説明

集積回路装置及び電子機器

【課題】 点灯持続時間に応じた駆動電圧の印加時間を容易に調整可能な集積回路装置等の提供。
【解決手段】 集積回路装置は、電気光学パネルのセグメント電極に供給される駆動電圧を出力端子に出力する駆動電圧出力部10と、表示データ記憶部と、第1の表示状態から第2の表示状態に変化する際の駆動波形情報と、識別情報とを出力する駆動波形情報出力部とを含む。前記駆動電圧出力部10は、第1の表示データ、第2の表示データ及び前記駆動波形情報によって特定される駆動電圧を、前記駆動波形情報出力部からの前記識別情報が第1の論理である時に前記出力端子に出力し、前記識別情報が第2の論理である時に前記出力端子をハイインピーダンス状態に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集積回路装置及び電子機器等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、EPD(Electrophoretic Display)パネルなどの電気光学パネルを駆動する集積回路装置が知られている。例えばEPDパネルの従来技術としては特許文献1に開示される技術がある。
【0003】
このようなEPDパネル(電気泳動パネル)の駆動では、駆動電圧をシーケンシャルに変化させる場合がある。この場合には、EPDパネルを駆動する表示ドライバー等の集積回路装置は、シーケンシャルに変化する駆動電圧をEPDパネルに供給する。
【0004】
しかしながら、このようなシーケンシャルに変化する駆動電圧の選択指示を、集積回路装置の外部に設けられたMPU等の制御デバイスが実行すると、制御デバイスの処理負荷が重くなってしまう。
【0005】
EPDパネル、ECP(Electrochromics Display)パネル、NCD(Nanochromics Display)パネル等は、電子ペーパーパネルと呼ぶこともできる。電子ペーパーパネル(広義には電気光学パネル)の点灯持続性能(メモリ性能)に依存して、電気光学パネルのセグメント電極に供給される駆動電圧による点灯持続時間は、区々である。また、電気光学パネルの種類等に応じて様々な駆動方式が存在し、点灯持続時間が長ければ駆動電圧の印加を終了し、駆動電圧を出力する駆動回路の出力端子はハイインピーダンス状態に設定する場合がある。この場合、電気光学パネル毎の調整が煩雑であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−53639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の幾つかの態様によれば、点灯持続時間に応じた駆動電圧の印加時間を容易に調整可能な集積回路装置及び電子機器等を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、電気光学パネルのセグメント電極に供給される駆動電圧を出力端子に出力する駆動電圧出力部と、
少なくとも第1の表示データ及び第2の表示データを記憶する表示データ記憶部と、
前記セグメント電極での表示状態が前記第1の表示データに対応する第1の表示状態から前記第2の表示データに対応する第2の表示状態に変化する際の駆動波形情報と、識別情報とを出力する駆動波形情報出力部とを含み、
前記駆動電圧出力部は、
前記表示データ記憶部からの前記第1の表示データ及び前記第2の表示データと前記駆動波形情報出力部からの前記駆動波形情報とによって特定される駆動電圧を、前記駆動波形情報出力部からの前記識別情報が第1の論理である時に前記出力端子に出力し、前記識別情報が第2の論理である時に前記出力端子をハイインピーダンス状態に設定することを特徴とする集積回路装置に関係する。
【0009】
本発明の一態様によれば、駆動電圧出力部は、駆動波形情報だけでなく、識別情報も出力できる。また、識別情報を第1の論理又は第2の論理の何れか一方に設定するだけで、駆動電圧を印加するか、あるいは出力端子をハイインピーダンスとして駆動電圧を非印加とするかを、容易に調整することができる。この場合、例えば電気光学パネルの点灯持続性能(メモリ性能)により、出力端子をハイインピーダンスとして駆動電圧を非印加としても、ハイインピーダンス設定前の電気光学パネルの表示状態は維持される。
【0010】
加えて、第1、第2の表示データと、第1の表示データに対応する第1の表示状態から第2の表示データに対応する第2の表示状態に変化する際の駆動波形情報とにより駆動電圧が特定され、特定された駆動電圧により電気光学パネルが駆動される。このようにすれば、第1の表示状態から第2の表示状態に変化(移行)する際に、駆動電圧を自動的にシーケンシャルに変化させることが可能になり、制御デバイスの処理負荷の軽減等を実現できる。
【0011】
また本発明の一態様では、前記駆動波形情報出力部は、複数の期間で前記駆動波形情報及び前記識別情報を出力してもよく、
前記駆動波形情報は、期間毎に設定されてもよく、
前記識別情報も、期間毎に設定されてもよい。
【0012】
このようにすれば、識別情報は、駆動波形情報とともに、期間毎に自在に設定でき、電気光学パネルの種類等に応じて、様々な波形の駆動波形信号及び識別情報を生成することができる。
【0013】
また本発明の一態様では、前記識別情報は、前記第1の論理が設定された2つの期間に挟まれた1以上の期間で、前記第2の論理に設定されてもよい。
【0014】
このようにすれば、駆動電圧を出力する2つの期間の途中で、出力端子をハイインピーダンス状態に設定することができる。
【0015】
また本発明の一態様では、前記第1の論理及び前記第2の論理は、前記複数の期間の一部で、交互に複数回設定されてもよい。
【0016】
このようにすれば、電気光学パネルの点灯持続性能(メモリ性能)が悪く、点灯持続時間が短い場合等、例えば第1の論理で点灯を引き起こし、第2の論理でその点灯を維持し、再び、点灯及び維持を繰り返すことできる。
【0017】
また本発明の一態様では、前記複数の期間の一部で、前記第1の論理が連続して設定され、その直後に、前記第2の論理が連続して設定されてもよい。
【0018】
このようにすれば、電気光学パネルの点灯持続性能(メモリ性能)が良く、点灯持続時間が長い場合等、例えば第1の論理で点灯を引き起こし、その後は、第2の論理でその点灯を維持し続けることができる。
【0019】
また本発明の一態様では、前記駆動電圧出力部は、前記駆動波形情報と前記識別情報とに基づく論理信号を出力する論理回路を有してもよく、前記駆動波形情報を反映した前記論理信号に基づいて前記出力端子に前記駆動電圧を出力してもよく、前記識別情報を反映した前記論理信号に基づいて前記出力端子をハイインピーダンス状態に設定してもよい。
【0020】
このようにすれば、論理回路で出力端子をハイインピーダンス状態に設定するか否かを制御することができる。
【0021】
また本発明の他の態様は、上記のいずれかに記載の集積回路装置と、前記電気光学パネルとを含む電子機器に関係する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施形態の集積回路装置の構成例。
【図2】図2(A)〜図2(C)は第1、第2の比較例の集積回路装置の説明図。
【図3】本実施形態の集積回路装置の詳細な構成例。
【図4】各I/Oセルに駆動電圧出力部を設ける手法の説明図。
【図5】本実施形態の動作を説明するための駆動波形例。
【図6】図6(A)、図6(B)は駆動波形生成用のレジスター値の設定例。
【図7】本実施形態の動作を説明するための駆動波形例。
【図8】図8(A)、図8(B)は駆動波形生成用のレジスター値の設定例。
【図9】駆動回路の構成例。
【図10】図5の駆動波形の変形例。
【図11】図10の駆動波形生成用のレジスター値の設定例。
【図12】他の駆動波形例。
【図13】更なる他の駆動波形例。
【図14】本実施形態の集積回路装置の第1の変形例。
【図15】本実施形態の集積回路装置の第2の変形例。
【図16】本実施形態の電子機器の構成例。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0024】
1.構成
図1に本実施形態の集積回路装置の構成例を示す。本実施形態の集積回路装置は、電気光学パネル100を駆動するための駆動波形生成機能を有する。具体的には、電気光学パネル100の表示変更の際に必要なシーケンシャルな駆動波形の生成機能を有する。そして駆動波形生成のための波形情報は、例えばプログラマブルな記憶部(不揮発性メモリー、ROM、レジスター等)に格納され、駆動波形生成機能は、このプログラマブルな記憶部に格納される波形情報に基づき実現される。
