説明

難消化性オリゴ糖類の使用

被験体において抗増殖性効果を生じさせるための難消化性オリゴ糖またはその塩の使用であって、この難消化性オリゴ糖が、式(i)で表わされ、[A]−[B]式1、ここで、AおよびBは各々が独立して、5員または6員の糖単位であり、かつnが2〜10である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被験体において抗増殖性効果を生じさせるための難消化性オリゴ糖の使用に関する。さらに詳細には、本発明は、被験体において過剰増殖を阻害するための難消化性オリゴ糖の使用、該オリゴ糖を含む栄養製品、およびその薬学的調製物に関する。
【背景技術】
【0002】
難消化性オリゴ糖類は、周知であって、かつ食餌の繊維成分の不活性部分である。それらは天然に存在し、ニンニク、タマネギ、アスパラガス、アーティチョークおよびチコリなどの植物の可食性部分に見出される。さらに詳細には、難消化性オリゴ糖類とは、そのグリコシド結合のβ立体配置のおかげで胃腸管での加水分解に対して耐性である糖部分からなる低分子量炭水化物である。結腸では、細菌酵素による分解は、水および短鎖の脂肪酸を生じ得、これが肯定的な健康上の利点を有すると考えられる。さらに、いくつかの難消化性オリゴ糖類は能動的にプレバイオティクスであり、つまりいわゆる「善玉菌(friendly bacteria)」の増殖を刺激する。
【0003】
難消化性オリゴ糖類は、食品産業において、被験体の健康に対して有益であると考えられる、消化系の細菌の増殖または活性を刺激するためのプレバイオティクス処方物中で広範に用いられる。
【0004】
本発明者らは現在、それらのプレバイオティックな特性と同様に、難消化性オリゴ糖類は、抗増殖性特性を有し、すなわち、それらは、抗増殖性効果を生じるのに有効であると認識している。さらに詳細には、本発明者らは現在、難消化性オリゴ糖類がケラチン生成細胞を特異的に標的し得、かつ重要なことには、乾癬皮膚の過剰増殖性特徴を阻害し得ることを特定した。
【0005】
乾癬にはいくつかの種類があり、最も一般的なものは、尋常性乾癬であって、これは、炎症および過剰な皮膚生成の領域に相当する皮膚上にうろこ状の紅斑(乾癬プラーク)を出現させる。他の種類としては、屈側性乾癬、滴状乾癬、膿疱性乾癬、反転性乾癬、爪乾癬、乾癬性紅皮症および乾癬性関節炎が挙げられる。乾癬の種々の種類は、病変によっておおわれる体表面積の合計に基づいて重篤度の程度で変わる(範囲としては、例えば、総体表面積の範囲に対して、軽度は2%未満;中度は3%〜10%;および重度は、10%を超える)。
【0006】
乾癬のような皮膚疾患の原因は、十分には判明しておらず、多くの要因が関与していると考えられる。これらの要因は、被験体の皮膚細胞が増殖、再生および分化する過程における欠陥、および免疫媒介性の過程における欠陥(すなわち、異常な免疫応答)を包含すると考えられる。乾癬の1つの原因は、異常に高速の表皮細胞増殖であると考えられる。正常な皮膚細胞は、28日周期で成長するが、乾癬では、この周期は、3〜6日へと劇的に短縮される。この結果、新しい皮膚細胞が生じ、これが正常よりも5倍速い速度で表面に達して、これ自体が皮膚のうろこ状紅斑の出現を顕在化する。さらに、乾癬皮膚は、さらに、この疾患の隆起したうろこ状の性状と組み合される長寿命のケラチン生成細胞によって特徴付けられる。
【0007】
乾癬は、罹患者の生活の満足感および社会的機能に重大な影響を与え、有効な治療の必要性は差し迫ったものである。罹患率は高く、世界の人口の1〜3%に、すなわち約1600万人に罹患している。
【0008】
乾癬は現在のところ、薬物療法によって、および/または紫外線照射に対する曝露によって管理されている。しかし、乾癬では治療の普及率は低レベルであって、これは、部分的には治療有効性が劣ること、治療安全性、治療コストが劣る結果として、および既存の治療アプローチでの欲求不満の結果として患者のコンプライアンスが低レベルであることによる。従って、乾癬のような皮膚障害は、消耗性であり得、罹患者の不安、生活の満足感の損失、および抑うつを生じる。このような皮膚障害はしばしば、従来の治療の後に再発し、それによってその障害は、長期管理をもたらし、治療困難となる。従って、乾癬のような皮膚障害は、罹患者に対して大きな問題であって、有効な治療、特に毒性が低く副作用が少ない有効な治療が至急必要である。しかし、関与する多数の要因によって、このような有効な治療は、当業者にとって困難かつ厄介なものとなる。
【0009】
特許文献1は、皮膚細胞、主に表皮のおよび特にケラチン生成細胞の分化を刺激するためのオリゴガラクツロニド類の使用を開示している。抗増殖性効果を生じるための難消化性オリゴ糖類の使用の開示はこの文献にはない。
【0010】
特許文献2(Martinezら)は、免疫細胞の活性化をブロックするためにオリゴ糖類を含んでいる化粧用または皮膚科の外用局所組成物を開示している。難消化性オリゴ糖を含む組成物の開示はこの文献にはない。
【0011】
特許文献3(Andersonら)は、本発明とは対照的に、炎症性応答を調節するためおよび炎症性の皮膚を治療するためのシアリルオリゴ糖類およびその誘導体の使用を記載している。またこの明細書に記載されるのは、このようなオリゴ糖類を含有する局所の薬学的および化粧用組成物、ならびにそれらの使用法である。
【0012】
特許文献4(Robertら)は、免疫調節性医薬の調製のための、非還元性末端部位に2〜6個のオシド(−oside)残基を含み、かつガラクトース残基を有する少なくとも1つのオリゴ糖、または疎水性残基で置換されたオリゴ糖の誘導体の使用を開示している。また、皮膚−化粧用組成物および過敏皮膚の美容処置も開示されている。
【0013】
特許文献5(Masudaら)は、新生児および乳児の長期間治療のために有効な成分としてラフィノースを含む抗アトピー性皮膚炎組成物を記載している。
【0014】
特許文献6では、タンパク質および糖を含むフリーラジカル結合因子の効果が増大した食餌が開示されており、ここでは、この食物のフリーラジカル結合効果は、タンパク質および/または糖を含む食物のフリーラジカル結合効果よりも少なくとも50%高い。この食物は、例えば、神経皮膚炎、座瘡および乾癬などのアレルギー状態の治療に有用であり、かつ癌疾患における食餌補充物として有用である。しかし、抗増殖性効果を有する食餌の言及はない。
【0015】
特許文献7(ワタナベ)では、例えば、ワタの木の根および幹から抽出したメリビオースを含む抗癌薬が記載されており、これは副作用なしに連続投与可能である完全に無毒の抗癌剤を提供し得る。
【0016】
特許文献8(MIE KARIYOU KK)は、活性成分としてフルクトースオリゴマーとカップリングされた(β)−2,1鎖を含むフルクト−オリゴ糖を含む、免疫機能の低下を改善および/または予防するための剤を開示する。
【0017】
結局、本発明の背景として、非特許文献1には、NFAT−5の調節、ならびにヒトのケラチン生成細胞および皮膚におけるNFATファミリーの範囲外のメンバーが記載されており、これによって、培養されたケラチン生成細胞におけるNFAT−5/TonEPBのmRNAタンパク質の発現が初めて示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0065386号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2003/0045505号明細書
【特許文献3】国際公開第00/06115号パンフレット
【特許文献4】国際公開第98/04270号パンフレット
【特許文献5】米国特許第5,994,326号明細書
【特許文献6】独国実用新案出願公開第20 2006 017 823号明細書
【特許文献7】特開昭57−055620号公報
【特許文献8】特開2003−137790号公報
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】アル・ダラジ(Al−Daraji)ら、アメリカン・ジャーナル・オブ・トランスレーショナル・リサーチ(American Journal of Translational Research)2009年、1巻、2号、184−202頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
従って、本発明は、乾癬の治療に関して上記で概説された問題に取り組むものである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
先行技術とは対照的に、本発明は、被験体において抗増殖性効果を生じさせるための難消化性オリゴ糖の使用を提供する。この抗増殖性効果は、抗−過剰増殖性効果であってもよく、すなわち、被験体における過剰増殖性の阻害を含み得る。従って、本発明は、被験体において過剰増殖を阻害するための難消化性オリゴ糖の使用を提供する。この過剰増殖性は、被験体における表皮の過剰増殖性であってもよい。従って、本発明は、被験体において表皮の過剰増殖を阻害するための難消化性オリゴ糖の使用を提供する。この過剰増殖は、被験体におけるケラチン生成細胞過剰増殖性であってもよい。従って、本発明は、被験体においてケラチン生成細胞過剰増殖を阻害するための難消化性オリゴ糖の使用を提供する。
【0022】
被験体において抗増殖性効果を生じるための医薬の製造における難消化性オリゴ糖の使用もまた提供される。この抗増殖性効果は、抗−過剰増殖性効果であってもよく、すなわち、これは、被験体における過剰増殖性の阻害を含み得る。従って、本発明は、被験体において過剰増殖を阻害するための医薬の製造における難消化性オリゴ糖の使用を提供する。過剰増殖性は、被験体における表皮の過剰増殖性であってもよい。従って、本発明は、被験体において表皮の過剰増殖を阻害するための医薬の製造における難消化性オリゴ糖の使用を提供する。この過剰増殖性は、被験体におけるケラチン生成細胞過剰増殖性であってもよい。従って、本発明は、被験体においてケラチン生成細胞過剰増殖を阻害するための医薬の製造における難消化性オリゴ糖の使用を提供する。
【0023】
それを必要とする被験体において抗増殖性効果を生じさせる方法もまた提供され、この方法は、この被験体に対して治療上有効な量の難消化性オリゴ糖を投与する工程を包含する。この抗増殖性効果は、抗−過剰増殖性効果であってもよく、すなわち、これは、被験体における過剰増殖性の阻害を含み得る。従って、本発明は、それを必要とする被験体において過剰増殖を阻害する方法を提供し、この方法は、この被験体に対して治療上有効な量の難消化性オリゴ糖を投与する工程を包含する。この過剰増殖性は、被験体における表皮の過剰増殖性であってもよい。従って、本発明は、それを必要とする被験体における表皮の過剰増殖を阻害する方法を提供し、この方法は、この被験体に対して治療上有効な量の難消化性オリゴ糖を投与する工程を包含する。この過剰増殖性は、被験体におけるケラチン生成細胞過剰増殖性であってもよい。従って、本発明は、それを必要とする被験体においてケラチン生成細胞過剰増殖を阻害する方法を提供し、この方法は、この被験体に対して、治療上有効な量の難消化性オリゴ糖を投与する工程を包含する。
【0024】
本発明によれば、抗増殖性剤として難消化性オリゴ糖が提供される。難消化性オリゴ糖を含むかまたはそれからなる抗増殖剤がさらに提供され得る。
【0025】
本発明は、以下の非限定的な例および図によって図示される。
この例では、参照の図は以下のとおりである:
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、コントロール、オリゴフルクトースおよびスクロースについてのcaco−2細胞単層中の経上皮電気抵抗(TEER)測定の結果を示す。
【図2】図2は、底側に添加したコントロール、オリゴフルクトースおよびスクロースについてのcaco−2細胞単層中の経上皮電気抵抗(TEER)測定の結果を示す。
【図3】図3は、caco−2細胞においてPKCシグナル伝達を誘導するときのオリゴフルクトースの結果を示す。
【図4】図4は、caco−2細胞においてPKCシグナル伝達を誘導するときのスクロースの結果を示す。
【図5】図5は、ケラチン生成細胞増殖を阻害するときのオリゴフルクトースの結果を示す。
【図6】図6は、コントロール、オリゴフルクトースおよびスクロースについてのLDH放出についてコンフルエントな単層を試験した結果を示す。
【図7】図7は、臓器培養中で維持したヒト皮膚中のKi67/TUNEL染色のグラフを示す。TUNELは、アポトーシスの指標である。Ki67は増殖の指標である。これは、P95がTUNEL染色を用量依存性の方式で増大することを示し得る。
【発明を実施するための形態】
【0027】
