集熱パネルまたは集熱・集光パネル
【課題】本願は、屋根材付き太陽光発電パネルに組み合わせることができ、集熱効率の高い集熱パネルまたは集熱・集光パネルを提供することを目的とする。
【解決手段】集熱パネルは、透光板と、断熱材と、四方に取り付けられた枠体とから成っており、透光板と断熱材との間に集熱空間が形成されている。集熱・集光パネルは、透光板と、断熱材と、該断熱材の上に設置されたソーラーセルと、四方に取り付けられた枠体とから成っており、透光板とソーラーセルとの間に集熱空間が形成されている。これらの集熱パネル及び集熱・集光パネルの枠体の水下側には水下嵌合部が形成されており、集熱空間と屋根材の谷部とは、通気口によって連通している。
【解決手段】集熱パネルは、透光板と、断熱材と、四方に取り付けられた枠体とから成っており、透光板と断熱材との間に集熱空間が形成されている。集熱・集光パネルは、透光板と、断熱材と、該断熱材の上に設置されたソーラーセルと、四方に取り付けられた枠体とから成っており、透光板とソーラーセルとの間に集熱空間が形成されている。これらの集熱パネル及び集熱・集光パネルの枠体の水下側には水下嵌合部が形成されており、集熱空間と屋根材の谷部とは、通気口によって連通している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋根材付き太陽光発電パネルに組み合わせて取り付けることができる、太陽熱利用を行う集熱パネルおよび太陽熱利用と太陽光発電を同時に行うことができる集熱・集光パネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来技術について、図8および図9により説明する。図8および図9は、特許第2699301号に記載されていた技術である。
その明細書には、太陽電池からなる太陽電池部と空気の流路を有する集熱部との組み合わせ屋根構造にあって、太陽電池部は、太陽電池と支持部材と樋状の排水板とからなり、太陽電池と排水板との間に空間が形成され、集熱部は、透光板と支持部材と樋状の排水板とからなり、透光板と排水板との間に空気の流路が形成され、集熱部が太陽電池部より棟側に位置する様に敷設し、太陽電池部の空間と集熱部の空気の流路とが連通する流通空間を形成させ、流通空間の軒先側に吸気口を、棟側にダクトを設けてなることを特徴とする組み合わせ屋根構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2699301号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記の屋根構造の場合には、図8の通り、左右を取付部材によって固定している。そして、図9の通り、軒棟方向は、棟側接続部材を軒側接続部材に組み合わせて固定している。それぞれの接続部材は、単なる連結と、上面を略同一にする機能とを果たすのみであった。
このため、それぞれの接続部材同士の接続は意匠性を高める効果はあるものの、負圧に耐えうるような強度がないために左右を取付部材によって固定することが必要になり、施工に手間がかかった。
出願人は、特願2011−507486「屋根材付き太陽光発電パネル及び屋根材付き軒先材」にて、山部と谷部とを有する屋根材に太陽光発電パネルを一体化した技術を出願している。この出願は、施工を簡素化するとともに、軒棟方向に連通する空間を設けることによって、軒側から棟側への通気能力向上を実現させるものであった。しかし、この通気能力の高い「屋根材付き太陽光発電パネル及び屋根材付き軒先材」に、図8および図9の技術を応用して施工することができないという課題があった。
【0005】
本願は、屋根材付き太陽光発電パネルに組み合わせることができ、施工しやすい集熱パネルおよび集熱・集光パネルを提供することを目的とする。
また、それに加えて、前記屋根材付き太陽光発電パネルにおいて、前記空間から通気口を通じて集熱空間に暖気を流通させることによって、集熱効率を向上させる集熱パネルを提供することを目的とする。
