説明

集束領域を持つドラフト装置

【課題】 二つの上部ローラーに割り当てられている駆動可能な下部ローラーを含むステープル繊維をドラフトするためのドラフト装置を提供する。
【解決手段】 このドラフト装置は二つの上部ローラー間の集束領域内にドラフト装置内でドラフトされた繊維ストランドを集束するための機械的手段が設けられ、この集束領域において、集束される繊維ストランドを支持するための輸送手段が二つの上部ローラーのニップライン間に設けられ、集束するための手段が少なくとも一つの案内表面を含み、それにより繊維ストランドが下部ローラーの軸方向にその輸送方向から少なくともその幅の量だけ偏向可能であり、集束するための手段が少なくとも二つの案内表面を含むことができ、それらの互いに対しての最小距離が集束された繊維ストランドの幅より大きい。加えて、このタイプのドラフト装置のための集束要素が開示されており、それはこの集束手段を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動可能な下部ローラーを含むステープル繊維をドラフトするためのドラフト装置であって、下部ローラーが二つの上部ローラーに割り当てられており、更に二つの上部ローラー間の集束領域においてドラフト装置でドラフトされた繊維ストランドを集束するための機械的手段が設けられており、更に集束領域において集束される繊維ストランドを支持するための輸送手段が二つの上部ローラーのニップライン間に設けられているものに関する。
【0002】
本発明は更に、ステープル繊維をドラフトするドラフト装置のための集束要素であって、前記集束要素が、ドラフト装置の下部ローラーのための内丸シリンダー形状の支持表面を持ち、かつドラフトされた繊維ストランドのドラフト装置で繊維ストランドを集束するための機械的手段を含み、その集束手段が互いにある距離の少なくとも二つの案内表面を含み、この案内表面が支持表面に接している集束要素に関する。
【背景技術】
【0003】
このタイプのドラフト装置と集束要素は国際特許出願WO 2006/005207A1で従来技術である。集束するための既知の手段は集束チャネルの形のものである。この集束チャネルは繊維ストランドの輸送方向に先細りとなっている。集束チャネルの側面は案内表面を形成し、それらは繊維ストランドの両側に位置し;案内表面間の距離は繊維ストランドの輸送方向に連続的に減少する。繊維ストランドはこのようにして集束されかつ緻密化される。集束チャネルの種々の形が記載されている。全ての集束チャネルは共通して一つの特徴、すなわち終端領域の集束チャネルの幅が繊維ストランドの集束度を決定するという特徴を持つ。従って、互いに対しての側方案内表面間の距離は繊維ストランドを十分に集束するために非常に小さくなければならない。それは通常、ほんの10分の数ミリメートルである。操業時、集束チャネルのこの狭い終端領域が閉塞され操業が停止されることが多く起こる。閉塞は、特に殻粒子または節が存在する綿のような天然繊維の加工時の集束される繊維ストランド中の斑によって起こりうる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、ドラフトされた繊維ストランドを集束するための手段を改善すること及び閉塞傾向を減らすことである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、本発明によれば、集束するための手段が少なくとも一つの案内表面を含み、この案内表面により繊維ストランドがその輸送方向から少なくともその幅の量だけ離れるように軸方向に偏向可能であるドラフト装置の場合に達成される。集束要素の場合、この目的は、二つの案内表面がシリンダー形状支持表面の円周方向に見たときに互いにある距離にあることで達成される。
【0006】
本発明による実施態様では、非常に狭い集束チャネルをもたらす繊維ストランドの幅に集束チャネルの幅が適合されねばならないという集束チャネルに対する要求がない。案内表面は繊維ストランドの輸送方向に対して斜めの偏向を実現する。繊維ストランドの輸送方向に対して斜めに配置された案内表面は、第一の案内表面と共に狭いチャネルを形成する、対向した案内表面に対する必要なしに、繊維ストランドの集束及び巻き込みを実現する。斜めの案内表面は単独で繊維ストランドのための偏向縁として作用する。外向きに位置しかつ突出する繊維はそれにより伏せ倒され、繊維ストランドは非常に緻密となる。紡績撚りが与えられるとき、望ましくないいわゆる紡績三角形が実質的に全く発生せず、従って形成糸はより高い強度を持ち、より少ない毛羽立ちである。
