説明

集束音響エネルギーを用いたサンプルの処理方法

本発明は、集束音響エネルギーを用いてサンプルを処理する装置に関する。それにより、生成された音響エネルギーが、ソースから完全な乾式伝播経路を通じてサンプルに伝達される。サンプル(101)を含むカートリッジ(103)が機器(102)内に挿入され、そのような挿入により乾式伝播経路が生じるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集束音響エネルギーを用いたサンプルの処理に関する。特に、本発明は、サンプルを処理するために集束音響エネルギーをサンプルに照射する装置、並びに、サンプルを処理するために集束音響エネルギーをサンプルに照射する方法に関する。
【0002】
近年、マイクロトータル・アナリシス・システム(micro TAS)またはラボオンチップとしても知られる、サンプルイン・リザルトアウト(sample-in result-out)装置の多様な側面での進歩が、さまざまな理由により、生体外診断(IVD)の用途での関心を高めてきている。例えば、集積化および小型化に伴い、比較的に小さく、サンプル汚染のリスクが少なく、感度が高く、テストのTATが短くて、さらに、一回あたりのテスト費用がより低いシステムが得られた。また、サンプルの入力から結果の生成まで、オペレータの違いによる変動が最小限になることが求められている。オペレータが熟練していないと変動要因になりかねないし、作業環境の違いも若干影響する。
【0003】
音響エネルギーを用いたサンプルの処理に関する公知の技術は、分子装置用途のような特定の用途には適用できないかも知れない。これは、音波処理の終了後、内部に液体サンプルを受容する漏出カートリッジと、自装置によって用いられる液体との識別ができないからである。これは、そのような液体カップリングを用いるこれらの装置において、許容できない処理結果につながることもある。
【0004】
また、例えば、混合のような複雑な作業を含む前処理機能が、異なるプロセスの機能と分離されて、独立に処理される。これは、さらに小型化しかつ集積化しようとする、このような分野の一般的なトレンドに逆らっていくものである。より深刻なことは、このような設定で利用され得る空間が非常に制約的であるため、例えば、病院や実験室で必要とされる、実際に小さなサイズのシステムへの要求に反するということである。
【0005】
また、分子診断テストは、しばしば、複雑なピエゾアレイ、複雑な制御システム、および複雑な電気ドライバを有する技術を含む。これらの技術は、高価であり、多くの技術的支援を必要とし、さらには大きな空間を必要とする。
【0006】
本発明の目的は、改善されたサンプルの処理を提供することにある。
【0007】
このような目的は、独立項のうちのいずれか1つに関わる請求の対象によって実現することができる。本発明の実施形態が、従属項に記載されている。
【0008】
定義および略語
本明細書において、以下の定義および略語が用いられる。
【0009】
乾式カップリング:
「乾式カップリング」という用語は、本明細書において、ソースからサンプルまで非液体物質のみを通じた、完全な音響エネルギーの伝播として用いられる。
【0010】
音響エネルギー:
「音響エネルギー」という用語は、本明細書において、音波エネルギー、音響波動、音響パルス、超音波エネルギー、超音波波動、超音波、衝撃波、サウンドエネルギー、サウンド波動、サウンドパルス、パルス、波動、或いはこれらの用語のすべての他の文法的な形態の用語を含むものとして用いられる。
【0011】
フォーカシング領域およびフォーカシング地点:
「焦点域」および「焦点」は、本明細書において、音響エネルギーが、ターゲットまたはサンプルに打ち当たるか、またはそれに収束される領域を意味し、この場合、そのような領域が必ずしも1つの集束地点である必要はない。
【0012】
装置:
本明細書において、「装置」という表現は、分子診断装置およびその他の装置を含む。装置の用途は、例えば、健康/生命科学、食品産業、獣医学的業務、および法医学的用途となり得る。
【0013】
サンプル:
「サンプル」という用語は、本発明に係る装置で処理される分子分析用のサンプルを含むということに明確に注意しなければならない。例えば、血液、培養血液、尿、吸引物(aspirate)、水と類似した粘性のサンプル、不均一のサンプル、或いは、BAL、唾液、呼吸管吸引物、CSF、病源菌を含むブラシおよび/または綿棒などのようなキャリア上のサンプルがある。それ以外に、他の種類の物質、固体、液体、気体またはそれらの組み合わせもサンプルとなることができ、また、本発明によって集束音響エネルギーを照射することができる。
【0014】
NA:
「NA」は、任意の核酸に対して用いられる。
【0015】
ソース:
本明細書において、「ソース」という用語は、トランスデューサという用語と同意として用いられる。さらに、本明細書中において規定されたように、音響エネルギーを放出することができる他のいずれの装置もこのようなソースに含まれる。
【0016】
伝播経路:
「伝播経路」という表現は、本明細書において、音響エネルギーが、ソースから、少なくともカプラおよびカートリッジの任意の組み合わせを介してサンプルにまで伝播される経路のことをいう。レンズのような他の要素、さらなるカプラが伝播経路内に位置することができる。それにより、伝播経路内において、このような数多くの要素の中間接触層を音響エネルギーが通過することとなる。さらにまた、音響窓またはインターフェース媒体のような他の層が含まれることもできる。
【0017】
減衰:
本明細書において、「減衰」という用語は、生成された音響エネルギーの強さの減少に関連する。これは、例えば、反射、吸収、回折、またはこれらの組み合わせによって発生し得るものである。
【0018】
サンプルの処理:
「処理」または「処理する」と言う用語は、本明細書において、集束音響エネルギーとサンプルとの相互作用を説明するために用いられる。多様な特定の方式で音響エネルギーをサンプルに集束することにより、音響化学的および/または音響物理的な反応がサンプル内で誘発され、混合、分散、撹拌、綿棒またはブラシからの溶離、液化、溶解、もしくは細胞分離のような機能を発生させる。したがって、このような「処理」の定義はまた、「前処理」と称されるプロセスの間の音響物理的および/または音響化学的な相互作用も含む。言い換えれば、「処理」は、他の機能性のうち、サンプルの「前処理」を含む。
【0019】
プロセスチャンバ:
「プロセスチャンバ」という表現は、類似の「チャンバ」および「カートリッジのチャンバ」という表現としても用いられる。
【0020】
超音波:
「超音波」および「超音波の」という用語は、周波数が20kHz乃至100kHzの周期的な音圧に対して用いられる。
【0021】
高密度集束超音波(HiFu)
「HiFu」という用語は、本明細書において、音響周波数が0.2MHz乃至10MHzであり、振幅が高圧衝撃波やキャビテーションを十分に生成することができるように選択された集束音響フィールドに対して用いられる。焦点域の寸法(長さおよび直径)は、ソース・トランスデューサ型(例えば、フラット状のソース・トランスデューサによる自然な合焦、または円錐状/球状のソース・トランスデューサによる強化された合焦)に依存する。上述した周波数の範囲に対する好ましい長さを表す単位は、(サブ)ミリメートルである。
【0022】
サンプルイン・リザルトアウトシステム(Sample-in result out-system):
システムは、(例えば、生物学的)サンプルを受け入れ、すべての種類のファクトの探知のためのすべての必要な準備段階を行い、探知を行って、さらにその探知結果を伝達する。例えば、血液またはその他の細胞のようなサンプルの分子分析のための装置を提供することができ、そのような装置は、生のサンプル、すなわち未処理のサンプルの、供給から分析結果までのすべての必要な分析段階を提供する。
【0023】
レンズ:
本明細書において、「レンズ」という用語は、音響エネルギーを収束または発散することができる、構成要素またはシステムとして用いられる。生成された音響エネルギーの電波特性に影響を及ぼしうるすべての物質が、「レンズ」という用語に含まれる。
【0024】
インターフェース/インターフェース媒体:
本明細書において、音響エネルギーの伝播経路は、ソース、フルソリッドカプラ(full solid coupler)およびカートリッジのような幾つかの要素で構成される。伝播経路の異なる要素が互いに物理的に接触する転移部または領域を説明するために、インターフェースおよびインターフェース媒体という用語が用いられる。例えば、カプラがカートリッジと物理的に接触すると、カプラのインターフェース媒体は、カプラのカートリッジと接触するよう領域で用いられた物質のことをいう。
【0025】
カプラ:
カプラという用語は、本明細書において、音響エネルギーの伝播経路の一部であり、また他の要素と共にソースからカートリッジまで音響エネルギーを伝播する要素を称するために用いられる。
【0026】
ソリッドゲル:
本明細書において、「ソリッドゲル」は、ゲル形成物質のみを含む。これは、完全にソリッドであり、また同時にゲルである。ソリッドゲルの範囲内において、液体物質は完全に排除される。それにより、ソリッドゲルを用いるとき、水またはヒドロゲルは排除される。したがって、「ゲル」という用語は、本明細書において、「ソリッドゲル」という用語と類似に用いられる。
【0027】
以下において説明される実施形態も、同様に、集束音響エネルギーをサンプルに照射する装置、および集束音響エネルギーをサンプルに照射する方法に関することに留意しなければならない。これらの実施形態を多様に組み合わせて相乗効果を得ることができるが、そのような相乗効果に対しては、明示的にもしくは具体的には記載されない。
【0028】
また、方法に係る本発明のいずれの実施形態も、上述したステップの手順で行うことができるが、その順序は、方法のステップに対する唯一必須的な順序ではない。それと異なる方法ステップのいずれの手順および組み合わせも、本発明に含まれる。
【0029】
本発明の第1の側面によって、ソースとカートリッジとの間の音響エネルギーの完全な乾式カップリングのためのフルソリッドカプラが提供される。したがって、本発明の第1の例示的な実施形態において、サンプルを処理するために、集束音響エネルギーをサンプルに照射するための装置が提示され、このとき、該装置は、機器、カートリッジ、フルソリッドカプラ、および音響エネルギーの生成のためのソースで構成される。また、カートリッジは、サンプルを収納するためのチャンバを備え、さらにフルソリッドカプラは、ソースとカートリッジとの間の音響エネルギーの完全な乾式カップリングを形成する。機器およびカートリッジは、カートリッジが機器に挿入されるように構成され、前記カートリッジおよび機器は分離可能になっている。
【0030】
以下において、第1の例示的な実施形態に係る装置のさらなる特徴および利点を、具体的に説明する。
【0031】
言い換えれば、カートリッジを機器内に挿入することにより、ソースとサンプルとの間に集束音響エネルギーに対する完全な乾式伝播経路が生成される。それにより、カートリッジを機器内に挿入した後、機器、カートリッジ、フルソリッドカプラ及びソースの全ての異なる乾式要素が、完全な乾式方式で連結される。一般的に、カプラは、その一方の端部から他の端部へ音響エネルギーを伝送する。明確に注目すべきことは、フルソリッドカプラが、ソースとカートリッジとの間の乾式方式の音響エネルギーの伝播経路を補完或いは完成するように、装置に配列されるということである。つまり、伝播経路は、フルソリッドカプラの挿入前に、第1の乾式部分伝播経路および第3の部分伝播経路からなっている。これらの両部分の間にカプラを挿入することで、抜けていた第2の部分経路が形成される。完全な伝播経路は、例えば、第一に、フォーカシングトランスデューサに付着された物質から、第二に、ポリマー系のカプラから、さらに第三に、カプラとカートリッジとの間のホイルから、形成することができる。それにより、ソースとカートリッジとの間の完全な乾式カップリングが達成される。フルソリッドカプラは、それ自体が全体の伝播経路を形成する必要はなく、所望に応じて、本発明の例示的な実施形態がこれを実現することができる。
【0032】
したがって、水またはヒドロゲルまたは液体物質を含む任意のゲルの利用を回避することができる。それにより、音響エネルギーによるサンプルの照射が完了した後、液体物質を内包している漏出の可能性のあるカートリッジとカップリング媒体との識別が可能になる。言い換えれば、カートリッジからの漏出による高い汚染リスクの状況を、装置のユーザが、より明らかに且つ迅速に認知することができる。
【0033】
機器およびカートリッジが物理的に分離され、または少なくとも分離可能な完全に異なる要素であるため、異なるカートリッジを選択することにより、処理されるサンプルの体積を選択することができる。また、カートリッジのチャンバがサンプルで完全に満たされなく、チャンバの内部で、サンプルの上に空気層を有する。これは、いわゆる流動通過システムと比べて、幾つかの技術的な利点を提供する。サンプルの上側の空気層の代表的な利点は、HiFuを用いた激しい混合が可能になり、その結果、焦点域の体積よりも相当大きな体積のサンプルも処理できることである。例えば、HiFuの照射によってサンプル液体の噴出を発生させ、噴出部サイクルの中で直面したサンプル液体の循環を通じて混合メカニズムを提供することができる。それにより、HiFuエネルギーが噴出部を形成する焦点域がサンプルの体積に比べて相当小さく、それにもかかわらず、混合プロセスが噴出部を通じて、HiFuにより開始される。したがって、本発明のこの例示的な実施形態により、混合されるべき全体のサンプルの体積を照射する必要がなくなる。言い換えれば、大きなサンプルが、相対的に小さな装置によって処理され得る。
【0034】
さらに、HiFuが噴出部を生成することができ、これは、相対的に低い(減少された)パワーでキャビテーションを生成するために用いることができる。液体に戻る噴出部の液滴によってキャビテーション核をサンプル内に導入することができ、これは、水内の均質な空洞と比較するとき、電力しきい値を一桁分減少し得る。すなわち、(例えば、サンプルが液体である場合)サンプルからの噴出部を生成することにより、トランスデューサに対する最小電力、およびそれによってソースから放出される最小音響エネルギーが、減少され、これは、本明細書において説明された利点に繋がる。
【0035】
言い換えれば、噴出部は、サンプルを混合させるだけでなく、サンプルの冷却のために用いられるキャビテーションの電力しきい値を減少させる。これは、噴出部が、カートリッジ内の周辺の空気と接触するサンプルの表面をかなり大きくさせるためである。
【0036】
カートリッジと機器との物理的な分離は、非集積型システムを誘導するようになり、これは、ソース、カプラおよびカートリッジが、それぞれ独立的に測定のために選択され、適用されることができることを意味する。言い換えれば、システムの3つの構成部分(ソース、カプラおよびカートリッジ)の間のインターフェースが規定されたとき、これらの3つの構成部分に対する独立的な選択を行うことができ、そのような選択は、インターフェースと適していればよい。カートリッジおよびチャンバの大きさが、ソースおよびカプラの大きさおよび形状と無関係であるということから、装置の音響特性を変化させる必要なく、カートリッジの体積を拡張することができる。このような本発明の実施形態に対比したフロースルーシステムの短所は、トランスデューサを増大させる必要なく、チャンバを拡張することができるということである。
【0037】
