集合基板及びその製造方法
【課題】ハンドリングが容易で且つ反りの発生を抑制可能な、生産性及び経済性に優れる集合基板及びその製造方法を提供する。
【解決手段】ワークボード100は、略矩形状の基板11の一方面に絶縁層21を備え、絶縁層21の内部に、電子部品41、及び板状一体枠51が埋設されたものである。板状一体枠51は、複数の凹部53が内周壁52aに並設されたものであり、電子部品41の非載置部に、複数の電子部品41(群)を取り囲むように配置されている。
【解決手段】ワークボード100は、略矩形状の基板11の一方面に絶縁層21を備え、絶縁層21の内部に、電子部品41、及び板状一体枠51が埋設されたものである。板状一体枠51は、複数の凹部53が内周壁52aに並設されたものであり、電子部品41の非載置部に、複数の電子部品41(群)を取り囲むように配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面方向に個別基板を複数包含する集合基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エレクトロニクス技術の進歩にともない、プリント配線基板の高密度化が求められ、配線パターンと絶縁層とを複数積層した多層プリント配線基板が広く用いられるようになっている。
【0003】
従来、この種の用途に用いられるプリント配線基板は、生産性の向上を図るべく、複数個のプリント配線基板用の配線パターン群(配線層)を設けた例えば約300〜500mm四方のワークシート(集合基板)を、ダイシング等で個々に分割して複数のプリント配線基板(個別基板、個片、個品)を得る、いわゆる多数個取りによって製造されている。かかるワークシートは、通常、配線パターン及び絶縁層を交互にビルドアップすることにより多層化されている。そして、配線パターン等を、サブトラクティブ法又はアディティブ法にて形成し、絶縁層を、熱硬化性樹脂の熱硬化にて形成するのが一般的である。
【0004】
上記従来のワークシートの製造においては、絶縁層形成時に応力が印加されるので、ワークシートの反りが不可避的に発生する。そこで、ワークシートの反りを抑制するために、例えば、特許文献1には、ワークシート上に複数個のプリント配線基板用の配線パターン群(配線層)を設けるとともに、スリットを形成して不連続とした枠状導電パターンをそれらの配線パターン群を囲むように設け、ビルドアップや表面実装等の加工を施した後、枠状導電パターンを取り除くようにワークシートを裁断して、複数の個別基板を得る製法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−167141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近時、生産効率の向上を目的として、複数のワークシートを包含する大面積の集合基板としてのワークボードを作製し、このワークボードをダイサー等により裁断して小面積のワークシートを複数作製し、得られるワークシートをさらに裁断して複数の個別基板を作製することが検討されている。
【0007】
かかるワークボードの作製に上記従来の製法を適用すると、枠状導電パターンを不連続に設けるので、得られるワークボードは、枠状導電パターンのない部分の基板強度が低く、搬送や裁断等の製造加工時のハンドリングが困難なものとなるばかりか、反りの抑制が不十分なものとなる。これらの問題は、ワークボードの薄膜化及び大面積化にともない、より一層顕著化すると予想される。
【0008】
一方、上記ワークボードを裁断して得られる各々のワークシートは、枠状導電パターンが取り除かれるので、ワークボードに比して基板強度が大幅に低下し、ハンドリングが困難になるとともに反りがまったく抑制されなくなり、その結果、搬送不良、ビルドアップ時及び表面実装時の位置精度の低下等の不都合が発生し得る。したがって、上記従来の製法をワークボードの作製に適用すると、歩留まりが低下する等、生産性及び経済性の低下を引き起こすばかりか、得られる個別基板の実装信頼性の低下を招いてしまう。
【0009】
そこで、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、ハンドリングが容易で且つ反りの発生を抑制可能な、面方向に個別基板を複数包含する集合基板、及び、かかる集合基板を煩雑な工程を必要とせず低コストで簡易に製造可能な、生産性及び経済性に優れる製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明による集合基板は、面方向に個別基板を複数包含する集合基板であって、基板と、個別基板に対応して各々形成された配線層と、少なくとも1つ以上の個別基板を包含する複数の集合体に対して、各集合体の外周を取り囲むように配置され、複数の凹部が内周に沿って並設された枠体と、を備え、前記枠体は、複数の窓を有する板状一体格子枠であり、且つ、前記各窓の内周に、前記複数の凹部が設けられたものである。
【0011】
なお、本明細書において、「面方向に個別基板を複数包含する集合基板」とは、上述した個別基板(個片、個品)が面方向に複数形成された集合基板(ワークボード)を意味する。また、「少なくとも1つ以上の個別基板を包含する集合体」とは、集合基板に包含されている複数の個別基板のうち少なくとも1つ以上の個別基板の集まりを意味し、いわゆるワークシートを意味する。かかるワークボードは、半導体IC等の能動素子やバリスタ、抵抗、コンデンサ等の受動素子等に代表される電子部品が実装されたものでもよい。これら電子部品は、基板の表面に実装されていても、基板の内部に埋め込まれていても、基板内部に埋め込まれて一部のみ外部に露出していても、例えば、電気的接続のための端子等の配線構造が外部に一部露出していてもよい。
【0012】
また、本明細書において、「配線層」は、基板表面、基板裏面及び基板内部のうち少なくとも1箇所以上に形成されていればよい。
【0013】
さらに、本明細書において、「枠体」は、一体に形成されていてもよく、別体に形成された複数の部材が一体枠状に実質的に間隙なく連接されていてもよい。また、「枠体」は、基板表面又は裏面に直接載置されていても、基板内部に配置されていてもよい。
【0014】
上記構成においては、各集合体の外周を取り囲むように、複数の窓を有する板状一体格子枠、換言すれば、外枠内に設けられた格子によって複数の窓が画成されている格子枠であり、それらの窓の内周(各窓を画成する格子及び外枠)に複数の凹部を有する板状一体格子枠を配置するので、基板強度が局所的に極端に異なることなく(つまり、方向異方性なく)略等方的に高められる。すなわち、板状一体格子枠は、集合基板の機械強度を略等方的に向上させる構造体として機能し、また、格子が言わば外枠を補強する梁として機能するので、応力印加に抗して基板の形状変化を抑制する。そのため、かかる集合基板は、反りの発生がより一層効果的に抑制され、基板強度が等方的により向上されたものとなり、搬送や裁断(切断)等の製造加工時のハンドリングが極めて容易なものとなり、その結果、生産性及び経済性が高められ、得られる個別基板の実装信頼性の向上が図られる。
【0015】
しかも、上記構成では、複数の凹部が内周に沿って並設された板状一体格子枠を用いるので、かかる板状一体格子枠の各凹部を横切る(横断する)線状に(つまり、その線に沿う面を裁断面として)集合基板を裁断すると、各窓に対応して、板状一体格子枠の切片(裁断片)が外周(外縁)に枠状に存置した基板片(ワークシート又は個別基板)を作製し得る。これにより、従来では為し得なかった、枠状部材が配置された集合基板(ワークボード)から、枠状部材が外周(外縁)に存置した基板片(ワークシート又は個別基板)を容易に得ることが可能となり、その結果、得られる基板片(ワークシート又は個別基板)の基板強度が十分に維持されるとともに、反りの発生が効果的に抑制される。したがって、得られる基板片(ワークシート又は個別基板)は、搬送や裁断(切断)、ビルドアップ、表面実装等の製造加工時のハンドリングが容易になり、その結果、以降の製造加工トラブルの発生が抑制され、歩留まりが向上するので、生産性及び経済性が高められ、得られる個別基板の実装信頼性の向上が図られる。
【0016】
その上さらに、上記のように集合基板を裁断すると、裁断面において各凹部の分だけ板状一体格子枠の実効裁断面積が低減されるので、裁断加工が容易になるとともに、例えばダイサーの刃への負荷が軽減される等、裁断用具の長寿命化が図れる。
【0017】
また、凹部は、その開口から内部に向かって、連続的に(徐々に)又は段階的に拡開する構造を有することが好ましい。このように凹部を構成し、その幅広部分(開孔よりも幅が広い部分)を横切るように線状に集合基板を裁断すると、板状一体格子枠の実効裁断面積がより一層低減されるので、裁断用具への負荷がより一層軽減され、裁断加工がより一層容易になるとともに裁断用具の更なる長寿命化が図られる。しかも、得られる基板片(ワークシート又は個別基板)の外周壁(裁断面)に露出する板状一体格子枠の切片の露出面積を小さくできるので、かかる外周壁にて生じ得る膜の剥がれ(剥離)が抑制される。
【0018】
さらに、板状一体格子枠は、隣接する凹部を結ぶ直線上に孔を有するものであることが好ましい。このように孔を構成して、隣接する凹部及び孔を横切るように線状に集合基板を裁断すると、板状一体格子枠の実効裁断面積がより一層低減されるので、裁断用具への負荷がより一層軽減され、裁断加工がより一層容易になるとともに裁断用具の更なる長寿命化が図られる。しかも、得られる基板片(ワークシート又は個別基板)の外周壁(裁断面)に露出する板状一体格子枠の切片の露出面積を小さくできるので、かかる外周壁にて生じ得る膜の剥がれ(剥離)が抑制される。
【0019】
また、本発明による集合基板の製造方法は、本発明の集合基板を有効に製造するための方法であって、個別基板に対応して各々形成された配線層を有する基板を準備する工程と、少なくとも1つ以上の個別基板を包含する複数の集合体に対して、各集合体の外周を取り囲むように、複数の凹部が内周に沿って並設された枠体を配置する工程と、を有し、前記枠体は、複数の窓を有する板状一体格子枠であり、且つ、前記各窓の内周に、前記複数の凹部が設けられたものを用いる方法である。かくして得られる集合基板を、上述したように複数の凹部を横切る線状に裁断することで、板状一体格子枠の切片(裁断片)が外周(外縁)に枠状に存置した基板片(ワークシート又は個別基板)を作製し得る。
【発明の効果】
【0020】
本発明の集合基板及びその製造方法によれば、基板強度が局所的に極端に異なることなく(つまり、方向異方性なく)略等方的に高められ、不均一な内部応力が緩和されるので基板の反りが抑制されるとともに、基板強度がより一層向上されるので、搬送や裁断等の製造加工時のハンドリングが容易になる。また、板状一体格子枠の各凹部を横切るように線状に集合基板を裁断すると、裁断具への負荷を軽減しつつ、板状一体格子枠が配置された集合基板から、板状一体格子枠の切片が外周(外縁)に存置された基板片(ワークシート又は個別基板)を、煩雑な工程を必要とすることなく低コストで簡易に作製できる。したがって、搬送時、裁断加工時、ビルドアップ時又は表面実装時等における不都合の発生を抑制でき、歩留まりが向上する等、生産性及び経済性を高めることができ、実装信頼性の向上が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明による集合基板の第1実施形態の要部を示す平面図である。
