説明

難保形性食用油脂製品の供給装置及び供給方法

【課題】板状の難保形性食用油脂製品がベルトコンベアを介して、包装機に位置精度よく連続的に移載する難保形性食用油脂製品の供給装置や供給方法を提供する。
【解決手段】難保形性食用油脂製品3を当該複数のベルトコンベア装置4、5、6によって、前記包装機に供給する供給装置であって、切断機によって切断されていて、前記ベルトコンベア装置4、5によって搬送されてきた前記難保形性食用油脂製品の位置調整が行われる位置調整用のベルトコンベア装置6が前記包装機の直前に配備されていると共に、当該位置調整用のベルトコンベア装置6によって、前記包装機7の方向に向けて搬送される前記難保形性食用油脂製品3を、前記包装機7に搭載されている包装シート上に、所定の向き及び位置と、所定の間隔で供給する、移載位置補正機構が当該位置調整用のベルトコンベア装置6に付設されている難保形性食用油脂製品の供給装置と供給方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バター、マーガリンなどのように、常温での保形性に難のある食用油脂製品、すなわち、難保形性食用油脂製品の供給装置と供給方法に係るものであり、特にこれらの製品の保形性を維持しながら、かつ位置精度よく包装機に連続供給できる供給装置と供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食品などの製品の搬送装置の一つにベルトコンベアが従来から知られている。ベルトコンベアは設置も容易であり、相対的に安価であることから、種々の製品の製造工程で多岐に亘って用いられている。
【0003】
特許文献1は、可塑性油脂の供給方法及び装置に関するものであり、バター、マーガリン等の可塑性油脂をシリンダー内に供給するのにベルトコンベアを用いている。
【0004】
また、特許文献2は、スライスチーズの製造方法及び装置に関するものであり、スライスチーズの製造工程においてベルトコンベアを用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4−370082号公報
【特許文献2】特開平5−336883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記のように、食品などの種々の製品の大量生産において、その製造工程(ライン)にベルトコンベアを用いることは既に知られており、保形性に難のある食用油脂製品であるバター、マーガリン等の製造工程にもベルトコンベアは使用されている。
【0007】
ここで、ベルトコンベアを用いた製造工程では、そのベルトの延びや蛇行が発生したり、製品がベルトコンベア間を乗り移る際の製品の引っ掛かりなどが発生することがある。これは、製品がベルトコンベアを介して包装機に供給される時の製品の位置ずれや、製品包装の仕上がりを悪化させ、包装不良に直結する問題になる。
【0008】
前記の位置ずれの現象は、バター、マーガリンなどの板状の食用油脂製品(難保形性食用油脂製品)の製造工程でも起こり得る。
【0009】
例えば、図3を用いて、位置ずれが発生する一例を説明すると、図3(a)では、バターのような難保形性食用油脂製品3がベルトコンベア装置1からベルトコンベア装置2へ乗り移る際に、本来であれば、破線13aの位置に移載されなければならないところ、実線13bのように、難保形性食用油脂製品3の「向きのずれ」が発生している。
【0010】
また、図3(b)では、本来であれば、破線13cの位置に難保形性食用油脂製品3が移載されなければならないところ、実線13dのように、難保形性食用油脂製品3の位置ずれによる「遅れ(前後の位置ずれ)」が発生している。
【0011】
図3(c)では、本来であれば、破線13fの位置に難保形性食用油脂製品3が移載されなければならないところ、実線13eのように、進行方向に対する難保形性食用油脂製品3の「左右の位置ずれ」が発生している。
【0012】
前記のような現象に加え、バター、マーガリンなどの板状の難保形性食用油脂製品を搬送すると、短時間でベルトコンベアのベルト表面に前記油脂製品の薄膜が付着し、その粘着性によって搬送条件が変化し、安定稼働を阻害する懸念もある。
【0013】
一方、バター、マーガリンなどの板状の難保形性食用油脂製品を包装機へ供給する場合には、概ね誤差で1mm以内の高い位置精度が必要である。この精度を、従来のベルトコンベアを用いた製造装置で達成することは容易ではなかった。
【0014】