さらに、これは、焦点域でのフォーカシング、並びに音響エネルギーとチャンバ壁との相互作用に対する依存性の回避に頼ることとなる。すなわち、チャンバの壁がトランスデューサとして用いられない。これは、チャンバ壁の共振周波数が、その形状および材質から決まることを、公知のシステムが考慮しなければならないということと対比される。このようなシステムは、ソース周波数とマッチングしなければならない。前述したように、音響フィールドと壁との相互作用に依存しないため、チャンバ壁の拡張は、トランスデューサの選択と独立的に行うことができる。
【0038】
カートリッジが機器から物理的に分離されるため、カートリッジを廃棄することができ、使い捨て可能なカートリッジは、集束音響エネルギーでサンプルを分析するためのシステムを安価にすることができる。サンプルの処理後に、ソースまたはカプラを廃棄する必要なく、カートリッジを廃棄すればよい。それにより、多様なサンプルを有する互いに異なる多数のカートリッジの場合に、1つの単一機器および1つのソリッドカプラおよび1つのソースにより提供される複数の測定が、乾式カップリングを用いることによって可能となる。
【0039】
そのような装置は、生成された音響エネルギーをサンプルに集束するためのレンズをさらに備えてもよい。
【0040】
また、集束音響エネルギーをサンプルに照射することによって、サンプルを処理することになる。
【0041】
ソースまたはトランスデューサは、kHz乃至MHzの周波数で作動するフラット型または曲線型の圧電変換器であってもよい。トランスデューサの直径は、例えば、カートリッジ内で処理しようとする体積の範囲(0.2mL〜10mL)に合わせた、例えば5mm乃至35mmが好ましい。トランスデューサの集束距離は、5mm乃至80mmとなる。トランスデューサの入力電力は、2W乃至100Wとなる。このような本発明の例示的な実施形態によれば、公知の技術に比して低い電力でサンプルを処理することができる。それにより、周辺物質、特に、ソースとサンプルの間に介在する物質が、音響エネルギーを吸収して加熱されることを防止することができ、それによって、乾式カップリングの導入が可能となる。
【0042】
トランスデューサは、連続的なモードまたは単発性モードで作動することができる。トランスデューサに印加された信号が、互いに異なって可変的な形態、例えば、正弦波状、ブロック状、三角形状、またはこれらの任意の組み合わせの形態を有することができる。周波数をさらに調整して、加熱するための、或いは焦点距離を変化させるための周波数シフトを補償することができる。
【0043】
カートリッジは、使い捨て、消耗性、分離可能性を含む特徴のうちの1つを有してもよいし、1つのチャンバまたは多数のチャンバを含むことができ、1つのサンプルまたは多数のサンプルを含むことができ、産業的に適用することができる。カートリッジの材質は、これに制限されるものではないが、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET);ポリメチルペンテン(PMP)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、およびポリスチレン(PS)であり得る。
【0044】
さらに、カートリッジは、またカプラから物理的に独立した装置である。それにより、カートリッジは、機器とカプラとは別個であり、機器やカプラから分離可能になっている。本発明のこの例示的な実施形態は、カプラがカートリッジや機器の上に配置又は固定されることを排除していないが、そのような可能性もある。
【0045】
1つの主要な利点は、すべての所望の、さらに必要なサンプルの処理が、カートリッジの1つの単一チャンバの内で実施されるということである。また、印加された音響エネルギーによる全体のプロセッシングが、装置の1つの単一ソースから由来したいずれの必要な作用を用いて、サンプルイン・リザルトアウトの原理に従って行われることができる。集束音響エネルギーで、処理チャンバである1つの単一チャンバ内で、サンプル前処理および溶解のような多様な機能性でサンプルを処理することができる。特に、HiFuを、このようなプロセスのために用いることができる。
【0046】
収納位置において(カートリッジ内のチャンバおよびそのサンプルにおいて)、音響エネルギーの高い密度を達成するために、ソースまたはトランスデューサおよび/またはレンズのフォーカシング品質が十分に高いこと、音響エネルギーの伝播経路で物質の音響減衰が十分に低いこと、また、音響エネルギーの伝播経路内の物質インターフェースでの反射サンプルイン・リザルトアウトが十分に低いことが好ましく、上記の音響減衰が十分に低いとは、低いインピーダンスおよび/または薄い厚さを意味し、そして反射が十分に低いとは、乾式カプラの場合に、2つの接触する層の厚さおよび粗さが十分に薄くて低くなければならないということを意味する。このような本発明の例示的な実施形態は、これらの要件を満足する。
【0047】
電力は、機器から、例えば、リードまたはブラシを介してソースに印加し得る。フルソリッドカプラが、異なる多数の断片、部分またはセグメントで構成されてもよい。
【0048】
また、乾式カップリングにより、マイクロスケールで、例えば、ソースとカプラ(第1層)との間および/またはカプラとカートリッジと(第2層)の間の接触が直接的な接触条件に近づけることができ、つまり、できるだけ近接して、効果的な乾式カップリングを達成することができる。それにより、乾式接触において、2つの層の間の空気ポケットを最小化或いは除去するために、両層の表面がマイクロスケールまたはナノスケールでできるだけ整合(conformal)することができる。
【0049】
言い換えれば、空気ポケットを最小化或いは除去するために、以下の要件が装置によって満たされる。ソース、カプラ、カートリッジ、フルソリッドカプラおよびインターフェース媒体の表面粗さが十分に低いこと。また、用いられた物質が、整合するように十分な「可撓性」を有してもよい。それにより、整合性の順序は、液体>ハイドロゲル>ソリッドゲル>ゴム>(弾性)ホイル>熱可塑性ポリマー>熱硬化剤、金属、セラミックス、およびその他の固体物質となる。
【0050】
音響エネルギーまたは音響放射線は、集束されていない経路である第1部分を通じて伝播し、さらにその後、経路の第2部分内で集束され、経路の第3部分を集束された状態で通じて、サンプルに至るまで伝播する。以前または後続のフォーカシングがまた可能である。
【0051】
追加の核生成部位(例えば、適切に高い表面粗さを有する要素、例えばロッド)がチャンバ内に導入されるか、或いは噴出部が誘発されるため、本発明のこの例示的な実施形態によれば、サンプルの内でキャビテーションプロセスを引き起こすために必要な電力が減少する。噴出部から噴出してからサンプルの中に落ちる液滴は、電力しきい値を減少させる。該構成が、2つの可能性が実現するので、低電力のHiFuを用いてサンプルを準備し、処理することが可能となる。
【0052】
本発明によって、必要電力を減少させることができるので、高密度で生成される付加的な屈折を回避することができる。
【0053】
本発明の他の例示的な実施形態に関わって、集束音響エネルギーは、高密度集束超音波(HiFu)である。
【0054】
そして、ソース周波数帯域は0.2MHz乃至10MHzであり、振幅は、焦点域において高い圧力の衝撃波および/またはキャビテーションを十分有効に生成するように選択された振幅である。焦点域の寸法は、ソース・トランスデューサの型に依存する。例示的な周波数の範囲に対する長さの目盛りは、(サブ)ミリメートルである。また、0.2MHz乃至10MHz、または0.75MHz乃至3MHz、もしくは1MHz乃至2MHzで作動するフラット型または曲線型の圧電変換器が用いられる。カートリッジの内で処理しようとする体積の範囲(0.2mL〜10mL)に合わせるために、トランスデューサの直径が、例えば、5mm乃至35mmとなり得る。トランスデューサの集束距離は、5mm乃至80mmであり得る。トランスデューサの入力電力は、0.5W乃至100Wの範囲で変動する。
【0055】
言い換えれば、本発明のこの例示的な実施形態は、分子サンプルを処理および/または分析するためのHiFu分子装置として用いられる。それにより、ソースからサンプルまでの音響エネルギーをカップリングするためには、液体物質の利用は控えなければならない。それにより、液体汚染のリスクが減少される。そして、使い捨てまたは消耗性カートリッジを用いることにより、装置、即ちHiFuで、サンプルの特性を測定する及びサンプルを用意するための複雑でなく、安価で且つ迅速な方式を提供することができる。
【0056】
超音波に比べてHiFuの波長が短いため、小さな領域に対する、強化されたフォーカシングが可能になる。これは、小型化の利点をもたらす。
【0057】
また、多様であり、異なるフォーカシング領域の形状が、HiFuでサンプルを処理するために用いられる。
【0058】
HiFuによって、例えば、試薬との混合、循環、綿棒からの細胞、病源菌およびマトリックスの放出、ブラシからの細胞、病源菌およびマトリックスの放出、液化、常温または高温で試薬を用いたサンプルのインキュベーション、振とう、混合;撹拌、抽出、NA抽出、フロー生成、サンプルのホモジナイゼーション、遠心分離、およびこれらの任意の組み合わせ、溶解、微生物の溶解、常温または高温における試薬を用いたサンプルのインキュベーション、並びにこれらの任意の組み合わせのような機能性でオペレータがサンプルを処理することができるため、装置に対する非常に多様な用途が創り出される。
【0059】
また、公知のシステムは、物理学によって制限的に説明されるが、これは、超音波送信機の小型化ができないからであり、それによって、公知のシステムは、約100mmに制限されるようになる。本発明のこのような実施形態は、100mmよりも小さく小型化され得る。
【0060】
また、公知のシステムの他の短所は、超音波チャンバの共振周波数が設計および物質に依存し、そして、選択された超音波送信機の周波数と整合しなければならないということである。製造公差は、このような依存性を含まなければならない。これとは対照的に、前述したように、装置のすべての共振周波数を考慮する必要はない。
【0061】
また、音響エネルギーを用いるその他の機器が、小さい体積のチャンバに制限されるようになるが、これは、機械工学の基本的な物理法則によって、寸法の増加がシステムまたはチャンバの共振周波数の減少を意味するからである。サンプルの仕様(specification)に起因する超音波周波数に対する並存要件のため、チャンバの大きさの増加が必要なくなる。これは、公知された機器の用途の範囲を制限するようになる。
【0062】
これとは対照的に、非統合型システムが存在し、ここでは、カートリッジが物理的に独立して、すなわち、前述したように、ソースおよびカプラから分離されている。カートリッジおよびチャンバの所望の大きさを選択するとき、チャンバの共振周波数を考慮する必要がない。これは、公知の技術に対比した重要な利点である。
【0063】
また、このような例示的な実施形態は、必要な場合に、フロースルー技術を回避することができるようにするが、そのようなフロースルー技術は、高い温度でのインキュベーションとの組み合わせを複雑にするものである。また、このようなフロースルー技術では、ある種のビーズをチャンバに提供する必要がある。しかし、フロースルーを希望する場合に、上記のような着想が、それを提供することができる。
【0064】
言い換えれば、本発明のこの例示的な実施形態は、チャンバの壁に衝激を与える超音波を用いる技術とは区分される。このような公知のシステムにおいて、共振周波数は、装置の幾何学的形状および/または物質に依存する。
【0065】
また、均質なキャビテーションを用いるフロースルーシステムとは対照的に、このような例示的な実施形態では、電力が減少される。これは、本発明のこの例示的な実施形態が、チャンバ内で空気層を収容することができるためであり、これは、前述したように、核生成部位を導入するか、または噴出部を生成することができるようにする。チャンバ内に導入されたロッドのような追加の核生成部位により、或いは前述した噴出部により、キャビテーションを開始するための電力しきい値が減少され得る。また、例え、すべてのサンプルの流体が焦点域内に必ずしも存在する必要はないが、これは、サンプルのインキュベーション可能性のために提供することができる。
【0066】
これは、ユーザにとって、小さなトランスデューサおよび少ない電力を用いることができるようにし、フルソリッドカプラまたは乾式カプラの導入を可能とする。また、インキュベーションの組み合わせも、容易となる。
【0067】
また、本発明のこの例示的な実施形態は、さらなる多くの機能、例えば、プロセスチャンバでの綿棒の溶離を用いることができる。HiFuが乾式カップリングとともに用いられるため、カートリッジの漏出を探知することが可能となり、また、それによる汚染を早期に探知することが可能となる。
【0068】
本発明のさらに他の実施形態によれば、ソースは、機器の部分またはカートリッジの部分のうちの1つである。
【0069】
このような実施形態の第1実施例において、ソースは、装置の機器内で実行されることができる。それにより、複数のカートリッジが順に、1つの、且つ同一の音響エネルギーソースによって照射されることができる。それにより、多様なカートリッジの測定結果がより良好となり、信頼できるようになるが、これは、多くのソースから起因する偏差を排除することができるためである。
【0070】
本発明のこのような実施形態の第2実施例において、ソースは、カートリッジの一部になる。例えば、カートリッジがソースを具備し、さらにフルソリッドカプラが、ソースとカートリッジとの間に位置することができる。例えば、それらが1つのユニットに一緒に接着されることができる。また、他の固定可能性が含まれ得る。このようなユニットを機器内に挿入することにより、ソースのための電力供給部の間の電気連結がともにプラグされる。したがって、本発明のこの実施形態において、完全な乾式カップリングが生成される。
【0071】
ソースをカートリッジに統合することにより、特定の測定意図に合わせて、特定のソースを予め選択するか、または予め調整することができる。それにより、機器と組み合わせられて、これらのカートリッジに対して、また特定の測定に対して特別に選択されたソースを有する多様なタイプのカートリッジが、1つの単一機器とともに用いられる。これは、機器の運用分野を拡大することができることを意味する。また、カートリッジおよびカートリッジに付着されたソースを廃棄することができ、それにより、1つの単一機器によって付着された数多くのソースを有する多様なカートリッジ内において多様なサンプルを処理するための、低価で且つ単純な解決策を提供することができる。
【0072】
本発明の他の例示的な実施形態によれば、カートリッジを機器内に挿入することで、音響エネルギーをソースからサンプルに伝達するための伝播経路が形成されるように、機器およびカートリッジが組み合わせられて整列し、前記伝播経路は、非流体物質のみを含む。
【0073】
言い換えれば、挿入プロセスの間に、カートリッジと機器の相互作用は、完全な乾式カップリング伝播経路を形成する。それにより、機器およびカートリッジの対応する表面が挿入プロセスの間に互いに集まるようになり、また、その表面は、例えば、形状-閉鎖方式(form-closed way)または力-嵌め合い方式(force-fit way)で成形することができる。機器およびカートリッジの輪郭のこのような形状結合に加え、これらの要素とカプラとの間に圧力を印加するための他の手段が提供されることができる。言い換えれば、固体物質のみまたは空気ポケットのようなガス物質のみが、音響エネルギーの伝播経路内に存在する。
【0074】
