説明

集光レンズモジュール

【課題】光の集中率及び圧縮率を向上させて周辺光を有効に利用することによって環境光(自然光)の利用率を向上可能な集光レンズモジュールを提供する。
【解決手段】集光レンズモジュール(10)であって、少なくとも1つの環状レンズ(例えば環状レンズ100)を備え、当該環状レンズは、環心(C)と、環心(C)に面する側にある出光曲面と、出光曲面の反対側にある入光曲面と、入光曲面の一方の辺及び出光曲面の一方の辺に連接する反射面と、を有する。入光曲面にレンズ外側から入射した光ビームは、入光曲面でレンズ内側に屈折して出光曲面にレンズ内側から集束した後、出光曲面からレンズ外側に屈折して環心(C)に向かって進む。反射面にレンズ外側から入射した光ビームは、反射面からレンズ外側に反射して環心(C)に向かって進む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集光レンズモジュールに関し、特に、周辺光を一点に集束させて点光源を形成することによって当該周辺光の有効利用を促進する集光レンズモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保護の問題がますます注目される一方、技術発展に伴うエネルギー需要が増加しているが、これら双方とも「グリーンエネルギー」を新興産業ならしめる要因となり得ている。つまり、グリーンエネルギーは、環境保護に貢献することは言うまでもないが、再生可能エネルギーとしてエネルギー供給にも貢献し得る。例えばグリーンエネルギーを建築に応用してビルに自然光をもたらし、当該ビルの消費エネルギーを節減する手法が知られている。ここで、ビルの消費エネルギーとは、エアコン、照明、家電製品等により消費されるエネルギーである。とりわけ照明によるエネルギー消費は、ビルのエネルギー総消費量のおよそ5分の1を占めるとされているため、照明の省エネ化が建築分野での省エネ化促進における重要項目となり得る。
【0003】
建築分野では、照明は、その供給技術によって、以下の2つに大別される:(1)光電変換により照明のための電力を供給する太陽光エネルギー変換技術であるが、その変換効率及びコストを考慮しなければならない;(2)太陽光をビルの内部に直接導入して「グリーン照明」を構成するための光学技術であり、これにより太陽光エネルギーの利用効率を大幅に向上させることができる。後者のグリーン照明の技術、即ち、太陽光の集光技術によれば、太陽光をオフィスや自宅等の建造物の室内、廊下、地下室等に導いて補助的な照明手段として活用することによって、エネルギーの消費を節減できる。具体的には、太陽光を集光装置によって集光し、導光装置によってビルの内部まで導く。或いは、この集光装置を太陽光エネルギー変換システムに適用し、集光装置の集束効率の向上を通じて太陽光エネルギー変換システムの変換効率を増加させることも可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、グリーン照明の技術では、太陽光をビルの内部まで導入できる一方、集光、光伝導、及び光放出の過程で光のエネルギーが必然的に損失する。このため、集光装置の集中率(concentration ratio)及び圧縮率(compression ratio)を如何に高め、結果的に環境光(自然光)の利用率を如何に向上させるかが当該技術分野において解決されるべき課題となっている。
【0005】
上記を鑑み、本発明が解決するべき課題は、光の集中率及び圧縮率を向上させて周辺光を有効に利用することによって環境光(自然光)の利用率を向上可能な集光レンズモジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した課題を解決するための発明は、集光レンズモジュールであって、環心を有する少なくとも1つの環状レンズを備え、当該少なくとも1つの環状レンズは、前記環心と相対(あいたい)する入光曲面と、前記入光曲面と相対するとともに前記環心と対向する出光曲面と、前記入光曲面の一方の辺及び前記出光曲面の一方の辺に連接する反射面と、を有し、前記入光曲面にレンズ外側から入射した光ビームは、前記入光曲面でレンズ内側に屈折して前記出光曲面にレンズ内側から集束した後、前記出光曲面からレンズ外側に屈折して前記環心に向かい、前記反射面にレンズ外側から入射した光ビームは、前記反射面からレンズ外側に反射して前記環心に向かう集光レンズモジュールである。
【0007】
また、かかる発明において、前記少なくとも1つの環状レンズは、前記反射面と相対するとともに前記入光曲面のもう一方の辺及び前記出光曲面のもう一方の辺に連接する平坦面を更に有していることが好ましい。
