説明

集合基板のユニット配線板差し替え方法、及び集合基板

【課題】高密度実装基板などに適用される薄くて可撓性のあるFPCにおいて、位置精度良く不良ユニット配線板と良品ユニット配線板とを差し替えて集合基板を良品化する。
【解決手段】製品シート1に不良ユニット配線板2bが含まれているとき、スクラップ部3と不良ユニット配線板2bとを切断分離して、該スクラップ部3の内部空洞部分へ別途用意した良品ユニット配線板2aを組み込む。すなわち、ガイド穴4a1,4b1を有するガイド部7a,7bを含み、それ以外の領域は先に打ち抜いた不良ユニット配線板2bと同一形状で切断された良品ユニット配線板2aを用い、ガイド六4a.4bとガイド穴4a1、4b1とを位置合わせし、スクラップ部3の内部空洞部分に合わせて良品ユニット配線板2aを組み込む。そして、良品ユニット配線板2aのガイド部7a,7bの領域に樹脂性接着剤を塗布し、製品シート1のスクラップ部3に接着して良品ユニット配線板2aを固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同一の製品シートに複数のユニット配線板が面付けされた集合基板のユニット配線板差し替え方法、及び集合基板に関するものであり、特に、同一の製品シート内に複数のユニット配線板が存在している集合基板において、製品シート内に存在する不良ユニット配線板を良品ユニット配線板に差し替えて該製品シートを良品化させる、集合基板内のユニット配線板の差し替え方法及び集合基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数のユニット配線板で構成される集合基板の中に不良ユニット配線板が存在する場合に対処する技術が種々報告されている。例えば、同一の製品シートに複数のユニット配線板が面付けされている集合基板の中に不良ユニット配線板が存在しているとき、自動で部品実装を行う場合は、前記不良ユニット配線板には高価な部品を搭載しないように不良表示を行い、画像認識等によって該不良ユニット配線板を読み取り、その不良ユニット配線板をとばして良品ユニット配線板のみに部品実装を行う技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、不良ユニット配線板をとばして部品実装を行うことは実装作業の生産性を悪くする要因である。従って、同一の製品シートに複数のユニット配線板が面付けされている集合基板の中に不良ユニット配線板が所定数以上に存在しているときには、その製品シート全体を用いることなく廃棄することが行われている。特に、不良ユニット配線板を識別する機構を持たない安価な部品実装装置を用いて部品実装する場合には、1個でも不良ユニット配線板が存在する製品シートは廃棄され、全数が良品ユニット配線板の製品シートのみに部品実装することになる。ところが、このような製品シートの処理の方法では、良品ユニット配線板を多数含む製品シートを廃棄してしまうことになり、結果的に配線板生産のコストアップにつながる要因となる。
【0003】
また、ユニット配線板が連続的に配列された製品シートから不良ユニット配線板を差し替えて、製品シートを良品化する技術も開示されている(例えば、特許文献2参照)。この技術によれば、製品シート上に連続して回路パターン部が配列された集合基板において、位置決め手段、基板固定手段、及び接着手段を用いることにより、不良な回路パターン部を除去して正常な回路パターン部が印刷された他のユニット配線板を高精度に接合固定することができる。また、複数のユニット配線板が一列に配列された集合基板から、不良なユニット配線板を差し替える技術も開示されている(例えば、特許文献3参照)。しかし、上記の特許文献2、3の技術においては、差し替えたユニット配線板を集合基板の所定の位置に嵌合させたり、嵌め込んだユニット配線板の側端部の空隙に接着剤を充填して固定したりするものである。
【0004】
さらに、集合基板のフレームやスクラップ部から不良ユニット配線板を切り抜いた跡へ良品ユニット配線板を嵌め込んでブリッジで結合させる技術も開示されている(例えば、特許文献4参照)。また、複数のユニット配線板を着脱可能な分離型ブリッジで製品シート枠に取り付け、その中から不良ユニット配線板のみを取り外して良品ユニット配線板と差し替えることによって、今まで廃棄していた良品ユニット配線板を活用する技術も開示されている(例えば、特許文献5参照)。また、良品ユニット配線板に付け替えた後の結合をブリッジ部で接着剤によって行う方法も開示されている(例えば、特許文献6参照)。しかし、上記の特許文献4、5、6の技術は、何れもユニット配線板の側端壁で結合させるものであったり、フレームに嵌合させるように嵌め込むものであるため、ある程度の厚みを有する硬質プリント配線板や、剛性を有するフレームが用いられる場合のみに適用されるものであり、薄くて可撓性を有するフレキシブル配線板(Flexible Printed Circuit、以下、FPCという)には用いることができない。また、近年の部品実装の高密度化から位置精度が厳しくなりつつあるために、製品シート内に存在する不良ユニット配線板と良品ユニット配線板とを差し替える場合には、微細な位置精度をクリアするような差し替え技術が必要である。
