説明

離床検知システム及び方法

【課題】介護が必要な者が寝台から離床しようとした場合に、そのことを的確に検知し表示するシステムの提供。
【解決手段】被介護者が寝台71から離床することを検知する被介護者離床検知システム1であって、該寝台71上の所定の範囲に存在する人体を検知する寝台人感センサと、寝台人感センサによる検知信号に基づいて、被介護者が寝台71上で起き上がっているか否かを判定し、その判定結果を表示する判定表示部と、判定表示部の作動又は停止の指令を受け付ける指令入力部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被介護者の離床を検知する離床検知システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
介護老人保健施設や介護老人福祉施設等において、介護サービスの利用者(以下、「被介護者」という)の寝台における状況を的確に把握することは、質の高い介護サービスを提供するために重要である。例えば、被介護者が寝台から立ち上がって、介護サービスを提供する者(以下、「介護担当者」という)の補助なしで出歩くと、転倒する等危険があり、また、寝台から立ち上がろうとしてずり落ちる危険もある。したがって、被介護者の状況をより的確に検知して、介護担当者に知らせる必要がある。
【0003】
これに対して、特許文献1には、寝台上や床上等での対象者(被介護者)の状態を検知する超音波レーダーによる検知信号を無線で送信することにより、配線等の煩わしさを解消することを可能とした異常検知通報装置が開示されている。しかし、この装置では、例えば介護担当者が被介護者に近づいた場合に、介護担当者と被介護者の識別が不可能である。
【特許文献1】特開2006−320517号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような課題に対して、被介護者が寝台から起き上がろうとした場合に、そのことを的確に検知して表示できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の発明は、被介護者が寝台上で起き上がったことを検知する被介護者離床検知システムであって、
前記寝台上の所定の範囲に存在する人体を検知する寝台人感センサと、
前記寝台人感センサによる検知信号に基づいて、被介護者が寝台上で起き上がっているか否かを判定し、その判定結果を表示する判定表示部と、
前記判定表示部の作動又は停止の指令を受け付ける指令入力部と、
を備えることを特徴とする離床検知システムである。
【0006】
第2の発明は、第1の発明に記載の離床検知システムであって、
各寝台に対応して設けられた検知装置と、各検知装置と通信可能な管理装置とにより構成され、
前記検知装置が前記寝台人感センサを備えると共に、前記寝台人感センサによる検知信号及び前記指令入力部に入力された指令を前記管理装置に送信する送信部とを備え、
前記管理装置が、前記判定表示部を備え、
前記判定表示部は、前記指令入力部に停止指令が入力された場合に、作動を停止することを特徴とする離床検知システムである。
【0007】
第3の発明は、第1の発明に記載の離床検知システムであって、
各寝台に対応して設けられた検知装置と、各検知装置と通信可能な管理装置とにより構成され、
前記検知装置が前記寝台人感センサを備えると共に、前記寝台人感センサによる検知信号を前記管理装置に送信する送信部とを備え、
前記管理装置が、前記判定表示部を備え、
前記送信部は、前記指令入力部に停止指令が入力された場合に、前記検知信号の送信を停止することを特徴とする離床検知システムである。
【0008】
第4の発明は、第1〜3の発明のうち何れかに記載の離床検知システムであって、
前記指令入力部は、押しボタンによって作動又は停止の指令を受付けることを特徴とする離床検知システムである。
【0009】
第5の発明は、第1〜3の発明の何れかに記載の離床検知システムであって、
前記指令入力部は、リモートコントローラからの信号によって停止又は作動の指令を受付けることを特徴とする離床検知システムである。
【0010】
第6の発明は、第1〜3の発明の何れかに記載の離床検知システムであって、
前記指令入力部は、ICタグリーダがICタグから受信した情報に基づいて停止又は作動の指令を受付けることを特徴とする離床検知システムである。
【0011】
第7の発明は、第1〜6の発明の何れかに記載の離床検知システムであって、