尚、この場合、前記出光曲面はレンズ外側からレンズ内側へ凹状をなす凹面であってもよい。
【0008】
また、かかる発明において、(1)前記少なくとも1つの環状レンズは、前記反射面と相対するとともに前記入光曲面のもう一方の辺及び前記出光曲面のもう一方の辺に連接する平坦面を更に有し、(2)前記出光曲面はレンズ内側からレンズ外側へ凸状をなす凸面であり、前記平坦面はレンズ内側に反射領域を有し、(3)前記入光曲面はレンズ内側の前記反射領域上に入光焦点を有し、前記光ビームは前記入光曲面によって前記入光焦点上に合焦し、レンズ内側の前記反射領域から反射することとしてもよい。
尚、この場合、前記出光曲面はレンズ内側で前記入光焦点と同じ位置に出光焦点を有し、前記光ビームは前記入光曲面によって前記入光焦点上に合焦し、レンズ内側の前記反射領域から前記出光曲面のレンズ内側へ向かって反射することが好ましい。
【0009】
また、かかる発明において、前記環心に配置され、前記出光曲面からレンズ外側に出射する前記光ビームを導くための導光部を更に備えることが好ましい。
更に、この導光部の形状は錘状をなすことが好ましい。
【0010】
また、かかる発明において、前記少なくとも1つの環状レンズは、それぞれの半径が互いに異なり内径側から外径側へ順に配置されて円盤状構造を形成する複数の環状レンズであることが好ましい。
【0011】
また、かかる発明において、(1)前記少なくとも1つの環状レンズは、それぞれの半径が互いに異なり内径側から外径側へ順に配置されて円盤状構造を形成する複数の環状レンズであり、(2)前記複数の環状レンズは第1の環状レンズ及び第2の環状レンズであり、前記第1の環状レンズは第1の入光曲面及び第1の出光曲面を有し、前記第1の出光曲面は前記環心と対向し、前記第1の入光曲面は前記第1の出光曲面と相対し、前記第2の環状レンズは第2の入光曲面及び第2の出光曲面を有し、前記第2の出光曲面は前記第1の入光曲面と対向し、前記第2の入光曲面は前記第2の出光曲面と相対することとしてもよい。
尚、この場合、第1の入光曲面及び第2の入光曲面はレンズ内側からレンズ外側へ凸状をなす凸面であり、第1の出光曲面及び第2の出光曲面はレンズ外側からレンズ内側へ凹状をなす凹面であってもよい。
【0012】
また、かかる発明において、(1)前記少なくとも1つの環状レンズは、それぞれの半径が互いに異なり内径側から外径側へ順に配置されて円盤状構造を形成する複数の環状レンズであり、(2)前記複数の環状レンズは第1の環状レンズ及び第2の環状レンズであり、前記第1の環状レンズは第1の入光曲面及び第1の出光曲面を有し、前記第1の出光曲面は前記環心と対向し、前記第1の入光曲面は前記第1の出光曲面と相対し、前記第2の環状レンズは第2の入光曲面及び第2の出光曲面を有し、前記第2の出光曲面は前記第1の入光曲面と対向し、前記第2の入光曲面は前記第2の出光曲面と相対し、(3) 前記第1の入光曲面及び前記第1の出光曲面はレンズ内側に第1の焦点を共有し、前記第2の入光曲面及び前記第2の出光曲面はレンズ内側に第2の焦点を共有し、前記光ビームは、前記第2の入光曲面によってレンズ内側の前記第2の焦点に合焦し当該第2の焦点から前記第2の出光曲面のレンズ内側に向かって反射され、前記第2の出光曲面でレンズ外側に屈折し前記第1の入光曲面のレンズ外側に向かって出射し、前記第1の入光曲面によってレンズ内側の前記第1の焦点に合焦し当該第1の焦点から前記第1の出光曲面のレンズ内側に向かって反射され、前記第1の出光曲面でレンズ外側に屈折し前記環心に向かって出射することとしてもよい。
尚、この場合、第1の入光曲面及び第2の入光曲面はレンズ内側からレンズ外側へ凸状をなす凸面であり、同様に第1の出光曲面及び第2の出光曲面もレンズ内側からレンズ外側へ凸状をなす凸面であることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
光の集中率及び圧縮率を向上させて周辺光を有効に利用することによって環境光(自然光)の利用率を向上可能な集光レンズモジュールが提供される。
尚、本発明の他の目的、特徴、有利な点等は、以下述べる本発明の実施形態によって開示される更なる技術的特徴から理解できる。但し、これらの技術的特徴は、本発明の好ましい態様ではあるが、本発明の単なる例示にすぎない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施の形態の集光レンズモジュールの斜視図である。
【図2】図1の集光レンズモジュールのO−O’における部分断面図である。
【図3】第2の実施の形態の集光レンズモジュールの切り欠き斜視図である。