【特許文献1】特開平11−191668号公報
【特許文献2】特開2000−252605号公報
【特許文献3】特開平10−247656号公報
【特許文献4】特開昭64−48489号公報
【特許文献5】特開2001−203482号公報
【特許文献6】特開2005−38953号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、薄くて可撓性のあるユニット配線板が複数配置された集合基板において、位置精度良く不良ユニット配線板と良品ユニット配線板とを差し替えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記の目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、複数のユニット配線板が形成された集合基板の製品シート内に存在する不良ユニット配線板を良品ユニット配線板に差し替える、集合基板のユニット配線板差し替え方法であって、製品シートのユニット配線板周辺部分であるスクラップ部に位置決め用の第1のガイド穴を形成する第1のエ程と、第1のガイド穴を含まない領域において、製品シートから不良ユニット配線板を切断除去する第2の工程と、ユニット配線板部分の形状が不良ユニット配線板と同一形状であり、且つ、位置決め用の第2のガイド穴を含む領域で切断した良品ユニット配線板を、別の製品シートから切断して用意する第3の工程と、第1のガイド穴と第2のガイド穴とを位置合わせして、製品シートにおける不良ユニット配線板の切断除去された領域に良品ユニット配線板を組み込む第4の工程と、第1のガイド穴と第2のガイド穴との周辺領域を接着手段で固定する第5の工程とを含むことを特徴とする集合基板のユニット配線板差し替え方法を提供する。
【0007】
この差し替え方法によれば、複数のユニット配線板が形成された製品シート内に不良ユニット配線板が存在する場合は、その製品シート内に形成された第1のガイド穴を含まない領域で不良ユニット配線板を切断除去する。次に、ユニット配線板部分の形状が不良ユニット配線板と同一形状であって、位置決め用の第2のガイド穴を含む領域で切断した良品ユニット配線板を、別の製品シートから取り出す。そして、第1のガイド穴と第2のガイド穴とで位置合わせしながら、不良ユニット配線板の切断除去された領域に良品ユニット配線板を組み込む。これによって、製品シート上において位置精度良く不良ユニット配線板を良品ユニット配線板に差し替えることができるので、従来は廃棄されていた製品シートを容易に良品化することが可能になる。しかも、高密度実装に適合できるように、高い位置精度でユニット配線板を差し替えすることができる。
【0008】
また、請求項2記載の発明は、複数のユニット配線板が形成された集合基板の製品シート内に存在する不良ユニット配線板を良品ユニット配線板に差し替え、該製品シート内のユニット配線板を全数良品化させる集合基板の不良ユニット配線板差し替え方法であって、隣接するユニット配線板に搭載された電子部品の実装方向が相互に反対方向であり、且つ、ユニット配線板のそれぞれから延在されたジョイント郡が相互に同一方向となるように、各ユニット配線板を製品シート上に配置する第1の工程と、ユニット配線板の何れかが不良ユニット配線板であるとき、ジョイント部を含めて不良ユニット配線板を製品シートから切断除去する第2の工程と、電子部品の実装方向が不良ユニットとは反対方向である良品ユニット配線板を、別の製品シートから切断して用意する第3の工程と、製品シート上で隣接するユニット配線板に対して、電子部品の実装方向が反対方向になるように、良品ユニット配線板の向きを反転させ、製品シートにあらかじめ形成された第1のガイド穴と良品ユニット配線板のジョイント部に形成された第2のガイド穴とを位置合わせして、製品シートにおける不良ユニット配線板の切断除去された領域に良品ユニット配線板を組み込む第4の工程と、第1のガイド穴と第2のガイド穴との周辺領域を接着手段で固定する第5の工程とを含むことを特徴とする集合基板の不良ユニット配線板差し替え方法を提供する。
