離床予測装置及び離床予測方法
【課題】ベッド上の人体の離床動作の開始を早期且つ精度良く検出する。
【解決手段】管理エリア8に超音波信号を送信する送波器2と、管理エリア8内で反射した超音波信号を受信する受波器3と、受波器3で取得される反射波データからベッド上の患者の頭部またはそれ以外の物体の三次元位置を演算して、三次元位置を複数の人体の頭部のグループ又は他の物体のグループに分類する位置演算手段4と、位置演算手段4の演算結果から患者の三次元位置の横臥位置からの時間的な変化を検知し、検知結果に基づいてベッド上の患者10が離床動作を開始したか否かを判定する判定手段5と、判定手段5によって患者10の離床動作の開始が検知された場合に報知信号を発する報知手段6とを備える。判定手段5は、所定時間以上、移動の追跡ができない頭部のグループを以後の処理から外す抹消手段21を備えている
【解決手段】管理エリア8に超音波信号を送信する送波器2と、管理エリア8内で反射した超音波信号を受信する受波器3と、受波器3で取得される反射波データからベッド上の患者の頭部またはそれ以外の物体の三次元位置を演算して、三次元位置を複数の人体の頭部のグループ又は他の物体のグループに分類する位置演算手段4と、位置演算手段4の演算結果から患者の三次元位置の横臥位置からの時間的な変化を検知し、検知結果に基づいてベッド上の患者10が離床動作を開始したか否かを判定する判定手段5と、判定手段5によって患者10の離床動作の開始が検知された場合に報知信号を発する報知手段6とを備える。判定手段5は、所定時間以上、移動の追跡ができない頭部のグループを以後の処理から外す抹消手段21を備えている
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベッド上の人が離床動作を開始したか否かを判断する離床予測装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、主として病院には、巡回監視の労力低減のため、ベッドからの患者の離床を自動検知する離床検知装置が設備される。離床検知装置には、ベッドの周囲の床面に感圧センサを敷設して、患者がそのセンサの上に足を下ろした際に生じる圧力変化により患者の離床を検出するものや、ベッドの足に荷重センサを取り付け、センサの出力変化により患者の離床の有無を検出するものなどがある。また、離床検出に類似する技術として、患者の体位の変化を検出する寝返り管理システムが提案されている(特許文献1参照)。このシステムは、患者の肩および腰に測定センサを取り付け、ベッドに設置された受信アンテナと超音波マイクとで前記測定センサから発信される電波と超音波をそれぞれ受信する。その受信の際に生じる時間差に基づいて、患者の体位の変化を検出するものである。さらに、このシステムには、測定センサと受信アンテナとの間での電波の通信可能範囲をベッドの上方空間に限定することで、当該電波の通信が途絶えた場合に、患者が離床したと判断するようにしている。
【特許文献1】特開2006−325683号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述の感圧センサや荷重センサを利用した離床検知装置では、ベッドから患者が足を下ろした段階で初めて患者の離床が検出されるため、看護師等が到着した段階では、既に患者が離床してから漫然と時間が経過しまっている。したがって、患者の離床を早期に発見し、患者の安全を十分に確保するという観点では課題がある。
【0004】
上記の特許文献1のシステムでは、患者がベッドの上方空間に存在しなくなった状態で、初めて患者の離床が検出される。このため、上述の感圧センサ等と同様に、患者の離床を早期に発見することはできない。
【0005】
また、患者の肩および腰に取り付けた測定センサは、布団の中に隠れると、超音波マイクに超音波が届かないので、追跡中に見失ったり、失報を生じたりする原因の一つとなっていた。
【0006】
さらには、前記のような離床判定方法は、いずれもベッド高の自動変更に対応していない。このため、患者又は看護師がベッド高さを変更する都度、ベッド高の設定を変更する必要があった。仮に、ベッド高さの設定を変更しない場合は、誤報の原因となっていた。
【0007】
本発明は、以上の実情に鑑み、ベッド上の人体の離床動作の開始を早期且つ精度良く検出することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために創案された本発明に係る装置は、静止系に取り付けられた状態で、ベッドを含む管理エリアに超音波信号を継続的に送信する送波器と、静止系に取り付けられた状態で、前記管理エリア内で反射した前記超音波信号を受信する受波器と、前記送波器から送信される前記超音波信号に対応して前記受波器で所定時間毎に取得される反射波データからベッド上の人体の頭部またはそれ以外の物体の三次元位置を時々刻々演算して、この三次元位置を複数の人体の頭部のグループ又は他の物体のグループに分類する位置演算手段と、該位置演算手段の演算結果から人体の三次元位置の横臥位置からの時間的な変化を検知し、その検知結果に基づいてベッド上の人体が離床動作を開始したか否かを判定する判定手段と、該判定手段によって人体の離床動作の開始が検知された場合に報知信号を発する報知手段とを備え、前記判定手段は、所定時間以上、移動の追跡ができない頭部のグループを以後の処理から外す抹消手段を備えていることを特徴とする。
【0009】
以上の構成により、ベッド上の人体の三次元位置の横臥位置からの時間的な変化が検知されることから、例えばベッド上での起き上がり動作等の離床動作の開始を検知することができる。したがって、人体がベッドから足を下ろす前に、人体の離床を未然に予測して早期に検知することが可能となる。しかも、人体の頭部は、常時布団の外に出ているのが通例であり、人体の頭部で反射した超音波信号が布団によって阻害されることはない。そのため、人体の三次元位置の横臥位置からの時間的な変化を検知することで、患者の離床動作の開始を正確に検知することができる。なお、送波器及び受波器が、静止系に取り付けられるので、人体に直接センサを取り付けた場合のように患者に負担が掛かるという事態も回避することができる。また、抹消手段を備えることにより、所定時間以上、移動の追跡ができない超音波反射信号のグループを以後の処理から外すことができる。すなわち、患者の体勢によっては超音波の反射波が小さく、ピーク値を捉えられないことがある。その場合、ある計測分の三次元位置のデータが抜けて患者を捕捉できない。一旦捕捉が途切れると、そのグループが残り、患者の頭部追跡に支障をきたすため、所定時間以上捕捉が途切れたグループ(抜けフレーム)を、抹消手段が抹消する抹消処理を行う。これにより、ノイズを抑圧することができる。
【0010】
前記位置演算手段は、移動平均処理を用いて反射波データから不要な信号を減衰させる移動平均処理手段を備えることができる。移動平均とは、系列データを平滑化する手法であって、外乱超音波ノイズや隣接設置した3次元超音波センサユニットからの超音波等の以後の処理に不要な信号を減衰させる処理をいう。
【0011】
ベッド高さを自動検出して初期状態を設定する初期化処理手段を備えることができる。すなわち、患者又は看護師がベッド高さを変更しても、初期化処理手段が自動的にベッド高さを検出し、離床動作を開始したか否かを判定する際の設定値に反映することができる。
【0012】
受信した超音波の受波角度に応じてベッド上の人体が離床動作を開始したか否かを判定するのに必要な設定値を変更することができる。すなわち、超音波の反射波が弱い受波角度に対しては、頭部検出の設定値(閾値)を下げることにより確実に頭部を検出することができて、失報を低減することができる。この場合、受波角度θに対して、設定値を(cosθ)4とすることができる。
【0013】
ベッドの少なくとも長辺側の外側部に警報エリアを設定し、前記判定手段は、前記警報エリア内に人の頭部が所定時間以上滞在する場合に離床を判定することができる。ベッドの外側に警報エリアを設定することにより、警報エリアを広範囲に設定することができ、人の頭部が警報エリア内に存在する時間を長時間とすることができる。すなわち、動作の早い人の頭部が警報エリア内を短時間で通過することにより生じる失報を防止することができ、確実に離床を判定することができる。
【0014】
ベッドの上方位置に、前記外側警報エリアよりも小さい範囲の内側警報エリアを設定し、この内側警報エリアの外周側に内側警報エリアと外側警報エリアとの間に配設される非警報エリアを設けることができる。これにより、患者以外の者(看護師や付添人等)がベッドに接近しても、非警報エリアにて誤報を低減することができる。
【0015】
前記受波器は、複数の受波素子を配列したアレイセンサであることが好ましい。これにより、受波器を回動させる等して機械的に走査することなく、電子的走査のみで、管理エリアで反射した超音波信号を受信することが可能となる。
【0016】
上記課題を解決するために創案された本発明に係る方法は、静止系に取り付けられた送波器からベッドを含む管理エリアに超音波信号を継続的に送信すると共に、静止系に取り付けられた受波器により前記管理エリア内で反射した前記超音波信号を受信して、前記送波器から送信される前記超音波信号に対応した反射波データを所定時間毎に取得する反射波データ取得工程と、該反射波データ取得工程で取得された反射波データからベッド上の人体の頭部または他の物体の三次元位置を時々刻々演算して、この三次元位置を複数の人体の頭部のグループ又は他の物体のグループに分類する位置演算工程と、該位置演算工程の演算結果から人体の三次元位置の横臥位置からの時間的な変化を検知し、その検知結果に基づいてベッド上の人体が離床動作を開始したか否かを判定する判定工程と、該判定工程により、人体の離床動作の開始が検知された場合に報知信号を発する報知工程とを含み、前記位置演算工程は、移動平均処理を用いて不要な信号を減衰させる移動平均処理工程を備えるとともに、前記判定工程は、所定時間以上、移動の追跡ができない頭部のグループを以後の処理から外す抹消処理を行うことを特徴とする。
【0017】
ベッド高さを自動検出して初期状態を設定する初期化処理工程を備えることができる。
【0018】
受信した超音波の受波角度に応じてベッド上の人体が離床動作を開始したか否かを判定するのに必要な設定値を変更することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように本発明によれば、ベッド上の人体の三次元位置の横臥位置からの時間的な変化が検知されることから、例えばベッド上での起き上がり動作等の離床動作の開始を検知することができる。したがって、人体がベッドから足を下ろす前に、人体の離床を未然に予測して早期に検知することが可能となる。しかも、人体の頭部は、常時布団の外に出ているのが通例であり、人体の頭部で反射した超音波信号が布団によって阻害されることはない。そのため、人体の三次元位置の横臥位置からの時間的な変化を検知することで、人体の離床動作の開始を正確に検知することができる。また、所定時間以上、移動の追跡ができないグループを以後の処理から外したり、移動平均処理を用いて反射波データから不要な信号を減衰させたり、さらにはベッド高を自動的に計測して設定値に反映させたりすることにより誤報を低減することができる。さらには、受信した超音波の受波角度に応じて離床の判定に必要な設定値を変更したり、ベッドの両外側に警報エリアを設定したりすることにより失報を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係る離床検出装置を模式的に示すブロック図であり、図2はその取り付け態様を模式的に示す斜視図である。図に示すように、離床予測装置1は、送波器2と、受波器3と、位置演算手段4と、判定手段5と、報知手段6と、初期化処理手段22とを備えている。
【0022】
送波器2は、天井に取り付けられた状態でベッド7を含む管理エリア8に超音波信号を所定の間隔を空けて継続的に送信するように構成される。受波器3は、同じく天井に取り付けられた状態で管理エリア8内で反射した超音波信号を受信するように構成される。送波器2と受波器3とでセンサユニット9が構成される。
【0023】
この実施形態では、送波器2は、超音波信号を管理エリア8内に拡散させて送信するように構成される。一方、受波器3は、複数の受波素子を配列したアレイセンサで構成される。例えば、このアレイセンサの一例としては次のような構成が挙げられる。すなわち、アレイセンサ3としては、図3(a)、(b)に示すように、複数の受波素子3aを単一の平面(基板3b)上に、例えば格子状や十字状等に配列したり、図3(c)、(d)に示すように配列したりして種々の配列を採用できる。そして、各受波素子3aで得られた信号を、管理エリア8内で反射した超音波信号の入射角度および各受波素子3aの位置に対応した時間分だけ遅延させた後に加算することで、電子的走査によって三次元反射波データを取得するように構成されたものが挙げられる。さらに、この場合、隣接する受波素子3aの中心間距離Xは、送波器2から送信される超音波信号の半波長以下に設定することが好ましい。このようにすれば、複数の受波素子3aで得られた信号を遅延加算して得られる三次元反射波データに、誤差の要因となる所謂ゴースト成分が発生するという事態を効果的に低減することができる。