【0025】
このような駆動波形生成機能を実現するために、本実施形態の集積回路装置は、駆動電圧出力部10、表示データ記憶部20、駆動波形情報出力部30を有する。
【0026】
電気光学パネル100は、電気泳動表示装置(EPD:Electrophoretic Display)のパネルを例にとれば、基板と、対向基板と、基板と対向基板との間に設けられた電気泳動層を含むことができる。電気泳動層(電気泳動シート)は、電気泳動物質を有する多数のマイクロカプセルにより構成される。このマイクロカプセルは、例えば正に帯電した黒色の正帯電粒子(電気泳動物質)と、負に帯電した白色の負帯電粒子(電気泳動物質)を分散液中に分散させ、この分散液を微少なカプセルに封入することで実現される。
【0027】
パッシブ型のEPDパネルを例にとれば、ガラスや透明樹脂により形成される基板には、例えばセグメント電極(駆動電極、画素電極)が設けられる。また、対向基板(電気泳動シート)にはトッププレーン電極(共通電極)が設けられる。なお透明樹脂層に透明な導電材料でトッププレーン電極を形成し、この上に接着剤等を塗布して電気泳動層を接着することで、電気泳動シートを形成してもよい。
【0028】
セグメント電極とトッププレーン電極の間に電界が印加されると、マイクロカプセルに封入された正帯電粒子(黒色)及び負帯電粒子(白色)には、その帯電の正負に応じた方向に静電気力が作用する。例えばセグメント電極の方がトッププレーン電極よりも高電位である場合には、トッププレーン電極側に正帯電粒子(黒色)が移動するため、その画素は黒表示になる。一方、トッププレーン電極の方がセグメント電極よりも高電位である場合には白表示になる。
【0029】
なお電気光学パネル100は、EPDパネルには限定されず、ECD(electrochromicdisplay)パネルなどであってもよい。ECDパネルは、電圧を印加すると、酸化還元反応により物質に色がついたり、光透過度が変化したりする現象を利用して表示動作を実現するパネルである。
【0030】
また、電気光学パネル100は、ECP(Electrochromics Display)パネル、NCD(Nanochromics Display)パネル等の電子ペーパーパネルであってもよい。なお、電気光学パネルの種類等に応じて、様々な駆動方式が存在する。電気光学パネルのセグメント電極に供給される駆動電圧による点灯持続時間が長ければ駆動電圧の印加を終了し、駆動電圧を出力する駆動回路の出力端子はハイインピーダンスにする場合もある。このような駆動方式については、「4.駆動回路」で後述する。
【0031】
駆動電圧出力部10(駆動部)は、電気光学パネル100に供給される駆動電圧VD(駆動信号)を出力する。例えば電気光学パネル100のセグメント電極(アイコン電極、駆動電極、画素電極)に供給される駆動電圧VDを出力する。これによりパッシブ型のEPDパネル等の駆動を実現できる。
【0032】
表示データ記憶部20(画像データ記憶部)は、表示データDSEG(画像データ)を記憶する。この表示データ記憶部20は、フリップフロップなどにより構成されるレジスターやSRAMなどのメモリーにより実現できる。
【0033】
駆動波形情報出力部30は、駆動波形情報IDWV(駆動波形パターン情報、駆動電圧情報)を出力する。例えば、電気光学パネル100のセグメント電極での表示状態(階調)が第1の表示データDLに対応する第1の表示状態(第1の階調。白表示及び黒表示の一方)から第2の表示データDPに対応する第2の表示状態(第2の階調。白表示及び黒表示の他方)に変化する際の駆動波形情報IDWVを出力する。ここで例えば第1の表示データDLは前回の表示データであり、第2の表示データDPは今回の表示データである。駆動波形情報IDWVは、例えば第1の表示状態から第2の表示状態に変化する場合に、第1、第2の表示状態間での駆動波形の変化を規定する情報である。例えば複数の変化期間の各期間での駆動電圧VDが、駆動波形情報IDWVにより特定される。
【0034】
なお、駆動電圧VDは、2値(例えば0V、15V)であってもよいし、3値(例えば0V、+15V、−15V、或いは0V、15V、30V)であってもよい。或いは4値以上であってもよい。また駆動電圧VDの値は、電気光学パネル100の種類等に応じて様々な値を採用できる。
【0035】
また、駆動電圧VD(例えば15V)を印加する期間の長さを調整し、セグメント電極を流れる電流の量を調整してもよい。駆動電圧VDの印加方法は、電気光学パネル100の種類等に応じて様々な手法を採用できる。
【0036】
そして駆動電圧出力部10は、表示データ記憶部20から出力される表示データDSEG(セグメントデータ)である第1の表示データDL及び第2の表示データDPと、駆動波形情報出力部30からの駆動波形情報IDWVとによって特定される駆動電圧VDを出力する。例えば第1、第2の表示データDL、DPに基づいて、駆動波形情報IDWVの複数の駆動波形信号から出力駆動波形信号を選択し、選択された出力駆動波形信号により特定(設定)される駆動電圧VDを、電気光学パネル100のセグメント電極に出力する。
【0037】
図2(A)に本実施形態の第1の比較例の集積回路装置の構成例を示す。この集積回路装置は、駆動電圧出力部510、ホストI/F(インターフェース)520、電源回路530(DC−DCコンバーター)を含む。
【0038】
駆動電圧出力部510は、パッシブ型のEPDパネルなどの電気光学パネル100をダイレクト駆動するために、EQ[123:0]の端子から2値や3値の駆動電圧を出力する。例えば2値駆動の場合には、0V(=GND)、15Vのいずれかを出力する。
【0039】
電源回路530(DC−DCコンバーター)は、外部電源電圧MVDDを昇圧して駆動電源電圧HVDDを生成する。例えば外部電源電圧MVDDがリチウム電池からの3Vの電源電圧である場合には、チャージポンプ方式で6倍昇圧を行って、約15〜18Vの駆動電源電圧HVDDを生成して、駆動電圧出力部510に供給する。これにより0V、15Vの2値駆動が可能になる。なお電源回路530は、EPDの駆動負荷の影響により電圧が降下することを考慮して、15Vよりも高い18Vの電圧を生成している。また駆動電源電圧HVDDは外部から供給してもよい。
【0040】
駆動電圧出力部510は、電源回路530から駆動電源電圧HVDDが供給され、0V又は15Vのいずれかの駆動電圧を選択して、EQ[123:0]の各端子に出力して、電気光学パネル100のセグメント電極を駆動する。この駆動電圧の選択機能は、ホストI/F520(MPUI/F)により実現される。
【0041】
例えばホストI/F520には、ロジック電源電圧LVDDが供給される。そして、MPU(MCU)等の外部の制御デバイスから、チップセレクト信号XCS、シリアルクロックSCK、出力イネーブル信号SEN、データSDAT[3:0]が入力される。この場合に、論理レベル「0」が0V駆動となり、論理レベル「1」が15V駆動となるようにデータに意味を持たせ、ドライバー端子EQ[123:0]の各端子の駆動情報(0V、15V)を、ホストI/F520を介して外部の制御デバイスから受信する。そして図2(B)に示すように、出力イネーブル信号SENにより、EQ[123:0]の端子からの駆動電圧の出力のオン・オフ制御が行われる。
【0042】
図2(C)に本実施形態の第2の比較例の集積回路装置の構成例を示す。この集積回路装置は、駆動電圧出力部560、ラッチ回路570、シフトレジスター580、電源回路590(DC−DCコンバーター)を含む。外部の制御デバイスからシリアルに入力されるDATAINがクロックCKINに同期してシフトレジスター580に入力される。そして、全てのドライバー端子EQ1、EQ2・・・に対応するデータが駆動情報としてシフトレジスター580に入力されると、この駆動情報はラッチ信号LATCHによりラッチ回路570にラッチされる。そしてラッチされた駆動情報に対応する0V又は15Vの駆動電圧が、駆動電圧出力部560からドライバー端子EQ1、EQ2・・・に出力されて、電気光学パネルのセグメント電極が駆動される。そしてラッチ回路570への駆動情報のラッチ後に、次のデータがシフトレジスター580に入力され、シフトレジスター580からの駆動情報がラッチ回路570に再度ラッチされて、ドライバー端子EQ1、EQ2・・・に0V又は15Vの駆動電圧が出力される。