【0009】
この差し替え方法によれば、製品シート内に複数のユニット配線板が形成されているとき、ユニット配線板とジョイント部とを含む形状が隣接するユニット配線板同士で同じであり、且つ、電子部品の実装方向が隣接するユニット配線板同士で相互に反対方向となっている。このような構成において、製品シート内における複数のユニット配線板のうち何れかが不良ユニット配線板である場合には、該不良ユニット配線板とは電子部品の実装方向が反対方向にある良品ユニット配線板を別の製品シートから切断して用意する。そして、該良品ユニット配線板の向きを反転させ、製品シートにあらかじめ形成された第1のガイド穴と良品ユニット配線板のジョイント部に形成された第2のガイド穴とを位置合わせして、製品シートにおける不良ユニット配線板の切断除去きれた領域にこの良品ユニット配線板を組み込む。これによって、1種類の打ち抜き金型を用いて、製品シートからの不良ユニット配線板の切断除去と、別の製品シートからの良品ユニット配線板の切断・用意とを行うことができるので、集合基板のユニット配線板差し替え作業を簡素化することが可能となる。
【0010】
また、請求項3記載の発明は、ユニット配線基板がフレキシブル配線板であることを特徴とする請求項1又は2記載の集合基板のユニット配線板差し替え方法を提供する。
【0011】
この差し替え方法によれば、同一の製品シート内に多くのフレキシブル配線板がユニット配線板として配列された場合、その製品シート内に不良ユニット配線板が含まれていても、容易に該不良ユニット配線板を良品ユニット配線板に差し替えて製品シートを良品化することができる。
従って、良品のフレキシブル配線板を廃棄することなく、不良ユニット配線板のみを差し替えて利用することができる。
【0012】
また、請求項4記載の発明は、第1のガイド穴と第2のガイド穴との接合部分は、ユニット配線板に形成された回路金属箔及びカバーフイルムが取り去られていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の集合基板のユニット配線板差し替え方法を提供する。
【0013】
この差し替え方法によれば、第1のガイド穴と第2のガイド穴とで位置決めして貼り合わせる重なり部分においては、回路金属箔及及びカバーフイルムを取り去ることにより、貼り合わせる重なり部分の厚みが変わるのを最小限に抑えることができる。これによって、電子部品の実装時における搬送不具合などを抑制することができると共に、高密度実装に対応することもできる。
【0014】
また、請求項5記載の発明は、複数のユニット配線板が形成された集合基板の製品シート内に存在する不良ユニット配線板を良品ユニット配線板に差し替え、該製品シートを良品化させた集合基板であって、製品シートのユニット配線板周辺部分に形成された第1のガイド穴と別に用意した良品ユニット配線板の周辺部分に形成された第2のガイド穴とで位置決めを行い、製品シートにおける不良ユニット配線板の削除領域に良品ユニット配線板を組み込むことを特徴とする集合基板を提供する。
【0015】
この構成によれば、複数のユニット配線板が形成された製品シート内に不良ユニット配線板が存在するとき、その製品シート内に形成された第1のガイド穴を含まない領域で不良ユニット配線板を切断除去している。また、ユニット配線板部分の形状が不良ユニット配線板と同一形状であって、位置決め用の第2のガイド穴を有する良品ユニット配線板を、別の製品シートから取り出している。そして、第1のガイド穴と第2のガイド穴とで位置合わせしながら、不良ユニット配線板の切断除去された領域に良品ユニット配線板を組み込んでいる。これによって、製品シート上において位置精度良く不良ユニットを良品ユニットに差し替えることができるので、従来は廃棄されていた製品シートを廃棄することなく、不良ユニット配線板のみを差し替えて使用することができる。しかも、高密度実装に適合できるように、高い位置精度で製品シート内の不良ユニット配線板を差し替えて使用することができる。
【0016】
また、請求項6記載の発明は、隣接するユニット配線板に搭載された電子部品の実装方向が相互に反対方向であり、且つユニット配線板から延在されたジョイント部が相互に同一方向となるように、各ユニット配線板が製品シート上に配置され、ユニット配線板の何れかが不良ユニット配線板であるときに、該不良ユニット配線板を別に用意した良品ユニット配線板に差し替えて該製品シートを良品化させた集合基板であって、良品ユニット配線板の向きを上下反転させて、製品シートのユニット配線板周辺部分に形成された第1のガイド穴と良品ユニット配線板の周辺部分に形成された第2のガイド穴とで位置決めを行い、製品シートにおける不良ユニット配線板の除去領域に良品ユニット配線板を組み込むことを特徴とする集合基板を提供する。
