を与えるため、膜厚は接着性を満足する範囲で出来るだけ薄い必要があり0.5〜5μmが好ましく、特に0.5〜2μmが好ましい。
【実施例】
【0040】
以下に実施例および比較例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない、尚、以下「部」は質量部を表すものとする。
実施例、比較例には以下に示す、磁気記録層用転写テープおよび各塗料を使用する。
【0041】
〈1.磁気記録層用転写テープの作製〉
転写基材フィルムに厚み24μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に中間層、磁気記録層、及び感熱接着剤層を形成するために以下の各塗料を作製した。以下「部」は
「質量部」を表す。
【0042】
(中間層用塗料)
α酸化鉄 100部
(戸田工業社製『DNS−235 』)
塩化ビニル共重合体 11.0部
(日信化学社製『ソルバインTA2』)
セルロース系樹脂 11.0部
(イーストマンケミカル社製、『CAP−482−0.5』)
ポリイソシアネート 8.8部
(大日本インキ化学工業社製『ハードナーNo.50』(有効成分:50%)
ソルビタンモノステアレート 5部
(花王社製『SP−S10』)
MEK 400部
トルエン 400部
シクロヘキサノン 200部
上記の材料を、ボールミルにて分散混合し、中間層用塗料を作製した。
【0043】
(磁気記録層用塗料)
六方晶フェライト磁性粒子 100部
{戸田工業社製『MC−906』保磁力 51.7(kA/m)}
塩化ビニル系樹脂 10部
(日本ゼオン社製『MR−110』)
ポリウレタン樹脂 5部
(大日本インキ化学工業社製『T−5206』)
ソルビタンモノステアレート 5部
(花王社製『SP−S10』)
ポリイソシアネート 6部
(大日本インキ化学工業社製『ハードナーNo.50』(有効成分:50%)
MEK 50部
トルエン 50部
シクロヘキサノン 15部
上記材料を用い、特開平09−059541に示す方法により磁気記録層用塗料を作製した。
【0044】
(感熱接着剤層用塗料)
ポリウレタン樹脂 1部
(大日本インキ化学工業社製『TS−03』)
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂 4部
(日信化学社製『ソルバインC5』)
MEK 45部
トルエン 50部
【0045】
上記の材料を、ディスパーにて攪拌し充分に溶解させ均一化を行い、感熱接着剤塗料を作製した。
転写用支持体フィルムとして、厚み24μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、このフィルムの片面上に中間層用塗料を塗布し、乾燥膜厚0.5μmの中間層を形成した。該中間層の上に磁気記録層用塗料を塗布し、乾燥膜厚12μmの磁気記録層を形成した。さらに該磁気記録層の上に感熱接着層用塗料を塗布し、乾燥膜厚1.5μmの感熱接着層を形成し、磁気記録層用転写テープを作成した。
【0046】
〈2.蛍光絵柄印刷用インク作成〉
(蛍光印刷用インク〔A〕)
蛍光物質〔A〕 2部
(Ciba Specialty Chemicals社製『UVITEX OB』)
ポリウレタン樹脂 2部
(大日本インキ化学工業社製『TS−03』)
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂 8部
(日信化学社製『ソルバインC5』)
MEK 44部
トルエン 44部
上記の材料を、ディスパーにて攪拌し充分に溶解させ均一化を行い、絵柄用インク〔A〕を作製した。
【0047】
(蛍光印刷用インク〔B〕)
蛍光物質〔B〕 2部
(BASF社製『Lumogen F Violet 570』)
ポリウレタン樹脂 2部
(大日本インキ化学工業社製『TS−03』)
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂 8部
(日信化学社製『ソルバインC5』)
MEK 44部
トルエン 44部
上記の材料を、ディスパーにて攪拌し充分に溶解させ均一化を行い、絵柄用インク〔B〕を作製した。
【0048】
〈3.蛍光拡散防止層用塗料の作製〉