いかなる理論によっても拘束されることは望まないが、本発明者らは、例えば、現在食品産業において用いられるような難消化性オリゴ糖類が、腸機能を刺激しかつ結果としてそれら自体の用量依存性の腸吸収を促進し得、それから、オリゴ糖類は、原理的に他の臓器に接近して影響し得ると認識した。本発明者らは、難消化性オリゴ糖類による腸機能の刺激は、表皮の密着結合を開口することによってミネラルイオン(例えば、カルシウムイオンおよびマグネシウムイオン)の腸吸収を誘発する能力に起因し得ると認識した。例えば、難消化性オリゴ糖類であるオリゴフルクトース、ラフィノースおよびメリビオースは、表皮の密着結合を開口することによってミネラルイオンの腸吸収を誘発することが公知である(例えば、MineoH、Amano M、Chiji H、Shigematsu N、Tomita F、Hara H.,Dig Dis Sci.(1):122−32.,2004を参照のこと)。本発明者らは、消化性の糖スクロースがこのような効果を示さないことを示した。さらに、本発明者らは、難消化性オリゴ糖類が、皮膚において、例えば、表皮において、特にケラチン生成細胞において、細胞機能を直接改変し得るということを認識した。難消化性オリゴ糖類のこのような特性は、以前に開示も示唆もされていない。
【0028】
表皮は、皮膚の最も外側の層であって、考慮されている皮膚の領域に依存して、4つの細胞種および4〜5つの層から構成される。この4つの細胞種とは、ケラチン生成細胞、メラニン形成細胞、ランゲルハンス細胞およびメルケル細胞である。ケラチン形成細胞は、表皮の主要な構成要素であって、表皮の約九十五パーセント(95%)を構成する。5つの層とは、降順に、角質層、透明層、顆粒層、有棘層および基底層である。基底層における細胞の分裂/増殖によって、表皮は維持される。
【0029】
乾癬のような皮膚障害の1つの特徴は、未制御の表皮の過剰増殖、主に未制御のケラチン生成細胞過剰増殖性であると考えられる。乾癬では、ケラチノサイトの増殖と分化との間のバランスが乱されており、その結果、皮膚が過剰増殖性の、病原性の状態に入ると考えられる。いかなる理論によっても拘束されることは望まないが、本発明者らは、難消化性オリゴ糖類、例えば、オリゴフルクトースが、表皮、特にケラチン生成細胞の過剰増殖を阻害し得、従って、乾癬における治療として働き得ると考える。言い換えれば、難消化性オリゴ糖類は、ケラチン生成細胞の増殖の速度を、疾患でないようなレベルまで、または正常な皮膚と等しいレベルまで遅らせることによって、乾癬を標的し得ると考えられる。
【0030】
このような治療における難消化性オリゴ糖類の使用は、有利である。なぜなら、難消化性オリゴ糖類の安全性プロフィールは、十分確立されており、そのようなものとして、安全で、十分耐容されかつ使用の容易な治療をもたらすものと考えられるからである。さらに、このような治療における難消化性オリゴ糖類の使用は、代替療法よりもコストが少ない。
【0031】
本発明の別の態様によれば、被験体の増殖性障害の予防および/または治療における難消化性オリゴ糖の使用が提供される。被験体の増殖性障害の予防および/または治療において使用される医薬の製造における難消化性オリゴ糖の使用もまた提供される。
本発明の別の態様によれば、それを必要とする被験体の増殖性障害の予防および/または治療の方法が提供され、この方法は、この被験体に対して治療上有効な量の難消化性オリゴ糖を投与する工程を包含する。
【0032】
本発明の別の態様によれば、被験体の過剰増殖性障害の予防および/または治療における難消化性オリゴ糖の使用が提供される。被験体の過剰増殖性障害の予防および/または治療において使用される医薬の製造における難消化性オリゴ糖の使用もまた提供される。
本発明の別の態様によれば、それを必要とする被験体の過剰増殖性障害の予防および/または治療の方法が提供され、この方法は、この被験体に対して治療上有効な量の難消化性オリゴ糖を投与する工程を包含する。
【0033】
本明細書において、抗増殖性効果を生じさせるとの文言は、細胞増殖(すなわち、細胞の成長および増加)を阻害または抑制することに関し、細胞増殖の部分的または全体的な阻害、および細胞の増殖または成長の速度の低下を包含する。
【0034】
過剰増殖性とは、異常に高速の細胞成長および増加であって、すなわち、結果として正常よりも急速に細胞が増殖することを意味する。従って、本明細書において、過剰増殖阻害との文言は、過剰増殖によって生じる異常に高速の細胞の成長および増加を阻害または抑制することに関し、かつ細胞の増殖または成長の速度の部分的または全体的な阻害および減少を包含する。
【0035】
表皮過剰増殖性とは、異常に高速の表皮の細胞の成長および増加であって、すなわち、結果として正常よりも急速に表皮細胞が増殖することを意味する。ケラチン形成細胞の過剰増殖性とは、ケラチン生成細胞の異常に高速の成長および増加であって、すなわち結果として正常よりも急速にケラチン形成細胞が増殖することを意味する。
【0036】
いかなる特定の理論にも拘束されないが、出願人らは、本発明の機序が、増殖の低下ではなく細胞のアポトーシスの増大、すなわち健康な生物体において制御および調節された方式で生じるプログラムされた細胞死にあり得ると考えている。
【0037】
抗増殖剤は、細胞増殖(すなわち細胞の成長および増加)を阻害または抑制し得る化合物である。
【0038】
本明細書において増殖性障害の文言は、細胞増殖によって引き起こされるかまたはそれから生じる、例えば、低増殖または過剰増殖によって引き起こされるかまたはそれから生じる、任意の障害または疾患に関する。低増殖とは、本発明者らは、被験体において正常な細胞増殖に比較して低い細胞増殖を意味する。過剰増殖とは、本発明者らは、被験体において正常な細胞増殖に比較して過剰な細胞増殖を意味する。過剰な細胞増殖とは、被験体において正常な組織成長よりも急速に細胞が増殖すること、すなわち、細胞が加速された速度で増殖することを意味する。詳細には、増殖性障害とは、細胞の過剰増殖によって引き起こされるかまたはそれから生じる任意の障害または疾患である。
【0039】
本明細書において過剰増殖性障害の文言は、被験体において正常な細胞増殖に比較して過剰な細胞増殖によって引き起こされるかまたはそれから生じる、すなわち、未制御の自律的な細胞成長によって引き起こされるかまたはそれから生じる、任意の障害または疾患に関する。
【0040】
増殖性、特に過剰増殖性の障害は、増殖、特に過剰増殖が証明される任意の障害であってもよい。詳細には、この増殖性、特に過剰増殖性の障害は、細胞増殖、特に細胞の過剰増殖が証明される、任意の障害であってもよい。
【0041】
この増殖性、特に過剰増殖性の障害は、皮膚障害であってもよい。例えば、皮膚の障害は、乾癬であってもよい。乾癬の文言は、例えば、別段特定しない限り、全種類の乾癬を包含する。例えば、乾癬の文言は、尋常性乾癬、屈側性乾癬、滴状乾癬、膿疱性乾癬、爪乾癬、感光性乾癬、反転性乾癬および乾癬性紅斑症ならびに乾癬性関節炎を包含する。特に、この皮膚障害は、尋常性乾癬であってもよい。
【0042】
増殖性、特に過剰増殖性の障害は、毛包増殖によって生じる、特に毛包過剰増殖、例えば、多毛症によって生じる障害であってもよい。多毛症は、女性での男性的分布における毛髪の過剰な成長によって特徴付けられる障害である。
【0043】
従って、本発明の第一の態様によれば、被験体において抗増殖性効果を生じさせるための難消化性オリゴ糖またはその塩の使用であって、この難消化性オリゴ糖が、式1で表わされ
(式1)
[A]−[B]
ここで、
[A]および[B]は各々が独立して、5員または6員の糖単位であり、かつ
nが2〜10である、難消化性オリゴ糖またはその塩の使用が提供される。
【0044】
本発明の第一の態様による難消化性オリゴ糖の使用はまた、過剰増殖を阻害するために適用されてもよく、その結果、この難消化性オリゴ糖はさらに、被験体における過剰増殖を阻害し得る。これに関して、この過剰増殖とは、被験体における表皮の過剰増殖である。
【0045】
難消化性オリゴ糖を、過剰増殖を阻害するために用いる場合、この過剰増殖性は被験体におけるケラチン生成細胞過剰増殖性であることが好ましい。
【0046】
本発明の第一の態様による難消化性オリゴ糖の使用は、被験体の増殖性障害の予防および/または治療のための医薬の調製に関してもよい。さらに詳細には、本発明の第一の態様による難消化性オリゴ糖の使用は、被験体の過剰増殖性障害の予防および/または治療のための医薬の調製に関してもよい。
【0047】
あるいは、本発明の第一の態様による難消化性オリゴ糖の使用は、被験体の増殖性障害の予防および/または治療のための食品または飲料品の調製に関してもよい。さらに詳細には、本発明の第一の態様による難消化性オリゴ糖の使用は、被験体の過剰増殖性障害の予防および/または治療のための食品または飲料品の調製に関してもよい。
【0048】
本発明の第一の態様による難消化性オリゴ糖の使用は、この障害が皮膚障害である場合に用いられ得る。最も具体的には、本発明の第一の態様による難消化性オリゴ糖の使用は、この皮膚障害が乾癬である場合に利用される。
【0049】
また、本発明の第一の態様によれば、糖単位[A]および[B]は各々が以下を含む群から選択される:オリゴフルクトース、ラクツロース、およびラフィノース。糖単位[A]および[B]が、β結合、好ましくはβ1−6結合によって結合されることもまた好ましい。
【0050】
さらに、本発明の第一の態様によって用いられる難消化性オリゴ糖は、オリゴフルクトースを含むことが最も好ましい。さらに、本発明の第一の態様によれば、難消化性オリゴ糖のnは、2〜6を含むことが好ましい。さらに好ましくは、難消化性オリゴ糖中のnは、2〜4を含む。
【0051】
本発明の第一の態様による難消化性オリゴ糖は、その塩の形態であってもよい。あるいは、本発明の第一の態様による難消化性オリゴ糖は、その誘導体の形態であってもよい。好ましくは、無水物誘導体は、ジフルクトース無水物IIIおよびジフルクトース無水物IVを含む群から選択される。
【0052】
本発明の第一の態様による1つの好ましい使用では、難消化性オリゴ糖は、薬学的組成物として調合され得る。あるいは、本発明の第一の態様によるさらに好ましい使用では、難消化性オリゴ糖は、栄養製品として調合される。
【0053】
従って、本発明の第二の態様によれば、本発明の第一の態様に関して記載されたような難消化性オリゴ糖を用いて調製された薬学的組成物または栄養製品が提供される。
【0054】
本発明の別の態様によれば、被験体の増殖性、特に過剰増殖性の、皮膚の障害の予防および/または治療における難消化性オリゴ糖の使用が提供される。また、被験体の増殖、特に過剰増殖性の、皮膚の障害の予防および/または治療において使用される医薬の製造における難消化性オリゴ糖の使用も提供される。
【0055】
本発明の別の態様によれば、それを必要とする被験体の増殖性、特に過剰増殖性の、皮膚の障害の予防および/または治療の方法が提供され、この方法は、この被験体に対して治療上治療上有効な量の難消化性オリゴ糖を投与する工程を包含する。
【0056】
本発明の別の態様によれば、被験体の乾癬(特に尋常性乾癬)の予防および/または治療における難消化性オリゴ糖の使用が提供される。被験体の乾癬(特に尋常性乾癬)の予防および/または治療において使用される医薬の製造における難消化性オリゴ糖の使用もまた提供される。
【0057】
本発明の別の態様によれば、それを必要とする被験体の乾癬(特に尋常性乾癬)の予防および/または治療の方法が提供され、この方法は、この被験体に対して治療上有効な量の難消化性オリゴ糖を投与する工程を包含する。
【0058】
上記で考察されるとおり、本発明者らは、難消化性オリゴ糖類が、腸以外の臓器にアクセスしかつ影響し得、かつ詳細には、皮膚における、特に表皮における、特にはケラチン生成細胞における細胞機能を直接改変し得るということを認識した。難消化性オリゴ糖類のこのような特性は、以前には開示も示唆もされていない。従って、本発明は、被験体における、特に過剰増殖性の皮膚障害に罹患している被験体における、過剰増殖の問題に取り組むと考えられる。以前には、このような皮膚障害、例えば、乾癬の予防および/または治療における難消化性オリゴ糖類の使用は開示も示唆もされていない。
【0059】
難消化性オリゴ糖類は、被験体(例えば、動物、特に温血動物、例えば、ヒト)に対して示す毒性が低いかまたは全くなく、従来の用量で十分耐容される。このことは、難消化性オリゴ糖類が、乾癬のような皮膚障害の予防および/または治療のために使用する際に有利であり、例えば、現在使用されている別の医薬に比較して、患者に対して容易にアクセス可能であり、かつ潜在的に広範な患者集団でおよび長期の治療計画に関して、潜在的に患者のコンプライアンスおよび用法を改善するということを意味する。難消化性オリゴ糖類はまた、必要に応じて被験体の全体表を治療する際に有用であることが期待される。
【0060】
難消化性オリゴ糖は、例えば、本明細書において記載されるような任意の適切な形態で本明細書に記載されるとおり用いられてもよい。例えば、難消化性オリゴ糖は、経口投与または局所投与のための形態で用いられてもよい。
【0061】
医薬の製造との文言は、任意の適切な形態の医薬、例えば、本明細書に記載されるような薬学的組成物の形態の医薬に関する。
【0062】