【0017】
この構成によれば、製品シート内に複数のユニット配線板が形成されているとき、ユニット配線板とジョイント部とを含む形状が隣接するユニット配線板周士で同じであり、且つ、電子部品の実装方向が隣接するユニット配線板同士で相互に反対方向となっている。このような構成において、製品シート内における複数のユニット配線板のうち何れかが不良ユニット配線板であるときは、該不良ユニット配線板とは電子部品の実装方向が反対方向にある良品ユニット配線板を別の製品シートから切断して用意する。そして、該良品ユニット配線板の向きを反転させ、製品シートにあらかじめ形成された第1のガイド穴と良品ユニット配線板のジョイント部に形成された第2のガイド穴とを位置合わせして、製品シートにおける不良ユニット配線板の切断除去された領域にこの良品ユニット配線板を組み込む。これによって、1種類の打ち抜き金型を用いて、製品シートからの不良ユニット配線板の切断・除去と、別の製品シートからの良品ユニット配線板の切断・用意とを行うことができるので、製品シート内の不良ユニット配線板の差し替え作業を安価にすることが可能となる。
【0018】
また、請求項7記載の発明は、ユニット配線板がフレキシブル配線板であることを特徴とする請求項5又は6記載の集合基板を提供する。
【0019】
この構成によれば、同一の製品シート内に多くのユニット配線板としてフレキシブル配線板が配列された集合基板の場合は、その製品シート内に不良ユニット配線板が含まれていても、容易に該不良ユニット配線板を良品ユニット配線板に差し替えて製品シートを良品化することができる。従って、不良ユニット配線板が含まれていても、良品のフレキシブル配線板を廃棄することなく、不良ユニット配線板のみを差し替えて使用することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、製品シート上において位置精度良く不良ユニット配線板を良品ユニット配線板に差し替えることができるので、従来は廃棄されていた製品シートを容易に良品化することが可能になる。しかも、高密度実装に適合できるように、高い位置精度でユニット配線板を差し替えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明は、複数のユニット配線板が形成された製品シート内に存在する不良ユニット配線板を良品ユニット配線板に差し替え、該製品シート内のユニット配線板を全数良品化させる集合基板の不良ユニット配線板差し替える方法であって、製品シートのユニット配線板周辺部分であるスクラップ部に位置決め用の第1のガイド穴を形成する第1の工程と、第1のガイド穴を含まない領域において、製品シートから不良ユニット配線板を切断除去する第2の工程と、ユニット配線板部分の形状が不良ユニット配線板と同一形状であり、且つ、位置決め用の第2のガイド穴を有する良品ユニット配線板を、別の製品シートから切断して用意する第3の工程と、第1のガイド六と第2のガイド穴とを位置合わせして、製品シートにおける不良ユニット配線板の切断除去された領域に良品ユニット配線板を組み込む第4の工程と、第1のガイド穴と第2のガイド穴との周辺領域を接着手段で固定する第5の工程とを含む。
【0022】
以下、図1乃至図8を用いて、本発明に係る集合基板の不良ユニット配線板差し替え方法の実施例について詳述する。
【実施例1】
【0023】
図1は、本発明に適用される集合基板の平面図である。同図に示すように、製品シート1は、複数のユニット配線板2が長尺状に連続的に形成されて集合基板を構成している。製品シート1をこのような構成によって集合基板にすることにより、インサートマシンなどによって各ユニット配線板2に対して連続的に電子部品等を自動実装することができる。そのため、製品シート1に形成された複数のユニット配線板2の中に不良ユニット配線板(図示せず)が存在する場合は、当該不良ユニット配線板を除去して、別に用意した良品ユニット配線板(図示せず)に入れ替える必要がある。尚、集合基板は、図1のような長尺状に限らず、平板シート状の集合基板にも適用できる。
【0024】
図2は、本発明の実施例1に係る集合基板の不良ユニット配線板差し替え方法の第1工程を示す工程図である。
