説明

難燃剤組成物、及びそれを使った難燃発泡用樹脂組成物とその発泡体

【課題】 本発明は、難燃性発泡体を製造するにあたり、諸特性を劣化させること無く難燃性を得るため、糖質類及びリン酸エステル系化合物を組み合わせた難燃剤組成物を使用することを特徴とし、その難燃剤組成物と、ポリオール、イソシアネート化合物とを含む発泡用樹脂組成物、及びその発泡体に関するものである。
【解決手段】 本発明は、難燃剤組成物として、分子量を制御又は官能基を導入した糖質類と、リン酸エステル系化合物とを一定量以上組み合わせて使用することにより、本難燃剤組成物、ポリオール、イソシアネート化合物等を含む発泡用樹脂組成物において、プレミックス液の相溶性を向上させることが出来るとともに、これから得られる発泡体が、優れた難燃性が得られることを最も主要な特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、難燃性発泡体を製造するにあたり、諸特性を劣化させること無く難燃性を得るため、糖質類及びリン酸エステル系化合物を組み合わせた難燃剤組成物を使用することを特徴とし、その難燃剤組成物と、ポリオール、イソシアネート化合物とを含む発泡用樹脂組成物、及びその発泡体に関するものである。更には、難燃剤に使用する糖質類の分子量を制御することや、官能基を導入した糖質類を使用することにより、難燃性に優れ、プレミックス液の相溶性を向上させることができ得る発泡用樹脂組成物、及びその発泡体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発泡体はポリオール、反応触媒、整泡剤、難燃剤、発泡剤を混合しプレミックス液とし、発泡体製造時にイソシアネート化合物と撹拌混合させる2液混合法で製造されるのが一般的である。このような発泡体の主用途は建材関連であり難燃性への要求が重要視されるため、難燃性を付与する検討が従来から行われており、その手法には、不燃性の板又はシートを設ける方法、難燃剤の添加やイソシアヌレート変性等の手法、有機窒素系難燃剤であるメラミン等を併用するなどその他様々な手法がある。
【0003】
従来法では、炭水化物の水溶液及び/又はスラリー、メラミン樹脂、反応触媒、ポリイソシアネート及び必要に応じて整泡剤、難燃剤を含有する組成物より得られるポリウレタン発泡体の少なくとも片面に難燃若しくは不燃性の板又はシートを設けてなる難燃性構造体が開示されている。(例えば、特許文献1参照。)
【0004】
また、炭水化物の水溶液及び/又はスラリー、メラミン樹脂、反応触媒、ポリイソシアネート及び必要に応じて整泡剤、難燃剤を含有してなるポリウレタン発泡用樹脂組成物が開示されている。(例えば、特許文献2参照。)
【0005】
更には、炭水化物の水溶液及び/又はスラリー、フェノール樹脂、反応触媒、ポリイソシアネート及び必要に応じて整泡剤、難燃剤を含有してなるポリウレタン発泡用樹脂組成物が開示されている。(例えば、特許文献3参照。)
【0006】
一方、糖質類は自身の持つ官能基(−OH)と構造の剛直性、残炭率の高さから難燃性に有利な材料であり、糖質類の難燃性に注目した検討もなされているが、糖質類の親水性の高さから、整泡剤、難燃剤と言った添加剤との相溶性が難しく、プレミックス液とする際、整泡剤、難燃剤と言った添加剤を予めイソシアネート化合物と混合させる方法や、ポリオール、イソシアネート化合物、整泡剤や相溶剤、難燃剤と言った各種添加剤の3液成分で混合させる等、発泡体製造時に工夫を要する必要性が生じることがあり、検討課題も多くあった。(例えば、同一出願人による特許文献4乃至6参照。)
【0007】
しかし、特許文献1乃至3のいずれにおいても、糖質類を難燃剤として使用し、リン酸エステル系化合物と組み合わせ難燃性の高い発泡用樹脂組成物とその発泡体を得る方法を開示するものではなく、ポリオールに整泡剤、難燃剤と言った添加剤をプレミックスする方法を開示するものではない。また特許文献4乃至6のいずれにおいても、糖質類及びリン酸エステル系化合物を必須成分とする難燃剤組成物の使用を開示するものではない。
【特許文献1】特開昭61−268435号公報