さらに、集熱パネルの機能に加えて、集光機能も備えたパネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願で用いる集熱パネルは、透光板と、断熱材と、四方に取り付けられた枠体とから成っており、透光板と断熱材との間に集熱空間が形成されている。枠体の水下側には水下嵌合部が形成されている。また、集熱空間と下段の屋根材付き太陽光発電パネルの屋根材の谷部とを連通する通気口が形成されていることを特徴とする。
【0007】
本願で用いる集熱・集光パネルは、透光板と、断熱材と、断熱材の上に設置されたソーラーセルと、四方に取り付けられた枠体とから成っており、透光板とソーラーセルとの間に集熱空間が形成されている。枠体の水下側には水下嵌合部が形成されている。また、集熱空間と下段の屋根材付き太陽光発電パネルの屋根材の谷部とを連通する通気口が形成されていることを特徴とする。
【0008】
本願の集熱パネルおよび集熱・集光パネルは、屋根材付き太陽光発電パネルに組み合わせられるものである。
本願の集熱パネルまたは集熱・集光パネルと組み合わせられる屋根材付き太陽光発電パネルは、太陽光発電パネルと屋根材とが一体化されたものである。太陽光発電パネルは、モジュール本体とその四方に取り付けられた枠体とから成っている。枠体の水上側には水上嵌合部が形成されており、その水上嵌合部と屋根材とで形成される空間に上段の集熱パネルまたは集熱・集光パネルの水下嵌合部が嵌合する形状である。屋根材は、山部と谷部とを有しており、軒棟方向に連通する空間が形成されている。軒棟方向に屋根材付き太陽光発電パネルと集熱パネルまたは集熱・集光パネルとが組み合わせられたときに、屋根材付き太陽光発電パネルの水上嵌合部に、集熱パネルまたは集熱・集光パネルの水下嵌合部が嵌合され、屋根材谷部を流通する空気が通気口から集熱空間に流通することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
下段の屋根材付き太陽光発電パネルの水上嵌合部と上段の集熱パネルまたは集熱・集光パネルの水下嵌合部を嵌合させる仕組みとすることによって接続する強度が高まり、取付部材等を減らすことができ、容易に施工することができる。
また、下段に設置される屋根材付き太陽光発電パネルの谷部と連通する通気口が集熱パネルまたは集熱・集光パネルに形成されている。それにより、暖められた空気が、集熱パネルまたは集熱・集光パネルの通気口から集熱空間に流通することによって、従来よりも集熱効率を向上させることができる。
さらに、集熱パネルの機能に加えて、集光機能も備えた集熱・集光パネルとすることができる。そのような集熱・集光パネルを太陽光発電パネルに組み合わせることによって、集熱パネルを太陽光発電パネルに組み合わせて設置するのに比べて発電量を増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に用いられる集熱パネル1の実施例の説明図である。
【図2】本発明に用いられる集熱・集光パネル2の実施例の説明図である。
【図3】本発明に用いられる屋根材付き太陽光発電パネルの屋根材の実施例の説明図である。
【図4A】本発明に用いられる屋根材付き太陽光発電パネルの太陽光発電パネルの実施例の説明図である。
【図4B】本発明に用いられる屋根材付き太陽光発電パネルの太陽光発電パネルの実施例の説明図である。
【図5】本発明に用いられる屋根材付き太陽光発電パネルの実施例の平面図である。
【図6】本発明の実施例の集熱パネルの取り付け状態を示す説明図であり、軒棟方向の断面図である。
【図7】本発明の実施例の集熱・集光パネルの取り付け状態を示す説明図であり、軒棟方向の断面図である。
【図8】従来技術の説明図である。
【図9】従来技術の説明図である。
【実施例】
【0011】
本願の集熱パネル1および集熱・集光パネル2の実施例について、図1から図2により説明する。図1は、集熱パネル1の実施例の軒棟方向の断面図である。図2は、集熱・集光パネル2の実施例の軒棟方向の断面図である。
