説明

電力供給システム

【課題】太陽光発電量を有効に利用することができる電力供給システムを提供する。
【解決手段】電力供給システム10では、予測電力量と予測発電量とを用いて予測蓄電量を設定することによって、特定時間帯である深夜時間帯における蓄電量を最小化することができる。これによって蓄電池24に余剰分となるような電力が蓄電されることが防止され、さらに電力コストを低減することができる。また太陽光発電機16による余剰分は、蓄電池24に蓄電するように消費制御手段である制御装置18によって制御される。したがって太陽光発電の余剰分が発生した場合であっても、余剰分を無駄にすることなく、効率よく用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電手段の発電量と電力使用量に応じて蓄電手段の蓄電量を制御する電力供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽光発電装置と蓄電装置とを有するシステムにおいて、太陽光発電装置の発電電力を有効に利用し、商用電源からの買電量を減らす方法がある。特許文献1では、太陽光発電装置からの発電量と蓄電装置からの電力供給量と、電力使用機器の負荷電力量に基づいて、随時、電力使用機器の稼動を起動、停止させるものが開示されている。
【0003】
このような特許文献1に記載の技術では、負荷電力量を減少させるために、電力使用機器を停止することがある。これによって利用者は、電力使用機器を利用したいにもかかわらず、いわば強制的に停止されるので、利便性が悪いという問題がある。
【0004】
これに対して特許文献2では、太陽光発電装置の発電量と電力消費量とを予測することによって、深夜電力の利用料を増加させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−309928号公報
【特許文献2】特開2007−295680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述の特許文献2に記載の技術では、売電量(逆潮流量)を多くしたいので、太陽光発電装置のパワーコンディショナを効率良く動作させるために、電力使用機器の使用を制限することがある。このように逆潮流量を優先すると、電力系統へ逆潮流した電力は、全てが他の建物などで消費されるのか、それとも消費されずに伝送抵抗によって損失しているのか不明のところがある。換言すると、逆潮流を多くすると、太陽光発電力が有効に利用されないことがある。
【0007】
そこで、本発明は前述の問題点を鑑みてなされたものであり、太陽光発電量を有効に利用することができる電力供給システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は前述の目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。
【0009】
請求項1に記載の発明では、電力供給契約に基づいて電力供給元の電力系統から建物(30)に供給される供給電力を、配線(11)に接続された電気負荷(12)に給電可能な電力供給システム(10)であって、
太陽光によって発電を行う太陽光発電手段(16)と、
建物の配線に接続され、太陽光発電手段によって発電された太陽光電力および電力系統から供給される供給電力を充電可能であるとともに、蓄電された電力を配線へ放電可能な蓄電手段(24)と、
電力系統から供給される供給電力の消費を制御するとともに、太陽光電力の消費を、蓄電手段への蓄電による消費と、電気負荷による消費とで制御する消費制御手段(18)と、
電気負荷の使用履歴に基づいて算出される翌日の電気負荷の予測電力量と、天候予測によって予測される翌日の太陽光発電手段の予測発電量と、を算出する予測量算出手段(18)と、
予測電力量が予測発電量よりも大きい場合、予測電力量と予測発電量の差である不足量を算出する不足量算出手段(18)と、
蓄電手段に蓄電される上限量である限界蓄電量が不足量以上の場合には、不足量を蓄電手段の蓄電後に蓄えられる量である予測蓄電量に設定し、限界蓄電量が不足量未満の場合には限界蓄電量を予測蓄電量に設定する蓄電量設定手段(18)と、
消費制御手段は、
電力供給契約に基づいて定まる他の時間帯より電力コストが安価な特定時間帯において、蓄電手段の蓄電量が予測蓄電量になるまで供給電力によって蓄電するように制御し、
他の時間帯において、電気負荷の消費電力量よりも太陽光発電量が多い場合には、太陽光電力の余剰分によって蓄電手段へ蓄電するように制御することを特徴とする電力供給システムである。
【0010】
請求項1に記載の発明に従えば、予測電力量と予測発電量とを用いて予測蓄電量を設定することによって、特定時間帯における蓄電量を最小化することができる。これによって蓄電手段に余剰分となるような電力が蓄電されることが防止され、さらに電力コストを低減することができる。また実際の太陽光発電手段による発電量が予測発電量よりも多い場合、または実際の電気負荷の消費電力が予測使用量よりも小さい場合には、太陽光発電手段による発電量の余剰分が発生する。このような場合には、余剰分は、蓄電手段に蓄電するように消費制御手段によって制御される。したがって太陽光発電の余剰分が発生した場合であっても、余剰分を無駄にすることなく、効率よく用いることができる。換言すると、予測することによって太陽光発電量と蓄電手段による電力を建物で最大に利用し、逆潮流分を少なくすることができる。前述のように電力系統へ逆潮流した電力は、全てが他の建物などで消費されるのか、それとも消費されずに伝送抵抗によって損失しているのか不明のところがあった。しかしながら本発明では、このような逆潮流分を少なくすることによって、太陽光発電量を有効に利用することができる電力供給システムを実現することができる。
