説明

電力制御装置および電力制御方法

【課題】自立出力時に安定的に電力を出力する。
【解決手段】太陽光パネル用PCS21は、太陽光の照射に応じて発電を行う太陽光パネルにより発電された直流電圧の電力を交流電圧の電力に変換し、充電用AC/DC変換部23は、太陽光パネル用PCS21から出力される交流電圧の電力を、直流電圧の電力に変換する。そして、制御部28は、商用電力系統からの電力の供給が停止しているときに、太陽光パネルから出力される電力の電圧値に基づいて、充電用AC/DC変換部23の出力電力を制御する。本発明は、例えば、太陽光発電パネルおよび蓄電池を備えた太陽光発電システムに適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力制御装置および電力制御方法に関し、特に、自立出力時に安定的に電力を出力することができるようにした電力制御装置および電力制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽光発電パネルおよび蓄電池を備えた太陽光発電システムが普及している。このような太陽光発電システムでは、太陽光発電パネルで発電された直流電圧の電力が、パワーコンディショナにより交流電圧の電力に変換された後、負荷に供給されて消費されたり、商用電力系統へ戻されて売電されたりする。また、太陽光発電パネルで発電された電力を蓄電池に充電することにより、天候に左右されない安定的な電力の供給が行われる。
【0003】
例えば、特許文献1には、太陽光発電パネルで発電された直流電圧の電力を、交流電圧の電力に変換する電力変換装置が開示されている。また、特許文献2には、電力系統の系統電圧を検知して、出力する電力を交流電圧100Vまたは200Vで切り替えることができる電力変換装置が開示されている。
【0004】
また、太陽光発電システムでは、停電が発生して商用電力系統からの電力の供給が停止した場合には、商用電力系統から独立して自立運転を行う自立運転モードとなる。自立運転モードでは、太陽光発電パネルで発電された電力、または蓄電池に充電されている電力が、パワーコンディショナにより交流電圧100Vの電力に変換されて負荷に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−142460号公報
【特許文献2】特開2002−112461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したような太陽光発電システムにおいて、停電などによる自立出力時に、パワーコンディショナが、太陽光発電パネルに要求する電力が大きくなり過ぎると、太陽光発電パネルから出力される電力の電圧が大きく低下してしまう。これにより、太陽光発電パネルの発電電力が一時的に著しく低下してしまい、電力を安定的に出力することが困難になることがある。
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、自立出力時に安定的に電力を出力することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面の電力制御装置は、自然エネルギーを利用し発電を行う発電手段から出力される直流電圧の電力を、交流電圧の電力に変換する第1の変換手段と、第1の変換手段から出力される交流電圧の電力を、直流電圧の電力に変換する第2の変換手段と、系統からの電力の供給が停止しているときに、発電手段から出力される電力の電圧値に基づいて、第2の変換手段の出力電力を制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の一側面の電力制御方法は、自然エネルギーを利用し発電を行う発電手段から出力される直流電圧の電力を、交流電圧の電力に変換する第1の変換手段と、第1の変換手段から出力される交流電圧の電力を、直流電圧の電力に変換する第2の変換手段とを備える電力制御装置の電力制御方法であって、系統からの電力の供給が停止しているときに、発電手段から出力される電力の電圧値に基づいて、第2の変換手段の出力電力を制御するステップを含むことを特徴とする。
【0010】
本発明の一側面においては、系統からの電力の供給が停止しているときに、発電手段から出力される電力の電圧値に基づいて、第2の変換手段の出力電力が制御される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一側面によれば、自立出力時に安定的に電力を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明を適用したエネルギーコントローラの第1の実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図2】停電時における電力経路を示す説明する。