そこで、本願発明は、バター、マーガリンなどのように、15℃程度の常温で保形性に難のある難保形性食用油脂製品、特に、板状の難保形性食用油脂製品がベルトコンベアを介して包装機に供給される時の位置ずれ、例えば、向きのずれ、遅れ、左右の位置ずれを、自動で補正し、かつ当該板状の難保形性食用油脂製品の形状を崩すことなく、包装機に位置精度よく連続的に移載する難保形性食用油脂製品の供給装置及び供給方法を提供することを目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1記載の発明は
複数のベルトコンベア装置が包装機に向かう搬送方向に連続して配置され、難保形性食用油脂製品を当該複数のベルトコンベア装置によって前記包装機に供給する供給装置であって、
切断機によって切断されていて前記ベルトコンベア装置によって搬送されてきた前記難保形性食用油脂製品の位置調整が行われる位置調整用のベルトコンベア装置が前記包装機の直前に配備されていると共に、
当該位置調整用のベルトコンベア装置によって前記包装機の方向に向けて搬送される前記難保形性食用油脂製品を、前記包装機に搭載されている包装シート上に、所定の向き及び位置と、所定の間隔で供給する、移載位置補正機構が当該位置調整用のベルトコンベア装置に付設されている
ことを特徴とする難保形性食用油脂製品の供給装置
である。
【0016】
請求項2記載の発明は、
前記移載位置補正機構は、
前記位置調整用のベルトコンベア装置の上の前記難保形性食用油脂製品を前記搬送方向に直交する方向から挟み込み、前記包装機が配備されている方向に所定の速度で移動し、前記包装機に搭載されている包装シート上に前記難保形性食用油脂製品を供給する一対の保持具
からなることを特徴とする請求項1記載の難保形性食用油脂製品の供給装置
である。
【0017】
請求項3記載の発明は、
前記一対の保持具は、それぞれ、
前記搬送方向に直交する方向から前記位置調整用のベルトコンベア装置の上の前記難保形性食用油脂製品の側に向かって伸びる後方支持片と、
当該後方支持片の前記難保形性食用油脂製品から離れている側の端縁から当該後方支持片に直交して前記包装機が配置されている方向に向かって伸びる側面支持片と
を備えているL型保持具である
ことを特徴とする請求項2記載の難保形性食用油脂製品の供給装置
である。
【0018】
請求項4記載の発明は、
前記一対の保持具は、前記包装機が配備されている方向に移動する所定の速度が少なくとも、前記包装機に接近したときに、前記位置調整用のベルトコンベア装置が前記包装機の方向に移動する速度より大きくなる
ことを特徴とする請求項2又は3記載の難保形性食用油脂製品の供給装置
である。
【0019】
請求項5記載の発明は、
前記位置調整用のベルトコンベア装置の前記難保形性食用油脂製品が搭載されるベルトの表面を加熱及び/又は冷却する装置が前記位置調整用のベルトコンベア装置に配備されている
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項記載の難保形性食用油脂製品の供給装置
である。
【0020】
請求項6記載の発明は、
前記位置調整用のベルトコンベア装置の前記難保形性食用油脂製品が搭載されるベルトの表面に流体又は粉体を噴霧する装置が前記位置調整用のベルトコンベア装置に付設されている
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項記載の難保形性食用油脂製品の供給装置
である。
【0021】
請求項7記載の発明は、
複数のベルトコンベア装置が包装機に向かう搬送方向に連続して配置され、難保形性食用油脂製品を当該複数のベルトコンベア装置によって前記包装機に供給する供給方法であって、
切断機によって切断されていて前記ベルトコンベア装置によって搬送されてきた前記難保形性食用油脂製品の位置調整が行われる位置調整用のベルトコンベア装置が前記包装機の直前に配備されていて、
当該位置調整用のベルトコンベア装置に付設されている移載位置補正機構によって、当該位置調整用のベルトコンベア装置によって前記包装機の方向に向けて搬送される前記難保形性食用油脂製品が、前記包装機に搭載されている包装シート上に、所定の向き及び位置と、所定の間隔で供給される
ことを特徴とする難保形性食用油脂製品の供給方法
である。
【0022】
請求項8記載の発明は、
前記移載位置補正機構は一対の保持具からなり、当該一対の保持具が、
前記位置調整用のベルトコンベア装置の上の前記難保形性食用油脂製品を前記搬送方向に直交する方向から挟み込み、前記包装機が配備されている方向に所定の速度で移動し、前記包装機に搭載されている包装シート上に前記難保形性食用油脂製品を供給する
ことを特徴とする請求項7記載の難保形性食用油脂製品の供給方法
である。
【0023】