本発明に記載されるような難消化性オリゴ糖は、単独の治療として用いられてもよく、または本明細書に記載されるような障害の予防および/または治療のための、例えば、増殖性、特に過剰増殖性の障害、例えば、過剰増殖性皮膚障害(特に乾癬)の予防および/または治療のための従来の治療と組み合わせて用いられてもよい。適切なこのような従来の治療は、当業者に周知である。例えば、乾癬のような過剰増殖性の皮膚障害の予防および/または治療のための従来の治療としては、コールタール、コルチコステロイド、カルシポトリエン、レチノイド(例えば、アントラリン)および/または生物製剤および免疫抑制薬(例えば、メトトレキサート)での治療ならびに/あるいは光線療法での治療が挙げられる。例えば、難消化性オリゴ糖は、光線療法と、および必要に応じてさらに、乾癬(特に尋常性乾癬)などの過剰増殖性皮膚障害の予防および/または治療のための従来の治療と組み合わせて用いられてもよい。1つ以上の従来の治療は、本明細書に考察されるような難消化性オリゴ糖類と組み合わせて用いられてもよい。
【0063】
本発明の別の態様によれば、被験体において抗増殖性効果を生じさせるための難消化性オリゴ糖の使用が提供され、ここでこの難消化性オリゴ糖は、従来の治療(例えば、抗増殖性効果を生じさせるための従来の治療)と組み合わせて使用される。被験体の抗増殖性効果を生じさせるための医薬の製造における難消化性オリゴ糖の使用もまた提供され、ここで、この医薬は、従来の治療(例えば、抗増殖性効果を生じさせるための従来の治療)と組み合わせて使用される。
【0064】
それを必要とする被験体において抗増殖性効果を生じさせるための方法もまた提供され、この方法は、この被験体に対して、従来の治療(例えば、抗増殖性効果を生じさせるための従来の治療)の前および/または間および/または後(特に前および/または間)に治療上有効な量の難消化性オリゴ糖を投与する工程を包含する。
【0065】
本発明の別の態様によれば、被験体における過剰増殖を阻害するための難消化性オリゴ糖の使用が提供され、ここでこの難消化性オリゴ糖は、従来の治療(例えば、被験体において過剰増殖を阻害するための従来の治療)と組み合わせて使用される。被験体における過剰増殖を阻害するための医薬の製造における難消化性オリゴ糖の使用もまた提供され、ここでこの医薬は、従来の治療(例えば、被験体において過剰増殖を阻害するための従来の治療)と組み合わせて使用される。
【0066】
それを必要とする被験体において過剰増殖を阻害するための方法もまた提供され、この方法は、この被験体に対して、従来の治療(例えば、被験体における過剰増殖を阻害するための従来の治療)の前および/または間および/または後(特に前および/または間)に治療上有効な量の難消化性オリゴ糖を投与する工程を包含する。
【0067】
本発明の別の態様によれば、被験体における表皮の過剰増殖を阻害するための難消化性オリゴ糖の使用が提供され、ここでこの難消化性オリゴ糖は、従来の治療(例えば、被験体において表皮過剰増殖を阻害するための従来の治療)と組み合わせて使用される。被験体における表皮の過剰増殖を阻害するための医薬の製造における難消化性オリゴ糖の使用もまた提供され、ここでこの医薬は、従来の治療(例えば、被験体において表皮の過剰増殖を阻害するための従来の治療)と組み合わせて使用される。
【0068】
それを必要とする被験体において表皮の過剰増殖を阻害する方法もまた提供され、この方法は、この被験体に対して、従来の治療(例えば、被験体における表皮の過剰増殖を阻害するための従来の治療)の前および/または間および/または後(特に前および/または間)に治療上有効な量の難消化性オリゴ糖を投与する工程を包含する。
【0069】
本発明の別の態様によれば、被験体におけるケラチン生成細胞過剰増殖を阻害するための難消化性オリゴ糖の使用が提供され、ここでこの難消化性オリゴ糖は、従来の治療(例えば、被験体においてケラチン生成細胞過剰増殖を阻害するための従来の治療)と組み合わせて使用される。被験体におけるケラチン生成細胞過剰増殖を阻害するための医薬の製造における難消化性オリゴ糖の使用もまた提供され、ここでこの医薬は、従来の治療(例えば、被験体においてケラチン形成細胞過剰増殖を阻害するための従来の治療)と組み合わせて使用される。
【0070】
それを必要とする被験体においてケラチン形成細胞の過剰増殖を阻害するための方法もまた提供され、この方法は、この被験体に対して、従来の治療(例えば、被験体におけるケラチン形成細胞の過剰増殖を阻害するための従来の治療)の前および/または間および/または後(特に前および/または間)に治療上有効な量の難消化性オリゴ糖を投与する工程を包含する。
【0071】
本発明の別の態様によれば、被験体の増殖性障害の予防および/または治療のための従来の治療と組み合わせた難消化性オリゴ糖の使用が提供される。本発明の別の態様によれば、被験体の増殖性障害の予防および/または治療のための従来の治療と組み合わせて使用される医薬の製造における難消化性オリゴ糖の使用が提供される。
【0072】
それを必要とする被験体における増殖性障害の予防および/または治療の方法もまた提供され、この方法は、この被験体に対して、被験体の増殖性障害の予防および/または治療のための従来の治療の前および/または間および/または後(特に前および/または間)に治療上有効な量の難消化性オリゴ糖を投与する工程を包含する。
【0073】
本発明の別の態様によれば、被験体の増殖性障害の予防および/または治療における難消化性オリゴ糖の使用が提供され、ここでこの難消化性オリゴ糖は、被験体の増殖性障害の予防および/または治療のための従来の治療と組み合わせて使用される。本発明の別の態様によれば、被験体の増殖性障害の予防および/または治療における使用のための医薬の製造における難消化性オリゴ糖の使用が提供され、ここでこの医薬は、被験体の増殖性障害の予防および/または治療のための従来の治療と組み合わせて使用される。
【0074】
それを必要とする被験体の増殖性障害の予防および/または治療の方法もまた提供され、この方法は、この被験体に対して、被験体の増殖性障害の予防および/または治療のための従来の治療の前および/または間および/または後(特に前および/または間)に、このような被験体における増殖性障害の予防および/または治療において治療上有効な量の難消化性オリゴ糖を投与する工程を包含する。
【0075】
本発明の別の態様によれば、被験体の過剰増殖性障害の予防および/または治療のための従来の治療と組み合わせた難消化性オリゴ糖の使用が提供される。本発明の別の態様によれば、被験体の過剰増殖性障害の予防および/または治療のための従来の治療と組み合わせて使用される医薬の製造における難消化性オリゴ糖の使用が提供される。
【0076】
それを必要とする被験体の過剰増殖性障害の予防および/または治療の方法もまた提供され、この方法は、この被験体に対して、被験体の過剰増殖性障害の予防および/または治療のための従来の治療の前および/または間および/または後(特に前および/または間)に、治療上有効な量の難消化性オリゴ糖を投与する工程を包含する。
【0077】
本発明の別の態様によれば、被験体の過剰増殖性障害の予防および/または治療における難消化性オリゴ糖の使用が提供され、ここでこの難消化性オリゴ糖は、被験体の過剰増殖性障害の予防および/または治療のための従来の治療と組み合わせて使用される。本発明の別の態様によれば、被験体の過剰増殖性障害の予防および/または治療において使用される医薬の製造における難消化性オリゴ糖の使用が提供され、この医薬は、被験体の過剰増殖性障害の予防および/または治療のための従来の治療と組み合わせて使用される。
【0078】
それを必要とする被験体の過剰増殖性障害の予防および/または治療の方法もまた提供され、この方法は、この被験体に対して、被験体の過剰増殖性障害の予防および/または治療のための従来の治療の前および/または間および/または後(特に前および/または間)に、この被験体における過剰増殖性障害の予防および/または治療において治療上有効な量の難消化性オリゴ糖を投与する工程を包含する。
【0079】
本発明の別の態様によれば、被験体の増殖性、特に過剰増殖性の皮膚障害の予防および/または治療のための従来の治療と組み合わせた難消化性オリゴ糖の使用が提供される。本発明の別の態様によれば、被験体の増殖性、特に過剰増殖性の皮膚障害の予防および/または治療のための従来の治療と組み合わせて使用される医薬の製造における難消化性オリゴ糖の使用が提供される。
【0080】
それを必要とする被験体の増殖性、特に過剰増殖性の皮膚障害の予防および/または治療のための方法もまた提供され、この方法は、この被験体に対して、被験体の増殖性、特に過剰増殖性の皮膚障害の予防および/または治療のための従来の治療の前および/または間および/または後(特に前および/または間)に、治療上有効な量の難消化性オリゴ糖を投与する工程を包含する。
【0081】
本発明の別の態様によれば、被験体の増殖性、特に過剰増殖性の皮膚障害の予防および/または治療における難消化性オリゴ糖の使用が提供され、ここでこの難消化性オリゴ糖は、被験体の増殖性、特に過剰増殖性の皮膚障害の予防および/または治療のための従来の治療と組み合わせて使用される。本発明の別の態様によれば、被験体の増殖性、特に過剰増殖性の皮膚障害の予防および/または治療において使用される医薬の製造における難消化性オリゴ糖の使用が提供され、ここでこの医薬は、被験体の増殖性、特に過剰増殖性の皮膚障害の予防および/または治療のための従来の治療と組み合わせて使用される。
【0082】
それを必要とする被験体の増殖性、特に過剰増殖性の皮膚障害の予防および/または治療の方法もまた提供され、この方法は、この被験体に対して、被験体の増殖性、特に過剰増殖性の皮膚障害の予防および/または治療のための従来の治療の前および/または間および/または後(特に前および/または間)に、この被験体における増殖性、特に過剰増殖性の皮膚障害の予防および/または治療における治療上有効な量の難消化性オリゴ糖を投与する工程を包含する。
【0083】
本発明の別の態様によれば、被験体における乾癬(特に尋常性乾癬)の予防および/または治療のための従来の治療と組み合わせた難消化性オリゴ糖の使用が提供される。本発明の別の態様によれば、被験体における乾癬(特に尋常性乾癬)の予防および/または治療のための従来の治療と組み合わせて使用される医薬の製造における難消化性オリゴ糖の使用が提供される。
【0084】
それを必要とする被験体における乾癬(特に尋常性乾癬)の予防および/または治療の方法もまた提供され、この方法は、この被験体に対して、被験体における乾癬(特に尋常性乾癬)の予防および/または治療のための従来の治療の前および/または間および/または後(特に前および/または間)に、治療上有効な量の難消化性オリゴ糖を投与する工程を包含する。
【0085】
本発明の別の態様によれば、被験体における乾癬(特に尋常性乾癬)の予防および/または治療における難消化性オリゴ糖の使用が提供され、ここでこの難消化性オリゴ糖は、被験体における乾癬(特に尋常性乾癬)の予防および/または治療のための従来の治療と組み合わせて使用される。本発明の別の態様によれば、被験体における乾癬(特に尋常性乾癬)の予防および/または治療において使用される医薬の製造における難消化性オリゴ糖の使用が提供され、この医薬は、被験体における乾癬(特に尋常性乾癬)の予防および/または治療のための従来の治療と組み合わせて使用される。
【0086】
それを必要とする被験体における乾癬(特に尋常性乾癬)の予防および/または治療の方法もまた提供され、この方法は、この被験体に対して、被験体における乾癬(特に尋常性乾癬)の予防および/または治療のための従来の治療の前および/または間および/または後(特に前および/または間)に、この被験体における乾癬(特に尋常性乾癬)の予防および/または治療における治療上有効な量の難消化性オリゴ糖を投与する工程を包含する。
【0087】
被験体において抗増殖性効果を生じさせるため、特に、過剰増殖を阻害するため、ならびに/あるいは、乾癬のような本明細書で考察されるような皮膚障害の予防および/または治療における難消化性オリゴ糖の使用もまた提供され、この難消化性オリゴ糖は、光線療法と組み合わせて使用される。
【0088】
本発明の別の態様によれば、被験体における抗増殖性効果を生じさせるための難消化性オリゴ糖の使用が提供され、ここでこの難消化性オリゴ糖は、光線療法と組み合わせて使用される。被験体の抗増殖性効果を生じさせるために使用される医薬の製造における難消化性オリゴ糖の使用もまた提供され、この医薬は、光線療法と組み合わせて使用される。
【0089】
それを必要とする被験体において抗増殖性効果を生じさせる方法もまた提供され、この方法は、この被験体に対して、光線療法の治療の前および/または間および/または後(特に前および/または間)に治療上有効な量の難消化性オリゴ糖を投与する工程を包含する。
【0090】
本発明の別の態様によれば、被験体において過剰増殖を阻害するための難消化性オリゴ糖の使用が提供され、ここでこの難消化性オリゴ糖は、光線療法と組み合わせて使用される。被験体において過剰増殖を阻害するために使用される医薬の製造における難消化性オリゴ糖の使用もまた提供され、ここで、この医薬は、光線療法と組み合わせて使用される。
【0091】