【特許文献2】特開昭61−266425号公報
【特許文献3】特開昭61−266424号公報
【特許文献4】特開2007−302762号公報
【特許文献5】特願2007−111668号明細書
【特許文献6】特願2007−111669号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
発泡体はポリオール、反応触媒、整泡剤、難燃剤、発泡剤を混合しプレミックス液とし、発泡体製造時にイソシアネート化合物とNCO/OH当量比を1.0〜1.2程度に設定して撹拌混合させる2液混合法で製造されるのが一般的であり、この発泡体に難燃性を付与するため、従来から、難燃剤の添加やイソシアヌレート変性等の手法、有機窒素系難燃剤であるメラミン等を併用するなどその他様々な検討がなされてきた。しかし、多量の難燃剤が必要となり発泡体の強度低下や収縮といった問題や、プレミックス液の分離等の作業性の問題、発泡体が脆くなる等、数々の問題を抱えていた。
【0009】
また、難燃性を向上させる為にポリオール材料として糖質類を使用する場合、NCO/OH当量比を0.20〜0.85程度に設定する必要があり、一般的な当量比でないために特殊な用途に限定されるといった問題がある。
【0010】
本発明が解決しようとする問題点は、上記のような各種要因を同時に満足させなければならない点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、発泡体用の難燃剤組成物として、分子量を制御又は官能基を導入した糖質類と、リン酸エステル系化合物とを組み合わせて使用することにより高い難燃効果を発揮することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、難燃剤として、分子量を制御又は官能基を導入した糖質類と、リン酸エステル系化合物とを組み合わせた難燃剤組成物を使用すること、更には、その難燃剤組成物とポリオールとイソシアネート化合物を使用することで、プレミックス液の相溶性を向上させた発泡用樹脂組成物が得られ、その結果、難燃性に優れた発泡体を提供することを実現した。
【0013】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
請求項1記載の発明によれば、一般式(1)及び/又は(2)及び/又は(3)に記載する糖質類とリン酸エステル系化合物とを組み合わせて使用することにより、難燃効果の高い難燃剤組成物を提供することができる。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、難燃剤として一般式(1)及び/又は(2)及び/又は(3)記載の糖質類20〜80質量%とリン酸エステル系化合物を80〜20質量%の割合で配合させて使用することにより、より広範囲の用途において難燃性を向上させた発泡体を得ることが出来る。
【0015】
請求項3及び4記載の発明によれば、ポリオール、イソシアネート化合物、難燃剤とを含む発泡用樹脂組成物にあって、難燃剤として本糖質類とリン酸エステル系化合物を組み合わせて使用することにより、炭化層の生成を促進させ、糖質類の持つ難燃性を発現させ、難燃性の高い発泡用樹脂組成物を提供でき、さらには糖質類を前記一般式(1)及び/又は(2)及び/又は(3)に記載する範囲に制御することで、プレミックス液の相溶性が向上し、使い勝手が良く、難燃性が高い発泡体の製造に好適な発泡用樹脂組成物を提供できる。
【0016】
請求項5記載の発明によれば、請求項3及び4記載の発明に係る発泡用樹脂組成物を基に、難燃性に優れた発泡体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明について更に詳述する。
本発明における糖質類としては、下記一般式(1)及び/又は(2)及び/又は(3)に記載するものであり、具体的には、単糖類、二糖類、異性化等、オリゴ糖、還元麦芽糖水溶液、還元でん粉糖糖化物水溶液、糖アルコール、糖誘導体(ヒドロキシアルキル化グルコシド、アルコキシアルキル化グルコシド、アルキル化グルコシド、等)が挙げられる。
【0018】
【化1】