【図3】通常時における電力経路を示す説明する。
【図4】自立運転モード時の電力制御の処理を説明するフローチャートである。
【図5】自立運転モード時の電力制御の他の処理を説明するフローチャートである。
【図6】本発明を適用したエネルギーコントローラの第2の実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図7】本発明を適用したエネルギーコントローラの第3の実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明を適用したエネルギーコントローラの第1の実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【0015】
図1において、エネルギーコントローラ11は、図示しない太陽光パネルに接続されるとともに、分電盤12を介して、交流電圧200Vの電力を供給する商用電力系統に接続されている。
【0016】
エネルギーコントローラ11は、太陽光パネルで発電された電力および商用電力系統から供給される電力をバッテリ13に充電したり、太陽光パネルで発電された電力およびバッテリ13に充電されている電力を負荷に供給したりする電力制御を行う。また、エネルギーコントローラ11は、商用電力系統から電力が供給される通常時における運転モードである通常運転モードと、商用電力系統から電力の供給が停止した停電時における運転モードである自立運転モードとを備えている。そして、エネルギーコントローラ11は、通常運転モードでは、分電盤12を介して負荷に電力を供給し、自立運転モードでは、自立出力用コンセント14に接続された負荷に対して電力を供給する。
【0017】
エネルギーコントローラ11は、太陽光パネル用PCS(Power Conditioning System:パワーコンディショニングシステム)21、バッテリ用PCS22、充電用AC/DC(Alternating Current / Direct Current)変換部23、電力モニタ25および26、入出力部27、並びに制御部28を備えて構成されている。
【0018】
また、エネルギーコントローラ11では、充電用AC/DC変換部23および分電盤12の配線用ブレーカ44を接続する配線に、リレー31および32が直列に接続されている。さらに、リレー32および充電用AC/DC変換部23を接続する配線と太陽光パネル用PCS21の自立運転出力端子とを接続する配線に、リレー33が接続されている。また、分電盤12の配線用ブレーカ44およびリレー31を接続する配線とバッテリ用PCS22とを接続する配線に、リレー34が接続されている。また、エネルギーコントローラ11の筐体には端子37が配設されており、端子37を介して、バッテリ用PCS22の自立運転出力端子と自立出力用コンセント14とが接続されている。
【0019】
分電盤12では、端子41が商用電力系統の電力線に接続されている。また、端子41に接続された配線が漏電ブレーカ42、ブレーカ部43、および配線用ブレーカ44を介して、バッテリ用PCS22および充電用AC/DC変換部23に接続されている。また、端子41および漏電ブレーカ42を接続する配線には、漏電ブレーカ45を介して太陽光パネル用PCS21が接続されている。ブレーカ部43は、複数のブレーカを有しており、それらのブレーカを介して、例えば、家屋内にある電気機器などの負荷が接続される。
【0020】
太陽光パネル用PCS21は、図示しない太陽光パネルにより発電される電力を調整し、太陽光パネルにより発電された直流電圧の電力を、交流電圧の電力に変換して出力する。例えば、エネルギーコントローラ11が通常運転モードであるとき、太陽光パネル用PCS21は、太陽光パネルから供給される電力を、交流電圧200Vの電力に変換して分電盤12に供給する。この電力は、漏電ブレーカ45および漏電ブレーカ42を介してブレーカ部43の各ブレーカに接続された負荷に供給されたり、漏電ブレーカ45および端子41を介して商用電力系統に戻されて売電されたりする。
【0021】
また、太陽光パネル用PCS21は、自立運転出力端子を備えている。自立運転モードへの移行を指示する信号(以下、適宜、自立運転信号と称する)が制御部28から供給されると、太陽光パネル用PCS21は、自立運転出力端子から交流電圧100Vの電力を出力する。太陽光パネル用PCS21の自立運転出力端子から出力される電力は、リレー33を介して充電用AC/DC変換部23に供給される。
【0022】
バッテリ用PCS22は、バッテリ13に蓄積されている電力を、交流電圧の電力に変換して出力する。例えば、エネルギーコントローラ11が通常運転モードであるとき、バッテリ用PCS22は、バッテリ13から供給される電力を交流電圧200Vの電力に変換し、リレー34を介して分電盤12に供給する。この電力は、負荷での消費電力に応じて調整され、配線用ブレーカ44を介して、ブレーカ部43に接続された負荷にのみ供給され、商用電力系統に流れ出ることは防止されている。
