説明

難燃性熱硬化性樹脂

本発明は良好な粘性を有する難燃性熱硬化性樹脂製剤に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は良好な粘性を有する難燃性熱硬化性樹脂製剤に関する。
発明の背景
【0002】
熱硬化性樹脂、例えばポリエステル樹脂から誘導するものなどは、今日多くの用途で利用されている。その利用が広範囲であることから、熱硬化性樹脂に難燃性を与えることに関して多くの研究がなされている。この目的のため、金属水酸化物などの鉱物性難燃剤を使用して熱硬化性樹脂に難燃特性が与えられてきた。しかし、望ましいレベルの難燃性を達成するためには、多量の金属水酸化物の配合が必要である。通常、こうした高レベルな配合によって適切な難燃性を得ることができる一方、前記の高レベル金属水酸化物により熱硬化性樹脂の粘性は極めて高くなり、一般に使用する手動ラミネート加工、引抜き成形、工場出荷版(RTM)などの加工処理では弊害となる。以前は、BYK Chemie社のBYKライン製品で販売される濡れ添加剤などの湿潤添加剤を使って、金属水酸化物含有熱硬化性樹脂の粘性を減少させてきた。しかし、これら添加剤の使用は、金属水酸化物含有熱硬化性樹脂の粘性の減少に効果的である一方、前記熱硬化性樹脂の難燃性に関して弊害となることがきわめて多い。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【図1】本図表は、さまざまな難燃性熱硬化性樹脂製剤の粘性を説明するグラフであり、本発明の製剤の一部、あるいはそうでない製剤もあるが、本出願の実施例の節で生成および分析されている。
【本発明の要約】
【0004】
本発明は、a)少なくとも一つの、ある実施形態においては唯一の、ホスホネート、ある実施形態においてはエチルホスホン酸ジエチル;b)少なくとも一つの、ある実施形態においては唯一の、金属水酸化物;c)少なくとも一つの熱硬化性樹脂;そして必要に応じて、染料;色素;着色剤;抗酸化剤;安定剤;可塑剤;潤滑剤;流動性改良剤または流動性補助剤;追加難燃剤;滴下抑制剤;ブロッキング防止剤;帯電防止剤;流動性促進剤;加工助剤;紫外線安定剤;ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂;つや消し剤;接着促進剤;導電剤;多価金属イオン;硬化開始剤または硬化触媒;硬化促進剤;光開始剤;発泡剤、レオロジー改質剤;衝撃改質剤;離型剤;核形成剤などから選択する一つまたはそれ以上の添加剤、およびそれらの組み合わせを含む難燃性熱硬化性樹脂に関する。
【0005】
別の実施形態では、本発明は、a)少なくとも一つの、ある実施形態では唯一の、ホスホネート、ある実施形態ではエチルホスホン酸ジエチル;そして、b)少なくとも一つの、ある実施形態では唯一の、金属水酸化物を含む、熱硬化性樹脂への使用に適した難燃添加剤に関する。
【0006】
本発明は、a)少なくとも一つの、ある実施形態では唯一の、ホスホネート、ある実施形態ではエチルホスホン酸ジエチル;b)少なくとも一つの、ある実施形態では唯一の、金属水酸化物;c)少なくとも一つの熱硬化性樹脂;そして、染料;色素;着色剤;抗酸化剤;安定剤;可塑剤;潤滑剤;流動性改良剤または流動性補助剤;追加難燃剤;滴下抑制剤;ブロッキング防止剤;帯電防止剤;流動性促進剤;加工助剤;紫外線安定剤;PVC樹脂;つや消し剤;接着促進剤;導電剤;多価金属イオン;硬化開始剤または硬化触媒;硬化促進剤;光開始剤;発泡剤、レオロジー改質剤;衝撃改質剤;離型剤;核形成剤などから選択する一つまたはそれ以上の添加剤、およびそれらの組み合わせを含む、難燃性熱硬化性樹脂の製剤に関する。
【0007】
別の実施形態では、本発明は、a)少なくとも一つの、ある実施形態では唯一の、ホスホネート、ある実施形態ではエチルホスホン酸ジエチル;b)少なくとも一つの、ある実施形態では唯一の、金属水酸化物;c)少なくとも一つの熱硬化性樹脂;そして、少なくとも一つの、ある実施形態では唯一の、硬化触媒の存在下での染料;色素;着色剤;抗酸化剤;安定剤;可塑剤;潤滑剤;流動性改良剤または流動性補助剤;追加難燃剤;滴下抑制剤;ブロッキング防止剤;帯電防止剤;流動性促進剤;加工助剤;紫外線安定剤;PVC樹脂;つや消し剤;接着促進剤;導電剤;多価金属イオン;硬化促進剤;光開始剤;発泡剤、レオロジー改質剤;衝撃改質剤;離型剤;核形成剤などから選択する一つまたはそれ以上の添加剤、およびそれらの組み合わせ、を含む難燃性熱硬化性樹脂の形成過程にも関する。
【0008】
さらに本発明は、難燃性熱硬化性樹脂製剤から形成される製品に関する。
本発明の詳細な記述
熱硬化性樹脂
【0009】
本発明における有益な熱硬化性、すなわち熱硬化性樹脂は、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル、ビニルエステル、エポキシ樹脂、フェノール/ホルムアルデヒド樹脂、ウレタン/ホルムアルデヒド樹脂とメラミン/ホルムアルデヒド樹脂;エポキシアクリレート、ヒドロキシアクリレート、イソシアナートアクリレート、ウレタンアクリレート、またはポリエステルアクリレートなどの置換アクリレートから誘導する架橋可能なアクリル樹脂;メラミン樹脂、ウレタン樹脂、イソシアン酸塩、イソシアヌル酸塩、カルバミド酸塩、エポキシ樹脂、キャップ化ポリアリレンエーテルまたは環官能化ポリアリレンエーテル樹脂である官能化ポリアリレンエーテル樹脂との架橋式アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、およびアクリル樹脂;不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂;不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂;そして、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)、ブチルゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリルニトリルイソプレンゴム(NIR)、ウレタンゴム、ポリブタジエンゴム、アクリルゴム、シリコンゴム、フッ素エラストマー、ニトリルゴム(NBR)などの天然または合成ゴムを含み、またクロロスルホン化ポリエチレン樹脂も含む。さらに、高分子懸濁液(結晶格子)を含む。ある実施形態では、熱硬化性樹脂は不飽和ポリエステル樹脂である。
【0010】
適切な不飽和ポリエステル樹脂は、有機多塩基性酸あるいは無水物、および多価アルコールとのあらゆるエステル化生成物を実際に含み、その中で、前記酸あるいは前記アルコールのいずれか、またはその両方が反応エチレン性不飽和をもたらす。典型的な不飽和ポリエステルは、多価アルコールとエチレン性不飽和ポリカルボン酸のエステル化から生成する熱硬化性樹脂である。有益なエチレン性不飽和ポリカルボン酸の例は、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ジヒドロムコン酸と、そのような酸と無水物とのハロ誘導体とアルキル誘導体、およびそれらの混合物を含む。多価アルコールの例は、エチレングリコール、1,3‐プロパンジオール、プロピレングリコール、1,3‐ブタンジオール、1,4‐ブタンジオール、2‐エチルブタン‐1,4‐ジオール、オクタンジオール、1,4‐シクロヘキサンジオール、1,4‐ジメチロールシクロヘキサン、2,2‐ジエチルプロパン‐1,3‐ジオール、2,2‐ジエチルブタン‐1,3‐ジオール、3‐メチルペンタン‐1,4‐ジオール、2,2‐ジメチルプロパン‐1,3‐ジオール、4,5‐ノナンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセロール、ペンタエリスリトール、エリスリトール、ソルビトール、マンニトール、1,1,1‐トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、水素化ビスフェノールAなどの飽和多価アルコール、およびビスフェノールAと酸化エチレンまたは酸化プロピレンとの反応生成物を含む。
【0011】
不飽和ポリエステル樹脂は飽和ポリカルボン酸、または無水物と不飽和多価アルコール