【図4】第2の実施の形態の集光レンズモジュールの断面図である。
【図5】第3の実施の形態の集光レンズモジュールの切り欠き斜視図である。
【図6】第3の実施の形態の集光レンズモジュールの断面図である。
【図7】第4の実施の形態の集光レンズモジュールの断面図である。
【図8】ビルに設置された集光レンズモジュールの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の記載は、本発明の実施の形態を説明するためのものであって、本発明を限定するものではない。尚、「備える」及び「有する」なる用語は、明示的に列挙される項目以外にこれらと同等な項目も包含することを意図している。また、「連接する」なる用語は、例えば直接又は間接の接続、結合、搭載等を包含することを意図している。更に、A及びBが「対向する」なる用語は、例えばA及びBの間に他の要素が介在することを排除するものではないし、A及びBが「相対(あいたい)する」なる用語は、例えばA及びBの間に如何なる要素も介在しないことを排除するものではない。
【実施例】
【0016】
図1に例示されるように、第1の実施の形態の集光レンズモジュール10は、環状レンズ100、200、300を備えており、周辺光を点光源に集束するためのものである。環状レンズ100、200、300は、環心Cを中心として内径側から外径側まで半径が順次大きくなるように配置され、円盤状構造を形成している。
尚、本明細書では、この円盤状構造における動径方向に沿って、環心Cの側(つまり、図1の点Oの側)を「内径側」と称し、これと相対する側(例えば図1の点O’の側)を「外径側」と称する。
【0017】
図2に例示されるように、O−O’に沿った集光レンズモジュール10の断面は、第1の環状レンズ断面100aと、第2の環状レンズ断面200aと、第3の環状レンズ断面300aを有している。
【0018】
また、図2に例示されるように、第1の環状レンズ100の表面は、第1の入光曲面110aと、第1の出光曲面120aと、第1の平坦面130aと、第1の反射面140aと、を有している。
第1の入光曲面110aは、第1の環状レンズ100の外径側にある。第1の出光曲面120aは、第1の環状レンズ100の内径側にあり、第1の入光曲面110aと相対するとともに環心Cと対向している。第1の実施の形態では、第1の入光曲面110aは凸面であり、第1の出光曲面120aは凹面である。第1の平坦面130aは、第1の入光曲面110a及び第1の出光曲面120aの間にあり、第1の入光曲面110a及び第1の出光曲面120aのそれぞれの一方の辺に連接する。第1の反射面140aは、第1の平坦面130aと相対するとともに第1の入光曲面110a及び第1の出光曲面120aのそれぞれの他方の辺(もう一方の辺)に連接する。尚、第1の入光曲面110a及び第1の出光曲面120aは、非球形曲面であってもよい。
【0019】
第2の環状レンズ200の半径は第1の環状レンズ100の半径より大きく、つまり、第2の環状レンズ200は第1の環状レンズ100の外径側にある。
第2の環状レンズ200の表面は、第2の入光曲面210aと、第2の出光曲面220aと、第2の平坦面230aと、第2の反射240aと、を有している。
第2の入光曲面210aは、第2の環状レンズ200の外径側にある。第2の出光曲面220aは、第2の環状レンズ200の内径側にあり、第2の入光曲面210aと相対するとともに環心C(或いは第1の入光曲面110a)と対向している。第1の実施の形態では、第2の入光曲面210aは凸面であり、第2の出光曲面220aは凹面である。第2の平坦面230aは、第2の入光曲面210a及び第2の出光曲面220aの間にあり、第2の入光曲面210a及び第2の出光曲面220aのそれぞれの一方の辺に連接する。第2の反射面240aは、第2の平坦面230aと相対するとともに第2の入光曲面210a及び第2の出光曲面220aのそれぞれの他方の辺(もう一方の辺)に連接する。尚、第2の入光曲面210a及び第2の出光曲面220aは、非球形曲面であってもよい。
【0020】
第3の環状レンズ300の半径は第2の環状レンズ200の半径より大きく、つまり、第3の環状レンズ300は第2の環状レンズ200の外径側にある。
第3の環状レンズ300の表面は、第3の入光曲面310aと、第3の出光曲面320aと、第3の平坦面330aと、第3の反射340aと、を有している。