【0023】
また、バッテリ用PCS22は、自立運転出力端子を備えており、自立運転信号が制御部28から供給されると、自立運転出力端子から交流電圧100Vの電力を出力する。バッテリ用PCS22の自立運転出力端子から出力される電力は、端子37を介して、自立出力用コンセント14に接続されている負荷に供給される。
【0024】
充電用AC/DC変換部23は、交流電圧(100Vまたは200V)の電力を、バッテリ13の充電に適した直流電圧の電力に変換してバッテリ13に供給し、バッテリ13を充電する。例えば、充電用AC/DC変換部23は、バッテリ13の充電量を確認し、その充電量に応じて制御される電圧でバッテリ13を充電する。また、バッテリ13の充電量などによっては、充電用AC/DC変換部23から出力される電力は、バッテリ用PCS22に供給される。
【0025】
電力モニタ25は、充電用AC/DC変換部23に入力される電力を監視し、その電力量(電流値A1および電圧値V1)を制御部28に通知する。電力モニタ26は、商用電力系統から分電盤12に供給される電力を監視し、その電力量(電流値A2および電圧値V2)を制御部28に通知する。なお、充電用AC/DC変換部23から出力される電力の電力量(電流値A3および電圧値V3)が、充電用AC/DC変換部23により制御部28に通知される。
【0026】
入出力部27は、エネルギーコントローラ11内の各部と制御部28とが通信を行うためのインタフェース(例えば、System I/O board)である。
【0027】
制御部28は、入出力部27を介してエネルギーコントローラ11内の各部と通信を行って、各種の制御を行う。
【0028】
例えば、制御部28は、電力モニタ26から通知される電力量に基づいて、商用電力系統から電力の供給が停止したことを検知したとき、即ち、停電を検知したとき、太陽光パネル用PCS21およびバッテリ用PCS22に対して自立運転信号を供給する。また、このとき、制御部28は、リレー31および32の接続をオフ(開放状態)にするとともに、リレー33の接続をオン(接続状態)にする制御を行う。
【0029】
また、例えば、制御部28は、停電が復旧して、商用電力系統から電力の供給が開始されたことを検知したとき、太陽光パネル用PCS21およびバッテリ用PCS22に対して、自立運転を解除する信号を供給する。また、このとき、制御部28は、リレー31および32の接続をオンにするとともに、リレー33の接続をオフにする制御を行う。
【0030】
つまり、エネルギーコントローラ11では、自立運転モード時には、リレー31および32の接続がオフされ、リレー33の接続がオンされる一方、通常運転モード時には、リレー31および32の接続がオンされ、リレー33の接続がオフされる。このように、リレー31および32と、リレー33とでオンおよびオフが排他的に機能するように、リレー31乃至33は排他的回路となるように構成されている。
【0031】
次に、図2および図3を参照して、停電時および通常時におけるエネルギーコントローラ11の電力経路について説明する。図2および図3において、それぞれの電力経路が太線により表されている。
【0032】
図2には、停電時における電力経路が示されている。
【0033】
上述したように、制御部28は、電力モニタ26から通知される電力量に基づいて、商用電力系統からの電力の供給が停止したことを検知すると、太陽光パネル用PCS21およびバッテリ用PCS22に対して自立運転信号を供給する。同時に、制御部28は、リレー31および32の接続をオフにするとともに、リレー33の接続をオンにする。
【0034】
太陽光パネル用PCS21は、自立運転信号に従って、太陽光パネルから供給される直流電圧の電力を交流電圧100Vの電力に変換して、自立運転出力端子から出力する。このとき、リレー33の接続がオンとなっているので、太陽光パネル用PCS21の自立運転出力端子から出力された電力は、リレー33を介して充電用AC/DC変換部23に供給される。
【0035】
このとき、リレー31および32の接続がオフとなっているので、太陽光パネル用PCS21から出力される電力は、分電盤12側へ流れ出ることはない。さらに、エネルギーコントローラ11では、リレー31および32が直列に接続されているので、リレー31および32の一方が故障して、接続をオフすることができない状態になっても、故障していない方により接続をオフすることができる。このように、リレー31および32を直列に接続することで、分電盤12に電力が出力されないようにする制御を、より確実に行うことができる。
【0036】