のエステル化から誘導させることもできる。飽和ポリカルボン酸の具体例は、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、コハク酸メチル、2,2‐ジメチルコハク酸、2,3‐ジメチルコハク酸、ヒドロキシコハク酸、グルタル酸、2‐メチルグルタル酸、3‐メチルグルタル酸、2,2‐ジメチルグルタル酸、3,3‐ジメチルグルタル酸、3,3‐ジエチルグルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、テトラブロモフタル酸、テトラヒドロフタル酸、1,2‐ヘキサヒドロフタル酸、1,3‐ヘキサヒドロフタル酸、1,4‐ヘキサヒドロフタル酸、1,1‐シクロブタンジカルボン酸、およびトランス‐1,4‐シクロヘキサンジカルボン酸を含む。
【0012】
飽和ポリカルボン酸との反応に適切な不飽和多価アルコールは、上述の飽和アルコール(例えば、2‐ブタン‐1,4‐ジオール)のエチレン性不飽和結合を有する類似物質を含む。
【0013】
本明細書で使用する樹脂は、重合に先立ち、炭酸水飲料容器などの再生ポリエチレンテレフタレート(PET)を主剤樹脂に添加して形成できる。PET容器をグリコールの存在下で粉砕および解重合して、オリゴマーを生成する。その後、前記オリゴマーをポリエステルモノマー含有重合混合物に添加し、そのようなモノマーと共に不飽和ポリエステルに重合させる。
【0014】
適切なビニルエステル樹脂は、不飽和ポリカルボン酸や無水物とエポキシ樹脂とのあらゆる反応生成物を実際に含む。酸と無水物の具体例は、メタクリル酸または無水物、a‐フェニルアクリル酸、a‐クロロアクリル酸、クロトン酸、マレイン酸またはフマル酸のモノメチルエステルとモノエチルエステル、酢酸ビニル、ケイ皮酸などを含む。ポリビニルエステルの生成に有用なエポキシ樹脂は良く知られ、市販されている。エポキシ樹脂の具体例には、エピクロロヒドリンなどの多官能性ハロヒドリンと、フェノールまたは多価フェノールとのあらゆる反応生成物を実質上含む。適切なフェノールまたは多価フェノールは、例えば、レゾルシノール、テトラフェノールエタン、そしてビスフェノールA、4,4'‐ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4'‐ジヒドロキシビフェニル、4,4'‐ジヒドロキシジフェニルメタン、2,2'‐ジヒドロキシジフェニルオキシドなどのさまざまなビスフェノールを含む。
【0015】
通常、不飽和ポリエステル樹脂剤あるいはビニルエステルの樹脂剤はビニルモノマーも含み、熱硬化性樹脂を可溶化する。適切なビニルモノマーは、スチレン、ビニルトルエン、メタクリル酸メチル、p‐メチルスチレン、ジビニルベンゼン、フタル酸ジアリルなどを含む。
【0016】
適切なフェノール樹脂は、芳香族アルコールとアルデヒドとのあらゆる反応生成物を実際に含む。芳香族アルコールの具体例は、フェノール、オルトクレゾール、メタクレゾール、パラクレゾール、ビスフェノール‐A、p-フェニルフェノール、p‐tert‐ブチルフェノール、芳香族アルコールの具体例は、フェノール、オルトクレゾール、メタクレゾール、パラクレゾール、ビスフェノール‐A、p-フェニルフェノール、p‐tert‐ブチルフェノール、p‐tert‐アミルフェノール、p‐tert‐オクチルフェノール、およびp‐ノニフェノールを含む。およびp‐ノニフェノールを含む。アルデヒドの具体例はホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、およびベンズアルデヒドを含む。特に好ましくは、フェノールとホルムアルデヒドとの反応から生成されるフェノール樹脂である。
【0017】
樹脂はエポキシ樹脂を含む。すなわち、分子中に少なくとも一つのオキシラン基を含む。エーテル基同様、水酸基の置換基も存在することができ、存在していることが多い。ハロゲン置換基も存在することがある。一般的に、エポキシ樹脂は脂肪族、芳香族、環式、非環式、脂環式、あるいは複素環式に広く分類することができる。ある実施形態では、芳香族エポキシ樹脂が使用される。芳香族エポキシ樹脂基の一つは、例えば、二価フェノールなどの芳香族多価アルコールのポリグリシジルエーテルである。二価フェノールの適切な例は、レゾルシノール、カテコール、ハイドロキノン、ビス(4‐ヒドロキシフェニル)‐1,1‐イソブタン;4,4‐ジヒドロキシベンゾフェノン;ビス(4‐ヒドロキシフェニル)‐1,1‐エタン;ビス(2‐ヒドロキシナフェニル)メタン;1,5‐ヒドロキシナフタレン、および4,4'‐イソプロピリデンジフェノール、すなわちビスフェノールAを含む。エポキシ樹脂の合成に使用される多数のエポキシ化合物のうち、主に使用されるのはエピクロロヒドリンであるが、エピブロモヒドリンも有用である。ポリグリシジルエーテルは、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどのアルカリの存在下で、エピクロロヒドリンとビスフェノールAを反応させて生成する。Shell Chemical Company社がEPONという商標で販売する一連のエポキシ樹脂は有用である。別の有用なエポキシ樹脂基は、エチレングリコール;ジエチレングリコール;トリエチレングリコール;1,2‐プロピレングリコール;1,4‐ブチレングリコール;1,5‐ペンタンジオール;1,2,6‐ヘキサントリオール;グリセロールそしてトリメチロールプロパンなどの多価アルコールから誘導するポリグリシジルエーテルである。またポリカルボン酸のポリグリシジルエーテルであるエポキシ樹脂も有用である。これらの物質はエピクロロヒドリンのようなエポキシ化合物と、シュウ酸;コハク酸;グルタル酸;テレフタル酸;2,6‐ナフタレンジカルボン酸、および二量化リノール酸ような脂肪族または芳香族カルボン酸との反応から生成する。さらに別のエポキシ樹脂基はオレフィン系不飽和脂環式物質のエポキシ化から誘導する。それらのうち、脂環式エポキシエーテルとエステルは当該分野で周知のものである。
【0018】
エポキシ樹脂は、オキシアルキレン基を含有するものも含む。そうした基はエポキシ樹脂の主鎖から釣り下がるか、あるいは前記主鎖の一部に含まれてもよい。エポキシ樹脂のオキシアルキレン基の割合は、オキシアルキレン基の大きさや前記エポキシ樹脂の性質など、数多くの要因によって異なる。
【0019】
エポキシ樹脂のもう一つの分類はエポキシノボラック樹脂の範囲まで広がる。これらの樹脂は、アルデヒドと一価フェノールあるいは多価フェノールとの縮合物をエピハロヒドリンと反応させて生成する。一つの例は、エピクロロヒドリンとフェノールホルムアデヒド縮合物との反応生成物である。ここではエポキシ樹脂混合物も使用することができる。
【0020】
エポキシ樹脂から熱硬化性物質への変換には硬化剤の追加が必要である。一般的に、本明細書で使用できる硬化剤は、従来から良く知らているさまざまな物質、例えば、脂肪族アミンや芳香族アミンを含むアミン系、およびポリアミンアミドから選択することができる。それらの例は、ジエチレントリアミン;3,3‐アミノビスプロピルアミン;トリエチレンテトラアミン;テトラエチレンペンタミン;m-キシリレンジアミン;およびアミンと、Henkel Corporation社がVERSAMIDという名称で販売している一連の物質などの脂肪族脂肪酸との反応生成物を含む。
【0021】
また、エポキシの硬化剤として適切なものはポリカルボン酸とポリカルボン酸無水物である。ポリカルボン酸の例は、シュウ酸、フタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アルキルおよびアルケニル置換コハク酸、酒石酸、重合脂肪酸などのジ(di-)、トリ(tri)、それ以上のカルボン酸を含む。適切なポリカルボン酸無水物の例は数多くあるが、特に、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水フタル酸、無水コハク酸、および無水マレイン酸を含む。さらに、尿素ホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒド、またはフェノールホルムアルデヒドなどのアルデヒド縮合生成物は有用な硬化剤である。その他の適切な硬化剤は、トリハロゲン化ホウ素、およびアミン、エーテル、フェノールなどを含有
するトリハロゲン化ホウ素化合物;ポリメルカプタン;ポリフェノール;塩化アルミニウム、塩化亜鉛、過塩素酸マグネシウムなどの金属塩;リン酸、n‐ブチル正亜リン酸などの無機酸および部分エステルを含む。当然のことながら、ブロックまたは潜在性硬化剤も必要に応じて使用することができ、例えば、ポリアミンとケトンから生成されるケチミンがある。
【0022】