それを必要とする被験体において過剰増殖を阻害する方法もまた提供され、この方法は、この被験体に対して、光線療法の治療の前および/または間および/または後(特に前および/または間)に治療上有効な量の難消化性オリゴ糖を投与する工程を包含する。
【0092】
本発明の別の態様によれば、被験体における表皮の過剰増殖を阻害するための難消化性オリゴ糖の使用が提供され、ここでこの難消化性オリゴ糖は、光線療法と組み合わせて使用される。被験体における表皮の過剰増殖を阻害するために使用される医薬の製造における難消化性オリゴ糖の使用もまた提供され、ここで、この医薬は、光線療法と組み合わせた使用のためである。
【0093】
それを必要とする被験体における表皮の過剰増殖を阻害する方法もまた提供され、ここでこの方法は、この被験体に対して光線療法の治療の前および/または間および/または後(特に前および/または間)に治療上有効な量の難消化性オリゴ糖を投与する工程を包含する。
【0094】
本発明の別の態様によれば、被験体におけるケラチン生成細胞過剰増殖を阻害するための難消化性オリゴ糖の使用が提供され、ここでこの難消化性オリゴ糖は、光線療法と組み合わせて使用される。被験体におけるケラチン生成細胞過剰増殖を阻害するために使用される医薬の製造における難消化性オリゴ糖の使用もまた提供され、ここでこの医薬は、光線療法と組み合わせて使用される。
【0095】
それを必要とする被験体におけるケラチン生成細胞過剰増殖を阻害する方法もまた提供され、ここでこの方法は、この被験体に対して光線療法の治療の前および/または間および/または後(特に前および/または間)に治療上有効な量の難消化性オリゴ糖を投与する工程を包含する。
【0096】
本発明の別の態様によれば、光線療法と組み合わせた難消化性オリゴ糖の使用が提供される。本発明の別の態様によれば、光線療法と組み合わせて使用される医薬の製造における難消化性オリゴ糖の使用が提供される。
【0097】
本発明の別の態様によれば、被験体の増殖性障害の予防および/または治療における難消化性オリゴ糖の使用が提供され、ここでこの難消化性オリゴ糖は、光線療法と組み合わせて使用される。本発明の別の態様によれば、被験体の増殖性障害の予防および/または治療において使用される医薬の製造における難消化性オリゴ糖の使用が提供され、ここでこの医薬は、光線療法と組み合わせて使用される。
【0098】
それを必要とする被験体の増殖性障害の予防および/または治療の方法もまた提供され、この方法は、この被験体に対して光線療法の前および/または間および/または後(特に前および/または間)に治療上有効な量の難消化性オリゴ糖を投与する工程を包含する。
【0099】
それを必要とする被験体の増殖性障害の予防および/または治療の方法もまた提供され、この方法は、この被験体に対して光線療法の前および/または間および/または後(特に前および/または間)に、この被験体における増殖性障害の予防および/または治療における治療上有効な量の難消化性オリゴ糖を投与する工程を包含する。
【0100】
本発明の別の態様によれば、被験体の過剰増殖性障害の予防および/または治療における難消化性オリゴ糖の使用が提供され、ここでこの難消化性オリゴ糖は、光線療法と組み合わせて使用される。本発明の別の態様によれば、被験体の過剰増殖性障害の予防および/または治療において使用される医薬の製造における難消化性オリゴ糖の使用が提供され、ここで、この医薬は、光線療法と組み合わせて使用される。
【0101】
それを必要とする被験体の過剰増殖性障害の予防および/または治療の方法もまた提供され、この方法は、この被験体に対して光線療法の前および/または間および/または後(特に前および/または間)に、治療上有効な量の難消化性オリゴ糖を投与する工程を包含する。
【0102】
それを必要とする被験体の過剰増殖性障害の予防および/または治療の方法もまた提供され、この方法は、この被験体に対して光線療法の前および/または間および/または後(特に前および/または間)に、この被験体における過剰増殖性障害の予防および/または治療における治療上有効な量の難消化性オリゴ糖を投与する工程を包含する。
【0103】
本発明の別の態様によれば、被験体の増殖性、特に過剰増殖性障害の皮膚障害の予防および/または治療における難消化性オリゴ糖の使用が提供され、ここでこの難消化性オリゴ糖は、光線療法と組み合わせて使用される。本発明の別の態様によれば、被験体の増殖性、特に過剰増殖性障害の皮膚障害の予防および/または治療において使用される医薬の製造における難消化性オリゴ糖の使用が提供され、ここで、この医薬は、光線療法と組み合わせて使用される。
【0104】
それを必要とする被験体の増殖性、特に過剰増殖性障害の皮膚障害の予防および/または治療の方法もまた提供され、この方法は、この被験体に対して光線療法の前および/または間および/または後(特に前および/または間)に、治療上有効な量の難消化性オリゴ糖を投与する工程を包含する。
【0105】
それを必要とする被験体の増殖性、特に過剰増殖性障害の皮膚障害の予防および/または治療の方法もまた提供され、この方法は、この被験体に対して光線療法の前および/または間および/または後(特に前および/または間)に、この被験体における増殖性、特に過剰増殖性の皮膚障害の予防および/または治療において使用される治療上有効な量の難消化性オリゴ糖を投与する工程を包含する。
【0106】
本発明の別の態様によれば、被験体における乾癬(特に尋常性乾癬)の予防および/または治療における難消化性オリゴ糖の使用が提供され、ここでこの難消化性オリゴ糖は、光線療法と組み合わせて使用される。本発明の別の態様によれば、被験体における乾癬(特に尋常性乾癬)の予防および/または治療において使用される医薬の製造における難消化性オリゴ糖の使用が提供され、ここで、この医薬は、光線療法と組み合わせて使用される。
【0107】
それを必要とする被験体における乾癬(特に尋常性乾癬)の予防および/または治療の方法もまた提供され、この方法は、この被験体に対して光線療法の前および/または間および/または後(特に前および/または間)に、治療上有効な量の難消化性オリゴ糖を投与する工程を包含する。
【0108】
それを必要とする被験体における乾癬(特に尋常性乾癬)の予防および/または治療の方法もまた提供され、この方法は、この被験体に対して光線療法の前および/または間および/または後(特に前および/または間)に、この被験体における乾癬(特に尋常性乾癬)の予防および/または治療における治療上有効な量の難消化性オリゴ糖を投与する工程を包含する。
【0109】
任意の適切な光線療法を本発明のこれらの態様で用いてもよい。例えば、光線療法は、紫外線放射、特に狭帯域紫外線B放射(例えば、Philips TL−01光線療法として公知)に対する被験体の曝露を包含し得る。本明細書のおける光線療法としては、光化学療法(例えば、ソラレン(Psoralen)に加えてUVA光化学療法、PUVAとして公知)が挙げられる。局所的または全身的な光線療法を用いてもよい。被験体は、難消化性オリゴ糖での治療の前、間および/または後に光線療法で治療されてもよい。
【0110】
難消化性オリゴ糖は、例えば本明細書で考察されるように、任意の適切な形態で、従来の治療、例えば、光線療法(光化学療法を含む)と組み合わせて用いられてもよい。例えば、難消化性オリゴ糖は、経口または局所的な投与のための形態で用いてもよい。経口剤形を用いてもよく(例えば、経口投与のための薬学的組成物または栄養製品)、この経口の剤形は、光線療法の前、間、および/または後(特に前)の適切な時点で被験体に投与されてもよい。局所的な剤形(例えば、局所投与のための薬学的組成物)を用いてもよく、これは光線療法の前、間、および/または後(特に前)の適切な時点で被験体の皮膚に適用されてもよい。
【0111】
本発明者らは、光線療法のような従来の治療と組み合わせて難消化性オリゴ糖を投与することによって、予防および/または治療がさらに改善され得るということを認識した。言い換えれば、本発明の薬学的組成物、栄養製品および用途は、光線療法に対する応答を改善すると考えられる。これが次に、光線療法の時間を短縮し、患者のコンプライアンスを改善し、かつ治療費用を減少することが有利であり得る。
【0112】
難消化性オリゴ糖は、上記で考察されるような用途のために、任意の適切な形態、例えば、単独投与の形態および/または薬学的組成物、化粧用組成物もしくは栄養製品(または栄養補助食品)として調合された形態でもよい。
【0113】
本明細書に記載されるような難消化性オリゴ糖の使用であって、この難消化性オリゴ糖が薬学的組成物として調合されているものがさらに提供される。本明細書に記載されるような難消化性オリゴ糖の使用であって、この難消化性オリゴ糖が栄養製品(または栄養補助食品)として調合されているものがさらに提供される。
【0114】
本明細書に記載されるような任意の用途のための難消化性オリゴ糖(例えば、本明細書に記載されるような薬学的組成物)を含む薬学的組成物がさらに提供される。本明細書に記載されるような任意の用途のための難消化性オリゴ糖(例えば、本明細書に記載されるような栄養製品(または栄養補助食品))を含む栄養製品がさらに提供される。
【0115】
本発明の別の態様によれば、薬学的に許容される希釈剤または担体と組み合わせて治療上有効な量の難消化性オリゴ糖を(活性成分として)含む薬学的組成物が提供される。
【0116】
薬学的組成物とは、本発明者らは、医学的な障害/疾患を治療および/または予防するために被験体に投与するために適切である活性成分を含む組成物を意味する。活性成分とは、障害/疾患に対して有効である剤であって、その結果、その障害/疾患に罹患している被験体に対して投与される場合、その障害/疾患の低減、緩解または退行を生じるような剤である。換言すれば、活性成分は、ある障害/疾患の低減、緩解または退行を生じることによってその障害/疾患を治療するために有効である。活性成分はまた典型的には、被験体に対する投与の際に、障害/疾患の予防に、すなわち、この障害/疾患の発現を予防および/または遅延するために、有効である。
【0117】
本発明の薬学的組成物は、活性成分として難消化性オリゴ糖を含む(すなわち、その難消化性オリゴ糖が、例えば、本明細書に記載されるような障害に罹患している被験体に投与される場合、その障害の予防、軽減、緩解および/または退行を生じる)。
【0118】
任意の薬学的に許容される希釈剤または担体が、本発明の薬学的組成物に含まれてもよく、この希釈剤または担体は、当業者に周知である。選択される特定の希釈剤または担体は、種々の要因、例としては、難消化性オリゴ糖の投薬量、その組成物の投与方式、およびその難消化性オリゴ糖の安定性に依存する。この薬学的に許容される希釈剤または担体は、皮膚に対して十分な量の難消化性オリゴ糖を送達するように選択されるべきである。
【0119】
本発明による用途における適切な薬学的担体としては、以下に挙げられるが、これらに限定されるものではない。不活性な固体希釈剤または充填剤、滅菌水溶液および種々の有機溶媒。固体担体の例は、ラクトース、白土、スクロース、サイクロデキストリン、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アカシア・ゴム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、またはセルロースの低級アルキルエーテルを含む。液体担体の例は、シロップ、ピーナツ油、オリーブ油、リン脂質、脂肪酸、脂肪酸アミン、ポリオキシエチレン、ミリスチン酸イソプロピル、または水を含む。同様に、この担体または希釈剤は、当該分野で公知の任意の徐放性の材料、例えば、モノステアリン酸グリセロールまたはジステアリン酸グリセロールなどを単独でまたはワックスと混合して含んでもよい。
【0120】
本発明の薬学的組成物は、任意の従来の経路による投与のために調合され得る。例えば、薬学的組成物は、経口投与のために(例えば、錠剤、トローチ剤、硬性または軟性のカプセル、水性または油性の懸濁液、エマルジョン、分散性の粉末または顆粒、シロップまたはエリキシルとして)、局所投与のために(例えば、クリーム、軟膏、ゲルまたは水性もしくは油性の溶液もしくは懸濁液として、または経皮送達による)、吸入による投与のために(例えば、微粉化した粉末または液体エアロゾルとして)、吹送による投与のため(例えば、微粉化した粉末として)、または非経口投与のため(例えば、静脈内、皮下、筋肉内もしくは筋肉内投薬のための滅菌水溶液または油状溶液として、あるいは直腸投与のための坐剤として)適切な形態であってもよい。
【0121】
本発明の別の態様によれば、薬学的に許容される希釈剤または担体と組み合わせて治療上有効な量の難消化性オリゴ糖を(活性成分として)含む薬学的組成物が提供され、この薬学的組成物は、経口投与のために調合される。
【0122】
投与の好ましい経路は、治療される被験体の全身状態および年齢、治療される障害の性質、および選択される難消化性オリゴ糖に依存すると理解される。
【0123】