また、本願の集熱パネル1または集熱・集光パネル2が組み合わせられる屋根材付き太陽光発電モジュールAの実施例について、図3から図5により説明する。図3は、屋根材3の実施例の説明図である。図4Aおよび図4Bは、太陽光発電パネル4の実施例の説明図である。図5は、屋根材付き太陽光発電パネルAの説明図である。
【0012】
まず、本願の集熱パネルの実施例について、図1で説明する。
図1に示した通り、集熱パネル1は、透光板12と、断熱材13と、四方に取り付けられた枠体とから成っており、透光板12と断熱材13との間に集熱空間14が形成されている。枠体の水下側には水下嵌合部11が形成されている。また、集熱空間14と下段の屋根材付き太陽光発電パネルの屋根材の谷部とを連通する通気口15が形成されている。
透光板12とは、強化ガラス板などを指す。
水下嵌合部11は、水下側枠体を変形させて形成したものでもよいし、水下側枠体に別体として取り付けたものでもよい。
また、集熱パネル1の水上側の形状は問わない。後述する屋根材付き太陽光発電パネルAに形成されているような水上嵌合部を集熱パネル1の水上側に設けて、水下嵌合部を有する化粧パネルを組み合わせてもよい。さらに、水上側枠体に下地材への取り付け部を形成してもよい。
【0013】
次に、本願の集熱・集光パネルの実施例について、図2で説明する。
図2に示した通り、集熱・集光パネル2は、透光板22と、断熱材23と、断熱材の上に設置されたソーラーセル26と、四方に取り付けられた枠体とから成っており、透光板22とソーラーセル26との間に集熱空間24が形成されている。枠体の水下側には水下嵌合部21が形成されている。また、集熱空間24と下段の屋根材付き太陽光発電パネルの屋根材の谷部とを連通する通気口25が形成されている。
透光板22とは、強化ガラス板などを指す。
水下嵌合部21は、水下側枠体を変形させて形成したものでもよいし、水下側枠体に別体として取り付けたものでもよい。
また、集熱・集光パネル2の水上側の形状は問わない。後述する屋根材付き太陽光発電パネルAに形成されているような水上嵌合部を集熱・集光パネル2の水上側に設けて、水下嵌合部を有する化粧パネルを組み合わせてもよい。さらに、水上側枠体に下地材への取り付け部を形成してもよい。
【0014】
次に、本願の集熱パネル1または集熱・集光パネル2が組み合わせられる屋根材付き太陽光発電パネルAの実施例について説明する。図3の屋根材3と、図4Aおよび図4Bの太陽光発電パネル4とを組み合わせ、図5のように一体化した屋根材付き太陽光発電パネルAの例で説明する。これらは、出願人が、特願2011−507486「屋根材付き太陽光発電パネル及び屋根材付き軒先材」にて、山部と谷部とを有する屋根材に太陽光発電パネルを一体化した技術を出願したものである。
図3に示した通り、屋根材3は、山部31と谷部32とを交互に形成したものであり、軒棟方向に連通する空間を有している。山部31と谷部32とを交互に形成した波状のものでもよいし、谷部32を広くした形状または、谷部32を狭くした形状でもよい。
図4Aおよび図4Bに示した通り、太陽光発電パネル4は、モジュール本体43と、その四方に取り付けられた枠体とから成っており、枠体の水上側には水上嵌合部42が形成されている。水上嵌合部42は、水上側枠体を変形させて形成したものでもよいし、水上側枠体に別体として取り付けたものでもよい。なお、本実施例のように水下側に水下嵌合部41が形成されたものでもよい。水下嵌合部41は、水下側枠体を変形させて形成したものでもよいし、水下側枠体に別体として取り付けたものでもよい。屋根材付き太陽光発電パネルAの水上嵌合部42は、それと屋根材3とで形成される空間に、上段の屋根材付き太陽光発電パネルAまたは集熱パネル1または集熱・集光パネル2の水下嵌合部11・21・41が嵌合する形状に形成されている。
図5に示した通り、屋根材3の山部31の裏面側から太陽光発電パネル4の枠体に止着具Cを打ち込んで、枠体と屋根材3とが一体化されている。
【0015】
次に、図6および図7により、集熱パネル1および集熱・集光パネル2の取り付け状態について説明する。図6は、本発明の実施例の集熱パネル1の取り付け状態を示す説明図である。図7は、本発明の実施例の集熱・集光パネル2の取り付け状態を示す説明図である。