すなわち、図2は、図1に示す製品シート1の一部に1個のユニット配線板2が配置されている状態を示している。また、図3は、本発明の実施例1に係る集合基板の不良ユニット配線板差し替え方法の第2工程を示す工程図である。すなわち、図3は、図2に示す製品シート1におけるユニット配線板2が不良ユニット配線板2bであったときに、その不良ユニット配線板2bを除去して別の良品ユニット配線板2aに置き換える状態を示している。さらに、図4は、本発明の実施例1に係る集合基板の不良ユニット配線板差し替え方法の第3工程を示す工程図である。すなわち、図4は、図3の工程によって不良ユニット配線板2bが良品ユニット配線板2aに置き換えられた製品シート1の不良ユニット配線板が差し替えられた状態を示している。
【0025】
前述の図1で示したように、同一の製品シート1に複数のユニット配線板2が面付けされているフレキシブル基板であって、その製品シート1の中に不良ユニット配線板が存在しているときに、その不良ユニット配線板を別途用意した良品ユニット配線板に差し替えて、製品シート1を良品化させる方法について、図2、図3、及び図4の工程図に従って説明する。
【0026】
先ず、図2に示すように、製品シート1は、スクラップ部3の内部に破線領域内で示すユニット配線板2が形成された状態で構成されている。また、製品シート1のスクラップ部3には位置決め用のガイド穴4a,4bが設けられている。ここで、ユニット配線板2が不良ユニット配線板であるときは、破線で示す領域内のユニット配線板2を含みガイド穴4a,4bを含まない製品外形打抜き領域5を切断除去する。このとき、ジョイント部8a,6bをユニット配線板2側に付けた状態で該ユニット配線板2を切断除去する。
【0027】
次に、図3に示すように、スクラップ部3と不良ユニット配線板2bとを切断分離して、該スクラップ部3の内部空洞部分へ別途用意した良品ユニット配線板2aを組み込む。言い換えると、ガイド穴4a1,4b1を有するガイド部7a,7bを含み、それ以外の領域は先に打ち抜いた不良ユニット配線板2もと同一形状で切断された良品ユニット配線板2aを用い、スクラップ部3のガイド穴4a,4bと良品ユニット配線板2aのガイド穴4a1,4b1とを位置合わせして、スクラップ部3の内部空洞部分に合わせて良品ユニット配線板2aを貼り合わせる。このときの良品ユニット配線板2aの貼り合わせは、良品ユニット配線板28のガイド部7a,7bの領域に樹脂性接着剤を塗布して、スクラップ部3に接着することによって行う。
【0028】
このようにして、図4に示すように、スクラップ部3の内部空洞部分に良品ユニット配線板2aが貼り合わされて製品シート1内のユニット配線板が全数良品となる。ここで、良品ユニット配線板2aのガイド部7a,7bとスクラップ部3に重なり部分が生じて、他の領域(すなわち、スクラップ部3の内部空洞部分へ組み込まれた良品ユニット配線板2aの領域)より厚みが増さないように工夫がなされている。
【0029】
図5は、図4に示す製品シート1のA−A断面図である。尚、図1に示したように、製品シート1には連続してユニット配線板2が形成されているので、図5では、図4に示す製品シート1の領域において良品ユニット配線板2aが組み込まれ、該製品シート1の隣の領域(図示せず)には良品ユニット配線板であるユニット配線板2が存在していることを想定した状態の断面図を示している。
【0030】
図5の断面図に示すように、製品シート1は両面実装基板であって、隣の領域に存在するユニット配線板2は、絶縁ベース11−1の両面にそれぞれ回路金属層12a−1,12b−1が形成され、さらにそれぞれの表面にカバーフイルム13a−1,13b−1がコーティングされている。同様にして、新たに差し替えた良品ユニット配線板2aも両面実装基板であって、絶縁ベース11−2の両面にそれぞれ回路金属層12a−2,12b−2が形成され、さらにそれぞれの表面にカバーフイルム13a−2,13b−2がコーティングされている。
【0031】
ここで、隣の領域に存在するユニット配線板2と新たに差し替えた良品ユニット配線板2aとで厚み方向の高さを揃えるために、隣の領域に存在するユニット配線板2の絶縁ベース11−1と新たに差し替えた良品ユニット配線板2aの絶縁ベース11−2との厚さ方向の高さを揃える。このとき、新たに差し替えた良品ユニット配線板2aのジョイント部6a1は、良品ユニット配線板2aの絶縁ベース11−2が延在されたものであるので、良品ユニット配線板2aのジョイント部6a1を若干折り曲げて、先端部分に付設されたガイド部7a(図3参照)を、隣の領域に存在するユニット配線板2の絶縁ベース11−1(すなわち、製品シート1のスクラップ部3)の上面に密着して搭載させる。もちろん、このとき、良品ユニット配線板2aのガイド穴4a1と、隣接する製品シート1のスクラップ部3のガイド穴4aとを位置合わせして、両者(すなわち、ユニット配線板2の絶縁ベース11−1と良品ユニット配線板2aのガイド部7a)を密着させる。