経口投与のための薬学的組成物は、例えば、カプセル、錠剤、糖衣錠、丸剤、トローチ剤、粉末および顆粒などの固体剤形であってもよい。固体剤形はさらに、香味料、潤滑剤、可溶化剤、懸濁剤、充填剤、流動促進剤、圧縮助剤、結合剤または錠剤崩壊剤としても機能し得る、1つ以上の物質を含んでもよい。粉末中で、ビヒクルは、活性成分と混合されている、微粉化された固体である場合が多い。錠剤では、活性成分は、必須の圧縮特性を有するビヒクルと適切な割合で混合され、所望の形状およびサイズに圧縮され得る。適切な固体ビヒクルとしては、例えば、リン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、デキストリン、デンプン、ゼラチン、セルロース、ポリビニルピロリドン、低融点ワックスおよびイオン交換樹脂が挙げられる。
【0124】
必要に応じて、固体剤形は、腸溶コーティングなどのコーティングで調製されてもよいし、またはそれらは、当該分野で周知の方法による徐放性もしくは持続放出またはボーラス適用などの難消化性オリゴ糖の徐放性を得るように調合されてもよい。
【0125】
経口投与のための薬学的組成物は、あるいは、液体形態であってもよい。液体担体は、例えば、溶液、懸濁液、エマルジョン、シロップ、エリキシルおよび加圧組成物の形態であってもよい。この活性成分は、薬学的に許容される液体ビヒクル、例えば、水(必要に応じて香味付けされた)、有機溶媒、両方の混合物、または薬学的に許容されるオイルもしくは脂肪中に溶解されてもまたは懸濁されてもよい。この液体ビヒクルはさらに、他の適切な薬学的添加物、例えば、可溶化剤、乳化剤、緩衝剤、防腐剤、甘味料、香味料、懸濁剤、増粘剤、着色料、粘度調節剤、安定化剤、または浸透圧調節剤を含んでもよい。経口投与のための液体ビヒクルの適切な例としては、例えば、水(部分的には、上記のような添加物、例えば、セルロース誘導体、好ましくはカルボキシメチルセルロースナトリウム溶液を含む)、アルコール(一価アルコールおよび多価アルコール、例えば、グリコールを含む)およびそれらの誘導体、ならびにオイル(例えば、分画ココナツ油およびラッカセイ油)が挙げられる。
【0126】
本発明の薬学的組成物は、規定量の難消化性オリゴ糖を含有する単位剤形の形態で提示されてもよい。このような単位剤形は好ましくは、所望のレベルの生物学的活性を達成するように選択される。
【0127】
一態様では、本発明の薬学的組成物は好ましくは、経口投与のために、例えば、各々が規定量の難消化性オリゴ糖および適切な薬学的に許容される担体もしくは希釈剤を含有する錠剤またはカプセルの形態で、別個の単位として調合されてもよい。
【0128】
あるいは、この難消化性オリゴ糖は、カプセルへ組み込むための粉末、顆粒または半固体として調合されてもよい。半固体の形態の提示のために、難消化性オリゴ糖は、粘稠液もしくは半固体のビヒクル、例えば、ポリエチレングリコール、または液体担体、例えば、グリコール(例えば、プロピレングリコールまたはグリセロール)または植物油もしくは魚油(例えば、オリーブ油、ヒマワリ油、サフラワー油、月見草油、ダイズ油、タラ肝油、ニシン油などから選択される油)中に溶解されてもまたは懸濁されてもよい。次いで、この組成物は、硬ゼラチン型または軟ゼラチン型のいずれのカプセル中に充填されてもよいし、または硬性もしくは軟性のゼラチン等価物から作製されてもよく、軟ゼラチンもしくはゼラチン等価カプセルは、粘稠液または半固体の充填のために好ましい。
【0129】
この難消化性オリゴ糖はまた、適切な液体担体中へ溶解または懸濁するための粉末として調合されてもよい。
【0130】
難消化性オリゴ糖の粉末型は、任意の適切な方法、例としては、例えば、凍結乾燥または噴霧乾燥によって調製されてもよく、典型的には、例えば、所望の優良医薬品製造基準(Good Manufacturing Practice)(GMP)によって合成された市販の供給源から入手可能である。
【0131】
難消化性オリゴ糖の粉末型は、長期間にわたって腸へ難消化性オリゴ糖が取り込まれて放出され得る、徐放性のカプセルまたはデバイスに組み込まれてもよい。
【0132】
難消化性オリゴ糖はまた、マイクロカプセル化されてもよい。例えば、カプセル化は、アルギン酸カルシウムゲルカプセル形成によってもよい。κ−カラギナン、ジェランガム、ゼラチンおよびデンプンを、マイクロカプセル化のための賦形剤として用いてもよい。
【0133】
別の態様では、本発明の薬学的組成物は、局所投与のため、例としては、例えば、治療を要する領域での、被験体の皮膚への直接投与のために、調合され得る。
【0134】
局所投与のための薬学的組成物は、例えば、溶液、クリーム、軟膏、ゼリー、ゲル、スプレー、泡状物、粉末、リポソームまたは水溶液もしくは油性溶液または懸濁液の形態であってもよい。適切な希釈剤および担体としては、例えば、ピーナツ油、水、ヤシ脂肪酸エチル、ヤシ脂肪酸オクチル、ポリオキシエチレン化硬化ヒマシ油、流動パラフィン、イソプロパノール、グリセロール、プロピレングリコール、パラフィン、セルロース、パラベン、ステアリルアルコール、ポリエチレングリコール、イソプロピルミリステートおよびフェノキシエタノールが挙げられる。
【0135】
頭皮に対する局所適用の場合、薬学的組成物はシャンプーとして調合されてもよい。皮膚に対する局所適用の場合、薬学的組成物は、浴槽水などのような洗浄水に対する添加物として(例えば、浴槽またはシャワーのゲルまたはクリームの形態で)調合されてもよい。局所投与のためのこのような薬学的組成物はさらに、化粧品における使用のためにも適切である希釈剤または担体を含んでもよい。
【0136】
皮膚に対する適用による局所投与のための薬学的組成物はさらに、モイスチャーおよび日焼け(止め)ローションおよびクリームを含んでもよい。
【0137】
皮膚に対する適用による局所投与のための薬学的組成物の場合、希釈剤または担体は好ましくは、皮膚障壁を横切る活性成分の輸送を補助するために選択され、皮膚のケラチン層を通過し得るものである必要がある場合がある。この目的のために適切な希釈剤/担体の例としては限定するものではないが以下が挙げられる:ジメチルスルホキシドおよび酢酸。多くの方法が、局所適用のための薬学的組成物の調製について公知である。例えば、難消化性オリゴ糖は、本明細書において考察されるような公知の担体物質と混合されてもよい。
【0138】
局所投与のために適切な薬学的組成物はさらに、公知の化学的吸収促進剤を含んでもよい。吸収促進剤の例は、例えば、ジメチルアセトアミド(米国特許第3,472,931号に記載)、トリクロロエタノールまたはトリフルオロエタノール(米国特許第3,891,757号に記載)、特定のアルコールおよびそれらの混合物(英国特許第1,001,949号に記載)である。損傷のない皮膚に対する局所適用のための担体物質はまた、英国特許第1,464,975号に記載されており、これは、40〜70%(容積/容積)のイソプロパノールおよび0〜60%(容積/容積)のグリセロールを含む溶媒と、もしあればバランス(溶媒の総容積の40%を超えない希釈剤の不活性な構成要素である)とからなる担体材料を開示している。
【0139】
あるいは、当業者によって理解されるとおり、投与は、局所注射、例えば、皮内注射によって達成され得る。
【0140】
あるいは、当業者はまた、局所投与が、皮膚に対する適切な物質からの拡散または適切な物質を通した拡散によって達成され得、すなわち、ここではこの難消化性オリゴ糖が、皮膚との接触の際に皮膚に対する放出のための物質に放出可能に含まれるかまたは加えられると認識している。例えば、適切な物質を衣類、好ましくは、例えば:手袋、ソックス、またはタイツを含むがこれに限定されない皮膚との直接接触の衣類の形態で提供してもよく、これによって被験体がこの衣類を装着したとき、皮膚との接触が達成される。このような衣類の適切な例は、例えば、米国特許第5,614,202号に開示され、その特定の教示は参照によって本明細書に援用される。
【0141】
難消化性オリゴ糖は、治療上有効な量で薬学的組成物中に存在する。「治療上有効な量」とは、難消化性オリゴ糖(例えば、本明細書に記載されるような薬学的組成物中に含まれる)の任意の量であって、難消化性オリゴ糖が有効である障害に罹患している被験体に投与された場合、その障害の予防、軽減、緩解および/または退行を生じる量である。
【0142】
単回投与剤形を生じるための薬学的に許容される希釈剤または担体と組み合わされる、治療上有効な量の難消化性オリゴ糖は、必然的に、医薬の周知の原理に従い、治療される障害(例えば、過剰増殖性の皮膚の障害)の性質および重篤度、治療される特定の患者、ならびに投与の特定の経路に依存して変化する。例えば、ヒトに対する経口投与のために調合される組成物は一般には、約0.5mg〜7gの活性成分を含む。好ましくは、ヒトに対する経口投与のために調合される組成物は、0.1g〜7gの難消化性オリゴ糖を活性成分の形態で含む。さらに好ましくは、ヒトへの経口投与のために調合される組成物は、1g〜7gの活性成分を含む。最も好ましくは、ヒトへの経口投与のために調合される組成物は一般には、2.5g〜5gの活性成分を含む。全ての場合に、組成物は、総組成物の重量あたり5〜98パーセントで変化し得る、適切かつ便利な量の希釈剤/単体と配合されてもよい。
【0143】
典型的には、経口投与のための単位剤形、例えば、錠剤およびカプセルは、0.5mg〜1g(例えば、0.5mg〜0.5g)の難消化性オリゴ糖を活性成分として含む。例えば、経口投与のための錠剤およびカプセルなどの単位剤形は好ましくは、0.2g〜1gを含み得る。さらに好ましくは、経口投与のための錠剤およびカプセルなどの単位剤形は、0.2g〜0.5gの難消化性オリゴ糖を活性成分として含んでもよい。
【0144】
典型的には、粉末または液体型などの経口投与のための単位剤形(例えば、難消化性オリゴ糖が、薬学的に許容される液体ビヒクル中に溶解または懸濁される)は、1g〜40gの難消化性オリゴ糖を活性成分として含む。
【0145】
典型的には、局所投与のための組成物(例えば、クリーム)は、0.5〜80%を含む。さらに好ましくは、局所投与のための組成物(例えば、クリーム)は、0.5〜50%を含む。しかし、最も好ましくは、局所投与様の組成物(例えば、クリーム)は、総組成物の1〜25質量%の難消化性オリゴ糖を活性成分として含む。
【0146】
本発明の薬学的組成物は、当該分野で周知の従来の薬学的希釈剤または担体を用いて従来の手順によって得てもよい。本発明の薬学的組成物は、本明細書に記載されるような任意の用途のために提供され得る。本発明の薬学的組成物は、本明細書で考察されるような被験体中の増殖性、特に過剰増殖性の皮膚障害(例えば、乾癬)の予防および/または治療のために提供され得る。
【0147】
本発明によれば、被験体において抗増殖性効果を生じさせる使用のための薬学的組成物も提供され、この薬学的組成物は、治療上有効な量の難消化性オリゴ糖を活性成分として含む。被験体における抗増殖性効果を生じさせる使用のための薬学的組成物の製造における難消化性オリゴ糖の使用また提供される。
【0148】
本発明によれば、それを必要とする被験体において抗増殖性効果を生じさせる方法もまた提供され、この方法は、この被験体に対して治療上有効な量の難消化性オリゴ糖を活性成分として含む薬学的組成物の治療上有効な量を投与する工程を包含する。
【0149】
本発明によれば、被験体における過剰増殖効果を阻害するために使用される薬学的組成物もまた提供され、この薬学的組成物は、治療上有効な量の難消化性オリゴ糖を活性成分として含む。被験体において過剰増殖を阻害するための薬学的組成物の製造における難消化性オリゴ糖の使用もまた提供される。
【0150】
本発明によれば、それを必要とする被験体において過剰増殖を阻害する方法も提供され、この方法は、この被験体に対して、治療上有効な量の難消化性オリゴ糖を活性成分として含む治療上有効な量の薬学的組成物を投与する工程を包含する。
【0151】
本発明によれば、被験体における表皮の過剰増殖効果を阻害するための薬学的組成物の使用も提供され、この薬学的組成物は、治療上有効な量の難消化性オリゴ糖を活性成分として含む。被験体における表皮の過剰増殖を阻害するための薬学的組成物の製造における難消化性オリゴ糖の使用もまた提供される。
【0152】
本発明によれば、それを必要とする被験体における表皮の過剰増殖を阻害する方法も提供され、この方法は、この被験体に対して、治療上有効な量の難消化性オリゴ糖を活性成分として含む治療上有効な量の薬学的組成物を投与する工程を包含する。
【0153】
本発明によれば、被験体におけるケラチン生成細胞過剰増殖効果を阻害するための薬学的組成物の使用もまた提供され、この薬学的組成物は、治療上有効な量の難消化性オリゴ糖を活性成分として含む。被験体においてケラチン生成細胞過剰増殖を阻害するための薬学的組成物の製造における難消化性オリゴ糖の使用もまた提供される。
【0154】
本発明によれば、それを必要とする被験体においてケラチン形成細胞過剰増殖を阻害する方法も提供され、この方法は、この被験体に対して、治療上有効な量の難消化性オリゴ糖を活性成分として含む治療上有効な量の薬学的組成物を投与する工程を包含する。
【0155】
本発明によれば、被験体の増殖性、特に過剰増殖性の皮膚障害の予防および/または治療における使用のための薬学的組成物も提供され、この薬学的組成物は、治療上有効な量の難消化性オリゴ糖を活性成分として含む。増殖性、特に過剰増殖性の皮膚障害の予防および/または治療における使用のための薬学的組成物の製造における難消化性オリゴ糖の使用も提供される。