【0043】
このように図2(A)〜図2(C)の第1、第2の比較例では、MPU等の外部の制御デバイスがシーケンシャルな繰り返し処理を行うことで、EPDパネルの表示を変更するために必要な駆動波形が生成される。具体的には、第1の表示状態(例えば黒表示)から第2の表示状態(例えば白表示)に変更するために駆動波形をシーケンシャルに変化させる場合に、制御デバイスはシーケンシャルな複数の変化期間の各期間において、ホストI/Fやシフトレジスターにデータを入力して、出力イネーブル信号をアクティブ(Hレベル)にする処理を行う。例えば、駆動波形を10回変化させる場合には、制御デバイスは、データを入力して出力イネーブル信号をアクティブにする処理を10回繰り返して実行する。従って、制御デバイスの処理負荷が重くなってしまい、他の処理に支障を来すなどの問題を招く。
【0044】
これに対して図1の本実施形態の集積回路装置では、電気光学パネル100の表示変更に必要なシーケンシャルな駆動波形が自動生成される。即ち駆動波形情報出力部30は、第1の表示状態(例えば黒表示)から第2の表示状態(例えば白表示)に表示が変化する際の複数期間分の駆動波形を、駆動波形情報IDWVとして出力する。そして駆動電圧出力部10は、第1の表示状態に対応する前回の表示データDLと、第2の表示状態に対応する今回の表示データDPと、駆動波形情報IDWVとに基づいて、複数期間分の駆動電圧VDを出力する。従って、MPU等の制御デバイスは、駆動情報のデータを入力する処理や出力イネーブル信号をアクティブにする処理を繰り返して実行しなくても済むようになる。例えば制御デバイスが第2の表示データのセットとトリガー信号を入力するだけで、第1の表示状態から第2の表示状態へ表示を変化させるためのシーケンシャルな駆動波形が自動生成される。従って、制御デバイスの処理負荷を、図2(A)、図2(C)の第1、第2の比較例に比べて格段に軽減できる。
【0045】
2.詳細な構成
図3に本実施形態の集積回路装置の詳細な構成例を示す。この集積回路装置は、駆動電圧出力部10、表示データ記憶部20、駆動波形情報出力部30に加えて、ホストI/F(インターフェース)50を含む。また電源回路70、クロック選択回路80、クロック生成回路82を含むことができる。なおこれらの構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
【0046】
図3の構成例では、駆動波形情報出力部30は、2×2=4本(広義にはN×N本。Nは2以上の整数)の駆動波形信号SWV(1、1)〜SWV(2、2)(広義にはSWV(1、1)〜SWV(N、N))を出力する。ここで駆動波形信号SWV(1、1)〜SWV(2、2)のうちの駆動波形信号SWV(i、j)は、第1の表示状態がi状態(1≦i≦N)で第2の表示状態がj状態(1≦j≦N)である場合の駆動波形信号である。
【0047】
例えば第1の表示状態には黒表示と白表示という2つの状態があり、第2の表示状態にも黒表示と白表示という2つの状態がある。そしてSWV(1、1)は、第1及び第2の表示状態が共に黒表示(B)である場合の駆動波形信号であり、SWV(1、2)は、第1の表示状態が黒表示(B)であり第2の表示状態が白表示(W)である場合の駆動波形信号である。同様にSWV(2、1)は、第1の表示状態が白表示(W)であり第2の表示状態が黒表示(B)である場合の駆動波形信号であり、SWV(2、2)は、第1及び第2の表示状態が共に白表示(W)である場合の駆動波形信号である。
【0048】
そして駆動電圧出力部10は、第1の表示データDL及び第2の表示データDPに基づいて駆動波形信号SWV(1、1)〜SWV(2、2)の中から出力駆動波形信号SWQを選択する。そして出力駆動波形信号SWQにより特定される電圧を駆動電圧VDmとして出力する。
【0049】
例えば第1の表示状態に対応する第1の表示データDLが黒表示のデータであり、第2の表示状態に対応する第2の表示データDPが黒表示のデータである場合には、駆動波形信号SWV(1、1)が選択され、DLが黒表示のデータでありDPが白表示のデータである場合にはSWV(1、2)が選択される。同様にDLが白表示のデータでありDPが黒表示のデータである場合にはSWV(2、1)が選択され、DL及びDPが共に白表示のデータである場合にはSWV(2、2)が選択される。
【0050】
なお、以上では、第1、第2の表示状態の各状態が、黒表示及び白表示の2階調(2状態)である場合について説明したが、これらの各状態は3階調以上であってもよい。例えば各状態がN階調である場合には、駆動波形情報出力部30は、N×N本の駆動波形信号SWV(1、1)、SWV(1、2)・・・SWV(1、N)、SWV(2、N)、SWV(3、N)・・・SWV(N、N)を出力することになる。
【0051】
駆動電圧出力部10は、駆動回路DR、セレクターSEL、駆動波形選択回路CSLを含む。駆動回路DRは、例えば0V、15Vというような2値の駆動電圧VDmを出力する。この駆動電圧VDmは、集積回路装置のパッドPDm(端子)を介して電気光学パネルに出力され、電気光学パネルのセグメント電極が駆動される。
【0052】
集積回路装置のパッドPDm(端子)は、駆動回路DRの出力端子と呼ぶこともできる。
【0053】
なお駆動電圧VDmは3値以上であってもよく、VDmの電圧値は電気光学パネル(EPDパネル、ECDパネル)の種類に応じて適宜設定される。また例えば駆動回路DRにはレベルシフターが設けられ、このレベルシフターは、電源回路70からの駆動電源電圧(例えば15V)を用いて、出力駆動波形信号SWQの電圧レベル(例えば3V)をVDmの電圧レベル(例えば15V)に変換する。
【0054】
また駆動回路DRは、駆動波形情報出力部30からのハイインピーダンス状態の設定信号SHZがアクティブになると、その出力端子をハイインピーダンス状態に設定する。これにより、セグメント電極の駆動のオン・オフ制御が可能になる。このような駆動のオン・オフ制御機能を持たせているのは、EPDパネルやECDパネルの種類においては、駆動シーケンスの過程において、2値や3値のみの特定の駆動電圧のみならず、パネルの点等持続性能(メモリ性能)を活用するために出力端子をハイインピーダンス状態にする場合があるからである。
【0055】
セレクターSELは、シーケンシャルモードとダイレクトモードの切り替えを行うための回路である。例えばダイレクトモード選択信号SDIRがアクティブになると、動作モードがダイレクトモードに設定され、今回表示データ記憶部22からの表示データDPの信号が選択されて、駆動回路DRに出力される。これにより図2(A)の比較例のように、外部のMPU等の制御デバイスがシーケンシャルな駆動電圧の設定を直接行うダイレクトモードが実現される。
【0056】
一方、信号SDIRが非アクティブになると、駆動波形選択回路CSLからの出力駆動波形信号SWQが選択されて、駆動回路DRに出力される。これにより、集積回路装置によりシーケンシャルな駆動波形が自動生成されるシーケンシャルモードが実現される。
【0057】
駆動波形選択回路CSLは、表示データ記憶部20からの表示データDL、DPに基づいて、駆動波形情報出力部30が駆動波形情報として出力した駆動波形信号SWV(1、1)〜SWV(2、2)のいずれかを選択して、出力駆動波形信号SWQとして出力する。例えばDL=0、DP=0が黒表示に対応し、DL=1、DP=1が白表示に対応していたとする。すると、DL=0、DP=0ではSWV(1、1)が選択され、DL=0、DP=1ではSWV(1、2)が選択され、DL=1、DP=0ではSWV(2、1)が選択され、DL=1、DP=1ではSWV(2、2)が選択される。
【0058】
表示データ記憶部20は、今回の表示データDPを記憶する今回表示データ記憶部22と、前回の表示データDLを記憶する前回表示データ記憶部24を含む。この今回表示データ記憶部22は、例えば図2(C)のシフトレジスター580と同様の機能を有し、前回表示データ記憶部24は、図2(C)のラッチ回路570と同様の機能を有する。
【0059】
例えばホストからの表示データは、ホストI/F50を介して今回表示データ記憶部22に入力されて保持される。例えばセグメント電極数が124個である場合には、124個分の表示データ(セグメントデータ)が今回表示データ記憶部22に入力されて保持される。そして全ての表示データ(124個)が今回表示データ記憶部22に入力され、その表示データに基づく表示が終了すると、今回表示データ記憶部22に保持された表示データは、前回表示データ記憶部24に転送されて保持(ラッチ)される。なお表示データ記憶部20は、フリップフロップにより実現してもよいし、SRAMなどのメモリーにより実現してもよい。