【0016】
図6および図7に示す通り、取り付け状態については、集熱パネル1でも集熱・集光パネル2でも同様である。本願の集熱パネル1または集熱・集光パネル2と組み合わせられる屋根材付き太陽光発電パネルAは、軒棟方向は水下側から水上側に向かって取り付けていく。まず、最も水下側の屋根材付き太陽光発電パネルAを、止着部33に止着具を打ち込んで下地材に固定する。
そして、固定した屋根材付き太陽光発電パネルAの水上嵌合部42に、上段の太陽光発電パネル4の水下嵌合部41を嵌合させて止着部33に止着具を打ち込んで下地材に固定する、というように施工を繰り返していき、最も水上側に集熱パネル1または集熱・集光パネル2を取り付ける。その場合、下段の屋根材付き太陽光発電パネルAの水上嵌合部41に上段の集熱パネル1または集熱・集光パネル2の水下嵌合部11・21を嵌合させる。
このように、軒棟方向に屋根材付き太陽光発電パネルAと集熱パネル1または集熱・集光パネル2が組み合わせられたときに、下段の屋根材付き太陽光発電パネルAの谷部32を流通する暖められた空気が、屋根材3の軒棟方向に連通する空間から通気口15・25を通じて集熱空間14・24に流通する。そうすることによって、集熱効率が向上する。
【0017】
本実施例の場合には、屋根材付き太陽光発電パネルAと集熱パネル1または集熱・集光パネル2とが軒棟方向に組み合わせられたときに、下段の屋根材付き太陽光発電パネルAの止着部33の上に、上段の集熱パネル1または集熱・集光パネル2がかぶるように設計されており、止着部33は露出しない。従って、防水性の高い構造であり、軒棟方向に組み合わせられた屋根材付き太陽光発電パネルAと集熱パネル1または集熱・集光パネル2の間の目地キャップや、目地キャップを止める金具は不要である。
【0018】
これまで、集熱パネル1および集熱・集光パネル2は、下地材の上に直接載せて施工した例で説明した。しかし、既存の屋根の上に施工してもよい。
【0019】
そのほか、集熱パネル1または集熱・集光パネル2の下に屋根材3を一体化した屋根材付き集熱パネルまたは屋根材付き集熱・集光パネルとしてもよい。その場合は、屋根材3の山部31から集熱パネル1または集熱・集光パネル2の枠体に裏面側から止着具を打ち込んで枠体と屋根材3を一体化しておく。
【符号の説明】
【0020】
1 集熱パネル
11 水下嵌合部
12 透光板
13 断熱材
14 集熱空間
15 通気口
2 集熱・集光パネル
21 水下嵌合部
22 透光板
23 断熱材
24 集熱空間
25 通気口
26 ソーラーセル
3 屋根材
31 山部
32 谷部
33 止着部
4 太陽光発電パネル
41 水下嵌合部
42 水上嵌合部
43 モジュール本体
A 屋根材付き太陽光発電パネル
C 止着具
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋根材付き太陽光発電パネルに組み合わせて取り付けることができる、太陽熱利用を行う集熱パネルおよび太陽熱利用と太陽光発電を同時に行うことができる集熱・集光パネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来技術について、図8および図9により説明する。図8および図9は、特許第2699301号に記載されていた技術である。
その明細書には、太陽電池からなる太陽電池部と空気の流路を有する集熱部との組み合わせ屋根構造にあって、太陽電池部は、太陽電池と支持部材と樋状の排水板とからなり、太陽電池と排水板との間に空間が形成され、集熱部は、透光板と支持部材と樋状の排水板とからなり、透光板と排水板との間に空気の流路が形成され、集熱部が太陽電池部より棟側に位置する様に敷設し、太陽電池部の空間と集熱部の空気の流路とが連通する流通空間を形成させ、流通空間の軒先側に吸気口を、棟側にダクトを設けてなることを特徴とする組み合わせ屋根構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2699301号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記の屋根構造の場合には、図8の通り、左右を取付部材によって固定している。そして、図9の通り、軒棟方向は、棟側接続部材を軒側接続部材に組み合わせて固定している。それぞれの接続部材は、単なる連結と、上面を略同一にする機能とを果たすのみであった。