【0024】
初期化処理手段22は、ベッド高さを自動検出してアルゴリズムの初期化処理を行うものである。すなわち、患者又は看護師がベッド高さを変更しても、初期化処理手段が自動的にベッド高さを検出することができる。
【0025】
位置演算手段4は、送波器2から送信される超音波信号に対応して受波器3で所定時間毎に取得される反射波データからベッド7上の患者10の三次元位置を時々刻々演算して、この三次元位置を複数の患者の頭部のグループ又は他の物体のグループに分類するように構成される。
【0026】
前記位置演算手段4には、移動平均処理手段20を備えている。移動平均処理手段20は、取得した反射波データのうち、外乱超音波ノイズや隣接設置した3次元超音波センサユニットからの超音波等の不要な信号を減衰させる処理を行うものである。
【0027】
判定手段5は、位置演算手段4の演算結果から患者10の三次元位置の横臥位置からの時間的な変化を検知し、その検知結果に基づいてベッド上の人体が離床動作を開始したか否かを判定するように構成される。
【0028】
前記判定手段5には、抹消手段21を備えている。抹消手段21は、前記位置演算手段4にて分類されたグループについて、一定時間以上、移動の追跡ができない頭部のグループを以後の処理から外すものである。
【0029】
報知手段6は、判定手段5によって患者10の離床動作の開始が検知された場合に報知信号を発するように構成される。
【0030】
次に、このように構成された離床予測装置1による離床予測手順を説明する。
【0031】
図4は、離床検出手順を示すフローチャートである。同図に示すように、この離床検出手順は、ベッド高さを自動検出してアルゴリズムを初期化する初期化処理工程S1と、送波器2からベッド7を含む管理エリア8に超音波信号を所定の間隔を空けて継続的に送信すると共に、受波器3で管理エリア8内で反射した超音波信号を受信して、送波器2から送信される超音波信号に対応した反射波データを所定時間毎に取得する反射波データ取得工程S2と、反射波データ取得工程S2で取得された反射波データからベッド7上の患者10の三次元位置を時々刻々演算する位置演算工程S3と、位置演算工程S3の演算結果から患者10の三次元位置の横臥位置からの時間的な変化を検知し、その検知結果に基づいてベッド7上の患者10が離床動作を開始したか否かを判定する判定工程S4と、判定工程S4により患者10の離床動作の開始が検知された場合に報知信号を発する報知工程S5とを含む。この実施形態では、初期化処理手段22によって初期化処理工程S1が実行される。受波器3で反射波データ取得工程S2が実行され、位置演算手段4によって位置演算工程S3が実行される。さらに、判定手段5によって判定工程S4が実行される。また、報知手段6によって報知工程S5が実行される。
【0032】
まず、予め部屋のサイズ及びベッドサイズの検出、位置演算工程S3や判定工程S4における各種閾値の設定、患者不在時または患者就寝時の管理エリア8の反射波データの計測を行う。本実施形態では、12cm毎に25枚の反射波データを所得しているが、反射波データの枚数、分割する間隔はこれに限られるものではない。また、初期化処理手段22は、受信した超音波の受波角度θに応じて以後の閾値を変更することができるようにしている。例えば、超音波の反射波が弱い受波角度θに対しては、閾値を(cosθ)4に下げるように設定している。これにより、確実に頭部を検出することができて、失報を低減することができる。
【0033】
そして、ベッド高さを自動検出して初期状態を設定する初期化処理を行う。初期化処理工程S1は、図5に示すような方法で行われる。すなわち、予め計測しておいた患者不在時または患者就寝時の管理エリア8の反射波データに対してピーク値を検出する(ステップS11)。その後、遠距離マスク値を検出対象距離とする(ステップS12)。遠距離マスク値とは、ベッドの下など明らかに患者の頭が存在するはずのない距離を、頭部の検出処理の対象外とするために設定された値である。そして、ピーク値がベッド閾値(ベッドが存在すると認識する閾値)を越えているか否かを判断し(ステップS13)、超えている場合は、1距離分センサに近い距離(反射波データから1枚分センサに近い反射波データであって、本実施形態では12cm)を検出対象距離として(ステップS14)、再びステップS13の判断を行う。一方、ピーク値がベッド閾値を越えていない場合は、ピーク値から患者の体幅を引いた値をベッド高さとする(ステップS15)。このようにして、床からセンサユニット9に向かって反射波データがなくなる距離を調べることで、ベッド高さを自動検出することができる。そして、検出したベッド高さを遠距離マスクとして、頭部の検出範囲の対象外とする(ステップS16)。
【0034】
反射波データ取得工程S2では、送波器2から超音波信号を送信するごとに、受波器3で受信される超音波信号から三次元反射波データを取得する。この反射波データは、管理エリア8を高さ方向に複数の平面に分割した平面データから構成されており、それぞれの平面データには、反射波の信号強度分布が記録される。この場合も12cm毎に25枚の反射波データを所得しているが、反射波データの枚数、分割する間隔ははこれに限られるものではない。
【0035】
位置演算工程S3は、差分処理工程S10と、移動平均処理工程S20と、ピーク演算工程S30と、グルーピング工程S40とに大別される。
【0036】
差分処理工程S10では、上記の反射波データ取得工程S1で取得された反射波データから、予め計測しておいた患者不在時または患者就寝時の管理エリア8の反射波データを減算する。これにより、反射波データに含まれる静止物体がデータ上削除され、静止物体と動体(患者10等)とを明確に区別することが可能となる。例えば、患者10の両サイドにベッド柵23があっても、前記処理を行うことにより、ベッド柵23からの超音波反射の影響を排除することができる。
【0037】
差分処理工程後の反射波データは、外乱超音波ノイズや隣接設置した3次元超音波センサユニットからの超音波も受けており、それらは以後の処理には不要な信号である。そこで、移動平均処理工程S20では、次の数1に示すように、p点単純移動平均処理を行うことにより反射波データの平滑化を行って、外乱超音波ノイズや隣接設置した超音波センサなどからの超音波等の不要な信号等、以後の処理に不要な信号を減衰させることができる。なお、y[n]は平滑化後のサンプリング位置nのデータを示し、x[n]は平滑化前のサンプリング位置nのデータを示している。
【数1】
【0038】
患者10の頭部を捉えた反射波データを構成する平面データでは、縦軸に信号強度をとると、例えば図6に示すように、患者10の頭部が凸部となって現れる。そのため、ピーク演算工程S30では、上記の移動平均処理工程S20後の反射波データを構成する複数の平面データのそれぞれにつき、信号強度のピーク値と、その位置を検出する。そして、信号強度が、所定のピーク判定閾値を超えるものを三次元位置として記憶し、そこに患者の頭部又は他の物体が存在するものとする。このようにすれば、患者10の頭部の三次元位置をポイントで定義することができるので、患者10の頭部の三次元位置を信号強度が凸部となる部分全体で定義する場合に比して、演算処理の簡素化を図ることができる。なお、この記憶された三次元位置は、受波器3(センサユニット9)に近いものから順に配列された状態で頭部位置データとして記憶される。
【0039】
本実施形態では、上記のピーク演算工程S30で演算された三次元位置が同一の患者10の頭部を捉えたものであるか否かを判断するために、グルーピング工程S40が実行される。これは、次のような理由による。一般に、空気中を伝搬する超音波が患者10の頭部などの物体に当たった場合には、直進することなく、その物体で反射して戻ってくる。しかし、送信する超音波信号を、振幅減衰時間(振幅減衰開始の時刻(最大振幅の時刻)から振幅減衰終了の時刻までの時間)のない理想的なパルス波として送信することは困難であり、実用上は、図7に示すように、所定の振幅減衰時間ΔTを有する超音波信号を送信する場合が多い。そのため、送信する超音波の振幅減衰時間ΔTとの関係から、同一の物体で反射した超音波信号が時間的に幅をもって検出される場合がある。この場合には、上記の反射波データを構成する複数の平面データのうち、連続する数枚の平面データに同じ物体による複数のピーク値が検出されることになる。そのため、演算処理の簡素化の観点からも、複数のピーク値のうち、どのピーク値が同一の患者10を捉えたものであるのかを判断する必要がある。
【0040】
そこで、グルーピング工程S40では、上記のピーク演算工程S30で1つの反射波データから複数の三次元位置が演算された場合に、これらを一旦暫定的な三次元位置として、その三次元位置の相互間の変位ベクトルを演算し、この中から変位ベクトルの大きさがグルーピング閾値(所定値)以下となる三次元位置を選択する。この際、選択された三次元位置は、同一の患者10の頭部を捉えたものと判断する。そして、選択した三次元位置に基づいて患者10の三次元位置(代表位置)を改めて設定する。
【0041】
このグルーピング工程S40は、図8に示す手順で実行される。同図に示すように、グルーピング工程S40では、まず、上記のピーク演算工程S30で記憶された頭部位置データのうち、センサユニット9に最も近い先頭の三次元位置(暫定三次元位置)を基準位置に設定すると共に、その三次元位置を代表位置とした新規グループを登録し且つその新規グループを対象グループに設定する(ステップS401)。その後、頭部位置データの中に、次の三次元位置(暫定三次元位置)が存在するか否かを判断する(ステップS42)。
【0042】
その結果、次の三次元位置が存在する場合には、その三次元位置を対象位置に設定する(ステップS403)。そして、基準位置から対象位置までの変位ベクトルを演算する(ステップS404)と共に、その変位ベクトルの大きさがグルーピング閾値以下であるか否かを判断する(ステップS405)。
【0043】
その結果、グルーピング閾値以下である場合には、対象位置を新たな基準位置とすると共に、対象グループに追加登録(ステップS406)し、上記のステップS402に戻る。
【0044】
一方、ステップS405で、グルーピング閾値を超えていると判断された場合には、対象位置を新たな基準位置とすると共に、次の三次元位置を代表位置とした新規グループを登録し且つその新規グループを新たな対象グループに設定(ステップS407)し、上記のステップS402に戻る。以後、上記のステップS402で次の三次元位置が存在しないと判断されるまで、上記のステップを繰り返し、ピーク演算工程S30で記憶された全ての三次元位置を所定のグループに分類すると共に、グループごとに代表位置を設定する。
【0045】
ここで、上記のグルーピング閾値は、送信する超音波信号の振幅減衰時間ΔTに基づいて設定される。これは、振幅減衰時間ΔTから予め同じ患者10の頭部を捉えた信号がどの程度の範囲で検出されるかを予測することが可能であるためである。
【0046】
上記のグルーピング工程S40では、センサユニット9に近い順に三次元位置が配列された頭部位置データのうち、先頭の三次元位置から順に処理しているので、分類されたグループごとにセンサユニット9に最も近い頭部位置が代表位置として設定される。したがって、時間的に最初に物体(患者10の頭部)で反射したものを、各グループの代表位置として設定することができる。すなわち、センサユニット9から所定の振幅減衰時間を有する超音波信号を送信した場合であっても、振幅減衰時間のない理想的なパルス波を送信した場合と同様の結果を得ることができる。
【0047】
このようにして処理されたグルーピング工程S40の処理結果を図9に概念的に示す。図示例は、ピーク演算工程S30で6つの三次元位置a1,a2,a3,b1,b2,b3が検出され、グルーピング工程S40の結果、三次元位置a1〜a3からなるグループA(例えば、患者10以外の第三者を示すグループ)と、三次元位置b1〜b3からなるグループB(例えば、患者10を示すグループ)に分類された場合を例示するものである。この場合、各グループA,Bの代表位置は、センサユニット9に最も近い頭部位置a1,b1にそれぞれ設定される。なお、グループの代表位置は、センサユニット9に最も近い頭部位置に設定するものに限らず、例えば、頭部位置データに含まれる全ての三次元位置を所定のグループに分類した後、各グループに属する三次元位置の重心位置を演算し、その重心位置を代表位置に設定するようにしてもよい。