【0011】
また請求項2に記載の発明では、車両(20)に接続する接続端子部(29)を有し、供給電力を接続端子部から車両へ供給して車両に搭載された車載蓄電装置(14)に充電可能であるとともに、車両から接続端子部へ出力される車載蓄電装置の電力を配線に放電可能な充放電手段(15)をさらに含み、
消費制御手段は、太陽光発電量と蓄電量との合計が電気負荷の消費電力よりも不足している場合には、車載蓄電装置の電力を配線に放電するように制御することを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明に従えば、車載蓄電装置に充放電可能な充放電手段をさらに含む。消費制御手段は、太陽光発電量と蓄電量との合計が電気負荷の消費電力よりも不足している場合には、車載蓄電装置の電力を配線に放電するように制御する。これによって、車載蓄電装置の電力にて電気負荷を稼働させることができるので、電力系統から供給電力の使用を抑制することができる。これによって電力コストが増加することを抑制することができる。
【0013】
さらに請求項3に記載の発明では、車載蓄電装置から配線へ放電した放電量の累計値を記憶する記憶手段と、
車載蓄電装置への充電が行われる毎に、記憶手段に記憶される累計値から車載蓄電装置への充電量を減算して、減算した後の累計値を記憶手段に記憶するように制御する累計値算出手段(18)と、をさらに含み、
消費制御手段は、他の時間帯において、電気負荷の消費電力量よりも太陽光発電量が多い場合であって、減算した後の累計値が0より大きいとき、太陽光電力の余剰分を、蓄電手段への蓄電よりも車載蓄電装置への充電に優先することを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の発明に従えば、他の時間帯において、累計値が0より大きい場合には、蓄電手段への蓄電よりも車載蓄電装置への充電を優先するように消費制御手段によって制御される。したがって記憶手段に記憶される累計値は、減算後の累計値であり、今までの充放電の収支になる。このような累計値を用いることによって、車載蓄電装置が他の場所で充電された場合であっても、累計値を0に近づけることができる。本システムは、前述のように太陽光発電量の利用効率が高いシステムであるが、車載蓄電装置を車両の走行でなく、建物で消費すると車両の走行による二酸化炭素削減量が不明になりやすい。しかしながら、太陽光発電量の余剰分によって記憶手段に記憶される累計値を0に近づけることによって、電力供給システムから供給された電力における車載蓄電装置の電力消費を車両の走行に集約することができる。したがって二酸化炭素排出量をより明確にすることができる。
【0015】
さらに請求項4に記載の発明では、供給される電力によって作動してエネルギを蓄えるエネルギ保持手段(17)をさらに含み、
消費制御手段は、他の時間帯において、電気負荷の消費電力量よりも太陽光発電量が多い場合であって、蓄電手段の蓄電量が設定される所定量以上であるとき、太陽光電力の余剰分によってエネルギ保持手段を作動させることを特徴とする。
【0016】
請求項4に記載の発明に従えば、他の時間帯において、電気負荷の消費電力量よりも太陽光発電量が多い場合であって、蓄電手段の蓄電量が設定される所定量以上であるときには、太陽光電力の余剰分によってエネルギ保持手段を作動させるように消費制御手段によって制御される。したがって蓄電手段への蓄電が優先され、蓄電量が所定量以上のときにエネルギ保持手段によって消費される。これによって太陽光発電力の余剰分がエネルギ保持手段によって消費される。したがって余剰分の利便性を向上することができる。
【0017】
さらに請求項5に記載の発明では、エネルギ保持手段は、ヒートポンプ装置を有する蓄熱手段(17)であり、
蓄熱手段は、供給される電力によってヒートポンプ装置を作動し、エネルギとして熱量を蓄えることを特徴とする。
【0018】
請求項5に記載の発明に従えば、エネルギ保持手段は、ヒートポンプ装置を有する蓄熱手段である。ヒートポンプ装置によってより効率良く電力を熱に変換することができる。したがって太陽光発電力の利用効率をより向上することができる。 なお、前述の各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1実施形態における電力供給システム10の概略構成を示す模式図である。
【図2】制御装置18の深夜充電処理を示すフローチャートである。
【図3】制御装置18の余剰電力処理を示すフローチャートである。
【図4】制御装置18の電力不足処理を示すフローチャートである。
【図5】翌日の消費電力と時刻との関係の第1の例を示すグラフである。
【図6】翌日の消費電力と時刻との関係の第2の例を示すグラフである。
【図7】翌日の消費電力と時刻との関係の第3の例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に関して、図1〜図7を用いて説明する。図1は、第1実施形態における電力供給システム10の概略構成を示す模式図である。電力供給システム10は、電力供給契約に基づいて電力供給元の電力系統から供給される供給電力を、建物30内の交流電力線11に接続された電気負荷である一般負荷12に給電可能なシステムである。本実施形態の電力供給システム10では、深夜時間帯(23時から7時の時間帯)の電力コストが他の時間帯の電力コストよりも安価な1つの(単一の)電力供給契約を締結しており、電力会社の電力系統から供給される購入電力(系統電力)を建物30内に導入する交流電力線11には、時間帯別電力量計(図示せず)が配設されている。
【0021】
