雑音源のタイプを把握することができる通信システム及び送受信装置
【課題】オンオフ変調方式または周波数偏移変調方式による通信システムで発生する雑音源のタイプを把握し、雑音源のタイプに応じて対処して通信性能を向上させることができる通信システム及び送受信装置の提供。
【解決手段】送信装置からオンオフ変調方式または周波数偏移変調方式による送信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布に関する情報を用いて閾値を設定し、閾値と受信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布を用いて受信信号に作用する雑音源のタイプを判断する。
【解決手段】送信装置からオンオフ変調方式または周波数偏移変調方式による送信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布に関する情報を用いて閾値を設定し、閾値と受信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布を用いて受信信号に作用する雑音源のタイプを判断する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は通信性能を向上させることができる通信システムに係り、より詳しくは、雑音源のタイプを把握することで通信性能を向上させることができる通信システム及び送受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムの送信端で生成される信号は、無線チャネルを経て受信端に送信される。このとき、送信信号は、チャネル内の多様なタイプの雑音源によって変形および歪曲されて、受信端で受信エラーを引き起こす恐れがある。したがって、このことを効率的に解決するためには、雑音源の特性の把握が必要である。
【0003】
無線通信システムで受信エラーを引き起こす雑音源は、白色ガウス雑音と干渉とに大別される。白色ガウス雑音は、広い周波数範囲において一定の周波数成分を有する自然界で一般的に存在する雑音信号である。一方、干渉は、他の通信システムで送受信され、自身の通信システムの送受信信号を歪曲する信号や自身の通信システムで発生して他の通信システムの正常な受信信号を妨害する信号のことを指す。
【0004】
ISM(Industrial Science Medical)周波数帯域のように多様な通信システムが共存する周波数帯域では、雑音源が送受信システムに及ぼす影響が大きい。特に2.4GHz帯域の場合、WLAN、ブルートゥース、ジグビー(ZigBee)などの多様な通信規約が存在するため、その周波数帯域で動作するための通信システムは、雑音源を認知し、これに対応するメカニズムを整えることが極めて重要である。
【0005】
特に、オンオフ変調(OOK)方式および周波数偏移変調(FSK)方式を用いる通信システムでは、信号のオフ状態を用いることから干渉信号によって大きな影響を受けるため、種々の干渉認知および干渉回避の方策が提案されている(例えば特許文献1参照)。
しかしながら、これらの方法では、通信の成功可能性を送信端で予測して動作を決定するため、通信可能にもかかわらず送信端周辺の干渉信号源に敏感に反応して通信の機会を逃してしまう問題や、受信端の近所に干渉信号源が存在するにもかかわらず送信端でこれを認知できないという問題を依然として抱えていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−163749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、オンオフ変調(On−Off Keying:OOK)方式または周波数偏移変調(Frequency Shift Keying:FSK)方式による通信システムで発生する雑音源のタイプを把握し、雑音源のタイプに応じた対処を行うことにより、通信性能を向上させることができる通信システム及び送受信装置を提供することにある。
【0008】
また、本発明の他の目的は、従来の送信装置による干渉認知ではなく受信装置で干渉信号を認知し、送信装置がこれに対応してフォールス干渉アラーム(false interference alarm)や隠れ端末問題(hidden node problem)を解決することができる通信システム及び送受信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態に係る受信装置は、送信装置からオンオフ変調方式または周波数偏移変調方式による送信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布に関する情報を受信する受信部と、送信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布に関する情報を用いて閾値を設定する設定部と、受信信号が表す論理値のうち少なくとも1つの論理値の分布を検出する検出部と、閾値と受信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布を用いて受信信号に作用する雑音源のタイプを判断する判断部とを備える。
【0010】
受信部は、少なくとも1つの論理値の分布に対する候補値が格納されたテーブルを用いて送信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布を把握することができる。
検出部は、受信信号が表す論理値のうち論理値「0」または論理値「1」のいずれか1つを検出するか、論理値「0」および論理値「1」の全てを検出することができる。
【0011】
判断部は、閾値と受信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布を用いて、受信信号に作用する雑音源が白色ガウス雑音または干渉のいずれかであることを判断し、受信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布が閾値を超過すれば雑音源を干渉信号と判断し、受信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布が閾値と同一であるかもしくは小さければ雑音源を白色ガウス雑音と判断してもよい。
【0012】
また、受信装置は、検出部が受信信号の論理値のうち少なくとも1つの論理値の分布を検出する前に、受信信号の電圧値を調整してもよく、検出部は、予め設定された周波数値または電圧値に基づいて論理値「0」および論理値「1」を検出してもよい。
【0013】
本発明の一実施形態に係る送信装置は、オンオフ変調方式または周波数偏移変調方式による送信信号が表す論理値のうち少なくとも1つの論理値の分布を調整する調整部と、送信信号を受信する受信装置に送信信号が表す論理値のうち少なくとも1つの論理値の分布に関する情報を送信する送信部とを備える。
【0014】
送信部は、少なくとも1つの論理値の分布に対する候補値が格納されたテーブルを用いて、送信信号が表す論理値のうち少なくとも1つの論理値の分布に関する情報を送信してもよく、受信装置から雑音源のタイプに関する情報を獲得する獲得部と、雑音源のタイプに応じて送信信号に適用される少なくとも1つの通信パラメータを調整する調整部とを備えていてもよい。
【0015】
調整部は、少なくとも1つの通信パラメータを調整して送信部が干渉信号を含まない周波数の範囲で送信してもよく、雑音源のタイプが干渉であれば、送信信号を再送信するために少なくとも1つの通信パラメータを調整し、雑音源のタイプが白色ガウス雑音であれば、送信信号のデータレートを制御するために少なくとも1つの通信パラメータを調整してもよい。
【0016】
本発明の他の実施形態に係る受信装置は、送信装置からオンオフ変調方式または周波数偏移変調方式によるトレーニングシーケンスを受信する受信部と、トレーニングシーケンスに基づいて受信チャネルの特性を把握する把握部と、トレーニングシーケンスに含まれた少なくとも1つの論理値の分布に対するエラー確率を算出する算出部と、受信チャネルの特性およびエラー確率を用いてトレーニングシーケンスに作用する雑音源のタイプを判断する判断部とを備える。
【0017】
判断部は、受信チャネルの特性およびエラー確率を用いて、トレーニングシーケンスに作用する雑音源が白色ガウス雑音または干渉のうちいずれかであることを判断してもよく、受信チャネルの特性によるエラー確率のうち、論理値「0」が論理値「1」に表れるエラー確率が、論理値「1」が論理値「0」に表れるエラー確率よりも高ければ雑音源を干渉信号と判断し、その他の場合は雑音源を白色ガウス雑音と判断してもよい。
【0018】
本発明の他の実施形態に係る送信装置は、オンオフ変調方式または周波数偏移変調方式によるトレーニングシーケンスの少なくとも1つの論理値の分布を調整する調整部と、トレーニングシーケンスを受信する受信装置に少なくとも1つの論理値の分布に関する情報を送信する送信部とを備え受信装置からトレーニングシーケンスに対する雑音源のタイプに関する情報を獲得する獲得部と、雑音源のタイプに応じてトレーニングシーケンスに適用される少なくとも1つの通信パラメータを調整する調整部とを備えていてもよい。
【0019】
本発明の一実施形態に係る通信システムは、オンオフ変調方式または周波数偏移変調方式による送信信号が表す論理値のうち、少なくとも1つの論理値の分布を調整する送信装置と、送信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布を用いて閾値を設定し、閾値と受信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布を用いて受信信号に作用する雑音源のタイプを判断する受信装置とを備え、送信装置は、少なくとも1つの論理値の分布を含む情報を送信し、受信装置は、少なくとも1つの論理値の分布を含む情報を用いて閾値を設定してもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、オンオフ変調方式または周波数偏移変調方式による通信システムにおいて発生する雑音源のタイプを把握し、雑音源のタイプに応じて対応することによって、通信性能の向上を果たすことができ、送信装置ではなく受信装置で干渉信号を認知し、送信装置がこれに対応できるようにしたことで、フォールス干渉アラームや隠れ端末問題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る受信装置の受信方法を示すフローチャートである。
【図2】一般的なオンオフ変調(OOK)システムで受信信号の波形を示す図である。
【図3】AおよびBは、干渉信号および白色ガウス雑音による受信確率の変化を表す図である。
【図4】「0」を送信する場合、干渉信号の有無に応じた受信信号の強度の確率分布を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る送信装置の送信方法を示すフローチャートである。
【図6】本発明の他の実施形態に係る受信装置の受信方法を示すフローチャートである。
【図7】本発明の他の実施形態に係る送信装置の送信方法を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態に係る受信装置を示すブロック図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る送信装置を示すブロック図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る受信装置が軟判定に基づいて論理値を決定することを説明するための図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る受信装置が硬判定に基づいて論理値を決定することを説明するための図である。
【図12】本発明の他の実施形態に係る受信装置を示すブロック図である。