本発明の他の例示的な実施形態によれば、フルソリッドカプラは、ソリッドゲル、ゴム、弾性ホイル、ポリマー系の材料、熱可塑性ポリマー、低い音響減衰特性のポリマー、金属、半導体、セラミックス、ポリプロピレン、アルミニウムおよびこれらの材料の積層体からなる群より選択された材料で形成することができる。
【0075】
フルソリッドカプラがポリマー系の材料から形成することができることに、明確に留意しなければならない。
【0076】
用いられた材料は、例えば、ソースのまたはカートリッジの装置の要素の形状に対して整合方式で調整され得る、弾性特性に従うことができる。それにより、伝播経路内の任意のインターフェースにおける空気ポケットが最小化されるか、または回避されて、効果的な乾式カップリングが形成されるように、フルソリッドカプラの材料を選択することができる。また、フルソリッドカプラが前述した材料を部分的な要素として含むことができ、そして、以上で説明していない他の材料がフルソリッドカプラ内に含まれることもできる。
【0077】
計算の結果、積層体は、収納位置に伝達可能なエネルギーの量を増大することができるということが確認されたが、カプラがさらに複雑になってしまう。言い換えれば、インピーダンスマッチングを用いることができる。それにより、フルソリッドカプラが、幾つの要素を含むことができ、そのような要素は、ソースからサンプルまで音響エネルギーの完全且つ効果的な乾式カップリングをともに形成することができる。
【0078】
本発明の他の例示的な実施形態によれば、カートリッジは、音響窓を含み、前記音響窓は、フレキシブルなホイルで形成され、前記フルソリッドカプラは、カートリッジを機器内に挿入することにより、前記音響窓と物理的に接触する。
【0079】
収納位置(サンプルが位置するカートリッジ内のチャンバ)において、集束音響エネルギーの高い密度を達成するため、HiFuの伝達経路内の物質の減衰が十分に低くなければならない。また、十分に低い表面粗さを用いることにより、空気ポケットが最小化されるか、または除去されなければならない。また、整合性を達成するために、十分な可撓性を有する物質を用いることができる。これらの要件は、プラスチックホイルのようなフレキシブルな材料で製造された音響窓により満たすことができる。それにより、カートリッジを機器内に挿入する間に、プラスチックホイルの形状が、カートリッジの接触表面の形状またはフルソリッドカプラの形状に合わせられることができる。
【0080】
カートリッジの音響窓が十分に大きく、選択された音響窓の距離で、HiFuコーン(cone)の断面が窓に完全に嵌めあわされる。音響窓は、扁平であるか、或いは曲線状であり得る。音響窓は、低減衰ポリマー、例えば、PP、PMPの薄層から製造される。また、流体レベル未満の溶解チャンバの壁の残りの部分が十分に薄くて、音響損失を減らし、さらに、チャンバハウジングの加熱を制限することが重要である。
【0081】
本発明の他の例示的な実施形態によれば、フルソリッドカプラとカートリッジとの間に接触圧力が印加され、前記接触圧力は、カートリッジのチャンバ内で過渡な圧力を印加すること、カートリッジの外部で局所的な低圧力を印加すること、そして、力を用いてカートリッジとフルソリッドカプラを相互に対して加圧すること、からなる群より選択されたいずれか1つ以上の方法で生成される。
【0082】
音響エネルギーの伝播経路内の任意の中間層でまたはインターフェースで空気または空気ポケットを除去することができる方式で、ソリッドカプラとカートリッジの表面の間に接触圧力が印加される。カートリッジが十分に可撓性を有してソリッドカプラの形状に整合することができる場合、例えば、凸な形状のソリッドカプラをフラット状のカートリッジに加圧することは、実現可能な解決策となり得る。また、カプラがそのような可撓性を有することもできる。
【0083】
他の例示的な実施形態は、滑らかな球状または円錐状のHiFuトランスデューサ、およびフレキシブルなカートリッジホイルを含む乾式インターフェースの解決策となり得る。
【0084】
それにより、接触圧力は、少なくとも3つの要素、すなわちソース、カプラおよびカートリッジをともに加圧する力を提供し、それにより、空気ポケットが、一部またはすべての中間接触表面において最小化されることができる。それにより、特に滑らかな可撓性のある材料を、これらの表面に対して用いることができる。
【0085】
本発明の他の例示的な実施形態によれば、フルソリッドカプラが、音響窓と接触する第1の接触表面を具備し、カートリッジは、音響窓と接触する第2の接触表面を備える。また、第1の接触表面、第2の接触表面および音響窓のうちのいずれか1つ以上が、0.5μm未満、1μm未満、および2μm未満を含む群より選択された表面粗さを有する。
【0086】
本発明の実施形態によれば、空気ポケットおよびそれによる電波音響エネルギーにおける伝達損失が、最小化されるか、或いは除去される。
【0087】
音響エネルギーが乾式インターフェースを横切って伝達可能となるようにするための機器とカートリッジの間のインターフェース媒体が、ゴム(例えば、RT615)、(弾性)ホイル(例えば、PP、PP系熱可塑性エラストマー、PMP)、または熱可塑性ポリマー(例えば、PP)のような低減衰物質で製造されることができる。インターフェース層は、機器またはカートリッジの一部であってもよい。例えば、カプラと接触するカートリッジの下部層がまた、同時にインターフェース媒体ともなり得る。
【0088】
本発明の他の例示的な実施形態によれば、伝播経路が、音響インピーダンスの勾配を有し、そのような勾配は、ソースからサンプルまでの方向に沿って単調に減少される。
【0089】
このような実施形態は、音響エネルギー損失のさらなる減少を誘導することができるが、これは、伝播経路内の1つの要素から他の要素へのカップリングが、音響インピーダンスの勾配によって改善されるためである。伝播経路内でそのような音響インピーダンスのプロファイルを適用することにより、集束音響エネルギーの反射および吸収が減少される。これによって、与えられた電力のいっそう良好な送出(yield)および損失(spoil)を生じさせることができる。
【0090】
音響エネルギーの伝播経路内で用いられた物質の音響インピーダンスは、ソース側の相対的に高い値から、サンプル/カートリッジサイトの相対的に低い値まで進められる。さらに、音響に関する原理的な法則を用いて、装置およびその要素の寸法、並びに物質に対する選択を最適化することができる。
【0091】
本発明の他の例示的な実施形態によれば、フルソリッドカプラは、ソースとカートリッジとの間に位置した、物理的に分離された要素であるカプラ、ソースの一部であるカプラ、カートリッジの一部であるカプラ、並びにこれらの任意の組み合わせからなる群より選択される。
【0092】
例えば、上部にポリマーカプラを具備する金属レンズと上部で組み合わせられた圧電変換器であるソースを具備する構成が可能である。また、同時に、レンズとしても作用する曲線型ソースが、曲線型ソースの上部でポリマーカプラを具備していてもよい。カプラは、ソースまたはカートリッジに物理的に結合することができるが、これらの要素に印加される外部圧力により、カプラが、これらの要素の上部で維持されることもできる。図10乃至図14を参照すると、ソースとカートリッジとの間でカプラを整列させて固定する、非常に多様な組み合わせが可能である。互いに加圧すること、一緒に接着すること、要素上にカプラを付着すること、さらに、これらの任意の組み合わせを用いて、カプラをソース上に、カートリッジ上に、レンズ上に、第2の追加のカプラ上に、さらに音響窓上に配置することも、本発明のこのような実施形態に含まれる。
【0093】
本発明の他の例示的な実施形態によれば、さらに、生成した音響エネルギーをサンプル上に集束するためのレンズが含まれる。それにより、ソースとカートリッジとの間に位置した、物理的に分離された成分であるレンズ、ソースの一部であるレンズ、フォーカシング形状を有するソースであるレンズ、集束音響エネルギーを提供するソースのアレイであるレンズ、カートリッジの一部であるレンズ、低い音響減衰特性を有するポリマーで製造されたレンズ、金属レンズ、セラミックレンズ、ポリプロピレンレンズ、アルミニウムレンズ、ハイブリッドレンズ、およびこれらの組み合わせを含む群より、レンズが選択される。
【0094】
レンズは、低減衰ポリマー、金属またはセラミックスで製造することができる。環境的な理由により、レンズは、消耗性部分に統合されることができ、さらに、ポリマー、例えばPPで製造することができる。
【0095】
レンズの第1の特性として、レンズは、生成された音響エネルギーをサンプル上に集束することができる。伝達損失を減らすために、レンズがソースに付着されていてもよい。例えば、金属レンズが圧電変換器に固定され、集束音響フィールドの放出を提供することができる。また、すべての単一音響フィールドの重ね合わせが集束音響フィールドを提供する方式で、複数のソースのアレイが電子的に駆動されることができ、また、そのような方式で複数のソースのアレイが空間的に位置することができる。また、レンズがカートリッジの部分であってもよく、例えば、カートリッジの底部に固定することができる。さらに、このような例は、ソースがカートリッジの部分であるものも、さらに含むことができる。
【0096】
また、マルチフォーカス性(multi-focality)を生成するために、ハイブリッドレンズが、本発明のこの例示的な実施形態において用いることができる。それにより、レンズが、2つ以上の互いに異なる放出区域を有し、これは、レンズの互いに異なる放出区域が、後続する要素の形状、表面粗さ、物質、およびこれらの任意の組み合わせの少なくとも1つにより、互いに独立であることを意味する。ハイブリッドレンズの機能を簡略に要約すると、入射される均質な音響フィールドが、ハイブリッドレンズにより、例えば2つの互いに異なるフォーカシング領域を有する非均質な音響フィールドに伝達されるようになる。
【0097】
本発明の他の例示的な実施形態によれば、カートリッジの1つの単一チャンバ内で、集束音響エネルギーにより、サンプルに前処理および溶解が適用される。それにより、前処理は、試薬との混合、循環、綿棒からの細胞、病源菌およびマトリックスの放出、ブラシからの細胞、病源菌およびマトリックスの放出、液化、常温または高温で試薬および/または酵素を用いたサンプルのインキュベーション、振とう、混合;撹拌、抽出、NA抽出、フロー生成、サンプルのホモジナイゼーション、遠心分離、およびこれらの任意の組み合わせを含む群より選択された方法である。さらに、溶解は、試薬との混合、前処理中に印加された試薬とは異なる試薬との混合、循環、微生物の溶解、常温または高温もしくは上記の前処理中に適用される温度と異なる温度で試薬を用いたサンプルのインキュベーション、およびこれらの任意の組み合わせを含む群より選択される方法である。
【0098】
1つの単一ソースに起因する集束音響エネルギーによる1つの単一チャンバ内での前処理および溶解のこのような組み合わせが、乾式カップリングを形成しないで適用されることができるということに、明確に留意しなければならない。完全に乾燥した媒体外部の伝播経路またはフルソリッドカプラを必要としない。
【0099】
したがって、本発明の第2の側面は、カートリッジの1つの単一チャンバ内における、すなわち、特に同一のチャンバ内における、集束音響エネルギーによるサンプルに対する前処理および溶解の適用に関するものである。本発明のこのような側面の例示的な実施形態は、サンプルを処理するための集束音響エネルギーをサンプルに照射するための装置、機器を含む装置、カートリッジ、および音響エネルギーを生成するためのソースを提供する。カートリッジは、サンプルを収納するためのチャンバを具備する。機器およびカートリッジは、カートリッジを機器内に挿入することができるように構成される。カートリッジおよび機器は、分離可能である。前処理および溶解が、集束音響エネルギーによりカートリッジのチャンバ内でサンプルに適用することができるように、装置が設計される。
【0100】
2側面の例示的な実施形態は、サンプルを処理するために、集束音響エネルギーをサンプルに照射するための対応する機器に関するものであり、前記機器は、音響エネルギーの生成のためのソースを含む。前記機器は、機器から分離可能なカートリッジを収納するように構成され、前記カートリッジは、サンプルを収納するためのチャンバを提供する。カートリッジが機器内に挿入される時、集束音響エネルギーにより、カートリッジのチャンバ内のサンプルに前処理および溶解を適用することができるように、機器が設計される。
【0101】
それにより、カートリッジは、他の例示的な実施形態において提供され、サンプルを処理するためにソースにより生成された集束音響エネルギーをサンプルに照射するための機器のためのカートリッジが、サンプルを収納するためのチャンバを含む。カートリッジは機器内に挿入されるように、また機器から分離可能に構成される。前記カートリッジが機器内に挿入されたとき、集束音響エネルギーによりチャンバ内のサンプルに対して前処理および溶解を適用することができるように、カートリッジが設計される。
【0102】
また、本発明のこのような側面の例示的な実施形態は、好ましくはそのような装置により、例えば、1つの単一ソースに起因するHiFuのような集束音響エネルギーにより、1つの単一チャンバ内のサンプルを前処理および溶解するための対応方法、そして、前記装置が前処理および溶解するための装置を制御するために用いられるとき、その装置がこのような対応方法のステップを実施するように構成されることを特徴とする、コンピュータプログラム要素に関するものである。
【0103】
これらの例示的な実施形態は、例えば、単一フォーカスのHiFuを用いることにより、単一チャンバ内で前処理および溶解を組み合わせることができるが、マルチフォーカスのHiFuも用いることができる。しかし、インキュベーションとの任意の組み合わせも可能である。
【0104】
言い換えれば、装置、対応する機器およびカートリッジ、対応する方法およびコンピュータプログラム要素によって、サンプルの前処理を行うための受動的なステップを回避することができる。使用上の容易性を高めるために、また、外部との流体的インタペーシングおよび汚染のリスクを減らすために、前処理がカートリッジに統合される。さらに、前処理および溶解機能が1つの単一チャンバ内に統合され、そのような単一チャンバは、処理および溶解を共に実施するための手続きおよび装置の複雑さ、費用および大きさを低減するためにHiFuに晒されることができ、および/または加熱および/または冷却することができる。有利に、前処理および溶解機能は、その機能の間でサンプルをチャンバから除去しなくても処理され、および/または、有利に完全自動化された方式で処理され、および/または、有利に順次もしくは同時に処理される。
【0105】
このような本発明の第2の側面は、前処理および/または溶解を必要とするすべての用途で用いることができる。用途は、健康、生命科学、食品産業および獣医学業務に制限されないものである。これは、発明のすべての実施形態と関連される。
【0106】
特に、難しい微生物の溶解のために、熱的な溶解を適用する従来技術は、幾つかの不十分な点を有する。これとは対照的に、本発明のこのような側面は、これらの問題の解決のために集束音響エネルギー、特にHiFuを用いる。そのような完全に統合された管内の準備および探知機器により、特に核酸(NA)、タンパク質または細胞の探知のために、サンプルイン・リザルトアウトのためのシステムが提供される。また、核酸分析、タンパク質分析および細胞分析が、いわゆるマイクロトータル・アナリシス・システムと指称される。
【0107】
さらに、現在の溶解方法は、研磨またはビーズ叩解を含むが、本発明では、そのような研磨およびビーズ叩解を回避することができる。
【0108】