【0060】
駆動波形情報出力部30は、駆動波形生成部32、タイミング制御部34を含む。駆動波形生成部32は、レジスターRT1〜RTM(Mは2以上の整数)、レジスター選択回路RSELを含む。タイミング制御部34は、タイミングセットカウンター36、ウェイトタイマー38を含む。
【0061】
レジスターRT1〜RTMは、期間T1〜TMの各期間での駆動波形信号SWV(1、1)〜SWV(2、2)(SWV(1、1)〜SWV(N、N))の信号レベルを特定するレジスター値を記憶する。具体的には、レジスターRT1〜RTMのうちのレジスターRTk(1≦k≦M)は、期間T1〜TMのうちの期間Tkでの駆動波形信号SWV(1、1)〜SWV(2、2)の信号レベルを特定するレジスター値を記憶する。例えば、レジスターRT1は、SWV(1、1)〜SWV(2、2)の期間T1での信号レベルを特定するレジスター値を記憶し、レジスターRT2は、SWV(1、1)〜SWV(2、2)の期間T2での信号レベルを特定するレジスター値を記憶する。レジスターRT3〜RTMも同様である。これらのレジスターRT1〜RTMのレジスター値は、ホストI/F50を介して入力されて、レジスターRT1〜RTMに書き込まれる。
【0062】
なお、期間T1〜TMの各期間は、基本期間と呼ぶこともできる。
【0063】
レジスター選択回路RSELは、タイミング制御部34からの選択信号SRSELに基づいて、レジスターRT1〜RTMのいずれかからのレジスター値を選択する。例えば期間T1ではレジスターRT1からのレジスター値を選択し、期間T2ではレジスターRT2からのレジスター値を選択する。期間T3〜TMにおいても同様である。これにより駆動波形情報出力部30は、レジスターRT1〜RTMからのレジスター値を、期間T1〜TMの各期間において出力できるようになる。具体的には駆動波形情報出力部30は、RT1〜RTMのうちのレジスターRTkからのレジスター値を、期間Tkにおいて出力する。例えば期間T1では、レジスターRT1からの信号レベルレジスター値を出力し、期間T2では、レジスターRT2からの信号レベルレジスター値を出力する。期間T3〜TMにおいても同様である。
【0064】
なおレジスターRT1〜RTMは、駆動波形信号SWV(1、1)〜SWV(2、2)の信号レベルレジスター値以外にも、例えば、T1〜TMの各期間の長さを特定するための期間長レジスター値などを記憶できる。例えばRT1〜RTMのうちのレジスターRTkは、期間Tkの長さを設定するための期間長レジスター値を記憶する。
【0065】
そして駆動波形情報出力部30は、レジスターRTkからの期間長レジスター値に基づいて、期間Tkの長さを設定する。例えばレジスターRT1からの期間長レジスター値に基づいて期間T1の長さを設定し、レジスターRT2からの期間長レジスター値に基づいて期間T2の長さを設定する。期間T3〜TMの長さの設定についても同様である。
【0066】
具体的には、レジスターRT1〜RTMからの期間長レジスター値は、レジスター選択回路RSELを介して信号SWTとしてタイミング制御部34に入力される。そして信号SWTによりウェイトタイマー値がウェイトタイマー38に設定される。そしてタイミングセットカウンター36は、ウェイトタイマー値に基づき得られる信号SRSELを、駆動波形生成部32に出力する。これにより、T1〜TMの各期間の長さが調整される。
【0067】
またレジスターRT1〜RTMは、駆動回路DRの出力端子をハイインピーダンス状態に設定するためのレジスター値を記憶してもよい。例えば期間Tkにおいて、駆動回路DRの出力端子をハイインピーダンス状態に設定する場合には、期間Tkに対応するレジスターRTkのハイインピーダンス状態の設定ビット(後述する図6(A)、図8(A)または図11のビット13)を、例えば「1」に設定する。これにより、期間Tkにおいてハイインピーダンス状態の設定信号SHZがアクティブになる。
【0068】
期間Tkに対応するレジスターRTkのハイインピーダンス状態の設定ビットが実際に「1」に設定される例については、「駆動回路」で後述する。
【0069】
ホストI/F50は、ホスト(CPU、MPU、制御デバイス)との間のインターフェース処理を行う。ホストは、ホストI/F50を介して、表示設定レジスター52、トリガーレジスター54、割り込みレジスター56、電源設定レジスター58などの制御レジスターにアクセスする。
【0070】
例えば表示設定レジスター52は、タイミング制御部34の各種タイマーが使用するクロックの選択指示、電気光学パネルの表示状態からの表示反転の指示、全黒表示や全白表示の指示、ダイレクトモードやシーケンシャルモードの選択指示などを設定するためのレジスターである。トリガーレジスター54は、駆動波形生成動作を開始させるトリガーを発行するためのレジスターである。割り込みレジスター56は、駆動波形生成動作の終了後に発生する割り込みフラグや、割り込みマスクが設定されるレジスターである。電源設定レジスター58は、電源回路70のオン・オフ指示、定電圧回路(レギュレーター)の設定、昇圧倍数の設定、昇圧電圧の微調整(コントラスト、トリミング)などの各種制御を行うためのレジスターである。
【0071】
電源回路70は、電源端子から供給される電源電圧に基づいて、電気光学パネルの駆動に必要な駆動電源電圧を生成する。例えば0V/15Vの2値駆動の場合には、VDD端子からの電源電圧を昇圧して、例えばHVDD=15Vの駆動電源電圧を生成して、駆動電圧出力部10の駆動回路DRに供給する。駆動回路DRは、HVDD=15VとVSS端子からのVSS=0Vを使用して、駆動電圧VDmを出力する。
【0072】
なお、集積回路装置の外部電源IC等から、HVDD端子に駆動電源電圧を供給するようにしてもよい。例えば電気光学パネルのサイズが大きいため、内蔵される電源回路70の仕様よりも高い負荷電流が駆動時に必要である場合には、このように外部電源IC等から駆動電源電圧HVDDを供給すればよい。
【0073】
クロック生成回路82は、発振回路84、分周回路86を有し、各種の周波数のクロックCKを生成する。クロック選択回路80は、クロック生成回路82のクロックCKの中から選択されたクロックCKSを、タイミング制御部34等に供給する。
【0074】
なお、集積回路装置が複数のI/Oセル(入力/出力セル)を有する場合には、複数のI/Oセルの各I/Oセルに対して、図3の駆動電圧出力部10を設けることが望ましい。ここでI/Oセルは、集積回路装置のパッド(端子)に接続され、入力バッファー及び出力バッファーの少なくとも一方を有する入力/出力セルである。
【0075】
例えば図4では、IO1〜IOmの各I/Oセルに対して駆動電圧出力部10が設けられている。そしてI/OセルIO1〜IOmの駆動電圧出力部10から出力された駆動電圧VD1〜VDmが、パッドPD1〜PDmを介して電気光学パネルのセグメント電極SEG1〜SEGmに出力される。
【0076】
I/OセルIO1〜IOmには、駆動波形情報出力部30からの駆動波形信号SWV(1、1)〜SWV(2、2)やハイインピーダンス設定信号SHZなどが供給される。これらのSWV(1、1)〜SWV(2、2)、SHZの信号線は、I/Oセルのチップコア側領域(パッドと反対側の領域)又はI/Oセル上に配線され、これらの信号線からSWV(1、1)〜SWV(2、2)、SHZの各信号が各I/Oセルに供給される。また表示データ記憶部20からのDSEG1〜DSEGmの各表示データ(DL、DP)は、IO1〜IOmの各I/Oセルに供給される。
【0077】
図4のように、駆動電圧出力部10が設けられたハードマクロのI/Oセルを設ければ、レイアウト効率を向上でき、集積回路装置のチップサイズを縮小できる。なお、駆動電圧出力部10の論理回路の部分については、他の論理回路と共に、ゲートアレイやスタンダードセルにより構成される論理回路ブロックに、自動配置配線等により形成するようにしてもよい。
【0078】
3.駆動波形
次に図5〜図8(B)を用いて、本実施形態の駆動波形の生成手法の具体例について説明する。ただし、図5〜図8(B)に示す実施形態では、パネルの駆動途中で図4に示す出力端子PD1〜PDmをハイインピーダンス状態に設定していない。出力端子PD1〜PDmをハイインピーダンス状態に設定する例については、図9以降を用いて後述する。