【図13】本発明の他の実施形態に係る送信装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付の図面を参照して詳細に説明する。しかし、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。また、各図面に示した同一の参照符号は同一の部材を示す。
【0023】
デジタル変調方式の1つであるオンオフ変調(OOK)方式は、任意の信号を送信している状態(symbol「1」)といずれの信号も送信していない状態(symbol「0」)を用いて情報を送受信する方式である。
このようなオンオフ変調(OOK)方式においては、他のデジタル変調方式に比べて使用する周波数帯域に対比して、送信できるビット数は多くないものの、いずれの信号も送信していないオフ(off)状態を用いるため、送信端での消費電力を低減することができる長所を有する。
すなわち、オンオフ変調(OOK)方式では、送信端においていずれの信号も送信しない期間に、オシレータや出力電力増幅器などをオフにすることにより送信装置の電力効率を高めることができる。
【0024】
オンオフ変調(OOK)方式を用いた受信装置においては、高次元線形モジュレーション方式に比べて簡単な素子で実現されているため、受信消費電力を低減することができる。
例えば、オンオフ変調(OOK)方式を用いた受信装置を実現する方法の1つにおいては、エンベロープ(envelop)検出器を用いて所望する周波数帯域の信号の振幅情報を抽出し、この値が特定の閾値(Symbol Detection Threshold)以上である場合には論理値「1」信号として検出し、閾値以下である場合には論理値「0」信号として検出するため、能動RF素子を用いた搬送波の復調なしに信号を検出することができ、受信装置の消費電力を減らすことができる。ここで、閾値は、論理値「0」と「1」を区分するための閾値を意味する。
【0025】
また、周波数偏移変調(FSK)方式というのは、送信しようとする各シンボルxiに互いに異なる周波数fiを割り当てて送信した後、受信端で周波数別に割り当てられた信号を受信することによって情報を伝達する方法である。
周波数偏移変調(FSK)方式を用いた受信装置は、一般的に、各周波数信号fiのために並列接続されたオンオフ変調(OOK)方式を用いる受信機セットと、各受信機の出力振幅のうち最も大きい値を有するシンボルxiを検出するための検出器とで構成されている。
【0026】
一方、2進周波数偏移変調(Binary FSK)の受信装置は、消費電力を節減するために1つのオンオフ変調(OOK)方式を用いた受信装置によって実現することが可能である。すなわち、2つの周波数信号のうち1つの周波数信号のみを検出し、出力振幅の閾値によって検出信号を決定する方式を用いて信号を検出することができる。
【0027】
前述したオンオフ変調(OOK)方式および周波数偏移変調(FSK)方式を用いた通信システムは、信号のオフ状態を用いることから干渉信号によって大きな影響を受ける。すなわち、これらの方式では、いずれの信号も存在しない区間を用いて情報を送受信するため、この区間内に外部雑音信号(特に、干渉信号)が存在する場合は、システムの性能が著しく低下した状態の特性を示す。
そのため、オンオフ変調(OOK)方式および周波数偏移変調(FSK)方式を用いた通信システムには、干渉信号を認知して、これに対応できる能力が要求されている。
【0028】
干渉信号を認知して対処する技術は、主に送信端における干渉回避動作によって実現される。すなわち、送信端から信号を送信する前にチャネル状態を確認し、干渉信号が存在しないことを確認してから信号を送信することによって、干渉状況を避けることができる(Carrier Sensing Multiple Access:以下、CSMA)。
【0029】
送信端で干渉信号が存在しないことを確認してから信号を送信する場合であっても、様々な要因に基づいて干渉信号による信号衝突が発生することがある。
このような問題の解決のために、特定のチャネルを用いる信号を送信する方法(collision Avoidance)、信号を送信する間に干渉信号が存在するか否かを検出する技術(collision detection)がある。
このような干渉認知および干渉回避方法は、通信の成功可能性を送信端で予測して動作有無を決定するため、実際に通信可能にもかかわらず、送信端周辺の干渉信号源に敏感に反応して通信の機会を逃してしまう問題や、受信端の近所に干渉信号源が存在するにもかかわらず、送信端でこれを認知できない問題(Hidden node problem)などが発生してしまう。
【0030】
本発明によれば、オンオフ変調(OOK)方式および周波数偏移変調(FSK)方式を用いる通信システムが受信した信号の特性を把握し、これを活用して干渉信号の存在を認知して対処することによって、前述の問題を解決することができる。
以下に本発明の好ましい実施形態について、図を参照して詳述する。
【0031】
図1は、本発明の一実施形態に係る受信装置の受信方法を示すフローチャートである。
図1に示すように、受信装置は、送信装置からオンオフ変調方式または周波数偏移変調方式による送信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布に関する情報を受信する(S110)。
このとき、受信装置は予め定義されたテーブルを用いるか、フレーム内に含まれた少なくとも1つの論理値の分布に関する情報を用いて、送信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布を把握してもよい。ここで、予め定義されたテーブルは、少なくとも1つの論理値の分布に対する候補値が格納されたテーブルであってもよい。
【0032】
受信装置は、送信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布に関する情報を用いて閾値を設定し(S120)、受信信号が表す論理値のうち少なくとも1つの論理値の分布を検出する(S130)。
ここで、閾値は、受信信号に作用する雑音源のタイプが白色ガウス雑音または干渉であるかを区分するためのものであり、送信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布に対する情報には、送信信号内に存在する論理値「1」と「0」の比率などを含んでもよい。
また、受信装置は、送信信号内に存在する論理値「1」と「0」の比率を閾値として設定してもよく、これにより、自身が受信した送信信号内に存在する論理値1/論理値0の比率が閾値より大きくなれば干渉と判断し、同じか小さい時には白色ガウス雑音と判断してもよい。
【0033】
ステップS130において、受信装置は、受信信号が表す論理値のうち論理値「0」または論理値「1」のいずれか1つの数を検出してもよく、論理値「0」および論理値「1」全ての数を全て検出して論理値の分布の状態を検出してもよい。
また、受信装置は、例えば、論理値「0」と論理値「1」の分布に対するバランスが取れているか取れていないかなどを把握するために、論理値の分布を検出してもよい。
そして、受信装置は、閾値と受信信号が表す論理値のうち少なくとも1つの論理値の分布を用いて、受信信号に作用する雑音源のタイプが白色ガウス雑音であるか干渉であるかを判断してもよい。
【0034】
オンオフ変調方式を用いるシステムにおいて、白色ガウス雑音と干渉信号は互いに異なるエラー発生の特性を示すが、本発明の一実施形態においては、この特徴を用いて雑音源を判断してもよい。
【0035】
オンオフ変調方式を用いるシステムにおいて、受信信号の波形およびエラー発生の特性と、これを用いて雑音源を判断する原理について、図2および図3を参照して、以下に詳細に説明する。
受信装置は、受信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布が閾値を超過するか否かを判断してもよい(S140)。
このとき、少なくとも1つの論理値の分布が閾値を超過していれば、受信装置は、雑音源を干渉信号であると判断し(S150)、雑音源のタイプに関する情報(例えば、該当の受信信号に対する雑音源が干渉信号という情報)を送信装置に送信してもよい(S160)。
また、ステップS140において、受信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布が閾値と同一または小さければ、受信装置は白色ガウス雑音を雑音源と判断し(S170)、白色ガウス雑音が雑音源であることを送信装置に送信してもよい(S160)。
【0036】
図2は、オンオフ変調システムにおいて、受信信号の波形を示す図である。
図2の上側は、干渉信号による信号の歪曲を表し、図2の下側は、白色ガウス雑音(Additive White Gaussian Noise;AWGN)による信号の歪曲を表す。
上述したように、オンオフ変調システムにおいては、連続波continuous wave)信号を送信している状態と、いずれの信号も送信していない状態を「0」と「1」の信号に区分する。
また、オンオフ変調システムにおいて、干渉信号によって信号エラーが発生した場合と、白色ガウス雑音(AWGN)によって信号エラーが発生した場合とは、互いに異なるエラー発生の特性を示す。
【0037】
図2の上側に示すように、干渉信号によってエラーが発生した場合は、いずれの信号も送信していない状態であるため、「0」信号を送信する区間でエラーが多く発生する。
一方、図2の下側に示すように、白色ガウス雑音(AWGN)によってエラーが発生する場合は「0」信号区間だけではなく「1」信号区間でもエラーが発生することが分かる。
すなわち、白色ガウス雑音は、干渉信号に比べてエラーをさらに不均衡に発生させており、これについては、図3を参照して後述する。
【0038】
図3のAおよびBは、干渉信号および白色ガウス雑音による受信確率の変化を示す図である。図3のAは、干渉信号による受信確率の変化を表し、図3のBは白色ガウス雑音による受信確率の変化を表す。
図3のAに示すように、干渉信号によってエラーが発生した場合には、P(Sending=「0」|Receiving=「1」)の確率が大きく増加する。
一方、図3のBに示すように、白色ガウス雑音(AWGN)によってエラーが発生した場合には、P(Sending=「0」|Receiving=「1」)だけではなく、P(Sending=「1」|Receiving=「0」)の確率も増加する。
【0039】
前述の内容を整理すると、受信装置が受信する受信信号は次の数式1のように表すことができる。
【0040】
【数1】
・・・数式1
【0041】
ここで、Xi∈{0,1}であり、φi∈[0,2π]であり、fcは送信周波数を表し、tは整数を表す。I0は干渉信号の振幅を表し、n(t)は白色ガウス雑音を表す。
【0042】
数式1は受信装置が受信する信号(ri(t))を表しており、Xicos(2πfct)は送信装置が送信した送信信号を、I0cos(2πfct+φ0)は干渉信号を表す。
また、受信信号に作用する白色ガウス雑音(AWGN)は次の数式2のように表してもよい。
【0043】
【数2】
・・・数式2
【0044】
ここで、nI(t)は、n(t)の同相(In−Phase)成分であり、nQ(t)は、n(t)の直角位相(quadrature)成分である。
したがって、直角位相非同期受信機(Quadrature non−coherent receiver)が前述した受信信号を受信し、受信信号に雑音源が作用したと仮定すれば、受信信号に対して次のような振幅を獲得したこととなる。
【0045】
1)雑音源が白色ガウス雑音(AWGN)である場合
a.送信装置が「0」を送信した場合
【数3】
b.送信装置が「1」を送信した場合
【数4】
【0046】
2)雑音源が干渉信号である場合
a.送信装置が「0」を送信した場合
【数5】
b.送信装置が「1」を送信した場合
【数6】
【0047】
上記において、雑音源が干渉信号であり、送信装置が「0」信号を送信した場合、受信装置は、干渉成分(B)によってRice確率分布を有することになり、雑音源が白色ガウス雑音である場合よりエラーの発生する確率が大きく増加することが分かる。