請求項9記載の発明は、
前記一対の保持具は、それぞれ、
前記搬送方向に直交する方向から前記位置調整用のベルトコンベア装置の上の前記難保形性食用油脂製品の側に向かって伸びる後方支持片と、
当該後方支持片の前記難保形性食用油脂製品から離れている側の端縁から当該後方支持片に直交して前記包装機が配置されている方向に向かって伸びる側面支持片と
を備えているL型保持具である
ことを特徴とする請求項8記載の難保形性食用油脂製品の供給方法
である。
【0024】
請求項10記載の発明は、
前記一対の保持具は、前記包装機が配備されている方向に移動する所定の速度が少なくとも、前記包装機に接近したときに、前記位置調整用のベルトコンベア装置が前記包装機の方向に移動する速度より大きくなる
ことを特徴とする請求項8又は9記載の難保形性食用油脂製品の供給方法
である。
【0025】
請求項11記載の発明は、
前記位置調整用のベルトコンベア装置の前記難保形性食用油脂製品が搭載されるベルトの表面が加熱又は冷却される
ことを特徴とする請求項7乃至10のいずれか一項記載の難保形性食用油脂製品の供給方法
である。
【0026】
請求項12記載の発明は、
前記位置調整用のベルトコンベア装置の前記難保形性食用油脂製品が搭載されるベルトの表面に流体又は粉体が噴霧された後に、前記難保形性食用油脂製品が前記ベルト上に搭載される
ことを特徴とする請求項7乃至11のいずれか一項記載の難保形性食用油脂製品の供給方法
である。
【発明の効果】
【0027】
この発明によれば、バター、マーガリンなどの常温での保形性に難のある難保形性食用油脂製品、特に、板状の難保形性食用油脂製品がベルトコンベアを介して包装機に供給される時の位置ずれ、例えば、向きのずれ、遅れ、左右の位置ずれを、自動で補正し、かつ当該板状の難保形性食用油脂製品の形状を崩すことなく、包装機に位置精度よく連続移載する難保形性食用油脂製品の供給装置及び供給方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る供給装置を用いて、難保形性食用油脂製品がベルトコンベアを介して包装機に供給される状態を説明する概略平面図。
【図2】(a)、(b)、(c)、(d)は、本発明に係る供給装置が備えている移載位置補正機構による難保形性食用油脂製品の位置補正工程を説明するフロー図。
【図3】従来のベルトコンベアを用いて、難保形性食用油脂製品の搬送する場合を説明する概略平面図であって、(a)製品の向きのずれを示す図、(b)製品の遅れを示す図、(c)製品の進行方向に対する左右のずれを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態について説明する。
【0030】
図1は、本発明に係る供給装置を用いて、難保形性食用油脂製品がベルトコンベアを介して包装機に供給される状態を説明する概略平面図である。
【0031】
複数のベルトコンベア装置4、5、6が包装機7に向かう搬送方向(矢印8で示す方向)に連続して配置されている。難保形性食用油脂製品、例えば、板状のバター3a、3b、3cが、これらの複数のベルトコンベア装置4、5、6によって包装機7に供給される。なお、本明細書において、板状のバター3a、3b、3cを総称して「バター3」と表すことがある。
【0032】
ベルトコンベア装置4において、矢印8で示す搬送方向に搬送されている際に、不図示の切断機によって搬送対象である板状のバターは、バター3a、3b、3cのように切断される。図中で、バター3a、3b、3cの表面に、それぞれ十字状に形成されている線は、バター3aを使用する消費者が、この線を目印にして分量や容量や重量を把握しながら、切断、折り曲げなどする為の目印として入れているものである。
【0033】
バターの搬送方向に対し、ベルトコンベア装置4に続くベルトコンベア装置5の搬送速度は、ベルトコンベア装置4の搬送速度より少し速く設定されている。これによって、ベルトコンベア装置4からベルトコンベア装置5に乗り移る際に、バターの搬送方向において前後の位置にあるバター3cとバター3bとの間、バター3bとバター3aとの間が、それぞれ、ベルトコンベア装置4の上を搬送されていたときよりも大きくなる。
【0034】
こうして、包装機7に至るまでの搬送経路に配備されている複数のベルトコンベア装置4、5、6の搬送速度を調整することにより、最終的には、予定している時間間隔で、バター3c、3b、3aが順次、連続的に包装機7の上に搭載されている包装シート(包装紙、包装フィルムなど、不図示)に供給されるようになっている。
【0035】