【図2】図1におけるII−II線に沿う断面図である。
【図3】電子部品41の概略構成を示す斜視図である。
【図4】板状一体枠51の概略構成を示す平面図である。
【図5】板状一体枠51の要部を示す平面図である。
【図6】ワークボード100を製造する手順の一例を示す工程図である。
【図7】ワークボード100を製造する手順の一例を示す工程図である。
【図8】ワークボード100を製造する手順の一例を示す工程図である。
【図9】ワークボード100を製造する手順の一例を示す工程図である。
【図10】ワークボード100を製造する手順の一例を示す工程図である。
【図11】図10におけるXI−XI線に沿う断面図である。
【図12】ワークボード100を製造する手順の一例を示す工程図である。
【図13】ワークボード100の概略構成を示す断面図である。
【図14】ワークシート200を製造する手順の一例を示す工程図である。
【図15】図14におけるXV−XV線に沿う断面図である。
【図16】ワークシート200の要部を示す平面図である。
【図17】図16におけるXVII−XVII線に沿う断面図である。
【図18】個別基板300を製造する手順の一例を示す工程図である。
【図19】個別基板300を製造する手順の一例を示す工程図である。
【図20】個別基板300を製造する手順の一例を示す工程図である。
【図21】個別基板300を製造する手順の一例を示す工程図である。
【図22】電子部品内蔵モジュール201の概略構成を示す断面図である。
【図23】個別基板300を製造する手順の一例を示す工程図である。
【図24】図23におけるXXIV−XXIV線に沿う断面図である。
【図25】個別基板300の概略構成を示す断面図である。
【図26】板状一体枠51の変形例を示す平面図である。
【図27】板状一体枠51の変形例を示す平面図である。
【図28】ワークボード100の変形例を示す要部断面図である。
【図29】ワークボード100の変形例を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、図面中、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。
【0023】
(第1実施形態)
図1及び図2は、本発明による集合基板の第1実施形態の構造を概略的に示す要部拡大平面図及び断面図である。ワークボード100は、複数の個別基板を作製可能なワークシート(集合体)をシート面内の面方向に複数包含する電子部品内蔵集合基板であり、略矩形状の基板11の一方の面(図示上面)に絶縁層21を備え、絶縁層21の内部の所定位置に電子部品41及び板状一体枠51(枠体)が埋設されたものである。
【0024】
基板11は、絶縁層12の両面に配線層(パターン)12a,12bが形成されたものであり、配線層12a上に絶縁性の樹脂フィルムを真空圧着させることにより積層された絶縁層13を有している。配線層(パターン)12a,12bは、目的とする個別基板に対応して各々形成されている。そして、配線層12aと配線層12bとは、目的とする個別基板毎に、絶縁層12を貫通するビア14を介して電気的に接続されている。
【0025】
絶縁層12,13に用いる材料は、シート状又はフィルム状に成型可能なものであれば特に制限されず使用可能であり、具体的には、例えば、ビニルベンジル樹脂、ポリビニルベンジルエーテル化合物樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂(BTレジン)、ポリフェニレエーテル(ポリフェニレンエーテルオキサイド)樹脂(PPE,PPO)、シアネートエステル樹脂、エポキシ+活性エステル硬化樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂(ポリフェニレンオキサオド樹脂)、硬化性ポリオレフィン樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、ポリイミド樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、芳香族液晶ポリエステル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂又はベンゾオキサジン樹脂の単体、又は、これらの樹脂に、シリカ、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸アルミウイスカ、チタン酸カリウム繊維、アルミナ、ガラスフレーク、ガラス繊維、窒化タンタル、窒化アルミニウム等を添加した材料、さらに、これらの樹脂に、マグネシウム、ケイ素、チタン、亜鉛、カルシウム、ストロンチウム、ジルコニウム、錫、ネオジウム、サマリウム、アルミニウム、ビスマス、鉛、ランタン、リチウム及びタンタルのうち少なくとも1種の金属を含む金属酸化物粉末を添加した材料、またさらには、これらの樹脂に、ガラス繊維、アラミド繊維等の樹脂繊維等を配合した材料、或いは、これらの樹脂をガラスクロス、アラミド繊維、不織布等に含浸させ材料、等を挙げることができ、電気特性、機械特性、吸水性、リフロー耐性等の観点から、適宜選択して用いることができる。
【0026】
絶縁層21は、熱硬化性樹脂からなり、その樹脂材料としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビニルベンジルエーテル化合物樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、シアネートエステル系樹脂、ポリイミド、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル、ポリフェニレンオキサイド、液晶ポリマー、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられ、これらを単独または複数組み合わせて使用することができる。また、アクリルゴム、エチレンアクリルゴム等のゴム材料や、ゴム成分を一部含むような樹脂材料であってもよい。さらに、これらの樹脂に、シリカ、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸アルミウイスカ、チタン酸カリウム繊維、アルミナ、ガラスフレーク、ガラス繊維、窒化タンタル、窒化アルミニウム等を添加した材料、さらに、これらの樹脂に、マグネシウム、ケイ素、チタン、亜鉛、カルシウム、ストロンチウム、ジルコニウム、錫、ネオジウム、サマリウム、アルミニウム、ビスマス、鉛、ランタン、リチウム及びタンタルのうち少なくとも1種の金属を含む金属酸化物粉末を添加した材料、またさらには、これらの樹脂に、ガラス繊維、アラミド繊維等の樹脂繊維等を配合した材料、或いは、これらの樹脂をガラスクロス、アラミド繊維、不織布等に含浸させた材料、等を挙げることができ、電気特性、機械特性、吸水性、リフロー耐性等の観点から、適宜選択して用いることができる。
【0027】
図3は、電子部品41の構造を概略的に示す斜視図である。この電子部品41は、ベアチップ状態の半導体IC(ダイ)であり、略矩形板状をなす主面41aに多数のランド電極42を有している。なお、図示においては、四隅にのみランド電極42及び後述するバンプ43(端子)を表示し、それ以外のランド電極42の表示を省略した。また、電子部品41の種類は、特に制限されるものではないが、例えば、CPUやDSPのように動作周波数が非常に高いデジタルICが挙げられる。
【0028】
電子部品41の裏面41bは研磨されており、これにより電子部品41の厚さt1(主面41aから裏面41bまでの距離)は、通常の半導体ICに比して薄くされている。具体的には、電子部品41の厚さt1は、例えば200μm以下、より好ましくは100μm以下、特に好ましくは20〜50μm程度とされる。また、電子部品41の裏面41bは、薄膜化或いは密着性を向上させるべく、エッチング、プラズマ処理、レーザ処理、ブラスト研磨、バフ研磨、薬品処理等による粗面化処理を行うことが好ましい。
【0029】
なお、電子部品41の裏面41bの研磨は、ウェハの状態で多数の電子部品41に対して一括して行い、その後、ダイシングにより個別の電子部品41に分離することが好ましい。研磨により薄くする前にダイシングによって個別の電子部品41に裁断分離した場合には、熱硬化性樹脂等により電子部品41の主面41aを覆った状態で裏面41bを研磨することもできる。
【0030】
各ランド電極42には、導電性突起物の一種であるバンプ43(端子)が形成されている。バンプ43の種類は、特に制限されず、スタッドバンプ、プレートバンプ、メッキバンプ、ボールバンプ等の各種のバンプを例示できる。図示においては、スタッドバンプを例示した。バンプ43としてスタッドバンプを用いる場合には、銀(Ag)や銅(Cu)をワイヤボンディングにて形成することができ、プレートバンプを用いる場合には、メッキ、スパッタ又は蒸着によって形成することができる。また、メッキバンプを用いる場合には、メッキによって形成することができ、ボールバンプを用いる場合には、半田ボールをランド電極42上に載置した後、これを溶融させるか、クリーム半田をランド電極上に印刷した後、これを溶融させることによって形成することができる。また、導電性材料をスクリーン印刷し、これを硬化させた円錐状、円柱状等のバンプや、ナノペーストを印刷し、加熱によりこれを焼結させてなるバンプを用いることもできる。
【0031】
バンプ43に使用可能な金属種としては、特に限定されず、例えば、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、クロム(Cr)、ニッケル・クロム合金、半田等が挙げられ、これらのなかでは、接続性やマイグレーションを考慮すると金又は銅を用いることが好ましく、銅を用いることがより好ましい。バンプ43の材料として銅を用いると、例えば金を用いた場合に比して、ランド電極42に対する高い接合強度を得ることが可能となり、電子部品41自体の信頼性が高められる。
【0032】
バンプ43の寸法形状は、ランド電極42間の間隔(ピッチ)に応じて適宜設定することができ、例えば、ランド電極42のピッチが約100μmである場合には、バンプ43の最大径を10〜90μm程度、高さを2〜100μm程度にすればよい。なお、バンプ43は、ウェハのダイシングにより個別の電子部品41に裁断分離した後、ワイヤボンダーを用いて各ランド電極42に接合することができる。
【0033】
図4及び図5は、板状一体枠51の構造を概略的に示す平面図及び要部拡大平面図である。本実施形態で用いる板状一体枠51は、4つの矩形状の窓Wが格子状に区画された板状体からなる枠部52からなる。枠部52の外形は、基板11の外形と略相似の略矩形状であり、その外寸が基板11より若干小さく設計されている。なお、図1に示すように、枠部52の厚さt2(最厚部)は、電子部品41の厚さt1よりも僅かに薄い程度が好ましい。
【0034】