電力供給システム10は、たとえば住宅である建物30内に配線された交流電力線11と、交流電力線11に電気的に接続された蓄電ユニット13と、車両に交流電力線11からの電力を供給して車載蓄電池14に充電するための充電スタンド15と、太陽光によって発電を行う太陽光発電機16と、交流電力線11に電気的に接続された蓄熱システム17と、交流電力線11に電気的に接続された一般負荷12と、各部を制御する制御装置18と、各部を操作する操作表示器19と、を備えている。車両20は、比較的容量の大きな蓄電装置を搭載した車両、たとえばプラグインハイブリッド自動車である。
【0022】
建物30内に配線された交流電力線11は、たとえば単相3線式の(1本の中性線と2本の電圧線とからなる)電力線であって、電力会社の電力系統の系統電力が分電盤21を介して供給されるようになっている。分電盤21には、図示は省略するが、主幹ブレーカ、および、各回路系統に流れる電流上限値を規制する漏電検知機能付きの電流ブレーカが配設されている。
【0023】
分電盤21内において、交流電力線11は、第1に充電スタンド15に、第2に太陽光発電用パワーコンディショナ(PCS)22に、第3に双方向PCS23に、第4に一般負荷12および蓄熱システム17に分岐している。
【0024】
先ず、太陽光発電機16に関して説明する。太陽光発電機16は、太陽光発電手段であって、交流電力線11に系統外電力を供給する。太陽光発電機16は、建物30の屋根に太陽光パネル(図示せず)を設け、太陽光を利用して発電するものである。太陽光発電機16は、発電した太陽光電力を太陽光発電用PCS22に供給する。太陽光発電用PCS22は、交流電力線11に電気的に接続され、太陽光発電機16からの直流電力を交流電力に変換して、交流電力線11へ放電する。太陽光発電用PCS22は、LAN(ローカルエリアネットワーク)接続され、各部と通信可能に構成される。
【0025】
次に、蓄熱システム17に関して説明する。交流電力線11により給電される蓄熱システム17は、内部にたとえば給湯用の湯を蓄える貯湯タンク(図示せず)と、水を沸き上げて貯湯タンク内に蓄える湯とするヒートポンプ装置(図示せず)と、各部を制御する蓄熱用制御部(図示せず)を備えている。蓄熱用制御部は、LAN接続され、各部と通信可能に構成される。ここで、ヒートポンプ装置は加熱手段に相当し、蓄熱システム17は供給された電力により加熱手段を作動して熱量を蓄える蓄熱手段に相当する。
【0026】
また蓄熱システム17に電力を供給する交流電力線11には、各種電気機器(電気負荷)の一般負荷12も接続される。したがって交流電力線11には、一般負荷12が接続可能となっており、これらの一般負荷12に給電可能となっている。
【0027】
次に、蓄電ユニット13に関して説明する。交流電力線11には、たとえば建物30の外部に設置された蓄電ユニット13(蓄電システムまたは「e−Station」と呼ばれることもある)が接続されている。蓄電ユニット13は、双方向PCS(パワーコンディショナ)23、蓄電池24、蓄電池ECU25等を備えている。
【0028】
蓄電池24は、たとえばリチウムイオン電池等の二次電池からなる単位電池を複数組み合わせた集合体である。蓄電池24は、双方向PCS23を介して交流電力線11に電気的に接続され、交流電力線11からの交流電力を充電したり、蓄電された直流電力を交流電力線11へ放電したりすることが可能となっている。
【0029】
蓄電池ECU25は、双方向PCS23と通信線で接続され、たとえば通信規格RSの通信により、双方向PCS23の作動を制御するようになっている。また蓄電池ECU25は、双方向PCS23を介して蓄電池24に搭載された蓄電池監視ECU(図示せず)と通信可能に接続されている。蓄電池ECU25は、ハブを介して操作表示器19および充電スタンド15の制御ECU26などとLAN接続されて、相互に情報交換(情報伝達)が可能となっている。
【0030】
次に、充電スタンド15に関して説明する。充電スタンド15は、たとえば建物30の外部に、蓄電ユニット13とは別体で設置されている。充電スタンド15には、分電盤21で交流電力線11から分岐した充電電力線27が接続している。充電電力線27は、充電スタンド15内にまで配設され、充電スタンド15の本体部から外部に延出する充放電ケーブル28に接続している。充放電ケーブル28の先端部には、接続端子部に相当する充放電コネクタ29が取付けられている。また充電スタンド15内には、CPLT基盤(図示せず)、PLC(電力線通信)ユニット(図示せず)、制御ECU26などが配設されている。制御ECU26は、CPLT基盤、PLCユニット、蓄電池ECU25および操作表示器19と通信することにより、車載蓄電装置である車載蓄電池14の充放電を制御する。
【0031】
充放電ケーブル28内には、電力線とともにCPLT線およびGND線が配設され、CPLT信号が通信可能となっている。CPLT基盤は、車載蓄電池14への充電制御を主たる機能とする構成である。CPLT基盤は、制御ECU26とはたとえば通信規格RSにより通信可能となっている。
【0032】
PLCユニットは、充放電ケーブル28内の電力線を介して車両20側との通信を行うためのユニットである。PLCユニットは、制御ECU26とはたとえば調歩同期方式(非同期方式)のシリアル通信をするためのUART(汎用非同期受信・送信)により通信可能となっている。
【0033】
車両20には、コネクタ(具体的には充放電コネクタ29の差込口)が設けられている。このコネクタに充電スタンド15の充放電コネクタ29を接続することにより、車載充放電器(図示せず)を介して、車載蓄電池14を充放電することが可能となっている。車載蓄電池14を充電する際には、コネクタに交流電力が供給され、供給された交流電力を車載充放電器が直流電力に変換して、車載蓄電池14に充電する。一方、車載蓄電池14を放電する際には、車載蓄電池14の蓄電している直流電力を車載充放電器が交流電力に変換して、コネクタから充放電コネクタ29へ放電する。
