説明

難燃剤としての環状ホスフィン

本発明は、特別な環状及び/又は高分子アリールホスフィンの難燃剤としての使用、材料にこれらの特別な環状及び/又は高分子ホスフィンを混和することによって有機材料の易燃性を減少させる方法に関する。更に本発明は、高分子材料及び高分子材料の質量に対して1〜15質量%の量で少なくとも1種の特別な環状及び/又は高分子ホスフィンを含む、高分子組成物に関する。本発明は、少なくとも1種の特別な環状及び/又は高分子ホスフィン及び少なくとも1種の重合性モノマーから成る組成物にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、難燃剤としての特別な環状及び/高分子アリールホスフィンの使用及び材料にこれらの特別な環状及び/又は高分子ホスフィンを混和することによって有機材料の易燃性を減らす方法に関する。更に本発明は、高分子材料及び少なくとも1種の特別な環状及び/又は高分子ホスフィンを高分子材料の質量に対して1〜15質量%の量で含有する高分子組成物に関する。本発明は、少なくとも1種の特別な環状及び/又は高分子ホスフィン及び少なくとも1種の重合性モノマーから成る組成物にも関する。
【0002】
難燃剤は、有機材料、例えば木、一次建材、紙、厚紙、繊維、引火性パーフォーマンス液体及び特に高分子材料にとって貴重な資材である。ある種の適用においては、人間及び物質財産に対する危険によって、例えば飛行機及び自動車構造用及び公共輸送車用の建築用材料で、難燃性が最優先される。電子適用では、部品が局所的な高温を発生しうるので、難燃性が必要である。その結果高レベルの火炎防御が保証される。
【0003】
従って、通常有機材料及び特に高分子材料中に難燃剤が混和されている。
【0004】
今日の難燃剤市場は、化学的及び/又は物理的方法によって燃焼工程を妨げる作用をする生成物から成る。機械論的には、これらの難燃剤は、気相、凝縮相又はその両方のいずれかで製品の燃焼の間に機能するように提案されている。
【0005】
市場で使用されている最も一般的な難燃剤は、ハロゲン含有化合物、例えばテトラブロモビスフェノールA、デカブロモジフェニルオキシド、デカブロモジフェニルエタン、臭素化カーボネートオリゴマー、臭素化エポキシオリゴマー及びポリ(ブロモスチレン)である。気相でポリマー基質からの遊離基有機"燃料"を妨害するハロゲン種(例えばHX)を発生させるために有機ハロゲンが提案されている。
【0006】
通常、前記したようなハロゲン含有難燃剤は、安全かつ有効であると見なされている。しかし、ハロゲン不含の難燃性物質に対する関心が高まっている。材料にこれらの化合物を加えて、難燃性の要求を満たしかつ現在使用されているハロゲン化材料を用いて得られるものと同等又はそれ以上の特性、例えば力学抵抗、靭性、耐溶剤性及び防湿性等を発揮することができるようにすることが望ましい。
【0007】
ハロゲンを使用しない難燃性有機ポリマーに関する様々な方法が研究されている(最近の論評に関しては下記参照:Journal of Fire Sciences24、345−364、2006;Journal of Fire Sciences22、251−264、2004;Polymer International54、11−35、2005;Polymer International54、981−998、2005)。
【0008】
有機ポリマー材料に非ハロゲン難燃剤を使用する一般的な方法の一つは、燐をベースとする難燃剤の使用である。ポリアミド系では、赤燐の使用がガラス繊維強化ポリアミド66樹脂で確立されている(Weil、E.D.Red Phosphorus−an Update、Paper in 11thAnnual BCC Conference of Flame Retardancy、June1−3、1998)。この方法では最終製品の色及び赤燐の取り扱いが論点である。更に最近ではポリアミド用に、ジアルキルホスフィン酸の種々の塩の使用がClariantによってExolit(R)の名称で開発販売されている。
【0009】
メラミンをベースとする材料の使用が特定のポリアミド樹脂系で使用されている。非強化ポリアミド66用にメラミンシアヌレートを使用する(Stern and Horacek Intern.J.Polymeric Mater.25、255−268、1994;Casu、Camino、その他、Polym.Degrad.Stabil.、58、297−302、1997)。この材料は、強化不燃性液滴を生じることによって及び吸熱性分解を受けて不燃性蒸気を生しることによって作用すると考えられている。しかしメラミンシアヌレートは、ガラス繊維入りポリアミド66を使用する場合にはV−0難燃性等級を獲得することが難しい。その場合にはメラミンピロホスフェートが20%ガラス系を充填した28%で有効であると実証された(Kasowski、その他、New Advances in Flame Retardant Technology、Paper presented at FRCA、p23、1999)。
【0010】
ポリカーボネートブレンドでは種々の芳香族ホスフェートが通常最良の生成物である。標準的模範材料はレゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)又はビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)である。ポリエステルでは多種多様な燐をベースとする材料が研究されている(Polymer International54、981−998、2005)。これらの材料は、ホスフィンオキシドからホスフェートまでの範囲に及び、これらは全て特定の利点及び欠点を有する。
【0011】
難燃性を増強するもう一つの方法は、難燃補助剤を有機材料、特に高分子材料に添加することであり、これは燃焼間にドリッピングを防止する。これは極めて一般的には低レベルのポリテトラフルオロエチレンを添加することによって行われる。燃焼中のドリッピングは、液滴の形でマトリックスからポリマー部分が分離する過程である。液滴は発炎燃焼し、延焼の甚大な危険性をもたらす場合が非常に多い。もう一つの一般的な手段は充填剤、例えばタルクを大量にポリマーに添加することであるが、これは機械的特性にマイナスの結果を生じる。時に使用される充填剤には、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硼酸亜鉛、珪酸塩、シリコーン、ガラス繊維、ガラス球、アスベスト、カオリン、雲母、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、金属酸化物、水和物及び水酸化物、例えば酸化亜鉛、水酸化マグネシウム、アルミニウムトリヒドレート、シリカ、珪酸カルシウム及び珪酸マグネシウムが含まれる。
【0012】
本発明の目的は、大抵の有機材料中に使用することができ、有効かつ経済的であり、公知系の欠点を有さないハロゲン不含の難燃剤を提供することである。
【0013】
特別な環状及び高分子ホスフィンがこれを有する材料に良好な難燃性を付与することを見出した。
【0014】
従って本発明は、式I
【化1】

の少なくとも1種の環状ホスフィン及び/又は式II
【化2】

の、有利には少なくとも3個の、反復単位を含有する少なくとも1種のポリマーの難燃剤としての使用に関するが、但し、その使用はエポキシ樹脂又はエポキシ樹脂含有材料における使用は除くものであり、ここで、各Rは、無関係に、ヒドロキシ、C−C10−アルキル、C−C10−アルコキシ、C−C10−シクロアルキル、C−C10−シクロアルコキシ、C−C10−アリール、C−C10−アリールオキシ、C−C10−アリール−C−C−アルキル、C−C10−アリール−C−C−アルコキシ、NR、COR、COOR及びCONRから成る群から選択し、各Rは、無関係に、水素、C−C10−アルキル、C−C10−シクロアルキル、C−C10−アリール及びC−C10−アリール−C−C−アルキルから成る群から選択し;Rは、無関係に、Rに記載したものの一つを表し、mは0、1、2又は3であり;nは1から6の整数である。
【0015】
本発明の用語で難燃剤とは、これらを有する基質の易燃性を減少させる物質のことである。これらは、燃焼開始相の間に、難燃化材料の熱応力による分解に対する抵抗を増強することによって及び/又は難燃化材料への発火源の広がりを阻止することによって、従って火災延焼を防止、遅延又は阻止することによって、作用を発揮する。
【0016】
化合物は3員(n=1)から8員(n=6)の環状ホスフィンであり、環員は全て燐原子であり、これはmRを有するフェニルによって置換されている。
【0017】
式IIの反復単位を含むポリマーは、線状又は枝分かれオリゴマー又はポリマーであってよい。
【0018】
本発明の用語で、C−C−アルキルは、炭素原子1〜4個を有する枝分かれ又は直鎖の飽和炭化水素基である。このための例は、メチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル(イソプロピル)、ブチル、1−メチルプロピル(s−ブチル)、2−メチルプロピル(イソブチル)及び1,1−ジメチルエチル(t−ブチル)である。
【0019】
−C−アルキルは、炭素原子1〜6個を有する枝分かれ又は直鎖の飽和炭化水素基である。このための例は、C−C−アルキルで前記したようなもの及び更にペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、ヘキシル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、1,1,2−トリメチルプロピル、1,2,2−トリメチルプロピル、1−エチル−1−メチルプロピル及び1−エチル−2−メチルプロピルである。
【0020】
−C−アルキルは、炭素原子1〜8個を有する枝分かれ又は直鎖の飽和炭化水素基である。このための例は、C−C−アルキルで前記したようなもの及び更にヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル及びそれらの位置異性体である。
【0021】
−C10−アルキルは、炭素原子1〜10個を有する枝分かれ又は直鎖の飽和炭化水素基である。このための例は、C−C−アルキルで前記したようなもの及び更にノニル、デシル及びそれらの位置異性体である。
【0022】
アルコキシは、アルキル基の任意のC原子と酸素結合を介して結合した、炭素原子n〜m個、例えば炭素原子1〜10個、特に1〜8個又は1〜6個又は1〜4個を有する直鎖又は枝分かれアルキル基である。C−C−アルコキシは、酸素原子を介して結合した線状又は枝分かれC−C−アルキル基、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、s−ブトキシ、イソブトキシ及びt−ブトキシである。C−C−アルコキシは、酸素原子を介して結合した線状又は枝分かれC−C−アルキル基である。例は、C−C−アルキルで前記したようなもの及び更にペンチルオキシ、ヘキシルオキシ及びそれらの位置異性体である。C−C−アルコキシは、酸素原子を介して結合した線状又は枝分かれC−C−アルキル基である。例は、C−C−アルキルで前記したようなもの及び更にヘプチルオキシ、オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ及びそれらの位置異性体である。C−C10−アルコキシは、酸素原子を介して結合した線状又は枝分かれC−C10−アルキル基である。例は、C−C−アルキルで前記したようなもの及び更にノニルオキシデシルオキシ、デシルオキシ及びそれらの位置異性体である。
【0023】
−C−アルキルチオは、硫黄原子を介して結合した線状又は枝分かれC−C−アルキル基、例えばメチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、1−メチルエチルチオ(イソプロピルチオ)、ブチルチオ、1−メチルプロピルチオ(s−ブチルチオ)、2−メチルプロピルチオ(イソブチルチオ)及び1,1−ジメチルエチルチオ(t−ブチルチオ)である。
【0024】
−C−シクロアルキルは、単環式の5員又は6員の飽和脂環式基、例えばシクロペンチル及びシクロヘキシルである。C−C−シクロアルキルは、単環式3員から6員の飽和脂環式基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルである。C−C−シクロアルキルは、単環式の3員から8員の飽和脂環式基である。例は、C−C−シクロアルキルで前記したようなもの及び更にシクロヘプチル及びシクロオクチルである。C−C10−シクロアルキルは、単環式の3員から10員の飽和脂環式基である。例は、C−C−シクロアルキルで前記したようなもの及び更にシクロノニル及びシクロデシルである。
【0025】
シクロアルコキシは、酸素原子を介して結合した前記したような単環式の飽和脂環式基である。例には、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロヘプチルオキシ、シクロオクチルオキシ、シクロノニルオキシ及びシクロデシルオキシが含まれる。
【0026】
−C10−アリールは、フェニル又はナフチルである。アリール基は置換されていないか又は置換基1〜3個を有する。好適な置換基は、ヒドロキシ、NO、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、フェニル、ナフチル、NR、COR、COOR及びCONRから成り、ここでR及びRは、別々にH及びC−C−アルキルから選択する。有利には、アリールは置換されていない。
【0027】
−C10−アリールオキシは、酸素原子を介して結合した前記したようなC−C10−アリールである。一例はフェニキシである。
【0028】
−C10−アリールチオは、硫黄原子を介して結合した前記したようなC−C10−アリールである。一例はフェニルチオである。
【0029】
−C10−アリール−C−C−アルキルは、C−C−アルキレン結合を介して結合した前記したようなC−C10−アリールである。例はベンジル及び2−フェニルエチルである。
【0030】
−C10−アリール−C−C−アルコキシは、C−C−アルコキシ基を介して結合した前記したようなC−C10−アリールである。一例はベンジルオキシである。
【0031】
式Iの化合物及び/又は式IIの反復単位を含有する少なくとも1種のポリマーの本発明による使用に関して、各々単独又は相互に組み合わせた、下記の態様が有利である。
【0032】
有利な化合物Iで、各Rは別々に、C−C10−アルキル、C−C10−シクロアルキル及びC−C10−アリールから成る群から選択する。更に有利には、各Rは別々に、C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル及びC−C10−アリールから選択する。更に有利には、各Rは別々に、C−C−アルキル及びフェニルから選択する。有利には、C−C10−アリールは置換されていない、即ち非置換フェニル又は非置換ナフチルである。
【0033】
特には、化合物I中で基Rは全て同じものを表す。
【0034】
有利な態様の一つでは、mは0又は1である。特に、mは0である。
【0035】
有利な態様の一つでは、nは2、3又は4であり、これは式Iの化合物が有利には4員、5員又は6員の環状ホスフィンであることを意味する。特に有利な態様では、式Iの化合物は5員の環状ホスフィン、即ちn=3であるか又は5員の環状ホスフィン(n=3)と4員(n=2)及び/又は6員(n=4)の環状ホスフィンの混合物である。後者の場合には、5員シクロホスフィンは、環状ホスフィンの全質量に対して、有利には少なくとも50質量%、更に有利には少なくとも60質量%、更にもっと有利には少なくとも70質量%及び特には少なくとも80質量%、例えば少なくとも90質量%の量で存在する。
【0036】
特別な態様では、式Iの化合物はペンタフェニルシクロペンタホスフィン(ペンタフェニルペンタホスホランとしても公知)(m=0;n=3)又はペンタフェニルシクロペンタホスフィンとテトラフェニルシクロテトラホスフィン及び/又はヘキサフェニルシクロヘキサホスフィンの混合物である。後者の場合には、ペンタフェニルシクロペンタホスフィンは、環状ホスフィンの全質量に対して、有利には少なくとも50質量%、更に有利には少なくとも60質量%、更にもっと有利には少なくとも70質量%及び特には少なくとも80質量%、例えば少なくとも90質量%の量で存在する。
【0037】
式Iの化合物は、例えばUS5488079、US6369140、US6864304、DE19638924、WO2004/050668、WO2006/074983、Monatshefte Chemie、90(2)、1959、148−156又はJ.Org.Chem.22、1957、385−387に記載されているような環状アリールホスフィンの製造用に公知の方法により製造することができるが、これらの内容は参照までに本明細書に組み入れる。好適な方法は、例えば式
【化3】

[式中、Xはハロゲン原子であり、Rは前記したものを表す]のアリールジハロゲンホスフィン、通常はジクロライド(X=Cl)を、アルカリ金属例えばナトリウム又はアルカリ土類金属例えばマグネシウムと、有利には環状化合物生成に有利である反応条件下で、例えば高希釈条件下で反応させることである。反応は通常好適な溶剤中で行う。好適な溶剤は、グリニヤール又は元素金属を使用するその他の反応で通常使用されるようなもの、例えば非環式エーテル、例えばジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、エチル−t−ブチルエーテル等、環状エーテル、例えばテトラヒドロフラン及び1,4−ジオキサン及び中性芳香族溶剤、例えばベンゼン、トルエン又はキシレンである。有利な溶剤はエーテル、特に環状エーテル、特別にはテトラヒドロフランである。アリールジハロゲノホスフィン及び金属は有利には、モル比0.5:1〜1:1.5、更に有利には0.8:1〜1:1.2、更に有利には0.9:1〜1:1.1及び特にほぼ等モル量で使用する。反応温度は、有利には100℃より高くなく、例えば0〜100℃又は20〜100℃、更に有利には80℃より高くなく、例えば0〜80℃又は20〜80℃、更にもっと有利には70℃より高くなく、例えば0〜70℃又は20〜70℃、又は40〜70℃又は50〜70℃である。反応完了後、反応混合物から通常、使用した溶剤及び未反応出発材料を、例えば濾過及び溶剤の蒸発によって除去する。得られた生成物をそのまま使用してもよいし又は更に精製してもよい。精製は公知方法により、例えば残分を非溶剤を用いて洗浄又は浸出するか又は再結晶させることによって行うことができるが、後者が有利である。再結晶は、好適な溶剤中で、通常高めた温度で、例えば混合物の沸点で行う。好適な溶剤は中性である。例は、芳香族溶剤、例えばベンゼン、トルエン又はキシレン、脂環式溶剤、例えばシクロペンタン、シクロヘキサン又はメチルシクロヘキサン及びカルボン酸誘導体、例えば酢酸エチル、プロピオン酸エチル又は酢酸プロピルである。有利には、芳香族溶剤、特にはトルエンを使用する。高めた温度で、一部の環状ホスフィンが反復単位IIを含有する高分子ホスフィンに変わり得る。通常高分子ホスフィンは低い溶解度を有し、沈澱し、従って溶解した環状ホスフィンから、例えば濾過又はデカンテーションによって簡単に分離することができる。次いで溶解した環状ホスフィンを、例えば溶液を冷却することによって沈澱させ、単離する。
【0038】
