説明

集塵装置および空調装置

【課題】放電を用いたイオン化手段と、電圧印加電極とアース電極からなる集塵部、そして送風ファンの順で構成される電気集塵式集塵装置において、集塵装置に導入された粉塵はイオン化手段で帯電し、電極を一定間隔で積層して電圧を印加することで電界を形成する後段の集塵部で除去されるが、電気集塵装置の理論式から導き出される理論値よりも集塵効率を高くすることができないという課題があり、理論値よりも集塵効率を高いものにすることが要求されている。
【解決手段】空気を通過させるための通風路2を設けるためのリブ5と、前記リブ5を設けた面の反対側の面に設けられた電極3とを備えたシート4を同じ向きで積層して前記電極3に積層ごとに交互に異なる電圧を印加する集塵部1を備え、空気中に存在する粉塵の集塵部1を通過する距離が集塵部1の奥行き寸法よりも大きくなるようにしたことを特徴とする集塵装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気清浄の分野において空気中の浮遊粒子状物質を除去することができる集塵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気中に存在する粒子状浮遊物質、すなわち粉塵は喘息などの疾病の原因として知られており従来から除去の対象となる物質であったが、近年の研究において粒子径2.5マイクロメートル以下の粉塵(いわゆるPM2.5)が肺ガンなどの疾病を誘起する可能性があるとの報告があり、捕集技術の更なる向上が求められている。その中で電気集塵技術を用いた集塵装置は粒子径がマイクロメートル以下の小粒径の粉塵を捕集することに優れており、また低圧損な特性を持つことから注目を集め、更なる性能向上が求められている。
【0003】
従来、この種の集塵装置として、放電によって粉塵を帯電するイオン化手段を前段に設け、電極を積層し、交互に異なる電圧を印加して電界を形成して帯電した粉塵を捕集する構成を持つものが知られている。この構成を応用した例として、特許文献1には積層する片方の極性の電極を絶縁体である樹脂製のフィルムで被覆した集塵装置が示されている。以下、その集塵装置について図8を参照しながら説明する。図8に示すように、荷電部101は線状電極102とアース電極A103とからなり、荷電部101の通風方向下流側に電圧印加電極105とアース電極B106とからなる集塵部104を設けている。通常、荷電部101においては線状電極102とアース電極A103の間に5〜15kV、また、集塵部104の電圧印加電極105とアース電極B106の間に2〜6kVの電位差を持つように高圧電源107によって線状電極102および電圧印加電極105にそれぞれ電圧が印加されている。
【0004】
上記構成において、荷電部101では線状電極102に高い電圧がかかっており、線状電極102近傍に非常に強い電界が作られている。そのため空気中の電荷をもつ物質が空気分子と衝突を起こし、空気分子から電子が分離したり、分離した電子が他の空気分子に付着したりして空気イオンとなる。これを空気のイオン化と呼ぶことにする。そして、アース電極の間にある絶縁体である空気が絶縁破壊を起こし、一定の大きな放電電流を伴いながら空気のイオン化が起こる放電現象をコロナ放電というが、コロナ放電によって作られた空気イオンが集塵装置に供給された空気に含まれる粉塵に付着して粉塵を帯電させる。帯電した粉塵は送風の流れにそって集塵部104に導入され、電圧印加電極105とアース電極B106との電界の力を受けて両電極板のどちらかに付着して取り除かれ、清浄な空気が集塵部104後方から吹出される。電圧印加電極105は絶縁体である樹脂フィルムで被覆されており、アース電極B106と接触しても短絡を起こさない工夫が施されている。
【特許文献1】特開平6−31200号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来の集塵装置の集塵部において、Deutcheの理論式から導き出される理論値よりも集塵効率を高くすることができないという課題があり、理論値よりも集塵効率を高いものにすることが要求されている。
【0006】
また、集塵部において、タバコの煙などを捕集して捕集面に導電性の膜が形成されることで高湿度の時に特に集塵効率が低下するという課題があり、捕集面に導電性の膜が形成されても集塵効率が低下しないこと、もしくは捕集面に導電性の膜を形成させないことが要求されている。
【0007】
また、集塵部において、シートを積層するときにシートの表面に設けられた電極の位置が不均一であると、通風体の表面を介して流れる漏れ電流が大きくなる、または短絡して電位差が得られずに集塵性能が低下するという課題があり、積層時のシートおよび電極の位置のばらつきを小さくして電極間の絶縁距離を均一にすることが要求されている。
【0008】
また、集塵部において、異なる電圧が印加された電極間で電気的に短絡を起こす、もしくは大きな漏れ電流を生じると電極間で電位差を得ることができないという課題があり、電極間の絶縁を確保して電位差を保つ構造であることが要求されている。
【0009】
また、集塵部において、シートを積層する際に隣り合わせのシートどうしが接着されていないと強度が得られないという課題があり、積層する際にシートどうしが接着されていることが要求されている。
【0010】
