説明

難燃剤組成物

本発明は、プラスチック、例えばポリプロピレン及びポリエチレンのようなポリオレフィン、並びに例えばポリエチレン−酢酸ビニル(EVA)のようなコポリマーを難燃性にするための難燃剤組成物に関する。本発明は、少なくとも1個の炭素−リン共有結合及び少なくとも1個のカルボキシル官能基を有する少なくとも1種の有機リン化合物、少なくとも1個の窒素原子を含有する有機化合物から選択される少なくとも1種の膨張剤並びに材料の燃焼の間に分解しない少なくとも1種の無機構造化剤を含む、プラスチック用、より特定的にはポリオレフィン用の泡沸難燃剤を提供する。この無機構造化剤は、ケイ酸塩及び酸化ケイ素のようなケイ素化合物より成る群から選択される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック、例えばポリプロピレン及びポリエチレンのようなポリオレフィン、並びに例えばポリエチレン−酢酸ビニル(EVA)のようなコポリマーを難燃性(耐火性)にするための難燃剤組成物に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、有機リン化合物をベースとし、泡沸(intumescence)(熱膨張、発泡)効果を有する難燃剤組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
多くの用途において、プラスチックの特性を変えて難燃性にすることが必要とされている。用語「難燃性」とは、炎が拡がるのを抑制して煙や毒性ガスの発生を防止し/最小限に抑えることができる特性を意味するものとする。
【0004】
これらのプラスチックに難燃(防火)剤又は防炎剤として知られている様々な添加剤を添加することが推奨されている。上に挙げたプラスチックについては、水酸化マグネシウム又は水酸化アルミニウムや、ポリブロモジフェニルエーテルと酸化アンチモンとの組合せが最もよく用いられる。ポリアミドのようなその他の熱可塑性ポリマーについては、リン又は赤リン含有化合物、及びブロモポリマー類もしばしば用いられる。
【0005】
ポリオレフィンのようなある種のプラスチックについては、炎の作用下において材料の泡沸を引き起こす添加剤も難燃剤系(難燃システムとも称される)に含まれる。かかる泡沸系は、材料燃焼時に不燃性カーボンをベースとする泡(フォーム)が形成してこれがポリオレフィンのようなプラスチックの燃焼の結果として生じる引火性ガスの放出を遅らせることを特徴とする。
【0006】
これらの系は一般的に数種の成分を含み、その主要成分は、カーボンをベースとする泡が形成するのを手助けする不燃性ガス又は不燃性蒸気を生成する膨張剤(agent de gonflement)、及びカーボン発生剤又はチャー(炭化物)発生剤(当技術分野において「チャー生成剤」と称される)である。
【0007】
かくして、最もよく用いられる膨張剤は、尿素、メラミン及びその誘導体並びにアミン塩のような窒素の化合物である。
【0008】
チャー生成剤は一般的に、ポリヒドロキシル化化合物、例えば糖類、トリメチロールプロパン、及びモノ−又はポリペンタエリトリトールである。
【0009】
膨張剤化合物(特に窒素をベースとする化合物)と組み合わせて、第3の成分が用いられる。この第3成分は、燃焼時に酸を発生する化合物である。
【0010】
かかる化合物は、リンをベースとする化合物、例えばポリリン酸塩、オルガノホスファイト及びオルガノホスフェートから選択される。
【0011】
ある場合、特に燃焼の際にプラスチックがそれ自体でカーボンを生成する場合には、泡沸難燃剤系にチャー生成剤化合物を存在させなくてもよい。
【0012】
酸性有機リン化合物及び膨張剤を含む熱可塑性ポリマー用難燃剤系は、すでに提唱されている。かくして、ヨーロッパ特許公開第6568号公報には、有機ホスホン酸又はその塩をメラミン、ジシアナミド又はグアニジン化合物と組み合わせて含む系が記載されている。この系は、ポリプロピレンを含む様々なプラスチックを難燃性にするために用いられる。しかしながら、かかる系は、難燃化プラスチックの分野において火炎伝播又は燃焼に対する耐性を特徴付けるために広く用いられているUL−94試験において、V2格付けが得られることを可能にするに過ぎない。
【特許文献1】ヨーロッパ特許公開第6568号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
この格付けを改善して例えばV0格付けを得ることを可能にする難燃剤系を見出すことの要求が依然としてある。
【0014】