本発明の供給装置では、包装機7の直前に配備されているベルトコンベア装置6が、位置調整用のベルトコンベア装置としての役割を果たすようになっている。この位置調整用のベルトコンベア装置6においては、切断機(不図示)によって切断されていてベルトコンベア装置5によって搬送されてきたバター3の位置調整が行われる。
【0036】
ここで、位置調整とは、ベルトコンベア装置6の上で搬送されるバター3の位置ずれ、例えば、向きのずれ、遅れ、左右の位置ずれを補正することをいう。
【0037】
本発明の供給装置では、位置調整用のベルトコンベア装置6によって包装機7の方向に搬送されるバター3を、包装機7に搭載されている包装シート(不図示)の上に、所定の向き及び位置と、所定の間隔で供給する、移載位置補正機構9が位置調整用のベルトコンベア装置6に付属して設けられている。
【0038】
この移載位置補正機構9は、位置調整用のベルトコンベア装置6の上のバター3を搬送方向に直交する方向から挟み込み、包装機7が配備されている方向に所定の速度で移動し、包装機7に搭載されている包装シート(不図示)の上にバター3を供給する一対の保持具から構成されている。
【0039】
この一対の保持具としては、例えば、L型保持具であるL型金具9a、9bや、T型金具(不図示)が採用される。
【0040】
すなわち、矢印8で示す搬送方向に直交する方向から位置調整用のベルトコンベア装置6の上のバター3の側に向かって伸びる後方支持片19a、19bと、 後方支持片19a、19bのバター3から離れている側の端縁から後方支持片19a、19bに直交して包装機7が配置されている方向に向かって伸びる側面支持片29a、29bを備えているL型金具9a、9bからなるL型保持具である。
【0041】
L型金具9a、9bが、矢印10a、10bで示すように、ベルトコンベア装置6の上のバター3を搬送方向に直交する方向から挟み込むことにより、例えば、ベルトコンベア装置6の上で、図3(a)、図3(c)で説明されていたように、バター3の向きがずれていたり、バター3が左右にずれていても、当初に要請されていた(予定していた)向きと左右の位置に、正確に位置調整(位置合わせ)することができる。
【0042】
こうして、例えば、図1に示すように、包装機7の上にある包装シートの両側縁からの間隔が互いに等しいD1及びD2になるように配置することができる。
【0043】
一対の保持具(L型金具9a、9b)が包装機7の配備されている方向に移動する、前述した所定の速度は、ベルトコンベア装置6の搬送速度と同一になるように設定されている。
【0044】
すなわち、図2(a)で説明したように、ベルトコンベア装置6の上のバター3を搬送方向に直交する方向から挟み込んだL型金具9a、9bは、矢印11a、11bで示すように、ベルトコンベア装置6の搬送速度と同一で、バター3を包装機7の方向に移送していく(図2(b))。
【0045】
なお、一対の保持具(L型金具9a、9b)は、矢印11a、11bで示すように、包装機7の方向に移動していき、図2(c)で示すように、包装機7に接近したときには、ベルトコンベア装置6の搬送速度より大きな速度で、包装機7の方向に移動できるようになっている。
【0046】
すなわち、一対の保持具(L型金具9a、9b)は少なくとも、包装機7に接近したときに、位置調整用のベルトコンベア装置6が包装機7の方向に移動する速度より速く(大きく)、包装機7の方向に移動できるようになっている。
【0047】
これは、ベルトコンベア装置6から包装機7の上にある包装シートに対して、バター3を移送するタイミングが遅れて、予定していた位置に、正確にバター3を供給できなくなるおそれがあるときに、一対の保持具(L型金具9a、9b)の移動速度を速めることによって、包装シートの上において、予定していた位置に、正確にバター3を供給できるようにするためである。
【0048】
一対の保持具(L型金具9a、9b)は、図1に矢印11a、12a、11b、12bで示すように移動し、予定している時間間隔で、ベルトコンベア装置5からベルトコンベア装置6に移送されてくるバター3を、ベルトコンベア装置6と共に、予定している時間間隔で、正確に包装機7の上にある包装シートの上に移送するように移動する。この一対の保持具(L型金具9a、9b)の移動位置を常に検知しておき、本来ならば、図2(c)に示す位置にまで移動していて、バター3をベルトコンベア装置6から包装機7の上にある包装シートの上に移送しなければならないタイミングであるにも拘わらず、図2(c)に示す位置にまで前進していないときに、矢印13a、13bで示すように、ベルトコンベア装置6による搬送速度よりも速く(大きく)して、バター3を予定している時間間隔で、正確に包装機7の上にある包装シートの上に移送するように移動するものである。