使用するエポキシ樹脂と硬化剤の分量はさまざまだが、一般的にエポキシ樹脂の対アミン等量比は0.05:1〜10:1の範囲にある。好ましくは、エポキシ樹脂の対アミン当量比は0.1:1〜1:1の範囲であり、さらに好ましくは0.3:1〜0.9:1の範囲である。
【0023】
キャップ化ポリアリレンエーテルの場合、生成手段について特別な制限は存在しない。例えば、非キャップ化ポリアリレンエーテルとキャッピング剤との反応ではキャップ化ポリアリレンエーテルが生成される。キャッピング剤は、フェノール基と反応することが文献で知られている化合物を含む。そのような化合物は、モノマーとポリマーの両方を含み、例えば、無水物、酸塩化物、エポキシ、炭酸塩、エステル、イソシアン酸塩、シアン酸エステル、またはハロゲン化アルキルのラジカルを含む。キャッピング剤は有機化合物に限定されず、例えば、リン系やイオウ系キャッピング剤を含む。キャッピング剤の例は、例えば、無水酢酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水サリチル酸、サリチレート含有ポリエステル、サリチル酸のホモポリエステル、無水アクリル酸、無水メタクリル酸、アクリル酸グリシジル、グリシジルメタクリ酸、塩化アセチル、塩化ベンゾイル、ジ(4‐ニトロフェニル)カルボン酸、アクリロイルエステル、メタクリルエステル、アセチルエステル、イソシアン酸フェニル、3‐イソプロペニル‐α,α‐ジメチルフェニルイソシアネート、シアナトベンゼン、2,2‐ビス(4‐シアナトフェニル)プロパン、3‐(α‐クロロメチル)スチレン、4‐(α‐クロロメチル)スチレン、臭化アリルなどのジフェニルカルボン酸、それらの炭酸塩および置換誘導体、そしてそれらの混合物を含む。キャップ化ポリアリレンエーテルを生成するこれらの方法と他の方法には、例えば、米国特許第3,375,228号(Holoch et al.);第4,148,843号(Goossens);第4,562,243号、第4,663,402号、第4,665,137号、および第5,091,480号(Percec et al.);第5,071,922号、第5,079,268号、第5,304,600号、および第5,310,820号(Nelissen et al.);第5,333,796号(Vianello et al.);そして欧州特許第261,574B1号(Peters et al.)に記述されている。
【0024】
一つの実施形態では、キャップ化ポリアリレンエーテルは、アルケニル芳香族モノマーを溶媒とする、非キャップ化ポリアリレンエーテルと無水物との反応から生成してもよい。この方法は、前記キャップ化ポリアリレンエーテルを直ちに他の化合物と混合することのできる形態で生成し、硬化性組成物を形成させる利点を有し、この方法を用いる場合、前記ポリアリレンエーテルの単離や不要な溶媒や試液の除去を必要としない。
【0025】
キャッピング触媒は非キャップ化ポリアリレンエーテルと無水物との反応に使用してもよい。そのような化合物の例は、フェノールと前述キャッピング剤との縮合を触媒できる、当該分野において周知のものを含む。有用な物質は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化テトラアルキルアンモニウムなどの塩基性化合物;トリブチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン、ジメチルブチルアミンの第三アルキルアミン;N,N‐ジメチルアニリンなどの第三混合アルキルアリルアミンおよびその置換誘導体;イミダゾール、ピリジンなどの複素環式アミン、そして2‐メチルイミダゾール、2‐ビニルイミダゾール、4‐(ジメチルアミノ)ピリジン、4‐(1‐ピロリノ)ピリジン、4‐(1‐ピペリジノ)ピリジン、2‐ビニルピリジン、3‐ビニルピリジン、4‐ビニルピリジンなどの置換誘導体を含む。同様に有用なものは、例えば、錫塩や亜鉛塩などの有機金属塩であり、例えば、イソシアン酸塩エステルやシアン酸塩エステルのフェノールとの縮合に触媒作用することが知られている。この点に関して有用な有機金属塩は、当業者に周知である多数の出版物ならびに特許においてよく知られている。
添加剤
【0026】
本発明の組成は、例えば、染料;色素;着色剤;抗酸化剤;例えば、熱安定剤あるいは光安定剤などの安定剤;可塑剤;潤滑剤;流動性改良剤あるいは流動性補助剤;追加難燃剤;滴下抑制剤;ブロッキング防止剤;帯電防止剤;流動性促進剤;加工助剤;紫外線安定剤;PVC樹脂;つや消し剤;接着促進剤;導電剤;多価金属イオン;硬化開始剤あるいは硬化触媒;硬化促進剤;光開始剤;発泡剤、レオロジー改質剤;衝撃改質剤;離型剤;核形成剤など、およびそれらの組み合わせなど、当該分野において周知の一つまたはそれ以上の添加剤をさらに含むことができる。
【0027】
任意選択の前記添加剤の比率は従来のものであり、与えられた状況の必要に応じて変更することができ、それらはすべて当業者には周知のものである。
【0028】
単独の添加剤、例えば紫外線安定剤は、乳化し、樹脂分散体に添加して同時噴霧乾燥してもよい。あるいは、色素分散体などの乳化添加剤を適切な混合装置で樹脂粉末に直接添加し、加熱して水分を除去してもよい。同様に、PVCウェットケーキも粉末または水性ナノ粒子分散体と混合してもよい。当業者は、混合に続き乾燥させる乳化剤と粉末の無数の組み合わせを構想してもよい。
【0029】
適切な多価金属イオンは、周期表のIIA型、IIIA型、およびIB‐VIIB型のものを含む。多価金属イオンは、例えば、ハロゲン化物、水酸化物、酸化物などを含む、対イオン塩として存在してもよい。
【0030】
開始剤とも呼ばれる硬化触媒は、当該分野において周知であり、不飽和ポリエステル、ビニルエステル、アリル熱硬化性樹脂、ただしそれだけに限定されない多数の熱硬化性樹脂のいずれの重合、硬化、あるいは架橋を開始するために使用される。硬化触媒の例は、『Plastic Additives Handbook, 4 Edition(プラスチック添加剤についてのハンドブック第4版)』(R. Gachter and H. Muller (eds.),P.P. Klemchuck (assoc. ed.),Hansen Publishers, New York, 1993)、そして米国特許第5,407,972号(Smith et al.)および第5,218,030号(Katayose et al.)に記述されているが、それだけに限定されない。
【0031】
硬化促進剤はゲル化時間を減少させるのに使用され、当該分野で周知であり、適切な硬化促進剤はいずれも本明細書では使用することができる。適切な硬化促進剤の例は、ナフテン酸コバルトなどの遷移金属塩および複合体;そしてN,N‐ジメチルアニリン(DNA)およびN,N‐ジエチルアニリン(DEA)などの有機塩基を含むが、それだけに限定されない。
【0032】
光開始剤の例は、米国特許第5,407,972号に記述されているものであり、例えば、エチルベンゾインエーテル、イソプロピルベンゾインエーテル、ブチルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、α,α−ジエトキシアセトフェノン、α,α−ジメトキシ‐α−フェニルアセトフェノン、ジエトキシフェニルアセトフェノン、4,4'‐ジカルボエトキシベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、α−メチルベンゾインエチルエーテルαメチルベンゾインメチルエーテル、トリクロロアセトフェノンなどと、そして少なくとも一つの前記光開始剤を含む混合物を含むが、それだけに限定されない。
【0033】
