雨水処理施設

【課題】装置としての構成はきわめて簡単でありながら、雨水中の懸濁物が浸透槽10内に流入するのをほぼ完全に阻止することができる雨水処理施設を得る。
【解決手段】雨水処理施設Aは、透水性シート11で覆われた浸透槽10と、浸透槽10へ雨水を流入させる流入桝20と、導水部材30とを備える。流入桝20はその上部位置に開口22が形成され、そこから導水部材30を延出させている。導水部材30は少なくとも一部に透水性を備えた通水部を有し、そこには透水性シート11よりも透水係数の小さいフィルター材31が配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大量の降雨時などに雨水を一時的に貯水することで、雨水が道路に冠水したり、中小河川あるいは下水管などが氾濫するのを抑制できるようにした雨水処理施設に関する。
【背景技術】
【0002】
大量の降雨があったときに、道路側溝を越流して雨水が道路などに流出するのを抑制し、また、中小河川あるいは下水管などにその排水能力を上回る規模の雨水が流れ込むのを防止する目的で、雨水の一部を集水桝から地中に設置した浸透槽に一時的に流入させるようにした雨水処理施設は、特許文献1あるいは2に記載されるようによく知られている。
【0003】
このような雨水処理施設において、大量の雨水が一気に流れ込んでくる場合に、雨水に含まれる土砂や懸濁物が浸透槽に流入しやすく、流入してしまうと浸透槽の有効容積を低下させることから、雨水処理施設では、浸透槽内に土砂や懸濁物を流入させないようにすることが一つの課題なっている。
【0004】
その課題に対処するために、特許文献3には、雨水を貯水する浸透槽等に雨水を導入する際、浸透管を経由して導入することで、雨水に含まれる土砂の浸透槽等への流入を防止するようにした浸透管付き槽が記載されている。また、特許文献4では、コンクリート製の硬質槽の側面に形成した複数個の通水開口に、ポーラスコンクリートにて形成された濾過壁を硬質槽の内側から取り付け、硬質槽の貯水空間に入り込んだ雨水が前記通水開口を介して浸透槽の貯水空間に流れ込むときに、雨水に混入している侵入物を濾過壁にて濾過できるようにし、浸透槽への土砂等の浸入を防止した雨水処理施設が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−2160号公報
【特許文献2】特開2009−24447号公報
【特許文献3】特開2002−266414号公報
【特許文献4】特開2008−253977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような雨水処理施設において、特許文献3あるいは特許文献4に記載されている技術を採用することにより、浸透槽に土砂等の固形物が浸入するのをある程度は回避することができるが完全ではなく、特に粒子径の小さい懸濁物の浸入を阻止するのは容易でない。特に、特許文献1、特許文献2あるいは特許文献3に記載のように樹脂製部材の多数個を組み上げて貯水槽本体とし、その全体を不織布のような透水性シートで覆うことで浸透槽とした場合には、積層した樹脂製部材で形成される1つ1つの貯水空間が狭いことから、浸透槽内に土砂や懸濁物が入り込んでしまうと、その除去が困難であることに加え、透水性シートに目詰まりを生じさせ、浸透槽から雨水が流出する能力、すなわち浸透能力の低下を招く。
【0007】
特許文献4に記載の水処理装置のように、コンクリート製の硬質槽の側面に形成した通水開口にポーラスコンクリートにて形成された濾過壁を取り付けることで、雨水に混入している土砂等の固形物が浸透槽内に流れ込むのを高い確率で阻止できると考えられるが、装置の構成が複雑であり施工が容易とはいえない。また、粒径の小さい懸濁物が雨水に混入している場合、それはポーラスコンクリートを通過して浸透槽内に流入する恐れがある。さらに、特許文献4に記載の水処理装置では、硬質槽内に濾過壁の高さを越える大量の雨水が入り込んだ場合、雨水は濾過壁の上部の通水開口の隙間から浸透槽内へ直接越流するようになっており、その場合には、雨水中の土砂等は浸透槽内に流入してしまう。