【0019】
【化2】

【0020】
【化3】

【0021】
特には、一般式(1)のR1は炭素数1〜12が好ましく、より好ましくは炭素数2〜8の範囲の化合物である糖誘導体であると良い。また一般式(1)に示す糖質類の平均分子量は200〜450が好ましく、さらに好ましくは平均分子量220〜400である。この範囲であれば、プレミックス液の相溶性が良く、良好な発泡体組成物を得ることができるが、平均分子量が450を超えるとプレミックス液の相溶性が悪化し成形不良を起し好ましくない。
【0022】
一般式(2)のR2は炭素数1〜12が好ましく、より好ましくは炭素数4〜12の範囲の化合物である糖誘導体であると良い。また一般式(2)に示す糖質類の平均分子量は190〜500が好ましく、さらに好ましくは平均分子量230〜420である。この範囲であれば、プレミックス液の相溶性が良く、良好な発泡体組成物を得ることができるが、平均分子量が500を超えるとプレミックス液の相溶性が悪化し成形不良を起し好ましくない。
【0023】
上記一般式(1)及び(2)中のR1、及びR2としては、次のアルコール類由来のものが可能であるが、これに限定されるものではない。
【0024】
メタノール、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、イソブチルアルコール、1−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルコール、ネオペンチルアルコール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、1−ノナノール、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール、1−デカノール、1−ウンデカノール、1−ドデカノール、アリルアルコール、プロパギルアルコール、ベンジルアルコール、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、グリセリン、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−イソプロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、2−フェノキシエタノール、2−(ベンジルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。
【0025】
一般式(3)に示す糖質類の平均分子量は180〜900が好ましく、さらに好ましくは平均分子量180〜700である。この範囲であれば、プレミックス液の相溶性が良く、良好な発泡体組成物を得ることができるが、平均分子量が900を超えるとプレミックス液の相溶性が悪化し成形不良を起し好ましくない。
【0026】
本発明におけるリン酸エステル系化合物としては特に制限はなく、一般的なトリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリス(ブトキシエチル)ホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート等の非ハロゲンリン酸エステル類や非ハロゲン縮合リン酸エステル類が使用でき、また、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(クロロプロピル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート等の含ハロゲンリン酸エステル類、含ハロゲン縮合リン酸エステル類も使用できるが、これに限定されるものではない。
【0027】
本発明における難燃剤組成物は、本糖質類の含有率が20〜80質量%であり、且つ、リン酸エステル系化合物の含有率が80〜20質量%であることが好ましい。本糖質類、及びリン酸エステル系化合物の含有率が、各々20質量%以上であると良好な難燃性が得られ、80質量%を超えた場合や、20質量%未満の場合には十分な難燃効果が得られず好ましくない。
【0028】
本発明における難燃剤組成物の添加量はポリオール100質量部に対し、10〜100質量部の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは10〜60質量部であることが望ましい。10質量部未満では難燃効果が十分でなく、100質量部を超えると発泡体の強度が低下し好ましくない。
【0029】
本発明におけるポリオールとしては特に制限はなく、エタンジオール、プロパンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、エリスリトール、ジグリセリン、ソルビトール、シュークロース、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等を出発原料としてエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加反応させて得られるポリエーテルポリオール、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、デカメチレンジカルボン酸、フタル酸等の二塩基酸とエタンジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ジエチレングリコール等のグリコール類をエステル反応させて得られるポリエステルポリオール等が使用できる。
【0030】
本発明におけるイソシアネート化合物としては特に制限はなく、一般的なエチルイソシアネート、ブチルイソシアネート、フェニルイソシアネート、クロルフェニルイソシアネート、ジクロルフェニルイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、トリフェニルメタンイソシアネート、等のモノイソシアネート化合物、ジイソシアネート化合物、トリイソシアネート化合物、及びこれらの誘導体からなるイソシアネート末端を有するポリマーなどが使用できる。
【0031】
その他、発泡体の作成に必要な、反応触媒、整泡剤、発泡剤、等には特に制限は無く、一般的なものでよく、使用する量も特に制限はないが、ポリオール、イソシアネート化合物、難燃剤によって、適宜品種を選択し使用量の調節を行えば良い。また、難燃剤に、本発明の難燃剤組成物以外の一般的なものを併用してもよい。
【実施例】
【0032】
以下に、本発明の難燃剤組成物の合成例について詳細に説明する。
【0033】
(合成例1)
HF−55:異性化糖(群栄化学工業(株)製、平均分子量=180、糖質分75%水溶液)100質量部、トリメチルホスフェート(TMP)50質量部を、ガラス容器に入れ、撹拌機にて充分撹拌して均一混合を確認し、難燃剤組成物1を得た。
【0034】
(合成例2)
ヒドロキシエチルグルコシド(平均分子量=300)100質量部、トリメチルホスフェート(TMP)100質量部、を、ガラス容器に入れ、撹拌機にて充分撹拌して均一混合を確認し、難燃剤組成物2を得た。
【0035】
(合成例3)
ヒドロキシヘキシルグルコシド(平均分子量=330)100質量部、トリエチルホスフェート(TEP)400質量部、を、ガラス容器に入れ、撹拌機にて充分撹拌して均一混合を確認し、難燃剤組成物3を得た。
【0036】
(合成例4)
ブチルグルコシド(平均分子量=330)100質量部、トリス(クロロプロピル)ホスフェート(TCPP)200質量部、を、ガラス容器に入れ、撹拌機にて充分撹拌して均一混合を確認し、難燃剤組成物4を得た。
【0037】
(合成例5)
2−エチルヘキシルグルコシド(平均分子量=400)100質量部、トリエチルホスフェート(TEP)100質量部を、ガラス容器に入れ、撹拌機にて充分撹拌して均一混合を確認し、難燃剤組成物5を得た。
【0038】
(合成例6)
ブチルグルコシド(平均分子量=330)100質量部、トリブチルホスフェート(TBP)200質量部を、ガラス容器に入れ、撹拌機にて充分撹拌して均一混合を確認し、難燃剤組成物6を得た。
【0039】
(合成例7)
ブチルグルコシド(平均分子量=330)100質量部、トリエチルホスフェート(TEP)100質量部を、ガラス容器に入れ、撹拌機にて充分撹拌して均一混合を確認し、難燃剤組成物7を得た。
【0040】
糖質類とリン酸エステル系化合物との組み合わせによる難燃剤組成物の合成例を下記表1に示す。
【0041】
【表1】