本実施形態では、このような性質を用いて、受信信号から「1」の数が閾値を越えたかどうかによって白色ガウス雑音かまたは干渉信号によるエラーが発生したと認知することができる。
また、本実施形態では、送信装置が各雑音源に対処できるように、送信信号に適用される少なくとも1つの通信パラメータを適宜調整して、通信効率を向上させるようにしている。このような事項は、図4によって容易に把握することができる。
【0048】
図4は、「0」を送信する場合、干渉信号の有無に応じた受信信号の強度の確率分布を示す図である。
図4において、X軸は受信信号の振幅(Received Signal Amplitude)を表し、Y軸は確率密度(Probability Density)を表す。
【0049】
図4に示すように、閾値(Symbol Detection Threshold)が2.5であれば、閾値の位置における原信号は論理値「0」と判断される。しかし、干渉信号によって変形した信号では、全体的な受信信号の強度の確率が右側に偏るようになるので、閾値の位置に該当する信号が論理値「1」と判断される可能性が高くなる。
ここで、閾値は、論理値「0」と「1」を区分するための閾値を意味する。
【0050】
図5は、本発明の一実施形態に係る送信装置の送信方法を示すフローチャートである。
図5に示すように、送信装置は、オンオフ変調方式または周波数偏移変調方式による送信信号が表す論理値のうち少なくとも1つの論理値の分布を調整する(S510)。
例えば、送信装置は、送信信号が表す論理値のうち「0」と「1」の分布に対するバランスを取るか、「0」と「1」の分布を任意に調整する。
【0051】
送信装置は、送信信号を受信する受信装置に送信信号が表す論理値のうち少なくとも1つの論理値の分布に関する情報を送信する(S520)。
このとき、送信装置は、予め定義されたテーブルを用いて送信信号が表す論理値のうち少なくとも1つの論理値の分布に関する情報を送信してもよい。
ここで、予め定義されたテーブルは、少なくとも1つの論理値の分布に対する候補値が格納されたテーブルであってもよい。
【0052】
送信装置から少なくとも1つの論理値の分布に関する情報を受信した受信装置は、該当する情報を用いて受信信号に作用する雑音源のタイプを判断し、雑音源のタイプに関する情報を送信装置に送信する。
一方、送信装置は、受信装置から雑音源のタイプに関する情報を獲得し(S530)、雑音源のタイプに応じて送信信号に適用される少なくとも1つの通信パラメータを適宜調整することができる(S540)。
【0053】
ステップS540において、送信装置が少なくとも1つの通信パラメータを適宜調整する方法として、例えば、送信装置が周波数ホッピング(Frequency hopping)システムにおいて、干渉信号が存在する周波数領域を使用しない適応性周波数ホッピング(adaptive frequency hopping)方法を用いることや、通信パラメータを適宜調整することを含んでもよい。
また、少なくとも1つの通信パラメータを適宜調整する方法としては、雑音源が干渉信号である場合、送信装置が一定の時間以後の信号を再送信することや、雑音源が白色ガウス雑音である場合、システムのデータレートを調整するなどの方法を用いることを含んでもよい。
【0054】
図6は、本発明の他の実施形態に係る受信装置の受信方法を示すフローチャートである。
図6に示すように、受信装置は、送信装置からオンオフ変調方式または周波数偏移変調方式によるトレーニングシーケンスを受信する(S610)。
ここで、トレーニングシーケンスは論理値「0」と「1」の分布を任意に構成することができる。
その後、受信装置は、トレーニングシーケンスに基づいて受信チャネルの特性を把握し(S620)、トレーニングシーケンスに含まれた少なくとも1つの論理値の分布に対するエラー確率を算出する(S630)。
【0055】
例えば、トレーニングシーケンスが「001101」と仮定すれば、送信装置と受信装置は、互いにトレーニングシーケンスが「001101」であることが予め分かる。
したがって、送信装置がトレーニングシーケンス(「001101」)について受信チャネルを介して送信すれば、これを受信した受信装置は、受信されたトレーニングシーケンスから該当のチャネルでの経路減衰などの受信チャネルの特性を把握することができる。
【0056】
また、受信装置は、送信装置が送信したトレーニングシーケンス(「001101」)について受信装置自身が受信した結果が「111100」であった場合、トレーニングシーケンスに含まれた少なくとも1つの論理値の分布に対するエラー確率を算出することができる。
ここで、少なくとも1つの論理値の分布に対するエラー確率とは、少なくとも1つの論理値の分布に表れる全体エラーに対して、該当のエラーが表れる確率を意味する。
【0057】
すなわち、送信装置が送信したトレーニングシーケンスである「001101」について「111100」のように受信された場合、受信装置は、全体6ビットのうち全体エラー(3ビット)に対して論理値「0」が論理値「1」に表れるエラー確率は2/3=66%であり、全体エラーのうち論理値「1」が論理値「0」に表れるエラー確率は1/3=33%であることを算出できる。
その他に、受信装置は、トレーニングシーケンスの他にデフォルト(default)値を用いて受信チャネルの特性を把握した後、少なくとも1つの論理値の分布に表れる全体エラーに対して該当のエラーが表れる確率を算出してもよい。
【0058】
受信装置は、受信チャネルの特性およびエラー確率を用いてトレーニングシーケンスに作用する雑音源のタイプを判断する(S640)。
ステップS640において、受信装置は、受信チャネルの特性およびエラー確率(少なくとも1つの論理値の分布に表れる全体エラーに対して該当のエラーが表れる確率)を用いてトレーニングシーケンスに作用する雑音源が白色ガウス雑音かまたは干渉のいずれかを判断する。
【0059】
ステップS640において、受信装置は、受信チャネルの特性によるエラー確率のうち、論理値「0」が論理値「1」に表れるエラー確率が、論理値「1」が論理値「0」に表れるエラー確率よりも高ければ、雑音源を干渉信号として判断する。また、これを除く全ての場合に雑音源を白色ガウス雑音として判断してもよい。
例えば、トレーニングシーケンス「001101」の全体エラーに対し、論理値「0」が論理値「1」に表れるエラー確率は2/3=66%であり、論理値「1」が論理値「0」に表れるエラー確率は1/3=33%であると仮定する。
この場合、受信チャネルの特性によるエラー確率(少なくとも1つの論理値の分布に表れる全体エラーに対して該当のエラーが表れる確率)のうち、論理値「0」が論理値「1」に表れるエラー確率(66%)は、論理値「1」が論理値「0」に表れるエラー確率(33%)よりも高く、受信装置は、該当の雑音源を干渉信号として判断する。
【0060】
ステップS640において、受信装置は、受信チャネルの特性によるエラー確率を考慮してもよく、例えば、受信チャネルの経路減衰が高い場合、経路減衰ごとのエラー確率を別個に算定し、同一のエラー確率であっても受信チャネルの特性(ここでは受信チャネルの減衰率)によって雑音源を判断する基準を別に決定するようにしてもよい。
【0061】
受信装置は、受信した信号(またはトレーニングシーケンス)について論理値「0」または「1」を判断するために、軟判定(soft−decision)に基づいた方法と硬判定(hard−decision)に基づいた方法の2種類を用いることができる。これらの方法については、図10および図11を参照して後述する。
【0062】
図7は、本発明の他の実施形態に係る送信装置の送信方法を示すフローチャートである。
図7に示すように、送信装置は、オンオフ変調方式または周波数偏移変調方式によるトレーニングシーケンスの少なくとも1つの論理値の分布を調整する(S710)。
ステップS710において、送信装置は、トレーニングシーケンスの論理値「0」と「1」の分布に対するバランスを取るか、論理値「0」と「1」の分布を任意に構成してもよい。
【0063】
送信装置は、トレーニングシーケンスを受信する受信装置に少なくとも1つの論理値の分布に関する情報を送信する(S720)。
その後、受信装置からトレーニングシーケンスに対する雑音源のタイプに関する情報を獲得(S730)した送信装置は、雑音源のタイプに応じてトレーニングシーケンスに適用される少なくとも1つの通信パラメータを適宜調整する(S740)。
送信装置がトレーニングシーケンスに適用される少なくとも1つの通信パラメータを適宜調整する方法については、図5で示したステップS540において説明した。
【0064】
図8は、本発明の一実施形態に係る受信装置を示すブロック図である。図8に示すように、受信装置800は、受信部810、設定部820、検出部830、および判断部840を備える。
受信部810は、送信装置からオンオフ変調方式または周波数偏移変調方式による送信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布に関する情報を受信する。
また、受信部810は、少なくとも1つの論理値の分布に対する候補値が格納されたテーブルを用いて送信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布を把握することができる。
【0065】
設定部820は、送信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布に関する情報を用いて閾値を設定し、検出部830は、受信信号が表す論理値のうち少なくとも1つの論理値の分布を検出する。
検出部830は、受信信号が表す論理値のうち論理値「0」または論理値「1」のうちいずれか1つの論理値の数を検出することや、論理値「0」および論理値「1」全ての数を検出することができる。
【0066】
判断部840は、閾値と受信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布を用いて受信信号に作用する雑音源のタイプを判断する。
ここで、判断部840は、受信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布が閾値を超過すれば雑音源を干渉信号として判断し、受信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布が閾値と同一であるか小さければ、雑音源を白色ガウス雑音として判断する。
【0067】
図9は、本発明の一実施形態に係る送信装置を示すブロック図である。
図9に示すように、送信装置900は、調整部910、送信部920、獲得部930、およびパラメータ調整部940を備える。
調整部910は、オンオフ変調方式または周波数偏移変調方式による送信信号が表す論理値のうち少なくとも1つの論理値の分布を調整する。
【0068】
送信部920は、送信信号を受信する受信装置に送信信号が表す論理値のうち少なくとも1つの論理値の分布に関する情報を送信する。
また、送信部920は、少なくとも1つの論理値の分布に対する候補値が格納されたテーブルを用いて送信信号が表す論理値のうち少なくとも1つの論理値の分布に関する情報を送信してもよい。
【0069】
獲得部930は、受信装置から雑音源のタイプに関する情報を獲得することができる。
パラメータ調整部940は、雑音源のタイプに応じて送信信号に適用される少なくとも1つの通信パラメータを適宜調整することができる。
【0070】
図10は、本実施形態おいて、受信装置が軟判定に基づいて論理値を決定することを説明するための図であり、図11は、硬判定に基づいて論理値を決定することを説明するための図である。
図10に示すように、受信装置は、送信装置から受信した信号に対する電圧値を調整して、該当の信号が論理値「high」に該当するか、または論理値「low」に該当するかの判断および決定をすることができる。
そして、受信装置は、検出部が少なくとも1つの論理値の分布を検出するのに先立ち、上述の調整動作を行うことができ、このとき、軟判定においては、受信した信号を判断する電圧(値)を調整してもよい。
【0071】
