説明

隠蔽情報を有するガスバリア性包装材料

【課題】本発明の課題は、単純な層構成からなるガスバリア性フィルムを用いて、開封しないと見ることができない各種隠蔽情報を包装袋の外側からは容易に視認されないように表示することを可能としたガスバリア性包装材料を低コストで提供することである。
【解決手段】透明基材フィルムの表面に、少なくとも無機蒸着層、絵柄印刷層、遮蔽層、情報表示層、ヒートシール層が、この順序に積層されたことを特徴とする隠蔽情報を有するガスバリア性包装材料である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスバリア性包装材料に関し、特に包装容器や包装袋を開封しないと見ることができない隠蔽された文字、絵柄等の固有情報を有する包装材料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、包装容器や包装袋に入った商品を購入し、開封して初めて、何らかの情報を見ることができる仕組みを持った包装容器や包装袋が知られている。
特許文献1によって開示された包装容器は、ユニークナンバー等を印字した包装容器であり、その特徴とするところは、少なくとも最外フィルム層、透明バリア層、ヒートシール層を順次に積層した積層材からなる包装容器であって、前記最外フィルム層の裏面にインキ層からなる隠蔽層、白色インキ層、インクジェット記録方式で印字した隠蔽情報層を設け、前記ヒートシール層が向き合うように重ね合わせてシールすることを特徴とする隠蔽層付き包装容器である。この発明によると、透明バリア層として、基材フィルムの上に酸化アルミニウムまたは酸化ケイ素からなる無機蒸着膜を形成したバリアフィルムを使用しているため、合計3層のフィルムをラミネートした構造となっており、全体の厚さが厚くなってしまうという問題があった。また、包装容器の形態や表面の印刷絵柄によっては、インクジェットで記録された情報が、容器の反対側や側面の絵柄のない透明な窓の部分から視認できる場合があるという問題があった。
【特許文献1】特開2004-67219号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、単純な層構成からなるガスバリア性フィルムを用いて、開封しないと見ることができない各種隠蔽情報を包装袋の外側からは容易に視認されないように表示することを可能としたガスバリア性包装材料を低コストで提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、透明基材フィルムの表面に、無機蒸着層、絵柄印刷層、遮蔽層、情報表示層、ヒートシール層が、この順序に積層されたことを特徴とする隠蔽情報を有するガスバリア性包装材料である。
【0005】
また、請求項2に記載の発明は、前記ヒートシール層の表面が粗面加工されていることを特徴とする請求項1に記載の隠蔽情報を有するガスバリア性包装材料である。
【0006】
また、請求項3に記載の発明は、前記粗面加工されたヒートシール層の表面の10点平均粗さRzが0.5〜10.0μmであることを特徴とする請求項2に記載の隠蔽情報を有するガスバリア性包装材料である。
【0007】
また、請求項4に記載の発明は、情報表示層が印字によって設けられたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の隠蔽情報を有するガスバリア性包装材料である。
【0008】
また、請求項5に記載の発明は、情報表示層がレーザー光によって変色するインキ層にレーザーマーキング法によって印字されたものであることを特徴とする請求項4に記載の隠蔽情報を有するガスバリア性包装材料である。
【0009】
また、請求項6に記載の発明は、遮蔽層と情報表示層との間に下地層が設けられており、情報表示層と下地層の色が黒と白、赤と白、あるいは茶色と黄色の組合せであることを特徴とする請求項5に記載の隠蔽情報を有するガスバリア性包装材料である。
【発明の効果】
【0010】
上記の手段を用いたことにより、本発明の包装材料は、以下の効果を有するものである。本発明の包装材料は、透明基材フィルムの表面に、無機蒸着層、絵柄印刷層、遮蔽層、情報表示層、ヒートシール層が、この順序に積層されたものである。情報表示層の下に遮蔽層を設けたので、情報表示層の内容を包装容器の外側から視認することができない。またフィルム層が透明基材フィルムと、ヒートシール層の2層しかないため、全体の厚さを薄くすることができる。ヒートシール層を押出し機を用いた溶融樹脂の押出し加工によって設けた場合には、全体の厚さをさらに薄くすることができる。このことは、本発明の大きな効果のひとつである。