一般的に、核酸サンプルの準備プロトコルは、細胞またはタンパク質の準備プロトコルよりもさらに複雑である。たとえ、本発明のこのような側面が、核酸サンプルの準備の主要部分に対するものでもあり得るが、そのようなものに制限されるものではない。
【0109】
このため、必要な前処理において、これらの偏差を収容するための高い可撓性を有する単一の溶液が必要とされる。本発明のこのような側面は、前処理および溶解プロトコルにおいて、高度の可撓性を含むこれらの要求を満足させる。
【0110】
本発明の他の側面の好ましい実施形態が、このような側面に対する好適で且つ開示された実施形態として見なされるべきであり、その反対もまた同様であることに留意しなければならない。
【0111】
本発明の他の例示的な実施形態によれば、装置が、2つ以上の互いに異なるフォーカシング領域をサンプルにおいて生成する方式で、装置が構成される。
【0112】
本発明のこの例示的な実施形態が、完全な乾式カップリングの特徴部を提供する必要なく、適用されたり、或いは実施されることができる。言い換えれば、装置によるマルチフォーカス性の生成がまた、ノンソリッドカップリング材料と組み合わせられて用いられる。
【0113】
したがって、本発明の第3の側面は、サンプルにおける2つの互いに異なるフォーカシング領域の生成に関するものである。本発明のこのような第3側面の例示的な実施形態において、サンプルを処理するために、集束音響エネルギーをサンプルに照射するための装置が提供され、そのような装置は、機器、カートリッジおよび音響エネルギーの生成のためのソースを含む。カートリッジは、サンプルを収納するためのチャンバを具備する。機器およびカートリッジは、カートリッジを機器内に挿入することができるように構成される。カートリッジおよび機器は、分離可能である。そのような装置は、サンプルにおいて2つ以上の互いに異なる音響エネルギーのフォーカシングされた領域を生成するように設計される。
【0114】
また、本発明の第3の側面の例示的な実施形態は、サンプルを処理するために、集束音響エネルギーをサンプルに照射するための対応する機器に関するものであり、そのような機器は、音響エネルギーを生成するためのソースを含む。機器から分離可能であり、またサンプルを収納するためのチャンバを提供するカートリッジを収納するように、機器が構成される。機器は、カートリッジが機器内に挿入された時、サンプルにおいて2つ以上の互いに異なる音響エネルギーのフォーカシングされた領域を生成するように設計される。
【0115】
したがって、カートリッジは、他の例示的な実施形態において提供され、サンプルを処理するためにソースにより生成された集束音響エネルギーをサンプルに照射するための機器のためのカートリッジが、サンプルを収納するためのチャンバを含む。カートリッジは、機器内に挿入されるように、また機器から分離されるように構成される。前記カートリッジが機器内に挿入された時、集束音響エネルギーの2つ以上の互いに異なるフォーカシング領域をサンプルにおいて生成できるように、カートリッジが設計される。
【0116】
また、装置により、またサンプルに対するマルチフォーカス性を生成する装置を制御するための対応するコンピュータプログラム要素により、サンプルに対する2つ以上の互いに異なるフォーカシング領域を生成するための対応する方法もまた、このような実施形態に含まれるのは明白である。それにより、サンプルにマルチフォーカス性を生成するための装置で用いられるとき、そのような装置が対応する方法のステップを行うことができるように、コンピュータプログラム要素が構成されることを特徴とする。
【0117】
言い換えれば、互いに異なるフォーカス条件を提供するための2つ以上の互いに異なる焦点域を用いる処理プロトコルが提供される。例えば、混合のためのフォーカシング条件の場合、集束音響エネルギーによる液体の循環が、例えば、微生物に対する溶解を行うための要件とは相違することとなる。本発明のこのような実施形態は、これらの要件を満足させる。
【0118】
サンプルにおいて2つ以上の互いに異なるフォーカシング領域を提供することで、装置は、魅力的な単純で且つ低価の分子診断テストを提供することができる。また、圧電アレイの複雑な配列、複雑なシステムおよび/またはドライバが、本発明のこの例示的な実施形態により排除することができる。また、幾つかの互いに異なる機能性(例えば、混合、循環、および溶解など)が、2つの互いに異なるフォーカシング領域によって処理される1つのチャンバ内に統合されることにより、分子診断装置の小型化が可能となる。
【0119】
言い換えれば、分子診断装置は、サンプルに対して互いに異なるフォーカシング領域を適用するためのマルチフォーカス性のHiFu分子診断装置である。これは、互いに異なる処理機能性を生成および組み合わせるために用いることができる。例えば、ポイントと類似に集束HiFuは、溶解を実施するのに最適であり、また、区域と類似に集束HiFuが、混合および/または循環に対するのに最適である。それにより、ポイントの類似は比較的小さなフォーカシング領域を意味し、また区域類似のフォーカスは、比較的大きなフォーカシング領域を意味する。さらに、互いに異なるフォーカシング領域は、形状および大きさが異なっていてもよい。これらの互いに異なるフォーカシング要件は、本発明のこの例示的な実施形態により満たされることができる。
【0120】
また、HiFuによる溶解は、高い音圧を必要とする。高い圧力は、生成された音響エネルギーの第1の高集束部分により、本発明のこの例示的な実施形態によれば達成される良好な品質のフォーカシングによって得られる。対照的に、綿棒から粒子または細胞を分離するために、例えば綿棒、ブラシのようなキャリアから排泄物(feces)を分離してホモジナイゼーションするために、チャンバに付加された試薬を有するチャンバ内に存在する液体をホモジナイゼーションするため、カートリッジの1つの単一チャンバで混合および循環が求められることがある。それにより、生成された音響エネルギーの第2の部分が、サンプルにおいて比較的大きな、区域と類似の第2のフォーカシング領域にフォーカシングされる。したがって、2つの互いに異なる処理機能性が同時に、1つの単一チャンバ内で、またユーザの如何なる受動介入もなくサンプルに対して適用されることができる。
【0121】
本発明の他の例示的な実施形態によれば、複数のソース、単一ソースとハイブリッドレンズ、互いに異なる粗さの区域を有する1つの単一ソース、およびソースの互いに異なる位置で、互いに別々で励起される1つの単一ソース、並びにこれらの任意の組み合わせを含む群より選択される要素によって、2つ以上の互いに異なるフォーカシング領域が生成される。そのような要素は、カートリッジ外部の要素として、またはカートリッジに属した要素として、もしくはカートリッジに統合された要素として具現することができる。
【0122】
複数のソースは、2つ以上の単一ソースおよびソースのアレイを含み、そのようなソースのアレイは、すべてのソースの重ね合わせフィールドが2つ以上のフォーカシング領域を有する全体フィールドを提供するようにする方式で、電子的に制御される。また、ハイブリッドレンズは、中等度のフォーカシング材料および高いフォーカシング材料からなることができる。このような材料は、マルチフォーカス性を提供するレンズの別の部分に位置することができる。例えば、凹形状のハイブリッドレンズが、トランスデューサのような偏平な表面に付着することができる。しかし、また中等度のフォーカシング材料および高いフォーカシング材料で製造された曲線状のハイブリッドレンズを具備した曲線型トランスデューサも可能である。これらの2つの互いに異なる材料の最適化された分布を見出すために、多様な構成に対して音響モデリングを行うことができる。例えば、レンズがポリプロピレンで製造することができる。また、レンズの半径は、装置の適用により変化されることがある。サンプルが位置する収納位置においてマルチフォーカス性を生成するために、ソースはまた多様な粗さの区域を具備することができ、これは、ソースの表面が多様な表面粗さ値を有することができることを意味する。
【0123】
多くの放出区域、より具体的に、これらの区域のそれぞれの表面が、多様な粗さ特性を有することができる。これらの多くの粗さ特性は、区域の多様な音響照射特性を提供し、これは、2つ以上の互いに異なるフォーカシング区域を誘導する。それにより、ソースまたはトランスデューサ自体が、これらの区域を有することができる。しかし、またさらなる要素がトランスデューサの上部に付加されていてもよく、そのような要素は、このような多様な表面粗さの特性に従う。言い換えれば、このような可能性の要旨は、トランスデューサの表面が滑らかで粗い領域にセグメント化され、そのような滑らかで粗い領域はそれぞれ、高いまた中等度の集束音響エネルギー、特に、HiFuをサンプルに伝達する。
【0124】
本発明の他の側面の好ましい実施形態は、このような側面に対する好適で且つ開示された実施形態として見なされるべきであり、その反対もまた同様であることに留意しなければならない。
【0125】
本発明の他の例示的な実施形態によれば、集束音響エネルギーが、サンプルの粘度を減少するために用いられる。
【0126】
本発明のこのような実施形態が、必ずしもすべての乾燥カップリングの特徴部を含む必要がないことに、明確に留意しなければならない。特に、フルソリッドカプラまたは完全な乾式伝播経路が、必須のものではない。
【0127】
したがって、本発明の第4の側面は、サンプルの粘性を低くするために、集束エネルギーを用いることに関するものである。本発明のこのような第4の側面の例示的な実施形態において、集束音響エネルギーをサンプルに照射してサンプルを処理するために装置が提供され、そのような装置は、機器、カートリッジ、および音響エネルギーの生成のためのソースを含む。カートリッジは、サンプルを収納するためのチャンバを具備する。機器およびカートリッジは、カートリッジを機器内に挿入することができるように構成される。カートリッジおよび機器は、分離可能である。装置は、サンプルの粘度を低くするために集束音響エネルギーを用いるように設計される。
【0128】
さらに、本発明の第4の側面の例示的な実施形態は、集束音響エネルギーをサンプルに照射してサンプルを処理するための対応する機器に関するものであり、そのような機器は、音響エネルギーを生成するためのソースを含む。機器は、カートリッジを収納するように構成され、そのようなカートリッジは、機器から分離可能であり、また、サンプルを収納するためのチャンバを形成する。カートリッジが機器内に挿入されたとき、サンプルの粘度を低くするために集束音響エネルギーを用いるように、機器が設計される。
【0129】
したがって、カートリッジが、他の例示的な実施形態において提供され、サンプルを処理するために、ソースにより生成された集束音響エネルギーをサンプルに照射するための機器のためのカートリッジが、サンプルを収納するためのチャンバを含む。カートリッジは、機器内に挿入されるように構成され、また機器から分離可能である。カートリッジが機器内に挿入されたとき、サンプルに印加される集束音響エネルギーによりサンプルの粘度を低くすることができるように設計される。
【0130】
また、例示的な実施形態は、好ましくは上記装置によって、サンプルの粘度を低くするための対応する方法、さらに対応するコンピュータプログラム要素を含む。それにより、コンピュータプログラム要素は、集束音響エネルギーをサンプルに照射してサンプルの粘度を低くするための装置を用いるとき、そのような装置が対応する方法のステップを行うことができるように構成されたことを特徴とする。
【0131】
例えば、BAL、唾液、血液、排泄物または綿棒上に存在するすべてのその他のサンプルのようなサンプルの粘度を低くするために、本発明のこのような実施形態は、粘度減少のために集束音響エネルギー、例えば、HiFuを用いることを提案する。このような方法は、完全なサンプルイン・リザルトアウトの解決方案で実行することができ、そのような解決方案において、サンプルの後続する前処理および溶解がカートリッジの1つのチャンバ内で行うことができる。それにより、唯一の単一ソースによって、粘度減少の完全なプロセス、さらなる前処理および溶解を行うことができる。
【0132】
例えば、以下の特徴を有するソースが、サンプルの粘度減少のために用いられる。3.0MHzトランスデューサは、直径が25mmであり、焦点距離が22mmである。また、カートリッジの底は、トランスデューサから15mmの距離でセッティングすることができる。例示的な5Wの電力が、約300秒間サンプルに印加されることができる。そのようなHiFuの印加により、そのようなHiFuへの露出後に、サンプルはより均質になり、また、粘度が本来の粘度から、例えば水の粘度と類似した粘度まで低くなることができる。それにより、HiFuの力が、分子の分子量を減少することができ、結果的に粘度を低くする能力と、さらに、プロセスチャンバ内においてサンプルを循環および混合することができる能力とを組み合わせると結論することができる。
【0133】
装置内のサブミリメートルの体積の範囲で循環および/または混合を必要とする任意の用途のために、本発明のこの例示的な実施形態を用いることができるのは明らかである。また、そのような用途は、生命科学、ラブオンチップ、およびmTAS用途に含まれ得る。
【0134】
本発明の他の側面の好ましい実施形態が、このような側面に対する好適で且つ開示された実施形態として見なされるべきであり、その反対もまた同様であることに留意しなければならない。
【0135】
本発明の他の例示的な実施形態によれば、さらに、サンプルに対する測定を行うための探知ユニットが含まれる。それにより、集束音響エネルギーを用いたサンプルの照射が、サンプルの処理を誘導する。
【0136】
言い換えれば、このような本発明の例示的な実施形態は、完全なサンプルイン・リザルトアウトシステムを提供し、ここでユーザが、受動的なステップを実施する必要はない。サンプルが装置内に挿入され、また、集束音響エネルギーにより、サンプルが所望の方式によって処理される。後続または先行する測定が、探知ユニットにより、サンプルに対して適用することができる。それにより、装置は測定の結果を、例えば、ユーザに対するユーザインターフェースに伝達することができる。例えば、液化、撹拌、混合、循環、前処理、インキュベーションおよび溶解のような機能性が、集束音響エネルギーにより探知ユニットの任意の測定の前に、またはその後に行われる。それにより、完全に自動化されたシステムがユーザに提供される。
【0137】
本発明のこの例示的な実施形態が、すべての乾式カップリングの特徴を必ずしも含む必要がないことに留意しなければならない。特に、フルソリッド乾式カプラまたは完全な乾式伝播経路が、必須のものではない。
【0138】
したがって、本発明の第5の側面は、サンプルを測定するための探知ユニットに関するものである。本発明のこのような第5実施形態の例示的な実施形態において、サンプルを処理するために、集束音響エネルギーをサンプルに照射するための装置が提供され、そのような装置は、機器、カートリッジおよび音響エネルギーの生成のためのソースを含む。カートリッジは、サンプルを収納するためのチャンバを具備する。機器およびカートリッジは、カートリッジを機器に挿入するように構成される。カートリッジおよび機器は、分離可能である。装置は、サンプルに対する測定を適用するための探知ユニットを含む。
【0139】
また、本発明のこの例示的な実施形態は、サンプルを処理するために、集束音響エネルギーをサンプルに照射するための対応する機器に関するものであり、そのような機器は、音響エネルギーを生成するためのソースを含む。そのような機器は、機器から分離可能であり、またサンプルを収納するためのチャンバを形成するカートリッジを収納するように構成される。機器は、カートリッジが機器内に挿入されたとき、サンプルに対する測定を実施するための探知ユニットを含む。