すなわち、論理値「high」と判断する受信信号の電圧が5Vであり、論理値「low」と判断する受信信号の電圧が0Vであると仮定したとき、軟判定においては、受信した信号の論理値「high」と判断する受信信号の電圧基準を、5Vではなく3Vや2.5Vに調整することができる。したがって、受信装置が軟判定に基づく場合、調整された電圧基準によって決定された論理値の分布を閾値と比較してもよい。
【0072】
図11に示すように、受信装置は、予め決定された電圧または周波数などの基準によって、受信信号が「0」であるか、または「1」であるかを判断してもよい。また、受信装置が硬判定に基づいて受信信号の判断を行った場合、「0」または「1」に決定された論理値の分布を閾値と比較してもよい。
このように、本実施形態に係る受信装置は、前述した軟判定および硬判定に基づいて論理値を決定することができる。
【0073】
図12は、本発明の他の実施形態に係る受信装置を示すブロック図である。
図12に示すように、受信装置1200は、受信部1210、把握部1220、算出部1230、および判断部1240を備える。
【0074】
受信部1210は、送信装置からオンオフ変調方式または周波数偏移変調方式によるトレーニングシーケンスを受信し、把握部1220は、トレーニングシーケンスに基づいて受信チャネルの特性を把握し、算出部1230は、トレーニングシーケンスに含まれた少なくとも1つの論理値の分布に対するエラー確率を算出し、判断部1240は、受信チャネルの特性およびエラー確率を用いてトレーニングシーケンスに作用する雑音源のタイプを判断する。
【0075】
判断部1240は、受信チャネルの特性およびエラー確率を用いて、トレーニングシーケンスに作用する雑音源が白色ガウス雑音または干渉のうちいずれかを判断することができる。
より具体的には、判断部1240は、受信チャネルの特性によるエラー確率のうち、論理値「0」が論理値「1」に表れるエラー確率が論理値「1」が論理値「0」に表れるエラー確率よりも高ければ、雑音源を干渉信号として判断し、それ以外の場合には雑音源を白色ガウス雑音として判断してもよい。
【0076】
図13は、本発明の他の実施形態に係る送信装置を示すブロック図である。
図13に示すように、送信装置1300は、調整部1310、送信部1320、獲得部1330、およびパラメータ調整部1340を備える。
【0077】
調整部1310は、オンオフ変調方式または周波数偏移変調方式によるトレーニングシーケンスの少なくとも1つの論理値の分布を調整し、送信部1320は、トレーニングシーケンスを受信する受信装置に少なくとも1つの論理値の分布に関する情報を送信する。
獲得部1330は、受信装置からトレーニングシーケンスに対する雑音源のタイプに関する情報を獲得することができ、パラメータ調整部1340は、雑音源のタイプに応じてトレーニングシーケンスに適用される少なくとも1つの通信パラメータを適宜調整することができる。
【0078】
本発明の一実施形態に係る通信システムは、前述した送信装置および受信装置を備え、通信システムを構成する送信装置は、オンオフ変調方式または周波数偏移変調方式による送信信号が表す論理値のうち少なくとも1つの論理値の分布を調整する。
また、通信システムを構成する受信装置は、送信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布を用いて閾値を設定し、閾値と受信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布を用いて、受信信号に作用する雑音源のタイプを判断する。
その他の通信システムを構成する送受信装置の動作については、前述した送信装置および受信装置に関する説明と同様である。
【0079】
前述した方法は、多様なコンピュータ手段を介して実行するプログラム命令形態に具現され、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録される。
コンピュータ読取可能な媒体は、プログラム命令、データファイル、データ構造などを単独または組み合わせて用いることができ、媒体に記録されるプログラム命令は、本発明の目的のために特別に設計されて構成されたものでもよく、コンピュータソフトウェア分野の技術を有する当業者にとって公知であり使用可能なものであってもよい。
【0080】
コンピュータ読取可能な記録媒体の例としては、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスクおよび磁気テープのような磁気記録媒体、CD−ROM、DVDのような光記録媒体、フロプティカルディスクのような磁気−光媒体、およびROM、RAM、フラッシュメモリなどのようなプログラム命令を保存して実行するように特別に構成されたハードウェア装置が含まれる。
プログラム命令の例としては、コンパイラによって生成されるような機械語コードだけでなく、インタプリタなどを用いてコンピュータによって実行され得る高級言語コードを含む。
上述のハードウェア装置は、本発明の動作を行うために1つ以上のソフトウェア階層で作動するように構成され、その逆も同様である。
【0081】
以上、限定された実施形態と図面によって本発明を説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲および特許請求の範囲と均等なものによって定められたものを含む。
【符号の説明】
【0082】
800、1200 受信装置
810、1210 受信部
820 設定部
830 検出部
840、1240 判断部
900、1300 送信装置
910、1310 調整部
920、1320 送信部
930、1330 獲得部
940、1340 パラメータ調整部
1220 把握部
1230 算出部
【技術分野】
【0001】
本発明は通信性能を向上させることができる通信システムに係り、より詳しくは、雑音源のタイプを把握することで通信性能を向上させることができる通信システム及び送受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムの送信端で生成される信号は、無線チャネルを経て受信端に送信される。このとき、送信信号は、チャネル内の多様なタイプの雑音源によって変形および歪曲されて、受信端で受信エラーを引き起こす恐れがある。したがって、このことを効率的に解決するためには、雑音源の特性の把握が必要である。
【0003】
無線通信システムで受信エラーを引き起こす雑音源は、白色ガウス雑音と干渉とに大別される。白色ガウス雑音は、広い周波数範囲において一定の周波数成分を有する自然界で一般的に存在する雑音信号である。一方、干渉は、他の通信システムで送受信され、自身の通信システムの送受信信号を歪曲する信号や自身の通信システムで発生して他の通信システムの正常な受信信号を妨害する信号のことを指す。
【0004】
ISM(Industrial Science Medical)周波数帯域のように多様な通信システムが共存する周波数帯域では、雑音源が送受信システムに及ぼす影響が大きい。特に2.4GHz帯域の場合、WLAN、ブルートゥース、ジグビー(ZigBee)などの多様な通信規約が存在するため、その周波数帯域で動作するための通信システムは、雑音源を認知し、これに対応するメカニズムを整えることが極めて重要である。
【0005】
特に、オンオフ変調(OOK)方式および周波数偏移変調(FSK)方式を用いる通信システムでは、信号のオフ状態を用いることから干渉信号によって大きな影響を受けるため、種々の干渉認知および干渉回避の方策が提案されている(例えば特許文献1参照)。
しかしながら、これらの方法では、通信の成功可能性を送信端で予測して動作を決定するため、通信可能にもかかわらず送信端周辺の干渉信号源に敏感に反応して通信の機会を逃してしまう問題や、受信端の近所に干渉信号源が存在するにもかかわらず送信端でこれを認知できないという問題を依然として抱えていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−163749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、オンオフ変調(On−Off Keying:OOK)方式または周波数偏移変調(Frequency Shift Keying:FSK)方式による通信システムで発生する雑音源のタイプを把握し、雑音源のタイプに応じた対処を行うことにより、通信性能を向上させることができる通信システム及び送受信装置を提供することにある。
【0008】
また、本発明の他の目的は、従来の送信装置による干渉認知ではなく受信装置で干渉信号を認知し、送信装置がこれに対応してフォールス干渉アラーム(false interference alarm)や隠れ端末問題(hidden node problem)を解決することができる通信システム及び送受信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態に係る受信装置は、送信装置からオンオフ変調方式または周波数偏移変調方式による送信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布に関する情報を受信する受信部と、送信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布に関する情報を用いて閾値を設定する設定部と、受信信号が表す論理値のうち少なくとも1つの論理値の分布を検出する検出部と、閾値と受信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布を用いて受信信号に作用する雑音源のタイプを判断する判断部とを備える。
【0010】
受信部は、少なくとも1つの論理値の分布に対する候補値が格納されたテーブルを用いて送信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布を把握することができる。
検出部は、受信信号が表す論理値のうち論理値「0」または論理値「1」のいずれか1つを検出するか、論理値「0」および論理値「1」の全てを検出することができる。
【0011】
判断部は、閾値と受信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布を用いて、受信信号に作用する雑音源が白色ガウス雑音または干渉のいずれかであることを判断し、受信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布が閾値を超過すれば雑音源を干渉信号と判断し、受信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布が閾値と同一であるかもしくは小さければ雑音源を白色ガウス雑音と判断してもよい。
【0012】
また、受信装置は、検出部が受信信号の論理値のうち少なくとも1つの論理値の分布を検出する前に、受信信号の電圧値を調整してもよく、検出部は、予め設定された周波数値または電圧値に基づいて論理値「0」および論理値「1」を検出してもよい。
【0013】
本発明の一実施形態に係る送信装置は、オンオフ変調方式または周波数偏移変調方式による送信信号が表す論理値のうち少なくとも1つの論理値の分布を調整する調整部と、送信信号を受信する受信装置に送信信号が表す論理値のうち少なくとも1つの論理値の分布に関する情報を送信する送信部とを備える。
【0014】
送信部は、少なくとも1つの論理値の分布に対する候補値が格納されたテーブルを用いて、送信信号が表す論理値のうち少なくとも1つの論理値の分布に関する情報を送信してもよく、受信装置から雑音源のタイプに関する情報を獲得する獲得部と、雑音源のタイプに応じて送信信号に適用される少なくとも1つの通信パラメータを調整する調整部とを備えていてもよい。
【0015】
調整部は、少なくとも1つの通信パラメータを調整して送信部が干渉信号を含まない周波数の範囲で送信してもよく、雑音源のタイプが干渉であれば、送信信号を再送信するために少なくとも1つの通信パラメータを調整し、雑音源のタイプが白色ガウス雑音であれば、送信信号のデータレートを制御するために少なくとも1つの通信パラメータを調整してもよい。