【0011】
また、絵柄印刷層に連続して、遮蔽層と情報表示層とを設けたため、情報表示層の内容によっては、絵柄の印刷と同一の工程で遮蔽層と情報表示層を設けることができ、製造工程を大幅に短縮することができる。
【0012】
また、ヒートシール層の表面を粗面加工した場合には、情報表示層の内容を包装容器の反対側や側面などの印刷絵柄のない透明な窓部分から、透かして見ることが困難となるため、印刷絵柄の制約が少なくなるという効果がある。このことは、ヒートシール層表面の粗さが、10点平均粗さRzの値において、0.5〜10.0μmである場合に、その効果が有効に発揮される。
【0013】
また、情報表示層の情報内容を印刷ではなく、印字によって設けた場合には、包装容器一つひとつが異なる情報(ユニーク情報)を持った包装材料を容易に得ることができる。なおここでいう印字とは、単に同一の内容を反復して形成する通常の印刷に対比して用いた用語であって、その内容を容易に変更できる可変情報印刷の意味で用いている。
【0014】
またさらに情報表示層がレーザー光によって変色するインキ層にレーザーマーキング法によって印字されるものである場合には、ヒートシール層が設けられた後で、ヒートシール層を貫通する形でレーザーマーキングが可能であるため、例えば製袋機において包装容器に成形される直前にマーキングをすることも可能となり、ユニーク情報の管理が容易かつ安全になるばかりでなく、ユニーク情報を用いた商品企画において、時期に沿った的確な運用が可能となる。
【0015】
またさらに遮蔽層と情報表示層との間に下地層を設け、情報表示層と下地層の色が黒と白、赤と白、茶色と黄色の組合せである場合には、表示された情報の視認性が高まるばかりでなく、デザイン的にも優れた情報表示が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る包装材料の基本的な実施形態を示した断面模式図である。透明基材フィルム1としては、通常軟包装材料として使用される一般的な合成樹脂フィルムを含む下記の合成樹脂フィルムが使用できる。具体的には、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリオレフィン系エラストマー等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、セロハン、三酢酸セルロース(TAC)等のセルロース系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合樹脂(EVA)、アイオノマー樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリアクリロニト
リル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂(PS)、ポリ塩化ビニル系樹脂(PVC)、ポリ塩化ビニリデン系樹脂(PVDC)、ポリカーボネート樹脂(PC)、フッ素系樹脂、ウレタン系樹脂等の合成樹脂フィルムを、目的とする用途に応じて使用することができる。
【0017】
次に、透明基材フィルム1の表面に無機蒸着層2を設ける。無機蒸着層2は、酸素、水蒸気等のガスバリア性を高める目的で形成され、その材料としては、クロム、錫、アルミニウム等の金属単体、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化錫、酸化チタン、酸化ケイ素等の金属酸化物、およびこれらの混合物が使用できる。透明性、衛生性およびガスバリア性等の点から、これらの中では酸化アルミニウムまたは酸化ケイ素の蒸着層が最も適している。
【0018】
無機蒸着層2を形成する方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的蒸着法、プラズマ化学気相成長法のごとき化学的蒸着法等の公知の手段が用いられる。無機蒸着層2の厚さとしては、5〜50nmが一般的である。
【0019】
この無機蒸着層2を保護、補強する目的で、図2に示したように、バリアコート層2aを設けても良い。バリアコート層としては、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等の比較的ガスバリア性の高い樹脂をコーティングするか、通常印刷層の保護層として用いられる2液型アクリルウレタン樹脂をコーティングするかあるいは、ポリビニルアルコール樹脂のごとき水溶性樹脂に、テトラエトキシシランのような金属アルコキシドを溶解分散させた有機無機ハイブリッド樹脂溶液も好ましく使用できる。
【0020】