【0156】
本発明によれば、それを必要とする被験体の増殖性、特に過剰増殖性の皮膚障害を予防および/または治療する方法もまた提供され、この方法は、この被験体に対して、治療上有効な量の難消化性オリゴ糖を活性成分として含む治療上有効な量の薬学的組成物を投与する工程を包含する。
【0157】
本発明によれば、被験体における乾癬(特に尋常性乾癬)の予防および/または治療における使用のための薬学的組成物もまた提供され、この薬学的組成物は、治療上有効な量の難消化性オリゴ糖を活性成分として含む。乾癬(特に尋常性乾癬)の予防および/または治療のための薬学的組成物の製造における難消化性オリゴ糖の使用もまた提供される。
【0158】
本発明によれば、それを必要とする被験体において乾癬(特に尋常性乾癬)を予防および/または治療する方法もまた提供され、この方法は、この被験体に対して、治療上有効な量の難消化性オリゴ糖を活性成分として含む治療上有効な量の薬学的組成物を投与する工程を包含する。
【0159】
本明細書に記載される難消化性オリゴ糖は、栄養製品または栄養補助食品として被験体への投与のために調合され得る。このような製品は主食としておよび臨床要求があり得る環境下で用いられ得る。例えば、この製品は、ペットの食料品として用いられ得る。
【0160】
従って、治療上有効な量の難消化性オリゴ糖(活性成分として)を含む栄養製品(または栄養補助食品)が提供される。
【0161】
本発明の栄養製品(または栄養補助食品)は、本明細書に記載される任意の使用のために提供され得る。本発明の栄養製品(または栄養補助食品)は、本明細書で考察されるように、被験体における増殖性、特に過剰増殖性の皮膚の障害(例えば、乾癬、特に尋常性乾癬)を予防および/または治療するために提供され得る。
【0162】
本発明によれば、被験体における抗増殖性効果を生じさせるために使用される栄養製品(または栄養補助食品)もまた提供され、ここでこの薬学的組成物は、治療上有効な量の難消化性オリゴ糖を活性成分として含む。被験体において抗増殖性効果を生じさせるための栄養製品(または栄養補助食品)の製造における難消化性オリゴ糖の使用もまた提供される。
【0163】
本発明によれば、それを必要とする被験体において抗増殖性効果を生じさせる方法もまた提供され、ここでこの方法は、この被験体に対して、治療上有効な量の難消化性オリゴ糖を活性成分として含む、治療上有効な量の栄養製品(または栄養補助食品)を投与する工程を包含する。
【0164】
本発明によれば、被験体における過剰増殖効果を阻害するために使用される栄養製品(または栄養補助食品)もまた提供され、ここでこの薬学的組成物は、治療上有効な量の難消化性オリゴ糖を活性成分として含む。被験体において過剰増殖を阻害するのにおける使用のための栄養製品(または栄養補助食品)の製造における難消化性オリゴ糖の使用もまた提供される。
【0165】
本発明によれば、それを必要とする被験体において過剰増殖を阻害する方法もまた提供され、ここでこの方法は、この被験体に対して、治療上有効な量の難消化性オリゴ糖を活性成分として含む、治療上有効な量の栄養製品(または栄養補助食品)を投与する工程を包含する。
【0166】
本発明によれば、被験体における表皮の過剰増殖効果を阻害するために使用される栄養製品(または栄養補助食品)もまた提供され、ここでこの薬学的組成物は、治療上有効な量の難消化性オリゴ糖を活性成分として含む。被験体において表皮の過剰増殖を阻害するために使用される栄養製品(または栄養補助食品)の製造における難消化性オリゴ糖の使用もまた提供される。
【0167】
本発明によれば、それを必要とする被験体において表皮の過剰増殖を阻害する方法もまた提供され、ここでこの方法は、この被験体に対して、治療上有効な量の難消化性オリゴ糖を活性成分として含む、治療上有効な量の栄養製品(または栄養補助食品)を投与する工程を包含する。
【0168】
本発明によれば、被験体におけるケラチン生成細胞の過剰増殖効果を阻害するために使用される栄養製品(または栄養補助食品)もまた提供され、ここでこの薬学的組成物は、治療上有効な量の難消化性オリゴ糖を活性成分として含む。被験体においてケラチン生成細胞の過剰増殖を阻害するために使用される栄養製品(または栄養補助食品)の製造における難消化性オリゴ糖の使用もまた提供される。
【0169】
本発明によれば、それを必要とする被験体においてケラチン生成細胞の過剰増殖を阻害する方法もまた提供され、ここでこの方法は、この被験体に対して、治療上有効な量の難消化性オリゴ糖を活性成分として含む、治療上有効な量の栄養製品(または栄養補助食品)を投与する工程を包含する。
【0170】
本発明によれば、被験体の増殖性、特に過剰増殖性の皮膚障害の予防および/または治療のために使用される栄養製品(または栄養補助食品)が提供され、ここでこの薬学的組成物は、治療上有効な量の難消化性オリゴ糖を活性成分として含む。増殖性、特に過剰増殖性の皮膚の障害の予防および/または治療のために使用される栄養製品(または栄養補助食品)の製造における難消化性オリゴ糖の使用もまた提供される。
【0171】
本発明によれば、それを必要とする被験体の増殖性、特に過剰増殖性の皮膚障害の予防および/または治療の方法もまた提供され、ここでこの方法は、この被験体に対して、治療上有効な量の難消化性オリゴ糖を活性成分として含む、治療上有効な量の栄養製品(または栄養補助食品)を投与する工程を包含する。
【0172】
本発明によれば、被験体における乾癬(特に尋常性乾癬)の予防および/または治療のために使用される栄養製品(または栄養補助食品)もまた提供され、ここでこの薬学的組成物は、治療上有効な量の難消化性オリゴ糖を活性成分として含む。乾癬(特に尋常性乾癬)の予防および/または治療のために使用される栄養製品(または栄養補助食品)の製造における難消化性オリゴ糖の使用もまた提供される。
【0173】
本発明によれば、それを必要とする被験体において乾癬(特に尋常性乾癬)を予防および/または治療する方法もまた提供され、ここでこの方法は、この被験体に対して、治療上有効な量の難消化性オリゴ糖を活性成分として含む、治療上有効な量の栄養製品(または栄養補助食品)を投与する工程を包含する。
【0174】
栄養製品は任意の適切な形態、例えば、飲料または飲み物、粉末または粉末混合物、食品のバーまたは他の固体の食料品をとってもよく、さらに任意の追加の適切な成分を、難消化性オリゴ糖と共に含んでもよい。このような追加の成分は、栄養的もしくは医学的理由のために添加されても、または改良された嗜好性のために添加されてもよい。例えば、粉末の形態のような、固体型の難消化性オリゴ糖が、食品のバーのような固体の食料品(例えば、フルーツバー、ナッツバーまたはシリアルバー)に組み込まれてもよい。食品バーの形態での提示のために、粉末は、乾燥フルーツ、例えば、日干しのトマト、レーズンおよびスルタナ(レーズン)など、荒挽きのナッツまたはシリアル、例えば、オートムギおよびコムギから選択される1つ以上の成分と混合されてもよい。飲料または飲み物の形態での提示のために、粉末は、水、フルーツジュースおよび/または香味料のような任意の1つ以上の成分と混合されてもよい。粉末の形態のような難消化性オリゴ糖の固体型は、被験体による消費のための液体への添加のための任意の1つ以上のさらなる成分と(例えば、子袋のような適切な包装中で)必要に応じて混合されてもよい。
【0175】
栄養製品中の治療上有効な量の難消化性オリゴ糖は、薬学的組成物に関して、特に経口投与のために調合される薬学的組成物に関して、上記されるとおりであり得る。
【0176】
好適な栄養製品は以下を含んでもよい:
(a)透明な、低粘度の、水様の、安定な、すぐ使える(ready−to−use)、瓶詰めの、炭酸飲料もしくは非炭酸飲料;または再構成用の濃縮透明液(難消化性オリゴ糖を含有する);
(b)水または他の経口の摂取可能な液体と、飲用可能な液体として再構成される粉末/顆粒混合物(難消化性オリゴ糖を含有する);
(c)食料品(例えば、食物バーなど)中に混合される粉末/顆粒混合物。
【0177】
当業者に公知の従来の手順を用いて、難消化性オリゴ糖を含む、液体飲料、粉末混合物および食料品の形態などのような栄養製品または栄養補助食品を作製してもよい。
【0178】
例えば、一日用量のような、被験体によって必要とされる活性成分の量は、生物学的活性およびバイオアベイラビリティによって決定するが、これは今度は、処方物、投与方式、活性成分の物理化学的特性および活性成分が単独療法として用いられているかまたは併用療法として用いられているかに依存する。一般には、ヒトの成人の一日用量は、0.1g〜40gの活性成分である(ただし調合されて)。さらに好ましくは、ヒトの成人の一日用量は、1g〜30gでなければならない。例えば、必要に応じて5g、10gまたは15gである。
【0179】
投与頻度もまたは、上述の要因および特には治療されている被験体内の活性成分の半減期によって影響される。例えば、半減期は、被験体の健康状態、腸運動性および他の要因によって影響される。
【0180】
一日用量は、単回投与として与えられてもよい(例えば、一日用の錠剤、カプセルもしくは液体懸濁物として、または経口消費のための栄養製品として)。あるいは、用量は、1日の間に2回以上与えられてもよい。
【0181】
本発明の薬学的組成物または栄養製品は、単独療法として与えられてもよく、または上記で考察されるような従来の治療と組み合わせて与えられてもよい。例えば、本発明の薬学的組成物または栄養製品は、上記で考察されるような狭帯域のUVB光線療法などの光線療法と組み合わせて与えられてもよい。
【0182】
本発明の活性成分および/または薬学的組成物および/または栄養製品(または栄養補助食品)が投与される「被験体」とは、動物であって、これには哺乳動物および鳥類を包含する。詳細には、被験体は、温血動物、例えば、家畜またはヒト、特にヒトであるものとする。
【0183】
増殖性、特に過剰増殖性の障害について治療されるべき被験体は、その障害について標準的な診断技術によって特定され得、この診断技術は、当業者に周知である。
【0184】
本明細書に用いられる用語の難消化性オリゴ糖とは、2つ以上の糖単位から構成される低分子量炭水化物である。1つ以上の難消化性オリゴ糖類を、本明細書で考察されるような本発明の使用、調製および方法で用いてもよい。
【0185】
好ましくは、難消化性オリゴ糖は、2〜60個の糖単位を含む。さらに好ましくは、この難消化性オリゴ糖は、2〜35個を含む。最も好ましくは、この難消化性オリゴ糖は、2〜10個の糖単位を含む。難消化性オリゴ糖類は、糖単位、フルクトース、キシロース、グルコース、ガラクトースまたはマルトースを含んでもよい。
【0186】
詳細には、この難消化性オリゴ糖は、以下を含む群のうちの1つ以上から選択され得る:オリゴフルクトース、イヌリン、ガラクトオリゴ糖類、グリコシルスクロース、ガラマルトトリオース、ラクツロース、マルトオリゴ糖類、スタキオースおよびラフィノース。しかし、最も具体的には、この難消化性オリゴ糖は、オリゴフルクトースである。オリゴフルクトースはまた、時に、フルクトオリゴ糖類またはオリゴフルクタンとも呼ばれる。
【0187】
オリゴフルクトース、ラクツロースおよびラフィノースの構造の誤解を避けるために、以下を示す:
【0188】
【化1】

【0189】
【化2】

【0190】
ここでnは、重合化の程度として公知であり、かつnは典型的には2〜10、例えば、2〜4などである。
【0191】
【化3】

【0192】
ラフィノースは、ガラクトース、フルクトースおよびグルコースから構成される三糖である。これは、マメ、キャベツ、芽キャベツ、ブロッコリー、アスパラガス、他の植物および全粒粉の中に見出すことができる。ラフィノースは、ヒトの消化管には見出されない酵素α−ガラクトシダーゼ(α−GAL)によってD−ガラクトースおよびスクロースに加水分解され得る。この酵素は、ラクトースのように、β結合したガラクトースを切断しない。
ラフィノースファミリーのオリゴ糖類(RFO類)は、スクロースのα−ガラクトシル誘導体であって、最も一般的には、三糖ラフィノース、四糖スタキオースおよび五糖ベルバスコースである。RFO類は植物界でほぼ偏在性であって、多くの異なる科の広範な種々の種子に見出される。
ヒトおよび他の単胃動物(ブタおよび鳥類)は、RFO類を破壊するα−GAL酵素を保有せず、これらのオリゴ糖は、胃および腸上部を未消化のまま通過する。
【0193】
難消化性オリゴ糖類は天然に生じ、天然の供給源から容易に入手可能である。オリゴ糖類のさらなる例としては以下が挙げられる:ガラクトオリゴ糖類およびマンナンオリゴ糖類。
【0194】