【0008】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、装置としての構成はきわめて簡単でありながら、雨水中の懸濁物が浸透槽内に流入するのをほぼ完全に阻止することができ、それにより浸透槽の有効容積の低下を招くことがなく、また浸透槽から雨水が周囲の地盤に浸透する能力の低下を招くこともない雨水処理施設を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による雨水処理施設は、透水性シートで覆われた浸透槽と、前記浸透槽へ雨水を流入させる流入桝とを少なくとも備えた雨水処理施設であって、前記流入桝はその上部位置に形成した開口部に接続する導水部材を備えており、前記導水部材は前記浸透槽の天井部、内部、側部または底部のいずれかと通水部を介して接続しており、かつ少なくとも前記導水部材の前記通水部にはフィルター材が配設されていることを特徴とする。
【0010】
上記の雨水処理施設では、道路側溝等を流れる雨水は一度流入桝に集められ、そこから浸透槽に流入する。流入桝はその上部位置に開口部が形成されており、上部位置に開口部から導水部材内に流入する。そのために、導水部材に流入する雨水は、流入桝の底部に土砂等の固形物を沈下させた後の雨水、すなわち上澄み液となる。しかし、上澄み液において、固形物が完全に除去されるわけではなく、粒子径の小さい懸濁物等が含まれている可能性が高い。
【0011】
本発明による雨水処理施設では、前記導水部材は浸透槽の天井部、内部、側部または底部のいずれかと通水部を介して接続しており、かつ少なくとも前記導水部材の前記通水部にはフィルター材が配設されているので、流入桝から導水部材に流入する雨水中に粒子径の小さい懸濁物等が含まれている場合でも、それは導水部材の少なくとも前記通水部に配置したフィルター材によって除去される。そのために、懸濁物が浸透槽内に入り込むのをほぼ完全に阻止することができる。結果として、浸透槽を覆っている透水性シートに目詰まりが生じるのも長期間にわたって回避することが可能となり、維持管理を行わないあるいは行うのが困難な雨水処理施設であっても、浸透槽から雨水が周囲の地盤に浸透していく能力、すなわち浸透能力が低下するのを長期間にわたって回避することが可能となる。
【0012】
なお、本発明による雨水処理施設において、浸透槽自体は、例えば特許文献4に記載されているような従来知られたものであってよく、施工に当たっては、流入桝と浸透槽との間の適所に前記した導水部材をフィルター材とともに配置すればよいので、施工は容易である。
【0013】
本発明による雨水処理施設の好ましい態様においては、導水部材の少なくとも前記通水部に配設するフィルター材の透水係数は、前記浸透槽を覆う透水性シートの透水係数と等しいかそれよりも小さいことを特徴とする。ここで、透水係数とは、単位面積を単位時間に移動する水量をいう。
【0014】
この態様では、導水部材の少なくとも前記通水部に配設したフィルター材を通過して懸濁物が浸透槽内に流入してしまった場合でも、その懸濁物は浸透槽を覆う透水性シートを通過して槽外に排出、すなわち周囲の地盤中に浸透していくので、浸透槽内に雨水中の懸濁物が堆積物として滞留してしまうのを、より確実に回避することができる。
【0015】
本発明による雨水処理施設の好ましい態様においては、前記浸透槽から周囲地盤への雨水の単位時間当たりの浸透量が、前記導水部材の前記通水部に配設したフィルター材から前記浸透槽への単位時間当たりの透水量以上となるように、前記フィルター材の透水量が設定されていることを特徴とする。ここで、「浸透槽から周囲地盤への雨水の単位時間当たりの浸透量」は、周囲の地盤の透水係数と浸透槽表面積の積から演算される値であり、「フィルター材から浸透槽への単位時間当たりの透水量」は、フィルター材の透水係数とフィルター材の有効面積の積から演算される値である。なお、「フィルター材の有効面積」とは、雨水が通過したフィルター材の全面積から通過した雨水が浸透槽内に流入しなかったフィルター材の面積部分を除いた面積である。
【0016】
一般に、地中に埋設した浸透槽からの雨水の浸透量は、周囲の地盤の浸透能力に左右されるが、この態様では、上記のように「フィルター材から浸透槽への単位時間当たりの透水量」を設定したことにより、フィルター材が雨水に対するバリアとなって浸透槽内に雨水が貯水されなくなる事態が生じるのを回避することができる。
【0017】
本発明による雨水処理施設の好ましい態様においては、前記流入桝は浸透桝であることを特徴とする。流入桝を浸透桝とすることにより、より大量の雨水に対する流出抑制処理が可能となる。