このため、それぞれの接続部材同士の接続は意匠性を高める効果はあるものの、負圧に耐えうるような強度がないために左右を取付部材によって固定することが必要になり、施工に手間がかかった。
出願人は、特願2011−507486「屋根材付き太陽光発電パネル及び屋根材付き軒先材」にて、山部と谷部とを有する屋根材に太陽光発電パネルを一体化した技術を出願している。この出願は、施工を簡素化するとともに、軒棟方向に連通する空間を設けることによって、軒側から棟側への通気能力向上を実現させるものであった。しかし、この通気能力の高い「屋根材付き太陽光発電パネル及び屋根材付き軒先材」に、図8および図9の技術を応用して施工することができないという課題があった。
【0005】
本願は、屋根材付き太陽光発電パネルに組み合わせることができ、施工しやすい集熱パネルおよび集熱・集光パネルを提供することを目的とする。
また、それに加えて、前記屋根材付き太陽光発電パネルにおいて、前記空間から通気口を通じて集熱空間に暖気を流通させることによって、集熱効率を向上させる集熱パネルを提供することを目的とする。
さらに、集熱パネルの機能に加えて、集光機能も備えたパネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願で用いる集熱パネルは、透光板と、断熱材と、四方に取り付けられた枠体とから成っており、透光板と断熱材との間に集熱空間が形成されている。枠体の水下側には水下嵌合部が形成されている。また、集熱空間と下段の屋根材付き太陽光発電パネルの屋根材の谷部とを連通する通気口が形成されていることを特徴とする。
【0007】
本願で用いる集熱・集光パネルは、透光板と、断熱材と、断熱材の上に設置されたソーラーセルと、四方に取り付けられた枠体とから成っており、透光板とソーラーセルとの間に集熱空間が形成されている。枠体の水下側には水下嵌合部が形成されている。また、集熱空間と下段の屋根材付き太陽光発電パネルの屋根材の谷部とを連通する通気口が形成されていることを特徴とする。
【0008】
本願の集熱パネルおよび集熱・集光パネルは、屋根材付き太陽光発電パネルに組み合わせられるものである。
本願の集熱パネルまたは集熱・集光パネルと組み合わせられる屋根材付き太陽光発電パネルは、太陽光発電パネルと屋根材とが一体化されたものである。太陽光発電パネルは、モジュール本体とその四方に取り付けられた枠体とから成っている。枠体の水上側には水上嵌合部が形成されており、その水上嵌合部と屋根材とで形成される空間に上段の集熱パネルまたは集熱・集光パネルの水下嵌合部が嵌合する形状である。屋根材は、山部と谷部とを有しており、軒棟方向に連通する空間が形成されている。軒棟方向に屋根材付き太陽光発電パネルと集熱パネルまたは集熱・集光パネルとが組み合わせられたときに、屋根材付き太陽光発電パネルの水上嵌合部に、集熱パネルまたは集熱・集光パネルの水下嵌合部が嵌合され、屋根材谷部を流通する空気が通気口から集熱空間に流通することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
下段の屋根材付き太陽光発電パネルの水上嵌合部と上段の集熱パネルまたは集熱・集光パネルの水下嵌合部を嵌合させる仕組みとすることによって接続する強度が高まり、取付部材等を減らすことができ、容易に施工することができる。
また、下段に設置される屋根材付き太陽光発電パネルの谷部と連通する通気口が集熱パネルまたは集熱・集光パネルに形成されている。それにより、暖められた空気が、集熱パネルまたは集熱・集光パネルの通気口から集熱空間に流通することによって、従来よりも集熱効率を向上させることができる。