【0034】
次に、操作表示器19に関して説明する。操作表示器19は、たとえば建物30内に配設される遠隔操作手段(所謂リモコン)である。操作表示器19は、前述のように各部とLAN接続される。操作表示器19は、報知手段に相当する表示部31、および、各部を操作する操作スイッチ32を備えている。表示部31には、たとえば蓄電池24の蓄電状態、太陽電池の発電量、蓄熱システム17の貯湯量(蓄熱量)、一般負荷12による使用電力量、車載蓄電池14の充電状態、および電力系統への逆潮流量などを表示する。また操作スイッチ32を操作することによって、蓄電池24への蓄電指示、車載蓄電池14への充電指示、蓄熱システム17への貯湯指示、および各種設定などを行うことができる。
【0035】
次に、制御装置18に関して説明する。制御装置18は、各部を制御する消費制御手段としての機能も有する。制御装置18は、操作表示器19と同様に、各部とLAN接続される。制御装置18は、操作表示器19の操作スイッチ32によって入力された指示に従って、各部が動作するように各部に制御指令を与える。また制御装置18は、各部の状態に応じた情報を表示するように、操作表示器19の表示部31を制御する。
【0036】
制御装置18は、構成の図示は省略するが、通信信号、大気圧センサ(図示せず)等からの検出信号が入力される入力回路と、入力回路からの信号を用いて各種演算を実行するマイクロコンピュータと、マイクロコンピュータによる演算に基づいて各部を制御する制御信号を出力する出力回路と、を備えている。マイクロコンピュータは、大気圧等の各種のデータ、演算結果等を記憶する記憶手段としてのロム(Read-Only Memory:略称ROM)、ラム(Random Access Memory:略称RAM)等を内蔵し、あらかじめ設定された制御プログラムや更新可能な制御プログラムを有し、後述する各処理を実行する。
【0037】
制御装置18は、電気負荷の使用履歴に基づいて算出される翌日の電気負荷の予測電力量と、天候予測によって予測される翌日の太陽光発電機16の予測発電量と、を算出する予測量算出手段としての機能を有する。制御装置18は、大気圧センサにより検出される大気圧の検出値に応じて翌日の天候を予測し、この天候予測結果および過去の発電量実績に基づき翌日の太陽光発電機16による発電量の予測発電量を算出する。また制御装置18は、予測電力量が予測発電量より大きい場合、予測電力量と予測発電量の差である不足量を算出する不足量算出手段としての機能も有する。そして制御装置18は、蓄電池24に蓄電される上限量である満充電量(限界蓄電量)が不足量以上の場合には、不足量を蓄電池24の蓄電後に蓄えられる量である予測蓄電量に設定し、限界蓄電量が不足量未満の場合には限界蓄電量を予測蓄電量に設定する蓄電量設定手段としての機能も有する。したがって制御装置18は、省エネルギ、低ランニングコストのため、天候を予測し、天候予測等に基づく昼間の太陽光発電量を予測し、この太陽光発電量と一般負荷12による予測電力量を加味して深夜料金時間帯の予測蓄電量を決定する。
【0038】
予測蓄電量は、ユーザの過去の一般負荷12の使用実績による学習値から、蓄電池24に残存する蓄電量と翌日の予測発電量(発電量の予測値)との合計を減算することにより算出されるものである。そして、制御装置18は、電力が安価な深夜時間帯に蓄電ユニット13を作動させ、算出した予測蓄電量に応じて蓄電を行わせることにより、新たな蓄電量が蓄電池24に加わることになる。
【0039】
また、制御装置18による天候予測演算は、検出された大気圧値、当該大気圧値の振動の割合、および当該大気圧値の変化率のパラメータに基づいて、翌日の太陽光発電量を決定する。たとえば、制御装置18は、天候予測演算に使用する所定のマップを記憶手段に記憶している。当該マップは、当該大気圧値の振動の割合が大きく2つに分類されており、この振動の割合の分類毎に大気圧値の変化率に関する不等式がさらに複数に分類され、当該変化率の分類毎にさらに大気圧値に関する不等式が割り当てられている。そして、当該マップに、大気圧値、当該振動の割合、および当該変化率の各パラメータを当てはめることにより、一の予測発電量を決定することができる。大気圧値としては、たとえば演算に現在の検出値を使用し、当該振動の割合および当該変化率としては4時間前から現在までの振動の割合および変化率を使用するものである。したがって制御装置18は、過去の大気圧データと過去の太陽光発電量との相関関係を示すマップを、記憶手段に記憶している。制御装置18は、大気圧に基づいて、マップを用いて翌日の太陽光発電量(予測発電量)を決定する。このようなマップは、たとえば過去の大気圧データと過去の発電量実績とを記録することによって、逐次更新することが有効である。
【0040】
また制御装置18は、車載蓄電池14から交流電力線11へ放電した放電量の累計値を記憶手段に記憶するように制御する。また制御装置18は、累計値算出手段としての機能を有し、車載蓄電池14への充電が行われる毎に、記憶手段に記憶される累計値から車載蓄電池14への充電量を減算して、減算した後の累計値を記憶手段に記憶するように制御する。また制御装置18は、他の時間帯において、一般負荷12の使用電力量よりも太陽光発電量が多い場合であって記憶手段に記憶される累計値が0より大きいとき、太陽光電力の余剰分を、たとえば電力系統へ逆潮流よりも車載蓄電装置への充電を優先するように各部を制御する。
【0041】
次に、制御装置18による制御に関して説明する。図2は、制御装置18の深夜充電処理を示すフローチャートである。深夜充電処理は、深夜時間帯に蓄電池24に蓄電する蓄電量を決定する処理である。図2に示すフローは、制御装置18が電源投入状態において実行される。