また、空気中に浮遊する物質の中には菌やカビ、ウイルス、またはアレルゲンなど人体に入り込んで疾病などの悪影響を及ぼすものがあり、人体に疾病を誘引する物質を集塵部で捕集し、かつ不活化させることが要求されている。
【0011】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、理論値以上の集塵効率を確保し、また高湿度および集塵部が汚れた時でも安定した集塵性能を得ることができ、また電極の平面性を損なうことなく高い集塵性能が得られる集塵装置およびその集塵装置を搭載した空調装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の集塵装置は上記目的を達成するために、空気を通過させるための通風路を設けるためのリブと、前記リブを設けた面の反対側の面に設けられた電極とを備えたシートを同じ向きで積層して前記電極に積層ごとに交互に異なる電圧を印加する集塵部を備え、空気中に存在する粉塵の集塵部を通過する距離が集塵部の奥行き寸法よりも大きくなるようにしたことを特徴とするものである。
【0013】
また、集塵部の開口面に対して通風路の壁面が斜めの角度となるように設けられることを特徴とするものである。
【0014】
また、集塵部を通過する空気の進路方向を途中で変更するようにリブが設けられることを特徴とするものである。
【0015】
また、集塵部を通過する空気の進路方向を蛇行させるようにリブが設けられることを特徴とするものである。
【0016】
また、集塵部を通過する空気の進路方向をジグザグにするようにリブが設けられることを特徴とするものである。
【0017】
これらの手段により、Deutcheの理論式から導き出される理論値よりも集塵効率を向上させることが可能な集塵装置が得られる。
【0018】
また、電極がシートの表面に導電性の塗料を塗布または印刷したものであることを特徴とするものである。
【0019】
この手段により、形状、膜厚が均一で導電率のばらつきが小さい電極をシート表面に設け、かつシートと電極の位置関係が常に一定に保たれて積層された集塵装置が得られる。
【0020】
また、シートの表面に反応基を持たせる処理を施すことを特徴とするものである。
【0021】
この手段により、電極のシート表面に対する固着強度およびシートの積層界面の接着性を高めた集塵装置が得られる。
【0022】
また、シートの材質が、10の14乗以上の体積抵抗率を持つ樹脂であることを特徴とするものである。
【0023】
この手段により、異なる電圧が印加された電極どうしがシート内部を介して短絡せず常に一定の電位差を持つ集塵装置が得られる。
【0024】
また、シートの材質が、10の10〜14乗の体積抵抗率を持つ樹脂であることを特徴とするものである。
【0025】
この手段により、異なる電圧が印加された電極間の絶縁を保ちつつ、電極からシート内部を通して電極、シートおよびリブによって形成される通風路表面に常に電界を形成する電荷が供給され、高湿度および集塵部が汚れた状態という装置にとって厳しい状況においても安定した集塵性能を得ることが可能な集塵装置が得られる。
【0026】
また、樹脂材料が、導電性物質を高分子鎖に固定化した半導電性ポリマーを絶縁性樹脂材料の高分子鎖に絡ませてアロイ化したものであることを特徴とするものである。
【0027】
また、半導電性ポリマーが、主鎖にエーテル結合を持つことを特徴とするものである。
【0028】
また、導電性物質が、イオン性物質であることを特徴とするものである。
【0029】
また、樹脂材料が、無機系半導電性物質を含有することを特徴とするものである。
【0030】
また、無機系半導電性物質が、酸化亜鉛や酸化すず、もしくは酸化インジウムの結晶であることを特徴とするものである。
【0031】
この手段により、シートの半導電性がほぼ永久的に持続し、電極からシート内部を通して電極、シートおよびリブによって形成される通風路表面に常に電界を形成する電荷を供給することが可能な集塵装置が得られる。
【0032】
また、シートを積層した時のリブとシートの接触箇所を含めた集塵部全体を接着材料でコーティングし、かつ積層されたシートどうしを接着することを特徴とするものである。
【0033】
この手段により、シートの積層界面が外力によって剥れたりせず、集塵部の強度を確保した集塵装置が得られる。
【0034】
また、接着材料の体積抵抗率が、10の14乗以上であることを特徴とするものである。
【0035】
この手段により、異なる電圧が印加された電極どうしの絶縁を確保することになり、シートの表面および接着剤内部を介して電極間が短絡せず、常に一定の電位差を保つことが可能な集塵装置が得られる。
【0036】
また、集塵部において、シートの表面に撥水性および絶縁性を持たせることを特徴とするものである。
【0037】
また、集塵部の全体を、撥水性および絶縁性を持つ材料でコーティングすることを特徴とするものである。
【0038】
これらの手段により、粉塵の付着する表面にタバコの粉塵などに含まれる固形分、油分、水分が非連続的に付着することで導電性の膜を形成させない集塵装置が得られる。
【0039】
また、接着材料の主成分が、オルガノポリシロキサンを主骨格としたシリコーンポリマーであることを特徴とするものである。
【0040】