有利な反復単位II中で、各Rは別々に、C−C10−アルキル、C−C10−シクロアルキル及びC−C10−アリールから成る群から選択する。更に有利には、各Rは別々に、C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル及びC−C10−アリールから選択する。更にもっと有利には、各Rは別々に、C−C−アルキル及びフェニルから選択する。有利には、C−C10−アリールは置換されていない、即ち非置換フェニル又は非置換ナフチルである。
【0039】
特には、反復単位II中で基Rは全て同じものを表す。
【0040】
反復単位IIの有利な態様の一つでは、mは0又は1である。特に、mは0である。
【0041】
有利なポリマーは、反復単位IIを、ポリマーの全質量に対して、少なくとも50質量%、有利には少なくとも70質量%、更に有利には少なくとも80質量%、更にもっと有利には少なくとも90質量%、特に少なくとも95質量%の量で含有する。ポリマー中の反復単位IIの量の最高上限は、ポリマーの末端基の性質、例えばハロゲン又はOHに左右され、ポリマー中に存在してよいその他の官能基、例えばエーテル橋(−O−)又は酸化された反復単位II(下記式II.a)にも左右される。
【0042】
有利にはポリマーは、式IIの反復単位を3〜10000、更に有利には5〜1000及び特に5〜100、例えば10〜100又は10〜50個含有する。
【0043】
ポリマーの数平均分子量Mは有利には300〜1000000、更に有利には500〜100000、特に有利には1000〜10000、例えば1000〜5000である。
【0044】
本発明の有利な態様の一つでは、ポリマーは式III
【化4】

[式中、R’及びR"は、相互に無関係に、C−C−アルキル、C−C10−アリール、C−C−アルコキシ、C−C10−アリールオキシ、C−C−アルキルチオ、C−C10−アリールチオ又はNRであり、その際R及びRは相互に無関係にC−C−アルキル又はC−C10−アリールであり、aは3〜10000の整数でありかつRは前記したものを表す]である。態様の一つではR’及びR"は同じものである。
【0045】
有利にはR’及びR"は、相互に無関係に、C−C−アルキル、C−C10−アリール、C−C−アルコキシ又はC−C10−アリールオキシである。更に有利には、R’及びR"は、相互に無関係に、C−C10−アリール及び特にm個基Rを有するフェニルである。特にR’及びR"は両方ともフェニルである。
【0046】
aは、有利には3〜1000、例えば5〜1000、更に有利には3〜100、例えば5〜100及び特には3〜50、例えば5〜50又は10〜50の整数である。
【0047】
反復単位IIを含むポリマーは、高分子アリールホスフィンの製造用の公知方法により、例えばアリールジハロゲノホスフィン(アリールはm個の基Rにより置換されたフェニルである)、通常はジクロライド、をアルカリ金属、例えばナトリウム又はアルカリ土類金属、例えばマグネシウムと、有利にはポリマーの製造に有利な条件下で反応させることによって、製造することができる。例えば、環状ホスフィンの前記合成を高い温度、例えば>100℃で行う場合には、高分子ホスフィンは環状ホスフィンIの量を超過する。
【0048】
既に前記したように、ポリマーは合成で、特に環状ホスフィンIの精製の間に、副産物として生成され、後者から公知方法により分離することができる。例えば反復単位IIを含むポリマーは、アリールジハロゲノホスフィン(アリールはm個の基Rにより置換されたフェニルである)、通常はジクロライド、をアルカリ金属、例えばナトリウム又はアルカリ土類金属、例えばマグネシウムと、環状ホスフィンI用に前記した方法によって反応させ、使用下溶剤及び未反応出発材料を除去し、得られた生成物を好適な溶剤中で高めた温度、例えば混合物の沸点で再結晶させることによって、得ることができる。好適な溶剤は中性である。例えば芳香族溶剤、例えばベンゼン、トルエン又はキシレン、脂環式溶剤、例えばシクロペンタン、シクロヘキサン又はメチルシクロヘキサン及びカルボン酸誘導体、例えば酢酸エチル、プロピオン酸エチル又は酢酸プロピルである。有利には芳香族溶剤、特にトルエンである。加熱中に高分子材料が形成され、これは沈澱する。沈澱したポリマーを次いで環状ポリマー(これは溶液中に存在する)から標準方法、例えば濾過又はデカンテーションによって分離することができる。
【0049】
従って、反復単位IIを含むポリマーは、有利には前記方法により得られるものである。
【0050】
ポリマー/オリゴマーは酸化された燐原子を含有してもよく、従って式II.a
【化5】

[式中、R及びmは前記したものである]の反復単位を含んでもよい。
【0051】
有利にはポリマー/オリゴマーは、ポリマーの全質量に対して、反復単位II.aを50質量%より多く、更に有利には30質量%より多く、更にもっと有利には20質量%より多く、特には10質量%より多く、例えば5質量%より多くは含まない。
【0052】
有利な態様の一つでは、少なくとも1種の環状ホスフィンI及び反復単位IIを含む少なくとも1種のポリマー/オリゴマーの混合物を使用する。
【0053】
もう一つの有利な態様では、式
【化6】

[式中、Xはハロゲンであり、R及びmは前記したようなものである]のアリールジハロゲノホスフィンを好適な金属、例えばアルカリ金属、例えばナトリウム又はアルカリ土類金属、例えばマグネシウムと、環状ホスフィン用に前記した反応条件下で反応させることによって得られる組成物を使用する。反応完了後、反応混合物から通常、使用した溶剤及び未反応出発材料を、例えば濾過及び溶剤の蒸発によって除去する。得られた残分をそのまま使用してもよいし又は更に精製してもよい。精製は公知方法により、例えば残分を非溶剤を用いて洗浄又は浸出するか又は再結晶させることによって行うことができる。
【0054】
もう一つの有利な態様では、少なくとも1種の環状ホスフィンIを難燃剤として使用する。
【0055】
もう一つの有利な態様では、反復単位IIを含む少なくとも1種のポリマー/オリゴマーを難燃剤として使用する。
【0056】
有利な態様の一つで、本発明は、式Iの化合物及び/又は式IIの反復単位を含む少なくとも1種のポリマーの有機材料における難燃剤としての使用に関する。保護する有機材料は少なくとも部分的に有機の性質の材料(即ち主としてC原子をベースとする)、例えば高分子材料、パーフォーマンス流体、繊維、木製品(特に木材/用材)又は紙製品(例えば板紙、壁紙)である。前記材料の定義は部分的に重複し(例えば木及び紙はそれ自体天然ポリマーであるセルロースをベースとする)、特に用語"高分子材料"とは極めて広い意味であると解されたい。
【0057】
更に有利な態様で、本発明は、式Iの化合物及び/又は式IIの反復単位を含む少なくとも1種のポリマーの高分子材料又はパーフォーマンス流体における難燃剤としての使用に関する。特に本発明は、式Iの化合物及び/又は式IIの反復単位を含む少なくとも1種のポリマーの高分子材料における難燃剤としての使用に関する。
【0058】
本発明の用語でパーフォーマンス流体とは、広い意味で特異的使用のための有機液体のことである。パーフォーマンス流体は消極的には、可燃物又は一般的溶剤のような大量販売を目的としていない有機液体と定義することができる。パーフォーマンス流体の例は、水圧流体、ブレーキ流体、潤滑油及び電子アプリケーション用流体(例えばクリーニング又は熱伝動用に使用するための)である。
【0059】
本発明の用語で"高分子材料"とは、それ自体又は加工した形、例えばプラスチック(成形した、半製品又は未成形の形)、ポリマーコンポジット又はポリマーブレンドの形での天然又は合成ポリマーから成る材料である。
【0060】
用語"プラスチック"とは、用語"ポリマー"と同義語ではなく、ポリマー又はプレポリマーから物理的に配合し及び/又は化学的に硬化(curing)させ、場合によって成形した後に得られる生成物である。
【0061】
"配合"はポリマー及び添加物の混合である。
【0062】
"コンポジット"は、2種以上の異なる物質が一緒になって単独成分では存在しない特性を生じる複合材料である。ポリマーコンポジット中では少なくとも1種の成分が高分子の性質のものである。この用語は、ポリマーとその他の材料(例えば鉱物、繊維、その他のプラスチック、エラストマー)との不均質な混合物も2種以上のポリマーの均質な混合物(単一相)(これは均質なポリマーブレンドとも称される)も両方共包含する。コンポジットの例は、いわゆるプレプレグ(予備含浸繊維)、半加工繊維強化未硬化の熱硬化マトリックス(即ち未硬化の熱硬化材料で含浸した繊維マット)である。更なる例は、フィラメント巻きによって製造されたコンポジット(未硬化材料、例えばポリエステルで飽和された巻きフィラメント)、ポリマーコンクリート(ポリマー(例えばポリエステル又はポリメチルメタクリレート)、凝集体(例えば砂、重質炭酸カルシウム)及び場合により添加物(例えば染料)から成る)、積層品及びコンポジションボード(例えばパーティクルボード、ファイバーボード、充填剤として通常木製品(フレーク、ファイバー)を含むハードボード)である。
【0063】
ポリマーとその他のポリマーの混合物はポリマーブレンドと称される。このようなブレンドは、2種の熱可塑性プラスチック(プラスチックブレンド)、2種のエラストマー(ラバーブレンド)、分散相としてエラストマーで充填したプラスチック(ゴム改質プラスチック)、分散相としてプラスチックを有するエラストマー(ポリマー充填エラストマー)又はポリマーメルト又は低モル質量液体で充填したプラスチック(可塑化ポリマー)から成ってよい。ブレンドは均質であってもよいし、不均質であってもよい。
【0064】
本発明の有利な態様の一つでは、難燃性にする高分子材料は、熱可塑性ポリマーから選択する。熱可塑性プラスチックは、ポリマーメルトの冷却に際して固体物質を生じ、加熱に際して軟化するプラスチックであり、従って熱可塑性プラスチックの造形は可逆過程である。これらは、通常比較的高いモル質量分子から成り、プラスチックの主要部分を形成する。例はポリオレフィン、ビニルポリマー、ポリアミド、ポリエステル、ポリアセテート、ポリカーボネート及びある種のポリウレタン及びイオノマーである。用語"熱可塑性プラスチック"はポリマー自体並びにその加工形の両方に用いる。
【0065】
もう一つの有利な態様では、難燃性にする高分子材料は、熱硬化性ポリマーから選択する。熱硬化性プラスチックはポリマー分子の化学的架橋反応(硬化)により硬化する。これらは加熱に際して軟化せず、化学的に分解する。従って熱硬化性プラスチックの成形(造形)は非可逆的である。これらは通常、硬化に際して連結(架橋)する比較的低いモル質量ポリマー(オリゴマー又はプレポリマー)から生成される。用語"熱硬化性プラスチック"は、プレポリマー並びにプレポリマーから製造された硬化したプラスチックの両方に使用する。
【0066】
もう一つの有利な態様では、難燃性にする高分子材料は、エラストマーのポリマーから選択する。エラストマーは、そのガラス転移温度より上で長いポリマー鎖である。これらは通常架橋されやすく、変形し易い。エラストマーは室温で反復して少なくともその2倍の長さに延長させることができる。もはや伸ばせなくなったら、これらはその(ほぼ)元の長さに戻る。最も顕著な例はゴム(天然及び合成の)である。
【0067】
次に、それ自体又は加工した形で難燃性にするために適する好適なポリマーを列記する。
【0068】
(a)有利な態様の一つで、ポリマーはハロゲン化ポリマーである。ハロゲン化ポリマーには、ポリクロロプレン、塩素化及び弗素化ゴム、イソブチレン−イソプレンの塩素化及び臭素化コポリマー(ハロゲンゴム)、塩素化及びスルホ塩素化ポリエチレン、エチレン及び塩素化エチレン及び塩素化エチレンのコポリマー、特にハロゲン含有ビニル化合物のポリマー、例えばポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ弗化ビニル、ポリ弗化ビニリデン及びそのコポリマー、例えば塩化ビニル/塩化ビニリデン、塩化ビニル/酢酸ビニル又は塩化ビニリデン/酢酸ビニルコポリマーが含まれる。可塑剤含量に応じて異なるポリ塩化ビニル生成物が得られる:可塑剤含量0−12%は硬質PVCを生じ、12%より多い可塑剤含量は軟質PVC、非常に高い可塑剤含量はPVCペーストを生じる。代表的な可塑剤の例には、フタレート、エポキシド及びアジピン酸エステルが含まれる。
【0069】
ポリ塩化ビニルは、塩化ビニルの塊状、懸濁、マイクロ懸濁及び乳化重合での遊離基重合によって製造される。重合は過酸化物によって開始されることが多い。PVCは、例えば合成フォームレザー、絶縁壁装材、家庭用品、履物底裏、家具形材、床材又はパイプとして多様に使用される。
【0070】
ポリ塩化ビニリデンは、塩化ビニリデンの遊離基重合によって製造される。塩化ビニリデンは(メタ)アクリレート、塩化ビニル又はアクリロニトリルと共重合させることもできる。ポリ塩化ビニリデン及びビニリデンコポリマーは、例えばフィルムや形材、パイプ及び繊維に加工される。重要な適用の一つは、多層フィルムであり、ポリ塩化ビニルの良好な遮断性はコーティングにも使用される。
【0071】
(b)更に有利な態様では、ポリマーは、環状エーテルのホモポリマー及びコポリマー、例えばポリアルキレングリコール、例えばポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド又はそのビスグリシジルエーテルとのコポリマーから選択する。ポリアルキレングリコールは、環状エーテル、例えば酸化エチレン、酸化プロピレン又はテトラヒドロフランの、例えば水のような例えばOH化合物をスターター分子として用いる、重付加により得られる。重付加用のスターター分子は、二価又は多価アルコールであってよい。低分子質量ポリアルキレングリコールは合成潤滑剤として使用される。更にポリアルキレングリコールは、界面活性剤組合せ物用の可溶化剤として、石鹸の結合剤として、筆記及びスタンプ用インク中の成分として及び可塑剤及び剥離剤として使用される。
【0072】
(c)更に有利な態様では、ポリマーは、ポリアセタール、ポリアセタールと環状エーテルのコポリマー、及び熱可塑性ポリウレタンで変性したポリアセタール、アクリレート又はメチルアクリレート/ブタジエン/スチレンコポリマーから選択する。ポリアセタールは、アルデヒド又は環状アセタールの重合によって生成される。工業的に重要なポリアセタールの一つは、ポリオキシメチレン(POM)であり、これは、各々ホルムアルデヒド又はトリオキサンの陽イオン又は陰イオン重合により得られる。変性POMは、例えば環状エーテル、例えば酸化エチレン又は1,3−ジオキソランとの共重合によって得られる。POMと熱可塑性ポリウレタンエラストマーの組合せは、POMベースのポリマーブレンドを生成する。非強化POMは非常に高い剛性、強度及び靭性により優れている。POMは有利には家庭機器を建造するために及び器械、乗物及び機械類を組み立てるために及び衛生用品及び組込み工学で有利に使用される。
【0073】
(d)更に有利な態様では、ポリマーは、ポリアリールエーテル、ポリアリールスルファイド及びポリアリールエーテルとスチレンポリマー及びポリアミドの混合物から選択する。ポリアリールエーテルの例は、ポリフェニレンオキシドであり、その主鎖は酸素原子を介して結合しているフェニレン単位から成り、好適な場合にはアルキル基によって飽和されている。工業的に重要なポリフェニレンオキシドはポリ−2,6−ジメチルフェニルエーテルである。ポリアリールスルファイドの例は、ポリフェニレンスルファイドであり、これは1,4−ジクロロベンゼンの硫化ナトリウムとの重縮合によって得られる。これらは高い強度、剛性及び硬度によって優れている。これらは、ポンプハウジングの構造の金属及び機械工学及び器械構造のその他の構成要素の好適な代替物である。ポリフェニレンスルファイドのその他の使用分野は、電気工学及び電子工学である。
【0074】
(e)更に有利な態様では、ポリマーはポリウレタンから選択する。好適なポリイソシアネート重付加生成物(ポリウレタン)は、例えば気泡ポリウレタン、例えば硬質又は軟質ポリウレタンフォーム、圧縮ポリウレタン、熱可塑性ポリウレタン(TPUs)、熱硬化性又は弾性ポリウレタン又はポリイソシアヌレートである。これらのポリマーは公知であり、それらの製造は広範に記載されている。これらは、例えば二官能性以上の多官能性イソシアネート又は相応するイソシアネート類似体とイソシアネート反応性化合物との反応によって製造される。製造は典型的方法により、例えばワンショット法又はプレポリマー法によって、型、反応押出機中で又はベルトユニットで行われる。特別な製法の一つは、反応射出成形(RIM)法であり、これは有利には発泡又は圧縮コア及び著しく圧縮された非孔質表面を有するポリウレタンを製造するために有利に使用される。化合物(I)及びその誘導体がこれら工程全てに特に好適である。
【0075】
ポリウレタンは通常少なくとも1種のポリイソシアネート及びイソシアネート基に対して反応性の基を1分子当たり少なくとも2個有する少なくとも1種の化合物から合成される。好適なポリイソシアネートは有利には、NCO基2〜5個を有する。イソシアネート基に対して反応性である基は、有利にはヒドロキシル、メルカプト、第一及び第二アミノ基から選択する。ここで有利には二価以上のポリオールが含まれる。
【0076】
好適なポリイソシアネートは、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族及び芳香族イソシアネートである。好適な芳香族ジイソシアネートは、例えばジフェニルメタン2,2’−、2,4’−及び/又は4,4’−ジイソシアネート(MDI)、ナフチレン1,5−ジイソシアネート(NDI)、トルエン2,4−及び/又は2,6−ジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルジイソシアネート、1,2−ジフェニルエタンジイソシアネート及び/又はフェニレンジイソシアネートである。脂肪族及び脂環式ジイソシアネートは、例えばトリ−、テトラ−、ペンタ−、ヘキサ−、ヘプタ−及び/又はオクタメチレンジイソシアネート、2−メチルペンタメチレン1,5−ジイソシアネート、2−エチルブチレン1,4−ジイソシアネート、1−イソシアネート−3,3,5−トリメチル−5−イソシアネートメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1,4−及び/又は1,3−ビス(イソシアネートメチル)−シクロヘキサン(HXDI)、シクロヘキサン1,4−ジイソシアネート、1−メチル−2,4−及び/又は2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、及び/又はジシクロヘキシルメタン4,4’−、2,4’−及び/又は2,2’−ジイソシアネートを含む。有利なジイソシアネートには、ヘキサンメチレンジイソシアネート(HMDI)及びイソホロンジイソシアネートが含まれる。高い多官能性イソシアネートの例は、トリスイソシアネート、例えばトリフェニルメタン4,4’,4"−トリイソシアネート及び前記したジイソシアネートのシアヌレート及びジイソシアネートと水の部分反応により得られるオリゴマー、例えば前記ジイソシアネートのビウレット及び更にセミブロックトジイソシアネートの平均2個より多い、有利には3個以上のヒドロキシル基を有するポリオールとの標的反応により得られるオリゴマーである。
【0077】
好適な場合にはイソシアヌレート構造を有していてよい、硬質ポリウレタンフォーム用に、ここで使用されるポリオール成分は、スターター分子として高官能性ポリオール、特に高官能性アルコール、糖アルコール及び/又は炭水化物をベースとするポリエーテルポリオールである。軟質ポリイソシアネート重付加生成物、例えば軟質ポリウレタンフォーム又はRIM材料用に、有利なポリオールは、スターター分子としてグリセロール及び/又はトリメチルプロパン及び/又はグリコールをベースとする2−及び/又は3−官能性ポリエーテルポリオール及びエステル化用のアルコールとしてグリセロール及び/又はトリメチロールプロパン及び/又はグリコールをベースとする2−及び/又は3−官能性ポリエーテルポリオールである。熱可塑性ポリウレタンは典型的には主として二官能性ポリエステルポリアルコール及び/又は有利には平均官能性1.8〜2.5、更に有利には1.9〜2.1を有する、ポリエーテルポリアルコールをベースとする。