【0007】
集束するための手段が繊維ストランドの対向する側に配置された少なくとも二つの案内表面を含むことは有利である。繊維ストランドはこのようにしてその輸送方向とは異なる下部ローラーの軸方向に連続的に偏向可能である。繊維ストランドは従って二度偏向され、それにより非常に良好な集束効果が達成される。要求に依存して、多数の案内表面がもちろん設けられることができ、それらが繊維ストランドを多数回偏向する。
【0008】
たとえ二つまたはそれより多い案内表面が設けられたとしても、それらの互いに対する距離は集束された繊維ストランドの幅より大きい。二つの案内表面間の最小距離が集束された繊維ストランドの幅より多数倍、例えば少なくとも2倍程大きいことは有利である。集束効果は案内表面間の距離により決定されず、むしろ繊維ストランドのその輸送方向からの偏向によって決定される。案内表面間の距離は、集束効果を損なわずに、繊維ストランド中の斑、または可能な節または殻粒子がもはや集束要素内の閉塞を起こさないような寸法で選ばれることができる。
【0009】
良好な集束効果は、集束要素のシリンダー形状支持表面に沿って両案内表面により交差される想像上の円周線が存在するように、両案内表面が集束要素に配置されるときに達成される。
【0010】
集束される繊維ストランドを支持するための輸送手段は好ましくは繊維ストランドを中断なく全集束領域内で支持する。輸送手段は有利には、集束要素が配置されている下部ローラーの外周により形成される。
【0011】
良好な集束効果は、繊維ストランドが集束領域中で軽い張力ドラフトを受けるときに達成されることができる。張力ドラフトは、張力下の繊維ストランドの個々のステープル繊維が二つのニップライン間の最短距離に渡って延びる傾向を持つので、繊維ストランドが偏向縁の形の案内表面上に非常にうまく位置することを実現する。集束領域中の繊維ストランドのわずかな張力は例えば二つの上部ローラーの柔軟なカバーの種々の硬度によりかつ異なるレベルの圧力により達成されることができる。有利には、集束領域の下流の上部ローラーのカバーは集束領域の上流の上部ローラーのカバーより軟らかい。加えて、集束領域の下流の上部ローラーは下部ローラーに対してより小さい圧力で押圧されることができる。
【0012】
上部ローラーの有効寿命を増大するために、集束するための手段がドラフト装置のあや振り装置と結合されることが有利であり、このあや振り装置は繊維ストランドを輸送方向に対して横断方向に遅い動きであや振りする。
【0013】
二重撚糸の製造の場合のように、もし一つのドラフト装置内で多数の繊維ストランドがドラフトされるなら、繊維ストランドが他の繊維ストランドと接触させられることなく繊維ストランドを別個に集束する少なくとも一つの案内表面が各繊維ストランドに対して設けられることが有利である。集束要素は有利にはこの目的のために各繊維ストランドに対し少なくとも二つの案内表面を含む。案内表面は有利には、集束領域の下流に配置されたニップラインで繊維ストランドがそれらの間に集束された繊維ストランドを離して保つのに十分なほんの短い距離を残して一緒に案内されるように、繊維ストランド間の距離が集束領域内で減少するように配置される。
【0014】
図面の簡略説明
本発明のこれらの及び更なる目的、特徴及び利点が添付図面に関してなされるそれらの以下の詳細な説明からより容易に明らかとなるであろう。図面において:
図1は本発明による集束要素を持つドラフト装置の部分断面側面図であり、
図2は上部ローラーが省かれた図1のドラフト装置の矢印IIの方向の概略的上面図であり、
図3は集束要素の図1の矢印IIIの方向の大きく拡大された図であり、
図4は図3の断面IV−IVに沿った集束要素の断面図であり、
図5は二重撚糸のための集束要素の変更例の図3と同様の図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1に示されたドラフト装置1は本質的に駆動される下部ローラー2,4,6を含み、それらに上部ローラー3,5,7が割り当てられており、これらの上部ローラーは下部ローラーに対して押圧されており、かつ輸送方向Aにステープル繊維から作られた繊維ストランド8を希望の繊度にドラフトする。繊維ストランド8は粗紡案内9を通して繊維ストランドまたは粗紡の形でドラフト装置1に供給され、かつドラフト工程中に案内エプロン10と11により既知の方式で案内されることができる。繊維ストランド8のドラフト工程は下部ローラー6と上部ローラー7の間のニップライン12で終わる。既にドラフトされた繊維ストランド13は続いて集束領域14を通過し、そこでそれは集束かつ緻密化される。集束領域14はその出口側を下部ローラー6に配置された第二上部ローラー16により形成されるニップライン15により境界付けられる。ニップライン15の直ぐ下流で繊維ストランド13はその撚りを与えられ、完成糸17が形成される。