【0032】
これによって、図5に示すように、隣の領域に元々存在するユニット配線板2と新たに差し替えた良品ユニット配線板2aとの高さを揃えることができる。尚、ユニット配線板2と良品ユニット配線板2aとで微妙に高さが揃わない場合もあるので、部品実装時などにおいて厚みによって影響が生じることがある場合には、良品ユニット配線板2aのガイド部7a,7bを極力影響の生じない領域に設定することが好ましい。
【実施例2】
【0033】
前述の実施例1では、差し替え前のユニット配線板(すなわち、図3の不良ユニット配線板2b)の打ち抜き形状と、差し替え後のユニット配線板(すなわち、図3の良品ユニット配線板2a)の形状とが異なっている場合について説明したが、実施例2では、ユニット配線板の向きを変えることで、差し替え前のユニット配線板(不良ユニット配線板)と差し替え後のユニット配線板(良品ユニット配線板)を同一の打ち抜き形状で実現できる場合について説明する。
【0034】
図6は、本発明の実施例2に係る集合基板のユニット配線板差し替え方法の第1工程を示す工程図である。
すなわち、図6は、隣接する相互のユニット配線板12,12bとジョイント部13a,13bとを含む全体形状が同じであって、且つ隣接する相互のユニット配線板12,12bは部品実装方向(図の大きい矢印の方向)が反対の形状であるときに、隣の不良ユニット配線板12bを除去する工程を示している。また、図7は、本発明の実施例2に係る集合基板のユニット配線板差し替え方法の第2工程を示す工程図である。すなわち、図7は、図6の第1工程で製品シート11から不良ユニット配線板12bを除去した跡に良品ユニット配線板12aを組み込む工程を示している。さらに、図8は、本発明の実施例2に係る集合基板のユニット配線板差し替え方法の第3工程を示す工程図である。すなわち、図8は、図7の第2工程によって製品シート11の不良ユニット配線板が良品ユニット配線板12aに組み替えられた状態を示している。
【0035】
先ず、図6に示すように、製品シート11において、隣接する相互のユニット配線板12,12bとジョイント部13a,13bとを含む全体形状は同じであって、且つ、隣接するユニット配線板12,12bは互いに電子部品の実装方向を反対にした構成となっている。すなわち、ユニット配線板12と隣のユニット配線板(ここでは不良ユニット配線板12b)は、それぞれのジョイント部13a,13bの形状が同じであって、部品の実装方向(図の大きい矢印)は反対である。また、ユニット配線板12及び隣の不良ユニット配線板12bにおけるそれぞれのジョイント部13a,13bの先端部分には、それぞれガイド穴14a,14bが形成されている。また、ジョイント部13a,13bに対してガイド穴14a,14bと対称となる位置の製品シート11の面にはガイド穴15a,15bが形成されている。
【0036】
図6のように形成された製品シート11において、図の右側のユニット配線板12は良品ユニット配線板であるが、図の左側に隣接するユニット配線板は不良ユニット配線板12bであるため、この不良ユニット配線板12b及び該不良ユニット配線板12bに接続されているジョイント部13a,13bを打ち抜いて除去する。
【0037】
そして、図7に示すように、図6で打抜き除去した不良ユニット配線板12bとは部品実装方向(図の大きい矢印方向)が逆の良品ユニット配線板12aを他の製品シート(図示せず)から取り出し、該良品ユニット配線板12aの部品実装方向(図の大きい矢印方向)を、図6のように設置されていた不良ユニット配線板12bの部品実装方向(図の大きい矢印方向)と同じ方向にして(すなわち、良品ユニット配線板12aを図の黒塗り矢印の向きのように180度回転させて)、製品シート11の不良ユニット配線板12bが除去された部分に該良品ユニット配線板12aを嵌め込む。
【0038】
そして、あらかじめ製品シート11に明けられていたガイド穴15aに対して、良品ユニット配線板12aのジョイント部13のガイド穴14aを位置合わせし、製品シート11側のガイド穴15bに対して良品ユニット配線板12aのジョイント部13のガイド穴14bを位置合わせして樹脂性の接着剤で貼り合わせる。このようにして、不良ユニット配線板12bを良品ユニット配線板12aに差し替えて製品シート11に貼り合わせる。
【0039】