【0078】
ここでポリエーテルポリオールの製造は、公知技術に従って行われる。ポリオール製造用に好適な酸化アルキレンには、プロピレン1,3−オキシド、ブチレン1,2−及び/又は2,3−オキシド、酸化スチレン及び有利には酸化エチレン及びプロピレン1,2−オキシドが含まれる。酸化アルキレンは個々に、交互に連続して又は混合物として使用することができる。ポリオール中で第一級ヒドロキシル基を生じる酸化アルキレンを使用するのが有利である。特に有利に使用されるポリオールは、アルコキシル化を終わられるために酸化エチレンでアルコキシル化されており、従って第一級ヒドロキシル基を有するようなものである。更に好適なポリエーテロールはポリテトラヒドロフラン及びポリオキシメチレンである。ポリエーテルポリオールは、官能性有利には2〜6、特に2〜4及び分子量200〜10000、有利には200〜8000を有する。
【0079】
好適なポリエステルポリオールは、例えば炭素原子2〜12個を有する有機ジカルボン酸、有利には炭素原子4〜6個を有する脂肪族ジカルボン酸及び炭素原子2〜12個、有利には炭素原子2〜6個を有する多価アルコール、有利にはジオールから製造することができる。ポリエステルポリオールは有利には官能性2〜4、特に2〜3及び分子量480〜3000、有利には600〜2000、特には600〜1500を有する。
【0080】
ポリオール成分は更に、ジオール又はそれより高い多価アルコールから成ってよい。好適なジオールは、炭素原子2〜25個を有するグリコールである。これらには、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、ジエチレングリコール、2,2,4−トリメチルペンタン−1,5−ジオール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、1,6−ジメチロールシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン(ビスフェノールB)又は1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(ビスフェノールC)が含まれる。好適なこれより高い多価アルコールは、例えば三価(トリオール)、四価(テトロール)及び/又は五価アルコール(ペントール)である。これらは通常炭素原子3〜25個、有利には3〜18個有する。これらには、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ソルビトール及びそのアルコキシル化物が含まれる。
【0081】
機械的特性、例えば硬度を変性するために、連鎖延長剤、架橋剤、停止剤等、好適な場合にはそれらの混合物を添加することが有利であると実証される。連鎖延長剤及び/又は架橋剤は例えば分子量40〜300を有する。好適な例には、炭素原子2〜14個、有利には2〜10個を有する脂肪族、脂環式及び/又は芳香脂肪族ジオール、例えばエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,10−デカンジオール−、1,2−、1,3−、1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール及び有利にはエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンンジオール及びビス(2−ヒドロキシエチル)ヒドロキノン、トリオール、例えば1,2,4−、1,3,5−トリヒドロキシシクロヘキサン、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン及び酸化エチレン及び/又はプロピレン1,2−オキシド及び下記ジオール及び/又はトリオールをスターター分子としてベースとする低分子量のヒドロキシル含有ポリアルキレンオキシドが含まれる。好適な停止剤は、例えば一官能性アルコール又は第二アミンを含む。
【0082】
ポリウレタンは多くはフォームに加工される。
【0083】
(f)更に有利な態様では、ポリマーは、ポリ尿素、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリヒダントイン及びポリベンズイミダゾールから選択する。ポリ尿素は、公知のようにジアミン及びジイソシアネートの重付加から得られる。基幹構造要素が主鎖中のイミド基であるポリイミドは、芳香族テトラカルボン酸ジアンヒドリドと脂肪族又は芳香族ジアミンとの反応により生じる。ポリイミドは特に接着剤としてコンポジット中で、及び塗料、薄膜用に、絶縁材料としてマイクロエレクトロニクスで、例えば高弾性織物用に、半透膜用に及び液晶ポリマーとして使用される。
【0084】
(g)更に有利な態様では、ポリマーは、ポリエステル、有利には少なくとも1種の線状ポリエステルから選択する。好適なポリエステル及びコポリエステルは、EP−A−0678376、EP−A−0595413及びUS6096854に記載されており、これらは参照までに本明細書に組み入れる。
【0085】
ポリエステルは、公知のように、1種以上のポリオール及び1種以上のポリカルボン酸又は相応するラクトンの縮合生成物である。線状ポリエステル中でポリオールはジオールであり、ポリカルボン酸はジカルボン酸である。ジオール成分は、エチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンンジメタノール及び1,3−シクロヘキサンジメタノールから選択してよい。そのアルキレン鎖が隣接してない酸素原子により1回以上中断されているジオールも好適である。これらには、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等が含まれる。通常ジオールは炭素原子2〜18個、有利には炭素原子2〜8個を含む。脂環式ジオールはシス又はトランス異性体の形で又は異性体混合物として使用することができる。酸成分は、脂肪族、脂環式又は芳香族ジカルボン酸であってよい。線状ポリエステルの酸成分は通常テレフタル酸、イソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、1,12−ドデカンジオン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸及びその混合物から選択する。酸成分の官能性誘導体、例えばエステル、例えばメチルエステル又は無水物又はハロゲン化物、有利には塩化物を使用することもできる。有利なポリエステルは、ポリアルキレンテレフタレート及びポリアルキレンナフタレートであり、これは、各々テレフタル酸又はナフタレンジカルボン酸を脂肪族ジオールと縮合させることによって得られる。
【0086】
有利なポリアルキレンテレフタレートは、ポリエチレンテレフタレート(PET)であり、これはテレフタル酸をジエチレングリコールと縮合させることによって得られる。PETは、ジメチルテレフタレートをエチレングリコールでエステル交換し、メタノールを除去しってビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを生成し、生成物に重縮合を行い、エチレングリコールを放出することによっても得られる。更に有利なポリエステルは、ポリブチレンテレフタレート(PBT)(これはテレフタル酸を1,4−ブタンジオールと縮合させることによって得られる)、ポリアルキレンナフタレート(PAN)、例えばポリエチレン2,6−ナフタレート(PEN)、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート(PCT)及びポリエチレンテレフタレートとシクロヘキサンジメタノールとのコポリエステル(PDCT)、ポリブチレンテレフタレートとシクロヘキサンジメタノールのコポリエステルである。前記ポリアルキレンテレフタレートのコポリマー、エステル交換生成物及び物理的混合物(ブレンド)も有利である。特に好適なポリマーは、テレフタル酸の重縮合物及び共重縮合物、例えばポリ−又はコポリエチレンテレフタレート(PET又はCoPET又はPETG)、ポリ(エチレン2,6−ナフタレート)(PEN)又はPEN/PETコポリマー及びPEN/PETブレンドから選択する。前記コポリマー及びブレンドはそれらの製造法により、エステル交換生成物の部分を含んでもよい。
【0087】
PET及びPBTは、繊維の製造で広く使用され、また工業部品、例えばベアリング、はめ歯、カム、ディスク、ローラー、スイッチハウジング、プラグ、ハンドル、操作ボタン用の熱可塑性材料として高い抵抗性を発揮する。PETは飲み物ボトル用の材料としても非常に多く使用される。
【0088】
(h)更に有利な態様では、ポリマーは、ポリカーボネート、ポリエステルカーボネート及びそれらの混合物から選択する。ポリカーボネートは、例えばホスゲン又は炭酸エステル、例えば炭酸ジフェニル又は炭酸ジメチルとジヒドオキシ化合物の縮合により生じる。好適なジヒドロキシ化合物は、脂肪族又は芳香族ジヒドロキシ化合物である。芳香族ジヒドロキシ化合物としては、例えばビスフェノール、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、テトラアルキルビスフェノールA、4,4−(メタ−フェニレンジイソプロピル)ジフェノール(ビスフェノールM)、4,4−(パラ−フェニレンジイソプオピル)ジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(BP−TMC)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールZ)及び好適な場合にはその混合物も挙げられる。ポリカーボネートは少量の枝分かれ剤を使用することによって枝分かれさせることができる。好適な枝分かれ剤には、フロログルシノール、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプト−2−エン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン;1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン;1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン;1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタン;トリ(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス[4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル]−プロパン;2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニルイソプロピル)フェノール;2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5’−メチルベンジル)−4−メチルフェノール;2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)プロパン;ヘキサ(4−(4−ヒドロキシフェニルイソプロピル)フェニル)オルト−テレフタル酸エステル;テトラ(4−ヒドロキシフェニル)メタン;テトラ(4−(4−ヒドロキシフェニルイソプロピル)フェノキシ)メタン;α,α’,α"−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン;2,4−ジヒドロキシ安息香酸;トリメシン酸;シアヌル酸クロライド;3,3−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロインドール、1,4−ビス(4’,4"−ジヒドロキシトリフェニル)メチル)ベンゼン及び特に1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタン及びビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロインドールが含まれる。
【0089】
連鎖停止用に好適な化合物の例には、フェノール、例えばフェノール、アルキルフェノール、例えばクレゾール及び4−t−ブチルフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、クミルフェノール又はその混合物が含まれる。連鎖停止剤の量は、通常ジヒドロキシ化合物1モル当たり1〜20モル%である。
【0090】
(i)更に有利な態様では、ポリマーは、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン及びその混合物から選択する。ポリエーテルケトンは、例えば電気工業及び自動車工学で使用される。
【0091】
(j)更に有利な態様では、ポリマーは、合成樹脂から選択する。合成樹脂には、一方ではアルデヒド及びもう一方ではフェノール、尿素及びメラミンから誘導された架橋されたポリマー、例えばフェノール/ホルムアルデヒド樹脂、尿素/ホルムアルデヒド樹脂及びメラミン/ホルムアルデヒド樹脂が含まれる。合成樹脂には、同様に飽和及び不飽和ジカルボン酸と多価アルコール及び架橋剤としてのビニル化合物から誘導された、乾燥及び非乾燥アルキド樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂及びその低易燃性のハロゲン含有変性物が含まれる。合成樹脂には更に、好適なアクリレートから誘導された架橋性アクリル樹脂、例えばエポキシアクリレート、ウレタンアクリレート又はポリエステルアクリレートが含まれる。合成樹脂には付加的に、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂及びメラミン樹脂と架橋したアクリレート樹脂、尿素樹脂、イソシアネート、イソシアヌレート又はポリイソシアネートが含まれる。合成樹脂には、典型的には2000より下の分子量を有する炭化水素樹脂も含まれる。炭化水素樹脂は三つの群に分類することができる:石油樹脂、テルペン樹脂及びコールタール樹脂。炭化水素樹脂には、本発明の目的用に、その水素化された変性物及びポリアルキレンも含まれる。
【0092】
(k)更に有利な態様では、ポリマーは、天然ポリマー、例えばセルロース、ゴム、ゼラチン及びその化学的に変性した誘導体、例えば酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース及び酪酸セルロース又はセルロースエーテル、例えばメチルセルロース;及びロジン及びその誘導体から選択する。
【0093】
セルロースは主として衣料分野でPET繊維とのブレンドとして、更に人工絹、ライニング材料、カーテン材料、タイアコード、生綿、衣服材料及び衛生品として使用される。セルロースエステルは、例えばドライバー取っ手、眼鏡フレーム、ブラシ、くし、ボールペン、工業用部品、例えば車のハンドル、ランプ及び機器カバー、タイプライターのキー、電気絶縁フィルム、写真用フィルム及び塗料用の耐光性及び耐熱性熱可塑性結合剤に加工される。セルロースエーテルは、繊維、紙、フィルム及び金属用の透明塗料用の結合剤として使用される。天然ゴム(1,4−シス−ポリイソプレン)は、例えばラジアルタイヤを含む多くの適用に不可欠である。
【0094】
(l)更に有利な態様では、ポリマーはポリオレフィン及びその混合物から選択する。
【0095】
本発明の目的用に、用語"ポリオレフィン"は、その他の官能性を有さないオレフィンから成るポリマー、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブト−1−エン又はポリイロブチレン、ポリ−4−メチルペント−1−エン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、シクロロオレフィン例えばシクロペンテン又はノルボルネンのポリマー、及びモノオレフィン又はジオレフィンのコポリマー、例えばエチレン−プロピレンコポリマー又はエチレン−ブタジエン−コポリマーを含む。
エチレンポリマー:
好適なポリエチレン(PE)ホモポリマーは、密度により分類分けしてあるが、例えば下記である:−PE−ULD(ULD=超低密度)、PE−VLD(VLD=非常に低い密度);エチレンと10%までのオクテン、4−メチルペント−1−エン及び場合によりプロピレンとのコポリマー及びターポリマー;密度0.91〜0.88g/cm;辛うじて結晶、透明。−PE−LD(LD=低密度)、例えばオートクレーブ又は管反応器中で触媒として酸素又は過酸化物を用いて1000〜3000バール及び150〜300℃で高圧法(ICI)により得られる。異なる長さの枝を有する高度に枝分かれしている、結晶度40〜50%、密度0.915〜0.935g/cmまで、平均モル質量600000g/モルまで。−PE−LLD(LLD=線状低密度)、金属錯体触媒を用いて低圧法で気相から、溶液(例えばベンジン)から、懸濁液中で又は改良高圧法を用いて得られる。それ自体枝分かれしてない側鎖を有する僅かな分枝、モル質量はPE−LDより高い。−PE−MD(MD=中密度);密度0.93〜0.94g/cm;PE−LD及びPE−HDを混合することによって又は直接コポリマーのPE−LLDとして得られる。−PE−HD(HD=高密度)、中圧(フィリップス)及び低圧(チーグラー)法により得られる。フィリップスでは30〜40バール、85〜180℃、酸化クロム触媒、モル質量約50000g/モル。チーグラーでは、1〜50バール、20〜150℃、触媒としてハロゲン化チタン、チタンエステル又はアルミニウムアルキル、モル質量約200000〜400000g/モル。懸濁液、溶液、気相又は塊状で実施。非常に僅かな分枝、結晶度60〜80%、密度0.942〜0.965g/cm。−PE−HD−HMW(HMW=高分子量)、チーグラー、フィリップス又は気相法により得られる。高密度及び高モル質量。−PE−HD−UHMW(UHMW=超高分子量)、改良チーグラー触媒を用いて得られる。モル質量3000000〜6000000g/モル。
【0096】
特に好適なポリエチレンは、(典型的には担時)触媒を用いて気相流動床法で製造したもの、例えばLupolen(R)(Basell、オランダ)である。
【0097】
特に、メタロセン触媒を使用して製造したポリエチレンが有利である。このようなポリエチレンは、例えばLuflexen(R)(Basell、オランダ)として市販されている。
【0098】
好適なエチレンコポリマーは、全ての市販エチレンコポリマーであり、例えばLuflexen(R)grades(Basell、オランダ)、Nordel(R)及びEngage(R)(DuPont−Dow、USA)である。好適なコモノマーの例には、炭素原子3〜10個を有するα−オレフィン、特にプロピレン、ブト−1−エン、ヘクス−1−エン及びオクト−1−エン及びアルキル基に炭素原子1〜20個を有するアルキルアクリレート及びメタクリレート、特にブチルアクリレートである。更に好適なコモノマーは、ジエン、例えばブタジエン、イソプレン及びオクタジエンである。更に好適なコモノマーはシクロオレフィン、例えばシクロペンテン、ノルボルネン及びジシクロペンタジエンである。
【0099】