【0016】
ドラフト装置1は紡績機の一部であることができ、そこで糸17はその撚りを例えば空気ジェットによりまたはリングスピンドルにより与えられる。リング紡績機の場合、複数のドラフト装置1が互いに隣接して配置され、下部ローラー2,4及び6は機械の縦方向に延びる連続下部シリンダーの形のものである。このタイプの実施態様は図2に示されている。明瞭化のため、上部ローラー3,5,7及び16は図2では省かれている。二つの隣接ドラフト装置の上部ローラーは既知の方式で共有軸を持つ二連上部ローラーとして設計されることができる。
【0017】
集束領域14内に集束要素18が配置され、それはドラフトされた繊維ストランド13を集束するための、以下により詳細に述べられる、手段28を含む。繊維ストランド13は、既にドラフトされているがまだ撚りなしの繊維ストランド13がほとんど安定性を持たないので、集束領域14内では輸送手段19により支持される。輸送手段19は下部ローラー6の外周により形成され、それは繊維ストランド13をニップライン12からニップライン15に輸送する。繊維ストランド13はここではニップライン12と15の間の輸送手段19上に永久に配置され、下部ローラー6から持ち上げられない。
【0018】
集束要素18は内丸シリンダー形状の支持表面20を含み、それにより集束要素18は下部ローラー6上に位置する。集束要素18は有利には小型ユニットの形で設計された上部ローラー集合体21内に上部ローラー7及び16と共に取付けられ、かつ集束要素18が上部ローラー7及び16と接触しないように案内される。上部ローラー集合体21は図示されていない方式でドラフト装置1の上部重み付け腕により支持される。集束要素18がその支持表面20により下部ローラー6上に満足に位置するためには、例えばばね22または磁石23が集束要素18に配置されることができる。下部ローラー6と集束要素8の間のスライド運動のために、耐摩耗性材料対を使用することが有利である。下部ローラー6は通常、焼入鋼からなり、かつ追加の被覆を含むことができる。集束要素18は有利にはセラミックであることができる。しかし、少なくとも集束要素18の支持表面20を下部ローラー6の表面より軟らかい耐摩耗性複合材料から作ることが有利でありうる。もし必要なら、摩耗した集束要素18は摩耗した下部ローラー6より交換がより容易である。ガラス繊維により強化された合成材料は集束要素18のための複合材料として非常に適している。何故なら集束要素は非常に容易に作られることができかつ射出成形部品として費用効果的であるからである。集束要素18の選ばれた材料とは無関係に、支持表面20の材料に摩擦減少補材、例えばポリテトラフルオロエチレンの付着層の形で付加することが有利でありうる。
【0019】
ドラフト装置1の上部ローラー3,5,7の有効寿命を延長するために、あや振り装置24を設けることが有利でありうる。あや振り装置24は駆動体に結合された粗紡案内レール25を含み、それにより粗紡案内具9は図2に2方向矢印により示されるように、輸送方向Aに横断的に左右に動かされることができる。集束要素18が繊維ストランド13に関して常に最適に配置され、従って上部ローラー16の有効寿命を増大するためには、集束要素18は有利にはあや振り装置24に結合される。例えば結合は、集束要素18がブラケット26及び連結腕27を介して粗紡案内レール25と結合されることで達成されることができる。ブラケット26は連結腕27を幾らかの計画的なすき間を持って包囲することができ、またはすき間なしに曲げられることができる。ブラケット26のため、上部ローラー集合体21はドラフト装置の上部重み付け腕が旋回されるときに連結腕27から如何なる妨害もなしに解放されることができ、かつ下部ローラー6から上昇されることができる。加圧ローラー集合体21が再び下げられるとき、ブラケット26は自動的に連結腕27内に再び係合し、粗紡案内具9の位置に応じて集束要素18を配置する。