【0016】
本発明の他の実施形態に係る受信装置は、送信装置からオンオフ変調方式または周波数偏移変調方式によるトレーニングシーケンスを受信する受信部と、トレーニングシーケンスに基づいて受信チャネルの特性を把握する把握部と、トレーニングシーケンスに含まれた少なくとも1つの論理値の分布に対するエラー確率を算出する算出部と、受信チャネルの特性およびエラー確率を用いてトレーニングシーケンスに作用する雑音源のタイプを判断する判断部とを備える。
【0017】
判断部は、受信チャネルの特性およびエラー確率を用いて、トレーニングシーケンスに作用する雑音源が白色ガウス雑音または干渉のうちいずれかであることを判断してもよく、受信チャネルの特性によるエラー確率のうち、論理値「0」が論理値「1」に表れるエラー確率が、論理値「1」が論理値「0」に表れるエラー確率よりも高ければ雑音源を干渉信号と判断し、その他の場合は雑音源を白色ガウス雑音と判断してもよい。
【0018】
本発明の他の実施形態に係る送信装置は、オンオフ変調方式または周波数偏移変調方式によるトレーニングシーケンスの少なくとも1つの論理値の分布を調整する調整部と、トレーニングシーケンスを受信する受信装置に少なくとも1つの論理値の分布に関する情報を送信する送信部とを備え受信装置からトレーニングシーケンスに対する雑音源のタイプに関する情報を獲得する獲得部と、雑音源のタイプに応じてトレーニングシーケンスに適用される少なくとも1つの通信パラメータを調整する調整部とを備えていてもよい。
【0019】
本発明の一実施形態に係る通信システムは、オンオフ変調方式または周波数偏移変調方式による送信信号が表す論理値のうち、少なくとも1つの論理値の分布を調整する送信装置と、送信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布を用いて閾値を設定し、閾値と受信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布を用いて受信信号に作用する雑音源のタイプを判断する受信装置とを備え、送信装置は、少なくとも1つの論理値の分布を含む情報を送信し、受信装置は、少なくとも1つの論理値の分布を含む情報を用いて閾値を設定してもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、オンオフ変調方式または周波数偏移変調方式による通信システムにおいて発生する雑音源のタイプを把握し、雑音源のタイプに応じて対応することによって、通信性能の向上を果たすことができ、送信装置ではなく受信装置で干渉信号を認知し、送信装置がこれに対応できるようにしたことで、フォールス干渉アラームや隠れ端末問題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る受信装置の受信方法を示すフローチャートである。
【図2】一般的なオンオフ変調(OOK)システムで受信信号の波形を示す図である。
【図3】AおよびBは、干渉信号および白色ガウス雑音による受信確率の変化を表す図である。
【図4】「0」を送信する場合、干渉信号の有無に応じた受信信号の強度の確率分布を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る送信装置の送信方法を示すフローチャートである。
【図6】本発明の他の実施形態に係る受信装置の受信方法を示すフローチャートである。
【図7】本発明の他の実施形態に係る送信装置の送信方法を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態に係る受信装置を示すブロック図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る送信装置を示すブロック図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る受信装置が軟判定に基づいて論理値を決定することを説明するための図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る受信装置が硬判定に基づいて論理値を決定することを説明するための図である。
【図12】本発明の他の実施形態に係る受信装置を示すブロック図である。
【図13】本発明の他の実施形態に係る送信装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付の図面を参照して詳細に説明する。しかし、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。また、各図面に示した同一の参照符号は同一の部材を示す。
【0023】
デジタル変調方式の1つであるオンオフ変調(OOK)方式は、任意の信号を送信している状態(symbol「1」)といずれの信号も送信していない状態(symbol「0」)を用いて情報を送受信する方式である。
このようなオンオフ変調(OOK)方式においては、他のデジタル変調方式に比べて使用する周波数帯域に対比して、送信できるビット数は多くないものの、いずれの信号も送信していないオフ(off)状態を用いるため、送信端での消費電力を低減することができる長所を有する。
すなわち、オンオフ変調(OOK)方式では、送信端においていずれの信号も送信しない期間に、オシレータや出力電力増幅器などをオフにすることにより送信装置の電力効率を高めることができる。
【0024】
オンオフ変調(OOK)方式を用いた受信装置においては、高次元線形モジュレーション方式に比べて簡単な素子で実現されているため、受信消費電力を低減することができる。
例えば、オンオフ変調(OOK)方式を用いた受信装置を実現する方法の1つにおいては、エンベロープ(envelop)検出器を用いて所望する周波数帯域の信号の振幅情報を抽出し、この値が特定の閾値(Symbol Detection Threshold)以上である場合には論理値「1」信号として検出し、閾値以下である場合には論理値「0」信号として検出するため、能動RF素子を用いた搬送波の復調なしに信号を検出することができ、受信装置の消費電力を減らすことができる。ここで、閾値は、論理値「0」と「1」を区分するための閾値を意味する。
【0025】
また、周波数偏移変調(FSK)方式というのは、送信しようとする各シンボルxiに互いに異なる周波数fiを割り当てて送信した後、受信端で周波数別に割り当てられた信号を受信することによって情報を伝達する方法である。
周波数偏移変調(FSK)方式を用いた受信装置は、一般的に、各周波数信号fiのために並列接続されたオンオフ変調(OOK)方式を用いる受信機セットと、各受信機の出力振幅のうち最も大きい値を有するシンボルxiを検出するための検出器とで構成されている。
【0026】
一方、2進周波数偏移変調(Binary FSK)の受信装置は、消費電力を節減するために1つのオンオフ変調(OOK)方式を用いた受信装置によって実現することが可能である。すなわち、2つの周波数信号のうち1つの周波数信号のみを検出し、出力振幅の閾値によって検出信号を決定する方式を用いて信号を検出することができる。
【0027】
前述したオンオフ変調(OOK)方式および周波数偏移変調(FSK)方式を用いた通信システムは、信号のオフ状態を用いることから干渉信号によって大きな影響を受ける。すなわち、これらの方式では、いずれの信号も存在しない区間を用いて情報を送受信するため、この区間内に外部雑音信号(特に、干渉信号)が存在する場合は、システムの性能が著しく低下した状態の特性を示す。
そのため、オンオフ変調(OOK)方式および周波数偏移変調(FSK)方式を用いた通信システムには、干渉信号を認知して、これに対応できる能力が要求されている。
【0028】
干渉信号を認知して対処する技術は、主に送信端における干渉回避動作によって実現される。すなわち、送信端から信号を送信する前にチャネル状態を確認し、干渉信号が存在しないことを確認してから信号を送信することによって、干渉状況を避けることができる(Carrier Sensing Multiple Access:以下、CSMA)。
【0029】
送信端で干渉信号が存在しないことを確認してから信号を送信する場合であっても、様々な要因に基づいて干渉信号による信号衝突が発生することがある。
このような問題の解決のために、特定のチャネルを用いる信号を送信する方法(collision Avoidance)、信号を送信する間に干渉信号が存在するか否かを検出する技術(collision detection)がある。
このような干渉認知および干渉回避方法は、通信の成功可能性を送信端で予測して動作有無を決定するため、実際に通信可能にもかかわらず、送信端周辺の干渉信号源に敏感に反応して通信の機会を逃してしまう問題や、受信端の近所に干渉信号源が存在するにもかかわらず、送信端でこれを認知できない問題(Hidden node problem)などが発生してしまう。
【0030】
本発明によれば、オンオフ変調(OOK)方式および周波数偏移変調(FSK)方式を用いる通信システムが受信した信号の特性を把握し、これを活用して干渉信号の存在を認知して対処することによって、前述の問題を解決することができる。
以下に本発明の好ましい実施形態について、図を参照して詳述する。
【0031】
図1は、本発明の一実施形態に係る受信装置の受信方法を示すフローチャートである。
図1に示すように、受信装置は、送信装置からオンオフ変調方式または周波数偏移変調方式による送信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布に関する情報を受信する(S110)。
このとき、受信装置は予め定義されたテーブルを用いるか、フレーム内に含まれた少なくとも1つの論理値の分布に関する情報を用いて、送信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布を把握してもよい。ここで、予め定義されたテーブルは、少なくとも1つの論理値の分布に対する候補値が格納されたテーブルであってもよい。
【0032】
受信装置は、送信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布に関する情報を用いて閾値を設定し(S120)、受信信号が表す論理値のうち少なくとも1つの論理値の分布を検出する(S130)。
ここで、閾値は、受信信号に作用する雑音源のタイプが白色ガウス雑音または干渉であるかを区分するためのものであり、送信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布に対する情報には、送信信号内に存在する論理値「1」と「0」の比率などを含んでもよい。
また、受信装置は、送信信号内に存在する論理値「1」と「0」の比率を閾値として設定してもよく、これにより、自身が受信した送信信号内に存在する論理値1/論理値0の比率が閾値より大きくなれば干渉と判断し、同じか小さい時には白色ガウス雑音と判断してもよい。
【0033】
ステップS130において、受信装置は、受信信号が表す論理値のうち論理値「0」または論理値「1」のいずれか1つの数を検出してもよく、論理値「0」および論理値「1」全ての数を全て検出して論理値の分布の状態を検出してもよい。
また、受信装置は、例えば、論理値「0」と論理値「1」の分布に対するバランスが取れているか取れていないかなどを把握するために、論理値の分布を検出してもよい。
そして、受信装置は、閾値と受信信号が表す論理値のうち少なくとも1つの論理値の分布を用いて、受信信号に作用する雑音源のタイプが白色ガウス雑音であるか干渉であるかを判断してもよい。
【0034】
オンオフ変調方式を用いるシステムにおいて、白色ガウス雑音と干渉信号は互いに異なるエラー発生の特性を示すが、本発明の一実施形態においては、この特徴を用いて雑音源を判断してもよい。
【0035】
オンオフ変調方式を用いるシステムにおいて、受信信号の波形およびエラー発生の特性と、これを用いて雑音源を判断する原理について、図2および図3を参照して、以下に詳細に説明する。