本発明の1つの目的は、既知の材料と比較した時の難燃化された材料のUL−94試験に従う格付けの改善を達成するため、及び燃焼のための限界酸素指数(LOI)の増大を達成するために、特にポリオレフィンと共に用いることができる泡沸難燃剤系を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この目的で、本発明は、少なくとも1個の炭素−リン共有結合及び少なくとも1個のカルボキシル官能基を有する少なくとも1種の有機リン化合物、少なくとも1個の窒素原子を含有する有機化合物から選択される少なくとも1種の膨張剤、並びに材料の燃焼の間に分解しない少なくとも1種の無機構造化剤を含む、プラスチック用泡沸難燃剤組成物を提供する。この無機構造化剤は、ケイ素化合物、例えばケイ酸塩及び酸化物を含む群から選択される。
【0016】
本発明の別の特徴に従えば、前記有機リン化合物は、下記の一般式I及びIIに相当するものである:
【化1】

【化2】

(ここで、
1は1〜6個の炭素原子を有するアルキル基又は芳香族基又は水素を表わし;
2はOH基、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ基又は1〜6個の炭素原子を有するアルキル基を表わし;
3、R4及びR5は同一であっても異なっていてもよく、水素原子、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、カルボキシル基、−COOR6基又は式−R7−NH2(ここで、R7は1〜6個の炭素原子を有するアルキレン基を表わす)の基を表わし;
5は共有結合又は1〜10個の炭素原子を有する二価アルキル基を表わし;
6は1〜6個の炭素原子を有するアルキル基を表わす)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の1つの好ましい特徴に従えば、前記有機リン化合物は、アルキルホスホン酸、アミノアルキルホスホン酸及びカルボキシアルキルホスホン酸より成る群から選択される。
【0018】
本発明の1つの好ましい実施態様に従えば、前記有機リン化合物は、カルボキシエチルホスホン酸、(アミノメチル)ホスホン酸又はカルボキシメチルホスホン酸より成る群から選択される。
【0019】
本発明に従えば、前記難燃剤組成物は、少なくとも1個の窒素原子を含有する少なくとも1種の有機化合物を含む。この化合物は、メラミン類、グアニジン類及び/又はジシアナミド類に属する化合物から選択するのが有利である。
【0020】
有利には、メラミン及びその誘導体が好ましい。例として、メラミン、メラミンシアヌル酸塩、メラミンリン酸塩、メラミン二リン酸塩、メラミンピロリン酸塩、メレム、メラム及びこれらの化合物の混合物を挙げることができる。特に好ましくは、メラミンを用いる。
【0021】
本発明の組成物はまた、固体状無機構造化用化合物、好ましくは酸化ケイ素の群から選択されるもの、より一層好ましくはシリカから選択されるものをも含む。
【0022】
好適なシリカとしては、熱分解法シリカ、シリカゲル及び沈降シリカを挙げることができる。
【0023】
難燃剤組成物中のこれらの各種化合物の濃度は臨界的ではなく、広い割合で変えることができる。
【0024】
これらの各種化合物の好ましい濃度範囲は、難燃剤組成物の重量又は難燃剤系を構成する全成分の重量に対する重量%として表わして、次の通りである:
・有機リン化合物:60〜85%
・窒素原子を有する化合物(メラミン):10〜25%
・無機構造化剤:1〜15%。
【0025】
本発明の1つの特定的な実施態様において、前記難燃剤組成物は、前記したようなチャー生成剤を含むことができる。この化合物は好ましくは、ポリヒドロキシル化アルコール、炭水化物、糖類、澱粉、式(C6105)mのもの、ポリエチレングリコール及びポリヒドロキシル化ポリマーより成る群から選択される。
【0026】
より一層好ましくは、前記チャー生成剤は、モノ−、ジ−及びトリペンタエリトリトール、エチレングリコール、プロピレングリコール並びにエチレン/ビニルアルコールコポリマーより成る群から選択される。
【0027】
かかる化合物は、難燃剤組成物の重量に対して1〜35%の重量濃度で難燃剤組成物中に存在させる。
【0028】
これらの化合物は、難燃化すべきポリマーに添加する前に混合することができる。
【0029】
しかしながら、本発明の範囲から逸脱することなく、これらの各種化合物を別々に又は1種以上の他の化合物と組み合わせてポリマー材料に添加することができる。
【0030】
本発明の別の主題は、プラスチック製マトリックスと、上記の泡沸難燃剤組成物から成る難燃剤系とを含む難燃化材料(即ち難燃剤系を添加されて難燃性にされた材料)から成り、該難燃剤組成物又は難燃剤系は、該マトリックスと直接混合され、又はその各種成分を前記マトリックスに添加することによって得られる。
【0031】
材料のマトリックスを構成するプラスチックとしては、本発明はより特定的にはポリプロピレン及びポリエチレンのようなポリオレフィン並びにポリエチレン−酢酸ビニルのようなコポリマーに適用される。
【0032】
難燃化材料中の難燃剤組成物の重量濃度は、組成の総重量に対して有利には10〜40%の範囲、好ましくは20〜35%の範囲とする。
【0033】
かくして、難燃化材料中の難燃剤系を構成する各種化合物の重量濃度は、次の範囲に含まれるのが有利である:
・前記有機リン化合物10%〜30%;
・前記窒素含有化合物1%〜10%;及び
・前記酸化ケイ素化合物0.1%〜5%。
【0034】
本発明の難燃化材料には、その他の添加剤、例えば補強用充填剤、増量用充填剤、染料、顔料、酸化安定性を与える添加剤、並びに熱、湿分、光及び/又は紫外線に対する材料の耐性を改善する添加剤を含ませることもできる。
【0035】
また、材料の加工性を改善するための添加剤、例えば離型剤及び滑剤を含ませることもできる。
【0036】
本発明の材料は特に、様々な成形プロセス、例えば射出成形、押出、引抜成形、射出吹込成形又は類似のプロセスによって物品を製造するために用いられる。
【0037】
本発明に従う材料は、充填プラスチックをベースとする組成物の慣用の製造方法に従って製造される。かくして、溶融ポリマーに難燃剤組成物を添加することができ、その混合は1つ以上の供給スクリューを含む装置中で実施するのが有利である。このプロセスにおいては、難燃剤組成物をそのまま添加してもよく、濃厚溶液又は「マスターバッチ」の形で添加してもよい。また、溶融ポリオレフィンに各種化合物を別々に添加することによって添加を行ってもよい。
【0038】
こうしてかかる添加を行った材料は、押出機又は筒状若しくは球状形態の粒体(成形用粉体と称されるもの)を形成させるための任意のその他の手段で成形するのが有利である。これらの粒体は、随意としての乾燥又は当業者に周知の任意のその他の処理の後に、物品製造プロセス中に供給される。
【0039】
これらの材料の難燃特性は、様々な測定によって示される。最も一般的なものの1つはUL94と称される試験であり、これは簡単に言えば様々な厚さの試験片に対して炎の自消時間を測定することから成る。この試験は、ISO1210:1992(F)の番号の下で標準化されている。
【0040】
また、炎を維持するために必要とされる限界酸素指数(LOI)を測定するのも有利である。この指数はISO標準4589−2に従って測定される。
【実施例】
【0041】
本発明のその他の利点及び詳細は、以下に単に例示として与えた非限定的実施例を見ればより一層はっきりしてくるであろう。
【0042】
以下に与えた実施例及び配合物において、2−カルボキシエチルホスホン酸及び示したタイプのシリカはRhodia社より販売されているものであり、メラミンはDSM社より販売されているものである。水酸化アルミニウムは、Albermarle社よりMartifin OL 107の商品番号で販売されているものである。
【0043】
ポリプロピレンはTotal社より販売されているPPH6040グレードのものであり、ポリエチレン−酢酸ビニルも同様である(Evatane 1020)。高密度ポリエチレンはSabic社より販売されているものである。
【0044】
例1:難燃剤組成物A
【0045】
この泡沸難燃剤組成物Aは、酸源としての2−カルボキシエチルホスホン酸80重量%及び膨張剤としての2,4,6−トリアミノ−1,3,5−トリアジン(メラミン)20重量%を含む。これらの成分をブレンダータイプのブレードを有する急速混合機中で緊密に混合して、粉体を得た。
【0046】
例2:難燃剤組成物B
【0047】
この泡沸難燃剤組成物Bは、酸源及びチャー生成剤としての2−カルボキシエチルホスホン酸73重量%並びに膨張剤としての2,4,6−トリアミノ−1,3,5−トリアジン(メラミン)18重量%並びに構造化剤としてのシリカ9重量%を含む。これらの成分をブレンダータイプのブレードを有する急速混合機を用いて緊密に混合して、粉体を得た。
【0048】
例3〜5
【0049】
次の手順に従って3種の組成物を調製した。
【0050】
・組成物C(比較例):
ポリプロピレン単独を155℃に加熱した300cm3のHaake密閉式混合機中で200rpmにおいて3分間混練し、溶融後に添加剤を添加することなく混練を3分間続けた。
【0051】
・組成物C1(比較例):
ポリプロピレン単独を155℃に加熱した300cm3のHaake密閉式混合機中で200rpmにおいて3分間混練した。この混合機に2−カルボキシエチルホスホン酸及びメラミンを、混合物の総重量に対して30重量%の難燃剤系の全体割合(即ち2−カルボキシエチルホスホン酸24重量%及びメラミン6重量%)が得られる割合で、順次導入した。この添加の後に、混練を3分間続けた。
【0052】
・組成物C2
ポリプロピレン単独を155℃で200rpmにおいて3分間混練した。この混合機に2−カルボキシエチルホスホン酸、メラミン及びシリカ(Rhodia社よりTIXOSIL 38Xの名前で販売されているもの)を、混合物の総重量に対して33重量%の難燃剤系の全体割合(即ち2−カルボキシエチルホスホン酸24重量%、メラミン6重量%及びT38Xシリカ3重量%)が得られる割合で、順次導入した。この添加の後に、混練を3分間続けた。
【0053】