【0020】
集束領域14内の繊維ストランド13を集束するための手段28を持つ集束要素18は図3の拡大図の助けにより以下に述べられる。示された場合では、集束のための手段28は二つの案内表面29と30により形成される。案内表面29と30は輸送方向Aに対し斜めに配置され、繊維ストランド13を下部ローラー6の軸方向に偏向する。案内表面29と30は、それらが繊維ストランド13の対向する側上に配置されているときでさえ、上述の従来技術の既知の集束要素上の案内表面に異なるように作用する。既知の集束要素上の案内表面は同時に両側上で繊維ストランド13を集束し、従って狭い集束チャネルが案内表面間に形成し、この集束チャネルが集束度を決定し、かつ同時に閉塞に対して非常に敏感である。本集束要素18の案内表面29と30は、繊維ストランド13が案内表面29,30から下部ローラー6の異なる軸方向にその輸送方向Aから順々に偏向可能であるような方式で配置されている。繊維ストランド13はまず案内表面29に到達し、図3に示されるようにその輸送方向Aから離れるように左に偏向される。繊維ストランド13が案内表面29を離れた後、それは案内表面30に到達し、再度右に偏向される。繊維ストランド13のこの“ジグザグ偏向”は、下部ローラー6及びシリンダー形状支持表面20の円周方向に見たときに二つの案内表面29と30の間に距離Cがあることで、すなわちそれらが順々に配置されることで達成される。図3に破線により示された想像上の円周方向線31はシリンダー形状支持表面20に沿って存在し、この線31は二つの案内表面29と30により対向する側から交差される。想像上の円周方向線31はここでは下部ローラー6の軸に対して正確に垂直に延びるべきである。
【0021】
二つの案内表面29と30の間の最小距離Dはもはや集束された繊維ストランド13の幅Eに何らの影響も持たない。距離Dは、繊維ストランド13内に存在する斑、節及び殻粒子が集束要素18を閉塞することなしに困難なく集束手段28を通過することができるように、ニップライン15で繊維ストランド13の幅Eより有意に大きいように選ばれることができる。閉塞は、距離Dがニップライン12でドラフトされた繊維ストランド13の幅Fより大きいときに特に効果的に防がれることができる。
【0022】
集束効果を左右する本質的因子は案内表面29と30の輸送方向Aに関しての傾斜角度及び繊維ストランド13の下部ローラー6の軸方向の偏向である。繊維ストランド13のその輸送方向Aに横断的な偏向は少なくともニップライン12でその幅Fの量に達する。このようにして幅Fに渡って分配された繊維ストランド13の全ての繊維は一緒に集められることができる。集束作用は案内表面30と支持表面20の間の角度αの対応する選択により支持されることができる。図4では、案内表面30は支持表面20に接していることが明らかとなる。図4に示されるように、案内表面30は支持表面20に対してまたは下部ローラー6の表面に対して垂直に配置されることができる。輸送手段19上に配置された繊維ストランド13は案内表面30と輸送手段19の間の隅に押圧され、そこで集束される。繊維ストランド13が配置される更なる表面は集束要素18内に設けられていない。集束効果を改変するために、角度αは90°より大きいかまたは90°より小さい値を持つことができる。
【0023】
図4に示されるような本発明の実施態様では、集束要素18内にバー38が設けられることができ、それは案内表面30からの輸送手段19の上で繊維ストランド13の一つの側から繊維ストランド13の他の側まで延びる。このバーは案内表面29と30の間の実質的な連結を確立し、従って集束要素18は一体片要素となる。上述の従来技術と対照的に、バー38はもはや繊維ストランド13の集束工程に貢献しない。集束要素18はもはや繊維ストランド13中の斑により下部ローラー6から上昇されず、上部ローラー16に対して押圧される。案内表面30の高さH、及び当然に案内表面29(図示せず)の高さHは集束された繊維ストランド13の幅Eより大きいことが好ましい。
【0024】
ここで製造上の理由のため案内表面29は集束要素18の輪郭破線32により連続されることができることを参照されたい。輪郭32と案内表面30の間にはあるタイプのチャネルがバー38により形成されるが、それは集束要素18の集束効果に貢献しない。第一に、案内表面29はいずれの場合でも偏向縁33で終り、そこでは繊維ストランド13は輪郭32と全く接触することがない。第二に距離Dと高さHは大きすぎるので繊維ストランド13の集束を実現することができない。