前記寝台人感センサは、前記寝台の面上の55cm以上65cm以下であって前記寝台の頭側からの距離が30cm以上150cm以下の範囲において人体の有無を検知することを特徴とする離床検知システムである。
【0012】
第8の発明は、第1〜7の発明の何れかに記載の離床検知システムであって、
前記判定表示部は、所定の期間において所定の回数以上、前記寝台人感センサで検知された被介護者を、重点被介護者として記憶する起床被介護者記憶部を備えることを特徴とする離床検知システムである。
【0013】
第9の発明は、第1〜8の発明の何れかに記載の離床検知システムであって、
前記寝台の左右側面からの距離が所定の範囲に存在する人体を検知する床上人感センサを備え、
前記判定表示部は、前記床上人感センサによる検知信号に基づいて、被介護者が前記寝台から離床、または転落したか否かを判定し、その判定結果を表示することを特徴とする離床検知システムである。
【0014】
第10の発明は、第9の発明に記載の離床検知システムであって、
前記床上人感センサは、前記寝台の左右側面からの距離が10cm以上50cm以下であって床面から床面上30cmまでの高さの範囲において人体の有無を検知することを特徴とする離床検知システムである。
【0015】
第11の発明は、第9又は10の発明に記載の離床検知システムであって、
前記判定表示部は、所定の期間において所定の回数以上、前記床上人感センサで検知された被介護者を、重点被介護者として記憶する転落被介護者記憶部を備えることを特徴とする離床検知システムである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、被介護者が寝台から起き上がろうとした場合に、そのことを的確に検知して表示することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は、本発明の一実施形態である離床検知システム1の使用状態を示す図である。同図に表されるように、離床検知システム1は、検知装置2と管理装置3を備え、検知装置2と管理装置3は通信回線47を介して通信可能となっている。
通信回線47は、施設内に設けられた有線あるいは無線のLANでもあってもよく、また、電気コンセント及び施設内配電線を利用したPLC(電力線搬送通信)によるものでもよい。通信回線47としてPLCを用いれば、通信配線を別途設置することが不要となり便利であるが、被介護者70がコンセントからプラグを引抜いたりするのを防止するために、引抜きロック式又はカバー付コンセントを用いることが望ましい。
検知装置2は、被介護者70の寝台71の近傍に設置され、管理装置3は、介護担当者等が勤務する管理室に設置される。なお、検知装置2は、介護施設や病院等の各寝台71に対応して設けられており、各検知装置2には固有の識別情報が割り当てられている。
【0018】
図2は、検知装置2と、これを支持するスタンド4の外観を示す斜視図である。同図に示す構成では、スタンド4は、台車42の端部近傍から例えば約70cm鉛直上方に延びたスタンド柱43を備えており、検知装置2はスタンド柱43の先端部に支持されている。スタンド柱43には、スタンド4を寝台71に固定するための固定金具44が取り付けられている。台車42を寝台71の下に滑り込ませた状態で、この固定金具44の先端を寝台71の頭部側のフレームに固定することで、検知装置2と寝台71との間の距離を一定に保つことができる。また、スタンド柱43には、検知装置2の傾き角姿勢を調節可能な角度調節金具45と、検知装置2の高さを調節可能な高さ調節金具46とが設けられている。
【0019】
図3は、離床検知システム1のブロック構成図である。同図に示すように、検知装置2は、寝台人感センサ21、床上人感センサ22、温度センサ23、集音マイク24、指令入力部25、状態表示部26、ビデオカメラ27、送信部28を備えている。また、管理装置3は、受信部30、判定部31、表示部32、スピーカ33、通知部34、体温報告部35、判定報告部36、識別情報記憶部37、起床被介護者記憶部38、転落被介護者記憶部39、映像記憶部40、及び、連絡先記憶部41を備える。
なお、管理装置3は、例えば、CPU、メモリ、外部記憶装置、通信インターフェース等を備えるコンピュータにより構成されており、上記各記憶部37〜41は、外部記憶装置上に構築され、また判定部31、通知部34、体温報告部35、判定報告部36は、CPUが外部記憶装置に記憶されたプログラムをメモリに読み出して実行することにより実現される。