第3の入光曲面310aは、第3の環状レンズ300の外径側にある。第3の出光曲面320aは、第3の環状レンズ300の内径側にあり、第3の入光曲面310aと相対するとともに環心C(或いは第2の入光曲面210a)と対向している。第1の実施の形態では、第3の入光曲面310aは凸面であり、第3の出光曲面320aは凹面である。第3の平坦面330aは、第3の入光曲面310a及び第3の出光曲面320aの間にあり、第3の入光曲面310a及び第3の出光曲面320aのそれぞれの一方の辺に連接する。第3の反射面340aは、第3の平坦面330aと相対するとともに第3の入光曲面310a及び第3の出光曲面320aのそれぞれの他方の辺(もう一方の辺)に連接する。尚、第3の入光曲面310a及び第3の出光曲面320aは、非球形曲面であってもよい。
【0021】
以下、図2を参照しつつ、第1の実施の形態において、周辺光である光ビームLが集束する経路について述べる。
尚、本明細書では、複数の環状レンズ(例えば環状レンズ100、200、300等)のそれぞれについて、各面に係る「レンズ外側」は、当該面を環状レンズの外部から見ていることを意味し、各面に係る「レンズ内側」は、当該面を環状レンズの内部から見ていることを意味するものとする。
図2の紙面上側から紙面下側に向かう光ビームLは、(1)第3の環状レンズ300の第3の反射面340aに平行光としてレンズ外側から入射し、当該第3の反射面340aから平行光としてレンズ外側に反射され、(2)第2の環状レンズ200の第2の入光曲面210aに平行光としてレンズ外側から入射し、当該第2の入光曲面210aからレンズ内側へ屈折し、第2の出光曲面220aにレンズ内側から到達し、当該第2の出光曲面220aからレンズ外側へ屈折し、(3)第1の環状レンズ100の第1の入光曲面110aに平行光としてレンズ外側から入射し、当該第1の入光曲面110aからレンズ内側へ屈折し、第1の出光曲面120aにレンズ内側から到達し、当該第1の出光曲面120aからレンズ外側へ屈折し、(4)環心Cを通る鉛直軸(図2の点線を参照)に平行光として入射する。
一方、図2の紙面上側から紙面下側に向かう光ビームLは、(1’)第2の環状レンズ200の第2の反射面240aに平行光としてレンズ外側から入射し、当該第2の反射面240aから平行光としてレンズ外側に反射され、(2’)第1の環状レンズ100の第1の入光曲面110aに平行光としてレンズ外側から入射し、当該第1の入光曲面110aからレンズ内側へ屈折し、第1の出光曲面120aにレンズ内側から到達し、当該第1の出光曲面120aからレンズ外側へ屈折し、(3’)環心Cを通る鉛直軸に平行光として入射する。
【0022】
他方、もし第3の環状レンズ300の外径側に第4の環状レンズ(不図示)が配置されている場合、当該第4の環状レンズの第4の反射面(不図示)に平行光としてレンズ外側から入射し、当該第4の反射面から平行光としてレンズ外側に反射された光ビームL(図2の紙面左側から紙面右側に向かう光ビームLを参照)は、(1”)第3の環状レンズ300の第3の入光曲面310aに平行光としてレンズ外側から入射し、当該第3の入光曲面310aからレンズ内側へ屈折し、第3の出光曲面320aにレンズ内側から到達し、当該第3の出光曲面320aからレンズ外側へ屈折し、(2”)第2の環状レンズ200の第2の入光曲面210aに平行光としてレンズ外側から入射し、当該第2の入光曲面210aからレンズ内側へ屈折し、第2の出光曲面220aにレンズ内側から到達し、当該第2の出光曲面220aからレンズ外側へ屈折し、(3”)第1の環状レンズ100の第1の入光曲面110aに平行光としてレンズ外側から入射し、当該第1の入光曲面110aからレンズ内側へ屈折し、第1の出光曲面120aにレンズ内側から到達し、当該第1の出光曲面120aからレンズ外側へ屈折し、(4”)環心Cを通る鉛直軸に平行光として入射する。
以上により、集光レンズモジュール10がより多くの周辺光(光ビームL)を集光できる。
【0023】
第1の実施の形態では、環心Cの位置には導光部20が配置されている。この導光部20は例えば繊維等を材料とし錐状をなすものであってもよい。第1の出光曲面120aから出射して導光部20に平行光として入射された光ビームLは、この導光部20に導かれて進行することによって、室内照明等に利用される。
【0024】
前述した第1の環状レンズ100、第2の環状レンズ200、及び第3の環状レンズ300の設計及び円盤状構造によって、周辺光は、例えば最外径側の第3の環状レンズ300から第2の環状レンズ200を経由して最内径側の第1の環状レンズ100を通って最終的に環心Cに集まる。このような集光レンズモジュール10によれば、周辺光を集束させて点光源を形成する目的が達成され、結果的に光の集中率及び圧縮率が高まって周辺光の有効利用の度合いが向上したことになる。
【0025】