さらに、集熱パネルの機能に加えて、集光機能も備えた集熱・集光パネルとすることができる。そのような集熱・集光パネルを太陽光発電パネルに組み合わせることによって、集熱パネルを太陽光発電パネルに組み合わせて設置するのに比べて発電量を増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に用いられる集熱パネル1の実施例の説明図である。
【図2】本発明に用いられる集熱・集光パネル2の実施例の説明図である。
【図3】本発明に用いられる屋根材付き太陽光発電パネルの屋根材の実施例の説明図である。
【図4A】本発明に用いられる屋根材付き太陽光発電パネルの太陽光発電パネルの実施例の説明図である。
【図4B】本発明に用いられる屋根材付き太陽光発電パネルの太陽光発電パネルの実施例の説明図である。
【図5】本発明に用いられる屋根材付き太陽光発電パネルの実施例の平面図である。
【図6】本発明の実施例の集熱パネルの取り付け状態を示す説明図であり、軒棟方向の断面図である。
【図7】本発明の実施例の集熱・集光パネルの取り付け状態を示す説明図であり、軒棟方向の断面図である。
【図8】従来技術の説明図である。
【図9】従来技術の説明図である。
【実施例】
【0011】
本願の集熱パネル1および集熱・集光パネル2の実施例について、図1から図2により説明する。図1は、集熱パネル1の実施例の軒棟方向の断面図である。図2は、集熱・集光パネル2の実施例の軒棟方向の断面図である。
また、本願の集熱パネル1または集熱・集光パネル2が組み合わせられる屋根材付き太陽光発電モジュールAの実施例について、図3から図5により説明する。図3は、屋根材3の実施例の説明図である。図4Aおよび図4Bは、太陽光発電パネル4の実施例の説明図である。図5は、屋根材付き太陽光発電パネルAの説明図である。
【0012】
まず、本願の集熱パネルの実施例について、図1で説明する。
図1に示した通り、集熱パネル1は、透光板12と、断熱材13と、四方に取り付けられた枠体とから成っており、透光板12と断熱材13との間に集熱空間14が形成されている。枠体の水下側には水下嵌合部11が形成されている。また、集熱空間14と下段の屋根材付き太陽光発電パネルの屋根材の谷部とを連通する通気口15が形成されている。
透光板12とは、強化ガラス板などを指す。
水下嵌合部11は、水下側枠体を変形させて形成したものでもよいし、水下側枠体に別体として取り付けたものでもよい。
また、集熱パネル1の水上側の形状は問わない。後述する屋根材付き太陽光発電パネルAに形成されているような水上嵌合部を集熱パネル1の水上側に設けて、水下嵌合部を有する化粧パネルを組み合わせてもよい。さらに、水上側枠体に下地材への取り付け部を形成してもよい。
【0013】
次に、本願の集熱・集光パネルの実施例について、図2で説明する。
図2に示した通り、集熱・集光パネル2は、透光板22と、断熱材23と、断熱材の上に設置されたソーラーセル26と、四方に取り付けられた枠体とから成っており、透光板22とソーラーセル26との間に集熱空間24が形成されている。枠体の水下側には水下嵌合部21が形成されている。また、集熱空間24と下段の屋根材付き太陽光発電パネルの屋根材の谷部とを連通する通気口25が形成されている。
透光板22とは、強化ガラス板などを指す。
水下嵌合部21は、水下側枠体を変形させて形成したものでもよいし、水下側枠体に別体として取り付けたものでもよい。
また、集熱・集光パネル2の水上側の形状は問わない。後述する屋根材付き太陽光発電パネルAに形成されているような水上嵌合部を集熱・集光パネル2の水上側に設けて、水下嵌合部を有する化粧パネルを組み合わせてもよい。さらに、水上側枠体に下地材への取り付け部を形成してもよい。
【0014】
次に、本願の集熱パネル1または集熱・集光パネル2が組み合わせられる屋根材付き太陽光発電パネルAの実施例について説明する。図3の屋根材3と、図4Aおよび図4Bの太陽光発電パネル4とを組み合わせ、図5のように一体化した屋根材付き太陽光発電パネルAの例で説明する。これらは、出願人が、特願2011−507486「屋根材付き太陽光発電パネル及び屋根材付き軒先材」にて、山部と谷部とを有する屋根材に太陽光発電パネルを一体化した技術を出願したものである。