【0025】
加圧ローラー7と16の柔軟なカバーの硬度、及び加圧ローラー7と16の下部ローラー6の圧力に依存して、集束領域14内で繊維ストランド13上に作用する張力は影響されうる。加圧ローラー7上より柔らかいカバーを加圧ローラー16に使用する繊維ストランド13内に小さな張力が発生されることができ、この張力が集束工程を改善することができる。わずかな小さな引張応力を受ける繊維ストランド13は集束領域14内で最短可能距離をとる傾向を持つ。繊維ストランド13は案内表面29の偏向縁33上及び軽い張力下の案内表面30の偏向縁34上で堆積され、かつ最適に集束される。二つのニップライン12と15の間の距離はできるだけ短く、特に繊維ストランド13のステープル繊維の平均繊維長より短い。ニップライン15とニップライン12の間の距離を減らすために、加圧ローラー16の直径が減らされることができる。小さな直径を持つ加圧ローラー16の有効寿命が過度に短くならないために、かつ繊維ストランドが加圧ローラー16の周りに巻き付くのを防ぐために、保護エプロン35が図1に示すように加圧ローラー16に配置されることができる。保護エプロン35は案内及び/または張力装置36を介して加圧ローラー16をループ状に囲みかつ加圧ローラー上に案内され、この装置36はまた加圧ローラー集合体21に付与されることができる。
【0026】
本発明の一実施態様(図示せず)において、二つの示された案内表面29と30より多い案内表面を適用することが有利でありうる。追加の案内表面により、繊維ストランド13のジグザグ偏向が延ばされることができ、このようにして集束工程が改善されることができる。繊維材料に依存して、かつ特に集束領域14内の低レベルの張力の場合に、繊維ストランド13を集束するための偏向縁34を持つ唯一の案内表面30を適用することで十分であることができる。特に一つの案内表面30の場合、輸送方向Aからの繊維ストランドの偏向時に起こる巻き込みが繊維ストランド13を集束するのに有利であるように使用されることができる。繊維ストランド13の縦軸周りのわずかな巻き込み運動は、繊維ストランド13が輸送方向Aに対して横断的に斜めに配置された案内表面30により変位されるときでさえ、輸送手段19が輸送方向Aに正確に動き続けるので、起こる。
【0027】
集束要素18の一変形例が図5に示されており、それは二重撚糸37の製造で使用される。二重撚糸37の製造では、二つの繊維ストランド13が一つのドラフト装置1内で互いに別個にドラフトされ、かつ集束領域14を通して別個に案内される。ニップライン15の下流で、二つの繊維ストランド13は共有撚り装置に供給され、二重撚糸37に紡績される。二重撚糸37のための集束要素18内の集束するための手段28は原則として上述の単一の繊維ストランド13と同一に組立てられる。同じ参照番号は同じ部品を示す。全ての詳細のくり返しの説明は従ってこの点で省略される。二重撚糸37のための集束要素部18は好ましくは各繊維ストランド13のための二つの案内表面29,30を含む。二つの繊維ストランド13のための案内表面29,30は有利には互いに鏡対称的に、すなわちニップライン12からニップライン15への二つの繊維ストランド13の距離が減らされるような方式で、配置される。二つの繊維ストランド13はニップライン15でそれらの間に非常に短い距離のみを持つべきであり、この距離は二つの集束された繊維ストランド13を離して保持するのに十分なものである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明による集束要素を持つドラフト装置の部分断面側面図である。
【図2】上部ローラーが省かれた図1のドラフト装置の矢印IIの方向の概略的な上面図である。
【図3】集束要素の図1の矢印IIIの方向の大きく拡大された図である。
【図4】図3の断面IV−IVに沿った集束要素の断面図である。