難消化性オリゴ糖類は、周知の手順を用いて天然の供給源から単離され得る。難消化性オリゴ糖類は、例えば、限定するものではないが以下のような任意の適切な供給源などから単離され得る:ニンニク、タマネギ、アスパラガス、アーティチョークおよびチコリ。天然の供給源からの単離の際、得られる難消化性オリゴ糖類は、追加の糖類(例えば、天然の糖類、例えば、グルコース、フルクトースおよび/またはスクロース)などの追加成分を含んでもよく、種々の重合化程度の成分を含んでもよい。このような追加の糖を含むかおよび/または種々の重合化程度を有する難消化性オリゴ糖類を、本発明で用いてもよく、ただし、それらは、本明細書に考察されるような所望の抗増殖性効果をもたらすものである。典型的には、難消化性オリゴ糖類は、このような追加の成分を最大40質量%まで含んでもよい。適切なオリゴフルクトース類の例としては、Orafti(登録商標)L60、Orafti(登録商標)L85、Orafti(登録商標)L95、Orafti(登録商標)P95およびOrafti(登録商標)Synergy1が挙げられる。
【0195】
難消化性オリゴ糖類に対する本明細書における言及には、全ての可能なジアステレオマーを包含する。
【0196】
難消化性オリゴ糖類は、固体または半固体として、好ましくは粉末として提供され得る。
【0197】
さらに、本明細書に記載の難消化性オリゴ糖類に関しては、この難消化性オリゴ糖類の誘導体もまた用いられ得る。適切な誘導体としては、その塩を包含し、これには薬学的に許容される塩を含む。さらに、ヒトを含めてほとんどの哺乳動物には消化できない2結合のフルクトース単位を含むジフルクトース無水物も用いてもよい。適切なジフルクトース無水物としては、ジフルクトース無水物IIIおよびジフルクトース無水物IVが挙げられる。ジフルクトース無水物IIIは、イヌリンから生成される難消化性二糖であり、下の構造のものである。
【0198】
【化4】

【実施例1】
【0199】
細胞培養
ヨーロッパ細胞培養コレクション(European cell Culture collection)(ECACC番号86010202,Porton Down,UK)から入手したCaco−2細胞を、高グルコース(4.5g/l)、10%ウシ胎仔血清、2Mmグルタミン、1%非必須アミノ酸および50IU/mlのペニシリン/50μg/mlのストレプトマイシン(Invitrogen,Paisley,UK)含有のダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中で維持した。これらの細胞(継代41〜50)を、75cmのT−フラスコ(Fisher,UK)中で、37℃で5%のCO中で、一定湿度の環境で、1週に培地を3回置き換えて培養した。単層が80%コンフルエンシーの領域に達した時、0.05%のトリプシン/0.02%のEDTAを用いて1:10の分割比で分割した。
【0200】
ラットの表皮のケラチン生成細胞(REK)は、パソネン(Pasonen)教授(University of Kupoi,Finland)から贈呈された。REKは、慣用的に、10%ウシ胎仔血清、(HyClone,Logan,UT,USA)、4mMのL−グルタミン(Sigma,St.Louis,MO,USA)および50μg/mlの硫酸ストレプトマイシンおよび50U/mlのペニシリン(Sigma)を含む最小必須培地MEM(LifeTechnologies LTD,Paisley,Scotland)中で、37℃で湿度95%空気/5%CO中で増殖した。REKが80%コンフルエンシーに達した時、継代培養し、0.05%のトリプシン/0.02%のEDTAを用いて1:10の比で分割した。
【0201】
経上皮電気抵抗の測定
経上皮電気抵抗(TEER)は、細胞の単層を横切る電気抵抗を測定することを包含する。電気抵抗は、単層がイオンを透過させる程度の指標であり、従って、密着結合完全性の代用として用いることができる。抵抗が高ければ、密着結合が閉じていることを示し、その逆もまた同様である。
【0202】
Caco−2細胞を、0.4μMという平均細孔サイズを有するTranswell(商標)ポリカーボネート細胞培養インサート(Costar)上に3×105細胞/cmで播種し、実験に用いる前に21日間増殖するか、または経上皮抵抗(TEER)が安定になるまで増殖した。TEERは、チョップスティック(Chopstick)電極を取り付けたEvometer(World Precision Instruments,Hertfordshire,UK)を用いてモニターした。TEERは、単層の領域によって正規化し、ブランクのフィルターのバックグラウンドのTEERを細胞単層のTEERから差引きした。細胞を24時間無血清培地に入れた後、難消化性オリゴ糖であるオリゴフルクトースを添加した。
【0203】
難消化性オリゴ糖類による細胞の処理
REKおよびCaco−2細胞を、無血清培地中に24時間置いて、次に種々の濃度および/または時間で難消化性オリゴ糖で処理した。難消化性オリゴ糖を、水中のストック溶液として1モル(M)の濃度で調製した。陰性コントロールのスクロースを同様に処理した。
【0204】
高含量スクリーニングのための細胞調製
高含量スクリーニングによって、プロテインキナーゼC(これは活性化されると細胞内で移動する)の活性を観察する。プロテインキナーゼCの活性は、多数の細胞活性を変更し得る細胞内のシグナル伝達カスケードの開始点である。細胞調節因子PKCの活性によって、多くの細胞活性が難消化性オリゴ糖類に応答して変更されることが示唆される。caco−2細胞は、96ウェルプレート上で100%コンフルエントまで増殖させた。実験前に、細胞を無血清培地(SFM)でインキュベートして、インキュベーター内に一晩置いた。翌日、細胞を、オリゴフルクトース(50mMまたは100mM)またはメリビオース(50mMまたは100mM)のいずれかで5分、10分、20分、40分または60分間処理した。全ての実験を三連で行った。同様に、コントロールとしてある程度の細胞を、難消化性オリゴ糖類と同じ時間、50mMまたは100mMのいずれかのスクロースで処理した。この後、2%のホルムアルデヒドを室温で20分間細胞上に置いた。次いで、この細胞をPBSで2回洗浄して、実験のために100μlのPBS溶液とともに置いた。次いで細胞を、プロテインキナーゼC(PKC)に対して惹起された蛍光抗体でチャレンジして、プレート読み取り蛍光顕微鏡を用いる高含量スクリーニング(High Content Screening)(HCS)によって分析した。プレート読み取りベースの蛍光顕微鏡によって、目的のいくつかの抗原について染色された細胞の迅速な獲得および定量が可能になり、それによって、シグナル伝達事象、例えば、リン酸化反応および/または細胞内タンパク質再分配を多様性解析で定量することが可能になる。高含量スクリーニング(High Content Screening)(HCS)によって、染色強度の定量、および画像データをグラフ形式に変換することを可能にする細胞内局在パターンが可能になる。高含量スクリーニング(HCS)は、Imagen Biotech Ltd.によって行った。
【0205】
細胞増殖アッセイ
REK細胞を、1ウェルあたり3000個の細胞で96ウェルプレートにプレートした。24時間後、この細胞を、5%のウシ胎仔血清(FBS)および50mMの難消化性オリゴ糖を含有する培地中に入れた。この細胞を4日間増殖させ、次いで細胞数を、製造業者の指示に従ってCelltitre 96(商標)アッセイ(promega)を用いて測定した。
【0206】
ヒト皮膚でのKI67/TUNEL染色
ヒト皮膚は、顔のシワ取りのための待機手術を受けている同意したボランティアから得た。皮膚は、最大7日間まで臓器培養液中で維持し、オリゴフルクトースで処理した。次いで組織を「急速(snap)」凍結し、薄片にして、増殖マーカーについて適切な抗体Ki67、またはアポトーシスのマーカーTUNELで染色した。
【0207】
結果
オリゴフルクトースは、caco−2細胞の単層において経上皮電気抵抗を低下した。
Tanswell(商標)フィルター上で増殖しているcaco−2単層を50mMのオリゴフルクトースまたは同じ濃度のスクロースを用いて、先端面に対してオリゴフルクトースまたはスクロースを添加することによって処理した。TEER測定は、未処理のコントロールの測定とともに2時間行った。その結果を図1に示しており、これによって、コントロールの単層のTEER測定が、スクロースのコントロールと同様にこの期間の間、影響されていないままであることが示される。しかし、TEER測定は、難消化性の多糖での処理によって有意に減少された。オリゴフルクトースは、TEERを出発値の約35%まで低下した。TEERの低下は、難消化性多糖が先端面に添加された場合にのみ生じた。基底面の処理は、細胞に影響を有さなかった。TEERの減少によって、細胞は、難消化性オリゴ糖類を認識すること、および密着結合が開放されることが示される。
【0208】
難消化性多糖類の、Caco−2細胞におけるPKCシグナル伝達の誘導
96ウェルプレート上で増殖しているコンフルエントなcaco−2細胞を、5分〜60分の間で変化する時間にわたりスクロースまたはオリゴフルクトースでチャレンジした。高含量のスクリーニング、(抗体を用いて細胞質から細胞内の膜への重要なタンパク質の移動をモニターする蛍光ベースの技術)を用いて、プロテインキナーゼC(PKC)の動きを、オリゴフルクトース添加の数分以内に観察した。
【0209】
図3に示されるグラフによって、オリゴフルクトースの結果が示され、染色の平均膜強度における4倍を超えるベースラインの増大が示される。
【0210】
図4に示すグラフは、スクロースの結果を示しており(これは、難消化性オリゴ糖ではない)、かつスクロースがcaco−2細胞の膜でPKC染色強度になんら変化を誘発しないことを示す。
【0211】
難消化性多糖類は、ケラチン生成細胞増殖を阻害
96ウェルプレート中で増殖するラット表皮のケラチン生成細胞を、50mMの難消化性オリゴ糖を含有する血清減少(5%)培地に供し、次いで4日間インキュベートした。細胞増殖は、Celltitre96を用いてモニターした。
【0212】
オリゴ糖、オリゴフルクトースについての結果を図5に示しており、これによって、オリゴフルクトースはケラチン生成細胞増殖を阻害するが、スクロースは阻害しないことが示される。オリゴフルクトースで処理したサンプルでは、コントロールと比較して試験した最高濃度で、細胞が約50%少なかった。
【0213】
難消化性オリゴ糖は、LDH(乳酸脱水素酵素)放出についてコンフルエントな単層を試験することによって、用いた濃度で細胞に対して毒性ではないこともまた示された。LDHは、細胞が損傷されないことを示すために測定される酵素である。その結果を図7に示しており、これによって、用いられる任意の濃度で、任意の難消化性オリゴ糖(NDS)(例えば、オリゴフルクトース)についてベースラインのレベルを超えるLDH放出は検出されなかったことが示される。
【0214】
結論
上記で考察されるデータによって、難消化性オリゴ糖類は、モデル腸細胞と直接相互作用し、その活性に変化をもたらすことが示される。caco−2細胞に対する難消化性オリゴ糖類添加の5分内に、ベースラインを上回って膜でのPKC染色の強度における約4倍の増大が観察された。活性化の際に、PKCは、原形質膜に遊走し、ここでPKCは、それらを通常はリン酸化することによって他のタンパク質と相互作用する。従って、膜に対する移動は、PKC活性化の代用である。これによって、難消化性オリゴ糖類は、caco−2細胞におけるPKCの活性化を誘導し得ることが示唆される。難消化性オリゴ糖類に応答するcaco−2細胞における密着結合の開放もまた観察された。最初の測定は、治療の1時間後に行い、これによって、密着結合開放の代用であるTEERは、ベースラインのレベルの約40%まで低下されることが示された。2時間まで、TEERは、さらにわずかに低下された。後の時点で、さらなる減少は明らかにならず、これによって、密着結合開放が2時間までに最大となったことが示唆される。消化性糖類、スクロースは、密着結合を開放することもなく、PKC活性を誘発することもなく、このことは、これらの効果が難消化性オリゴ糖類に特異的であることを示唆する。
【0215】
細胞数の有意な減少が、難消化性オリゴ糖類で処理された表皮のケラチン生成細胞のサンプルで観察されたが、スクロースでは観察されなかった。難消化性オリゴ糖類は、細胞に対して毒性ではなく、従って、難消化性オリゴ糖類は、ケラチン生成細胞での細胞増殖を阻害し得るとの結論に達した。細胞増殖に対する効果は、用量依存性であって、難消化性オリゴ糖の濃度を増大させると増殖はさらに強力に阻害された(図5および図6に示されるとおり)。
【0216】
このデータによって、難消化性オリゴ糖類が、腸細胞およびケラチン生成細胞の両方と直接相互作用して基本的な細胞機能を変更し得ることが示唆される。
【実施例2】
【0217】
ヒト皮膚に対するオリゴフルクトースの直接効果を検討するために、新鮮なヒト皮膚エキソビボ系を用いる。1、2および3週の培養期間にわたって、オリゴフルクトースを、待機的形成外科手術でインフォームドコンセントを得た被験体で得た、顕微解剖した全層ヒト皮膚断片(既定の容積の3mmの穿孔)に与えた。
【0218】