【0042】
フローが開始されると、ステップS11では、現在時刻が23時になったか否かが判定される。そして、23時であれば、ステップS12に進み、23時でなければステップS11の処理を繰返す。
【0043】
ステップS12では、記憶手段に記憶されている過去の一般負荷12の使用電力量、および過去の太陽光発電量などのデータを読み込む処理を実行し、ステップS13に移る。過去の実績は、過去の予め定めた日数分の実績(たとえば14日分の実績)であり、平日実績値と休日(土、日)実績値との二種類がある。読み込む際、読み込むときの曜日に応じて、いずれか1種類のデータが選択される。
【0044】
ステップS13では、読み込んだ使用電力量の実績に基づいて、使用電力量の偏差δを算出し、ステップS14に移る。ステップS14では、使用電力量の平均値と算出した偏差との合計を、翌日の予測電力量として、ステップS15に移る。したがって予測電力量は、使用電力量の実績を用いて、その平均値に偏差を加えた値となる。
【0045】
ステップS15では、記憶手段に記憶されている大気圧データを読込み、ステップS16に移る。大気圧データは、記憶手段に記憶されており、たとえば現在時刻から4時間前までの全体の大気圧データを読み込む。なおステップS15では、4時間という時間幅であるが、これに限定するものではなく、予め定めた時間幅の全大気圧データを読み込むステップであってもよい。
【0046】
ステップS16では、大気圧データに基づいて、翌日の太陽光発電量を算出し、ステップS17に移る。ステップS16では、記憶手段に記憶される大気圧と太陽光発電量との相関マップを用いて、読み込んだ大気圧値、大気圧値の振動の割合、および大気圧値の変化率の各パラメータを当てはめることにより、一の予測発電量を決定する。
【0047】
ステップS17では、予測電力量と予測発電量とに基づいて、予測蓄電量を決定し、本フローを終了する。予測蓄電量を決定するために、前述したように先ず不足量を算出する。不足量は、予測電力量が予測発電量より大きい場合、予測電力量と予測発電量の差によって算出される。次に、蓄電池24の限界蓄電量が不足量以上の場合には、不足量を予測蓄電量に設定し、限界蓄電量が不足量未満の場合には限界蓄電量を予測蓄電量に設定する。
【0048】
このような深夜充電処理によって、深夜時間帯に蓄電すべき蓄電量として予測蓄電量が設定される。これによって制御装置18は、深夜時間帯に蓄電量が予測蓄電量になるように、各部を制御する。また本フローは、23時に実行される処理であるが、天候予測は逐次変化するものであるので、深夜時間帯に定期的に実行して、予測蓄電量を適宜更新設定してもよい。
【0049】
次に、制御装置18による昼間時間帯(たとえば9時から17時)の制御に関して説明する。図3は、制御装置18の余剰電力処理を示すフローチャートである。余剰電力処理は、昼間時間帯に太陽光発電量が余った場合に余剰電力をどのように消費するかを決定する処理である。図3に示すフローは、制御装置18が電源投入状態において実行される。
【0050】
フローが開始されると、ステップS21では、使用電力量と太陽光発電量とに基づいて、太陽光発電量に余剰分(余剰電力)があるか否かを判断し、余剰電力がある場合には、ステップS22に移り、ない場合には、ステップS21に処理を繰返す。太陽光発電量の余剰電力は、たとえば一般負荷12の使用電力量から蓄電池24の交流電力線11への供給電力量を差し引いた値よりも太陽光発電量が多い場合の、太陽光発電量の余剰分である。
【0051】
ステップS22では、余剰電力があるので、車載蓄電池14に累計値がある(0より大きい)か否かを判断し、ある場合にはステップS23に移り、ない場合にはステップS25に移る。累計値は、前述のように記憶手段に記憶されており、交流電力線11への放電量と交流電力線11からの充電量との収支を示す値である。記憶手段に記憶される累計値が0より大きい場合には、放電量が充電量よりも多いことを意味している。
【0052】
ステップS23では、車載蓄電池14に充電可であるか否かを判断し、充電可である場合には、ステップS24に移り、充電不可である場合には、ステップS25に移る。ステップS24では、累計値があり、かつ充電可能であるので、余剰電力を用いて車載蓄電池14を充電し、充電不可になるまでステップS22〜ステップS24までの処理を繰返す。車載蓄電池14が充電不可の場合とは、たとえば車載蓄電池14が満充電(限界充電量)である場合、車載蓄電池14が接続されていない場合、設定によって充電が禁止されている場合などである。
【0053】
ステップS25では、蓄電システムの蓄電池24が充電不可であるか、累計値が0であるので、蓄電池24が充電可であるか否かを判断し、充電不可である場合には、ステップS27に移り、充電可能である場合には、ステップS26に移る。蓄電池24が充電不可の場合とは、たとえば蓄電池24が満充電(限界充電量)である場合、設定によって充電が禁止されている場合などである。ステップS26では、充電可能であるので、余剰電力を用いて蓄電池24を充電し、充電不可になるまでステップS25,ステップS26の処理を繰返す。
【0054】
ステップS27では、蓄電池24が充電不可であるので、蓄熱システム17によって蓄熱可能であるか否かを判断し、蓄熱可能である場合には、ステップS28に移り、蓄熱不可である場合には、ステップS29に移る。蓄電システムによって蓄熱可能とは、貯湯タンクにおける貯湯量が最大貯湯量であるか否かによって判断される。最大貯湯量でない場合には、最大貯湯量まで蓄熱可能である。ステップS27では、蓄熱可能であるので、余剰電力を用いてヒートポンプ装置を作動させて蓄熱し、最大貯湯量になるまでステップS27,ステップS28の処理を繰返す。