これによって、図8に示すように、製品シート11の図視左側に嵌め込まれた良品ユニット配線板12aの部品実装方向(図の大きい矢印方向)は、図視右側の元々良品ユニット配線板であったユニット配線板12の部品実装方向(図の大きい矢印方向)と逆向きに設置され、製品シート11内のユニット配線板が全数良品となる。このようにして、製品シート11内で隣同士のユニット配線板の部品実装方向を変えることによって、ユニット配線板の打ち抜き金型を1種類に統一することができる。
【0040】
ここで、図6ないし図8において、ユニット配線板12は180°回転させると同じ形状となる事例で示してあるが、個々のユニット配線板が180°回転させると同じ形状にならない場合には、ユニット配線板を2個組み合わせて180°回転させると同じ形状となるユニットを形成し、どちらかのユニット配線板が不良である場合に2個まとめて差し替えてもよい。例えば図9では、個別のユニット配線板12−1,12−2が台形の形状であり、それぞれを180°回転させると同じ形状にならないが、2個組み合わせることで180°回転させると同じ形状になる。
【0041】
尚、実施例2の場合についても、図5で示した実施例1の場合と同様に、隣の領域に元々存在するユニット配線板12と新たに差し替えた良品ユニット配線板12aとの高さを揃えることができる。すなわち、実施例1の図4のA−A断面図が図5であるのと同様に、図8のB−B断面図は図5に示すようになっていて、良品ユニット配線板12aのジョイント部13のガイド穴14aと製品シート11に形成されたガイド六15aの接合部分は、図5に示すように良品ユニット配線板12aの高さの範囲内に納まっている。
【0042】
また、実施例1、2において、図5に示すように、ガイド穴で位置決めして貼り合わせる重なり部分(図5のガイド部7a)の回路金属箔及び12a−2、12b−2及びカバーフイルム13a−2、13bー2を取り去ることで、貼り合わせる重なり部分の厚みが変わるのを最小限に抑えることができるので、電子部品の実装時における搬送不具合などを抑制することができる。
【0043】
尚、実施例1、2おいては、ガイド穴は貫通穴として、このガイド穴にガイドピンを挿通して位置決めすることを想定しているが、良品ユニット配線板のガイド穴と製品シート側のガイド穴とを透視して読み取れる位置決め装置(例えば、X線カメラ)などを用いることができれば、ガイド穴は貫通穴に限らず、例えば回路形成時に一緒に金属箔に形成されるマークなどであってもよい。この場合は、位置決めして貼り合わせる重なり部分とガイド穴とを同一箇所に設けなくてもよい。
【0044】
また、実施例1において、スクラップ部3と差し替えた良品ユニット配線板2aを含む領域部とを接着する方法として、ガイド穴周辺領域に樹脂性接着剤を介挿させたが、これに限らず、ガイド穴(または他の穴でもよい)にろう材等を流し込んで固定する方法でもよい。実施例2においても、ガイド穴にろう材等を流し込んで固定してもよいことはもちろんである。
【0045】
以上、本発明に係る集合基板のユニット配線板差し替え方法について2つの実施例を説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変をなすことができ、そして、本発明が該改変されたものにも及ぶことは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に適用される集合基板の平面図。
【図2】本発明の実施例1に係る集合基板のユニット配線板差し替え方法の第1工程を示す工程図。
【図3】本発明の実施例1に係る集合基板のユニット配線板差し替え方法の第2工程を示す工程図。
【図4】本発明の実施例1に係る集合基板のユニット配線板差し替え方法の第3工程を示す工程図。
【図5】図4に示す製品シート1のA−A断面図。
【図6】本発明の実施例2に係る集合基板のユニット配線板差し替え方法の第1工程を示す工程図。
【図7】本発明の実施例2に係る集合基板のユニット配線板差し替え方法の第2工程を示す工程図。
【図8】本発明の実施例2に係る集合基板のユニット配線板差し替え方法の第3工程を示す工程図。
【図9】本発明の実施例2に係る集合基板のユニット配線板差し替え方法の第1工程の他の形状を示す工程図。
【符号の説明】
【0047】
1,11 製品シート(集合基板)
2,12 ユニット配線板
2a、12a.良品ユニット配線板
2b,12b 不良ユニット配線板
3 スクラップ部
4a,4b,4a1,4b1,14a,14b,15a,15b ガイド穴
5 製品外形打ち抜き領域
6a,6b,6a1,6b1,13a,13b ジョイント部
7a,7b ガイド部
11−1,1−2 絶縁ベース
12a−1,12b−1,12a−2,12b−2 回路金属層