【0079】
例えばEPDでは、セグメント電極(データ電極)とトッププレーン電極(共通電極)との間に印加される駆動バイアスの極性により、白表示又は黒表示が行われる。なお、カラーフィルターを挿入して、白表示に色を持たせることも可能であり、この場合には白表示の白は、フィルター色に置き換えることができる。
【0080】
そしてEPDの表示品質を高品位に維持するためには、単なる白表示又は黒表示に必要な駆動極性のバイアスを印加するだけでは十分ではない。例えばEPDの表示変更の際に、白から黒又は白から黒というように、表示変更の対象となるセグメントに対して、必要なバイアスを印加するだけではなく、例えば黒から黒又は白から白というように、表示変更の対象とはならないセグメントを含む全セグメントに対して、正極性バイアスと負極性バイアスを混在させたシーケンシャルな駆動バイアスを印加することが望ましい。なお、表示品質を問わない場合には、この限りではない。
【0081】
そして、黒から白、白から黒、黒から黒、白から白の各表示状態の変更に対応して、正極性バイアスと負極性バイアスを混在させたシーケンシャルな駆動バイアスパターンが設定される。本実施形態では、このようなパターンを駆動波形と呼ぶ。
【0082】
図5に、このような駆動波形の例を示す。図中の「0」は例えば0V駆動を意味し、「1」は例えば15V駆動を意味する。
【0083】
図5において、全セグメントに共通なトッププレーン電極に供給される2値の駆動波形がTPである。BBは黒から黒、BWは黒から白、WBは白から黒、WWは白から白に表示状態が変化する場合(第1の表示状態から第2の表示状態に変化する場合)の駆動波形である。これらのBB、BW、WB、WWは、各々、図3の駆動波形信号SWV(1、1)、SWV(1、2)、SWV(2、1)、SWV(2、2)に対応する。
【0084】
例えば図5のA1のアイドル状態ではハイインピーダンス状態に設定される。そしてA2の電荷抜き期間では、TP=0、BB=0であるためノンバイアスになり、黒表示が維持される。A3では、TP=1、BB=0であるため正極性バイアスになり、黒表示から白表示に変化する。A4では、TP=0、BB=1であるため負極性バイアスになり、白表示から黒表示に変化する。A5では、TP=1、BB=0であるため正極性バイアスになり、黒表示から白表示に変化する。そしてA6では、TP=0、BB=1になり、メモリー内容の表示が行われ、黒表示になる。即ち、BBは、第1の表示状態が黒表示であり、第2の表示状態が黒表示である場合の駆動波形であるため、A6では、第2の表示状態(表示データDP)に対応する黒表示になる。そして、その後、A7に示す電荷抜きが行われ、A8に示すアイドル状態になる。
【0085】
同様に駆動波形BWでは、B1、B2、B3、B4、B5に示すように、アイドル状態、電荷抜き、白表示、黒表示、白表示が行われる。そしてB6では、TP=0、BW=0のノンバイアスになり、B5で設定された白表示が維持されることで、メモリー内容の表示が行われる。即ち、BWは、第1の表示状態が黒表示であり、第2の表示状態が白表示である場合の駆動波形であるため、B6では、第2の表示状態(表示データDP)に対応する白表示になる。そして、その後、B7に示す電荷抜きが行われ、B8に示すアイドル状態になる。駆動波形WB、WWについても同様である。
【0086】
またC1、C2、C3、C4、C5、C6では、T1、T2、T3、T4、T5、T6の各期間の長さが設定されている。即ち駆動波形を変化させる時間的なタイミングが設定されている。
【0087】
図5のように、実際のメモリー内容(波形情報)の表示を行う前に、様々な長さに設定される各期間において白表示や黒表示を繰り返し行うことで、EPDの高品位な表示品質を実現できる。即ち、EPDでは、LCDとは異なり、前回の表示データ(DL)に対応する第1の表示状態から、今回の表示データに対応する第2の表示状態に変化する際に、複数期間に亘って駆動波形をシーケンシャルに変化させる。例えば図5のA2〜A6では、第1の表示状態である黒表示から第2の表示状態である黒表示に変化する際に、複数の期間の各期間毎に駆動波形を変化させる。同様に、B2〜B6では、第1の表示状態である黒表示から第2の表示状態である白表示に変化する際に、複数の期間の各期間毎に駆動波形を変化させている。このようにシーケンシャルに駆動波形を変化させることで表示品質を向上できる。
【0088】
図6(A)は、図5の駆動波形を実現するために図3のレジスターRT1〜RTMに設定されるレジスター値の例である。図6(A)のT1〜T12はレジスターRT1〜RT12に相当し、各レジスターには16ビット幅のレジスター値が設定される。そして、各レジスターのビット12、11、10、9、8には、各々、TP、BB、BW、WB、WWの駆動波形の情報が格納される。またビット7〜0には、各期間の長さ情報(タイミング制御部のウェイトタイマーが使用するカウント数)が設定される。
各レジスターのビット13は、上述した通り、各レジスターに対応する期間Tkにて出力端子をイインピーダンス状態の設定ビットである。このビット13がアクティブ例えば「1」に設定されると、期間Tkにおいてハイインピーダンス状態の設定信号SHZがアクティブになる。なお、図6(A)では、図5の駆動波形を実現するために、全てのレジスターのビット13はノンアクティブ「0」に設定されている。
【0089】
各レジスターのビット15はEOWビットであり、駆動波形の終了を示すビットである。そして図6(A)では、期間T6に対応するレジスターRT6のEOWビットが1に設定されている。従って、図5では期間T6で駆動波形が終了するようになる。
【0090】
図6(A)の期間T1に対応するレジスターRT1のビット12〜8は、全て0に設定されている。従って、図5の駆動波形に示すように、TP=BB=BW=WB=WW=0になり、電荷抜きが行われる。また、レジスターRT1のウェイトタイムを表すビット7〜0は、(00000101)に設定されている。従って、図6(B)に示すように、期間T1の長さは約4.88mSに設定される。
【0091】
図6(A)の期間T2に対応するレジスターRT2のビット12、11、10、9、8は、各々、1、0、0、1、1に設定されている。従って、図5の駆動波形に示すように、期間T2ではTP=1、BB=0、BW=0、WB=1、WW=1になり、全白表示が行われる。またレジスターRT2のウェイトタイムを表すビット7〜0は、(10000011)に設定されている。従って、図6(B)に示すように期間T2の長さは約127.93mSに設定される。
【0092】
なお、以上に説明した期間の長さは一例であり、レジスターRTkに設定されるレジスター値やクロック選択回路80でのクロック選択により任意に変更できる。
【0093】
また駆動波形は図5には限定されず、EPDの種類や動作環境などに応じてレジスターRTkのレジスター値を変更することなどにより、駆動波形を、適宜、変更できる。例えば図7に他の駆動波形の例を示し、図8(A)、図8(B)に図7の駆動波形に対応するレジスター値の設定例を示す。
【0094】
以上のように本実施形態では、第1、第2の表示データDL、DPに基づいて、複数の駆動波形信号SWV(1、1)〜SWV(2、2)の中から出力駆動波形信号SWQが選択され、選択された駆動波形信号SWQにより特定される出力駆動波形信号VDmが出力される。従って、第1の表示データDLに対応する第1の表示状態から第2の表示データDPに対応する第2の表示状態に変化する際に、例えばシーケンシャルに変化する駆動波形信号の駆動電圧で、電気光学パネルのセグメント電極を駆動できる。従って、高品質な表示特性を実現できる。また、本実施形態では、このようなシーケンシャルな駆動波形信号が自動生成されるため、ホスト(制御デバイス)の処理負荷も軽減できる。
【0095】
また本実施形態では、レジスターRT1〜RTMの各レジスターは各期間での駆動波形信号の信号レベルを特定するレジスター値を記憶する。そして各レジスターからのレジスター値が各期間において出力される。従って、駆動波形信号の各期間での信号レベルを各レジスターのレジスター値で設定して、駆動波形信号を変化させることができる。従って、電気光学パネルの表示特性に応じて、様々な波形の駆動波形信号を生成できる。
【0096】
また本実施形態では、各レジスターに記憶される期間長レジスター値に基づいて、各期間の長さについても設定できる。従って、各期間での信号レベルのみならず、駆動波形信号の各期間の長さについても可変に設定できるため、更に多様な駆動波形信号の生成が可能になる。