図3に例示されるように、第2の実施の形態の集光レンズモジュールは、環心Cを中心としてその周囲に延在する1つの環状レンズ100のみを備えている。尚、同図中の点線は環心Cを通る軸線を表わしている。
環状レンズ100の表面は、入光曲面110aと、出光曲面120aと、平坦面130aと、反射面140aと、を有する。ここで、第2の実施の形態の環状レンズ100は、第1の実施の形態の第1の環状レンズ100と構成が同じであるため、入光曲面110a、出光曲面120a、平坦面130a、及び反射面140aの構成も、前述した第1の入光曲面110a、第1の出光曲面120a、第1の平坦面130a、及び第1の反射面140aの構成と同一である。
【0026】
図4に例示されるように、第2の実施の形態において、同図の紙面上側から紙面下側に向かう光ビームLは、(1)環状レンズ100の反射面140aに平行光としてレンズ外側から入射し、当該反射面140aから平行光としてレンズ外側に反射され、(2)環心Cを通る軸線に平行光として入射する。
一方、図4の紙面左側から紙面右側に向かう光ビームLは、(1’)環状レンズ100の入光曲面110aに平行光としてレンズ外側から入射し、当該入光曲面110aからレンズ内側へ屈折し、出光曲面120aにレンズ内側から到達し、当該出光曲面120aからレンズ外側へ屈折し、(2’)環心Cを通る軸線に平行光として入射する。
【0027】
図5に例示されるように、第3の実施の形態の集光レンズモジュールは、環心Cを中心としてその周囲に延在する1つの環状レンズ100bのみを備えている。尚、同図中の点線は環心Cを通る軸線を表わしている。
環状レンズ100bの表面は、入光曲面110bと、出光曲面120bと、平坦面130bと、反射面140bと、を有する。ここで、第3の実施の形態では、入光曲面110b及び出光曲面120bは凸面である。尚、入光曲面110b及び出光曲面120bは非球形曲面であってもよい。
【0028】
入光曲面110bは、環状レンズ100bの外径側にあり、入光焦点F1を有する。ここで、「入光焦点距離f1」は「入光曲面110bと入光焦点F1との間の距離」と定義される。
出光曲面120bは、環状レンズ100bの内径側にあり、入光曲面110bと相対するとともに環心Cと対向し、出光焦点F2を有する。ここで、「出光焦点距離f2」は「出光曲面120bと出光焦点F2との間の距離」と定義される。
尚、第3の実施の形態では、出光焦点F2が入光焦点F1と同一の位置にあり、よって共焦点となっている。
【0029】
平坦面130bは、入光曲面110b及び出光曲面120bの間にあり、入光曲面110b及び出光曲面120bのそれぞれの一方の辺に連接する。特に平坦面130bはレンズ内側に反射領域(参照符号無し)を有し、第3の実施の形態では、前述した入光焦点F1及び出光焦点F2は反射領域上の同一点に位置する。
反射面140bは平坦面130bと相対するとともに入光曲面110b及び出光曲面120bのそれぞれの他方の辺(もう一方の辺)に連接する。
【0030】
図6に例示されるように、第3の実施の形態において、同図の紙面上側から紙面下側に向かう光ビームLは、(1)環状レンズ100bの反射面140bに平行光としてレンズ外側から入射し、当該反射面140bから平行光としてレンズ外側に反射され、(2)環心Cを通る軸線に平行光として入射する。
一方、図6の紙面左側から紙面右側に向かう光ビームLは、(1’)環状レンズ100bの入光曲面110bに平行光としてレンズ外側から入射し、当該入光曲面110bによって平坦面130bの反射領域上の入光焦点F1に合焦し、当該入光焦点F1と一致する出光焦点F2から反射され、出光曲面120bによってそのレンズ外側から平行光として出射し、(2’)環心Cを通る軸線に平行光として入射する。
【0031】
前述した図3乃至6に例示される第2及び第3の実施の形態の何れにおいても、導光部を環心Cの軸線上に設けてよい。これにより、出光曲面120a、120bのレンズ外側からの光ビームLと、反射面140a、140bのレンズ外側からの光ビームLとを導光部によって導光できる。
【0032】
もし環状レンズ100、100bが非球形曲面の入光曲面110a、110b及び非球形曲面の出光曲面120a、120bで構成されている場合でも、周辺光を点光源として集束可能であり、よって光ビームLを例えば室内照明や太陽光発電等に利用可能である。
【0033】
図7に例示されるように、第4の実施の形態の集光レンズモジュール10’は、図5及び図6に例示される環状レンズ100bの複数個が円盤状構造を形成するように配置されたものである。
【0034】
第1の環状レンズ100bの表面は、第1の入光曲面110bと、第1の出光曲面120bと、第1の平坦面130bと、第1の反射面140bと、を有している。