13a−1,13b−1,13a一2,13b−2 カバーフイルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユニット配線板が形成された集合基板の製品シート内に存在する不良ユニット配線板を良品ユニット配線板に差し替える、集合基板のユニット配線板差し替え方法であって、
前記製品シートの前記ユニット配線板周辺部分であるスクラップ部に位置決め用の第1のガイド穴を形成する第1の工程と、
前記第1のガイド穴を含まない領域において、前記製品シートから前記不良ユニット配線板を切断除去する第2の工程と、
前記ユニット配線板部分の形状が前記不良ユニット配線板と同一形状であり、且つ、位置決め用の第2のガイド穴を含む領域で切断した良品ユニット配線板を、別の製品シートから切断して用意する第3の工程と、
前記第1のガイド穴と前記第2のガイド穴とを位置合わせして、前記製品シートにおける前記不良ユニット配線板の切断除去された領域に前記良品ユニット配線枝を組み込む第4の工程と、
前記第1のガイド穴と前記第2のガイド穴との周辺領域を接着手段で固定する第5の工程と
を含むことを特徴とする集合基板のユニット配線板差し替え方法。
【請求項2】
複数のユニット配線板が形成された集合基板の製品シート内に存在する不良ユニット配線板を良品ユニット配線板に差し替える、集合基板のユニット配線板差し替え方法であって、
隣接するユニット配線板に搭載された電子部品の実装方向が相互に反対方向であり、且つ前記ユニット配線板のそれぞれから延在されたジョイント部が相互に同一方向となるように、各ユニット配線板を前記製品シート上に配置する第1の工程と、
前記ユニット配線板の何れかが不良ユニット配線板であるとき、前記ジョイント部を含めて前記不良ユニット配線板を前記製品シートから切断除去する第2の工程と、
前記電子部品の実装方向が前記不良ユニット配線板とは反対方向である良品ユニット配線板を、別の製品シートから切断して用意する第3の工程と、
前記製品シート上で隣接するユニット配線板に対して、前記電子部品の実装方向が反対方向になるように、前記良品ユニット配線板の向きを反転させ、前記製品シートにあらかじめ形成された第1のガイド穴と前記良品ユニット配線板の前記ジョイント部に形成された第2のガイド穴とを位置合わせして、前記製品シートにおける前記不良ユニット配線板の切断除去された領域に前記良品ユニット配線板を組み込む策4のエ程と、
前記第1のガイド穴と前記第2のガイド穴との周辺領域を接着手段で固定する第5の工程と
を含むことを特徴とする集合基板のユニット配線板差し替え方法。
【請求項3】
前記ユニット配線板はフレキシブル配線板であることを特徴とする請求項1又は2記載の集合基板のユニット配線板差し替え方法。
【請求項4】
前記第1のガイド穴と前記第2のガイド穴との接合部分は、前記ユニット配線板に形成された回路金属箔及びカバーフィルムが取り去られていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の集合基板のユニット配線板差し替え方法。
【請求項5】
複数のユニット配線板が形成された集合基板の製品シート内に存在する不良ユニット配線板を良品ユニット配線板に差し替え、該製品シートを良品化させた集合基板であって、
前記製品シートの前記ユニット配線板周辺部分に形成された第1のガイド穴と別に用意した良品ユニット配線板の周辺部分に形成された第2のガイド穴とで位置決めを行い、前記製品シートにおける前記不良ユニット配線板の削除領域に前記良品ユニット配線板を組み込むことを特徴とする集合基板。
【請求項6】
隣接するユニット配線板に搭載された電子部品の実装方向が相互に反対方向であり、且つ前記ユニット配線板から延在されたジョイント部が相互に同一方向となるように、各ユニット配線板が前記製品シート上に配置され、前記ユニット配線板の何れかが不良ユニット配線板であるときに、該不良ユニット配線板を別に用意した良品ユニット配線板に差し替えて該製品シートを良品化させた集合基板であって、
前記良品ユニット配線板の向きを上下反転させて、前記製品シートの前記ユニット配線板周辺部分に形成された第1のガイド穴と前記良品ユニット配線板の周辺部分に形成された第2のガイド穴とで位置決めを行い、前記製品シートにおける前記不良ユニット配線板の除去領域に前記良品ユニット配線板を組み込むことを特徴とする集合基板。
【請求項7】
前記ユニット配線板はフレキシブル配線板であることを特徴とする請求項5又は6記載の集合基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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