【0020】
以下、先ず、検知装置2について説明する。
寝台人感センサ21は、超音波を発信し、その発信した超音波の反射を検出することで、寝台71上の所定の範囲に人体があるかどうかを検知する超音波センサである。すなわち、被介護者70が寝台71上で上体を起き上がらせると、被介護者70の頭部あるいは上体が寝台人感センサ21によって検知される。
【0021】
図4は、寝台人感センサ21が検知する範囲をハッチングを付した領域55によって示す側面図であり、図5は同範囲をハッチングを付した領域56によって示す平面図である。図4及び図5に示すように、寝台人感センサ21は、被介護者が寝台71上で起き上がった場合にその上体を検知し、寝台71上で横になっている状態では、例えば寝返りを打った場合にも検知しないような高さの範囲を検知するように設定されている。例えば、被介護者70が身長約165cmであれば、寝台71の面上の60cm以上70cm以下であって寝台71の頭側からの距離が30cm以上150cm以下の範囲を検知するように設定される。なお、寝台人感センサ21が検知する範囲は、角度調節金具45と高さ調節金具46を調節することで、被介護者70の体型に合わせて調整することができる。
【0022】
床上人感センサ22は、超音波を発信し、その発信した超音波の反射を検出することで、寝台71横の床面上の所定の範囲に人体があるかどうかを検知する超音波センサである。すなわち、被介護者70が寝台71から離床、または転落した場合、床上人感センサ22によって、転落した被介護者70が検知される。
【0023】
図6は、床上人感センサ22が検知する範囲をハッチングを付した領域57によって示す側面図であり、図7は同範囲をハッチングを付した領域58によって示す平面図である。図6及び図7に示すように、床上人感センサ22は、寝台71の左右側面からの距離が所定範囲(例えば10cm以上50cm以下)であって、かつ、床面から床面上の所定高さ(例えば30cm)までの範囲において人体の有無を検知する。
なお、上記の寝台人感センサ21及び床上人感センサ22は、超音波センサに限らず、人体から放射される赤外線を検知する赤外線センサ等、人体を検知できるものであればよい。
温度センサ23は、被介護者70から放射される赤外線を検出することにより、被介護者70の体温を検知するセンサである。
【0024】
集音マイク24は、被介護者70の寝室内の音を検知するマイクである。例えば、被介護者70が、寝台71から転落した場合や、容態が悪化した場合に、助けを求める声や呻き声をあげることが多いが、集音マイク24により、このような異常事態に発せられる音声を検知することができる。
【0025】
指令入力部25は、例えば検知装置2に設けられた押しボタンにより構成され、管理装置3の判定部31による判定処理の停止・作動の指令入力を受け付ける。例えば、押しボタンを押すたびに、判定部31による判定処理の実行状態と停止状態が切り替わるようにしてもよいし、停止指令入力用のボタンと、作動指令入力用のボタンとを別個に設けてもよい。指令入力部25から停止指令が入力されると、寝台人感センサ21及び床上人感センサ22の検知信号に基づいて判定部31が行う判定処理(詳細は後述する)が停止され、作動指令が入力されると上記判定処理が開始される。これにより、介護担当者や見舞い客等が被介護者70に近づいた場合に、この介護担当者等を被介護者の動作として判定してしまうのを防止できるようになっている。
【0026】
なお、指令入力部25は、リモートコントローラによる入力であってもよい。すなわち、介護担当者はリモートコントローラを携帯し、介護などのために被介護者70に近づくときに、リモートコントローラによって停止指令を入力し、介護が終了し被介護者70から離れるときは作動指令を入力するようにしてもよい。
【0027】
また、指令入力部25は、被介護者70のいる部屋の出入口付近に設置され、検知装置2に通信可能に接続されたICタグリーダであってもよい。介護担当者や見舞い客は、固有の識別情報が格納されたICタグを携帯し、介護担当者等が被介護者70のいる部屋に入退室するときにICタグリーダはICタグから発信された上記識別情報を含む信号を受信することにより、停止指令あるいは作動指令を受付ける。すなわち、ある識別情報を含む信号を最初に受信したときには、その識別情報に該当する介護担当者等が入室したと判断でき、二度目に同じ識別情報を含む信号を受信したときには、該当する介護担当者等が退室したと判断できる。このようにして、ICタグリーダがICタグから受信した信号に基づいて検知される人の出入りによって、室内に存在する介護担当者や見舞い客等の人数を把握できる。そして、一人でも介護担当者や見舞い客等が在室している場合に停止指令が入力され、介護担当者や見舞い客等が一人も在室していない場合には作動指令が入力されたとみなすことで、指令入力部25を構成することができる。