第1の入光曲面110bは、第1の環状レンズ100bの外径側にあり、凸面をなして第1の入光焦点F1を有している。第1の出光曲面120bは、第1の環状レンズ100bの内径側にあり、第1の入光曲面110bと相対するとともに環心Cと対向し、凸面をなして第1の出光焦点F2を有している。ここで、第1の出光焦点F2及び第1の入光焦点F1は、共焦点であり、第1の平坦面130bのレンズ内側の反射領域(参照符号無し)上にある。尚、第4の実施の形態では、「第1の環状レンズ100bの半径」は「第1の入光焦点F1(又は第1の出光焦点F2)と環心Cとの間の距離」と定義される。
第1の平坦面130bは、第1の入光曲面110b及び第1の出光曲面120bのそれぞれの一方の辺に連接し、第1の反射面140bは第1の平坦面130bと相対するとともに第1の入光曲面110b及び第1の出光曲面120bのそれぞれの他方の辺(もう一方の辺)に連接する。
【0035】
第2の環状レンズ200bの半径は第1の環状レンズ100bの半径より大きく、つまり、第2の環状レンズ200bは第1の環状レンズ100bの外径側にある。
第2の環状レンズ200bの表面は、第2の入光曲面210bと、第2の出光曲面220bと、第2の平坦面230bと、第2の反射面240bと、を有している。
第2の入光曲面210bは、第2の環状レンズ200bの外径側にあり、凸面をなして第2の入光焦点F1’を有している。第2の出光曲面220bは、第2の環状レンズ200bの内径側にあり、第2の入光曲面210bに相対するとともに環心C(或いは第1の入光曲面110b)に対向し、凸面をなして第2の出光焦点F2’を有している。ここで、第2の出光焦点F2’及び第2の入光焦点F1’は、共焦点であり、第2の平坦面230bのレンズ内側の反射領域(参照符号無し)上にある。尚、第4の実施の形態では、「第2の環状レンズ200bの半径」は「第2の入光焦点F1’(又は第2の出光焦点F2’)と環心Cとの間の距離」と定義される。
第2の平坦面230bは、第2の入光曲面210b及び第2の出光曲面220bのそれぞれの一方の辺に連接し、第2の反射面240bは第2の平坦面230bと相対するとともに第2の入光曲面210b及び第2の出光曲面220bのそれぞれの他方の辺(もう一方の辺)に連接する。
【0036】
第3の環状レンズ300bの半径は第2の環状レンズ200bの半径より大きく、つまり、第2の環状レンズ200bは第2の環状レンズ200bの外径側にある。
第3の環状レンズ300bの表面は、第3の入光曲面310bと、第3の出光曲面320bと、第3の平坦面330bと、第3の反射面340bと、を有している。
第3の入光曲面310bは、第3の環状レンズ300bの外径側にあり、凸面をなして第3の入光焦点F1”を有している。第3の出光曲面320bは、第3の環状レンズ300bの内径側にあり、第3の入光曲面310bに相対するとともに環心C(或いは第2の入光曲面210b)に対向し、凸面をなして第2の出光焦点F2”を有している。ここで、第3の出光焦点F2”及び第3の入光焦点F1”は、共焦点であり、第3の平坦面330bのレンズ内側の反射領域 (参照符号無し)上にある。尚、第4の実施の形態では、「第3の環状レンズ300bの半径」は「第3の入光焦点F3”(又は第3の出光焦点F3”)と環心Cとの間の距離」と定義される。
第3の平坦面330bは、第3の入光曲面310b及び第3の出光曲面320bのそれぞれの一方の辺に連接し、第3の反射面340bは第3の平坦面330bと相対するとともに第3の入光曲面310b及び第3の出光曲面320bのそれぞれの他方の辺(もう一方の辺)に連接する。
【0037】
第4の実施の形態では、以上述べた、第1の環状レンズ100b、第2の環状レンズ200b、及び第3の環状レンズ300bが、環心Cを中心として、内径側から外形側にかけて配置されて円盤状構造の集光レンズモジュール10’を構成している。
【0038】
図7に例示されるように、第4の実施の形態において、同図の紙面上側から紙面下側に向かう光ビームLは、(1)第3の環状レンズ300bの第3の反射面340bに平行光としてレンズ外側から入射し、当該第3の反射面340bから平行光としてレンズ外側に反射される。
図7の紙面左側から紙面右側に向かう光ビームLは、(1’)第3の環状レンズ300bの第3の入光曲面310bに平行光としてレンズ外側から入射し、当該第3の入光曲面310bによって第3の平坦面330bの反射領域上の第3の入光焦点F1”に合焦し、当該第3の入光焦点F1”と一致する第3の出光焦点F2”から反射され、第3の出光曲面320bによってそのレンズ外側から平行光として出射する。