枠部52の格子窓Wの内周壁52a(内周)には、Δsの開口幅を有する複数の凹部53が等間隔に並設されている。言い換えれば、枠部52の各窓Wの内周壁52aの一部を、略直方体状に等間隔に切り欠くことで、複数の凹部53が形成されている。かかる凹部53は、後述する個別基板300の境界(裁断面)に対応させて形成されている。また、隣接する凹部53,53間には、孔54が形成されている。孔54は、隣接する凹部53を結ぶ直線上に、等ピッチで複数形成されている。また、孔54の外周には、孔55が、孔54の配置間隔と等ピッチで複数形成されている。
【0035】
板状一体枠51に使用可能な材料としては、下記式(1);
α1 < α3 且つ α2 < α3 ・・・ (1)、
(式中、α1は、電子部品41の線熱膨張係数(ppm/K)を示し、α2は、板状一体枠51の線熱膨張係数(ppm/K)を示し、α3は、上記の基板11、各配線層又は各絶縁層の線熱膨張係数(ppm/K)を示す。)を満たすものであれば、特に制限なく用いることができる。この種の用途に用いられる電子部品、基板、配線層及び絶縁層においては、一般的に、α1が1〜8ppm/K程度でありα3が14〜20程度であるので、α2は、3〜16(ppm/K)であることが好ましい。より具体的には、線熱膨張係数が3〜16(ppm/K)の金属、合金及び樹脂等が挙げられ、例えば、SUS400(11ppm/K)、SUS410(11ppm/K)、SUS430(10.5ppm/K)、SUS630(11ppm/K)、SUS631(10ppm/K)、SUS316(16ppm/K)、42アロイ(4.5ppm/K)、インコネル(14ppm/K)、ニッケル(12.5ppm/K)、ニッケルクロムモリブデン鋼(11ppm/K)、鉄(11ppm/K)、鋳鉄(10ppm/K)、チタン(9ppm/K)、芳香族ポリアミド(製品名:ミクトロンGQ;13ppm/K)、芳香族ポリアミド(製品名:ミクトロンML;3ppm/K)、PET(15ppm/K)、ポリイミド(3〜15ppm/K)等が挙げられ、これらの中でも、加工性や入手性、剛直性、コスト等の観点から、SUS430又はインコネルを用いることが好ましく、これらのなかでは、SUS430を用いることがより好ましい。
【0036】
以下、図6乃至図15を参照しながら、上記のワークボード100として、複数の電子部品41を内蔵するワークシートを4つ包含するものの製造方法について説明する。
【0037】
まず、両面銅張ガラスエポキシをドリル穿孔し、さらに無電解メッキ、電解メッキを施した後、不要部分をエッチングにより除去する等の公知の手法を用いて、配線層(パターン)12a,12b及びビア14が形成された基板11を準備する(図6)。ここでは、配線層12a,12b及びビア14からなる回路構成群を、板状一体枠51の各格子窓Wと対応する4箇所に各々離間して形成する(図示せず)。各々の回路構成は、目的とする個別基板に対応して個別に形成される。そしてさらに、基板11の配線層12a上に絶縁層13を形成する(図7)。その後、上記の操作により得られる基板11を、図示しないステンレス製のワークステージ上の所定位置に載置固定し、以降の工程を行う。
【0038】
次に、基板11の絶縁層13上の製品エリアS1〜S4内の所定位置に、電子部品41を載置する(図8及び図9)。ここで、製品エリアS1〜S4は、配線層12a,12b及びビア14等の回路構成群に基づいて画定される、目的とする個別基板の作製領域である。なお、図9においては、理解を容易にするために電子部品41の記載を省略している。ここでは、上述したように、基板11に板状一体枠51の各格子窓Wと対応する4箇所に同一の回路構成群が4つ形成されているので、これに対応して、2×2の碁盤目状に各々離間して配列された製品エリアS1〜S4及び格子状の非製品エリアT(製品エリアS1〜S4を除く領域)が画定されている(図9)。
【0039】
さらに、基板11の絶縁層13上に、板状一体枠51を載置する(図10乃至図12)。なお、図12においては、理解を容易にするために電子部品41の記載を省略している。ここでは、板状一体枠51を、板状一体枠51の各格子窓Wが製品エリアS1〜S4と一致するように、電子部品41の非載置部である非製品エリアTの所定位置に載置する。かくして、板状一体枠51は、製品エリアS1〜S4を取り囲むように載置される(図10乃至図12)。また、電子部品41と板状一体枠51とは、基板11の絶縁層13上の同一平面に載置される(図11)。なお、板状一体枠51の載置は、電子部品41の載置に先行して行っても、電子部品41の載置と同時に行なっても構わない。
【0040】
その後、上記のように基板11の絶縁層13上に載置された電子部品41及び板状一体枠51を覆うように、絶縁層21を形成する(図13)。具体的には、未硬化又は半硬化状態の熱硬化性樹脂を、基板11の絶縁層13上に塗布し、熱を印加し硬化させることにより絶縁層21を形成する。上記の操作により、本実施形態のワークボード100が得られる。
【0041】
ここで、絶縁層21の形成は、未硬化又は半硬化状態の熱硬化性樹脂を塗布した後、熱を印加して半硬化させた後、プレス手段を用いて硬化成形することが好ましい。このようにすると、配線層12a,12b、絶縁層12,13,21、電子部品41、板状一体枠51間の密着性が向上する。この硬化成形は、必要に応じ熱を印加しながら行ってもよい。すなわち、絶縁層21の形成には、種々の公知の手段を採用することができ、例えば、スクリーン印刷、スピンコーター等の手法の他、プレス、真空ラミネート、常圧ラミネート等も採用可能である。
【0042】
また、本実施形態のように電子部品41の厚さt1よりも薄い板状一体枠51を用いた場合は、絶縁層21中で占有する空間体積率が基板11の外周方向に向かって低減するので、絶縁層21の硬化プレス成形時に、未硬化(半硬化)樹脂が製品エリアS1〜S4から非製品エリアTを通過して基板11の外周方向へと流動し易くなる。よって、製品エリアS1〜S4に圧力を均等に印加させ易くなり、配線層12a,12b、絶縁層12,13,21、電子部品41、板状一体枠51間の密着性が向上するとともに、ワークボード100厚さ、及び平坦性が向上される。さらには、配線層12a,12b、絶縁層12,13,21、電子部品41、板状一体枠51間に存在・混入し得る気泡が効率的に排除される等して製造加工トラブルの発生を抑制でき、歩留まり及び実装信頼性を向上させることができる。
【0043】
そして、上記の操作によって得られるワークボード100を、複数の凹部53及び孔54を結び且つ横切る直線(図示A−A線)に沿う面を裁断面とし、ダイサー等の裁断用具を用いて裁断する等の公知の手法によって、基板11を板状一体枠51とともに裁断することにより、略製品エリアS1〜S4毎に分割された4つのワークシート200が得られる(図14及び図15)。
【0044】
図16及び図17は、ワークシート200の構造を概略的に示す要部拡大平面図及び要部断面図である。ワークシート200は、複数の個別基板を作製可能な電子部品内蔵集合基板であり、略矩形状の基板11の一方の面(図示上面)に絶縁層21を備え、絶縁層21の内部の所定位置に電子部品41及び板状一体枠51が埋設されたものである。
【0045】
ワークシート200は、上記のようにワークボード100を裁断することにより形成された、複数の板状一体枠51の切片51a(裁断片)が、外周(外縁)に各々離間して枠状に存置した構成となっている。切片51aは、板状一体枠51の孔54の一部を裁断することにより形成された凹部54aを有するコの字状(略C字状)の構造物であり、ワークシート200の外周壁(外周面)において、凹部54aとともに露出した状態となっている。
【0046】
以下、図18乃至図25を参照しながら、上記のワークシート200から個別基板300を作製する方法について説明する。
【0047】
まず、ワークシート200の絶縁層21の一部を除去して、電子部品41のバンプ43を露出させる(図18)。この絶縁層21の除去方法は、公知の手法を適宜選択することができ、具体的には、例えば、グラインダーを用いた研磨や、ブラスト処理、炭酸ガスレーザの照射等が挙げられる。
【0048】
そして、公知の手法により、絶縁層13,21を貫通するビア24を各々形成し(図19)、次いで、サブトラクティブ法又はアディティブ法等の公知の手法により、絶縁層31上に配線層21aを形成することにより、電子部品41、バンプ43、配線層21a及び12aを、ビア14,24を介して電気的に接続する(図20)。
【0049】
その後、定法にしたがい、絶縁層21上に熱硬化性樹脂からなる絶縁層31を形成することで、図21に示す構成のワークシート200を得る。かかる絶縁層31は、上述した絶縁層21と同様の樹脂材料及び複合材料を用いることができ、また、上述した絶縁層21と同様の形成手法を採用することができる。好ましくは、上述した絶縁層21の形成と同様に、未硬化又は半硬化状態の熱硬化性樹脂である絶縁性エポキシ樹脂を絶縁層21上に塗布し後、熱を印加して半硬化させた後、プレス手段を用いて硬化させることにより、絶縁層31を形成する。
【0050】
このように、絶縁層31を上述した絶縁層21と同様に硬化プレス成形すると、配線層12a,12b,21a、絶縁層12,13,21,31、電子部品41、板状一体枠51、切片51a間の密着性が向上するとともに、ワークシート200厚さ、製品エリアS1〜S4の厚みの均等性及び平坦性が向上される。さらには、配線層21a、絶縁層21,31間に存在・混入し得る気泡が効率的に排除される等して製造加工トラブルの発生を抑制でき、歩留まり及び実装信頼性を向上させることができる。
【0051】
そして、上記のワークシート200に、所望の電子部品を表面実装することにより、電子部品内蔵モジュール(ワークシート;電子部品内蔵基板)が得られる。その一例として、配線層61a及び絶縁層31を貫通するビア34を形成するとともに抵抗やキャパシタ等の受動部品61を設置した、電子部品内蔵モジュール201を図示する(図22)。
【0052】
その後、上記のようにして得られる電子部品内蔵モジュール201を、所定サイズに分割することにより、個別基板300(電子部品内蔵基板)が得られる(図23乃至図25)。具体的には、電子部品内蔵モジュール201の切片51a間を結ぶ直線(図示B−B線;板状一体枠51の凹部53間に相当する。)を裁断面とし、ルーターを用いて裁断する等の公知の手法によって、電子部品内蔵モジュール201を裁断することにより、切片51aを取り除き、各々の個別基板300を得る(図23乃至図25)。
【0053】
ここで、本実施形態では、上述したように、板状一体枠51において凹部53を個別基板300の境界(裁断面)に対応させて形成し、かかる複数の凹部53を結び且つ横切る直線(A−A線)を裁断してワークシート200(電子部品内蔵モジュール201)を作製する。それゆえ、得られるワークシート200(電子部品内蔵モジュール201)を、切片51a間を結ぶ直線(図示B−B線)を裁断することができ、かかる裁断を実行じた場合は、その裁断面に切片51aがないので、裁断加工が容易になるとともに、例えばルーターの刃への負荷が軽減される等、裁断用具の長寿命化を図ることができる。
【0054】