【0055】
ステップS29では、電力供給システム10内にて余剰電力を消費(蓄電、蓄熱)する機器がないので、電力系統に逆潮流させて売電するように制御し、本フローを終了する。
【0056】
このような余剰電力処理によって、順次、車載蓄電池14、蓄電池24、蓄熱システム17にて余剰電力が電力または熱に蓄えられる。したがって蓄熱システム17への蓄熱は、蓄電池24の蓄電の方が優先され、蓄電池24が所定量以上である限界蓄電量であるときに、蓄熱される。このような優先順位は、図3に示すフローに限るものではなく、適宜ユーザによって設定可能である。たとえば余剰電力を蓄熱システム17での蓄熱に優先するように設定されている場合には、蓄熱システム17にて先に余剰電力が消費される。したがって太陽光発電による余剰電力が逆潮流する量をできるだけ少なくすることができる。またたとえば、余剰電力の逆潮流を優先するように設定している場合には、ステップS21で余剰電力がある場合に、ステップS29に移るように処理することによって、逆潮流を優先し、余剰分を逆潮流させることができる。
【0057】
次に、制御装置18による昼間時間帯の他の処理に関して説明する。図4は、制御装置18の電力不足処理を示すフローチャートである。電力不足処理は、昼間時間帯に太陽光発電量が少なく、蓄電池24の充電量も少なくなった場合の処理である。図4に示すフローは、制御装置18が電源投入状態において実行される。
【0058】
フローが開始されると、ステップS31では、一般負荷12の電力消費によって、電力が不足しているか否かを判断し、不足している場合には、ステップS32に移り、不足していない場合には、ステップS31の処理を繰返す。電力が不足している原因としては、電力系統からの電力を使用していない場合であって、たとえば蓄電池24の蓄電量が不足している場合、太陽光発電量が少ない場合、一般負荷12の使用電力量が大きい場合などである。
【0059】
ステップS32では、交流電力線11における電力が不足しているので、車載蓄電池14のデータを取得し、ステップS33に移る。車載蓄電池14のデータは、たとえば車載蓄電池14が交流電力線11に接続されているか否か、走行予定、および充電量などである。
【0060】
ステップS33では、取得したデータに基づいて、車載蓄電池14を使用可能であるか否かを判断し、使用可能である場合には、ステップS34に移り、使用不可の場合には、本フローを終了する。使用可能である場合は、たとえば充電量が充分にある場合、走行予定がない場合、および予め放電可能と設定されている場合などである。使用不可の場合は、たとえば車載蓄電池14が交流電力線11に接続されていない場合、走行開始時刻が直近に設定さている場合、および予め放電不可と設定されている場合などである。
【0061】
ステップS34では、車載蓄電池14を使用可能であるので、車載蓄電池14から交流電力線11に電力を放電によって供給するように制御し、本フローを終了する。また車載蓄電池14を使用不可の場合には、電力が不足しているので、電力系統からの供給電力によって自動的に電力が供給される。
【0062】
このようなで電力不足処理によって、電力が不足している場合には、車載蓄電池14を予備の電力供給源として用いることができる。これによって電力系統から供給される電力量を少なくすることができる。
【0063】
次に、一般負荷12における消費電力と時刻との関係について図5〜図7を用いて説明する。図5は、翌日の消費電力と時刻との関係の第1の例を示すグラフである。図5に示す例は、昼間時間帯において、太陽光発電量が多く、一般負荷12の使用電力(消費電力)が少ないと予測した場合の例である。まず、深夜時間帯が終了する7時から太陽光発電量が使用電力量を上回る第2分岐点(8時)までの電力は、予測使用量に基づいて、予め前日の深夜時間帯に蓄えておく。そして昼間時間帯に太陽光発電量の余剰分(右下がりのハッチングを施した領域)があるので、前述のように余剰分を蓄電池24に蓄電する。そして太陽光発電量が使用電力量を下回る第1分岐点(16時)から、蓄電池24の電力を用いる。この場合、余剰分が予測電力量より多いので、16時以降の深夜時間帯が始まる23時まで、蓄電池24など蓄えた電力を用いることができる。したがって図5に示す例では、蓄電池24によって予測電力量(右上がりのハッチングを施した領域)を賄うことができる。
【0064】
図6は、翌日の消費電力と時刻との関係の第2の例を示すグラフである。図6に示す例は、昼間時間帯において、太陽光発電量が第1の例よりもやや少ないと予測した場合の例である。まず、深夜時間帯が終了する7時から太陽光発電量が使用電力量を上回る第2分岐点(8時)までの電力は、第1の例と同様に予め前日の深夜時間帯に蓄えておく。そして昼間時間帯に太陽光発電量の余剰分があるので、前述のように余剰分を蓄電池24に蓄電する。そして太陽光発電量が使用電力量を下回る第1分岐点(16時)から、蓄電池24の電力を用いる。ここで本例では、余剰分が予測電力量以下であり不足しているが、不足分は蓄電可能な量である。この場合には、不足分は、前日の深夜時間帯に蓄電する。これによって翌日の16時以降の深夜時間帯が始まる23時まで、蓄電池24に蓄えた電力を用いることができる。したがって図6に示す例では、蓄電池24によって予測電力量を賄うことができる。
【0065】
図7は、翌日の消費電力と時刻との関係の第3の例を示すグラフである。図7に示す例は、昼間時間帯において、太陽光発電量が第2の例よりもさらに少ないと予測した場合の例である。まず、深夜時間帯が終了する7時から太陽光発電量が使用電力量を上回る第2分岐点(8時)までの電力は、第1の例と同様に予め前日の深夜時間帯に蓄えておく。そして昼間時間帯に太陽光発電量の余剰分があるので、前述のように余剰分を蓄電池24に蓄電する。そして太陽光発電量が使用電力量を下回る第1分岐点(16時)から、蓄電池24の電力を用いる。ここで本例では、余剰分が予測電力量以下であり、不足しており、さらに蓄電量が少ないので、余剰分の全てを蓄電することができず、不足分は蓄電可能な量を越えている。この場合には不足分は、図4に示したように、車載蓄電池14からの放電または系統電力によって補う。