この手段により、粉塵の付着する表面にタバコの粉塵などに含まれる固形分、油分、水分が非連続的に付着することで導電性の膜を形成させないと同時に、異なる電圧が印加された電極間の空間および沿面における絶縁を確保することが可能な集塵装置が得られる。
【0041】
また、接着材料の体積抵抗率が、10の10〜14乗であることを特徴とするものである。
【0042】
また、接着材料の主成分が、反応基にイソシアネート基を有するウレタンポリマーであることを特徴とするものである。
【0043】
また、接着材料の主成分が、エーテル基を主骨格とし、反応基にシリル基を有する変性シリコーンポリマーであることを特徴とするものである。
【0044】
これらの手段により、異なる電圧が印加された電極間の絶縁を確保すると同時に、電極からシートおよび接着剤内部を通して電極、シートおよびリブによって形成される通風路表面に常に電界を形成する電荷を供給することが可能な集塵装置が得られる。
【0045】
また、接着材料を、極性の小さい有機溶剤に溶かして用いることを特徴とするものである。
【0046】
この手段により、接着材料の粘度を低下させると同時に分散をよくし、集塵部全体に均一に接着剤をコーティングすることが可能な集塵装置が得られる。
【0047】
また、接着材料を極性の大きい有機溶剤に溶かして用いることを特徴とするものである。
【0048】
この手段により、接着材料の粘度を低下させると同時に分散をよくし、集塵部全体に均一に接着剤をコーティングすると同時に溶液の状態において接着材料が硬化する速度を抑制することが可能な集塵装置が得られる。
【0049】
また、シートを積層したものを、接着材料の溶液に浸漬し乾燥することを特徴とするものである。
【0050】
この手段により、粉塵の付着する表面にタバコの粉塵などに含まれる固形分、油分、水分が非連続的に付着することで導電性の膜を形成させないこともしくは電極からシートおよび接着剤内部を通して電極、シートおよびリブによって形成される通風路表面に常に電界を形成する電荷を供給すること、異なる電圧が印加された電極間の絶縁を確保すること、および積層時にシートどうしを接着することが同時にできる集塵装置が得られる。
【0051】
また、集塵部に抗菌作用を有する抗菌剤を添着したことを特徴とするものである。
【0052】
また、抗菌剤がチタニアもしくはシリカアルミナの微細粒子に銀成分を固定化したものであることを特徴とするものである。
【0053】
また、集塵部に抗黴作用を有する抗黴剤を添着したことを特徴とするものである。
【0054】
また、集塵部にウイルス不活化作用を有する抗ウイルス剤を添着したことを特徴とするものである。
【0055】
また、抗ウイルス剤がフェノール性水産基を分子構造に持つポリフェノール類であることを特徴とするものである。
【0056】
また、集塵部にアレルゲン不活化作用を有する抗アレルゲン剤を添着したことを特徴とするものである。
【0057】
また、抗アレルゲン剤が少なくとも一箇所にフェノール性水酸基を有する芳香族ヒドロキシ化合物であることを特徴とするものである。
【0058】
また、抗菌、ウイルス不活化およびアレルゲン不活化作用を有する薬剤を混合した液を集塵部に一括して添着することを特徴とするものである。
【0059】
これらの手段により、空気中に浮遊する菌やカビ、ウイルス、またはアレルゲンなど人体に入り込んで疾病を誘引する物質を集塵部で捕集し、かつ集塵部において不活化させることが可能な集塵装置が得られる。
【0060】
また、集塵部の風上に、空気をイオン化して粉塵を帯電させるイオン化手段を設けることを特徴とするものである。
【0061】
この手段により、粉塵を帯電して集塵部で高い効率で捕集することが可能な集塵装置が得られる。
【0062】
また、集塵部と送風機を備えた集塵装置の吹出口に、空気をイオン化して粉塵を帯電させるイオン化手段を設けることを特徴とするものである。
【0063】
この手段により、僅かな放電電流で粉塵を帯電し、集塵部で高い効率で捕集することが可能な集塵装置が得られる。
【0064】
また、本発明の空調装置は、請求項36に記載したとおり、請求項1乃至35いずれかに記載の集塵装置を備えたことを特徴とするものである。
【0065】
この手段により、空調機能と同時に高性能かつ性能低下の無い安定した空気清浄機能を持つ空調装置が得られる。
【発明の効果】
【0066】
本発明によれば、Deutcheの式から導かれる理論値よりも高い集塵効率が得られ、また高湿度および集塵部が汚れた状態という装置にとって厳しい状況においても安定して高い集塵性能を得ると同時に菌、ウイルス、アレルゲンといった人体に入り込んで疾病を誘引する物質を捕集し不活化することができるという効果のある集塵装置および空調装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0067】