上述したワークボード100の製造方法によれば、複数の個別基板300を包含する集合体を取り囲むように、板状一体枠51を基板11の電子部品41の非載置部に載置するので、基板強度が局所的に極端に異なることなく(つまり、方向異方性なく)略等方的に高められる。よって、得られるワークボード100は、反りの発生が抑制され基板強度が向上されたものとなり、搬送や裁断等の製造加工時のハンドリングが容易なものとなる。
【0055】
また、格子状の板状一体枠51を用いるので、方向異方性なく基板強度をより一層向上させることが可能となる。
【0056】
また、内周壁52aに複数の凹部53が並設された板状一体枠51を用いるので、複数の凹部53を横切る線状に基板11を板状一体枠51とともに裁断でき、板状一体枠51の切片51aが外周に枠状に存置したワークシート200を容易に作製することができる。よって、得られるワークシート200の基板強度をワークボードと略同等に維持することができるとともに、反りの発生を抑制できる。しかも、この場合、裁断面において各凹部53の分だけ板状一体枠51の実効裁断面積が低減されるので、裁断加工が容易になるとともに、例えばダイサーの刃への負荷が軽減される等、裁断用具の長寿命化を図ることができる。その上、得られるワークシート200の外周壁(裁断面)に露出する切片51aの露出面積を小さくできるので、かかる外周壁にて生じ得る膜の剥がれ(剥離)を抑制できる。
【0057】
さらに、板状一体枠51に、隣接する凹部53を結ぶ直線上に孔54を設けたので、隣接する凹部53及び孔54を横切るように線状に裁断すると、板状一体枠51の実効裁断面積をより一層低減することができるとともに、得られるワークシート200の外周壁(裁断面)に露出する切片51aの露出面積をより一層小さくできる。
【0058】
また、板状一体枠51に、孔54,55を設けたので、絶縁層21の硬化プレス成形時に、未硬化(半硬化)樹脂が製品エリアS1〜S4から非製品エリアTを通過して基板11の外周方向へとより一層流動し易くなる。
【0059】
しかも、線熱膨張係数が上記式(1)を満たす板状一体枠51を用いるので、電子部品41と基体11、配線層12a,12b,21a及び絶縁層12,13,21,31との線熱膨張係数の差異に起因する、熱膨張及び熱収縮の度合いの差異が低減される。すなわち、電子部品41の非載置部全体(非製品エリアT)の線熱膨張係数が、電子部品41の載置部全体(製品エリアS1〜S4)の線熱膨張係数に近づくことにより、電子部品41の載置部全体と非載置部全体とにおける熱膨張及び熱収縮の度合いの差異が低減される。したがって、絶縁層21,31形成時などの加熱、冷却時に生じ得る不均一な内部応力が緩和され、ワークボード100、ワークシート200,201、及び電子部品内蔵モジュール201、並びにこれらから作製される個別基板300の反りの発生を抑制できる。
【0060】
上記の熱膨張係数の相違に基づく電子部品内蔵基板の反りは、電子部品41を内蔵しない基板の製造に比して、悪化傾向にあり、しかも、電子部品内蔵基板の厚さを500μm以下、特に400μm以下に薄型化した場合や、電子部品内蔵基板を大面積化する場合に、電子部品内蔵基板全体として数十mmオーダーの過剰な反りが生じる傾向にあることが、本発明者らによって見出されている。すなわち、本発明者の知見によれば、通常、電子部品の線熱膨張係数が基板や絶縁層、配線層の線熱膨張係数よりも小さいので、電子部品を内蔵させると、電子部品の非載置エリアと載置エリアとの線熱膨張係数の差が、電子部品を内蔵しない基板の製造に比してより一層大きくなり、反りが悪化する。かかる関係を改善するために、本製法では、非載置エリアの線熱膨張係数が製品エリアの線熱膨張係数と同様に小さくなるように、電子部品の非載置部に、基体や絶縁層、配線層よりも線熱膨張係数が小さい材料からなる板状一体枠51を載置している。したがって、このような過剰な反りが抑制されることにより、搬送時或いはビルドアップ時の位置精度の低下や、表面実装時の実装位置精度の低下等の製造加工トラブルの発生を抑制でき、しかも、製造加工時のハンドリング性を向上できるので、歩留まり及び実装信頼性を向上させることができる。
【0061】
また、本実施形態では、格子状の板状一体枠51を用いるので、シート面内において方向異方性なく熱膨張及び熱収縮の度合いの差異を低減できる。さらに、板状一体枠51を電子部品41と同一平面に配置するので、基板11厚さ方向の不均一な内部応力を緩和でき、反りの発生をより一層抑制できる。
【0062】
そして、得られるワークボード100は、反りが抑制され基板強度が向上されたものとなるので、搬送、ビルドアップ、表面実装等の製造加工時のハンドリング性が向上したものとなる。よって、かかるワークボード100を用いることにより、以降における製造加工トラブルの発生を抑制できるようになり、歩留まりが向上するとともに、実装信頼性が向上する。
【0063】
なお、上記の実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はその実施の形態のみに限定されるものではない。すなわち、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変更実施が可能である。
【0064】
例えば、図26及び図27に示すように、板状一体枠51の凹部53の形状を、凹部開口から内部に向かって連続的に又は段階的に拡開する構造、すなわち、凹部開口幅Δsよりも内部空間の幅Δrが広い構造にしてもよい。
【0065】
上記のように構成し、複数の凹部53の内部の幅広部分を結ぶ直線(図示A−A線)に沿った面を裁断面として、基板11及び板状一体枠51一括でワークボード100を裁断しても、板状一体枠51の切片51aが外周に枠状に存置したワークシート200を容易に作製することができ、上記第1実施形態と同様の作用効果が奏される。また、裁断面において板状一体枠51の実効裁断面積をより一層低減できるので、裁断加工が容易になるとともに、例えばダイサーの刃への負荷が軽減される等、裁断用具の長寿命化が図られる。しかも、上記第1実施形態における孔54の形成を省略することができるので、構成が簡易となり生産性の向上が図られる。
【0066】
また、例えば、板状一体枠51の枠部52の表面(図13において図示上面)は、粗面化されていてもよい。このように粗面化すると、絶縁層21との密着性が高められ、板状一体枠51の浮きや剥がれによる取り扱い時の強度低下や、切り出し時の絶縁層13,21の脱落や飛び散りを低下させることができ、取り扱い性の向上に寄与できる。
【0067】
さらに、例えば、板状一体枠51の孔54,55を、貫通した孔に代えて、非貫通の孔(窪み、凹部)として形成してもよい。
【0068】
一方、上記第1実施形態においては、図15に示すワークボード100を図示A−A線に沿った面で裁断しているが、かかるワークボード100の裁断は、上記のバンプ43を出す工程、ビア24及び配線層21aを形成する工程、及び絶縁層31を形成する工程の後に行ってもよい。図28に、この場合におけるワークボード100の概略構成を示す要部断面図を示す。また、ワークボード100の裁断は、電子部品61を表面実装する工程の後に行ってもよい。図29に、この場合におけるワークボード100の概略構成を示す要部断面図を示す。
【0069】
また、上記第1実施形態においては、ワークシート200の状態で電子部品を実装する等して電子部品内蔵モジュール201を作製し、この電子部品内蔵モジュール201を裁断することにより個別基板300を作製したが、電子部品を実装するタイミングは特に限定されるものではなく、例えば、ワークボード100の時点で電子部品を実装したり、ワークシート200を裁断して個別基板を得た後に電子部品を実装する等してもよい。
【0070】
また、上記第1実施形態においては、電子部品41を基板11に内蔵する集合基板を説明したが、電子部品41が内蔵されていないものであっても、本発明は有効に実施できる。さらに、板状一体枠51の設置箇所は、絶縁層12,13,21,31の表面或いは内部のいずれであっても、本発明は有効に実施できる。また、板状一体枠51をパターン状に形成してもよい。
【0071】
なお、上記第1実施形態及び変形例では、電子部品41として半導体ICを内蔵する集合基板及び個別基板を説明したが、本発明は、かかる半導体ICに代えて及び/又はかかる半導体ICとともに、バリスタ、抵抗、コンデンサ、インダクタ、フィルタ、アンテナ、トランス等の電子部品を内蔵するものであっても同様に実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
以上説明した通り、本発明の集合基板及びその製造方法によれば、煩雑な工程を必要とせず低コストで且つ簡易な構成で、基板強度を向上させ、反りの発生を効果的に抑制でき、生産性及び経済性並びに製品の信頼性を向上させることができるので、電子部品をモジュール化する際の更なる薄膜化に資することができるとともに、薄膜型の電子部品を内蔵する電子機器、装置、システム、各種デバイス等、特に小型化、薄膜化及び高性能化が要求されるもの、並びにそれらの製造に広く且つ有効に利用することができる。
【符号の説明】
【0073】
11…基板、12,13,21,31…絶縁層、12a,12b,21a,61a…配線層、14,24,34…ビア、41…電子部品、41a…主面、41b…裏面、42…ランド電極、43…バンプ、51…板状一体枠(枠体)、51a…切片、52…枠部、52a…内周壁(内周)、53…凹部、54,55…孔、54a 凹部、61…受動部品、81a…傾斜面、100…ワークボード(集合基板)、200…ワークシート(集合基板)、201…電子部品内蔵モジュール(集合基板)、300…個別基板、S1〜S4…、製品エリア、T…非製品エリア、W…窓。
【技術分野】
【0001】
本発明は、面方向に個別基板を複数包含する集合基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エレクトロニクス技術の進歩にともない、プリント配線基板の高密度化が求められ、配線パターンと絶縁層とを複数積層した多層プリント配線基板が広く用いられるようになっている。
【0003】
従来、この種の用途に用いられるプリント配線基板は、生産性の向上を図るべく、複数個のプリント配線基板用の配線パターン群(配線層)を設けた例えば約300〜500mm四方のワークシート(集合基板)を、ダイシング等で個々に分割して複数のプリント配線基板(個別基板、個片、個品)を得る、いわゆる多数個取りによって製造されている。かかるワークシートは、通常、配線パターン及び絶縁層を交互にビルドアップすることにより多層化されている。そして、配線パターン等を、サブトラクティブ法又はアディティブ法にて形成し、絶縁層を、熱硬化性樹脂の熱硬化にて形成するのが一般的である。
【0004】
上記従来のワークシートの製造においては、絶縁層形成時に応力が印加されるので、ワークシートの反りが不可避的に発生する。そこで、ワークシートの反りを抑制するために、例えば、特許文献1には、ワークシート上に複数個のプリント配線基板用の配線パターン群(配線層)を設けるとともに、スリットを形成して不連続とした枠状導電パターンをそれらの配線パターン群を囲むように設け、ビルドアップや表面実装等の加工を施した後、枠状導電パターンを取り除くようにワークシートを裁断して、複数の個別基板を得る製法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−167141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近時、生産効率の向上を目的として、複数のワークシートを包含する大面積の集合基板としてのワークボードを作製し、このワークボードをダイサー等により裁断して小面積のワークシートを複数作製し、得られるワークシートをさらに裁断して複数の個別基板を作製することが検討されている。