【0049】
これによって、包装機7の上にある包装シートの上に、連続的に供給されるバター3c、3b、3aの間の間隔を、図1に示すように、予定しておいた等しい間隔のW1、W2に設定することができる。
【0050】
なお、位置調整用のベルトコンベア装置6には、バター3が搭載される位置調整用のベルトコンベア装置6のベルトの表面を加熱する装置(ヒータなど、不図示)や冷却する装置(クーラーなど、不図示)あるいは双方が配備されている。例えば、ヒータなどの働きによって、ベルトコンベア装置6のベルトの表面を40〜60℃に保持し、ベルトの表面に付着したバターの薄膜を溶解させ、前述した一対の保持具(L型金具9a、9b)によるバター3の向きと左右の位置の調整、移動速度を速める(大きくする)供給などの際に、潤滑性や剥離性などを確保するためである。また、例えば、クーラーなどの働きによって、ベルトコンベア装置6のベルトの表面を0〜10℃に保持し、ベルトの表面に付着したバターの薄膜を完全に固化させ、前述した一対の保持具(L型金具9a、9b)によるバター3の向きと左右の位置の調整、移動速度を速める(大きくする)供給などの際に、潤滑性や剥離性などを確保するためである。
【0051】
このようにして、図1に示すように、包装シートの上におけるバター3c、3b、3aの間隔(隙間)のW1及びW2、並びにバター3c、3b、3aの包装シートの両側縁からの距離のD1及びD2を予め設定しておいたものにして精度よく配置することができ、これによって、位置ずれによる包装不良を未然に防ぐことができる。
【0052】
以上、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載から把握される技術的範囲において種々の形態に変更できる。
【0053】
例えば、前記では、15℃程度の常温で保形性に難のある難保形性食用油脂製品として板状のバターを用いて説明したが、板状のバターに留まらず、種々の難保形性食用油脂製品の搬送、供給に使用することができる。
【0054】
また、ベルトコンベア装置6のベルトの表面をヒータで加熱したり、クーラーで冷却する以外に、バター3がベルトの上に搭載される前に、アルコール、乳化剤(レシチンなど)、増粘剤、ゲル状物質などの流体や粉体(小麦粉など)をベルトの表面に噴霧して、バター3とベルトの表面との隙間(空間)に、流体層(薄膜)を形成し、潤滑性や剥離性を確保する方法も有効である。
【0055】
この場合、例えば、位置調整用のベルトコンベア装置6の難保形性食用油脂製品(バター3)が搭載されるベルトの表面に流体や粉体を噴霧する装置(噴霧装置)を、ベルトコンベア装置に配備したり、ベルトコンベア装置の近傍に配備するなどして、位置調整用のベルトコンベア装置6に付設する構成を採用できる。なお、噴霧装置によって噴霧される流体や粉体は、位置調整用のベルトコンベア装置6のベルトの表面に流体層や粉体の薄膜などを形成し、位置調整用のベルトコンベア装置6のベルトと、難保形性食用油脂製品(バター3)との隙間(空間)の潤滑性や剥離性を確保できるものであればよい。
【符号の説明】
【0056】
1、2、4、5、6 ベルトコンベア装置
7 包装機
3(3a、3b、3c) 難保形性食用油脂製品(板状のバター)
9 移載位置補正機構
9a、9b L型金具
19a、19b 後方支持片
29a、29b 側面支持片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のベルトコンベア装置が包装機に向かう搬送方向に連続して配置され、難保形性食用油脂製品を当該複数のベルトコンベア装置によって前記包装機に供給する供給装置であって、
切断機によって切断されていて前記ベルトコンベア装置によって搬送されてきた前記難保形性食用油脂製品の位置調整が行われる位置調整用のベルトコンベア装置が前記包装機の直前に配備されていると共に、
当該位置調整用のベルトコンベア装置によって前記包装機の方向に向けて搬送される前記難保形性食用油脂製品を、前記包装機に搭載されている包装シート上に、所定の向き及び位置と、所定の間隔で供給する、移載位置補正機構が当該位置調整用のベルトコンベア装置に付設されている
ことを特徴とする難保形性食用油脂製品の供給装置。
【請求項2】
前記移載位置補正機構は、
前記位置調整用のベルトコンベア装置の上の前記難保形性食用油脂製品を前記搬送方向に直交する方向から挟み込み、前記包装機が配備されている方向に所定の速度で移動し、前記包装機に搭載されている包装シート上に前記難保形性食用油脂製品を供給する一対の保持具
からなることを特徴とする請求項1記載の難保形性食用油脂製品の供給装置。