充電用AC/DC変換部23は、太陽光パネル用PCS21から供給される交流電圧の電力を直流電圧の電力に変換して、バッテリ13またはバッテリ用PCS22に供給する。なお、充電用AC/DC変換部23から出力される電力がバッテリ13およびバッテリ用PCS22のどちらに供給されるのかは、バッテリ13の充電量や、自立出力用コンセント14に接続された負荷での電力消費量(つまり、バッテリ用PCS22から出力される電力量)などによって決まる。
【0037】
バッテリ用PCS22は、自立運転信号に従って、充電用AC/DC変換部23から供給される直流電圧の電力、または、バッテリ13に充電されている直流電圧の電力を、交流電圧100Vの電力に変換して、自立運転出力端子から出力する。これにより、自立出力用コンセント14に接続されている負荷に、バッテリ用PCS22の自立運転出力端子から出力された電力が供給される。
【0038】
また、このとき、停電を察知したユーザにより漏電ブレーカ45がオフにされ、太陽光パネル用PCS21と商用電力系統との電気的な接続が切断される。なお、漏電ブレーカ45がオフにされなくても、自立運転モードにおいて、太陽光パネル用PCS21は商用電力系統に接続される端子への電力の出力は行わず、太陽光パネル用PCS21から分電盤12へ電力が流れ出ることはない。
【0039】
また、太陽光パネル用PCS21と漏電ブレーカ45との間に、制御部28により開閉制御が可能なリレーを接続し、制御部28が停電を検知したときに、そのリレーをオフにするようにしてもよい。なお、制御部28は、リレー34の接続もオフにして、バッテリ用PCS22と商用電力系統との電気的な接続も切断する。
【0040】
図3は、通常時における電力経路が示されている。
【0041】
例えば、制御部28は、電力モニタ26から通知される電力量に基づいて、商用電力系統から電力の供給が再開したこと(停電の復旧)を検知すると、太陽光パネル用PCS21およびバッテリ用PCS22に対して自立運転を解除する信号を供給する。同時に、制御部28は、リレー31および32の接続をオンにするとともに、リレー33の接続をオフにする。また、制御部28は、リレー34の接続もオンにする。
【0042】
太陽光パネル用PCS21は、自立運転を解除する信号に従って、自立運転出力端子からの電力の出力を停止し、太陽光パネルから供給される直流電圧の電力を交流電圧200Vの電力に変換して、分電盤12に供給する。これにより、分電盤12のブレーカ部43に接続された負荷に、太陽光パネルで発電された電力が供給される。なお、このとき、停電の復旧を察知したユーザにより漏電ブレーカ45がオンにされている。
【0043】
なお、リレー33の接続がオフとなっているので、太陽光パネル用PCS21の自立運転出力端子から交流電圧100Vの電力が出力される状態であったとしても、その交流電圧100Vの電力と、商用電力系統から供給される交流電圧200Vの電力とが同一経路に流れ込むことは回避される。
【0044】
充電用AC/DC変換部23は、商用電力系統から供給される交流電圧200Vの電力を直流電圧の電力に変換して、バッテリ13に供給する。
【0045】
バッテリ用PCS22は、自立運転を解除する信号に従って、バッテリ13から供給される直流電圧の電力を、交流電圧200Vの電力に変換して、リレー34を介して分電盤12に供給する。これにより、分電盤12のブレーカ部43に接続された負荷に、バッテリ13に充電されていた電力が供給される。
【0046】
以上のように、エネルギーコントローラ11では、停電時および通常時で電力経路が切り替えられる。これにより、商用電力系統側で停電を復旧するための作業をしている作業者の安全を確保することができる。また、交流電圧200Vの電力と交流電圧100Vの電力とが同一経路に流れ込むような事態が回避され、そのような事態が発生したときに想定される故障を回避することができる。
【0047】
また、エネルギーコントローラ11では、太陽光パネルで発電されて太陽光パネル用PCS21により交流電圧に変換された電力と、バッテリ13に充電されてバッテリ用PCS22により交流電圧に変換された電力とに関し、それぞれの電力が出力される配線が明確に異なるように構成されている。このような構成により、エネルギーコントローラ11では、太陽光パネルで発電された電力だけを系統に戻し、かつ、バッテリ13に充電された電力が系統に戻ることを確実に防止することができる。
【0048】
つまり、例えば、上述の特許文献2に開示された電力変換装置は、インバータから出力される電力が、太陽光パネルおよびバッテリのどちらから出力されたものであるのかを明確に区別することができない構成となっていた。これに対し、エネルギーコントローラ11は、太陽光パネルで発電された電力と、バッテリ13に充電された電力とを容易に区別することができる構成となっている。従って、エネルギーコントローラ11は、太陽光パネルで発電された電力以外の電源からの電力を系統に戻すことが認められていない環境において、問題なく使用することができる。