得られた3種の組成物を次いで、好適な成形型を用いてSchwabenthan平型プレス中で190℃の温度において、1バールの圧力下で4分間、次いで100バールの圧力下で1分間、そして200バールの圧力下で1分間、圧縮成形した。次に、この200バールの圧力を維持しながら4分間冷却した。
【0054】
こうして圧縮成形により、UL94Vタイプの火に対する挙動試験用のバー(厚さ1.6mm)及び下記のLOI試験用のバーが得られた。
【0055】
得られたサンプルの火に対する挙動は、以下によって試験した:
・ISO標準1210:1992(F)に記載されたUnderwriters Laboratoriesの手順に従うUL−94試験。この試験は、その場合に応じて厚さ6.4mm、3.2mm、1.6mm、0.8mm及び0.4mmの試験片について実施した;
・ISO標準4589−2に記載された手順に従う限界酸素指数LOIは、試験片の燃焼を維持するために必要な酸素/窒素混合物中の酸素の最低容量濃度を表わす。この値が大きいほど燃焼に対する保護が良好ということになる。
【0056】
これらの試験を、UL94試験については厚さ1.6mmの試験片を得るため、LOI測定については厚さ4mmの試験片を得るために成形した上記のポリプロピレンサンプルC、C1及びC2に対して、実施した。これらの試験の結果を、上記の標準規格に規定された格付け基準に従って、下記の表Iに与える。
【0057】
【表1】

【0058】
これらの試験は、例C2に従って得られた配合物がポリプロピレンに非常に良好な難燃特性を与えることを示す。実際、1.6mmの厚さについてV0のUL94格付けが得られ、そして限界酸素指数は、添加剤なしのポリプロピレンについての18%から、本発明に従う難燃化材料についての38.5%まで、変化した。
【0059】
例6〜11
【0060】
・組成物D(比較例):
HDPE/EVA(高密度ポリエチレン/エチレン−酢酸ビニルコポリマー)の80/20混合物(重量による)を、155℃に加熱した300cm3のHaake密閉式混合機中で200rpmにおいて、このポリマーが溶融するまで混練し、溶融後に添加剤を添加することなく混練を3分間続けた。
【0061】
・組成物D1(比較例):
組成物Dと同じHDPE/EVAの80/20混合物(重量による)を、155℃に加熱した300cm3のHaake密閉式混合機中で200rpmにおいて、このポリマーが溶融するまで混練した。次いでこの混合機に、ポリオレフィン中に通常用いられる難燃性添加剤である水酸化アルミニウム61重量%を添加した。この添加の後に、混練を3分間続けた。
【0062】
・組成物D2(比較例):
組成物Dと同じHDPE/EVAの80/20混合物(重量による)を、155℃に加熱した300cm3のHaake密閉式混合機中で200rpmにおいて、このポリマーが溶融するまで混練した。この混合機に、例1からの配合された粉体Aを導入した。混合物の総重量に対する難燃剤の全体割合は30重量%にし、即ち2−カルボキシエチルホスホン酸24重量%及びメラミン6重量%とした。この添加の後に、混練を3分間続けた。
【0063】
・組成物D3
組成物Dと同じHDPE/EVAの80/20混合物(重量による)を、155℃に加熱した300cm3のHaake密閉式混合機中で200rpmにおいて、このポリマーが溶融するまで混練した。この混合機に、例2からの配合された粉体(シリカとしてRhodia社よりTIXOSIL 38Xの名前で販売されているシリカを用いて得られたもの)を導入した。混合物の総重量に対する難燃剤の全体割合は33重量%にし、即ち2−カルボキシエチルホスホン酸24重量%、メラミン6重量%及びT38Xシリカ3重量%とした。この添加の後に、混練を3分間続けた。
【0064】
・組成物D4
組成物Dと同じHDPE/EVAの80/20混合物(重量による)を、155℃に加熱した300cm3のHaake密閉式混合機中で200rpmにおいて、このポリマーが溶融するまで混練した。この混合機に、例2に従って配合された粉体(Rhodia社よりSILOA 72Xの名前で販売されているシリカを用いて得られたもの)を導入した。混合物の総重量に対する難燃剤の全体割合は33重量%にし、即ち2−カルボキシエチルホスホン酸24重量%、メラミン6重量%及びSILOA 72Xシリカ3重量%とした。この添加の後に、混練を3分間続けた。
【0065】
上記の組成物を次いで、Schwabenthan平型プレス中で190℃の温度において、1バールの圧力下で4分間、次いで100バールの圧力下で1分間、そして200バールの圧力下で1分間、圧縮成形した。次に、この200バールの圧力を維持しながら4分間冷却した。
【0066】
こうして圧縮成形により、UL94Vタイプの火に対する挙動試験(厚さ1.6mm)を実施するため及びLOIを測定するために適合し且つ好適な試験片が得られた。
【0067】
これらの組成物の火に対する挙動特性を、前記した試験及び手順に従って測定した。得られた結果を、下記の表IIに与える。