【0018】
本発明による雨水処理施設の好ましい態様においては、導水部材の少なくとも前記通水部に配設したフィルター材は取り替え自在であることを特徴とする。この態様では、フィルター材に目詰まりが生じたときに、新しいフィルター材と交換することで、流出抑制処理の長期にわたるメンテナンスが容易となる。
【0019】
本発明による雨水処理施設において、前記した導水部材は、求められる機械的強度を備えることを条件に適宜の材料で作ることができる。例として、透水性コンクリート、孔やスリットを備えた樹脂材料や金属材料、コンクリート二次製品等が挙げられる。また、フィルター材は透水性を備えかつ懸濁物のような微粒子を捕捉することのできる材料を適宜用いることができる。例として、不織布、織布、連通した気泡を有する発泡樹脂シート等が挙げられる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、装置としての構成はきわめて簡単でありながら、雨水中の懸濁物が浸透槽内に流入するのをほぼ完全に阻止することができ、それにより、維持管理が困難な場合であっても、浸透槽から雨水が周囲の地盤に浸透する能力を長期間にわたって維持することのできる雨水処理施設が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明による雨水処理施設の一実施の形態を断面で示す概略図。
【図2】図1のII−II線に沿う断面の拡大図。
【図3】本発明による雨水処理施設の他の実施の形態を説明するための図2に相当する図。
【図4】本発明による雨水処理施設のさらに他の実施の形態を説明するための図2に相当する図。
【図5】本発明による雨水処理施設のさらに他の実施の形態を説明するための図1に相当する図。
【図6】本発明による雨水処理施設のさらに他の実施の形態を説明するための図1に相当する図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
図1および図2に示す雨水処理施設Aは、透水性シート11で覆われた浸透槽10と、前記浸透槽10へ雨水を流入させる流入桝20と、雨水を前記流入桝20から前記浸透槽10へ導入する導水部材30とを備えている。
【0023】
前記浸透槽10は、例えば特許文献2に記載されるような樹脂製部材12の多数個を組み上げて直方体状に形成したものであり、その外周面全体が不織布のような透水性シート11によって覆われている。施工に当たっては、所要深さに掘削した掘削部の底面に透水性コンクリートあるいは砕石を敷き詰めて基礎13を作り、その上に前記浸透槽10を形成する。この例において、浸透槽10の上には、上載荷重の平均化を図る目的でコンクリート床版14が配置され、その上に、土盛りがされている。なお、コンクリート床版14は省略してもよい。
【0024】
前記流入桝20は、前記浸透槽10の端面側に接するようにして設置される。この例において、流入桝20は透水性コンクリートで作られており、全体として断面矩形状の筒体であって、その底面は開放している。また、流入桝20の上面は地表面に達しており、上面には管理口24が形成されている。流入桝20の開放した下端部の位置は、前記浸透槽10の底面と同じレベルとされており、前記した透水性コンクリートあるいは砕石を敷き詰めて基礎13は、流入桝20の開放した下端部にまで達している。なお、流入桝20の下端位置は、浸透槽10の底面より下方まで延出していてもよい。
【0025】
流入桝20の側壁であって、前記浸透槽10の端面に接する側壁21には、その上部位置に矩形状の開口22が形成されている。また、流入桝20の他の側壁には、前記開口22よりも上位の位置に、側溝等からの雨水の流入口23が形成されている。前記開口22の横幅は前記した浸透槽10の横幅よりも狭く、縦幅も浸透槽10の縦幅より狭い。図示のものにおいて、開口22の横幅は浸透槽10の横幅の1/4程度であり、縦幅は積層した前記樹脂製部材12の3〜4枚分程度である。そして、前記開口22は、地中に埋設された浸透槽10の横幅方向の中央部あるいはその近傍に、開口上端が浸透槽10の上面15(図2参照)にほぼ一致するようにして形成されている。
【0026】