【0140】
したがって、カートリッジは、他の例示的な実施形態において請求され、サンプルを処理するために、ソースにより生成された集束音響エネルギーをサンプルに照射するための機器のためのカートリッジが、サンプルを収納するためのチャンバを含む。そのようなカートリッジは、機器内に挿入されることができ、また機器から分離することができるように構成される。カートリッジが機器内に挿入されたとき、探知ユニットがサンプルに対する測定を適用するように、カートリッジが設計される。
【0141】
また、このような例示的な実施形態が、その装置によってサンプルに対する測定を適用するための対応する方法および対応するコンピュータプログラム要素を含むことに留意しなければならない。それにより、コンピュータプログラム要素は、サンプルイン・リザルトアウトシステムで用いるとき、そのような装置が対応する方法のステップを行うことができるように構成されたことを特徴とする。
【0142】
これは、例えば、HiFuによるサンプルの管内処理を、さらに、同時に完全なサンプルイン・リザルトアウトシステムを誘導する管内探知を、可能とする。
【0143】
実施形態に係る装置であって、核酸を抽出、精製、増幅および探知することができる分子装置の場合、核酸の抽出および/または精製が、ソリッド表面上の吸収および/または脱離に基づいていると説明することができる。十分なキャプチャー面積を提供するすべての表面は、本発明の実施形態の一部として見なされなければならない。共通表面キャプチャーの実施形態は、(例えば、磁石)粒子およびメンブレンである。増殖目的のための十分な量の核酸を伝達可能ないずれのキャプチャー材料も、本発明の実施形態の一部として見なされなければならない。広く用いられる材料は、例えば、シリカ、磁化シリカ、鉄酸化物、アミノ基機能化ポリスチレンである。また、その他の材料も可能である。
【0144】
選択の探知ユニットおよびそれによる探知方法は、例えば、核酸、タンパク質または細胞探知のような適用分野に依存する。
【0145】
核酸増幅および探知に対して、例えば、多数の等温的で且つ熱的なサイクリング増幅方法が説明される。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)がもっとも多く用いられる方法の1つである。本発明のこの例示的な実施形態に係るサンプルイン・リザルトアウトシステムは、サンプルがまたHiFuによって処理されるチャンバ内で、PCR機能性を行う。
【0146】
PCRは、終了点およびリアルタイムPCR(rtPCR)と称される、2つの下位カテゴリーにさらに分割される。これらのうちで、rtPCRがもっとも広く用いられる(rtPCR増幅は、探知と並列的に行われる)。核酸の探知のために、例えば、蛍光マーカーのような探知可能なマーカーを用いるが、そのようなマーカーは、PCR中に増幅された核酸内に統合される。他の探知可能なラベル、または、ひいてはラベルフリー方法も用いることができる。
【0147】
タンパク質探知の場合、抗体キャプチャー、および蛍光のような光学的読み出し、または磁気読み出しとの組み合わせのような一般の接近方式を用いることができる。
【0148】
細胞探知の場合に、光学的方法が算出、細胞形状などの分析のために広く利用されるが、(ジ)電気泳動および電気的性質がまた、細胞探知/特徴化のために用いることができる。
【0149】
本発明のこのような実施形態の前述したすべての探知可能性は、本発明のこのような実施形態で用いられる探知ユニットに対応する。それにより、具現されたサンプルイン・リザルトアウトシステムは、これらの探知または測定特徴がいずれも組み込まれている。
【0150】
本発明の他の例示的な実施形態によれば、探知ユニットは、光学的測定、磁気測定、熱的測定、電気的測定、化学的測定、音波測定、およびこれらの任意の組み合わせを含む群より選択されたサンプルに対する1つ以上の測定を適用するためのものである。
【0151】
そのような装置は、抽出ユニットと、核酸増幅ユニットと、試薬貯蔵ユニットと、探知ユニットと、サンプルに対する測定を適用するための探知ユニットのうちのいずれか1つ以上をさらに含み、前記探知ユニットは、光学的測定、磁気測定、熱的測定、電気的測定、化学的測定、音波測定、およびこれらの任意の組み合わせを含む群より選択されたサンプルに対する1つ以上の測定を適用するためのものである。このような実施形態により、装置は、例えば、抽出ユニットと、抽出ユニットおよび核酸増幅ユニットと、抽出ユニット、核酸増幅ユニットおよび探知ユニット、を含むことができる。これらのオプションのそれぞれにおいて、試薬貯蔵ユニットが、前の文章で挙げられたそれぞれのオプションの要素に追加で存在することができる。抽出ユニットは、装置によって処理されるサンプルから核酸が得られるようにする。核酸増幅ユニットは、サンプルから得られた核酸が、(例えば、PCRを用いて)増幅することができるようにする。試薬貯蔵ユニットは、例えば、抽出および/または増幅に必要な試薬を含む。
【0152】
測定可能性に対する広範囲なスペクトラムを提供するために、様々なタイプのセンサーおよび探知機が装置内に取り付けられる。さらに、サンプルを作動或いは処理するための現在の超音波手段を、可能性と組み合わせて音波測定を行うこともまた好ましいことである。また、探知ユニットが、カートリッジの一部になってもよい。言い換えれば、光学的読み出し、またその他の探知ラベル、例えば、磁気的、電気的、電磁気的、特に無線周波数適用技術、さらにラベルフリー方法も可能である。
【0153】
本発明の他の例示的な実施形態によれば、装置は、さらに、処理プロトコル、データプロセッサ、ディスプレイおよびユーザインターフェースを調整するためのプロセスを含む。
【0154】
本発明の他の側面の好ましい実施形態が、このような側面に対する好適で且つ開示された実施形態として見なされるべきであり、その反対もまた同様であることに留意しなければならない。
【0155】
本発明の他の例示的な実施形態によれば、フルソリッドカプラは、ポリマー系の材料で製造され、さらに、ポリマー系の材料は、以下を含む群より選択されたガラス転移温度Tgを有する:Tg≧−30℃;Tg≧−10℃、Tg≧−5℃;Tg≧20℃;Tg≧40℃;Tg≧60℃;Tg≧80℃;Tg≧100℃;Tg≧120℃;Tg≧130℃;Tg≧140℃;Tg≧150℃;および、Tg≧160℃。
【0156】
フルソリッドカプラの材料のガラス転移温度との連関性は、HiFuの強度が大きいほどより重要になる。低強度の場合、例えば、トランスデューサの入力電力(P)が3Wattよりも小さいときは、ガラス転移温度の値は連関されない。このようなことが、図22に示されている。中等度の強度、すなわち、Pが、例えば3乃至6Wattであるとき、前述したように、そして後述するように、自己強化減衰が、十分に高いガラス転移温度Tgを有するポリマーに求められる、より重要な役目をするようになる。例えば、6Wattより高強度で、ガラス転移温度Tg値に基づいたポリマーの選択に対する連関性が、より重要となる。
【0157】
常温での大きな強度のHiFuを適用する時、ガラス転移温度Tgが、常温よりも高い(約50℃)必要がある。
【0158】
ガラス転移温度Tgが比較的高い材料は、ガラス転移温度Tgが低い材料とは対照的に、装置の作動中に、それによって音響エネルギーを伝達する間にそれらの低い減衰特性を維持するということが分かった。それにより、このような低い減衰−高いガラス転移温度Tgの材料をフルソリッドカプラとして適用することは、例えば、サンプルの処理、例えば、細胞の溶解に係る非常に効果的な超音波強度の伝達を可能とする。特に、HiFu適用の場合、前述したように、これは、本発明によって実現される好ましい効果となる。言い換えれば、このような材料を用いることで、ソースに提供された減少された電力が、フォーカシング領域における特定のHiFu電力を実現することができる。それにより、処理および/または前処理機能性が、減少された電力値によっても具現することができる。これは、エネルギーおよび費用の節減を可能とする。言い換えれば、本発明によって、カップリング材料の自己強化減衰の効果を排除することができる。それにより、伝播経路のメートル当たりの減衰が、減少され得る。
【0159】
本発明のこの例示的な実施形態をよりうまく理解することができるように、物理的なプロセスに関する以下の説明が参照される。
【0160】
減衰の本質的な性質により、カプラ材料温度が増加し始めることができる。また、音響エネルギーの減衰もまた同時に増大される。本発明のこの例示的な実施形態により、例えば、MHz範囲でのHiFu作業中に温度が高くなり始める時でも、比較的に低い減衰を維持することができる利点を有する材料が提供される。
【0161】
例えば、そのような材料は、ガラス転移温度Tgが約18℃であるポリプロピレン、ガラス転移温度Tgが約60℃であるエポキシ、さらに、ガラス転移温度Tgが約60℃、約100℃および約125℃であるシリコンであり得る。
【0162】
十分に高いガラス転移温度Tgが、テストの開始での減衰、超音波強度、セットアップの熱伝導度(生成された熱の運搬)、および露出時間に連関されることに留意しなければならない。
【0163】
言い換えれば、特定のガラス転移温度Tg値を有するポリマーの選択は、フルソリッドカプラとしてのポリマーを通じたHiFu伝達の開始時の、そして、それによる吸収または熱発生が開始する前のポリマーの減衰値のような幾つかのパラメータに依存する。また、印加されたソースの電力もしくは強度は、ポリマーの選択を決定する。さらに、カプラ周囲の熱伝導度は、十分に高いガラス転移温度Tg値を有するポリマーの選択に影響を及ぼすパラメータとなる。HiFuが平衡に到逹するほどに十分長く露出されると、カプラ周囲のシステムの高い熱伝導度は、遅い温度の上昇をもたらし、また低い最大温度をもたらす。
【0164】
これは特に、比較的に高い強度の超音波を適用する場合に連関する。例えば、サンプル内においてHiFuエネルギーで溶解を行う時、必要な電力は、相対的に高い。それにより、HiFuを用いた溶解方法の場合に、このような例示的な実施形態が非常に有利である。
【0165】
言い換えれば、ソースとカートリッジである対象との間の伝播中に存在するフルソリッドカプラは、減少された音響エネルギーの減衰を有する。また、物質インターフェースを通過するときに、反射損失を最小化するために、音響エネルギーを伝達する物質のチューニングされた或いはマッチングされたインピーダンスを用いることができる。
【0166】
それにより、装置は、以下のような可能な利点を有する完全な乾式カップリングを形成する。すなわち、熟練していないオペレータによって他の適用の実施ができるという結果であって、オペレータに対する使用容易性および往復時間の減少である。
【0167】
ポリマーは、カプラとして用いられる材料の特に好ましい種類であるが、これは、利用可能な材料の豊かな多様性、形状および寸法に係る設計自由度、容易な複製並びにそれによる安い費用のためである。これに関することが、図21乃至23により具体的に示されている。
【0168】
本発明の他の例示的な実施形態によれば、ポリマー系の材料は、以下の群より選択された硬化温度Tcにて硬化される:Tc≧20℃;Tc≧40℃;Tc≧60℃;Tc≧70℃;Tc≧80℃;Tc≧90℃;Tc≧100℃;Tc≧110℃;Tc≧120℃;Tc≧130℃;Tc≧140℃;Tc≧150℃;Tc≧160℃;Tc≧170℃;および、Tc≧180℃。
【0169】
フルソリッドカプラの減衰は、ポリマー製造中にポリマー系の材料の硬化温度が高くなった時、その他の事情の変化がなければ、さらに減少するようになる。また、これは、図21乃至図23に具体的に示されている。
【0170】
硬化プロセスステップを含むポリマーの製造中に、硬化プロセスステップ中の硬化温度が、構築されたポリマー材料のガラス転移温度を少なくとも部分的に決定するということが分かった。前述したように、十分に高いガラス転移温度Tg値は、HiFu分子装置での適用に関する特定の利点を有する。それにより、硬化温度を特定値に規定することで、ガラス転移温度Tg値が、ポリマーにおいて実現され得る。そのようなプロセス段階は、本発明の他の例示的な実施形態に係る方法の一部となることができる。
【0171】
本発明の他の例示的な実施形態によれば、サンプルを処理するために、集束音響エネルギーをサンプルに照射する方法が提供される。この方法は、機器を提供するステップと、カートリッジを提供するステップと、フルソリッドカプラを提供するステップと、音響エネルギーを生成するためにソースを提供するステップと、カートリッジを機器内に挿入するステップとを含む。また、カートリッジは、サンプルを収納するためのチャンバを具備し、カートリッジを機器内に挿入することにより、ソースとカートリッジとの間に音響エネルギーの完全な乾式カップリングが提供される。カートリッジおよび機器は、分離可能である。
【0172】
本発明の他の実施形態によれば、サンプルを処理するために、集束音響エネルギーをサンプルに照射するための機器が提供される。機器は、音響エネルギーの生成のためのソースと、フルソリッドカプラとを含み、前記機器は、サンプルを含むカートリッジを収納するように構成され、前記カートリッジが機器内に挿入された時、前記フルソリッドカプラは、ソースとカートリッジとの間で音響エネルギーに対する完全な乾式カップリングを形成する。
【0173】
前記カートリッジおよび機器は、分離が可能であり、また、前記機器およびカートリッジは、前述した実施形態のうちのいずれか1つによる装置を形成する。
【0174】
例えば、1つの単一チャンバ内での混合および/または溶解のような機能性または方法を用いてサンプルを処理するために、本発明のこのような実施形態が、HiFu音響エネルギーとともに用いることができる。また、機器は、光学的、電気的、磁気的および/または機械的測定のための探知機、および励起ソースを含むことができる。さらに、レンズが機器に含まれていてもよい。
【0175】
言い換えれば、乾式カップリングが、機器の一部であるフルソリッドカプラによって具現することができる。カートリッジの存在に先立って、ソースからフルソリッドカプラを通じた完全な乾式伝播経路が具現される。カートリッジを機器内に挿入することにより、ソースとサンプルとの間の全体的な乾式伝播経路が完成され、また音響エネルギーが、サンプルの処理のためにサンプルに伝達され得る。
【0176】
本発明の他の実施形態によれば、サンプルを処理するために、集束音響エネルギーをサンプルに照射するための機器のためのカートリッジが提供され、そのようなカートリッジは、サンプルを収納するためのチャンバと、フルソリッドカプラとを含み、前記カートリッジは、機器内に挿入されるように構成される。また、カートリッジが機器内に挿入された時、フルソリッドカプラは、ソースとカートリッジとの間で音響エネルギーの完全な乾式カップリングを形成し、前記カートリッジおよび機器は、分離可能であり、また前記機器およびカートリッジは、前述した実施形態のうちのいずれかによる装置を形成する。
【0177】
フルソリッドカプラは、カートリッジに永久的に固定することができる。しかし、他の方式も可能である。ソースが、例えば、機器の一部であってもよい。カートリッジを機器内に挿入することにより、カートリッジとサンプルの間の完全なソリッド伝播経路が形成される。
【0178】
また、ソースがカートリッジに含まれていてもよい。それにより、カートリッジを機器内に挿入することで、機器からの電気的リードがソースと接触して、電気的エネルギーをソースに提供することができる。
【0179】