本発明の請求項1記載の発明は、空気を通過させるための通風路を設けるためのリブと、前記リブを設けた面の反対側の面に設けられた電極とを備えたシートを同じ向きで積層して前記電極に積層ごとに交互に異なる電圧を印加する集塵部を備え、空気中に存在する粉塵の集塵部を通過する距離が集塵部の奥行き寸法よりも大きくなるようにしたことを特徴とするものである。集塵部の奥行き寸法とは集塵部の開口面から垂直方向への寸法のことであり、従来の集塵部ではこの寸法と空気中に存在する粉塵の集塵部を通過する距離とが等しくなる。この距離を大きくすることで粉塵が電極によって通風路内に形成された電場の力を受ける時間が長くなり、集塵部に捕集されやすくなる。本発明の集塵部は、集塵部の奥行き寸法を大きくすることなく、空気中に存在する粉塵の集塵部を通過する距離を大きくすることを主眼としている。具体的にはリブおよび電極を備えたシートを積層した構造となっており、リブによって空間層が設けられ、これが空気の通過する通風路となる。通風路は左右の壁面がリブで、また上下の壁面がシートおよび電極で形成される。粉塵を含む空気はこの通風路を通過し、電極によって通風路内に形成された電場によって空気中の粉塵は通風路の壁面に付着する。そして集塵部の開口面に対してシートを斜めに傾けて積層する、また集塵部の開口面に対してリブを垂直ではなく斜めに傾けるなどして通風路の上下左右の壁面が集塵部の開口面に対して斜めの角度となるように設けられている。このような方法により空気中に存在する粉塵の集塵部を通過する距離が集塵部の奥行き寸法よりも大きくなり、従来の集塵装置以上の集塵性能を得ることができるという作用を有する。
【0068】
また、集塵部を通過する空気の進路方向を途中で変更するようにリブが設けられることを特徴とするものである。これにより空気中に存在する粉塵の集塵部を通過する距離が集塵部の奥行き寸法よりも大きくなり、従来の集塵装置以上の集塵性能を得ることができるという作用を有する。
【0069】
また、集塵部を通過する空気の進路方向を蛇行させるようにリブが設けられることを特徴とするものである。これにより空気中に存在する粉塵の集塵部を通過する距離が集塵部の奥行き寸法よりも大きくなり、従来の集塵装置以上の集塵性能を得ることができるという作用を有する。
【0070】
また、集塵部を通過する空気の進路方向をジグザグにするようにリブが設けられることを特徴とするものである。これにより空気中に存在する粉塵の集塵部を通過する距離が集塵部の奥行き寸法よりも大きくなり、従来の集塵装置以上の集塵性能を得ることができるという作用を有する。
【0071】
また、電極がシートの表面に導電性の塗料を塗布または印刷したものであることを特徴とするものである。導電性の塗料をシルクスクリーンやパッドプリンティングによる印刷もしくはマスク塗装などで電極の表面に設けることにより、電極が表面に設けられた通風体を均一かつ大量に得ることができ、これらを積層することで電極の間の電気的短絡を防止すると同時に集塵部のどの部分でも均一な集塵性能を得ることができるという作用を有する。
【0072】
また、シートの表面に反応基を持たせる処理を施すことを特徴とするものである。シートの材料としてポリプロピレンやポリエチレンなどオレフィン系の樹脂を用いた場合、表面に反応基が存在しないために不活性である。そのため電極の材料として用いる導電性塗料の密着性が得られないことから塗装もしくは印刷した電極がはがれ落ちやすくなり、またシートどうしの積層界面の接着性も低い。このように不活性な表面にコロナ放電処理などを施すことにより、表面が酸化されて反応性を持つようになり、シート表面に対する電極の密着性や通風体および電極の積層界面の接着性を高めることができるという作用を有する。
【0073】
また、シートの材質が、10の14乗以上の体積抵抗率を持つ樹脂であることを特徴とするものである。ポリプロピレンやポリエチレン、もしくはポリカーボネートやポリエチレンテレフタレートといった、シート4の材料に10の14乗以上の体積抵抗率を持つ樹脂を用いることで、シートの内部および表面の絶縁を確保し、異なる電圧が印加された電極の間で起こりうる短絡を確実に防ぐことができるという作用を有する。
【0074】
また、シートの材質が、10の10〜14乗の体積抵抗率を持つ樹脂であることを特徴とするものである。シートの材料として10の10〜14乗の体積抵抗率を持つ樹脂を用いることによって異なる電圧が印加された電極の間の絶縁を保ちつつ、シートの内部を微小な電荷が移動できるようになる。そしてシートの裏側の面に設けられた電極からシートの内部を通じてシート表面に常に電界を形成する電荷が供給されるため、高湿度および集塵部が汚れた状態になってシート表面の電気抵抗が小さくなり、シート表面の電荷が通風路において対面に設けられた電極へ移動し消失しても、シート4内部を通じて新たな電荷が供給され、通風路内の電場を維持することができるという作用を有する。
【0075】
また、樹脂材料が、導電性物質を高分子鎖に固定化した半導電性ポリマーを絶縁性樹脂材料の高分子鎖に絡ませてアロイ化したものであることを特徴とするものである。例えば主鎖にエーテル結合を持ち、導電性物質としてイオン性物質を高分子鎖に固定化した半導電性ポリマーを、例えばポリプロピレンなどの絶縁性樹脂材料の高分子鎖と絡ませて樹脂を形成することで、樹脂内部のあらゆる部分が半導電回路を設けて樹脂全体を均一に10の10〜14乗の体積抵抗率にすることができ、かつ絶縁性樹脂材料の持つ適度な熱過疎性および流動性を保つことができ成形性を維持できるという作用を有する。
【0076】
また、樹脂材料が、無機系半導電性物質を含有することを特徴とするものである。例えば酸化亜鉛や酸化すず、もしくは酸化インジウムといった半導電性物質の微細結晶を、例えばポリプロピレンなどの絶縁性樹脂材料に混合することで、樹脂内部のあらゆる部分が半導電回路を設けて樹脂全体を均一に10の10〜14乗の体積抵抗率にすることができ、かつ絶縁性樹脂材料の持つ適度な熱過疎性および流動性を保つことができ成形性を維持できるという作用を有する。