【0097】
4.駆動回路
図9は、図3の駆動電圧出力部10内の駆動回路DRの構成例を示し、駆動回路DRは、出力端子をハイインピーダンス状態に設定することができる。上述の通り、図3の駆動波形選択回路CSL(広義には駆動信号生成部)は、表示データ記憶部20からの第1の表示データDL及び第2の表示データDPと駆動波形信号SWV(1、1)〜SWV(2、2)(広義には駆動波形情報出力部30からの駆動波形情報)とによって特定される出力駆動波形信号SWQ(広義には駆動信号)を生成することができる。
【0098】
ダイレクトモード選択信号SDIRが非アクティブになると、図3のセレクターSEL(広義には駆動信号生成部)は、駆動波形選択回路CSLからの出力駆動波形信号SWQを選択して、駆動回路DRに出力する。なお、図3のセレクターSELは、省略してもよく、図3の駆動回路DRは、出力駆動波形信号SWQを常に入力してもよい。
【0099】
図9の駆動回路DRは、例えば出力駆動波形信号SWQ(広義には駆動信号)を入力し、例えば0V、15Vというような2値の駆動電圧VDmを出力することができる。なお、ダイレクトモード選択信号SDIRがアクティブである場合、図9の駆動回路DRは、出力駆動波形信号SWQの代わりに、表示データDP(広義には駆動信号)を、セレクターSELを介して入力してもよい。
【0100】
また、図9の駆動回路DRは、ハイインピーダンス設定信号SHZ(広義には識別情報)を入力することもできる。上述のように、図3のレジスターRT1〜RTMは、図6(A)または図8(A)のビット13に、駆動回路DRの出力端子をハイインピーダンス状態に設定するためのレジスター値(識別情報)を記憶しているからである。例えば期間Tkにおいて、駆動回路DRの出力端子をハイインピーダンス状態に設定する場合には、期間Tkに対応するレジスターRTkのハイインピーダンス状態の設定ビット(図6(A)または図8(A)のビット13)を、例えば「1」に設定する。これにより、期間Tkにおいてハイインピーダンス状態の設定信号SHZがアクティブになる。
【0101】
図9に示されるように、駆動回路DRは、出力駆動波形信号SWQ(広義には駆動信号)に基づく駆動電圧を第2の電圧レベルで出力する出力段トランジスターTr_H1,Tr_H2を有する。さらに、駆動回路DRは、第1の電圧レベルを前記第2の電圧レベルにシフトするレベルシフター12,13を有する。
【0102】
図9の例において、駆動回路DRは、出力駆動波形信号SWQと設定信号SHZとに基づく論理信号を出力する論理回路16,17を有する。図9の例において、第1の領域では、論理レベル「0」(広義には第1の論理)が例えばVSS=0Vであり、論理レベル「1」(広義には第2の論理)が例えば第1の電圧レベルで動作する論理回路16,17やインバーターINV1,INV2,INV3,INV4の駆動電源電圧(ロジック電源電圧LVDD)=1.5Vである。第2の領域では、論理レベル「1」が例えば出力段Tr_H1,Tr_H2の駆動電源電圧HVDD=15Vである。
【0103】
出力駆動波形信号SWQ(広義には駆動波形情報)の論理レベルが「1」を示し、設定信号SHZ(広義には識別情報)の論理レベルが「0」(広義には第1の論理)を示す場合、論理回路16,17から出力される論理信号の論理レベルは「0」(広義には第1の論理)を示す。出力駆動波形信号SWQの論理レベルが「0」を示し、設定信号SHZの論理レベルが「0」(広義には第1の論理)を示す場合、論理回路16,17から出力される論理信号の論理レベルは「1」(広義には第2の論理)を示す。このように、設定信号SHZ(広義には識別情報)の論理レベルが「0」(広義には第1の論理)を示す場合、出力駆動波形信号SWQは、論理回路16,17から出力される論理信号に反映される。出力駆動波形信号SWQの論理レベルが「1」を示し、論理回路16,17から出力される論理信号の論理レベルが「0」を示す場合、出力段トランジスターTr_H1がオンし、出力段トランジスターTr_H2はオフされる。よって、駆動電圧VDm=HVDD(15V)が出力端子に出力される。出力駆動波形信号SWQの論理レベルが「0」を示し、論理回路16,17から出力される論理信号の論理レベルが「0」を示す場合、出力段トランジスターTr_H1がオフし、出力段トランジスターTr_H2はオンされる。よって、駆動電圧VDm=VSS(0V)が出力端子に出力される。
【0104】
設定信号SHZの論理レベルが「1」(広義には第2の論理)を示す場合、第1の論理回路16から出力される第1の論理信号の論理レベルは「1」を示し、第2の論理回路17から出力される第2の論理信号の論理レベルは「0」を示す。このように、設定信号SHZは、第1及び第2の論理回路16,17から出力される第1及び第2の論理信号に反映される。設定信号SHZの論理レベルが「1」を示し、第1の論理回路16から出力される第1の論理信号の論理レベルが「1」を示し、第2の論理回路17から出力される第2の論理信号の論理レベルが「0」を示す場合、出力段トランジスターTr_H1,Tr_H2は共にオフとなり、出力端子は、ハイインピーダンス状態に設定される。
【0105】
駆動回路DR(広義には駆動電圧出力部10)は、例えば0V/15Vの2値駆動で例えばEPDパネルを駆動することができる。
【0106】
なお、電気光学パネルの種類に応じて、図3や図9の駆動電圧VDmは、例えば2値(例えば0V、3V)に設定してもよい。この場合、出力段トランジスターTr_H1,Tr_H2の駆動電源電圧HVDD=3Vが設定されてもよく、駆動回路DRは、例えば0V/3Vの2値駆動で例えばECDパネルを駆動することができる。
【0107】
また、駆動電圧VDmは、例えば2値(例えば0V、1.5V)に設定してもよい。この場合、図9のレベルシフター12,13は省略でき、出力段トランジスターTr_H1,Tr_H2の駆動電源電圧HVDD=1.5Vが、第1の電圧レベルで動作する論理回路16,17やインバーターINV1,INV2,INV3,INV4の駆動電源電圧(ロジック電源電圧LVDD)=1.5Vと等しく設定されてもよい。駆動回路DRは、例えば0V/1.5Vの2値駆動で例えばNCDパネルを駆動することができる。
【0108】
図10は、図5の駆動波形の変形例を示す。図11は、図10の駆動波形を得るための駆動波形生成用のレジスター値の設定例を示す。図11では、図6(A)のレジスターRT6の内容を図11のレジスターRT7の内容に移動させ、レジスターRT5の内容(但し、ビット13を除く)を図11のレジスターRT6の内容にコピーし、図11のレジスターRT6のビット13(識別情報)を「1」に設定することで、図10の駆動波形を得ることができる。図10に示すように、複数の期間T1〜T7で駆動波形信号SWV(1、1)〜SWV(2、2)(広義には駆動波形情報)及びハイインピーダンス状態の設定信号SHZ(広義には識別情報)が出力される。図3のレジスターRT1〜RTMは、期間T1〜TMの各期間での駆動波形信号SWV(1、1)〜SWV(2、2)の信号レベル及び設定信号SHZの信号レベルを特定するレジスター値を記憶することができ、駆動波形情報及び識別情報は、期間毎に設定される。
【0109】
図12、図13は、他の駆動波形例を示す。図12、図13に示すように、設定信号SHZ(広義には識別情報)は、論理レベルが「0」(広義には第1の論理)を示す2つの期間(例えば図12の2つの期間T2,T4、図13の2つの期間T3,T6)に挟まれた1以上の期間(例えば図12の1つの期間T3、図13の3つの期間T4,T5,T6)で、論理レベルが「1」(広義には第2の論理)を示す。このように識別情報の論理状態を設定すれば、駆動電圧を出力する2つの期間の途中で、出力端子をハイインピーダンス状態に設定することができる。
【0110】
電気光学パネルの点灯持続性能(メモリ性能)に依存して、電気光学パネルのセグメント電極に供給される駆動電圧による点灯持続時間は、例えば図12の期間T2〜T5、図13の期間T2〜T6である。点灯持続時間の途中(例えば、図12、図13の期間T3と期間T4との境界)で、駆動電圧の印加を終了するとともに、出力端子はハイインピーダンス状態に設定する駆動方法も存在する。
【0111】