【0049】
また、エネルギーコントローラ11は、バッテリ13を備えているので、停電時であっても、ある程度、天候の変動に左右されずに電力を供給することができる。
【0050】
さらに、エネルギーコントローラ11が自立運転モードであるとき、制御部28は、太陽光パネルの出力電力の電圧値に基づいて、充電用AC/DC変換部23の自立運転出力端子から出力する電力の制御(自立運転モード時の電力制御)を行う。
【0051】
図4は、制御部28が自立運転モード時の電力制御で実行する処理を説明するフローチャートである。
【0052】
例えば、制御部28が、電力モニタ26から通知される電力量に基づいて停電を検知して自立運転信号を出力した後、自立運転モード時の電力制御が開始される。
【0053】
ステップS11において、制御部28は、充電用AC/DC変換部23の出力電力が増加するように制御を行い、充電用AC/DC変換部23の出力電力が増加する。
【0054】
このとき、充電用AC/DC変換部23からの出力電力の増加に対応するため、太陽光パネル用PCS21の自立運転出力端子から充電用AC/DC変換部23に供給される電力が増加するのに伴って、太陽光パネル用PCS21は、太陽光パネルに対して要求する電力を増加する。これにより、太陽光パネルから太陽光パネル用PCS21に入力される入力電力が増加するので、太陽光パネルの発電特性に従って、太陽光パネルの出力電力の電圧値が低下することになる。
【0055】
ステップS12において、制御部28は、太陽光パネル用PCS21と通信を行って、太陽光パネルの出力電力の電圧値、即ち、太陽光パネル用PCS21が太陽光パネルから供給された電力の電圧値を取得する。
【0056】
ステップS13において、制御部28は、ステップS12で取得した太陽光パネルの出力電力の電圧値が第1の基準電圧値以下であるか否かを判定する。
【0057】
ステップS13において、制御部28が、太陽光パネルの出力電力の電圧値が第1の基準電圧値以下でないと判定した場合、つまり、太陽光パネルの出力電力の電圧値が第1の基準電圧値より大であると判定した場合、処理はステップS11に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
【0058】
一方、ステップS13において、制御部28が、太陽光パネルの出力電力の電圧値が第1の基準電圧値以下であると判定した場合、処理はステップS14に進む。つまり、この場合、充電用AC/DC変換部23の出力電力の増加に伴う太陽光パネル用PCS21の入力電力の増加によって、太陽光パネルの出力電力の電圧値が、第1の基準電圧値以下となるまで低下している。
【0059】
ステップS14において、制御部28は、充電用AC/DC変換部23の出力電力が低減するように制御を行い、充電用AC/DC変換部23の出力電力が低減する。
【0060】
これにより、太陽光パネル用PCS21の自立運転出力端子から充電用AC/DC変換部23に供給される電力が減少するのに伴って、太陽光パネル用PCS21は、太陽光パネルに対して要求する電力を低減させる。従って、太陽光パネルから太陽光パネル用PCS21に入力される入力電力が減少するので、太陽光パネルの発電特性に従って、太陽光パネルの出力電力の電圧値が上昇することになる。
【0061】
ステップS15において、制御部28は、ステップS12の処理と同様に、太陽光パネルの出力電力の電圧値を取得する。
【0062】
ステップS16において、制御部28は、ステップS15で取得した太陽光パネルの出力電力の電圧値が第2の基準電圧値以上であるか否かを判定する。
【0063】
ここで、第2の基準電圧値は、第1の基準電圧値よりも高い値であり、第1および第2の基準電圧値は、太陽光パネルの発電特性に応じて、太陽光パネルが安定的に電力を出力することができる電圧範囲を規定するために予め求められた電圧値である。
【0064】
ステップS16において、制御部28が、太陽光パネルの出力電力の電圧値が第1の基準電圧値以上でないと判定した場合、つまり、太陽光パネルの出力電力の電圧値が第1の基準電圧値未満であると判定した場合、処理はステップS14に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
【0065】
一方、ステップS16において、制御部28が、太陽光パネルの出力電力の電圧値が第2の基準電圧値以上であると判定した場合、処理はステップS11に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。そして、例えば、制御部28が、電力モニタ26から通知される電力量に基づいて停電の復旧を検知すると、自立運転モード時の電力制御が終了される。