【0077】
また、シートを積層した時のリブとシートの接触箇所を含めた集塵部全体を接着材料でコーティングし、かつ積層されたシートどうしを接着することを特徴とするものである。シートは平面部分とリブの頭の部分で接触しながら積層された状態となるが、外力が加わると接触部分が外れて大きく変形する。接着材料にシートを積層したものを漬け込んだ後硬化させることで、シートどうしの接触部分を含めた集塵部全体を固定化し強度を得ることができるという作用を有する。
【0078】
また、接着材料の体積抵抗率が、10の14乗以上であることを特徴とするものである。10の14乗以上の体積抵抗率を持つ高絶縁性の接着材料を用いることで、シートの積層体全体を固定化し強度を得ると同時に、シートの片方の面に設けられた電極をシーリングして絶縁することができ、シートの表面および接着剤内部を介して電極間の短絡を防止できるという作用を有する。
【0079】
また、集塵部において、シートの表面に撥水性および絶縁性を持たせることを特徴とするものである。大気塵として例えばタバコ煙の成分はカーボンなどの固形分、タールなどの水溶性の油分、そして水分を多分に含んでいる。これらの成分が集塵部の表面に付着すると、特に湿度が高い状況において導電性の膜が形成されることになり、シートの表面抵抗率が下がってシート表面に存在する電荷の移動が起こることによって表面電位が低下して粉塵の通過する空間の電界が弱まる。この電界の弱まりによって集塵性能の低下が引き起こされる。シートの表面にタバコの成分などが付着して導電性の膜を形成することを防ぐために例えばシートに撥水性および絶縁性を持つ材料、例えばフッ素樹脂などを用いることで、シート表面に撥水性および絶縁性を持たせることにより、シートの表面にタバコ成分を局部的に見て非連続的に付着させることで導電性の膜の形成を抑制することができる。そして特に湿度が高い場合においても表面電位の低下を引き起こさないようにすることで粉塵の通過する空間の電界を損なわず、安定して高い集塵性能を得ることができるという作用を有する。
【0080】
また、集塵部の全体を、撥水性および絶縁性を持つ材料でコーティングすることを特徴とするものである。シートの表面を介して、異なる電圧が印加された電極の間で漏れ電流が生じて電界の乱れを起こし集塵性能の低下が起こる。シート表面および電極を含めた集塵部の全体を撥水性および絶縁性を持つ材料でコーティングすることにより、集塵部の表面に局部的に見てタバコ成分を非連続的に付着させることで導電性の膜の形成を抑制することができる。そして特に湿度が高い場合においても表面電位の低下を引き起こさないようにすることで粉塵の通過する空間の電界を損なわず、同時に電極3を絶縁性材料で覆うことで、異なる電圧が印加された電極の間の絶縁を確保して漏れ電流の増加を抑制して電界の乱れを生じさせないことから、安定して高い集塵性能を手軽かつ安価に得ることができるという作用を有する。
【0081】
また、接着材料の主成分が、オルガノポリシロキサンを主骨格としたシリコーンポリマーであることを特徴とするものである。シリコーンポリマーは主鎖にシロキサン結合を、側鎖に例えばメチル基を持つ構造となっており、撥水性および高い絶縁性を兼ねそろえた材料である。集塵部全体をコーティングする撥水性および絶縁性材料としてシリコーンポリマーを用いることにより、表面電位の低下を引き起こさないことによって粉塵の通過する空間の電界を損なわず、同時に異なる電圧が印加された電極の間の空間および沿面における絶縁を確保して漏れ電流の増加を抑制することで電界の乱れを生じさせないことから、安定して高い集塵性能を手軽かつ安価に得ることができるという作用を有する。
【0082】
また、接着材料の体積抵抗率が、10の10〜14乗であることを特徴とするものである。10の10〜14乗の体積抵抗率を持つシートを用いた場合、シート内部を通じてシート表面の消失した電荷を補う作用が得られるが、例えば反応基にイソシアネート基を有するウレタンポリマーや、エーテル基を主骨格として反応基にシリル基を有する変性シリコーンポリマーなどといった10の10〜14乗の体積抵抗率を持つ接着材料で集塵部全体をコーティングすることで、シートのみならず接着材料の内部を通じてシート表面の消失した電荷を補うと同時に電極を接着材料で覆って異なる電圧が印加された電極の間の絶縁を確保して漏れ電流を抑制することができるという作用を有する。また、シリコーンポリマーやウレタンポリマー、もしくは変性シリコーンポリマーといった接着材料は例えばトルエンやシクロヘキサンといった極性の小さい芳香族系や炭化水素系の有機溶剤で希釈することができ、また変性シリコーンポリマーは例えばアルコールなど極性の大きい有機溶剤で希釈することができる。このような有機溶剤で希釈することで接着剤の粘度を低下させると同時に分散をよくし、集塵部全体に均一に接着剤をコーティングすることができるという作用を有する。また変性シリコーンポリマーを希釈するのにアルコールなどの極性の大きい有機溶剤を用いた場合、変性シリコーンポリマーの持つ反応基にアルコールが水素結合して硬化を抑制し、乾燥してアルコールを気化させた後に硬化させることができることから接着材料の溶液のライフタイムを伸ばすことができるという作用を有する。