【0048】
判定工程S4は、移動判定工程S50と、エリア判定工程S60と、離床動作判定工程S70とに大別される。
【0049】
移動判定工程S50では、既に得られた一の反射波データから検出されたグループの代表位置と、新たに得られた他の反射波データから検出されるグループの代表位置との変位ベクトルを演算し、その変位ベクトルの大きさに基づいて、患者10の三次元位置の横臥位置からの時間的な変化を検知する。すなわち、上記のグルーピング工程S40は、同一の反射波データ内における処理であるが、この移動判定工程S50は、異なる2つの反射波データ(例えば前回の反射波データと今回の反射波データ)を比較して処理するものである。
【0050】
この移動判定工程S50は、図10に示す手順で実行される。同図に示すように、移動判定工程S50では、まず、上記のグルーピング工程S40で検出されたグループが存在するか否かを判断する(ステップS501)。その結果、グループが存在する場合には、そのグループの代表位置を取得して対象位置とする(ステップS502)。そして、対象位置に最も近い追跡済みグループが存在するか否かを判断し(ステップS503)、存在する場合は最も近い追跡済みグループの代表位置を取得して基準位置に設定する(ステップS504)。その後、変位ベクトルの大きさが移動判定閾値以下であるか否かを判断する(ステップS505)。その結果、移動判定閾値以下である場合には、対象位置を判定基準位置とした追跡済みグループの新しい代表位置とする(ステップS506)と共に、上記のステップS501に戻る。すなわち、この場合には、代表位置(三次元位置)が、基準位置から対象位置に移動したものと判断する。一方、移動判定閾値を超える場合には、対象位置を新規追跡済みグループの新しい代表位置とする(ステップS507)と共に、ステップS501に戻る。なお、上記の移動判定閾値は、患者10の移動速度に基づいて設定される。具体的には、移動判定閾値は、前回の反射波データが取得されてから今回の反射波データが取得されるまでの時間の間に、患者10が実際に移動できる最大推定移動量に基づいて設定される。
【0051】
また、上記のステップS503で、追跡済みグループが存在しないと判断された場合には、対象位置を新規追跡済みグループの新しい代表位置とする(ステップS507)と共に、ステップS501に戻る。
【0052】
そして、ステップS501で次のグループが存在しないと判断されるまで、以上のステップを繰り返し、各グループの代表位置の時間的な変化を追跡する。
【0053】
本実施形態において、超音波計測は一定間隔(100msec)で実施している。患者の体勢によっては超音波の反射波が小さく、ピーク値を捉えられないことがある。その場合、ある計測分の三次元位置のデータが抜けて患者を捕捉できない。一旦捕捉が途切れると、そのグループが残り、患者の頭部追跡に支障をきたすため、所定時間以上捕捉が途切れたグループ(抜けフレーム)を抹消する抹消処理を行うようにしている。
【0054】
抹消処理は、次のような方法で行われる。ステップS501において、グルーピング工程S40で検出されたグループが存在するか否かを判断した結果、グループが存在しない場合には、前回の反射波データにおいて既に追跡済みグループが存在するか否かを判断する(ステップS508)。そして、存在する場合は、頭部の3次元位置データが抜けて捕捉が途切れた期間(抜けフレーム数)が閾値を超えているか否かを判断し(ステップS509)、超えている場合はそのグループを削除し(ステップS510)、ステップS508に戻る。一方、ステップS509で抜けフレーム数が閾値を超えていない場合は、追跡済みグループを削除せずにステップS508に戻る。
【0055】
そして、ステップS508で、前回の反射波データにおいて既に追跡済みグループが存在しないと判断されるまで、以上のステップを繰り返す。
【0056】
このようにして処理された移動判定工程S50の処理結果を、図11に概念的に示す。同図例は、前回の反射波データに対するグルーピング工程S40で代表位置A1,B1が検出されると共に、今回の反射波データに対するグルーピング工程S40で、代表位置A2,B2が検出された状態を示している。そして、移動判定工程S50によって、前回の反射波データで検出された代表位置A1が、今回の反射波データで検出された代表位置A2に移動し、前回の反射波データで検出された代表位置B1が、今回の反射波データで検出された代表位置B2に移動したと判断された状態を示している。
【0057】
また、図12に示すように、今回の反射波データで得られた代表位置C2が、前回の反射波データで得られた代表位置A1,B1の双方に対して、移動判定閾値以内にある場合、変位ベクトルの近い代表位置(B1)が移動したものとして判断する。
【0058】
また、ステップS510のような抹消処理を行って、捕捉が途切れた追跡グループを削除している。すなわち、図13に示すように、B1の閾値範囲以内にB2よりも近いD(捕捉が途切れた追跡グループ)が存在すると、B1はDに移動したものと判断してしまう。この場合、実際は次のフレームでB3へ移動するが、DからB3は閾値範囲外であるため、捕捉できない状態となる。そこで、ステップS510のように抹消処理を行うことにより、このような事態を回避することができる。
【0059】
エリア判定工程S60では、予め管理エリア8を複数のエリアに分割して定義し、上記の移動判定工程S50を経た各グループの代表位置が、管理エリア8のどのエリアに位置するかを検出すると共に、そのグループが患者10の頭部を捕捉したものであるか否かを判定する。ここで、管理エリア8は、図14,15に示すように、ベッド7に横臥した患者10の頭部が位置する横臥エリア11と、ベッド7に座った患者10の頭部が位置する座位エリア12と、ベッド7の上に立った患者10の頭部が位置する立位エリア13とからなる内側警報エリアと、ベッド7の周囲を取り囲むように形成された離床エリア14からなる外側警報エリアに分割された状態で定義される。横臥エリア11は、患者10の足などを頭部と誤って認識しないように、ベッド7の枕側のみに形成されている。前記外側警報エリアよりも小さい範囲に内側警報エリアを設定し、この内側警報エリアの外周側に内側警報エリアと外側警報エリアとの間に配設される非警報エリア16を設けることができる。この非警報エリア16とは、内側警報エリアと外側警報エリアとの隙間であり、後述するエリア判定工程S60において判定対象となるエリア(横臥エリア11、座位エリア12、立位エリア13、離床エリア14)には属さないものである。これにより、患者以外の者(看護師や付添人等)がベッドに接近しても内側警報エリアに入ることなく、この非警報エリア16にて誤報を低減することができる。なお、非警報エリア16の範囲としては、設置環境等に応じて任意に設定することができる。
【0060】
このエリア判定工程S60は、図16に示す手順で実行される。同図に示すように、エリア判定工程S60では、まず、患者10を捕捉する前であるか否かを判断し(ステップS601)、捕捉前であれば、前回の反射波データにおいて既に追跡済みグループが存在するか否かを判断する(ステップS602)。存在しなければ離床動作判定工程S70へ進み、存在すれば患者体勢が閾値以上であるか否かを判断する(ステップS603)。これは、グルーピング工程にて同じグループにまとめられた三次元位置情報の数が閾値以上であれば人と判断するものである。患者等の人からの反射の場合は、頭だけでなく肩や背中からの反射も受けて三次元位置情報の数が大きい一方で、読書灯など静止物体の場合は三次元位置情報の数が小さいことを利用している。閾値未満であればステップS602へ戻り、閾値以上であれば次のグループの代表位置を取得して対象位置とする(ステップS604)。次に、その対象位置が管理エリア8のどのエリアに該当するかを検出する(ステップS605)。そして、その該当エリアが患者10の横臥エリア11であるか否かを判断する(ステップS606)。その結果、該当エリアが横臥エリア11に等しい場合には、対象位置としたグループを患者10とみなす(ステップS607)と共に、離床動作判定工程S70へ進む。また、ステップS606で該当エリアが横臥エリア11に等しくない場合は、ステップS602に戻り、ステップS606で該当エリアが患者10の横臥エリア11に等しくなるまで繰り返す。
【0061】
ステップS601において、患者10を捕捉済みであれば、患者とみなされた追跡済みグループの代表位置を取得して対象位置とする(ステップS608)。次に、その対象位置が管理エリア8のどのエリアに該当するかを検出する(ステップS609)。該当エリアが見つかったか否かを判断して(ステップS610)、見つからなかった場合は前回の追跡済みグループにける判定値(エリア判定に用いた値)をそのまま採用し(ステップS613)、離床動作判定工程S70へ進む。ステップS610で該当エリアが見つかった場合は、前回の追跡済みグループにおける判定値と同じであるか否かを判定し(ステップS611)、同じである場合は継続時間数を更新して(ステップS612)、離床動作判定工程に進む。また、ステップS611で、前回の追跡済みグループでの判定値と異なる場合は、判定値を更新して継続時間数を1として(ステップS614)、離床動作判定工程に進む。
【0062】
離床動作判定工程S70では、上記のエリア判定工程S60で患者10を示すグループが検知された後、その患者10を示すグループが警報エリアに予め定められた所定時間以上滞在しているか否かを判定する。警報エリアは、前記各エリア11、12、13、14に対してそれぞれ別々に設定することができ、本実施形態では、ベッドの長辺側の外側部に警報エリアを設定している。患者10が寝返りによって横臥エリア11に所定時間滞在する可能性もあるため、上記の移動判定工程S50で検知された患者10の三次元位置の時間的な変化が、横臥エリア11から座位エリア12に至った後、警報エリアに至り且つ所定時間以上滞在するように変化した場合に、患者10が離床動作を開始したと判定する。これにより、患者10の離床動作の開始を誤認することを防止できる。
【0063】
なお、離床の判定に際して、患者の体勢を把握して、患者が上半身を起こしただけでナースコールを発令するように設定ことができる(起き上がりモード)。また、患者がベッドの端に腰掛けてからベッドから離れたまでの間にナースコールを発令するように設定することができる(端座位モード)。
【0064】
報知工程S4では、上記の離床動作判定工程S60で患者10の離床動作の開始が判定された段階で報知信号を発し、ナースセンターの看護師等に患者10の離床動作の開始を報知する。具体的には、例えば、報知手段6をナースコールの信号系統に接続し、報知手段6から報知信号が出力された場合にナースコールが発令するようにする。その他に、報知信号を電波として発信し、その報知信号を特定の場所に設置された所定の端末或いは看護師等が所持する所定の端末(例えば携帯電話等)で受信するようにしてもよい。このような無線を利用して報知信号を発信する手法は、ナースコールがない一般家庭等において人体の離床動作の開始を報知する手段として有効となる。
【0065】
以上のように、本実施形態に係る離床予測装置1によれば、ベッド7上の患者10の三次元位置の横臥位置からの時間的な変化が検知されることから、ベッド7上での離床動作の開始を検知することができる。したがって、患者10がベッド7から足を下ろす前に、患者10の離床を未然に予測して早期に検知することが可能となる。しかも、患者10の頭部は、常時布団の外に出ているのが通例であり、患者10の頭部で反射した超音波信号が布団によって阻害されることはない。そのため、患者10の三次元位置の横臥位置からの時間的な変化を検知することで、患者10の離床動作の開始を正確に検知することができる。また、所定時間以上、移動の追跡ができないグループを以後の処理から外したり、移動平均処理を用いて反射波データから不要な信号を減衰させたり、さらにはベッド高を自動的に計測して設定値に反映させたりすることにより誤報を低減することができる。さらには、受信した超音波の受波角度に応じて離床の判定に必要な設定値を変更したり、ベッドの両外側に警報エリアを設定したりすることにより失報を低減することができる。
【0066】