潤滑剤の例は、セチル、ステアリル、およびトール油アルコール、アジピン酸ジステアリル、フタル酸ジステアリル、モノオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、12‐ヒドロキシステアリン酸グリセリン、トリステアリン酸グリセリン、トリステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラステアリン酸ペンタエリスリトール、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソブチル、ステアリン酸、12‐ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ビス(ステアロイル)エチレンジアミド、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、中性ステアリン酸鉛、二塩基性ステアリン酸鉛、ステアリン酸複合体エステル、オレイン酸複合体エステル、複合体エステル含有カルシウム石けん、ステアリン酸イソトリデシル含有脂肪アルコール脂肪酸エステル、パルミン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、モンタン酸、モンタン酸エチレングリコールエステル、モンタン酸グリセロールエステル、モンタン酸ペンタエリスリトールエステル、モンタン酸エステル含有カルシウム石けん、モンタン酸カルシウム、モンタン酸ナトリウムを含む脂肪酸アルコールとそれらのジカルボン酸エステル;直鎖あるいは分岐ポリエチレン、部分的鹸化ポリエチレンワックス、エチレンビニルアセテートポリマー、結晶ポリエチレンワックス;完全精製ワックス、硬化パラフィンワックス、合成パラフィンワックス、マイクロワックス、および液体パラフィンを含む天然または合成パラフィン;ポリ四フッ化エチレンワックス、およびフッ化ビニリデンを持つコポリマーを含むフッ化ポリマーを含むが、それだけに限定されない。
【0034】
適切な導電剤の例は、黒鉛、導電性カーボンブラック、導電性炭素繊維、金属繊維、金属粒子、真性導電性ポリマー粒子などを含むが、それだけに限定されない。適切な導電性炭素繊維は、長さ約0.25インチで、かつ半径約7マイクロメートルのものを含むが、それだけに限定されない。適切な導電性炭素繊維は、例えば米国特許第4,565,684号および第5,024,818号(Tibbetts et al.);第4,572,813号(Arakawa);第4,663,230号および第5,165,909号(Tennent);第4,816,289号(Komatsu et al.);第4,876,078(Arakawa et al.);第5,589,152号(Tennent et al.); および第5,591,382号(Nahass et al.)に記述される、横縦比が少なくとも5で、かつ平均半径が約3.5〜500ナノメートルである繊維のアグロメレート(二次凝集体)も含む。適切な黒鉛粒子は、平均粒子径が約20〜約1,000ナノメートルで、かつ表面積が約1〜約100m/gのものである。適切なカーボンブラックの例は、一次粒子半径が平均約125ナノメートル未満、より好ましくは約60ナノメートル未満である炭素粒子を含む。カーボンブラックは一次粒子のアグリケート(一次凝集体)またアグロメレート(二次凝集体)として好んで使用され、前記アグリケート(一次凝集体)または前記アグロメレート(二次凝集体)は通常前記一次粒子径の約5倍〜約10倍である。さらに大きな炭素粒子のアグロメレート(二次凝集体)、ビード、またはペレットも前記構成物を生成する開始剤として使用され、これらは前記組成の生成中または加工中に十分に分散し、前記硬化構成物の平均径は約10ミクロン未満、好ましくは約5ミクロン未満、さらに好ましくは約1.25ミクロン未満に達する。本質的に適切な導電性高分子材料は、ポリアニリン、ポリピロール、ポリフェニレン、ポリアセチレンなどを含む。
【0035】
当該分野において周知の充填剤の例は、『Plastic Additives Handbook, 4 Edition』(R. Gachter and H. Muller (eds.),P.P. Klemchuck (assoc. ed.),Hansen Publishers, New York, 1993)に記述されている。充填剤の例は、石英ガラスや結晶シリカなどのシリカ粉末;低誘電率で、かつ低誘電
正接を有する硬化性生物を生成する窒化ホウ素粉末およびボロンシリケート粉末;前記上述粉末およびアルミナ、および高温伝導率のための酸化マグネシウム(すなわちマグネシア);ならびに表面処理珪灰石を含む珪灰石、硫酸カルシウム(その無水物、ニ水和物、または三水和物として)、白亜、石灰石、大理石、粉砕粒子の形態であり、炭酸カルシウム98+%で、残りが炭酸マグネシウム、酸化鉄、そしてアルミノケイ酸塩などの他の無機物が含まれることの多い合成沈降炭酸カルシウムを含む炭酸カルシウム;表面処理炭酸カルシウム;繊維状、モジュラー、針状、板状タルクを含むタルク;中空および中空ではないガラス球、さらに通常、シランカップリング剤などのカップリング剤を有し、および/または伝導性皮膜剤を含む表面処理ガラス球;そして、硬質、軟質、焼成カオリンを含むカオリン、および、必要に応じて熱硬化性樹脂の分散および適合性を容易にする、当該分野において周知のさまざまな被覆剤を含むカオリン;金属化雲母、およびアミノシランまたはアクリロイルシラン被覆剤による表面処理により、複合混合物に良好な物性を与える雲母を含む雲母;長石および霞石;シリケート球;セノスフェア;フィライト;シラン処理による金属化アルミノケイ酸塩(アルモスフェア)を含むアルミノケイ酸塩;天然ケイ砂;石英;ケイ岩;真珠岩;トリポリ石;珪藻土;さまざまなシラン被覆剤を有する合成シリカを含む合成シリカなどを含むが、それだけに限定されない。
【0036】
繊維充填剤の例は、少なくとも一つのケイ酸アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、および硫酸カルシウム半水和物を含む混合物から誘導するものなどを含む加工鉱物繊維を含む無機短繊維を含むが、それだけに限定されない。また、繊維充填剤のうちで含まれるのは、炭化ケイ素、アルミナ、炭化ホウ素、炭素、鉄、ニッケル、銅を含む単結晶繊維すなわち「ウィスカ」である。さらに、繊維充填剤のうちで含まれるのは、E、A、C、ECR、R、S、D、およびNEガラスおよび石英などの繊維用ガラス繊維を含むガラス繊維である。好ましい繊維充填剤は、半径が約5〜約25マイクロメートルで、かつ混合前の長さが約0.5〜約4センチメートルのガラス繊維である。その他の多くの適切な充填剤は米国特許出願公表第2001/0053820A1(Yeager et al.)に記述される。
【0037】
熱硬化性樹脂の充填剤や外部被覆、または基質への接着を改良するために用いられる適切な接着促進剤の例は、クロム複合体、シラン、チタン酸塩、ジルコアルミネート、プロピレンマレイン酸無水物共ポリマー、反応セルロースエステル、など含むが、それだけに限定されない。さらに一般的な接着促進剤のいくつかの例は、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2‐メトキシ)シラン、ガンマメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γアミノプロピルトリエトキシシラン、γグリシドキシプロピルトリメトキシシラン、およびγメルカプトプロピルトリメトキシシランを含むが、それだけに限定されない。前記接着促進剤は熱硬化性樹脂自体に含まれたり、あるいは上述のいずれかの充填剤により被覆されていてもよく、前記充填剤と前記熱硬化性樹脂の接着を改善する。例えば、そのような促進剤を使って、ケイ酸繊維あるいは充填剤を被覆し、前記樹脂基体の接着を改善することができる。
【0038】
ある実施形態では、前記充填剤は炭酸カルシウムである。別の実施形態では、前記充填剤はガラス繊維である。別の実施形態では、前記充填剤は炭酸カルシウムとガラス繊維の両方を含む。
【0039】
前記充填剤はいかなる処理も施さず、あるいは表面処理を施してから、通常接着促進剤を使用して熱硬化性樹脂に添加する。
ホスホネート
【0040】
本明細書における使用に適切なホスホネートは、当該分野において周知であり、熱硬化性樹脂に難燃性特質をもたらすうえで効果的であることが知られるすべてのホスホネート
から選択することができる。適切なホスホネートの例は、エチルホスホン酸ジエチル、メチルホスホン酸ジメチル、プロピルホスホン酸ジメチル、などを含むが、それだけに限定されない。本明細書における使用に適切なジエチルエチルホスホネートの例は、当該分野において周知であるすべてのものであるが、それだけに限定されない。好ましい実施形態では、ジエチルエチルホスホネートは、Albemarle(R) Corporation社がAntiblaze(R)という名称で販売するものであり、好ましくはAntiblaze(R) V490である。難燃性添加剤に通常存在するホスホネートの分量は約0.1〜約25重量パーセント(重量%)の範囲であり、好ましくは約5〜約20重量%、さらに好ましくは約7〜約15重量%であり、すべて前記難燃性添加剤の総重量に基づく。
金属水酸化物
【0041】