エチレンコポリマーは、典型的にはランダムコポリマー又はブロック又はインパクトコポリマーである。エチレンの好適なブロック又はインパクトコポリマー及びコモノマーは、例えばポリマーであるが、そのために例えば第1工程で、15質量%までエチレンを含有する、コモノマーのホモポリマー又はコモノマーのランダムコポリマーを製造し、次いで第2工程で15〜80%質量のエチレン含量を有するコモノマー−エチレンコポリマーを重合させる。通常、最終生成物中で3〜60質量%の割合を有するように第2工程で製造したコポリマー用に十分なコモノマー−エチレンコポリマーを重合させる。
【0100】
エチレン−コモノマーコポリマーを製造するための重合は、チーグラー・ナッタ触媒系を用いて行うことができる。しかしメタロセン化合物をベースとするか又は重合活性金属錯体をベースとする触媒系を使用することもできる。
【0101】
HDPEは、第一に玩具、家庭用品、小機器部品及びビール箱を製造するために使用される。ある種のHDPEは、日常の使い捨て及び大量生産品に使用される。LDPEの使用分野は、フィルムから紙コーティング及び厚肉及び薄肉成形品にまで及ぶ。LLDPEは、機械的特性及び耐応力亀裂性に関してLDPEより優れている。LLDPEは特にパイプ及びフィルムに使用される。
プロピレンポリマー:
ポリプロピレンは、下記でプロピレンのホモポリマー及びコポリマーの両方のことであると解されたい。プロピレンのコポリマーは、プロピレンと共重合可能なモノマーを少量含むが、その例は特にC−C−アルク−1−エン、例えばエチレン、ブト−1−エン、ペント−1−エン又はヘクス−1−エンである。2種以上の異なるコモノマーを使用することもできる。
【0102】
好適なポリプロピレンには、C原子8個までを有する共重合されたその他のアルク−1−エン50質量%までを有するプロピレンのホモポリマー又はプロピレンのコポリマーが含まれる。プロピレンのコポリマーは、この場合にランダムコポリマー又はブロック又はインパクトコポリマーである。プロピレンのコポリマーがランダム構造である場合には、これらは通常15質量%まで、有利には6質量%までC原子8個までを有するその他のアルク−1−エン、特にエチレン、ブト−1−エン又はエチレンとブト−1−エンの混合物を含む。
【0103】
好適なプロピレンのブロック又はインパクトコポリマーは、例えばポリマーであるが、そのために例えば第1工程で、15質量%まで、有利には6質量%までC原子8個までを有するその他のアルク−1−エンを有するプロピレンホモポリマー又はプロピレンのランダムコポリマーを製造し、次いで第2工程で15〜18質量%のエチレン含分を有するプロピレン−エチレンコポリマーを重合させるが、プロピレン−エチレンコポリマーは更に付加的にC−C−アルク−1−エンを含んでもよい。通常、第2工程で製造したコポリマーが最終生成物中で3〜60質量%の割合を有するように十分なプロピレン−エチレンコポリマーを重合させる。
【0104】
ポリプロピレンを製造するための重合は、チーグラー・ナッタ触媒系を用いて行うことができる。この場合に特にチタン含有固体成分a)の他に有機アルミニウム化合物b)の形の触媒及び電子供与体化合物c)も含有する触媒系を使用する。
【0105】
しかしメタロセン化合物をベースとするか又は重合活性金属錯体をベースとする触媒系を使用することもできる。
【0106】
ポリプロピレンの製造は、一般的には少なくとも1個の反応帯域又は多くの場合には連続して接続した2個以上の反応帯域(反応器カスケード)中で、気相、懸濁液又は液相(塊状相)で重合により行う。使用される反応器は、C−C−アルク−1−エンの重合用に使用される一般的な反応器であってよい。好適な反応器には、連続攪拌タンク、ループ反応器、粉末床反応器又は流動床反応器が含まれる。
【0107】
使用されるポリプロピレン製造用の重合は、一般的反応条件下で温度40〜120℃、特に50〜100℃及び圧力10〜100バール、特に20〜50バールで行う。
【0108】
好適なポリプロピレンは、通常ISO11330の、2.16kgの重し下で230℃で0.1〜200g/10分、特に0.2〜100g/10分の溶融流量(MFR)を有する。
【0109】
本発明のもう一つの態様では、プラスチックは少なくとも1種のポリオレフィンを含む。有利なポリオレフィンは、エチレン、プロピレン、ブト−1−エン、イソブチレン、4−メチル−1−ペンテン、ブタジエン、イソプレン及びその混合物から選択した、共重合形の少なくとも1種のモノマーを含む。前記オレフィンモノマーのホモポリマー、コポリマー及び主モノマーとしての少なくとも1種の前記オレフィンとコモノマーとしてのその他のモノマー(例えばビニル芳香族)とのコポリマーが好適である。
【0110】
有利なポリオレフィンは、低密度のポリエチレンホモポリマー(PE−LD)及びポリプロピレンホモポリマー及びポリプロピレンコポリマーである。有利なポリプロピレンは、例えば二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)及び結晶化ポリプロピレンである。前記ポリオレフィンの有利な混合物は、例えばポリプロピレンとポリイソブチレン、ポリプロピレンとポリエチレンの混合物(例えばPP/HDPE、PP/LDPE)及び異なる種類のポリエチレンの混合物(例えばLDPE/HDPE)である。
【0111】
(m)更に有利な態様では、ポリマーはモノオレフフィン又はジオレフィンのビニルモノマーとのコポリマー又はその混合物から選択する。これらには、エチレン/プロピレンコポリマー、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)及びその低密度ポリエチレン(LDPE)との混合物、プロピレン/ブト−1−エンコポリマー、プロピレン/イソブチレンコポリマー、エチレン/ブト−1−エンコポリマー、エチレン/ヘキセンコポリマー、エチレン/メチルペンテンコポリマー、エチレン/ヘプテンコポリマー、エチレン/オクテンコポリマー、プロピレン/ブタジエンコポリマー、イソブチレン/イソプレンコポリマー、エチレン/アルキルアクリレートコポリマー、エチレン/アルキルメタクリレートコポリマー、エチレン/ビニルアセテートコポリマー及びその一酸化炭素とのコポリマー又はエチレン/アクリル酸コポリマー及びその塩(イオノマー)及びエチレンとジエン、例えばヘキサンジエン、ジシクロペンタジエン又はエチリデン−ノルボルネンとのターポリマー;及びこのようなコポリマー相互及び1)で前記したポリマーの混合物、例えばポリプロピレン/エチレン−プロピレンコポリマー、LDPE/エチレン−ビニルアセテートコポリマー、(EVA)、LDPE/エチレン−アクリル酸化合物、(EAA)、LLDPE/EVA、LLDPE/EAA及び交互又はランダムポリアルキレン一酸化炭素コポリマー及びそのその他のポリマー、例えばポリアミドとの混合物が含まれる。
【0112】
(n)更に有利な態様では、ポリマーは、不飽和アルコール及びアミンから誘導されたポリマー又はそのアシル誘導体又はアセタール、例えばポリビニルアセテート(PVAC)及びポリビニルアルコール(PVAL)から選択する。ポリビニルアルコールとアルデヒドの反応により、ポリビニルアセタールが生成され;例えばホルムアルデヒドとの反応で、ポリビニルホルマール(PVFM)又はブチルアルデヒドとの反応でポリビニルブチラール(PVB)が生成する。その低ガラス転移温度により、ポリビニル化合物は熱可塑性材料ではなく、ポリマー樹脂である。これらは塗料、例えばカーペット裏地塗料、チーズ塗料、紙塗被スリップ、ペイント及び顔料結合剤、ペイント基礎材料、サイズ剤、接着剤、保護コロイド、チューイングガム基剤、コンクリート添加物、自動車風防ガラス用の合わせガラス用フィルム及び多くのその他の目的に使用される。
【0113】
(o)更に有利な態様では、ポリマーは、基幹構造要素として主ポリマー鎖中にアミド基を有するポリアミド(略語PA)又はコポリアミドから選択する。ポリアミドは、例えばジアミン及びジカルボン酸又はその誘導体から重縮合によって製造することができる。好適なジアミンの例には、アルキルジアミン、例えばC−C20−アルキルジアミン、例えばヘキサメチレンジアミン、又は芳香族ジアミン、例えばC〜C20芳香族ジアミン、例えばm−、o−又はp−フェニレンジアミン又はm−キシレンジアミンが含まれる。好適なジカルボン酸には、脂肪族ジカルボン酸又はその誘導体、例えば塩化物、例えばC〜C20脂肪族ジカルボン酸、例えばセバシン酸、デカンジカルボン酸又はアジピン酸又は芳香族ジカルボン酸、例えばC〜C20芳香族ジカルボン酸又はその誘導体、例えば塩化物、例えば2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸又はテレフタル酸が含まれる。このようなポリアミドの例は、ポリ−2,4,4−トリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド又はポリ−m−フェニレンイソフタルアミド、PA6,6(ポリヘキサメチレンアジパミド)、PA4,6(ポリテトラメチレンアジパミド)、PA6,10(ポリヘキサメチレンセバカミド)、PA6/9、PA6/12、PA4/6、PA12/12、(各場合に最初の数は、ジアミン中の炭素原子数を表し、二番目の数はジカルボン酸中の炭素原子の数を表す)、PA6T又はPA9Tが含まれる。
【0114】
ポリアミドは、同じくアミノ酸、例えばC−C20アミノ酸、例えば6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸から重縮合によって又はラクタム、例えばカプロラクタムから開環重合によって得られる。このようなポリアミドの例は、PA4(4−アミノ酪酸から合成)、PA6(6−アミノヘキサン酸から合成)である。PA11は、例えばポリウンデカノラクタムであり、PA12はポリドデカノラクタムである。この場合のように1種のモノマーからだけ合成されるポリアミドの場合には、略称PAの後の数字はモノマー中の炭素原子の数を表す。
【0115】
ポリアミドは好適な場合には変性剤としてエラストマーを用いて製造することができる。好適なコポリアミドの例は、前記ポリアミドとポリオレフィン、オレフィンコポリマー、イオノマー又は化学的に結合したか又はグラフトしたエラストマー;又はポリエーテル、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール又はポリテトラメチレングリコールとのブロックコポリマーである。EPDM−又はABS−変性ポリアミド又はコポリアミド及び加工中に縮合したポリアミド(RIMポリアミド系)も好適である。
【0116】
ポリアミドは、厳密な靭性、耐摩耗性及び熱安定性(寸法安定性)要求品質を有する射出成形品、例えば自動車のエンジン室のプラスチック部品;はめ歯等で使用される。更にポリアミドは合成繊維(例えばナイロン、ペルロン)中に使用される。
【0117】
(p)更に有利な態様では、ポリマーは、α,β−不飽和酸及びその誘導体から誘導されるポリマー、例えばポリアクリレート及びポリメタクリレート;ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアクリルアミド(PAA)及びポリアクリロニトリル(PAC)、酢酸ブチルにより耐衝撃改良されたものから選択する。ポリアクリル酸は、公知のように、アクリル酸の重合により得られる。重合は水中の溶液重合として、ベンゼン中の沈澱重合として又は懸濁重合として行うことができる。
【0118】
ポリアクリル酸はその塩の形で増粘剤として、水性媒体中で塗料用に使用される。ポリアクリル酸及びそのアクリルアミドとのコポリマーは、顔料の懸濁助剤として、水処理で凝集剤として、採鉱で掘削助剤として、紙助剤として、金属/プラスチック結合用の接着剤として及びその他の多くの目的用に使用される。ポリアクリル酸エステルは、一般にペイント及び塗料用の結合剤として、製紙工業で塗料スリップ中に及び結合剤及びサイジング剤として、繊維の仕上げ用に、接着剤及びシーラント中に、皮革助剤として、エラストマーとして及びその他の多くの目的用に使用される。PMMAの主要使用分野は、塗膜形成樹脂の結合剤中の硬化成分である。これはアクリレートと組合せて、長期接着、塗膜靭性、光沢及び耐候性により優れた高品質塗料を生じる。このような樹脂は、プライマー及び塗料、エマルジョンペイント及びワニス中に使用される。PAAは一般に水処理で凝集剤として、製紙助剤として、採鉱でフローテーション助剤として使用される。更にこれはフルーツジュース用の清澄助剤として、繊維助剤、塗料の架橋剤として、例えば皮革分野で、増粘剤としてペイント分散液中で、接着剤中で及びその他の多数の用途で使用される。PAC用の使用分野は、ニットウェア、家庭繊維品(例えばカバー、カーテン、椅子張り)及びカーペットである。
【0119】
(q)その他の有利な態様では、ポリマーは、前記節で定義したモノマーの相互又はその他の不飽和モノマーとのコポリマー、例えばアクリロニトリル/ブタジエンコポリマー、アクリロニトリル/アクリルアクリレートコポリマー、アクリロニトリル/アルコキシアルキルアクリレート又はアクリロニトリル/ハロゲン化ビニルコポリマー又はアクリロニトリル/アクリルメタクリレート/ブタジエンターポリマーから選択する。
【0120】
(r)更に有利な態様では、ポリマーは、ポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(α−メチルスチレン)、スチレン又はα−メチルスチレンのジエン又はアクリル酸誘導体とのコポリマー又はスチレン又はα−メチルスチレンのグラフトコポリマーから選択する。
【0121】
(s)更に有利な態様では、ポリマーは、スチレンとアクリロニトリル及びブタジエン及び/又はアクリル酸又はメタクリル酸エステルのコポリマーである。
【0122】
非変性スチレンポリマーは、建築及び包装で使用される発泡材料に加工することができる。スチレン又はα−メチルスチレンとジエン又はアクリル酸誘導体のコポリマーには、スチレン/ブタジエン、スチレン/アクリロニトリル、スチレン/アルキルメタクリレート、スチレン/ブタジエン/アルキルアクリレート、スチレン/ブタジエン/アルキルメタクリレート、スチレン/無水マレイン酸、スチレン/アクリロニトリル/メチルアクリレート;スチレンコポリマー及びその他のポリマー、例えばポリアクリレート、ジエンポリマー又はエチレン/プロピレン/ジエンターポリマーの高衝撃靭性を有する混合物;及びスチレンのブロックコポリマー、例えばスチレン/ブタジエン/スチレン、スチレン/イソプレン/スチレン、スチレン/エチレン/ブチレン/スチレン又はスチレン/エチレン/プロピレン/スチレンが含まれる。
【0123】
(t)更に有利な態様では、ポリマーはスチレン又はα−メチルスチレンのグラフトコポリマーである。例は、ポリブタジエン上スチレン、ポリブタジエンスチレン又はポリブタジエン−アクリロニトリルコポリマー上スチレン;ポリブタジエン上スチレン及びアクリロニトリル(又はメタクリロニトリル);ポリブタジエン上スチレン、アクリロニトリル及びメチルメタクリレート;ポリブタジエン上スチレン及び無水マレイン酸;ポリブタジエン上スチレン、アクリロニトリル及び無水マレイン酸又はマレインイミド;ポリブタジエン上スチレン及びマレインイミド;ポリブタジエン上スチレン及びアルキルアクリレート又はメタクリレート;エチレン/プロピレン/ジエンターポリマー上スチレン及びアクリロニトリル;ポリアルキルアクリレート又はポリアルキルメタクリレート上スチレン及びアクリロニトリル、アクリレート/ブタジエンコポリマー上スチレン及びアクリロニトリル及びそのポリ尿素、ポリイミド、ポリアミド−イミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリヒダントイン及びポリベンズイミダゾールとの混合物であり、例はABS、MBS、ASA又はAESポリマーとして公知のコポリマー混合物である。
【0124】
ABC用の主な適用は、部品、例えば電気及び電子装置(電話)用のケーシング及び自動車部品である。
【0125】
(u)更に有利な態様では、ポリマーはポリマーブレンドである。用語"ポリマーブレンド"は、2種以上のポリマー又はコポリマーの混合物のことである。ポリマーブレンドは基礎成分の特性を増強するために役立つ。
【0126】
ポリマーブレンド又はアロイの例には、PP/EPDM、ポリアミド/EPDM又はABS、PVC/EVA、PVC/ABS、PVC/MBS、PC/ABS、PBTP/ABS、PC/ASA、PC/PBT、PVC/CPE、PVC/アクリレート、POM/熱可塑性PUR、PC/熱可塑性PUR、POM/アクリレート、POM/MBS、PPO/HIPS、PPO/PA6,6及びコポリマー、メチルメタクリレート−アクリロニトリル/ブタジエン/スチレンポリマー(MABS)、PA/HDPE、PA/PP、PA/PPO、PBT/PC/ABS又はPBT/PET/PCが含まれる。
【0127】
アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー(ABS)は熱可塑性又は弾性ポリマーブレンドである。これらは3種の基礎モノマー、アクリロニトリル、ブタジエン及びスチレンの乳化重合法又は塊状重合法でグラフト重合でグラフト重合により製造される。ABSの特性は、使用されるモノマーの割合によって調節することができる。
【0128】
有利なポリマーは、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン及びその他のオレフィン及びポリウレタンの種類から選択する。
【0129】
高分子材料は場合により種々の慣用の添加物を含有してよい。
【0130】
好適な慣用の添加物には、例えば酸化防止剤、UV吸収剤/光安定剤、金属奪活剤、帯電防止剤、強化剤、充填剤、防曇剤、殺生物剤、可塑剤、潤滑剤、乳化剤、色料、顔料、流動助剤、離型剤、粘着付与剤、触媒、流れ調整剤、蛍光増白剤、更に防炎加工剤(本発明の環状又は高分子アリールホスフィンとは異なる)、抗ドリッピング剤及び発泡剤が含まれる。
【0131】
場合により使用される酸化防止剤、光安定剤及び金属奪活剤は、高い移行堅牢度及び耐熱性を有する。好適な酸化防止剤、UV吸収剤/光安定剤及び金属奪活剤は、例えば(a)から(t)の群から選択する。(a)から(g)及び(i)の群の化合物は、UV吸収剤/光安定剤を表し、(j)から(t)の群の化合物は特に安定剤として作用する:(a)4,4−ジアリールブタジエン、(b)桂皮酸エステル、(c)ベンゾトリアゾール、(d)ヒドロキシベンゾフェノン、(e)ジフェニルシアノアクリレート、(f)蓚酸ジアミド、(g)2−フェニル−1,3,5−トリアジン、(h)酸化防止剤、(i)ニッケル化合物、(j)立体障害アミン、(k)金属奪活剤、(l)ホスファイト及びホスホナイト、(m)ヒドロキシルアミン、(n)ニトロン、(o)酸化アミン、(p)ベンゾフラノン及びインドリノン、(q)チオ相乗剤、(r)過酸化物スカベンジャー、(s)ポリアミド安定剤及び(t)塩基性補助安定剤。
【0132】
(a)群の4,4−ジアリールブタジエンには、例えば式A
【化7】

の化合物が含まれる。この化合物はEP−A−916335から公知である。置換基R10及び/又はR11は有利にはC−Cアルキル及びC−Cシクロアルキルである。
【0133】
(b)群の桂皮酸エステルには、例えばイソアミル4−メトキシシンナメート、2−エチルヘキシル4−メトキシシンナメート、メチルα−メトキシカルボニルシンナメート、メチルα−シアノ−β−メチル−p−メトキシシンナメート、ブチルα−シアノ−β−メチル−p−メトキシシンナメート及びメチルα−メトキシカルボニル−p−メトキシシンナメートが含まれる。
【0134】