図12の例において、駆動波形信号SWV(1、1)及びSWV(2、1)は、期間T2で設定信号SHZの論理レベルが「0」を示す時に点灯を引き起こし、期間T2で設定信号SHZの論理レベルが「1」を示す時にその点灯を維持する。また、期間T3及び期間T4でも、設定信号SHZの論理レベルが「0」から「1」に切り替わる。図12の例では、設定信号SHZの論理レベルである「0」及び「1」は、複数の期間T1〜T7の一部(期間T2〜T4)で、交互に2回設定される。図12の例を変形して、このような交互の設定が3回以上繰り返されてもよい。このようにすれば、電気光学パネルの点灯持続性能(メモリ性能)が悪く、コントラストが低下してしまう場合等、例えば図12の期間T2で点灯を引き起こし、期間T3でその点灯を維持し、再び、点灯及び維持を期間T3及び期間T4で繰り返すことができる。なお、図12の期間T2と期間T4の駆動波形情報(インピーダンス設定のための識別情報含む)は同一であり、図12の期間T3と期間T5の駆動波形情報(識別情報含む)も同一である。この場合、レジスターは期間T2〜T4に代えて期間T2,T3についてのみ駆動波形情報(識別情報含む)を記憶し、期間T2+T3を2回繰り返すための繰り返し情報を持つことができる。繰り返し情報として、図12の例では、期間T2を開始期間とし、期間T3を終了期間とし、繰り返し回数を「2」とすることができる。さらには、図12に示す期間T2〜T7を複数回繰り返す付加情報を設定しても良い。
【0112】
図13の例において、駆動波形信号SWV(1、1)及びSWV(2、1)は、期間T2,T3で設定信号SHZの論理レベルが「0」を示す時に点灯を引き起こし、期間T3,T4,T5で設定信号SHZの論理レベルが「1」を示す時にその点灯を維持する。図13の例では、複数の期間T1〜T7の一部(期間T2〜T6)で、設定信号SHZの論理レベルが「0」に連続して設定され(期間T2,T3)、その直後に、設定信号SHZの論理レベルが「1」に連続して設定される(期間T4〜Tお)。このようにすれば、電気光学パネルの点灯持続性能(メモリ性能)が良く、点灯持続時間が長い場合等、例えば図12の期間T2、T3で点灯を引き起こし、その後は、期間T4〜期間T6でその点灯を維持し続けることができる。図13の例では、レジスターは期間T4〜T6に代えて期間T4についてのみ駆動波形情報(識別情報含む)を記憶し、期間T4を開始期間及び終了期間とし、繰り返し回数を「3」とすることができる。さらには、図13に示す期間T2〜T7を複数回繰り返す付加情報を設定しても良い。
【0113】
5.変形例
次に本実施形態の種々の変形例について説明する。図14に本実施形態の集積回路装置の第1の変形例を示す。この第1の変形例は、ドライバー機能を有するマイクロプロセッサーへの適用例である。この集積回路装置は、プロセッサー110、メモリーコントローラー120、メモリー130、ドライバー部140、シリアルI/F150、温度検出部160、電源回路170、クロック選択回路180、クロック生成回路182を含む。なおこれらの構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
【0114】
プロセッサー110(CPUコア、ホスト)は、種々の制御処理や演算処理を行うものであり、温度情報取得部112、表示更新部114を含む。温度情報取得部112は、例えば温度検出部160で検出された温度情報(環境温度)を取得する。表示更新部114は、電気光学パネルの表示変更処理を行う。これらの温度情報取得部112、表示更新部114の機能は、例えばプロセッサー110のハードウェアと、プロセッサー110により実行されるファームウェア(ソフトウェア)により実現できる。例えばメモリー130には、温度情報取得部112、表示更新部114の処理を実行するためのファームウェアが記憶され、プロセッサー110がこのファームウェアに基づき動作することで、温度情報取得部112、表示更新部114の機能が実現される。
【0115】
メモリーコントローラー120は、メモリー130の読み出し制御や書き込み制御などのアクセス制御を行う。メモリー130は、例えばフラッシュメモリーなどの不揮発性メモリーである。なおメモリー130はマスクROMなどであってもよい。
【0116】
ドライバー部140は、電気光学パネルの駆動を行うものであり、駆動電圧出力部10、表示データ記憶部20、駆動波形情報出力部30、ホストI/F50を含む。
【0117】
シリアルI/F150は、外部との間でSPI、I2Cなどのシリアルインターフェースを実現する。温度検出部160は、温度センサー等を用いて温度を検出する。例えばサーミスタ−と基準抵抗の抵抗比情報を測定して、周囲の温度を検出する。電源回路170は、駆動電源電圧などの各種の電源電圧を生成して供給する。クロック生成回路182は、各種の周波数のクロックを生成し、クロック選択回路180は、クロック生成回路182により生成されたクロックのクロック選択を行う。
【0118】
図14では、メモリー130は、複数の波形情報IW1〜IWnを記憶する。メモリー130がフラッシュメモリーなどの不揮発性メモリーである場合には、波形情報IW1〜IWnが予め不揮発性メモリーにプログラム化される。そしてプロセッサー110は、メモリーコントローラー120を介して、メモリー130に記憶される波形情報IW1〜IWnの中から波形情報を選択する。そして、選択された波形情報である選択波形情報は、ドライバー部140に転送される。ドライバー部140の駆動波形情報出力部30は、この選択波形情報に基づいて駆動波形情報を出力する。例えば、選択波形情報は、図3のレジスターRT1〜RTMのレジスター値(信号レベルや期間長のレジスター値)として設定される。
【0119】
このように、波形情報IW1〜IWnを、プロセッサー110によりアクセス可能なメモリー130に記憶しておくことで、波形情報を使用して駆動波形信号を生成する場合に、必要な波形情報を容易に選択して転送することが可能になる。
【0120】
なお波形情報IW1〜IWnは、例えばシリアルI/F150や汎用入出力端子を用いて外部デバイス(外部メモリー等)からロードして、メモリー130に書き込むことができる。
【0121】
また、複数の波形情報が不要であることが分かっている集積回路装置(カスタムIC等)の場合には、決められた波形情報だけをメモリー130に記憶するようにしてもよい。
【0122】
図14では、ホストであるプロセッサー110は、ドライバー部140への波形情報の転送を行った後に、図3で説明した各種のレジスター52、54、56、58への設定を行う。例えば駆動波形のタイミング時間を決定するためのタイマークロックの設定、電源回路70の電圧設定・昇圧設定、割り込みのイネーブル/ディスエーブルの設定などの基本的な設定を行う。またタイマークロックの生成に必要な発振回路が、プロセッサー110のクロック源となる発振回路と異なる場合には、その発振回路の動作をオンにする設定が行われる。
【0123】
以上のような各種の設定は、プロセッサー110の初期設定のルーチンで実行されるソフトウェア(ファームウェア)により実現される。なお、初期設定が行われた後は、これらの設定を不要にすることもできる。そして、初期設定の後、通常のLCDドライバー等と同様なソフトウェア処理で、電気光学パネルの表示を変更することが可能になる。具体的には、プロセッサー110が、ドライバー部140の表示データ記憶部20に表示データを書き込む。そして、図3で説明したトリガーレジスター54に対して、駆動開始のトリガーをセットする。これにより、図5に示すようなシーケンシャルな駆動波形が生成されて、電気光学パネルのセグメント電極が駆動され、電気光学パネルの表示が変更される。
【0124】
なお、固定の表示内容であれば、図14に示すようにメモリー130に、その固定の表示内容に対応する表示データを予め格納しておく。例えば7セグメント表示において特定の数字を表示する場合には、その特定の数字のフォントに対応する表示データを予め格納しておく。そしてプロセッサー110が、この表示データをドライバー部140の表示データ記憶部20に転送することで、電気光学パネルの表示変更が実現される。
【0125】
そして図14では、例えば温度情報取得部112が、温度検出部160を用いて、周囲の温度情報を取得する。すると、ドライバー部140の駆動波形情報出力部30は、取得された温度情報に基づき選択された選択波形情報に基づいて、駆動波形情報を出力する。具体的には、プロセッサー110は、メモリー130に記憶される波形情報IW1〜IWnの中から、取得された温度情報に対応する波形情報を選択する。そして、選択された波形情報がドライバー部140に転送され、この波形情報に基づいてシーケンシャルな駆動波形が生成されて、電気光学パネルが駆動される。