皮膚断片の端部は、(外傷誘発性の)過剰増殖性状態にあり、増殖マーカーKi67の定量的免疫組織形態計測を用いる抗増殖性測定を促進する。このバイオマーカーを用いて、オリゴフルクトースの抗増殖性効果を評価する。表皮のケラチン生成細胞に対するオリゴフルクトースのアポトーシス促進効果は、TUNELアッセイを用いて評価し、このアッセイは、市販のアッセイキットを用いて行う(Gavrieli Y、Sherman Y、Ben−Sasson SA、J.Cell Biol.,1992,Nov,119(3),493−501に記載される)。
【0219】
定量的免疫蛍光を用いて上皮内の密着結合調節についてオリゴフルクトースの有効用量を測定する。これによって、難消化性オリゴ糖処理および密着結合調節についての原理の機構的証明が得られる。組織学によって、皮膚曝露後に誘発される中期および長期の形態学的変化が示される。
【0220】
用量応答プロフィールは、有効性;細胞増殖および細胞死に基づいて確立される。
【実施例3】
【0221】
臨床研究の計画
臨床研究のために、乾癬のプラークに加えられた物質がそれらの特徴を変化するか否かを評価するためにデザインされている、Scholtz−Dumasバイオアッセイと呼ばれる技術を用いた。この研究では、少量のクリームを、14日の間に6回、小面積(約2cm)の患者の皮膚に対して、種々の量の天然に存在する難消化性オリゴ糖類を含有するテンプレートにまたがって適用した。クリームはまた、難消化性オリゴ糖類の存在なしに適用し、また乾癬に対して有効であることが公知の軽度のステロイドを含むクリームもコントロールとして適用した。2セットの反復適用を行った;1セットは、被覆(閉塞)して天然に存在する化合物の皮膚への浸透を最大にし、他のセットは被覆しないままにした。
【0222】
この研究は、ヘルシンキ宣言(Declaration of Helsinki)および臨床治験実施基準(Good Clinical Practice)によって行った。軽度から中度の安定な慢性尋常性乾癬を有する地方の成人(18歳を超える)患者を募集した。除外基準は以下のとおりであった;18歳未満、妊娠または授乳、肝疾患、自然または人工のUVRへの曝露、疾患または投薬に起因する免疫抑制。疾患の重篤度および治療に対する応答は、臨床重篤度の確立された指標:乾癬の範囲と重症度インデックス(psoriasis area severity index)(PASI)および皮膚の状態に関するアンケート(dermatology life quality index DLQI)(これは、患者の生活の満足感に対する疾患の影響を評価する)を用いて定量した。ScholtzおよびDumasに記載されるプラークバイオアッセイ(ここでは種々の濃度の局所的調製物を個体のプラークに対して閉塞下のFinnチャンバに適用する)を、オープンの投与量設定試験で用いた(Katzら、2000)。対称的なプラークに対する局所調製物の効果の評価を、紅斑、硬結およびスケーリング(EIS)の標準の0〜12複合スコアを用いて行った。関与するおよび関与しない皮膚範囲の皮膚バリア機能を、経皮水分喪失量(TEWL)を定量するVapometer(登録商標)を用いて評価し、皮膚pHは適切な計測器を用いて測定した。患者には、研究の間、能動的な乾癬治療を中断し、非UVB吸収性エモリエントのみを用いるように求めた。医学統計学者が統計学的分析を行った。
【0223】
臨床研究の計画
第1群:局所用調製物のオープンの投与量設定試験。乾癬のための能動的局所への投薬からの2週間のウオッシュアウト期間後、クリームでの活性な範囲の用量を、12日の期間にわたって1日おきに、Scholtz−Dumasバイオアッセイ中の閉塞下の小領域の個々のプラークに適用した。各々の臨床上の来診の際、個々の領域をEISシステムを用いてスコア付けした。
【0224】
第2群:局所用の、無作為化、二重盲検、プラシーボ対照研究。2週のウオッシュアウト期間後、2群に無作為化した患者に、「LEFT」または「RIGHT」のいずれかの印を着けたパッケージ中で2つの濃度で(Scholtz−Dumasの研究によって情報を得た)、盲検の、プラシーボまたは活性のある局所用を無作為化した局所用処方物を適用した。被験体は、局所用の試験処方物を、特定されたアクセス可能な対称的プラーク上に、および各々のプラーク周囲5cmの周辺に、8週間の期間にわたって1日1回適用した。研究前および4週間の時点、および研究の終了時に、EISシステムを用いてプラークの重篤度をスコア付けした。プラークおよび周辺も、皮膚のpHおよびTEWLについて評価して、乾癬プラークに対する局所的活性の有益な影響を測定した。
【0225】
第3群および第4群:経口NDSの、無作為化、二重盲検、プラシーボ対照研究。2週間のウオッシュアウト期間後、第3群および第4群に無作為化した患者に、NDSまたはプラシーボの同一のパッケージングされたカプセル、錠剤または粉末型の小袋を与え、これを飲料中で摂取するように指示した。研究の前および4週毎に、PASI、DLQI、ならびに関与する皮膚および関与しない皮膚での皮膚pHおよびTEWLの測定を行って、疾患の重篤度および皮膚バリアの機能に対する経口治療の有益な効果を測定した。安全性は、治療期間の開始時、1カ月後および終了時に、物理的試験、および実験室の血液検査、例としては、標準の肝機能検査(LFT)、尿素および電解質(U&E)ならびに全血球数(FBC)によって評価した。下の表1は、臨床研究計画の詳細を示す。
【0226】
【表1】

【0227】
局所用の難消化性オリゴ多糖類:無作為化、二重盲検、プラシーボ対照研究
被験体には、プラシーボまたはオリゴフルクトースのいずれかの局所用処方物を提供した。全ての被験体には、4週間にわたって毎日1回、2つの対称的プラークの各々に対して活性およびプラシーボの局所用処方物を適用するようにアドバイスした。この研究の間に、プラークは、EIS(紅斑、硬結およびスケーリングの標準の格付けシステム)およびTEWLについてモニターする。プラシーボ対活性プラークに対するEISおよび皮膚TEWLの比較測定によって、疾患および皮膚バリア機能に対する局所用のオリゴフルクトースの有益な効果を測定する。
【0228】
経口の難消化性オリゴ糖類:無作為化、二重盲検、プラシーボ対照研究
被験体には、プラシーボまたはオリゴフルクトースのいずれかの固定用量を含む小袋を1日1回提供した。被験体には、シリアルにオリゴフルクトースを振りかけるかまたは、好ましくは、水に溶解して、飲料としてとるように求めた。8週後、経口治療をクロスオーバーさせて、プラシーボをとっている患者が活性剤をとるように、逆もまた同様にした。4週ごとに、比較の疾患PASI(乾癬の範囲と重症度インデックス(Psoriasis Area Severity Index))スコアおよびTEWL測定を行った。
【実施例4】
【0229】
局所投与のための典型的な軟膏は以下を含んでもよい。
【0230】
【表2】

【実施例5】
【0231】
局所投与のための典型的な軟膏は以下を含んでもよい。
【0232】
【表3】

【実施例6】
【0233】
局所投与のための典型的な軟膏は以下を含んでもよい。
【0234】
【表4】

【実施例7】
【0235】
局所投与のための典型的な軟膏は以下を含んでもよい。
【0236】
【表5】

【実施例8】
【0237】
従来の錠剤化技術によって(例えば、圧縮によって)調製され得る典型的な錠剤は以下を含んでもよい。
【0238】
【表6】

【実施例9】
【0239】
小袋に充填するために適切な自由流動性粉末処方物(5.0gのオリゴフルクトースを含む)の形態の栄養製品を調製した。この粉末混合物は、皮膚障害に罹患している被験体によって必要とされる場合、食味に希釈されて飲用されてもよい。
粉末処方物は、5.0gの粉末のオリゴフルクトースおよび0.2gの標準の香味料の噴霧乾燥混合物を混合することによって調製した。
【実施例10】
【0240】
小袋に充填するために適切な自由流動性粉末処方物(3.0gのオリゴフルクトースを含有)の形態の栄養製品を調製した。この粉末混合物は、皮膚障害に罹患している被験体によって必要とされる場合、食味に希釈されて飲用されてもよい。
【0241】
粉末処方物は、3.0gの噴霧乾燥したオリゴフルクトースと、0.5gの粉末にしたクエン酸、26.3gの顆粒化糖および0.2gの標準の香味料の噴霧乾燥混合物を混合することによって調製した。
【実施例11】
【0242】
オレンジの飲料の形態の栄養製品(3.0gのオリゴフルクトースを含有)を以下のように調製した。
(a)3.5gの凍結乾燥したオリゴフルクトース(粉末)を、100mlのオレンジジュース(あるいはオレンジジュース濃縮物および水)に溶解した。
または
(b)2.5gの凍結乾燥したオリゴフルクトース(粉末)を、100mlのオレンジジュース(あるいはオレンジジュース濃縮物および水)に溶解した。
【0243】
オレンジ飲料調製物(aまたはb)は、直ちに被験体によって消費されてもよいし、後での消費のために凍結されてもよいし、または長期の貯蔵のために瓶もしくは箱に密閉されてもよい。オレンジジュースは口当たりの良い代替物と容易に置き換えられ得ることが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験体において抗増殖性効果を生じさせるための難消化性オリゴ糖またはその塩の使用であって、該難消化性オリゴ糖が、式1で表わされ、
(式1)
[[A]−[B]]
ここで、
[A]および[B]は各々が独立して、5員または6員の糖単位であり、かつ
nが1〜10である、難消化性オリゴ糖またはその塩の使用。
【請求項2】
前記難消化性オリゴ糖がさらに、被験体における過剰増殖性を阻害し得る、請求項1に記載の難消化性オリゴ糖の使用。
【請求項3】
前記過剰増殖性が、被験体における表皮の過剰増殖性である、請求項2に記載の難消化性オリゴ糖の使用。
【請求項4】
前記過剰増殖性が、被験体におけるケラチン生成細胞過剰増殖性である、請求項2または3に記載の難消化性オリゴ糖の使用。
【請求項5】
被験体の増殖性障害の予防および/または治療のための医薬の調製における、請求項1〜5のいずれかに記載の難消化性オリゴ糖の使用。
【請求項6】
被験体の増殖性障害の予防および/または治療のための食品または飲料品の調製における、請求項1〜5のいずれかに記載の難消化性オリゴ糖の使用。
【請求項7】
被験体の過剰増殖性障害の予防および/または治療のための医薬の調製における、請求項1〜5のいずれかに記載の難消化性オリゴ糖の使用。
【請求項8】
被験体の過剰増殖性障害の予防および/または治療のための食品または飲料品の調製における、請求項1〜5のいずれかに記載の難消化性オリゴ糖の使用。
【請求項9】
前記障害が皮膚障害である、請求項5〜8のいずれかに記載の難消化性オリゴ糖の使用。
【請求項10】
前記皮膚障害が乾癬である、請求項9に記載の難消化性オリゴ糖の使用。
【請求項11】
前記糖単位[A]および[B]が各々オリゴフルクトース、ラクツロースおよびラフィノースからなる群より選択される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の難消化性オリゴ糖の使用。
【請求項12】
前記糖単位[A]および[B]が、β1−6結合によって結合される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の難消化性オリゴ糖の使用。
【請求項13】
前記難消化性オリゴ糖がオリゴフルクトースを含む、請求項11に記載の難消化性オリゴ糖の使用。
【請求項14】
前記難消化性オリゴ糖におけるnが2〜6を含む、請求項11に記載の難消化性オリゴ糖の使用。
【請求項15】
前記難消化性オリゴ糖におけるnが2〜4を含む、請求項11に記載の難消化性オリゴ糖の使用。
【請求項16】
前記難消化性オリゴ糖が、その塩の形態である、請求項1〜15のいずれかに記載の難消化性オリゴ糖の使用。
【請求項17】
前記難消化性オリゴ糖が、ジフルクトース無水物IIIおよびジフルクトース無水物IVを含む群から選択されるその誘導体の形態である、請求項1〜15のいずれかに記載の難消化性オリゴ糖の使用。
【請求項18】
前記難消化性オリゴ糖が、薬学的組成物として調合される、請求項1〜17のいずれかに記載の難消化性オリゴ糖の使用。
【請求項19】
前記難消化性オリゴ糖が、栄養製品として調合される、請求項1〜17のいずれかに記載の難消化性オリゴ糖の使用。
【請求項20】
請求項1〜19に記載される難消化性オリゴ糖を用いて調製された、薬学的組成物または栄養製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−503841(P2013−503841A)
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−527382(P2012−527382)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【国際出願番号】PCT/GB2010/001680
【国際公開番号】WO2011/027128
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(505428972)マンチェスター大学 (4)
【氏名又は名称原語表記】The University of Manchester
【Fターム(参考)】