【0028】
状態表示部26は、離床検知システム1が、現時点において、指令入力部25が入力を受付けた停止指令により判定部31の作動を停止している状態であるか、判定部31が作動している状態であるかを表示する。
ビデオカメラ27は、寝台71上の被介護者70を撮影する。
送信部28は、寝台人感センサ21、床上人感センサ22、温度センサ23、及び集音マイク24の検知信号と指令入力部25に入力された停止・作動指令を、当該検知装置2に割り当てられた識別情報と共に、通信回線47を介して管理装置3に送信する。
【0029】
次に、管理装置3について説明する。
図8に、管理装置3の正面外観の一例を示す。同図に示す例では、管理装置3の正面パネルに液晶ディスプレイ等の表示部32及びスピーカ33を設けている。なお、以下の説明では、異常判定時の表示を表示部32で行い、異常警告音の出力をスピーカ33から行うものとしているが、これに限らず、ランプやブザーをそれぞれ表示部32及びスピーカ33とは別に設けてもよい。
再び図3を参照して説明すると、受信部30は、通信回線47を介して送信部28から送信された情報を受信する。
【0030】
判定部31は、受信部30が受信した情報に基づいて、被介護者70の状態を判定する。具体的には、指令入力部25へ作動指令が入力されている場合に、寝台人感センサ21が寝台71上において人体を検知したときは、被介護者70が寝台71の上で起き上がったと判定する。
また、判定部31は、指令入力部25へ作動指令が入力されている場合に、寝台人感センサ21が寝台71上の所定の範囲において人体の存在を検知せず、かつ床上人感センサ22が寝台71横の床上において人体を検知したときは、被介護者70が寝台71から転落したと判定する。
さらに、判定部31は、温度センサ23が検知した被介護者70の体温が、平熱(例えば、35.0℃〜36.0℃)の範囲外である場合は、被介護者70に異常があると判定する。
【0031】
表示部32は、判定部31が被介護者70が所定の状態(寝台71上で起き上がった状態、寝台71から転落した状態、その他、何らかの異常が生じた状態)であると判定した場合に、判定部31が識別情報記憶部37を参照して特定した該当する被介護者70の識別情報(氏名等)とともにその異常状態を表示する。すなわち、識別情報記憶部37には、各検知装置2の識別情報と、検知装置2が設置された寝台の被介護者70の識別情報(例えば、部屋番号と、氏名あるいは被介護者番号)との対応関係が記憶されており、判定部31は、検知装置2から送信される検知装置2の識別情報に基づき、上記対応関係を参照して異常が判定された被介護者70を特定する。そして、図9に示すように、被介護者70の識別情報と、異常状態とを表示する。図9に示す表示例では、A号室のBさんが寝台71の上で起き上がったことが表示されている。
【0032】
また、表示部32は、温度センサ23が検知した被介護者70の体温を表示し、ビデオカメラ27が撮影した被介護者70の映像を表示する。さらに、映像記憶部40は、ビデオカメラ27が撮影した被介護者70の映像情報を記憶し、表示部32は、判定部31が異常を判定した場合は、映像記憶部40に記憶されている映像情報に基づいて判定時の所定の時間(例えば、30秒)前から判定時までの被介護者70の映像を表示する。これらの場合についても、上記のように、検知装置2から送信される検知装置2の識別情報に基づいて、被介護者を特定し、被介護者の識別情報と共に、体温や映像を表示する。また、管理装置3に監視対象となる被介護者を指定するための入力部を設け、指定された被介護者の情報が表示されるようにしてもよいし、各被介護者を順次切り替えて情報が表示されるようにしてもよい。
【0033】
スピーカ33は、集音マイク24が検知した音を出力する。例えば、被介護者70が介護担当者を呼ぶ声や、助けを求める声等をあげると、スピーカ33から出力される。
【0034】