【0066】
以上のように、エネルギーコントローラ11では、自立運転モードにおいて、制御部28が、太陽光パネルの出力電力の電圧値が、例えば、安定的に電力を出力可能な第1および第2の基準電圧値により規定される範囲内となるように、充電用AC/DC変換部23の出力電圧を制御する。このような電力制御により、太陽光パネル用PCS21が、太陽光パネルの発電電力が著しく低下するほどの電力を要求することが回避され、太陽光パネルの発電電力が不安定になることを防止することができる。
【0067】
従って、停電中であっても、エネルギーコントローラ11は、自立出力用コンセント14に接続されている負荷に対して安定的に電力を供給することができる。
【0068】
例えば、自立出力用コンセント14に負荷が接続されている場合、バッテリ用PCS22の出力電力が増加するのに応じて、バッテリ用PCS22の入力電圧が増加し、バッテリ13および充電用AC/DC変換部23からバッテリ用PCS22に電力が供給される。このとき、充電用AC/DC変換部23からの出力電力がなければ、バッテリ13からバッテリ用PCS22に電力が供給される。一方、自立出力用コンセント14に負荷が接続されていない場合、充電用AC/DC変換部23の出力電力を増加させると、その電力はバッテリ13に充電される。
【0069】
図5は、制御部28が自立運転モード時の電力制御で実行する他の処理を説明するフローチャートである。
【0070】
ステップS21において、制御部28は、充電用AC/DC変換部23の出力電力が所定の増加量で増加するように制御を行い、充電用AC/DC変換部23の出力電力が所定の増加量だけ増加する。これにより、太陽光パネル用PCS21は太陽光パネルに対して要求する電力を増加し、太陽光パネルの出力電力の電圧値が低下する。
【0071】
ステップS22において、制御部28は、太陽光パネル用PCS21と通信を行って、太陽光パネルの出力電力の電圧値を取得する。
【0072】
ステップS23において、制御部28は、ステップS22で取得した太陽光パネルの出力電力の電圧値が基準電圧値以下であるか否かを判定する。ここで、基準電圧値は、例えば、太陽光パネルにおいて最大の出力電力が得られるように予め求められた電圧値である。
【0073】
ステップS23において、制御部28が、太陽光パネルの出力電力の電圧値が基準電圧値以下でないと判定した場合、つまり、太陽光パネルの出力電力の電圧値が基準電圧値より大であると判定した場合、処理はステップS21に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
【0074】
一方、ステップS23において、制御部28が、太陽光パネルの出力電力の電圧値が基準電圧値以下であると判定した場合、処理はステップS24に進む。
【0075】
ステップS24において、制御部28は、充電用AC/DC変換部23の出力電力を、直前のステップS21で増加させた増加量に応じて低減するように制御を行い、充電用AC/DC変換部23の出力電力が増加量と同量だけ戻る。
【0076】
ステップS24の処理後、処理はステップS22に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。そして、例えば、制御部28が、電力モニタ26から通知される電力量に基づいて停電の復旧を検知すると、自立運転モード時の電力制御が終了される。
【0077】
以上のように、エネルギーコントローラ11では、自立運転モードにおいて、制御部28が、太陽光パネルの出力電力の電圧値が、例えば、最大の電力を出力可能な電圧値を追従するように、充電用AC/DC変換部23の出力電力を制御する。このような電力制御により、太陽光パネル用PCS21が、太陽光パネルの発電電力が著しく低下するほどの電力を要求することが回避され、太陽光パネルの発電電力が不安定になることを防止することができる。
【0078】
従って、停電中であっても、エネルギーコントローラ11は、自立出力用コンセント14に接続されている負荷に対して安定的に電力を供給することができる。
【0079】
なお、制御部28は、太陽光パネルの出力電力の電圧値に基づいて、充電用AC/DC変換部23の出力電力を制御するのに加えて、例えば、太陽光パネル用PCS21の自立運転出力端子から出力される電力の電流値または電圧値をフィードバックして、充電用AC/DC変換部23の出力電力を制御してもよい。これにより、自立出力用コンセント14に接続されている負荷に対して、より安定的に電力を供給することができる。
【0080】
次に、図6は、本発明を適用したエネルギーコントローラの第2の実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【0081】