尚、前述したステップ(1’)において第3の入光曲面310bに平行光としてレンズ外側から入射する光ビームLとは、第3の環状レンズ300bの外径側に第4の環状レンズ(不図示)が配置されている場合に発生する。具体的には、光ビームLは、第4の環状レンズの第4の反射面(不図示)に対し、図7の紙面上側から紙面下側に向かう光ビームLが平行光としてレンズ外側から入射し、当該第4の反射面から平行光としてレンズ外側に反射されたものである。
【0039】
図7の紙面上側から紙面下側に向かう光ビームLは、(2)第2の環状レンズ200bの第2の反射面240bに平行光としてレンズ外側から入射し、当該第2の反射面240bから平行光としてレンズ外側に反射される。
前述したステップ(1)及び(1’)で発生した図7の紙面左側から紙面右側に向かう光ビームLは、(2’)第2の環状レンズ200bの第2の入光曲面210bに平行光としてレンズ外側から入射し、当該第2の入光曲面210bによって第2の平坦面230bの反射領域上の第2の入光焦点F1’に合焦し、当該第2の入光焦点F1’と一致する第2の出光焦点F2’から反射され、第2の出光曲面220bによってそのレンズ外側から平行光として出射する。
【0040】
前述したステップ(2)及び(2’)で発生した図7の紙面左側から紙面右側に向かう光ビームLは、(3)第1の環状レンズ100bの第1の入光曲面110bに平行光としてレンズ外側から入射し、当該第1の入光曲面110bによって第1の平坦面130bの反射領域上の第1の入光焦点F1に合焦し、当該第1の入光焦点F1と一致する第1の出光焦点F2から反射され、第1の出光曲面120bによってそのレンズ外側から平行光として出射し、(4)環心Cを通る軸線に平行光として入射する。
【0041】
以上から、集光レンズモジュール10’はより多くの周辺光(光ビームL)を集光できる。尚、第4の実施の形態では、環心Cの位置に導光部20を配置して、集光レンズモジュール10’が集束した光ビームLを所定の場所に導くこともできる。
【0042】
前述した第1の環状レンズ100b、第2の環状レンズ200b、及び第3の環状レンズ300bの設計及び円盤状構造によって、周辺光は、例えば最外径側の第3の環状レンズ300bから第2の環状レンズ200bを経由して最内径側の第1の環状レンズ100bを通って徐々に強まって最終的に環心Cに集まる。このような集光レンズモジュール10’によれば、周辺光を集束させて点光源を形成する目的が達成され、結果的に光の集中率及び圧縮率が高まって周辺光の有効利用の度合いが向上したことになる。
【0043】
図8に例示されるように、前述した集光レンズモジュール10、10’を建築物Hの天井、外壁、周囲の空地等に設置して太陽光を集束し、当該モジュール10、10’における導光部20を通じて当該モジュール10、10’により集束された光を建造物Hの室内の照明器具30まで導けば、スマート型照明ソリューションとなり得る。
また、前述した集光レンズモジュール10、10’を太陽光発電技術等に応用すれば太陽電池の効率を高めることもできる。
【0044】
前述した実施の形態での集光レンズモジュールのレンズ曲面及びその配置の設計を通じて光の集中率を高めることができる。また、集光レンズモジュールの円盤状構造を通じて光の圧縮率を高めることもできる。これにより、周辺光の有効利用の度合いが向上する。当該モジュールが例えば室内照明や太陽光発電等のグリーンエネルギー産業に応用されることによって、省エネ化が可能となる。
【0045】
前述した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【符号の説明】
【0046】
10、10’・・・・・・集光レンズモジュール
20・・・・・・・・・・導光部
30・・・・・・・・・・照明器具
100、100b・・・・(第1の)環状レンズ
200、200b・・・・第2の環状レンズ
300、300b・・・・第3の環状レンズ
100a・・・・・・・・第1の環状レンズ断面
200a・・・・・・・・第2の環状レンズ断面
300a・・・・・・・・第3の環状レンズ断面
110a、110b・・・(第1の)入光曲面
210a、210b・・・第2の入光曲面
310a、310b・・・第3の入光曲面
120a、120b・・・(第1の)出光曲面
220a、220b・・・第2の出光曲面
320a、320b・・・第3の出光曲面
130a・・・・・・・・(第1の)平坦面
230a・・・・・・・・第2の平坦面
330a・・・・・・・・第3の平坦面
140a、140b・・・(第1の)反射面
240a、240b・・・第2の反射面
340a、340b・・・第3の反射面