【0083】
また、シートの積層体を上記接着剤溶液に浸漬し乾燥することで、シートの積層部分の接着と集塵部全体を接着材料で均一にコーティングすることを一括して同時に行うことができるという作用を有する。
【0084】
また、集塵部に、抗菌作用を有する抗菌剤、抗黴作用を有する抗黴剤、ウイルス不活化作用を有する抗ウイルス剤、もしくはアレルゲン不活化作用を有する抗アレルゲン剤をそれぞれ添着もしくは全て一括して添着して固定化することを特徴とするものである。抗菌剤として例えばチタニアもしくはシリカアルミナの微細粒子に銀成分を固定化したものを用いることで、抗菌作用を有する銀成分を均一に抗菌剤の中で分散することができ、集塵部に均一に添着することができるという作用を有する。また例えばチアベンダゾールを主成分とした抗黴剤を用いることで、真菌に分類される黴類の繁殖を抑制することができる。また例えばエピカテキンガレートのようにフェノール性水酸基を分子構造に持つポリフェノール類を抗ウイルス剤として用いることで、ウイルスの外皮であるエンベローブやエンベローブ表面に存在するスパイクを包み込んで細胞への感染作用を抑制して増殖を防ぐことができる。また例えばフェノール性水酸基を有する芳香族ヒドロキシ化合物などを抗アレルゲン剤として用いることで、フェノール性水酸基がアレルゲンを包み込み、アレルゲンの持つ特異結合部を無効化してアレルギーを引き起こす要因となる抗体生成体との特異結合を抑制することができる。これらの薬剤を集塵部1に添着して固定化することにより、空気中に浮遊する菌やカビ、ウイルス、またはアレルゲンなど人体に入り込んで疾病を誘引する物質を集塵部で捕集し、かつ集塵部において不活化させることができるという作用を有する。
【0085】
また、集塵部の風上に、空気をイオン化して粉塵を帯電させるイオン化手段を設けることを特徴とするものである。放電による電離現象などを用いて得られた空気イオンを集塵部の風上に発生させ、取り込んだ空気中に存在する粉塵に付着させることによって粉塵を帯電させ、そして帯電した粉塵を集塵部に送り込み、集塵部の通風路に設けられた電場によって帯電した粉塵を捕集することで集塵性能を高めることができるという作用を有する。
【0086】
また、集塵部と送風機を備えた集塵装置の吹出口に、空気をイオン化して粉塵を帯電させるイオン化手段を設けることを特徴とするものである。放電による電離現象などを用いて得られた空気イオンを吹出し口から部屋へ供給することによって部屋の中の空気中に存在する粉塵を帯電させる。このように部屋の空間において帯電された粉塵を集塵部に送り込み、集塵部の通風路に設けられた電場によって帯電した粉塵を捕集することで集塵性能を高めることができるという作用を有する。
【0087】
また、本発明の空調装置は、請求項36に記載したとおり、請求項1乃至35いずれかに記載の集塵装置を備えたことを特徴とするものである。例えば空調装置の熱交換器の前に請求項1乃至35いずれかに記載の集塵装置を設けることによって、空調装置に安定して高い空気清浄機能を持たせることができるという作用を有する。
【0088】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0089】
(実施の形態1)
集塵装置の集塵部に帯電した粉塵が捕集される原理図を図1に示す。帯電した粉塵は集塵部1内部の通風路2を通過するとき、異なる電圧が印加された電極3によって形成された電場の力を受けて捕集される。このとき集塵部1の集塵効率の理論値は以下のDeutcheの式で求めることができる。集塵効率とは集塵部に取り込んだ粉塵に対して捕集することのできた粉塵の割合を示す数字である。
【0090】
【数1】

【0091】
η:集塵効率 K:粉塵の帯電強度などを表す定数 E:通風路内部の電場の強さ
L:粉塵が電場を通過する距離 v:粉塵の通過速度 d:通風路の電場方向の寸法。
【0092】
このように、粉塵が電場を通過する距離Lが大きいほど集塵効率は高くなる。例えば粉塵が電場を通過する距離Lが1.5倍大きくなるとした場合、80%の集塵効率が91%に向上することになる。本発明である、空気中に存在する粉塵の集塵部を通過する距離が、集塵部の奥行き寸法よりも大きくなるようにしたことを特徴とする集塵装置として、開口面に対して斜めとなるように通風路の上下方向の壁面を設けた集塵部を図2に、また開口面に対して斜めとなるように通風路の左右の壁面を設けた集塵部を図3に示す。図2および図3の集塵部1は、空気を通過させるための空間層を設けて通風路2とするためのリブ5と、リブ5を設けた面と反対側の面に設けられた電極3とを備えたシート4を積層し、電極3に積層ごとに交互に異なる電圧を印加する構成となっている。そして図2の集塵部1ではシート4の表と裏の面によって構成される通風路の上下の壁面7が集塵部の開口面6に対して垂直ではなく斜めの角度となるようにシート4が積層されており、また図3の集塵部1ではリブ5によって構成される通風路の左右の壁面8が開口面6に対して垂直ではなく斜めの角度で設けられている。このように集塵部の開口面6に対して通風路の上下の壁面7、通風路の左右の壁面8に角度を持たせることによって、集塵部1の奥行き寸法よりも通風路2の長さ、すなわち空気中に存在する粉塵が集塵部1を通過する距離を大きくすることができ、それによって集塵効率を高めることができる。
【0093】