前記導水部材30は長尺状の部材であり、この例では、透水性コンクリートで作られた断面矩形状の筒状部材であって、導水部材30の全体が透水性を備える。導水部材30の断面形状および寸法は、流入桝20の側壁21に形成した前記矩形状の開口22とほぼ同じ形状および寸法とされており、その開放している一端側を流入桝20の前記開口22に当接させている。導水部材30の他方の端面は閉鎖している。導水部材30の長さは、少なくとも浸透槽10内に延出していることを条件に制限はないが、図示の例では、浸透槽10の一方端から他方端まで達する長さとされている。
【0027】
そして、図示のように、浸透槽10の前記流入桝20の側壁21に形成した開口22に対向する領域には、該開口22の断面形状とほぼ一致する形状に樹脂製部材12が除去されることで、上方が開放した凹溝16とされており、該凹溝16内に、前記した導水部材30が入り込んでいる。上記のように、この例で導水部材30は全体として透水性を備えており、かつその天面を除いた3つの側面は浸透槽10内に面しているので、この実施の形態では、導水部材30の全体が浸透槽10に対する「通水部」を構成している。
【0028】
そのようにして設置された前記導水部材30の内面には、不織布(例えば、株式会社ユニチカ製アビールAN400B)のような材料からなるシート状のフィルター材31が配設されている。好ましくは、前記フィルター材31の材料には、その透水係数が浸透槽10を覆う透水性シート11の透水係数よりも小さいまたは等しい材料が選択され、また、浸透槽10の全周面から周囲地盤への雨水の単位時間当たりの浸透量が、前記フィルター材31の全面積から浸透槽10への単位時間当たりの透水量以上となるように、フィルター材31の有効面積を調整するなどして、透水量が設定される。
【0029】
上記雨水処理施設Aの集水時の作用を説明する。図示しない側溝等からの雨水は、流入桝20に形成した流入口23から流入桝20内に流入する。流入した雨水は流入桝20の開放した底面から地中に浸透していく。また、透水性コンクリートである周囲の側壁からも地中に浸透していく。流入桝20で処理しきれない量の雨水が流入桝20に流入したとき、流入桝20内での雨水の水位は次第に上昇する。水位が開口22のレベルに達すると、雨水は開口22を通って導水部材30内に流入し、そこでフィルター材31による濾過作用を受けた後、浸透槽10内に流入する。雨水が浸透槽10内に流入することで、雨水が道路面等に流出するのを回避することができる。
【0030】
流入桝20に流入した雨水は、導水部材30に流入する前に、流入桝20内に一時的に滞留する。その間に、雨水に含まれる土砂等の固形物は、流入桝20の開放した底部から雨水が地中に浸透していく過程で、流入桝20の底部に沈殿する。そして、固形物を沈殿させた後の上澄み液が、開口22を通して導水部材30内に流入する。導水部材30内に流入した雨水は、さらに、導水部材30内に装着されたフィルター材31よる濾過作用を受けることで、懸濁物のような雨水中に浮遊しているより細かい固形物も除去される。
【0031】
上記のことから、本発明による雨水処理施設では、流入桝20に流入する雨水に含まれる土砂や懸濁物のような固形物が、浸透槽10内に入り込むのを高い確率で阻止することが可能となる。そのために、浸透槽10のメンテナンス作業を大きく削減することができる。また、結果として、浸透槽10を覆っている透水性シート11に目詰まりが生じるのも長期間にわたって回避することができ、維持管理を行わないあるいは行うのが困難な雨水処理施設Aであっても、浸透槽10から雨水が周囲の地盤に浸透していく能力、すなわち浸透能力が低下するのを長期間にわたって回避することができる。
【0032】
また、前記フィルター材31の透水係数を、浸透槽10を覆う透水性シート11の透水係数と等しいかまたは小さくすることにより、フィルター材31を通過して懸濁物が浸透槽10内に流入してしまった場合でも、その懸濁物は浸透槽10を覆う透水性シート11を通過して、容易に槽外に排出されて周囲の地盤中に浸透していく。それにより、浸透槽10内に雨水中の懸濁物が堆積物として滞留してしまうのを、より確実に回避することができる。
【0033】
また、浸透槽10から周囲地盤への雨水の単位時間当たりの浸透量が、前記フィルター材31から浸透槽10への単位時間当たりの透水量以上となるように、フィルター材31の透水量を設定しておくことにより、フィルター材31が雨水に対するバリアとなって浸透槽10内に雨水が貯水されなくなる事態を確実に回避することができる。
【0034】