【0042】
以下に、本発明の発泡用樹脂組成物、およびその発泡体の実施例について詳細に説明する。
【0043】
(実施例1)
ポリオールとしてサンニックスGP−400(三洋化成工業(株)製 ポリオキシプロピル化グリセリン)100質量部、発泡剤として水2.5質量部、整泡剤としてSH−193(東レ・ダウコーニング(株)製)2質量部、触媒としてN、N、N’、N’−テトラメチルヘキサンジアミン2質量部、難燃剤組成物1を15質量部、イソシアネート化合物としてコスモネートM−200(三井化学ポリウレタン(株)製)199質量部を量り取り、撹拌機にて3000回転で5秒間撹拌した後、25×25×1.3cmの金型に流し込み、40℃にて5分間成形して発泡体1を得た。
【0044】
(実施例2)
ポリオールとしてサンニックスTP−400(三洋化成工業(株)製 ヒドロキシプロピル化トリメチロールプロパン)100質量部、発泡剤として水5質量部、整泡剤としてSH−193(東レ・ダウコーニング(株)製)2質量部、触媒としてN、N、N’、N’−テトラメチルヘキサンジアミン2質量部、難燃剤組成物2を20質量部、イソシアネート化合物としてコスモネートM−200(三井化学ポリウレタン(株)製)199質量部を量り取り、以下、実施例1と同様の操作を行い、発泡体2を得た。
【0045】
(実施例3)
ポリオールとしてサンニックスHD−402(三洋化成工業(株)製 ポリオキシアルキレンポリオール)100質量部、発泡剤として水5質量部、整泡剤としてSH−193(東レ・ダウコーニング(株)製)2質量部、触媒としてN、N、N’、N’−テトラメチルヘキサンジアミン2質量部、難燃剤組成物3を30質量部、イソシアネート化合物としてコスモネートM−200(三井化学ポリウレタン(株)製)195質量部を量り取り、以下、実施例1と同様の操作を行い、発泡体3を得た。
【0046】
(実施例4)
ポリオールとしてサンニックスHD−402(三洋化成工業(株)製 ポリオキシアルキレンポリオール)100質量部、発泡剤として水5質量部、整泡剤としてSH−193(東レ・ダウコーニング(株)製)2質量部、触媒としてN、N、N’、N’−テトラメチルヘキサンジアミン2質量部、難燃剤組成物4を30質量部、イソシアネート化合物としてコスモネートM−200(三井化学ポリウレタン(株)製)194質量部を量り取り、以下、実施例1と同様の操作を行い、発泡体4を得た。
【0047】
(実施例5)
ポリオールとしてサンニックスHS−209(三洋化成工業(株)製 シュークロース系ポリエーテル)100質量部、発泡剤として水5質量部、整泡剤としてSH−193(東レ・ダウコーニング(株)製)2質量部、触媒としてN、N、N’、N’−テトラメチルヘキサンジアミン2質量部、難燃剤組成物5を40質量部、イソシアネート化合物としてコスモネートM−200(三井化学ポリウレタン(株)製)220質量部を量り取り、以下、実施例1と同様の操作を行い、発泡体5を得た。
【0048】
(実施例6)
ポリオールとしてサンニックスHM−550(三洋化成工業(株)製 アミン系ポリエーテル)100質量部、発泡剤として水5質量部、整泡剤としてSH−193(東レ・ダウコーニング(株)製)2質量部、触媒としてN、N、N’、N’−テトラメチルヘキサンジアミン2質量部、難燃剤組成物6を30質量部、イソシアネート化合物としてコスモネートM−200(三井化学ポリウレタン(株)製)194質量部を量り取り、以下、実施例1と同様の操作を行い、発泡体6を得た。
【0049】
(実施例7)