また、他の実施形態として、図17に示すように、センサユニット9’を壁17に中間部材18を介して取り付けた離床予測装置がある。この離床予測装置は、上記のセンサユニット9を天井19に設置した離床予測装置の構成に、座標変換を行なう座標変換手段を加えることにより構成できる。なお、センサユニット9’を壁17に埋め込むなどして直接壁17に取り付けてもよい。壁17に対するセンサユニット9’の取り付けは、壁17に対して固定であってもよく、壁17に対して位置や角度を調節可能であってもよい。この場合も、前記外側警報エリアと壁17とで構成される範囲よりも小さい範囲に内側警報エリアを設定し、この内側警報エリアの外周側に、内側警報エリアと外側警報エリアとの間、及び内側警報エリアと壁17との間に配設される非警報エリア16を設けることができる。この非警報エリア16とは、内側警報エリアと外側警報エリアとの隙間、及び内側警報エリアと壁17との隙間であり、エリア判定工程S60において判定対象となるエリア(横臥エリア11、座位エリア12、立位エリア13、離床エリア14)には属さないものである。これにより、患者以外の者(看護師や付添人等)がベッドに接近しても内側警報エリアに入ることなく、この非警報エリア16にて誤報を低減することができる。なお、非警報エリア16の範囲としては、設置環境等に応じて任意に設定することができる。
【0067】
上記の座標変換について詳述する。例えば図17に示した壁設置型センサユニット9’用の座標軸が図18(A)に示すものとする。Z’軸は、壁設置型センサユニット9’における超音波を送受波する面に垂直な方向で、同図右下の向きである。Y’軸が壁設置型センサユニット9’における超音波を送受波する面且つ紙面に沿った方向で,同図右上の向きである。X’軸は、紙面に垂直な方向で紙面の裏から表への向きである。
【0068】
例えば図14に示した天井設置型センサユニット9用の座標軸が図18(B)に示すものとする。Z軸は、天井設置型センサユニット9における超音波を送受波する面に垂直な方向で、同図下の向きである。Y軸がセンサユニット9における超音波を送受波する面且つ紙面に沿った方向で、同図左の向きである。X軸は、紙面に垂直な方向で紙面の表から裏への向きである。
【0069】
図18(A)に示す座標軸を有する壁設置型センサユニット9’が図17に示すように壁17に設置されている場合を考える。この壁設置型センサユニット9’を使用した離床予測装置におけるエリアベッド7に対するエリア11〜15の設定範囲は上記実施形態と同じとする。この図15に示す部屋に、図18(B)に示す座標軸を有する天井設置型センサユニット9が、天井16に設置されていることを仮定する。この天井設置型センサユニット9を使用した離床予測装置におけるエリアベッド7に対するエリア11〜14の設定範囲も上記実施形態と同じとする。
【0070】
この部屋における任意の位置に対する壁設置型センサユニット9’の座標軸での座標値を、天井設置型センサユニット9の座標軸での座標になるような数学的な座標変換の式を作成する。この座標変換式を使用すれば、壁設置型センサユニット9’を使用した離床予測装置において、天井設置型センサユニット9を使用した離床予測装置におけるアルゴリズムが使用可能になる。すなわち、この座標変換式を用いた座標変換を行なう座標変換手段、座標変換工程をそれぞれ、天井設置型センサユニット9を使用した離床予測装置、離床予測方法に加えることにより、壁設置型センサユニット9’を使用した離床予測装置及び離床予測方法が容易に構成できる。
【0071】
壁設置型センサユニット9’は、天井設置型センサユニット9に比較して、設置作業及び設置場所の変更が容易であるため、壁設置型センサユニット9’を使用した離床予測装置及び離床予測方法は利便性、受容性が向上する。
【0072】
また、壁設置型センサユニット9’を、壁17ではなく、例えば三脚架のような台に取り付け、その台を移動可能に床に配置してもよい。この場合、更に設置作業及び設置場所の変更が容易であるため、壁設置型センサユニット9’を使用した離床予測装置及び離床予測方法は、更に利便性、受容性が向上する。なお、壁設置型センサユニット9’は、直接台に取り付けてもよく、中間部材を介して台に対して取り付けてもよい。また、台に対する壁設置型センサユニット9’の取り付けは、台に対して固定でもよく、台に対して位置や角度を調節可能であってもよい。また、壁設置型センサユニット9’を取り付ける台が伸縮自在な台や屈曲可能な台等であることにより、壁設置型センサユニット9’が床に対して位置や角度を調節可能であってもよい。
【0073】
なお、本発明は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施することができる。例えば、上記の実施形態では、患者10の離床動作を予測する場合について説明したが、老人ホームや一般家庭等における患者10以外の人に対しても同様に適用できる。
【0074】
また、上記の実施形態では、患者10の頭部位置のみを追跡検知する場合を説明したが、患者10の頭部位置に加え、患者の肩などの他の体部位置を同時に追跡検知することにより、患者10の離床動作の開始を判定するようにしてもよい。また、実施形態では、横臥エリア11は、患者10の足などを頭部と誤って認識しないようにベッド7の枕側のみに形成したが、ベッドの足側の端部にまで延ばすこともできる。
【0075】
S606の判定では、横臥エリアだけでなく、横臥エリアもしくは座位エリアと判定してもよい。これは、初期化処理工程で患者就寝の管理エリア8を反射波データ計測した場合、患者自身も静止物体と見なされ、横臥エリアでは検出しにくくなることの対策である。
【0076】
さらに、上記の実施形態では、一つのベッド7を含む管理エリア8を、一つのセンサユニット9(一組の送波器2と受波器3)で管理する場合について説明したが、複数のセンサユニット9を用いて管理するようにしてもよい。この場合、各センサユニット9から送信される超音波信号が、別のセンサユニット9から送信される超音波信号と干渉しないようにすることが好ましい。この対策としては、各センサユニット9から送信される超音波が干渉しないように所定の時間差を明けて各センサユニット9から順次超音波を送信することが挙げられる。別の対策としては、例えば、各センサユニット9から送信される超音波信号の波長を変え、受信した超音波信号をフィルタリング処理して各センサユニット9から送信された超音波信号の波長成分ごとに分離して計測することが挙げられる。また、一つのセンサユニット9で、複数のベッド7を含む管理エリア8を管理するようにしてもよい。この場合、管理エリア8を拡張するために、送波器2としては、無指向性の送波器を使用することが好ましい。
【0077】
また、ベッド7上(例えばベッド7の四隅)に、超音波信号を送信する送波器を別途取り付けて、センサユニット9に向かって所定のタイミングで超音波信号を送信することで、判定手段5にベッド7の位置を認識させるようにしてもよい。
【0078】
さらに、離床動作の予測は、手動に限らず、自動で開始するようにしてもよい。自動的に離床予測を開始する場合、例えば、別途赤外線センサを天井等の静止系に取り付ける。この赤外線センサによって、ベッド7上から患者10等の人体の発する特定波長の赤外線を検出する。赤外線が所定時間に亘って検出された場合に、赤外線センサから判定手段5に信号を出力することにより、離床検出を自動的に開始する。さらに、離床検出は、報知手段6が報知信号を発した段階で一旦終了するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の一実施形態に係る離床予測装置を示すブロック図である。
【図2】本実施形態に係る離床予測装置の取り付け態様を模式的に示す斜視図である。
【図3】(a)は本実施形態に係る離床予測装置に利用される受波器の一例を模式的に示す平面図であって、(b)は受波器の他の一例を模式的に示す平面図である。
【図4】本実施形態に係る離床予測装置による離床予測手順を示すフローチャートである。
【図5】ベッド高さのを自動検出を行うフローチャートである。
【図6】反射波データの一例を示すグラフである。
【図7】送信する超音波信号の波形の一例を模式的に示すグラフである。
【図8】図4の離床予測手順に含まれるグルーピング工程を示すフローチャートである。
【図9】グルーピング工程の処理結果を概念的に示す図である。
【図10】図4の離床予測手順に含まれる移動判定工程を示すフローチャートである。
【図11】移動判定工程の処理結果を概念的に示す図である。
【図12】移動判定工程の処理結果を概念的に示す図である。
【図13】移動判定工程の処理結果を概念的に示す図である。
【図14】ベッドの側面から見た管理エリアの分割態様を示す側面図である。
【図15】ベッドの正面から見た管理エリアの分割態様を示す側面図である。
【図16】図4の離床予測手順に含まれるエリア判定工程を示すフローチャートである。
【図17】本発明の別の実施形態に係る離床予測装置を示す図である。
【図18】離床予測装置の座標軸例を示す図で(A)は、壁設置型センサユニットを使用した場合、(B)が天井設置型センサユニットを使用した場合のものである。
【符号の説明】
【0080】
1 離床予測装置
2 送波器
3 受波器
4 位置演算手段
5 判定手段
6 報知手段
7 ベッド
8 管理エリア
9 センサユニット
10 患者
20 移動平均処理手段
21 抹消手段
22 初期化処理手段
S1 反射波データ取得工程
S2 位置演算工程
S3 判定工程
S4 報知工程
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベッド上の人が離床動作を開始したか否かを判断する離床予測装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、主として病院には、巡回監視の労力低減のため、ベッドからの患者の離床を自動検知する離床検知装置が設備される。離床検知装置には、ベッドの周囲の床面に感圧センサを敷設して、患者がそのセンサの上に足を下ろした際に生じる圧力変化により患者の離床を検出するものや、ベッドの足に荷重センサを取り付け、センサの出力変化により患者の離床の有無を検出するものなどがある。また、離床検出に類似する技術として、患者の体位の変化を検出する寝返り管理システムが提案されている(特許文献1参照)。このシステムは、患者の肩および腰に測定センサを取り付け、ベッドに設置された受信アンテナと超音波マイクとで前記測定センサから発信される電波と超音波をそれぞれ受信する。その受信の際に生じる時間差に基づいて、患者の体位の変化を検出するものである。さらに、このシステムには、測定センサと受信アンテナとの間での電波の通信可能範囲をベッドの上方空間に限定することで、当該電波の通信が途絶えた場合に、患者が離床したと判断するようにしている。
【特許文献1】特開2006−325683号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述の感圧センサや荷重センサを利用した離床検知装置では、ベッドから患者が足を下ろした段階で初めて患者の離床が検出されるため、看護師等が到着した段階では、既に患者が離床してから漫然と時間が経過しまっている。したがって、患者の離床を早期に発見し、患者の安全を十分に確保するという観点では課題がある。
【0004】
上記の特許文献1のシステムでは、患者がベッドの上方空間に存在しなくなった状態で、初めて患者の離床が検出される。このため、上述の感圧センサ等と同様に、患者の離床を早期に発見することはできない。
【0005】
また、患者の肩および腰に取り付けた測定センサは、布団の中に隠れると、超音波マイクに超音波が届かないので、追跡中に見失ったり、失報を生じたりする原因の一つとなっていた。
【0006】
さらには、前記のような離床判定方法は、いずれもベッド高の自動変更に対応していない。このため、患者又は看護師がベッド高さを変更する都度、ベッド高の設定を変更する必要があった。仮に、ベッド高さの設定を変更しない場合は、誤報の原因となっていた。
【0007】
本発明は、以上の実情に鑑み、ベッド上の人体の離床動作の開始を早期且つ精度良く検出することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために創案された本発明に係る装置は、静止系に取り付けられた状態で、ベッドを含む管理エリアに超音波信号を継続的に送信する送波器と、静止系に取り付けられた状態で、前記管理エリア内で反射した前記超音波信号を受信する受波器と、前記送波器から送信される前記超音波信号に対応して前記受波器で所定時間毎に取得される反射波データからベッド上の人体の頭部またはそれ以外の物体の三次元位置を時々刻々演算して、この三次元位置を複数の人体の頭部のグループ又は他の物体のグループに分類する位置演算手段と、該位置演算手段の演算結果から人体の三次元位置の横臥位置からの時間的な変化を検知し、その検知結果に基づいてベッド上の人体が離床動作を開始したか否かを判定する判定手段と、該判定手段によって人体の離床動作の開始が検知された場合に報知信号を発する報知手段とを備え、前記判定手段は、所定時間以上、移動の追跡ができない頭部のグループを以後の処理から外す抹消手段を備えていることを特徴とする。
【0009】