図3(a)は、本発明による雨水処理施設の他の態様での浸透槽10と導水部材30の形状を示す、図2に相当する図である。同じ部材には同じ符号を付している。ここでは、導水部材30が、筒状部材ではなく、U字型側溝の形状をなしており、その下部側が浸透槽10内に入り込んでいる。この態様では、U字型側溝の浸透槽10内に入り込んでいる部分が本発明でいう「通水部」を構成することとなる。しかし、この態様においては、通水部に限らず、U字型側溝の全内面を覆うようにしてフィルター材31が装着されている。導水部材30の上端は地表面に位置しており、そこには蓋32が備えられている。この態様では、導水部材30の上方が開放自在であることから、フィルター材31が目詰まりしたとき等でのフィルター材31の交換作業がきわめて容易となる。
【0035】
図3(b)は、さらに他の態様を示す図2に相当する図である。ここでは、やはりU字型側溝の形状をなす導水部材30が、浸透槽10の天井面にそのまま乗った形状となっている。この態様では、透水性を備えたU字型側溝から浸透してくる雨水が直接または周囲の地盤を通して浸透槽10内に入り込むこととなるので、U字型側溝全体が本発明でいう「通水部」を構成しているといえる。また、この態様では、浸透槽10に前記した上方が開放した凹溝16を設けることを要しないので、浸透槽10の構築が容易となる。
【0036】
図3(c)は、さらに他の態様を示す図2に相当する図である。ここでは、浸透槽10とU字型側溝の形状をなす導水部材30との間にコンクリート床版14を設置した点で、図3(b)に示す形態と異なっている。この場合には、コンクリート床版14の少なくとも導水部材30に接する領域に透水性を持たせるか、多数の透水孔を形成することが必要となる。この態様でも、U字型側溝全体が本発明でいう「通水部」を構成しているといえる。
【0037】
図4(a)は、さらに他の態様を示す図2に相当する図である。ここでは、フィルター材31を導水部材30の内周面ではなく外周面側に配置している点で、図2に示したものと相違している。この態様では、浸透槽10を覆う透水性シート11と同じものをフィルター材31として用いることができる利点がある。しかし、より高い作用効果を得るために、浸透槽10を覆う透水性シート11よりは透水係数の小さいシートを用いることが望ましい。
【0038】
図4(b)は、さらに他の態様を示す図2に相当する図である。この態様は、フィルター材31を導水部材30の内周面ではなく外周面側に配置している点で、図3(a)に示した態様と相違する。この態様では、導水部材30を除去するだけで、フィルター材31を交換できる利点がある。
【0039】
図4(c)は、さらに他の態様を示す図2に相当する図であり、この態様では、導水部材30が、その上面側を浸透槽10の底面に接するようにして、浸透槽10の下に設置されている。そして、導水部材30の全内周面を覆うようにしてフィルター材31が配設されている。この態様では、集水桝20の前記開口22から溢れ出た上澄み液が導水部材30内に流入し、流入した水が導水部材30の許容水量を超えた時点で、その天面を通過して浸透槽10内に浸入していくこととなる。従って、この態様では、本発明でいう「通水部」は、導水部材30の天面部が相当するといえるが、ここでは、前記したように、導水部材30の全内周面を覆うようにしてフィルター材31を配設している。また、導水部材30は、図示のように、透水性を備えたU字型側溝であってよい。
【0040】
図5(a)(b)、図6(a)(b)は、本発明による雨水処理施設のさらに他の態様を示す、図1に相当する図である。図5(a)(b)、図6(a)(b)において、図1に示した部材に相当する部材には同じ符号を付している。
【0041】
図5(a)に示す態様では、集水桝20の前記した開口22が形成されている側壁21に沿うようにして箱型をなす導水部材30が形成されており、該箱型をなす導水部材30の一側壁35が浸透槽10の端面に当接している。そして、導水部材30の側壁35における浸透槽10の上部領域に対向する位置には開口36が形成されており、導水部材30内の雨水は該開口36を通って浸透槽10に流入する。従って、この態様においては、前記開口36が本発明でいう「通水部」に相当する。
【0042】
また、前記開口36の上部位置には適宜の突起37が設けてあり、そこを利用して、そこより下方の領域を覆うようにしてフィルター材31が配設されている。また、集水桝20の前記した開口22から導水部材30の内部空間に向けて吐出口を下方に向けて導水パイプ38が取り付けられている。さらに、導水部材30の上端は地表面に達しており、管理口39となっている。