ポリオールとしてサンニックスHD−402(三洋化成工業(株)製 ポリオキシアルキレンポリオール)100質量部、発泡剤としてペンタン20質量部、整泡剤としてSH−193(東レ・ダウコーニング(株)製)2質量部、触媒としてN、N、N’、N’−テトラメチルヘキサンジアミン2質量部、難燃剤組成物7を20質量部、イソシアネート化合物としてコスモネートM−200(三井化学ポリウレタン(株)製)119質量部を量り取り、以下、実施例1と同様の操作を行い、発泡体7を得た。
【0050】
(実施例8)
ポリオールとしてサンニックスHD−402(三洋化成工業(株)製 ポリオキシアルキレンポリオール)100質量部、発泡剤としてHFC365mfc25質量部、整泡剤としてSH−193(東レ・ダウコーニング(株)製)2質量部、触媒としてN、N、N’、N’−テトラメチルヘキサンジアミン2質量部、難燃剤組成物7を20質量部、イソシアネート化合物としてコスモネートM−200(三井化学ポリウレタン(株)製)119質量部を量り取り、以下、実施例1と同様の操作を行い、発泡体8を得た。
【0051】
(実施例9)
ポリオールとしてデシルグルコシド(群栄化学工業(株)製)100質量部、発泡剤として水15質量部、整泡剤としてSH−193(東レ・ダウコーニング(株)製)2質量部、触媒としてN、N、N’、N’−テトラメチルヘキサンジアミン4質量部、難燃剤組成物7を20質量部、イソシアネート化合物としてコスモネートM−200(三井化学ポリウレタン(株)製)145質量部を量り取り、以下、実施例1と同様の操作を行い、発泡体9を得た。
【0052】
(比較例1)
ポリオールとしてサンニックスHD-402(三洋化成工業(株)製 ポリオキシアルキレンポリオール)100質量部、発泡剤として水5質量部、整泡剤としてSH−193(東レ・ダウコーニング(株)製)2質量部、触媒としてN、N、N’、N’−テトラメチルヘキサンジアミン2質量部、難燃剤としてトリエチルホスフェート(TEP)40質量部、イソシアネート化合物としてコスモネートM−200(三井化学ポリウレタン(株)製)171質量部を量り取り、以下実施例と同様の操作を行い、発泡体を得た。
【0053】
(比較例2)
ポリオールとしてサンニックスHD-402(三洋化成工業(株)製 ポリオキシアルキレンポリオール)100質量部、発泡剤として水5質量部、整泡剤としてSH−193(東レ・ダウコーニング(株)製)2質量部、触媒としてN、N、N’、N’−テトラメチルヘキサンジアミン2質量部、難燃剤としてブチルグルコシド(平均分子量=330)15質量部、イソシアネート化合物としてコスモネートM−200(三井化学ポリウレタン(株)製)206質量部を量り取り、以下実施例と同様の操作を行い、発泡体を得た。
【0054】
(比較例3)
ポリオールとしてサンニックスHD-402(三洋化成工業(株)製 ポリオキシアルキレンポリオール)100質量部、発泡剤として水5質量部、整泡剤としてSH−193(東レ・ダウコーニング(株)製)2質量部、触媒としてN、N、N’、N’−テトラメチルヘキサンジアミン2質量部、難燃剤としてブチルグルコシド(平均分子量=330)10質量部、ポリリン酸アンモニウム(PPA)20質量部、イソシアネート化合物としてコスモネートM−200(三井化学ポリウレタン(株)製)194質量部を量り取り、以下実施例と同様の操作を行い、発泡体を得た。
【0055】
実施例及び比較例で得られた各発泡体はJIS A 9511「発泡プラスチック保温材」の燃焼性測定方法Bに順じて保温材特性の評価を実施した。
実施例及び比較例で得られた樹脂組成物の配合、及び各発泡体の評価結果を下記表2に示す。
【0056】
【表2】