次に、絵柄印刷層3について説明する。絵柄印刷層3は、目的とする包装容器に応じて、任意の絵柄、文字等を形成することができる。通常は、グラビア輪転多色印刷機を使用し、通常包装材料に使用される軟包装用グラビアインキを用いて必要な絵柄、文字等を印刷する。このとき、遮蔽層4、情報表示層5、下地層5aを同時に設けても良い。
遮蔽層4は、情報表示層5の情報が透明基材フィルム1を通して、包装容器の外側から視認できないように隠蔽するために設けられるものであって、全体の絵柄との関係により、黒色、白色、その他の色調の隠蔽性の高いインキを用いて形成される。遮蔽層4の形状は、通常目的とする情報表示層の形よりも一回り大きい形状にするのが、印刷のしやすさの観点から見て一般的であるが、絵柄の種類によっては、全面に渡るべた印刷である場合もある。
【0021】
次に、この遮蔽層4の上に、情報表示層5を形成する。情報表示層5としては、表示する情報の種類に応じて、形成の方法が変わってくる。例えば、くじのように、一定の比率で当たりと外れが存在するような場合であって、この比率が例えば1:4のように頻度が高い場合であれば、同一絵柄の面付けの中で、当たりと外れを1:4の比率になるように面付けを行って印刷によって形成することができる。この場合には、グラビア印刷機の1色を用いて、形成することができるから、極めて容易に、従って低コストに情報表示層5を形成することが出来る。
【0022】
表示すべき情報が、単なる印刷の繰り返しでは表現できないようなものである場合には、印字によって形成することができる。ここでいう印字とは、先にも述べたように、通常の印刷に対比して用いた用語であり、可変情報印刷と呼ばれることもある。このような印字を行う装置としては、番号印字装置、スタンプ装置、インキジェット装置、レーザーマーキング装置などがある。
これらの装置を用いて、グラビア印刷とは別に印字を行うことにより、例えば当たりと外れを任意の比率で印字することや、同じ番号が二つとないユニークな情報を印字すること
等が可能となる。これらの方法によって、情報表示層5を形成するが、この工程は、印刷機に組み込んだ印字装置を用いて印刷工程と同時に実施してもよく、また印刷工程とは別に、印字工程を設けて実施しても良い。
この印字によって表現される情報の内容は、必ずしも番号や記号に限定されず、例えばおみくじのように、文章で表現されるものであってもよいし、バーコードのようなものでもよい。
【0023】
本発明の実施形態の中で、特に効果の大きい形態としては、この後、ヒートシール層6が設けられ、スリット加工を経て製袋機によって包装容器として加工される直前に、ヒートシール層を通してレーザーマーキング装置によって情報を書き込むという実施形態が可能である点である。この方法によれば、情報表示層5は、ヒートシール層6によって既に保護されているので、情報書き込み後の製袋工程におけるこすれや製品となってからの内容物とのこすれ等による情報表示層の摩耗、汚れ等の発生を防ぐことが出来るばかりでなく、最終工程に非常に近い場所で情報を書き込むために、例えば途中工程における不良品の発生とは無関係に最終製品段階での情報管理がなされることとなり、正確な商品管理が実現される。
【0024】
このような、レーザーマーキング法による情報表示を行う場合の手段として、情報表示層5をレーザー光によって変色するインキ層とすることが好ましい結果をもたらす。
このようなインキ層としては、用いるレーザー光源の種類によって、例えば炭酸ガスレーザーであれば10640nm、YAGレーザーであれば1064nm、Nd:YVO4レーザーであれば、1064nmに吸収を持つ材料を添加したインキを用いることができる。
【0025】
また、情報表示層5と遮蔽層4との間に、下地層5aを設け、さらに情報表示層5と下地層5aの色調を黒と白、赤と白、茶色と黄色のようにコントラストのある色調の組合せとすることにより、情報表示層の視認性、デザイン性が向上するとともに、包装容器の外側からの隠蔽性も向上する。ここでいう組合せとは、例えば情報表示層が黒で、下地層が白でも良いし、逆に情報表示層が白で、下地層が黒でも良い。これら色の組合せについては、目的とする包装容器のデザインによって、適宜選択される。情報表示層と下地層の色の組合せは、前記の組合せに限らないが、前記の組合せの場合には、特に好ましい結果が得られる。
【0026】
次に、得られた印刷済みシートの印刷面にヒートシール層6を形成する。
ヒートシール層6は、包装材料を製袋機によって包装容器に成形する工程において、内面同志を熱圧着するために設けるものであるが、印刷面の保護の役割や、内容物に直接触れるものであることから生ずる種々の役割も担っている。