【0007】
かかるワークボードの作製に上記従来の製法を適用すると、枠状導電パターンを不連続に設けるので、得られるワークボードは、枠状導電パターンのない部分の基板強度が低く、搬送や裁断等の製造加工時のハンドリングが困難なものとなるばかりか、反りの抑制が不十分なものとなる。これらの問題は、ワークボードの薄膜化及び大面積化にともない、より一層顕著化すると予想される。
【0008】
一方、上記ワークボードを裁断して得られる各々のワークシートは、枠状導電パターンが取り除かれるので、ワークボードに比して基板強度が大幅に低下し、ハンドリングが困難になるとともに反りがまったく抑制されなくなり、その結果、搬送不良、ビルドアップ時及び表面実装時の位置精度の低下等の不都合が発生し得る。したがって、上記従来の製法をワークボードの作製に適用すると、歩留まりが低下する等、生産性及び経済性の低下を引き起こすばかりか、得られる個別基板の実装信頼性の低下を招いてしまう。
【0009】
そこで、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、ハンドリングが容易で且つ反りの発生を抑制可能な、面方向に個別基板を複数包含する集合基板、及び、かかる集合基板を煩雑な工程を必要とせず低コストで簡易に製造可能な、生産性及び経済性に優れる製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明による集合基板は、面方向に個別基板を複数包含する集合基板であって、基板と、個別基板に対応して各々形成された配線層と、少なくとも1つ以上の個別基板を包含する複数の集合体に対して、各集合体の外周を取り囲むように配置され、複数の凹部が内周に沿って並設された枠体と、を備え、前記枠体は、複数の窓を有する板状一体格子枠であり、且つ、前記各窓の内周に、前記複数の凹部が設けられたものである。
【0011】
なお、本明細書において、「面方向に個別基板を複数包含する集合基板」とは、上述した個別基板(個片、個品)が面方向に複数形成された集合基板(ワークボード)を意味する。また、「少なくとも1つ以上の個別基板を包含する集合体」とは、集合基板に包含されている複数の個別基板のうち少なくとも1つ以上の個別基板の集まりを意味し、いわゆるワークシートを意味する。かかるワークボードは、半導体IC等の能動素子やバリスタ、抵抗、コンデンサ等の受動素子等に代表される電子部品が実装されたものでもよい。これら電子部品は、基板の表面に実装されていても、基板の内部に埋め込まれていても、基板内部に埋め込まれて一部のみ外部に露出していても、例えば、電気的接続のための端子等の配線構造が外部に一部露出していてもよい。
【0012】
また、本明細書において、「配線層」は、基板表面、基板裏面及び基板内部のうち少なくとも1箇所以上に形成されていればよい。
【0013】
さらに、本明細書において、「枠体」は、一体に形成されていてもよく、別体に形成された複数の部材が一体枠状に実質的に間隙なく連接されていてもよい。また、「枠体」は、基板表面又は裏面に直接載置されていても、基板内部に配置されていてもよい。
【0014】
上記構成においては、各集合体の外周を取り囲むように、複数の窓を有する板状一体格子枠、換言すれば、外枠内に設けられた格子によって複数の窓が画成されている格子枠であり、それらの窓の内周(各窓を画成する格子及び外枠)に複数の凹部を有する板状一体格子枠を配置するので、基板強度が局所的に極端に異なることなく(つまり、方向異方性なく)略等方的に高められる。すなわち、板状一体格子枠は、集合基板の機械強度を略等方的に向上させる構造体として機能し、また、格子が言わば外枠を補強する梁として機能するので、応力印加に抗して基板の形状変化を抑制する。そのため、かかる集合基板は、反りの発生がより一層効果的に抑制され、基板強度が等方的により向上されたものとなり、搬送や裁断(切断)等の製造加工時のハンドリングが極めて容易なものとなり、その結果、生産性及び経済性が高められ、得られる個別基板の実装信頼性の向上が図られる。
【0015】
しかも、上記構成では、複数の凹部が内周に沿って並設された板状一体格子枠を用いるので、かかる板状一体格子枠の各凹部を横切る(横断する)線状に(つまり、その線に沿う面を裁断面として)集合基板を裁断すると、各窓に対応して、板状一体格子枠の切片(裁断片)が外周(外縁)に枠状に存置した基板片(ワークシート又は個別基板)を作製し得る。これにより、従来では為し得なかった、枠状部材が配置された集合基板(ワークボード)から、枠状部材が外周(外縁)に存置した基板片(ワークシート又は個別基板)を容易に得ることが可能となり、その結果、得られる基板片(ワークシート又は個別基板)の基板強度が十分に維持されるとともに、反りの発生が効果的に抑制される。したがって、得られる基板片(ワークシート又は個別基板)は、搬送や裁断(切断)、ビルドアップ、表面実装等の製造加工時のハンドリングが容易になり、その結果、以降の製造加工トラブルの発生が抑制され、歩留まりが向上するので、生産性及び経済性が高められ、得られる個別基板の実装信頼性の向上が図られる。
【0016】
その上さらに、上記のように集合基板を裁断すると、裁断面において各凹部の分だけ板状一体格子枠の実効裁断面積が低減されるので、裁断加工が容易になるとともに、例えばダイサーの刃への負荷が軽減される等、裁断用具の長寿命化が図れる。
【0017】
また、凹部は、その開口から内部に向かって、連続的に(徐々に)又は段階的に拡開する構造を有することが好ましい。このように凹部を構成し、その幅広部分(開孔よりも幅が広い部分)を横切るように線状に集合基板を裁断すると、板状一体格子枠の実効裁断面積がより一層低減されるので、裁断用具への負荷がより一層軽減され、裁断加工がより一層容易になるとともに裁断用具の更なる長寿命化が図られる。しかも、得られる基板片(ワークシート又は個別基板)の外周壁(裁断面)に露出する板状一体格子枠の切片の露出面積を小さくできるので、かかる外周壁にて生じ得る膜の剥がれ(剥離)が抑制される。
【0018】
さらに、板状一体格子枠は、隣接する凹部を結ぶ直線上に孔を有するものであることが好ましい。このように孔を構成して、隣接する凹部及び孔を横切るように線状に集合基板を裁断すると、板状一体格子枠の実効裁断面積がより一層低減されるので、裁断用具への負荷がより一層軽減され、裁断加工がより一層容易になるとともに裁断用具の更なる長寿命化が図られる。しかも、得られる基板片(ワークシート又は個別基板)の外周壁(裁断面)に露出する板状一体格子枠の切片の露出面積を小さくできるので、かかる外周壁にて生じ得る膜の剥がれ(剥離)が抑制される。
【0019】
また、本発明による集合基板の製造方法は、本発明の集合基板を有効に製造するための方法であって、個別基板に対応して各々形成された配線層を有する基板を準備する工程と、少なくとも1つ以上の個別基板を包含する複数の集合体に対して、各集合体の外周を取り囲むように、複数の凹部が内周に沿って並設された枠体を配置する工程と、を有し、前記枠体は、複数の窓を有する板状一体格子枠であり、且つ、前記各窓の内周に、前記複数の凹部が設けられたものを用いる方法である。かくして得られる集合基板を、上述したように複数の凹部を横切る線状に裁断することで、板状一体格子枠の切片(裁断片)が外周(外縁)に枠状に存置した基板片(ワークシート又は個別基板)を作製し得る。
【発明の効果】
【0020】
本発明の集合基板及びその製造方法によれば、基板強度が局所的に極端に異なることなく(つまり、方向異方性なく)略等方的に高められ、不均一な内部応力が緩和されるので基板の反りが抑制されるとともに、基板強度がより一層向上されるので、搬送や裁断等の製造加工時のハンドリングが容易になる。また、板状一体格子枠の各凹部を横切るように線状に集合基板を裁断すると、裁断具への負荷を軽減しつつ、板状一体格子枠が配置された集合基板から、板状一体格子枠の切片が外周(外縁)に存置された基板片(ワークシート又は個別基板)を、煩雑な工程を必要とすることなく低コストで簡易に作製できる。したがって、搬送時、裁断加工時、ビルドアップ時又は表面実装時等における不都合の発生を抑制でき、歩留まりが向上する等、生産性及び経済性を高めることができ、実装信頼性の向上が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明による集合基板の第1実施形態の要部を示す平面図である。
【図2】図1におけるII−II線に沿う断面図である。
【図3】電子部品41の概略構成を示す斜視図である。
【図4】板状一体枠51の概略構成を示す平面図である。
【図5】板状一体枠51の要部を示す平面図である。
【図6】ワークボード100を製造する手順の一例を示す工程図である。
【図7】ワークボード100を製造する手順の一例を示す工程図である。
【図8】ワークボード100を製造する手順の一例を示す工程図である。
【図9】ワークボード100を製造する手順の一例を示す工程図である。
【図10】ワークボード100を製造する手順の一例を示す工程図である。
【図11】図10におけるXI−XI線に沿う断面図である。
【図12】ワークボード100を製造する手順の一例を示す工程図である。
【図13】ワークボード100の概略構成を示す断面図である。
【図14】ワークシート200を製造する手順の一例を示す工程図である。
【図15】図14におけるXV−XV線に沿う断面図である。
【図16】ワークシート200の要部を示す平面図である。
【図17】図16におけるXVII−XVII線に沿う断面図である。
【図18】個別基板300を製造する手順の一例を示す工程図である。
【図19】個別基板300を製造する手順の一例を示す工程図である。
【図20】個別基板300を製造する手順の一例を示す工程図である。
【図21】個別基板300を製造する手順の一例を示す工程図である。
【図22】電子部品内蔵モジュール201の概略構成を示す断面図である。
【図23】個別基板300を製造する手順の一例を示す工程図である。
【図24】図23におけるXXIV−XXIV線に沿う断面図である。
【図25】個別基板300の概略構成を示す断面図である。
【図26】板状一体枠51の変形例を示す平面図である。
【図27】板状一体枠51の変形例を示す平面図である。
【図28】ワークボード100の変形例を示す要部断面図である。
【図29】ワークボード100の変形例を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、図面中、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。
【0023】
(第1実施形態)