【0066】
以上説明したように本実施形態の電力供給システム10では、図2に示すように、予測電力量と予測発電量とを用いて予測蓄電量を設定することによって、特定時間帯である深夜時間帯における蓄電量を最小化することができる。これによって蓄電池24に余剰分となるような電力が蓄電されることが防止され、さらに電力コストを低減することができる。
【0067】
また実際の太陽光発電機16による発電量が予測発電量よりも多い場合、または実際の一般負荷12の消費電力が予測使用量よりも小さい場合には、太陽光発電機16による発電量の余剰分が発生する。このような場合には、余剰分は、蓄電池24に蓄電するように消費制御手段である制御装置18によって制御される。したがって太陽光発電の余剰分が発生した場合であっても、余剰分を無駄にすることなく、効率よく用いることができる。換言すると、予測することによって太陽光発電量と蓄電池24による電力を建物30で最大に利用し、逆潮流分を少なくすることができる。前述のように電力系統へ逆潮流した電力は、全てが他の建物などで消費されるのか、それとも消費されずに伝送抵抗によって損失しているのか不明のところがあった。しかしながら本電力供給システム10では、このような逆潮流分を少なくすることによって、太陽光発電量を有効に利用することができるシステムを実現することができる。
【0068】
さらに本実施形態では、車載蓄電池14に充放電可能な充放電手段である充電スタンド15をさらに含む。制御装置18は、太陽光発電量と蓄電量との合計が電気負荷である一般負荷12の消費電力(使用電力量)よりも不足している場合には、車載蓄電池14の電力を配線に放電するように制御する(図4参照)。これによって、車載蓄電池14の電力にて一般負荷12を稼働させることができるので、電力系統から供給電力の使用を抑制することができる。これによって電力コストが増加することを抑制することができる。
【0069】
また本実施形態では、他の時間帯において、累計値が0より大きい場合には、蓄電池24への蓄電よりも車載蓄電池14への充電を優先するように制御装置18によって制御される(図3のステップS22参照)。記憶手段に記憶される放電量の累計値は、今までの充放電の収支になる。このような累計値を用いることによって、車載蓄電池14が他の場所で充電された場合であっても、累計値を0に近づけることができる。本電力供給システム10は、前述のように太陽光発電量の利用効率が高いシステムであるが、車載蓄電池14を車両20の走行でなく、建物30で消費すると車両20の走行による二酸化炭素削減量が不明になりやすい。しかしながら、太陽光発電量の余剰分によって累計値を0に近づけることによって、電力供給システム10から供給された電力における車載蓄電池14の電力消費を車両20の走行に集約することができる。したがって二酸化炭素排出量をより明確にすることができる。
【0070】
また本実施形態では、他の時間帯において、一般負荷12の消費電力量(使用電力量)よりも太陽光発電量が多い場合であって、蓄電池24の蓄電量が所定量、たとえば満蓄電量よりも多いときには、太陽光電力の余剰分によってエネルギ保持手段である蓄熱システム17を作動させるように制御装置18によって制御される(図3のステップS27参照)。これによって太陽光発電力の余剰分がエネルギ保持手段によって消費されるので、逆潮流する電力をより少なくすることができる。したがって太陽光発電力の利用効率をより向上することができる。
【0071】
(その他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
【0072】
前述の第1実施形態では、各構成間で情報を伝達する通信に、LAN通信、RS通信、UART通信、PLC通信、CPLT通信のいずれかを用いていたが、これに限定されるものではなく、上記実施形態の記載とは異なる通信方法を採用してもかまわない。また、有線通信に限定されず、無線通信を採用することも可能である。
【0073】
前述の第1実施形態では、蓄電ユニット13と充電スタンド15とは別体であったが、一体であってもかまわない。蓄電ユニット13と充電スタンド15とが別体の場合には、それぞれのユニットの設置位置の自由度が向上する。一方、蓄電ユニット13と充電スタンド15とが一体の場合には、構成を簡素化することが可能である。
【0074】
前述の第1実施形態では、定置式の蓄電池24、および、車載蓄電池14は、いずれも二次電池であったが、これに限定されるものではない。充放電可能な蓄電手段であればよく、たとえばキャパシタ等を採用することも可能である。
【0075】
前述の第1実施形態では、建物30は住宅であったが、これに限定されるものではない。たとえば、建物30は、店舗、工場、倉庫等であってもかまわない。
【0076】
前述の第1実施形態では、エネルギ保持手段は、熱量を蓄熱運転(保持運転)する電気温水器によって実現されているが、電気温水器に限るものではなく、他のエネルギ保持手段、たとえば住宅用蓄電池であってもよく、またはこれらの集合体であってもよい。
【0077】
前述の第1実施形態では、特定時間帯は、深夜時間帯(23時から7時の時間帯)であるが、このような時間帯に限るものではなく、電力供給契約によって適宜変更されるものである。
【0078】
前述の第1実施形態では、電気温水器の加熱手段はヒートポンプ装置であったが、これに限定されるものではなく、たとえば、加熱手段は電気ヒータ等であってもかまわない。