本発明の難燃性添加剤は少なくとも一つの、ある実施形態では唯一の、金属水酸化物を含む。本明細書における使用に適切な金属水酸化物は、当該分野において周知であるものすべてであり、約0.1〜約30の範囲、好ましくは約2〜約12の範囲、さらに好ましくは約3〜約9の範囲にあるd50を有する。前記金属水酸化物は、水酸化マグネシウムまたは水酸化アルミニウムのいずれかであり、好ましくは水酸化アルミニウムである。好ましい実施形態では、前記金属水酸化物はAlbemarle(R) Corporation社がMartinal(R) またはMagnifin(R) という名称で市販するものであり、好ましくはMartinal(R)ONシリーズであり、ある実施形態ではMartinal(R)ON‐906である。前記難燃性添加剤に通常存在する金属水酸化物の分量は約75〜約99重量%の範囲であり、すべて前記難燃性添加剤の総重量に基づく。
【0042】
本発明における難燃性添加剤は、熱硬化性樹脂製剤として周知のすべての加工処理おいて効果的な分量を採用することができる。それらの実施形態では、使用する金属水酸化物の分量は約40〜約85重量%の範囲であり、すべて前記熱硬化性樹脂製剤の総重量に基づく。
【0043】
難燃性添加剤の効果的な分量とは、UL94垂直燃焼試験において提示される試験基準を満足させる、あるいは越えるのに充分である分量を意味する。通常、これは、難燃性添加剤について約80〜約500ポンド・力/時間(phr)の範囲であり、時には、約100〜約300phrの範囲である。好ましい実施形態では、効果的な分量は約150〜約200phrの範囲にあると考えられる。
【0044】
本発明の難燃性添加剤は、難燃性熱硬化性樹脂に良好な粘性をもたらす。良好な粘性とは、効果的な分量の難燃性添加剤を含む熱硬化性樹脂製剤が、ブルックフィールド粘度計を用いて温度23℃で測定される、約1〜約150Pa・sの範囲、好ましくは約1.5〜約50Pa・sの範囲、さらに好ましくは約2〜約20Pa・sの範囲にある粘性を有することを意味する。
難燃性熱硬化性樹脂製剤の調製
【0045】
本発明の難燃性熱硬化性樹脂製剤をする方法についてはいかなる制限も存在しない。例えば、難燃性熱硬化性樹脂製剤は、熱硬化性樹脂、難燃性添加剤、および必要に応じて成分を含む密接混合を形成して生成することができる。その組成がアルケニル芳香族モノマーを含み、ポリアリレンエーテルがキャップ化ポリアリレンエーテルである場合、非キャップ化ポリアリレンエーテルを一部の前記アルケニル芳香族モノマーで溶解し、前記アルケニル芳香族モノマーの存在下でキャッピング剤を添加してキャップ化ポリアリレンエーテルを形成し、溶融脂環式メタクリル酸モノマーおよびその他の成分を添加して熱硬化性樹脂組成を形成することによって、前記組成を非官能化ポリアリレンエーテルから直接生成することができる。
【0046】
また、前記難燃性熱硬化性樹脂製剤の成分を混合するために使用する方法や装置についてはいかなる制限も存在なしい。適切な内部混合方法は、ドウ練り、バンバリー練り、ヘリコン練り、ヘンシェル練り、すき練り、攪拌層練り、そして類似方法、および前述方法の少なくとも一つの、当業者には周知の組み合わせを含む。好ましい混合方法はドウ練り、ヘンシェル練り、そして類似方法、および少なくとも前記方法の一つを含む組み合わせを含む。
熱硬化性樹脂製剤の硬化
【0047】
難燃性熱硬化性樹脂製剤の硬化に使用する方法についてはいかなる制限も存在しない。前記組成は、例えば熱、あるいは、例えば紫外線照射や電子ビーム照射を含む照射技術を用いて硬化することができる。熱硬化を用いる場合、選択する温度は約80℃から約300℃の範囲にある。この範囲内で、最高約120℃までの温度、時には最高約240℃までの温度を用いる。加熱時間は約30秒〜約24時間である。この範囲内で、少なくとも約1分間、時には少なくとも約2分間の加熱時間を用いることが好ましい。ある実施形態では、最高約10時間まで、時には最高約5時間まで、時には最高約3時間までの加熱時間を用いる。このような硬化は、段階的に実施して部分硬化や、しばしば不粘着性樹脂を生成し、その後長時間、または前記前述範囲内の温度で加熱することによって完全硬化する。
【0048】
ある実施形態では、本発明は、本発明のいずれかの熱硬化性樹脂製剤を硬化することによって生成される硬化組成である。硬化中に、硬化可能な組成の成分が互いに反応することがあるため、硬化組成は、本発明の難燃性熱硬化性樹脂製剤の硬化によって生成する、あるいは生成することのできる反応生成物と記述される。したがって、一つの実施形態は、本発明の難燃性熱硬化性樹脂製剤の硬化によって生成する、あるいは生成することのできる反応生成物を含む硬化組成である。当然のことながら、「硬化」という用語は、例えばいわゆるB段階組成を形成する部分硬化を含む。別の実施形態は、メタクリレートキャップ化ポリアリレンエーテル;および溶融脂環式メタクリレートモノマーの反応生成物を含む硬化組成である。
製品
【0049】
別の実施形態は、本発明のいずれかの難燃性熱硬化性樹脂製剤から生成あるいは製造される製品である。本発明の難燃性熱硬化性樹脂製剤は広範囲の製品の製作に有用である。本発明の難燃性熱硬化性樹脂製剤によって製作される製品は、例えば、酸浴用用器、中和槽、電気精錬槽、軟水槽、燃料槽、フィラメント巻槽、フィラメント巻槽内張り、電解槽、排気管、スクラッバー、自動車外装パネル、自動車フロアパン、自動車エアスクープ、トラック荷台内張り、ドライブシャフト、ドライブシャフトカップリング、トラクタ部品、横向リーフスプリング、クランクケースヒーター、遮熱材、鉄道タンク車、ホッパー車カバー、ボート船殻、潜水艦船殻、ボート甲板、埠頭用緩衝装置、航空機構成部品、プロペラ羽、ミサイル構成部品、ロケットモータ容器、翼形、サッカーロッド、胴体構造、翼外板、翼口広げ加工、エンジンナセル、貨物口、航空機ストレッチブロックおよびハンマー構造、橋げた、橋床、階段、手すり、歩み板、導管、管路、ファンハウジング、タイル、羽目、スクラブ塔、床張り、橋用エキスパンションジョイント、構造用コンクリートのパッチおよび亀裂修繕用注入モルタル、注入タイル、機械類横木、金属合わせピン、ボルト、杭、電気封入剤、電気パネル、印刷回路板、電気部品、電線巻取り、電気機械式装置の密封、電池用ケース、抵抗器、ヒューズ、サーマルカットオフ装置、印刷配線板被膜、コンデンサ、変圧器、帯電防止アプリケーション用の導電性構成部品、テニスラケット、ゴルフクラブシャフト、釣りざお、スキー板、スキーのストック、自転車部品、水泳プール、水泳プール用滑り台、温水浴槽、サウナ、ミキサー、事務機器筐体、盆、食器洗浄器部品、冷蔵庫部品、家具、車庫扉、窓格子、防具、旅行かばん、光導波路、レードーム、衛星放送受信アンテナ、看板、太陽エネルギーパネル、電話開閉器筐体、変圧器カバー、回転機械用絶縁物、整流子、心線絶縁、乾式トナー樹脂、ボンディングジグ、検査具、産業用金属成形用押抜き機、真空成形工具、および類似品を含む。前記組成は印刷回路板、封入組成、注封材料、および電気絶縁の製作に特に有用である。
【0050】
本発明の難燃性熱硬化性樹脂製剤によって製品を製作するために用いる技術についてはいかなる制限も存在しない。本発明の難燃性熱硬化性樹脂製剤によって製品を製作するために有用な加工処理は、熱硬化性樹脂を加工処理するために当該分野において周知であるものを含む。そのような加工処理は、『Polyester and Their Applications(ポリエステルとその応用)』(Bjorksten Research Laboratories, Johan Bjorksten (pres.),Henry Tovey (Ch. Lit. Ass.),Betty Harker (Ad. Ass.), James Henning (Ad. Ass.), Reinhold Publishing Corporation, New York, 1956), 『Uses of Epoxy Resins (エポキシ樹脂の利用)』(W.G.Potter,Newnes−Butterworth,London,1975),『Chemistry and Technology of Cyanate Ester Resins(シアン酸エステル樹脂の化学と技術)』(1.Hamerton,Blakie Academic Publishing and Imprint of Chapman Hall)に記述されている。加工技術の例は、例えば、遠心および固定鋳造を含む鋳造;筒型接点成形を含む接触圧成形;圧縮成形;シート成形;バルク成形;湿式または乾式レイアップおよび噴霧レイアップを含むラミネート法;真空補助樹脂移送成形および化学補助樹脂移送成形を含む樹脂移送成形;反応射出成形(RIM)を含む射出成形;大気圧成形(APM);開放式金型鋳造;Seeman複合樹脂注入製造工程(SCRIMP);引抜き成形;高強度複合樹脂形成;樹脂およびガラスの開放式成形または継続配合;および筒状フィラメント巻取りを含むフィラメント巻取りを含むが、それだけに限定されない。