図1及び図2は、本発明による集合基板の第1実施形態の構造を概略的に示す要部拡大平面図及び断面図である。ワークボード100は、複数の個別基板を作製可能なワークシート(集合体)をシート面内の面方向に複数包含する電子部品内蔵集合基板であり、略矩形状の基板11の一方の面(図示上面)に絶縁層21を備え、絶縁層21の内部の所定位置に電子部品41及び板状一体枠51(枠体)が埋設されたものである。
【0024】
基板11は、絶縁層12の両面に配線層(パターン)12a,12bが形成されたものであり、配線層12a上に絶縁性の樹脂フィルムを真空圧着させることにより積層された絶縁層13を有している。配線層(パターン)12a,12bは、目的とする個別基板に対応して各々形成されている。そして、配線層12aと配線層12bとは、目的とする個別基板毎に、絶縁層12を貫通するビア14を介して電気的に接続されている。
【0025】
絶縁層12,13に用いる材料は、シート状又はフィルム状に成型可能なものであれば特に制限されず使用可能であり、具体的には、例えば、ビニルベンジル樹脂、ポリビニルベンジルエーテル化合物樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂(BTレジン)、ポリフェニレエーテル(ポリフェニレンエーテルオキサイド)樹脂(PPE,PPO)、シアネートエステル樹脂、エポキシ+活性エステル硬化樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂(ポリフェニレンオキサオド樹脂)、硬化性ポリオレフィン樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、ポリイミド樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、芳香族液晶ポリエステル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂又はベンゾオキサジン樹脂の単体、又は、これらの樹脂に、シリカ、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸アルミウイスカ、チタン酸カリウム繊維、アルミナ、ガラスフレーク、ガラス繊維、窒化タンタル、窒化アルミニウム等を添加した材料、さらに、これらの樹脂に、マグネシウム、ケイ素、チタン、亜鉛、カルシウム、ストロンチウム、ジルコニウム、錫、ネオジウム、サマリウム、アルミニウム、ビスマス、鉛、ランタン、リチウム及びタンタルのうち少なくとも1種の金属を含む金属酸化物粉末を添加した材料、またさらには、これらの樹脂に、ガラス繊維、アラミド繊維等の樹脂繊維等を配合した材料、或いは、これらの樹脂をガラスクロス、アラミド繊維、不織布等に含浸させ材料、等を挙げることができ、電気特性、機械特性、吸水性、リフロー耐性等の観点から、適宜選択して用いることができる。
【0026】
絶縁層21は、熱硬化性樹脂からなり、その樹脂材料としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビニルベンジルエーテル化合物樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、シアネートエステル系樹脂、ポリイミド、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル、ポリフェニレンオキサイド、液晶ポリマー、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられ、これらを単独または複数組み合わせて使用することができる。また、アクリルゴム、エチレンアクリルゴム等のゴム材料や、ゴム成分を一部含むような樹脂材料であってもよい。さらに、これらの樹脂に、シリカ、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸アルミウイスカ、チタン酸カリウム繊維、アルミナ、ガラスフレーク、ガラス繊維、窒化タンタル、窒化アルミニウム等を添加した材料、さらに、これらの樹脂に、マグネシウム、ケイ素、チタン、亜鉛、カルシウム、ストロンチウム、ジルコニウム、錫、ネオジウム、サマリウム、アルミニウム、ビスマス、鉛、ランタン、リチウム及びタンタルのうち少なくとも1種の金属を含む金属酸化物粉末を添加した材料、またさらには、これらの樹脂に、ガラス繊維、アラミド繊維等の樹脂繊維等を配合した材料、或いは、これらの樹脂をガラスクロス、アラミド繊維、不織布等に含浸させた材料、等を挙げることができ、電気特性、機械特性、吸水性、リフロー耐性等の観点から、適宜選択して用いることができる。
【0027】
図3は、電子部品41の構造を概略的に示す斜視図である。この電子部品41は、ベアチップ状態の半導体IC(ダイ)であり、略矩形板状をなす主面41aに多数のランド電極42を有している。なお、図示においては、四隅にのみランド電極42及び後述するバンプ43(端子)を表示し、それ以外のランド電極42の表示を省略した。また、電子部品41の種類は、特に制限されるものではないが、例えば、CPUやDSPのように動作周波数が非常に高いデジタルICが挙げられる。
【0028】
電子部品41の裏面41bは研磨されており、これにより電子部品41の厚さt1(主面41aから裏面41bまでの距離)は、通常の半導体ICに比して薄くされている。具体的には、電子部品41の厚さt1は、例えば200μm以下、より好ましくは100μm以下、特に好ましくは20〜50μm程度とされる。また、電子部品41の裏面41bは、薄膜化或いは密着性を向上させるべく、エッチング、プラズマ処理、レーザ処理、ブラスト研磨、バフ研磨、薬品処理等による粗面化処理を行うことが好ましい。
【0029】
なお、電子部品41の裏面41bの研磨は、ウェハの状態で多数の電子部品41に対して一括して行い、その後、ダイシングにより個別の電子部品41に分離することが好ましい。研磨により薄くする前にダイシングによって個別の電子部品41に裁断分離した場合には、熱硬化性樹脂等により電子部品41の主面41aを覆った状態で裏面41bを研磨することもできる。
【0030】
各ランド電極42には、導電性突起物の一種であるバンプ43(端子)が形成されている。バンプ43の種類は、特に制限されず、スタッドバンプ、プレートバンプ、メッキバンプ、ボールバンプ等の各種のバンプを例示できる。図示においては、スタッドバンプを例示した。バンプ43としてスタッドバンプを用いる場合には、銀(Ag)や銅(Cu)をワイヤボンディングにて形成することができ、プレートバンプを用いる場合には、メッキ、スパッタ又は蒸着によって形成することができる。また、メッキバンプを用いる場合には、メッキによって形成することができ、ボールバンプを用いる場合には、半田ボールをランド電極42上に載置した後、これを溶融させるか、クリーム半田をランド電極上に印刷した後、これを溶融させることによって形成することができる。また、導電性材料をスクリーン印刷し、これを硬化させた円錐状、円柱状等のバンプや、ナノペーストを印刷し、加熱によりこれを焼結させてなるバンプを用いることもできる。
【0031】
バンプ43に使用可能な金属種としては、特に限定されず、例えば、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、クロム(Cr)、ニッケル・クロム合金、半田等が挙げられ、これらのなかでは、接続性やマイグレーションを考慮すると金又は銅を用いることが好ましく、銅を用いることがより好ましい。バンプ43の材料として銅を用いると、例えば金を用いた場合に比して、ランド電極42に対する高い接合強度を得ることが可能となり、電子部品41自体の信頼性が高められる。
【0032】
バンプ43の寸法形状は、ランド電極42間の間隔(ピッチ)に応じて適宜設定することができ、例えば、ランド電極42のピッチが約100μmである場合には、バンプ43の最大径を10〜90μm程度、高さを2〜100μm程度にすればよい。なお、バンプ43は、ウェハのダイシングにより個別の電子部品41に裁断分離した後、ワイヤボンダーを用いて各ランド電極42に接合することができる。
【0033】
図4及び図5は、板状一体枠51の構造を概略的に示す平面図及び要部拡大平面図である。本実施形態で用いる板状一体枠51は、4つの矩形状の窓Wが格子状に区画された板状体からなる枠部52からなる。枠部52の外形は、基板11の外形と略相似の略矩形状であり、その外寸が基板11より若干小さく設計されている。なお、図1に示すように、枠部52の厚さt2(最厚部)は、電子部品41の厚さt1よりも僅かに薄い程度が好ましい。
【0034】
枠部52の格子窓Wの内周壁52a(内周)には、Δsの開口幅を有する複数の凹部53が等間隔に並設されている。言い換えれば、枠部52の各窓Wの内周壁52aの一部を、略直方体状に等間隔に切り欠くことで、複数の凹部53が形成されている。かかる凹部53は、後述する個別基板300の境界(裁断面)に対応させて形成されている。また、隣接する凹部53,53間には、孔54が形成されている。孔54は、隣接する凹部53を結ぶ直線上に、等ピッチで複数形成されている。また、孔54の外周には、孔55が、孔54の配置間隔と等ピッチで複数形成されている。
【0035】
板状一体枠51に使用可能な材料としては、下記式(1);
α1 < α3 且つ α2 < α3 ・・・ (1)、
(式中、α1は、電子部品41の線熱膨張係数(ppm/K)を示し、α2は、板状一体枠51の線熱膨張係数(ppm/K)を示し、α3は、上記の基板11、各配線層又は各絶縁層の線熱膨張係数(ppm/K)を示す。)を満たすものであれば、特に制限なく用いることができる。この種の用途に用いられる電子部品、基板、配線層及び絶縁層においては、一般的に、α1が1〜8ppm/K程度でありα3が14〜20程度であるので、α2は、3〜16(ppm/K)であることが好ましい。より具体的には、線熱膨張係数が3〜16(ppm/K)の金属、合金及び樹脂等が挙げられ、例えば、SUS400(11ppm/K)、SUS410(11ppm/K)、SUS430(10.5ppm/K)、SUS630(11ppm/K)、SUS631(10ppm/K)、SUS316(16ppm/K)、42アロイ(4.5ppm/K)、インコネル(14ppm/K)、ニッケル(12.5ppm/K)、ニッケルクロムモリブデン鋼(11ppm/K)、鉄(11ppm/K)、鋳鉄(10ppm/K)、チタン(9ppm/K)、芳香族ポリアミド(製品名:ミクトロンGQ;13ppm/K)、芳香族ポリアミド(製品名:ミクトロンML;3ppm/K)、PET(15ppm/K)、ポリイミド(3〜15ppm/K)等が挙げられ、これらの中でも、加工性や入手性、剛直性、コスト等の観点から、SUS430又はインコネルを用いることが好ましく、これらのなかでは、SUS430を用いることがより好ましい。
【0036】
以下、図6乃至図15を参照しながら、上記のワークボード100として、複数の電子部品41を内蔵するワークシートを4つ包含するものの製造方法について説明する。
【0037】