2つの前述した実施形態の場合、フルソリッドカプラが、全体の伝播経路を単独で形成する必要がないように、また他の付加的な乾式カップリング要素が提供され得るように、フルソリッドカプラが機器またはカートリッジに整列されることに、明確に留意しなければならない。それにもかかわらず、必要な場合に、本発明の例示的な実施形態が、このようなことを具現することができる。
【0180】
コンピュータユニットが機器の一部になり得ることに、さらに注意しなければならない。これは、機器と通信する独立的なユニットであってもよく、またはコンピュータ作業が、コンピュータユニットと機器とにわたって分配されることもできる。
【0181】
本発明の例示的な実施形態として、前述したすべてのコンピュータプログラム要素がコンピュータユニットに貯蔵することができるということに、また留意しなければならず、このようなこともまた、本発明の実施形態の一部となる。このようなコンピュータユニットは、前述した方法のステップを行うように、またはそのような実施を誘導するように構成することができる。また、それは、前述した装置の要素を作動させるように構成することができる。コンピュータユニットは、自動的に作動するように、および/またはユーザの命令を実行するように構成することができる。また、コンピュータユニットは、ユーザからの入力を処理するように、ユーザからの選択を要請することができる。
【0182】
コンピュータプログラム要素に係る実施形態は、開始してからすぐにコンピュータプログラム要素を用いるコンピュータプログラムと、更新することで現在のプログラムを本発明を用いるプログラムに切り換えるコンピュータプログラムと、両方ともカバーする。
【0183】
本発明のさらなる実施形態によれば、コンピュータ読み取り型媒体が提供され、前記コンピュータ読み取り型媒体は、そのような媒体に保存されたコンピュータプログラム要素を含み、前記コンピュータプログラム要素は、前述したような、または以下のセクションによって説明される。
【0184】
本発明の要旨として、機器から分離可能な消耗性カートリッジは、カートリッジが機器内に挿入された時、集束音響エネルギーのための完全な乾式カップリング伝播経路を生成する。それにより、乾式カップリングは、音響エネルギーを生成するソースからサンプルまで到達される。
【0185】
本発明の一部の実施形態が、異なるサブジェクトマターを参照して説明されたことに留意しなければならない。特に、一部の実施形態は、方法の請求項を参照して説明された一方、他の実施形態は、装置の請求項を参照して説明された。しかし、いわゆる当業者であれば、上述した説明および以下の説明から、特に記載がない限り、一タイプの請求の対象に属する特徴または任意の組み合わせに加えて、他の請求の対象に関する特徴の間の任意の組み合わせも、本願の範囲に含められるということが理解できるはずである。
【0186】
本発明の前述した側面およびさらなる側面、特徴および利点が、以下において説明する実施形態の例から得られることがあり、また、実施形態の例を参照して説明される。以下では、実施形態の例を参照して本発明をより具体的に説明するが、本発明は、実施例に制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0187】
【図1】本発明の例示的な実施形態によるサンプルを処理するために集束音響エネルギーをサンプルに照射する装置を示す概略図
【図2】本発明の例示的な実施形態に係る音響窓を有するカートリッジの概略図
【図3】本発明の例示的な実施形態に係るカートリッジの概略図
【図4】本発明の例示的な実施形態に係る装置のソースの概略図
【図5】本発明の例示的な実施形態に係る装置のソースの概略図
【図6】本発明の例示的な実施形態に係る装置のソースの概略図
【図7】本発明の例示的な実施形態に係る装置のソースの概略図
【図8】本発明の例示的な実施形態に係る装置のソースの概略図
【図9】本発明の例示的な実施形態に係る機器の幾つの構成要素の概略図
【図10】本発明の例示的な実施形態に係る装置の可能な構成に対する例示的な概観図
【図11】本発明の例示的な実施形態に係る装置の可能な構成に対する例示的な概観図
【図12】本発明の例示的な実施形態に係る装置の可能な構成に対する例示的な概観図
【図13】本発明の例示的な実施形態に係る装置の可能な構成に対する例示的な概観図
【図14】本発明の例示的な実施形態に係る装置の可能な構成に対する例示的な概観図
【図15】本発明の例示的な実施形態に係る装置で用いられる電子構成要素の概略図
【図16】本発明の例示的な実施形態に係る装置によって処理される処理プロトコルを示す図
【図17】本発明の例示的な実施形態によるサンプルに対する多中集束性を生成する装置を示す概略図
【図18】本発明の例示的な実施形態によるサンプルに対する多中集束性を生成する装置を示す概略図
【図19】本発明の例示的な実施形態によるサンプルに対する多中集束性を生成する装置を示す概略図
【図20】本発明の例示的な実施形態に係る方法を示したフローチャート
【図21】本発明の例示的な実施形態によるサンプルを処理するために集束音響エネルギーをサンプルに照射するための装置の概略図
【図22】本発明の例示的な実施形態によるサンプルを処理するために集束音響エネルギーをサンプルに照射する装置から得られる結果を示す図
【図23】本発明の例示的な実施形態によるサンプルを処理するために集束音響エネルギーをサンプルに照射する装置から得られる結果を示す図
【発明を実施するための形態】
【0188】
図面において類似するか或いは関連のある構成要素に対しては、同一の図面符号を付与した。図面は概略的なものであり、また実寸大のままに示されたのものではない。
【0189】
図1は、本発明の例示的な実施形態によるサンプルを処理するために集束音響エネルギーでサンプル101を照射する装置100を示している。そのような装置が、音響エネルギーの生成のための機器102、カートリッジ103、およびソース105(点線のみで図示する)からなる幾つの構成要素を具備することが明らかに確認される。また、ソース105から始まってサンプル101で終わる音響エネルギーの伝播経路106(一点鎖線)が、概略に示されている。それにより、カートリッジが、サンプル101を収納するためのチャンバ110を具備する。示された機器102の内部において、非流体物質のない伝播経路を生成するために、フルソリッドカプラ(図示省略)104が形成される。それにより、ソース105およびフルソリッドカプラ104が機器102の内部に位置され、そのため、直接的には見えない。また、カートリッジを機器内に挿入するために機器102およびカートリッジ103が構成され、この時、カートリッジおよび機器は、分離可能である。ソース、レンズ、フルソリッドカプラおよび音響窓のように隠蔽された構成要素は、図9の分解図および図2からそれぞれ、確認することができる。
【0190】
さらに、集束音響エネルギーにより可能となる処理の後或いはその前に、サンプルに対する測定を行うための探知ユニット111、例えばセンサーが、カートリッジの内部に示されている。また、処理プロトコルを調整するためのプロセッサ112が示されており、そのようなプロセッサは、探知ユニット111と連結されて、またディスプレイ114およびデータプロセッサ113に連結される。処理プロトコルを調整するためのプロセッサ112が装置100に連結され、また、さらに探知ユニット111に連結される。それにより、プロセッサ112は、このような完全なサンプルイン・リザルトアウトシステムを制御することができ、そのようなシステムでは、特にHiFuにより集束音響エネルギーによる完全自動化方式のサンプル処理が、分析および測定、例えば、光学的測定、磁気測定、熱測定、電気測定、化学的測定、音波測定、およびこれらの任意の組み合わせと結合されることができる。
【0191】
HiFuおよびそれに対応する(例えば、20kHz-100kHzの範囲で作動する公知の超音波印加に比べて)短い波長の利用により、フォーカシング領域の大きさを減少することができ、それによって、全体の分子装置の小型化が可能となる。例えば、非常に制限された空間のみを用いることができるため、実際に小さなサイズのシステムを必要とする病院または実験室の要求事項を考慮する時、これは、本発明に示された実施形態の非常に重要な利点となる。また、機能性処理、前処理、溶解、および、以前または後続して実施される測定の組み合わせが、サンプル処理、または分子診断の費用および時間を節減することができる。
【0192】
さらに、多焦点設定を有する装置100などを提供することができる。それにより、装置は、サンプル101において2つ以上の互いに異なるフォーカシング領域を生成する。これは、2つ以上の互いに異なるソース、単一ソースおよびハイブリッドレンズ、または多様な粗さのストーンを有する単一ソースにより行うことができる。また、これらの可能性の組み合わせも、また可能である。
【0193】
また、このような装置101は、集束音響エネルギーにより、特にHiFuを用いることにより、サンプルの粘度を減少するために用いることができる。
【0194】
さらに、装置は、1つのチャンバ110内で、唯一の単一ソース105に起因する集束音響エネルギーにより、前処理および/またはインキュベーションおよび/または溶解を組み合わせることを可能とする。特に、HiFuの印加が可能である。それにより、前処理および溶解が、以上のセクションで説明された多様な機能性を含むことができる。これは、両機能性を1つのチャンバに統合することにより、そのようなサンプル処理または分子診断の費用および時間を節減することができ、また、装置の必要な空間も低減することができる。また、装置の技術的な複雑性も、減らすことができる。
【0195】
前処理方法または分解方法が、集束音響エネルギーにより、特にHiFuにより処理するか、または実施することができ、それによって、サンプルの位置でHiFuスポットを生成する音響ソースまたはトランスデューサが、サンプルの前処理および/または溶解を提供する。しかし、分子診断装置に統合可能であり、また上記の方法を行うのに必要なその他の装置なども、所望の方法を提供することができる。例えば、追加の加熱装置、冷却装置、または供給ラインを有する試薬印加装置(分配装置)が分子診断装置に統合され、高い温度のさらなる試薬を有するインキュベーションを誘発することができる。
【0196】
試薬は、例えば、先ず混合され、次いで、37℃でインキュベートすることができるリゾチーム酵素であってもよい。特に、混合、循環、液化およびホモジナイゼーションが、HiFuを用いたサンプルの照射により行うことができる。
【0197】
また、図1に示された装置100を用いて、HiFuにより、例えば、グラム陰性バクテリアおよびグラム陽性バクテリア、菌類および酵母のような微生物を溶解することができる。溶解は、さらに、常温または高温における試薬を用いたサンプルのインキュベーションを含むことができる。試薬は、例えば、GuHCl/prot KまたはGuSCNであってもよく、上記の GuHCl/prot Kは、先ず混合され、次いで、約56℃でインキュベートされて、さらに選択的に周辺温度まで冷却され、上記のGuSCNは、先ず混合され、次いで、約70℃でインキュベートされて、さらに選択的に約25℃まで冷却される。
【0198】
或いは、チャンバは、チャンバの排出口においてフィルターを具備し、または排出口チャンネル内にフィルターを具備して、カートリッジの抽出機能性に破片が移送されないように保障する。
【0199】
図2は、カートリッジ103の音響窓107を示し、この時、音響窓は、プラスチックホイル108として示されたフレキシブルな材料で製造される。底面図に示された円形状の音響窓107は、インターフェース媒体であるプラスチックホイル108により覆われることが認められ、前記インターフェース媒体は、まずカートリッジ103の形状に、また、次にフルソリッドカプラに自分を合わせることができ、または、ソースが、示された表面108上でプラスチックホイルと直接に接触するようになる。‘115’は、フレキシブルホイルが例えばレーザ溶接される、カートリッジの底部分を示す。
【0200】
図3は、図2に対比して180゜回転された正常な配向または作業配向状態で、チャンバ110とともにカートリッジ103を示している。言い換えれば、図2は、カートリッジの底部分115をその底面とともに示し、また図3は、底部分115と共にカートリッジを上部面から示している。示されたカートリッジおよびホイルは、図1の装置100内に挿入される1つのユニットとして共にクランプすることができ、さらに機器102の上部に押しつけることができる。このような挿入プロセスは、図1のソース105(点線で示される)から図1のサンプル101まで音響エネルギーを伝達するための伝播経路を形成する。
【0201】
図4は、例示的な実施形態に係る装置で用いられるソースの可能な例を示し、ここでは、ソース105およびカプラ104が示されており、ここに示された例は、ポリマーカプラである。
【0202】
図5は、集束音響エネルギー、特に、HiFuを生成するソースの別の例を示し、ここでソース105は、圧電変換器であってもよく、さらに金属レンズ109が、例えば、フラットトランスデューサの上部に固定される。さらに、カプラ104は、例えば、ポリマーカプラである。
【0203】
それとは対照的に、図6は、曲線型ソース105がポリマーカプラ104と組み合わせられたポリマーカプラの構成を示している。さらに、レンズ上部の、例えば他のポリマーカプラを具備するポリマーカプラの上部に、例えばレンズが位置され、カートリッジに向けた効果的な乾式カップリングを形成することができる。
【0204】
図7は、圧電構成を示したものであり、ここで、自然フォーカシングソース105として作用する、フラット型圧電変換器が示されている。さらに、非常に薄いポリマー層が塗布されて表面の粗さを変更することにより、乾式カップリングの効率を高めることができる。さらに、電気リードもまた示されている。
【0205】
図8は、ソース要素の他の可能な構成を示しており、ここで、金属レンズ109が、ソース105として作用するフラット型トランスデューサに直接に接触される。図10および図14から見られるように、これらの構成の任意の組み合わせが可能であり、これは、適用の範囲を拡大させる。
【0206】
図9は、ヒットシンク900、多様なハウジングリング901、および、追加のリング902を含む機器102を示した分解図であり、前記ハウジングリングは、ポリマーベースの材料またはソリッドゲルであってもよいフルソリッドカプラ104のためのハウジングを部分的に構成する。また、ソース105が、圧電変換器として示されている。そして、フルソリッドカプラ104が点線で示されている。これらの要素は、機器102の一部であってもよく、またそれらは、収納要素を構築することができ、そのような収納要素は、ホイルクランプ903の上部でカートリッジを挿入することにより、非流体物質のみからなる伝播経路を生成する。要素901、902および903は、またカプラのハウジングの一部である。ハウジングリング901の数を選択することによりカプラの高さが変更可能となるように、ハウジングが作製される。ホイルクランプ903が、カプラを覆うために用いられるホイル(図示省略)にクランプされる。
【0207】