(c)群のベンゾトリアゾールには、例えば2−(2’−ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾール、例えば2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(5’−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−s−ブチル−5’−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクチルオキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−t−アミル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ビス−(α,α−ジメチルベンジル)−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−5’−[2−(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル]−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−5’−[2−(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル]−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−ドデシル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール及び2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−イソオクチルカルボニルエチル)フェニルベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−ベンゾトリアゾール−2−イルフェノール];2−[3’−t−ブチル−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)−2’−ヒドロキシフェニル]−2H−ベンゾトリアゾールをポリエチレングリコール300でエステル化した生成物;[R−CHCH−COO(CH(ここで、R=3’−t−ブチル−4’−ヒドロキシ−5’−2H−ベンゾトリアゾール−2−イルフェニル)及びその混合物が含まれる。
【0135】
(d)群のヒドロキシベンゾフェノンには、例えば2−ヒドロキシベンゾフェノン、例えば2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−エチルヘキシルオキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(n−オクチルオキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−3−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸及びそのナトリウム塩及び2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン−5,5’−ビススルホン酸及びそのナトリウム塩が含まれる。
【0136】
(e)群のジフェニルシアノアクリレートには、例えばBASF AG、Ludwigshafen、Germanyから名称Uvinul(R)3035として市販されているエチル2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、BASF AG、Ludwigshafenから名称Uvinul(R)3039として市販されている2−エチルヘキシル2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート及びBASF AG、Ludwigshafenから名称Uvinul(R)3030として市販されている1,3−ビス[(2’−シアノ−3’、3’−ジフェニルアクリロイル)オキシ]−2,2−ビス{[2’−シアノ−3’,3’−ジフェニルアクリロイル)オキシ]メチル}プロパンが含まれる。
【0137】
(f)群のオキサミド(蓚酸ジアミド)には、例えば4,4’−ジオクチルオキシオキサニリド、2,2’−ジエトキシオキサニリド、2,2’−ジオクチルオキシ−5,5’−ジ−t−ブチルオキサニリド、2,2’−ジドデシルオキシ−5,5’−ジ−t−ブチルオキサニリド、2−エトキシ−2’−エチルオキサニリド、N,N’−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)オキサミド、2−エトキシ−5−t−ブチル−2’−エトキサニリド、及びその2−エトキシ−2’−エチル−5,4’−ジ−t−ブチロキサニリドとの混合物及びオルト−、パラ−メトキシ二置換されたオキサニリドの混合物及びオルト−及びパラ−エトキシ−二置換されたオキサニリドの混合物が含まれる。
【0138】
(g)群の2−フェニル−1,3,5−トリアジンには、例えば2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、例えば2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−プロピルオキシフェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−トリデシルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−ブチルオキシプロピル)−フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−オクチルオキシプロポキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−(ドデシルオキシ/トリデシルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロポキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス[2−ヒドロキシ−4−(3−ブトキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジン及び2−(2−ヒドロキシフェニル)−4−(4−メトキシフェニル)−6−フェニル−1,3,5−トリアジンが含まれる。
【0139】
(h)群の酸化防止剤には、例えば下記が含まれる:
(h.1)アルキル化モノフェノール、例えば2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2−t−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−n−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−イソブチルフェノール、2,6−ジシクロペンチル−4−メチルフェノール、2−(α−メチルシクロヘキシル)−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジオクタデシル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリシクロヘキシルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシメチルフェノール、枝分かれしてない又は側鎖枝分かれノニルフェノール、例えば2,6−ジノニル−4−メチルフェノール、2,4−ジメチル−6−(1−メチルウンデク−1−イル)フェノール、2,4−ジメチル−6−(1−メチルヘプタデク−1−イル)フェノール、2,4−ジメチル−6−(1−メチルトリデク−1−イル)フェノール及びその混合物。
【0140】
(h.2)アルキルチオメチルフェノール、例えば2,4−ジオクチルチオメチル−6−t−ブチルフェノール、2,4−ジオクチルチオメチル−6−メチルフェノール、2,4−ジオクチルチオメチル−6−エチルフェノール及び2,6−ジドデシルチオメチル−4−ノニルフェノール。
【0141】
(h.3)ヒドロキノン及びアルキル化ヒドロキノン、例えば2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシフェノール、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン、2,6−ジフェニル−4−オクタデシルオキシフェノール、2,6−ジ−t−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルステアレート及びビス−(3,5−ジーt−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)アジペート。
【0142】
(h.4)トコフェロール、例えばα−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール及びその混合物(ビタミンE)。
【0143】
(h.5)ヒドロキシル化チオジフェニルエーテル、例えば2,2’−チオビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−オクチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−2−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(3,6−ジ−s−アミルフェノール)及び4,4’−ビス(2,6−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ジスルファイド。
【0144】
(h.6)アルキリデンビスフェノール、例えば2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−4−エチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス[4−メチルー6−(α−メチルシクロヘキシル)フェノール]、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−ノニル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−エチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(6−t−ブチル−4−イソブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[6−(α−メチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、2,2’−メチレンビス[6−(α,α−ジメチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(6−t−ブチル−2−メチルフェノール)、1,1−ビス(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−ブタン、2,6−ビス(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェノール、1,1,3−トリス(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3−n−ドデシルメルカプトブタン、エチレングリコールビス[3,3−ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブチレート]、ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル−フェニル)ジシクロペンタジエン、ビス[2−(3’−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−6−t−ブチル−4−メチルフェニル]テレフタレート、1,1−ビス(3,5−ジメチル−2−ヒドロキシフェニル)−ブタン、2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4−n−ドデシルメルカプトブタン、1,1,5,5−テトラ−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ペンタン。
【0145】
(h.7)ベンジル化合物、例えば3,5,3’,5’−テトラ−t−ブチル−4,4’−ジヒドロキシジベンジルエーテル、オクタデシル4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルベンジルメルカプトアセテート、トリデシル4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルベンジルメルカプトアセテート、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)アミン、1,3,5−トリ(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、ジ(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルファイド、イソオクチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルメルカプトアセテート、ビス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)ジチオールテレフタレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル−燐酸ジオクタデシルエステル及び3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル−燐酸モノエチルエステル、カルシウム塩。
【0146】
(h.8)ヒドロキシベンジル化マロン酸エステル、例えばジオクタデシル2,2−ビス(3,5−ジ−tブチル−2−ヒドロキシベンジル)マロネート、ジオクタデシル−2−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)マロネート、ジドデシルメルカプトエチル−2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート及びビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート。
【0147】
(h.9)ヒドロキシベンジル芳香族、例えば1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,4−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,3,5,6−テトラメチルベンゼン及び2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)フェノール。
【0148】
(h.10)トリアジン化合物、例えば2,4−ビス(オクチルメルカプト)−6−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2−オクチルメルカプト−4,6−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2−オクチルメルカプト−4,6−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルエチル)−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン及び1,3,5−トリス(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート。
【0149】
(h.11)ベンジルホスホネート、例えばジメチル2,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジエチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート(ジエチル(3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)メチルホスホネート)、ジオクタデシル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジオクタデシル5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルベンジルホスホネート及びモノエチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネートのカルシウム塩。
【0150】
(h.12)アシルアミノフェノール、例えば4−ヒドロキシラウラニリド、4−ヒドロキシステアラニリド、2,4−ビスオクチルメルカプト−6−(3,5−ジ−(t−ブチル)−4−ヒドロキシアニリノ)−s−トリアジン及びオクチルN−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)カルバメート。
【0151】
(h.13)β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸の一価又は多価アルコール、例えばメタノール、エタノール、n−オクタノール、イソオクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリット、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’−ビス−(ヒドロキシエチル)オキサルアミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン及び4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ−[2.2.2]オクタンのエステル。
【0152】
(h.14)β−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロピオン酸の一価又は多価アルコール、例えばメタノール、エタノール、n−オクタノール、イソオクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリット、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’−ビス−(ヒドロキシエチル)オキサルアミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン及び4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ−[2.2.2]オクタンのエステル。
【0153】
(h.15)β−(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸の一価又は多価アルコール、例えばメタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリット、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサルアミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン及び4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ−[2.2.2]オクタンのエステル。
【0154】