受信装置は、受信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布が閾値を超過するか否かを判断してもよい(S140)。
このとき、少なくとも1つの論理値の分布が閾値を超過していれば、受信装置は、雑音源を干渉信号であると判断し(S150)、雑音源のタイプに関する情報(例えば、該当の受信信号に対する雑音源が干渉信号という情報)を送信装置に送信してもよい(S160)。
また、ステップS140において、受信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布が閾値と同一または小さければ、受信装置は白色ガウス雑音を雑音源と判断し(S170)、白色ガウス雑音が雑音源であることを送信装置に送信してもよい(S160)。
【0036】
図2は、オンオフ変調システムにおいて、受信信号の波形を示す図である。
図2の上側は、干渉信号による信号の歪曲を表し、図2の下側は、白色ガウス雑音(Additive White Gaussian Noise;AWGN)による信号の歪曲を表す。
上述したように、オンオフ変調システムにおいては、連続波continuous wave)信号を送信している状態と、いずれの信号も送信していない状態を「0」と「1」の信号に区分する。
また、オンオフ変調システムにおいて、干渉信号によって信号エラーが発生した場合と、白色ガウス雑音(AWGN)によって信号エラーが発生した場合とは、互いに異なるエラー発生の特性を示す。
【0037】
図2の上側に示すように、干渉信号によってエラーが発生した場合は、いずれの信号も送信していない状態であるため、「0」信号を送信する区間でエラーが多く発生する。
一方、図2の下側に示すように、白色ガウス雑音(AWGN)によってエラーが発生する場合は「0」信号区間だけではなく「1」信号区間でもエラーが発生することが分かる。
すなわち、白色ガウス雑音は、干渉信号に比べてエラーをさらに不均衡に発生させており、これについては、図3を参照して後述する。
【0038】
図3のAおよびBは、干渉信号および白色ガウス雑音による受信確率の変化を示す図である。図3のAは、干渉信号による受信確率の変化を表し、図3のBは白色ガウス雑音による受信確率の変化を表す。
図3のAに示すように、干渉信号によってエラーが発生した場合には、P(Sending=「0」|Receiving=「1」)の確率が大きく増加する。
一方、図3のBに示すように、白色ガウス雑音(AWGN)によってエラーが発生した場合には、P(Sending=「0」|Receiving=「1」)だけではなく、P(Sending=「1」|Receiving=「0」)の確率も増加する。
【0039】
前述の内容を整理すると、受信装置が受信する受信信号は次の数式1のように表すことができる。
【0040】
【数1】
・・・数式1
【0041】
ここで、Xi∈{0,1}であり、φi∈[0,2π]であり、fcは送信周波数を表し、tは整数を表す。I0は干渉信号の振幅を表し、n(t)は白色ガウス雑音を表す。
【0042】
数式1は受信装置が受信する信号(ri(t))を表しており、Xicos(2πfct)は送信装置が送信した送信信号を、I0cos(2πfct+φ0)は干渉信号を表す。
また、受信信号に作用する白色ガウス雑音(AWGN)は次の数式2のように表してもよい。
【0043】
【数2】
・・・数式2
【0044】
ここで、nI(t)は、n(t)の同相(In−Phase)成分であり、nQ(t)は、n(t)の直角位相(quadrature)成分である。
したがって、直角位相非同期受信機(Quadrature non−coherent receiver)が前述した受信信号を受信し、受信信号に雑音源が作用したと仮定すれば、受信信号に対して次のような振幅を獲得したこととなる。
【0045】
1)雑音源が白色ガウス雑音(AWGN)である場合
a.送信装置が「0」を送信した場合
【数3】
b.送信装置が「1」を送信した場合
【数4】
【0046】
2)雑音源が干渉信号である場合
a.送信装置が「0」を送信した場合
【数5】
b.送信装置が「1」を送信した場合
【数6】
【0047】
上記において、雑音源が干渉信号であり、送信装置が「0」信号を送信した場合、受信装置は、干渉成分(B)によってRice確率分布を有することになり、雑音源が白色ガウス雑音である場合よりエラーの発生する確率が大きく増加することが分かる。
本実施形態では、このような性質を用いて、受信信号から「1」の数が閾値を越えたかどうかによって白色ガウス雑音かまたは干渉信号によるエラーが発生したと認知することができる。
また、本実施形態では、送信装置が各雑音源に対処できるように、送信信号に適用される少なくとも1つの通信パラメータを適宜調整して、通信効率を向上させるようにしている。このような事項は、図4によって容易に把握することができる。
【0048】
図4は、「0」を送信する場合、干渉信号の有無に応じた受信信号の強度の確率分布を示す図である。
図4において、X軸は受信信号の振幅(Received Signal Amplitude)を表し、Y軸は確率密度(Probability Density)を表す。
【0049】
図4に示すように、閾値(Symbol Detection Threshold)が2.5であれば、閾値の位置における原信号は論理値「0」と判断される。しかし、干渉信号によって変形した信号では、全体的な受信信号の強度の確率が右側に偏るようになるので、閾値の位置に該当する信号が論理値「1」と判断される可能性が高くなる。
ここで、閾値は、論理値「0」と「1」を区分するための閾値を意味する。
【0050】
図5は、本発明の一実施形態に係る送信装置の送信方法を示すフローチャートである。
図5に示すように、送信装置は、オンオフ変調方式または周波数偏移変調方式による送信信号が表す論理値のうち少なくとも1つの論理値の分布を調整する(S510)。
例えば、送信装置は、送信信号が表す論理値のうち「0」と「1」の分布に対するバランスを取るか、「0」と「1」の分布を任意に調整する。
【0051】
送信装置は、送信信号を受信する受信装置に送信信号が表す論理値のうち少なくとも1つの論理値の分布に関する情報を送信する(S520)。
このとき、送信装置は、予め定義されたテーブルを用いて送信信号が表す論理値のうち少なくとも1つの論理値の分布に関する情報を送信してもよい。
ここで、予め定義されたテーブルは、少なくとも1つの論理値の分布に対する候補値が格納されたテーブルであってもよい。
【0052】
送信装置から少なくとも1つの論理値の分布に関する情報を受信した受信装置は、該当する情報を用いて受信信号に作用する雑音源のタイプを判断し、雑音源のタイプに関する情報を送信装置に送信する。
一方、送信装置は、受信装置から雑音源のタイプに関する情報を獲得し(S530)、雑音源のタイプに応じて送信信号に適用される少なくとも1つの通信パラメータを適宜調整することができる(S540)。
【0053】
ステップS540において、送信装置が少なくとも1つの通信パラメータを適宜調整する方法として、例えば、送信装置が周波数ホッピング(Frequency hopping)システムにおいて、干渉信号が存在する周波数領域を使用しない適応性周波数ホッピング(adaptive frequency hopping)方法を用いることや、通信パラメータを適宜調整することを含んでもよい。
また、少なくとも1つの通信パラメータを適宜調整する方法としては、雑音源が干渉信号である場合、送信装置が一定の時間以後の信号を再送信することや、雑音源が白色ガウス雑音である場合、システムのデータレートを調整するなどの方法を用いることを含んでもよい。
【0054】
図6は、本発明の他の実施形態に係る受信装置の受信方法を示すフローチャートである。
図6に示すように、受信装置は、送信装置からオンオフ変調方式または周波数偏移変調方式によるトレーニングシーケンスを受信する(S610)。
ここで、トレーニングシーケンスは論理値「0」と「1」の分布を任意に構成することができる。
その後、受信装置は、トレーニングシーケンスに基づいて受信チャネルの特性を把握し(S620)、トレーニングシーケンスに含まれた少なくとも1つの論理値の分布に対するエラー確率を算出する(S630)。
【0055】
例えば、トレーニングシーケンスが「001101」と仮定すれば、送信装置と受信装置は、互いにトレーニングシーケンスが「001101」であることが予め分かる。
したがって、送信装置がトレーニングシーケンス(「001101」)について受信チャネルを介して送信すれば、これを受信した受信装置は、受信されたトレーニングシーケンスから該当のチャネルでの経路減衰などの受信チャネルの特性を把握することができる。
【0056】
また、受信装置は、送信装置が送信したトレーニングシーケンス(「001101」)について受信装置自身が受信した結果が「111100」であった場合、トレーニングシーケンスに含まれた少なくとも1つの論理値の分布に対するエラー確率を算出することができる。
ここで、少なくとも1つの論理値の分布に対するエラー確率とは、少なくとも1つの論理値の分布に表れる全体エラーに対して、該当のエラーが表れる確率を意味する。
【0057】
すなわち、送信装置が送信したトレーニングシーケンスである「001101」について「111100」のように受信された場合、受信装置は、全体6ビットのうち全体エラー(3ビット)に対して論理値「0」が論理値「1」に表れるエラー確率は2/3=66%であり、全体エラーのうち論理値「1」が論理値「0」に表れるエラー確率は1/3=33%であることを算出できる。
その他に、受信装置は、トレーニングシーケンスの他にデフォルト(default)値を用いて受信チャネルの特性を把握した後、少なくとも1つの論理値の分布に表れる全体エラーに対して該当のエラーが表れる確率を算出してもよい。
【0058】
受信装置は、受信チャネルの特性およびエラー確率を用いてトレーニングシーケンスに作用する雑音源のタイプを判断する(S640)。
ステップS640において、受信装置は、受信チャネルの特性およびエラー確率(少なくとも1つの論理値の分布に表れる全体エラーに対して該当のエラーが表れる確率)を用いてトレーニングシーケンスに作用する雑音源が白色ガウス雑音かまたは干渉のいずれかを判断する。
【0059】
ステップS640において、受信装置は、受信チャネルの特性によるエラー確率のうち、論理値「0」が論理値「1」に表れるエラー確率が、論理値「1」が論理値「0」に表れるエラー確率よりも高ければ、雑音源を干渉信号として判断する。また、これを除く全ての場合に雑音源を白色ガウス雑音として判断してもよい。
例えば、トレーニングシーケンス「001101」の全体エラーに対し、論理値「0」が論理値「1」に表れるエラー確率は2/3=66%であり、論理値「1」が論理値「0」に表れるエラー確率は1/3=33%であると仮定する。
この場合、受信チャネルの特性によるエラー確率(少なくとも1つの論理値の分布に表れる全体エラーに対して該当のエラーが表れる確率)のうち、論理値「0」が論理値「1」に表れるエラー確率(66%)は、論理値「1」が論理値「0」に表れるエラー確率(33%)よりも高く、受信装置は、該当の雑音源を干渉信号として判断する。
【0060】
ステップS640において、受信装置は、受信チャネルの特性によるエラー確率を考慮してもよく、例えば、受信チャネルの経路減衰が高い場合、経路減衰ごとのエラー確率を別個に算定し、同一のエラー確率であっても受信チャネルの特性(ここでは受信チャネルの減衰率)によって雑音源を判断する基準を別に決定するようにしてもよい。
【0061】
受信装置は、受信した信号(またはトレーニングシーケンス)について論理値「0」または「1」を判断するために、軟判定(soft−decision)に基づいた方法と硬判定(hard−decision)に基づいた方法の2種類を用いることができる。これらの方法については、図10および図11を参照して後述する。
【0062】
図7は、本発明の他の実施形態に係る送信装置の送信方法を示すフローチャートである。