通知部34は、判定部31において被介護者70が所定の状態(寝台71上で起き上がった状態、寝台71から転落した状態、その他、何らかの異常が生じた状態)であると判定した場合に、その状態を被介護者70の介護担当者の携帯する端末に通知する。また、通知部34は、被介護者70の体温に異常があると判定部31が判定した場合、介護担当者の携帯する端末にその旨を通知する。なお、温度センサ23が検知した被介護者70の体温については、常時、介護担当者の携帯端末に通知してもよい。
【0035】
なお、被介護者の転倒音、うめき声、助けを求める声等を記憶した音声記憶部(不図示)を設けておき、判定部31は、集音マイク24が検出する音情報が、この音声記憶部に記憶された音情報と一致する場合に、被介護者に異常が発生したと判定することとしてもよい。また、集音マイク24で一定期間以上、音が検知されない無音状態が継続した場合に、被介護者に何らかの異常が生じていると判定してもよい。
【0036】
体温報告部35は、温度センサ23が検知した被介護者の体温等の受信部30が受信した体温情報を、親族等予め登録された所定の宛先に送信する。また、判定報告部36は、判定部31が判定した結果や、体温情報等を、親族等予め登録された所定の宛先に送信する。すなわち、連絡先記憶部41には、各被介護者の識別情報と、被介護者についての連絡先(例えば、家族や親族)のメールアドレスとが対応付けて記憶されており、体温報告部35及び判定報告部36は、この連絡先記憶部41を参照して取得したメールアドレス宛に上記判定結果や体温情報等を送信する。
【0037】
起床被介護者記憶部38は、所定の期間(例えば、1日)において所定の回数(例えば、10回)以上、寝台人感センサ21により起き上がったことが検知された被介護者を、要注意の重点被介護者として記憶する。また、転落被介護者記憶部39は、所定の期間(例えば、1ヶ月)において所定の回数(例えば、5回)以上、床上人感センサ22により寝台71から離床動作、または転落したことが検知された被介護者を、要注意の重点被介護者として記憶する。介護担当者は、起床被介護者記憶部38及び転落被介護者記憶部39に記憶された被介護者を参照することにより、重点的に介護をすべき被介護者を特定することができる。
映像記憶部40は、検知装置2から送信された、ビデオカメラ27による撮影映像情報を記憶する。
【0038】
図10〜図11は、検知装置2の別の構成例を示す。
図10は、壁掛け一体型の検知装置2を示すものである。同図に示すように、検知装置2は調節ワイヤ51によって壁の突起に掛けることができ、調節ワイヤ51の長さを調節することで検知装置2の設置位置を調節することができる。なお、壁掛け一体型の検知装置2の表面パネルを絵画や写真等で装飾して外観をインテリアパネルとし、癒し効果をえることもできる。
【0039】
図11は、壁掛け分割型の検知装置2を示すものである。同図に示すように、検知装置2は、寝台人感センサ21、温度センサ23、集音マイク24、指令入力部25、ビデオカメラ27を備える壁掛部101と、送信部28(図11には図示せず)を収容する床置部102によって構成され、壁掛部101と床置部102は制御配線48によって接続されている。壁掛部101は、調節ワイヤ51によって壁の突起に掛けることができ、調節ワイヤ51の長さを調節することで検知装置2の位置を調節することができる。また、床置部102は、壁掛部101の真下付近の床上、または壁掛けとして設置される。なお、壁掛部101の表面パネルを絵画や写真等で装飾して、癒し効果を演出してもよい。
【0040】
以上、説明した本実施形態の離床検知システム1によれば、以下の効果が得られる。
(1)被介護者70が寝台71上で起き上がろうとした場合や寝台71から離床の気配、または転落した場合に、管理装置3の表示部32にその旨を表示することで的確に介護担当者に知らせることができる。また、指令入力部25によって判定部31による判定処理を停止させることができるので、介護担当者や見舞い客等が被介護者70に近づいた場合に、判定部31が介護担当者等に反応して、介護担当者等を被介護者70として判定してしまうのを防止することができる。
【0041】
(2)集音マイク24によって検知された被介護者70の音声が管理装置3のスピーカ33から出力され、温度センサ23が検知した被介護者70の体温も管理装置3に表示されるので、介護担当者は、管理室に居ながら、被介護者70の状態を把握することができる。
【0042】
(3)判定部31が被介護者70の寝台71からの転落等の異常を判定した場合、その判定時から所定時間遡ったときからの映像を表示部32に表示することにより、被介護者70が転落等したときの状況を確認することができる。