図6において、エネルギーコントローラ11Aは、図1のエネルギーコントローラ11と同様に、図示しない太陽光パネルに接続されるとともに、分電盤12を介して、交流電圧200Vの電力を供給する商用電力系統に接続されている。
【0082】
エネルギーコントローラ11Aは、太陽光パネル用PCS21、電力モニタ25および26、入出力部27、制御部28、並びにリレー31乃至33を備える点で、図1のエネルギーコントローラ11と同一の構成であり、その詳細な説明は省略する。即ち、エネルギーコントローラ11Aは、双方向AC/DC変換部23Aを備える点で、エネルギーコントローラ11と異なった構成となっている。
【0083】
双方向AC/DC変換部23Aは、分電盤12を介して供給される交流電圧の電力を直流電圧の電力に変換して、バッテリ13に供給して充電させる。また、双方向AC/DC変換部23Aは、通常時において、バッテリ13から供給される直流電圧の電力を交流電圧の電力に変換して、分電盤12を介してブレーカ部43の各ブレーカに接続された負荷に供給する。また、双方向AC/DC変換部23Aは、停電時において、バッテリ13から供給される直流電圧の電力を交流電圧に変換した電力、または、太陽光パネル用PCS21の自立運転出力端子から供給される交流電圧の電力を、自立出力用コンセント14に接続された負荷に対して供給する。
【0084】
つまり、双方向AC/DC変換部23Aは、図1のバッテリ用PCS22および充電用AC/DC変換部23の両方の機能を備えた構成となっている。
【0085】
エネルギーコントローラ11Aにおいても、停電を検出すると、制御部28は、自立運転モード時の電力制御(上述の図4または図5のフローチャートの処理)を実行する。即ち、制御部28は、太陽光パネルの出力電力の電圧値に基づいて、双方向AC/DC変換部23Aが自立運転出力端子から出力する電力を制御する。
【0086】
従って、エネルギーコントローラ11Aは、図1のエネルギーコントローラ11と同様に、太陽光パネルの発電電力が不安定になることを防止することができるのに加えて、双方向AC/DC変換部23Aが、図1のバッテリ用PCS22および充電用AC/DC変換部23の両方の機能を備えることによって、装置の簡素化および小型化を図ることができる。
【0087】
次に、図7は、本発明を適用したエネルギーコントローラの第3の実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【0088】
図7において、エネルギーコントローラ11Bは、図1のエネルギーコントローラ11と同様に、図示しない太陽光パネルに接続されるとともに、分電盤12を介して、交流電圧200Vの電力を供給する商用電力系統に接続されている。
【0089】
エネルギーコントローラ11Bは、図1のエネルギーコントローラ11が有する各ブロックを備えており、その詳細な説明は省略する。そして、エネルギーコントローラ11Bは、リレー51および52をさらに備えて構成される。
【0090】
エネルギーコントローラ11Bでは、端子37および自立出力用コンセント14を接続する配線に、リレー51が接続されている。また、リレー51および自立出力用コンセント14を接続する配線と、分電盤12のブレーカ部43および配線用ブレーカ44を接続する配線とを接続する配線に、リレー52が接続されている。
【0091】
リレー51および52は、入出力部27を介して、制御部28の制御に従って開閉を行い、排他的回路となるように構成されている。つまり、リレー51および52は、リレー51の接続がオンされるときにリレー52の接続がオフされる一方、リレー51の接続がオフされるときにリレー52の接続がオンされるように構成されている。
【0092】
このように構成されているエネルギーコントローラ11Bにおいて、制御部28は、通常運転モードであるとき、リレー51の接続をオフにするとともに、リレー52の接続をオンにする制御を行う。一方、制御部28は、自立運転モードであるとき、リレー51の接続をオンにするとともに、リレー52の接続をオフにする制御を行う。
【0093】
従って、エネルギーコントローラ11Bでは、通常時には、分電盤12を介して自立出力用コンセント14に電力が供給され、停電時には、バッテリ用PCS22の自立運転出力端子を介して自立出力用コンセント14に電力が供給される。即ち、エネルギーコントローラ11Bは、通常時および停電時のどちらであっても、自立出力用コンセント14に接続されている負荷に対して電力を供給することができる。
【0094】