(実施の形態2)
空気中に存在する粉塵の集塵部を通過する距離が、集塵部の奥行き寸法よりも大きくなるようにしたことを特徴とする集塵装置として、集塵部を通過する空気の進路方向を途中で変更するようにリブが設けられた集塵部を図4に示す。集塵部を通過する空気の進路方向は、リブ5を直線ではなく左右方向のどちらかに曲げた形状にすることによって途中で変更されている。このような構造にすることで集塵部1の奥行き寸法よりも通風路2の長さ、すなわち空気中に存在する粉塵が集塵部1を通過する距離を大きくすることができ、それによって集塵効率を高めることができる。
【0094】
(実施の形態3)
空気中に存在する粉塵の集塵部を通過する距離が、集塵部の奥行き寸法よりも大きくなるようにしたことを特徴とする集塵装置として、集塵部を通過する空気の進路方向を蛇行させるようにリブが設けられた集塵部を図5に示す。集塵部を通過する空気の進路方向は、リブ5を直線ではなく左右方向にくねらせた形状にすることによって蛇行するようになっている。このような構造にすることで集塵部1の奥行き寸法よりも通風路2の長さ、すなわち空気中に存在する粉塵が集塵部1を通過する距離を大きくすることができ、それによって集塵効率を高めることができる。
【0095】
(実施の形態4)
空気中に存在する粉塵の集塵部を通過する距離が、集塵部の奥行き寸法よりも大きくなるようにしたことを特徴とする集塵装置として、集塵部を通過する空気の進路方向をジグザグにするようにリブが設けられた集塵部を図6に示す。集塵部を通過する空気の進路方向は、リブ5を直線ではなく左右方向に角度をつけて曲げた形状にすることによってジグザグになっている。このような構造にすることで集塵部1の奥行き寸法よりも通風路2の長さ、すなわち空気中に存在する粉塵が集塵部1を通過する距離を大きくすることができ、それによって集塵効率を高めることができる。
【0096】
(実施の形態5)
10の10〜14乗の体積抵抗率を持つ樹脂を材質とするシートの表面電荷を表す模式図を図7に示す。シート4の表面には裏側の面に設けられた電極3によって発現した電荷9が生じ、通風路2の対面側に設けられた、異なる電圧が印加された電極3との間で電場を形成する。この電場によって帯電した粉塵は上下どちらかの力を受け、電極3もしくはシート4の表面に付着し除去される。このときシート4の材料として10の10〜14乗の体積抵抗率を持つ樹脂を用いることによって異なる電圧が印加された電極3の間の絶縁を保ちつつ、シート4の内部を微小な電荷が移動できるようになる。そしてシートの裏面に設けられた電極3からシート4の内部を通じてシート4の表面に常に電界を形成する電荷が供給されるため、高湿度および集塵部が汚れた状態になってシート4表面の電気抵抗が小さくなり、シート4表面の電荷が通風路2において対面側に設けられた電極3へ移動し消失しても、シート4内部を通じて新たな電荷が供給され、通風路内の電場を維持することができる。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明の集塵装置は、集塵部の寸法を大きくすることなく集塵性能を高めることができ、また高湿度および集塵部が汚れた状態という集塵装置にとって厳しい状況においても安定して高い集塵性能を得ることができるという効果を有し、室内ばかりでなく屋外での空気環境を向上させる用途としても有用である。
【0098】
また本発明の集塵装置を備えた空調装置は、長期間において安定した集塵性能を得ることができるという効果を有し、室内の冷暖房および湿度制御といった空調を行いながら清浄化された室内空間を提供する用途として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の実施の形態1に記載の集塵部に粉塵が捕集される原理図
【図2】本発明の実施の形態1に記載の通風路の上下壁面が斜めに設けられた集塵部の構成図
【図3】本発明の実施の形態1に記載の通風路の左右壁面が斜めに設けられた集塵部の構成図
【図4】本発明の実施の形態2に記載の集塵部の構成図
【図5】本発明の実施の形態3に記載の集塵部の構成図
【図6】本発明の実施の形態4に記載の集塵部の構成図
【図7】本発明の実施の形態5に記載のシート表面の電荷移動を示す模式図
【図8】従来の電気集塵式集塵装置の構成図
【符号の説明】
【0100】
1 集塵部
2 通風路
3 電極
4 シート
5 リブ
6 開口面
7 通風路の上下の壁面
8 通風路の左右の壁面
9 電荷

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を通過させるための通風路を設けるためのリブと、前記リブを設けた面の反対側の面に設けられた電極とを備えたシートを同じ向きで積層して前記電極に積層ごとに交互に異なる電圧を印加する集塵部を備え、空気中に存在する粉塵の集塵部を通過する距離が集塵部の奥行き寸法よりも大きくなるようにしたことを特徴とする集塵装置。
【請求項2】
集塵部の開口面に対して通風路の壁面が斜めの角度となるように設けられることを特徴とする請求項1記載の集塵装置。
【請求項3】
集塵部を通過する空気の進路方向を途中で変更するようにリブが設けられることを特徴とする請求項1または2記載の集塵装置。
【請求項4】
集塵部を通過する空気の進路方向を蛇行させるようにリブが設けられることを特徴とする請求項1または2記載の集塵装置。