まず、両面銅張ガラスエポキシをドリル穿孔し、さらに無電解メッキ、電解メッキを施した後、不要部分をエッチングにより除去する等の公知の手法を用いて、配線層(パターン)12a,12b及びビア14が形成された基板11を準備する(図6)。ここでは、配線層12a,12b及びビア14からなる回路構成群を、板状一体枠51の各格子窓Wと対応する4箇所に各々離間して形成する(図示せず)。各々の回路構成は、目的とする個別基板に対応して個別に形成される。そしてさらに、基板11の配線層12a上に絶縁層13を形成する(図7)。その後、上記の操作により得られる基板11を、図示しないステンレス製のワークステージ上の所定位置に載置固定し、以降の工程を行う。
【0038】
次に、基板11の絶縁層13上の製品エリアS1〜S4内の所定位置に、電子部品41を載置する(図8及び図9)。ここで、製品エリアS1〜S4は、配線層12a,12b及びビア14等の回路構成群に基づいて画定される、目的とする個別基板の作製領域である。なお、図9においては、理解を容易にするために電子部品41の記載を省略している。ここでは、上述したように、基板11に板状一体枠51の各格子窓Wと対応する4箇所に同一の回路構成群が4つ形成されているので、これに対応して、2×2の碁盤目状に各々離間して配列された製品エリアS1〜S4及び格子状の非製品エリアT(製品エリアS1〜S4を除く領域)が画定されている(図9)。
【0039】
さらに、基板11の絶縁層13上に、板状一体枠51を載置する(図10乃至図12)。なお、図12においては、理解を容易にするために電子部品41の記載を省略している。ここでは、板状一体枠51を、板状一体枠51の各格子窓Wが製品エリアS1〜S4と一致するように、電子部品41の非載置部である非製品エリアTの所定位置に載置する。かくして、板状一体枠51は、製品エリアS1〜S4を取り囲むように載置される(図10乃至図12)。また、電子部品41と板状一体枠51とは、基板11の絶縁層13上の同一平面に載置される(図11)。なお、板状一体枠51の載置は、電子部品41の載置に先行して行っても、電子部品41の載置と同時に行なっても構わない。
【0040】
その後、上記のように基板11の絶縁層13上に載置された電子部品41及び板状一体枠51を覆うように、絶縁層21を形成する(図13)。具体的には、未硬化又は半硬化状態の熱硬化性樹脂を、基板11の絶縁層13上に塗布し、熱を印加し硬化させることにより絶縁層21を形成する。上記の操作により、本実施形態のワークボード100が得られる。
【0041】
ここで、絶縁層21の形成は、未硬化又は半硬化状態の熱硬化性樹脂を塗布した後、熱を印加して半硬化させた後、プレス手段を用いて硬化成形することが好ましい。このようにすると、配線層12a,12b、絶縁層12,13,21、電子部品41、板状一体枠51間の密着性が向上する。この硬化成形は、必要に応じ熱を印加しながら行ってもよい。すなわち、絶縁層21の形成には、種々の公知の手段を採用することができ、例えば、スクリーン印刷、スピンコーター等の手法の他、プレス、真空ラミネート、常圧ラミネート等も採用可能である。
【0042】
また、本実施形態のように電子部品41の厚さt1よりも薄い板状一体枠51を用いた場合は、絶縁層21中で占有する空間体積率が基板11の外周方向に向かって低減するので、絶縁層21の硬化プレス成形時に、未硬化(半硬化)樹脂が製品エリアS1〜S4から非製品エリアTを通過して基板11の外周方向へと流動し易くなる。よって、製品エリアS1〜S4に圧力を均等に印加させ易くなり、配線層12a,12b、絶縁層12,13,21、電子部品41、板状一体枠51間の密着性が向上するとともに、ワークボード100厚さ、及び平坦性が向上される。さらには、配線層12a,12b、絶縁層12,13,21、電子部品41、板状一体枠51間に存在・混入し得る気泡が効率的に排除される等して製造加工トラブルの発生を抑制でき、歩留まり及び実装信頼性を向上させることができる。
【0043】
そして、上記の操作によって得られるワークボード100を、複数の凹部53及び孔54を結び且つ横切る直線(図示A−A線)に沿う面を裁断面とし、ダイサー等の裁断用具を用いて裁断する等の公知の手法によって、基板11を板状一体枠51とともに裁断することにより、略製品エリアS1〜S4毎に分割された4つのワークシート200が得られる(図14及び図15)。
【0044】
図16及び図17は、ワークシート200の構造を概略的に示す要部拡大平面図及び要部断面図である。ワークシート200は、複数の個別基板を作製可能な電子部品内蔵集合基板であり、略矩形状の基板11の一方の面(図示上面)に絶縁層21を備え、絶縁層21の内部の所定位置に電子部品41及び板状一体枠51が埋設されたものである。
【0045】
ワークシート200は、上記のようにワークボード100を裁断することにより形成された、複数の板状一体枠51の切片51a(裁断片)が、外周(外縁)に各々離間して枠状に存置した構成となっている。切片51aは、板状一体枠51の孔54の一部を裁断することにより形成された凹部54aを有するコの字状(略C字状)の構造物であり、ワークシート200の外周壁(外周面)において、凹部54aとともに露出した状態となっている。
【0046】
以下、図18乃至図25を参照しながら、上記のワークシート200から個別基板300を作製する方法について説明する。
【0047】
まず、ワークシート200の絶縁層21の一部を除去して、電子部品41のバンプ43を露出させる(図18)。この絶縁層21の除去方法は、公知の手法を適宜選択することができ、具体的には、例えば、グラインダーを用いた研磨や、ブラスト処理、炭酸ガスレーザの照射等が挙げられる。
【0048】
そして、公知の手法により、絶縁層13,21を貫通するビア24を各々形成し(図19)、次いで、サブトラクティブ法又はアディティブ法等の公知の手法により、絶縁層31上に配線層21aを形成することにより、電子部品41、バンプ43、配線層21a及び12aを、ビア14,24を介して電気的に接続する(図20)。
【0049】
その後、定法にしたがい、絶縁層21上に熱硬化性樹脂からなる絶縁層31を形成することで、図21に示す構成のワークシート200を得る。かかる絶縁層31は、上述した絶縁層21と同様の樹脂材料及び複合材料を用いることができ、また、上述した絶縁層21と同様の形成手法を採用することができる。好ましくは、上述した絶縁層21の形成と同様に、未硬化又は半硬化状態の熱硬化性樹脂である絶縁性エポキシ樹脂を絶縁層21上に塗布し後、熱を印加して半硬化させた後、プレス手段を用いて硬化させることにより、絶縁層31を形成する。
【0050】
このように、絶縁層31を上述した絶縁層21と同様に硬化プレス成形すると、配線層12a,12b,21a、絶縁層12,13,21,31、電子部品41、板状一体枠51、切片51a間の密着性が向上するとともに、ワークシート200厚さ、製品エリアS1〜S4の厚みの均等性及び平坦性が向上される。さらには、配線層21a、絶縁層21,31間に存在・混入し得る気泡が効率的に排除される等して製造加工トラブルの発生を抑制でき、歩留まり及び実装信頼性を向上させることができる。
【0051】
そして、上記のワークシート200に、所望の電子部品を表面実装することにより、電子部品内蔵モジュール(ワークシート;電子部品内蔵基板)が得られる。その一例として、配線層61a及び絶縁層31を貫通するビア34を形成するとともに抵抗やキャパシタ等の受動部品61を設置した、電子部品内蔵モジュール201を図示する(図22)。
【0052】
その後、上記のようにして得られる電子部品内蔵モジュール201を、所定サイズに分割することにより、個別基板300(電子部品内蔵基板)が得られる(図23乃至図25)。具体的には、電子部品内蔵モジュール201の切片51a間を結ぶ直線(図示B−B線;板状一体枠51の凹部53間に相当する。)を裁断面とし、ルーターを用いて裁断する等の公知の手法によって、電子部品内蔵モジュール201を裁断することにより、切片51aを取り除き、各々の個別基板300を得る(図23乃至図25)。
【0053】
ここで、本実施形態では、上述したように、板状一体枠51において凹部53を個別基板300の境界(裁断面)に対応させて形成し、かかる複数の凹部53を結び且つ横切る直線(A−A線)を裁断してワークシート200(電子部品内蔵モジュール201)を作製する。それゆえ、得られるワークシート200(電子部品内蔵モジュール201)を、切片51a間を結ぶ直線(図示B−B線)を裁断することができ、かかる裁断を実行じた場合は、その裁断面に切片51aがないので、裁断加工が容易になるとともに、例えばルーターの刃への負荷が軽減される等、裁断用具の長寿命化を図ることができる。
【0054】
上述したワークボード100の製造方法によれば、複数の個別基板300を包含する集合体を取り囲むように、板状一体枠51を基板11の電子部品41の非載置部に載置するので、基板強度が局所的に極端に異なることなく(つまり、方向異方性なく)略等方的に高められる。よって、得られるワークボード100は、反りの発生が抑制され基板強度が向上されたものとなり、搬送や裁断等の製造加工時のハンドリングが容易なものとなる。
【0055】
また、格子状の板状一体枠51を用いるので、方向異方性なく基板強度をより一層向上させることが可能となる。
【0056】
また、内周壁52aに複数の凹部53が並設された板状一体枠51を用いるので、複数の凹部53を横切る線状に基板11を板状一体枠51とともに裁断でき、板状一体枠51の切片51aが外周に枠状に存置したワークシート200を容易に作製することができる。よって、得られるワークシート200の基板強度をワークボードと略同等に維持することができるとともに、反りの発生を抑制できる。しかも、この場合、裁断面において各凹部53の分だけ板状一体枠51の実効裁断面積が低減されるので、裁断加工が容易になるとともに、例えばダイサーの刃への負荷が軽減される等、裁断用具の長寿命化を図ることができる。その上、得られるワークシート200の外周壁(裁断面)に露出する切片51aの露出面積を小さくできるので、かかる外周壁にて生じ得る膜の剥がれ(剥離)を抑制できる。
【0057】
さらに、板状一体枠51に、隣接する凹部53を結ぶ直線上に孔54を設けたので、隣接する凹部53及び孔54を横切るように線状に裁断すると、板状一体枠51の実効裁断面積をより一層低減することができるとともに、得られるワークシート200の外周壁(裁断面)に露出する切片51aの露出面積をより一層小さくできる。
【0058】
また、板状一体枠51に、孔54,55を設けたので、絶縁層21の硬化プレス成形時に、未硬化(半硬化)樹脂が製品エリアS1〜S4から非製品エリアTを通過して基板11の外周方向へとより一層流動し易くなる。
【0059】
しかも、線熱膨張係数が上記式(1)を満たす板状一体枠51を用いるので、電子部品41と基体11、配線層12a,12b,21a及び絶縁層12,13,21,31との線熱膨張係数の差異に起因する、熱膨張及び熱収縮の度合いの差異が低減される。すなわち、電子部品41の非載置部全体(非製品エリアT)の線熱膨張係数が、電子部品41の載置部全体(製品エリアS1〜S4)の線熱膨張係数に近づくことにより、電子部品41の載置部全体と非載置部全体とにおける熱膨張及び熱収縮の度合いの差異が低減される。したがって、絶縁層21,31形成時などの加熱、冷却時に生じ得る不均一な内部応力が緩和され、ワークボード100、ワークシート200,201、及び電子部品内蔵モジュール201、並びにこれらから作製される個別基板300の反りの発生を抑制できる。