(h.16)3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル酢酸の一価又は多価アルコール、例えばメタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリット、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’−ビス−(ヒドロキシエチル)オキサルアミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン及び4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ−[2.2.2]オクタンのエステル。
【0155】
(h.17)β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のアミド、例えばN,N’−ビス(3−(3,5−ジーt−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオニル)ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ビス(3−(3,5−ジーt−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオニル)トリメチレンジアミン、N,N’−ビス(3−(3,5−ジーt−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオニル)ヒドラジン、N,N’−ビス[2−(3−[3,5−ジーt−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオニルオキシ)エチル]オキサミド(例えばUniroyalからのNaugard(R)XL−1)。
【0156】
(h.18)アスコルビン酸(ビタミンC)
【0157】
(h.19)アミン系酸化防止剤、例えばN,N’−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−s−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1,4−ジメチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1−エチル−3−メチルフェニル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1−メチルヘプチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジシクロヘキシル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(2−ナフチル)−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1−メチルヘプチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−シクロヘキシル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、4−(p−トルエンスルファモイル)ジフェニルアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−s−ブチル−p−フェニレンジアミン、ジフェニルアミン、N−アリルジフェニルアミン、4−イソプロポキシジフェニルアミン、N−フェニル−1−ナフチルアミン、N−(4−t−オクチルフェニル)−1−ナフチルアミン、N−フェニル−2−ナフチルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、例えば、p,p’−ジ−t−オクチルジフェニルアミン、4−n−ブチルアミノフェノール、4−ブチリルアミノフェノール、4−ノナノイルアミノフェノール、4−ドデカノイルアミノフェノール、4−オクタデカノイルアミノフェノール、ビス(4−メトキシフェニル)アミン、2,6−ジ−t−ブチル−4−ジメチルアミノメチルフェノール、2,4−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N,N’,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,2−ビス[(2−メチルフェニル)アミノ]エタン、1,2−ビス(フェニルアミノ)プロパン、(o−トリル)ビグアニド、ビス[4−(1’,3’−ジメチルブチル)フェニル]アミン、t−オクチル化N−フェニル−1−ナフチルアミン、モノ−及びジアルキル化t−ブチル/t−オクチルジフェニルアミンの混合物、モノ−及びジアルキル化ノニルジフェニルアミンの混合物、モノ−及びジアルキル化ドデシルジフェニルアミンの混合物、モノ−及びジアルキル化イソプロピル/イソヘキシルジフェニルアミンの混合物、モノ−及びジアルキル化t−ブチルジフェニルアミンの混合物、2,3−ジヒドロ−3,3−ジメチル−4H−1,4−ベンゾチアジン、フェノチアジン、モノ−及びジアルキル化t−ブチル/t−オクチルフェノチアジンの混合物、モノ−及びジアルキル化t−オクチルフェノチアジンの混合物、N−アリルフェノチアジン、N,N,N’,N’−テトラフェニル−1,4−ジアミノブト−2−エン、N,N−ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ヘキサメチレンジアミン、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエーテルのジメチルスクシネートポリマー[CAS No.:65447−77−0]、(例えばCiba Specialty Chemicals、SwitzerlandのTinuvin(R)622)、2,2,4,4−テトラメチル−7−オキサ−3,20−ジアザジスピロ[5.1.11.2]ヘネイコサン−21−オン及びエピクロロヒドリンのポリマー[CAS No.:202483−55−4](例えばClariant、Frankfurt am Main、GermanyのHostavin(R)N30)。
【0158】
(i)群のニッケル化合物には、例えば2,2’−チオビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]のニッケル錯体、例えば、付加的な配位子、例えばn−ブチルアミン、トリエタノールアミン又はN−シクロヘキシル−ジエタノールアミンを有するかそれなしの1:1又は1:2錯体、ニッケルジブチルジチオカルバメート、4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルベンジルホスホン酸モノアルキルエステルのニッケル塩、例えばメチル又はエチルエステルのニッケル塩、例えばケトシム、例えば2−ヒドロキシ−4−メチルフェニルウンデシルケトキシムのニッケル錯体、及び付加的な配位子を有するか又はそれなしの、1:2錯体及び付加的な配位子を有するか又はそれなしの1−フェニル−4−ラウロイル−5−ヒドロキシピラゾールのニッケル錯体が含まれる。
【0159】
(j)群の立体障害アミンには、例えばビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)スクシネート、ビス(1、2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1、2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)n−ブチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルマロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン及びコハク酸の縮合生成物、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメイレンジアミン及び4−t−オクチルアミノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンの縮合生成物、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ニトリロトリアセテート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、1,1’−(1,2−エチレン)ビス(3,3,5,5−テトラメチルピペラジノン)、4−ベンゾイル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペラジン、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)2−n−ブチル−2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルベンジル)マロネート、3−n−オクチル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)スクシネート、2−クロロ−4,6−ビス(4−n−ブチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,3,5−トリアジン及び1,2−ビス(3−アミノプロピルアミノ)エタンの縮合生成物、2−クロロ−4,6−ジ−(4−n−ブチルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,3,5−トリアジン及び1,2−ビス(3−アミノプロピルアミノ)エタンの縮合生成物、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン、3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ピロリジン−2,5−ジオン、3−ドデシル−1−(1、2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)ピロリジン−2,5−ジオン、4−ヘキサデシルオキシ−及び4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンの混合物、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン及び4−シクロヘキシルアミノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンの縮合生成物、1,2−ビス(3−アミノプロピルアミノ)エタン及び2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン及び4−ブチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンの縮合生成物、N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−n−ドデシルスクシンイミド、N−(1、2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−n−ドデシルスクシンイミド、2−ウンデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1−オキサ−3,8−ジアザ−4−オキソスピロ[4.5]デカン、7,7,9,9−テトラメチル−2−シクロウンデシル−1−オキサ−3,8−ジアザ−4−オキソスピロ[4.5]デカン及びエピクロロヒドリンの縮合生成物、ポリ[メトキシプロピル−3−オキソ−4−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)]シロキサン、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン及びマレイン酸/C20−C24−α−オレフィンコポリマーから誘導したポリマー類似反応生成物、例えばUninul(R)5050H(BASF Aktiengesellschaft、Ludwigshafen)及びポリマー類似反応生成物、4−アミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジンとの相応物(例えば"methlated Uvinul(R)5050H")、テトラメチロールアセチレンジウレア及び4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンの縮合生成物、例えばUvinul(R)4049H(BASF Aktiengesellschaft、Ludwigshafen)及び4−アミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジンとの相応する縮合生成物(例えば"methlated Uvinul(R)4049H")、ポリ[[6−[(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)イミノ]−1,6−ヘキサンジイル[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)イミノ]][CAS No.71878−19−8]、N,N,N’,N’−テトラキス{4,6−ビス[ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン−4−イル)アミノ]−トリアジン−2−イル}−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン(CAS No.106990−43−6)(例えば、Chimassorb(R)119、Ciba Specialty Chemicals、Switzerland)が含まれる。
【0160】
(k)群の金属奪活剤には、例えばN,N’−ジフェニルオキサルアミド、N−サリシラル−N’−サリシロイルヒドロジン、N,N’−ビス(サリシロイル)ヒドロジン、N,N’−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヒドラジン、3−サリシロイルアミノ−1,2,4−トリアゾール、ビス(ベンジリデン)−オキサリルジヒドラジド、オキサニリド、イソフタロイルジヒドラジン、セバコイルビスフェニルヒドラジン、N,N’−ジアセチルアジピン酸ジヒドラジド、N,N’−ビス(サリシロイル)蓚酸ジヒドラジド及びN,N’−ビス(サリシロイル)チオプロピオニルジヒドラジドが含まれる。
【0161】
(l)群のホスファイト及びホスホナイトには、例えばトリフェニルホスファイト、ジフェニルアルキルホスファイト、フェニルジアルキルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トシル(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジイソデシルオキシペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4、6−トリス(t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリステアリルソルビトールトリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、6−イソオクチルオキシ−2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−ジベンゾ[d,f][1,3,2]−ジオキサホスフェピン、6−フルオロ−2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−12−メチルジベンゾ[d,g][1,3,2]−ジオキサホスホシン、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)メチルホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)エチルホスファイト、2,2’、2"−ニトリロ[トリエチルトリス(3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイル)ホスファイト]及び2−エチルヘキシル3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイルホスファイトが含まれる。
【0162】
(m)群のヒドロキシルアミンには、例えばN,N−ジベンジルヒドロキシルアミン、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、N,N−ジオクチルヒドロキシルアミン、N,N−ジラウリルヒドロキシルアミン、N,N−ジテトラデシルヒドロキシルアミン、N,N−ジヘキサデシルヒドロキシルアミン、N,N−ジオクタデシルヒドロキシルアミン、N−ヘキサデシル−N−オクタデシルヒドロキシルアミン、N−ヘプタデシル−N−オクタデシルヒドロキシルアミン、N−メチル−N−オクタデシルヒドロキシルアミン及び水素添加牛脂脂肪アミンからのN,N−ジアルキルヒドロキシルアミンが含まれる。
【0163】
(n)群のニトロンには、例えばN−ベンジルα−フェニルニトロン、N−エチルα−メチルニトロン、N−オクチルα−ヘプチルニトロン、N−ラウリルα−ウンデシルニトロン、N−テトラデシルα−トリデシルニトロン、N−ヘキサデシルα−ペンタデシルニオロン、N−オクタデシルα−ヘプタデシルニトロン、N−ヘキサデシルα−ヘプタデシルニトロン、N−オクタデシルα−ペンタデシルニトロン、N−ヘプタデシルα−ヘプタデシルニトロン、N−オクタデシルα−ヘキサデシルニトロン、N−メチルα−ヘプタデシルニトロン及び水素添加牛脂脂肪アミンから製造したN,N−ジアルキルヒドロキシアミンから誘導されたニトロンが含まれる。
【0164】
(o)群の酸化アミンには、例えばU.S.特許No.5844029及び5880191に記載されているような酸化アミン誘導体、ジデシルメチルアミンオキシド、トリデシルアミンオキシド、トリドデシルアミンオキシド及びトリヘキサデシルアミンオキシドが含まれる。
【0165】
(p)群のベンゾフラノン及びインドリノンには、例えばUS特許4325863;4338244;5175312;5216052;5252643;DE−A−4316611;DE−A−4316622;DE−A−4316876;EP−A−0589839又はEP−A−0591102に記載されているようなもの又は3−[4−(2−アセトキシエトキシ)フェニル]−5,7−ジ−t−ブチルベンゾフラン−2−(3H)−オン、5,7−ジ−t−ブチル−3−[4−(2−ステアロイルオキシエトキシ)フェニル]ベンゾフラン−2−(3H)−オン、3,3’−ビス[5,7−ジ−t−ブチル−3−(4−[2−ヒドロキシエトキシ]フェニル)ベンゾフラン−2−(3H)−オン]、5,7−ジ−t−ブチル−3−(4−エトキシフェニル)−ベンゾフラン−2−(3H)−オン、3−(4−アセトキシ−3,5−ジメチルフェニル)−5,7−ジ−t−ブチル−ベンゾフラン−2−(3H)−オン、3−(3,5−ジメチル−4−ピバロイルオキシフェニル)−5,7−ジ−t−ブチル−ベンゾフラン−2−(3H)−オン、3−(3,4−ジメチルフェニル)−5,7−ジ−t−ブチル−ベンゾフラン−2−(3H)−オン、Ciba Specialty ChemicalsのIrganox(R)HP−136及び3−(2,3−ジメチルフェニル)−5,7−ジ−t−ブチル−ベンゾフラン−2−(3H)−オンが含まれる。
【0166】
(q)群のチオ相乗剤には、例えばジラウリルチオジプロピオネート又はジステアリルチオジプロピオネートが含まれる。
【0167】