(蛍光剤拡散防止層用塗料(転写基材からの離型性有り))
セルロースアセテート樹脂 8部
(ダイセル化学社製『L−20』)
セルロースアセテートプロピオネート樹脂 2部
(イーストマンケミカル社製『CAP−504−0.2』
アセトン 25部
酢酸エチル 25部
トルエン 20部
シクロヘキサノン 20部
ポリイソシアネート 4部
(大日本インキ化学工業社製『ハードナーNo.50(有効成分:50%)
上記の材料の内、ポリイソシアネートを除く全てを、ディスパーにて攪拌し充分
に溶解させた後に上記のポリイソシアネートを添加し、更にディスパーにて攪拌均一化を行い、蛍光剤拡散防止層用塗料を作製した。
【0049】
〈4.隠蔽層用塗料の作製〉
(隠蔽層用塗料)
リン片状金属粉:アルミニウム粉末 20部
(昭和アルミパウダー社製『210EA』)
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂 16部
(ユニオンカーバイド社製『VAGH』)
ポリウレタン樹脂 4部
(大日本インキ化学工業社製『TS−03』)
メチルエチルケトン 75部
トルエン 75部
シクロヘキサノン 17部
ポリイソシアネート 5部
(大日本インキ化学工業社製『ハードナーNo.50(有効成分:50%)』)
上記の材料の内、ポリイソシアネートを除く全てを、ディスパーにて攪拌し充分に溶解
させた後に上記のポリイソシアネートを添加し、更にディスパーにて攪拌均一化を行い、着色層用塗料を作製した。
【0050】
(実施例1)
蛍光絵柄印刷として、上記作成した磁気記録層用転写テープの感熱接着剤層面上に蛍光印刷用インク〔A〕をグラビア印刷方式により絵柄部分の乾燥膜厚が1μmとなるように図6に示すよう蛍光絵柄印刷を行った。
次に、上記で作製した磁気記録層用転写テープの感熱接着剤層をポリ塩化ビニル製のカード基体用オーバーシート(太平化学社製)に重ね、ヒートシーラー(テスター産業社製)により温度120℃、圧力1kg/cm、時間5秒加熱加圧条件下で接着させ、転写基材フィルムを除去した。その後に卓上型テストプレス機(テスター産業社製)によりカード基体用センターコアと反対面のオーバーシートと共に温度130〜140℃、圧力20kg/cm、時間20分加熱加圧しての条件下で熱プレス加工し、十分冷却を行い、隠蔽カード用基材を作製した。
次に、上記で作製した隠蔽カード用基材上に隠蔽層用塗料を塗布し乾燥膜厚5μmの隠蔽層を形成し、その上に蛍光剤拡散防止層用塗料を塗布し乾燥膜厚1μmの蛍光剤拡散防止層を形成し、その後に卓上型テストプレス機(テスター産業社製)により、温度120℃、圧力17kg/cm、時間20分加熱加圧しての条件下で熱圧プレス加工し、十分冷却を行い、隠蔽カードを作製した。
【0051】
(実施例2)
実施例1の蛍光絵柄印刷において、蛍光印刷用インクを蛍光印刷用インク〔B〕とした以外は実施例1と同様にして隠蔽カードを作成した。
【0052】
(実施例3)
実施例1において、蛍光絵柄印刷を磁気記録層転写テープに行わず、カード用基材オーバーシートの磁気ストライプが転写される部分に蛍光絵柄用インク〔A〕を用いてグラビア印刷方式により絵柄部分の乾燥膜厚が1μmとなるよう図7に示すように、蛍光絵柄印刷を行った。それ以降は、実施例1の隠蔽カード作成方法と同様にして隠蔽カードを作成した。
【0053】
(実施例4)
実施例3の蛍光絵柄印刷において、蛍光印刷用インクを蛍光印刷用インク〔B〕とした以外は実施例3と同様にして隠蔽カードを作成した。
【0054】
(実施例5)
転写基材フィルムに厚み188μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いその上に、蛍光剤拡散防止層用塗料を塗布し乾燥膜厚1μmの蛍光剤拡散防止層を形成し、その上に隠蔽層用塗料を塗布し乾燥膜厚5μmの隠蔽層を形成し、さらにその上に感熱接着剤用塗料を塗布し乾燥膜厚1μmの感熱接着剤層を形成し、隠蔽カード用転写シートを作製した。
次に実施例1と同様に、蛍光絵柄印刷を上記作成した磁気記録層用転写テープの感熱接着剤層面上に行い、オーバーシートへの磁気記録層の転写、センターコア、反対面のオーバーシートとともに熱プレスにより隠蔽カード用基材を作製した。