図10は、乾式カップリングを生成するための可能性の組み合わせを示している。それにより、第1列は、カートリッジ103のセットアップに関する情報を提供し、第2列は、カプラ104のセットアップに関する情報を提供し、第3列は、レンズ109のセットアップに関する情報を提供し、また第4列は、ソースまたはトランスデューサ105のセットアップに関する情報を提供する。5個の異なる構成が例として示されていることが確認される。‘1001’は、ソリッドゲルカプラの構成を示し、この時、‘1002’は、金属レンズポリマーカプラの構成を示し、‘1003’は、ポリマーカプラの構成を示している。‘1004’は、乾式カップリングに対する解決策を提示し、この時、圧電のみからなる構成(この時、圧電は、トランスデューサの粗さ表面を変更するための薄いポリマー層を具備する)が用いられ、‘1005’は、乾式カップリングの達成のために、金属レンズ構成がどのようにセットアップされ得るかを示している。‘1001’は、ソースがレンズのように成形することができ、それによって音響エネルギーの生成およびフォーカシングを規定する。また、カラム1002では、レンズが、例えば、ソリッドカプラ104によって共に接着することができ、さらに物理的に組み合わせ可能であることを示している。また、カラム1003に示されているように、フルソリッドカプラ104が、ソース105に直接付着することができる。しかし、また‘1004’に示されているように、カートリッジと圧電ソースとの間の直接的な接触も可能である。さらに、金属レンズの構成は、曲線状のソース105が、両面が凹状のレンズ、例えば、金属レンズに付着することができることを説明する。
【0208】
別のセットアップ可能性が、図11、12、13および14において詳細に示された‘1100’に示されている。このような詳細な図示は、図10でさらに具体的であるが、これは、要素がカートリッジの一部であるか、ソースの一部であるか(これは機器の一部を意味する)、或いは物理的に分離された要素であるか否かを区分するために、2個の追加的な列が挿入されるためである。
【0209】
すべての図示且つ説明された要素が、トランスデューサの一部、またはカートリッジの一部であってもよく、或いは物理的に分離された要素であってもよいということに、明確に注意しなければならない。また、多くの機能性を分離するために、任意の要素の組み合わせを用いることができる。例えば、可撓性の大きな薄いホイルを用いて、トランスデューサの形状に合わせることができる。ホイルより減衰も少なく、可撓性の小さなフルソリッドカプラと組み合わせられる時、これは、機能性の減衰および可撓性の分離に相当する。これは、効率的な乾式カップリングを達成するためのさまざまな要素の好ましい組み合わせを誘導する。
【0210】
列1101は、流入(entry)があれば、フルソリッドカプラがカートリッジの一部であることを示している。それとは対照的に、‘1102’は、フルソリッドカプラがソースの一部であり、それによって機器の一部であることを示している。また、両可能性は、装置に同時に整列することができる。第3の可能性1104は、フルソリッドカプラが伝播経路内に挿入される、物理的に独立した要素であることを示している。レンズとソースの組み合わせ1103が提供されるということが、もう一度確認される。図11乃至図14に示されているように、例えば、HiFuを用いる装置の乾式カップリングのための非常に多様なセットアップの可能性が考えられる。
【0211】
図15は、集束音響エネルギーを生成するために用いられる例示的な電子要素1500を示している。それにより、可能な関数生成装置、電力増幅器、スコープおよび超音波変換器が一緒に連結され、音響フィールドを生成する。放出された音響エネルギーが集束後に、これは、サンプルに衝突し、また多様な音響化学的または音響物理的反応を誘発する。これは、装置によって誘発されるサンプルの処理となる。言い換えれば、図15は、セットアップパフォーマンスを生成および検査するためのラボセットアップの構成を示している。産業用装置は、スコープおよび関数生成装置を含むことなく、そして増幅器が特定のオーダーメード型に製造された電子装置に具現されることができる。
【0212】
図16は、唯一の単一ソースによって、1つの単一チャンバ内で前処理および溶解を適用するための有り得る処理プロトコルを示している。処理プロトコル1600は、幾つのステップを有し、例えば、プロトコルは、サンプルのHiFu処理1603で開始され、次いでに混合1604がサンプルに印加されて、この時、後で他の物質を用いたインキュベーション1605が可能である。続いて、さらなる混合およびインキュベーションステップが可能である。音響化学的または音響物理的な相互作用によって音響エネルギーにより生成または誘発されたこれらの多様な機能性は、いずれも前処理1601の一部である。次いで、分解1602が同一の単一チャンバ内で行うことができ、また処理を進めた同一の単一ソースによって誘発されることができる。可能なステップとして、混合およびインキュベーションが言及されることがある。しかし、同様に特別なHiFu分解1606およびさらなるフィルターステップ1607が可能である。それにより、参照番号1608は、探知されるターゲット物質を有するすべてのサンプル、例えば、排泄物、血液、尿、唾液、BAL、CSF、組職、綿棒またはブラシを示す。また、第1の前処理試薬(例えば、化学的化合物および/または酵素)が‘1609’に示されている。第2の前処理試薬(化学的化合物および/または酵素)が、参照番号1610で示されており、‘1611’は、第3の前処理試薬(化学的化合物および/または酵素)を示す。第1の分解試薬(化学的化合物および/または酵素)が‘1612’に示されている。‘1613’は、例えば、シリカにおけるDNA結合を準備するための抽出試薬を示している。図面は単に例示的な実施形態を示したものであり、フィルターが、必ずしも分解チャンバの内部に位置する必要はない。
【0213】
図17は、本発明の他の例示的な実施形態に係る装置の多中集束性セットアップ1700を示している。サンプル101を有するチャンバ110を具備したカートリッジ103が、またサンプル上側の空気体積1701を具備する可能性を特徴とすることが認められる。また、第1のフォーカシング領域1702および第2のフォーカシング領域を示す‘1703’を生成するために、2つの互いに異なるソース105がセットアップに適用される。また、物質の加熱を避けるために、そしてフォーカシング領域における高い強度を具現するために、カートリッジの音響窓は、少ない減衰および最小厚さを有しなければならない。大量生産の場合に、射出成形が可能であるポリマーが好ましい。フォーカシング領域がチャンバの壁と接触しない方が好ましい。高い強度において、接触は、壁の溶融をもたらすことがある。フォーカシング領域が大きいトランスデューサ1702が、空気体積1701の反対側に位置することが、さらに好ましい。これは、最適の混合および循環をもたらし、さらにチャンバ壁の溶融可能性を低くすることができる。
【0214】
図18aおよび18bは、例えば、唯一の単一ソースにより生成可能なHiFuの範囲で作動する装置の多中集束性を示している。それにより、図18aは、第1の放出区域1801および第2の放出区域1802、および第3の放出区域1803を有するハイブリッドレンズ1800を有する多中集束性セットアップ1700を示している。また、同心的なセットアップにおいて、第1および第3の放出区域が同一であることができる。さらに、サンプル101内において、3つの互いに異なるフォーカシング領域1804乃至1806が生成されるということが確認される。それにより、同心的なセットアップにおいて、‘1804’および‘1806’は、第2のフォーカシング領域1805の周囲のリング様形状の同一のフォーカシング領域を示す場合になる。
【0215】
ソース105は、フラットな形状であってもよく、また、ハイブリッドレンズ1800がソースに付着されるということが確認される。
【0216】
図18bは、多中集束性セットアップ1700を示しており、このとき、ハイブリッドレンズ1800は、曲線型ソース1500の形状に合わせられた形状を有する。図18bにおいて、ハイブリッドレンズは、3つの放出区域および上記3つの放出区域に由来した3つのフォーカシング領域を有する。互いに異なる放出区域は、多様なフォーカシング材料で構成することができる。例えば、区域1801および1803を形成する外側材料が中程程度のフォーカシング外側材料であってもよく、区域1802を形成する内側材料が、高いフォーカシング材料であってもよい。それにより、セグメント化されたレンズ1800が、高いフォーカシング材料および中等度のフォーカシング材料を含む。これは、図18bの場合である。これらの多様なフォーカシング領域は、ユーザが、唯一の単一ソースによって混合および溶解のような互いに異なる機能性を同時に処理することができるようにする。これは、単に1つの単一ソースのみを必要とするため、例えば、分子テストに対する時間を減少することができ、その上、さらに費用および必要な空間を減少させることができる。付加的に、技術的問題および維持補修費用も減少させることができる。
【0217】
それにより、フォーカシング材料の多様な分布を、所望の処理、すなわち、分解または分析用途に合わせることができる。それにより、ハイブリッドレンズまたはセグメント化されたレンズ内の特定の物質分布が、このような本発明の例示的な実施形態によれば排除されることはない。
【0218】
以下の文段は、ハイブリッドレンズの概念を立証するためのものであって、フラットトランスデューサおよび曲線型レンズを含む組み合わせのモデリングと関連される。可能なセットアップは、例えば、アルミニウムのような高いインピーダンス材料、レンズ材料として取られたポリプロピレンのような低いインピーダンス材料、例えば、8mmのようなチャンバの内径およびレンズの半径であることができ、そして、ポリプロピレンは、厚さ0.5mmのチャンバ壁材料として取られ、流体の高さが35mmであり、モデリングのための周波数が1MHzで、また、規定された圧力圧電が1.000Paである。本明細書において説明されるモデリングの結果は、完全な高いインピーダンス材料(アルミニウム)からポリプロピレンのような低いインピーダンス材料の増大されたセグメントの大きさまで進められる時、中心対称軸に沿った最大圧力が、非常に一定の高いレベルに維持されるということである。言い換えれば、圧力は、溶解が得られる程度に十分高いレベルに維持される。第二に、示された結果は、ポリプロピレンセグメントの大きさが混合を生成するほどに十分に大きな時、最小および最大圧力条件が、チャンバの中心軸の外側で生成されるということである。低指数の材料が低い消散プラスチックであるとき、高指数の材料(例えば、アルミニウム)が、通常に全体レンズの1/5乃至1/2であるとき、ハイブリッド構成の効果的な作業が達成される。それにより、ハイブリッドレンズは、単一圧電要素から多中集束音響エネルギー、特に、多中集束HiFuを生成するためのオプションである。このような解決策は、乾式インターフェースにわたったHiFuに対して用いることができ、また、流体またはハイドロゲルカップリングおよび流体との直接的な接触に対して用いることができる。
【0219】
図19は、多中集束セットアップ1700を示しており、ここでソース105は、多様な表面粗さの区域を有する。‘1903’は、第1の表面粗さ区域1904および第2の表面粗さ区域1905を有し、多中集束性を提供する円状ソース105を示した平面図である。第1のフォーカシング領域1900および第2のフォーカシング領域1901が、互いに異なるということが認められる。ここで、第3のフォーカシング領域1902は、第1のフォーカシング領域1900と同一であるが、これは、第2粗さ区域1905がリング形状の表面であるためであり、そのようなリング状表面は、第2のフォーカシング領域1901の周りのリング形状のフォーカシング領域1900および1902を提供する。表面の互いに異なる粗さによって、音響エネルギーを伝達する物質に対する互いに異なるカップリングが形成される。それにより、異なる粗さは、異なるフォーカシング領域をもたらす。
【0220】
互いに異なる表面粗さによって、多中集束性は、本発明の乾式カップリング特性とともに用いられることがなく、またサンプル処理のための多中集束音響エネルギーをサンプルに照射するための装置とは独立的に適用されるということに、明確に留意しなければならない。
【0221】
例えば、1乃至2MHzの範囲において、効果は、10μmの粗さで中等度になり、また50−80μmの粗さではそれよりも相当高い。それにより、粗くて滑らかなセグメントを有する曲線型トランスデューサは、単一圧電要素から多重フォーカシングHiFuを生成するためのオプションとなる。レンズまたは複数のソースを有するほかの解決策と比べる時、このような実施形態がより一層単純である。
【0222】
図20は、サンプルを処理するために、集束音響エネルギーをサンプルに照射するための方法を説明するフローチャートを示し、ここで、以下のステップは、機器提供ステップS1と、カートリッジ提供ステップS2と、フルソリッドカプラ提供ステップS3と、音響エネルギーの生成のためのソース提供ステップS4とを含む。また、カートリッジを機器内に挿入するステップS5が提供され、前記カートリッジは、サンプルを収納するためのチャンバを具備し、また、カートリッジを機器内に挿入することにより、ソースとカートリッジとの間の音響エネルギーの完全な乾式カップリングが形成される。また、カートリッジおよび機器は、分離可能である。
【0223】
図21は、トランスデューサ105と、フルソリッドカプラ104と、機器102により、例えば、HiFuに処理されるサンプルのためのチャンバ110を具備するカートリッジ103と、を含む機器装置を示す。カートリッジの底2100は、ホイルで製造された音響窓を具備する。
【0224】
図22は、十分に高いガラス転移温度Tgを有するフルソリッドカプラの利点を表す図2200を示している。グラフ2203−2207から、ガラス転移温度Tgが高いフルソリッドカプラが、フルソリッドカプラ内で超音波エネルギーの少ない減衰を提供するということが認められる。このような結果はあとで具体的に説明する。
【0225】
x座標2201は、音響エネルギー、例えば、HiFuを生成するソース105(図示省略)に提供される入力電力を描写する。y座標は、いわゆるクリッピング時間を描写する。これは、例えば、HiFuを生成するソースがスイチングオンされることと、噴出部が完全に消えること(クリッピング)の間の時間である。このような噴出部の生成については、以上で説明したとおりである。これは、HiFu波動によって生成され、またサンプル内のキャビテーションが開始される電力しきい値を減少するために用いられる。噴出部は、サンプル物質(例えば、液体)からなる。そのような噴出部の生成が、フルソリッドカプラを通じてサンプルに伝達される音響エネルギーに依存するため、サンプルの消滅は、伝達される音響エネルギーの減少を意味する。ガラス転移温度の異なる多くの物質が、図22に示されたテスト結果において観察することができる。
【0226】
言い換えれば、クリッピングは、観察されるフルソリッドカプラ材料の経時的減衰または吸収の進行に対する測定値として取られる。多様な材料および厚さに対する結果が、図22および図23に示されている。
【0227】
それにより、図22は、ガラス転移温度が60℃であり、厚さが3mmのシリコン601カプラ2203からの結果を示す。‘2204’は、ガラス転移温度Tgが約60℃である、エポテック(epotek)301で製造された厚さ3mmのフルソリッドカプラからの結果を示す。‘2205’は、ガラス転移温度Tgが約60℃である、厚さ6mmのシリコン601カプラの結果を示す。‘2206’は、ガラス転移温度Tgが約−18℃である、ポリプロピレン(PP)で製造され、厚さが1mmであるフルソリッドカプラの結果を示す。‘2207’は、ガラス転移温度が約60℃である、エポテック301で製造された、厚さ5mmのフルソリッドカプラからの結果を示す。PPを除いたいずれの例においても、硬化温度は、60℃である。
【0228】