【0079】
前述の第1実施形態では、車載蓄電池14を搭載した車両20はプラグハイブリッド(PHV)自動車であったが、これに限定されるものではなく、たとえば、電気自動車であってもかまわない。また、蓄電池を搭載した車両であれば、蓄電池に蓄えた電力を車両の駆動に用いるものにも限定されるものではない。
【0080】
前述の第1実施形態では、大気圧センサを用いて大気圧データを取得しているが、インターネットに接続する接続手段を設け、インターネット上から気象庁等による大気圧データを取得し、これを使用するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0081】
10…電力供給システム
11…交流電力線(配線)
12…一般負荷(電気負荷)
13…蓄電ユニット
14…車載蓄電池(車載蓄電装置)
15…充電スタンド(充放電手段)
16…太陽光発電機(太陽光発電手段)
17…蓄熱システム(エネルギ保持手段、蓄熱手段)
18…制御装置(消費制御手段、予測量算出手段、不足量算出手段、蓄電量設定手段、累計値算出手段)
19…操作表示器
20…車両
24…蓄電池(蓄電手段)
28…充放電ケーブル
29…充放電コネクタ(接続端子部)
30…建物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力供給契約に基づいて電力供給元の電力系統から建物(30)に供給される供給電力を、配線(11)に接続された電気負荷(12)に給電可能な電力供給システム(10)であって、
太陽光によって発電を行う太陽光発電手段(16)と、
前記建物の前記配線に接続され、前記太陽光発電手段によって発電された太陽光電力および前記電力系統から供給される前記供給電力を充電可能であるとともに、蓄電された電力を前記配線へ放電可能な蓄電手段(24)と、
前記電力系統から供給される前記供給電力の消費を制御するとともに、前記太陽光電力の消費を、前記蓄電手段への蓄電による消費と、前記電気負荷による消費とで制御する消費制御手段(18)と、
前記電気負荷の使用履歴に基づいて算出される翌日の前記電気負荷の予測電力量と、天候予測によって予測される翌日の前記太陽光発電手段の予測発電量と、を算出する予測量算出手段(18)と、
前記予測電力量が前記予測発電量よりも大きい場合、前記予測電力量と前記予測発電量の差である不足量を算出する不足量算出手段(18)と、
前記蓄電手段に蓄電される上限量である限界蓄電量が前記不足量以上の場合には、前記不足量を前記蓄電手段の蓄電後に蓄えられる量である予測蓄電量に設定し、前記限界蓄電量が前記不足量未満の場合には前記限界蓄電量を前記予測蓄電量に設定する蓄電量設定手段(18)と、
前記消費制御手段は、
前記電力供給契約に基づいて定まる他の時間帯より電力コストが安価な特定時間帯において、前記蓄電手段の蓄電量が前記予測蓄電量になるまで前記供給電力によって蓄電するように制御し、
前記他の時間帯において、前記電気負荷の消費電力量よりも太陽光発電量が多い場合には、前記太陽光電力の余剰分によって蓄電手段へ蓄電するように制御することを特徴とする電力供給システム。
【請求項2】
車両(20)に接続する接続端子部(29)を有し、前記供給電力を前記接続端子部から前記車両へ供給して前記車両に搭載された車載蓄電装置(14)に充電可能であるとともに、前記車両から前記接続端子部へ出力される前記車載蓄電装置の電力を前記配線に放電可能な充放電手段(15)をさらに含み、
前記消費制御手段は、前記太陽光発電量と前記蓄電量との合計が前記電気負荷の前記消費電力よりも不足している場合には、前記車載蓄電装置の電力を前記配線に放電するように制御することを特徴とする請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項3】
前記車載蓄電装置から前記配線へ放電した放電量の累計値を記憶する記憶手段と、
前記車載蓄電装置への充電が行われる毎に、前記記憶手段に記憶される前記累計値から前記車載蓄電装置への充電量を減算して、減算した後の累計値を前記記憶手段に記憶するように制御する累計値算出手段(18)と、をさらに含み、
前記消費制御手段は、前記他の時間帯において、前記電気負荷の消費電力量よりも前記太陽光発電量が多い場合であって、前記減算した後の前記累計値が0より大きいとき、前記太陽光電力の前記余剰分を、前記蓄電手段への蓄電よりも前記車載蓄電装置への充電に優先することを特徴とする請求項2に記載の電力供給システム。
【請求項4】
供給される電力によって作動してエネルギを蓄えるエネルギ保持手段(17)をさらに含み、
前記消費制御手段は、前記他の時間帯において、前記電気負荷の消費電力量よりも前記太陽光発電量が多い場合であって、前記蓄電手段の蓄電量が設定される所定量以上であるとき、前記太陽光電力の余剰分によって前記エネルギ保持手段を作動させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の電力供給システム。
【請求項5】
前記エネルギ保持手段は、ヒートポンプ装置を有する蓄熱手段(17)であり、
前記蓄熱手段は、前記供給される電力によって前記ヒートポンプ装置を作動し、前記エネルギとして熱量を蓄えることを特徴とする請求項4に記載の電力供給システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−175791(P2012−175791A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−34856(P2011−34856)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】