C・・・・・・・・・・・環心
F1・・・・・・・・・・(第1の)入光焦点
F1’・・・・・・・・・第2の入光焦点
F1”・・・・・・・・・第3の入光焦点
f1・・・・・・・・・・入光焦点距離
F2・・・・・・・・・・(第1の)出光焦点
F2’・・・・・・・・・第2の出光焦点
F2”・・・・・・・・・第3の出光焦点
f2・・・・・・・・・・出光焦点距離
H・・・・・・・・・・・建築物
L・・・・・・・・・・・光ビーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
環心を有する少なくとも1つの環状レンズを備え、
当該少なくとも1つの環状レンズは、前記環心と相対する入光曲面と、前記入光曲面と相対するとともに前記環心と対向する出光曲面と、前記入光曲面の一方の辺及び前記出光曲面の一方の辺に連接する反射面と、を有し、
前記入光曲面にレンズ外側から入射した光ビームは、前記入光曲面でレンズ内側に屈折して前記出光曲面にレンズ内側から集束した後、前記出光曲面からレンズ外側に屈折して前記環心に向かって進み、
前記反射面にレンズ外側から入射した光ビームは、前記反射面からレンズ外側に反射して前記環心に向かって進む
ことを特徴とする集光レンズモジュール。
【請求項2】
前記少なくとも1つの環状レンズは、前記反射面と相対するとともに前記入光曲面のもう一方の辺及び前記出光曲面のもう一方の辺に連接する平坦面を更に有することを特徴とする請求項1に記載の集光レンズモジュール。
【請求項3】
前記出光曲面はレンズ外側からレンズ内側へ凹状をなす凹面であることを特徴とする請求項2に記載の集光レンズモジュール。
【請求項4】
前記出光曲面はレンズ内側からレンズ外側へ凸状をなす凸面であり、前記平坦面はレンズ内側に反射領域を有することを特徴とする請求項2に記載の集光レンズモジュール。
【請求項5】
前記入光曲面はレンズ内側の前記反射領域上に入光焦点を有し、前記光ビームは前記入光曲面によって前記入光焦点上に合焦し、レンズ内側の前記反射領域から反射することを特徴とする請求項4に記載の集光レンズモジュール。
【請求項6】
前記出光曲面はレンズ内側で前記入光焦点と同じ位置に出光焦点を有し、前記光ビームは前記入光曲面によって前記入光焦点上に合焦し、レンズ内側の前記反射領域から前記出光曲面のレンズ内側へ向かって反射することを特徴とする請求項5に記載の集光レンズモジュール。
【請求項7】
前記環心に配置され、前記出光曲面からレンズ外側に出射する前記光ビームを導くための導光部を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の集光レンズモジュール。
【請求項8】
前記少なくとも1つの環状レンズは、それぞれの半径が互いに異なり内径側から外径側へ順に配置されて円盤状構造を形成する複数の環状レンズであることを特徴とする請求項1に記載の集光レンズモジュール。
【請求項9】
前記複数の環状レンズは第1の環状レンズ及び第2の環状レンズであり、
前記第1の環状レンズは第1の入光曲面及び第1の出光曲面を有し、前記第1の出光曲面は前記環心と対向し、前記第1の入光曲面は前記第1の出光曲面と相対し、
前記第2の環状レンズは第2の入光曲面及び第2の出光曲面を有し、前記第2の出光曲面は前記第1の入光曲面と対向し、前記第2の入光曲面は前記第2の出光曲面と相対する
ことを特徴とする請求項8に記載の集光レンズモジュール。
【請求項10】
前記第1の入光曲面及び前記第1の出光曲面はレンズ内側に第1の焦点を共有し、前記第2の入光曲面及び前記第2の出光曲面はレンズ内側に第2の焦点を共有し、
前記光ビームは、
前記第2の入光曲面によってレンズ内側の前記第2の焦点に合焦し当該第2の焦点から前記第2の出光曲面のレンズ内側に向かって反射され、
前記第2の出光曲面でレンズ外側に屈折し前記第1の入光曲面のレンズ外側に向かって出射し、
前記第1の入光曲面によってレンズ内側の前記第1の焦点に合焦し当該第1の焦点から前記第1の出光曲面のレンズ内側に向かって反射され、
前記第1の出光曲面でレンズ外側に屈折し前記環心に向かって出射する
ことを特徴とする請求項9に記載の集光レンズモジュール。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−29802(P2013−29802A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−85476(P2012−85476)
【出願日】平成24年4月4日(2012.4.4)
【出願人】(503416331)國立臺灣科技大學 (12)
【Fターム(参考)】