【0051】
上述の記述は本発明の複数の実施形態について行っている。当業者は、本発明の精神の実施に際して、同様に効果的な他の方法を考案できることを認識するであろう。本発明の好適な実施形態では、本明細書で考察された範囲が少量から大量までの全範囲を含むことを意図していることにも留意されたい。
【0052】
以下の例は本発明を説明するものであるが、いかなる方法にも限定する意図はない。
実施例
実施例1
充填ポリエステル樹脂混合物の調製:
【0053】
DSM Composites Resins社の100gのPalapreg P17−02に150gのMARTINAL(R) OL−104を添加した。少量のアセチルチロシンヒドラジド(ATH)を添加し、非分散粒子の形成を回避した。ATHを添加する間、高線剪断ミキサーと、例えば、VMA Getzman社のCA型の攪拌羽(半径40mm)で前記混合物を激しく攪拌した。前記作業での攪拌速度は通常、開始時1000〜2000回数/分(rpm)、前記充填剤の総量を添加してからは4000rpmである。最終的な混合時間は速度4000rpmで3分間である。前記充填剤を添加し、適切に混合する合計時間は5〜7分間である。
【0054】
前記混合段階の後、前記充填分散物を23℃の水槽で約4時間調整して、前記混合物を粘度測定のための温度とし、また取り込まれる空気を放出するようにした。
粘度の測定:
【0055】
前記粘性測定はBrookfield粘度計HBDVII+を用いて実行する。粘度範囲に応じて、適切なスピンドル(異なる寸法)を選択することが必要である。この試験ではNo.7を使用した。粘度は、23℃でスピンドルの速度10rpmで測定した。純ポリエステル樹脂の粘度変動の平衡を図るため、充填分散物の測定粘度値は因子KFHを使って補正することが必要である。KFHは、参照粘度(1.6Pa x s)と前記混合試験で用いた純樹脂の粘度の比である。本試験では、前記因子KFHは0.65であった。最終的な補正粘度は158Pa・sである。
実施例2
充填ポリエステル樹脂混合物の調製:
【0056】
DSM Composites Resins社の100gのPalapreg P 17−02にByk社の濡れ添加剤W−996を1.5gを添加し、続いて150gのMARTINAL(R) OL−104を添加した。混合過程は、調整段階と同様、実施例1に記述されているものと同一であった。
粘度の測定:
【0057】
粘度は実施例1で記述されているとおり測定した。最終的な補正粘度は35Pa・sである。
実施例3
充填ポリエステル樹脂混合物の調製:
【0058】
DSM Composites Resins社の100gのPalapreg P 17−02にByk社の濡れ添加剤W−996を3.0gを添加し、続いて150gのMARTINAL(R) OL−104を添加した。混合過程は、調整段階と同様、実施例1に記述されているものと同一であった。
粘度の測定:
【0059】
粘度は実施例1で記述されているとおり測定した。最終的な補正粘度は27Pa・sである。
実施例4
充填ポリエステル樹脂混合物の調製:
【0060】
DSM Composites Resins社の100gのPalapreg P 17−02にAntiblaze V 490を15gを添加し、続いてMARTINAL(R) OL−104を150g添加した。混合過程は、調整段階と同様、実施例1に記述されているものと同一であった。
粘度の測定:
【0061】
粘度は実施例1で記述されているとおり測定した。最終的な補正粘度は27Pa・sである。
実施例5
充填ポリエステル樹脂混合物の調製:
【0062】
DSM Composites Resins社の100gのPalapreg P 17−02にAntiblaze V 490を30gを添加し、続いてMARTINAL(R) OL−104を150g添加した。混合過程は、調整段階と同様、実施例1に記述されているものと同一であった。
粘度の測定:
【0063】
粘度は実施例1で記述されているとおり測定した。最終的な補正粘度は10Pa・sで
ある。
実施例6
充填ポリエステル樹脂混合物の調製:
【0064】
DSM Composites Resins社の100gのPalapreg P 17−02にAntiblaze(R) V 490を15g、Byk社のW−996を1.5g、そしてMARTINAL(R) OL−104を150g添加した。混合過程は、調整段階と同様、実施例1に記述されているものと同一であった。
粘度の測定:
【0065】
粘度は実施例1で記述されているとおり測定した。最終的な補正粘度は7Pa・sである。
実施例7
充填ポリエステル樹脂混合物の調製:
【0066】
DSM Composites Resins社の115gのPalapreg P 17−02に150gのMARTINAL(R) OL−104を添加した。混合過程は、調整段階と同様、実施例1に記述されているものと同一であった。
粘度の測定:
【0067】
粘度は実施例1で記述されているとおり測定した。最終的な補正粘度は57Pa・sである。
実施例8
UL94試験用シート作成のための充填ポリエステル樹脂混合物の調製:
【0068】
DSM Composites Resins社の100gのPalapreg P 17−02に100gのMARTINAL(R) OL−104を添加した。混合過程は、調整段階と同様、実施例1に記述されているものと同一であった。
粘度の測定:
【0069】
粘度は実施例1で記述されているとおり測定した。最終的な補正粘度は11Pa・sである。
シートの調製:
【0070】
充填ポリエステル樹脂混合物に5gのButanox(R) M−50(過酸化物)と0.5gのNL 49 P Co触媒(コバルト化合物を基質とする過酸化物)を添加し、速度1000rpm未満の溶解機を使って、昇温や早期硬化および空気の取り込みを回避した。最終的な樹脂混合物を厚さ3mmの金枠に注入し、40℃の炉に一晩入れた。その後、前記シート試料を金枠から取り出し、127x12.7x3mmに切断した。本製剤はUL94のいずれの等級にも満たなかった。
実施例9
UL94試験用シート作成のための充填ポリエステル樹脂混合物の調製:
【0071】
DSM Composites Resins社の100gのPalapreg
P 17−02にByk社のW−996を1gを添加し、続いてMARTINAL(R)
OL−104を100g添加した。混合過程は、調整段階と同様、実施例1に記述されているものと同一であった。
粘度の測定:
【0072】
粘度は実施例1で記述されているとおり測定した。最終的な補正粘度は8Pa・sである。
シートの作成:
【0073】
充填ポリエステル樹脂混合物に5gのButanox(R) M−50と0.5gのNL
49 P Co触媒を添加し、速度1000rpm未満の溶解機を使って、昇温や早期硬化および空気の取り込みを回避した。最終的な樹脂混合物を厚さ3mmの金枠に注入し、40℃の炉に一晩入れた。その後、前記シート試料を金枠から取り出し、127x12.7x3mmに切断した。本製剤はUL94のいずれの等級にも満たなかった。
実施例10
UL94試験用シート作成のための充填ポリエステル樹脂混合物の調製:
【0074】
DSM Composites Resins社の100gのPalapreg P 17−02にAntiblaze(R) V 490を10gを添加し、続いてMARTINAL(R) OL−104を100g添加した。混合過程は、調整段階と同様、実施例1に記述されているものと同一であった。
粘度の測定:
【0075】
粘度は実施例1で記述されているとおり測定した。最終的な補正粘度は5Pa・sである。
シートの調製:
【0076】
充填ポリエステル樹脂混合物に5gのButanox(R) M−50と0.5gのNL
49 P Co触媒を添加し、速度1000rpm未満の溶解機を使って、昇温や早期硬化および空気の取り込みを回避した。最終的な樹脂混合物を厚さ3mmの金枠に注入し、40℃の炉に一晩入れた。その後、前記シート試料を金枠から取り出し、127x12.7x3mmに切断した。本製剤はUL94の等級V0であった。
実施例11
【0077】
