説明

雨水浸透桝用フィルタ構造

【課題】 フィルタ収納容器を浸透筒内に確実に密着嵌合させ、フィルタ収納容器の引き出しも容易であると共にフィルタの型崩れ,片寄りが少なく、フィルタの収納,取り出しが極めて容易であり、構成が簡略されメンテナンスの面でも有利な雨水浸透桝用フィルタ構造を提供する。
【解決手段】 雨水桝2の底板7開口部に立設した浸透筒4の上端に配置されるフィルタにおいて、縦断面略コ字状で周辺が傾斜した上部枠体11と下部枠体12の二分割体の各開口部を対向させて、両枠体内にフィルタ20を収納するフィルタ収納容器10が構成され、各枠体の開口部に放射方向に突出するフランジ13が形成されると共に各枠体の中心部にボルト孔を有する支柱17が形成され、上端に引掛け金具22を係止したボルト23が両ボルト孔に挿通され、支柱の一端に引掛け金具を当接させ且つ支柱の他端でボルトの先端をナット25締めした雨水浸透桝用フィルタ構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雨水桝の底板開口部に立設した浸透筒の上端に配置されるフィルタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来,雨水桝の底板開口部に立設した浸透筒の上端に配置されるフィルタであって、縦断面逆凸状の枠体容器内にフィルタが収納されているものがある(例えば特許文献1の図1,図3参照。)。
また、雨水浸透桝の側壁上部に雨水の導入管を設け、該導入管の下部近傍で雨水浸透桝内にフィルタを配置し、該配置されたフィルタを吊り上げるようにしたものがある(例えば特許文献2。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4032396号公報
【特許文献2】実開平5−54689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記先行技術の前者の雨水浸透桝用フィルタ構造では、枠体容器が一体物であることからフィルタの収納,取り出しが容易でないと共にフィルタ収納容器の雨水桝からの引き出しも容易でないという問題がある。
また、前記先行技術の後者の雨水浸透桝用フィルタ構造では、フィルタをホルダとフィルタ支持梁で配置していることからフィルタの設置構成が複雑であると共にフィルタがむきだしの状態であることからフィルタの型崩れ,片寄りが起こりやすく、更にフィルタの交換の為の吊り上げ吊り下げでフィルタを損傷させる虞があるという問題もある。
【0005】
本発明は、従来の技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、フィルタ収納容器を浸透筒内に確実に密着嵌合させ、フィルタ収納容器の引き出しも容易であると共にフィルタの型崩れ,片寄りが少なく、フィルタの収納,取り出しが極めて容易であり、構成が簡略されメンテナンスの面でも有利な雨水浸透桝用フィルタ構造を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明における雨水浸透桝用フィルタ構造は、雨水桝の底板開口部に立設した浸透筒の上端に配置されるフィルタにおいて、縦断面略コ字状で周辺が傾斜した上部枠体と下部枠体の二分割体の各開口部を対向させて、両枠体内にフィルタを収納するフィルタ収納容器を構成し、各枠体の前記開口部に放射方向に突出するフランジを形成すると共に各枠体の中心部にボルト孔を有する支柱を形成し、上端に引掛け金具を係止したボルトを前記両ボルト孔に挿通し、前記支柱の一端に前記引掛け金具を当接させ且つ支柱の他端で前記ボルトの先端をナット締めしたものである。
【0007】
また、前記フィルタ収納容器より上方で、ゴミ等の分離用笠を引掛け金具に固着したものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の雨水浸透桝用フィルタ構造は、下部枠体の周辺の傾斜が浸透筒内に確実に密着嵌合され、フィルタ収納容器の引き出しも容易である。
また、二分割体の上下枠体内で支柱の周りにフィルタを収納したので、フィルタの型崩れ,片寄りが少なく、フィルタの収納,取り出しが極めて容易である。
さらに、引掛け金具を係止したボルトによって、フィルタ収納容器の組み付けと該収納容器の取り出し及び再配を兼用させるので、構成が簡略されメンテナンスの面でも有利な雨水浸透桝用フィルタ構造となる。
【0009】