【0068】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1個のリン−炭素共有結合及び該リン原子に結合した少なくとも1個の酸官能基を有する少なくとも1種の有機リン化合物、
メラミン及びその誘導体、グアニジン並びにシアナミド並びにそれらの混合物より成る群から選択される少なくとも1個の窒素原子を含有する少なくとも1種の化合物、並びに
ケイ素化合物から選択される少なくとも1種の無機構造化用化合物
を含むことを特徴とする、プラスチック用泡沸難燃剤組成物。
【請求項2】
チャー形成用化合物を含むことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記有機リン化合物が次の一般式I及びII:
【化1】

【化2】

(ここで、
1は1〜6個の炭素原子を有するアルキル基又は芳香族基又は水素を表わし;
2はOH基、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ基又は1〜6個の炭素原子を有するアルキル基を表わし;
3、R4及びR5は同一であっても異なっていてもよく、水素原子、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、カルボキシル基、−COOR6基又は式−R7−NH2(ここで、R7は1〜6個の炭素原子を有するアルキレン基を表わす)の基を表わし;
5は共有結合又は1〜10個の炭素原子を有する二価アルキル基を表わし;
6は1〜6個の炭素原子を有するアルキル基を表わす)
に相当する化合物から選択されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記有機リン化合物がアルキルホスホン酸、アミノアルキルホスホン酸又はカルボキシアルキルホスホン酸より成る群から選択されることを特徴とする、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記有機リン化合物がカルボキシエチルホスホン酸、(アミノメチル)ホスホン酸又はカルボキシメチルホスホン酸より成る群から選択されることを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記の窒素原子を含有する化合物がメラミン、メラミンシアヌル酸塩、メラミンリン酸塩、メラミン二リン酸塩、メラミンピロリン酸塩、メレム、メラム及びこれらの化合物の混合物より成る群から選択されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
前記ケイ素化合物がシリカ及びケイ酸塩より成る群から選択されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
難燃剤組成物の重量組成が、
・有機リン化合物:60〜85%
・窒素原子を有する化合物(メラミン):10〜25%
・無機構造化剤:1〜15%
であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
前記チャー形成用化合物がポリヒドロキシル化アルコール、炭水化物、糖類、澱粉、式(C6105)mのもの、ポリエチレングリコール及びポリヒドロキシル化ポリマーより成る群から選択されることを特徴とする、請求項2〜8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
前記チャー形成用化合物がモノ−、ジ−及びトリペンタエリトリトール、エチレングリコール、プロピレングリコール並びにエチレン/ビニルアルコールコポリマーより成る群から選択されることを特徴とする、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
プラスチック製マトリックス及び請求項1〜10のいずれかに記載の泡沸難燃剤を含むことを特徴とする、難燃化材料。
【請求項12】
前記プラスチックがポリオレフィン又はエチレン/酢酸ビニルコポリマーであることを特徴とする、請求項11に記載の材料。
【請求項13】
前記ポリオレフィンがポリプロピレン又はポリエチレンであることを特徴とする、請求項12に記載の材料。
【請求項14】
充填剤及び/又は添加剤を含むことを特徴とする、請求項11〜13のいずれかに記載の材料。

【公表番号】特表2008−528723(P2008−528723A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−551710(P2007−551710)
【出願日】平成18年1月23日(2006.1.23)
【国際出願番号】PCT/FR2006/000147
【国際公開番号】WO2006/077336
【国際公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(390023135)ロディア・シミ (146)
【Fターム(参考)】