UL94試験用シート作成のための充填ポリエステル樹脂混合物の調製:
DSM Composites Resins社の100gのPalapreg P 17−02にAntiblaze(R) V 490を20gを添加し、続いてMARTINAL(R) OL−104を100g添加した。混合過程は、調整段階と同様、実施例1に記述されているものと同一であった。
粘度の測定:
【0078】
粘度は実施例1で記述されているとおり測定した。最終的な補正粘度は3Pa・sである。
シートの作成:
【0079】
充填ポリエステル樹脂混合物に5gのButanox(R) M−50と0.5gのNL
49 P Co触媒を添加し、速度1000rpm未満の溶解機を使って、昇温や早期硬化および空気の取り込みを回避した。最終的な樹脂混合物を厚さ3mmの金枠に注入し、40℃の炉に一晩入れた。その後、前記シート試料を金枠から取り出し、127x12.7x3mmに切断した。本製剤はUL94の等級V0であった。
実施例12
UL94試験用シート作成のための充填ポリエステル樹脂混合物の調製:
【0080】
DSM Composites Resins社の100gのPalapreg P 17−02にByk社のW−996を1g、Antiblaze(R) V 490を10gを添加し、続いてMARTINAL(R) OL−104を100g添加した。混合過程は、調整段階と同様、実施例1に記述されているものと同一であった。
粘度の測定:
【0081】
粘度は実施例1で記述されているとおり測定した。最終的な補正粘度は3Pa・sである。
シートの作成:
【0082】
充填ポリエステル樹脂混合物に5gのButanox(R) M−50と0.5のNL 49 P Co触媒を添加し、速度1000rpm未満で溶解機を使って、昇温や早期硬化および空気の取り込みを回避した。最終的な樹脂混合物を厚さ3mmの金枠に注入し、40℃の炉に一晩入れた。その後、前記シート試料を金枠から取り出して127x12.7x3mmに切断した。本製剤はUL94の等級V0であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)エチルホスホン酸ジエチル、メチルホスホン酸ジメチル、プロピルホスホン酸ジメチルなどから選択する少なくとも一つのホスホネート;b)少なくとも一つの金属水酸化物;c)少なくとも一つの熱硬化性樹脂;および必要に応じて、d)染料;色素;着色剤;抗酸化剤;安定剤;可塑剤;潤滑剤;流動性改良剤または流動性補助剤;追加難燃剤;滴下抑制剤;ブロッキング防止剤;帯電防止剤;流動性促進剤;加工助剤;紫外線安定剤;PVC樹脂;つや消し剤;接着促進剤;導電剤;多価金属イオン;硬化開始剤または触媒;硬化促進剤;光開始剤;発泡剤、レオロジー改質剤;衝撃改質剤;離型剤;核形成剤などから選択する一つまたはそれ以上の添加剤、およびそれらの組み合わせを含む難燃性熱硬化性樹脂。
【請求項2】
請求項1に記載の難燃性熱硬化性樹脂において、少なくとも一つの前記ホスホネートはエチルホスホン酸ジエチルである。
【請求項3】
請求項1に記載の難燃性熱硬化性樹脂において、少なくとも一つの前記熱硬化性樹脂は、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル、ビニルエステル、エポキシ樹脂、フェノール/ホルムアルデヒド樹脂、ウレタン/ホルムアルデヒド樹脂とメラミン/ホルムアルデヒド樹脂;エポキシアクリル酸エステル、ヒドロキシアクリル酸エステル、イソシアナートアクリレート、ウレタンアクリレート、またはポリエステルアクリレートなどの置換アクリレート誘導の架橋式アクリル樹脂;メラミン樹脂、ウレタン樹脂、イソシアン酸塩、イソシアヌル酸塩、カルバミド酸塩、エポキシ樹脂、キャップ化ポリアリレンエーテルまたは環官能化ポリアリレンエーテル樹脂である官能化ポリアリレンエーテル樹脂との架橋式アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、およびアクリル樹脂;不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂;およびEPDM、ブチルゴム、イソプレンゴム、SBR、NIR、ウレタンゴム、ポリブタジエンゴム、アクリルゴム、シリコンゴム、フッ素エラストマー、NBR、高分子懸抱濁液(結晶格子)、およびクロロスルホン化ポリエチレン樹脂などの天然または合成ゴムから選択する。さらに高分子懸抱濁液(結晶格子)も含む。
【請求項4】
請求項2に記載の難燃性熱硬化性樹脂において、前記熱硬化性樹脂は不飽和ポリエステル樹脂である。
【請求項5】
請求項1に記載の難燃性熱硬化性樹脂において、少なくとも一つの前記ホスホネートは、a)〜d)の合計組み合わせ重量に基づいて約0.1から約25重量%の範囲の分量である。
【請求項6】
請求項4に記載の難燃性熱硬化性樹脂において、前記金属酸化物は約0.1〜約30の範囲のd50である。
【請求項7】
請求項5に記載の難燃性熱硬化性樹脂において、少なくとも一つの前記金属水酸化物を、a)、b)、およびd)の組み合わせ総重量に基づいて約75〜約99.99重量%の範囲の分量で使用する。
【請求項8】
a)エチルホスホン酸ジエチル、メチルホスホン酸ジメチルなど;および、b)少なくとも一つの金属水酸化物を含む熱硬化性樹脂への使用に適切な難燃性添加物。
【請求項9】
請求項8に記載の難燃性添加剤において、前記難燃性添加剤は、染料;色素;着色剤;抗酸化剤;安定剤;可塑剤;潤滑剤;流動性改良剤または流動性補助剤;追加難燃剤;滴下抑制剤;ブロッキング防止剤;帯電防止剤;流動性促進剤;加工助剤;紫外線安定剤;PVC樹脂;つや消し剤;接着促進剤;導電剤;多価金属イオン;硬化開始剤または触媒
;硬化促進剤;光開始剤;発泡剤、レオロジー改質剤;衝撃改質剤;離型剤;核形成剤など、およびそれらの組み合わせから選択する一つまたはそれ以上の添加剤を含む。
【請求項10】
請求項8に記載の難燃性添加剤において、前記難燃性添加剤は、その総重量に基づいて約0.1〜約25重量%の範囲にある、少なくとも一つのホスホネートを含む。
【請求項11】
請求項8に記載の難燃性添加剤において、前記難燃性添加剤は、その総重量に基づいて約75〜約99.99重量%の範囲にある、少なくとも一つの前記金属水酸化物を含む。
【請求項12】
請求項8に記載の難燃性添加剤において、前記難燃性添加剤は熱硬化性樹脂に難燃性を与えるために使用する。
【請求項13】
請求項8に記載の難燃性添加剤において、前記難燃性添加剤は、約80〜約500phrの範囲の分量で使用する。
【請求項14】
a)エチルホスホン酸ジエチル、メチルホスホン酸ジメチル、プロピルホスホン酸ジメチル、などから選択する少なくとも一つのホスホネート;b)少なくとも一つの金属水酸化物;c)少なくとも一つの熱硬化性樹脂;そして、必要に応じて、d)染料;色素;着色剤;抗酸化剤;安定剤;可塑剤;潤滑剤;流動性改良剤または流動性補助剤;追加難燃剤;滴下抑制剤;ブロッキング防止剤;帯電防止剤;流動性促進剤;加工助剤;紫外線安定剤;PVC樹脂;つや消し剤;接着促進剤;導電剤;多価金属イオン;硬化開始剤または触媒;硬化促進剤;光開始剤;発泡剤、レオロジー改質剤;衝撃改質剤;離型剤;核形成剤などから選択する一つまたはそれ以上の添加剤、およびそれらの組み合わせを含む難燃性熱硬化性樹脂製剤。
【請求項15】
請求項14に記載の難燃性熱硬化性樹脂製剤において、熱硬化性樹脂は不飽和ポリエステル樹脂である、
【請求項16】
請求項14に記載の難燃性熱硬化性樹脂製剤において、少なくとも一つの前記ホスホネートは、a、b)、およびd)の合計組み合わせ重量に基づいて約0.1〜約25重量%の範囲の分量で使用する。
【請求項17】
請求項16に記載の難燃性熱硬化性樹脂製剤において、少なくとも一つの前記金属水酸化物は、約0.1〜約30の範囲にあるd50を有する。
【請求項18】
請求項17に記載の難燃性熱硬化性樹脂製剤において、少なくとも一つの前記金属水酸化物は、a)〜d)の合計組み合わせ重量に基づいて約40〜約85重量%の範囲にある分量を使用する。
【請求項19】
請求項14に記載の難燃性熱硬化性樹脂製剤において、前記難燃性熱硬化性樹脂製剤は、Brookfield粘度計を用いて決定する粘性が約1〜約150Pa・sの範囲にある。
【請求項20】