(r)群の過酸化物スカベンジャーには、例えばβ−チオジプロピオン酸のエステル、例えばラウリル、ステアリル、ミリスチル又はトリデシルエステル、メルカプトベンズイミダソール又は2−メルカプトベンズイミダソールの亜鉛塩、亜鉛ジブチルジチオカルバメート、ジオクタデシルジスルファイド及びペンタエリスリトールテトラキス(β−ドデシルメルカプト)プロピオネートが含まれる。
【0168】
(s)群のポリアミド安定剤には、例えば沃化物及び/又は燐化合物と組合せた銅塩及び二価マンガンの塩が含まれる。
【0169】
(t)群の塩基性補助安定剤には、例えばメラミン、ポリビニルピロリドン、ジシアンジアミド、トリアリルシアヌレート、尿素誘導体、ヒドロジン誘導体、アミン、ポリアミド、ポリウレタン、高級脂肪酸のアルカリ金属及びアルカリ土類金属塩、例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ベヘン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、ナトリウムリシノレート及びカリウムパルミテート、アンチモンピロカテコレート又は亜鉛ピロカテコレートが含まれる。
【0170】
好適な光安定剤には、特にジフェニルシアノアクリレート、例えばエチル2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレートが含まれる。
【0171】
光安定剤として、立体障害アミンも特に好適である。極めて特には、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン及びマレイン酸/C20−C24α−オレフィンコポリマーのポリマー類似反応生成物、例えばUninul(R)5050H(BASF Aktiengesellschaft、Ludwigshafen、ドイツ)及び4−アミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジンとの相応するポリマー類似反応生成物(例えば"methlated Uvinul(R)5050H")が有利である。
【0172】
高分子材料は、帯電防止剤、充填剤又は強化剤及び核剤(u群)から選択した少なくとも1種の添加物を含んでよい。
【0173】
好適な帯電防止剤の例には、アミン誘導体、例えばN,N−ビス(ヒドロキシアルキル)アルキルアミン又は−アルキレンアミン、ポリエチレングリコールエステル及びエーテル、エトキシル化カルボン酸エステル又は−カルボキサミド及びグリセロールモノステアレート及びジステアレート及びその混合物も含まれる。
【0174】
好適な充填剤及び強化剤には、例えば顔料、例えばカーボンブラック、石墨、炭酸カルシウム、珪酸塩、滑石、雲母、カオリン、ベントナイト、硫酸バリウム、金属酸化物及び金属水酸化物、木粉、その他の天然生成物の微細粉末又は繊維及び合成繊維が含まれる。好適な繊維状又は粉体状充填剤の例には、更に炭素繊維又はガラス織物、グラスマット又はフィラメントグラスロービング、チョップトガラス、ガラスビーズの形のガラス繊維及び珪灰石が含まれる。ガラス繊維は、短ガラス繊維の形及び連続繊維の形(ロービング)の両方で、混和されていてよい。
【0175】
好適な顔料には、例えばカーボンブラック、石墨、二酸化チタン、酸化鉄等が含まれる。
【0176】
好適な色料には、例えばフタロシアニン染料が含まれる。
【0177】
高分子材料は更に核剤を含有してよい。好適な核剤には、例えば無機材料、例えば滑石、金属酸化物、例えば酸化チタン又は酸化マグネシウム、有利にはアルカリ土類金属のホスホン酸塩、炭酸塩又は硫酸塩;有機化合物、例えばモノカルボン酸又はポリカルボン酸及びその塩、例えば4−t−ブチル安息香酸、アジピン酸、ジフェニル酢酸、コハク酸ナトリウム又は安息香酸ナトリウム;高分子化合物、例えばイオンコポリマー("イオノマー")が含まれる。
【0178】
(a)から(t)群の化合物は、(p)群のベンゾフラノンを除いて、典型的な量、例えば高分子材料の全質量に対して0.0001〜10質量%、有利には0.01〜1質量%の量で使用する。(u)群の添加物は典型的量で使用する。典型的には高分子材料の全質量に対して0〜60質量%の量で使用する。
【0179】
高分子材料は、更に潤滑剤を含有してよい。潤滑剤の例は、金属石鹸、例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム又はステアリン酸亜鉛、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸パルミチル、モノステアリン酸グリセロール、エチレンビスステアリルアミド、メチレンビスステアリルアミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸、ベハン酸、ポリエチレンワックス等である。
【0180】
高分子材料は、更にその他の慣用の難燃剤を含有してよい。場合により高分子材料中に存在する慣用の難燃剤の例は、最初の部分に記載したようなものである。
【0181】
有利な慣用の難燃剤は、2、4、12、13、14及び15群(半)金属の水酸化物、酸化物及び酸化物水和物、窒素系難燃剤及び燐系難燃剤である。
【0182】
2、4、12、13、14及び15群(半)金属の水酸化物、酸化物及び酸化物水和物の例は、酸化マグネシウム又は水酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、アルミニウムトリヒドレート、シリカ、酸化錫、アンチモンオキシド(III及びV)及びオキシドヒドレート、チタンオキシド及び亜鉛オキシド又はオキシドヒドレートである。
【0183】
窒素系難燃剤の例は、メラミン及び尿素系樹脂及びメラミンシアヌレート及びメラミンボレートである。
【0184】
燐系難燃剤の例は、赤燐、アンモニウムポリホスフェート、燐酸エステル、特にトリアリールホスフェート、例えばトリフェニルホスフェート、トリベンジルホスフェート、トリクレシルホスフェート、トリ−(ジメチルフェニル)ホスフェート、ベンジルジメチルホスフェート、ジ−(ジメチルフェニル)フェニルホスフェート、レゾルシノール−ビス(ジフェニルホスフェート)、レコルシノール−ビス−[ジ−(2,6−ジメチルフェニル)−ホスフェート](PX−200)、アルミニウムジエチルホスフィネート(Exolit(R)OP1230)であるが、脂肪族燐酸塩、例えばトリス(2−クロロイソプロピル)ホスフェート(Lupragen(R)TCPP)、芳香族ポリホスフェート、例えばビスフェノールから誘導されるポリホスフェート、例えばUS2004/0249022に記載されているような化合物及びホスホン酸エステル、例えばジメチル−メチルホスホネート及びホスホン酸(2−(ヒドロキシメチル)カルバミル)エチル)ジメチルエステル及び多環式燐含有化合物、例えば9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキシド(DOPO)である。
【0185】
有利な態様では、高分子材料はハロゲン系難燃剤から選択したその他の難燃剤を含有しない。態様の一つでは、高分子材料は本発明の環状及び/又は高分子ホスフィンとは異なるその他の難燃剤を含有しない。
【0186】
もう一つの有利な態様では、高分子材料は、本発明の環状及び/又は高分子ホスフィンとは別に、その他の難燃剤及び/又は相乗剤を含有する。相乗剤は、適切な難燃剤の効果を、多くの場合に相加以上(相乗的)に、改良する化合物である。本発明の環状及び/又は高分子ホスフィンと有利に組み合わせることができる相乗剤は、2、4、12、13、14及び15群(半)金属の水酸化物、酸化物及び酸化物水和物、例えば、酸化マグネシウム又は水酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、アルミニウムトリヒドレート、シリカ、酸化錫、アンチモンオキシド(III及びV)及びオキシドヒドレート、チタンオキシド及び亜鉛オキシド又はオキシドヒドレート、特に亜鉛化合物、例えば硼酸亜鉛、錫酸亜鉛又は硫化亜鉛、窒素系難燃剤、例えばメラミン及び尿素系樹脂、メラミンシアヌレート及びメラミンボレート、メラミンホスフェート、メラミンポリホスフェート又はメラミンピロホスフェート及び燐系難燃剤、例えばホスフィネート金属塩、例えばアルミニウムジエチルホスフィネート(Exolit(R)OP1230)、ホスフェート、例えばレゾルシノール−ビス[ジフェニルホスフェート]、レゾルシノール−ビス[ジ−(2,6−ジメチルフェニル)−ホスフェート](PX−200)又はトリス(2−クロロイソプロピル)ホスフェート(Lupragen(R)TCPP)、ホスホン酸エステル、例えばジメチル−メチルホスホネート、多環式燐含有化合物、例えば9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファンフェナンスレン−10−オキシド(DOPO)又はその誘導体から選択する。その他の相乗剤は、フェノール性ノボラック系をベースとする材料、例えばフェノール−ホルムアミド縮合反応から得られるようなものであってよい。有利な相乗剤は、酸化Ti(IV)、二酸化珪素、酸化アルミニウム、アルミニウムトリヒドレート、酸化亜鉛、硼酸亜鉛、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、メラミン及び尿素系樹脂、メラミンシアヌレート、メラミンボレート及びメラミンホスフェートである。
【0187】
前記水酸化物、酸化物及びオキシドヒドレートは、通常抗ドリッピング剤も有する。抗ドリッピング剤の例は更に、ポリテトラフルオロエチレンである。
【0188】
好適なその他の添加物の選択は、各々の場合に配合される詳細なポリマー並びにその最終用途に応じて決まり、当業者により確立することができる。
【0189】
式(I)の当該化合物と一緒に使用するために特に有用であると実証された場合による共添加物は、前記相乗剤、特にホスフィネート金属塩、例えばExolit(R)OP−930、DOPO又はその誘導体及びアルミニウムトリヒドレートである。
【0190】
高分子材料は、式(I)化合物及び/又は反復単位IIを含むポリマー(及び場合による添加物)をポリマーの製造の前、その間又はその後に添加することができる。
【0191】
式(I)の化合物及び/又は反復単位IIを含むポリマー及び場合によるその他の成分は、高分子材料に別々に添加してもよいし、相互に混合して添加してもよい。所望により、例えば乾式混合、圧縮又は溶融によりポリマー中に混和する前に個々の成分を相互に混合することができる。
【0192】
高分子材料への式(I)の化合物及び/又は反復単位IIを含むポリマー及び場合によるその他の添加物の混和は、公知方法により、例えば粉末の形で乾式混合により又は例えば不活性溶剤、水又は油中の溶液、分散液又は懸濁液の形で湿式混合によって行う。式(I)の化合物及び/又は反復単位IIを含むポリマー及び場合によるその他の添加物は、例えば成形の前又は後に又は溶解したか又は分散させた添加物又は添加物混合物をポリマー材料に塗布することによって、次いで溶剤又は懸濁/分散剤を蒸発させるか又は蒸発させないで、混和してもよい。これらは直接加工装置(例えば押出機、内部ミキサー等)中へ、例えば乾燥混合物又は粉末又は溶液又は分散液又は懸濁液又は溶融物として、混和することができる。
【0193】
混和は、攪拌機を具備した加熱可能な容器中で、例えば閉鎖容器、例えばニーダー、ミキサー又は攪拌容器中で実施することができる。混和は例えば押出機又はニーダー中で行う。加工を不活性雰囲気中で行うか又は酸素の存在で行うかは通常重要なことではない。
【0194】
添加物又は添加物ブレンドをポリマーに添加することは、ポリマーを溶融し、添加物と混合する慣用の全ての混合機中で実施することができる。好適な機械は当業者に公知である。それらは主としてミキサー、ニーダー及び押出機であるが、ロールミル、加熱ローラー付きロールミキサー及びカレンダーでもある。
【0195】
方法は、例えば押出機中で加工中に添加物を導入することによって行う。好適な加工機械の詳細な例は、一軸スクリュー押出機、反転及び同時回転二軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機、遊星歯車押出機、リング押出機又はコニーダーである。真空を適用することができる少なくとも1個の気体除去室を有する加工機械を使用することも可能である。特別な態様の一つでは、二軸スクリュー押出機を使用する。
【0196】
好適な押出機及び混練機は、例えばHandbuch der Kunststoffextrusion、Vol.1Grundlagen、Editors F.Hensen、W.Knappe、H.Potente、1989、pp.3−7、ISBN:3−446−14339−4(Vol.2Extrusionsanlage 1986、ISBN3−446−14329−7)に記載されている。
【0197】
複数の成分を添加する場合には、これらを予備混合するか又は個々に加えることができる。
【0198】
ポリマー成分は、本発明により使用される混合装置に溶融形又は通常固定形で供給することができる。ポリマー成分を固体形で使用する場合には、これは顆粒、粉末、ペレット又はグラインドストックの形であってよい。その場合に、ポリマー成分は例えば温度150〜300℃で溶融させる。
【0199】
ポリマー成分、式(I)の化合物及び/又は反復単位IIを含むポリマー及びその他の場合による添加物は"冷時"混合することもでき、その後混合物を溶融させ、均質化する。好適な温度は、例えば150〜300℃の範囲である。
【0200】
式(I)の化合物及び/又は反復単位IIを含むポリマー及びその他の場合による添加物をポリマー材料に噴霧することもできる。重合触媒の失活中の噴霧による添加が特に有利である;この場合に放出される蒸気は触媒の失活化用に使用することができる。球形重合されたポリオフィンの場合には、例えば式(I)の化合物及び/又は反復単位IIを含むポリマーを場合によりその他の添加物と一緒に噴霧によって塗布することが有利である。
【0201】
式(I)の化合物及び/又は反復単位IIを含むポリマー及び場合によるその他の添加物は、成分をポリマー中に混和させたコンセントレートの全質量に対して約1〜約40質量%、例えば約2〜約20質量%の濃度で含有する、マスターバッチの形("コンセントレート")で、ポリマーに添加することもできる。ポリマーは添加物が最後に加えられるポリマーと必ずしも同じ構造である必要はない。このような操作中で、ポリマーは粉末、顆粒、溶液、懸濁液の形又はラテックスの形で使用することができる。
【0202】
式(I)の化合物及び/又は反復単位IIを含むポリマーは、有利にはポリマー成分にコーテッドカプセルの形で加えることができ、その際式(I)の化合物及び/又は反復単位IIを含むポリマーは、好適な塗料によって取り囲まれたカプセルコアを形成する。好適な塗料は、本発明の環状及び/又は高分子ホスフィンを酸素及び湿気により生じうる有害作用から保護し、好適な塗膜を形成するようなものである。好適な塗料は抗ドリッピング剤として導入部分で列記した充填剤、本発明の環状及び/又は高分子ホスフィン用に好適な相乗剤として列記した材料及び樹脂、例えばメラミン樹脂である。有利には塗料は、難燃作用を付与するように、特に本発明の環状及び/又は高分子ホスフィン用の相乗剤として作用するように、即ち難燃剤としての効果を改善するように、選択する。有利な塗料は、(半)金属水酸化物、(半)金属酸化物及び(半)金属酸化物水和物、例えば、アルミニウムトリヒドレート(Al(OH))、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、シリカ、酸化錫、錫オキシドヒドレート、酸化アンチモン(III及びV)及び二酸化チタン、及び特にアルミニウムトリヒドレートであるが、これらは場合によりその他の水酸化物又は酸化物、例えば水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、酸化亜鉛又は水酸化鉛と組合せる。塗布は、US4210630に記載されている塗布法と同様にして、例えば式(I)の化合物又は反復単位IIを含むポリマーの水性懸濁液を1種以上の前記(半)金属の水溶性塩で塩基、例えば水酸化アルカリ又はアルカリ又はアルカリ土類炭酸塩の存在で処理することによって実施することができる。生じる(半)金属水酸化物は、化合物(I)又は反復単位IIを含むポリマーの分散した粒子上に沈澱する。有利にはコーテッドカプセルは、平均(中央値)直径1〜約100μmを有する。
【0203】
化合物(I)及び/又は反復単位IIを含むポリマー及び場合による添加物の混和は、成形操作の前又はその間に行うことができる。
【0204】
化合物(I)及び/又は反復単位IIを含むポリマーは、それからポリマーが誘導されるモノマーに加え、モノマーを重合させることによって、高分子材料に混和することもできる。この場合に、反復単位IIを含むポリマーをモノマーと共重合させ、混和された単位IIを有する高分子材料を生じることができる。
【0205】
本明細書に記載の式(I)の化合物及び/又は反復単位IIを含むポリマーを含有する材料は、例えば成形品、例えば回転成形品、射出成形品、吹込成形品、(押出)形材、単層及び多層フィルム、積層品、例えば繊維積層品、表面塗料等の製造用に使用される。
【0206】
式(I)の化合物により難燃化するため好適な(半)完成品の例は下記である:熱可塑性オレフィン、彩色可能な熱可塑性オレフィン、ポリプロピレン成形品、ポリエチレンフィルム、その他の補助安定剤を有する熱可塑性エラストマー、グリース充填ワイヤ及びケーブル絶縁物、プラスチック支持体上の塗膜、化学薬品を含むポリオレフィンタンク又は容器、防曇剤を有するポリオレフィンフィルム、ハイドロタルサイト、例えばDHT4AのようなIR熱充填剤を有するポリオレフィンフィルム、帯電防止剤を有するポリオレフィンフィルム、プラスチック支持体への積層用の予備成形フィルム、電気及び電子機器の部品、例えばテレビ受像機用キャビネット及びケーシング、コネクター、ワイヤ、ケーブル、プラグスペーサー等、貯蔵及び輸送用容器、箱、瓶、自動車用途、例えばダッシュボード又はバックボード、大量輸送乗物(飛行機、バス、地下鉄等)内部のポリマー部品、更に例えばスタジアムシート又は公共用座席、椅子張り、マットレス等、建築で使用される材料、例えば断熱材料、例えば屋根板、屋根膜、床仕上材、ライナー、形材、例えば窓及びドア形材等、更にシャワーストール、タブ、日除織物等、織物、例えばドラペリー、カーペット、子供寝巻、作業服、テント、防水シート、パラシュート、ロープ、網、タイヤコード等、手術着、手術帽及びその他の病院用途。
【0207】
有利には、式(I)の化合物及び/又は反復単位IIを含むポリマーを高分子材料中に、高分子材料の質量に対して、1〜35質量%又は1〜20質量%、更に有利には1〜15質量%、更にもっと有利には3〜15質量%、例えば6〜13質量%又は6〜12質量%、特に8〜15質量%、例えば8〜13質量%又は8〜12質量%の量で混和する。
【0208】
もう一つの態様では、本発明は、有機材料の難燃性化又は易燃性を減少させる方法を提供するが、これは材料に前記した式Iの少なくとも1種の化合物及び/又は前記した反復単位IIを含む少なくとも1種のポリマーを混和することから成る。化合物(I)及び反復単位IIを含むポリマーの有利な態様、好適な及び有利な高分子材料及び場合による添加物及び化合物(I)及びその他の添加物を高分子材料中への混和する方法に関して前記したことは、ここでも適用される。
【0209】
もう一つの態様では、本発明は高分子組成物を提供するが、これは、(a)前記したような式Iの少なくとも1種の化合物及び/又は前記したような式IIの反復単位IIを含む少なくとも1種のポリマー;及び(b)エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂を含有する材料を除く高分子材料から成り、その際成分(a)は高分子材料の質量に対して1〜15質量%の量で含まれる。