その後に、前記隠蔽カード用基材の磁気テープ側に、前記転写シートの加熱接着剤層側を重ね、温度120℃、圧力17kg/cm、時間20分の条件下で熱圧プレス加工し、十分冷却を行い、隠蔽カードを作製した。
【0055】
(実施例6)
実施例5の蛍光絵柄印刷において、蛍光印刷用インクを蛍光印刷用インク〔B〕とした以外は実施例5と同様にして隠蔽カードを作成した。
【0056】
(実施例7)
実施例5において、蛍光絵柄印刷を磁気記録層転写テープに行わず、カード用基材オーバーシートの磁気ストライプが転写される部分に蛍光絵柄用インク〔A〕を用いてグラビア印刷方式により図7に示すように、蛍光絵柄印刷を行った。それ以降は、実施例5の隠蔽カード作成方法と同様にして隠蔽カードを作成した。
【0057】
(実施例8)
実施例7の蛍光絵柄印刷において、蛍光印刷用インクを蛍光印刷用インク〔B〕とした以外は実施例7と同様にして隠蔽カードを作成した。
【0058】
(実施例9)
実施例5において、蛍光絵柄印刷を磁気記録層用転写テープに行わず、そのまま熱圧プレスを行い蛍光絵柄印刷層を内部に持たない隠蔽カード基材を作製した。この隠蔽カード基材の磁気記録層上に蛍光絵柄用インク〔A〕を用いてシルクスクリーン印刷方式により絵柄部分の膜厚が1μmになるように、蛍光絵柄印刷を行った。それ以降は、実施例1と同様にして隠蔽層用塗料、蛍光剤拡散防止層用塗料を塗布形成し、その後に卓上型テストプレス機(テスター産業社製)により、隠蔽カードを作製した。
【0059】
(実施例10)
実施例9の蛍光絵柄印刷において、蛍光印刷用インクを蛍光印刷用インク〔B〕とした以外は実施例9と同様にして隠蔽カードを作成した。
【0060】
(参考例1)
実施例9において作製した隠蔽カードにおいて隠蔽層、蛍光剤拡散防止層の形成後に熱圧プレスを行わなかった。
【0061】
(参考例2)
実施例10において作製した隠蔽カードにおいて隠蔽層、蛍光剤拡散防止層の形成後に熱圧プレスを行わなかった。
【0062】
評価方法
(蛍光絵柄の隠蔽性I)
太陽光、室内光下にて、太陽光、室内光下含まれる紫外光による蛍光絵柄の蛍光発光の有無を目視で評価した。
○・・・蛍光発光が全く視認できず。
△・・・蛍光発光が視認できるがごく僅かである。
×・・・蛍光発光が視認できる。
【0063】
(蛍光絵柄の隠蔽性II)
太陽光、室内光下にて、可視光反射光による蛍光印刷絵柄の視認性の有無を目視で評価した。
○・・・蛍光絵柄の輪郭が全く視認できず。
△・・・蛍光絵柄の輪郭が僅かに視認できる。
×・・・蛍光絵柄の絵柄が視認できる。
【0064】
(紫外線照射による蛍光発光)
紫外線照射による蛍光絵柄の蛍光発光強度を目視で評価。
○・・・十分な蛍光発光が得られる。
△・・・識別可能な蛍光発光が得られるが発光強度が弱い。
×・・・蛍光発光が不十分で蛍光絵柄の視認性が悪い。
【0065】
(出力変動)
得られた磁気カードについて、ミナトエレクトロニクス社製model6900磁気カード・アナライザーを使用し、JIS−2フォーマットにより210ftpiの信号を記録(記録電流100mA)し、その出力(最大値、最小値、平均値)を測定した。その結果から、下記式により出力変動を求めた。なお、この磁気カードサンプルを作成するために使用した転写型磁気テープに関しては、磁気記録層の膜厚は単一ではなく、それぞれのスペーシングにあわせて磁気記録層の膜厚を調整し、出力平均値が基準カード出力に等しくなるよう調整を行った。
出力変動(%)=(出力最大値−出力最小値)/出力平均値
○・・・7%未満。 △・・・7%以上、15%未満。 ×・・・15%以上。
【0066】
【表1】

【0067】
表1の結果から明らかのように、実施例1〜10は、良好な蛍光発光強度を確保でき、また太陽光や室内光に含まれる紫外線による蛍光発光により蛍光絵柄が視認されることは無い。さらに、とくに実施例1〜8は蛍光絵柄印刷に用いた染料が磁気記録層、隠蔽層に拡散し着色しているため、隠蔽層に太陽光や室内光の可視光反射により蛍光印刷の輪郭が視認可能な変形を与えることが全く無く、また蛍光絵柄部分と非絵柄部分で磁気ストライプ表面と磁気記録層の間の距離は実質的に変化しないため、蛍光絵柄に起因する出力変動は全く発生しな。一方蛍光剤を拡散させて蛍光絵柄を紫外線照射により視認可能とする処置を講じていない参考例1、参考例2は蛍光の発光強度が弱く、また蛍光剤が磁気記録層上に局在化したままとなっているため出力変動も大きい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の隠蔽カードの断面構成図である。