以上の構成により、ベッド上の人体の三次元位置の横臥位置からの時間的な変化が検知されることから、例えばベッド上での起き上がり動作等の離床動作の開始を検知することができる。したがって、人体がベッドから足を下ろす前に、人体の離床を未然に予測して早期に検知することが可能となる。しかも、人体の頭部は、常時布団の外に出ているのが通例であり、人体の頭部で反射した超音波信号が布団によって阻害されることはない。そのため、人体の三次元位置の横臥位置からの時間的な変化を検知することで、患者の離床動作の開始を正確に検知することができる。なお、送波器及び受波器が、静止系に取り付けられるので、人体に直接センサを取り付けた場合のように患者に負担が掛かるという事態も回避することができる。また、抹消手段を備えることにより、所定時間以上、移動の追跡ができない超音波反射信号のグループを以後の処理から外すことができる。すなわち、患者の体勢によっては超音波の反射波が小さく、ピーク値を捉えられないことがある。その場合、ある計測分の三次元位置のデータが抜けて患者を捕捉できない。一旦捕捉が途切れると、そのグループが残り、患者の頭部追跡に支障をきたすため、所定時間以上捕捉が途切れたグループ(抜けフレーム)を、抹消手段が抹消する抹消処理を行う。これにより、ノイズを抑圧することができる。
【0010】
前記位置演算手段は、移動平均処理を用いて反射波データから不要な信号を減衰させる移動平均処理手段を備えることができる。移動平均とは、系列データを平滑化する手法であって、外乱超音波ノイズや隣接設置した3次元超音波センサユニットからの超音波等の以後の処理に不要な信号を減衰させる処理をいう。
【0011】
ベッド高さを自動検出して初期状態を設定する初期化処理手段を備えることができる。すなわち、患者又は看護師がベッド高さを変更しても、初期化処理手段が自動的にベッド高さを検出し、離床動作を開始したか否かを判定する際の設定値に反映することができる。
【0012】
受信した超音波の受波角度に応じてベッド上の人体が離床動作を開始したか否かを判定するのに必要な設定値を変更することができる。すなわち、超音波の反射波が弱い受波角度に対しては、頭部検出の設定値(閾値)を下げることにより確実に頭部を検出することができて、失報を低減することができる。この場合、受波角度θに対して、設定値を(cosθ)4とすることができる。
【0013】
ベッドの少なくとも長辺側の外側部に警報エリアを設定し、前記判定手段は、前記警報エリア内に人の頭部が所定時間以上滞在する場合に離床を判定することができる。ベッドの外側に警報エリアを設定することにより、警報エリアを広範囲に設定することができ、人の頭部が警報エリア内に存在する時間を長時間とすることができる。すなわち、動作の早い人の頭部が警報エリア内を短時間で通過することにより生じる失報を防止することができ、確実に離床を判定することができる。
【0014】
ベッドの上方位置に、前記外側警報エリアよりも小さい範囲の内側警報エリアを設定し、この内側警報エリアの外周側に内側警報エリアと外側警報エリアとの間に配設される非警報エリアを設けることができる。これにより、患者以外の者(看護師や付添人等)がベッドに接近しても、非警報エリアにて誤報を低減することができる。
【0015】
前記受波器は、複数の受波素子を配列したアレイセンサであることが好ましい。これにより、受波器を回動させる等して機械的に走査することなく、電子的走査のみで、管理エリアで反射した超音波信号を受信することが可能となる。
【0016】
上記課題を解決するために創案された本発明に係る方法は、静止系に取り付けられた送波器からベッドを含む管理エリアに超音波信号を継続的に送信すると共に、静止系に取り付けられた受波器により前記管理エリア内で反射した前記超音波信号を受信して、前記送波器から送信される前記超音波信号に対応した反射波データを所定時間毎に取得する反射波データ取得工程と、該反射波データ取得工程で取得された反射波データからベッド上の人体の頭部または他の物体の三次元位置を時々刻々演算して、この三次元位置を複数の人体の頭部のグループ又は他の物体のグループに分類する位置演算工程と、該位置演算工程の演算結果から人体の三次元位置の横臥位置からの時間的な変化を検知し、その検知結果に基づいてベッド上の人体が離床動作を開始したか否かを判定する判定工程と、該判定工程により、人体の離床動作の開始が検知された場合に報知信号を発する報知工程とを含み、前記位置演算工程は、移動平均処理を用いて不要な信号を減衰させる移動平均処理工程を備えるとともに、前記判定工程は、所定時間以上、移動の追跡ができない頭部のグループを以後の処理から外す抹消処理を行うことを特徴とする。
【0017】
ベッド高さを自動検出して初期状態を設定する初期化処理工程を備えることができる。
【0018】
受信した超音波の受波角度に応じてベッド上の人体が離床動作を開始したか否かを判定するのに必要な設定値を変更することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように本発明によれば、ベッド上の人体の三次元位置の横臥位置からの時間的な変化が検知されることから、例えばベッド上での起き上がり動作等の離床動作の開始を検知することができる。したがって、人体がベッドから足を下ろす前に、人体の離床を未然に予測して早期に検知することが可能となる。しかも、人体の頭部は、常時布団の外に出ているのが通例であり、人体の頭部で反射した超音波信号が布団によって阻害されることはない。そのため、人体の三次元位置の横臥位置からの時間的な変化を検知することで、人体の離床動作の開始を正確に検知することができる。また、所定時間以上、移動の追跡ができないグループを以後の処理から外したり、移動平均処理を用いて反射波データから不要な信号を減衰させたり、さらにはベッド高を自動的に計測して設定値に反映させたりすることにより誤報を低減することができる。さらには、受信した超音波の受波角度に応じて離床の判定に必要な設定値を変更したり、ベッドの両外側に警報エリアを設定したりすることにより失報を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係る離床検出装置を模式的に示すブロック図であり、図2はその取り付け態様を模式的に示す斜視図である。図に示すように、離床予測装置1は、送波器2と、受波器3と、位置演算手段4と、判定手段5と、報知手段6と、初期化処理手段22とを備えている。
【0022】
送波器2は、天井に取り付けられた状態でベッド7を含む管理エリア8に超音波信号を所定の間隔を空けて継続的に送信するように構成される。受波器3は、同じく天井に取り付けられた状態で管理エリア8内で反射した超音波信号を受信するように構成される。送波器2と受波器3とでセンサユニット9が構成される。
【0023】
この実施形態では、送波器2は、超音波信号を管理エリア8内に拡散させて送信するように構成される。一方、受波器3は、複数の受波素子を配列したアレイセンサで構成される。例えば、このアレイセンサの一例としては次のような構成が挙げられる。すなわち、アレイセンサ3としては、図3(a)、(b)に示すように、複数の受波素子3aを単一の平面(基板3b)上に、例えば格子状や十字状等に配列したり、図3(c)、(d)に示すように配列したりして種々の配列を採用できる。そして、各受波素子3aで得られた信号を、管理エリア8内で反射した超音波信号の入射角度および各受波素子3aの位置に対応した時間分だけ遅延させた後に加算することで、電子的走査によって三次元反射波データを取得するように構成されたものが挙げられる。さらに、この場合、隣接する受波素子3aの中心間距離Xは、送波器2から送信される超音波信号の半波長以下に設定することが好ましい。このようにすれば、複数の受波素子3aで得られた信号を遅延加算して得られる三次元反射波データに、誤差の要因となる所謂ゴースト成分が発生するという事態を効果的に低減することができる。
【0024】
初期化処理手段22は、ベッド高さを自動検出してアルゴリズムの初期化処理を行うものである。すなわち、患者又は看護師がベッド高さを変更しても、初期化処理手段が自動的にベッド高さを検出することができる。
【0025】
位置演算手段4は、送波器2から送信される超音波信号に対応して受波器3で所定時間毎に取得される反射波データからベッド7上の患者10の三次元位置を時々刻々演算して、この三次元位置を複数の患者の頭部のグループ又は他の物体のグループに分類するように構成される。
【0026】
前記位置演算手段4には、移動平均処理手段20を備えている。移動平均処理手段20は、取得した反射波データのうち、外乱超音波ノイズや隣接設置した3次元超音波センサユニットからの超音波等の不要な信号を減衰させる処理を行うものである。
【0027】
判定手段5は、位置演算手段4の演算結果から患者10の三次元位置の横臥位置からの時間的な変化を検知し、その検知結果に基づいてベッド上の人体が離床動作を開始したか否かを判定するように構成される。
【0028】
前記判定手段5には、抹消手段21を備えている。抹消手段21は、前記位置演算手段4にて分類されたグループについて、一定時間以上、移動の追跡ができない頭部のグループを以後の処理から外すものである。
【0029】
報知手段6は、判定手段5によって患者10の離床動作の開始が検知された場合に報知信号を発するように構成される。
【0030】
次に、このように構成された離床予測装置1による離床予測手順を説明する。
【0031】
図4は、離床検出手順を示すフローチャートである。同図に示すように、この離床検出手順は、ベッド高さを自動検出してアルゴリズムを初期化する初期化処理工程S1と、送波器2からベッド7を含む管理エリア8に超音波信号を所定の間隔を空けて継続的に送信すると共に、受波器3で管理エリア8内で反射した超音波信号を受信して、送波器2から送信される超音波信号に対応した反射波データを所定時間毎に取得する反射波データ取得工程S2と、反射波データ取得工程S2で取得された反射波データからベッド7上の患者10の三次元位置を時々刻々演算する位置演算工程S3と、位置演算工程S3の演算結果から患者10の三次元位置の横臥位置からの時間的な変化を検知し、その検知結果に基づいてベッド7上の患者10が離床動作を開始したか否かを判定する判定工程S4と、判定工程S4により患者10の離床動作の開始が検知された場合に報知信号を発する報知工程S5とを含む。この実施形態では、初期化処理手段22によって初期化処理工程S1が実行される。受波器3で反射波データ取得工程S2が実行され、位置演算手段4によって位置演算工程S3が実行される。さらに、判定手段5によって判定工程S4が実行される。また、報知手段6によって報知工程S5が実行される。
【0032】
まず、予め部屋のサイズ及びベッドサイズの検出、位置演算工程S3や判定工程S4における各種閾値の設定、患者不在時または患者就寝時の管理エリア8の反射波データの計測を行う。本実施形態では、12cm毎に25枚の反射波データを所得しているが、反射波データの枚数、分割する間隔はこれに限られるものではない。また、初期化処理手段22は、受信した超音波の受波角度θに応じて以後の閾値を変更することができるようにしている。例えば、超音波の反射波が弱い受波角度θに対しては、閾値を(cosθ)4に下げるように設定している。これにより、確実に頭部を検出することができて、失報を低減することができる。
【0033】
そして、ベッド高さを自動検出して初期状態を設定する初期化処理を行う。初期化処理工程S1は、図5に示すような方法で行われる。すなわち、予め計測しておいた患者不在時または患者就寝時の管理エリア8の反射波データに対してピーク値を検出する(ステップS11)。その後、遠距離マスク値を検出対象距離とする(ステップS12)。遠距離マスク値とは、ベッドの下など明らかに患者の頭が存在するはずのない距離を、頭部の検出処理の対象外とするために設定された値である。そして、ピーク値がベッド閾値(ベッドが存在すると認識する閾値)を越えているか否かを判断し(ステップS13)、超えている場合は、1距離分センサに近い距離(反射波データから1枚分センサに近い反射波データであって、本実施形態では12cm)を検出対象距離として(ステップS14)、再びステップS13の判断を行う。一方、ピーク値がベッド閾値を越えていない場合は、ピーク値から患者の体幅を引いた値をベッド高さとする(ステップS15)。このようにして、床からセンサユニット9に向かって反射波データがなくなる距離を調べることで、ベッド高さを自動検出することができる。そして、検出したベッド高さを遠距離マスクとして、頭部の検出範囲の対象外とする(ステップS16)。
【0034】
反射波データ取得工程S2では、送波器2から超音波信号を送信するごとに、受波器3で受信される超音波信号から三次元反射波データを取得する。この反射波データは、管理エリア8を高さ方向に複数の平面に分割した平面データから構成されており、それぞれの平面データには、反射波の信号強度分布が記録される。この場合も12cm毎に25枚の反射波データを所得しているが、反射波データの枚数、分割する間隔ははこれに限られるものではない。
【0035】