【0210】
化合物(I)及び反復単位IIを含むポリマーの有利な態様、好適な及び有利な高分子材料及び場合による添加物及び本発明の環状及び/又は高分子ホスフィン及びその他の場合による添加物を高分子材料中へ混和する方法に関して前記したことは、ここでも適用される。
【0211】
特に化合物(I)中で、mは0である。有利にはnは2,3、又は4である。更に有利には本発明の組成物の成分(a)は、ペンタフェニルシクロペンタホスフィン(m=0;n=3)であるか又はペンタフェニルシクロペンタホスフィンとテトラフェニルシクロテトラホスフィン(m=0;n=2)及び/又はヘキサフェニルシクロヘキサホスフィン(m=0;n=4)の混合物である。後者の場合には、ペンタフェニルシクロペンタホスフィンは、環状ホスフィンの全質量に対して有利には少なくとも50質量%、更に有利には少なくとも60質量%、更にもっと有利には少なくとも70質量%及び特に少なくとも80質量%の量で存在する。
【0212】
有利には本発明の高分子組成物は、化合物(I)を高分子材料の全質量に対して3〜15質量%、更に有利には6〜15質量%、例えば6〜13質量%又は6〜12質量%、特に8〜15質量%、例えば8〜13質量%又は8〜12質量%の量で含む。
【0213】
特に反復単位IIを含むポリマー中でmは0である。有利にはポリマーは、反復単位IIをポリマーの全質量に対して少なくとも80質量%、有利には少なくとも90質量%、特に少なくとも95質量%の量で含有する。ポリマー中の反復単位IIの量の最高上限は、ポリマー末端基の性質、例えばハロゲン又はOHに左右される。
【0214】
有利にはポリマーは、式IIの反復単位を3〜10000個、更に有利には5〜1000個及び特には5〜100個、例えば10〜100個又は10〜50個含有する。ポリマーの数平均分子量Mは、有利には300〜1000000、更に有利には500〜100000、特には1000〜10000、例えば1000〜5000である。
【0215】
有利には本発明の高分子組成物は、反復単位IIを含むポリマーを、高分子材料の質量に対して2〜15質量%、更に有利には3〜15質量%、更にもっと有利には6〜15質量%、例えば6〜13質量%又は6〜12質量%、特に8〜15質量%の量で含む。
【0216】
高分子組成物が化合物(I)及び反復単位IIを含むポリマーの両方を含む場合には、二つの成分は有利には全量で、高分子材料の質量に対して2〜15質量%、更に有利には3〜15質量%、更にもっと有利には6〜15質量%、例えば6〜13質量%又は6〜12質量%、特に8〜15質量%、例えば8〜13質量%又は8〜12質量%の全量で含まれる。
【0217】
有利には高分子材料は、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン及びその他のオレフィン及びポリウレタンの種類から選択する。特に高分子材料はポリカーボネートである。
【0218】
更にもう一つの態様では、本発明は、(a)前記したような式Iの少なくとも1種の化合物及び/又は前記したような式IIの反復単位を含む少なくとも1種のポリマー;及び(b)エポキシド基を含むモノマーは除く重合性モノマーから成る組成物を提供する。
【0219】
化合物(I)及び反復単位IIを含むポリマーの有利な態様及びその他の場合による添加物に関して前記したことは、ここでも適用される。
【0220】
重合性モノマーは、本発明による少なくとも1種の環状及び/又は高分子ホスフィンと相溶性である限り、高分子材料の文脈で前記した全てのモノマーであってよい。相溶性とは、ホスフィンとモノマー間に、組成物のモノマーから製造した高分子材料の難燃性に対して不利な影響を与える相互作用がないことを意味する。
【0221】
有利には本発明の組成物は、周囲温度(25℃)で液体又は固体の状態である。従って有利にはモノマーは周囲温度で液体又は固体の状態であるように選択するか又は好適な溶剤中に溶解させる。
【0222】
有利にはモノマーは、アルケン、アルカジエン、ハロゲン化アルケン、ハロゲン化アルカジエン、シクロアルケン、ビニルエーテル、ビニルエステル、ビニル芳香族化合物、α,β−不飽和脂肪族酸及びその誘導体、脂肪族及び脂環式ポリオール、モノ−及びポリヒドロキシ芳香族化合物、アルデヒド、尿素、メラミン、多官能性イソシアネート、ポリアミン、多酸及び多酸誘導体、炭酸エステル、アミノ酸、ラクタム及びその混合物から選択する。
【0223】
好適なアルケンは、例えばエチレン、プロピレン、ブト−1−エン、イソブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチルペント−1−エン等である。本発明の組成物用の有利なアルケンは周囲温度で気体ではなく、従って有利には1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチルペント−1−エン及び高級アルケンから選択する。
【0224】
好適なアルカジエンは、例えばイソプレン及びブタジエンである。本発明の組成物用の有利なアルカジエンは周囲室温で気体ではなく、従って有利にはイソプレン及び高級アルカジエンから選択する。
【0225】
好適なハロゲン化アルケンは、例えば塩化ビニル、弗化ビニル、塩化ビニリデン、弗化ビニリデン、塩化アリル、臭化アリル等である。本発明の組成物用の有利なハロゲン化アルケンは、周囲温度で気体ではなく、従って有利には塩化ビニリデン、塩化アリル、臭化アリル及び高級クロロアルケンから選択する。
【0226】
好適なハロゲン化アルカジエンは、例えばクロロプレン(2−クロロ−1,3−ブタジエン)である。
【0227】
好適なシクロアルケンは、例えばシクロペンテン及びノルボルネンである。
【0228】
好適なビニルエーテルは、二三名前を挙げれば、例えばブチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテルである。
【0229】
好適なビニルエステルは、脂肪族C−C20カルボン酸のビニルエステル、例えば蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等である。最も一般的なビニルエステルは酢酸ビニルである。
【0230】
好適なビニル芳香族化合物は、例えばスチレン、α−メチルスチレン、2−、3−又は4−メチルスチレン等である。
【0231】
好適なα,β−不飽和脂肪酸及びその誘導体は、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、アクリル酸及びメタクリル酸エステル、例えばメチル、エチル、プロピル及びブチルアクリレート又はメタクリレート、イタコン酸エステル、例えばメチル、エチル、プロピル及びブチルイタコネート、フマル酸エステル、例えばメチル、エチル、プロピル及びブチルフマレート、マレイン酸エステル、例えばメチル、エチル、プロピル及びブチルマレエート、アクリルアミド、アクリロニトリル等である。
【0232】
好適な脂肪族及び脂環式ポリオールは、例えば1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチルペンタン−1,5−ジオール、1,10−デカンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等である。好適な高級多価アルコールは、例えば三価(トリオール)、四価(テトロール)及び/又は五価アルコール(ペントール)である。これらは通常炭素原子3〜25個、有利には3〜18個有する。これらには、グリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、エリスリット、ペンタエリスリット、ソルビット及びそのアルコキシレートが含まれる。
【0233】
好適なモノ−及びポリヒドロキシ芳香族化合物は、例えばフェノール、ナフトール、アントラセノール、ヒドロキノン、レゾルシン、ナフトキノン、ジヒドロキシアントラセン、ピロガロール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−ブタン(ビスフェノールB)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(ビスフェノールC)等である。
【0234】
好適なアルデヒドは、例えばホルムアルデヒド、特にホルマリン又はトリオキサンの形で、エタナール等である。
【0235】
好適な多官能性イソシアネートは、例えば脂肪族、脂環式、芳香脂肪族及び芳香族イソシアネートである。好適な芳香族ジイソシアネートは、例えばジフェニルメタン2,2’−、2,4’−及び/又は4,4’−ジイソシアネート(MDI)、ナフチレン1,5−ジイソシアネート(NDI)、トリレン2,4−及び/又は2,6−ジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルジイソシアネート、1,2−ジフェニルエタンジイソシアネート及び/又はフェニレンジイソシアネートである。脂肪族及び脂環式ジイソシアネートには、例えばトリ−、テトラ−、ペンタ−、ヘキサ−、ヘプタ−及び/又はオクタメチレンジイソシアネート、2−メチルペンタメチレン1,5−ジイソシアネート、2−エチルブチレン1,4−ジイソシアネート、1−イソシアネート−3,3,5−トリメチル−5−イソシアネートメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1,4−及び/又は1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(HXDI)、シクロヘキサン1,4−ジイソシアネート、1−メチル−2,4−及び/又は2,6−シクロヘキサンジイソシアネート及び/又はジシクロヘキシルメタン4,4’−、2,4’−及び/又は2,2’−ジイソシアネートが含まれる。有利なジイソシアネートには、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)及びイソホロンジイソシアネートが含まれる。高級多官能性イソシアネートの例は、トリイソシアネート、例えばトリフェニルメタン4,4’,4"−トリイソシアネート及び前記ジイソシアネートのシアヌレート及びジイソシアネートと水の部分反応により得られるオリゴマー、例えば前記ジイソシアネートのビウレット、更にセミブロクトジイソシアネートと平均2個及び有利には3個以上のヒドロキシル基を有するポリオールの標的反応により得られるオリゴマーである。
【0236】
好適なポリアミンは、例えばアルキルジアミン、例えばC−C20−アルキルジアミン、例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ペンチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン又は脂肪族ポリアミン、例えばジエチレントリアミン、トリエチレンテルアミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等又は芳香族ジアミン、例えばC〜C20芳香族ジアミン、例えばm−、o−又はp−フェニレンジアミン又はm−キシレンジアミンである。
【0237】
好適な多酸及び多酸誘導体は、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、1,12−ドデカンジオン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、そのエステル、特にメチルエステル、その無水物及び塩化物である。
【0238】
好適な炭酸エステルは、例えば炭酸ジフェニル、炭酸ジメチル等である。
【0239】
好適なアミノ酸は、例えば4−アミノ酪酸、6−アミノヘキサノン酸、11−アミノウンデカノン酸等である。
【0240】
好適なラクタムの一例は、ε−カプロラクタムである。
【0241】
更に有利には重合性モノマーは、ラクタム、アミン及びアミド、及び特にラクタムから選択する。特に重合性モノマーはε−カプロラクタムである。
【0242】
本発明の組成物は、通常少なくとも1種の本発明の環状及び/又はオレフィンホスフィン(成分(i))をモノマー又はモノマー混合物と反応させることによって製造する。
【0243】
組成物は更に、高分子化合物用に前記した少なくとも1種の好適な溶剤及び/又は少なくとも1種の添加物を含んでもよい。組成物は、早期/不所望に重合されやすいモノマーを安定化するための重合防止剤を含んでもよい。好適な重合防止剤は、各々のモノマーに特異的であり、各々の場合に当業者によって選択することができる。好適な溶剤も使用されるモノマーの詳細な性質に左右され、当業者によって簡単に決定することができる。
【0244】
化合物(I)/反復単位IIを含むポリマーの難燃性は、難燃性を評価するために使用される標準法により測定する。これらには、NFPA701Standard Methods of Fire Tests for Flame−Resistant Textiles and Films、1989及び1996版;theUL 94 Test for Flammability of Plastic Materials for Parts in Devices and Appliances、第5版、1996年10月29日;Limiting Oxygen Index(LOI)、ASTM D−2863;及びCone Calorimetry、ASTM E−1354が含まれる。
【0245】
UL94V試験による等級は、下記表にまとめてあるようなものである:
【表1】

【0246】
次に本発明を実施例につき詳説するが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0247】
実施例
1.ペンタフェニルシクロペンタホスフィン(化合物(i);m=0;n=3)の製造
ジクロロフェニルホスフィン(CPCl2)716g(4.00モル)をアルゴン雰囲気下で反応器に入れ、THF5lを添加した。マグネシウム削り屑103g(4.259モル)を温度を<65℃に保ちながら1.25時間かけて少量づつ加えた。添加完了後、反応混合物を68℃で140分間及び20℃で3.5日間攪拌した。混合物を濾過し、溶剤を回転蒸発器中で濾液から蒸発させた。残分を水1250g中に懸濁させ、懸濁液を濾過した。フィルターケーキを水300mlで3回、アセトン300mlで3回洗浄し、次いで45℃及び5ミリバールで乾燥させて、標題生成物366.8g(理論値の84.87%)が得られた。
【0248】
2.燃焼試験
下記成分を二軸押出機に添加することによって混合した:
ポリカーボネート(Makrolon2800、Bayer) 60.0質量%
ABS(Terluran HI−10;BASF) 27.6質量%
ペンタフェニルシクロペンタホスフィン 12.0質量%
(化合物(I);m=0;n=3)
テフロン分散液(抗ドリッピング添加物) 0.4質量%
【0249】
押出後、材料を射出成形して、厚さ1.6mmの試験棒にし、次いでこれにUL試験96Vを行った。
【0250】
試料の総燃焼時間は14.6秒間であった。燃焼ドリップ及びクランプはなかった。これはV−1等級に相応する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

の少なくとも1種の環状ホスフィン及び/又は式II
【化2】

[式中、
各Rは、無関係に、ヒドロキシ、C−C10−アルキル、C−C10−アルコキシ、C−C10−シクロアルキル、C−C10−シクロアルコキシ、C−C10−アリール、C−C10−アリールオキシ、C−C10−アリール−C−C−アルキル、C−C10−アリール−C−C−アルコキシ、NR、COR、COOR及びCONRから成る群から選択し、
各Rは、無関係に、水素、C−C10−アルキル、C−C10−シクロアルキル、C−C10−アリール及びC−C10−アリール−C−C−アルキルから成る群から選択し;
は、無関係に、Rに記載したものの一つを表し、
mは0、1、2又は3であり;
nは1から6の整数である]の反復単位を含有する少なくとも1種のポリマーを、難燃剤として用いる使用(ただし、エポキシ樹脂又はエポキシ樹脂含有材料における使用は除く)。
【請求項2】
nが2、3又は4である、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
が、無関係に、C−C10−アルキル、C−C10−シクロアルキル及びC−C10−アリールから成る群から選択されたものである、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
mが0である、請求項1から3までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
高分子材料中の難燃剤としての、請求項1から4までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
高分子材料を熱硬化性ポリマーから選択する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
高分子材料を熱可塑性ポリマーから選択する、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
材料に、請求項1から4までのいずれか1項で定義される式Iの少なくとも1種の化合物及び/又は請求項1、3又は4のいずれか1項で定義される式IIの反復単位を含む少なくとも1種のポリマーを混和することを含む、有機材料を難燃性にするか又は有機材料の易燃性を減少させる方法。
【請求項9】
(a)請求項1から4までのいずれか1項で定義される式Iの少なくとも1種の化合物及び/又は請求項1、3又は4のいずれか1項で定義される式IIの反復単位を含む少なくとも1種のポリマー;及び
(b)エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂含有材料を除く、高分子材料
を含むが、その際、成分(a)は高分子材料の質量に対して1〜15質量%の量で含まれる高分子組成物。
【請求項10】
成分(a)が高分子材料の質量に対して6〜15質量%の量で含まれる、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
(a)請求項1から4までのいずれか1項で定義される式Iの少なくとも1種の化合物及び/又は請求項1、3又は4のいずれか1項で定義される式IIの反復単位を含む少なくとも1種のポリマー;及び
(b)エポキシド基を含有するモノマーは除く、少なくとも1種の重合性モノマー
を含む組成物。
【請求項12】
モノマーを、アルケン、アルカジエン、ハロゲン化アルケン、ハロゲン化アルカジエン、シクロアルケン、ビニルエーテル、ビニルエステル、ビニル芳香族化合物、α,β−不飽和脂肪酸及びその誘導体、脂肪族及び脂環式ポリオール、モノー及びポリヒドロキシ芳香族化合物、アルデヒド、尿素、メラミン、多官能性イソシアネート、ポリアミン、多酸及び多酸誘導体、炭酸エステル、アミノ酸、ラクタム及びその混合物から選択する、請求項11に記載の組成物。

【公表番号】特表2010−538139(P2010−538139A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−523498(P2010−523498)
【出願日】平成20年9月3日(2008.9.3)
【国際出願番号】PCT/EP2008/061625
【国際公開番号】WO2009/030708
【国際公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】