図3に示した通り、屋根材3は、山部31と谷部32とを交互に形成したものであり、軒棟方向に連通する空間を有している。山部31と谷部32とを交互に形成した波状のものでもよいし、谷部32を広くした形状または、谷部32を狭くした形状でもよい。
図4Aおよび図4Bに示した通り、太陽光発電パネル4は、モジュール本体43と、その四方に取り付けられた枠体とから成っており、枠体の水上側には水上嵌合部42が形成されている。水上嵌合部42は、水上側枠体を変形させて形成したものでもよいし、水上側枠体に別体として取り付けたものでもよい。なお、本実施例のように水下側に水下嵌合部41が形成されたものでもよい。水下嵌合部41は、水下側枠体を変形させて形成したものでもよいし、水下側枠体に別体として取り付けたものでもよい。屋根材付き太陽光発電パネルAの水上嵌合部42は、それと屋根材3とで形成される空間に、上段の屋根材付き太陽光発電パネルAまたは集熱パネル1または集熱・集光パネル2の水下嵌合部11・21・41が嵌合する形状に形成されている。
図5に示した通り、屋根材3の山部31の裏面側から太陽光発電パネル4の枠体に止着具Cを打ち込んで、枠体と屋根材3とが一体化されている。
【0015】
次に、図6および図7により、集熱パネル1および集熱・集光パネル2の取り付け状態について説明する。図6は、本発明の実施例の集熱パネル1の取り付け状態を示す説明図である。図7は、本発明の実施例の集熱・集光パネル2の取り付け状態を示す説明図である。
【0016】
図6および図7に示す通り、取り付け状態については、集熱パネル1でも集熱・集光パネル2でも同様である。本願の集熱パネル1または集熱・集光パネル2と組み合わせられる屋根材付き太陽光発電パネルAは、軒棟方向は水下側から水上側に向かって取り付けていく。まず、最も水下側の屋根材付き太陽光発電パネルAを、止着部33に止着具を打ち込んで下地材に固定する。
そして、固定した屋根材付き太陽光発電パネルAの水上嵌合部42に、上段の太陽光発電パネル4の水下嵌合部41を嵌合させて止着部33に止着具を打ち込んで下地材に固定する、というように施工を繰り返していき、最も水上側に集熱パネル1または集熱・集光パネル2を取り付ける。その場合、下段の屋根材付き太陽光発電パネルAの水上嵌合部41に上段の集熱パネル1または集熱・集光パネル2の水下嵌合部11・21を嵌合させる。
このように、軒棟方向に屋根材付き太陽光発電パネルAと集熱パネル1または集熱・集光パネル2が組み合わせられたときに、下段の屋根材付き太陽光発電パネルAの谷部32を流通する暖められた空気が、屋根材3の軒棟方向に連通する空間から通気口15・25を通じて集熱空間14・24に流通する。そうすることによって、集熱効率が向上する。
【0017】
本実施例の場合には、屋根材付き太陽光発電パネルAと集熱パネル1または集熱・集光パネル2とが軒棟方向に組み合わせられたときに、下段の屋根材付き太陽光発電パネルAの止着部33の上に、上段の集熱パネル1または集熱・集光パネル2がかぶるように設計されており、止着部33は露出しない。従って、防水性の高い構造であり、軒棟方向に組み合わせられた屋根材付き太陽光発電パネルAと集熱パネル1または集熱・集光パネル2の間の目地キャップや、目地キャップを止める金具は不要である。
【0018】
これまで、集熱パネル1および集熱・集光パネル2は、下地材の上に直接載せて施工した例で説明した。しかし、既存の屋根の上に施工してもよい。
【0019】
そのほか、集熱パネル1または集熱・集光パネル2の下に屋根材3を一体化した屋根材付き集熱パネルまたは屋根材付き集熱・集光パネルとしてもよい。その場合は、屋根材3の山部31から集熱パネル1または集熱・集光パネル2の枠体に裏面側から止着具を打ち込んで枠体と屋根材3を一体化しておく。
【符号の説明】
【0020】
1 集熱パネル
11 水下嵌合部
12 透光板
13 断熱材
14 集熱空間
15 通気口
2 集熱・集光パネル
21 水下嵌合部