【0126】
このようにすれば、周囲の温度が変化した場合にも、複数の波形情報IW1〜IWnの中から、その時の温度に最適な波形情報が選択されて、電気光学パネルの駆動が行われるようになる。従って、周囲の温度が変化しても、高品位な表示特性を維持することが可能になる。
【0127】
また図14では、表示更新部114は、電気光学パネルの表示更新処理を行う。そしてドライバー部140の駆動波形情報出力部30は、例え電気光学パネルの表示更新時間の長さに応じて選択された波形情報に基づいて、駆動波形情報を出力する。例えば表示更新時間が長くなった場合等には、通常の波形情報を用いて駆動を行っても高い表示品質を維持できない可能性がある。
【0128】
この点、図14では、例えば表示更新時間が長くなった場合には、表示更新時間が長くなった場合用にメモリー130に記憶された波形情報が選択されて、ドライバー部140に転送され、電気光学パネルが駆動される。例えば表示更新時間が所定のしきい値を超えた場合には、黒表示と白表示を繰り返す焼き付き防止用の波形情報(例えば図7)が選択されて、ドライバー部140に転送され、表示変更のトリガーが実施される。このようにすれば、長時間に亘って電気光学パネルの表示が更新されない場合にも、焼き付き防止用の波形情報に基づく駆動が間欠的に行われるようなるため、電気光学パネルの焼き付き防止等が可能になる。
【0129】
図15に本実施形態の集積回路装置の第2の変形例を示す。この第2の変形例は、表示ドライバーへの適用例である。この集積回路装置は、シリアルI/F210、コマンドデコーダー220、ドライバー部240を含む。なおこれらの構成要素の一部を省略したり、他の構成要素(例えば電源回路、タイミング制御部)を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
【0130】
シリアルI/F210は、MPUなどの制御デバイスから、各種のコマンドや表示データや波形情報を入力するためのインターフェースである。コマンドデコーダー220は、制御デバイスが発行したコマンドをデコードして解釈する。ドライバー部240は、発行されたコマンドや表示データや波形情報に基づいて、電気光学パネルのセグメント電極SEG1、SEG2・・・を駆動する。なおシリアルI/F210の代わりにパラレルI/Fなどを設けてもよい。
【0131】
6.電子機器
図16に本実施形態の集積回路装置300を含む電子機器の構成例を示す。この電子機器は、電気光学パネル100、集積回路装置300、操作部310、記憶部320、通信部330を含む。なおこれらの一部の構成要素を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
【0132】
集積回路装置300は、電気光学パネル100を駆動する表示ドライバーやドライバー機能を有するマクロコンピューターなどである。
【0133】
電気光学パネル100は、各種画像(情報)を表示するためのものであり、例えばEPDパネルやECDパネルなどである。操作部310は、ユーザーが各種情報を入力するためのものであり、各種ボタン、キーボード等により実現できる。記憶部320は、各種の情報を記憶するものであり、RAMやROM等により実現できる。通信部330は外部との通信処理を行うものである。
【0134】
なお本実施形態により実現される電子機器としては、例えば、電子カード(クレジットカード、ポイントカード等)、電子ペーパー、リモコン、時計、携帯電話機、携帯情報端末、電卓等の種々の機器を想定できる。
【0135】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語(電気光学パネル等)と共に記載された用語(EPDパネル等)は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また集積回路装置、電子機器の構成、動作も本実施形態で説明したものに限定に限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0136】
10 駆動電圧出力部、12,13 レベルシフター、16,17 論理回路、
20 表示データ記憶部、22 今回表示データ記憶部、24 前回表示データ記憶部、
30 駆動波形情報出力部、32 駆動波形生成部、34 タイミング制御部、
36 タイミングセットカウンター、38 ウェイトタイマー、50 ホストI/F、
52 表示設定レジスター、54 トリガーレジスター、56 割り込みレジスター、
58 電源設定レジスター、70 電源回路、80 クロック選択回路、
82 クロック生成回路、84 発振回路、86 分周回路、
100 電気光学パネル、110 プロセッサー、112 温度情報取得部、
114 表示更新部、120 メモリーコントローラー、130 メモリー、
140 ドライバー部、150 シリアルI/F、160 温度検出部、
210 シリアルI/F、220 コマンドデコーダー、240 ドライバー部、
300 集積回路装置、310 操作部、320 記憶部、330 通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気光学パネルのセグメント電極に供給される駆動電圧を出力端子に出力する駆動電圧出力部と、
少なくとも第1の表示データ及び第2の表示データを記憶する表示データ記憶部と、
前記セグメント電極での表示状態が前記第1の表示データに対応する第1の表示状態から前記第2の表示データに対応する第2の表示状態に変化する際の駆動波形情報と、識別情報とを出力する駆動波形情報出力部とを含み、
前記駆動電圧出力部は、
前記表示データ記憶部からの前記第1の表示データ及び前記第2の表示データと前記駆動波形情報出力部からの前記駆動波形情報とによって特定される駆動電圧を、前記駆動波形情報出力部からの前記識別情報が第1の論理である時に前記出力端子に出力し、前記識別情報が第2の論理である時に前記出力端子をハイインピーダンス状態に設定することを特徴とする集積回路装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記駆動波形情報出力部は、複数の期間で前記駆動波形情報及び前記識別情報を出力し、
前記駆動波形情報は、期間毎に設定され、
前記識別情報も、期間毎に設定されることを特徴とする集積回路装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記識別情報は、前記第1の論理が設定された2つの期間に挟まれた1以上の期間で、前記第2の論理に設定されることを特徴とする集積回路装置。
【請求項4】
請求項2又は3において、
前記第1の論理及び前記第2の論理は、前記複数の期間の一部で、交互に複数回設定されることを特徴とする集積回路装置。
【請求項5】
請求項2又は3において、
前記複数の期間の一部で、前記第1の論理が連続して設定され、その直後に、前記第2の論理が連続して設定されることを特徴とする集積回路装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかにおいて、
前記駆動電圧出力部は、前記駆動波形情報と前記識別情報とに基づく論理信号を出力する論理回路を有し、前記駆動波形情報を反映した前記論理信号に基づいて前記出力端子に前記駆動電圧を出力し、前記識別情報を反映した前記論理信号に基づいて前記出力端子をハイインピーダンス状態に設定することを特徴とする集積回路装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の集積回路装置と、
前記電気光学パネルと、
を含むことを特徴とする電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図6】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図5】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−53115(P2012−53115A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−193404(P2010−193404)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】