位置演算工程S3は、差分処理工程S10と、移動平均処理工程S20と、ピーク演算工程S30と、グルーピング工程S40とに大別される。
【0036】
差分処理工程S10では、上記の反射波データ取得工程S1で取得された反射波データから、予め計測しておいた患者不在時または患者就寝時の管理エリア8の反射波データを減算する。これにより、反射波データに含まれる静止物体がデータ上削除され、静止物体と動体(患者10等)とを明確に区別することが可能となる。例えば、患者10の両サイドにベッド柵23があっても、前記処理を行うことにより、ベッド柵23からの超音波反射の影響を排除することができる。
【0037】
差分処理工程後の反射波データは、外乱超音波ノイズや隣接設置した3次元超音波センサユニットからの超音波も受けており、それらは以後の処理には不要な信号である。そこで、移動平均処理工程S20では、次の数1に示すように、p点単純移動平均処理を行うことにより反射波データの平滑化を行って、外乱超音波ノイズや隣接設置した超音波センサなどからの超音波等の不要な信号等、以後の処理に不要な信号を減衰させることができる。なお、y[n]は平滑化後のサンプリング位置nのデータを示し、x[n]は平滑化前のサンプリング位置nのデータを示している。
【数1】
【0038】
患者10の頭部を捉えた反射波データを構成する平面データでは、縦軸に信号強度をとると、例えば図6に示すように、患者10の頭部が凸部となって現れる。そのため、ピーク演算工程S30では、上記の移動平均処理工程S20後の反射波データを構成する複数の平面データのそれぞれにつき、信号強度のピーク値と、その位置を検出する。そして、信号強度が、所定のピーク判定閾値を超えるものを三次元位置として記憶し、そこに患者の頭部又は他の物体が存在するものとする。このようにすれば、患者10の頭部の三次元位置をポイントで定義することができるので、患者10の頭部の三次元位置を信号強度が凸部となる部分全体で定義する場合に比して、演算処理の簡素化を図ることができる。なお、この記憶された三次元位置は、受波器3(センサユニット9)に近いものから順に配列された状態で頭部位置データとして記憶される。
【0039】
本実施形態では、上記のピーク演算工程S30で演算された三次元位置が同一の患者10の頭部を捉えたものであるか否かを判断するために、グルーピング工程S40が実行される。これは、次のような理由による。一般に、空気中を伝搬する超音波が患者10の頭部などの物体に当たった場合には、直進することなく、その物体で反射して戻ってくる。しかし、送信する超音波信号を、振幅減衰時間(振幅減衰開始の時刻(最大振幅の時刻)から振幅減衰終了の時刻までの時間)のない理想的なパルス波として送信することは困難であり、実用上は、図7に示すように、所定の振幅減衰時間ΔTを有する超音波信号を送信する場合が多い。そのため、送信する超音波の振幅減衰時間ΔTとの関係から、同一の物体で反射した超音波信号が時間的に幅をもって検出される場合がある。この場合には、上記の反射波データを構成する複数の平面データのうち、連続する数枚の平面データに同じ物体による複数のピーク値が検出されることになる。そのため、演算処理の簡素化の観点からも、複数のピーク値のうち、どのピーク値が同一の患者10を捉えたものであるのかを判断する必要がある。
【0040】
そこで、グルーピング工程S40では、上記のピーク演算工程S30で1つの反射波データから複数の三次元位置が演算された場合に、これらを一旦暫定的な三次元位置として、その三次元位置の相互間の変位ベクトルを演算し、この中から変位ベクトルの大きさがグルーピング閾値(所定値)以下となる三次元位置を選択する。この際、選択された三次元位置は、同一の患者10の頭部を捉えたものと判断する。そして、選択した三次元位置に基づいて患者10の三次元位置(代表位置)を改めて設定する。
【0041】
このグルーピング工程S40は、図8に示す手順で実行される。同図に示すように、グルーピング工程S40では、まず、上記のピーク演算工程S30で記憶された頭部位置データのうち、センサユニット9に最も近い先頭の三次元位置(暫定三次元位置)を基準位置に設定すると共に、その三次元位置を代表位置とした新規グループを登録し且つその新規グループを対象グループに設定する(ステップS401)。その後、頭部位置データの中に、次の三次元位置(暫定三次元位置)が存在するか否かを判断する(ステップS42)。
【0042】
その結果、次の三次元位置が存在する場合には、その三次元位置を対象位置に設定する(ステップS403)。そして、基準位置から対象位置までの変位ベクトルを演算する(ステップS404)と共に、その変位ベクトルの大きさがグルーピング閾値以下であるか否かを判断する(ステップS405)。
【0043】
その結果、グルーピング閾値以下である場合には、対象位置を新たな基準位置とすると共に、対象グループに追加登録(ステップS406)し、上記のステップS402に戻る。
【0044】
一方、ステップS405で、グルーピング閾値を超えていると判断された場合には、対象位置を新たな基準位置とすると共に、次の三次元位置を代表位置とした新規グループを登録し且つその新規グループを新たな対象グループに設定(ステップS407)し、上記のステップS402に戻る。以後、上記のステップS402で次の三次元位置が存在しないと判断されるまで、上記のステップを繰り返し、ピーク演算工程S30で記憶された全ての三次元位置を所定のグループに分類すると共に、グループごとに代表位置を設定する。
【0045】
ここで、上記のグルーピング閾値は、送信する超音波信号の振幅減衰時間ΔTに基づいて設定される。これは、振幅減衰時間ΔTから予め同じ患者10の頭部を捉えた信号がどの程度の範囲で検出されるかを予測することが可能であるためである。
【0046】
上記のグルーピング工程S40では、センサユニット9に近い順に三次元位置が配列された頭部位置データのうち、先頭の三次元位置から順に処理しているので、分類されたグループごとにセンサユニット9に最も近い頭部位置が代表位置として設定される。したがって、時間的に最初に物体(患者10の頭部)で反射したものを、各グループの代表位置として設定することができる。すなわち、センサユニット9から所定の振幅減衰時間を有する超音波信号を送信した場合であっても、振幅減衰時間のない理想的なパルス波を送信した場合と同様の結果を得ることができる。
【0047】
このようにして処理されたグルーピング工程S40の処理結果を図9に概念的に示す。図示例は、ピーク演算工程S30で6つの三次元位置a1,a2,a3,b1,b2,b3が検出され、グルーピング工程S40の結果、三次元位置a1〜a3からなるグループA(例えば、患者10以外の第三者を示すグループ)と、三次元位置b1〜b3からなるグループB(例えば、患者10を示すグループ)に分類された場合を例示するものである。この場合、各グループA,Bの代表位置は、センサユニット9に最も近い頭部位置a1,b1にそれぞれ設定される。なお、グループの代表位置は、センサユニット9に最も近い頭部位置に設定するものに限らず、例えば、頭部位置データに含まれる全ての三次元位置を所定のグループに分類した後、各グループに属する三次元位置の重心位置を演算し、その重心位置を代表位置に設定するようにしてもよい。
【0048】
判定工程S4は、移動判定工程S50と、エリア判定工程S60と、離床動作判定工程S70とに大別される。
【0049】
移動判定工程S50では、既に得られた一の反射波データから検出されたグループの代表位置と、新たに得られた他の反射波データから検出されるグループの代表位置との変位ベクトルを演算し、その変位ベクトルの大きさに基づいて、患者10の三次元位置の横臥位置からの時間的な変化を検知する。すなわち、上記のグルーピング工程S40は、同一の反射波データ内における処理であるが、この移動判定工程S50は、異なる2つの反射波データ(例えば前回の反射波データと今回の反射波データ)を比較して処理するものである。
【0050】
この移動判定工程S50は、図10に示す手順で実行される。同図に示すように、移動判定工程S50では、まず、上記のグルーピング工程S40で検出されたグループが存在するか否かを判断する(ステップS501)。その結果、グループが存在する場合には、そのグループの代表位置を取得して対象位置とする(ステップS502)。そして、対象位置に最も近い追跡済みグループが存在するか否かを判断し(ステップS503)、存在する場合は最も近い追跡済みグループの代表位置を取得して基準位置に設定する(ステップS504)。その後、変位ベクトルの大きさが移動判定閾値以下であるか否かを判断する(ステップS505)。その結果、移動判定閾値以下である場合には、対象位置を判定基準位置とした追跡済みグループの新しい代表位置とする(ステップS506)と共に、上記のステップS501に戻る。すなわち、この場合には、代表位置(三次元位置)が、基準位置から対象位置に移動したものと判断する。一方、移動判定閾値を超える場合には、対象位置を新規追跡済みグループの新しい代表位置とする(ステップS507)と共に、ステップS501に戻る。なお、上記の移動判定閾値は、患者10の移動速度に基づいて設定される。具体的には、移動判定閾値は、前回の反射波データが取得されてから今回の反射波データが取得されるまでの時間の間に、患者10が実際に移動できる最大推定移動量に基づいて設定される。
【0051】
また、上記のステップS503で、追跡済みグループが存在しないと判断された場合には、対象位置を新規追跡済みグループの新しい代表位置とする(ステップS507)と共に、ステップS501に戻る。
【0052】
そして、ステップS501で次のグループが存在しないと判断されるまで、以上のステップを繰り返し、各グループの代表位置の時間的な変化を追跡する。
【0053】
本実施形態において、超音波計測は一定間隔(100msec)で実施している。患者の体勢によっては超音波の反射波が小さく、ピーク値を捉えられないことがある。その場合、ある計測分の三次元位置のデータが抜けて患者を捕捉できない。一旦捕捉が途切れると、そのグループが残り、患者の頭部追跡に支障をきたすため、所定時間以上捕捉が途切れたグループ(抜けフレーム)を抹消する抹消処理を行うようにしている。
【0054】
抹消処理は、次のような方法で行われる。ステップS501において、グルーピング工程S40で検出されたグループが存在するか否かを判断した結果、グループが存在しない場合には、前回の反射波データにおいて既に追跡済みグループが存在するか否かを判断する(ステップS508)。そして、存在する場合は、頭部の3次元位置データが抜けて捕捉が途切れた期間(抜けフレーム数)が閾値を超えているか否かを判断し(ステップS509)、超えている場合はそのグループを削除し(ステップS510)、ステップS508に戻る。一方、ステップS509で抜けフレーム数が閾値を超えていない場合は、追跡済みグループを削除せずにステップS508に戻る。
【0055】
そして、ステップS508で、前回の反射波データにおいて既に追跡済みグループが存在しないと判断されるまで、以上のステップを繰り返す。
【0056】
このようにして処理された移動判定工程S50の処理結果を、図11に概念的に示す。同図例は、前回の反射波データに対するグルーピング工程S40で代表位置A1,B1が検出されると共に、今回の反射波データに対するグルーピング工程S40で、代表位置A2,B2が検出された状態を示している。そして、移動判定工程S50によって、前回の反射波データで検出された代表位置A1が、今回の反射波データで検出された代表位置A2に移動し、前回の反射波データで検出された代表位置B1が、今回の反射波データで検出された代表位置B2に移動したと判断された状態を示している。
【0057】
また、図12に示すように、今回の反射波データで得られた代表位置C2が、前回の反射波データで得られた代表位置A1,B1の双方に対して、移動判定閾値以内にある場合、変位ベクトルの近い代表位置(B1)が移動したものとして判断する。
【0058】
また、ステップS510のような抹消処理を行って、捕捉が途切れた追跡グループを削除している。すなわち、図13に示すように、B1の閾値範囲以内にB2よりも近いD(捕捉が途切れた追跡グループ)が存在すると、B1はDに移動したものと判断してしまう。この場合、実際は次のフレームでB3へ移動するが、DからB3は閾値範囲外であるため、捕捉できない状態となる。そこで、ステップS510のように抹消処理を行うことにより、このような事態を回避することができる。
【0059】