a)エチルホスホン酸ジエチル、メチルホスホン酸ジメチル、プロピルホスホン酸ジメチル、などから選択する少なくとも一つのホスホネート;b)少なくとも一つの金属水酸化物;c)少なくとも一つの熱硬化性樹脂;そして必要に応じて、d)染料;色素;着色剤;抗酸化剤;安定剤;可塑剤;潤滑剤;流動性改良剤または流動性補助剤;追加難燃剤;滴下抑制剤;ブロッキング防止剤;帯電防止剤;流動性促進剤;加工助剤;紫外線安定剤;PVC樹脂;つや消し剤;接着促進剤;導電剤;多価金属イオン;硬化開始剤または触媒;硬化促進剤;光開始剤;発泡剤、レオロジー改質剤;衝撃改質剤;離型剤;核形成
剤などから選択する一つまたはそれ以上の添加剤、およびそれらの組み合わせを含む難燃性熱硬化性樹脂製剤の硬化によって得られる硬化組成。
【請求項21】
a)エチルホスホン酸ジエチル、メチルホスホン酸ジメチル、プロピルホスホン酸ジメチル、などから選択する少なくとも一つのホスホネート;b)少なくとも一つの金属水酸化物;c)少なくとも一つの熱硬化性樹脂;そして必要に応じて、d)染料;色素;着色剤;抗酸化剤;安定剤;可塑剤;潤滑剤;流動性改良剤または流動性補助剤;追加難燃剤;滴下抑制剤;ブロッキング防止剤;帯電防止剤;流動性促進剤;加工助剤;紫外線安定剤;PVC樹脂;つや消し剤;接着促進剤;導電剤;多価金属イオン;硬化開始剤または触媒;硬化促進剤;光開始剤;発泡剤、レオロジー改質剤;衝撃改質剤;離型剤;核形成剤などから選択する一つまたはそれ以上の添加剤、およびそれらの組み合わせを含む難燃性熱硬化性樹脂製剤の硬化によって得られる、または得られることのできる反応生成物を含む硬化組成。
【請求項22】
a)エチルホスホン酸ジエチル、メチルホスホン酸ジメチル、プロピルホスホン酸ジメチル、などから選択する少なくとも一つのホスホネート;b)少なくとも一つの金属水酸化物;c)少なくとも一つの熱硬化性樹脂;そして必要に応じて、d)染料;色素;着色剤;抗酸化剤;安定剤;可塑剤;潤滑剤;流動性改良剤または流動性補助剤;追加難燃剤;滴下抑制剤;ブロッキング防止剤;帯電防止剤;流動性促進剤;加工助剤;紫外線安定剤;PVC樹脂;つや消し剤;接着促進剤;導電剤;多価金属イオン;硬化開始剤または触媒;硬化促進剤;光開始剤;発泡剤、レオロジー改質剤;衝撃改質剤;離型剤;核形成剤などから選択する一つまたはそれ以上の添加剤、およびそれらの組み合わせを含む難燃性熱硬化性樹脂製剤から作成または生成する製品。
【請求項23】
請求項22に記載の製品において、前記製品は、酸浴用用器、中和槽、電気精錬槽、軟水槽、燃料槽、フィラメント巻槽、ラメント巻槽内張り、電解槽、排気管、スクラッバー、自動車外装パネル、自動車フロアパン、自動車エアスクープ、トラック荷台内張り、ドライブシャフト、ドライブシャフトカップリング、トラクタ部品、横向リーフスプリング、クランクケースヒーター、遮熱材、鉄道タンク車、ホッパー車カバー、ボート船殻、潜水艦船殻、ボート甲板、埠頭用緩衝装置、航空機構成部品、プロペラ羽、ミサイル構成部品、ロケットモータ容器、翼形、サッカーロッド、胴体構造、翼外板、翼口広げ加工、エンジンナセル、貨物口、航空機ストレッチブロックおよびハンマー構造、橋げた、橋床、階段、手すり、歩み板、導管、管路、ファンハウジング、タイル、羽目、スクラブ塔、床張り、橋用エキスパンションジョイント、構造用コンクリートのパッチおよび亀裂修繕用注入モルタル、注入タイル、機械類横木、金属合わせピン、ボルト、杭、電気封入剤、電気パネル、印刷回路板、電気部品、電線巻取り、電気機械式装置の密封、電池用ケース、抵抗器、ヒューズ、サーマルカットオフ装置、印刷配線板被膜、コンデンサ、変圧器、帯電防止アプリケーション用の導電性構成部品、テニスラケット、ゴルフクラブシャフト、釣りざお、スキー板、スキーのストック、自転車部品、水泳プール、水泳プール用滑り台、温水浴槽、サウナ、ミキサー、事務機器筐体、盆、食器洗浄器部品、冷蔵庫部品、家具、車庫扉、窓格子、防具、旅行かばん、光導波路、レードーム、衛星放送受信アンテナ、看板、太陽エネルギーパネル、電話開閉器筐体、変圧器カバー、回転機械用絶縁物、整流子、心線絶縁、乾式トナー樹脂、ボンディングジグ、検査具、産業用金属成形用押抜き機、真空成形工具などの一つまたはそれ以上である。
【請求項24】
請求項22に記載の製品において、前記製品は、印刷回路板、封入組成、注封材料、および電気絶縁の一つまたはそれ以上である。
【請求項25】
少なくとも一つの触媒の存在下で、a)エチルホスホン酸ジエチル、メチルホスホン酸ジメチル、プロピルホスホン酸ジメチル、などから選択する少なくとも一つのホスホネー
ト;b)少なくとも一つの金属水酸化物;c)少なくとも一つの熱硬化性樹脂;そして必要に応じて、d)染料;色素;着色剤;抗酸化剤;安定剤;可塑剤;潤滑剤;流動性改良剤または流動性補助剤;追加難燃剤;滴下抑制剤;ブロッキング防止剤;帯電防止剤;流動性促進剤;加工助剤;紫外線安定剤;PVC樹脂;つや消し剤;接着促進剤;導電剤;多価金属イオン;硬化促進剤;光開始剤;発泡剤、レオロジー改質剤;衝撃改質剤;離型剤;核形成剤などから選択する一つまたはそれ以上の添加剤、およびそれらの組み合わせを含む難燃性熱硬化性樹脂の形成加工処理。
【請求項26】
請求項25に記載の加工処理において、硬化前の前記難燃性熱硬化性樹脂は、Brookfield粘度計によって決定する約1〜約150Pa・sの範囲の粘性を有する。
【請求項27】
a)エチルホスホン酸ジエチル、メチルホスホン酸ジメチル、プロピルホスホン酸ジメチル、などから選択する少なくとも一つのホスホネート;b)少なくとも一つの金属水酸化物;c)少なくとも一つの熱硬化性樹脂;そして必要に応じて、d)染料;色素;着色剤;抗酸化剤;安定剤;可塑剤;潤滑剤;流動性改良剤または流動性補助剤;追加難燃剤;滴下抑制剤;ブロッキング防止剤;帯電防止剤;流動性促進剤;加工助剤;紫外線安定剤;PVC樹脂;つや消し剤;接着促進剤;導電剤;多価金属イオン;硬化促進剤;光開始剤;発泡剤、レオロジー改質剤;衝撃改質剤;離型剤;核形成剤などから選択する一つまたはそれ以上の添加剤、およびそれらの組み合わせの組み合わせによって得られることのできる製品。
【請求項28】
請求項27に記載の製品において、前記製品は、酸浴用用器、中和槽、電気精錬槽、軟水槽、燃料槽、フィラメント巻槽、ラメント巻槽内張り、電解槽、排気管、スクラッバー、自動車外装パネル、自動車フロアパン、自動車エアスクープ、トラック荷台内張り、ドライブシャフト、ドライブシャフトカップリング、トラクタ部品、横向リーフスプリング、クランクケースヒーター、遮熱材、鉄道タンク車、ホッパー車カバー、ボート船殻、潜水艦船殻、ボート甲板、埠頭用緩衝装置、航空機構成部品、プロペラ羽、ミサイル構成部品、ロケットモータ容器、翼形、サッカーロッド、胴体構造、翼外板、翼口広げ加工、エンジンナセル、貨物口、航空機ストレッチブロックおよびハンマー構造、橋げた、橋床、階段、手すり、歩み板、導管、管路、ファンハウジング、タイル、羽目、スクラブ塔、床張り、橋用エキスパンションジョイント、構造用コンクリートのパッチおよび亀裂修繕用注入モルタル、注入タイル、機械類横木、金属合わせピン、ボルト、杭、電気封入剤、電気パネル、印刷回路板、電気部品、電線巻取り、電気機械式装置の密封、電池用ケース、抵抗器、ヒューズ、サーマルカットオフ装置、印刷配線板被膜、コンデンサ、変圧器、帯電防止アプリケーション用の導電性構成部品、テニスラケット、ゴルフクラブシャフト、釣りざお、スキー板、スキーのストック、自転車部品、水泳プール、水泳プール用滑り台、温水浴槽、サウナ、ミキサー、事務機器筐体、盆、食器洗浄器部品、冷蔵庫部品、家具、車庫扉、窓格子、防具、旅行かばん、光導波路、レードーム、衛星放送受信アンテナ、看板、太陽エネルギーパネル、電話開閉器筐体、変圧器カバー、回転機械用絶縁物、整流子、心線絶縁、乾式トナー樹脂、ボンディングジグ、検査具、産業用金属成形用押抜き機、真空成形工具などの一つまたはそれ以上である。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2010−526195(P2010−526195A)
【公表日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506850(P2010−506850)
【出願日】平成20年5月7日(2008.5.7)
【国際出願番号】PCT/EP2008/003677
【国際公開番号】WO2008/135287
【国際公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(508340857)マルテインスベルク・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング (8)
【Fターム(参考)】