【0043】
この態様では、従来の雨水処理施設での浸透槽をそのまま浸透槽10として用いることができるので、浸透槽10の施工が簡素化される。また、管理口39から、導水部材30内のメンテナンス、フィルター材31の点検や交換作業が容易となる。なお、図示の例では、突起37を設け、それを利用してフィルター材31を取り付けるようにしたが、適宜の取り付け用プレートを用いて、ボルト等により導水部材30の壁部にフィルター材31に直接固定することもできる。導水部材30を透水性コンクリートで作り、導水部材30全体に透水性を持たせるようにしてもよい。
【0044】
図5(b)に示す態様では、集水桝20と導水部材30とが分離して設けられている点で、図5(a)に示したものと相違している。この態様では、集水桝30と導水部材30とを管路40で接続するようにしており、集水桝20と導水部材30との設置位置の自由度が大きくなる。
【0045】
図6(a)に示す態様では、フィルター材31が導水部材30の天井部から吊り下げるようにして取り付けられており、前記した導水パイプ38はフィルター材31を貫通して吐出口をフィルター材31内部に開放している。さらに、フィルター材31は内部に多くのひだ41を設けることで、大きな表面積を確保している。
【0046】
この態様では、フィルター材31の表面積を大きく確保できることから、導水部材30の容積が図5(a)のものと比較して小さくても、雨水に混入している粒子径の小さい懸濁物等を十分に濾過した状態で、大量の雨水を浸透槽10へ流入させることができる利点がある。
【0047】
図6(b)に示す態様では、袋状のフィルター材31を導水部材30の天井部から吊り下げるようにして取り付けられている点で、前記した図6(a)のものと相違する。袋状であることから、フィルター材31の取り付け作業、交換作業はきわめて容易となる。
【符号の説明】
【0048】
A…雨水処理施設、
10…浸透槽、
11…透水性シート、
12…浸透槽を構成する樹脂製部材、
13…基礎、
14…コンクリート床版、
15…浸透槽の上面、
20…流入桝、
21…流入桝の側壁、
22…側壁に形成した開口、
23…雨水の流入口、
30…透水性の導水部材、
31…フィルター材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透水性シートで覆われた浸透槽と、前記浸透槽へ雨水を流入させる流入桝とを少なくとも備えた雨水処理施設であって、前記流入桝はその上部位置に形成した開口部に接続する導水部材を備えており、前記導水部材は前記浸透槽の天井部、内部、側部または底部のいずれかと通水部を介して接続しており、かつ少なくとも前記導水部材の前記通水部にはフィルター材が配設されていることを特徴とする雨水処理施設。
【請求項2】
前記導水部材に配設したフィルター材の透水係数は前記浸透槽を覆う透水性シートの透水係数と等しいかそれよりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の雨水処理施設。
【請求項3】
前記浸透槽から周囲地盤への雨水の単位時間当たりの浸透量が、前記導水部材の前記通水部に配設したフィルター材から前記浸透槽への単位時間当たりの透水量以上となるように、前記フィルター材の透水量が設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の雨水処理施設。
【請求項4】
前記流入桝は浸透桝であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の雨水処理施設。
【請求項5】
前記導水部材に配設したフィルター材は取り替え自在であることを特徴とする1ないし4のいずれか一項に記載の雨水処理施設。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−72598(P2012−72598A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−218192(P2010−218192)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】