エリア判定工程S60では、予め管理エリア8を複数のエリアに分割して定義し、上記の移動判定工程S50を経た各グループの代表位置が、管理エリア8のどのエリアに位置するかを検出すると共に、そのグループが患者10の頭部を捕捉したものであるか否かを判定する。ここで、管理エリア8は、図14,15に示すように、ベッド7に横臥した患者10の頭部が位置する横臥エリア11と、ベッド7に座った患者10の頭部が位置する座位エリア12と、ベッド7の上に立った患者10の頭部が位置する立位エリア13とからなる内側警報エリアと、ベッド7の周囲を取り囲むように形成された離床エリア14からなる外側警報エリアに分割された状態で定義される。横臥エリア11は、患者10の足などを頭部と誤って認識しないように、ベッド7の枕側のみに形成されている。前記外側警報エリアよりも小さい範囲に内側警報エリアを設定し、この内側警報エリアの外周側に内側警報エリアと外側警報エリアとの間に配設される非警報エリア16を設けることができる。この非警報エリア16とは、内側警報エリアと外側警報エリアとの隙間であり、後述するエリア判定工程S60において判定対象となるエリア(横臥エリア11、座位エリア12、立位エリア13、離床エリア14)には属さないものである。これにより、患者以外の者(看護師や付添人等)がベッドに接近しても内側警報エリアに入ることなく、この非警報エリア16にて誤報を低減することができる。なお、非警報エリア16の範囲としては、設置環境等に応じて任意に設定することができる。
【0060】
このエリア判定工程S60は、図16に示す手順で実行される。同図に示すように、エリア判定工程S60では、まず、患者10を捕捉する前であるか否かを判断し(ステップS601)、捕捉前であれば、前回の反射波データにおいて既に追跡済みグループが存在するか否かを判断する(ステップS602)。存在しなければ離床動作判定工程S70へ進み、存在すれば患者体勢が閾値以上であるか否かを判断する(ステップS603)。これは、グルーピング工程にて同じグループにまとめられた三次元位置情報の数が閾値以上であれば人と判断するものである。患者等の人からの反射の場合は、頭だけでなく肩や背中からの反射も受けて三次元位置情報の数が大きい一方で、読書灯など静止物体の場合は三次元位置情報の数が小さいことを利用している。閾値未満であればステップS602へ戻り、閾値以上であれば次のグループの代表位置を取得して対象位置とする(ステップS604)。次に、その対象位置が管理エリア8のどのエリアに該当するかを検出する(ステップS605)。そして、その該当エリアが患者10の横臥エリア11であるか否かを判断する(ステップS606)。その結果、該当エリアが横臥エリア11に等しい場合には、対象位置としたグループを患者10とみなす(ステップS607)と共に、離床動作判定工程S70へ進む。また、ステップS606で該当エリアが横臥エリア11に等しくない場合は、ステップS602に戻り、ステップS606で該当エリアが患者10の横臥エリア11に等しくなるまで繰り返す。
【0061】
ステップS601において、患者10を捕捉済みであれば、患者とみなされた追跡済みグループの代表位置を取得して対象位置とする(ステップS608)。次に、その対象位置が管理エリア8のどのエリアに該当するかを検出する(ステップS609)。該当エリアが見つかったか否かを判断して(ステップS610)、見つからなかった場合は前回の追跡済みグループにける判定値(エリア判定に用いた値)をそのまま採用し(ステップS613)、離床動作判定工程S70へ進む。ステップS610で該当エリアが見つかった場合は、前回の追跡済みグループにおける判定値と同じであるか否かを判定し(ステップS611)、同じである場合は継続時間数を更新して(ステップS612)、離床動作判定工程に進む。また、ステップS611で、前回の追跡済みグループでの判定値と異なる場合は、判定値を更新して継続時間数を1として(ステップS614)、離床動作判定工程に進む。
【0062】
離床動作判定工程S70では、上記のエリア判定工程S60で患者10を示すグループが検知された後、その患者10を示すグループが警報エリアに予め定められた所定時間以上滞在しているか否かを判定する。警報エリアは、前記各エリア11、12、13、14に対してそれぞれ別々に設定することができ、本実施形態では、ベッドの長辺側の外側部に警報エリアを設定している。患者10が寝返りによって横臥エリア11に所定時間滞在する可能性もあるため、上記の移動判定工程S50で検知された患者10の三次元位置の時間的な変化が、横臥エリア11から座位エリア12に至った後、警報エリアに至り且つ所定時間以上滞在するように変化した場合に、患者10が離床動作を開始したと判定する。これにより、患者10の離床動作の開始を誤認することを防止できる。
【0063】
なお、離床の判定に際して、患者の体勢を把握して、患者が上半身を起こしただけでナースコールを発令するように設定ことができる(起き上がりモード)。また、患者がベッドの端に腰掛けてからベッドから離れたまでの間にナースコールを発令するように設定することができる(端座位モード)。
【0064】
報知工程S4では、上記の離床動作判定工程S60で患者10の離床動作の開始が判定された段階で報知信号を発し、ナースセンターの看護師等に患者10の離床動作の開始を報知する。具体的には、例えば、報知手段6をナースコールの信号系統に接続し、報知手段6から報知信号が出力された場合にナースコールが発令するようにする。その他に、報知信号を電波として発信し、その報知信号を特定の場所に設置された所定の端末或いは看護師等が所持する所定の端末(例えば携帯電話等)で受信するようにしてもよい。このような無線を利用して報知信号を発信する手法は、ナースコールがない一般家庭等において人体の離床動作の開始を報知する手段として有効となる。
【0065】
以上のように、本実施形態に係る離床予測装置1によれば、ベッド7上の患者10の三次元位置の横臥位置からの時間的な変化が検知されることから、ベッド7上での離床動作の開始を検知することができる。したがって、患者10がベッド7から足を下ろす前に、患者10の離床を未然に予測して早期に検知することが可能となる。しかも、患者10の頭部は、常時布団の外に出ているのが通例であり、患者10の頭部で反射した超音波信号が布団によって阻害されることはない。そのため、患者10の三次元位置の横臥位置からの時間的な変化を検知することで、患者10の離床動作の開始を正確に検知することができる。また、所定時間以上、移動の追跡ができないグループを以後の処理から外したり、移動平均処理を用いて反射波データから不要な信号を減衰させたり、さらにはベッド高を自動的に計測して設定値に反映させたりすることにより誤報を低減することができる。さらには、受信した超音波の受波角度に応じて離床の判定に必要な設定値を変更したり、ベッドの両外側に警報エリアを設定したりすることにより失報を低減することができる。
【0066】
また、他の実施形態として、図17に示すように、センサユニット9’を壁17に中間部材18を介して取り付けた離床予測装置がある。この離床予測装置は、上記のセンサユニット9を天井19に設置した離床予測装置の構成に、座標変換を行なう座標変換手段を加えることにより構成できる。なお、センサユニット9’を壁17に埋め込むなどして直接壁17に取り付けてもよい。壁17に対するセンサユニット9’の取り付けは、壁17に対して固定であってもよく、壁17に対して位置や角度を調節可能であってもよい。この場合も、前記外側警報エリアと壁17とで構成される範囲よりも小さい範囲に内側警報エリアを設定し、この内側警報エリアの外周側に、内側警報エリアと外側警報エリアとの間、及び内側警報エリアと壁17との間に配設される非警報エリア16を設けることができる。この非警報エリア16とは、内側警報エリアと外側警報エリアとの隙間、及び内側警報エリアと壁17との隙間であり、エリア判定工程S60において判定対象となるエリア(横臥エリア11、座位エリア12、立位エリア13、離床エリア14)には属さないものである。これにより、患者以外の者(看護師や付添人等)がベッドに接近しても内側警報エリアに入ることなく、この非警報エリア16にて誤報を低減することができる。なお、非警報エリア16の範囲としては、設置環境等に応じて任意に設定することができる。
【0067】
上記の座標変換について詳述する。例えば図17に示した壁設置型センサユニット9’用の座標軸が図18(A)に示すものとする。Z’軸は、壁設置型センサユニット9’における超音波を送受波する面に垂直な方向で、同図右下の向きである。Y’軸が壁設置型センサユニット9’における超音波を送受波する面且つ紙面に沿った方向で,同図右上の向きである。X’軸は、紙面に垂直な方向で紙面の裏から表への向きである。
【0068】
例えば図14に示した天井設置型センサユニット9用の座標軸が図18(B)に示すものとする。Z軸は、天井設置型センサユニット9における超音波を送受波する面に垂直な方向で、同図下の向きである。Y軸がセンサユニット9における超音波を送受波する面且つ紙面に沿った方向で、同図左の向きである。X軸は、紙面に垂直な方向で紙面の表から裏への向きである。
【0069】
図18(A)に示す座標軸を有する壁設置型センサユニット9’が図17に示すように壁17に設置されている場合を考える。この壁設置型センサユニット9’を使用した離床予測装置におけるエリアベッド7に対するエリア11〜15の設定範囲は上記実施形態と同じとする。この図15に示す部屋に、図18(B)に示す座標軸を有する天井設置型センサユニット9が、天井16に設置されていることを仮定する。この天井設置型センサユニット9を使用した離床予測装置におけるエリアベッド7に対するエリア11〜14の設定範囲も上記実施形態と同じとする。
【0070】
この部屋における任意の位置に対する壁設置型センサユニット9’の座標軸での座標値を、天井設置型センサユニット9の座標軸での座標になるような数学的な座標変換の式を作成する。この座標変換式を使用すれば、壁設置型センサユニット9’を使用した離床予測装置において、天井設置型センサユニット9を使用した離床予測装置におけるアルゴリズムが使用可能になる。すなわち、この座標変換式を用いた座標変換を行なう座標変換手段、座標変換工程をそれぞれ、天井設置型センサユニット9を使用した離床予測装置、離床予測方法に加えることにより、壁設置型センサユニット9’を使用した離床予測装置及び離床予測方法が容易に構成できる。
【0071】
壁設置型センサユニット9’は、天井設置型センサユニット9に比較して、設置作業及び設置場所の変更が容易であるため、壁設置型センサユニット9’を使用した離床予測装置及び離床予測方法は利便性、受容性が向上する。
【0072】
また、壁設置型センサユニット9’を、壁17ではなく、例えば三脚架のような台に取り付け、その台を移動可能に床に配置してもよい。この場合、更に設置作業及び設置場所の変更が容易であるため、壁設置型センサユニット9’を使用した離床予測装置及び離床予測方法は、更に利便性、受容性が向上する。なお、壁設置型センサユニット9’は、直接台に取り付けてもよく、中間部材を介して台に対して取り付けてもよい。また、台に対する壁設置型センサユニット9’の取り付けは、台に対して固定でもよく、台に対して位置や角度を調節可能であってもよい。また、壁設置型センサユニット9’を取り付ける台が伸縮自在な台や屈曲可能な台等であることにより、壁設置型センサユニット9’が床に対して位置や角度を調節可能であってもよい。
【0073】
なお、本発明は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施することができる。例えば、上記の実施形態では、患者10の離床動作を予測する場合について説明したが、老人ホームや一般家庭等における患者10以外の人に対しても同様に適用できる。
【0074】
また、上記の実施形態では、患者10の頭部位置のみを追跡検知する場合を説明したが、患者10の頭部位置に加え、患者の肩などの他の体部位置を同時に追跡検知することにより、患者10の離床動作の開始を判定するようにしてもよい。また、実施形態では、横臥エリア11は、患者10の足などを頭部と誤って認識しないようにベッド7の枕側のみに形成したが、ベッドの足側の端部にまで延ばすこともできる。
【0075】
S606の判定では、横臥エリアだけでなく、横臥エリアもしくは座位エリアと判定してもよい。これは、初期化処理工程で患者就寝の管理エリア8を反射波データ計測した場合、患者自身も静止物体と見なされ、横臥エリアでは検出しにくくなることの対策である。
【0076】
さらに、上記の実施形態では、一つのベッド7を含む管理エリア8を、一つのセンサユニット9(一組の送波器2と受波器3)で管理する場合について説明したが、複数のセンサユニット9を用いて管理するようにしてもよい。この場合、各センサユニット9から送信される超音波信号が、別のセンサユニット9から送信される超音波信号と干渉しないようにすることが好ましい。この対策としては、各センサユニット9から送信される超音波が干渉しないように所定の時間差を明けて各センサユニット9から順次超音波を送信することが挙げられる。別の対策としては、例えば、各センサユニット9から送信される超音波信号の波長を変え、受信した超音波信号をフィルタリング処理して各センサユニット9から送信された超音波信号の波長成分ごとに分離して計測することが挙げられる。また、一つのセンサユニット9で、複数のベッド7を含む管理エリア8を管理するようにしてもよい。この場合、管理エリア8を拡張するために、送波器2としては、無指向性の送波器を使用することが好ましい。