【請求項5】
集塵部を通過する空気の進路方向をジグザグにするようにリブが設けられることを特徴とする請求項1または2記載の集塵装置。
【請求項6】
電極がシートの表面に導電性の塗料を塗布または印刷したものであることを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の集塵装置。
【請求項7】
シートの表面に反応基を持たせる処理を施すことを特徴とする請求項6記載の集塵装置。
【請求項8】
シートの材質が、10の14乗以上の体積抵抗率を持つ樹脂であることを特徴とする請求項1乃至7いずれかに記載の集塵装置。
【請求項9】
シートの材質が、10の10〜14乗の体積抵抗率を持つ樹脂であることを特徴とする請求項1乃至7いずれかに記載の集塵装置。
【請求項10】
樹脂材料が、導電性物質を高分子鎖に固定化した半導電性ポリマーを絶縁性樹脂材料の高分子鎖に絡ませてアロイ化したものであることを特徴とする請求項9記載の集塵装置。
【請求項11】
半導電性ポリマーが、主鎖にエーテル結合を持つことを特徴とする請求項10記載の集塵装置。
【請求項12】
導電性物質が、イオン性物質であることを特徴とする請求項10もしくは11記載の集塵装置。
【請求項13】
樹脂材料が、無機系半導電性物質を含有することを特徴とする請求項9記載の集塵装置。
【請求項14】
無機系半導電性物質が、酸化亜鉛や酸化すず、もしくは酸化インジウムの結晶であることを特徴とする請求項13記載の集塵装置。
【請求項15】
シートを積層した時のリブとシートの接触箇所を含めた集塵部全体を接着材料でコーティングし、かつ積層されたシートどうしを接着することを特徴とする請求項1乃至14いずれかに記載の集塵装置。
【請求項16】
接着材料の体積抵抗率が、10の14乗以上であることを特徴とする請求項15記載の集塵装置。
【請求項17】
集塵部において、シートの表面に撥水性および絶縁性を持たせることを特徴とする請求項1乃至16いずれかに記載の集塵装置。
【請求項18】
集塵部の全体を、撥水性および絶縁性を持つ材料でコーティングすることを特徴とする請求項17記載の集塵装置。
【請求項19】
接着材料の主成分が、オルガノポリシロキサンを主骨格としたシリコーンポリマーであることを特徴とする請求項16記載の集塵装置。
【請求項20】
接着材料の体積抵抗率が、10の10〜14乗であることを特徴とする請求項15記載の集塵装置。
【請求項21】
接着材料の主成分が、反応基にイソシアネート基を有するウレタンポリマーであることを特徴とする請求項20記載の集塵装置。
【請求項22】
接着材料の主成分が、エーテル基を主骨格とし、反応基にシリル基を有する変性シリコーンポリマーであることを特徴とする請求項20記載の集塵装置。
【請求項23】
接着材料を、極性の小さい有機溶剤に溶かして用いることを特徴とする請求項19、21もしくは22記載の集塵装置。
【請求項24】
接着材料を極性の大きい有機溶剤に溶かして用いることを特徴とする請求項22記載の集塵装置。
【請求項25】
シートを積層したものを、接着材料の溶液に浸漬し乾燥することを特徴とする請求項23もしくは24記載の集塵装置。
【請求項26】
集塵部に抗菌作用を有する抗菌剤を添着したことを特徴とする請求項1乃至25いずれかに記載の集塵装置。
【請求項27】
抗菌剤がチタニアもしくはシリカアルミナの微細粒子に銀成分を固定化したものであることを特徴とする請求項26記載の集塵装置。
【請求項28】
集塵部に抗黴作用を有する抗黴剤を添着したことを特徴とする請求項1乃至25いずれかに記載の集塵装置。
【請求項29】
集塵部にウイルス不活化作用を有する抗ウイルス剤を添着したことを特徴とする請求項1乃至25いずれかに記載の集塵装置。
【請求項30】
抗ウイルス剤がフェノール性水産基を分子構造に持つポリフェノール類であることを特徴とする請求項29記載の集塵装置。
【請求項31】
集塵部にアレルゲン不活化作用を有する抗アレルゲン剤を添着したことを特徴とする1乃至25いずれかに記載の集塵装置。
【請求項32】
抗アレルゲン剤が少なくとも一箇所にフェノール性水酸基を有する芳香族ヒドロキシ化合物であることを特徴とする請求項31記載の集塵装置。
【請求項33】
抗菌、ウイルス不活化およびアレルゲン不活化作用を有する薬剤を混合した液を集塵部に一括して添着することを特徴とする請求項1乃至25いずれかに記載の集塵装置。
【請求項34】
集塵部の風上に、空気をイオン化して粉塵を帯電させるイオン化手段を設けることを特徴とする請求項1乃至33いずれかに記載の集塵装置。
【請求項35】
集塵部と送風機を備えた集塵装置の吹出口に、空気をイオン化して粉塵を帯電させるイオン化手段を設けることを特徴とする請求項1乃至33いずれかに記載の集塵装置。
【請求項36】
請求項1乃至35いずれかに記載の集塵装置を備えた空調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−187739(P2006−187739A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−2198(P2005−2198)
【出願日】平成17年1月7日(2005.1.7)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】