ヒートシール層6の材質としては、目的とする包装容器の種類に応じて、公知の熱可塑性樹脂が選択される。一般的に使用される材料としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−酢酸ビニル系共重合樹脂(EVA)、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂(PVC)などが挙げられる。
【0027】
ヒートシール層6を形成する方法としては、予めフィルム状に成型した樹脂を接着剤によって貼り合わせる方法と、溶融した樹脂を押出機でフィルム状に押し出して、貼り合わせる方法とがある。後者の方法の方が、薄いヒートシール層を形成しやすいため、本発明の目的には好ましいが、特に制約されるものではない。
【0028】
このヒートシール層6の表面を粗面加工した場合、包装容器の印刷絵柄のない窓の部分が半透明状態となるため、情報表示層の内容を包装容器の反対側や側面から透かして見ることが困難となり、本発明の目的としては好ましい結果を与えるものである。
粗面加工されたヒートシール層表面7の粗面の程度については、10点平均粗さRzにおいて、0.5〜10.0μmであることがより好ましく、ヒートシール層の表面の粗さがこの範囲であると、印刷絵柄のない窓部分から内容物を視認することはできるが、情報表示層の情報を側面から透かして見ることは困難となる。この値が、0.5μmより小さい場合には、情報表示層の情報を側面から透かして見ることができる場合がある。また10.0μmよりも大きい場合には、透明窓からの内容物の視認性に問題が生ずるばかりか、情報表示層の情報そのものも見にくくなってしまう場合がある。
なおこの粗さの程度については、目的とする包装容器の用途やデザインによって選択されるべきものであるが、一般的に最も好ましい範囲は、2.5〜7.0μmである。
ヒートシール層表面に粗面を形成する方法としては、粗面加工されたフィルムを貼り合わせるか、または押出機で貼り合わせる際に、溶融した樹脂が接触して固化する冷却ロールの表面に粗面加工を施しておくことによってなし得るものである。
次に本発明について、実施例に基づいてさらに具体的に説明する。
【実施例1】
【0029】
図1に示したように、透明基材フィルム1として厚さ12μmのPETフィルムを使用し、この片面に物理蒸着法を用いて酸化アルミニウムからなる無機蒸着層2を15nmの厚さに形成した。次に8色グラビア輪転印刷機を用いて、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、特色1色、白の計6色から成る絵柄印刷層3、および黒色インキによる遮蔽層4、白色インキによる情報表示層5をグラビア印刷によって設けた。情報表示層5の内容は、当たりと外れが1:5となる比率で印刷されたものである。得られた印刷物に、押し出し機を用いて、LLDPEのヒートシール層6を60μmの厚さになるように形成した。得られた包装材料は、総厚が80μm弱と薄く、しなやかなものでありながら、必要なガスバリア性を有している。これをスリット加工した後、製袋機によって包装容器に成形した。次いで内容物を封入し、ヒートシールして目的とする包装製品を得た。包装容器の一部分に設けられた情報表示層の情報は、包装製品の外部からは視認できず、開封しないと当たり外れが分からないものであった。なお本包装材料のガスバリア性を測定したところ、1.00CC/m2・day・atmであった。
【実施例2】
【0030】
図2に示したように、透明基材フィルム1として厚さ12μmのPETフィルムを使用し、この片面に物理蒸着法を用いて酸化アルミニウムからなる無機蒸着層2を15nmの厚さに形成した。次にコーターを用いてバリアコート層2aを設けた。バリアコート層としては、2液型アクリルウレタン樹脂にブロッキング防止効果を目的としてシリカを分散させた塗工液を用いた。次に8色グラビア輪転印刷機を用いて、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、特色1色、白の計6色から成る絵柄印刷層3、および黒色の遮蔽層4、無色のレーザーマーカー用インキによる情報表示層5を設け、次いで押し出し機を用いて、LLDPEのヒートシール層6を60μmの厚さになるように形成した。ヒートシール層6を形成するにあたり、LLDPEが接触する冷却ロールの表面に粗面加工を施しておき、ヒートシール層6の表面7が粗面になるようにした。このヒートシール層表面7の粗さを表面粗さ計によって実測したところ、10点平均粗さRzの値において、5.0μmであった。