また、笠の設置により、ゴミ等を含む雨水の大半が直接フィルタに向かうことを防止し、フィルタの使用寿命を長くさせることができる雨水浸透桝用フィルタ構造となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る雨水浸透桝用フィルタ構造の正面断面概略図である。
【図2】下部枠体の平面図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】フィルタ収納容器の組立説明図である。
【図5】本発明の他の実施例に係る雨水浸透桝用フィルタ構造の要部拡大断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
雨水桝の底板開口部に立設した浸透筒の上端に配置されるフィルタにおいて、縦断面略コ字状で周辺が傾斜した上部枠体と下部枠体の二分割体の各開口部を対向させて、両枠体内にフィルタを収納するフィルタ収納容器を構成し、各枠体の前記開口部に放射方向に突出するフランジを形成すると共に各枠体の中心部にボルト孔を有する支柱を形成し、上端に引掛け金具を係止したボルトを前記両ボルト孔に挿通し、前記支柱の一端に前記引掛け金具を当接させ且つ支柱の他端で前記ボルトの先端をナット締めした雨水浸透桝用フィルタ構造である。
【実施例1】
【0012】
図1ないし図4は本発明の実施例に関するものであり、図1は雨水浸透桝用フィルタ構造の正面断面概略図、図2は下部枠体の平面図、図3は図2のA−A断面図、図4はフィルタ収納容器の組立説明図である。
【0013】
図において、1は雨水浸透桝であり、該雨水浸透桝1は、コンクリート製の雨水桝2と下部に多数の砕石3を保有する袋体を設けた浸透筒4とで構成され、前記雨水桝2の上部には多数の雨水通路を形成する孔(図示せず。)を有する雨水桝蓋5が設置され、側壁には雨水を下水道管に排出する排出管6が接続され、底板7の中央部には貫通孔8が形成されている。
そして、前記貫通孔8には、前記浸透筒4が雨水桝2内に突出され、雨水桝2の底板開口部を形成している。
なお、9は前記砕石3の浮上を防止する為に、例えば複数本の棒状体を格子状に配設させた防止部材である。
【0014】
10はフィルタ収納容器であり、該フィルタ収納容器10は、例えば再生合成樹脂製で縦断面略コ字状で周辺10’が傾斜(例えば2度。)した、上部枠体11と下部枠体12の対称二分割体を対向させて構成されている。
【0015】
前記各枠体11,12の対向する開口部には放射方向に突出するフランジ13が形成され、該フランジ13の一面には複数の凸部14,14と凹部15,15が形成されている。
また、前記各枠体11,12の中心部にはボルト孔16を有する支柱17が形成され、該支柱17の周辺には傾斜(例えば2度。)を有する格子状のリブ18,18,…が設けられ、該格子状のリブ18,18,…を設けたことにより多数の雨水流通孔19,19,…が形成される。
【0016】
20,20はフィルタであり、該フィルタ20,20は合成樹脂繊維製で、各枠体11,12の内周に沿う程度の大きさである。そして、該フィルタ20の軸線方向中心部には前記支柱17が挿通される孔21が形成されている。
【0017】
22はフィルタ収納容器10の維持管理用の引掛け金具であり、該引掛け金具22はボルト23の上端に係止され、ボルト23を前記ボルト孔21に挿通することにより引掛け金具22は前記支柱17の一端に当接される。
そして、支柱17の他端側は、ボルト23の先端をワッシャー24を介して例えば蝶ナット25でナット締めし、上部枠体11と下部枠体12を連結してフィルタ収納容器10を組み立てるようにしている。
【0018】
以上のような構成からなる雨水浸透桝用フィルタ構造は、フィルタ20,20の孔21を各枠体11,12の支柱17に挿通させて、フィルタ20,20は各枠体11,12の内周に収納させる。
そして、上部枠体11の前記フランジ13の一面に形成した凸部14,14と下部枠体12のフランジ13の一面に形成した凹部15,15及び上部枠体11のフランジ13の一面に形成した凹部15,15と下部枠体12のフランジ13の一面に形成した凸部14,14とをそれぞれ係合させて連結し、各枠体11,12の中心部に形成された支柱17のボルト孔16に引掛け金具22が係止されたボルト23を挿通し、該ボルト23の先端を蝶ナット25でナット締めすることにより、フィルタ収納容器10は構成が簡略され、簡単,確実に組立ることができると共にフィルタ収納容器10内のフィルタ20,20は型崩れ,片寄りが少なくなる。
【0019】