図22は、PPが、適切な強度であっても劣悪な実行体(performer)ということを見せている。予想のどおり、エポキシおよびシリコンの両方の減衰は、フルソリッドカプラの厚さ増加により増大される。エポキシの減衰は、エポキシの場合よりもシリコンの場合がより低い。ガラス転移温度Tgが高いこれらのいずれの材料の場合にも、クリッピングが、6Watt未満の連続的な入力電力で観察される。このような電力は、サンプル処理のためには不十分である。したがって、分子診断装置の幅広い処理可能性のために、本発明は、ガラス転移温度Tgの十分に高いポリマーを提供する。
【0229】
追加の実験から、第一に、観察された現象がトランスデューサの時間にわたった変化に起因したものではないことが認められた。第二に、(もし物質が、燃焼強度に露出されなかったら)、効果は可逆的である。1分後に、物質が本来の状態に戻り、また実験が繰り返されることができる。このような観察は、温度-物質の特性関係を提示する。
【0230】
図23は、フルソリッドカプラとして用いられたポリマーベース材料の硬化温度の影響を表したグラフ2300を示している。x軸2301は、入力電力を描写し、y軸2302は、故障までの時間、すなわち、クリッピング時間を描写する。‘2303’乃至‘2306’は、多くのフルソリッドカプラのグラフを示す。‘2303’は、100℃の硬化温度Tcでのフルソリッドカプラの結果を示し、‘2304’は、125℃の硬化温度Tcでの結果を示し、‘2305’は、60℃の硬化温度Tcでの結果を示し、さらに、‘2306’は、60℃の硬化温度Tcでのカプラの結果を示している。言い換えれば、図23は、効果減衰が亦硬化温度に依存するということを見せる。硬化温度が増加することに伴って、クリッピング時間が相当長くなる。本発明の例示的な実施形態は、このような利点を用いる。つまり、一般的に、高い硬化温度Tcは、高いガラス転移温度Tgに直接変換される。
【0231】
60℃で硬化された材料を用いたさらなる実験から、以下のことを確認した:
第一に、80℃またはそれより高い温度の水が用いられると、噴出部が消える。第二に、20%のデューティーサイクルにおいて、0W乃至65Wのピーク電力(平均13Wの電力)の場合、クリッピング時間が120秒よりももっと多く移動する。90Wのピーク電力(平均16W電力)の場合、クリッピング時間は10秒に減少された。
【0232】
このようなテストのために用いることができる例示的な装備装置には:PM5193プログラム可能シンセサイザー/関数生成装置0.1mHz−50MHz、増幅器:ENI 240Lパワー増幅器50dB 20kHz−10MHzまたはARワールドワイドKAA 204RFパワー増幅器50dB 0.5−100MHz 200W、Tektronix TDS3014:4-チャンネルカラーデジタル燐光オシロスコープ;Agilent 4395A:10Hz-500MHz/10Hz-500MHz/10kHz-500MHzネットワーク/スペクトル/インピーダンス分析装置、およびHiFuピエゾトランスデューサ:Dongfang Jinrongが供給するJR20/60が含まれていてもよい。
【0233】
特許請求の範囲において「含む」という用語は、他の要素またはステップを排除するものではなく、さらに不定冠詞「a」または「an」は、複数を排除するものではない。参照番号も、特許請求の範囲を制限するものではない。
【符号の説明】
【0234】
100 装置
101 サンプル
102 機器
103 カートリッジ
104 フルソリッドカプラ
105 ソース
106 伝播経路
107 音響窓
108 フレキシブルな材料
109 レンズ
110 チャンバ
111 探知ユニット
112 処理プロトコルを調整するためのプロセッサ
113 データプロセッサ
114 ディスプレイ
115 底部分
900 ヒットシンク
901 ハウジングリング
902 追加のリング
903 ホイルクランプ
1000 乾式カップリングに対する組み合わせ可能性の概観
1001 ソリッドカプラの構成
1002 金属レンズポリマーカプラの構成
1003 ポリマーカプラの構成
1004 圧電唯一構成(前記圧電は粗さ表面を改善するための薄いポリマー層を具備する)
1005 金属レンズ構成
1100 乾式カップリング生成のための組み合わせ可能性に対する具体的な概観
1101 フルソリッドカプラがカートリッジの一部ということを表す列
1102 フルソリッドカプラが機器の一部ということを表す列
1103 レンズおよびソース(曲線型ソース)の機能性を組み合わせる要素
1104 フルソリッドカプラが要素から物理的に分離されたことを表す列
1500 集束音響エネルギーを生成するために用いられる電子装置
1600 1つの単一ソースにより1つの単一チャンバ内において、前処理、インキュベーションおよび溶解を適用するための可能な処理プロトコル
1601 プロトコルの前処理部分
1602 プロトコルの溶解部分
1603 HiFu前処理
1604 混合
1605 インキュベーション
1606 HiFu溶解
1607 フィルタリング
1608 探知されるターゲット物質を含むサンプル
1609 第1の前処理試薬
1610 第2の前処理試薬
1611 第3の前処理試薬
1612 第1の溶解試薬
1613 抽出試薬
1700 多中集束性セットアップ
1701 サンプル上側の空気体積
1702 第1のフォーカシング領域
1703 第2のフォーカシング領域
1800 ハイブリッドレンズ
1801 ハイブリッドレンズの第1の放出区域
1802 ハイブリッドレンズの第2の放出区域
1803 ハイブリッドレンズの第3の放出区域
1900 第1のフォーカシング領域
1901 第2のフォーカシング領域
1902 第3のフォーカシング領域
1903 異なる粗さの区域を有するソース105の平面図
1904 ソースの第1の粗さ区域
1905 ソースの第2の粗さ区域
S1 機器提供ステップ
S2 カートリッジ提供ステップ
S3 フルソリッドカプラ提供ステップ
S4 音響エネルギーの生成のためのソース提供ステップ
S5 カートリッジを機器内に挿入するステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルを処理するために集束音響エネルギーによりサンプル(101)を照射するための装置(100)において、
機器(102)と、カートリッジ(103)と、フルソリッドカプラ(104)と、音響エネルギーの生成のためのソース(105)とが設けられており、
前記カートリッジは、サンプル収納のためのチャンバ(110)を具備し、
前記フルソリッドカプラは、前記ソースと前記カートリッジとの間で音響エネルギーの完全な乾式カップリングを形成し、
前記カートリッジが前記機器内に挿入可能となるよう、前記機器および前記カートリッジが構成されており、
前記カートリッジおよび前記機器は分離可能であることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記集束音響エネルギーは高強度の集束超音波(HiFu)である、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記カートリッジを前記機器内に挿入することにより、前記ソースから前記サンプルに音響エネルギーを伝達するための伝播経路(106)が形成されるよう、前記機器および前記カートリッジが組み合わせられて整列され、前記伝播経路は非流体物質のみから成る、請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
前記フルソリッドカプラは、ソリッドゲル、ゴム、弾性ホイル、ポリマーベースの材料、熱可塑性ポリマー、低い音響減衰特性を有するポリマー、金属、半導体、セラミックス、ポリプロピレン、アルミニウム、および、これらの材料の積層体を含むグループより選択される材料を含む、請求項1乃至3のいずれか1項記載の装置。
【請求項5】
前記カートリッジは音響窓(107)を有しており、該音響窓は、フレキシブルな材料(108)で製造され、前記カートリッジを前記機器内に挿入することにより、前記フルソリッドカプラが前記音響窓と物理的に接触される、請求項1乃至4のいずれか1項記載の装置。
【請求項6】
前記フルソリッドカプラは、音響窓(107)と接触するための第1の接触表面を具備し、
前記カートリッジは、前記音響窓と接触するための第2の接触表面を具備し、
前記第1の接触表面、第2の接触表面および音響窓のうちのいずれか1つ以上が、0.5マイクロメートル未満、1マイクロメートル未満、および2マイクロメートル未満を含むグループより選択された表面粗さ値を有する、
請求項5記載の装置。
【請求項7】
前記伝播経路は音響インピーダンスの勾配を有し、該勾配は、前記ソースから前記サンプルまでの方向に沿って単調に減少する、請求項3乃至6のいずれか1項記載の装置。
【請求項8】
さらに、生成された音響エネルギーをサンプルにフォーカシングするためのレンズ(109)が設けられており、
前記レンズは、ソースとカートリッジとの間に位置した、物理的に分離された要素であるレンズ、ソースの一部であるレンズ、フォーカシング形状を有するソースであるレンズ、集束音響エネルギーを提供するソースのアレイであるレンズ、カートリッジの一部であるレンズ、低い音響減衰特性を有するポリマーで製造されたレンズ、金属レンズ、セラミックレンズ、ポリプロピレンレンズ、アルミニウムレンズ、ハイブリッドレンズ、およびこれらの組み合わせを含むグループより選択される、
請求項1乃至7のいずれか1項記載の装置。
【請求項9】
前記カートリッジの1つの単一チャンバ内で、集束音響エネルギーによりサンプルに前処理および溶解が適用され、
前記前処理は、試薬との混合、循環、綿棒からの細胞、病源菌およびマトリックスの放出、ブラシからの細胞、病源菌およびマトリックスの放出、液化、常温または高温で試薬を用いたサンプルのインキュベーション、振とう、混合;撹拌、抽出、NA抽出、フロー生成、サンプルのホモジナイゼーション、遠心分離、およびこれらの任意の組み合わせを含む群より選択された手順であって、
前記溶解は、試薬との混合、循環、微生物の溶解、常温または高温で試薬を用いたサンプルのインキュベーション、およびこれらの任意の組み合わせを含む群より選択される手順である、
請求項1乃至8のいずれか1項記載の装置。
【請求項10】
前記装置は、2つ以上の互いに異なるフォーカシング領域をサンプルにおいて生成するように構成される、請求項1乃至9のいずれか1項記載の装置。
【請求項11】
前記2つ以上の互いに異なるフォーカシング領域は、複数のソース、単一ソースとハイブリッドレンズ、互いに異なる粗さの区域を有する1つの単一ソース、およびソースの互いに異なる位置で、互いに別々で励起される1つの単一ソース、並びにこれらの任意の組み合わせを含む群より選択される要素によって生成される、請求項10記載の装置。
【請求項12】
前記装置は、抽出ユニットと、核酸増幅ユニットと、試薬貯蔵ユニットと、探知ユニットと、サンプルに対する測定を適用するための探知ユニット(111)のうちのいずれか1つ以上をさらに含み、
前記探知ユニットは、光学的測定、磁気測定、熱的測定、電気的測定、化学的測定、音波測定、およびこれらの任意の組み合わせを含む群より選択された、サンプルに対する1つ以上の測定を適用するためのものであって、
前記集束音響エネルギーをサンプルに照射することが、サンプルの処理を誘導する、
請求項1乃至11のいずれか1項記載の装置。
【請求項13】
前記フルソリッドカプラはポリマーベースの材料で製造され、該ポリマーベースの材料は、Tg≧−30℃;Tg≧−10℃、Tg≧−5℃;Tg≧20℃;Tg≧40℃;Tg≧60℃;Tg≧80℃;Tg≧100℃;Tg≧120℃;Tg≧130℃;Tg≧140℃;Tg≧150℃;および、Tg≧160℃を含む群より選択されたガラス転移温度Tgを有する、請求項1乃至12のいずれか1項記載の装置。
【請求項14】
前記ポリマーベースの材料は、Tc≧20℃;Tc≧40℃、;Tc≧60℃;Tc≧70℃;Tc≧80℃;Tc≧90℃;Tc≧100℃;Tc≧110℃;Tc≧120℃;Tc≧130℃;Tc≧140℃;Tc≧150℃;Tc≧160℃;Tc≧170℃;および、Tc≧180℃を含む群より選択された硬化温度Tcにて硬化される、請求項13記載の装置。
【請求項15】
サンプルを処理するために集束音響エネルギーでサンプル(101)を照射するための機器(102)において、
音響エネルギーの生成のためのソース(105)と、フルソリッドカプラ(104)とが設けられており、
該機器は、サンプルを含み、かつ該機器から分離可能なカートリッジ(103)を収納するように構成され、
前記カートリッジが該機器内に挿入された時、前記フルソリッドカプラは、前記ソースと前記カートリッジとの間で音響エネルギーの完全な乾式カップリングを形成することを特徴とする機器。
【請求項16】
前記機器は、サンプルを含み、かつ前記機器から分離可能なカートリッジ(103)を収納し、さらに前記機器および収納されたカートリッジが、請求項1乃至14のいずれか1項に記載の装置(100)を成す、請求項15に記載の機器。
【請求項17】
サンプル(101)を処理するために、ソース(105)により生成された集束音響エネルギーをサンプルに照射するための機器(102)のためのカートリッジ(103)において、
サンプルを収納するためのチャンバ(110)と、フルソリッドカプラ(104)とが設けられており、
前記カートリッジは、機器内に挿入されるように、かつ前記機器から分離可能となるように構成され、
前記カートリッジが機器内に挿入された時、前記フルソリッドカプラは、前記ソースと前記カートリッジとの間で音響エネルギーの完全な乾式カップリングを形成することを特徴とするカートリッジ。
【請求項18】
前記カートリッジは、前記機器内に挿入することができ、前記機器および挿入されたカートリッジは、請求項1乃至14のいずれかに記載の装置(100)を成、請求項17に記載の機器のためのカートリッジ。
【請求項19】
サンプルを処理するために、集束音響エネルギーをサンプルに照射する方法において、
機器を準備するステップ(S1)と、
カートリッジを準備するステップ(S2)と、
フルソリッドカプラを準備するステップ(S3)と、
音響エネルギーを生成するためにソースを準備するステップ(S4)と、
前記カートリッジを前記機器内に挿入するステップ(S5)とを含み、
前記カートリッジは、サンプルを収納するためのチャンバを具備し、
前記カートリッジを前記機器内に挿入することにより、前記ソースと前記カートリッジとの間に音響エネルギーの完全な乾式カップリングが生じ、
前記カートリッジおよび前記機器は分離可能である、
サンプルの照射方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18a】
image rotate

【図18b】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate


【公表番号】特表2012−523318(P2012−523318A)
【公表日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−505016(P2012−505016)
【出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【国際出願番号】PCT/CH2010/000093
【国際公開番号】WO2010/118540
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(510089557)ビオカルティ ソシエテ アノニム (10)
【氏名又は名称原語表記】Biocartis SA
【住所又は居所原語表記】Quartier Innovation EPFL−G, CH−1015 Lausanne, Switzerland
【Fターム(参考)】