得られた包装材料をスリット加工し、製袋機にかけて包装容器を作成する直前の段階で、レーザーマーキング装置を用い、7桁の英数字からなるユニーク情報をヒートシール層6を通して情報表示層5上に印字した。無色のレーザーマーカーインキは、レーザーマーキング装置によって印字された部分だけ黒色に変色した。次いで内容物を封入し、ヒートシールをして目的とする包装製品を得た。
包装容器の一部分に設けられた情報表示層5の情報は、包装製品の外部からは視認できず、容器の裏側や透明窓部分から透かして見ても、情報内容は視認することができなかった。
【実施例3】
【0031】
図3に示したように、透明基材フィルム1として厚さ12μmのPETフィルムを使用し、この片面に物理蒸着法を用いて酸化アルミニウムからなる無機蒸着層2を15nmの厚さに形成した。次にコーターを用いてバリアコート層2aを設けた。バリアコート層としては、ポリビニルアルコール樹脂にテトラエトキシシランを溶解分散した塗工液を用いた。次に10色グラビア輪転印刷機を用いて、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、特色2色、白の計7色から成る絵柄印刷層3、およびセピア色の遮蔽層4、黄色の下地層5a、さらに無色のレーザーマーカー用インキによる情報表示層5を設け、次いで押し出し機を用いて、LLDPEのヒートシール層6を60μmの厚さになるように形成した。ヒートシール層6を形成するにあたり、LLDPEが接触する冷却ロールの表面に粗面加工を施しておき、ヒートシール層6の表面7が粗面になるようにした。このヒートシール層表面7の粗さを表面粗さ計によって実測したところ、10点平均粗さRzの値において、5.0μmであった。
得られた包装材料をスリット加工し、製袋機にかけて包装容器を作成する直前の段階で、レーザーマーキング装置を用い、7桁の英数字からなるユニーク情報をヒートシール層を通して情報表示層5上に印字した。印字された部分のレーザーマーカー用インキは、茶色に変色した。次いで内容物を封入し、ヒートシールをして目的とする包装製品を得た。
包装容器の一部分に設けられた情報表示層の情報は、包装製品の外部からは視認できず、容器の裏側や透明窓部分から透かして見ても、情報内容は視認することができなかった。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係る包装材料の基本的な実施形態を示した断面模式図
【図2】本発明に係る包装材料の実施形態の一例を示した断面模式図
【図3】本発明に係る包装材料の実施形態の一例を示した断面模式図
【符号の説明】
【0033】
1・・・透明基材フィルム
2・・・無機蒸着層
2a・・バリアコート層
3・・・絵柄印刷層
4・・・遮蔽層
5・・・情報表示層
5a・・下地層
6・・・ヒートシール層
7・・・粗面加工されたヒートシール層の表面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基材フィルムの表面に、少なくとも無機蒸着層、絵柄印刷層、遮蔽層、情報表示層、ヒートシール層が、この順序に積層されたことを特徴とする隠蔽情報を有するガスバリア性包装材料。
【請求項2】
前記ヒートシール層の表面が粗面加工されていることを特徴とする請求項1に記載の隠蔽情報を有するガスバリア性包装材料。
【請求項3】
前記粗面加工されたヒートシール層の表面の10点平均粗さRzが0.5〜10.0μmであることを特徴とする請求項2に記載の隠蔽情報を有するガスバリア性包装材料。
【請求項4】
情報表示層が印字によって設けられたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の隠蔽情報を有するガスバリア性包装材料。
【請求項5】
情報表示層がレーザー光によって変色するインキ層にレーザーマーキング法によって印字されたものであることを特徴とする請求項4に記載の隠蔽情報を有するガスバリア性包装材料。
【請求項6】
遮蔽層と情報表示層との間に下地層が設けられており、情報表示層と下地層の色が黒と白、赤と白、あるいは茶色と黄色の組合せであることを特徴とする請求項5に記載の隠蔽情報を有するガスバリア性包装材料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−161229(P2009−161229A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−1159(P2008−1159)
【出願日】平成20年1月8日(2008.1.8)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】