なお、本実施例では、フィルタ20を収納するために、フィルタ20の大きさを各枠体11,12の大きさの二分割体としたが、該フィルタ20は両枠体の内周の大きさである一体のフィルタのものを使用することも可能である。
【0020】
そして、組立られたフィルタ収納容器10は雨水桝2の底板7の貫通孔8から突出する浸透筒4の上端に、前記下部枠体12の周辺10’の傾斜(例えば2度。)が浸透筒4内に確実に密着嵌合されることになり簡単,容易に設置できると共に安定した設置となる。
【0021】
このように設置されたフィルタ収納容器10により、雨水桝2に導入された雨水はフィルタ20,20を通してゴミ等が除去され、ゴミが除去された雨水は下部に多数の砕石3を保有する袋体を設けた浸透筒4を通して地中26に浸透される。
【0022】
また、使用によりフィルタ収納容器10の位置直し又はフィルタ20,20の洗浄又は交換等が必要な場合には、地上から例えば引掛け棒(図示せず。)を使用してフィルタ収納容器10の上部に設けられた引掛け金具22に引っ掛けることによりフィルタ収納容器10の取り出し及び再配も容易となり、フィルタ20,20を損傷させることなく、その洗浄又は交換も簡単にでき、フィルタ収納容器10のメンテナンスの面でも有利なものとなる。
【実施例2】
【0023】
図5は本発明の他の実施例に係る雨水浸透桝用フィルタ構造の要部拡大断面概略図であり、この実施例では、前記フィルタ収納容器10より上方で、ゴミ等の分離用笠27を引掛け金具22に固着したもので、その余の構成は実施例1と実質的に同一であるので図面には同一部材に同一符号を付してその説明を省略する。
【0024】
前記ゴミ等の分離用笠27の中心部にはボルト28が挿通される孔29が穿設され、該孔29に引掛け金具22が係止されたボルト28を挿通し、ボルト孔が穿設されたスペーススリーブ30を引掛け金具22とフィルタ収納容器10の間に介在させ、前記実施例1と同様に該ボルト28の先端を蝶ナット25でナット締めすることにより、笠27はフィルタ収納容器10より上方で、引掛け金具22の底部に固着される。
【0025】
なお、ゴミ等の分離用笠の中心部に孔を穿設し、該孔に引掛け金具を挿通し、引掛け金具の中間部位に例えば接着,溶着により笠をフィルタ収納容器10の上方に固着することも可能である。
【0026】
この雨水浸透桝用フィルタでは、雨水桝2内に土砂,ゴミ等を含む雨水が流入した場合に、前記フィルタ収納容器10より上方に笠27が設置されていることから、雨水の大半は直接フィルタ20に向かうことなく、流路が変更されて、雨水桝2の底部に土砂,ゴミ等が滞ることになり、土砂,ゴミ等はフィルタ20を通過することが少ないので、フィルタ20の使用寿命を長くさせることができる雨水浸透桝用フィルタ構造となる。
【符号の説明】
【0027】
1 雨水浸透桝
2 雨水桝
4 浸透筒
7 底板
10 フィルタ収納容器
10’ 枠体周辺
11 上部枠体
12 下部枠体
13 フランジ
16 ボルト孔
17 支柱
20 フィルタ
22 引掛け金具
23 ボルト
25 ナット
27 笠


【特許請求の範囲】
【請求項1】
雨水桝の底板開口部に立設した浸透筒の上端に配置されるフィルタにおいて、縦断面略コ字状で周辺が傾斜した上部枠体と下部枠体の二分割体の各開口部を対向させて、両枠体内にフィルタを収納するフィルタ収納容器を構成し、各枠体の前記開口部に放射方向に突出するフランジを形成すると共に各枠体の中心部にボルト孔を有する支柱を形成し、上端に引掛け金具を係止したボルトを前記両ボルト孔に挿通し、前記支柱の一端に前記引掛け金具を当接させ且つ支柱の他端で前記ボルトの先端をナット締めしたことを特徴とする雨水浸透桝用フィルタ構造。
【請求項2】
前記フィルタ収納容器より上方で、ゴミ等の分離用笠を引掛け金具に固着したことを特徴とする請求項1に記載の雨水浸透桝用フィルタ構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−255219(P2010−255219A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−103911(P2009−103911)
【出願日】平成21年4月22日(2009.4.22)
【出願人】(595180062)株式会社エルデック (5)
【出願人】(000120146)株式会社ハネックス (56)
【出願人】(592101149)三山工業株式会社 (39)
【Fターム(参考)】