また、制御部28は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(例えば、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory))などを備えて構成されており、ROMまたはフラッシュメモリに記憶されているプログラムをRAMにロードして実行することで、上述の電力制御を行う。なお、CPUが実行するプログラムは、あらかじめROMおよびフラッシュメモリに記憶されているものの他、適宜、フラッシュメモリにダウンロードして更新することができる。
【0095】
なお、上述のフローチャートを参照して説明した各処理は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)も含むものである。また、プログラムは、1のCPUにより処理されるものであっても良いし、複数のCPUによって分散処理されるものであっても良い。
【0096】
さらに、本実施の形態では、太陽光発電パネルを発電手段とした発電システムについて説明したが、本技術は、太陽光発電パネルの他、風力発電などのように、自然エネルギーを利用し発電を行う発電手段による電力を利用した発電システムに適用することができる。
【0097】
なお、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0098】
11 エネルギーコントローラ, 12 分電盤, 13 バッテリ, 14 自立出力用コンセント, 21 太陽光パネル用PCS, 22 バッテリ用PCS, 23 充電用AC/DC変換部, 25および26 電力モニタ, 27 入出力部, 28 制御部, 31乃至34 リレー, 37 端子, 41 端子, 42 漏電ブレーカ, 43 ブレーカ部, 44 配線用ブレーカ, 45 漏電ブレーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自然エネルギーを利用し発電を行う発電手段から出力される直流電圧の電力を、交流電圧の電力に変換する第1の変換手段と、
前記第1の変換手段から出力される交流電圧の電力を、直流電圧の電力に変換する第2の変換手段と、
系統からの電力の供給が停止しているときに、前記発電手段から出力される電力の電圧値に基づいて、前記第2の変換手段の出力電力を制御する制御手段と
を備えることを特徴とする電力制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記発電手段から出力される電力の電圧値が、第1の基準電圧値および第2の基準電圧値により規定される範囲内となるように、前記第2の変換手段の出力電力を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の電力制御装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記発電手段から出力される電力の電圧値が、前記第1の基準電圧値以下である場合には前記第2の変換手段の出力電力を低減させ、前記第1の基準電圧値より大きな前記第2の基準電圧値以上である場合には前記第2の変換手段の出力電力を増加させる
ことを特徴とする請求項2に記載の電力制御装置。
【請求項4】
前記第2の変換手段から出力される電力、または、前記第2の変換手段から出力された電力を蓄積する蓄積手段に蓄積されている電力を、交流電圧の電力に変換して負荷に供給する第3の変換手段を
さらに備え、
前記第3の変換手段は、系統からの電力の供給が停止しているとき、自立出力用コンセントに接続されている出力端子から電力を出力する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電力制御装置。
【請求項5】
前記第2の変換手段および前記第3の変換手段が一体で構成されている
ことを特徴とする請求項4に記載の電力制御装置。
【請求項6】
前記自立出力用コンセントには、前記第3の変換手段の前記出力端子からの電力と、前記系統からの電力とが排他的に切り替えられて供給される
ことを特徴とする請求項4に記載の電力制御装置。
【請求項7】
自然エネルギーを利用し発電を行う発電手段から出力される直流電圧の電力を、交流電圧の電力に変換する第1の変換手段と、前記第1の変換手段から出力される交流電圧の電力を、直流電圧の電力に変換する第2の変換手段とを備える電力制御装置の電力制御方法において、
系統からの電力の供給が停止しているときに、前記発電手段から出力される電力の電圧値に基づいて、前記第2の変換手段の出力電力を制御する
ステップを含むことを特徴とする電力制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−196023(P2012−196023A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56954(P2011−56954)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】