【0043】
(4)介護担当者が管理装置3の設置された管理室にいない場合であっても、通知部34により介護担当者の携帯端末に通知することで、被介護者70の状況を把握することができる。
【0044】
(5)離床検知システム1は、角度調節金具45と高さ調節金具46を調節することにより、体型が異なる被介護者に合わせて調節することができる。また、角度調節金具45と高さ調節金具46を調節することにより、大きさも異なる寝台71であっても利用することができる。
【0045】
(6)離床検知システム1によれば、頻繁に寝台71上で起き上がったり寝台71から離床、または転落したりする被介護者70を起床被介護者記憶部38及び転落被介護者記憶部39において記憶することで、介護担当者は、重点的に介護しなければならない被介護者70を特定することができる。
【0046】
(7)離床検知システム1は、判定部31の判定内容や介護担当者が通知部34から受ける通知の内容について、被介護者70の親族等に対しても被介護者70の状況を逐一報告することができる。
【0047】
(8)離床検知システム1に壁掛け型(図10、図11に図示)の検知装置2を用いた場合、検知装置2の表面パネルに絵画や写真等で装飾することにより、検知装置2が検知するための装置であることを被介護者70に認識させず、又は認識できてもそのことを忘れさせ、もって被介護者を監視されることによるストレスから解放することができる。
【0048】
(9)通信回線47としてPLCを用いた場合は、既存の施設内配電線網を利用できるので、離床検知システム1を簡易に設置することができる。さらに、被介護者70がプラグを引抜いても安全なように感電防止器具を設けていれば感電事故等の心配もない。
なお、上記実施形態では、指令入力部25に停止指令が入力された場合に、その指令を管理装置3へ送信し、これを受けて判定部31が判定処理を停止するものとしたが、これに限らず、判定部31による判定処理は常時実行し、表示部32への判定結果の表示のみを停止させることとしてもよい。あるいは、指令入力部25に停止指令が入力された場合に、検知装置2から管理装置3への、寝台人感センサ21及び床上人感センサ22の検出信号の送信を停止するようにしてもよい。
また、以上の実施形態の説明は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施形態である離床検知システム1の使用状態を表す図である。
【図2】スタンド型の検知装置2を示すものである。
【図3】離床検知システム1のブロック構成を示す図である。
【図4】寝台人感センサ21が検知する範囲を曲線55によって示す側面図である。
【図5】寝台人感センサ21が検知する範囲を曲線56によって示す平面図である。
【図6】床上人感センサ22が検知する範囲を曲線57によって示す側面図である。
【図7】床上人感センサ22が検知する範囲を曲線58によって示す平面図である。
【図8】管理装置3の正面外観の一例を示す図である。
【図9】被介護者が寝台71からの離床を管理装置3が表示することを示す図である。
【図10】壁掛け一体型の検知装置2を示す図である。
【図11】壁掛け分割型の検知装置2を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
1 離床検知システム 2 検知装置
3 管理装置 4 スタンド
21 寝台人感センサ 22 床上人感センサ
23 温度センサ 24 集音マイク
25 指令入力部 26 状態表示部
27 ビデオカメラ 28 送信部
30 受信部 31 判定部
32 表示部 33 スピーカ
34 通知部 35 体温報告部
36 判定報告部 37 識別情報記憶部
38 起床被介護者記憶部 39 転落被介護者記憶部
40 映像記憶部 41 連絡先記憶部
42 台車 43 スタンド柱
44 固定金具 45 角度調節金具
46 高さ調節金具 47 通信回線
51 調節ワイヤ 70 被介護者
71 寝台 48 制御回線
101 壁掛部 102 床置部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被介護者が寝台上で起き上がったことを検知する被介護者離床検知システムであって、
前記寝台上の所定の範囲に存在する人体を検知する寝台人感センサと、
前記寝台人感センサによる検知信号に基づいて、被介護者が寝台上で起き上がっているか否かを判定し、その判定結果を表示する判定表示部と、