【請求項3】
前記一対の保持具は、それぞれ、
前記搬送方向に直交する方向から前記位置調整用のベルトコンベア装置の上の前記難保形性食用油脂製品の側に向かって伸びる後方支持片と、
当該後方支持片の前記難保形性食用油脂製品から離れている側の端縁から当該後方支持片に直交して前記包装機が配置されている方向に向かって伸びる側面支持片と
を備えているL型保持具である
ことを特徴とする請求項2記載の難保形性食用油脂製品の供給装置。
【請求項4】
前記一対の保持具は、前記包装機が配備されている方向に移動する所定の速度が少なくとも、前記包装機に接近したときに、前記位置調整用のベルトコンベア装置が前記包装機の方向に移動する速度より大きくなる
ことを特徴とする請求項2又は3記載の難保形性食用油脂製品の供給装置。
【請求項5】
前記位置調整用のベルトコンベア装置の前記難保形性食用油脂製品が搭載されるベルトの表面を加熱又は冷却する装置が前記位置調整用のベルトコンベア装置に配備されている
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項記載の難保形性食用油脂製品の供給装置。
【請求項6】
前記位置調整用のベルトコンベア装置の前記難保形性食用油脂製品が搭載されるベルトの表面に流体又は粉体を噴霧する装置が前記位置調整用のベルトコンベア装置に付設されている
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項記載の難保形性食用油脂製品の供給装置。
【請求項7】
複数のベルトコンベア装置が包装機に向かう搬送方向に連続して配置され、難保形性食用油脂製品を当該複数のベルトコンベア装置によって前記包装機に供給する供給方法であって、
切断機によって切断されていて前記ベルトコンベア装置によって搬送されてきた前記難保形性食用油脂製品の位置調整が行われる位置調整用のベルトコンベア装置が前記包装機の直前に配備されていて、
当該位置調整用のベルトコンベア装置に付設されている移載位置補正機構によって、当該位置調整用のベルトコンベア装置によって前記包装機の方向に向けて搬送される前記難保形性食用油脂製品が、前記包装機に搭載されている包装シート上に、所定の向き及び位置と、所定の間隔で供給される
ことを特徴とする難保形性食用油脂製品の供給方法。
【請求項8】
前記移載位置補正機構は一対の保持具からなり、当該一対の保持具が、
前記位置調整用のベルトコンベア装置の上の前記難保形性食用油脂製品を前記搬送方向に直交する方向から挟み込み、前記包装機が配備されている方向に所定の速度で移動し、前記包装機に搭載されている包装シート上に前記難保形性食用油脂製品を供給する
ことを特徴とする請求項7記載の難保形性食用油脂製品の供給方法。
【請求項9】
前記一対の保持具は、それぞれ、
前記搬送方向に直交する方向から前記位置調整用のベルトコンベア装置の上の前記難保形性食用油脂製品の側に向かって伸びる後方支持片と、
当該後方支持片の前記難保形性食用油脂製品から離れている側の端縁から当該後方支持片に直交して前記包装機が配置されている方向に向かって伸びる側面支持片と
を備えているL型保持具である
ことを特徴とする請求項8記載の難保形性食用油脂製品の供給方法。
【請求項10】
前記一対の保持具は、前記包装機が配備されている方向に移動する所定の速度が少なくとも、前記包装機に接近したときに、前記位置調整用のベルトコンベア装置が前記包装機の方向に移動する速度より大きくなる
ことを特徴とする請求項8又は9記載の難保形性食用油脂製品の供給方法。
【請求項11】
前記位置調整用のベルトコンベア装置の前記難保形性食用油脂製品が搭載されるベルトの表面が加熱又は冷却される
ことを特徴とする請求項7乃至10のいずれか一項記載の難保形性食用油脂製品の供給方法。
【請求項12】
前記位置調整用のベルトコンベア装置の前記難保形性食用油脂製品が搭載されるベルトの表面に流体又は粉体が噴霧された後に、前記難保形性食用油脂製品が前記ベルト上に搭載される
ことを特徴とする請求項7乃至11のいずれか一項記載の難保形性食用油脂製品の供給方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−201367(P2012−201367A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−64284(P2011−64284)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000006138)株式会社明治 (265)
【Fターム(参考)】