図7に示すように、送信装置は、オンオフ変調方式または周波数偏移変調方式によるトレーニングシーケンスの少なくとも1つの論理値の分布を調整する(S710)。
ステップS710において、送信装置は、トレーニングシーケンスの論理値「0」と「1」の分布に対するバランスを取るか、論理値「0」と「1」の分布を任意に構成してもよい。
【0063】
送信装置は、トレーニングシーケンスを受信する受信装置に少なくとも1つの論理値の分布に関する情報を送信する(S720)。
その後、受信装置からトレーニングシーケンスに対する雑音源のタイプに関する情報を獲得(S730)した送信装置は、雑音源のタイプに応じてトレーニングシーケンスに適用される少なくとも1つの通信パラメータを適宜調整する(S740)。
送信装置がトレーニングシーケンスに適用される少なくとも1つの通信パラメータを適宜調整する方法については、図5で示したステップS540において説明した。
【0064】
図8は、本発明の一実施形態に係る受信装置を示すブロック図である。図8に示すように、受信装置800は、受信部810、設定部820、検出部830、および判断部840を備える。
受信部810は、送信装置からオンオフ変調方式または周波数偏移変調方式による送信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布に関する情報を受信する。
また、受信部810は、少なくとも1つの論理値の分布に対する候補値が格納されたテーブルを用いて送信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布を把握することができる。
【0065】
設定部820は、送信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布に関する情報を用いて閾値を設定し、検出部830は、受信信号が表す論理値のうち少なくとも1つの論理値の分布を検出する。
検出部830は、受信信号が表す論理値のうち論理値「0」または論理値「1」のうちいずれか1つの論理値の数を検出することや、論理値「0」および論理値「1」全ての数を検出することができる。
【0066】
判断部840は、閾値と受信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布を用いて受信信号に作用する雑音源のタイプを判断する。
ここで、判断部840は、受信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布が閾値を超過すれば雑音源を干渉信号として判断し、受信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布が閾値と同一であるか小さければ、雑音源を白色ガウス雑音として判断する。
【0067】
図9は、本発明の一実施形態に係る送信装置を示すブロック図である。
図9に示すように、送信装置900は、調整部910、送信部920、獲得部930、およびパラメータ調整部940を備える。
調整部910は、オンオフ変調方式または周波数偏移変調方式による送信信号が表す論理値のうち少なくとも1つの論理値の分布を調整する。
【0068】
送信部920は、送信信号を受信する受信装置に送信信号が表す論理値のうち少なくとも1つの論理値の分布に関する情報を送信する。
また、送信部920は、少なくとも1つの論理値の分布に対する候補値が格納されたテーブルを用いて送信信号が表す論理値のうち少なくとも1つの論理値の分布に関する情報を送信してもよい。
【0069】
獲得部930は、受信装置から雑音源のタイプに関する情報を獲得することができる。
パラメータ調整部940は、雑音源のタイプに応じて送信信号に適用される少なくとも1つの通信パラメータを適宜調整することができる。
【0070】
図10は、本実施形態おいて、受信装置が軟判定に基づいて論理値を決定することを説明するための図であり、図11は、硬判定に基づいて論理値を決定することを説明するための図である。
図10に示すように、受信装置は、送信装置から受信した信号に対する電圧値を調整して、該当の信号が論理値「high」に該当するか、または論理値「low」に該当するかの判断および決定をすることができる。
そして、受信装置は、検出部が少なくとも1つの論理値の分布を検出するのに先立ち、上述の調整動作を行うことができ、このとき、軟判定においては、受信した信号を判断する電圧(値)を調整してもよい。
【0071】
すなわち、論理値「high」と判断する受信信号の電圧が5Vであり、論理値「low」と判断する受信信号の電圧が0Vであると仮定したとき、軟判定においては、受信した信号の論理値「high」と判断する受信信号の電圧基準を、5Vではなく3Vや2.5Vに調整することができる。したがって、受信装置が軟判定に基づく場合、調整された電圧基準によって決定された論理値の分布を閾値と比較してもよい。
【0072】
図11に示すように、受信装置は、予め決定された電圧または周波数などの基準によって、受信信号が「0」であるか、または「1」であるかを判断してもよい。また、受信装置が硬判定に基づいて受信信号の判断を行った場合、「0」または「1」に決定された論理値の分布を閾値と比較してもよい。
このように、本実施形態に係る受信装置は、前述した軟判定および硬判定に基づいて論理値を決定することができる。
【0073】
図12は、本発明の他の実施形態に係る受信装置を示すブロック図である。
図12に示すように、受信装置1200は、受信部1210、把握部1220、算出部1230、および判断部1240を備える。
【0074】
受信部1210は、送信装置からオンオフ変調方式または周波数偏移変調方式によるトレーニングシーケンスを受信し、把握部1220は、トレーニングシーケンスに基づいて受信チャネルの特性を把握し、算出部1230は、トレーニングシーケンスに含まれた少なくとも1つの論理値の分布に対するエラー確率を算出し、判断部1240は、受信チャネルの特性およびエラー確率を用いてトレーニングシーケンスに作用する雑音源のタイプを判断する。
【0075】
判断部1240は、受信チャネルの特性およびエラー確率を用いて、トレーニングシーケンスに作用する雑音源が白色ガウス雑音または干渉のうちいずれかを判断することができる。
より具体的には、判断部1240は、受信チャネルの特性によるエラー確率のうち、論理値「0」が論理値「1」に表れるエラー確率が論理値「1」が論理値「0」に表れるエラー確率よりも高ければ、雑音源を干渉信号として判断し、それ以外の場合には雑音源を白色ガウス雑音として判断してもよい。
【0076】
図13は、本発明の他の実施形態に係る送信装置を示すブロック図である。
図13に示すように、送信装置1300は、調整部1310、送信部1320、獲得部1330、およびパラメータ調整部1340を備える。
【0077】
調整部1310は、オンオフ変調方式または周波数偏移変調方式によるトレーニングシーケンスの少なくとも1つの論理値の分布を調整し、送信部1320は、トレーニングシーケンスを受信する受信装置に少なくとも1つの論理値の分布に関する情報を送信する。
獲得部1330は、受信装置からトレーニングシーケンスに対する雑音源のタイプに関する情報を獲得することができ、パラメータ調整部1340は、雑音源のタイプに応じてトレーニングシーケンスに適用される少なくとも1つの通信パラメータを適宜調整することができる。
【0078】
本発明の一実施形態に係る通信システムは、前述した送信装置および受信装置を備え、通信システムを構成する送信装置は、オンオフ変調方式または周波数偏移変調方式による送信信号が表す論理値のうち少なくとも1つの論理値の分布を調整する。
また、通信システムを構成する受信装置は、送信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布を用いて閾値を設定し、閾値と受信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布を用いて、受信信号に作用する雑音源のタイプを判断する。
その他の通信システムを構成する送受信装置の動作については、前述した送信装置および受信装置に関する説明と同様である。
【0079】
前述した方法は、多様なコンピュータ手段を介して実行するプログラム命令形態に具現され、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録される。
コンピュータ読取可能な媒体は、プログラム命令、データファイル、データ構造などを単独または組み合わせて用いることができ、媒体に記録されるプログラム命令は、本発明の目的のために特別に設計されて構成されたものでもよく、コンピュータソフトウェア分野の技術を有する当業者にとって公知であり使用可能なものであってもよい。
【0080】
コンピュータ読取可能な記録媒体の例としては、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスクおよび磁気テープのような磁気記録媒体、CD−ROM、DVDのような光記録媒体、フロプティカルディスクのような磁気−光媒体、およびROM、RAM、フラッシュメモリなどのようなプログラム命令を保存して実行するように特別に構成されたハードウェア装置が含まれる。
プログラム命令の例としては、コンパイラによって生成されるような機械語コードだけでなく、インタプリタなどを用いてコンピュータによって実行され得る高級言語コードを含む。
上述のハードウェア装置は、本発明の動作を行うために1つ以上のソフトウェア階層で作動するように構成され、その逆も同様である。
【0081】
以上、限定された実施形態と図面によって本発明を説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲および特許請求の範囲と均等なものによって定められたものを含む。
【符号の説明】
【0082】
800、1200 受信装置
810、1210 受信部
820 設定部
830 検出部
840、1240 判断部
900、1300 送信装置
910、1310 調整部
920、1320 送信部
930、1330 獲得部
940、1340 パラメータ調整部
1220 把握部
1230 算出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信装置からオンオフ変調方式または周波数偏移変調方式による送信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布に関する情報を受信する受信部と、
前記送信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布に関する情報を用いて閾値を設定する設定部と、
受信信号が表す論理値のうち少なくとも1つの論理値の分布を検出する検出部と、
前記閾値と前記受信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布を用いて前記受信信号に作用する雑音源のタイプを判断する判断部と、
を備えることを特徴とする受信装置。
【請求項2】
前記受信部は、前記少なくとも1つの論理値の分布に対する候補値が格納されたテーブルを用いて、前記送信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布を把握することを特徴とする請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
前記検出部は、前記受信信号が表す論理値のうち論理値「0」または論理値「1」のいずれか1つを検出するか、前記論理値「0」および前記論理値「1」の全てを検出することを特徴とする請求項1に記載の受信装置。
【請求項4】
前記判断部は、前記閾値と前記受信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布を用いて、前記受信信号に作用する雑音源が、白色ガウス雑音または干渉のうちいずれかであることを判断することを特徴とする請求項1に記載の受信装置。
【請求項5】
前記判断部は、