前記判定表示部の作動又は停止の指令を受け付ける指令入力部と、
を備えることを特徴とする離床検知システム。
【請求項2】
請求項1に記載の離床検知システムであって、
各寝台に対応して設けられた検知装置と、各検知装置と通信可能な管理装置とにより構成され、
前記検知装置が前記寝台人感センサを備えると共に、前記寝台人感センサによる検知信号及び前記指令入力部に入力された指令を前記管理装置に送信する送信部とを備え、
前記管理装置が、前記判定表示部を備え、
前記判定表示部は、前記指令入力部に停止指令が入力された場合に、作動を停止することを特徴とする離床検知システム。
【請求項3】
請求項1に記載の離床検知システムであって、
各寝台に対応して設けられた検知装置と、各検知装置と通信可能な管理装置とにより構成され、
前記検知装置は、前記寝台人感センサを備えると共に、前記寝台人感センサによる検知信号を前記管理装置に送信する送信部とを備え、
前記管理装置が、前記判定表示部を備え、
前記送信部は、前記指令入力部に停止指令が入力された場合に、前記検知信号の送信を停止することを特徴とする離床検知システム。
【請求項4】
請求項1〜3のうち何れかに記載の離床検知システムであって、
前記指令入力部は、押しボタンによって作動又は停止の指令を受付けることを特徴とする離床検知システム。
【請求項5】
請求項1〜3の何れかに記載の離床検知システムであって、
前記指令入力部は、リモートコントローラからの信号によって停止又は作動の指令を受付けることを特徴とする離床検知システム。
【請求項6】
請求項1〜3の何れかに記載の離床検知システムであって、
前記指令入力部は、ICタグリーダがICタグから受信した情報に基づいて停止又は作動の指令を受付けることを特徴とする離床検知システム。
【請求項7】
請求項1〜6の何れかに記載の離床検知システムであって、
前記寝台人感センサは、前記寝台の面上の55cm以上65cm以下であって前記寝台の頭側からの距離が30cm以上150cm以下の範囲において人体の有無を検知することを特徴とする離床検知システム。
【請求項8】
請求項1〜7の何れかに記載の離床検知システムであって、
前記判定表示部は、所定の期間において所定の回数以上、前記寝台人感センサで検知された被介護者を、重点被介護者として記憶する起床被介護者記憶部を備えることを特徴とする離床検知システム。
【請求項9】
請求項1〜8の何れかに記載の離床検知システムであって、
前記寝台の左右側面からの距離が所定の範囲に存在する人体を検知する床上人感センサを備え、
前記判定表示部は、前記床上人感センサによる検知信号に基づいて、被介護者が前記寝台から離床、または転落したか否かを判定し、その判定結果を表示することを特徴とする離床検知システム。
【請求項10】
請求項9に記載の離床検知システムであって、
前記床上人感センサは、前記寝台の左右側面からの距離が10cm以上50cm以下であって床面から床面上30cmまでの高さの範囲において人体の有無を検知することを特徴とする離床検知システム。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の離床検知システムであって、
前記判定表示部は、所定の期間において所定の回数以上、前記床上人感センサで検知された被介護者を、重点被介護者として記憶する転落被介護者記憶部を備えることを特徴とする離床検知システム。
【請求項12】
被介護者が寝台上で起き上がったことを検知する被介護者離床検知方法であって、
コンピュータが、
前記寝台上の所定の範囲における人体の存否についての検知結果を取得するステップと、
前記検知した信号に基づいて、被介護者が寝台上で起き上がっているか否かを判定し、その判定結果を判定表示部において表示するステップと、
前記判定表示部の作動又は停止の指令情報を受け付けるステップと、
を含むことを特徴とする離床検知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−282219(P2008−282219A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−125811(P2007−125811)
【出願日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(591080678)株式会社中電工 (64)
【Fターム(参考)】