【図2】本発明の製造方法のうち、隠蔽カード用基材の製造までを示したフローチャートである。
【図3】本発明の製造方法のうち、隠蔽カード用基材の製造に用いる各構成部分の位置関係を示した断面構成図である。
【図4】本発明の製造方法のうち、隠蔽カード用基材を使用し塗布により隠蔽カードを製造する場合の製造方法を示したフローチャートである。
【図5】本発明の製造方法のうち、隠蔽カード用基材と転写用積層体を使用し隠蔽カードを製造する場合の製造方法を示したフローチャートである。
【図6】本発明の磁気記録層用転写テープに蛍光絵柄印刷を施した正面図である。
【図7】本発明のカード基材用オーバーシートの磁気記録層が転写される部分に蛍光絵柄印刷を施した状態の正面図。
【図8】本発明の隠蔽カードの紫外線照射による蛍光発光イメージ。
【符号の説明】
【0069】
1 オーバーシート
2 センターコア
3 センターコア
4 オーバーシート
5 磁気記録層
6 隠蔽層
7 通常印刷絵柄
8 蛍光剤拡散防止層(兼保護層)
9 蛍光剤拡散部位
10 転写用基材
11 磁気記録層
12 感熱接着剤層
13 蛍光絵柄
14 転写用積層体




【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード用基材上の少なくとも一部に磁気記録層を有し、該磁気記録層を有する側のカード用基材全面を隠蔽して積層された隠蔽層を有し、かつ前記隠蔽層表面への紫外線照射により識別可能な蛍光絵柄を有する隠蔽カードの製造方法であって、前記蛍光絵柄は前記隠蔽層を積層前のカード用基材側に予め形成され、該蛍光絵柄の蛍光剤を該隠蔽カード形成時の表面となる方向に拡散させて、該蛍光絵柄を識別可能にすることを特徴とする隠蔽カードの製造方法。
【請求項2】
前記蛍光絵柄は、前記磁気記録層が形成される前の前記カード用基材上に形成されたものである請求項1に記載の隠蔽カードの製造方法。
【請求項3】
前記蛍光絵柄は前記磁気記録層を形成するための転写用積層体側に形成されたものである請求項1に記載の隠蔽カードの製造方法。
【請求項4】
前記蛍光絵柄は、前記カード用基材上に前記磁気記録層を含む層が形成された後の前記カード用基材上または前記磁気記録層上に形成されたものである請求項1に記載の隠蔽カードの製造方法。
【請求項5】
前記蛍光剤が有機系蛍光染料であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の隠蔽カード製造方法。
【請求項6】
前記隠蔽層の上に蛍光剤の拡散を防止する実質的に透明な拡散防止層を設けてなる請求項1〜5のいずれか1項に記載の隠蔽カードの製造方法。
【請求項7】
カード用基材上の少なくとも一部に磁気記録層を有し、該磁気記録層を有する側のカード用基材全面を隠蔽して積層された隠蔽層を有し、かつ該隠蔽層表面への紫外線の照射によって識別可能な蛍光絵柄を有する隠蔽カードであって、前記蛍光絵柄を形成する蛍光剤は前記蛍光絵柄に対応する位置の少なくとも前記隠蔽層の膜厚方向全幅にわたって分布していることを特徴とする隠蔽カード。
【請求項8】
前記蛍光剤は前記隠蔽層及び前記磁気記録層の膜厚方向全幅にわたって分布している請求項7に記載の隠蔽カード。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−96037(P2006−96037A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−251245(P2005−251245)
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【出願人】(000002886)大日本インキ化学工業株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】