22 透光板
23 断熱材
24 集熱空間
25 通気口
26 ソーラーセル
3 屋根材
31 山部
32 谷部
33 止着部
4 太陽光発電パネル
41 水下嵌合部
42 水上嵌合部
43 モジュール本体
A 屋根材付き太陽光発電パネル
C 止着具
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根材付き太陽光発電パネルに組み合わせられる
集熱パネルまたは集熱・集光パネルであって、
前記屋根材付き太陽光発電パネルは、
山部および谷部が形成された屋根材と
太陽光発電パネルとが一体化されており、
該太陽光発電パネルは、
モジュール本体とその四方に取り付けられた枠体とから成っており、
該枠体の水上側には水上嵌合部が形成されており、
前記集熱パネルは、
透光板と、断熱材と、四方に取り付けられた枠体とを有しており、
該枠体の水下側には水下嵌合部が形成されており、
透光板と断熱材との間に集熱空間が形成されており、
該集熱空間と前記屋根材の谷部とは、
通気口によって連通しており、
前記集熱・集光パネルは、
透光板と、断熱材と、該断熱材の上に設置されたソーラーセルと、
四方に取り付けられた枠体とを有しており、
該枠体の水下側には水下嵌合部が形成されており、
透光板とソーラーセルとの間に集熱空間が形成されており、
該集熱空間と前記屋根材の谷部とは、
通気口によって連通しており、
軒棟方向に屋根材付き太陽光発電パネルと集熱パネルまたは集熱・集光パネルが組み合わせられたときに、
屋根材付き太陽光発電パネル の 水上嵌合部に、
前記集熱パネルまたは前記集熱・集光パネルの水下嵌合部が嵌合されており、
屋根材付き太陽光発電パネルの屋根材谷部を流通する暖気が通気口から集熱空間に流通する
ことを特徴とする集熱パネルまたは集熱・集光パネル。
【請求項1】
屋根材付き太陽光発電パネルに組み合わせられる
集熱パネルまたは集熱・集光パネルであって、
前記屋根材付き太陽光発電パネルは、
山部および谷部が形成された屋根材と
太陽光発電パネルとが一体化されており、
該太陽光発電パネルは、
モジュール本体とその四方に取り付けられた枠体とから成っており、
該枠体の水上側には水上嵌合部が形成されており、
前記集熱パネルは、
透光板と、断熱材と、四方に取り付けられた枠体とを有しており、
該枠体の水下側には水下嵌合部が形成されており、
透光板と断熱材との間に集熱空間が形成されており、
該集熱空間と前記屋根材の谷部とは、
通気口によって連通しており、
前記集熱・集光パネルは、
透光板と、断熱材と、該断熱材の上に設置されたソーラーセルと、
四方に取り付けられた枠体とを有しており、
該枠体の水下側には水下嵌合部が形成されており、
透光板とソーラーセルとの間に集熱空間が形成されており、
該集熱空間と前記屋根材の谷部とは、
通気口によって連通しており、
軒棟方向に屋根材付き太陽光発電パネルと集熱パネルまたは集熱・集光パネルが組み合わせられたときに、
屋根材付き太陽光発電パネル の 水上嵌合部に、
前記集熱パネルまたは前記集熱・集光パネルの水下嵌合部が嵌合されており、
屋根材付き太陽光発電パネルの屋根材谷部を流通する暖気が通気口から集熱空間に流通する
ことを特徴とする集熱パネルまたは集熱・集光パネル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2012−197614(P2012−197614A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−62941(P2011−62941)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000129079)株式会社カナメ (14)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000129079)株式会社カナメ (14)
【Fターム(参考)】
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