【図5】二重撚糸のための集束要素の変更例の図3と同様の図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動可能な下部ローラー(6)を含むステープル繊維をドラフトするためのドラフト装置(1)であって、下部ローラー(6)は二つの上部ローラー(7,16)に割り当てられており、更に二つの上部ローラー(7,16)間の集束領域(14)においてドラフト装置(1)でドラフトされた繊維ストランド(13)を集束するための機械的手段(28)が設けられており、更に集束領域(14)において集束される繊維ストランド(13)を支持するための輸送手段(19)が二つの上部ローラー(7,16)のニップライン(12,15)間に設けられているものにおいて、集束するための手段(28)が少なくとも一つの案内表面(29,30)を含み、それにより繊維ストランド(13)が下部ローラー(6)の軸方向にその輸送方向(A)から少なくともその幅(F)の量だけ偏向可能であることを特徴とするドラフト装置。
【請求項2】
集束するための手段(28)が少なくとも二つの案内表面(29,30)を含み、それらの間の最小距離(D)が集束された繊維ストランド(13)の幅(E)より大きいことを特徴とする請求項1に記載のドラフト装置。
【請求項3】
二つの案内表面(29,30)のそれぞれが繊維ストランド(13)の対向する側に配置され、繊維ストランド(13)が案内表面(29,30)から順々にその輸送方向(A)から下部ローラー(6)の異なる軸方向に偏向可能であることを特徴とする請求項1または2に記載のドラフト装置。
【請求項4】
集束するための手段(28)がドラフト装置(1)のあや振り装置(24)と結合されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載のドラフト装置。
【請求項5】
少なくとも一つの上部ローラー(7,16)が保護エプロン(35)によりループ状に囲まれていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載のドラフト装置。
【請求項6】
ステープル繊維をドラフトするドラフト装置(1)のための集束要素(18)であって、前記集束要素(18)が、ドラフト装置(1)の下部ローラー(6)のための内丸シリンダー形状の支持表面(20)を含み、かつドラフト装置(1)でドラフトされた繊維ストランドを集束するための機械的手段(28)を含み、集束するための手段(28)が互いにある距離の少なくとも二つの案内表面(29,30)を含み、これらの案内表面が支持表面(20)に接しているものにおいて、二つの案内表面(29,30)が、シリンダー形状の支持表面(20)の円周方向に見たとき、互いにある距離(C)にあることを特徴とする集束要素。
【請求項7】
想像上の円周方向線(31)がシリンダー形状の支持表面(20)に存在し、この線が二つの案内表面(29,30)により交差されることを特徴とする請求項6に記載の集束要素。
【請求項8】
円周方向線(31)が、対向する側から二つの案内表面(29,30)により交差されることを特徴とする請求項7に記載の集束要素。
【請求項9】
二つの案内表面(29,30)間の最小距離(D)が集束要素(18)により集束された繊維ストランド(13)の幅(E)より大きいことを特徴とする請求項6から8のいずれか一つに記載の集束要素。
【請求項10】
二つの案内表面(29,30)の高さ(H)が、集束要素(18)によって集束された繊維ストランド(13)の幅(E)より大きいことを特徴とする請求項6から9のいずれか一つに記載の集束要素。
【請求項11】
請求項6から10のいずれか一つに記載の多数の繊維ストランドからの二重撚糸の製造のための集束要素において、少なくとも二つの案内表面(29,30)が各繊維ストランド(13)のために設けられていることを特徴とする集束要素。
【請求項12】
少なくともシリンダー形状の支持表面(20)が複合材料からなることを特徴とする請求項6から11のいずれか一つに記載の集束要素。
【請求項13】
複合材料がプラスチック及び/またはガラス繊維を含むことを特徴とする請求項12に記載の集束要素。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−190107(P2008−190107A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−20751(P2008−20751)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(590005597)マシーネンファブリク リーター アクチェンゲゼルシャフト (93)
【氏名又は名称原語表記】Maschinenfabrik Rieter AG
【住所又は居所原語表記】Klosterstrasse 20,CH−8406 Winterthur,Switzerland
【Fターム(参考)】