前記受信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布が前記閾値を超過すれば、前記雑音源を干渉信号と判断し、
前記受信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布が前記閾値と同一であるかまたは前記閾値よりも小さければ、前記雑音源を白色ガウス雑音と判断することを特徴とする請求項1に記載の受信装置。
【請求項6】
オンオフ変調方式または周波数偏移変調方式による送信信号が表す論理値のうち、少なくとも1つの論理値の分布を調整する調整部と、
前記送信信号を受信する受信装置に前記送信信号が表す論理値のうち、少なくとも1つの論理値の分布に関する情報を送信する送信部と、
を備えることを特徴とする送信装置。
【請求項7】
前記送信部は、前記少なくとも1つの論理値の分布に対する候補値が格納されたテーブルを用いて、前記送信信号が表す論理値のうち少なくとも1つの論理値の分布に関する情報を送信することを特徴とする請求項6に記載の送信装置。
【請求項8】
前記受信装置から雑音源のタイプに関する情報を獲得する獲得部と、
前記雑音源のタイプに応じて前記送信信号に適用される少なくとも1つの通信パラメータを調整する調整部と、
を備えることを特徴とする請求項6に記載の送信装置。
【請求項9】
送信装置からオンオフ変調方式または周波数偏移変調方式によるトレーニングシーケンスを受信する受信部と、
前記トレーニングシーケンスに基づいて受信チャネルの特性を把握する把握部と、
前記トレーニングシーケンスに含まれた少なくとも1つの論理値の分布に対するエラー確率を算出する算出部と、
前記受信チャネルの特性および前記エラー確率を用いて、前記トレーニングシーケンスに作用する雑音源のタイプを判断する判断部と、
を備えることを特徴とする受信装置。
【請求項10】
前記判断部は、前記受信チャネルの特性および前記エラー確率を用いて、前記トレーニングシーケンスに作用する雑音源が、白色ガウス雑音または干渉のうちいずれかであることを判断することを特徴とする請求項9に記載の受信装置。
【請求項11】
前記判断部は、前記受信チャネルの特性による前記エラー確率のうち、論理値「0」が論理値「1」に表れるエラー確率が、前記論理値「1」が前記論理値「0」に表れるエラー確率よりも高ければ、前記雑音源を干渉信号と判断し、その他の場合は前記雑音源を白色ガウス雑音と判断することを特徴とする請求項9に記載の受信装置。
【請求項12】
オンオフ変調方式または周波数偏移変調方式によるトレーニングシーケンスの少なくとも1つの論理値の分布を調整する調整部と、
前記トレーニングシーケンスを受信する受信装置に、前記少なくとも1つの論理値の分布に関する情報を送信する送信部と、
を備えることを特徴とする送信装置。
【請求項13】
前記受信装置から前記トレーニングシーケンスに対する雑音源のタイプに関する情報を獲得する獲得部と、
前記雑音源のタイプに応じて前記トレーニングシーケンスに適用される少なくとも1つの通信パラメータを調整する調整部と、
を備えることを特徴とする請求項12に記載の送信装置。
【請求項14】
オンオフ変調方式または周波数偏移変調方式による送信信号が表す論理値のうち少なくとも1つの論理値の分布を調整する送信装置と、
前記送信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布を用いて閾値を設定し、前記閾値と受信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布を用いて前記受信信号に作用する雑音源のタイプを判断する受信装置と、
を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項15】
前記送信装置は、前記少なくとも1つの論理値の分布を含む情報を送信し、
前記受信装置は、前記少なくとも1つの論理値の分布を含む情報を用いて前記閾値を設定することを特徴とする請求項14に記載の通信システム。
【請求項16】
前記受信装置は、
前記検出部が前記受信信号の論理値のうち少なくとも1つの論理値の分布を検出する前に、受信値の電圧値を調整することを特徴とする請求項1に記載の受信装置。
【請求項17】
前記検出部は、
予め設定された周波数値または電圧値に基づいて論理値「0」および論理値「1」を検出することを特徴とする請求項1に記載の受信装置。
【請求項18】
前記調整部は、前記少なくとも1つの通信パラメータを調整して前記送信部が前記干渉信号を含まない周波数の範囲で送信することを特徴とする請求項8に記載の送信装置。
【請求項19】
前記調整部は、前記雑音源のタイプが干渉であれば、前記送信信号を再送信するために前記少なくとも1つの通信パラメータを調整し、前記雑音源のタイプが白色ガウス雑音であれば、前記送信信号のデータレートを制御するために前記少なくとも1つの通信パラメータを調整することを特徴とする請求項8に記載の送信装置。
【請求項1】
送信装置からオンオフ変調方式または周波数偏移変調方式による送信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布に関する情報を受信する受信部と、
前記送信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布に関する情報を用いて閾値を設定する設定部と、
受信信号が表す論理値のうち少なくとも1つの論理値の分布を検出する検出部と、
前記閾値と前記受信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布を用いて前記受信信号に作用する雑音源のタイプを判断する判断部と、
を備えることを特徴とする受信装置。
【請求項2】
前記受信部は、前記少なくとも1つの論理値の分布に対する候補値が格納されたテーブルを用いて、前記送信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布を把握することを特徴とする請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
前記検出部は、前記受信信号が表す論理値のうち論理値「0」または論理値「1」のいずれか1つを検出するか、前記論理値「0」および前記論理値「1」の全てを検出することを特徴とする請求項1に記載の受信装置。
【請求項4】
前記判断部は、前記閾値と前記受信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布を用いて、前記受信信号に作用する雑音源が、白色ガウス雑音または干渉のうちいずれかであることを判断することを特徴とする請求項1に記載の受信装置。
【請求項5】
前記判断部は、
前記受信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布が前記閾値を超過すれば、前記雑音源を干渉信号と判断し、
前記受信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布が前記閾値と同一であるかまたは前記閾値よりも小さければ、前記雑音源を白色ガウス雑音と判断することを特徴とする請求項1に記載の受信装置。
【請求項6】
オンオフ変調方式または周波数偏移変調方式による送信信号が表す論理値のうち、少なくとも1つの論理値の分布を調整する調整部と、
前記送信信号を受信する受信装置に前記送信信号が表す論理値のうち、少なくとも1つの論理値の分布に関する情報を送信する送信部と、
を備えることを特徴とする送信装置。
【請求項7】
前記送信部は、前記少なくとも1つの論理値の分布に対する候補値が格納されたテーブルを用いて、前記送信信号が表す論理値のうち少なくとも1つの論理値の分布に関する情報を送信することを特徴とする請求項6に記載の送信装置。
【請求項8】
前記受信装置から雑音源のタイプに関する情報を獲得する獲得部と、
前記雑音源のタイプに応じて前記送信信号に適用される少なくとも1つの通信パラメータを調整する調整部と、
を備えることを特徴とする請求項6に記載の送信装置。
【請求項9】
送信装置からオンオフ変調方式または周波数偏移変調方式によるトレーニングシーケンスを受信する受信部と、
前記トレーニングシーケンスに基づいて受信チャネルの特性を把握する把握部と、
前記トレーニングシーケンスに含まれた少なくとも1つの論理値の分布に対するエラー確率を算出する算出部と、
前記受信チャネルの特性および前記エラー確率を用いて、前記トレーニングシーケンスに作用する雑音源のタイプを判断する判断部と、
を備えることを特徴とする受信装置。
【請求項10】
前記判断部は、前記受信チャネルの特性および前記エラー確率を用いて、前記トレーニングシーケンスに作用する雑音源が、白色ガウス雑音または干渉のうちいずれかであることを判断することを特徴とする請求項9に記載の受信装置。
【請求項11】
前記判断部は、前記受信チャネルの特性による前記エラー確率のうち、論理値「0」が論理値「1」に表れるエラー確率が、前記論理値「1」が前記論理値「0」に表れるエラー確率よりも高ければ、前記雑音源を干渉信号と判断し、その他の場合は前記雑音源を白色ガウス雑音と判断することを特徴とする請求項9に記載の受信装置。
【請求項12】
オンオフ変調方式または周波数偏移変調方式によるトレーニングシーケンスの少なくとも1つの論理値の分布を調整する調整部と、
前記トレーニングシーケンスを受信する受信装置に、前記少なくとも1つの論理値の分布に関する情報を送信する送信部と、
を備えることを特徴とする送信装置。
【請求項13】
前記受信装置から前記トレーニングシーケンスに対する雑音源のタイプに関する情報を獲得する獲得部と、
前記雑音源のタイプに応じて前記トレーニングシーケンスに適用される少なくとも1つの通信パラメータを調整する調整部と、
を備えることを特徴とする請求項12に記載の送信装置。
【請求項14】
オンオフ変調方式または周波数偏移変調方式による送信信号が表す論理値のうち少なくとも1つの論理値の分布を調整する送信装置と、
前記送信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布を用いて閾値を設定し、前記閾値と受信信号が表す少なくとも1つの論理値の分布を用いて前記受信信号に作用する雑音源のタイプを判断する受信装置と、
を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項15】
前記送信装置は、前記少なくとも1つの論理値の分布を含む情報を送信し、
前記受信装置は、前記少なくとも1つの論理値の分布を含む情報を用いて前記閾値を設定することを特徴とする請求項14に記載の通信システム。
【請求項16】
前記受信装置は、
前記検出部が前記受信信号の論理値のうち少なくとも1つの論理値の分布を検出する前に、受信値の電圧値を調整することを特徴とする請求項1に記載の受信装置。
【請求項17】
前記検出部は、
予め設定された周波数値または電圧値に基づいて論理値「0」および論理値「1」を検出することを特徴とする請求項1に記載の受信装置。
【請求項18】
前記調整部は、前記少なくとも1つの通信パラメータを調整して前記送信部が前記干渉信号を含まない周波数の範囲で送信することを特徴とする請求項8に記載の送信装置。
【請求項19】
前記調整部は、前記雑音源のタイプが干渉であれば、前記送信信号を再送信するために前記少なくとも1つの通信パラメータを調整し、前記雑音源のタイプが白色ガウス雑音であれば、前記送信信号のデータレートを制御するために前記少なくとも1つの通信パラメータを調整することを特徴とする請求項8に記載の送信装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−105275(P2012−105275A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245458(P2011−245458)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】
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