*本発泡体は、硬質ウレタンフォーム保温板1種の特性規格に従った。
プレミックス液の相溶性評価基準
1:分離 2:乳化 3:使用可能なレベル 4:ほぼ相溶 5:相溶性良好
【0057】
表2から明らかなように、本発明による糖質類とリン酸エステル系化合物とを組み合わせた難燃剤組成物を使用した実施例1乃至9で得られた発泡体は、何れも燃焼性の規格をクリアーしており、難燃性を有することが明らかである。また本糖質類を使用することでプレミックスの相溶性をさらに向上させることができることが明らかである。
【0058】
一方、難燃剤として本発明の糖質類を含有しない比較例1、難燃剤としてリン酸エステル系化合物を含有しない比較例2、リン酸エステル化合物以外の難燃剤を使用した比較例3では燃焼性がJIS規格を満たしていないことがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明に係る発泡体は、建築物の外壁材、内壁材、等として極めて広範囲に応用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)及び/又は(2)及び/又は(3)に記載する糖質類のうち単独又は二種類以上の混合物と、リン酸エステル系化合物とを含有することを特徴とする難燃剤組成物。
【化1】

【化2】

【化3】

【請求項2】
上記一般式(1)及び/又は(2)及び/又は(3)記載の糖質類の含有率が20〜80質量%であり、且つリン酸エステル系化合物の含有率が80〜20質量%であることを特徴とする請求項1記載の難燃剤組成物
【請求項3】
ポリオールとイソシアネート化合物と難燃剤とを含む発泡用樹脂組成物であって、その難燃剤が上記請求項1又は2記載の難燃剤組成物を含有することを特徴とする難燃発泡用樹脂組成物。
【請求項4】
請求項3記載の発泡用樹脂組成物であって、上記請求項1又は2記載の難燃剤組成物をポリオール100質量部に対して10〜100質量部含有することを特徴とする難燃発泡用樹脂組成物。
【請求項5】
上記請求項3又は4記載の難燃発泡用樹脂組成物を攪拌混合した後、成形して得られることを特徴とする難燃性発泡体。

【公開番号】特開2010−90301(P2010−90301A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−262789(P2008−262789)
【出願日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願人】(000165000)群栄化学工業株式会社 (108)
【Fターム(参考)】