【0060】
上記の熱膨張係数の相違に基づく電子部品内蔵基板の反りは、電子部品41を内蔵しない基板の製造に比して、悪化傾向にあり、しかも、電子部品内蔵基板の厚さを500μm以下、特に400μm以下に薄型化した場合や、電子部品内蔵基板を大面積化する場合に、電子部品内蔵基板全体として数十mmオーダーの過剰な反りが生じる傾向にあることが、本発明者らによって見出されている。すなわち、本発明者の知見によれば、通常、電子部品の線熱膨張係数が基板や絶縁層、配線層の線熱膨張係数よりも小さいので、電子部品を内蔵させると、電子部品の非載置エリアと載置エリアとの線熱膨張係数の差が、電子部品を内蔵しない基板の製造に比してより一層大きくなり、反りが悪化する。かかる関係を改善するために、本製法では、非載置エリアの線熱膨張係数が製品エリアの線熱膨張係数と同様に小さくなるように、電子部品の非載置部に、基体や絶縁層、配線層よりも線熱膨張係数が小さい材料からなる板状一体枠51を載置している。したがって、このような過剰な反りが抑制されることにより、搬送時或いはビルドアップ時の位置精度の低下や、表面実装時の実装位置精度の低下等の製造加工トラブルの発生を抑制でき、しかも、製造加工時のハンドリング性を向上できるので、歩留まり及び実装信頼性を向上させることができる。
【0061】
また、本実施形態では、格子状の板状一体枠51を用いるので、シート面内において方向異方性なく熱膨張及び熱収縮の度合いの差異を低減できる。さらに、板状一体枠51を電子部品41と同一平面に配置するので、基板11厚さ方向の不均一な内部応力を緩和でき、反りの発生をより一層抑制できる。
【0062】
そして、得られるワークボード100は、反りが抑制され基板強度が向上されたものとなるので、搬送、ビルドアップ、表面実装等の製造加工時のハンドリング性が向上したものとなる。よって、かかるワークボード100を用いることにより、以降における製造加工トラブルの発生を抑制できるようになり、歩留まりが向上するとともに、実装信頼性が向上する。
【0063】
なお、上記の実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はその実施の形態のみに限定されるものではない。すなわち、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変更実施が可能である。
【0064】
例えば、図26及び図27に示すように、板状一体枠51の凹部53の形状を、凹部開口から内部に向かって連続的に又は段階的に拡開する構造、すなわち、凹部開口幅Δsよりも内部空間の幅Δrが広い構造にしてもよい。
【0065】
上記のように構成し、複数の凹部53の内部の幅広部分を結ぶ直線(図示A−A線)に沿った面を裁断面として、基板11及び板状一体枠51一括でワークボード100を裁断しても、板状一体枠51の切片51aが外周に枠状に存置したワークシート200を容易に作製することができ、上記第1実施形態と同様の作用効果が奏される。また、裁断面において板状一体枠51の実効裁断面積をより一層低減できるので、裁断加工が容易になるとともに、例えばダイサーの刃への負荷が軽減される等、裁断用具の長寿命化が図られる。しかも、上記第1実施形態における孔54の形成を省略することができるので、構成が簡易となり生産性の向上が図られる。
【0066】
また、例えば、板状一体枠51の枠部52の表面(図13において図示上面)は、粗面化されていてもよい。このように粗面化すると、絶縁層21との密着性が高められ、板状一体枠51の浮きや剥がれによる取り扱い時の強度低下や、切り出し時の絶縁層13,21の脱落や飛び散りを低下させることができ、取り扱い性の向上に寄与できる。
【0067】
さらに、例えば、板状一体枠51の孔54,55を、貫通した孔に代えて、非貫通の孔(窪み、凹部)として形成してもよい。
【0068】
一方、上記第1実施形態においては、図15に示すワークボード100を図示A−A線に沿った面で裁断しているが、かかるワークボード100の裁断は、上記のバンプ43を出す工程、ビア24及び配線層21aを形成する工程、及び絶縁層31を形成する工程の後に行ってもよい。図28に、この場合におけるワークボード100の概略構成を示す要部断面図を示す。また、ワークボード100の裁断は、電子部品61を表面実装する工程の後に行ってもよい。図29に、この場合におけるワークボード100の概略構成を示す要部断面図を示す。
【0069】
また、上記第1実施形態においては、ワークシート200の状態で電子部品を実装する等して電子部品内蔵モジュール201を作製し、この電子部品内蔵モジュール201を裁断することにより個別基板300を作製したが、電子部品を実装するタイミングは特に限定されるものではなく、例えば、ワークボード100の時点で電子部品を実装したり、ワークシート200を裁断して個別基板を得た後に電子部品を実装する等してもよい。
【0070】
また、上記第1実施形態においては、電子部品41を基板11に内蔵する集合基板を説明したが、電子部品41が内蔵されていないものであっても、本発明は有効に実施できる。さらに、板状一体枠51の設置箇所は、絶縁層12,13,21,31の表面或いは内部のいずれであっても、本発明は有効に実施できる。また、板状一体枠51をパターン状に形成してもよい。
【0071】
なお、上記第1実施形態及び変形例では、電子部品41として半導体ICを内蔵する集合基板及び個別基板を説明したが、本発明は、かかる半導体ICに代えて及び/又はかかる半導体ICとともに、バリスタ、抵抗、コンデンサ、インダクタ、フィルタ、アンテナ、トランス等の電子部品を内蔵するものであっても同様に実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
以上説明した通り、本発明の集合基板及びその製造方法によれば、煩雑な工程を必要とせず低コストで且つ簡易な構成で、基板強度を向上させ、反りの発生を効果的に抑制でき、生産性及び経済性並びに製品の信頼性を向上させることができるので、電子部品をモジュール化する際の更なる薄膜化に資することができるとともに、薄膜型の電子部品を内蔵する電子機器、装置、システム、各種デバイス等、特に小型化、薄膜化及び高性能化が要求されるもの、並びにそれらの製造に広く且つ有効に利用することができる。
【符号の説明】
【0073】
11…基板、12,13,21,31…絶縁層、12a,12b,21a,61a…配線層、14,24,34…ビア、41…電子部品、41a…主面、41b…裏面、42…ランド電極、43…バンプ、51…板状一体枠(枠体)、51a…切片、52…枠部、52a…内周壁(内周)、53…凹部、54,55…孔、54a 凹部、61…受動部品、81a…傾斜面、100…ワークボード(集合基板)、200…ワークシート(集合基板)、201…電子部品内蔵モジュール(集合基板)、300…個別基板、S1〜S4…、製品エリア、T…非製品エリア、W…窓。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
面方向に個別基板を複数包含する集合基板であって、
基板と、
前記個別基板に対応して各々形成された配線層と、
少なくとも1つ以上の前記個別基板を包含する複数の集合体に対して、各集合体の外周を取り囲むように配置され、複数の凹部が内周に沿って並設された枠体と、
を備え、
前記枠体は、複数の窓を有する板状一体格子枠であり、且つ、前記各窓の内周に、前記複数の凹部が設けられたものである、
集合基板。
【請求項2】
前記凹部は、該凹部の開口から内部に向かって拡開されたものである、
請求項1に記載の集合基板。
【請求項3】
前記枠体は、前記隣接する凹部を結ぶ直線上に孔を有するものである、
請求項1又は2に記載の集合基板。
【請求項4】
さらに、絶縁層を有し、
前記板状一体格子枠が、前記絶縁層内に埋設されている、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の集合基板。
【請求項5】
面方向に個別基板を複数包含する集合基板の製造方法であって、
前記個別基板に対応して各々形成された配線層を有する基板を準備する工程と、
少なくとも1つ以上の前記個別基板を包含する複数の集合体に対して、各集合体の外周を取り囲むように、複数の凹部が内周に沿って並設された枠体を配置する工程と、
を有し、
前記枠体は、複数の窓を有する板状一体格子枠であり、且つ、前記各窓の内周に、前記複数の凹部が設けられたものである、
集合基板の製造方法。
【請求項1】
面方向に個別基板を複数包含する集合基板であって、
基板と、
前記個別基板に対応して各々形成された配線層と、
少なくとも1つ以上の前記個別基板を包含する複数の集合体に対して、各集合体の外周を取り囲むように配置され、複数の凹部が内周に沿って並設された枠体と、
を備え、
前記枠体は、複数の窓を有する板状一体格子枠であり、且つ、前記各窓の内周に、前記複数の凹部が設けられたものである、
集合基板。
【請求項2】
前記凹部は、該凹部の開口から内部に向かって拡開されたものである、
請求項1に記載の集合基板。
【請求項3】
前記枠体は、前記隣接する凹部を結ぶ直線上に孔を有するものである、
請求項1又は2に記載の集合基板。
【請求項4】
さらに、絶縁層を有し、
前記板状一体格子枠が、前記絶縁層内に埋設されている、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の集合基板。
【請求項5】
面方向に個別基板を複数包含する集合基板の製造方法であって、
前記個別基板に対応して各々形成された配線層を有する基板を準備する工程と、
少なくとも1つ以上の前記個別基板を包含する複数の集合体に対して、各集合体の外周を取り囲むように、複数の凹部が内周に沿って並設された枠体を配置する工程と、
を有し、
前記枠体は、複数の窓を有する板状一体格子枠であり、且つ、前記各窓の内周に、前記複数の凹部が設けられたものである、
集合基板の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【公開番号】特開2010−21564(P2010−21564A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−217551(P2009−217551)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【分割の表示】特願2007−193844(P2007−193844)の分割
【原出願日】平成19年7月25日(2007.7.25)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【分割の表示】特願2007−193844(P2007−193844)の分割
【原出願日】平成19年7月25日(2007.7.25)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】
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