【0077】
また、ベッド7上(例えばベッド7の四隅)に、超音波信号を送信する送波器を別途取り付けて、センサユニット9に向かって所定のタイミングで超音波信号を送信することで、判定手段5にベッド7の位置を認識させるようにしてもよい。
【0078】
さらに、離床動作の予測は、手動に限らず、自動で開始するようにしてもよい。自動的に離床予測を開始する場合、例えば、別途赤外線センサを天井等の静止系に取り付ける。この赤外線センサによって、ベッド7上から患者10等の人体の発する特定波長の赤外線を検出する。赤外線が所定時間に亘って検出された場合に、赤外線センサから判定手段5に信号を出力することにより、離床検出を自動的に開始する。さらに、離床検出は、報知手段6が報知信号を発した段階で一旦終了するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の一実施形態に係る離床予測装置を示すブロック図である。
【図2】本実施形態に係る離床予測装置の取り付け態様を模式的に示す斜視図である。
【図3】(a)は本実施形態に係る離床予測装置に利用される受波器の一例を模式的に示す平面図であって、(b)は受波器の他の一例を模式的に示す平面図である。
【図4】本実施形態に係る離床予測装置による離床予測手順を示すフローチャートである。
【図5】ベッド高さのを自動検出を行うフローチャートである。
【図6】反射波データの一例を示すグラフである。
【図7】送信する超音波信号の波形の一例を模式的に示すグラフである。
【図8】図4の離床予測手順に含まれるグルーピング工程を示すフローチャートである。
【図9】グルーピング工程の処理結果を概念的に示す図である。
【図10】図4の離床予測手順に含まれる移動判定工程を示すフローチャートである。
【図11】移動判定工程の処理結果を概念的に示す図である。
【図12】移動判定工程の処理結果を概念的に示す図である。
【図13】移動判定工程の処理結果を概念的に示す図である。
【図14】ベッドの側面から見た管理エリアの分割態様を示す側面図である。
【図15】ベッドの正面から見た管理エリアの分割態様を示す側面図である。
【図16】図4の離床予測手順に含まれるエリア判定工程を示すフローチャートである。
【図17】本発明の別の実施形態に係る離床予測装置を示す図である。
【図18】離床予測装置の座標軸例を示す図で(A)は、壁設置型センサユニットを使用した場合、(B)が天井設置型センサユニットを使用した場合のものである。
【符号の説明】
【0080】
1 離床予測装置
2 送波器
3 受波器
4 位置演算手段
5 判定手段
6 報知手段
7 ベッド
8 管理エリア
9 センサユニット
10 患者
20 移動平均処理手段
21 抹消手段
22 初期化処理手段
S1 反射波データ取得工程
S2 位置演算工程
S3 判定工程
S4 報知工程
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静止系に取り付けられた状態で、ベッドを含む管理エリアに超音波信号を継続的に送信する送波器と、
静止系に取り付けられた状態で、前記管理エリア内で反射した前記超音波信号を受信する受波器と、
前記送波器から送信される前記超音波信号に対応して前記受波器で所定時間毎に取得される反射波データからベッド上の人体の頭部またはそれ以外の物体の三次元位置を時々刻々演算して、この三次元位置を複数の人体の頭部のグループ又は他の物体のグループに分類する位置演算手段と、
該位置演算手段の演算結果から人体の三次元位置の横臥位置からの時間的な変化を検知し、その検知結果に基づいてベッド上の人体が離床動作を開始したか否かを判定する判定手段と、
該判定手段によって人体の離床動作の開始が検知された場合に報知信号を発する報知手段とを備え、
前記判定手段は、所定時間以上、移動の追跡ができない頭部のグループを以後の処理から外す抹消手段を備えていることを特徴とする離床予測装置。
【請求項2】
前記位置演算手段は、移動平均処理を用いて反射波データから不要な信号を減衰させる移動平均処理手段を備えたことを特徴とする請求項1の離床予測装置。
【請求項3】
ベッド高さを自動検出して初期状態を設定する初期化処理手段を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2の離床予測装置。
【請求項4】
受信した超音波の受波角度に応じてベッド上の人体が離床動作を開始したか否かを判定するのに必要な設定値を変更することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項の離床予測装置。
【請求項5】
受波角度θに対して、前記設定値を(cosθ)4としたことを特徴とする請求項4の離床予測装置。
【請求項6】
ベッドの少なくとも長辺側の外側部に外側警報エリアを設定し、前記判定手段は、前記警報エリア内に人の頭部が所定時間以上滞在する場合に離床を判定することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項の離床予測装置。
【請求項7】
ベッドの上方位置に、前記外側警報エリアよりも小さい範囲の内側警報エリアを設定し、この内側警報エリアの外周側に内側警報エリアと外側警報エリアとの間に配設される非警報エリアを設けたことを特徴とする請求項6の離床予測装置。
【請求項8】
前記受波器は、複数の受波素子を配列したアレイセンサであることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の離床予測装置。
【請求項9】
静止系に取り付けられた送波器からベッドを含む管理エリアに超音波信号を継続的に送信すると共に、静止系に取り付けられた受波器により前記管理エリア内で反射した前記超音波信号を受信して、前記送波器から送信される前記超音波信号に対応した反射波データを所定時間毎に取得する反射波データ取得工程と、
該反射波データ取得工程で取得された反射波データからベッド上の人体の頭部または他の物体の三次元位置を時々刻々演算して、この三次元位置を複数の人体の頭部のグループ又は他の物体のグループに分類する位置演算工程と、
該位置演算工程の演算結果から人体の三次元位置の横臥位置からの時間的な変化を検知し、その検知結果に基づいてベッド上の人体が離床動作を開始したか否かを判定する判定工程と、
該判定工程により、人体の離床動作の開始が検知された場合に報知信号を発する報知工程とを含み、
前記判定工程は、所定時間以上、移動の追跡ができない頭部のグループを以後の処理から外す抹消処理を行うことを特徴とする離床予測方法。
【請求項10】
前記位置演算工程は、移動平均処理を用いて不要な信号を減衰させる移動平均処理工程を備えることを特徴とする請求項9の離床予測方法。
【請求項11】
ベッド高さを自動検出して初期状態を設定する初期化処理工程を備えることを特徴とする請求項9又は請求項10の離床予測装置。
【請求項12】
受信した超音波の受波角度に応じてベッド上の人体が離床動作を開始したか否かを判定するのに必要な設定値を変更することを特徴とする請求項9〜請求項11のいずれか1項の離床予測方法。
【請求項13】
受波角度θに対して、前記設定値を(cosθ)4とすることを特徴とする請求項12の離床予測装置。
【請求項1】
静止系に取り付けられた状態で、ベッドを含む管理エリアに超音波信号を継続的に送信する送波器と、
静止系に取り付けられた状態で、前記管理エリア内で反射した前記超音波信号を受信する受波器と、
前記送波器から送信される前記超音波信号に対応して前記受波器で所定時間毎に取得される反射波データからベッド上の人体の頭部またはそれ以外の物体の三次元位置を時々刻々演算して、この三次元位置を複数の人体の頭部のグループ又は他の物体のグループに分類する位置演算手段と、
該位置演算手段の演算結果から人体の三次元位置の横臥位置からの時間的な変化を検知し、その検知結果に基づいてベッド上の人体が離床動作を開始したか否かを判定する判定手段と、
該判定手段によって人体の離床動作の開始が検知された場合に報知信号を発する報知手段とを備え、
前記判定手段は、所定時間以上、移動の追跡ができない頭部のグループを以後の処理から外す抹消手段を備えていることを特徴とする離床予測装置。
【請求項2】
前記位置演算手段は、移動平均処理を用いて反射波データから不要な信号を減衰させる移動平均処理手段を備えたことを特徴とする請求項1の離床予測装置。
【請求項3】
ベッド高さを自動検出して初期状態を設定する初期化処理手段を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2の離床予測装置。
【請求項4】
受信した超音波の受波角度に応じてベッド上の人体が離床動作を開始したか否かを判定するのに必要な設定値を変更することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項の離床予測装置。
【請求項5】
受波角度θに対して、前記設定値を(cosθ)4としたことを特徴とする請求項4の離床予測装置。
【請求項6】
ベッドの少なくとも長辺側の外側部に外側警報エリアを設定し、前記判定手段は、前記警報エリア内に人の頭部が所定時間以上滞在する場合に離床を判定することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項の離床予測装置。
【請求項7】
ベッドの上方位置に、前記外側警報エリアよりも小さい範囲の内側警報エリアを設定し、この内側警報エリアの外周側に内側警報エリアと外側警報エリアとの間に配設される非警報エリアを設けたことを特徴とする請求項6の離床予測装置。
【請求項8】
前記受波器は、複数の受波素子を配列したアレイセンサであることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の離床予測装置。
【請求項9】
静止系に取り付けられた送波器からベッドを含む管理エリアに超音波信号を継続的に送信すると共に、静止系に取り付けられた受波器により前記管理エリア内で反射した前記超音波信号を受信して、前記送波器から送信される前記超音波信号に対応した反射波データを所定時間毎に取得する反射波データ取得工程と、
該反射波データ取得工程で取得された反射波データからベッド上の人体の頭部または他の物体の三次元位置を時々刻々演算して、この三次元位置を複数の人体の頭部のグループ又は他の物体のグループに分類する位置演算工程と、
該位置演算工程の演算結果から人体の三次元位置の横臥位置からの時間的な変化を検知し、その検知結果に基づいてベッド上の人体が離床動作を開始したか否かを判定する判定工程と、
該判定工程により、人体の離床動作の開始が検知された場合に報知信号を発する報知工程とを含み、
前記判定工程は、所定時間以上、移動の追跡ができない頭部のグループを以後の処理から外す抹消処理を行うことを特徴とする離床予測方法。
【請求項10】
前記位置演算工程は、移動平均処理を用いて不要な信号を減衰させる移動平均処理工程を備えることを特徴とする請求項9の離床予測方法。
【請求項11】
ベッド高さを自動検出して初期状態を設定する初期化処理工程を備えることを特徴とする請求項9又は請求項10の離床予測装置。
【請求項12】
受信した超音波の受波角度に応じてベッド上の人体が離床動作を開始したか否かを判定するのに必要な設定値を変更することを特徴とする請求項9〜請求項11のいずれか1項の離床予測方法。
【請求項13】
受波角度θに対して、前記設定値を(cosθ)4とすることを特徴とする請求項12の離床予測装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2009−268790(P2009−268790A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−123335(P2008−123335)
【出願日】平成20年5月9日(2008.5.9)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【出願人】(304030497)株式会社プロアシスト (22)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月9日(2008.5.9)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【出願人】(304030497)株式会社プロアシスト (22)
【Fターム(参考)】
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